本発明に係る実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態に係る壁構造1は、マンションの室内の壁に適用する場合を例示する。壁構造1は、床ライナー部2と、第一複合壁パネル3Aと、第二複合壁パネル3Bと、第一側部ジョイント部材4と、第二側部ジョイント部材5と、第三側部ジョイント部材6と、天井ライナー部7とで主に構成されている。本実施形態の説明における上下、左右、前後は、図1の矢印にしたがう。
図2に示すように、床ライナー部2は、土台コア11と、土台ライナー12と、下部ジョイント部材13とを含んで構成されている。床ライナー部2は、各複合壁パネルの下部を支持するとともに、各複合壁パネルを配設する際のレールとなる部位である。
図3に示すように、土台コア11は、コンクリートのスラブS1の上に配置される矩形断面の木材である。土台コア11の長さは、当該マンションに各部材を搬送する際の搬送通路を通る大きさであり、かつ、エレベータに入る大きさであることが好ましい。土台コア11の長さは、本実施形態では、例えば、1820mmになっている。左右方向から見た場合、土台コア11の上部の両角部には面取り加工が施されている。
図3に示すように、土台ライナー12は、土台ライナー下地12aと、土台ライナー側板12b,12bとを含んで構成されている。土台ライナー12は、土台コア11の幅方向の両側及び上側を覆い、下部ジョイント部材13の下地となる部材である。土台ライナー12の長さは、土台コア11の長さと同等になっている。
土台ライナー下地12aは、矩形断面の木材であって、土台コア11と略同等の長さになっている。土台ライナー下地12aの幅は、土台コア11の幅と同等になっている。
土台ライナー側板12b,12bは、土台ライナー下地12aの幅方向の両側に取り付けられる矩形断面の木材である。つまり、土台ライナー側板12b,12bは、土台ライナー下地12aの前側及び後側に取り付けられている。土台ライナー側板12bの長さは、土台ライナー下地12aの長さと略同等になっている。
土台ライナー側板12b,12bの上面は、土台ライナー下地12aの上面と面一になっている。土台ライナー側板12b,12bの高さは、土台ライナー下地12aの高さよりも大きく、かつ、土台ライナー下地12aの高さと土台コア11の高さとの和よりも小さくなっている。スラブS1と土台ライナー側板12bの下面との間には、スラブS1の上に配置される床下地材S2の端部が配置されている。また、床下地材S2の上には、床化粧材S3が配置されている。
図2に示すように、下部ジョイント部材13は、土台ライナー12の上に固定される矩形断面の木材である。下部ジョイント部材13は、第一複合壁パネル3A及び第二複合壁パネル3Bの下部溝21c,21cに嵌合される部材である。図3に示すように、下部ジョイント部材13の幅は、土台ライナー下地12aの幅よりも小さくなっている。左右方向から見た場合、下部ジョイント部材13の上部の両角部には面取り加工が施されている。
土台ライナー12及び下部ジョイント部材13は、現場で組み立てもよいが、予め工場等で土台ライナー12と下部ジョイント部材13とを一体形成してもよい。なお、本実施形態では、2枚の複合壁パネルを並設する場合を例示しているが、3枚以上並設する場合は、図1のように、床ライナー部2の長手方向にさらに他の床ライナー部2を設置してもよい。
図1に示すように、第一複合壁パネル3Aは、第一下部壁パネル21Aと、第一上部壁パネル22Aと、第一上部ジョイント部材23Aと、複数の固定部材Mとで主に構成されている。第一複合壁パネル3Aは、床ライナー部2の上に配置され、壁構造1の壁面を構成する部材である。
図5の(a)、(b)、(c)に示すように、第一下部壁パネル(下部壁パネル)21Aは、3本の縦材24と、一対の下地枠組25と、一対の面材26とを含んで構成されている。第一下部壁パネル21Aは、第一複合壁パネル3Aの下部に配置されるパネルである。第一下部壁パネル21Aの大きさは、搬送通路を通る大きさであり、かつ、エレベータに入る大きさであれば特に制限されないが、本実施形態では例えば高さが1820mm、幅が910mm、厚さが70mmになっている。つまり、第一下部壁パネル21Aの幅は、床ライナー部2の半分の長さになっている。また、第一下部壁パネル21Aの厚さは、床ライナー部2の厚さと同等になっている。
