JP5495381B2 - 放電バルブ用アークチューブ - Google Patents

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Description

本発明は、電極が対設され発光物質等が封入された密閉ガラス球をもつ放電バルブ用アークチューブに係わり、特に、電極棒とモリブデン箔とリード線を直列に接続一体化した電極アッシーを石英ガラス管に挿入し、ガラス管のモリブデン箔を含む領域がピンチシールされた放電バルブ用アークチューブに関する。
この種のアークチューブとしては、下記特許文献1,2があり、ここには、電極棒とモリブデン箔とリード線を直列に接続一体化した電極アッシーのモリブデン箔を含む領域が石英ガラスによってピンチシールされて、発光物質等を封入した密閉ガラス球内に電極が対設された構造のアークチューブであって、ガラス管をピンチシールする際に、高温に晒されたモリブデン箔が再結晶して、モリブデン箔の結晶粒が粗大化すると、アークチューブの点消灯によってモリブデン箔と石英ガラス間の界面に発生する応力の値が大きくなって、ピンチシール部において封止ガスのリークにつながる「ガラスとモリブデン箔の剥離」が発生するおそれがあるが、このようなことのないようにするための技術が開示されている。
すなわち、特許文献1には、ピンチシール部におけるモリブデン箔の再結晶粒の大きさを50μm以下にすることで、アークチューブの点消灯によってモリブデン箔と石英ガラス間の界面に繰り返し発生する応力を低減するという発明が提案されている。
一方、特許文献2には、ピンチシール部におけるモリブデン箔の表面を酸化と還元からなるエッチング処理を施した粗面で構成して、モリブデン箔のガラスとの密着性(機械的接合強度)を高めることで、アークチューブの点消灯によってモリブデン箔と石英ガラス間の界面に応力が繰り返し発生したとしても、「ガラスとモリブデン箔の剥離」につながらない、という発明が提案されている。
特開平11−067153号 特開2003−86136号
確かに、前記した特許文献1,2では、ピンチシール部におけるガラスとモリブデン箔の剥離を防止する上でそれぞれある程度有効であるが、発明者は、特許文献1,2の構成を備えたアークチューブを製造する過程で、電極アッシーを構成するモリブデン箔(電極棒とリード線を接続するモリブデン箔)として、酸化と還元からなるエッチング処理を施したモリブデン箔(表面を粗面にしたモリブデン箔)に代えて、真空熱処理(約900℃)または水素処理(約900℃)を施したモリブデン箔(一次再結晶して結晶粒径が約1〜1.5μmのモリブデン箔)を用いてアークチューブを試作したところ、比較的高い温度でピンチシールした場合に、ピンチシール部において封止ガスのリークにつながる「ガラスとモリブデン箔の剥離」が抑制されて、アークチューブの寿命が延びるという新たな結果が得られた。
すなわち、ピンチシール部におけるモリブデン箔の表面がガラスとの密着性(機械的接合強度)を高める極端な粗面構造となっていない場合であっても、「ガラスとモリブデン箔の剥離」が抑制されるという結果が得られた。
そこで、発明者は、この原因を調べるべく、この試作品におけるモリブデン箔の断面を緻密に観察したところ、モリブデン箔の内部には、比較例(一次再結晶化処理を施していないモリブデン箔を用いたアークチューブ)では一切見当たらない、複数個の密閉された空洞が見つかった。すなわち、ピンチシール部におけるモリブデン箔の内部には、密閉された空洞(ガラス層とは確実に分離された空洞)が形成されており、この空洞(複数の密閉された空洞を有するモリブデン箔のポーラス構造)が、アークチューブの点消灯の際にモリブデン箔と石英ガラス間の界面に発生する応力を低減し、「ガラスとモリブデン箔の剥離」の発生を抑制する上で有効であると確認された。
