JP5501577B2 - X線ct装置 - Google Patents

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本発明は、X線CT(Computed Tomography)装置に関し、詳しくは、X線管における焦点の位置の調整の手法に関する。
X線CT装置では、X線管の取付け時または交換時に、X線検出器に対するX線ビーム(beam)の位置合せを行うため、X線管における焦点の位置の調整が行われる。また、その後においても、良好な画質の画像を得るために、焦点の位置の微調整を行う場合がある。
例えば、特許文献1では、図7に示されるように、X線管の陽極が熱膨張により移動して、X線ビームの焦点の位置がずれた際に、X線管における電子銃から射出される電子線の射出方向を変化させることで、焦点の位置を一定に保持する手法が提案されている。
特開平6−38956号公報
ところで、近年、X線CT装置には、検出素子のサイズ(size)が小さい高分解能なX線検出器や、検出器列がスライス(slice)方向に多数(例えば4以上)配設された多列形のX線検出器が用いられることが多い。このようなX線CT装置では、X線管の焦点の位置のあらゆる方向における微小なずれが、再構成画像の画質に大きく影響するため、焦点の位置のずれを高い自由度で高分解能に調整して補正したいという要望が強い。
しかしながら、上記特許文献1の手法では、陽極の熱膨張による焦点の位置の移動を打ち消すよう、電子線の方向を一方向にて調整するので、これ以外の要因で他の方向にずれた焦点の位置を補正することができない。
本発明は、上記事情に鑑み、X線管の焦点の位置を高い自由度で高分解能に調整することが可能なX線CT装置を提供することを目的とする。
第1の観点によれば、本発明は、電子線の電極との衝突により形成される焦点からX線ビームを射出するX線管と、前記X線管と対向して配置されており、前記X線ビームを検出するX線検出器とを備えたX線CT装置において、電磁場を用いて前記電子線を複数の方向に偏向して、前記焦点を任意の方向へ移動させることが可能な電子線偏向手段と、前記X線検出器に対する前記焦点の位置が所定の目標位置に近づくよう、前記電子線偏向手段を制御する制御手段とを備えたX線CT装置を提供する。
第2の観点では、本発明は、前記電子線偏向手段が、前記電子線を前記電子線に垂直な第1の方向に偏向するための電場または磁場を形成する第1の電磁場形成手段と、前記電子線を前記第1の方向とは異なる第2の方向に偏向するための電場または磁場を形成する第2の電磁場形成手段とを有し、前記制御手段が、前記第1および第2の電磁場形成手段を制御して前記電場または磁場の大きさを制御する上記第1の観点のX線CT装置を提供する。
第3の観点では、本発明は、前記X線ビームが通過する位置であって、前記X線検出器に対して一定である位置に配置されるX線吸収体をさらに備え、前記制御手段が、前記X線検出器から得られる投影データ(data)に基づいて、前記電子線偏向手段を制御する上記第1の観点または第2の観点のX線CT装置を提供する。
第4の観点では、本発明は、前記制御手段が、前記投影データによって特定される前記焦点の実測位置と前記目標位置との差分が小さくなるよう、前記電子線偏向手段を制御する上記第3の観点のX線CT装置を提供する。
第5の観点では、本発明は、前記制御手段が、スキャン(scan)中に、前記電子線偏向手段を制御する上記第4の観点のX線CT装置を提供する。
第6の観点では、本発明は、前記制御手段が、焦点移動予測データに基づいて、予測される前記焦点の移動が打ち消されるよう、前記電子線偏向手段を制御する上記第5の観点のX線CT装置を提供する。
第7の観点では、本発明は、前記制御手段が、前記電磁場の変化と前記焦点の位置の変化との関係を表す情報を参照して、形成すべき電磁場を決定する上記第4の観点か第6の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
第8の観点では、本発明は、前記X線吸収体が、前記X線ビームにより前記X線検出器のチャネル方向の端部近傍に投影されるような位置に配置される上記第3の観点から第7の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
第9の観点では、本発明は、前記X線吸収体が、前記X線ビームを整形するアパーチャ(aperture)の近傍に設けられる上記第3の観点から第8の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
第10の観点では、本発明は、前記X線吸収体が、球形である上記第3の観点から第9の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
第11の観点では、本発明は、前記X線管が、複数の電子銃を有する上記第1の観点から第10の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
第12の観点では、本発明は、前記X線検出器が、複数の検出素子をチャネル(channel)方向に配設して成る検出器列をスライス方向に4以上有する多列検出器である上記第1の観点から第11の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
第13の観点では、本発明は、チャネル方向に延びる複数のコリメータ(collimator)と、スライス方向に延びる複数のコリメータとが、前記X線検出器上で前記検出素子を区分するように格子状に組み合わされて成るコリメータフィルタ(collimator
filter)をさらに備える上記第12の観点のX線CT装置を提供する。
第14の観点では、本発明は、前記目標位置が、前記X線ビームの中心と前記X線検出器の中心とが一致するような位置である上記第1の観点から第13の観点のいずれか1つの観点のX線CT装置を提供する。
