JP5830720B2 - 下地枠体及びこれを用いた袖壁構造 - Google Patents
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Description
この施工方法では、矩形状に予め組み立てられた軸組を、開口枠体の中方立に当接させて開口部に固定する。次いで、軸組と同一の厚みとされた縦軸を、引戸の移動する左右方向に軸組に並べて開口枠体の外枠材に当接させて開口部に固定する。そして、これら左右方向に沿って並べられた軸組と縦軸の表面及び裏面にボードを貼り付けて引戸用小壁を施工する態様とされている。これによれば、施工される引戸用小壁の左右方向の長さが様々の種類であっても、使用される軸組と縦軸は一種類でよいため、施工現場で小壁の長さに合わせて軸組を製作する必要がない、と記載されている。
この増壁は、予め定めた所要の大きさを有する金属製の増壁フレームの外周を構成する4つの外周枠片のそれぞれを、中間部に長ボルト、ターンバックル等の調整部材を取り付けた構造としている。また、この外周枠片の内側に交差するように設けられる補助用の縦枠及び横枠を中間部に摺動部を設けた分割構造としている。これによれば、フレームの縦横方向の寸法調整が容易に可能となる、と記載されている。
また、上記特許文献2に記載された増壁では、外周枠片の中間部に長ボルト、ターンバックル等の調整部材を設けた構造とされており、構造が複雑化するという問題があった。
また、本発明においては、前記第1枠部材及び前記第2枠部材の各縦枠材及び各横桟材を、単板積層材から形成されたものとしてもよい。
図1〜図4は、本実施形態に係る下地枠体及びこれを用いた袖壁構造の一例について説明するための概念的な説明図である。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
また、以下の実施形態では、図3(b)に示すY方向から見た状態を基準として、図3(b)における上側を背面側、下側を手前側として、その方向等を原則的に説明する。
これら第1枠部材11及び第2枠部材14の各縦枠材12,15は、上下に長尺の角材状とされ、高さ寸法及び厚さ寸法が同寸法とされており、本実施形態では、幅寸法も同寸法とされている。
この第1枠部材11の縦枠材12の一側面12aに対向配置される第2枠部材14の縦枠材15の一側面15aには、上下方向に間隔を空けて、複数本(図例では、4本)の横桟材16が略水平方向に突出して設けられている。この第2枠部材14の各横桟材16は、図1(b)に示すように、各枠部材11,14のそれぞれの縦枠材12,15の一側面12a,15a同士を対向させた状態で、第1枠部材11の複数本の横桟材13と上下方向でずれた位置となるように設けられている。
また、本実施形態では、図1(a)に示すように、これら第1枠部材11及び第2枠部材14のそれぞれを、同寸同形状としている。つまり、各枠部材11,14の各縦枠材12,15の各一側面12a,15aが同じ方向に向くようにこれら各縦枠材12,15を厚さ方向に一致させた状態において、各枠部材11,14の各横桟材13,16同士が厚さ方向に一致する構成とされている。これによれば、当該下地枠体1を構成する第1枠部材11及び第2枠部材14を同一部材とでき、各枠部材11,14を予め工場等において形成する際の組み付け工程乃至はラインを簡素化でき、また、取り扱い性を向上させることができる。なお、これら枠部材11,14からなる下地枠体1を組み付ける際には、図1(b)に示すように、これら枠部材11,14のうちの一方(図例では、第2枠部材14)を、当該下地枠体1の厚さ方向に沿う水平軸廻りに180度回転させて配置し、組み付けられる。
また、本実施形態では、各枠部材11,14の横桟材13,16同士の少なくとも一部が上下で重合するように配置された状態で、互いに隣接する第1枠部材11の横桟材13と第2枠部材14の横桟材16とが上下に当接する構成としている。つまり、互いに隣接して向き合う第1枠部材11の横桟材13の一側面(上側面)13aと第2枠部材14の横桟材16の一側面(下側面)16aとが当接するように、これら第1枠部材11及び第2枠部材14のそれぞれに、各横桟材13,16を設けている。
