JP5492526B2 - ラベル用フィルム基材、粘着フィルムおよび積層フィルム - Google Patents

ラベル用フィルム基材、粘着フィルムおよび積層フィルム Download PDF

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Description

本発明は、樹脂製の粘着ラベルに使用されるラベル用フィルム基材、ならびに該ラベル用フィルム基材を用いた粘着フィルムおよび積層フィルムに関する。
OA機器、パーソナルコンピュータ、電子機器、家電機器、リチウムイオン二次電池、小型電子部品などにおいては、樹脂製の筐体に、シール、デカールなどの呼び名で呼ばれているラベルが貼付されていることがある。ラベルとしては、樹脂製のフィルム基材の表面に粘着剤層が形成されたものが一般的に用いられている。
筐体およびラベル用フィルム基材(ラベルを構成する樹脂製のフィルム基材)を構成する樹脂としては、例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS)、汎用ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリカーボネート(PC)、PC/ABSアロイ、アクリル樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル系樹脂、ポリ乳酸(PLA)、これらのアロイなどが提案されている。また、ラベル用フィルム基材として、当該ラベルが貼付される筐体を構成する樹脂と同じ樹脂を主成分としたフィルムを用いることが提案されている(特許文献1〜3参照)。
前記ラベルの表面には、機器の取り扱い方法、注意事項、危険情報など重要な情報が印刷されている場合が多く、それらの情報の読み取り易さを長期に亘って維持する必要がある。そこで、印刷が施されたラベルの表面を保護するために、該表面を透明な被覆用フィルム(オーバーレイ用フィルムともいう。)で被覆することが提案されている(たとえば特許文献4参照)。被覆用フィルムを構成する樹脂としては、例えばGPPS、HIPS、ABS、PC、アクリル樹脂、PET、PE、PP、PA、PLAなどが提案されている。
特開平8−067857号公報 特開平8−340182号公報 特表2003−521719号公報 特開平10−105063号公報
近年、上記機器や部品には、軽量化、小型化、薄型化が求められているとともに、発火防止性やもらい火対策のため、難燃性が重要になっている。それに伴い、それらの製品の筐体に貼付されるラベルにも、より薄く且つ高度な難燃性を有することが求められるようになっている。従来、筐体やラベル用フィルム基材を構成する材料として用いられている樹脂は難燃性を有していない。樹脂の難燃性を向上させる方法として、難燃剤や、滴下防止剤等の難燃助剤を配合することが考えられる。しかし、難燃剤や難燃助剤を配合すると、製品中に凝集物や分散不良が発生し、凸状の欠点が生じ、製品の表面平滑性が低下することがある。このことは、特にラベルの場合に重要な問題となる。ラベル用フィルム基材の表面平滑性が低い場合、たとえば印刷加工の際に印刷抜けやかすれが発生する、粘着剤層を形成する際に粘着剤の塗工ムラや密着ムラが生じる、等の不具合が生じ、ラベルとして適さないものとなったり、品質の低いものとなってしまう。このような不具合は、ラベル用フィルム基材が薄くなるほど発生しやすい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高度な難燃性を有し、表面平滑性にも優れたラベル用フィルム基材、ならびに該フィルム基材を備えた粘着フィルムおよび積層フィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は以下の態様を有する。
[1]ポリカーボネート樹脂と難燃剤とポリスルホン系樹脂とを含有し、
前記ポリスルホン系樹脂の配合量が、前記ポリカーボネート樹脂100質量部に対して1〜30質量部であることを特徴とするラベル用フィルム基材。
[2]さらに、滴下防止剤を含有する[1]に記載のラベル用フィルム基材。
[3][1]または[2]に記載のラベル用フィルム基材と、該ラベル用フィルム基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とを有する粘着フィルム。
[4][3]に記載の粘着フィルムと、該粘着フィルムのラベル用フィルム基材に粘着剤層を介して貼り合わされた被覆用フィルム基材とを有する積層フィルム。
本発明によれば、高度な難燃性を有し、表面平滑性にも優れたラベル用フィルム基材、ならびに該フィルム基材を備えた粘着フィルムおよび積層フィルムを提供できる。
本発明の積層フィルムの一実施形態を示す概略断面図である。
<ラベル用フィルム基材>
本発明のラベル用フィルム基材(以下、「フィルム基材」という。)は、ラベルを構成する樹脂製のフィルム基材として使用されるものであり、ポリカーボネート樹脂と難燃剤とポリスルホン系樹脂とを含有する。
ポリカーボネート樹脂としては、特に限定されず、たとえば従来、フィルム基材に用いられているポリカーボネート樹脂を使用できる。具体的には、ジヒドロキシ化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法によって得られる重合体、ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体等が挙げられる。