縦材24は、矩形断面を呈する木材であって、上下方向に対して平行に配設される。縦材24は、第一下部壁パネル21Aの中央と左右両側に等間隔で配設されている。
図5の(a)及び(b)に示すように、下地枠組25,25は、正面視矩形枠状を呈し、縦材24を前後方向に挟むように配設されている。図6に示すように下地枠組25は、3本の縦下地25aと、2本の横下地25bとで構成されており、枠状に組み立てられている。縦下地25aは、縦材24と対応する位置に配設され、縦材24とくぎ等の固定部材で一体化されている。横下地25bは、3本の縦下地25aの上端及び下端をそれぞれ連結するように配設され、縦材24とくぎ等の固定部材で一体化されている。
下地枠組25に替えて一枚ものの合板を用いてもよいが、下地枠組25のように枠状とすることにより軽量化を図ることができるとともに、材料コストを下げることができる。また、図5(a)及び図6等を参照するように、縦材24と縦下地25a,25aとで構成される部位の水平断面がH型となるため、下部壁パネル21Aに作用する曲げモーメントに対する剛性を高めることができる。また、下地枠組25の剛性を高めることができるため、縦材24の板厚を薄くすることができる。これにより、第一下部壁パネル21Aのパネル厚を小さくすることができる。
図5の(a)、(b)、(c)に示すように、面材26,26は、正面視矩形を呈し、各縦材24及び各下地枠組25を前後方向に挟むように配設されている。面材26の材料は特に制限されないが、本実施形態では石膏ボードを用いている。正面視した場合において、面材26の外縁と下地枠組25の外縁は同等の形状・大きさになっている。
左右両側に配設される縦材24は、下地枠組25及び面材26の側縁よりも内側に配設されている。具体的には、下地枠組25及び面材26の外縁から縦材24の側面までの距離d1は本実施形態では20mmになっている。これにより、第一下部壁パネル21Aの側端部には側部溝21a,21bが形成されている。
また、縦材24は、第一下部壁パネル21Aの高さよりも若干短く形成されるとともに、下地枠組25及び面材26の上下方向の中央に配置される。縦材24の下端から下地枠組25及び面材26の下端までの距離d2、及び、縦材24の上端から下地枠組25及び面材26の上端までの距離d2は本実施形態では20mmになっている。これにより、第一下部壁パネル21Aの下端部には下部溝21cが形成され、上端部には上部溝21dが形成されている。
また、第一下部壁パネル21Aの内部には、上下方向に連通する中空部27(図5の(a)参照)が形成されている。中空部27は、縦材24,24と面材26,26とで囲まれた空間である。中空部27は、電気や電話等の配線を通す通路として利用される。なお、第一下部壁パネル21Aを搬送する際には、第一下部壁パネル21Aの下面、上面及び両側面に形成された各溝を塞ぐための板材を設けてもよい。これにより、搬送の際に第一下部壁パネル21Aの各端面にキズが付くのを防ぐことができる。
図7の(a)、(b)、(c)に示すように、第一上部壁パネル(上部壁パネル)22Aは、3本の縦材34と、一対の下地枠組35と、一対の面材36とを含んで構成されている。第一上部壁パネル22Aの内部には、中空部37が形成されている。第一上部壁パネル22Aは、第一複合壁パネル3Aの上に配置されるパネルである。第一上部壁パネル22Aの大きさは、搬送通路を通る大きさであり、かつ、エレベータに入る大きさであれば特に制限されないが、本実施形態では例えば高さが600mm、幅が910mm、厚さが70mmになっている。第一上部壁パネル22Aは、第一下部壁パネル21Aと対比して、その高さが小さいことを除いては同等の構造になっている。
