JP5501336B2 - 容器詰発泡飲料 - Google Patents
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Description
したがって、本発明の課題は、喉越しが良好でかつ酸味感が緩和されていることにより、汗をかいて水分を欲するときに飲む止渇飲料として有用な容器詰発泡飲料を提供することにある。
(A)穀物由来たんぱく質
(B)カリウム、及び
(C)起泡剤
を含有し、成分(A)に占める(D)分子量5000以下のペプチドの割合が70〜100質量%であり、成分(D)と成分(B)との含有質量比[(D)/(B)]が15〜300であり、pHが3〜5である容器詰発泡飲料を提供するものである。
本発明で使用する(A)穀物由来たんぱく質は、当該たんぱく質中に(D)分子量5000以下のペプチドを70〜100質量%含有するものであるが、酸味感の緩和及び喉越し改善の点から、下限は71質量%、更に72質量%、更に73質量%、更に75質量%、更に76質量%、更に77質量%、更に80質量%が好ましく、他方上限は97質量%、95質量%、更に92質量%、更に90質量%、更に87質量%、更に86質量%が好ましい。かかる(A)穀物由来たんぱく質中の(D)分子量5000以下のペプチドの割合の範囲としては、70〜90質量%、更に71〜87質量%、更に72〜86質量%、殊更に76〜86質量%が好ましい。なお、ペプチド含有量の測定方法は、後掲の実施例に記載の方法にしたがうものとする。
(A)穀物由来たんぱく質の原料となる穀物としては、たんぱく質を含有するものであれば特に限定されないが、酸味感の緩和及び喉越しの観点から、麦、米、コーン(とうもろこし)、豆、ゴマが好ましく、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
麦としては、例えば、大麦、小麦、ハト麦が挙げられ、米としては、例えば、玄米が挙げられる。また、豆としては、例えば、大豆、黒豆、小豆、緑豆、エンドウ、インゲンが挙げられ、ゴマとしては、例えば、黒ゴマ、白ゴマ、金ゴマが挙げられる。中でも、麦、豆が好ましい。
また、本発明においては、抽出により得られた穀物抽出物を、必要により酵素や酸を用いて分解してもよいし、必要により、たんぱく質に占める上記分子量のペプチドの割合が上記範囲内となるように穀物抽出物を精製しても構わない。
なお、本明細書において「たんぱく質」とは、後述する「窒素定量換算法」により定量される物質から、遊離アミノ酸のみを除いたものをいう。換言すれば、本明細書における「たんぱく質」とは、技術常識でいうところのアミノ酸により構成された高分子含窒素化合物のみならず、ジペプチドまでをも含み、かつ遊離アミノ酸のみを含まない概念である。
本発明の容器詰発泡飲料中の(B)カリウムの含有量は、酸味感の緩和及び喉越しの観点から、飲料100g中に5mg以上、更に7mg以上、更に9mg以上であることが好ましく、他方上限は飲料100g中に40mg、更に30mg、更に20mg、更に15mgであることが好ましい。かかる(B)カリウムの含有量の範囲としては、5〜40mg、更に5〜30mg、更に7〜30mg、更に9〜20mg、殊更に9〜15mgが好ましい。なお、カリウム含有量の測定方法は、後掲の実施例に記載の方法にしたがうものとする。
(C)起泡剤としては泡立ちを付与できるものであれば特に限定されないが、例えば、炭酸ガス、サポニン、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、泡の安定性やキメの細かさの点から、炭酸ガス、サポニンが好ましい。なお、サポニンとしては、トリテルペンやステロイドに糖が結合した配糖体であれば特に限定されないが、例えば、バラ科キラヤ(Quillaja saponaria MOLINA)の樹皮より抽出されたキラヤサポニンが好ましい。キラヤサポニンは、商業的に入手することが可能であり、例えば、キラヤニンC−100(商品名、丸善製薬株式会社製)が挙げられる。
一方、炭酸ガス以外の起泡剤を使用する場合、本発明の容器詰発泡飲料中に0.001〜0.2質量%、更に0.005〜0.18質量%、更に0.01〜0.15質量%含有することが好ましい。
本発明においては、炭酸ガスと、炭酸ガス以外の起泡剤を組み合わせて用いることが可能であり、その場合の炭酸ガスと、炭酸ガス以外の起泡剤の各使用量は上記範囲内とすることが好ましい。
