本発明の実施例を、添付図面を用いて詳述する。
パチンコ遊技機1は、図1に示すように、遊技島設備(図示省略)に固定される外枠2と、この外枠2の前面開口部を覆う遊技機本体3とからなる。遊技機本体3は、中央上部の略円形の開口部に遊技盤10(図2参照)が取り付けられた前枠5を備え、この前枠5の一側縁がヒンジ部材4を介して外枠2に開閉可能に枢着されている。さらに前枠5には、遊技盤10を覆うガラス板6が設けられている。また、前枠5の下部には、上受皿7と下受皿8とが上下に列設されており、下受皿8の右側方に発射ハンドル9が突設される。
上記の遊技機本体3には、前枠5により隠蔽されるようにして、遊技球を発射する球発射装置(図示省略)が配設されている。この球発射装置に、上記した上受皿7に貯留する遊技球が一個づつ供給される。ここで、上受皿7は、その左側内部に、賞球や貸球を流出する球払出口15が開口し、右側内部に、遊技球を整列する整列部(図示省略)が形成され、該整列部の右端に遊技球を球発射装置へ供給するための球流入口(図示省略)が開口している。
図2は、上記した遊技盤10の正面図である。遊技盤10の前面には、ガイドレール11によって略円形の遊技領域12が区画形成されており、遊技領域12の中央には、各種遊技部材を組み込んだセンターケース13が配設される。この遊技領域12を、上記した球発射装置(図示省略)により発射された遊技球が転動流下する。
センターケース13には、液晶表示器からなる図柄表示装置14が組み付けられている。この図柄表示装置14の画面には、特別図柄A,B,C、普通図柄E,F、各種演出画像等が表示される。ここで、特別図柄A,B,Cは、後述する普通電動役物21の特別始動口22に遊技球が流入することにより変動開始し、その後停止した各特別図柄の組合せからなる特別停止図柄態様により当り又はハズレを確定する。この特別図柄A,B,Cの変動開始から停止して特別停止図柄態様を確定するまでが、本発明にかかる特別図柄生成行程である。そして、当り特別停止図柄態様で確定停止した場合には、後述する大入賞口26を所定回数開閉する特別遊技状態へ移行し、大入賞口26への遊技球入賞により多くの賞球を払い出す。この特別遊技状態は、多量の賞球を得ることができる機会であるため、該特別遊技状態へ移行する契機となる特別図柄A,B,Cの当り特別停止図柄態様は、遊技者により最も望まれており、特別図柄A,B,Cを変動開始する契機となる特別始動口22への入賞を狙って遊技球の発射操作が遊技者により行われる。尚、前記した特別図柄生成行程は、特別遊技状態では実行せず、大入賞口26を開閉しない通常遊技状態(後述する低確率通常遊技状態および確変通常遊技状態)で実行する。そして、通常遊技状態で前記した当り特別停止図柄態様が確定することにより特別遊技状態へ移行し、大入賞口26の開閉作動が満了することにより通常遊技状態へ移行する。一方、前記の普通図柄E,Fは、後述する普通図柄始動ゲート19,19を遊技球が通過することにより変動開始し、その後停止した普通停止図柄態様により当り又はハズレを確定する。この普通図柄E,Fの変動開始から普通停止図柄態様の確定までが、本発明にかかる普通図柄変動行程である。そして、当り普通停止図柄態様で確定停止すると、後述する普通電動役物21を拡開状態に変換する。これにより、特別始動口22に遊技球が入賞し易くなる。
このセンターケース13の下部には、四個のLEDからなる特別始動記憶数表示装置17と普通始動記憶数表示装置18とが夫々に設けられている。特別始動記憶数表示装置17は、後述する普通電動役物21の特別始動口22に遊技球が連続して流入した場合に、該特別始動口22への流入毎に発生する特別始動記憶データの未消化数(所謂、始動記憶数)を、そのLEDの点灯数によって表示する。また、普通始動記憶数表示装置18は、後述する普通図柄(図示せず)を変動する普通始動記憶データの未消化数(所謂、始動記憶数)を、そのLEDの点灯数によって表示する。ここで、特別始動記憶データと普通始動記憶データとの各始動記憶数は、それぞれ四個を上限記憶数として設定している(図4参照)。
上記センターケース13の左右側方には、普通図柄始動ゲート(普通図柄始動領域)19,19が配設されており、遊技球の通過により、各普通図柄始動ゲート19に設けられた普通図柄始動スイッチS2 (図3参照)から遊技球検出信号が発生すると、図柄表示装置14の表示画面で普通図柄E,Fが変動し、所定時間経過後に停止して種々の組み合わせの図柄態様が表示される。この普通図柄始動スイッチS2により、本発明にかかる普通検知手段が構成されている。
また、センターケース13の下方には、遊技球を流入可能とする特別始動口22と、左右一対の開閉翼片(図示省略)とを備えた普通電動役物21が配設されている。この特別始動口22の内部には、遊技球を検知する特別図柄始動スイッチS1(図3参照)が配設されており、該特別図柄始動スイッチS1による遊技球検知に従って、上述したように、図柄表示装置14の画面で特別図柄A,B,Cを変動開始する。すなわち、この特別図柄始動スイッチS1により、本発明の特別検知手段が構成されており、特別始動口22内部の特別図柄始動スイッチS1が配設された領域により、本発明の特別始動領域が構成されている。また、左右一対の開閉翼片は、上下方向に起立して一個の遊技球が上方から入賞可能な間隔となる閉鎖位置と、該閉鎖位置から左右両側に逆ハ字形に拡開して遊技球の入賞を容易とする拡開位置とに位置変換駆動されるようになっている。そして、普通図柄E,Fが当り普通停止図柄態様で確定停止した場合に、普通電動役物ソレノイド(図示せず)を駆動源として開閉翼片が拡開位置に位置変換して所定時間(約 0.2秒間)維持される(図10参照)。
