JP5493917B2 - 工作物支持装置及び加工装置 - Google Patents

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Description

本発明は、棒状のワークを回転軸回りに回転させるとともに支持することが可能な工作物支持装置、及び加工装置に関する。
従来、電動パワーステアリング装置(以下、EPSという)のステアリングロッド等の棒状ワーク(工作物)を研削加工する場合、下記の特許文献1に開示されているような加工装置が用いられている。特許文献1には、ワークの一方の端面に形成された位置決め溝に嵌合部材を嵌合させることによって、加工装置に対するワークの位相を決定し、側周面に形成されたラック部が所定の方向に向くようにワークを回転させる加工装置が開示されている。
これにより特許文献1の加工装置は、ワークを所定の位相とした状態でチャック部にて支持するので、支持しようとする部位にラック部等が形成されていても、これを回避した位相でワークを適切に支持することができる。
特開2009−72842号公報
しかしながら、このような加工装置にも、課題は残されている。
特許文献1の加工装置では、位置決め溝の位相を嵌合部材の位相に合わせて、ワークを仮受け台の上にセットし、ワークの両側に配置された主軸装置を互いに近接する方向に移動させる(ワークを両端部から挟み込む)ことで、ワークの位置決め溝に嵌合部材を嵌合させていた。このとき、仮受け台へのワークのセットは作業者の目視による確認および手作業による調整が介在しており、時間を要する面倒な作業となっていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、面倒な作業を必要とせず、短時間で確実にワークをセットできる工作物支持装置、及び、このような工作物支持装置を備えた加工装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために提供される請求項1に記載の発明は、工作物回転軸上に配されたワークの軸方向の一端を支持する第一支持装置と、前記第一支持装置に対向して配置され、前記ワークの軸方向の他端を支持する第二支持装置と、前記第一支持装置および前記第二支持装置を制御する制御手段と、を備え、前記第一支持装置は、前記ワークの一端を把持する第一把持手段と、前記第一把持手段を前記工作物回転軸回りに回転させる第一サーボモータと、前記ワークの一端に形成された嵌合溝に嵌合される嵌合片と、前記嵌合片を前記第二支持装置側に付勢する付勢手段と、を有し、前記第二支持装置は、前記ワークの他端を把持する第二把持手段と、前記第二把持手段を前記工作物回転軸回りに回転させる第二サーボモータと、を有し、前記制御手段は、前記第一把持手段を前記ワークを把持しない状態、かつ前記第一サーボモータをオフ状態にするとともに、前記第二把持手段を前記ワークを把持する状態、かつ前記第二サーボモータをオン状態にした後、前記第二サーボモータを回転させて、前記ワークを前記嵌合片に対して相対回転させることにより、前記ワークの嵌合溝に前記嵌合片を嵌合させ、前記ワークを所定の位相で支持することを特徴とする。
上記工作物支持装置によれば、ワークを加工装置にセットする際に、ワークを嵌合片に対して相対回転させることにより、ワークの嵌合溝に嵌合片を嵌合させ、ワークを所定の位相で支持できる。したがって、従来技術で必要であった作業者がワークの位相と嵌合片の位相とを目視および手作業で合わせてから支持させるといった手間のかかる作業が不要となる。また、ワークセットの効率化により、加工サイクルを含む全体のサイクルタイムを短縮することができる。
