本発明の実施例を、添付図面を用いて詳述する。
パチンコ遊技機1は、図1に示すように、遊技島設備(図示省略)に固定される外枠2と、この外枠2の前面開口部を覆う遊技機本体3とからなる。遊技機本体3は、中央上部の略円形の開口部に遊技盤10が取り付けられた前枠5を備え、この前枠5の一側縁がヒンジ部材4,4を介して外枠2に開閉可能に枢着されている。さらに前枠5には、遊技盤10を覆うガラス板6が設けられている。また、前枠5の下部には、上受皿7と下受皿8とが上下に列設されており、下受皿8の右側方に発射ハンドル9が配設される。
図2は、遊技盤10の正面図である。遊技盤10の前面には、ガイドレール11によって略円形の遊技領域12が区画形成されている。遊技領域12の中央には、各種遊技部材を組み込んだセンターケース13が配設される。このセンターケース13には、演出表示装置14が組み付けられている。この演出表示装置14は、液晶表示器又はCRT表示器等からなり、その表示画面には演出図柄や各種演出画像等が表示される。
演出表示装置14の下部には、8個のLED(発光ダイオード)が横並びに配設される。この8個のLEDのうち、右側の3個は第一特別図柄表示装置15aであり、左側の3個は第二特別図柄表示装置15bであり、中央の2個は普通図柄表示装置16である。
第一特別図柄表示装置15aは、その三個LEDの点灯・点滅・消灯する態様によって第一特別図柄を表示するものであり、第二特別図柄表示装置15bは、その三個LEDの点灯・点滅・消灯する態様によって第二特別図柄を表示するものである。そして、後述するように、各特別図柄表示装置15a,15bは、所定契機によって、各LEDを点滅させることにより夫々の特別図柄を変動させ、その後にいずれかのLEDが点灯した態様で特別図柄を停止表示する。ここで、各特別図柄を停止表示して確定した点灯停止態様が、本発明にかかる特別停止図柄態様である。本実施例にあっては、各特別図柄表示装置15a,15bの夫々の一番右のLEDが点灯停止した態様がハズレ特別停止図柄態様であり、一番右のLEDが消灯し且つ残り二つのLEDのいずれかが点灯した態様が当り特別停止図柄態様である。
一方、普通図柄表示装置16は、その二個のLEDの点灯・点滅・消灯する態様によって普通図柄を表示するものである。後述する普通図柄始動ゲート19を遊技球が通過すると、このLEDが順次点滅することで普通図柄を変動させ、その後にいずれかのLEDが点灯した態様で普通図柄を停止表示する。ここで、普通図柄を停止表示して確定した点灯停止態様が、本発明にかかる普通停止図柄態様である。本実施例にあっては、普通図柄表示装置16の左側のLEDのみを点灯した態様が当り普通停止図柄態様であり、左右のLEDを点灯した態様がハズレ普通停止図柄態様である。
演出表示装置14の右上位置には、四個のLED(発光ダイオード)からなり、該LEDの点灯数によって後述の第一特別始動記憶データの始動記憶数(未消化数)Pを表示する第一特別始動記憶数表示装置17aが設けられている。また、演出表示装置14の左上位置には、四個のLEDからなり、該LEDの点灯数によって後述の第二特別始動記憶データの始動記憶数(未消化数)Qを表示する第二特別始動記憶数表示装置17bが設けられている。さらに、演出表示装置14の直下位置には、四個のLEDからなり、該LEDの点灯数によって後述の普通始動記憶データの始動記憶数(未消化数)Uを表示する普通始動記憶数表示装置18が設けられている。
上記センターケース13の左側方には、普通図柄始動ゲート19が配設されており、遊技球の通過により、各普通図柄始動ゲート19に設けられた普通図柄始動スイッチS3 (図3参照)がON作動して遊技球検出信号が発生すると、上記した普通図柄表示装置16のLEDが点滅して変動し、所定時間経過後に停止表示して普通停止図柄態様を表示する。この普通図柄表示装置16の二個のLEDの変動(点滅)開始から停止して普通停止図柄態様を確定するまでが、本発明にかかる普通図柄変動行程である。この普通図柄始動ゲート19により、本発明にかかる普通図柄始動領域が構成されており、また普通図柄始動スイッチS3により、本発明にかかる普通検知手段が構成されている。
センターケース13の直下位置には第二特別始動口20が配設されている。第二特別始動口20はその開口幅が一定であり、遊技球を常時通過可能となっている。この第二特別始動口20の内部には第二特別図柄始動スイッチS2(図3参照)が配設されており、第二特別始動口20に流入した遊技球を検知してON作動することにより遊技球検出信号を発生する。この遊技球検出信号の発生を契機として、上記した第二特別図柄表示装置15bの三個のLEDを点滅して変動開始し、その後停止して確定した特別停止図柄態様により当り又はハズレを確定する。この第二特別図柄表示装置15bの変動開始から停止して特別停止図柄態様を確定するまでが、本発明にかかる第二特別図柄生成行程である。第二特別図柄始動スイッチS2により、本発明の第二特別検知手段が構成されており、第二特別始動口20内部の第二特別図柄始動スイッチS2が配設された領域により、本発明の第二特別始動領域が構成されている。
