JP5495935B2 - アンテナ装置 - Google Patents

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Description

この発明は、レーダなどの用途に供されるアンテナ装置に関し、特に、広い周波数帯域に亘り、直交する2つの直線偏波、あるいは円偏波を送受信するアレーアンテナ用の素子アンテナに適用され得るアンテナ装置に関するものである。
超広帯域アンテナの一種にテーパスロットアンテナ(Tapered Slot Antenna)(以下、「TSA」と略記する)が挙げられる。さらに、直交する2つの直線偏波を送受信できるTSAアレーの例として、非特許文献1の図1に示されたTSAアレーがある。また、他の例としては、非特許文献2の図1に示されたTSAが挙げられる。両者ともTSAを直交して組み合わせることで、直交する2つの直線偏波の送受信を可能としている。
Tan−Huat Chio、Daniel H. Schaubert、"Parameter Study and Design of Wide−Band Widescan Dual−Polarized Tapered Slot Antenna Arrays、"IEEE Transactions on Antennas and Propagation、Vol.48、No.6、pp。879−886、June、2000 田幡、羽石、"コプレーナ線路励振直線状テーパスロットアンテナを用いる偏波共用アンテナ"
非特許文献1では、同一形状のトリプレート線路給電型TSA素子を複数個用意し、それぞれを導体ポストを介して格子状に接続することで、直交する2つの直線偏波の送受信を可能とするTSAアレーを構成している。こういった構成は、アレーアンテナの製造が容易になるといった利点があるものの、直交する2つのTSAを1つのペア素子とし、上記ペア素子毎に給電モジュールを設けてフェーズドアレーアンテナを構築することを想定した場合、ペア素子を構成する2つのTSA同士の位相中心がずれてしまい、特に円偏波を送受信する場合には、そのずれの分の位相を広帯域に亘り補正できる構成が必要になるといった課題がある。これを回避するに、TSA素子毎に給電モジュールを設けてもよいが、この場合給電モジュールの数が2倍となるため、フェーズドアレーアンテナ装置全体が大規模で、かつ、構成が複雑になり、高コスト化してしまうという問題がある。
非特許文献2では、直交する2つのTSAが、各々のテーパスロット線路の中心線が同一になるように組み合わされているので、互いの位相中心が一致しており、円偏波化を想定しても広帯域、および、広角度に亘り良好な円偏波特性を得ることが期待できる。しかしながら、単層の誘電体基板の表面に、TSAの給電用のコプレーナ線路をTSAの伸張方向と直交して配列しているので、アンテナ構造の対称性が悪いことと、コプレーナ線路から発生する不要放射波が及ぼす影響によって、アンテナの放射パターンが乱れることと、直交する2つのTSA素子間のアイソレーション特性が悪いという課題がある。アイソレーションの劣化は、アンテナの利得の低下を招き、また、2つのTSA素子を円偏波に合成する場合には軸比が劣化してしまうので好ましくない。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、直交する2つのTSAの位相中心が一致し、かつ、TSAの給電線路からの不要放射のないアンテナ装置を得ることを目的とする。
この発明に係るアンテナ装置は、略同一の外形を有する第1、第2のテーパスロットアンテナを含むアンテナ装置であって、第1、第2のテーパスロットアンテナのそれぞれは、誘電体基板と、誘電体基板の両面上に設けられた地導体によってそれぞれ構成される第1、第2の地導体対と、誘電体基板の両面上において第1、第2の地導体対の間にそれぞれ形成され、誘電体基板の基端部から先端部に向けてテーパ状に広がる第1、第2のスロットと、誘電体基板の内部における上記地導体と略平行な面内に設けられ、一端が第1の地導体対に短絡されると共に他端が給電点となる線状導体とを備え、第1、第2の地導体対は、誘電体基板の両面上に第1、第2のテーパスロット線路をそれぞれ形成し、線状導体は、第1、第2のテーパスロット線路と直交するように設けられて第2の地導体対と共にトリプレート線路を形成し、第1,第2のテーパスロットアンテナは、互いに直交すると共にそれぞれの第1、第2のテーパスロット線路の中心線が一致するように組み合わされ、かつ、それぞれの線状導体の長さが等しく、上記アンテナ装置を平面上に複数並べてアレー化し、隣接する上記アンテナ装置の第1、第2の地導体対同士は短絡され、第2の導体板と、第2の導体板の上に設けられると共に、第3の導体板を複数格子状に組み合わせて構成される導体板グリッドとを備え、導体板グリッドは、第2の導体板に短絡されると共に各格子点の間に切欠きがそれぞれ設けられ、導体板グリッドに設けられた切欠きのそれぞれに上記アンテナ装置における第1、第2のテーパスロットアンテナの基端部のそれぞれが差し込まれることを特徴とする。