ワークを嵌合片に対して相対回転させてワークの嵌合溝に嵌合片を嵌合させた場合、嵌合時の衝撃力によって、第一サーボモータが回転し、位置偏差が生じる可能性がある。この時、第一サーボモータがサーボオン状態のままであれば、生じた位置偏差を第一サーボモータのサーボシステムが異常として検出してしまう。そこで、本請求項の工作物支持装置は、ワークの嵌合溝に嵌合片を嵌合させる際、あらかじめ第一サーボモータをサーボオフ状態とすることにより、嵌合時の衝撃によって第一サーボモータのサーボシステムが異常検出するのを抑止することができる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の工作物支持装置であって、前記制御手段は、前記第一サーボモータをオン状態にするとともに、前記第一把持手段が前記ワークを把持する状態とし、前記第二サーボモータをオン状態にするとともに、前記第二把持手段が前記ワークを把持する状態とし、前記第一サーボモータおよび前記第二サーボモータにより前記ワークを前記工作物回転軸回りに回転させた後、前記ワーク回転中に第一サーボモータをサーボオフ状態にするとともに、第一把持手段を把持しない状態として、前記ワークを前記嵌合片に対して相対回転させることにより、前記ワークの嵌合溝に前記嵌合片を嵌合させ、前記ワークを所定の位相で支持することを特徴とする。
上記工作物支持装置によれば、より効率的かつ短時間で、嵌合片をワークの嵌合溝に嵌合させることができる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の工作物支持装置であって、前記制御手段は、前記第一サーボモータをオン状態にするとともに、前記第一把持手段が前記ワークを把持する状態とし、前記第二サーボモータをオン状態にするとともに、前記第二把持手段が前記ワークを把持する状態とし、前記第一サーボモータおよび前記第二サーボモータにより前記ワークを前記工作物回転軸回りに回転させた後、前記ワーク回転中に第一サーボモータをサーボオフ状態にするとともに、第一把持手段を把持しない状態とした後、前記ワーク回転方向が逆方向となるように、前記第二サーボモータの回転方向を逆転させて、前記ワークを前記嵌合片に対して相対回転させることにより、前記ワークの嵌合溝に前記嵌合片を嵌合させ、前記ワークを所定の位相で支持することを特徴とする。
上記工作物支持装置によれば、第二サーボモータの回転方向を逆転させることで、嵌合片に対するワークの相対回転の速度が大きくなり、より効率的かつ短時間で嵌合させることができる。
請求項に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の工作物支持装置であって、前記第一把持手段の回転を制動する回転制動手段を備え、前記制御手段は、前記第二サーボモータを回転させて、前記ワークを前記嵌合片に対して相対回転させる際に、前記回転制動手段によって前記第一把持手段の回転を制動することを特徴とする。
上記工作物支持装置によれば、回転制動手段によって第一把持手段の回転を制動させることで、嵌合片がワークと連れ回るのを抑制して、より効率的かつ短時間で嵌合させることができる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の工作物支持装置であって、前記回転制動手段は、前記第一サーボモータの回転軸の外周に直接的又は間接的に配される抵抗部材と、前記抵抗部材を径方向外側から内側に押圧する押圧手段と、を備え、前記制御手段は、前記押圧手段による押圧状態を制御することにより前記第一把持手段の回転を制動することを特徴とする。
上記工作物支持装置によれば、第一サーボモータの回転軸の外周に直接的、又は他の部材等を介して間接的に配された抵抗部材を、径方向外側から内側に押圧して、第一把持手段の回転を制動させることで、ワークとの連れ回りを抑制して、より効率的かつ短時間で嵌合させることができる。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれかに記載の工作物支持装置と、前記工作物支持装置によって支持された前記ワークに対して押し当てられるとともに、前記ワークに対して相対移動することで前記ワークを加工する加工工具と、を備え、前記第一把持手段および前記第二把持手段は、前記ワークの側面から前記ワークを挟み込んで把持することが可能なチャックであって、前記制御手段は、前記ワークを所定の位相で支持した後、加工をおこなうことを特徴とする加工装置である。
上記加工装置によれば、ワークを加工装置にセットする際、短時間で確実にワークを所定の位相で支持することができ、加工サイクルを含む全体のサイクルタイムの短縮に寄与できる。
本発明に係る工作物支持装置及び加工装置を用いれば、面倒な作業を必要とせず、短時間で確実にワークをセットすることができる。