第15の観点では、本発明は、電子線の電極との衝突により形成される焦点からX線ビームを射出するX線管において、電磁場を用いて前記電子線を複数の方向に偏向して、前記焦点を任意の方向へ移動させることが可能な電子線偏向手段を備えるX線管を提供する。
本発明によれば、X線管の電子線を互いに異なる複数の方向に偏向して、X線管の焦点を任意の方向へ移動可能にしているので、X線管の焦点の位置を高い自由度で高分解能に調整することが可能となる。これにより、X線管の蓄熱以外の要因による焦点の位置ずれの補正にも対応することができ、再構成画像の画質を改善することができる。
以下、図を参照しながら本発明にかかる実施の形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態によるX線CT装置100の構成を示すブロック(block)図である。X線CT装置100は、操作コンソール(console)1と、撮影テーブル(table)8と、走査ガントリ(gantry)9とを具備している。
操作コンソール1は、入力装置2と、中央処理装置3と、制御インタフェース(interface)4と、データ収集バッファ(buffer)5と、モニタ(monitor)6とを具備している。入力装置2は、操作者の指示や情報などを受け付ける。中央処理装置3は、スキャン制御処理や画像再構成処理などを実行する。制御インタフェース4は、制御信号などを撮影テーブル8や走査ガントリ9へ出力する。データ収集バッファ5は、走査ガントリ9で取得したデータを収集する。モニタ6は、スキャン計画画面や断層画像などを表示する。操作コンソール1は、例えば、コンピュータ(computer)で構成されており、不図示の記憶装置からプログラム(program)を読み出して実行することにより、これらの各構成要素として機能する。
撮影テーブル8は、水平な天板上に被検体を乗せてその体軸方向に移動させる。なお、以下より、撮影テーブル8の天板の移動方向すなわち被検体の体軸方向をz方向、z方向に直交する水平方向をx方向、x方向およびz方向に直交する方向をy方向という。
走査ガントリ9は、xy面内で被検体20の回りを回転する回転部7を有している。回転部7には、X線コントローラ(controller)10と、X線発生部11と、アパーチャ部12と、X線検出部13と、データ収集部14と、回転コントローラ15とが搭載されている。X線コントローラ10は、X線発生部11と接続されており、X線に関する制御を行う。回転コントローラ15は、回転部7の回転に関する制御を行う。
図2は、回転部7の要部を示す図である。図2では、回転部7に搭載された各部のうち、X線発生部11、アパーチャ部12、X線検出部13、データ収集部14、およびX線コントローラ10を示している。
X線発生部11は、X線管111と、偏向用電極部114と、電源115とを有している。X線管111は、相対向して配置される回転陽極112と陰極フィラメント(filament)を含む電子銃113とを有している。電子銃113から射出された電子線eは、回転陽極112と電子銃113との間で加速されて回転陽極112に衝突し、回転陽極112上で焦点fを形成する。焦点fからはX線ビームXbが放射状に射出される。X線管111は、電子線eがz方向に略平行に射出されるような向きで回転部7に設置される。偏向用電極部114は、回転陽極112と電子銃113との間の空間に配置されており、印加される電圧によって電場を形成して電子線eを2次元(縦横)方向で偏向する。これにより、焦点fの位置を回転陽極112上で任意の方向に移動させることができる。
図3は、第1の実施形態によるX線管111の内部の概略構成を示す図である。図3に示すように、電子線eは、電子銃113から回転陽極112に向かって射出される。偏向用電極部114は、この電子線eをy方向で挟むように設けられた、x方向に平行な2本のロッド(rod)形状の電極114a,114bを有している。また、偏向用電極部114は、この電子線eをx方向で挟むように設けられた、y方向に平行な2本のロッド形状の電極114c,114dとを有している。電極114aと電極114bとの間に印加される電圧V1によりy方向の電場E1が形成され、電極114cと電場114dとの間に印加される電圧V2によりx方向の電場E2が形成される。電子線eは、電場E1によりy方向に偏向し、電場E2によりx方向に偏向する。なお、偏向用電極部114は、通常、X線管111内に配置されるが、X線管111の外部に配置しても構わない。
電源115は、X線管111の外部近傍に設置されている。電源115は、偏向用電極部114の各電極と接続されており、電圧V1および電圧V2を独立にかつ正負両方に調整することができる。
X線検出部13は、X線検出器131を有している。X線検出器131は、被検体20を挟んでX線管111と相対向して配置される。X線検出器131は、複数の検出素子132をチャネル方向iに配設して成る検出器列をスライス方向jに4列以上、例えば64列有する多列検出器である。
アパーチャ部12は、x方向に平行な2本のロッド形状のアパーチャ用コリメータ121a,121bと、z方向に平行な2つの板形状のアパーチャ用コリメータ121c、121dとを有している。これら4つのアパーチャ用コリメータは、井の字形となるように配置されており、X線管111から射出されたX線ビームXbがその中央の開口部Kを通過するよう、X線管111近傍に配置される。アパーチャ部12は、これら4つのアパーチャ用コリメータの位置を変化させて、X線ビームXbの照射領域がX線検出器131の検出面と略一致するよう整形する。また、アパーチャ部12は、球形状のX線吸収体123を有している。X線吸収体123としては、例えば、直径0.5〜2mm程度のステンレス(stainless)球や鉛球を考えることができる。X線吸収体123は、X線ビームXbの射出領域内におけるX線検出器131に対する一定位置に配置される。ここでは、X線吸収体123は、開口部Kにおけるスライス方向jの中央部、チャネル方向iの端部近傍に位置するよう配置される。X線吸収体123は、X線透過性のよいX線吸収体支持部材122により支持されており、X線吸収体支持部材122は、上記4つのアパーチャ用コリメータを支持する不図示の基台によって支持される。このような構成により、X線吸収体123は、X線ビームXbによりX線検出器131上のチャンネル方向iの端部近傍に投影される。