さらに、特許文献2のアークチューブ(ピンチシール部におけるモリブデン箔の表面がガラスとの密着性を高める粗面構造)の場合においても、一次再結晶化処理である酸化(約500℃)・還元(約900℃)処理を施したモリブデン箔(一次再結晶して結晶粒径が約1〜1.5μmとなったモリブデン箔)を比較的高い温度でピンチシールした場合には、モリブデン箔の内部に密閉された空洞が形成されて、モリブデン箔表面の粗面構造によりガラスとの密着性(機械的接合強度)が高められることに加えて、モリブデン箔内部のポーラス構造が「ガラスとモリブデン箔の剥離」の発生を抑制する上でいっそう有効である、と確認されたことを受けて、このたびの出願に至ったものである。
本発明は、前記した従来技術の問題点および前記した発明者の知見に基づいてなされたもので、その目的は、「ガラスとモリブデン箔の剥離」の発生が抑制されて長寿命となる放電バルブ用アークチューブを提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明に係る放電バルブ用アークチューブにおいては、電極棒とモリブデン箔とリード線を直列に接続一体化した電極アッシーのモリブデン箔を含む領域が石英ガラスによってピンチシールされて、発光物質を封入した密閉ガラス球内に電極が対設された放電バルブ用アークチューブにおいて、前記ピンチシール部に封着されたモリブデン箔の内部に、ガラス層に対し密閉された空洞を形成するように構成した。
(作用)モリブデン箔と石英ガラスの線膨張係数が相違するため、アークチューブの点消灯によって、モリブデン箔と石英ガラス間の界面に応力が発生するが、モリブデン箔のポーラス構造(モリブデン箔内部に形成されている空洞)がモリブデン箔と石英ガラス間の界面に発生する応力を緩和(軽減)し、ピンチシール部において封止ガスのリークにつながる「ガラスとモリブデン箔の剥離」を抑制する。
また、請求項2においては、請求項1に記載の放電バルブ用アークチューブにおいて、前記モリブデン箔を構成する結晶粒子の平均粒径が3〜5μmの範囲となるように調整し、請求項3においては、請求項2に記載の放電バルブ用アークチューブにおいて、前記ピンチシール部に封着される前のモリブデン箔に、酸化(約500℃)・還元処理(約900℃),真空熱処理(約900℃)または水素処理(約900℃)のいずれかの処理を施して、モリブデン箔を構成する結晶粒子の平均粒径が1〜1.5μmの範囲となるように調整した。
(作用)モリブデン箔の再結晶は800〜1200℃で始まるが、石英ガラス管をピンチシールする際に、モリブデン箔は、石英ガラス管を介して2000℃を超える高温に晒された状態で圧漬されるため、モリブデン箔の結晶が再結晶して粗大化する。
そして、モリブデン箔の再結晶粒(のサイズ)が大きすぎると、結晶の粒界が少ないため、隙間(空洞)が形成されにくいし、隙間(空洞)が形成される場合は隙間(空洞)が大きくなりすぎて、モリブデン箔の表面に達してしまい、ガラス層に対し密閉された空洞とはならず、点消灯時にモリブデン箔と石英ガラス間の界面に発生する応力を緩和(軽減)する機能が低い。一方、モリブデン箔の再結晶粒(のサイズ)が小さすぎると、モリブデン箔内部にできる隙間(空洞)が小さいため、点消灯時にモリブデン箔と石英ガラス間の界面に発生する応力を緩和(軽減)する機能が低い。
そして、試作品の断面構造を考察した結果、モリブデン箔内部に複数の密閉された空洞Hが形成される(モリブデン箔がポーラス構造となる)ためには、請求項2に示すように、ピンチシール部に封着されたモリブデン箔を構成する結晶粒子の平均粒径が3〜5μmの範囲に調整されていることが望ましい。