第一上部壁パネル22Aの側端には側部溝22a,22bが形成されている。第一上部壁パネル22Aの下端には下部溝22cが形成されており、上端には上部溝22dが形成されている。側部溝22a,22b、下部溝22c及び上部溝22dの深さは、いずれも20mmになっている。つまり、第一下部壁パネル21Aの各部溝と第一上部壁パネル22Aの各部溝とは同等の深さになっている。
図2に示すように、第一上部ジョイント部材(上部ジョイント部材)23Aは、第一下部壁パネル21Aと第一上部壁パネル22Aとを接続する矩形断面の木材である。図3に示すように、左右方向から見た場合、第一ジョイント部材23の四隅には、面取り加工が施されている。第一上部ジョイント部材23Aの高さは、本実施形態では40mmになっている。第一上部ジョイント部材23Aの下半分は、第一下部壁パネル21Aの上部溝21dに隙間なく嵌合されている。
また、第一上部ジョイント部材23Aの上半分は、第一上部壁パネル22Aの下部溝22cに隙間なく嵌合されている。さらに、第一下部壁パネル21Aと第一上部ジョイント部材23A、及び、第一上部壁パネル22Aと第一上部ジョイント部材23Aはそれぞれくぎやビス等の固定部材Mで固定されている。固定部材Mは、前側及び後側の少なくともいずれかから留め付けられればよいが、本実施形態では、前側及び後側の両方から留め付けられている。
図4に示すように、第一上部ジョイント部材23Aの長さは、第一下部壁パネル21Aの幅方向の両端に配設された縦材24,24の各側面間の距離d3よりも短くなっている。また、第一上部ジョイント部材23Aは、縦材24,24から左右方向に離間して配設されている。これにより、第一上部ジョイント部材23Aと、縦材24と、下地枠組25,25とで囲まれて形成された連通孔X,Xが形成されている。また、具体的な図示は省略するが、第一上部壁パネル22A側にも、第一上部ジョイント部材23Aと、縦材34と、下地枠組35,35とで囲まれて形成された連通孔Xが形成されている。
なお、第一上部ジョイント部材23Aの高さは、本実施形態では40mmとしたが、これに限定されるものではない。第一上部ジョイント部材23Aの高さをさらに大きくしつつ、第一下部壁パネル21A及び第一上部壁パネル22Aへの挿入代を大きくすることで、第一複合壁パネル3Aに作用する曲げモーメントに対する剛性を高めることができる。
図1に示すように、第二複合壁パネル3Bは、第二下部壁パネル21Bと、第二上部壁パネル22Bと、第二上部ジョイント部材23Bと、複数の固定部材Mとで主に構成されている。第二複合壁パネル3Bは、床ライナー部2の上に配置されるとともに、第一複合壁パネル3Aの隣に並設され、壁構造1の壁面を構成する部材である。第二複合壁パネル3Bは、第一複合壁パネル3Aと同等の構造からなるため、第二複合壁パネル3Bの詳細な説明は省略する。また、第二複合壁パネルの各構成部材には、各符号の末尾に「B」と追記することで第一複合壁パネル3Aと区別する。
図2に示すように、第一側部ジョイント部材4は、矩形断面の木材であって、第一複合壁パネル3Aの左側において、下部ジョイント部材13に対して垂直に配設されている。第一側部ジョイント部材4は、一本の部材で構成してもよいが、本実施形態では第一下側部ジョイント部材4aと、第一上側部ジョイント部材4bとで構成されている。これらの部材の長さは搬送する際の搬送通路を通る大きさであり、かつ、エレベータに入る大きさであれば特に制限されないが、本実施形態では第一下側部ジョイント部材4aの高さを600mm、第一上側部ジョイント部材4bの高さを1800mmに設定している。第一上側部ジョイント部材4bは、第一下部壁パネル21Aと第一上部壁パネル22Aとに跨って配設されている。
図4に示すように、第一側部ジョイント部材4の左側面は、例えば、既存の壁Wに固定されている。第一側部ジョイント部材4の下端は、下部ジョイント部材13に当接している。第一側部ジョイント部材4は、側部溝21a及び側部溝22a(図2参照)に隙間なく配設される形状になっている。また、図4に示すように、上下方向から見た場合、第一側部ジョイント部材4の前側及び後側の両角部には、面取り加工が施されている。第一側部ジョイント部材4と第一下部壁パネル21A、及び、第一側部ジョイント部材4と第一上部壁パネル22Aとはそれぞれ固定部材Mで固定されている。