また、他方(図例では、第1枠部材11)の最下段に位置する横桟材13を、縦枠材12の内側面12aの下端部12bから突出するように設けている。つまり、第1枠部材11の複数本の横桟材13のうちの最下段の横桟材13の下側面と縦枠材12の下端面とが略同一平面状となるように、最下段の横桟材13を、縦枠材12の下端部に固定連結している。
また、当該下地枠体1が壁体の下地として設置されるような場合には、上端部及び下端部に位置する横桟材13,16を、廻り縁や巾木等の固定下地として利用することができ、固定下地を別途、配設するような場合と比べて、施工性を向上させることができる。
本実施形態では、各縦枠材12,15及び各横桟材13,16は、繊維方向を長手方向に沿わせたLVLを角材状に加工して形成されている。このように、当該下地枠体1の各縦枠材12,15及び各横桟材13,16を、LVLから形成しているので、寸法安定性に比較的に優れ、強度ばらつきが比較的に少なくなるため、壁体や扉体の下地乃至は芯材として好適なものとなる。
なお、各縦枠材12,15及び各横桟材13,16は、上記した木質系材料以外のものから形成するようにしてもよい。例えば、合成樹脂系材料に、木粉や無機フィラー、相溶化剤、着色剤などを所定の含有割合で含有させた木粉(木質)・プラスチック複合材(WPC)や、その他の合成樹脂系材料、金属系材料等から形成されたものとしてもよい。
まず、図1(b)に示すように、各枠部材11,14の縦枠材12,15を当該下地枠体1の幅方向に間隔を空けて対向させ、各枠部材11,14の横桟材13,16同士の少なくとも一部が上下で重合するように配置し、壁下地乃至は扉芯材となる下地10を形成する。この際、当該下地枠体1(下地10)の幅寸法が、当該下地枠体1を用いて形成される壁体乃至は扉体の幅寸法に応じた寸法となるように、互いの縦枠材12,15の間隔を調整する。また、このように幅調整した後、本実施形態では、互いに隣接する第1枠部材11の横桟材13と第2枠部材14の横桟材16とが上下に当接する構成としているので、当接する横桟材13,16同士を上記固定連結手段で固定連結するようにしてもよい。
つまり、それぞれに横桟材13,16を設けた第1枠部材11及び第2枠部材14の互いの縦枠材12,15の間隔を調整することで、当該下地枠体1を用いて形成される壁体乃至は扉体の幅寸法の違いに容易に対応することができる。つまりは、各枠部材11,14の縦枠材12,15に上下に間隔を空けて複数本の横桟材13,16を設けた極めて簡易な構造でありながらも、当該下地枠体1を用いて形成される壁体乃至は扉体の幅寸法の違いに容易に対応することができる。
また、各枠部材11,14の横桟材13,16同士の少なくとも一部が上下で重合するように配置されて、これら枠部材11,14の縦枠材12,15間に複数本の横桟材13,16が上下に配設されることとなるため、縦枠材12,15間の強度を向上させることができる。これにより、当該下地枠体1を用いて形成される壁体乃至は扉体の強度を向上させることができる。
本実施形態では、下地枠体1を、図3に示すように、建物内に設けられた開口部4に、引戸3が引き込まれる袖壁の下地(袖壁下地)10として配設した例を示している。図例では、一枚からなる片引き式の引戸3を納める袖壁の袖壁下地10として配設した例を示している。
この開口部4の内周面に沿うようにして、引戸3を建て付ける戸枠2が配設される。
開口部4の開口幅は、図3(b)に示すように、開口部4に配設された戸枠2に建て付けられる引戸3が開閉自在にスライドし得るように引戸3の戸幅及び戸枠2の厚さ(引戸3の戸幅と同方向に沿う厚さ)に応じて形成される。つまり、本実施形態のように袖壁納めで施工される片引き式の引戸3を例にすれば、開口部4の開口幅は、当該引戸3の戸幅の略2倍程度の幅寸法とされる。
上枠20は、その下面側に、引戸3のスライド移動を案内する上吊レールや案内溝を長手方向に沿って有している。また、この上枠20は、戸先側が、開口部4の戸先側に形成される内壁7の壁厚に対応させて幅広部とされ、戸尻側が、下地枠体1を用いて形成される後記する袖壁体19の壁厚を加味して上記幅広部よりも幅の狭い幅狭部とされている。また、この上枠20の幅広部と幅狭部とを区切る長手方向略中央部には、中方立23の上端部が係合する切欠部が形成されている。
戸尻側縦枠22は、上枠20の上記幅狭部に応じた幅寸法(壁厚方向の幅寸法)とされ、開口部4の戸尻側(袖壁側)の内側面に沿うように上下方向に沿って配設される(図3も参照)。これら戸先側縦枠21及び戸尻側縦枠22には、引戸3の戸先側端部乃至は戸尻側端部を受け入れる戸じゃくり溝が上下方向に沿って形成されている。