本実施形態に係る加工装置の外観を示す平面図である。 図1の加工装置が備える工作物支持装置を示す説明図である。 図1の加工装置が備える第一主軸装置の断面図である。 (A)は、本実施形態におけるワークWを示す斜視図であり、(B)は、(A)のワークWをBB方向から見た矢視図であり、(C)は、ワークWの位置決め溝に嵌合部材が嵌合する様子を説明する図である。 加工装置におけるワークをセットする動作を示すフローチャートである。
以下、本発明を加工装置に具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る加工装置の外観を示す平面図であり、図2は、図1の加工装置が備える工作物支持装置を示す説明図である。図3は、図2の工作物支持装置が備える主軸装置の断面図である。なお、図1及び図2において、Y軸方向は鉛直上向きの方向を示しており、X軸方向とZ軸方向は水平方向を示している。そしてX軸方向はワークWの回転軸(工作物回転軸CZ)に直交する方向を示しており、Z軸方向はワークWの回転軸に平行な方向を示している。また、図4(A)〜(C)は、図1の加工装置にセットされるワークの概略形状を示す説明図である。図4(A)は、ワークWの全体の斜視図であり、図4(B)は、図4(A)のワークWをBB方向から見た矢視図である。また図4(C)は、図4(A)のワークWをCC方向から見た矢視図であり、ワークWに形成された嵌合溝MKに嵌合片が嵌合する様子を示している。
ワークWは、図4(A)に示すように長尺細長状の略円筒部材である。ワークWは、長手方向の一部に、円周方向に沿って螺旋状のねじ溝が形成されたねじ部Kと、ねじ部Kとは異なる円筒面の一部が平面状に加工されて歯が形成されたラック部Jと、を有する。また、ワークWの少なくとも一方の端面には、嵌合溝MKが形成されている。本実施形態の嵌合溝MKは、ラック部Jに近い側の端面に、歯が形成されたラック部Jの平面と平行に形成されている。
[加工装置の構成]
図1に示すように、本実施形態の加工装置1(研削盤)は、ベッド2と、第一主軸装置30R(第一支持装置)と、第二主軸装置30L(第二支持装置)と、砥石支持装置10と、ツルーイング装置60と、制御装置50(制御手段)から構成される。
ベッド2は、ほぼ矩形状からなり、床上に配置される。ベッド2の上面には、Z軸方向に伸びる2本一組の砥石台用ガイドレールGZ、第一ガイドレールGR、及び第二ガイドレールGLがそれぞれ形成されている。第一ガイドレールGRを構成する2本のレールは、第二ガイドレールGLの対応するレールとそれぞれが同一直線上に配置されるように形成されている。また、砥石台用ガイドレールGZは、第一ガイドレールGR及び第二ガイドレールGLとX軸方向に並んで配置される。砥石台用ガイドレールGZ、第一ガイドレールGR、及び第二ガイドレールGLのそれぞれの上には、砥石支持装置10、第一主軸装置30R、及び第二主軸装置30Lが摺動可能に配置される。
また、ベッド2には、砥石支持装置10、第一主軸装置30R、及び第二主軸装置30LのそれぞれをZ軸方向に移動させるZ軸移動装置120、第一移動装置130R、及び第二移動装置130Lがそれぞれ取り付けられる。Z軸移動装置120、第一移動装置130R、及び第二移動装置130Lのそれぞれは、砥石台用ガイドレールGZ、第一ガイドレールGR、及び第二ガイドレールGLのそれぞれの下方に配置される。
Z軸移動装置120は、Z軸方向に伸びるZ方向ねじ軸(図示せず)と、Z方向ねじ軸の外周に配されて砥石支持装置10に連結されるZ軸ナット(図示せず)と、Z方向ねじ軸とZ軸ナットとの間に配される複数のボール(図示せず)と、Z方向ねじ軸を回転させるZ軸モータ10Mと、Z軸モータ10Mの回転角を検出するZ軸検出手段10E(エンコーダ等)と、を備える。Z軸モータ10Mは、制御装置50のサーボシステムによって駆動制御されるサーボモータであり、Z軸検出手段10Eからの検出信号は制御装置50に入力される。制御装置50は、Z軸検出手段10Eからの検出信号を取り込み、砥石支持装置10に連結されるZ軸ナットの位置及び移動速度等を制御する駆動信号をZ軸モータ10Mに対して出力する。
