上記した特許文献1の構成にあっては、特別始動記憶表示装置の保留灯を特殊な点灯態様で発光することによって、その保留灯の示す未消化の特別始動記憶データが消化されると、当り(又はリーチ)発生することを遊技者に予見させる。この当り発生の予見によって、遊技者は、当り発生する可能性があることを知得するため、当該特別始動記憶データの消化による図柄生成行程が確定するまで、所謂ムダ球の発生を抑制することを目的として遊技球の発射を停止してしまうことがある。具体的には、特別始動記憶数表示装置の表示ランプが三個点灯しており、その三個目の表示ランプが赤色(当り予見する点灯態様)で点灯していた場合には、その赤色点灯した三個目の表示ランプが消灯することにより実行する図柄生成行程が確定するまで、遊技球を発射停止してしまう。
このような遊技球の発射停止は、遊技者にとってはムダ球の発射を抑制できるという利点があるものの、遊技場にとってはパチンコ遊技機の稼働率低下となるため不利益を被ることとなってしまう。そのため、上記のような当り発生を予見させる機能を有しつつ、遊技者による発射停止を抑制できるものが求められている。
本発明は、未消化の特別始動記憶データに基づいて当り発生を予見させる予見演出を行うようにしていると共に、当該予見演出中にあっても遊技者による発射停止を抑制し得るパチンコ遊技機を提案するものである。
本発明は、特別図柄を変動表示する特別図柄表示装置と、遊技球の入賞を検知する球検知手段を具備する特別始動口と、特別始動口の球検知手段が遊技球を検知することにより、特別図柄の変動態様及び停止図柄態様を定めるための特別始動記憶データを、予め設定された上限記憶数まで生成して記憶する特別始動記憶生成手段と、前記特別始動記憶データを順次消化することにより、該特別始動記憶データに基づいて特別図柄を特別図柄表示装置で変動して、当り又はハズレを確定する停止図柄態様で停止する一連の図柄生成行程を実行する特別図柄制御手段と、該図柄生成行程で当り停止図柄態様が確定した場合に、大入賞口を所定態様で開閉する特別遊技作動を実行する遊技制御手段とを備えたパチンコ遊技機において、前記特別図柄制御手段により消化されていない未消化の特別始動記憶データを、その消化前に当落判定する先行判定手段と、該先行判定手段の当落判定結果に基づいて、当該特別始動記憶データの消化による図柄生成行程の開始前に、当該図柄生成行程の当落結果を遊技者に予見させる予見演出を継続的に実行する予見演出手段と、遊技球の発射を検知する球発射検知手段と、前記予見演出手段により予見演出を実行している際に、球発射検知手段による遊技球検知に基づいて所定の発射中断条件が成立すると、前記予見演出の実行を中断する予見中断手段とを備えていることを特徴とするパチンコ遊技機である。
ここで、予見中断手段の発射中断条件としては、遊技球の発射が実質的に停止した状態を判定するための条件であって、球発射検知手段により検知する遊技球の発射数や、球検知手段により遊技球検知する時間等に基づいて設定することができる。例えば、所定の単位時間中に検知する遊技球発射数が、予め設定された下限発射数以下となった場合に、発射中断条件が成立するように設定することができる。又は、遊技球の発射を検知しない時間を計測し、当該時間が予め設定された非検知時間を越えた場合に、発射中断条件が成立するように設定してもよい。
また、予見中断手段としては、未消化の特別始動記憶データ毎に実行するようにしても良いし、全ての未消化の特別始動記憶データについて実行するようにしても良い。すなわち、前者の場合には、未消化の特別始動記憶データ毎に発射中断条件を設定して、夫々の発射中断条件の成立により、各特別始動記憶データの予見演出を個別に中断する。一方、後者の場合には、発射中断条件が成立すると、予見演出を実行している未消化の特別始動記憶データについて、全ての予見演出を中断する。
上記した本発明の構成にあっては、先行判定手段により未消化の特別始動記憶データについての予見演出を実行している際に、遊技者が遊技球の発射を止めると、予見演出を実行中断するようにしている。ここで、予見演出は、遊技者が最も望む当りを予見させるものであることから、遊技者が予見演出の中断を望まない。そのため、遊技者は、予見演出が中断しないように、遊技球の発射を止めないようにする。換言すれば、本構成は、遊技球を継続して発射することを遊技者に促すことができる。これにより、未消化の特別始動記憶データがある場合に、ムダ球の発生を抑制することを目的とした遊技球の発射停止を、遊技者に止めさせることができ、継続して遊技球を発射させ得る。したがって、予見演出の実行中に遊技球が発射停止されることによって生ずるパチンコ遊技機の稼働率低下を抑制することができ、これに伴って遊技場の被る不利益を低減することができる。
本構成にあって、予見演出手段による予見演出としては、未消化の特別始動記憶データをその点灯により表示する保留灯を、予め設定した予見演出用の発光態様によって表示するようにすることが好適である。例えば、予見演出しない場合には前記保留灯を白色で発光することにより、未消化の特別始動記憶データが記憶されていることを報知する。そして、上記の先行判定手段による当落判定結果を予見させる予見演出として、前記白色と異なる特定色(例えば、青色等)により発光する。このように前記保留灯を特定色で発光させる発光態様によって予見演出を行い、当該予見演出により遊技者に当落結果を予見させることができる。尚、予見中断手段により、前記特定色で発光した予見演出を中断する場合には、保留灯を特定色から白色に変更する。これにより、保留灯として未消化の特別始動記憶データがあることを報知する働きを維持しつつ、予見演出を中断することができる。
また、先行判定手段としては、特別始動記憶データの発生に伴ってその当落判定を行うようにしても良いし、該発生後に所定期間を経過すると(又は所定条件が成立すると)、当落判定を行うようにしても良い。また、予見演出手段としては、特別始動記憶データを消化する前であれば、その特別始動記憶データの発生と共に、前記先行判定手段を実行してその当落判定結果に基づいて予見演出を実行してもよい。又は、特別始動記憶データの発生後に所定期間を経過すると(又は所定条件が成立すると)、予見演出を行うようにしてもよい。
また、球発射検知手段としては、遊技球を発射する作動を検知するものであっても良いし、又は、発射された遊技球を検知するものであっても良い。例えば、前者の場合には、発射ハンドルの作動や駆動装置などの作動を検知するものがある。一方、後者の場合には、発射された遊技球を検知するセンサやスイッチ等がある。この遊技球を検知するセンサやスイッチは、遊技球が通過する通路(例えば、レール上等)に配設されるものや、各種入賞口や始動口やアウト口に配設されるものとしても良い。