本発明においては、特に、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。芳香族ポリカーボネート樹脂としては、たとえば、前記ホスゲン法において、ジヒドロキシ化合物としてジヒドロキシジアリール化合物を用いて得られる重合体、前記エステル交換法において、ジヒドロキシ化合物としてジヒドロキシジアリール化合物を用いて得られる重合体等が挙げられる。
前記ジヒドロキシジアリール化合物としては、たとえば、
ビスフェノールA[2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。
上記の中でも、ビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、ビスフェノールAが特に好ましい。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、特に制限はないが、成形加工性、フィルム基材の強度の点から、10000〜100000が好ましく、15000〜35000がより好ましい。
ここで、本明細書において、ポリカーボネート樹脂のMvは、塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
Figure 0005492526
ポリカーボネート樹脂は、前記ホスゲン法、エステル交換法等、公知の方法により製造できる。
ポリカーボネート樹脂の製造に際し、分子量調整剤、触媒等を必要に応じて添加してもよい。
難燃剤としては、燃焼時に発生する有毒ガスや煙などの点で、臭素や塩素を含まない難燃剤が好ましい。
本発明においては、特に高い難燃性を付与できることから、難燃剤が、リン酸エステル系難燃剤、無機リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤およびパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
リン酸エステル系難燃剤としては、特に限定されず、公知のものを利用できる。フィルム成形時の熱安定性の点から、芳香族リン酸エステル系難燃剤が好ましい。
芳香族リン酸エステル系難燃剤としては、たとえば、下記一般式(I)で表されるリン酸エステル、芳香族縮合リン酸エステル等が挙げられる。
O=P(OR)(OR)(OR) …(I)
式(I)中、R〜Rはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基である。
〜Rにおけるアリール基としては、フェニル基が好ましい。
〜Rにおけるアリール基が有していてもよい置換基としては、たとえばアルキル基が挙げられ、メチル基が特に好ましい。
式(I)で表されるリン酸エステルとして具体的には、例えば、大八化学工業社製の、TPP[トリフェニルホスフェート]、TXP[トリキシレニルホスフェート]等が挙げられる。
芳香族縮合リン酸エステルとしては、例えば、リン酸エステルとジヒドロキシ芳香族化合物との縮合物が挙げられる。
該リン酸エステルとしては、リン酸ジアリールエステル(例えば前記一般式(I)中のR〜Rのうちの1つを水素原子で置換した化合物)が挙げられる。
ジヒドロキシ芳香族化合物としては、例えばジヒドロキシベンゼン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシ芳香族炭化水素、前記ジヒドロキシジアリール化合物として挙げたビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類等が挙げられる。
芳香族縮合リン酸エステルとして具体的には、例えば、大八化学工業社製の、CR−733S[レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)]、CR−741[フェノールAビス(ジフェニルホスフェート)]、PX−200[1,3−フェニレン−テスラキス(2,6−ジメチルフェニルホスフェート)]、PX−201[1,4−フェニレン−テトラキス(2,6−ジメチルフェニルホスフェート)]、PX−202[4,4’−ビフェニレン−テスラキス(2,6−ジメチルフェニルホスフェート)]等が挙げられる。
無機リン系難燃剤としては、たとえば赤リン系難燃剤等が挙げられる。赤リン系難燃剤としては、粉砕赤リンを篩別して粒度を調整したものや、黄リンを熱転化することにより直接得られる球体状のもの、これらの赤リンに表面処理を施したもの等が挙げられる。なかでも、安全性、安定性、フィルム加工時の臭気が少ないという点で、黄リンを熱転化することにより直接得られる球体状の赤リン粒子を表面処理したものが好ましい。
表面処理に使用される各種処理物質としては、熱硬化性樹脂、無機化合物、金属等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、フェノール−ホルマリン樹脂、尿素樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。無機化合物としては、シリカ、ベントナイト、ゼオライト、カオリン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンなどが挙げられる。金属としては、無電解メッキが可能な金属を使用でき、鉄、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、マンガン、アルミニウムなどが挙げられる。