同様に、第一移動装置130Rは、Z軸方向に伸びる第一ねじ軸(図示せず)と、第一ねじ軸の外周に配されて第一主軸装置30Rに連結される第一ナット(図示せず)と、第一ねじ軸と第一ナットとの間に配される複数のボール(図示せず)と、第一ねじ軸を回転させる第一モータ30RMと、第一モータ30RMの回転角を検出する第一検出手段30RE(エンコーダ等)と、を備える。また、第二移動装置130Lは、Z軸方向に伸びる第二ねじ軸(図示せず)と、第二ねじ軸の外周に配されて第二主軸装置30Lに連結される第二ナット(図示せず)と、第二ねじ軸と第二ナットとの間に配される複数のボール(図示せず)と、第二ねじ軸を回転させる第二モータ30LMと、第二モータ30LMの回転角を検出する第二検出手段30LE(エンコーダ等)と、を備える。
第一、第二モータ30RM、30LMは、制御装置50のサーボシステムによって駆動制御されるサーボモータであり、第一、第二検出手段30RE、30LEからの検出信号は制御装置50に入力される。制御装置50は、第一、第二検出手段30RE、30LEからの検出信号を取り込み、第一、第二主軸装置30R、30Lのそれぞれに連結される第一、第二ナットの位置及び移動速度等を制御する駆動信号を第一、第二モータ30RM、LMのそれぞれに対して出力する。
このように加工装置1は、ベッド2上において、第一主軸装置30Rと第二主軸装置30Lは対向配置されるため、互いに近接する方向に第一主軸装置30Rおよび第二主軸装置30Lを移動させることにより、ワークWを軸方向両側から挟み込んで支持することが可能である。また、ベッド2には、第一主軸装置30Rと第二主軸装置30Lの間に、ワークWを一時的に保持するための仮受け台73,74が配置されている。
第一主軸装置30Rは、第一主軸台31Rと、第一主軸32Rと、第一チャック33Rと、第一主軸モータ32RMと、第一主軸検出手段32REと、を備えている。第一主軸台31Rは、第一移動装置130Rの第一ナットに連結された状態で、第一ガイドレールGR上に摺動可能に配置される。第一主軸台31Rは、第一ガイドレールGR上に配置された状態でZ軸方向に伸びる第一主軸穴34Rを有する。第一主軸穴34Rには、第一主軸32Rが回転可能に挿通支持されている。
図3に示すように、第一主軸32Rの一端には、ワークWの軸方向一端を保持する第一チャック33Rが取り付けられている。第一チャック33Rは、コンプレッサ等のエア供給源(図示せず)から供給されるエアのエア圧により開閉駆動するエアチャックである。第一チャック33Rは、エア供給源から第一主軸内32Rに形成された供給通路39Rを経由してエアが供給される。また、第一主軸32Rの外周には、ピストンリングタイプのシール38Rが複数配置され、シール38Rの径方向外側には、エア供給源から供給されるエアが導入される空間(図示せず)が形成されている。これにより、第一主軸装置30Rは、エア供給源から供給されたエアによってシール38Rを径方向外側から内側に押圧し、押圧されたシール38Rの摩擦抵抗によって第一主軸32Rの自由回転を抑制する。シール38Rの径方向外側に供給されるエアは、第一チャック33Rの駆動用に供給されるエアと共有されている。第一主軸32Rは、第一チャック33Rが開放状態(アンクランプ)になると、供給されるエアの作動圧によってシール38Rが押圧されるため、シール38Rの摩擦抵抗によって自由回転が抑制される。一方、第一チャック33Rが把持状態(クランプ)になると、シール38Rの押圧が解除されるため、第一主軸32Rは第一主軸台31Rに対して自由に相対回転できるようになる。
第一主軸32Rの第一チャック33R側には、ワークWが挿入される第一主軸穴34Rが形成されている。第一主軸穴34R内には、第一主軸32Rと一体となって回転する嵌合部材35R及び調整部材37Rが設けられている。嵌合部材35Rは、ワークWの嵌合溝MKに嵌合する嵌合片MCと、嵌合片MCを第一チャック33R側(ワークWの嵌合溝MKに嵌合する方向)に付勢する弾性部材36Rとを有する。調整部材37Rは、制御装置50からの制御信号に基づいて、第一主軸32R内における嵌合部材35RのZ軸方向位置を調整する。また、嵌合部材35Rには、嵌合片MCの嵌合状態を検知する近接センサ(図示せず)が備えられている。