上述したパチンコ遊技機にあって、予見中断手段は、予見演出を中断している際に、球発射検知手段による遊技球検知に基づいて所定の発射復帰条件が成立すると、前記予見演出を再開するようにしている構成が提案される。
ここで、発射復帰条件としては、遊技球の発射が実質的に再開された状態を判定するための条件であって、球発射検知手段により検知する遊技球の発射数や、球検知手段により遊技球検知する時間等に基づいて設定することができる。例えば、球発射検知手段により遊技球の発射を確認した場合を、発射復帰条件として設定することができる。又は、所定の単位時間中に検知する遊技球発射数が、予め設定された発射復帰数を越えた場合に、発射復帰条件が成立するように設定してもよい。又は、遊技球の発射を検知しない時間が、上記した非検知時間より短くなった場合に、発射復帰条件が成立するように設定してもよい。
かかる本構成にあっては、上記したように発射中断条件の成立に伴って予見演出を中断している際に、遊技球の発射が再開されると、予見演出を再開するようにしている。このように、遊技球の発射停止により中断した予見演出を、遊技球の発射再開に伴って再開実行するようにしていることから、遊技者は、再開実行した予見演出による遊技の趣向性を享受することができる。また、予見演出の再開によって、遊技球の発射停止により予見演出が中断することを、遊技者に明確に知得させることができるため、その後の遊技球発射停止を抑制する効果が高い。
尚、発射復帰条件が成立すると、予見演出を再開すると共に、上記した発射中断条件に設定されている設定値(例えば、遊技球発射数や非検知時間を計測するための時間等)をリセットするようにしている構成が好適に用いられ得る。また、発射復帰条件についても、その設定値を同様にリセットするようにしてもよい。
上述したパチンコ遊技機にあって、予見中断手段は、発射中断条件の成立開始から、予め設定された上限休止時間が経過すると、予見演出を再開しないようにしている構成が提案される。
かかる構成にあっては、予見演出を中断している期間が上限休止時間よりも長くなった場合に、その予見演出を再開しないようにしたから、当該場合には遊技者が正常に遊技を継続していれば得られた予見演出の利益を供与しない。これにより、遊技者に、遊技球発射停止によって生ずる不利益を一層明確に知得させることができるため、遊技球発射を強く促すことができ、パチンコ遊技機の稼働率を高める効果が向上する。
尚、このように上限休止時間が経過した後にあっても、例えば、未消化の特別始動記憶データが存在せず且つ図柄生成行程が実行していない場合には、所定の再開条件の成立に伴って、次に発生した未消化の特別始動記憶データから順次予見演出を行うようにしてもよい。これにより、例えば、遊技者が交替した場合にあって、次の遊技者が予見演出による利益を適正に享受できることとなる。
上述したパチンコ遊技機にあって、予見演出手段は、予め設定された複数段階の信頼精度に夫々割り当てられた複数の予見演出態様を、各信頼精度毎に先行判定手段の当落判定結果に基づいて選択し、予め設定された予見変換条件が成立すると、前記信頼精度の低い方から順に選択した予見演出態様に変換して予見演出を実行するようにしている構成が提案される。
かかる構成にあっては、予見演出が、予見変換条件の成立により信頼性の高い予見演出態様に変換するため、この変換によって当落判定結果の予見精度が向上する。これにより、遊技者に、信頼性の高い予見演出が実行されることを強く期待する感情を誘起させ得る。そのため、遊技者には、遊技球を発射停止して予見演出が中断してしまうことを避けようとする意識が一層強く生じ易く、遊技球の発射を継続して行い易くなる。したがって、本構成によれば、パチンコ遊技機の稼働率低減を抑制するという、上記した本発明の作用効果が一層向上する。
本構成にあっては、予見変換条件を複数設定し、各予見変換条件が夫々に成立する毎に、信頼精度の高い予見演出態様に順次変換するようにした構成が好適である。すなわち、予見変換条件が成立する毎に、次々と信頼性の高い予見演出が実行される。これにより、遊技者は、より信頼性の高い予見演出を求めて、遊技球を発射停止しない傾向が強くなり得る。また、信頼精度としては、予見演出により予見される当落判定結果の精度(例えば、確率)として示すことができ、換言すれば、予見演出の信頼性である。例えば、信頼精度の低い予見演出態様による予見演出では、これに伴って予見される結果が実際の当落判定結果となる確率が低く、信頼精度の高い予見演出態様による予見演出では、これに伴って予見される結果が実際の当落判定結果となる確率が高くなる。これにより、遊技者は、信頼精度の高い予見演出が実行されることを強く望み、当該予見演出による趣向性を高めることができると共に、上記した遊技球の発射停止を抑制して稼働率低減を抑制するという作用効果が一層向上する。
尚、予見変換条件としては、予見演出するための予見演出態様を変換するタイミングを決めるための条件であって、遊技球の発射数、遊技球を発射している時間等により様々に設定することができる。また、この予見変換条件は、未消化の特別始動記憶データ毎に設定して夫々に予見演出を制御実行するようにしてもよいし、未消化の特別始動記憶データの全データを一つの条件により設定して予見演出を制御実行するようにしてもよい。
このようなパチンコ遊技機にあって、予見演出手段の予見変換条件は、特別始動記憶データを生成後に特別始動口の球検知手段により検知する遊技球の生成後入賞数が、予め設定された複数の変換入賞数に達することとしている構成が提案される。
かかる構成にあっては、生成後入賞数が変換入賞数に達する毎に、予見変換条件が成立して、信頼精度の高い予見演出態様による予見演出を実行する。そのため、未消化の特別始動記憶データがある場合には、遊技者が次の入賞を得るために遊技球の発射を継続することとなり易く、稼働率低減を抑制する本発明の作用効果が一層向上する。
ここで、変換入賞数としては、未消化の特別始動記憶データを記憶する上限記憶数を設定している構成の場合、その上限記憶数に基づいて設定してもよいし、該上限記憶数と無関係に設定することもできる。また、変換入賞数は、未消化の特別始動記憶データ毎に設定しているものとしても良いし、未消化の特別始動記憶データの全てを通じて設定しているものとしても良い。さらに、生成後入賞数は、上記のように予見復帰手段を備えた構成の場合に、中断した予見演出を再開する際に、生成後入賞数をリセットするように処理しても良いし、中断前の生成後入賞数に累積加算するように処理しても良い。