本発明の容器詰発泡飲料中の(F)非重合体カテキン類の含有量は、酸味感の緩和及び生理効果の観点から、0.001〜0.3質量%、更に0.005〜0.25質量%、更に0.01〜0.2質量%であることが好ましい。
(i)カテキン製剤を水、水溶性有機溶媒(例えば、エタノール)、又は水と水溶性有機溶媒との混合物(以下、「有機溶媒水溶液」という)に懸濁して生じた沈殿を除去した後、溶媒を留去する方法(例えば、特開2004−147508号公報、特開2004−149416号公報)。
(ii)カテキン製剤を、活性炭、酸性白土及び活性白土から選択される少なくとも1種の吸着剤と接触させる方法(例えば、特開2007−282568号公報)。
(iii)カテキン製剤を、合成吸着剤に吸着させた後、該合成吸着剤に有機溶媒水溶液を接触させて非重合体カテキン類を脱離させる方法(例えば、特開2006−160656号公報)。
(iv)カテキン製剤を、合成吸着剤に吸着させた後、該合成吸着剤に有機溶媒水溶液又は塩基性水溶液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)を接触させて非重合体カテキン類を脱離させ、次いで得られた脱離液を活性炭と接触させる方法(例えば、特開2008−079609号公報)。
1)標準溶液の調製
表1に示す分子量標準品それぞれについて、下記2)に示した方法で試験溶液を調製し、下記3)に示した高速液体クロマトグラフ操作条件により測定し、次の関係式を得た。
logM=−0.3100429T+7.6232997
検体0.5gを採取し、これに水、アセトニトリル及びトリフルオロ酢酸の混合液(55:45:0.1)10mLを加えた。室温で一晩放置した後、孔径0.45μmのメンブレンフィルタで濾過し、得られた液を試験溶液とした。
機種 :Shodex GPC-101(昭和電工社製)
検出器 :紫外分光光度計 UV-41(昭和電工社製)
カラム :TSKgel G2500PWX1,φ7.8mm×300mm(東ソー社製)
カラム温度:40℃
移動相 :水、アセトニトリル及びトリフルオロ酢酸の混合液(55:45:0.1)
流量 :0.5mL/min
測定波長:220nm
注入量 :20μL
上記の方法で測定して得られたクロマトグラムにおいて、分子量5000に相当する溶出時間を基に、全ピーク面積に対する分子量5000以下のピーク面積の比率を求めた。その比率と、下記6)に示した方法で求めた穀物抽出物中の含窒素化合物の全質量と、下記7)に示した方法でサンプルを調製し、アミノ酸自動分析法により求めた遊離アミノ酸の全質量とから、下記式(1)により、分子量5000以下のペプチドの含有割合を算出した。
[(全ピーク面積に占める分子量5000以下のピーク面積比率)×(穀物抽出物中の含窒素化合物の全質量)−(遊離アミノ酸の全質量)]/[(穀物抽出物中の含窒素化合物の全質量)−(遊離アミノ酸の全質量)]×100
分子量5000以下のペプチド/カリウム=
[(全ピーク面積に占める分子量5000以下のピーク面積比率)×(穀物由来たんぱく質の全質量)−(遊離アミノ酸の全質量)]/カリウム量
「三訂 早わかり栄養表示基準」(新開発食品保健研究会監修 中央法規出版(株))の132〜134頁に記載の「1 たんぱく質 (1)窒素定量換算法」に基づき測定した。このとき「計算(133頁右欄第9〜15行)」において使用する「窒素・たんぱく質換算係数」は6.25とした。
遊離アミノ酸は、次に示す条件に従い、アミノ酸自動分析法にて測定した。
<測定試料の調製>
試料3gに、10w/v%のスルホサリチル酸溶液12.5mLを添加し、混和して抽出した。次いで、3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液にてpHを2.2に調整し、クエン酸ナトリウム緩衝液で25mLに定容し、濾過して試験溶液とし、次に示す装置及び測定条件にて分析を行った。
<装置及び操作条件>
機種:JLC−500/V(日本電子(株))
カラム:LCR−6 径4mm×長さ120mm(日本電子(株))
移動相:クエン酸リチウム緩衝液 P−12〜15、P−21(日本電子(株))
反応液:日本電子用ニンヒドリン発色溶液キット−II(和光純薬工業(株))
流量:移動相 0.50mL/min.、反応液 0.30mL/min.