また、センターケース13の下方には、上記第二特別始動口20の直下位置に設けられた第一特別始動口22を備えた普通電動役物21が配設されている。この普通電動役物21は、左右一対の開閉翼片23,23を備えており、図示しない普通電動役物ソレノイドによって駆動制御される。左右一対の開閉翼片23,23は、上下方向に起立して遊技球を通過不能とする閉塞位置と、該閉塞位置から左右両側に逆ハ字形に拡開して遊技球を流入可能とする開放位置とに位置変換駆動される。この普通電動役物21は、通常は閉塞位置にあり、上記した普通図柄表示装置16が変動して当り普通停止図柄態様で確定停止した場合に、開閉翼片23,23を開放位置に位置変換して所定時間維持する。また、普通電動役物21の内部には、第一特別始動口22から流入した遊技球を検知する第一特別図柄始動スイッチS1(図3参照)が配設されている。そして、この第一特別図柄始動スイッチS1が遊技球を検知してON作動することにより遊技球検知信号を発生し、これに従って第一特別図柄表示装置15aの三個のLEDを変動(点滅)開始して特別停止図柄態様で停止する第一特別図柄生成行程が実行される。この特別停止図柄態様によって当り又はハズレを確定する。この第一特別図柄始動スイッチS1により、本発明の第一特別検知手段が構成されており、普通電動役物21内部の第一特別図柄始動スイッチS1が配設された領域により、本発明の第一特別始動領域が構成されている。また、普通電動役物21にあって、開閉翼片23,23が閉塞位置にある状態が、本発明にかかる閉塞状態であり、開放位置にある状態が、本発明にかかる開放状態である。
さらに、普通電動役物21の下方には、大入賞口26を有する特別電動役物25が配設されている。この特別電動役物25は横長矩形状の開閉片27を具備し、内蔵された大入賞口ソレノイド(図示せず)により開閉片27を開閉駆動制御することによって大入賞口26が開放位置又は閉鎖位置に変換される。この特別電動役物25は、上記した第一または第二特別図柄表示装置15a,15bが変動後に所定の当り特別停止図柄態様で確定表示された場合(大当りの場合)に、大入賞口26を開閉作動する。この大入賞口26の開閉作動としては、開閉片27が前方に傾倒して開き、その開放状態で開閉片27の上面の案内作用を介して、大入賞口26内へ遊技球を案内するとともに、所定開放時間(例えば30秒)の満了、またはその所定開放時間中における所定個数(例えば 9個)の遊技球の入賞により開閉片27が起立して大入賞口26が閉鎖される開閉ラウンドを、所定制限回数(本実施例にあっては15回)行うことにより、大入賞口26に多量の遊技球が入賞し、遊技者に所定の利益が供与される。この特別電動役物25の内部には入賞した遊技球を検知するカウントスイッチS4(図3参照)が設けられている。このように、第一または第二特別図柄表示装置15a,15bが所定の当り特別停止図柄態様で確定表示されると、特別電動役物25を作動する特別遊技状態へ移行する。そして、この特別遊技状態は、大入賞口26を開閉する開閉ラウンドが所定制限回数(15回)に達することにより満了する。
その他、遊技領域12には、複数の一般入賞口29が配設されており、各一般入賞口29の内部に夫々設けられた一般入賞スイッチS5(図3参照)による遊技球の入賞検知に伴って、所定数の賞球が払い出される。
次に、上述のパチンコ遊技機1の制御回路について、図3に示すブロック図に従って説明する。
制御回路には、主制御基板80、払出制御基板81、演出制御基板82(発光制御基板85)、電源基板83、発射制御基板84が配設されている。主制御基板80は、マイクロコンピュータにより構成されており、パチンコ遊技機1の遊技を統括的に制御するものである。この主制御基板80の基盤回路上には、主制御用中央制御装置CPUが配設されている。この主制御用中央制御装置CPUには、演算処理に用いる動作プログラムを格納する記憶装置ROMと、必要なデータを随時読み書きできる記憶装置RAMとが、データを読み書きするアドレスを指定する情報を一方的に伝えるアドレスバス(図示省略)と、データのやり取りを行うデータバス(図示省略)を介して接続され、主制御基板80の基板回路を構成している。記憶装置ROMには、制御プログラムや、特別図柄生成行程の当落判定や図柄の変動・停止態様等を決定するための各種テーブルが格納されている。一方、記憶装置RAMには、各種スイッチからの球検知信号等が一時的に記憶される記憶エリア、各種のタイマや乱数乱数、計数乱数等を構成するレジスタ領域、及びワークエリア等が設けられている。
さらに、この主制御基板80の基板回路には、所定のクロックパルスを出力するクロック装置(図示省略)が設けられ、主制御用中央制御装置CPUに接続されている。そして主制御用中央制御装置CPUは、一定間隔のクロックパルスによって時系列的に演算処理を行い、一連の処理作動を順次実行する。また、このクロック装置により出力されたクロックパルスをカウントして、時間を計測するタイマTMも接続されている。
ここで、主制御用中央制御装置CPU、及び後述する各制御基板81〜85に設置されている各中央制御装置CPUは、所定のデータの処理を行う演算ユニット(ALU)を連成した演算装置と、この演算装置に入出力するデータや読み込んだ命令を保管しておくレジスタと、命令を解読するデコーダ等によって構成されている。そして、この主制御用中央制御装置CPUは、所定の形式で生成したデータ又はコマンドを各制御基板81〜84にそれぞれ出力し、各制御基板81〜84の中央制御装置CPUがこのデータ等に従って所定の制御を処理実行することとなる。
また、主制御基板80の記憶装置ROMには、各乱数乱数から夫々構成される各種乱数テーブルが格納されている。この乱数テーブルとして、大当り乱数テーブル、大当り図柄乱数テーブル、ハズレ図柄乱数テーブル、リーチ乱数テーブル、変動態様乱数テーブル、普通当り乱数テーブル、普通当り図柄乱数テーブル等の固定データがある。