さらに、ピンチシール部に封着されたモリブデン箔を構成する結晶粒子の平均粒径が3〜5μmの範囲となるためには、請求項3に示すように、ピンチシールする前のモリブデン箔に、酸化(約500℃)・還元処理(約900℃),真空熱処理(約900℃)または水素処理(約900℃)のいずれかの一次再結晶化処理を施して、モリブデン箔を構成する結晶粒子の平均粒径を1〜1.5μmの範囲に調整しておくことが望ましい。
そして、ピンチシール部に封着されたモリブデン箔の内部に、ガラス層に対し密閉された空洞が形成される(モリブデン箔がポーラス構造となる)メカニズムは、次のように説明できる。
石英ガラス管をピンチシールする温度は、従来公知(特許文献2)の一般的なピンチシール温度(2000℃〜2300℃)の中でも高く(約2200℃〜2300℃)設定されているので、酸化(約500℃)・還元処理(約900℃),真空熱処理(約900℃)または水素処理(約900℃)のいずれかの処理により一次再結晶化されたモリブデン箔(平均粒径が1〜1.5μm)は、石英ガラス管をピンチシールする際の高温に晒されて二次再結晶(平均粒径が3〜5μm)するが、再結晶した結晶粒子(平均結晶粒径が3〜5μm)全体が熱膨張した後に収縮する(冷える)過程で発生する内部応力により、一部の結晶粒子同士がずれて結晶粒子間に隙間が生じ、この隙間がモリブデン箔内部に複数の密閉された空洞を形成する(モリブデン箔がポーラス構造となる)と考えられる。
詳しくは、高温となったピンチシール部が冷える際に、ガラス層と密着しているモリブデン箔の表層部ではその収縮がガラス層によって抑制されるのに対し、モリブデン箔の内部では自由に収縮できるので、モリブデン箔表層部の結晶粒子とモリブデン箔内部の結晶粒子との間に応力が生じ、この応力によって隣接する結晶粒子同士がずれて結晶粒子の境界に沿って隙間が生じ、この隙間によってモリブデン箔内部に複数の密閉された空洞が形成される(モリブデン箔がポーラス構造となる)と考えられる。
なお、石英ガラス管のピンチシール温度が2230℃では、モリブデン箔内部に複数の空洞が見られるのに対し、2150℃では、モリブデン箔内部に空洞が全く見られなかったことから、モリブデン箔内部に空洞が形成されるためには、ピンチシール温度は約2200℃以上が望ましい。すなわち、石英ガラス管のピンチシール温度が約2200℃未満では、ピンチシールにより高温となったピンチシール部が冷える際に、モリブデン箔表層部の結晶粒子とモリブデン箔内部の結晶粒子との間に生じる応力が小さく、隣接する結晶粒子同士がずれないため、結晶粒子の境界に隙間が形成されない(モリブデン箔内部に空洞が形成されない)と考えられる。
一方、石英ガラス管のピンチシール温度が高ければ、それだけモリブデン箔表層部の結晶粒子とモリブデン箔内部の結晶粒子との間に生じる応力が大きく、隣接する結晶粒子同士のずれも大きく、結晶粒子の境界に大きな隙間が数多く形成される(モリブデン箔内部に空洞が多く形成される)ため、好ましいが、石英ガラス管のピンチシール温度が2300℃を超えると、バーナやピンチャーをそれだけ耐熱性に優れた素材で形成する必要があり、石英ガラスを加熱する熱エネルギーもそれだけ多く必要となる。
したがって、ピンチシール部に封着されたモリブデン箔の内部に、ガラス層に対し密閉された空洞を形成する(モリブデン箔をポーラス構造とする)ためには、ピンチシール温度を約2200℃〜2300℃の範囲にすることが望ましい。
以上の説明から明らかなように、本発明に係る放電バルブ用アークチューブによれば、モリブデン箔のポーラス構造(モリブデン箔内部に形成されている空洞)によって、アークチューブの点消灯の際にモリブデン箔と石英ガラス間の界面に発生する応力が緩和(軽減)されるので、ピンチシール部において封止ガスのリークにつながる「ガラスとモリブデン箔の剥離」が抑制されて、長寿命の放電バルブ用アークチューブが提供される。