図2に示すように、第二側部ジョイント部材(側部ジョイント部材)5は、矩形断面の木材であって、第一複合壁パネル3Aと第二複合壁パネル3Bの間において、下部ジョイント部材13に対して垂直に配設されている。第二側部ジョイント部材5は、一本の部材で構成してもよいが、本実施形態では第二下側部ジョイント部材5aと、第二上側部ジョイント部材5bとで構成されている。これらの部材の長さは搬送する際の搬送通路を通る大きさであり、かつ、エレベータに入る大きさであることであれば特に制限されないが、本実施形態では第二下側部ジョイント部材5aの高さを600mm、第二上側部ジョイント部材5bの高さを1800mmに設定している。第二上側部ジョイント部材5bは、第一下部壁パネル21Aと第一上部壁パネル22Aに跨って配設されている。
第二側部ジョイント部材5の幅(左右方向の長さ)は、第一側部ジョイント部材4の幅の略二倍になっている。また、第二側部ジョイント部材5の高さは、第一側部ジョイント部材4の高さと略同等になっている。図2に示すように、第二側部ジョイント部材5は、隣り合う第一下部壁パネル21A及び第二下部壁パネル21Bの対向する側部溝21b,21a、及び、隣り合う第一上部壁パネル22A及び第二上部壁パネル22Bの対向する側部溝22b,22aに配設されている。
図4に示すように、第二側部ジョイント部材5は、側部溝21b,21aによって囲まれた空間に隙間なく配設される。つまり、第二側部ジョイント部材5の左半分は側部溝21bに嵌合され、右半分は側部溝21aに嵌合される。同様に、第二側部ジョイント部材5の左半分は側部溝22bに嵌合され、右半分は側部溝22aに嵌合される。上下方向から見た場合、第二側部ジョイント部材5の四隅には、面取り加工が施されている。また、第二側部ジョイント部材5は、第一下部壁パネル21A及び第二下部壁パネル21Bと固定部材Mで固定されるとともに、第一上部壁パネル22A及び第二上部壁パネル22Bと固定部材Mで固定される。
図2に示すように、第三側部ジョイント部材(側部ジョイント部材)6は、矩形断面の木材であって、第二複合壁パネル3Bの右側部おいて、下部ジョイント部材13に対して垂直に配設されている。第三側部ジョイント部材6は、第二側部ジョイント部材5と略同等の形状になっている。第三側部ジョイント部材6は、一本の部材で構成してもよいが、本実施形態では第三下側部ジョイント部材6aと、第三上側部ジョイント部材6bとで構成されている。これらの部材の長さは搬送する際の搬送通路を通る大きさであり、かつ、エレベータに入る大きさであることであれば特に制限されないが、本実施形態では第三下側部ジョイント部材6aの高さを600mm、第三上側部ジョイント部材6bの高さを1800mmに設定している。第三上側部ジョイント部材6bは、第二下部壁パネル21Bと第二上部壁パネル22Bに跨って配設されている。
図2に示すように、第三側部ジョイント部材6の左半分は第二下部壁パネル21Bの側部溝21bに嵌合されるとともに、第二上部壁パネル22Bの側部溝22bに嵌合される。また、第三側部ジョイント部材6と第二下部壁パネル21Bは固定部材Mで固定され、第三側部ジョイント部材6と第二上部壁パネル22Bは固定部材Mで固定される。
図3に示すように、天井ライナー部7は、天井ライナー下地41と、天井ライナー側板42,42とで構成されている。天井ライナー部7は、天井枠組Tの一部を保持する部位である。天井ライナー部7は、左右方向に延設されるとともに、第一上部壁パネル22A及び第二上部壁パネル22Bの前側において、両壁パネルに跨って配設されている。天井ライナー7は、第一上部壁パネル22A及び第二上部壁パネル22Bの上端から下がった位置に設けられている。