表面処理には2種以上の処理物質を併用してもよい。その場合には、2種以上の処理物質を混合して一括に表面処理してもよいし、処理物質ごとに表面処理を順次行ってもよい。また、処理物質ごとに表面処理を行う場合には、各表面処理の間に、他の処理が介在していてもよい。
無機リン系難燃剤は、平均粒子径が0.1〜50μmであるものが好ましい。該平均粒子径は、0.5〜20μmがより好ましく、1〜15μmがさらに好ましい。このような平均粒子径であると、フィルム基材の表面平滑性を損なわない。さらにこのような平均粒子径であって、且つ粒子径が50μm以上、より好適には30μm以上の粒子の含有量が少ないものが、表面平滑性の点から好ましい。無機リン系難燃剤中、粒子径が50μm以上の粒子の含有量は、1%以下であることが好ましい。
なお、本明細書において、粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定器により測定される値である。平均粒子径、無機リン系難燃剤中の所定の粒子径の粒子の含有量も同様にして求めることができる。
シリコーン系難燃剤としては、特に限定されず、公知のものを利用できる。好ましくは、置換基としてメチル基とフェニル基を持つシロキサンポリマーが用いられ、具体的には信越化学工業社製のX−40−9243、X−40−9244、X−40−9805等が挙げられる。
パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩におけるアルカリ金属としては、カリウム、ナトリウム、リチウム、セシウム、ルビジウム等が挙げられ、カリウムが好ましい。
パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩としては、炭素数1〜8のパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩が好ましい。
具体的には、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸カリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、パーフルオロヘプタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸セシウム、パーフルオロオクタンスルホン酸セシウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸ルビジウム、およびパーフルオロヘキサンスルホン酸ルビジウム等が挙げられる。これらの中でも、特にこれらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。これらの中でも、特にパーフルオロブタンスルホン酸カリウムが好ましい。
本発明のフィルム基材に配合される難燃剤は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
フィルム基材中、難燃剤の配合量は、当該フィルム基材に求められる難燃性、使用する難燃剤の特性等を考慮して適宜設定すればよい。
たとえば難燃剤としてリン酸エステル系難燃剤を用いる場合の配合量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、5〜30質量部が好ましく、10〜25質量部がより好ましい。このような配合量であれは、充分な難燃性を付与でき、フィルム基材の機械的物性に悪影響を与えることもない。
無機リン系難燃剤を用いる場合の配合量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.5〜10質量部が好ましく、1〜8質量部がより好ましい。このような配合量であれは、充分な難燃性を付与でき、フィルム基材の機械的物性に悪影響を与えることもない。
シリコーン系難燃剤を用いる場合の配合量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.5〜10質量部が好ましく、2〜8質量部がより好ましい。このような配合量であれは、充分な難燃性を付与でき、フィルム基材の機械的物性に悪影響を与えることもない。
パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩を用いる場合の配合量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.05〜1質量部が好ましく、0.1〜0.8質量部がより好ましい。このような配合量であれは、充分な難燃性を付与でき、フィルム基材の外観が損なわれない。
これらのいずれか2種以上を併用する場合は、配合比率と、それぞれの好ましい配合量とから適宜調整すればよい。