さらに、普通電動役物21の下方には、大入賞口26を有する特別電動役物25が配設されている。この特別電動役物25は横長矩形状の開閉片27を具備し、内蔵された大入賞口ソレノイド(図示せず)により開閉片27を開閉駆動制御することによって大入賞口26が開放状態又は閉鎖状態に変換される。この特別電動役物25は、上記した図柄表示装置14の画面で変動表示した特別図柄A,B,Cが所定の当り特別停止図柄態様で確定表示された場合(大当りの場合)に、大入賞口26を開閉作動する。この大入賞口26の開閉作動としては、開閉片27が前方に傾倒して開き、その開放状態で開閉片27の上面の案内作用を介して、大入賞口26内へ遊技球を案内するとともに、所定開放時間(例えば30秒)の満了、またはその所定開放時間中における所定個数(例えば 9個)の遊技球の入賞により開閉片27が起立して大入賞口26が閉鎖される開閉ラウンドを、所定制限回数(本実施例にあっては15回)行う(図8参照)。これにより、大入賞口26に多量の遊技球が入賞し、遊技者に所定の利益が供与される。この特別電動役物25の内部には入賞した遊技球を検知するカウントスイッチS3(図3参照)が設けられている。このように、特別図柄A,B,Cが所定の当り特別停止図柄態様で確定表示されると、特別電動役物25を作動する特別遊技状態へ移行する。そして、この特別遊技状態は、大入賞口26を開閉する開閉ラウンドが所定制限回数(15回)に達することにより満了する。
その他、遊技領域12には、複数の一般入賞口58が配設されており、その内部に設けられた一般入賞スイッチS4(図3参照)による遊技球の入賞検知に伴って、所定数の賞球が払い出される。
次に、上述のパチンコ遊技機1の制御回路について、図3に示すブロック図に従って説明する。
制御回路には、主制御基板80、払出制御基板81、演出制御基板82、電源基板83、発射制御基板84が配設されている。主制御基板80は、マイクロコンピュータにより構成されており、パチンコ遊技機1の遊技を統括的に制御するものである。そして、この主制御基板80には、上記した特別図柄始動スイッチS1、普通図柄始動スイッチS2、カウントスイッチS3等の各種スイッチや各種センサが盤面中継端子板90を介して接続されている。
主制御基板80には、各種スイッチやセンサなどからの入力信号に従って演算処理を実行して所定の指令信号を出力する中央制御装置CPU、演算処理に用いる制御プログラム等を格納する記憶装置ROM、必要なデータを随時読み書き可能な記憶装置RAMが、データを読み書きするアドレスを指定する情報を一方的に伝えるアドレスバス(図示省略)と、データのやり取りを行うデータバス(図示省略)とを介して接続され、主制御基板80の基板回路を構成している。前記記憶装置ROMには、制御プログラムや、普通当り乱数テーブル、普通当り図柄乱数テーブル、大当り乱数テーブル、大当り図柄乱数テーブル、ハズレ図柄乱数テーブル、行程時間乱数テーブル、リーチ乱数テーブル、リーチ図柄乱数テーブル、変動態様乱数テーブル等の固定データが格納されている。そして、後述するように特別始動口22に遊技球が流入して特別図柄始動スイッチS1がON作動すると、中央制御装置CPUによって各乱数テーブルの乱数値の抽選が行われ、大当り乱数値、大当り図柄乱数値、ハズレ図柄乱数値、行程時間乱数値、リーチ乱数値、リーチ図柄乱数値、変動態様乱数値等が選出される。また、普通図柄始動ゲート19,19を遊技球が通過して普通図柄始動スイッチS2がON作動すると、普通当り乱数値と普通当り図柄乱数値とが選出される。また、記憶装置RAMには、特別図柄始動スイッチS1 ,普通図柄始動スイッチS2 のON作動数等が一時的に記憶される記憶エリア、ソフトタイマを構成するレジスタ領域及びワークエリア等が設けられている。
ここで、上記した大当り乱数テーブルから抽出する大当り乱数値について詳述する。大当り乱数テーブルは0〜299の範囲の値により構成されており、特別図柄始動スイッチS1がON作動した時点で前記範囲から大当り乱数値が抽出される(図4参照)。そして抽出された大当り乱数値は、所定の当選値と比較され、抽出された大当り乱数値が当選値と一致していた場合には「当り(特別図柄の当選)」判定し、不一致であった場合には「ハズレ」判定する(図7参照)。ここで当選値としては、低確率時に有効とする一個の数字(例えば、「7」)と、高確率時に有効とする十個の数字(例えば、「7,47,87,・・・」)とが設定されている。そして、後述する低確率通常遊技状態では、前記低確率時の当選値を有効として、前記した大当り乱数値を当落判定する。一方、後述する確変通常遊技状態では、前記高確率時の当選値を有効として大当り乱数値を判定する(図7参照)。低確率通常遊技状態では、当り判定する確率(以下、当選確率という)が1/300であり、確変通常遊技状態では、当選確率が1/30である(図10照)。
同様に、上記した普通当り乱数値を当落判定する場合にあっても、低確率通常遊技状態では低確率時の当選値を有効とし、確変通常遊技状態では高確率時の当選値を有効とする(図5参照)。ここで、普通図柄E,Fが当り普通停止図柄態様で確定停止する当選確率は、低確率通常遊技状態で1/10であり、確変通常遊技状態で9/10である(図10参照)。この当選確率となるように、低確率時と高確率時との夫々の当選値を設定している。