本発明は、上述したように、先行判定手段により未消化の特別始動記憶データを当落判定した結果に基づいて、予見演出手段により予見演出を実行すると共に、該予見演出の実行中に発射中断条件が成立すると、予見中断手段により前記予見演出の実行を中断するようにしたものであるから、予見演出が中断しないようにするために、遊技者に遊技球の継続的な発射を促すことができる。したがって、未消化の特別始動記憶データがある場合に、遊技球の発射停止を抑制することができ、これに伴って、パチンコ遊技機の稼働率低減を抑制できる。そして、この稼働率低減によって遊技場が被る不利益を低減することもでき得る。
上述したパチンコ遊技機にあって、予見中断手段が、予見演出を中断している際に、所定の発射復帰条件が成立すると、前記予見演出を再開するようにしたものである構成の場合には、予見演出の中断と再開とを遊技者に十分に知得させることができるため、遊技球発射停止を抑制するという本発明の作用効果が一層向上する。
上述したパチンコ遊技機にあって、予見中断手段が、発射中断条件の成立開始から上限休止時間を経過すると、予見演出を再開しないようにしたものである構成の場合には、予見演出が再開しないという遊技球発射停止に伴う不利益を、遊技者に一層明確に知得させ得ることから、遊技球の発射を促す作用が一層向上し、上記した本発明の作用効果がさらに向上する。
上述したパチンコ遊技機にあって、予見演出手段は、複数の信頼精度毎に、先行判定手段の当落判定結果に基づいて予見演出態様を選択し、所定の予見変換条件が成立すると、前記信頼精度の低い方から順に予見演出態様に変換するようにしたものである構成の場合には、予見変換条件の成立によって信頼性の高い予見演出が実行されるため、遊技者に、信頼性の高い予見演出が実行されることを期待する感情を誘起できる。これにより、上記した予見演出の中断による遊技球発射促進効果を、相乗的に高めることができるため、稼働率低減を抑制するという本発明の作用効果が一層向上する。
ここで、予見変換条件を、特別始動記憶データを生成後に発生する生成後入賞数が所定の変換入賞数に達することとした構成の場合にあっては、信頼性の高い予見演出の実行を求めて遊技者が遊技球発射を継続する傾向が強くなるため、稼働率低減を抑制する本発明の作用効果が一層向上する。
本発明の実施例を、添付図面を用いて詳述する。
パチンコ遊技機1は、図1,2に示すように、遊技島設備(図示省略)に固定される外枠2と、この外枠2の前面開口部を覆う遊技機本体3とからなる。遊技機本体3は、中央上部の略円形の開口部に遊技盤10(図3参照)が取り付けられた前枠5を備え、この前枠5の一側縁がヒンジ部材4を介して外枠2に開閉可能に枢着されている。さらに前枠5には、遊技盤10を覆うガラス板6が設けられている。また、前枠5の下部には、上受皿7と下受皿8とが上下に列設されており、下受皿8の右側方に発射ハンドル9が突設される。
上記の遊技機本体3には、前枠5により隠蔽されるようにして、遊技球を発射する球発射装置36が配設されている(図2参照)。この球発射装置36は、遊技球を打圧する発射鎚(図示省略)と、該発射鎚を駆動するロータリーソレノイド(図示省略)と、打圧された遊技球を後述する遊技領域12(図3参照)へ向けて案内する発射レール(図示省略)等を備えてなるものであり、上記した発射ハンドル9の回動操作角度に応じた強度で遊技球を1球ずつ遊技領域12へ打圧発射する。また、この球発射装置36には、上記した上受皿7に貯留する遊技球を一個づつ供給するようになっている。ここで、上受皿7には、その左側内部に、賞球や貸球を流出する球払出口15が開口し、右側内部に、遊技球を整列する整列部(図示省略)が形成され、該整列部の右端に遊技球を球発射装置36へ供給するための球流入口(図示省略)が開口している。
図3は、上記した遊技盤10の正面図である。遊技盤10の前面には、ガイドレール11によって略円形の遊技領域12が区画形成されており、遊技領域12の中央には、各種遊技部材を組み込んだセンターケース13が配設される。この遊技領域12を、上記した球発射装置36により発射された遊技球が転動流下する。
センターケース13には、液晶表示器からなる図柄表示装置14が組み付けられている。この図柄表示装置14の画面には、各種演出画像や特別図柄A,B,C等が表示される。ここで、特別図柄A,B,Cは、後述する可変入賞装置21の特別始動口22に遊技球が流入することにより変動開始し、その後停止した各特別図柄の組合せからなる停止図柄態様により当り又はハズレを確定する。この特別図柄A,B,Cの変動開始から停止して停止図柄態様を確定するまでが、本発明にかかる図柄生成行程である。そして、当り停止図柄態様で確定停止すると、後述する大入賞口26を所定回数開閉する特別遊技作動を行い、大入賞口26への遊技球入賞により多くの賞球を払い出す。この特別遊技作動の実行中は、多量の賞球を得ることができる機会であるため、該特別遊技作動を実行する契機となる特別図柄A,B,Cの当り停止図柄態様の確定は、遊技者により最も望まれており、特別図柄A,B,Cを変動開始する契機となる特別始動口22への入賞を狙って遊技球の発射操作が遊技者により行われる。尚、特別遊技作動の実行中では、前記した図柄生成行程は実行されず、図柄生成行程は、特別遊技作動を実行していない遊技状態(通常遊技状態)で実行される。
このセンターケース13の下部には、四個の保留灯17a〜17dを備えた特別始動記憶数表示装置17と、四個の保留灯(図示省略)を備えた普通始動記憶数表示装置18とが夫々に設けられている。特別始動記憶数表示装置17は、後述する可変入賞装置21の特別始動口22に遊技球が連続して流入した場合に、該特別始動口22への流入毎に発生する特別始動記憶データの特別始動記憶数(所謂、未消化数)Pを、その保留灯17a〜17dの点灯数によって表示する。また、普通始動記憶数表示装置18は、後述する普通図柄(図示せず)を変動する普通始動記憶データの普通始動記憶数を、その保留灯の点灯数によって表示する。ここで、特別始動記憶データと普通始動記憶データとの各始動記憶数は、それぞれ四個を上限記憶数として設定している(図4参照)。
上記センターケース13の左右側方には、普通図柄始動ゲート(普通図柄始動領域)19,19が配設されており、遊技球の通過により、各普通図柄始動ゲート19に設けられた普通図柄始動スイッチS2 (図4参照)から遊技球検出信号が発生すると、図柄表示装置14の表示画面で普通図柄(図示せず)が変動し、所定時間経過後に停止して種々の組み合わせの図柄態様が表示される。