大当り乱数テーブルは、0〜299の範囲の大当り乱数から構成されており、第一特別図柄始動スイッチS1又は第二特別図柄始動スイッチS2が遊技球検知信号を発信した時点で大当り乱数の値が抽出される。そして、抽出した大当り乱数値は、所定の当選値と比較され、該大当り乱数値と当選値とが一致していた場合には「大当り(特別図柄の当選)」と判定し、不一致であった場合には「ハズレ」と判定する。ここで当選値としては、低確率時に有効とする一個の数字(例えば、「7」)と、高確率時に有効とする十個の数字(例えば、「7,47,87,・・・」)とが設定されている。そして、後述する低確率通常遊技状態では、前記低確率時の当選値を有効として判定し、後述する確変通常遊技状態では、前記高確率時の当選値を有効として判定する(図7,8参照)。低確率通常遊技状態では、当り判定する確率(以下、当選確率という)が1/300であり、確変通常遊技状態では、当選確率が1/30である(図10参照)。
また、大当り図柄乱数テーブルは、0〜19の範囲の大当り図柄乱数から構成されており、上記の大当り乱数値と同様に、第一特別図柄始動スイッチS1又は第二特別図柄始動スイッチS2から球検知信号が発信した時点の大当り図柄乱数値が抽出される。そして、大当り乱数値を当選判定した場合に、抽出された大当り図柄乱数値を有効とし、当選種類毎に設定した夫々の当選種別判定値と一致するか否かによって当選種類を判定する。具体的には、第一特別図柄始動スイッチS1の球検知信号により抽出された場合には、大当り図柄乱数値が「0,1,2,3」であると「正規大当り」と判定し、大当り図柄乱数値が「5」〜「19」であると「確変大当り」と判定する。すなわち、第一特別始動口22への入賞による「大当り」のうちで25%が「正規大当り」に、75%が「確変大当り」に振り分けられる。一方、第二特別図柄始動スイッチS2の球検知信号により抽出された場合には、大当り図柄乱数値が「0,1,2,3,4」であると「正規大当り」と判定し、大当り図柄乱数値が「5,6,7,8,9」であると「突確大当り」と判定し、大当り図柄乱数値が「10」〜「19」であると「確変大当り」と判定する。すなわち、第二特別始動口20への入賞による「大当り」のうちで25%が「通常大当り」に、25%が「突確大当り」に、50%が「確変大当り」に振り分けられる。
また、第一特別図柄始動スイッチS1又は第二特別図柄始動スイッチS2が遊技球検知信号を発信した際には、上記の大当り乱数値と大当り図柄乱数値と共に、ハズレ図柄乱数値、リーチ乱数値、変動態様乱数値などを抽出する。そして、これら各乱数値を一つの特別始動記憶データとして纏められて記憶する。ここで、第一特別図柄始動スイッチS1による第一特別始動記憶データと、第二特別始動記憶スイッチS2による第二特別始動記憶データとを夫々別々に記憶する。そして、第一特別始動記憶データ又は第二特別始動記憶データのいずれか一方を消化することにより、上記した第一または第二特別図柄生成行程を実行する。
本実施例にあって、この第一特別始動記憶データと第二特別始動記憶データとは、それぞれ最大四個まで記憶するようになっており、発生順に記憶する。そして、記憶しているなかで最先のものから順に消化するようにしている。すなわち、第一特別始動記憶データおよび第二特別始動記憶データは、新たな記憶と消化とを繰り返していく。尚、第一特別始動記憶データの記憶数(未消化数)Pを記憶し、第二特別始動記憶データの記憶数(未消化数)Qを記憶する。そして、これら未消化数P,Qは、その上限数を四個と規定していることから、四個記憶している場合には新たな始動記憶データを発生しない。尚、上限記憶数である四個を記憶している場合には、新たなデータを発生しない(図4参照)。また、第一特別始動記憶データと第二特別始動記憶データとの両方を夫々記憶している場合には、第一特別始動記憶データを優先して消化するようにしている(図6参照)。そのため、第二特別始動記憶データは、第一特別始動記憶データが無い場合にのみ消化する。
一方、上記した普通当り乱数テーブルは、0〜9の範囲の普通当り乱数から構成されており、上記した普通図柄始動スイッチS3が遊技球検知信号を発信した時点で普通当り乱数値が抽出される。そして、抽出された普通当り乱数値は、所定の当選値と比較され、抽出された普通当り乱数値が該当選値と一致していた場合には「当り(普通図柄の当選)」と判定し、不一致であった場合には「ハズレ」と判定する。さらに、普通当り乱数値を当落判定する場合にあっても、低確率通常遊技状態では低確率時の当選値を有効とし、確変通常遊技状態では高確率時の当選値を有効とする(図5参照)。ここで、普通当り乱数値を当落判定する当選確率は、低確率通常遊技状態で1/10であり、確変通常遊技状態で9/10である(図10参照)。この当選確率となるように、低確率時と高確率時との夫々の当選値を設定している。
さらに、普通図柄始動スイッチS3が球検知信号を発信すると、上記の普通当り乱数と共に、普通当り図柄乱数テーブルから普通当り図柄乱数値を抽出する。そして、普通当り乱数値と普通当り図柄乱数値とを一セットの普通始動記憶データとして纏めて、記憶装置RAMに記憶する。普通始動記憶データを記憶している場合には、その最先のものから順に消化する。尚、普通始動記憶データの記憶数(未消化数)Uも記憶する。この普通始動記憶データの未消化数Uも、最大四個まで記憶し、四個記憶されている場合には新たに発生しないようにしている(図4参照)。