第二主軸装置30Lは、第二主軸台31Lと、第二主軸32Lと、第二チャック33Lと、第二主軸モータ32LMと、第二主軸検出手段32LEと、調整部材37Lと、を備える点で第一主軸装置30Rと同一であり、嵌合部材35Rの代わりに当接部材35Lが第二主軸32Lの第二主軸穴34L内に配置される点で第一主軸装置30Rと相違する。当接部材35Lは、円板上の部材であり、制御装置50からの制御信号に基づき、調整部材37Lによって第二主軸32L内におけるZ軸方向位置を制御することができる。また、第二主軸台31Lは、第二移動装置130Lの第二ナットに連結された状態で、第二ガイドレールGL上に摺動可能に配置される。第二主軸32Lの主軸回転軸は、第二主軸装置30Lが第二ガイドレールGL上に配置された状態で、第一ガイドレールGR上に配置された第一主軸装置30Rの第一主軸32Rの主軸回転軸(工作物回転軸)と同軸上に位置している。
第一、第二主軸32R、32Lのそれぞれは、第一、第二主軸モータ32RM、32LMのそれぞれによって回転駆動され、第一、第二主軸検出手段32RE、32LEのそれぞれは、第一、第二主軸モータ32RM、32LMの回転角をそれぞれ検出する。第一、第二主軸モータ32RM、32LMは、制御装置50のサーボシステムによって駆動制御されるサーボモータであり、第一、第二主軸検出手段32RE、32LEからの検出信号は制御装置50に入力される。制御装置50は、第一、第二検出手段32RE、32LEからの検出信号を取り込み、第一、第二主軸32R、32Lそれぞれの位相及び回転回転等を制御する駆動信号を第一、第二主軸モータ32RM、32LMに対して出力する。また、制御装置50は、エア供給源からのエアの供給量を制御することにより第一、第二チャック33R、33Lを開閉制御する。
なお、図2ではより明確となるように、第一主軸32R及び第二主軸32L内に設けられた嵌合部材35R、調整部材37R及び37L、当接部材35Lを点線ではなく実線で記載している。
図1に示すように、砥石支持装置10は、砥石台トラバースベース11と、砥石台20と、を備えている。砥石台トラバースベース11は、矩形の平板状に形成されており、Z軸移動装置120のZ軸ナットに連結された状態で、砥石台用ガイドレールGZ上を摺動可能に配置されている。また、砥石台トラバースベース11の上面には、砥石台トラバースベース11が砥石台用ガイドレールGZに配置された状態において、X軸方向に伸びる2本一組のX軸ガイドレールGXが形成されており、X軸ガイドレールGX上には、砥石台20が配置される。さらに、砥石台トラバースベース11におけるX軸ガイドレールGXの下方には、砥石台20をX軸ガイドレールに沿って移動させるX軸移動装置140が取り付けられる。
X軸移動装置140は、砥石台トラバースベース11が砥石台用ガイドレールGZに配置された状態においてX軸方向に伸びるX方向ねじ軸(図示せず)と、X方向ねじ軸の外周に配されて砥石台20に連結されるX軸ナット(図示せず)と、X方向ねじ軸とX軸ナットとの間に配される複数のボール(図示せず)と、X方向ねじ軸を回転させるX軸モータ20Mと、X軸モータ20Mの回転角を検出するX軸検出手段20E(エンコーダ等)と、を備える。X軸モータ20Mは、制御装置50のサーボシステムによって駆動制御されるサーボモータであり、X軸検出手段20Eからの検出信号は制御装置50に入力される。制御装置50は、X軸検出手段20Eからの検出信号を取り込み、砥石台20に連結されるX軸ナットの位置及び移動速度等を制御する駆動信号をX軸モータ20Mに対して出力する。したがって、砥石台20は、ベッド2および第一、第二主軸装置31R,31Lに対して、X軸方向およびZ軸方向に相対移動可能となる。
砥石台20は、砥石回転用モータ21と、円盤状の砥石車22と、砥石車22の中心を貫通する砥石車回転軸部材23と、砥石回転用モータ22の回転を砥石車回転軸部材23に伝達する伝達機構24と、を備える。砥石台20には、砥石台20が図1のように配置された状態で、砥石台20をZ軸方向に貫通する貫通孔が形成されている。この砥石台20の貫通孔に、砥石車回転軸部材23が、回転可能に支持されている。砥石車回転軸部材23の一端には、砥石車22が同軸的に取り付けられており、他端には、伝達機構24を構成するプーリ(図示せず)が取り付けられている。また、砥石回転用モータ21は、砥石台20の上面に固定されており、砥石回転用モータ21の回転軸には伝達機構24を構成するプーリ(図示せず)が取り付けられている。そして、砥石車回転軸部材23のプーリと、砥石回転用モータ21のプーリにベルト25が懸架され、本実施形態の伝達機構24が形成されている。制御装置50は、砥石回転用モータ21に対して駆動信号を出力することにより、砥石車22の回転駆動を制御することができる。