また、センターケース13の下方には、遊技球を流入可能とする特別始動口22と、左右一対の開閉翼片(図示省略)とを備えた可変入賞装置21が配設されている。この特別始動口22の内部には、遊技球を検知する特別図柄始動スイッチS1(図4参照)が配設されており、該特別図柄始動スイッチS1による遊技球検知に従って、上述したように、図柄表示装置14の画面で特別図柄A,B,Cを変動開始する。すなわち、この特別図柄始動スイッチS1により、本発明の球検知手段が構成されている。また、左右一対の開閉翼片は、上下方向に起立して一個の遊技球が上方から入賞可能な間隔となる起立位置と、該起立位置から左右両側に逆ハ字形に拡開して遊技球の入賞を容易とする傾動位置とに変換駆動されるようになっている。そして、前記普通図柄(図示せず)の表示結果が所定の当り図柄態様の場合には、普通電動役物ソレノイド(図示せず)を駆動源として開閉翼片が所定時間(約 0.2秒間)傾動位置に拡開されて、特別始動口22に遊技球が入り易い状態となる。
さらに、可変入賞装置21の下方には、大入賞口26を有する特別電動役物25が配設されている。この特別電動役物25は横長矩形状の開閉片27を具備し、内蔵された大入賞口ソレノイド(図示せず)により開閉片27を開閉駆動制御することによって大入賞口26が開放状態又は閉鎖状態に変換される。この特別電動役物25は、上記した図柄表示装置14の画面で変動表示した特別図柄A,B,Cが所定の当り停止図柄態様で確定表示された場合(大当りの場合)に、大入賞口26を開閉作動する。この大入賞口26の開閉作動としては、開閉片27が前方に傾倒して開き、その開放状態で開閉片27の上面の案内作用を介して、大入賞口26内へ遊技球を案内するとともに、所定開放時間(例えば30秒)の満了、またはその所定開放時間中における所定個数(例えば 9個)の遊技球の入賞により開閉片27を起立して大入賞口26が閉鎖される開閉ラウンドを、所定制限回数(本実施例にあっては15回)行う。これにより、開放状態の大入賞口26に多量の遊技球が入賞し、遊技者に所定の利益が供与される。この特別電動役物25の内部には入賞した遊技球を検知するカウントスイッチS3(図4参照)が設けられている。このように、特別図柄A,B,Cが所定の当り停止図柄態様で確定表示されると、特別電動役物25を作動する特別遊技作動を実行する。そして、この特別遊技作動は、大入賞口26を開閉する開閉ラウンドが所定制限回数(15回)に達することにより終了する。
その他、遊技領域12には、複数の一般入賞口58が配設されており、その内部に設けられた一般入賞スイッチS4(図4参照)による遊技球の入賞検知に伴って、所定数の賞球が払い出される。
尚、本実施例にあって、上記した可変入賞装置21の特別始動口22が、本発明の特別始動口であり、特別始動口22内の特別図柄始動スイッチS1が、本発明にかかる球検知手段である。また、センターケース13の図柄表示装置14が、本発明の特別図柄表示装置であり、図柄表示装置14で変動する特別図柄A,B,Cが、本発明の特別図柄である。
次に、上述のパチンコ遊技機1の制御回路について、図4に示すブロック図に従って説明する。
制御回路には、主制御基板80、払出制御基板81、演出制御基板82、電源基板83、発射制御基板84が配設されている。主制御基板80は、マイクロコンピュータにより構成されており、パチンコ遊技機1の遊技を統括的に制御するものである。そして、この主制御基板80には、上記した特別図柄始動スイッチS1、普通図柄始動スイッチS2、カウントスイッチS3等の各種スイッチや各種センサが盤面中継端子板90を介して接続されている。
主制御基板80には、各種スイッチやセンサなどからの入力信号に従って演算処理を実行して所定の指令信号を出力する中央制御装置CPU、演算処理に用いる制御プログラム等を格納する記憶装置ROM、必要なデータを随時読み書き可能な記憶装置RAMが、データを読み書きするアドレスを指定する情報を一方的に伝えるアドレスバス(図示省略)と、データのやり取りを行うデータバス(図示省略)とを介して接続され、主制御基板80の基板回路を構成している。前記記憶装置ROMには、制御プログラムや、普通当り乱数テーブル、普通当り図柄乱数テーブル、大当り乱数テーブル、大当り図柄乱数テーブル、ハズレ図柄乱数テーブル、リーチ乱数テーブル、リーチ図柄乱数テーブル、変動態様乱数テーブル等の固定データが格納されている。そして、後述するように特別始動口22に遊技球が流入して特別図柄始動スイッチS1がON作動すると、中央制御装置CPUによって各乱数テーブルの乱数値の抽選が行われ、大当り乱数値、大当り図柄乱数値、ハズレ図柄乱数値、リーチ乱数値、リーチ図柄乱数値、変動態様乱数値等が選出される。また、記憶装置RAMには、特別図柄始動スイッチS1 ,普通図柄始動スイッチS2 のON作動数等が一時的に記憶される記憶エリア、ソフトタイマを構成するレジスタ領域及びワークエリア等が設けられている。
ここで、上記した各乱数テーブルから抽出する各乱数値について詳述する。
大当り乱数テーブルは0〜299の範囲の値により構成されており、特別図柄始動スイッチS1がON作動した時点で前記範囲から大当り乱数値が抽出される(後述する入賞検知処理)。そして抽出された大当り乱数値は、所定の当選値と比較され、抽出された大当り乱数値が当選値と一致していた場合には「当り(特別図柄の当選)」判定し、不一致であった場合には「ハズレ」判定する(後述する特別図柄処理)。ここで、当選値としては、当選確率が1/100(低確率)又は1/10(高確率)とのいずれかを有効とするように夫々設定している。そして、当選確率を高確率とする制御処理としては、一般的に確変遊技として知られており、本実施例にあっても同様の制御処理を適用することができるため、その詳細については省略する。
上述したように、特別図柄始動スイッチS1をON作動した時点で、大当り乱数値、大当り図柄乱数値、ハズレ図柄乱数値、リーチ乱数値、リーチ図柄乱数値、変動態様乱数値等を抽出し、これらにより一セットの特別始動記憶データを生成し、記憶装置RAMに記憶する(後述する入賞検知処理)。特別始動記憶データをその発生順に従って記憶し、その特別始動記憶数(未消化数)Pを上記した特別始動記憶数表示装置17の保留灯17a〜17dの点灯数によって報知する。そして、最先に記憶された特別始動記憶データから順に消化して、当該特別始動記憶データを構成する各乱数値に従って、特別図柄の変動開始から確定停止に至る一連の図柄生成行程を、上記した図柄表示装置14で表示実行する(後述する特別図柄処理)。
また、主制御基板80の基板回路には、所定のクロックパルスを出力するクロック装置(図示省略)が設けられ、中央制御装置CPUに接続されている。そして中央制御装置CPUは一定間隔のクロックパルスによって、時系列的に演算処理を行い、一連の処理作動を順次実行する。また、このクロック装置により出力されたクロックパルスをカウントして時間を計測するタイマーTMも接続されている。