この発明によれば、直交する2つのTSAの位相中心が一致し、かつ、TSAの給電線路からの不要放射のないアンテナ装置を得ることができる。
この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置を示す図である。 この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の構造とその給電方法を示す図である。 この発明の実施の形態2に係るアンテナ装置の構造を示す図である。 この発明の実施の形態3に係るアンテナ装置の構造を示す図である。 この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置を示す図である。 この発明の実施の形態5に係るアンテナ装置を示す図である。 この発明の実施の形態6に係るアンテナ装置を示す図である。 この発明の実施の形態6に係るアンテナ装置で用いられる金属板グリッド付導体板の構造を示す図である。
実施の形態1.
図1(a)は、この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の外観を示す模式図である。このアンテナ装置は、同一の外形を有する第1のトリプレート線路給電型TSA100と第2のトリプレート線路給電型TSA200とを組み合わせて構成される。
図1(b)は、このアンテナ装置を第1のトリプレート線路給電型TSA100と第2のトリプレート線路給電型TSA200とに分解して示した模式図である。
第1のトリプレート線路給電型TSA100において、101は2つの誘電体基板を重ね合わせて構成される多層誘電体基板であり、102a、102bは多層誘電体基板101の両面上の地導体であって第1の地導体対102を構成し、103a、103bは多層誘電体基板101の両面上の地導体であって第2の地導体対103を構成する。多層誘電体基板101の両面上において、第1の地導体対102と第2の地導体対103との間には、多層誘電体基板101の基端部101a(−Z方向側)から先端部101b(+Z方向側)に向けてテーパ状に広がる第1のスロット104aと第2のスロット104bとがそれぞれ形成される。そして、第1の地導体対102と第2の地導体対103とによって、多層誘電体基板101の両面上に第1のテーパスロット線路105aと第2のテーパスロット線路105bとがそれぞれ形成される。106は第1のトリプレート線路給電型TSA100を構成する多層誘電体基板101の基端部101aに設けられた切欠きであり、多層誘電体基板101の一部が基端部101aから先端部101bに向けて矩形状に切り取られることによって形成される。
同様に、第2のトリプレート線路給電型TSA200において、201は多層誘電体基板であり、地導体202a、202bは第1の地導体対202を構成し、地導体203a、203bは第2の地導体対203を構成する。第1の地導体対202と第2の地導体対203との間には、第1のスロット204aと第2のスロット204bとがそれぞれ形成され、第1の地導体対202と第2の地導体対203とによって、第1のテーパスロット線路205aと第2のテーパスロット線路205bとがそれぞれ形成される。206は第2のトリプレート線路給電型TSA200を構成する多層誘電体基板201の先端部201bに設けられた切欠きである。
図1(a)、(b)に示すように、第1、第2のトリプレート線路給電型TSA100、200は、各々の切欠き106、206を介して互いに直交するように組み合わされる。
図1(a)、(b)において、多層誘電体基板101を含む面をXZ面とし、多層誘電体基板201を含む面をYZ面とすると、+Z方向がこのアンテナ装置における主放射方向である。