本発明のフィルム基材は、上記ポリカーボネート樹脂および難燃剤に加えてポリスルホン系樹脂を含有することで、高度な難燃性と表面平滑性とを両立できる。これは、ポリスルホン系樹脂により、上記の難燃剤や、後述の任意に配合される滴下防止剤、無機フィラー、着色剤などがフィルム基材中に均一に分散するためと考えられる。
ポリスルホン系樹脂は、連結基を介して結合したアリーレン基を主鎖とし、該連結基として少なくともスルフリル基(−SO−)およびエーテル性酸素原子(−O−)を有するポリマーである。
ポリスルホン系樹脂としては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホンなどが挙げられ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。これらの中でも、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホンが、フィルム基材の高い難燃性を保持できる点で好ましい。
ポリエーテルスルホンとしては、下記構造式(1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位(1)という。)を有するポリマーが挙げられる。ポリエーテルスルホンが有する繰り返し単位(1)の数は、2以上が好ましく、10〜100が好ましい。ポリエーテルスルホンは、繰り返し単位(1)のみからなるものであってもよく、繰り返し単位(1)以外の繰り返し単位を有していてもよい。ただしポリエーテルスルホン中、繰り返し単位(1)の割合は、ポリエーテルスルホンを構成する全繰り返し単位の合計に対し、50モル%以上が好ましい。ポリエーテルスルホンは、例えばソルベイアドバンストポリマーズ社より商品名レーデルAシリーズが、BASF社より商品名ウルトラゾーンEシリーズがそれぞれ市販されている。
ポリフェニルスルホンとしては、下記構造式(2)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位(2)という。)を有するポリマーが挙げられる。ポリフェニルスルホンが有する繰り返し単位(2)の数は、2以上が好ましく、10〜100が好ましい。ポリフェニルスルホンは、繰り返し単位(2)のみからなるものであってもよく、繰り返し単位(2)以外の繰り返し単位を有していてもよい。ただしポリフェニルスルホン中、繰り返し単位(2)の割合は、ポリフェニルスルホンを構成する全繰り返し単位の合計に対し、50モル%以上が好ましい。ポリフェニルスルホンは、例えばソルベイアドバンストポリマーズ社より商品名レーデルRシリーズが、BASF社より商品名ウルトラゾーンPシリーズがそれぞれ市販されている。
Figure 0005492526
フィルム基材中、ポリスルホン系樹脂の配合量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して1〜30質量部であり、3〜20質量部が好ましい。配合量が該範囲の下限値未満では、難燃剤、滴下防止剤、無機フィラーおよび着色剤等を均一に分散させる効果が充分に得られず、フィルム基材の表面平滑性が損なわれる。一方、配合量が該範囲の上限を超える場合は、均一な分散は得られるが、フィルム成形が困難になり、またコストが高くなりすぎる。
本発明のフィルム基材は、さらに、滴下防止剤を含有することが好ましい。これにより、燃焼時の耐滴下性が高まり、難燃性がさらに向上する。
滴下防止剤としては、たとえば、ポリフルオロエチレン樹脂が挙げられる。ポリフルオロエチレン樹脂は、フィブリル形成能力を有することから、これをフィルム基材に配合することで、当該フィルム基材の耐滴下性が向上する。
ポリフルオロエチレン樹脂として、好ましいものとしては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・プロピレン共重合体などのテトラフルオロエチレン系ポリマーが挙げられる。
ポリフルオロエチレン樹脂は、粒状のものを用いることが好ましい。粒状のポリフルオロエチレン樹脂としては、ファインパウダー状のフルオロポリマー、このようなフルオロポリマーの水性ディスパージョン、AS(アクリロニトリル・スチレン)樹脂やPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)などの他の樹脂との粉末状混合物などが挙げられ、これらの形態のものを使用できる。ファインパウダーは、フルオロポリマーの微粒子が凝集した粉末である。ファインパウダーは凝集しやすく、せん断力を加えることにより繊維化する性質を有する。
滴下防止剤の配合量は、使用する滴下防止剤の滴下防止能等に応じて適宜設定すればよい。たとえば滴下防止剤としてポリフルオロエチレン樹脂を用いる場合、その配合量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.02〜1質量部が好ましく、0.05〜0.4質量部がより好ましい。該範囲の下限値以上であると、燃焼物の耐滴下性が充分に向上する。一方、該範囲の上限を超えると、フィルム基材の表面平滑性が損なわれたり、フィルム成形が困難になるおそれがある。
なお、ポリフルオロエチレン樹脂として、AS(アクリロニトリル・スチレン)樹脂やPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)などの他の樹脂との粉末状混合物を使用する場合には、配合した粉体状混合物中のポリフルオロエチレン樹脂の量が、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して上記範囲内となるように、粉体状混合物の配合量を調整する。