図3に示すように、天井ライナー下地41は、矩形断面の木材であって、第一上部壁パネル22A及び第二上部壁パネル22Bの前側に取り付けられている。天井ライナー側板42は、矩形断面の木材であって、天井ライナー下地41の上部及び下部において、第一上部壁パネル22A及び第二上部壁パネル22Bに対して垂直に取り付けられている。天井ライナー側板42の前後方向の長さは、天井ライナー下地41の前後方向の長さよりも大きくなっている。これにより、天井ライナー部7の前側には、天井枠組Tが嵌合される溝部7aが形成されている。
図3に示すように、天井枠組Tは、複数の野ぶちT1と、野ぶちT1の端部を繋ぐ天井転び止めT2とで構成されている。天井枠組Tの下面には天井面材Uが取り付けられている。溝部7aには、天井転び止めT2が嵌合されている。また、天井面材Uの端部は、天井ライナー側板42の端部と当接するようになっている。天井面材Uの下面と天井ライナー側板42の下面とは面一になっている。なお、第一上部壁パネル22A及び第二上部壁パネル22Bから構造躯体の天井面Kまでは隙間が形成されている。この隙間は、配線等が通されるとともに、第一上部壁パネル22A及び第二上部壁パネル22Bを配設する際のスペースとして利用される。
次に、本実施形態に係る壁構造の構築方法について説明する。本実施形態に係る壁構造の構築方法では、各構成部材を組み立てる準備工程と、床ライナー部2を配設する第一工程と、第一側部ジョイント部材4を配設する第二工程と、第一下部壁パネル21Aを配設する第三工程と、第一上部壁パネル22Aを配設する第四工程と、第二側部ジョイント部材5を配設する第五工程と、第二下部壁パネル21Bを配設する第六工程と、第二上部壁パネル22Bを配設する第七工程と、第三側部ジョイント部材6を配設する第八工程と、行う。
準備工程では、壁構造1の各構成部材を組み立てる。本実施形態では、土台ライナー12と下部ジョイント部材13とは工場等で予め一体形成する。また、第一下部壁パネル21A、第一上部壁パネル22A、第二下部壁パネル21B、第二上部壁パネル22B及び天井ライナー部7は、工場等で予め一体形成する。
図8に示すように、第一工程では、まず、スラブS1に土台コア11を配設する。そして、土台コア11の上に土台ライナー12を配設しつつ床面材S2及び床化粧材S3を配設する。床ライナー部2は既存の壁Wに対して垂直に、かつ、その端部が壁Wに当接するように配設する。
第二工程では、既存の壁Wに第一側部ジョイント部材4を配設する。第一側部ジョイント部材4の下端は、下部ジョイント部材13に当接させる。
第三工程では、まず、第一下部壁パネル21Aの上部溝21dに第一上部ジョイント部材23Aを嵌め合わせる。この際、第一下部壁パネル21Aと第一上部ジョイント部材23Aとは、くぎ又は接着剤等で仮留めしてもよい。
そして、下部ジョイント部材13に第一下部壁パネル21Aの下部溝21cを嵌め合わせつつ、第一下部壁パネル21Aをスライドさせて第一下部壁パネル21Aの側部溝21aに第一側部ジョイント部材4を嵌め合わせる。さらに、下部ジョイント部材13と第一下部壁パネル21Aとを固定部材Mで留め付けるとともに、第一側部ジョイント部材4と第一下部壁パネル21Aとを固定部材Mで留め付ける。
図9に示すように、第四工程では、第一上部ジョイント部材23Aに第一上部壁パネル22Aの下部溝22cを嵌め合わせつつ、第一上部壁パネル22Aをスライドさせて第一上部壁パネル22Aの側部溝22aに第一側部ジョイント部材4を嵌め合わせる。そして、第一上部ジョイント部材23Aと第一上部壁パネル22Aとを固定部材Mで留め付けるとともに、第一側部ジョイント部材4と第一上部壁パネル22Aとを固定部材Mで留め付ける。
図10に示すように、第五工程では、第四工程で形成された第一複合壁パネル3Aの側部に第二側部ジョイント部材5を配設する。第五工程では、第一複合壁パネル3Aの側部溝21b,22b(図2参照)に第二側部ジョイント部材5の左半分を嵌め合せ、固定部材Mで固定する。