中方立23は、開口部4の略中間位置において上下方向に沿って配設され、その壁厚方向に沿う幅寸法が、下地枠体1を用いて形成される袖壁体19の壁厚に応じた幅寸法とされている。この中方立23の壁厚方向背面側端面には、引戸3の手前側表面3aに摺接する隙間遮蔽部材(モヘア部材)が上下方向に沿って添設されている。
また、このように組み付けられた戸枠2は、図4に示すように、開口部4の内周面に沿わせるようにして固定される。図例では、開口部4の内周天面を構成するまぐさや横桟などの枠下地5に沿わせるようにして上枠20を固定し、開口部4の内周両側面を構成する柱材などの枠下地5,5に沿わせるようにして一対の縦枠21,22を固定した例を示している。また、これら上枠20及び一対の縦枠21,22は、各枠下地5に対して飼木などのスペーサー材6を介して固定された例を示している。
また、中方立23の下端部は、床下地(乃至は床材)などの枠下地5に固定するようにしてもよい。
なお、戸枠2としては、図例のように下枠を備えない上吊式の戸枠(三方枠)に限られず、引戸の下端部に戸車を設け、この戸車をガイドするレールを備えた下枠を更に備えた戸枠(四方枠)としてもよい。また、図例のような固定枠に限られず、ケーシング額縁を備えたいわゆるケーシング枠を戸枠として採用するようにしてもよい。
また、本実施形態では、袖壁下地10の表面(手前面)10a及び裏面(背面)10bのそれぞれに面材としての石膏ボード17,18を固定して袖壁となる袖壁体19を形成し、この袖壁体19を開口部4に配設した例を示している。この袖壁体19は、開口部4の戸尻側の内側面から戸先側に向けて突出するように配設され、背面側の面材18に、引き込まれた状態の引戸3の手前側表面3aが対面するように配設される。
本実施形態では、袖壁下地10とその裏面10bに固定された石膏ボード18とを合わせた厚さ寸法を、図3(b)に示すように、開口部4に固定された戸尻側縦枠22の壁厚方向手前側端面から枠下地(内壁の下地ともなる下地)5の手前側表面までの壁厚方向の寸法と略同寸法としている。つまりは、袖壁下地10の裏面10bに固定された石膏ボード18の表面を戸尻側縦枠22の壁厚方向手前側端面に当接させた状態で、この袖壁下地10の手前側の表面10aが枠下地5の手前側表面と略同一平面状となるように形成されている。
まず、上述したように、組み付けた戸枠2を、図4(a)に示すように、開口部4に固定する(図4(b)も参照)。
次いで、袖壁の幅寸法Wに応じた寸法となるように幅寸法を調整して組み付けた袖壁下地10の表裏10a,10bに、必要に応じて寸法調整した石膏ボード17,18を固定し、袖壁体19を形成する。そして、この袖壁体19を、開口部4の手前側から、開口部4の袖壁側枠下地内側面と、中方立23の袖壁側側面とによって幅方向が区画された開口部4内に嵌め込むようにして開口部4内に配置する。また、袖壁体19の幅方向の各端部を、戸尻側縦枠22及び中方立23のそれぞれに当接させて、当該袖壁体19を開口部4に固定する。
なお、この袖壁体19の開口部4への固定は、戸枠2及び枠下地5の両方または一方に対して、上記同様の固定止具を用いて固定するようにしてもよい。
また、図3に示すように、袖壁体19の手前面の下端部及び各壁面材8の下端部に巾木9を固定するようにしてもよい。
また、上記のように袖壁体19を開口部4に配設する態様とすることで、戸枠2を開口部4に固定した後、開口部4の一方側(手前側)から袖壁体19を容易に施工することができ、施工性を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、袖壁体19の幅方向一端部の背面が戸尻側縦枠22の壁厚方向手前側端面に当接するように配設する構造としている。従って、袖壁体19の背面側の石膏ボード18の一側部が直線状に切断されていないような場合にも、戸尻側縦枠22によって、その一側部が隠蔽されて露出せず見栄えを阻害することがない。換言すれば、袖壁体19の背面側の石膏ボード18の一側部側を、精度良く加工する必要がなく、袖壁の施工性をより向上させることができる。
