JP5495904B2 - エアードーム工法における可撓膜体へのタブ材と丸棒材の配設構造 - Google Patents
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Description
貯槽101は、平底円形の底版103と、この底版103の外周縁近傍に立設した円筒形状の側壁104と、この側壁104の上部を被覆する割球殻形状のドーム屋根102とから形成する。これらの底版103、側壁104、及びドーム屋根102は、コンクリート構造又は金属構造、あるいはコンクリート構造と金属構造などを組み合わせて形成する。
このドーム屋根102を施工するために、貯槽101の上部を被覆する可撓膜体105の周縁を側壁104の上端部に気密に固着し、送風機106を利用してこの可撓膜体105の下部に空気を導入して緊張させ、この緊張した可撓膜体105の上部にモルタルやコンクリートなどの屋根部材を施工する。この可撓膜体105は、繊維織物に樹脂材料等をコーティングした可撓性を有する膜材が用いられている。
このように、環状のタブ材に丸棒材を通して配設することにより、タブ材の穴が潰れて寝た状態で可撓膜体の表面にくっ付くことがなく確りと立ち上がるためタブ材の内部にもモルタルが入り込み、さらにモルタル内に位置するように設ける金網と可撓膜体との隔接距離が丸棒材を介して保持され、金網のスペーサの役割を果たすため、金網下部にモルタルが確りと入り込むとともに、金網上部のモルタルのかぶり距離をも確保する。
また、丸棒材で可撓膜体の上面が保護されるため、可撓膜体を傷めずその上面への金網などの補強部材取付けの作業性が良く配列及び連結作業もやり易く、作業能率良く施工することができる。
さらに、モルタルの打設作業時の振動はタブ材と一体となった丸棒材で線として受けることになるので、振動が抑制されるためモルタルの割れや亀裂の発生を防止することができる。
タブ材の配置は、モルタル層の肉厚部となる可撓膜体の裾近傍部は密に入れ、それより天頂部にかけては一定間隔で配置し、モルタル層肉厚部のモルタル荷重による可撓膜体の
垂れ落ちや局部的変形を防止する事ができる。このように、モルタル層の肉厚部となる可撓膜体の裾近傍部以外の箇所でタブ材の配置を比較的粗にしたことにより、貯槽内のエアーを昇圧調整しながら可撓膜体を所望するドーム形状に形成する際に、可撓膜体の自由な動きや膨らみを確保することができる。
図1は、側壁上端部近傍における可撓膜体とタブ材と丸棒材の配設状況を示す一部を欠除した斜視説明図である。
貯槽等構築物1の上部を被覆しドーム屋根2を構築するために貯槽等構築物1に充填したエアーにてドーム形状に張設する可撓膜体5の上面に、可撓膜体の裾部9周縁から天頂部10に向けてタブ材6を一方向に穴の向きを揃えて放射状に配設する。このタブ材6の穴にある程度剛性を有する丸棒材7を挿通する。この丸棒材7の下端部は、可撓膜体5及びテンションテープ(図示せず)を固定するために側壁4の上端部に設ける固定プレート8の上に配置する。
このように、可撓膜体5の上面の裾部9周縁から天頂部10近傍に至るリング状部位に丸棒材7を放射状に配置する。このリング状部位に放射状に配設する丸棒材7は可撓膜体5が外側に向けて膨出するのを抑制する作用を有するとともに可撓膜体5上に打設するモルタル層(図示せず)との結合作用により補強効果を増すことになる。すなわち、可撓膜体5、タブ材6、丸棒材7及びモルタル層(図示せず)との結合性能を向上することができる。
特に、丸棒材7が挿通するタブ材6は丸棒材7と挿通孔6aとに隙間を有しているので、この隙間部分にもモルタルが確実に入り充填され点から線での固定ができるため、可撓膜体5、タブ材6、丸棒材7及びモルタル層相互の結合強度が一層増し、可撓膜体5の垂れ下がりや剥がれの防止、モルタルの脱落防止を図ることができる。
さらに、モルタルの打設作業時の振動はタブ材6と一体となった丸棒材7で線として受けることになるので、振動が抑制されてモルタル層の割れや亀裂の発生を低減することができる。
貯槽等構築物1の上部を被覆しドーム屋根2を構築するために貯槽等構築物1内に充填したエアーにより張設する可撓膜体5の上面に、平面円形裾部9周縁から天頂部10に向けてタブ材6を放射状に配設する。このタブ材6に丸棒材7を挿通する。
丸棒材7は、アーチ状に可撓膜体5の上面裾部9周縁から天頂部10の近傍にわたって、長尺材7aと短尺材7bをそれぞれ放射状に配置する組み合わせにより可撓膜体5の上面を覆い天頂部10を開けて形状保持するように配置するので、可撓膜体5の補強、形状維持を図ることができる。
長尺材7aと短尺材7bの配置割合は、ドーム屋根の径に応じて図2に示すように、長尺材7aと短尺材7bを交互に配置するか、長尺材7aと長尺材7aとの間に複数本の短尺材7bを配置し、過度な荷重に対する補強と可撓膜体5の裾部9周縁の過度な膨出を抑制して所定の曲率を有するドーム形状を維持する。
長尺材7aと短尺材7bのそれぞれは,運搬、輸送上の観点及び加工上等の観点から所定長の長さを溶接等の手段により接続して使用する。
なお、図示はしないが、ドーム屋根の径が大きい場合は、可撓膜体の裾部から離れた位置に、複数本の円周リング状にタブ材及び丸棒材を配設して、側壁上端部近傍の屋根裾部周縁の強度を向上させ膨らみの抑制をさらに図るようにする。