さらに、上記主制御基板80の基板回路には、中央制御装置CPUが周辺機器とデータ通信を行う入力ポート(図示省略)及び出力ポート(図示省略)が設けられており、該出力ポートを介して主制御基板80からの指令信号が、払出制御基板81、演出制御基板82、発射制御基板84の各入力ポートに向けて発信されるようになっている。また、主制御基板80の入力ポートには、盤面中継端子板90を介して、特別図柄始動スイッチS1、普通図柄始動スイッチS2、カウントスイッチS3、一般入賞スイッチS4が接続されている。そして、主制御基板80は、所定時間毎(例えば2ms毎)に各スイッチS1 〜S4の遊技球検出状態を調べ、信号入力があるとその信号が波形整形回路により波形整形されて中央制御装置CPUに入力され、その情報を記憶装置RAMに記憶する。また、主制御基板80の出力ポートには、盤面中継端子板90を介して大入賞口ソレノイド,普通電動役物ソレノイドが接続されており、中央制御装置CPUが所定の条件を選出した場合に作動される。
また、主制御基板80の中央制御装置CPU及び上記した各制御基板81〜84に設置されている各中央制御装置CPUは、所定のデータ処理を行う演算ユニット(ALU)を連成した演算装置と、この演算装置に入出力するデータや読み込んだ命令を保管しておくレジスタと、命令を解読するデコーダ等によって構成されている。尚、前記演算ユニットの連成数によって、各中央制御装置CPUの演算処理能力が決まる。そして、主制御基板80の中央制御装置CPUは、所定の形式で生成した指令信号を各制御基板81〜84に夫々送信し、各制御基板81〜84の中央制御装置CPUがこの指令信号に従って所定の制御を処理実行することとなる。
一方、上記した演出制御基板82は、上述した図柄表示装置14の駆動制御や、各種スピーカから音響を発する制御や、各種ランプおよびLEDを発光する制御などを行うものである。そして、この演出制御基板82には、図柄表示装置14を構成する液晶表示器(図示省略)と、各種LED(およびランプ)をLED中継端子板87を介して発光制御する発光制御基板86と、スピーカが接続された演出中継端子板(図示省略)とが夫々に接続されている。また、演出制御基板82にも、上述した主制御基板80と同様に、中央制御装置CPU、記憶装置ROM、記憶装置RAMを備えている。このような演出制御基板82は、主制御基板80から受信した演出制御指令信号に従って、図柄表示装置14による演出画像の表示、各LEDの発光、スピーカの発音を制御実行する。ここで、上記した特別始動記憶数表示装置17の保留灯17a〜17dと普通始動記憶数表示装置18の保留灯(図示省略)とが、前記LED中継端子板87を介して発光制御基板86に接続されている。そして、特別始動記憶数表示装置17の保留灯17a〜17dは、本発明の要部にかかるため、その詳細については後述する。
また、払出制御基板81は、賞球や貸球を払い出す球払出装置(図示省略)を駆動制御するものである。この払出制御基板81は、主制御基板80から受信した払出指令信号に従って上記した球払出装置を駆動して、所定の賞球を払い出す制御を実行する。
また、発射制御基板84は、上記した発射ハンドル9の操作に従って、上記した球発射装置36を駆動制御することにより、遊技球を発射制御するものである。尚、発射制御基板84も、上記した主制御基板80と接続されており、主制御基板80から所定の指令信号を入力すると、それに従って駆動制御するようにもなっている。
また、上述した電源基板83は、外部電源から供給された電力を、所定の電圧に変換して、上述した主制御基板80、払出制御基板81、演出制御基板82(および発光制御基板86)、発射制御基板84に送電するものである。電源基板83には、外部電源からAC24Vの電流が送電される。そして、このAC24Vを、DC32V、DC12V、DC5Vに変換する回路が夫々配設されている。さらに、過剰の電流が流れないようにする過負荷保護回路、リセット回路、バックアップ用コンデンサ(バックアップ電源)などが配設されている。
この電源基板83からDC32V、DC12V、DC6Vの各電力を夫々供給された主制御基板80、払出制御基板81、演出制御基板82(および発光制御基板86)、発射制御基板84は、夫々が駆動制御するモータ、ソレノイド、スイッチ、センサ、LED、スピーカ、表示装置などに所定の電力を分配する。
次に、図4に示した制御回路による制御態様をパチンコ遊技機1の作動に従って説明する。
上記した発射ハンドル9が遊技者によって操作されることにより、球発射装置36を駆動制御して遊技球を遊技領域12に発射する。この遊技球が普通図柄始動ゲート19を通過し、普通図柄始動スイッチS2 がON作動すると、主制御基板80は入賞検知処理(図5参照)により普通当り乱数値を選出する。そして、この普通当り乱数値を判定する処理(図示せず)を行い、演出制御基板82により、図柄表示装置14で普通図柄(図示省略)を図柄変動する普通図柄処理(図示せず)を行い、選出した普通当り乱数値(普通始動記憶データ)に従って、普通図柄を確定停止する。ここで、普通図柄が当り図柄態様で確定停止した場合には、普通電動役物処理(図示せず)により、可変入賞装置21の開閉翼片(図示省略)を傾動位置に拡開する制御を行う。
遊技領域12を転動流下した遊技球が可変入賞装置21の特別始動口22に流入すると、図5の入賞検知処理により、特別図柄始動スイッチS1がON作動し、このON作動による入力信号を受け取った主制御基板80は、上記した各乱数値を抽出して特別始動記憶データを記憶する処理を行う。ここで、主制御基板80の中央制御装置CPUは、記憶装置ROMに記憶されている大当り乱数テーブル、大当り図柄乱数テーブル等から抽選によって、大当り乱数値、大当り図柄乱数値などを夫々に抽出し、これら各乱数値を一セットの特別始動記憶データとして、記憶装置RAMに一旦記憶保持する処理を行う。このように特別始動記憶データを記憶することによって、いわゆる特別始動記憶が発生する。
尚、遊技球が連続的に特別始動口22に流入した場合には、特別図柄始動スイッチS1がON作動する毎に、上記により各乱数値を選出して特別始動記憶データを順次発生し、その発生順に記憶装置RAMに記憶保持すると共に、特別始動記憶数表示装置17の保留灯17a〜17dをその特別始動記憶数(未消化数)Pに応じて順次点灯する保留数表示処理を行う。この特別始動記憶数Pは、最大四個(上限記憶数)と設定されていることから、未消化の特別始動記憶データが四個記憶されている状態(保留灯17a〜17dが全て点灯している状態)で、新たに特別始動口22へ遊技球が流入しても特別始動記憶データを発生しない。
