JP5501336B2 - 容器詰発泡飲料 - Google Patents

容器詰発泡飲料

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Description

本発明は、容器詰発泡飲料に関する。
炭酸飲料は、飲用中及び飲用後において、口腔内の刺激や喉通過時の刺激感(喉越し)により、爽快感や清涼感を醸成する嗜好性の高い飲料である。炭酸飲料には香味を付与するために酸味料や甘味料が配合されることがあるが、このような炭酸飲料を特に汗をかいたときなど水分を欲するときに飲用すると、酸味により喉に強い刺激が感じられてゴクゴク飲み難く、また甘味により喉に引っかかる感覚や後味に嫌な感覚が残りやすく喉の渇きが収まり難い。
また、サポニンを添加することにより、ビールのような泡立ちと泡の持続性を付与した技術が提案されている(特許文献1)。一方、サポニンは苦味を有するため、風味低下を改善するべくサポニンとオリゴ糖を組み合わせる技術があるが(特許文献2)、泡の持続性が不十分であった。そこで、例えば、平均分子量20000以下のコラーゲンペプチドとサポニンを含有する発泡性飲料が提案されている(特許文献3)。
特開昭60−126065号公報 特開平5−38275号公報 特開2009−247237号公報
しかしながら、前記発泡性飲料は泡立ちや泡持ちが改善されているものの、汗をかいたときの喉越しが不十分で、しかも喉の渇きが収まり難く、水分を欲するときに飲む止渇飲料として必ずしも適していなかった。
したがって、本発明の課題は、喉越しが良好でかつ酸味感が緩和されていることにより、汗をかいて水分を欲するときに飲む止渇飲料として有用な容器詰発泡飲料を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み種々検討した結果、発泡飲料において、植物材料由来のたんぱく質を含有させ、かつ当該たんぱく質に占める特定のペプチドの割合、当該ペプチドと特定成分との質量比、及びpHを特定範囲内に制御することで、酸味感が緩和され、汗をかいたときでも喉越しが良好であり、汗をかいて水分を欲するときに飲む止渇飲料として適した容器詰発泡飲料が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)穀物由来たんぱく質
(B)カリウム、及び
(C)起泡剤
を含有し、成分(A)に占める(D)分子量5000以下のペプチドの割合が70〜100質量%であり、成分(D)と成分(B)との含有質量比[(D)/(B)]が15〜300であり、pHが3〜5である容器詰発泡飲料を提供するものである。
本発明によれば、喉越しが良好でかつ酸味感が緩和されていることにより、汗をかいて水分を欲するときに飲む止渇飲料として有用な容器詰発泡飲料を提供することができる。
本発明の容器詰発泡飲料は、成分(A)として穀物由来のたんぱく質を含有する。
本発明で使用する(A)穀物由来たんぱく質は、当該たんぱく質中に(D)分子量5000以下のペプチドを70〜100質量%含有するものであるが、酸味感の緩和及び喉越し改善の点から、下限は71質量%、更に72質量%、更に73質量%、更に75質量%、更に76質量%、更に77質量%、更に80質量%が好ましく、他方上限は97質量%、95質量%、更に92質量%、更に90質量%、更に87質量%、更に86質量%が好ましい。かかる(A)穀物由来たんぱく質中の(D)分子量5000以下のペプチドの割合の範囲としては、70〜90質量%、更に71〜87質量%、更に72〜86質量%、殊更に76〜86質量%が好ましい。なお、ペプチド含有量の測定方法は、後掲の実施例に記載の方法にしたがうものとする。
このような(A)穀物由来たんぱく質は、たんぱく質を含有する穀物から抽出して得ることができる。
(A)穀物由来たんぱく質の原料となる穀物としては、たんぱく質を含有するものであれば特に限定されないが、酸味感の緩和及び喉越しの観点から、麦、米、コーン(とうもろこし)、豆、ゴマが好ましく、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
麦としては、例えば、大麦、小麦、ハト麦が挙げられ、米としては、例えば、玄米が挙げられる。また、豆としては、例えば、大豆、黒豆、小豆、緑豆、エンドウ、インゲンが挙げられ、ゴマとしては、例えば、黒ゴマ、白ゴマ、金ゴマが挙げられる。中でも、麦、豆が好ましい。