請求項2によれば、ピンチシール部に封着されたモリブデン箔を構成する結晶粒子の平均粒径が3〜5μmに調整されることで、モリブデン箔のポーラス構造(モリブデン箔内部に形成されている空洞)が確保されて、アークチューブの点消灯の際にモリブデン箔と石英ガラス間の界面に発生する応力が確実に緩和(軽減)されるので、ピンチシール部において封止ガスのリークにつながる「ガラスとモリブデン箔の剥離」が確実に抑制されて、より長寿命の放電バルブ用アークチューブが提供される。
請求項3によれば、ピンチシール部に封着される前のモリブデン箔に酸化・還元処理,真空熱処理または水素処理のいずれかの再結晶化処理を施して、モリブデン箔を構成す結晶粒子の平均粒径を1〜1.5μmの範囲に調整しておくことで、ピンチシール部に封着されたモリブデン箔が確実に平均粒径3〜5μmの再結晶粒子で構成されたポーラス構造(モリブデン箔の内部に空洞が分散する構造)となるので、ピンチシール部において封止ガスのリークにつながる「ガラスとモリブデン箔の剥離」がより確実に抑制されて、よりいっそう長寿命の放電バルブ用アークチューブが提供される。
本発明の一実施例である放電バルブ用アークチューブを適用した放電バルブ全体の縦断面図である。 同アークチューブの水平断面図である。 同アークチューブのピンチシール部に封着されているモリブデン箔の拡大断面図(モリブデン箔の断面組織を拡大して示す図)である。 アークチューブ(比較例)のピンチシール部に封着されているモリブデン箔(一次再結晶化処理しないモリブデン箔)の拡大断面図(モリブデン箔の断面組織を拡大して示す図)である。 一次再結晶化処理(酸化・還元処理、真空熱処理、水素処理)を施したモリブデン箔を用いたアークチューブ(実施例)の寿命試験データを一次再結晶化処理しないモリブデン箔を用いたアークチューブ(比較例)の寿命試験データと対比して示す図である。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
図1,2は、自動車用ヘッドランプの光源として広く利用されている放電バルブに本発明を適用した実施例を示し、図1は放電バルブ全体を示し、図2は放電バルブ用アークチューブを示す。
図1に示すように、放電バルブは、絶縁性ベース1の前方に突出する通電路でもあるリードサポート2と、絶縁性ベース1の前面に固定された金属製把持部材Sによって、アークチューブ5の前後端部が支持されて、絶縁性ベース1にアークチューブ5が一体化された構造となっている。
アークチューブ5は、直線状延出部の長手方向途中に球状膨出部が形成された円パイプ形状の石英ガラス管の球状膨出部寄りがピンチシールされて、放電空間を形成する楕円体形状の密閉ガラス球12の両端部に横断面矩形状のピンチシール部13(一次ピンチシール部13A、二次ピンチシール部13B)が形成された構造で、密閉ガラス球12内には、始動用希ガス,水銀または水銀に代わる緩衝物質及び金属ハロゲン化物(以下、発光物質等という)が封入されている。
また密閉ガラス球12内には、放電電極を構成するタングステン製の電極棒6,6が対向配置されており、電極棒6,6はピンチシール部13,13に封着されたモリブデン箔7,7に接続され、ピンチシール部13,13の端部からはモリブデン箔7,7に接続されたモリブテン製リード線8,8が導出し、後端側リード線8は非ピンチシール部である円パイプ形状部14を挿通して外部に延びている。
即ち、電極棒6としては、耐久性に優れたタングステン製が最も望ましいが、タングステンはガラスと線膨張係数が大きく異なり、ガラスとのなじみも悪く気密性に劣る。したがって、タングステン製電極棒6に、線膨張係数がガラスに近く、ガラスと比較的なじみの良いモリブデン箔7を接続し、モリブデン箔7をピンチシール部13で封着することで、ピンチシール部13における気密性が確保されている。