図2は、第1、第2のトリプレート線路給電型TSA100、200の給電方法を示した模式図である。107、207は線状導体、108、208はスルーホールを表す。L字型の線状導体107、207は、多層誘電体基板101、201を構成する2つの誘電体基板に挟まれた面内、すなわち、多層誘電体基板101、201の内部における上記地導体(102a,b,103a,b)、(202a,b,203a,b)と平行な面内にそれぞれ形成される。線状導体107と第2の地導体対103がトリプレート線路110を形成し、同様に、線状導体207と第2の地導体対203がトリプレート線路210を形成する。線状導体107、207は、それぞれの一端がスルーホール108、208によって第1の地導体対102、202に短絡され、テーパスロット線路(105a,b)、(205a,b)と直交するように延びてから−Z方向に向けて直角に折れ曲がり、その他端107a、207aがコネクタ、あるいは、同軸線路などの外部の高周波電子機器と接続可能な構造が接続される給電点となる。本構造によって、第1のトリプレート線路給電型TSA100の第1の地導体対102と第2の地導体対103、および、第2のトリプレート線路給電型TSA200の第1の地導体対202と第2の地導体対203とにそれぞれ電位差が与えられ、電波はテーパスロット線路(105a,b)、(205a,b)に沿って進行し、多層誘電体基板101、201の+Z方向先端部から空間に放射される。
第1のトリプレート線路給電型TSA100の切欠き106は、多層誘電体基板101の基端部101aからテーパスロット線路(105a,b)の中心線O1に沿って線状導体107に接触しない範囲内で設けられ、第2のトリプレート線路給電型TSA200の切欠き206は、多層誘電体基板201の先端部201bからテーパスロット線路(205a,b)の中心線O2に沿って線状導体207に接触しない範囲内で設けられる。
第1のトリプレート線路給電型TSA100のスルーホール108から給電点107aまでの線状導体107の全長と、第2のトリプレート線路給電型TSA200のスルーホール208から給電点207aまでの線状導体207の全長とを同じにすることにより、線状導体107、207がそれぞれテーパスロット線路(105a,b)、(205a,b)と交差する位置P1、P2での電波の位相を互いに一致させる。
線状導体107がテーパスロット線路(105a,b)と交差する位置P1と、線状導体207がテーパスロット線路(205a,b)と交差する位置P2とは、テーパスロット線路(105a,b)、(205a,b)の中心線O1、O2に沿って互いにずれている。ただし、このずれの長さは使用する電波の最大周波数に対応する波長λ(誘電体によって波長が短くなることを考慮した波長)に比べて十分短いものであり、例えば波長λの1/10よりも短く抑えられているため、このずれによる影響は少ない。
以上説明したように、第1のトリプレート線路給電型TSA100と第2のトリプレート線路給電型TSA200とは、互いに直交すると共にそれぞれのテーパスロット線路(105a,b)、(205a,b)の中心線O1、O2が一致するように組み合わされ、かつ、それぞれの線状導体107、207の長さが等しい。そのため、第1のトリプレート線路給電型TSA100と、第2のトリプレート線路給電型TSA200の+Z方向のアンテナ開口端部では両者の電波の位相が一致する。すなわち、直交する2つのTSAの位相中心が一致する。したがって遠方放射界の位相までをも一致させることができる。また、線状導体107、207は、第2の地導体対103、203と共にトリプレート線路110、210を形成する。アンテナ装置の給電にトリプレート線路を用いるので、線路からの不要な放射はない。
また、図1(a)、(b)に示すように、第1のトリプレート線路給電型TSA100と、第2のトリプレート線路給電型TSA200とは、各々のテーパスロット線路(105a,b)、(205a,b)の中心線O1、O2が一致しており、XY面上で見た場合一点に集まっているように見える。したがって、2箇所の給電点107a、207aに分配回路を接続してアンテナ装置の偏波面をX軸、Y軸に沿った方向に対して斜めにずらしたり、あるいは、90度ハイブリッドを接続して円偏波を放射させたりすることができる。
さらに、線状導体107、207の形状は、それぞれXZ面内、YZ面内で非対称な構造を有しているが、線状線路が誘電体内に内挿されているためその影響は外部には現れず、アンテナ装置の外形構造は対称性を有している。したがって、直交した2つのTSA間では、十分低いアイソレーションレベルが得られると共に、放射パターン形状の乱れなどはほとんど起こらない。