データ収集部14は、X線検出器131の出力信号をA/D変換して、投影データUを収集する。投影データUには、X線吸収体123のX線ビームXbによる投影位置の情報が含まれる。
X線コントローラ10は、X線管制御部101と、焦点制御部102とを有している。
X線管制御部101は、X線管111の管電圧や管電流、電子線eのオンオフ(on/off)等、焦点以外を制御する。
焦点制御部102は、X線管111の焦点fの位置を制御する。すなわち、焦点制御部102は、X線検出器131に対する焦点fの位置が所定の目標位置Pftに近づくよう、電源115を制御して電場E1およびE2を適した向きおよび大きさで形成し、電子線eを適した方向に偏向させる。ここでは、目標位置Pftは、X線ビームXbの中心とX線検出器131の中心とが一致するような位置である。X線ビームXbの中心とは、X線ビームXbの言わば光軸とX線検出器131の検出面との交点であり、X線検出器131の中心とは、X線検出器131の検出面においてチャネル方向およびスライス方向で共に中間に位置する点である。焦点制御部102は、例えば、データ収集部14で収集された投影データUを、スキャン中に、1または数ビュー毎に、あるいは、回転部7が1回転する毎に取得し、逐次、その投影データを基に電源115を制御する。
図4は、焦点fの位置PfとX線吸収体123の投影位置Ppとの幾何学的な関係を示す図である。焦点fが目標位置Pftに位置するときには、X線吸収体123のX線ビームXbによるX線検出器131上の投影位置Ppは、X線検出器131上の目標投影位置Pptに一致する。一方、焦点fが目標位置Pftから所定方向に所定量ずれた位置Pfaに位置するときには、その投影位置Ppも目標投影位置Pptから逆方向にずれた位置Ppaに移動する。このように、焦点fの位置PfとX線吸収体123の投影位置Ppとは相関関係を有しており、投影位置Ppを特定することで焦点fの位置Pfを特定することができる。なお、この投影位置Ppは、例えば、投影データを基に、X線検出器131のうちX線吸収体123が投影され得る所定領域内のX線強度の分布を求め、その所定領域内におけるX線強度の負側の重心位置として特定することができる。
本実施形態では、焦点制御部102は、実測投影位置Ppmと目標投影位置Pptとの差分ΔPpを基に、焦点fの位置Pfを制御する。実測投影位置Ppmとは、データ収集部14から取得した投影データUを基に特定される、X線吸収体123のX線検出器131上の投影位置Ppである。目標投影位置Pptとは、焦点fが目標位置Pftに位置するときのX線吸収体123の投影位置Ppである。
差分ΔPpを基に焦点fの位置Pfを制御する方法としては、例えば、電場E1,E2と焦点fの位置Pfとの関係を基に、差分ΔPpを打ち消すような電場、あるいは差分ΔPpを小さくするような電場を求め、その電場が形成されるよう電源115の出力を調整する方法が考えられる。なお、差分ΔPpを打ち消すような電場を形成する場合には、焦点fの制御を、スキャン開始前に単発的に実行してもよいし、スキャン中に繰返し実行してもよい。また、差分ΔPpを小さくするような電場を形成する場合には、主にスキャン中に繰返し実行する。この場合、焦点fを1回に移動させる距離は、一定でもよいし、差分ΔPpが大きいほど大きくなるよう変化させてもよい。
なお、偏向用電極部114および電源115は、本発明における電子線偏向手段の一例である。また、焦点制御部102は、本発明における制御手段の一例である。
これより、X線CT装置100で被検体をスキャンするときの処理の流れについて説明する。
図5は、第1の実施形態におけるX線CT装置100で被検体20をスキャンするときの処理の流れを示すフローチャート(flowchart)である。
ステップ(step)S11では、スキャン条件を設定する。すなわち、操作者が、被検体20をスキャンするときのスキャン領域、回転速度、管電圧、管電流等を規定するスキャンパラメータ(scan-parameter)を、操作コンソール1の入力装置2を介して設定する。
ステップS12では、スキャンを開始する。すなわち、中央処理装置3が、設定したスキャン条件をX線コントローラ10、回転コントローラ15、および撮影テーブル8に送り、X線の制御、回転の制御、および撮影テーブルの移動制御を行わせる。これにより、走査ガントリ9の回転部7が所定の速度で回転し、設定したスキャン領域に、設定した管電圧および管電流でX線が照射される。
スキャン開始後は、投影データ収集処理(ステップS13)と焦点制御処理(ステップS14)とを並行して実施する。ステップ13では、データ収集部14が、X線検出器131の出力信号を基に、設定されたスキャン範囲の投影データUをビュー(view)毎に収集する。投影データUは、データ収集バッファ5に送られる。
ここで、第1の実施形態における焦点制御処理について詳しく説明する。
図6は、第1の実施形態における焦点制御処理(S14)の一例を示すフローチャートである。
ステップS141では、投影データUを取得する。より具体的には、X線コントローラ10の焦点制御部102が、データ収集部14で収集した時間的に直近の投影データUを1ビュー分、または複数ビュー分取得する。
ステップS142では、X線吸収体123の実測投影位置Ppmを特定する。より具体的には、焦点制御部102が、取得した投影データUを基に、その時点におけるX線吸収体123のX線検出器131上での投影位置Ppを実測投影位置Ppmとして求める。取得した投影データが複数ビュー分ある場合には、その複数の投影データを基に、X線検出器131のうちX線吸収体123が投影され得る所定領域内のX線強度の分布を平均化して求め、その分布上におけるX線強度の負側の重心位置として特定する。