一方、上記した行程時間乱数テーブルから抽出する行程時間乱数値については、特別図柄生成行程の行程時間を選定するためのものであり、低確率通常遊技状態と確変通常遊技状態とで選定する特別図柄生成行程の行程時間が異なるようにしている。具体的には、低確率通常遊技状態で選定する複数の行程時間の集合群(以下、特別低速行程時間群という)と、確変通常遊技状態で選定する複数の行程時間の集合群(以下、特別時短行程時間群という)とが予め夫々設定されており、各遊技状態に応じていずれか一方の集合群から選定するように処理している。低確率通常遊技状態では、複数の特別低速行程時間を設定した集合群である特別低速行程時間群を有効として、該特別低速行程時間群の中から、行程時間乱数値に従って特別図柄生成行程の特別低速行程時間を選定する。また、確変通常遊技状態では、複数の特別時短行程時間を設定した集合群である特別時短行程時間群を有効として、該特別時短行程時間群の中から、行程時間乱数値に従って特別図柄生成行程の特別時短行程時間を選定する。すなわち、同じ行程時間乱数値であっても、低確率通常遊技状態と確変通常遊技状態とで異なる行程時間を選定する。ここで、特別時短行程時間群を構成する各特別時短行程時間は、特別低速行程時間群を構成する各特別低速行程時間に比して短時間に設定されている。そのため、確変通常遊技状態では、低確率通常遊技状態に比して、特別図柄生成行程が短時間で満了する。尚、大当り特別乱数値が当り判定した場合とハズレ判定した場合とで、変動行程時間乱数値により選定する特別低速行程時間および特別時短行程時間が異なるように調整する処理も行っている。これにより、当り判定した場合には、ハズレ判定した場合に比して長い行程時間が選定されるようにしている。
また、普通図柄変動行程に要する行程時間として、図5のように、低確率通常遊技状態および特別遊技状態で有効とする普通低速行程時間と、確変通常遊技状態で有効とする普通時短行程時間とが設定されている。この普通時短行程時間は、普通低速行程時間に比して短時間に設定されている。例えば、普通低速行程時間=30秒と設定していることに対して、普通時短行程時間=5秒と設定している(図9参照)。すなわち、確変通常遊技状態では、普通図柄変動行程の開始から終了までに要する時間が5秒となる。
尚、本実施例の場合、確変通常遊技状態は、確変変換条件の成立を契機として開始し、確変満了条件の成立を契機として満了する。確変変換条件としては、上記大当り乱数値が当り判定した場合に有効とする大当り図柄乱数値が、特定の確変値と同じであり、その大当り図柄乱数値に従って特別図柄A,B,Cが特定の確変当り特別停止図柄態様を確定表示すること(確変フラグ=1)を条件とする(図8参照)。一方、確変満了条件としては、上記大当り乱数値が当り判定すること(特別遊技フラグ=1、確変フラグ=0)を条件とする(図6参照)。すなわち、確変通常遊技状態は、特別図柄生成行程により確変当り特別停止図柄態様で確定停止し且つその後の特別遊技状態が満了することことによって開始され、次回以降の特別図柄生成行程で当り特別停止図柄態様を確定停止することにより満了する。そして、この特別遊技状態の満了後に、低確率通常遊技状態に変換する。
上述したように、特別図柄始動スイッチS1がON作動した時点で抽出した大当り乱数値、大当り図柄乱数値、ハズレ図柄乱数値、リーチ乱数値、リーチ図柄乱数値、変動態様乱数値等を纏めて、一セットの特別始動記憶データを生成し、記憶装置RAMに記憶する(図4参照)。特別始動記憶データは、その発生順に従って記憶し、その特別始動記憶数(未消化数)を上記した特別始動記憶数表示装置17の点灯数によって報知する。そして、最先に記憶された未消化の特別始動記憶データから順に消化して、当該特別始動記憶データを構成する各乱数値に従って、特別図柄の変動開始から確定停止に至る一連の図柄生成行程が、上記した図柄表示装置14で表示実行される(図6,7参照)。同様に、普通図柄始動スイッチS2のON作動した時点で抽出した普通当り乱数値と普通図柄乱数値とを纏めて一セットの普通始動記憶データとして生成し、記憶装置RAMに記憶する(図4参照)。この普通始動記憶データは、その発生順に従って記憶し、その普通始動記憶数を上記した普通始動記憶数表示装置18の点灯数によって報知する。そして、最先に記憶された未消化の普通始動記憶データから順に消化して、普通図柄変動行程を上記した図柄表示装置14で表示実行する(図5参照)。
また、主制御基板80の基板回路には、所定のクロックパルスを出力するクロック装置(図示省略)が設けられ、中央制御装置CPUに接続されている。そして中央制御装置CPUは一定間隔のクロックパルスによって、時系列的に演算処理を行い、一連の処理作動を順次実行する。また、このクロック装置により出力されたクロックパルスをカウントして時間を計測するタイマーTMも接続されている。
さらに、上記主制御基板80の基板回路には、中央制御装置CPUが周辺機器とデータ通信を行う入力ポート(図示省略)及び出力ポート(図示省略)が設けられており、該出力ポートを介して主制御基板80からの指令信号が、払出制御基板81、演出制御基板82、発射制御基板84の各入力ポートに向けて発信されるようになっている。また、主制御基板80の入力ポートには、盤面中継端子板90を介して、特別図柄始動スイッチS1、普通図柄始動スイッチS2、カウントスイッチS3、一般入賞スイッチS4が接続されている。そして、主制御基板80は、所定時間毎(例えば2ms毎)に各スイッチS1 〜S4の遊技球検出状態を調べ、信号入力があるとその信号が波形整形回路により波形整形されて中央制御装置CPUに入力され、その情報を記憶装置RAMに記憶する。また、主制御基板80の出力ポートには、盤面中継端子板90を介して大入賞口ソレノイド,普通電動役物ソレノイドが接続されており、中央制御装置CPUが所定の条件を選出した場合に作動される。