上記した主制御基板80の基板回路には、主制御用中央制御装置CPUが周辺機器とデータ通信を行う入力ポート(図示省略)及び出力ポート(図示省略)が設けられており、この出力ポートを介して主制御基板80からの制御指令が、払出制御基板81、演出制御基板82、電源基板83、発射制御基板84の各入力ポートに向け、一方向に出力されるようになっている。また、主制御基板80の入力ポートには、盤面中継端子板90を介して、上記した第一特別図柄始動スイッチS1、第二特別図柄始動スイッチS2、普通図柄始動スイッチS3、カウントスイッチS4、一般入賞スイッチS5等の各種スイッチや各種センサが接続されている。そして、主制御基板80が2msごとに、これらに内蔵された各スイッチの遊技球検出状態を調べ、遊技球検出があると、その球検出信号が波形整形回路により波形整形されて主制御用中央制御装置CPUに入力され、その情報を記憶装置RAMに記憶する。さらに、主制御基板80の出力ポートには、盤面中継端子板90を介して、普通電動役物ソレノイド、大入賞口ソレノイドなどのソレノイドやモータが接続されており、主制御用中央制御装置CPUが所定の条件を選出した場合に、これらに内蔵されたソレノイドやモータを作動させる。
一方、上記した演出制御基板82は、上述した演出表示装置14の駆動制御や、各種スピーカから音響を発する制御や、各種ランプおよびLEDを発光する制御などを行うものである。そして、この演出制御基板82には、演出表示装置14を構成する液晶表示器(図示省略)と、各種LEDをLED中継端子板を介して発光制御する発光制御基板85と、スピーカが接続された演出中継端子板(図示省略)とが夫々に接続されている。また、演出制御基板82にも、上述した主制御基板80と同様に、中央制御装置CPU、記憶装置ROM、記憶装置RAMを備えている。このような演出制御基板82は、主制御基板80から受信した演出制御指令信号に従って、上記した第一および第二特別図柄表示装置15a,15bと普通図柄表示装置16との点灯・点滅・消灯、その他LEDの発光、演出表示装置14による演出画像の表示、スピーカの発音を制御実行する。
また、払出制御基板81は、賞球や貸球を払い出す球払出装置(図示省略)を駆動制御するものである。この払出制御基板81は、主制御基板80から受信した払出指令信号に従って上記した球払出装置(図示省略)を駆動して、所定の賞球を払い出す制御を実行する。
また、発射制御基板84は、上記した発射ハンドル9の操作に従って、図示しない球発射装置を駆動制御することにより、遊技球を発射制御するものである。尚、発射制御基板84も、上記した主制御基板80と接続されており、主制御基板80から所定の指令信号を入力すると、それに従って駆動制御するようにもなっている。
また、上述した電源基板83は、外部電源から供給された電力を、所定の電圧に変換して、上述した主制御基板80、払出制御基板81、演出制御基板82(および発光制御基板85)、発射制御基板84に送電するものである。電源基板83には、外部電源からAC24Vの電流が送電される。そして、このAC24Vを、DC32V、DC12V、DC5Vに変換する回路が夫々配設されている。さらに、過剰の電流が流れないようにする過負荷保護回路、リセット回路、バックアップ用コンデンサ(バックアップ電源)などが配設されている。
この電源基板83からDC32V、DC12V、DC6Vの各電力を夫々供給された主制御基板80、払出制御基板81、演出制御基板82(および発光制御基板85)、発射制御基板84は、夫々が駆動制御するモータ、ソレノイド、スイッチ、センサ、LED、スピーカ、表示装置などに所定の電力を分配する。
次に、図3に示した制御回路による制御態様をパチンコ遊技機1の作動に従って説明する。
本発明のパチンコ遊技機1にあっては、大入賞口26を所定ラウンド開閉する特別遊技状態と、大入賞口26を閉鎖状態で維持する通常遊技状態とのいずれかに変換される。さらに、特別遊技状態では、多くの賞球を獲得可能な正規特別遊技状態と、ほとんど賞球を獲得できない突確特別遊技状態とのいずれかとなる。一方、通常遊技状態では、低確率通常遊技状態と確変通常遊技状態とのいずれかとなる。ここで、低確率通常遊技状態では、上記した第一特別始動記憶データ又は第二特別始動記憶データの大当り乱数値を判定する際に、低確率時の当選値を有効とすると共に、普通始動記憶データの普通当り乱数値を判定する際に、低確率時の当選値を有効とする。また、確変通常遊技状態では、大当り乱数値を判定する際に、高確率時の当選値を有効とし、普通当り乱数値を判定する際に、高確率時の当選値を有効とする。そのため、確変通常遊技状態では、低確率通常遊技状態に比して当り特別停止図柄態様や当り普通停止図柄態様を表出し易い。さらに、確変通常遊技状態では、低確率通常遊技状態に比して、特別図柄生成行程と普通図柄変動行程との各行程時間を短時間としている。この低確率通常遊技状態が本発明にかかる第二通常遊技状態であり、確変通常遊技状態が本発明にかかる第一通常遊技状態である。
尚、上記した各遊技状態は、所定のフラグを設定することにより処理するようにしている。例えば、確変フラグ=0の場合には低確率通常遊技状態とし、確変フラグ=1の場合には、確変通常遊技状態とする。また、特別遊技フラグ=1かつ突確フラグ=0の場合には正規特別遊技状態とし、特別遊技フラグ=1かつ突確フラグ=1の場合には突確特別遊技状態とする。
上記の低確率通常遊技状態で、遊技領域12に発射された遊技球が普通図柄始動ゲート19を通過し、普通図柄始動スイッチS3がON作動すると、主制御基板80は入賞検知処理(図4参照)により普通当り乱数値と普通当り図柄乱数値とを抽出する。そして、図5の普通図柄処理により、確変フラグ=0であることから、低確率時の当選値を有効として普通当り乱数値を判定して、普通図柄表示装置16のLEDを変動開始して普通図柄変動行程を行う。この普通図柄変動行程は、予め設定されている普通低速行程時間に従って変動し、前記普通低速行程時間の経過により確定停止して満了する。ここで、この普通当り乱数値を当り判定すると、普通図柄表示装置16を当り普通停止図柄態様で確定停止する。さらに、普通当り乱数値を当り判定すると、普通当りフラグ=1として、当り普通停止図柄態様の確定停止に伴って、普通電動役物21の開閉翼片を拡開位置に位置変換する。低確率通常遊技状態(確変フラグ=0)では、前記開閉翼片を拡開位置に0.2秒間保持して閉塞位置へ変換する。すなわち、普通電動役物21を0.2秒間拡開状態とする。