ステップS143では、目標投影位置Pptと実測投影位置Ppmとの差分ΔPpを算出する。より具体的には、焦点制御部102が、目標投影位置Pptと実測投影位置Ppmとの間で座標成分ごとに減算処理をして差分ΔPpを得る。なお、目標投影位置Pptの座標情報は、焦点制御部102に予め記憶させておいてもよいし、操作コンソール1から事前に読み込んで取得するようにしてもよい。
ステップS144では、差分ΔPpを打ち消すよう、あるいは小さくするよう、偏向用電極部114の電圧条件を調整する。より具体的には、焦点制御部102が、差分ΔPpを打ち消すような、あるいは差分ΔPpを小さくするような電場E1,E2を求める。そして、その電場を形成するための偏向用電極部114の電圧条件を特定し、そのような電圧条件が設定されるよう電源115を制御して、その出力を調整する。
ステップS145では、焦点制御部102が、投影データ収集処理が完了したか否か、すなわち、収集すべき投影データが全て収集できたか否かを判定する。投影データ収集処理が完了したと判定された場合には、焦点制御処理を終了する。投影データ収集処理が完了していないと判定された場合には、ステップS141に戻って焦点fの位置の制御を続行する。なお、ステップS141〜S145の繰返しのサイクルは、幅広く設定可能であり、例えば、1から数ビュー相当であってもよいし、回転部7の1回転相当であってもよい。
このように、第1の実施形態によれば、X線管111の電子線eを互いに異なる複数の方向に偏向して、X線管111の焦点fを任意の方向へ移動可能にしているので、X線管111の焦点fの位置を高い自由度で高分解能に調整することが可能となる。これにより、X線管111の蓄熱以外の要因による焦点fの位置のずれの補正にも対応することができ、再構成画像の画質を改善することができる。
また、第1の実施形態では、X線ビームXbの射出領域内におけるX線検出器131に対する一定位置に配置されるX線吸収体123を有し、焦点制御部102は、X線検出器131から得られる、X線吸収体123のX線ビームXbによる投影データUに基づいて、焦点fの位置を制御している。X線検出器131における隣接する2つの検出素子の出力比に基づいて焦点fの位置を制御する従来の方法であれば、X線ビームXbの位置が検出素子2つ分以上ずれたときには対応できず、かつ、検出できるずれ方向が一方向に限定される。一方、本実施形態による方法、すなわちX線吸収体123の投影データUに基づいて焦点fの位置を制御する方法では、X線ビームXbのずれの方向および大きさに関係なく、焦点fの位置を特定して制御することができる。
また、第1の実施形態では、焦点制御部102は、投影データUによって特定される焦点fの位置Pfと目標位置Pftとの差分が小さくなるよう、焦点fの位置Pfを制御している。焦点fの位置Pfは、X線吸収体123の投影位置Ppと相関を有するが、この投影位置Ppは、例えば、投影データUを基にX線検出器131におけるX線強度の分布を求め、その分布の重心から高い分解能で特定することができる。すなわち、焦点fの位置の制御を高い分解能で行うことが可能となる。なお、隣接する2つの検出素子の出力比から焦点fの位置を特定する従来の方法では、検出素子の数が限定されるため、焦点fの位置の制御における分解能を上げることができない。
また、第1の実施形態では、焦点制御部102は、スキャン中に、焦点fの位置を制御している。これにより、スキャン中、すなわちX線管111が被検体20の回りを回転している最中に、走査ガントリ9の筐体の歪み等によってX線管123のX線検出器131に対する位置がずれ、焦点fの位置がずれた場合にも、これに追従して補正することができる。また、X線管111からX線ビームXbを被検体20に照射している最中に、X線管111の蓄熱によって焦点fの位置がずれた場合にも、これに追従して補正することができる。
また、第1の実施形態では、X線吸収体123は、X線ビームXbによりX線検出器131のチャネル方向の端部近傍に投影されるような位置に配置されている。これにより、被検体20の撮影に支障をきたさず、略リアルタイムでX線吸収体123の投影位置Ppを特定できる。
また、第1の実施形態では、X線吸収体123は、X線ビームXbを整形するアパーチャの近傍に設けられている。これにより、焦点fの移動が、X線吸収体123の投影位置Ppに大きく拡大されて反映されるので、高い分解能で焦点fの位置の制御が可能となる。また、既存のアパーチャを支持する支持部材と連結してX線吸収体123を支持できるので、X線吸収体123の設置のための改良が最小限ですむ。
また、第1の実施形態では、X線吸収体123は、球形である。これにより、投影方向が変化しても、投影像の形状がほとんど変化しないため、投影位置Ppを高い精度で特定することができる。
また、第1の実施形態では、X線検出器131は、複数の検出素子132をチャネル方向iに配設して成る検出器列をスライス方向jに4以上有する多列検出器である。隣接する2つの検出素子の出力比に基づいて焦点fの位置を制御している従来の方法は、4列以上の多列検出器では使用できない。本実施形態の方法なら対応可能である。
(第2の実施形態)
第2の実施形態よるX線CT装置は、焦点移動予測データを用いてX線管111の焦点fの位置Pfを制御する。X線管111の焦点fは、走査ガントリ9の剛性との関係で、回転部7の回転速度や回転位置等に応じて移動する場合がある。焦点移動予測データとは、焦点が回転部7の回転位置に応じてどのように移動するかを予測したデータであり、実際に回転部7を回転させ、焦点fの位置Pfの時間変化を記録することにより得られる。予測される焦点fの移動は、通常、スキャン条件によって異なる。ここでは、代表的な幾つかのスキャン条件について、それぞれ焦点移動予測データを用意し、操作コンソール1が記憶しているものとする。なお、焦点移動予測データは、いずれもX線管111がコールド(cold)状態であるときのものである。