第六工程では、まず、第二下部壁パネル21Bの上部溝21dに第二上部ジョイント部材23Bを嵌め合せる。この際、第二下部壁パネル21Bと第二上部ジョイント部材23Bとは、くぎ又は接着剤等で仮止めしてもよい。
そして、下部ジョイント部材13に第二下部壁パネル21Bの下部溝21cを嵌め合わせつつ、第二下部壁パネル21Bをスライドさせて第二下部壁パネル21Bの側部溝21aに第二側部ジョイント部材5を嵌め合わせる。さらに、下部ジョイント部材13と第二下部壁パネル21Bとを固定部材Mで留め付けるとともに、第二側部ジョイント部材5と第二下部壁パネル21Bとを固定部材Mで留め付ける。
第七工程では、具体的な図示は省略するが、第二上部ジョイント部材23Bに第二上部壁パネル22Bの下部溝22c(図2参照)を嵌め合わせつつ、第二上部壁パネル22Bをスライドさせて第二上部壁パネル22Bの側部溝22aに第二側部ジョイント部材5の右半分を嵌め合わせる。そして、第二上部ジョイント部材23Bと第二上部壁パネル22Bとを固定部材Mで留め付けるとともに、第二側部ジョイント部材5と第二上部壁パネル22Bとを固定部材Mで留め付ける。
第八工程では、第七工程で形成された第二複合壁パネル3Bの側部に第三側部ジョイント部材6を配設する。第八工程では、第二複合壁パネル3Bの側部溝21b,22bに第三側部ジョイント部材6の左半分を嵌め合わせ固定部材Mで固定する。
最後に、第一上部壁パネル22A及び第二上部壁パネル22Bに天井ライナー部7を取り付けつつ、天井枠組Tを構築する。これにより、壁構造1が完成する。
以上説明した本実施形態に係る壁構造及び壁構造の構築方法によれば、壁パネルを上下に分割しつつ、これらの壁パネルを第一上部ジョイント部材23Aを介して接続するようにしたため、第一下部壁パネル21A及び第一上部壁パネル22Aのそれぞれの高さを小さくすることができるとともに、重量も軽減することができる。これにより、搬送作業を容易に行うことができる。
また、第一下部壁パネル21A及び第一上部壁パネル22Aを上下方向に接続することで、室内の階高が大きい場合であっても、当該室内の寸法に合った壁構造1を構築することができる。また、第一下部壁パネル21Aと第一上部壁パネル22Aは、第一上部ジョイント部材23Aを介して固定部材Mで固定するだけであるため、構築作業も容易である。
また、第一下部壁パネル21Aと第一上部ジョイント部材23A、第一上部壁パネル22Aと第一上部ジョイント部材23A及び第一下部壁パネル21Aと下部ジョイント部材13とをそれぞれ固定部材Mで固定するため、壁構造1の強度を向上させることができる。
また、隣り合う第一複合壁パネル3Aと第二複合壁パネル3Bとを第二側部ジョイント部材5を介して連結することで、幅方向の長さを容易に大きくすることができる。本実施形態では、二枚の複合壁パネルを並設する場合を例示しているが、壁の幅が大きい場合はさらに複合壁パネルを並設することで、室内の大きさに容易に適合することができる。また、第二側部ジョイント部材5は、第一下部壁パネル21A及び第一上部壁パネル22Aに跨って配設されるとともに、それぞれ固定部材Mで固定されているため、より強度を高めることができる。
また、第一複合壁パネル3A内に連通孔X,Xを設けることで、当該連通孔Xを配線を通す孔として利用することができる。これにより、電気工事に係る設計の自由度を向上させることができる。
また、土台ライナー12を設けることで、下部ジョイント部材13の設置作業を容易に行うことができる。また、土台ライナー12を、幅木等を取り付けるための下地材として利用することができる。
また、天井ライナー部7を設けることにより、天井枠組Tと第一複合壁パネル3A等とを容易に組み付けることができる。また、本実施形態では、第一上部壁パネル22Aに対して垂直に設けられた天井ライナー側板42に天井面材Uの端面が突き合わされている。これにより、天井と壁との内隅部を奇麗に仕上げることができる。