(A)穀物由来たんぱく質の原料となる穀物からの抽出方法としては、攪拌抽出、カラム抽出等の公知の方法を採用することが可能であり、抽出条件も穀物の種類により適宜設定することできる。(A)穀物由来たんぱく質の形態としては、固体、水溶液、スラリー状等の種々のものがある。
また、本発明においては、抽出により得られた穀物抽出物を、必要により酵素や酸を用いて分解してもよいし、必要により、たんぱく質に占める上記分子量のペプチドの割合が上記範囲内となるように穀物抽出物を精製しても構わない。
なお、本明細書において「たんぱく質」とは、後述する「窒素定量換算法」により定量される物質から、遊離アミノ酸のみを除いたものをいう。換言すれば、本明細書における「たんぱく質」とは、技術常識でいうところのアミノ酸により構成された高分子含窒素化合物のみならず、ジペプチドまでをも含み、かつ遊離アミノ酸のみを含まない概念である。
本発明においては、(A)穀物由来たんぱく質として、麦芽由来のたんぱく質を用いてもよい。麦芽由来のたんぱく質としては、例えば、麦芽抽出物を挙げることができる。麦芽抽出物とは、麦芽を糖化させて得られた液であり、具体的には、大麦等の麦類に水を加えて発芽させ、乾燥したもの(麦芽又はモルトともいう)に、温水を加えて常法で処理して麦芽に含まれる酵素の働きでデンプン質を分解(糖化)し、圧搾又は抽出して得られるものである。このような非発酵の麦芽抽出物の具体例として、麦汁が挙げられる。また、麦芽抽出物として、麦芽を糖化後に酵母を接種して発酵させたものを使用することも可能である。中でも、麦芽抽出物としては、非発酵麦芽の抽出物が好ましい。
また、(A)穀物由来たんぱく質として、大豆由来たんぱく質を用いてもよい。例えば、市販品の大豆由来たんぱく質としてハイニュートAM、ハイニュートDC6、ハイニュートDH(以上、不二精油社製)等を挙げることができる。本発明のpH領域においてはハイニュートAMがより好ましい。大豆由来たんぱく質としては、当該たんぱく質中の(D)分子量5000以下のペプチドの割合が高いものが好ましく、具体的には、大豆由来たんぱく質中の(D)分子量5000以下のペプチドの割合が73〜90質量%、更に75〜87質量%、更に78〜86質量%、殊更に80〜86質量%であることが好ましい。
本発明においては、(A)穀物由来たんぱく質として、(A1)麦芽由来のたんぱく質と、(A2)麦芽以外の穀物由来のたんぱく質を含有することが好ましく、(A2)麦芽以外の穀物由来のたんぱく質としては、大豆由来たんぱく質が好ましい。その場合、容器詰発泡飲料中の成分(A1)と(A2)との質量比[(A1)/(A2)]は、固形分換算として0.5〜100、更に0.8〜50、更に0.9〜20、殊更に1〜14が好ましい。
また、本発明の容器詰発泡飲料は、酸味感の緩和及び喉越しの点から、成分(D)を飲料100g中に100〜3000mg、更に150〜2000mg、更に200〜1500mg含有することが好ましい。
本発明の容器詰発泡飲料は、成分(B)としてカリウムを含有する。(B)カリウムは、主に(A)穀物由来たんぱく質に由来するものであるが、新たに加えられたものでもよい。
本発明の容器詰発泡飲料中の(B)カリウムの含有量は、酸味感の緩和及び喉越しの観点から、飲料100g中に5mg以上、更に7mg以上、更に9mg以上であることが好ましく、他方上限は飲料100g中に40mg、更に30mg、更に20mg、更に15mgであることが好ましい。かかる(B)カリウムの含有量の範囲としては、5〜40mg、更に5〜30mg、更に7〜30mg、更に9〜20mg、殊更に9〜15mgが好ましい。なお、カリウム含有量の測定方法は、後掲の実施例に記載の方法にしたがうものとする。
本発明の容器詰発泡飲料中の(D)分子量5000以下のペプチドと(B)カリウムとの質量比[(D)/(B)]は15〜300であるが、酸味感の緩和、喉越し及び清涼感の点から、下限は18、更に20、更に44、更に50、更に60が好ましく、他方上限は250、更に230、更に215、更に200が好ましい。かかる質量比[(D)/(B)]の範囲としては、18〜250、更に20〜230、更に44〜230、更に50〜215、殊更に60〜200が好ましい。
本発明の容器詰発泡飲料は、成分(C)として起泡剤を含有する。
(C)起泡剤としては泡立ちを付与できるものであれば特に限定されないが、例えば、炭酸ガス、サポニン、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、泡の安定性やキメの細かさの点から、炭酸ガス、サポニンが好ましい。なお、サポニンとしては、トリテルペンやステロイドに糖が結合した配糖体であれば特に限定されないが、例えば、バラ科キラヤ(Quillaja saponaria MOLINA)の樹皮より抽出されたキラヤサポニンが好ましい。キラヤサポニンは、商業的に入手することが可能であり、例えば、キラヤニンC−100(商品名、丸善製薬株式会社製)が挙げられる。