また、主制御基板80の中央制御装置CPU及び上記した各制御基板81〜84に設置されている各中央制御装置CPUは、所定のデータ処理を行う演算ユニット(ALU)を連成した演算装置と、この演算装置に入出力するデータや読み込んだ命令を保管しておくレジスタと、命令を解読するデコーダ等によって構成されている。尚、前記演算ユニットの連成数によって、各中央制御装置CPUの演算処理能力が決まる。そして、主制御基板80の中央制御装置CPUは、所定の形式で生成した指令信号を各制御基板81〜84に夫々送信し、各制御基板81〜84の中央制御装置CPUがこの指令信号に従って所定の制御を処理実行することとなる。
一方、上記した演出制御基板82は、上述した図柄表示装置14の駆動制御や、各種スピーカから音響を発する制御や、各種ランプおよびLEDを発光する制御などを行うものである。そして、この演出制御基板82には、図柄表示装置14を構成する液晶表示器(図示省略)と、各種LEDをLED中継端子板を介して発光制御する発光制御基板85と、スピーカが接続された演出中継端子板(図示省略)とが夫々に接続されている。また、演出制御基板82にも、上述した主制御基板80と同様に、中央制御装置CPU、記憶装置ROM、記憶装置RAMを備えている。このような演出制御基板82は、主制御基板80から受信した演出制御指令信号に従って、図柄表示装置14による演出画像の表示、各LEDの発光、スピーカの発音を制御実行する。
また、払出制御基板81は、賞球や貸球を払い出す球払出装置(図示省略)を駆動制御するものである。この払出制御基板81は、主制御基板80から受信した払出指令信号に従って上記した球払出装置(図示省略)を駆動して、所定の賞球を払い出す制御を実行する。
また、発射制御基板84は、上記した発射ハンドル9の操作に従って、図示しない球発射装置を駆動制御することにより、遊技球を発射制御するものである。尚、発射制御基板84も、上記した主制御基板80と接続されており、主制御基板80から所定の指令信号を入力すると、それに従って駆動制御するようにもなっている。
また、上述した電源基板83は、外部電源から供給された電力を、所定の電圧に変換して、上述した主制御基板80、払出制御基板81、演出制御基板82(および発光制御基板85)、発射制御基板84に送電するものである。電源基板83には、外部電源からAC24Vの電流が送電される。そして、このAC24Vを、DC32V、DC12V、DC5Vに変換する回路が夫々配設されている。さらに、過剰の電流が流れないようにする過負荷保護回路、リセット回路、バックアップ用コンデンサ(バックアップ電源)などが配設されている。
この電源基板83からDC32V、DC12V、DC6Vの各電力を夫々供給された主制御基板80、払出制御基板81、演出制御基板82(および発光制御基板85)、発射制御基板84は、夫々が駆動制御するモータ、ソレノイド、スイッチ、センサ、LED、スピーカ、表示装置などに所定の電力を分配する。
次に、図3に示した制御回路による制御態様をパチンコ遊技機1の作動に従って説明する。
上記した発射ハンドル9が遊技者によって操作されることにより、遊技球を遊技領域12に発射する。この遊技球が普通図柄始動ゲート19を通過し、普通図柄始動スイッチS2 がON作動すると、主制御基板80は入賞検知処理(図4参照)により普通当り乱数値と普通図柄乱数値を選出する。そして、図5の普通図柄処理により、普通当り乱数値を判定して、図柄表示装置14で普通図柄E,Fを図柄変動する普通図柄変動行程を行う。ここで、上記した低確率通常遊技状態の場合(確変フラグ=0)とすると、この普通図柄変動行程は、上記の普通低速行程時間に従って普通図柄E,Fを変動し、前記普通低速行程時間の経過により普通図柄E,Fを確定停止して満了する。さらに、普通当り乱数値の当落判定は、低確率時の当選値を有効として行う。そして、この普通当り乱数値を当り判定すると、普通図柄乱数値を有効として当該乱数値に従って当り普通停止図柄態様を決定し、普通図柄E,Fを確定停止する。普通当り乱数値の当り判定により、普通当りフラグ=1として、当り普通停止図柄態様の確定停止に伴って、普通電動役物21の開閉翼片を拡開位置に位置変換する。低確率通常遊技状態では、前記開閉翼片を拡開位置に0.2秒間(通常拡開時間)保持して閉鎖位置へ変換する。尚、この普通電動役物21の開閉翼片が拡開位置にある状態が、本発明にかかる拡開状態であり、閉鎖位置にある状態が本発明にかかる閉鎖状態である。
上記の普通図柄始動ゲート19を遊技球が連続的に通過すると、普通図柄始動スイッチS2のON作動毎に、普通当り乱数値と普通図柄乱数値とを抽出して普通始動記憶データとして発生順に記憶保持する。そして、上記の普通始動記憶数表示装置18の発光ダイオードをその未消化数(始動記憶数)Uに応じて順次点灯する。この普通始動記憶データの未消化数Uは、四個を上限記憶数としている(図4参照)。
一方、遊技領域12を転動流下した遊技球が普通電動役物21の特別始動口22に流入すると、図4の入賞検知処理により、特別図柄始動スイッチS1がON作動し、このON作動による入力信号を受け取った主制御基板80は、上記した大当り乱数値等の各乱数値を抽出して特別始動記憶データを記憶する処理を行う。ここで、主制御基板80の中央制御装置CPUは、記憶装置ROMに記憶されている大当り乱数テーブル、大当り図柄乱数テーブル、ハズレ図柄乱数テーブル、行程時間乱数テーブル、リーチ乱数テーブル、リーチ図柄乱数テーブル、変動態様乱数テーブル等から抽選によって、大当り特別乱数値、大当り図柄乱数値、行程時間乱数値などを夫々に抽出し、これら各乱数値を一セットの特別始動記憶データとして、記憶装置RAMに一旦記憶保持する処理を行う。