また、アークチューブ5には紫外線遮蔽用シュラウドガラスGが溶着一体化されて、ピンチシール部13から密閉ガラス球12にかけての領域がシュラウドガラスGで覆われている。このため、アークチューブ5から発した光の中で人体に有害な波長域の紫外線成分がカットされるとともに、ピンチシール部13から密閉ガラス球12にかけての領域がシュラウドガラスGで画成された密閉空間に囲まれて、密閉ガラス球12内が高温に保持されている。
そして、アークチューブ5を製造する場合は、電極棒6とモリブデン箔7とリード線8を直列に接続一体化した電極アッシーを予め用意しておき、石英ガラス管に電極アッシーを挿入し、石英ガラス管における電極アッシーのモリブデン箔7を含む領域をピンチシールして、一次ピンチシール部13Aを形成する。ついで、密閉ガラス球12に発光物質等を入れ、石英ガラス管他端側における電極アッシーのモリブデン箔7を含む領域をピンチシールして、二次ピンチシール部13Bを形成し、発光物質等を封止する。
このアークチューブ5を製造する工程については、特許文献2に詳しく記載されているので、その説明は省略する。
図1,2に示すアークチューブ5の外観構造についても、特許文献1,2に示す従来公知のアークチューブと見たところ変わるものではないが、ピンチシール部13に封着されているモリブデン箔7は、図3に拡大して示すように、平均粒径が約3〜5μmの再結晶粒で構成されるとともに、ガラス層に対し密閉された空洞Hが分散するポーラス構造とされており、アークチューブ5の点消灯によってモリブデン箔7と石英ガラス間の界面に発生する応力がモリブデン箔7のポーラス構造によって緩和(軽減)されて、ピンチシール部13において封止ガスのリークにつながる「ガラスとモリブデン箔の剥離」が抑制されるようになっている。
すなわち、モリブデン箔7は、0.5%のイットリア(Y)をドープ(添加)したモリブデンで構成されているが、まず、一次再結晶化処理が施されることで、モリブデン箔を構成する結晶粒子の平均粒径が当初の約0.5μmから約1〜1.5μmとなり、さらに石英ガラスによってピンチシール(ピンチール温度2200〜2300℃で二次再結晶化処理)されることで、モリブデン箔7を構成する結晶粒子の平均粒径が約3〜5μm、厚さ約20μmで、内部に多数の空洞Hが分散するポーラス構造となっている。
詳しくは、ピンチシール部13では、モリブデン箔7と石英ガラスの線膨張係数が相違するため、アークチューブ5の点消灯によって、モリブデン箔7と石英ガラス間の界面に応力が発生するが、モリブデン箔7のポーラス構造(モリブデン箔内部に形成されている空洞)がモリブデン箔7と石英ガラス間の界面に発生する応力を緩和(軽減)し、ピンチシール部13において封止ガスのリークにつながる「ガラスとモリブデン箔の剥離」を抑制する。
なお、モリブデン箔の再結晶は800〜1200℃で始まるが、石英ガラス管をピンチシールする際に、モリブデン箔は、石英ガラス管を介して2000℃を超える高温に晒された状態で圧漬されるため、モリブデン箔の結晶が再結晶して粗大化する。
そして、ピンチシールされたモリブデン箔7を構成する再結晶粒(のサイズ)が大きすぎると、結晶の粒界が少ないため、隙間(空洞)が形成されにくいし、隙間(空洞)が形成される場合は隙間(空洞)が大きくなりすぎて、モリブデン箔の表面に達してしまい、ガラス層に対し密閉された空洞とはならず、点消灯時にモリブデン箔と石英ガラス間の界面に発生する応力を緩和(軽減)する機能が低い。一方、モリブデン箔7を構成する再結晶粒(のサイズ)が小さすぎると、モリブデン箔7の内部にできる隙間(空洞)が小さいため、点消灯時にモリブデン箔7と石英ガラス間の界面に発生する応力を緩和(軽減)する機能が低い。
そして、試作品の断面構造を考察した結果、モリブデン箔7の内部に複数の密閉された空洞Hが形成される(モリブデン箔7がポーラス構造となる)ためには、ピンチシール部13に封着されたモリブデン箔7を構成する結晶粒子の平均粒径が約3〜5μmの範囲に調整されていることが望ましい。