図7は、第2の実施形態におけるX線CT装置100で被検体20をスキャンするときの処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS21では、ステップS11と同様に、スキャン条件を設定する。
ステップS22では、焦点移動予測データを読み出す。より具体的には、焦点制御部102が、代表的な複数のスキャン条件の中から、上記の設定されたスキャン条件に最も近いスキャン条件を特定し、そのスキャン条件に対応する焦点移動予測データを操作コンソール1から読み出す。
ステップS23では、読み出した焦点移動予測データを基に、予測される焦点fの移動を打ち消すような偏向用電極部114の電圧条件の時間的な変化のパターンを特定し、実際に変化させる電圧条件変化パターン(pattern)として設定する。
ステップS24では、ステップS12と同様に、スキャンを開始する。
スキャン開始後は、投影データ収集処理(ステップS25)と焦点制御処理(ステップS26)とを並行して実施する。ステップ25では、データ収集部14が、X線検出器131の出力信号を基に、設定されたスキャン範囲の投影データUをビュー毎に収集する。投影データUは、データ収集バッファ5に送られる。
ここで、第2の実施形態における焦点制御処理について詳しく説明する。
図8は、第2の実施形態における焦点制御処理(S26)の第1例を示すフローチャートである。
ステップS261では、回転部7の回転のタイミング(timing)に合わせて、電圧条件変化パターンに従って偏向用電極部114の電圧条件を変化させる処理を開始する。
ステップS262では、データ収集部14から投影データUを取得する。
ステップS263では、取得した投影データUを基に、X線吸収体123の実測投影位置Ppmを特定する。
ステップS264では、目標投影位置Pptと実測投影位置Ppmとの差分ΔPpを算出する。
ステップS265では、差分ΔPpを打ち消すよう、あるいは小さくするよう、偏向用電極部114の電圧条件を調整する。
ステップS266では、投影データ収集処理が完了したか否かを判定する。投影データ収集処理が完了したと判定された場合には、焦点制御処理を終了する。投影データ収集処理が完了していないと判定された場合には、ステップS262に戻って焦点fの位置の制御を続行する。なお、ステップS262〜S266の繰返しのサイクルは、幅広く設定可能であり、例えば、1から数ビュー相当であってもよいし、回転部7の1回転相当であってもよい。
図9は、第2の実施形態における焦点制御処理(S26)の第2例を示すフローチャートである。なお、ここでは、X線管111は、X線管温度Tを測定するための不図示の温度センサ(sensor)を有しており、焦点制御部102は、この温度センサの出力をモニタできるものとする。
ステップS261′では、回転部7の回転のタイミングに合わせて、電圧条件変化パターンに従って偏向用電極部114の電圧条件を変化させる処理を開始する。
ステップS262′では、X線管111の温度センサの出力情報を取得する。
ステップS263′では、取得した温度センサの出力情報を基に、X線管温度を特定する。
ステップS264′では、上記の特定したX線管温度を基に、回転陽極112の熱膨張による焦点fの移動分を見積もり、目標投影位置Pptと実測投影位置Ppmとの差分ΔPpを推定する。
ステップS265′では、差分ΔPpを打ち消すよう、あるいは小さくするよう、偏向用電極部114の電圧条件を調整する。
ステップS266′では、投影データ収集処理が完了したか否かを判定する。投影データ収集処理が完了したと判定された場合には、焦点制御処理を終了する。投影データ収集処理が完了していないと判定された場合には、ステップS262′に戻って焦点fの位置の制御を続行する。
このように、第2の実施形態では、焦点移動予測データに基づいて、予測される焦点の移動が打ち消されるよう、焦点の位置を制御している。これにより、スキャン中に、走査ガントリの筐体や回転部の基台の歪み等によってX線管のX線検出器に対する位置がずれて焦点の位置がずれる場合に、フィードバック(feedback)の応答速度より速い焦点の移動や、フィードバックで追従できないほどの大幅な焦点の移動があっても、これに追従して補正することができる。
また、スキャン中に、X線吸収体123の目標投影位置Pptと実測投影位置Ppmとの差分ΔPpを基にして、焦点fの位置Pfのずれを補正しているので、X線管111の蓄熱によって回転陽極112が熱膨張しても、これによる焦点fのずれを補正することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態よるX線CT装置は、偏向用電極部114の電圧条件とX線吸収体123の投影位置Ppとの関係を事前に求め、この関係を参照して焦点fの位置Pfを制御する。
図10は、第3の実施形態におけるX線CT装置100で被検体20をスキャンするときの処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS31では、偏向用電極部114の電圧条件とX線吸収体123の投影位置との関係を測定する。より具体的には、X線管制御部101が、X線管111を制御して、X線ビームXbをX線検出器131に向けて射出させる。この状態において、焦点制御部102が、電源115を制御して、偏向用電極部114における電圧V1および電圧V2を変化させながら、投影データUを取得し、偏向用電極部114の印加電圧とX線吸収体123の投影位置Ppとの関係を求める。例えば、図11に示すような、電圧V1(ここでは、電極114aの電位に対する電極114bの電位)と、投影位置Ppのx座標との関係や、図12に示すような、電圧V2(ここでは、電極114cの電位に対する電極114dの電位)と、投影位置Ppのz座標との関係を求める。このステップは、例えば、X線管111の交換時、定期的に行われるキャリブレーション(calibration)時に実行することができる。