起泡剤として炭酸ガスを使用する場合、圧入する炭酸ガスは、キメの細かい均質な泡の形成の観点から、ガス容量比で0.5〜4、更に1〜3.5、更に2〜3であることが好ましい。ここで、本明細書において「ガス容量比(ガスボリューム)」とは、飲料中に溶解している炭酸ガスの20℃における気体容量の飲料容量に対する比率をいう。
一方、炭酸ガス以外の起泡剤を使用する場合、本発明の容器詰発泡飲料中に0.001〜0.2質量%、更に0.005〜0.18質量%、更に0.01〜0.15質量%含有することが好ましい。
本発明においては、炭酸ガスと、炭酸ガス以外の起泡剤を組み合わせて用いることが可能であり、その場合の炭酸ガスと、炭酸ガス以外の起泡剤の各使用量は上記範囲内とすることが好ましい。
本発明の容器詰発泡飲料は、アルコール飲料でも、ノンアルコール飲料であってもよい。ここで、本明細書において「ノンアルコール飲料」とは、飲料中の(E)アルコールの含有量が1質量%未満の飲料をいうが、本発明においては0.5質量%未満であることが、喉への刺激が少ない点から好ましい。なお、アルコール飲料の場合、飲料中の(E)アルコールの含有量は適宜選択可能であるが、例えば、1〜8質量%、更に2〜6質量%であることが好ましい。
本発明の容器詰発泡飲料は、更に成分(F)として非重合体カテキン類を含有することができる。非重合体カテキン類の苦味により、喉を通過するときの酸味感を緩和することができ、また非重合体カテキン類による生理効果を期待することができる。ここで、本明細書において「非重合体カテキン類」とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類と、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類を併せての総称であり、非重合体カテキン類の濃度は、上記8種の合計量に基づいて定義される。なお、非重合体カテキン類含有量の測定方法は、後掲の実施例に記載の方法にしたがうものとする。
本発明の容器詰発泡飲料中の(F)非重合体カテキン類の含有量は、酸味感の緩和及び生理効果の観点から、0.001〜0.3質量%、更に0.005〜0.25質量%、更に0.01〜0.2質量%であることが好ましい。
更に、本発明の容器詰発泡飲料には、所望により、酸味料、甘味料、ビタミン、ミネラル、酸化防止剤、泡安定剤、各種エステル類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、野菜エキス類、花蜜エキス類、品質安定剤等の添加剤を単独で又は2種以上を組み合わせて含有させることができる。なお、添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定可能である。
本発明の容器詰発泡飲料は、pH(20℃)が3〜5であるが、2.5〜4.5、更に3〜4であることが、酸味感の緩和、喉越し及び清涼感の点から好ましい。なお、pH調整には、(G)酸味料を使用することが可能であり、具体的には、リンゴ酸、クエン酸、乳酸等の有機酸、リン酸等の無機酸が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の容器詰発泡飲料に使用できる容器としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、瓶等の通常の包装容器が例示される。
このような容器詰発泡飲料は、例えば、(D)分子量5000以下のペプチドの割合が70〜100質量%である(A)穀物由来たんぱく質と、必要により(E)アルコール及び添加剤を配合し、(D)分子量5000以下のペプチドと(B)カリウムの質量比、必要により(E)アルコール濃度が上記範囲内となるように調整して、これをPETボトル等の容器に注入し、次いで炭酸水を充填するポストミックス方式により製造することができる。また、例えば、金属缶のような容器に飲料を充填後、加熱殺菌できる場合にあっては適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた殺菌条件で殺菌処理してもよい。一方、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法を採用することができる。