測定波長:570nm(プロリン以外)、440nm(プロリン)
カリウムは、「分析実務者が書いた五訂日本食品標準成分表分析マニュアルの解説」(財団法人日本食品分析センター編集、中央法規出版株式会社発行所、2001年7月10日発行)のp.90−91及びp.99−103にしたがい測定した。具体的には、検体2〜5gを抽出容器に量り取り、1%塩酸溶液200mLを加え、室温下で30分振とう抽出した。抽出液を遠心管に移し、遠心分離後の上澄み液を原子吸光用試験溶液とした。原子吸光光度計の測定波長を766.5nmに設定し、カリウムを測定した。そして、予め作成した検量線を用いて試料中のカリウム量を定量した。
検体をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラムL−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により分析した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、移動相B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
1)酸味感
各実施例及び比較例で得られた容器詰発泡飲料について、飲用時の酸味感が緩和されたか否かを評価した。評価は、3名の男性モニターに、1回につき100mLを飲用してもらい、以下の基準により評点をつけさせた。その後、協議により最終スコアを決定した。なお、発泡飲料は、冷蔵所にて5℃で10日間保管したものを試験に用いた。
3:酸味感が気になりにくい
2:酸味感がやや気になる
1:酸味感が気になる
各実施例及び比較例で得られた容器詰発泡飲料の汗をかいて飲むときの喉越しについて評価した。評価は、3名の男性モニターに約10分間のジョギングし、汗をかいたときに1回につき100mLを飲用してもらい、以下の基準で評点をつけさせた。その後、協議により最終スコアを決定した。なお、発泡飲料は、冷蔵所にて5℃で10日間保管したものを試験に用いた。
3:喉越しがやや良い
2:喉越しがやや良くない
1:喉越しが良くない
各実施例及び比較例で得られた容器詰発泡飲料を、5℃にて10日間静置して保管したときの外観について目視で観察し、以下の基準で評点をつけさせた。
4:濁り・沈殿がほとんどない
3:濁り・沈殿がややある
2:濁り・沈殿が多い
1:濁り・沈澱がかなり多い
1)麦汁の乾燥物
麦芽600gを1000mLの水に入れ、45℃に加温し3時間攪拌した。得られた抽出液を2号濾紙にて濾過することにより麦芽の殻を分離し、濾液を凍結乾燥して麦汁の乾燥物を得た。得られた麦汁の乾燥物中の全たんぱく質含有量は6.3質量%、遊離アミノ酸含有量は1.3質量%、全たんぱく質に占める分子量5000以下のペプチドの割合は74質量%であった。
・ペプチドW:大豆由来、ハイニュートAM(不二製油(株))全たんぱく質に占める分子量5000以下のペプチドの割合85質量%。遊離アミノ酸含有量2.6質量%。
・ペプチドX:大豆由来、ハイニュートDC6(不二製油(株))全たんぱく質に占める分子量5000以下のペプチドの割合72質量%。遊離アミノ酸含有量1.7質量%。
・ペプチドY:大豆由来、ハイニュートDH(不二製油(株))全たんぱく質に占める分子量5000以下のペプチドの割合18質量%。遊離アミノ酸含有量0.1質量%。
・ペプチドZ:豚由来、スーパーコラーゲンペプチドSCPシリーズ(新田ゼラチン社)全たんぱく質に占める分子量5000以下のペプチドの割合95質量%。遊離アミノ酸含有量0.1質量%。
緑茶抽出液の濃縮物(ポリフェノンHG、三井農林(株)製)200gを、25℃にて250r/min攪拌条件下において95質量%エタノール水溶液800g中に分散させ、酸性白土(ミズカエース#600、水澤化学(株)製)100gを投入後、約10分間攪拌を続けた。次に、2号ろ紙で濾過した後、濾液に活性炭16gを添加し、再び2号ろ紙で濾過した。次に0.2μmメンブランフィルターで再濾過した。次に、40℃、減圧下にて濾液からエタノールを留去し、イオン交換水で非重合体カテキン類濃度を調整して「精製緑茶抽出物」を得た。精製緑茶抽出物中の非重合体カテキン類濃度は15質量%であった。
イオン交換水60gに麦汁の乾燥物2.1gとペプチドW0.15gを混合した後、pH3.8となるようにリン酸を添加し、イオン交換水で全量を120gにした。次に、この溶液120gに、5℃に冷却した炭酸水で全量を500gとし、炭酸ガスボリュームを2.5とし、耐圧性PETボトルに充填し巻き締め後、65℃で10分殺菌して容器詰発泡飲料(容器詰炭酸飲料)を調製した。得られた容器詰発泡飲料の分析結果及び官能試験の結果を表2に示す。
表2に示す各成分を、表2に示す割合で配合したこと以外は、実施例1と同様の操作により、容器詰発泡飲料を得た。得られた容器詰発泡飲料の分析結果及び官能試験の結果を表2に示す。
Claims (5)
- 次の成分(A)、(B)、(C)及び(F);
(A)穀物由来たんぱく質
(B)カリウム、
(C)起泡剤、及び
(F)非重合体カテキン類
を含有し、
前記成分(A)に占める(D)分子量5000以下のペプチドの割合が70〜100質量%であり、
前記成分(D)と前記成分(B)との含有質量比[(D)/(B)]が15〜300であり、
前記成分(B)の含有量が飲料100g中に5〜40mgであり、
前記成分(D)の含有量が飲料100g中に100〜3000mgであり、
前記成分(F)の含有量が0.001〜0.3質量%であり、
pHが3〜4.5であり、
前記成分(A)として(A1)麦芽由来のタンパク質及び(A2)大豆由来のタンパク
質を含有する、
容器詰発泡飲料。 - 前記(A1)麦芽由来のたんぱく質が非発酵麦芽抽出物である、請求項1記載の容器詰
発泡飲料。 - (G)酸味料を含有する、請求項1又は2記載の容器詰発泡飲料。
- 更に、(E)アルコールを1質量%未満含有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の
容器詰発泡飲料。 - 前記成分(C)が炭酸ガス及びサポニンから選択される少なくとも1種である、請求項
1〜4のいずれか1項記載の容器詰発泡飲料。
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