さらに、上記した例では、袖壁下地10の高さ寸法を開口部4の開口高さに応じた寸法とした例を示しているが、このような態様に限られず、少なくともその上端部が上枠20の一部に正面視して重合するような高さ寸法とすればよい。この場合は、この袖壁下地10乃至は袖壁体19の上端部を上枠20に対して固定するようにしてもよい。
また、図例では、開口部4の上側に垂れ壁を形成するように開口部4を設けた例を示しているが、床面から天井面に略至る高さ寸法とされた開口部4に袖壁下地10乃至は袖壁体19を配設する態様としてもよい。
また、上記した例では、片引きの一枚の引戸3を納める袖壁として袖壁体19(袖壁下地10)を開口部4に配設した例を示しているが、このような態様に限られない。複数枚の引戸を納める袖壁として配設されるものとしてもよく、また、両引き(引き分け)の引戸を納める袖壁として、開口部の両側に、本実施形態に係る袖壁体19(袖壁下地10)をそれぞれ配設するようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、第1枠部材11と第2枠部材14とを同寸同形状とされた同一部材からなるものとした例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、各枠部材11,14の縦枠材12,15や横桟材13,16の寸法が互いに異なる寸法とされたものとしてもよく、また、各枠部材11,14の横桟材13,16の本数が互いに異なる本数とされたものとしてもよい。
さらにまた、本実施形態では、第1枠部材11の縦枠材12の下端部に最下段の横桟材13を設け、第2枠部材14の縦枠材15の上端部に最上段の横桟材16を設けた例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、いずれか一方の枠部材の長手方向一端部のみに最上段または最下段の横桟材を設けるようにしてもよく、さらには、両方の長手方向両端部に横桟材を設けずに、各縦枠材の中程の部位にのみ複数本の横桟材を設けるような態様としてもよい。
10 袖壁下地(壁下地、扉芯材)
11 第1枠部材
12 縦枠材(一方の縦枠材)
12a 内側面(一側面)
12b 内側面の下端部
13 横桟材
14 第2枠部材
15 縦枠材(他方の縦枠材)
15a 内側面(一側面)
15b 内側面の上端部
16 横桟材
17,18 石膏ボード(面材)
W 袖壁の幅寸法
Claims (4)
- 一対の縦枠材のうちの一方の縦枠材の一側面に、上下方向に間隔を空けて、それぞれが両縦枠材と同厚さとされた複数本の横桟材を略水平方向に突出させて設けた第1枠部材と、
前記一方の縦枠材の一側面に対向配置される他方の縦枠材の一側面に、前記第1枠部材の複数本の横桟材と上下方向でずれた位置となるように、上下方向に間隔を空けて、それぞれが両縦枠材と同厚さとされた複数本の横桟材を略水平方向に突出させて設けた第2枠部材と、を備えており、
前記第1枠部材及び前記第2枠部材のうちの一方の最上段に位置する横桟材は、前記縦枠材の一側面の上端部から突出するように設けられ、前記第1枠部材及び前記第2枠部材のうちの他方の最下段に位置する横桟材は、前記縦枠材の一側面の下端部から突出するように設けられており、
前記第1枠部材及び前記第2枠部材の横桟材同士の少なくとも一部が上下で重合するように配置された状態で、これら第1枠部材及び第2枠部材の表裏のそれぞれに面材が固定されることを特徴とする下地枠体。 - 請求項1に記載の下地枠体において、
前記第1枠部材及び前記第2枠部材の横桟材同士の少なくとも一部が上下で重合するように配置された状態で、互いに隣接する第1枠部材の横桟材と第2枠部材の横桟材とが上下に当接するように、これら第1枠部材及び第2枠部材の各横桟材が設けられていることを特徴とする下地枠体。 - 請求項1または2に記載の下地枠体において、
前記第1枠部材及び前記第2枠部材の各縦枠材及び各横桟材は、単板積層材から形成されていることを特徴とする下地枠体。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の下地枠体を、引戸を納める袖壁の下地として用いた袖壁構造であって、
前記第1枠部材及び前記第2枠部材を、互いの縦枠材の間隔を袖壁の幅寸法に応じて調整し、かつ、これら第1枠部材及び第2枠部材の表裏のそれぞれに前記面材としての石膏ボードを固定したことを特徴とする袖壁構造。
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