また、本発明の容器詰発泡飲料の態様において、非重合体カテキン類を含有させる場合には、更にカテキン製剤を配合して(F)非重合体カテキン類濃度を上記範囲内となるように調整し、上記と同様の操作により製造することができる。この場合に使用するカテキン製剤としては、例えば、不発酵茶、半発酵茶及び発酵茶から選択される茶葉から熱水又は水溶性有機溶媒を用いてニーダー抽出やカラム抽出等により得られる抽出液が挙げられる。また、当該抽出液から溶媒の一部を除去して非重合体カテキン類濃度を高めた濃縮物を用いてもよい。カテキン製剤の形態としては、固体、水溶液、スラリー状等の種々のものが挙げられる。カテキン製剤として市販品を使用してもよく、例えば、三井農林(株)の「ポリフェノン」、伊藤園(株)の「テアフラン」、太陽化学(株)の「サンフェノン」等が挙げられる。
また、カテキン製剤として、茶抽出液又はその濃縮物を精製して非重合体カテキン類の純度を高めた精製カテキン製剤を使用してもよい。精製方法としては、例えば、下記(i)〜(iv)のいずれかの方法、あるいは2以上の組み合わせが挙げられる。
(i)カテキン製剤を水、水溶性有機溶媒(例えば、エタノール)、又は水と水溶性有機溶媒との混合物(以下、「有機溶媒水溶液」という)に懸濁して生じた沈殿を除去した後、溶媒を留去する方法(例えば、特開2004−147508号公報、特開2004−149416号公報)。
(ii)カテキン製剤を、活性炭、酸性白土及び活性白土から選択される少なくとも1種の吸着剤と接触させる方法(例えば、特開2007−282568号公報)。
(iii)カテキン製剤を、合成吸着剤に吸着させた後、該合成吸着剤に有機溶媒水溶液を接触させて非重合体カテキン類を脱離させる方法(例えば、特開2006−160656号公報)。
(iv)カテキン製剤を、合成吸着剤に吸着させた後、該合成吸着剤に有機溶媒水溶液又は塩基性水溶液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)を接触させて非重合体カテキン類を脱離させ、次いで得られた脱離液を活性炭と接触させる方法(例えば、特開2008−079609号公報)。
上記(i)〜(iv)の方法においては、カテキン製剤としてタンナーゼ処理したものを使用してもよい。ここで、本明細書において「タンナーゼ処理」とは、カテキン製剤にタンナーゼ活性を有する酵素を接触させることをいう。これにより、非重合体カテキン類中のガレート体率を調整することができる。なお、タンナーゼ処理における具体的な操作方法は公知の方法を採用することが可能であり、例えば、特開2004−321105号公報に記載の方法が挙げられる。
1.ペプチドの分子量の測定
1)標準溶液の調製
表1に示す分子量標準品それぞれについて、下記2)に示した方法で試験溶液を調製し、下記3)に示した高速液体クロマトグラフ操作条件により測定し、次の関係式を得た。
分子量M及び溶出時間Tの関係式(検量線):
logM=−0.3100429T+7.6232997
Figure 0005501336
2)試験溶液の調製
検体0.5gを採取し、これに水、アセトニトリル及びトリフルオロ酢酸の混合液(55:45:0.1)10mLを加えた。室温で一晩放置した後、孔径0.45μmのメンブレンフィルタで濾過し、得られた液を試験溶液とした。
3)高速液体クロマトグラフ操作条件
機種 :Shodex GPC-101(昭和電工社製)
検出器 :紫外分光光度計 UV-41(昭和電工社製)
カラム :TSKgel G2500PWX1,φ7.8mm×300mm(東ソー社製)
カラム温度:40℃
移動相 :水、アセトニトリル及びトリフルオロ酢酸の混合液(55:45:0.1)
流量 :0.5mL/min
測定波長:220nm
注入量 :20μL
4)穀物由来たんぱく質に占める分子量5000以下のペプチドの含有割合の算出
上記の方法で測定して得られたクロマトグラムにおいて、分子量5000に相当する溶出時間を基に、全ピーク面積に対する分子量5000以下のピーク面積の比率を求めた。その比率と、下記6)に示した方法で求めた穀物抽出物中の含窒素化合物の全質量と、下記7)に示した方法でサンプルを調製し、アミノ酸自動分析法により求めた遊離アミノ酸の全質量とから、下記式(1)により、分子量5000以下のペプチドの含有割合を算出した。
穀物由来のたんぱく質に占める分子量5000以下のペプチドの含有割合((D)/(A)×100)=