上記の普通図柄始動ゲート19を遊技球が連続的に通過すると、普通図柄始動スイッチS3のON作動毎に、普通当り乱数値と普通当り図柄乱数値とを抽出して普通始動記憶データとして発生順に記憶保持する。さらに、上記のように普通始動記憶データの未消化数(始動記憶数)Uを記憶し、当該未消化数Uに従って普通始動記憶数表示装置18の発光ダイオードを点灯する。
一方、遊技領域12を転動流下した遊技球が上記の第二特別始動口20に流入すると、図4の入賞検知処理により、第二特別図柄始動スイッチS2がON作動し、上記した大当り乱数値等の各乱数値を抽出して第二特別始動記憶データを記憶する。尚、遊技球が連続的に第二特別始動口20に流入した場合には、第二特別図柄始動スイッチS2がON作動する毎に、上記により各乱数値を選出して第二特別始動記憶データを順次発生し、その発生順に記憶装置RAMに記憶保持する。さらに、第二特別始動記憶データの未消化数(始動記憶数)Qを記憶し、当該未消化数Qに従って、第二特別始動記憶数表示装置17bの発光ダイオードを点灯する。
また、遊技球が普通電動役物21の第一特別始動口22に流入すると、図4の入賞検知処理により、第一特別図柄始動スイッチS1がON作動し、大当り乱数値等を抽出して第一特別始動記憶データを記憶する。尚、遊技球が連続的に第一特別始動口22に流入した場合には、第一特別図柄始動スイッチS1がON作動する毎に、上記により各乱数値を選出して第一特別始動記憶データを順次発生し、その発生順に記憶装置RAMに記憶保持する。さらに、第一特別始動記憶データの未消化数(始動記憶数)Pを記憶し、当該未消化数Pに従って、第一特別始動記憶数表示装置17aの発光ダイオードを点灯する。
このように記憶した第一特別始動記憶データまたは第二特別始動記憶データを消化することにより、第一または第二特別図柄表示装置15a,15bを変動停止制御する特別図柄処理(図6参照)を行う。ここで、低確率通常遊技状態(確変フラグ=0)では、第一特別始動口22に遊技球が流入し難いことから、第二特別始動記憶データのみを記憶していると仮定する。図6,8のように、最先に記憶した未消化の第二特別始動記憶データを読み込むことにより、当該第二特別始動記憶データの大当り乱数値を低確率時の当選値により判定すると共に、第二特別始動記憶数表示装置17bの発光ダイオードを1個消灯し、第二特別図柄表示装置15bのLEDを変動(点滅)開始する。ここで、低確率通常遊技状態(確変フラグ=0)であるから、低確率の当選値を有効として大当り乱数値を判定する。大当り乱数値を当り判定した場合には、大当り図柄乱数値を有効として、「正規大当り」、「突確大当り」、「確変大当り」のいずれかを判定すると共に、第二特別図柄表示装置15bのLEDを確定表示する当り特別停止図柄態様を決定する。そして、変動開始から確定停止までに要する時間(特別低速行程時間)を計測するためのタイマをセットし、当該特別低速行程時間が経過すると、前記した当り特別停止図柄態様により第二特別図柄表示装置15bのLEDを点灯表示する。このように、第二特別始動記憶データを消化することにより、第二特別図柄表示装置15bを変動開始して、確定停止するまでの一連の第二特別図柄生成行程を実行する。一方、大当り乱数値をハズレと判定した場合には、所定の特別低速行程時間をセットし、当該行程時間の経過に伴ってハズレ特別停止図柄態様により第二特別図柄表示装置15bを確定停止する。
尚、上記の第二特別始動記憶データ(後述の第一特別始動記憶データの場合も同様)を消化すると、演出表示装置14の表示画面上で、擬似特別図柄(図示せず)を変動開始して所定の停止図柄態様で確定する演出図柄行程を表示する。この演出図柄行程は、第二特別始動記憶データの各乱数値に従って演出変動停止態様選択処理で選定した演出パターンにより表示制御するようにしている。この演出図柄行程により確定した擬似特別図柄の停止図柄態様によって、通常の遊技者は当り又はハズレなどを知る。ここで、演出図柄行程は、必ずしも、上記した第二特別図柄表示装置15bの確定表示と同じでなくとも良く、遊技を盛り上げるための様々な演出が実行される。演出表示装置14で表示する擬似特別図柄を、前記の第二特別図柄表示装置15bと同じ特別停止図柄態様を確定表示するように制御処理した場合には、演出表示装置14でも特別図柄が変動表示されたものとなる。