ツルーイング装置60は、ベッド2上のうち、砥石台用ガイドレールGZと第二ガイドレールGLとの間に配置されている。ツルーイング装置60は、ベッド2に対して垂直軸(Y軸)周りに旋回可能となるように、ベッド2に支持されたツルーイング台61と、水平軸周りに回転可能なようにツルーイング台61に支持された成形砥石62とを備えている。成形砥石62は、円盤状からなり、砥石車22の外周面を成形するために制御装置50によって回転駆動される。成形砥石62の外周縁は、鋭角状に形成されている。つまり、成形砥石62を垂直軸回りに旋回させながら、砥石台20をX軸方向およびZ軸方向に適宜移動させることで、砥石車22の外周面を成形できる。
[ワークセット方法]
次に、本実施形態の加工装置1についてのワークセット方法を図5のフローチャートにより説明する。
加工装置1にワークWをセットするには、まず、仮受け台73,74にワークWを置いて、ワークWの両側に配置された第一、第二チャック33R,33Lを開放(アンクランプ)状態とする。(ステップS1)
次に、制御装置50は、ワークWの両側に配置された第一、第二主軸装置30R,30Lを互いにZ軸方向に近接する方向に移動させることで、ワークWを両端から挟み込んで支持する。この時、ワークWは任意の位相でよく、第一チャック33Rに備えられた嵌合片35Rの位相も任意の位相でよい。(ステップS2)
次に、制御装置50は、第一主軸装置30Rの第一主軸モータ32RMにサーボオフ信号を出力し、第一主軸モータ32RMをサーボオフ状態とする。第一主軸モータ32RMをサーボオフ状態とすると、第一主軸モータ32RMのモータ軸は自由に回転可能となる。(ステップS3)
さらに、制御装置50は、第二チャック33Lに把持(クランプ)の信号を出力し、第二チャック33LによってワークWが把持された状態とする。(ステップS4)
次に、制御装置50は、第二主軸装置30Lの第二主軸モータ32LMを起動し、把持しているワークWを主軸回転軸(工作物回転軸)回りに回転させる。(ステップS5)
この時、第一チャック33Rを開放(アンクランプ)した作動圧により、第一主軸32Rは、シ−ル38Rの摩擦抵抗によりワークWと連れ回りしないように抑制されている。したがって、ワークWは、嵌合溝MKが設けられた端面を嵌合部材35Rの嵌合片MCに摺接させながら、嵌合片MCに対して相対回転する。そして、嵌合溝MKの位相と、嵌合片MCの位相とが合致した時点で、嵌合片MCは、嵌合溝MKに嵌合する。このとき嵌合部材35Rに設けられた近接センサは、嵌合片MCの嵌合状態を検出し、嵌合信号を制御装置50に出力する(嵌合信号オン)。
次に、制御装置50は、嵌合信号がオンしたか判断する。(ステップS6)ステップS6で嵌合信号がオフと判断された場合には、嵌合信号がオンと判断されるまでワークWの回転を継続する。
ステップS6で嵌合信号がオンと判断された場合には、制御装置50は、第二主軸装置30Lの第二主軸モータ32LMの回転を停止する。(ステップS7)
ワークWの回転停止後、制御装置50は、第一チャック33Rに把持(クランプ)の信号を出力し、第一チャック33RによってワークWが把持された状態とする。(ステップS8)
次に、制御装置50は、第一主軸装置30Rの第一主軸モータ32RMにサーボオン信号を出力し、第一主軸モータ32RMをサーボオン状態とし、第一、第二主軸モータ32RM,32LMをサーボオン状態とする。(ステップS9)
以上のようにして、加工装置1は、第一主軸32Rを回転させて嵌合部材35Rの嵌合片MCの位相を制御することにより、ワークWを所定の位相として支持することができる。
なお、上記説明で使用されるサーボシステムは、サーボシステムのパラメータ等により、サーボオフ状態からサーボオン状態へと切り替えた場合、動作せずに現在位置を認識する挙動としている。