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2に係るアンテナ装置の構造を示す模式図である。前述と同様のものについては、同一符号を付して記述を省略する。図3において、311a、311bは第1のトリプレート線路給電型TSA300の第1、第2のスロット104a、104bのそれぞれの基端部(−Z方向側)における幅よりも広い幅を有するスロットであり、第1、第2のスロット104a、104bのそれぞれの基端部に接続するように設けられる。同様に、411a、411bは第2のトリプレート線路給電型TSA400の第1、第2のスロット204a、204bのそれぞれの基端部における幅よりも広い幅を有するスロットであり、第1、第2のスロット204a、204bのそれぞれの基端部に接続するように設けられる。これらにより、第1、第2のトリプレート線路給電型TSA300、400のテーパロット線路(105a,b)、(205a,b)のそれぞれの基端部には、よりスロット幅の広いスロット線路が接続される。
トリプレート線路310、410からテーパスロット線路(105a,b)、(205a,b)に給電された電波は、アンテナ開口端の+Z方向側のみに伝播することが望ましいが、その一部は−Z方向のアンテナ後方側にも伝播してしまう。すると、アンテナ装置の後方に位置する給電装置に影響を及ぼすことになり、給電装置の耐干渉性を高める対策を講じる必要が生じてしまう。そこで、テーパスロット線路(105a,b)、(205a,b)のそれぞれの基端部にスロット幅の広いスロット線路を接続することで、後方へ伝播する電波の成分を抑圧することができる。これは、スロット線路の性質として、スロット幅が広いほど線路の特性インピーダンスが高くなるので、アンテナ装置の後方が開放されたように見えるためである。
実施の形態3.
図4は、この発明の実施の形態3に係るアンテナ装置の構造を示す模式図である。前述と同様のものについては、同一符号を付して記述を省略する。図4において、512、612は多数のスルーホールである。
線状導体107、207は、多層誘電体基板101、201の内部におけるちょうど中間の位置、すなわち、多層誘電体基板101、201の両面上の地導体からそれぞれ等しい距離にあることが望ましい。これにより、多層誘電体基板101、201の両面上の地導体同士の電位を等電位に保つことができる。
しかしながら、製造誤差などの影響によって線状導体107、207が多層誘電体基板101、201の内部におけるちょうど中間の位置から一方の地導体面に偏った場合、多層誘電体基板101、201の両面上の地導体間に電位差を生じてしまい、多層誘電体基板101、201の両面上の地導体を導波路とする平行平板モードが伝播するようになる。この平行平板モードはアンテナ装置の放射パターンを乱す要因になり、また、後述するアレーアンテナ装置を考えた場合には、素子間結合量を増加してしまうなどの問題が発生する。
そこで、線状導体107、207に重ならない箇所で、多層誘電体基板101、201の両面上に設けられた地導体同士を多数のスルーホール512、612により短絡することによって、上記平行平板モードの発生を防ぐことができる。
尚、この実施の形態3に係るアンテナ装置においても、実施の形態2と同様にテーパスロット線路(105a,b)、(205a,b)のそれぞれの基端部にスロット幅の広いスロット線路を接続することによって、後方へ伝播する電波の成分を抑圧することができる。
実施の形態4.
図5は、この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置を示す模式図である。前述と同様のものについては、同一符号を付して記述を省略する。図5において、713は第1の導体板であり、実施の形態1に示したアンテナ装置の基端部(−Z方向側)に設けられる。
アンテナ装置の基端部、すなわち後方側に導体板713を配置することにより、アンテナ後方側への不要放射を完全に無くすことができる。また、アンテナ後方側へ放射された電波は導体板713で反射され、アンテナ前方側に再放射される。したがって、アンテナ装置の利得が向上するといった効果も得られる。このとき、導体板713の設置位置、あるいは使用周波数によっては、導体板713からの反射波とアンテナ装置の直接波とが逆相で重なり合うことにより主ビームにヌル(零放射)を生じてしまう恐れがあるが、導体板713の設置位置を可変とすることにより、主ビームにヌルを発生させる周波数を使用周波数帯域外にシフトさせ、ヌルの発生を回避することができる。
尚、この実施の形態4では、実施の形態1に示したアンテナ装置の基端部に導体板713を設けた構成を示したが、実施の形態2、3に示したアンテナ装置の基端部に導体板713を設けても同様の効果を得ることができる。
実施の形態5.