上記した「正規大当り」または「確変大当り」の場合には、第二特別図柄表示装置15bで当り特別停止図柄態様を確定表示すると、特別遊技フラグ=1として、図9の大入賞口処理により、大入賞口26を開閉する開閉ラウンドを所定回数(15回)行う。そして、図4の入賞検知処理により大入賞口26に入賞した遊技球をカウントスイッチS4により検知して、所定数の賞球を払い出す処理を行う。ここで、この大入賞口26の開閉ラウンドとしては、開放開始から30秒経過又は当該時間内に9個の遊技球入賞により満了する開放状態を、15回繰り返し実行するように制御している。この開閉ラウンドでは、遊技者は比較的短い時間内で多くの賞球を獲得することができるため、獲得利益も高い。そのため、この大入賞口26を開閉する遊技状態は、遊技者の最も望む遊技状態の一つとなっている。このように大入賞口26の開閉ラウンドを15回行う状態が、正規特別遊技状態である。この正規特別遊技状態は、当り停止図柄態様が確定すること(特別遊技フラグ=1)により開始し、所定回数の開閉ラウンドを行って満了(特別遊技フラグ=0)する。一方、「突確大当り」の場合には、突確フラグ=1として(図8参照)、第二特別図柄表示装置15bで当り特別停止図柄態様を確定表示後に、図9の大入賞口処理により、大入賞口26を0.2秒間開放して閉鎖する開閉ラウンドを2回行う。このような開閉ラウンドを実行する状態が、突確特別遊技状態であり、2回の開閉ラウンドを実行することによって特別遊技フラグ=0として満了する。この突確特別遊技状態は、1秒に満たない時間で終了するため、大入賞口26への入賞は期待できず、遊技者は賞球をほとんど獲得できない。
一方、図8の第二特別始動記憶消化処理(又は図7の第一特別始動記憶処理)により、大当り乱数値を「確変大当り」又は「突確大当り」と判定すると、確変待機フラグ=1とし、図9の大入賞口処理により開閉ラウンドを満了すると確変フラグ=1とする。これにより、正規特別遊技状態または突確特別遊技状態後の通常遊技状態を確変通常遊技状態へ変換する。一方、「正規大当り」の場合には、確変待機フラグ=0として、正規特別遊技状態後に低確率通常遊技状態へ変換する。
確変通常遊技状態(確変フラグ=1)では、図7,8の第一及び第二特別始動記憶消化処理により大当り乱数値を判定する際に、高確率の当選値を有効とすると共に、図5の普通図柄処理により普通当り乱数値を判定する際に、高確率の当選値を有効とする。さらに、確変通常遊技状態では、図7,8のように、第一および第二特別図柄生成行程に要する行程時間を、低確率通常遊技状態の特別低速行程時間に比して短時間とした特別時短行程時間としている。尚、特別時短行程時間としては、予め設定した一の特別時短行程時間により実行するようにしても良いし、予め設定した複数の特別時短行程時間から選択的に実行するようにしても良い。また、普通図柄変動行程に要する行程時間も、図5のように、普通低速行程時間に比して短時間とした普通時短行程時間を有効とする。この普通時短行程時間としては、例えば、低確率遊技状態の普通低速行程時間が30秒であるものが、確変通常遊技状態の場合には5秒とする(図10参照)。
このように確変通常遊技状態となると、第一および第二特別図柄生成行程で当り確定する確率と普通図柄変動行程で当り確定する確率とを夫々高確率とするだけでなく、第一および第二特別図柄生成行程の行程時間と普通図柄変動行程の行程時間とを夫々に短時間とする。さらに、確変通常遊技状態では、普通電動役物21を拡開状態に維持する時間が2秒間となり、低確率遊技状態の場合の0.2秒に比して長くなる(図10参照)。このように確変通常遊技状態では、普通電動役物21が拡開状態となり易く且つ拡開状態である期間が増大するため、第一特別始動口22へ遊技球が入賞し易くなる。そのため、低確率通常遊技状態に比して第一特別始動記憶データが生成され易く、該第一特別始動記憶データと第二特別始動記憶データとの両方が夫々に記憶されていると、第一特別始動記憶データを優先消化する。そして、この第一特別始動記憶データの消化する際には、その大当り図柄乱数値により、「確変大当り」が判定され易いことから、遊技者にとって獲得できる利益が大きい。
ここで、第一特別始動記憶データを消化する処理にあっても、上記した第二特別始動記憶データの消化処理と同様に実行する。すなわち、図7のように、未消化の第一特別始動記憶データを消化して、第一特別図柄表示装置15aを変動開始する。そして、大当り乱数値を当落判定し、当り判定すると、大当り図柄乱数値により「正規大当り」又は「確変大当り」を選定する。確変通常遊技状態では、高確率の当選値を有効として当落判定すると共に、特別時短行程時間を有効として、該特別時短行程時間の経過により第一特別図柄表示装置15aの変動を停止して特別停止図柄態様を確定する。このように一連の第一特別図柄生成行程を実行する。尚、第一特別始動記憶データの場合には、「突確大当り」が発生しないことから、当り判定すると正規特別遊技状態による利得を供与する。
また、上記した第一特別始動口22、第二特別始動口20、大入賞口26、一般入賞口29へ遊技球が入賞すると、入賞検知処理(図5参照)により、予め設定された賞球数を払い出す払出処理を行う。この払出処理では、各スイッチS1,S2,S4,S5の球検出に従って、夫々の賞球数を払い出すように、上記した払出装置(図示省略)を駆動制御する。
本実施例にあっては、上述したように特別始動記憶を消化する処理について主に説明したが、その他の処理(例えば、メイン処理など)については、従来の構成と同様に実行できるため、その詳細を適宜省略している。
尚、本発明にかかる特別始動記憶生成手段が、上記した入賞検知処理を処理実行する主制御基盤80により構成されている。また、本発明にかかる特別図柄制御手段が、上記した特別図柄処理(および特別始動記憶消化処理)を処理実行する主制御基盤80および演出制御基盤82により構成されている。また、本発明にかかる遊技制御手段が、上記した大入賞口処理と特別図柄処理とを処理実行する主制御基盤80と払出制御基盤81とにより構成されている。また、本発明にかかる普通図柄制御手段が、上記した普通図柄処理を処理実行する主制御基盤80および演出制御基盤82により構成されている。
次に本発明の要部について説明する。