尚、遊技球が連続的に特別始動口22に流入した場合には、特別図柄始動スイッチS1がON作動する毎に、上記により各乱数値を選出して特別始動記憶データを順次発生し、その発生順に記憶装置RAMに記憶保持すると共に、特別始動記憶数表示装置17の発光ダイオードをその未消化数(始動記憶数)Pに応じて順次点灯する。この特別始動記憶データの未消化数Pは、最大四個(上限記憶数)と設定されていることから、未消化の特別始動記憶データが四個記憶されている状態で、新たに特別始動口22へ遊技球が流入しても特別始動記憶データを発生しない。
そして、主制御基板80は、記憶装置RAMに特別始動記憶データを記憶している場合に、発生順に特別始動記憶データを消化して特別図柄A,B,Cを変動停止制御する特別図柄処理(図6,7参照)を行う。すなわち、特別始動記憶データを一つ読み込み、当該特別始動記憶データの大当り乱数値を判定すると共に、演出制御基板82に指令信号を発信して、該演出制御基板82により特別始動記憶数表示装置17の発光ダイオードを1個消灯し、特別図柄A,B,Cの図柄変動を開始する。ここで、低確率通常遊技状態の場合(確変フラグ=0)には、低確率の当選値を有効として大当り乱数値を判定する。この判定によって大当り乱数値を当りと判定した場合には、大当り図柄乱数値を選択して当り停止図柄態様を決定する。さらに、特別低速行程時間群を有効として、行程時間乱数値に従って特別低速行程時間を選定し、特別図柄変動停止態様選択処理により、該特別低速行程時間とその他の乱数値とに従って図柄表示装置14で表示される当り図柄変動パターンを選定する。この特別図柄変動停止態様選択処理では、特別図柄A,B,Cの変動パターンだけでなく、該変動中に表示する演出図柄パターンをも選定する。そして、前記特別低速行程時間(変動開始から確定停止までに要する時間)を計測するためのタイマをセットし、特別図柄変動停止態様選択処理で選定した当り図柄変動パターンおよび演出図柄パターンをセットする。このように、記憶装置RAMに記憶している(未消化の)特別始動記憶データを読み込んで、その各乱数値に従って変動パターンなどを選定する処理が、未消化の特別図柄始動記憶を消化する特別始動記憶消化処理(図7参照)である。これに従って、図柄表示装置14で、特別図柄A,B,Cを当り特別停止図柄態様で確定停止するまでの一連の特別図柄生成行程が表示実行される。一方、大当り乱数値をハズレと判定した場合には、ハズレ図柄乱数値を選択してハズレ停止図柄態様を決定すると共に、行程時間乱数値により選定した特別低速行程時間とその他の乱数値とに従ってハズレ図柄変動パターンを選定し、図柄表示装置14で、特別図柄A,B,Cをハズレ停止図柄態様で確定停止するまでの一連の特別図柄生成行程が表示される。
ここで、本実施例にあって、上記の特別図柄A,B,Cとしては、それぞれ「0」〜「9」の各数字からなり、A=B=Cで確定停止した場合に当りとし、これ以外をハズレとする。すなわち、特別図柄A=B=Cが当り特別停止図柄態様であり、これ以外がハズレ特別停止図柄態様である。
上記したように特別図柄生成行程により当り停止図柄態様を確定表示すると、大入賞口26を開閉作動制御する大入賞口処理(図8参照)を行う。この大入賞口処理により、大入賞口26を開閉する開閉ラウンドを所定回数(15回)行い、上記した入賞検知処理(図4参照)によって大入賞口26に入賞した遊技球をカウントスイッチS3により検知して、所定数の賞球を払い出す処理を行う。この特別遊技作動は、比較的短い時間内で多くの賞球を獲得することができるため、遊技者に供与される利益も高く、遊技者の最も望む遊技状態の一つとなっている。この大入賞口処理により大入賞口26の開閉ラウンドを実行している状態が、本発明の特別遊技状態である。この特別遊技状態は、当り停止図柄態様が確定すること(特別遊技フラグ=1)により開始し、所定回数の開閉ラウンドを行うこと(特別遊技フラグ=0)により満了する。尚、この特別遊技状態以外の状態が、本実施例にあって通常遊技状態(低確率通常遊技状態および確変通常遊技状態)である。
さらに、上記した特別図柄生成行程により確定停止した当り特別停止図柄態様が、予め設定された確変当り特別停止図柄態様であると、特別遊技状態後の通常遊技状態を確変通常遊技状態とする。ここで、確変当り特別停止図柄態様としては、例えば、特別図柄A,B,Cが奇数図柄(1,3,5,7,9)で停止する場合として設定する。一方、特別図柄A,B,Cが偶数図柄(0,2,4,6,8)で停止した通常当り特別停止図柄態様の場合には、特別遊技状態後の通常遊技状態を低確率通常遊技状態とする。このように特別図柄生成行程により確定停止する当り特別停止図柄態様は、確変当り特別停止図柄態様または通常当り特別停止図柄態様のいずれかであり、特別図柄A,B,Cの当り停止図柄態様を決定する大当り図柄乱数値により決定する。すなわち、大当り図柄乱数値により奇数図柄とすることが決まると確変待機フラグ=1とし(図7参照)、確変当り特別停止図柄態様の確定停止により移行する特別遊技状態の満了に伴って確変フラグ=1とする(図8参照)。
そして、特別遊技状態後に確変通常遊技状態となると、上記したように、特別始動記憶データの大当り乱数値を判定する際に高確率の当選値を有効とする(図7参照)と共に、普通始動記憶データの普通当り乱数値を判定する際に高確率の当選値を有効とする(図5参照)。さらに、確変通常遊技状態(確変フラグ=1)では、上述したように、特別時短行程時間群を有効として行程時間乱数値に従って特別時短行程時間を選定する。そして、選定した特別低速行程時間に基づいて、特別図柄変動停止態様選択処理により、特別図柄の図柄変動パターンおよび演出図柄パターンをセットする。同様に、普通図柄変動行程に要する行程時間も、図5のように、上記した普通時短行程時間を有効とする。