さらに、ピンチシール部13に封着されたモリブデン箔7を構成する結晶粒子の平均粒径が約3〜5μmの範囲となるためには、ピンチシールする前のモリブデン箔に一次再結晶化処理を施して、モリブデン箔を構成する結晶粒子の平均粒径を約1〜1.5μmの範囲に調整しておくことが望ましい。
なお、モリブデン箔7の一次再結晶化処理としては、たとえば、約500℃で酸化処理した後に約900℃で還元処理する方法、約900℃で真空熱処理する方法、約900℃で水素処理する方法等の方法が考えられるが、モリブデン箔7を構成する結晶粒子の大きさ(平均粒径)を当初の約0.5μmから約1〜1.5μmにできる方法であれば、これらの方法に限るものではない。
次に、ピンチシール部13に封着されたモリブデン箔7の内部に、ガラス層に対し密閉された空洞が形成される(モリブデン箔7がポーラス構造となる)メカニズムを説明する。
石英ガラス管をピンチシールする温度は、従来公知(特許文献2)の一般的なピンチシール温度(2000℃〜2300℃)の中でも高く(約2200℃〜2300℃)設定されているので、酸化(約500℃)・還元処理(約900℃),真空熱処理(約900℃)または水素処理(約900℃)のいずれかの処理により一次再結晶化されたモリブデン箔(結晶粒径が約1〜1.5μm)は、石英ガラス管をピンチシールする際の高温に晒されて二次再結晶(結晶粒径が約3〜5μm)するが、再結晶した結晶粒子(結晶粒径が約3〜5μm)全体が熱膨張した後に収縮する(冷える)過程で発生する内部応力により、一部の結晶粒子同士がずれて結晶粒子間に隙間が生じ、この隙間がモリブデン箔7の内部に複数の密閉された空洞を形成する(モリブデン箔がポーラス構造となる)と考えられる。
詳しくは、高温となったピンチシール部13が冷える際に、ガラス層と密着しているモリブデン箔7の表層部ではその収縮がガラス層によって抑制されるのに対し、モリブデン箔7の内部では自由に収縮できるので、モリブデン箔表層部の結晶粒子とモリブデン箔内部の結晶粒子との間に応力が生じ、この応力によって隣接する結晶粒子同士がずれて結晶粒子の境界に沿って隙間が生じ、この隙間によってモリブデン箔7の内部に複数の密閉された空洞Hが形成される(モリブデン箔がポーラス構造となる)と考えられる。
なお、石英ガラス管のピンチシール温度が2230℃では、モリブデン箔内部に複数の空洞が見られるのに対し、2150℃では、モリブデン箔内部に空洞が全く見られないことから、モリブデン箔内部に空洞Hが形成されるためには、ピンチシール温度は約2200℃以上が望ましい。すなわち、石英ガラス管のピンチシール温度が約2200℃未満では、ピンチシールにより高温となったピンチシール部が冷える際に、モリブデン箔表層部の結晶粒子とモリブデン箔内部の結晶粒子との間に生じる応力が小さく、隣接する結晶粒子同士がずれないため、結晶粒子の境界に隙間が形成されない(モリブデン箔内部に空洞Hが形成されない)と考えられる。
一方、石英ガラス管のピンチシール温度が高ければ、それだけモリブデン箔表層部の結晶粒子とモリブデン箔内部の結晶粒子との間に生じる応力が大きく、隣接する結晶粒子同士のずれも大きく、結晶粒子の境界に大きな隙間が数多く形成される(モリブデン箔内部に空洞Hが多く形成される)ため、好ましいが、石英ガラス管のピンチシール温度が2300℃を超えると、バーナやピンチャーをそれだけ耐熱性に優れた素材で形成する必要があり、石英ガラスを加熱する熱エネルギーもそれだけ多く必要となる。
したがって、ピンチシール部13に封着されたモリブデン箔7の内部に、ガラス層に対し密閉された空洞Hを形成する(モリブデン箔7をポーラス構造とする)ためには、ピンチシール温度を約2200℃〜2300℃の範囲にすることが望ましい。