上記実施の形態1から4では、単一の素子アンテナについて説明したが、複数の素子を平面上に並べてアレー化したアンテナ装置を構成してもよい。複数の素子を同相で励振させることで高利得なアレーアンテナ装置が得られ、また、アレー化した各々の素子アンテナに位相差をつけて励振すれば、任意の方向にビームを走査することができるフェーズドアレーアンテナ装置を得ることができる。
図6は、この発明の実施の形態5に係るアンテナ装置を示す模式図である。前述と同様のものについては、同一符号を付して記述を省略する。このアンテナ装置は、実施の形態1に示したアンテナ装置を平面状に複数並べてアレー化したものである。図6において、1000は第1のトリプレート線路給電型TSA100を複数並べて構成した第1のトリプレート線路給電型TSA群であり、2000は第2のトリプレート線路給電型TSA200を複数並べて構成した第2のトリプレート線路給電型TSA群を表す。
このとき、複数の第1のトリプレート線路給電型TSA100は、隣接する第1の地導体対102と第2の地導体対103とが短絡して並べられる。同様に、複数の第2のトリプレート線路給電型TSA200は、隣接する第1の地導体対202と第2の地導体対203とが短絡して並べられる。本構造のように隣接する素子間の導通が取れるようにすれば、素子間の接続部での不用な反射を抑えることができる。
尚、この実施の形態5では、実施の形態1に示したアンテナ装置を複数並べてアレー化した構成を示したが、実施の形態2、3、4に示したアンテナ装置を複数並べてアレー化してもよい。
実施の形態6.
図7は、この発明の実施の形態6に係るアンテナ装置を示す模式図であり、図8は、このアンテナ装置で用いられる金属板グリッド付導体板の構造を示す模式図である。前述と同様のものについては、同一符号を付して記述を省略する。図8において、814は第2の導体板であり、815は第3の導体板である金属板を複数格子状に組み合わせて構成した金属板グリッドを表す。金属板グリッド815は導体板814の上に短絡して配置され、金属板グリッド付導体板817を構成する。また、金属板グリッド815の各格子点の間には、導体板814にまで届く矩形状の切欠き816がそれぞれ形成される。
図7に示すように、上記金属板グリッド付導体板817の各切欠き816に、実施の形態5に示したアレーアンテナ装置の第1のトリプレート線路給電型TSA群1000と第2のトリプレート線路給電型TSA群2000の基端部(−Z方向側)がそれぞれ差し込まれる。
実施の形態5に示したアレーアンテナ装置では、隣接する素子間に矩形の空洞領域が生じる。ここで、特にテーパスロット線路のスロット幅が狭いアンテナ基端部の側では、上記矩形の空洞領域が導体面で囲まれ、使用する電波の周波数が高くなると上記矩形の空洞領域で共振してしまう可能性がある。この共振現象はアレーアンテナ装置の動作にとって不要なものであり、エネルギが熱損失となってしまうので好ましくない。
そこで、実施の形態4に示したような導体板713の代わりに金属板グリッド付導体板817を設けることで、上記矩形の空洞領域の間に金属板グリッド815が導体壁として存在するようになり、上記矩形の空洞領域を細分化するようになる。これにより、上記不要な共振を生じる周波数をより高い周波数側へシフトさせることができるようになる。
尚、この実施の形態6では、実施の形態1に示したアンテナ装置を複数並べてアレー化したものに金属板グリッド付導体板817を設けた構成を示したが、実施の形態2、3に示したアンテナ装置を複数並べてアレー化したものに金属板グリッド付導体板817を設けても同様の効果を得ることができる。
100,300,500 第1のトリプレート線路給電型TSA、200,400,600 第2のトリプレート線路給電型TSA、101,201 誘電体基板(多層誘電体基板)、101a,201a 誘電体基板の基端部(多層誘電体基板の基端部)、102,202,302,402 第1の地導体対、103,203,303,403 第2の地導体対、104a,204a 第1のスロット、104b,204b 第2のスロット、105a,205a 第1のテーパスロット線路、105b,205b 第2のテーパスロット線路、106,206 切欠き、107,207 線状導体、107a,207a 給電点、110,210,310,410 トリプレート線路、512,612 スルーホール、713 導体板(第1の導体板)、814 導体板(第2の導体板)、815 金属板グリッド(導体板グリッド)、816 切欠き、O1,O2 第1、第2のテーパスロット線路の中心線、P1,P2 線状導体が第1、第2のテーパスロット線路と交差する位置。