このように確変通常遊技状態となると、特別図柄生成行程で当り確定する確率と普通図柄変動行程で当り確定する確率とを夫々高確率とするだけでなく、特別図柄生成行程の行程時間と普通図柄変動行程の行程時間とを夫々に短時間とする。さらに、確変通常遊技状態では、普通電動役物21を拡開状態に維持する時間が2秒間となり、低確率通常遊技状態の場合の0.2秒間に比して長くなる。このように確変通常遊技状態では、特別始動記憶データを生成し易くなると共に、当り特別停止図柄態様を確定し易く且つその確定までに要する時間も短縮される。
また、特別始動記憶データは、上述したように、最大四個まで記憶されて、その発生順に消化して図柄生成行程を実行する処理が行われることから、消化する前(未消化)の特別始動記憶データは記憶されて維持されている状態である。普通始動記憶データについても同様である。
また、上記した特別始動口22、大入賞口26、一般入賞口58へ遊技球が入賞すると、入賞検知処理(図4参照)により、予め設定された賞球数を払い出す払出処理を行う。この払出処理では、各スイッチS1,S3,S4の球検出に従って、夫々の賞球数を払い出すように、上記した払出装置(図示省略)を駆動制御する。
本実施例にあっては、上述したように特別始動記憶を消化する処理について主に説明したが、その他の処理(例えば、メイン処理など)については、従来の構成と同様に実行できるため、その詳細を適宜省略している。
尚、上記した特別始動口22の内部に配設した特別図柄始動スイッチS1により、本発明にかかる特別検知手段が構成されており、本発明の特別始動領域が該特別始動口22の内部に設けられている。また、本発明にかかる特別始動記憶生成手段が、上記した入賞検知処理を処理実行する主制御基盤80により構成されている。また、本発明にかかる特別図柄制御手段が、上記した特別図柄処理(および特別始動記憶消化処理)を処理実行する主制御基盤80および演出制御基盤82により構成されている。また、本発明にかかる遊技制御手段が、上記した大入賞口処理と特別図柄処理とを処理実行する主制御基盤80と払出制御基盤81とにより構成されている。また、本発明にかかる普通図柄制御手段が、上記した普通図柄処理を処理実行する主制御基盤80および演出制御基盤82により構成されている。また、本発明にかかる特別図柄表示装置および普通図柄表示装置が、上記した図柄表示装置14により構成されている。
次に本発明の要部について説明する。
上記した普通図柄処理(図5参照)は、特別変動フラグ=1(特別図柄生成行程の実行中)や特別遊技フラグ=1(特別遊技状態)であっても、未消化の普通始動記憶データを消化して普通図柄変動行程を行う。
普通図柄処理では、図5のように、低確率通常遊技状態または特別遊技状態の場合(確変フラグ=0)に普通始動記憶データを消化すると、低確率の当選値(当選確率1/10)と普通低速行程時間(30秒)とを有効とし且つ拡開フラグ=0として、当落判定すると共に、普通図柄E,Fを変動開始する。そして、普通低速行程時間が経過すると、普通図柄E,Fを確定停止する。ここで、前記当落判定結果が当りの場合には、当り普通停止図柄態様で普通図柄E,Fを確定停止して、普通電動役物21を通常拡開時間(0.2秒間)拡開状態とする。一方、確変通常遊技状態の場合(確変フラグ=1)には、高確率の当選値(当選確率9/10)と普通時短行程時間(5秒)とを有効とし且つ拡開フラグ=1とする。そして、普通時短行程時間の経過により当り普通停止図柄態様を確定すると、普通電動役物21を確変拡開時間(2秒間)拡開状態とする。このように、普通図柄処理では、普通図柄始動記憶データを消化する際の遊技状態に応じて、当選値、行程時間、拡開時間を選定するようにしている。そのため、特別遊技状態の終了間際に普通始動記憶データを消化すると、当該特別遊技状態後に確変通常遊技状態に変換しても、当該確変通常遊技状態で、低確率通常遊技状態に則した普通図柄変動行程が継続して進行することとなる。
本実施例にあっては、特別遊技状態での開閉ラウンド満了前に開始した普通図柄変動行程が確変通常遊技状態で継続する場合(普通継続フラグ=1)に、当該確変通常遊技状態へ移行する際に記憶している未消化の特別始動記憶データにより実行する特別図柄生成行程が、当該普通図柄変動行程の満了前に満了しないように、該特別図柄生成行程の行程時間を調整する割振時間処理(図9参照)を行うようにしている。この割振時間処理について、遊技進行に従って以下説明する。
図6の特別図柄処理により、確変当り特別停止図柄態様を確定停止すると、特別遊技フラグ=1として、図8の大入賞口処理により、特別遊技状態へ移行する。ここで、確変当り特別停止図柄態様を確定停止する場合には、図7の特別始動記憶消化処理により、確変待機フラグ=1とする。尚、いずれの当り特別停止図柄態様を確定停止しても、確変フラグ=0であるため、特別遊技状態では、上記した普通図柄処理(図5参照)を低確率通常遊技状態と同様に実行する。図8の大入賞口処理により、所定回数の開閉ラウンドを満了した場合に、確変待機フラグ=1であると、確変フラグ=1とし且つ割振判定フラグ=1とする。さらに、普通図柄E,Fが変動中であると(普通変動フラグ=1)、普通継続フラグ=1とする。これにより、確変通常遊技状態へ移行する際に、特別遊技状態で開始した普通図柄変動行程が継続することを確認する。