そして、主制御基板80は、記憶装置RAMに未消化の特別始動記憶データを記憶している場合には、発生順にその特別始動記憶データを消化して特別図柄A,B,Cを変動停止制御する特別図柄処理(図6参照)を行う。すなわち、最先の未消化の特別始動記憶データを読み込み、当該特別始動記憶データの大当り乱数値を判定すると共に、演出制御基板82に指令信号を発信して、該演出制御基板82により特別始動記憶数表示装置17の保留灯17a〜17dを一つ消灯し、特別図柄A,B,Cの図柄変動を開始する。大当り乱数値の判定によって当りと判定した場合には、特別図柄変動停止態様選択処理により、大当り図柄乱数値を選択して当り停止図柄態様を決定し、さらに、その他の乱数値に従って図柄表示装置14で表示される当り図柄変動パターンを選定する。この特別図柄変動停止態様選択処理では、特別図柄A,B,Cの停止図柄態様およびその変動パターン(変動態様)だけでなく、該変動中に表示する演出図柄パターンをも選定する。そして、変動時間計測用のタイマをセットし、特別図柄変動停止態様選択処理で選定した当り図柄変動パターンおよび演出図柄パターンをセットする。このように、記憶装置RAMに記憶している(未消化の)特別始動記憶データを読み込んで、その各乱数値に従って変動パターンなどを選定する処理が、所謂、未消化の特別図柄始動記憶を消化する処理である。これに従って、図柄表示装置14で、特別図柄A,B,Cを当り停止図柄態様で確定停止するまでの一連の図柄生成行程が表示される。一方、大当り乱数値をハズレと判定した場合には、ハズレ図柄乱数値を選択してハズレ停止図柄態様を決定すると共に、その他の乱数値に従ってハズレ図柄変動パターンを選定し、図柄表示装置14で、特別図柄A,B,Cをハズレ停止図柄態様で確定停止するまでの一連の図柄生成行程が表示される。尚、ハズレと判定した場合には、特別図柄変動停止態様選択処理により、上記のリーチ乱数値によりリーチを実行するか否かを判定して、リーチ実行を判定するとリーチ変動パターンも選定する。
上記したように図柄生成行程により当り停止図柄態様を確定表示すると、大入賞口26を開閉作動制御する大入賞口処理(図7参照)を行う。この大入賞口処理により、大入賞口26を開閉する開閉ラウンドを所定回数(15回)行い、上記した入賞検知処理により、大入賞口26に入賞した遊技球をカウントスイッチS3により検知する毎に、所定数の賞球を払い出す処理を行う。この特別遊技作動は、比較的短時間で多くの賞球を獲得することができるため、遊技者に供与される利益も高く、遊技者の最も望む遊技状態の一つとなっている。
また、本実施例にあって、上記の特別図柄A,B,Cとしては、それぞれ「0」〜「9」の各数字からなり、A=B=Cで確定停止した場合に当りとし、これ以外をハズレとする。すなわち、特別図柄A=B=Cが当り停止図柄態様であり、これ以外がハズレ停止図柄態様である。
また、特別始動記憶データは、上述したように、最大四個まで記憶されて、その発生順に消化して図柄生成行程を実行する処理が行われることから、消化する前(未消化)の特別始動記憶データは記憶されて維持されている状態である。
また、上記した特別始動口22、大入賞口26、一般入賞口58へ遊技球が入賞すると、入賞検知処理(図5参照)により、予め設定された賞球数を払い出す払出処理を行う。この払出処理では、各スイッチS1,S3,S4の球検出に従って、夫々の賞球数を払い出すように、上記した払出装置(図示省略)を駆動制御する。
本実施例にあっては、上述したように特別始動記憶データを消化する処理について主に説明したが、その他の処理(例えば、メイン処理など)については、従来の構成と同様に実行できるため、その詳細を適宜省略している。
尚、上記した特別始動口22の内部に配設した特別図柄始動スイッチS1により、本発明にかかる球検知手段が構成されている。上記した球発射装置36により、本発明にかかる球発射手段が構成されている。本発明の遊技制御手段が、上記した主制御基板80により構成されている。上記した入賞検知処理を実行する主制御基板80により、本発明にかかる特別始動記憶生成手段が構成されており、上記した特別図柄処理を実行する主制御基板80と演出制御基板82とにより、本発明にかかる特別図柄制御手段が構成されている。
次に、本発明の要部について説明する。
上記した特別始動記憶数表示装置17の各保留灯17a〜17dは、それぞれ複数色に発光可能なLEDにより構成されている。本実施例にあっては、前記LEDは、白色、黄色、黄緑色、緑色、青色、赤色の六色に発光可能であり、上記したLED中継端子板に接続されており、発光制御基板(図示省略)により発光制御される。尚、保留灯17a〜17dは、各LEDにより夫々発光することによって、上記した未消化の特別始動記憶データの特別始動記憶数(未消化数)Pを報知する。そして、上記した保留数表示処理により白色で発光制御している場合には、前記特別始動記憶数(未消化数)Pのみを報知している。その他の発光色については後述する。
一方、上記した入賞検知処理(図5)では、特別始動口22に流入して特別図柄始動スイッチS1がON作動した場合に、入賞カウントフラグ=1として特別始動記憶データを発生する。そして、図8のように先行判定処理により、未消化の特別始動記憶データについて、その大当り乱数値を当落判定する処理を行う。詳述すると、先行判定処理では、入賞カウントフラグ=1の場合に、直近に記憶されたP番目の未消化の特別始動記憶データを読み込んで、その大当り乱数値を当落判定する。ここで、大当り乱数値が当りである場合には、先行判定値=1とする。また、大当り乱数値がハズレである場合には、リーチ乱数値を判定し、リーチ有りであると、先行判定値=2とし、リーチ無しであると、先行判定値=3とする。そして、P番目の特別始動記憶データを先行判定した先行判定結果データとして、前記先行判定値を記憶する。さらに、複数の未消化の特別始動記憶データが記憶されている場合には、順次同様に先行判定値を決定し、それぞれP番目の先行判定結果データとして生成して記憶する。そして、先行判定結果データを生成する毎に、判定カウントNに「1」加算する。
このような先行判定結果データは、その未消化の特別始動記憶データが上記した特別図柄処理により消化されると、特別始動記憶数Pの減算および判定カウントNの減算と共に、削除される(図6参照)。
尚、先行判定処理では、直近に記憶した未消化の特別始動記憶データについてのみ、先行判定結果データを生成することから、既に先行判定結果データを生成したものについては再度生成することが無い。
上記の入賞カウントフラグ=1であると、図9に示す予見演出処理を実行する。すなわち、本実施例にあっては、この予見演出処理は、特別図柄始動スイッチS1がON作動する毎、換言すれば特別始動口22に入賞する毎に、実行する。尚、入賞カウントフラグ=1であっても、後述する休止フラグ=1の場合、中断フラグ=1の場合、又は上記した判定カウント=0の場合には、入賞カウントフラグ=0として、当該予見演出処理を終了する。ここで、判定カウント=0の場合には、未消化の特別始動記憶データを消化してしまった状態である。