上記した普通図柄処理(図5参照)は、特別変動フラグ=1(特別図柄生成行程)や特別遊技フラグ=1(特別遊技状態)であっても、未消化の普通始動記憶データを消化して普通図柄変動行程を行う。すなわち、普通図柄変動行程は、第一および第二特別図柄生成行程中や、正規および突確特別遊技状態でも実行される。
普通図柄処理では、図5のように、低確率通常遊技状態または特別遊技状態(突確特別遊技状態、正規特別遊技状態)で普通始動記憶データを消化すると、低確率の当選値(当選確率1/10)と普通低速行程時間(30秒)とを有効とし且つ拡開フラグ=0として、当落判定し、普通図柄表示装置16を変動開始する。そして、普通低速行程時間の経過により、普通図柄表示装置16で普通停止図柄態様を確定停止する。ここで、前記当落判定結果が当りの場合には、当り普通停止図柄態様を示す点灯態様で普通図柄表示装置16を確定停止して、普通電動役物21を通常拡開時間(0.2秒間)拡開状態とする。一方、確変通常遊技状態の場合には、高確率の当選値(当選確率9/10)と普通時短行程時間(5秒)とを有効とし且つ拡開フラグ=1とする。そして、普通時短行程時間の経過により当り普通停止図柄態様を確定すると、普通電動役物21を確変拡開時間(2秒間)拡開状態とする。このように、普通図柄処理では、普通図柄始動記憶データを読み込む時点の遊技状態(確変フラグ=0又は1)に応じて、当選値、行程時間、拡開時間を選定するようにしている。そのため、正規特別遊技状態または突確特別遊技状態の終了間際に普通始動記憶データを消化すると、当該特別遊技状態後に確変通常遊技状態に変換しても、当該確変通常遊技状態で、低確率通常遊技状態に則した普通図柄変動行程が継続して進行することとなる。
第一または第二特別始動記憶消化処理により「確変大当り」を決定して、第一又は第二特別図柄表示装置15a,15bで当り特別停止図柄態様を確定停止すると、特別遊技フラグ=1として、図9の大入賞口処理により、正規特別遊技状態へ移行する。ここで、第一または第二特別始動記憶消化処理(図7,8参照)では、「確変大当り」とすると、確変待機フラグ=1とすると共に、確変フラグ=0とする。そのため、正規特別遊技状態では、上記した普通図柄処理(図5参照)を低確率遊技状態と同様に実行する。その後、大入賞口処理により、所定回数の開閉ラウンドを満了した場合に、確変待機フラグ=1であると、確変フラグ=1とすると共に、普通図柄表示装置16が変動中であると(普通変動フラグ=1)、普通継続フラグ=1とする。これにより、確変通常遊技状態へ移行する際に、正規特別遊技状態で開始した普通図柄変動行程が継続することを確認する。尚、このような処理は、「突確大当り」の場合(突確フラグ=1)も同様に実行される。
確変通常遊技状態に移行した場合に、未消化の第一特別始動記憶データを記憶保持していると、図7の第一特別始動記憶消化処理により、上述したように高確率の当選値(当選確率1/30)を有効とし且つ特別時短行程時間を有効として、第一特別図柄生成行程を実行する。これにより、第一特別図柄生成行程が、低確率通常遊技状態に比して短い時間で実行される。一方、確変通常遊技状態で普通継続フラグ=1の場合には、普通低速行程時間により普通図柄変動行程が継続しており(図5参照)、当該普通図柄変動行程の実行中に、未消化の第一特別始動記憶データを順次消化して第一特別図柄生成行程が次々と実行されていく。そして、普通継続フラグ=1の場合に、第一特別図柄始動記憶データを消化することによって未消化の第一特別図柄始動記憶データが無くなると(第一特別図柄始動記憶数P=0)、高確率の当選値を有効とし且つ延長行程時間を有効とする。そのため、当該第一特別図柄始動記憶データについては、高確率の当選値により当落判定し、延長行程時間に従って第一特別図柄生成行程を実行する。
確変通常遊技状態にあって、上記のように普通低速行程時間の普通図柄変動行程が継続実行している間は、当然ながら普通電動役物21は閉塞状態で維持されていることから、新たな第一特別始動記憶データが生成されない。そのため、確変通常遊技状態の開始時点で存在する未消化の第一特別始動記憶データが減少するのみとなってしまう。そして、前記普通低速行程時間の普通図柄変動行程が終了する前に、未消化の第一特別始動記憶データが無くなると、残り一個となって消化された第一特別始動記憶データ(直前消化特別始動記憶データ)による第一特別図柄生成行程を、上記のように延長行程時間に従って実行する。
このように、延長行程時間に従って第一特別図柄生成行程を実行することによって、確変通常遊技状態で第二特別始動記憶データが消化されてしまうことを抑制できる。第二特別始動記憶データの場合には、上記したように、第一特別始動記憶データに比して、「確変大当り」となる確率が低く、さらに「突確大当り」となることもある。すなわち、第二特別始動記憶データの消化により遊技者が得られる利益は、第一特別始動記憶データの場合に比して少ない。さらに、確変通常遊技状態では、第一特別始動記憶データを発生し易くし、該第一特別始動記憶データの消化により「確変大当り」を発生し易くしている。そのため、前記のように、第二特別始動記憶データが消化されると、確変通常遊技状態により遊技者が得られる利益が低減し得る。以上のことから、第一特別図柄生成行程を延長行程時間に従って実行して、第二特別始動記憶データが消化されてしまうことを可及的に抑制できることによって、確変通常遊技状態における適正な利益を遊技者に供与できるようにしている。
本実施例にあっては、上記の延長行程時間を、普通図柄変動行程の普通低速行程時間(30秒)よりも僅かに長い時間として設定している。具体的には、延長行程時間を35秒間としている。これにより、例え、普通図柄変動行程が特別遊技状態の満了寸前に開始され且つ未消化の第一特別始動記憶データが一個の状況であっても、当該普通図柄変動行程の終了前に、第一特別図柄生成行程が満了してしまうことが無い。そのため、上記した確変通常遊技状態の適正な利益を供与するという本発明の作用効果が一層向上する。