本発明のフィルム基材は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、ポリカーボネート樹脂、難燃剤、ポリスルホン系樹脂および滴下防止剤以外の他の成分を含有してもよい。
該他の成分としては、たとえば、無機フィラー、着色剤等が挙げられる。
無機フィラーを被覆用フィルムに配合すると、ほどよい剛性が得られるため扱いやすくなり、また燃焼時の収縮が抑えられるため難燃性が向上することがある。
また、フィルム基材に着色剤を配合することで筐体等の被貼着体を隠蔽することができるので好ましい。
無機フィラーとしては、タルク、マイカ、カオリン、珪藻土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維などが挙げられる。これらの無機フィラーは、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤などで表面処理されたものであってもよい。
無機フィラーの平均粒子径は50μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。このような範囲のものを用いれば、フィルムの成形性、表面平滑性、機械的物性に悪影響を与えない。
フィルム基材中、無機フィラーの配合量には特に制限はなく、フィルム成形性、難燃性、機械的物性に悪影響を与えないない範囲で決定される。通常、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
着色剤としては、特に限定されず、一般の熱可塑性樹脂の着色に使用される慣用の顔料、染料などが使用できる。
顔料としては、例えば、酸化チタン、チタンイエロー、酸化鉄、複合酸化物系顔料、群青、コバルトブルー、酸化クロム、バナジウム酸ビスマス、カーボンブラック、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク等の無機顔料;アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、アンスラキノン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、チオインジゴ系顔料及びジケトピロロピロール系顔料等の有機顔料;金属錯体顔料;などが挙げられる。
染料としては、油溶性染料を使用することが好ましい。
着色剤の配合量は、着色剤の種類や目的とするフィルム基材の厚みや色調により異なり、色相や下地色の隠蔽性を確保し、フィルム成形性、難燃性、機械的物性に悪影響を与えないない範囲で決定される。通常、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部程度とされ、好ましくは0.5〜15質量部である。
上記各成分以外に、フィルム基材に配合してもよい他の成分としては、酸化防止剤(フェノール系、リン系、イオウ系)、帯電防止剤、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系)、ヒンダードアミン系光安定剤、相溶化剤などが挙げられる。
これらの成分の配合量は、それぞれ、フィルム基材の難燃性に悪影響を与えない範囲で適宜決定される。
フィルム基材の厚さは15〜100μmであることが好ましく、20〜80μmであることがより好ましい。フィルム基材の厚さが15μm以上であれば、より高い難燃性が得られ、さらには、引き裂き強度が向上し、取り扱っている最中に皺や傷が付きにくくなる。一方、フィルム基材の厚さが100μm以下であれば、ラベルの柔軟性が充分確保できる。
フィルム基材の製造方法は、特に限定されず、従来、ポリカーボネート樹脂製のフィルムの製造に用いられている方法が利用でき、例えば溶融押出成形法、溶媒キャスト法などが挙げられる。これらの中でも、生産性が高く、製造できる厚さの範囲が広くなることから、溶融押出成形法が好ましく、溶融押出成形法の中でも、Tダイ成形法、インフレーション成形法がより好ましい。
上記本発明のフィルム基材は、難燃性に優れたものであることから、その表面に粘着剤層を設けた粘着フィルムも、難燃性に優れたものとなる。また、該フィルム基材は、表面平滑性に優れたものであることから、粘着フィルムとした際に、該フィルム基材と粘着剤層との間の密着性が良好であり、また、フィルム基材の表面に文字情報等の印刷を施した際に印刷抜けやかすれが生じにくいなど、印刷性にも優れる。
本発明のフィルム基材は、OA機器、パーソナルコンピュータ、電子機器、家電機器、リチウムイオン二次電池、小型電子部品などを構成する樹脂製の筐体に貼付されるラベル(シール、デカールなどの呼び名で呼ばれているラベル)用のフィルム基材として有用である。
<粘着フィルム>
本発明の粘着フィルムは、上記本発明のフィルム基材と、該フィルム基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とを有するものである。