[(全ピーク面積に占める分子量5000以下のピーク面積比率)×(穀物抽出物中の含窒素化合物の全質量)−(遊離アミノ酸の全質量)]/[(穀物抽出物中の含窒素化合物の全質量)−(遊離アミノ酸の全質量)]×100
5)分子量5000以下のペプチドとカリウムとの含有割合の算出
分子量5000以下のペプチド/カリウム=
[(全ピーク面積に占める分子量5000以下のピーク面積比率)×(穀物由来たんぱく質の全質量)−(遊離アミノ酸の全質量)]/カリウム量
6)穀物抽出物中の含窒素化合物の測定
「三訂 早わかり栄養表示基準」(新開発食品保健研究会監修 中央法規出版(株))の132〜134頁に記載の「1 たんぱく質 (1)窒素定量換算法」に基づき測定した。このとき「計算(133頁右欄第9〜15行)」において使用する「窒素・たんぱく質換算係数」は6.25とした。
7)遊離アミノ酸測定用サンプルの調製
遊離アミノ酸は、次に示す条件に従い、アミノ酸自動分析法にて測定した。
<測定試料の調製>
試料3gに、10w/v%のスルホサリチル酸溶液12.5mLを添加し、混和して抽出した。次いで、3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液にてpHを2.2に調整し、クエン酸ナトリウム緩衝液で25mLに定容し、濾過して試験溶液とし、次に示す装置及び測定条件にて分析を行った。
<装置及び操作条件>
機種:JLC−500/V(日本電子(株))
カラム:LCR−6 径4mm×長さ120mm(日本電子(株))
移動相:クエン酸リチウム緩衝液 P−12〜15、P−21(日本電子(株))
反応液:日本電子用ニンヒドリン発色溶液キット−II(和光純薬工業(株))
流量:移動相 0.50mL/min.、反応液 0.30mL/min.
測定波長:570nm(プロリン以外)、440nm(プロリン)
2.カリウムの測定
カリウムは、「分析実務者が書いた五訂日本食品標準成分表分析マニュアルの解説」(財団法人日本食品分析センター編集、中央法規出版株式会社発行所、2001年7月10日発行)のp.90−91及びp.99−103にしたがい測定した。具体的には、検体2〜5gを抽出容器に量り取り、1%塩酸溶液200mLを加え、室温下で30分振とう抽出した。抽出液を遠心管に移し、遠心分離後の上澄み液を原子吸光用試験溶液とした。原子吸光光度計の測定波長を766.5nmに設定し、カリウムを測定した。そして、予め作成した検量線を用いて試料中のカリウム量を定量した。
3.非重合体カテキン類の測定
検体をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラムL−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により分析した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、移動相B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
4.官能評価
1)酸味感
各実施例及び比較例で得られた容器詰発泡飲料について、飲用時の酸味感が緩和されたか否かを評価した。評価は、3名の男性モニターに、1回につき100mLを飲用してもらい、以下の基準により評点をつけさせた。その後、協議により最終スコアを決定した。なお、発泡飲料は、冷蔵所にて5℃で10日間保管したものを試験に用いた。
4:酸味感が気にならない
3:酸味感が気になりにくい
2:酸味感がやや気になる
1:酸味感が気になる
2)喉越し
各実施例及び比較例で得られた容器詰発泡飲料の汗をかいて飲むときの喉越しについて評価した。評価は、3名の男性モニターに約10分間のジョギングし、汗をかいたときに1回につき100mLを飲用してもらい、以下の基準で評点をつけさせた。その後、協議により最終スコアを決定した。なお、発泡飲料は、冷蔵所にて5℃で10日間保管したものを試験に用いた。
4:喉越しが良い
3:喉越しがやや良い
2:喉越しがやや良くない
1:喉越しが良くない
3)外観評価
各実施例及び比較例で得られた容器詰発泡飲料を、5℃にて10日間静置して保管したときの外観について目視で観察し、以下の基準で評点をつけさせた。
4:濁り・沈殿がほとんどない
3:濁り・沈殿がややある
2:濁り・沈殿が多い
1:濁り・沈澱がかなり多い
〔ペプチド製剤の製造〕
1)麦汁の乾燥物