ステップS32では、ステップS31で求めた偏向用電極部114の電圧条件とX線吸収体123の投影位置Ppとの関係を参照して、X線吸収体123が目標投影位置Pptに投影されるときの偏向用電極部114の電圧条件を目標電圧条件に設定する。
ステップS33では、ステップS11と同様に、スキャン条件を設定する。
ステップS34では、ステップS12と同様に、スキャンを開始する。
スキャン開始後は、投影データ収集処理(ステップS35)と焦点制御処理(ステップS36)とを並行して実施する。ステップ35では、データ収集部14が、X線検出器131の出力信号を基に、設定されたスキャン範囲の投影データUをビュー毎に収集する。投影データUは、データ収集バッファ5に送られる。
ここで、第3の実施形態における焦点制御処理について詳しく説明する。
図13は、第3の実施形態における焦点制御処理(S36)の第1例を示すフローチャートである。
ステップS361では、目標電圧条件に従って偏向用電極部114の電圧条件を調整する。
ステップS362では、データ収集部14から投影データUを取得する。
ステップS363では、取得した投影データUを基に、X線吸収体123の実測投影位置Ppmを特定する。
ステップS364では、目標投影位置Pptと実測投影位置Ppmとの差分ΔPpを算出する。
ステップS365では、差分ΔPpを打ち消すよう、あるいは小さくするよう、偏向用電極部114の電圧条件を調整する。
ステップS366では、投影データ収集処理が完了したか否かを判定する。投影データ収集処理が完了したと判定された場合には、焦点制御処理を終了する。投影データ収集処理が完了していないと判定された場合には、ステップS362に戻って焦点fの位置の制御を続行する。なお、ステップS362〜S366の繰返しのサイクルは、幅広く設定可能であり、例えば、1から数ビュー相当であってもよいし、回転部7の1回転相当であってもよい。
図14は、第3の実施形態における焦点制御処理(S36)の第2例を示すフローチャートである。なお、ここでは、X線管111は、X線管温度Tを測定するための不図示の温度センサを有しており、焦点制御部102は、この温度センサの出力をモニタできるものとする。
ステップS361′では、目標電圧条件に従って偏向用電極部114の電圧条件を調整する。
ステップS362′では、X線管111の温度センサの出力情報を取得する。
ステップS363′では、取得した温度センサの出力情報を基に、X線管温度を特定する。
ステップS364′では、上記の特定したX線管温度を基に、回転陽極112の熱膨張による焦点fの移動分を見積もり、目標投影位置Pptと実測投影位置Ppmとの差分ΔPpを推定する。
ステップS365′では、差分ΔPpを打ち消すよう、あるいは小さくするよう、偏向用電極部114の電圧条件を調整する。
ステップS366′では、投影データ収集処理が完了したか否かを判定する。投影データ収集処理が完了したと判定された場合には、焦点制御処理を終了する。投影データ収集処理が完了していないと判定された場合には、ステップS362′に戻って焦点fの位置の制御を続行する。
このように、第3の実施形態では、電子線を偏向する電場の変化と焦点の位置の変化との関係を表す情報を参照して、形成すべき電場の状態を特定している。これにより、フィードバック制御等の複雑な制御なしに、焦点の位置のずれを補正することができる。なお、フィードバック制御を行う場合でも、電子線eを偏向する電場の変化と焦点の位置の変化との関係を表す情報を参照することで、補正すべき量を的確に把握することができるので、より速い応答速度で制御できる可能性がある。
また、スキャン中に、X線吸収体123の目標投影位置Pptと実測投影位置Ppmとの差分ΔPpを基にして、焦点fの位置Pfのずれを補正しているので、X線管111の蓄熱によって回転陽極112が熱膨張しても、これによる焦点fのずれを補正することができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態よるX線CT装置は、単焦点用のX線管111の代わりに、複数焦点用のX線管111′を備えている。
図15は、第4の実施形態によるX線管111′の内部の概略構成を示す図である。X線管111′は、図15に示すように、第1の実施形態と同様、偏向用電極部114を有しているが、X線管111と異なり、第1の電子銃115と第2の電子銃116という2つの電子銃を有している。第1の電子銃115は大焦点用であり、第2の電子銃116は小焦点用である。スキャンするときは、これら2つの電子銃のうちいずれか一方が必要に応じて選択され使用される。第1の電子銃115と第2の電子銃116とは、当然、異なる位置に配置されている。
電場E1,E2が形成されない状態では、第1の電子銃115から射出される電子線e1は、略直線となる第1の経路P1を通って回転陽極112に衝突し、第1の焦点f1を形成する。一方、第2の電子銃116から射出される電子線e2は、略直線となる第2の経路P2を通って回転陽極112に衝突し、第1の焦点f1とは異なる位置に第2の焦点f2を形成する。このように電子線を偏向しない場合には、通常、第1の焦点f1と第2の焦点f2とは位置が一致することはなく、これら両方の焦点を目標位置Pftに同時に位置合せすることはできない。なお、一般的には、大焦点と小焦点における焦点の位置のずれが、ほぼ同じ程度になるよう、中間的な位置に焦点の位置の位置合せしたりする。