粘着剤層を構成する粘着剤の粘着成分としては、特に限定されず、フィルム基材や当該粘着フィルムが貼付される筐体への接着性等を考慮して、公知の粘着剤のなかから適宜選択すればよい。具体的には、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン、合成ゴム、天然ゴムなどが挙げられる。これらの中でも、接着性が良好であることから、アクリル樹脂、シリコーンが好ましい。
粘着剤層には難燃剤を含有させることができる。難燃剤としては、燃焼時に発生する有毒ガスや煙などの点で、臭素や塩素を含まない難燃剤が好ましい。
難燃剤として、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、リン酸エステル系難燃剤、無機リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩、メラミン化合物、などが挙げられる。リン酸エステル系難燃剤、無機リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩としては、それぞれ、前記と同様のものが挙げられる。これらの中でも、粘着剤の塗工性を低下させずに難燃性を付与できることから、リン酸エステル系難燃剤を含有することが好ましい。
粘着剤層中の難燃剤の含有量は、粘着成分100質量部に対して、15〜100質量部が好ましく、30〜80質量部がより好ましい。難燃剤の含有量が15質量部以上であれば、充分に高い難燃性を発揮でき、100質量部以下であれば、充分な粘着性および透明性を確保できる。
粘着剤層の厚さは5〜30μmであることが好ましい。粘着剤層の厚さが5μm以上であれば、充分な粘着性を確保でき、30μm以下であれば、容易に粘着剤層を形成できる。
粘着剤層は、被覆用フィルムの片面のみに形成されていてもよく、両面に形成されていてもよく、片面のみに形成されていることが好ましい。
粘着フィルムにおいて、フィルム基材の表面には、必要に応じて、印刷が施されてもよい。
印刷としては、任意色のベタ印刷、文字情報等の印刷等が挙げられる。
印刷は、フィルム基材の、粘着剤層側の表面に施されてもよく、その反対側の表面に施されてもよく、両面に施されてもよい。本発明においては、少なくとも、フィルム基材の、粘着剤層側の表面に印刷が施されていることが好ましい。
また、フィルム基材の表面に、蒸着等により、アルミなどの金属層が形成されてもよい。
粘着フィルムの製造方法としては、たとえば、フィルム基材の表面に粘着剤を塗工する方法(直接塗工法)、剥離紙の剥離面に粘着剤を塗工して粘着剤層を形成した後に、その粘着剤層とフィルム基材とを貼り合せる方法(転写法)が挙げられる。これらのなかでも転写法が好ましい。フィルム基材は薄いため、直接塗工法では塗工時に破れてしまうおそれがあるが、転写法では破れにくい。
<積層フィルム>
本発明の積層フィルムは、前記本発明の粘着フィルムと、該粘着フィルムのフィルム基材に粘着剤層を介して貼り合わされた被覆用フィルム基材とを有する。
以下、本発明の積層フィルムの実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態の積層フィルム10の概略断面図である。本実施形態は、粘着フィルムとして、フィルム基材11aの片面に粘着剤層11bが形成された粘着フィルム11を用いたものである。
積層フィルム10は、粘着フィルム11と、被覆用フィルム基材12aの片面に粘着剤層12bが形成された被覆用粘着フィルム12とを備えており、粘着フィルム11のフィルム基材11aと、被覆用粘着フィルム12の粘着剤層12bとが貼り合わされている。
被覆用フィルム基材12aは樹脂製のフィルムである。
該フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂などの難燃性樹脂、GPPS、HIPS、ABS、PC、アクリル、PET、PE、PP、PA、PLAなどの非難燃性樹脂などが挙げられる。
該樹脂には難燃剤を配合することができる。難燃剤としては、前記粘着フィルムの粘着剤層に配合できる難燃剤として挙げたものと同様なものが挙げられる。
被覆用フィルム基材12aとして難燃性樹脂製のフィルムを用いる場合、該フィルムとしては、ポリエーテルイミド、ポリフェニルスルホンまたはフッ素樹脂製のフィルムが、難燃性を有し、透明性が良く、黄色度が小さいことから好ましい。
被覆用フィルム基材12aとして非難燃性樹脂製のフィルムを用いる場合、該フィルムとしては、PET、PC、PA製のフィルムが、透明性、機械的強度、粘着剤との接着性に優れるためが好ましく、特にこれらの樹脂に難燃剤を配合したものが、難燃性にも優れ、好ましい。
被覆用フィルム基材12aの厚さは15〜100μmであることが好ましく、20〜80μmであることがより好ましい。被覆用フィルム基材12aの厚さが15μm以上であれば、より高い難燃性が得られる上に、引き裂き強度が向上し、取り扱っている最中に皺や傷が付きにくくなる。一方、被覆用フィルム基材12aの厚さが100μm以下であれば、柔軟で充分に高い透明性を確保できる。
粘着剤層12bを構成する粘着剤の粘着成分は、特に限定されず、被覆用フィルム基材12aやフィルム基材11aへの接着性等を考慮して、公知の粘着剤のなかから適宜選択すればよい。具体的には、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン、合成ゴム、天然ゴムなどが挙げられる。これらの中でも、透明性、接着性が良好であることから、アクリル樹脂、シリコーンが好ましい。