以上、本実施の形態にて説明した加工装置1を用いれば、短時間で確実にワークWを所定の位相とした状態で支持することができる。また、本実施形態の加工装置1は、嵌合部材35Rの嵌合片MCがワークWの嵌合溝MKに嵌合する時、ワークWの回転による衝撃力が第一主軸32Rに対し外力として働く。この外力が、シ−ル38Rによる摩擦抵抗を超えて、第一主軸32Rおよび第一主軸モータ32RMのモータ軸を回転させる場合があるが、本実施形態の加工装置1は、第一主軸モータ32RMがサーボオフ状態にあるため、嵌合時の衝撃力によってサーボシステムが異常を検出することはない。
なお、前記実施形態は以下のように変更することもできる。
ステップ2において、第一、第二主軸装置30R,30Lが、ワークWを両端から挟み込んで支持した後、制御装置50が第一、第二主軸モータ32RM,32LMにサーボオン信号を出力し、第一、第二主軸モータ32RM,32LMをサーボオン状態とする。さらに、制御装置50は、第一、第二チャック33R,33Lに把持(クランプ)の信号を出力し、ワークWを把持状態とする。
次に、制御装置50から第一、第二主軸モータ32RM,32LMを駆動し、把持しているワークWを回転させる。
さらに、ステップS3において、ワークW回転中に第一主軸モータ32RMをサーボオフ状態にするとともに、第一チャック33Rに開放(アンクランプ)の信号を出力し、第一チャック33Rを開放状態とする。
その後、ステップS4,S5を省略し、ステップS6〜ステップS9の動作としてもよい。
また、ステップS5にて、ワークWの回転方向を回転途中で逆転させてもよく、これにより効率的かつ短時間で嵌合させることができる。
さらに、ステップS5にて、第一主軸32Rはシール38Rの摩擦抵抗により回転を抑制しているが、ブレーキ等の制動手段により回転を抑制してもよく、これにより効率的かつ短時間のうちに、ワークWの嵌合溝MKに嵌合部材35Rの嵌合片MCを嵌合させることができる。
本実施の形態では加工工具の例として砥石を用いたが、バイト等、種々の加工工具を用いた工作機械に適用することができる。
また、本発明の工作物支持装置を備えた加工装置1は、図1に示す研削盤に限定されるものではなく、例えば旋盤に適用することも可能である。
またワークWは、本実施の形態にて説明したEPSのステアリングロッドに限定されるものではなく、チャックによるワークWの把持位置が所定の位相となるように、ワークWの一端にチャックに備えた嵌合片に嵌合する嵌合溝が形成されているワークWであれば、どのようなワークWであってもよい。
1:研削盤(加工装置)、 2:ベッド、 10:砥石支持装置、 10M:Z軸モータ、10E:Z軸検出手段、 11:砥石台トラバースベース、 20:砥石台、 20M:X軸モータ、 20E:X軸検出手段、 21:砥石回転用モータ、 22:砥石車(加工工具)、 23:砥石車回転軸部材、 24:伝達機構、 25:ベルト、 30R,30L:第一、第二主軸装置(第一、第二支持装置)、 30RM,30LM:第一、第二モータ、 30RE,30LE:第一、第二検出手段、 31R,31L:第一、第二主軸台、 32R,32L:第一、第二主軸、 32RM,32LM:第一、第二主軸モータ、 32RE,32LE:第一、第二主軸検出手段、 33R,33L:第一、第二チャック、 34R,34L:第一、第二主軸穴、 35R:嵌合部材、 35L:当接部材、 37R,37L:調整部材、 38R,38L:シール、 39R,39L:供給通路、 50:制御装置、 60:ツルーイング装置、 61:ツルーイング台、 62:成形砥石、 73,74:仮受け台、 120:Z軸移動装置、 130R,130L:第一、第二移動装置、 140:X軸移動装置、 W:ワーク(工作物)、 K:加工個所、 J:ラック部、 MK:嵌合溝、 MC:嵌合片、 CZ:主軸回転軸(工作物回転軸)、 GZ:砥石台用ガイドレール、 GX:X軸ガイドレール、 GR:第一ガイドレール、GL:第二ガイドレール

Claims (6)

  1. 工作物回転軸上に配されたワークの軸方向の一端を支持する第一支持装置と、
    前記第一支持装置に対向して配置され、前記ワークの軸方向の他端を支持する第二支持装置と、
    前記第一支持装置および前記第二支持装置を制御する制御手段と、を備え、