例えば、特別始動記憶データを記憶していない状態で、新たな未消化の特別始動記憶データが記憶されると、予見演出処理では、当該一番目の特別始動記憶データについて、上記の先行判定処理で生成した先行判定結果データを読み込む。そして、その先行判定値に基づいて、予見表示態様を決定する予見決定処理を行う。ここで、本実施例にあっては、予見表示態様として、上記のように、特別始動記憶数表示装置17の保留灯17a〜17dを発光する黄色、黄緑色、緑色、青色、赤色の五色の発光態様が設定されている。この予見表示態様(発光態様)の黄色、黄緑色、緑色、青色は、予め設定された第一から第四の四段階の信頼精度に従って当り予見させるものであり、赤色は、ハズレ予見させるものである。そして、信頼精度は、第一段階の信頼性が最も低く、第四段階の信頼性が最も高いように、順次設定されている。前記の予見決定処理では、所定の乱数テーブルから乱数値を抽出し、当該乱数値を、四段階の信頼精度毎に設定した当り予見値と同じか否かを判定し、その判定結果により前記予見表示態様を選定する。ここでは、一番目の特別始動記憶データについての場合であることから、前記のように抽出した乱数値を最も低い第一の信頼精度(例えば、その精度が約20%)の当り予見値と同じか否かを判定する。この判定前に、前記乱数値を、先行判定値(「1」、「2」、「3」)により補正する処理を行い、当該乱数値を先行判定値に基づいて定めたものとする。そして、この補正後の乱数値が、当り予見値と同じである場合には黄色の予見表示態様を選定し、異なっている場合には赤色の予見表示態様を選定する。尚、本実施例にあっては、ハズレ判定かつリーチ実行する先行判定値が「2」の場合について、ハズレ判定かつリーチ無しに比して、当り予見させる予見表示態様を選定し易くしている。これにより、予見演出による遊技の趣向性を向上できる。
このように予見表示態様を選定した後、予見表示処理により、特別始動記憶数表示装置17の保留灯17aを、黄色または赤色で発光させる。この保留灯17aによる予見表示態様に従った発光は、瞬間的でなく、継続して発光維持する。この保留灯17aを所定の発光色で発光させることによって、本発明にかかる予見演出が実行される。そして、予見演出を実行すると、入賞カウントフラグ=0とする。
また、この予見演出処理では、上記のように一番目の未消化の特別始動記憶データについて、特別始動記憶数表示装置17の保留灯17aにより予見演出を行っている場合に、新たに特別始動記憶データが発生すると、予見表示態様を変換する処理を行う。すなわち、特別始動口22へ新たに入賞することによって入賞カウントフラグ=1となることから、一番目の特別始動記憶データについて、予見決定処理により予見演出態様を変換する。予見決定処理では、一番目の先行判定値により、所定の乱数テーブルから抽出した乱数値を補正し、補正後の乱数値を、第二の信頼精度に設定した当り予見値と同じか否かを判定する。そして、同じであると判定した場合には黄緑色を選定し、異なると判定した場合には赤色を選定する。この選定結果に従って、予見表示処理により、保留灯17aの発光色を変換する。ここで、仮に、黄色から黄緑色へ変換すると、当りを予見させる信頼性が向上したこととなり、遊技者の当り発生に対する期待感を刺激できる。
同様に、二番目の未消化の特別始動記憶データについても、上記した先行判定処理により先行判定結果が決定していることから、これに伴って、同様に予見演出態様を選定して、当該予見演出態様の発光色に従って保留灯17bを発光させる。尚、この二番目の場合には、最も低い信頼精度により設定した当り予見値と用いて判定する。そのため、当り予見値と同じであった場合には、保留灯17bを黄色で発光させる。
さらに、三番目の特別始動記憶データが生成した場合にあっても、同様に予見処理演出処理を行う。すなわち、一番目について、第三の信頼精度に設定した当り予見値と同じか否かを判定し、同じであれば、保留灯17aを緑色で発光させる。また、二番目については、第二の信頼精度で、三番目については第一の信頼精度で夫々に予見演出態様を決定して、保留灯17b,17cを夫々に発光する。
このように、予見演出処理では、未消化の特別始動記憶データが記憶されていることを報知する特別始動記憶数表示装置17の保留灯17a〜17dを、所定の発光色により継続的に発光させることにより、その発光色により当り又はハズレを予見させる予見演出を行う。さらに、新たに特別始動口22に入賞する毎に、信頼精度の高い予見演出を行うようにしていることから、遊技者は、例え、保留灯17aの発光色により当り予見している場合にも、より信頼性の高い予見を求めて、遊技球を発射することとなる。そのため、遊技球の発射停止を抑制することができ得る。
尚、予見演出処理により保留灯17a〜17dを、上記いずれかの発光色(予見演出態様)に従って発光している場合に、特別図柄処理により、一番目の未消化の特別始動記憶データが消化されると、当該一番目の先行判定値を消去して、それ以降に記憶されている未消化の特別始動記憶データおよびその先行判定値の順位が一つずつ繰り上がる。そのため、例えば、保留灯17aで赤色に発光し且つ保留灯17bで黄緑色に発光している場合に、特別始動記憶データが消化されると、保留灯17aで黄緑色に発光するように、予見表示処理を行う。
ここで、本実施例にあっては、本発明にかかる予見変換条件を、特別始動口22に入賞することとして設定している。すなわち、特別始動記憶データの生成後に特別始動口22に入賞する生成後入賞数が、一個発生する毎に予見変換条件が成立するため、本発明にかかる変換入賞数としては、一個毎に四個(上記した信頼精度が四段階に設定しているため)までとして設定している。
一方、本実施例にあっては、上記した球発射装置36の発射レール(図示省略)の先端部分に、遊技球を検知する発射球検知スイッチS5が配設されている。この発射球検知スイッチS5は、図4のように、上記した発射制御基板84に接続されており、遊技球が発射されていることを確認する。発射制御基板84は、遊技球の発射を検知する毎に、これを示す信号を上記した演出制御基板82へ送信する。