粘着剤層12bには難燃剤を含有させることができる。難燃剤としては、前記粘着フィルムの粘着剤層に配合できる難燃剤として挙げたものと同様なものが挙げられる。それらのなかでも、粘着剤の透明性を低下させずに難燃性を付与できることから、リン酸エステル系難燃剤、シリコーン系難燃剤が好ましい。
粘着剤層12b中の難燃剤の含有量は、粘着成分100質量部に対して、15〜50質量部であることが好ましい。難燃剤の含有量が15質量部以上であれば、充分に高い難燃性を発揮でき、50質量部以下であれば、充分な粘着性および透明性を確保できる。
被覆用粘着フィルム12の製造方法としては、たとえば、被覆用フィルム基材12aの表面に粘着剤を塗工する方法(直接塗工法)、剥離紙の剥離面に粘着剤を塗工して粘着剤層12bを形成した後に、その粘着剤層12bに被覆用フィルム基材12aを貼り合せる方法(転写法)が挙げられる。これらのうち、転写法が好ましい。被覆用フィルム基材12aは薄いため、直接塗工法では塗工時に破れてしまうおそれがあるが、転写法では破れにくい。
本発明の積層フィルムは上記実施形態に限定されるものではない。
たとえば、粘着フィルムとして、フィルム基材の両面に粘着剤層が形成されたもの(たとえば図1中、粘着剤層11bとフィルム基材11aと粘着剤層12bとからなる粘着フィルム)を用い、該粘着フィルムの粘着剤層の一方に、直接、被覆用フィルム基材が貼り合わされたものであってもよい。
また、このようにフィルム基材の両面に粘着剤層が形成された粘着フィルムの粘着剤層の一方に、上記のような被覆用粘着フィルムの粘着剤層が貼り合わされていてもよい。この場合、粘着フィルムのフィルム基材と被覆用フィルム基材との間には2層の粘着剤層が介在する。
本発明の粘着フィルムは、フィルム基材が上述したように難燃性および表面平滑性に優れたものであることから、難燃性に優れており、フィルム基材と粘着剤層との間の密着性や印刷性にも優れる。
同様に、本発明の積層フィルムは、難燃性に優れており、粘着フィルムと被覆用フィルムとの間の密着性にも優れる。
本発明の粘着フィルムおよび積層フィルムは、それぞれ、OA機器、パーソナルコンピュータ、電子機器、家電機器、リチウムイオン二次電池、小型電子部品などを構成する樹脂製の筐体に貼付されるラベル(シール、デカールなどの呼び名で呼ばれているラベル)として好適である。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。
[実施例1〜6、比較例1〜6]
(1.フィルム基材の材料)
以下の各例で用いた、フィルム基材の材料は以下のとおりである。なお、平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定器(島津製作所製、SALD−2000)により測定した値である。
成分A:「ポリカーボネート樹脂」:住友ダウ社製、カリバー200−13、ビスフェノールA型ポリカーボネート、粘度平均分子量=21000。
成分B1:「リン酸エステル系難燃剤」:大八化学工業社製、PX−200。
成分B2:「無機リン系難燃剤」:燐化学工業社製、ノーバエクセル140F、黄リンを熱転化することにより直接得られる球体状の赤リン粒子を無機化合物(水酸化アルミニウム)および熱硬化性樹脂(熱硬化型フェノール樹脂)で表面処理したもの、平均粒子径6μm。
成分B3:「パーフルオロブタンスルホン酸カリウム難燃剤」:DIC社製、メガファックF114P。
成分C:「ポリテトラフルオロエチレン」:ダイキン工業社製、ポリフロンMPA FA500C、ファインパウダー、平均粒子径470μm。
成分D1:「ポリエーテルスルホン」:BASF社製、ウルトラゾーンE2010。
成分D2:「ポリフェニルスルホン」:BASF社製、ウルトラゾーンP3010。
成分E1:「タルク」:日本タルク社製タルクP−4を信越化学工業社製3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランKBM−403で表面処理したもの、平均粒子径4.3μm。
成分E2:「カーボンマスターバッチ」:住化カラー社製、ブラックSPAB−8A2018HC、カーボンブラック濃度45質量%、マスターバッチの樹脂成分はアクリロニトリル−スチレン共重合樹脂。
成分E3:「酸化チタン」:石原産業社製、PC−3、平均粒子径0.21μm。
(2.フィルム基材の製造)
上記各成分を、表1、2に示す配合量(質量部)で配合してヘンシェルミキサーで均一に混合し、樹脂組成物を調製した。該樹脂組成物を、37mm径同方向二軸押出機(L/D=42)に供給し、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数215rpmで溶融混練し、Tダイから溶融樹脂を吐出させ、ピンチロールで引き取りつつ冷却することで、厚み30μm、幅500mmのフィルム基材を製造した。
(3.フィルム基材の評価)
得られたフィルム基材(実施例1〜6および比較例1〜6)について、以下の評価を行った。評価結果を表1、2に示す。
・難燃性:UL94規格による薄材料垂直難燃試験(VTM試験)行った。VTM試験の結果、不合格と判定されたものはNGと表記した。