上記した割振判定フラグ=1により、図9の割振時間処理を実行する。この割振時間処理では、確変通常遊技状態へ移行する際に未消化の特別始動記憶データを記憶していると、各特別始動記憶データを順次読み込んで、夫々の大当り特別乱数値が当りか否かを先読み判定する。ここで、先読み判定は、高確率の当選値を適用して実行する。この先読み判定により大当り特別乱数値を当り判定すると、割振判定フラグ=0として割振時間処理を終了する。このように、確変通常遊技状態へ移行する際に記憶している未消化の特別始動記憶データに当りとなるものがあれば(割振処理フラグ=0)、特別遊技状態から普通図柄変動行程が継続している場合にあっても、通常通り、順次特別始動記憶データを消化してその行程時間乱数値に従って選定した特別時短行程時間により特別図柄生成行程を実行していく(図7参照)。これは、特別図柄生成行程により当りとなると、確変通常遊技状態から特別遊技状態へ移行するため、普通図柄変動行程が満了しなくとも当該確変通常遊技状態における利益が損なわれないためである。逆に、当りとなる特別始動記憶データを記憶しているにも関わらず、後述するように、特別時短行程時間を延長すると、当り発生までに要する時間が長くなってしまい、確変通常遊技状態の利益を損なう虞も考えられる。
一方、上記先読み判定でハズレ判定すると、未消化の特別始動記憶データから行程時間乱数値を順次読み込んで、特別時短行程時間を選定する。ここで、特別時短行程時間は、行程時間乱数値に従って特別時短行程時間群から選定する。そして、確変通常遊技状態に移行する際に記憶している全ての未消化の特別始動記憶データについて夫々選定した各特別時短行程時間を累積加算して、累積行程時間を求める。この累積行程時間に基づいて、確変通常遊技状態に移行する際に記憶している未消化の特別始動記憶データの中で最後に消化されて実行する特別図柄生成行程の満了する時点を、特別行程満了タイミングとして算出する。さらに、特別遊技状態から継続している普通図柄変動行程の満了する時点を、普通継続満了タイミングとして算出する。次に、算出した特別行程満了タイミングと普通継続満了タイミングとの時間間隔を、タイミング間隔時間として算出し、該タイミング間隔時間によって、特別行程満了タイミングが普通継続満了タイミングに比して前に到達するか否かを判定する。ここで、特別行程満了タイミングが前に到達すると判定すると、前記タイミング間隔時間を、特別始動記憶データの未消化数(始動記憶数)で均等に分割した割振時間を算出する。そして、割振処理フラグ=1とし且つ割振判定フラグ=0として、割振時間処理を終了する。尚、前記判定により、特別行程満了タイミングが前に到達しないと判定した場合には、割振判定フラグ=0とし且つ割振処理フラグ=0を維持して割振時間処理を終了する。
確変通常遊技状態へ移行し、図6の特別図柄処理により割振判定フラグ=0であると、図7の特別始動記憶処理により、未消化の特別始動記憶データを消化する。そして、上述したように、高確率の当選値(当選確率1/30)を有効とし且つ特別時短行程時間群を有効とする。ここで、上述した割振時間処理により割振処理フラグ=1としている場合には、当該確変通常遊技状態へ移行する際に記憶している未消化の特別始動記憶データは全てハズレである。そのため、ハズレ図柄乱数値等を有効として、行程時間乱数値に従って特別時短行程時間を選定する。そして、割振処理フラグ=1であるため、上記の割振時間処理により算出した割振時間を、選定した特別時短行程時間に加算する。これにより、行程時間乱数値により選定する特別時短行程時間に比して時間延長された、延長特別時短行程時間を算出する。この延長特別時短行程時間とハズレ図柄乱数値等の各乱数値とに基づいて、上記した特別図柄変動停止態様選択処理により特別図柄の変動パターンおよび演出パターンを選定し、これらパターンに従って特別図柄生成行程を実行する。
尚、特別図柄生成行程がハズレ特別停止図柄態様で確定すると、次の特別始動記憶データを消化して、同様に割振時間を加算した延長特別時短行程時間に従って特別図柄生成行程を実行する。このように未消化の特別始動記憶データを順次消化して、延長特別時短行程時間による特別図柄生成行程を繰り返し実行する。そして、確変通常遊技状態へ移行した際に記憶している未消化の特別始動記憶データを全て消化して、その最後の特別図柄生成行程が前記延長特別時短行程時間により満了すると、割振処理フラグ=0として、以降に実行される特別図柄生成行程は、行程時間乱数値により選定された特別時短行程時間により実行する。
この確変通常遊技状態にあって、上記のように延長特別時短行程時間に従って特別図柄生成行程が実行されると、特別遊技状態から継続する普通図柄変動行程が満了する前に、確変通常遊技状態へ移行した際に記憶している未消化の特別始動記憶データによる全ての特別図柄生成行程が満了しない。本実施例にあっては、上述したように、特別時短行程時間に加算する割振時間を、特別行程満了タイミングと普通継続満了タイミングとの時間差のみとするタイミング間隔時間により算出していることから、前記普通図柄変動行程が満了するタイミング(普通継続満了タイミング)と前記全ての特別図柄生成行程が満了するタイミングとが、ほぼ一致する。そして、特別遊技状態から継続する普通図柄変動行程が満了すると、次の普通図柄変動行程からは確変通常遊技状態に則して実行するため、普通電動役物21が拡開状態となりやすく、これに伴って新たな特別始動記憶データを生成し易くなる。これにより、特別遊技状態から継続する普通図柄変動行程の満了とほぼ同時に、前記全ての特別図柄生成行程が満了しても、極めて短時間のうちに新たな特別図柄生成行程が実行され得る。すなわち、確変通常遊技状態へ移行する際に記憶している特別始動記憶データの全ての特別図柄生成行程の満了から次に特別図柄生成行程が実行するまでの、特別図柄生成行程が実行されない非実行期間を、可及的に短くすることができる。
このように本実施例の構成によれば、特別遊技状態から確変通常遊技状態へ変換する際に、該特別遊技状態の開閉ラウンド満了間際に開始した普通図柄変動行程が確変通常遊技状態へ継続することとなっても、当該普通図柄変動行程が満了するタイミングと、当該確変通常遊技状態へ移行する際に記憶している未消化の特別始動記憶データによる特別図柄生成行程が満了するタイミングとがほぼ一致するため、これらタイミング後に、確変通常遊技状態による利益を適正かつ安定して供与できる。そして、確変通常遊技状態で、特別遊技状態から継続する普通図柄変動行程により生ずる特別図柄生成行程の非実行期間を可及的に短くできることから、確変通常遊技状態での利益を遊技者に充分供与できる。