    前記第一支持装置は、前記ワークの一端を把持する第一把持手段と、
    前記第一把持手段を前記工作物回転軸回りに回転させる第一サーボモータと、
    前記ワークの一端に形成された嵌合溝に嵌合される嵌合片と、
    前記嵌合片を前記第二支持装置側に付勢する付勢手段と、を有し、
    前記第二支持装置は、前記ワークの他端を把持する第二把持手段と、
    前記第二把持手段を前記工作物回転軸回りに回転させる第二サーボモータと、
    を有し、
    前記制御手段は、
    前記第一把持手段を前記ワークを把持しない状態、かつ前記第一サーボモータをオフ状態にするとともに、前記第二把持手段を前記ワークを把持する状態、かつ前記第二サーボモータをオン状態にした後、前記第二サーボモータを回転させて、前記ワークを前記嵌合片に対して相対回転させることにより、前記ワークの嵌合溝に前記嵌合片を嵌合させ、前記ワークを所定の位相で支持することを特徴とする工作物支持装置。
  2. 請求項に記載の工作物支持装置であって、
    前記制御手段は、
    前記第一サーボモータをオン状態にするとともに、前記第一把持手段が前記ワークを把持する状態とし、前記第二サーボモータをオン状態にするとともに、前記第二把持手段が前記ワークを把持する状態とし、前記第一サーボモータおよび前記第二サーボモータにより前記ワークを前記工作物回転軸回りに回転させた後、前記ワーク回転中に第一サーボモータをサーボオフ状態にするとともに、第一把持手段を把持しない状態として、前記ワークを前記嵌合片に対して相対回転させることにより、前記ワークの嵌合溝に前記嵌合片を嵌合させ、前記ワークを所定の位相で支持することを特徴とする工作物支持装置。
  3. 請求項に記載の工作物支持装置であって、
    前記制御手段は、
    前記第一サーボモータをオン状態にするとともに、前記第一把持手段が前記ワークを把持する状態とし、前記第二サーボモータをオン状態にするとともに、前記第二把持手段が前記ワークを把持する状態とし、前記第一サーボモータおよび前記第二サーボモータにより前記ワークを前記工作物回転軸回りに回転させた後、前記ワーク回転中に第一サーボモータをサーボオフ状態にするとともに、第一把持手段を把持しない状態とした後、前記ワーク回転方向が逆方向となるように、前記第二サーボモータの回転方向を逆転させて、前記ワークを前記嵌合片に対して相対回転させることにより、前記ワークの嵌合溝に前記嵌合片を嵌合させ、前記ワークを所定の位相で支持することを特徴とする工作物支持装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の工作物支持装置であって、
    前記第一把持手段の回転を制動する回転制動手段を備え、
    前記制御手段は、
    前記第二サーボモータを回転させて、前記ワークを前記嵌合片に対して相対回転させる際に、前記回転制動手段によって前記第一把持手段の回転を制動することを特徴とする工作物支持装置。
  5. 請求項に記載の工作物支持装置であって、
    前記回転制動手段は、前記第一サーボモータの回転軸の外周に直接的又は間接的に配される抵抗部材と、
    前記抵抗部材を径方向外側から内側に押圧する押圧手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記押圧手段による押圧状態を制御することにより前記第一把持手段の回転を制動することを特徴とする工作物支持装置。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の工作物支持装置と、
    前記工作物支持装置によって支持された前記ワークに対して押し当てられるとともに、前記ワークに対して相対移動することで前記ワークを加工する加工工具と、を備え、
    前記第一把持手段および前記第二把持手段は、前記ワークの側面から前記ワークを挟み込んで把持することが可能なチャックであって、
    前記制御手段は、前記ワークを所定の位相で支持した後、加工をおこなうことを特徴とする加工装置。
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