・フィルム欠点:きょう雑物測定図表(JIS P8145)を用いてフィルム基材表面を目視で検査し、0.1mm相当以上の大きさの欠点が無いものを「○」、欠点が有るものを「×」と評価した。
欠点は、難燃剤、滴下防止剤、無機フィラー、着色剤の未分散物や凝集物などからなり、フィルム表面に細かい凸状のブツとなって発生することがある。ポリスルホン系樹脂の添加量が少ないと、上記押出機での混練や冷却ピンチロールを通したとしても、ブツが潰れずにそのまま残ることがある。
(4.粘着フィルムの製造および評価)
シリコーン塗工剥離紙の剥離面に、アクリル系粘着剤(綜研化学社製、SKダイン)100質量部にリン酸エステル系難燃剤50質量部(大八化学工業社製CR−733S:40質量部、大八化学工業社製CR−741:10質量部)を添加した粘着剤を、厚さ25μmでグラビアコーターにより塗工して、剥離紙付きの粘着剤層を形成した。
その剥離紙付きの粘着剤層の露出面に、前記フィルム基材を重ね合わせて貼り付けた後、剥離紙を粘着剤層から剥離して、粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムについて、以下の評価を行った。評価結果を表1、2に示す。
・難燃性:前記と同様、UL94規格による薄材料垂直難燃試験(VTM試験)により評価した。
・密着性:粘着剤層とフィルム基材との間にエアーがなく、密着性が良いものを「○」、粘着剤層とフィルム基材との間にエアーが溜まっており、密着性が劣るものを「×」と評価した。
・印刷性:上記粘着フィルムの剥離紙が付いた状態で、フィルム基材の露出面(粘着剤層が設けられていない面)に白インクをグラビアコーターで塗工し、白色の粘着フィルムを得た。該粘着フィルムを目視で観察し、印刷抜けやかすれが無いものを「○」、印刷抜けやかすれが発生したものを「×」と評価した。
(5.被覆用粘着フィルムの作製)
前記成分D2:100質量部を原料とし、該原料を、40mm径単軸押出機(L/D=28)を用いて、シリンダー温度360℃で溶融混練し、Tダイから溶融樹脂を吐出させ、ピンチロールで引き取りつつ冷却し、厚み20μm、幅500mmの被覆用フィルム基材を製造した。この被覆用フィルム基材は黄色味が無く透明であり、UL94規格による薄材料垂直難燃試験(VTM試験)の結果はVTM−0であった。
この被覆用フィルム基材の片面に、上記の粘着フィルムの製造と同様にして粘着剤層を形成し、被覆用粘着フィルムを得た。
(6.積層フィルムの製造および評価)
前記被覆用粘着フィルムの粘着剤層を、前記粘着フィルムの白色印刷面(前記印刷性の評価で白インクを塗工した面)に貼り合わせて積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムについて以下の評価を行った。評価結果を表1、表2に示す。
・密着性:被覆用粘着フィルムの粘着剤層と粘着フィルムのフィルム基材との間にエアーがなく、密着性が良いものを「○」、被覆用粘着フィルムの粘着剤層と粘着フィルムのフィルム基材との間にエアーが溜まっており、密着性が劣るものを「×」と評価した。
Figure 0005492526
Figure 0005492526
上記結果に示すとおり、実施例1〜6のフィルム基材は、難燃性の評価結果が良好で、フィルム欠点も確認されなかった。特に成分Cを配合した実施例1〜4、6の難燃性が高かった。また、該フィルム基材を用いた粘着フィルムは、難燃性の評価結果が良好で、粘着剤層との密着性および印刷性も良好であった。また該フィルム基材を用いた積層フィルムは、被覆用フィルムとの密着性が良好であった。粘着フィルムおよび積層フィルムの密着性の高さは、フィルム基材の表面平滑性が高いことによるものと考えられる。
一方、難燃剤(成分B1〜B3)を配合し、ポリスルホン系樹脂(成分D1〜D2)の配合量が0.5質量部以下の比較例1〜4のフィルム基材は、難燃性は良好であったものの、フィルム欠点が確認された。成分Aのみから構成される比較例5のフィルム基材、難燃剤(成分B1〜B3)を配合しなかった比較例6のフィルム基材は、フィルム欠点は見られなかったが、難燃性が低かった。
10…積層フィルム、11…粘着フィルム、11a…フィルム基材、11b…粘着剤層、12…被覆用粘着フィルム、12a…被覆用フィルム基材、12b…粘着剤層

Claims (4)

  1. ポリカーボネート樹脂と難燃剤と、ポリエーテルスルホン又はポリフェニルスルホンであるポリスルホン系樹脂とを含有し、
    前記ポリスルホン系樹脂の配合量が、前記ポリカーボネート樹脂100質量部に対して1〜30質量部であることを特徴とするラベル用フィルム基材。
  2. さらに、滴下防止剤を含有する請求項1に記載のラベル用フィルム基材。
  3. 請求項1または2に記載のラベル用フィルム基材と、該ラベル用フィルム基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とを有する粘着フィルム。
  4. 請求項3に記載の粘着フィルムと、該粘着フィルムのラベル用フィルム基材に、前記粘着剤層を介して、又は前記粘着剤層とは別の粘着剤層を介して貼り合わされた被覆用フィルム基材とを有する積層フィルム。
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