また、第一下部壁パネル21A及び第一上部壁パネル22A等を工場等で予め形成し、現場で組み立てるようにしたため、工期の短縮化、現場作業の簡素化を図れるとともに、現場での騒音やゴミの排出量を低減できる。また、各壁パネルを工場等で予め形成することで、品質の均一化を図ることができる。また、第一下部壁パネル21Aと第一上部壁パネル22Aは高さ寸法を除いて同等の構造からなるため、工場での生産性を向上させることができる。また、本実施形態のように、第一下部壁パネル21A及び第二下部壁パネル21Bの高さを1820mm、幅を910mmの基本モジュールとし、第一上部壁パネル22A及び第二上部壁パネル22Bを高さ調整部材とすることが好ましい。このようにすることで、他のマンション等の壁を構築する際に、第一下部壁パネル21Aはそのまま用いるとともに、第一上部壁パネルの方で高さを調節すればよいため、さらなる生産性の向上を図れる。
また、第一側部ジョイント部材4、第二側部ジョイント部材5、第三側部ジョイント部材6、土台ライナー下地12a、下部ジョイント部材13及び第一上部ジョイント部材23Aの各角部には面取り加工が施されているため、これらの部材と他の部材との嵌合作業を容易に行うことができる。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。本実施形態で挙げた寸法は、大きさを分かりやすくするために便宜的に示したものであって、本発明を限定するものではない。
また、本実施形態では、マンションの部屋をリフォームする場合を例示したが、戸建て住宅をリフォームする場合や、新築の戸建て又は新築のマンションを構築する場合に本発明を用いてもよい。
また、例えば、本実施形態では、二枚の複合壁パネルを並設しているが、一枚の複合壁パネルだけでもよいし、三枚以上の複合壁パネルを並設して壁構造を構築してもよい。
また、本実施形態では、下部壁パネルの高さを大きくし、上部壁パネルの高さを小さくしているが、下部壁パネルの高さを小さくし、上部壁パネルの高さを大きくしてもよい。また、正面から見た場合に、下部壁パネルと上部壁パネルを千鳥状に配設してもよい。
また、本実施形態では、第一側部ジョイント部材4、第二側部ジョイント部材5及び第三側部ジョイント部材6は、第一下部壁パネル21A及び第一上部壁パネル22Aに跨って配設されているが、少なくともいずれか一方に配設されていればよい。このことは、第三側部ジョイント部材6についても同様である。第一側部ジョイント部材4、第二側部ジョイント部材5及び第三側部ジョイント部材6を複数の部材で構成してもよい。また、第一上部ジョイント部材23A及び第二上部ジョイント部材23Bをそれぞれ複数の部材で構成してもよい。
また、床ライナー部2をさらに延長させる場合は、隣接する土台ライナー12同士を跨ぐように下部ジョイント部材13を配設するとともに、土台ライナー12と下部ジョイント部材13とをくぎ等の固定部材で留め付けてもよい。これにより、床ライナー部2の強度を向上させることができる。また、土台ライナー12を省略して、下部ジョイント部材13を土台コア11に取り付けてもよい。
また、前記した壁構造の構築方法の順番は、あくまで例示であって、この順番に限定されるものではない。例えば、第一下部壁パネル21Aと第一上部壁パネル22Aとを上下に嵌め合わせつつ、第一側部ジョイント部材4に嵌め合わせた後に、下部ジョイント部材13と第一下部壁パネル21A、第一側部ジョイント部材4と第一下部壁パネル21A、第一側部ジョイント部材4と第一上部壁パネル22A、第一下部壁パネル21Aと第一上部ジョイント部材23A及び第一上部壁パネル22Aと第一上部ジョイント部材23Aとを固定部材Mで留め付けてもよい。
また、本実施形態では、第一下部壁パネル21A及び第一上部壁パネル22Aの前後両面に面材26,36を取り付けたが、これに限定するものではない。例えば、構造壁に沿って本発明の壁構造を構築する場合は、第一下部壁パネル及び第一上部壁パネルのうち、室内側に露出する側のみに面材26,36を取り付けるだけでもよい。これにより、材料コストを低減することができる。
また、本実施形態では、各構成部材を木造としたが、各構成部材のいずれかを金属として壁構造を構成してもよい。