そこで、ここでは、第1の電子銃115および第2の電子銃116の少なくとも一方を使用する際に、偏向用電極部114に電圧V1,V2を印加して電場E1,E2を形成し、電子線e1あるいはe2を偏向して焦点f1あるいはf2を目標位置Pftに移動させる。例えば、電子線を偏向しない状態、すなわち電場E1,E2を形成しない状態において、第1の電子銃115から射出された電子線e1による第1の焦点f1の位置が目標位置Pftに一致するよう位置合せしたものとする。この場合、第2の電子銃116を使用する際には、偏向用電極部114に電圧V1,V2を印加して電場E1,E2を形成し、電子線e2を偏向する。そして、図15に示すように、電子線e2を第3の経路P3に導き、第2の焦点f2を目標位置Pftに移動させる。
このように、第4の実施形態によれば、X線管を、大焦点用や小焦点用など切換え可能な複数の電子銃を有するX線管とし、これら電子銃から射出される電子線の少なくとも一方を2次元方向で偏向して、X線管の焦点を任意の方向に移動させることを可能にしているので、複数の電子銃のうちいずれの電子銃を使用する場合においても、その焦点を目標位置に一致させることができ、電子銃の切換えによる利益を確保しつつ、使用する電子銃によらず再構成画像の画質を改善することができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態よるX線CT装置は、コリメータフィルタのないX線検出部13の代わりに、コリメータフィルタ付きのX線検出部13′を備えている。
図16は、第5の実施形態によるX線検出部13′の構成を示す図である。X線検出部13′は、図16に示すように、第1の実施形態と同様、X線検出器131を有しているが、さらにコリメータフィルタ133を有している。コリメータフィルタ133は、チャネル方向に延びる複数のフィルタ用コリメータ134と、スライス方向に延びる複数のフィルタ用コリメータ135とが、X線検出器131上で個々の検出素子132を区分するように格子状に組み合わされて成る2次元コリメータフィルタである。コリメータフィルタ133を構成するチャネル方向のフィルタ用コリメータ134とスライス方向のフィルタ用コリメータ135とは、X線検出器131に対する焦点fの位置Pfが所定の目標位置Pftにあるときに、その壁面がX線ビームXbの射出方向と平行になるよう、高い精度で位置合せして設置される。コリメータフィルタ135の主な機能は、散乱線の除去である。
図17は、焦点の位置と検出素子に入射するX線ビームXbとの幾何学的な関係を示す図である。なお、図17では、焦点fおよび検出素子132を含む空間をz方向に見たときの図である。焦点fが目標位置Pftに位置するときには、X線ビームXbの射出方向とコリメータフィルタ133の壁面とが平行になるため、X線ビームXbは検出素子132の検出面全体に入射する。これをz方向で見ると、図17に示すように、X線ビームXbは、検出素子132の検出面のチャネル方向における幅に相当する幅Dtの範囲に入射することが分かる。一方、焦点fが目標位置Pftから例えばx方向に微小距離Δxだけずれた位置Pfbに位置するときには、X線ビームXbの一部がコリメータフィルタ133の壁面で遮られる。これを、z方向に見ると、X線ビームXbの一部は、スライス方向jに延びるフィルタ用コリメータ135の壁面に遮られ、X線ビームXbは、幅Dtより小さい幅Dbにだけ入射することが分かる。つまり、焦点fが目標位置Pftから僅かでもずれると、検出素子132が取り込めるX線の線量が減少するため、X線検出器131全体における検出感度が鈍くなり、再構成画像にノイズとなって現れる。近年、X線検出器の高分解能化に伴い、検出素子のサイズは益々小さくなってきており、この問題は深刻化している。
このように、コリメータフィルタを設けたX線検出器を用いるX線CT装置では、散乱線除去による再構成画像の画質改善が期待できる半面、X線管の焦点の位置が目標位置から僅かでもずれると、X線ビームの一部がコリメータフィルタで遮られ、X線の検出効率が低下し、再構成画像の画質が悪くなるという特徴を有する。特に、コリメータフィルタが、チャネル方向とスライス方向の両方のフィルタ用コリメータで構成される2次元コリメータフィルタの場合には、その影響が顕著になる。
したがって、第5の実施形態によれば、X線検出器を、コリメータフィルタ付きのX線検出器とし、X線管の電子銃から射出される電子線を2次元方向で偏向して、焦点を任意の方向に移動させることを可能にしているので、コリメータフィルタによる散乱線の除去を可能にしつつ、コリメータフィルタの弱点であった、焦点の位置ずれによるX線の検出効率低下を抑制することができ、再構成画像の画質を改善することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、電子線の偏向に電場を用いているが、磁場を用いるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、電子線をy方向に偏向するための電場E1と、電子線をx方向に偏向するための電場E2とを、それぞれ別の空間で形成しているが、同一空間にて形成するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、焦点fの位置Pfの補正をスキャン中に繰り返しているが、スキャン前に1度だけ行うようにしてもよい。
また、上記実施形態では、X線吸収体123の実測投影位置Ppmを基に、焦点fの位置を制御しているが、実測投影位置Ppmから焦点fの位置Pfをその相関関係から導出して、その焦点fの位置Pfを制御するようにしてもよい。
また、上記第4の実施形態では、2つの電子銃を有するX線管を用いているが、当然、3つ以上の電子銃を有するX線管を用いてもよい。