Claims (4)

  1. 略同一の外形を有する第1、第2のテーパスロットアンテナを含むアンテナ装置であって、
    該第1、第2のテーパスロットアンテナのそれぞれは、
    誘電体基板と、
    該誘電体基板の両面上に設けられた地導体によってそれぞれ構成される第1、第2の地導体対と、
    前記誘電体基板の両面上において前記第1、第2の地導体対の間にそれぞれ形成され、前記誘電体基板の基端部から先端部に向けてテーパ状に広がる第1、第2のスロットと、
    前記誘電体基板の内部における前記地導体と略平行な面内に設けられ、一端が前記第1の地導体対に短絡されると共に他端が給電点となる線状導体とを備え、
    前記第1、第2の地導体対は、前記誘電体基板の両面上に第1、第2のテーパスロット線路をそれぞれ形成し、
    前記線状導体は、前記第1、第2のテーパスロット線路と直交するように設けられて前記第2の地導体対と共にトリプレート線路を形成し、
    前記第1,第2のテーパスロットアンテナは、互いに直交すると共にそれぞれの前記第1、第2のテーパスロット線路の中心線が一致するように組み合わされ、かつ、それぞれの前記線状導体の長さが等しく、
    上記アンテナ装置を平面上に複数並べてアレー化し、
    隣接する上記アンテナ装置の前記第1、第2の地導体対同士は短絡され、
    第2の導体板と、
    該第2の導体板の上に設けられると共に、第3の導体板を複数格子状に組み合わせて構成される導体板グリッドとを備え、
    該導体板グリッドは、前記第2の導体板に短絡されると共に各格子点の間に切欠きがそれぞれ設けられ、
    該導体板グリッドに設けられた該切欠きのそれぞれに上記アンテナ装置における前記第1、第2のテーパスロットアンテナの基端部のそれぞれが差し込まれることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 請求項1に記載のアンテナ装置であって、
    前記第1のテーパスロットアンテナの前記誘電体基板の基端部には、前記第1、第2のテーパスロット線路の中心線に沿って前記線状導体に接触しない範囲内で切欠きが設けられ、
    前記第2のテーパスロットアンテナの前記誘電体基板の先端部には、前記第1、第2のテーパスロット線路の中心線に沿って前記線状導体に接触しない範囲内で切欠きが設けられ、
    前記第1のテーパスロットアンテナの前記線状導体と前記第1、第2のテーパスロット線路の中心線が交差する位置と、前記第2のテーパスロットアンテナの前記線状導体と前記第1、第2のテーパスロット線路の中心線が交差する位置とは、前記第1、第2のテーパスロット線路の中心線に沿って、使用する電波の波長の略1/10よりも短い長さだけずらして配置され、
    前記第1,第2のテーパスロットアンテナは、それぞれの前記切欠きを介して、互いに直交すると共にそれぞれの前記第1、第2のテーパスロット線路の中心線が一致するように組み合わされることを特徴とするアンテナ装置。
  3. 請求項1または2に記載のアンテナ装置であって、
    前記第1、第2のテーパスロットアンテナの前記第1、第2のテーパスロット線路のそれぞれの基端部に、該第1、第2のテーパスロット線路のそれぞれの基端部におけるスロット幅よりも広いスロット幅を有するスロット線路がそれぞれ接続されることを特徴とするアンテナ装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のアンテナ装置であって、
    前記第1、第2のテーパスロットアンテナは、前記誘電体基板の両面上に設けられた前記地導体同士が、一つまたは複数のスルーホールによって前記線状導体に重ならない箇所で短絡されることを特徴とするアンテナ装置。
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