本実施例にあっては、上記の発射球検知スイッチS5により遊技球を検知する時間間隔が、予め設定された非発射時間を越えると、上記の予見演出を中断する予見中断処理を行うようにしている。この予見中断処理は、図10のように、発射球検知スイッチS5により遊技球を検知すると、非発射時間を計測する時間計測を開始する。ここで、遊技球の検知毎に、前記計測した時間をリセットする。そのため、遊技球を連続的に発射していると、上述した予見演出処理による保留灯17a〜17dでの所定色の発光(予見演出態様)が継続して維持される。しかし、直前に発射した遊技球の検知時点から計測開始した時間が、前記非発射時間を越えると、中断フラグ=1として、予見停止処理を実行する。この予見停止処理では、未消化の特別始動記憶データの特別始動記憶数Pを表示している保留灯17a〜17dの発光色を白色に変換する処理を行う。すなわち、上記した予見表示処理により保留灯17a〜17dの発光色を制御する処理を中断する。これにより、特別始動記憶数表示装置17による予見演出を中断する。尚、予見演出を中断した場合にも、保留灯17a〜17dは、白色で発光していることから、特別始動記憶数Pを表示する役割は継続して発揮し続ける。
また、上記のように予見演出を中断している状態で、発射球検知スイッチS5により遊技球を検知すると、中断フラグ=0として、予見復帰処理により、保留灯17a〜17dを、上記した予見決定処理により選定した発光色(予見表示態様)に従って発光させる。これにより、保留灯17a〜17dによる予見演出が再開される。尚、中断フラグ=1の場合には、上記した予見演出処理による予見表示処理が実行されないことから(図9参照)、予見演出を中断している状態が維持される。
ここで、本実施例にあっては、上記の非発射時間を越えて遊技球発射が停止することを、本発明にかかる発射中断条件として設定している。また、中断フラグ=0の状態で遊技球が発射されることを、本発明にかかる発射復帰条件として設定している。
このように、未消化の特別始動記憶データがある場合に、遊技球の発射を停止すると、予見演出を中断することから、遊技者は予見演出による利益を得ることができない。さらに、本実施例にあっては、新たな入賞が発生する毎に信頼性の高い予見演出態様に変換して予見演出を行うようにしていることから、該予見演出の中断によって、それ以上の信頼性を有する予見演出を知得できない。そのため、遊技者は、未消化の特別始動記憶データがある場合にも、遊技球の発射を停止しない傾向となると共に、仮に発射停止しても予見演出が中断すると、さらに信頼性の高い予見演出を知ろうとして、遊技球の発射を再開することとなり易い。したがって、未消化の特別始動記憶データがある場合に、遊技者が戦略的(ムダ球の発生を抑制するため)に遊技球を発射停止する行為を、本実施例の構成によれば、可及的に抑制することができるため、当該パチンコ遊技機の稼働率低減を抑制でき、遊技場の被る不利益を低減することができ得る。
さらにまた、本実施例にあっては、上記した予見中断処理で、直前に発射した遊技球の検知から計測している時間が、非発射時間を越え、さらに予め設定された上限休止時間を越えると、休止フラグ=1とする。この休止フラグ=1の場合には、予見演出処理による予見表示処理が実行されず、且つ遊技球を検知しても予見復帰処理も実行されない。すなわち、非発射時間より長時間に設定した比較的長い上限休止時間を越えて遊技球の発射が停止した場合には、予見演出を再開しないようにしている。これによっても、遊技者に予見演出を知得するために遊技球発射を促すことができ、上記した稼働率低減を抑制する効果が一層向上する。尚、休止フラグ=1の状態で、未消化の特別始動記憶データを記憶せず且つ遊技球の発射が停止した後に計測開始する時間が、予め設定したインターバル時間を越えると、休止フラグ=0とする。すなわち、遊技者が交替した場合を想定し、次の遊技者に前の遊技者による不利益が転換されることを防ぐ。
上記した予見中断処理にあって、本実施例では、上記の非発射時間を、図柄表示装置14で変動する一連の図柄生成行程の一回分に要する時間として設定し、また、上記の上限休止時間を、前記図柄生成行程の三回分に要する時間として設定している。また、上記のインターバル時間を、5分間に設定している。
上述した本実施例にあって、上記した先行判定処理、予見演出処理、予見中断処理を実行する演出制御基板82により、本発明にかかる先行判定手段、予見演出手段、予見中断手段が構成されている。また、発射球検知スイッチS5により、本発明にかかる球発射検知手段が構成されている。
一方、上述した本実施例にあって、予見演出処理の予見決定処理を、その信頼精度を異なる複数段階に設定することもできる。例え、2段階、3段階、又は5段階のように適宜設定可能である。そして、その段階数に応じて、予見演出態様の発光色を夫々設定する。また、予見演出態様の発光色は、上記以外の組合せや異なる色のものを適宜設定することができる。また、予見決定処理および予見表示処理は、入賞するとすぐに実行するようにしているが、次の入賞により実行するようにしてもよい。この場合には、予見演出する前に白色で発光するようにする。
上述した実施例にあって、先行判定処理により生成する先行判定結果データの先行判定値を、当り判定とハズレ判定との二つに設定しても良いし、当り判定やハズレ判定を複数に細分化して四つや五つなどに設定しても良い。例えば、当り判定の場合に、上記した確変当りや通常当りを判定する先行判定値を設定する。
上述した実施例にあって、予見演出処理で予見決定処理と予見表示処理とを実行する予見変換条件は、遊技球の発射数が所定個数に達すること、該発射継続時間が所定時間に達すること等のように適宜設定することも可能である。
上述した実施例にあって、予見中断処理で設定した非発射時間、上限休止時間、インターバル時間は適宜設定可能である。また、予見中断処理で予見演出を中断する予見中断条件としては、上記の発射球検知スイッチS5により検知する遊技球の発射数が、所定の単位時間内で予め設定された下限発射数以下となることを条件として設定してもよい。この場合には、予見復帰条件として、前記単位時間内で下限発射数を越えることを条件として設定できる。
上述した実施例にあっては、球発射検知手段を、球発射装置36の発射レール(図示省略)の先端部分に配設した発射球検知スイッチS5により構成したものであるが、その他の構成として、例えば、ガイドレール11の先端部分に配設したスイッチにより構成することもできる。さらには、図示しないアウト口に配設したスイッチと、特別図柄始動スイッチS1と、普通図柄始動スイッチS2と、一般入賞スイッチS4とにより構成し、これらいずれかがON作動することによって、遊技領域12に発射された遊技球を検知するようにしたものであっても良い。
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、その他の構成についても、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更可能である。