麦芽600gを1000mLの水に入れ、45℃に加温し3時間攪拌した。得られた抽出液を2号濾紙にて濾過することにより麦芽の殻を分離し、濾液を凍結乾燥して麦汁の乾燥物を得た。得られた麦汁の乾燥物中の全たんぱく質含有量は6.3質量%、遊離アミノ酸含有量は1.3質量%、全たんぱく質に占める分子量5000以下のペプチドの割合は74質量%であった。
2)市販のペプチド製剤
・ペプチドW:大豆由来、ハイニュートAM(不二製油(株))全たんぱく質に占める分子量5000以下のペプチドの割合85質量%。遊離アミノ酸含有量2.6質量%。
・ペプチドX:大豆由来、ハイニュートDC6(不二製油(株))全たんぱく質に占める分子量5000以下のペプチドの割合72質量%。遊離アミノ酸含有量1.7質量%。
・ペプチドY:大豆由来、ハイニュートDH(不二製油(株))全たんぱく質に占める分子量5000以下のペプチドの割合18質量%。遊離アミノ酸含有量0.1質量%。
・ペプチドZ:豚由来、スーパーコラーゲンペプチドSCPシリーズ(新田ゼラチン社)全たんぱく質に占める分子量5000以下のペプチドの割合95質量%。遊離アミノ酸含有量0.1質量%。
〔精製緑茶抽出物の製造〕
緑茶抽出液の濃縮物(ポリフェノンHG、三井農林(株)製)200gを、25℃にて250r/min攪拌条件下において95質量%エタノール水溶液800g中に分散させ、酸性白土(ミズカエース#600、水澤化学(株)製)100gを投入後、約10分間攪拌を続けた。次に、2号ろ紙で濾過した後、濾液に活性炭16gを添加し、再び2号ろ紙で濾過した。次に0.2μmメンブランフィルターで再濾過した。次に、40℃、減圧下にて濾液からエタノールを留去し、イオン交換水で非重合体カテキン類濃度を調整して「精製緑茶抽出物」を得た。精製緑茶抽出物中の非重合体カテキン類濃度は15質量%であった。
実施例1
イオン交換水60gに麦汁の乾燥物2.1gとペプチドW0.15gを混合した後、pH3.8となるようにリン酸を添加し、イオン交換水で全量を120gにした。次に、この溶液120gに、5℃に冷却した炭酸水で全量を500gとし、炭酸ガスボリュームを2.5とし、耐圧性PETボトルに充填し巻き締め後、65℃で10分殺菌して容器詰発泡飲料(容器詰炭酸飲料)を調製した。得られた容器詰発泡飲料の分析結果及び官能試験の結果を表2に示す。
実施例2〜15及び比較例1〜7
表2に示す各成分を、表2に示す割合で配合したこと以外は、実施例1と同様の操作により、容器詰発泡飲料を得た。得られた容器詰発泡飲料の分析結果及び官能試験の結果を表2に示す。
Figure 0005501336
表2から、容器詰発泡飲料において、(A)穀物由来たんぱく質に占める(D)分子量5000以下のペプチドが特定の割合である穀物由来のたんぱく質を用い、(D)分子量5000以下のペプチドと(B)カリウムとの質量比、及びpHを特定範囲内に制御することで、喉越しが良好でかつ酸味感が緩和されており、汗をかいて水分を欲するときに飲む止渇飲料として適した容器詰発泡飲料が得られることが確認された。

Claims (5)

  1. 次の成分(A)、(B)(C)及び(F)
    (A)穀物由来たんぱく質
    (B)カリウム
    (C)起泡剤、及び
    (F)非重合体カテキン類
    を含有し、
    前記成分(A)に占める(D)分子量5000以下のペプチドの割合が70〜100質量%であり、
    前記成分(D)と前記成分(B)との含有質量比[(D)/(B)]が15〜300であり、
    前記成分(B)の含有量が飲料100g中に5〜40mgであり、
    前記成分(D)の含有量が飲料100g中に100〜3000mgであり、
    前記成分(F)の含有量が0.001〜0.3質量%であり、
    pHが3〜4.5であり、
    前記成分(A)として(A1)麦芽由来のタンパク質及び(A2)大豆由来のタンパク
    質を含有する、
    容器詰発泡飲料。
  2. 前記(A1)麦芽由来のたんぱく質が非発酵麦芽抽出物である、請求項1記載の容器詰
    発泡飲料。
  3. (G)酸味料を含有する、請求項1又は2記載の容器詰発泡飲料。
  4. 更に、(E)アルコールを1質量%未満含有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の
    容器詰発泡飲料。
  5. 前記成分(C)が炭酸ガス及びサポニンから選択される少なくとも1種である、請求項
    1〜4のいずれか1項記載の容器詰発泡飲料。
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