第1の実施形態によるX線CT装置の構成を示すブロック図である。 回転部の要部を示す図である。 第1の実施形態によるX線管の内部の概略構成を示す図である。 焦点の位置とX線吸収体の投影位置との幾何学的な関係を示す図である。 第1の実施形態におけるX線CT装置で被検体をスキャンするときの処理の流れを示すフローチャートである。 第1の実施形態における焦点制御処理の一例を示すフローチャートである。 第2の実施形態におけるX線CT装置で被検体をスキャンするときの処理の流れを示すフローチャートである。 第2の実施形態における焦点制御処理の第1例を示すフローチャートである。 第2の実施形態における焦点制御処理の第2例を示すフローチャートである。 第3の実施形態におけるX線CT装置で被検体をスキャンするときの処理の流れを示すフローチャートである。 電圧とX線吸収体の投影位置のx方向における座標との関係の一例を示す図である。 電圧とX線吸収体の投影位置のz方向における座標との関係の一例を示す図である。 第3の実施形態における焦点制御処理の第1例を示すフローチャートである。 第3の実施形態における焦点制御処理の第2例を示すフローチャートである。 第4の実施形態によるX線管の内部の概略構成を示す図である。 第5の実施形態によるX線検出部の構成を示す図である。 焦点の位置と検出素子に入射するX線ビームとの幾何学的な関係を示す図である。
符号の説明
1 操作コンソール
2 入力装置
3 中央処理装置
4 制御インタフェース
5 データ収集バッファ
6 モニタ
7 回転部
8 撮影テーブル
9 走査ガントリ
10 X線コントローラ
11 X線発生部
12 アパーチャ部
13 X線検出部
14 データ収集部
15 回転コントローラ
20 被検体
100 X線CT装置
101 X線管制御部
102 焦点制御部
111 X線管
112 回転陽極
113,115,116 電子銃
114 偏向用電極部
114a〜114d 電極
121a〜121d アパーチャ用コリメータ
122 X線吸収体支持部材
123 X線吸収体
131 X線検出器
132 検出素子
133 コリメータフィルタ
134 チャネル方向のフィルタ用コリメータ
135 スライス方向のフィルタ用コリメータ
Xb X線ビーム
e,e1,e2 電子線
f 焦点
E1,E2 電場

Claims (13)

  1. 電子線の電極との衝突により形成される焦点からX線ビームを射出するX線管と、前記X線管と対向して配置されており、前記X線ビームを検出するX線検出器とを備えたX線CT装置において、

    電磁場を用いて前記電子線を複数の方向に偏向して、前記焦点を任意の方向へ移動させることが可能な電子線偏向手段と、
    前記X線検出器に対する前記焦点の位置が目標位置に近づくよう、前記電子線偏向手段を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記X線ビームが通過する位置であって、前記X線検出器に対して一定である位置に配置されるX線吸収体の前記X線検出器から得られる投影データに基づいて、前記電子線偏向手段を制御するX線CT装置。
  2. 前記制御手段は、前記投影データによって特定される前記焦点の実測位置と前記目標位置との差分が小さくなるよう、前記電子線偏向手段を制御する請求項1に記載のX線CT装置。
  3. 前記制御手段は、スキャン中に、前記電子線偏向手段を制御する請求項2に記載のX線CT装置。
  4. 前記制御手段は、焦点移動予測データに基づいて、予測される前記焦点の移動が打ち消されるよう、前記電子線偏向手段を制御する請求項3に記載のX線CT装置。
  5. 前記制御手段は、前記電磁場の変化と前記焦点の位置の変化との関係を表す情報を参照して、形成すべき電磁場を決定する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のX線CT装置。
  6. 前記X線吸収体は、前記X線ビームにより前記X線検出器のチャネル方向の端部近傍に投影されるような位置に配置される請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のX線CT装置。
  7. 前記X線吸収体は、前記X線ビームを整形するアパーチャの近傍に設けられる請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のX線CT装置。
  8. 前記X線吸収体は、球形である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のX線CT装置。
  9. 前記制御手段は、前記X線検出器に対する前記焦点の位置が、前記X線ビームの中心と前記X線検出器の中心とが一致するような目標位置に近づくよう、前記電子線偏向手段を制御する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のX線CT装置。
  10. 前記電子線偏向手段は、前記電子線を前記電子線に垂直な第1の方向に偏向するための電場または磁場を形成する第1の電磁場形成手段と、前記電子線を前記第1の方向とは異なる第2の方向に偏向するための電場または磁場を形成する第2の電磁場形成手段とを有し、

    前記制御手段は、前記第1および第2の電磁場形成手段を制御して前記電場または磁場の大きさを制御する請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のX線CT装置。
  11. 前記X線管は、複数の電子銃を有する請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のX線CT装置。
  12. 前記X線検出器は、複数の検出素子をチャネル方向に配設して成る検出器列をスライス方向に4以上有する多列検出器である請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のX線CT装置。
  13. チャネル方向に延びる複数のコリメータと、スライス方向に延びる複数のコリメータとが、前記X線検出器上で前記検出素子を区分するように格子状に組み合わされて成るコリメータフィルタをさらに備える請求項12に記載のX線CT装置。
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