タブ材6の配置は、可撓膜体5の裾部近傍のモルタル層の肉厚部は密に入れ、それより天頂部にかけては一定間隔で配置することにより、可撓膜体5のモルタル荷重による垂れ落ちや局部的変形を防止する。このように、モルタル層の肉厚部となる可撓膜体5の裾近傍部以外の箇所でタブ材6の配置を比較的粗にした理由は、貯槽内のエアーを昇圧調整しながら可撓膜体5を所望するドーム形状に形成する際に、可撓膜体5の自由な動きや膨らみが確保されるようにするためである。
丸棒材7は、例えば錆防止の観点から亜鉛メッキ鉄線(本例では直径5mm〜10mmを採用したがその使用状況に応じてこの範囲を超える場合であってもよい。)を用いる。
可撓膜体5とタブ材6を挿通する丸棒材7とモルタル層(図示せず)との一体化により、ドーム屋根2の補強が図られるとともにドーム屋根の形状維持を図ることができる。丸棒材7は腐食防止が施され、可撓膜体5上に配置されモルタル層に埋設される金網(図示せず)との緊結用にも使用する。
丸棒材7は、強度、補強を考慮してある程度剛性を有する金属棒状材が好適であるが、ある程度剛性が確保され、機械的強度及び曲げ強度があれば他の形状素材であっても良い。特に、前記条件を備え、かつ軽量であるならば可撓膜体5にとっても好ましい。
エアーによって張設された可撓膜体5の上面に、平面円形裾部9周縁から天頂部10に向けて環状のタブ材6を配列する。このタブ材6に丸棒材7を挿通する。この丸棒材7の下端部は、可撓膜体5及びテンションテープ(図示せず)を固定するために側壁4の上端部に設置した固定プレート8の上に配置する。
このように、環状のタブ材6に丸棒材7を通して配設することにより、タブ材6の穴が潰れて寝た状態で可撓膜体5の表面にくっ付くことがなく確りと立ち上がるためタブ材6の内部にもモルタルが入り込み、さらにモルタル内に位置する金網(図示せず)と可撓膜体5との隔接距離が保持されスペーサの役割を果たすこととなり、金網下部にモルタルが確りと入り込むとともに、金網上部のモルタルのかぶり距離をも確保する。
タブ材6と丸棒材7との結束は、結束材11を用いてタブ材6の最下部及び丸棒材7のラップ部分近傍だけとし、他の部分は結束することなく動きを自在とし、エアーの昇圧による可撓膜体5の所定の伸びを妨げないようにする。このように結束材11によりタブ材6と丸棒材7との結束箇所を特定したのは、上記可撓膜体5の動きを拘束することなく可撓膜体5の裾部上に丸棒材7を確りと配置させるためである。
タブ材6は可撓膜体5と同等部材、或いは平織り繊維材を用いて環状にして、丸棒材7が遊嵌状に挿通できるように形成する。
このように、タブ材6に丸棒材7を通して配設することにより、タブ材6が潰れることがない。また、丸棒材7を挿通するタブ材6は、丸棒材7と挿通孔6aとの間に隙間を有し、この隙間部分にもモルタルが充填されて線状に一体化が図れるため、可撓膜体5、タブ材6、丸棒材7及びモルタル層相互の結合強度が一層増す。
可撓膜体5を傷めず可撓膜体5の取付けの作業性が良く、適正に施工することができ、配列及び連結作業もやり易く、作業能率良く施工することができる。
可撓膜体5の上面裾部9から天頂部10に向けて放射状に丸棒材7を配設することにより、可撓膜体5の裾部9から天頂部10に至るドーム屋根2の補強と、ドーム屋根2の形状維持を図ることができる。そして、可撓膜体5とモルタル層との一体化を図ることができる。
2 ドーム屋根
3 底版
4 側壁
5 可撓膜体
6 タブ材
7 丸棒材
8 固定プレート
9 裾部
10 天頂部
11 結束材
101 貯槽
102 ドーム屋根
103 底版
104 側壁
105 可撓膜体
106 送風機
107 タブ材
108 金網
109 モルタル
Claims (3)
- 貯槽等構築物の上部を被覆しドーム屋根を構築するエアードーム工法において、該ドーム屋根を構成する最下部に位置する可撓膜体は前記貯槽等構築物内のエアーにてドーム形状に張設され、該張設された可撓膜体の上面に、タブ材を可撓膜体の裾部周縁から天頂部に向けて、裾部周縁から所定範囲は密に設けて放射状に配設し、該タブ材に剛性素材からなる丸棒材を挿通し、該丸棒材の下端部は側壁上端部の固定プレートの上に配置し、該丸棒材の配置は可撓膜体の裾部周縁から天頂部の近傍まで配設し、該放射状に間隔をおいて配設した丸棒材は可撓膜体裾部から天頂部まで打設したモルタル層に埋設することを特徴とするエアードーム工法における可撓膜体へのタブ材と丸棒材の配設構造。
- 上記丸棒材は、アーチ状に可撓膜体の裾部周縁から天頂部近傍にわたって放射状に配設した長尺材と、可撓膜体の裾部周縁から天頂部に向かう途中まで放射状に配設した短尺材とを組み合わせて可撓膜体の上面を覆い天頂部を開けて所望曲率のドーム形状に保持するように配置することを特徴とする請求項1記載のエアードーム工法における可撓膜体へのタブ材と丸棒材の配設構造。
- 上記丸棒材は、モルタルとの結合が良好な亜鉛メッキ鉄線等の金属製丸棒材を用いて、金網との緊結用にも使用し、金属製丸棒材とタブ材との結束はタブ材最下部及び金属製丸棒材のラップ部分近傍として、昇圧による可撓膜体の所定の伸びを妨げないように形成するものであることを特徴とする請求項1又は2記載のエアードーム工法における可撓膜体へのタブ材と丸棒材の配設構造。
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