また、一次再結晶化処理しないモリブデン箔(結晶粒子の平均粒径が約0.5μm)を用いてピンチシールしたアークチューブ(比較例)では、図4に示すように、ピンチシール部におけるモリブデン箔7Aは、再結晶した結晶粒子の平均粒径がモリブデン箔の厚さ(約20μm)より大きい約20〜30μmとなって、モリブデン箔7Aの内部に空洞が全く見られなかったことから、ピンチシール部13におけるモリブデン箔7の内部に空洞Hを形成する(モリブデン箔7をポーラス構造にする)ためには、ピンチシール前のモリブデン箔には予め一次再結晶化処理を施して、モリブデン箔を構成する結晶粒子の平均粒径を約1〜1.5μmに調整しておくことが望ましい。
そして、本実施例のアークチューブ5では、ピンチシール部13におけるモリブデン箔7のポーラス構造(モリブデン箔7内部に形成されている空洞H)がモリブデン箔7と石英ガラス間の界面に発生する応力を緩和(軽減)し、ピンチシール部13において封止ガスのリークにつながる「ガラスとモリブデン箔の剥離」を抑制するので、図5に示すように、アークチューブの長寿命が保証される。
また、モリブデン箔7は一次再結晶化処理されることで、その表面には微小凹凸が形成されている。特に、モリブデン箔7の一次再結晶化処理として、酸化(500℃)・還元(900℃)による表面エッチング処理を採用した場合は、酸化処理したモリブデン箔表面の酸化膜が形成され、さらに還元処理することで酸化膜中の酸素原子が除去されて、モリブデン箔の表面には、酸化処理したモリブデン箔の表面に形成された微小凹凸形状より深くかつ複雑な微小凹凸形状の粗面(エッチング処理面)が形成されるので、石英ガラスとモリブデン箔との界面における密着性、即ち機械的接合強度も改善されるため、いっそうガラスとモリブデン箔の剥離が抑制される。
図5は、一次再結晶化処理として、酸化・還元処理、真空熱処理および水素処理を施したモリブデン箔を用いたアークチューブ(実施例1,2,3)の寿命試験データを一次再結晶化処理しないモリブデン箔を用いたアークチューブ(比較例)の寿命試験データと対比して示す図であるが、一次再結晶化処理として酸化・還元処理を採用した場合のアークチューブの平均寿命は2697時間、一次再結晶化処理として真空熱処理を採用した場合のアークチューブの平均寿命は2399時間、一次再結晶化処理として水素処理を採用した場合のアークチューブの平均寿命は2418時間というこの寿命試験データからも、一次再結晶化処理として酸化・還元処理を施したモリブデン箔を用いたアークチューブ(実施例1)が実施例1,2,3の中で最も優れていることがわかる。
5 アークチューブ
6 電極棒
7 モリブデン箔
8 リード線
12 チップレス密閉ガラス球
13(13AA,13B) ピンチシール部
H モリブデン箔の内部に形成された空洞

Claims (3)

  1. 電極棒とモリブデン箔とリード線を直列に接続一体化した電極アッシーのモリブデン箔を含む領域が石英ガラスによってピンチシールされて、発光物質を封入した密閉ガラス球内に電極が対設された放電バルブ用アークチューブにおいて、前記ピンチシール部に封着されたモリブデン箔の内部には、ガラス層に対し密閉された空洞が形成されたことを特徴とする放電バルブ用アークチューブ。
  2. 前記モリブデン箔を構成する結晶粒子の平均粒径が3〜5μmの範囲に調整されたことを特徴とする請求項1に記載の放電バルブ用アークチューブ。
  3. 前記ピンチシール部に封着される前のモリブデン箔は、酸化・還元処理,真空熱処理または水素処理のいずれかの処理が施されて、モリブデン箔を構成する結晶粒子の平均粒径が1〜1.5μmの範囲に調整されたことを特徴とする請求項2に記載の放電バルブ用アークチューブ。
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