尚、上述した従来構成では、確変通常遊技状態で低確率通常遊技状態に則した普通図柄変動行程が継続することによって前記非実行期間が比較的長く生じ得ると、確変通常遊技状態による利益が十分供与されない。そのために、遊技者に不信感を生じ易くなっていた。これに対して、本実施例の構成では前記非実行時間を可及的に抑制でき得るため、確変通常遊技状態による遊技性を適切に発揮でき、遊技者に前記不信感が生じることを可及的に抑制できる。
さらに、本実施例にあっては、タイミング間隔時間を均等に割り振るようにしていることから、割振時間を加算した各延長特別時短行程時間の差も、元の特別時短行程時間と同じであるため、一の特別図柄生成行程のみ延長特別時短行程時間が長くなることも無い。通常、確変通常遊技状態では、ハズレ確定する特別図柄生成行程をリーチせずに実行するようにしていることから、各延長特別時短行程時間はほとんど同じ時間となる。そのため、遊技者は、特別図柄生成行程の行程時間が延長されていることに気付き難い。これにより、遊技者に、特別図柄生成行程に違和感を感じてしまうことを可及的に抑制でき、遊技への信頼性を適正に保ち得る。
さらに、本実施例の構成では、上述したように、図9の割振時間処理により未消化の特別始動記憶データを先読み判定して当りがあると、割振処理フラグ=0を維持して、特別時短行程時間に割振時間を加算する処理を行わない。すなわち、特別遊技状態から継続する普通図柄変動行程が継続している場合にあっても、記憶している未消化の特別始動記憶データに当りがあれば、当該普通図柄変動行程の満了に関係せずに、各特別始動記憶データの行程時間乱数値に従って設定した特別時短行程時間により特別図柄生成行程を実行する。これは、特別図柄生成行程により当りとなると、確変通常遊技状態から特別遊技状態へ移行するため、普通図柄変動行程が満了しなくとも当該確変通常遊技状態における利益が損なわれないためである。逆に、当りとなる特別始動記憶データを記憶しているにも関わらず、上記の割振時間を加算した延長特別時短行程時間により特別図柄生成行程を実行すると、該割振時間(タイミング間隔時間)に従って当り発生までに要する時間が長くなってしまい、確変通常遊技状態の利益を損なってしまうことも考えられる。このように、未消化の特別始動記憶データに当りがあれば、選定した特別時短行程時間による特別図柄生成行程で確定するため、確変通常遊技状態における利益を保つことができ得る。
尚、本実施例にあっては、上記した割振時間処理と特別始動記憶消化処理(および特別図柄処理)により、本発明にかかる特別行程時間割振処理を構成している。
一方、上述した本実施例の構成にあっては、上記の割振時間処理によってタイミング間隔時間を均等に分けた割振時間を生成し、該割振時間を特別時短行程時間に加算する処理を行っているが、その他の構成として、各特別時短行程時間にタイミング間隔時間を様々な割合で割り振ることが可能である。例えば、タイミング間隔時間を等差級数や等比級数に基づいて分割し、各特別時短行程時間に配分するようにすることもできる。これにより、特別図柄生成行程を徐々に短い時間で実行するようにしても良い。このように、所定条件に従ってタイミング間隔時間を分割して、各特別時短行程時間に配分することができる。尚、各特別時短行程時間への配分も所定条件に従って行うことができる。又は、タイミング間隔時間をランダムな時間に分割して、各特別時短行程時間に配分することもできる。
また、割振時間処理では、特別行程満了タイミングと普通継続満了タイミングとの時間差のみをタイミング間隔時間として、当該タイミング間隔時間から割振時間を求めているが、その他、特別行程満了タイミングと普通継続満了タイミングとの時間差に所定の補正時間を加算してタイミング間隔時間を算出するようにしても良い。これにより、特別遊技状態から継続する普通図柄変動行程の満了後に、確変通常遊技状態で記憶している未消化の特別始動記憶データによる全ての特別図柄生成行程を満了することとなる。そのため、当該特別図柄生成行程の満了の際に、新たな特別始動記憶データが生じ易くなり、上述した非実行時間の発生を防止する効果がさらに高く、本発明の作用効果が一層向上する。
また、上述した実施例では、特別行程満了タイミングおよび普通継続満了タイミングを、夫々の行程の満了するタイミングとして設定しているが、その他、該満了に至る期間を示す時間として設定して、タイミング間隔時間を算出するようにしても良い。また、特別行程満了タイミングが普通継続満了タイミングよりも前に到達することを判定する処理としては、両タイミングの差を算出して判定する他に、両タイミングの前後時間関係を判定する等、様々な処理方法を適用可能である。
また、本実施例にあっては、本発明の特別図柄表示装置と普通図柄表示装置とを一の図柄表示装置により構成したものであるが、その他の構成として、特別図柄表示装置と普通図柄表示装置とを別々に配設した構成としても良い。同様に、演出表示装置を別途設けることもでき得る。また、特別始動領域を二つ備え、それぞれの特別始動領域への遊技球通過により発生する利益の異なるパチンコ遊技機にも同様に適用することができ得る。
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、その他の構成についても、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更可能である。