さらに、本実施例にあっては、第一特別始動記憶消化処理により、普通継続フラグ=1の場合に大当り乱数値を当り判定すると、当該延長行程時間を無効として特別時短行程時間を有効としている。すなわち、特別遊技状態から普通図柄変動行程が継続し且つ未消化の第一特別始動記憶データが無くなった場合に、残り一個の第一特別始動記憶データを当り判定すると、確変通常遊技状態に則して第一特別図柄生成行程を実行する。これは、当りの場合には確変通常遊技状態から特別遊技状態へ移行するため、当該確変通常遊技状態での利益が損なわれないためである。逆に、当り判定したにも関わらず、延長行程時間により第一特別図柄生成行程を実行すると、確変通常遊技状態の利益が損なわれてしまう虞がある。
尚、当然ながら、未消化の第一特別始動記憶データが無くなる前に、特別遊技状態から継続する普通図柄変動行程が満了すると、普通継続フラグ=0とする(図5参照)。この場合には、延長行程時間による第一特別図柄生成行程を実行することがない。このように、継続する普通図柄変動行程が終了すれば、確変通常遊技状態に則した第一特別図柄生成行程を実行する。また、特別遊技状態から継続する普通図柄変動行程の実行中に、確変通常遊技状態で実行した第一特別図柄生成行程により当り特別停止図柄態様を確定停止すると、普通継続フラグ=0とする(図7参照)。この場合には、延長行程時間による第一特別図柄生成行程が実行されない。ここで、仮に、特別遊技状態から確変通常遊技状態に普通図柄変動行程が継続する際に、当該確変通常遊技状態で最初に実行する第一特別図柄生成行程の行程時間を延長すると、既に記憶している未消化の第一特別始動記憶データに当りとなるものが存在していても、それを確定するまでに要する時間が長くなってしまう。これに対して、本実施例の場合には、未消化の第一特別始動記憶データが無くなったときに、その直前に消化した第一特別始動記憶データによる第一特別図柄生成行程の行程時間を延長するようにしていることから、先に消化する第一特別始動記憶データに当りがあれば、特別時短行程時間により第一特別図柄生成行程で確定停止する。そのため、確変通常遊技状態における利益を保つことができ得る。
一方、第一特別始動記憶データは、上記のように、低確率通常遊技状態で生成し難いことから、該低確率通常遊技状態から特別遊技状態を介して確変通常遊技状態へ移行した場合に、当該確変通常遊技状態の開始時点で未消化の第一特別始動記憶データを記憶していないことがあり得る。このような場合には、確変通常遊技状態で、未消化の第二特別始動記憶データを消化することとなる。本実施例にあっては、普通継続フラグ=1で確変通常遊技状態を開始した際に、未消化の第一特別始動記憶データを記憶していないと、図8のように、第二特別始動記憶消化処理により第二特別始動記憶データを消化して、延長行程時間を有効とする。そして、確変通常遊技状態で最初に開始する第二特別図柄生成行程を延長行程時間に従って実行する。これにより、特別遊技状態から継続する普通図柄変動行程の実行中に、第二特別図柄生成行程を実行する回数を可及的に低減することができる。特に、延長行程時間を上記と同様に35秒に設定すれば、継続した普通図柄変動行程の満了前に、第二特別図柄生成行程を満了しない。そのため、未消化の第一特別始動記憶データを記憶せずに確変通常遊技状態へ移行した場合にあって、当該場合における利益を保つことができ得る。
このように本実施例の構成は、特別遊技状態で開始した普通図柄変動行程が確変通常遊技状態で継続している場合に、未消化の第一特別始動記憶データを記憶していれば、残り一個の第一特別始動記憶データによる第一特別図柄生成行程を延長行程時間により実行し、又は、未消化の第一特別始動記憶データを記憶していなければ、最初に消化する第二特別始動記憶データの第二特別図柄生成行程を延長行程時間により実行するようにしている。そのため、継続する普通図柄変動行程の満了前に、延長行程時間による第一または第二特別図柄生成行程が満了しない。そして、この普通図柄変動行程が満了すれば、次からは確変通常遊技状態に則した普通図柄変動行程が開始されるため、該確変通常遊技状態の利益を遊技者が適正に享受できる。さらに、上記のように、特別遊技状態から継続する普通図柄生成行程の実行中に、第二特別図柄生成行程の実行を可及的に抑制できるため、第一特別図柄生成行程を実行容易としてその利益を供与するという確変通常遊技状態の趣向性を充分かつ適正に保つことができ得る。
尚、本実施例にあって、第一特別始動記憶消化処理および第二特別始動記憶消化処理により、本発明にかかる延長変動処理を構成している。
上述した実施例にあっては、特別図柄生成行程を延長する延長行程時間を、普通図柄変動行程の普通低速行程時間よりも長い時間に設定した構成であるが、その他、延長行程時間としては、特別図柄生成行程の特別時短行程時間よりも長い時間に適宜設定することができる。また、複数の延長行程時間を設定し、選択的に実行するようにしても良い。例えば、確変通常遊技状態で未消化の特別始動記憶データを消化した回数に応じて、前記延長行程時間から選択して特別図柄生成行程を実行するように処理できる。
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、その他の構成についても、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更可能である。