JP5492408B2 - インフレーションフィルムの製造方法、ならびにこれより得られたインフレーションフィルム - Google Patents
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Description
インフレーション法により成形される筒状のフィルムは、通常、冷却後に扁平状にされてから巻き取られる。しかし、筒状のフィルムを扁平状にすると、図4(a)に示すように端部51に空気が溜まり、特に屈曲部分はフィルムの反発力により膨らみやすくなり、フィルムを2枚重ねたときの厚さに比べて見かけの厚さが増し、厚みムラが生じることがあった。また、フィルムの厚さを厚くするほど、扁平状にした際に端部51が屈曲しにくかった。特に輸液バッグなど、薬剤を収容する医療容器に用いられるフィルムは、フィルムに100〜1000μm程度の厚みを持たす必要があるため、扁平状にすると端部の屈曲部分はフィルムの反発力により、フィルムを2枚重ねたときの厚さに比べて見かけの厚さが増しやすく、厚みムラが生じやすかった。
従来、フィルムの巻取り方法として、巻軸に軸方向にトラバースしつつ巻き取る方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
そこで、トラバース法を適用してインフレーション法により成形されたフィルムを巻き取ることで、上述した問題を解決する試みがなされている。
しかし、トラバース法により巻き取られたフィルムは、フィルムにうねりの癖が残ってしまうといった場合があった。
これらの方法によれば、フィルムの内面を外気と遮断できるので、衛生面を確保しつつ平坦にフィルムを巻き取ることができる。
また、熱線や切断刃の接触により溶けたフィルム、すなわち溶融樹脂が熱線や切断刃に付着し、その付着物または劣化物がフィルムの溶断時にフィルムに付着してしまうといった不具合もあった。
ここで、前記溶断工程は、扁平状のインフレーションフィルムの両端よりも内側をレーザーで長さ方向にさらに溶かしてシールしつつ切断することが好ましい。
さらに、前記レーザーがCO2レーザーであることが好ましい。
また、本発明のインフレーションフィルムの製造装置および製造方法によれば、高品質のインフレーションフィルムが得られる。
さらに、本発明のインフレーションフィルムの製造装置および製造方法によれば、1つのインフレーションフィルムから、複数の筒状のフィルムを製造することができる。
また、本発明によれば、インフレーションフィルムの厚さを厚くしても、容易に平坦に巻き取ることができる。
図1は、本発明のインフレーションフィルムの製造装置の全体構造の一例を示す概略図である。
本例のインフレーションフィルムの製造装置1は、筒状にインフレーションフィルム10を成形する成形手段20と、該インフレーションフィルム10を冷却する冷却手段30と、インフレーションフィルム10を扁平状にする扁平手段40と、扁平状のインフレーションフィルム50を巻き取る巻取り手段60とを有して構成されている。
また、本発明のインフレーションフィルムの製造装置1には、扁平手段40と巻取り手段60との間に、扁平状のインフレーションフィルム50の両端を溶断する溶断手段70が備えられている。
以下、扁平前のインフレーションフィルム10を「成形フィルム10」、扁平後のインフレーションフィルム50を「扁平フィルム50」と略す場合がある。
ダイ21および押出機22としては特に制限されず、公知のインフレーション用のダイ、および押出機を用いることができる。
押出機22から連続的に、筒状に押し出された溶融樹脂は、垂直方向に引き取られながら直ちに空気圧で膨む。この例では、ダイ21の吐出口が下向きに向いているので、筒状に押し出された溶融樹脂は下向き、すなわち鉛直方向に引き取られる。
巻取り手段60としては、扁平手段により扁平状にされた扁平フィルム50をロールなどに巻き取れるものであれば、特に制限されない。
前記レーザー照射機構から照射されるレーザーとしては、CO2レーザー、ファイバーレーザー、YAGレーザー、UV固体レーザー、エキシマレーザーなどが挙げられる。これらの中でも、透明なフィルムにも対応できるCO2レーザーが特に好ましい。
なお、図3において、図2と同じ構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
本発明のインフレーションフィルムの製造方法は、筒状にインフレーションフィルムを成形する成形工程と、該インフレーションフィルムを冷却する冷却工程と、インフレーションフィルムを扁平状にする扁平工程と、扁平状のインフレーションフィルムを巻き取る巻取り工程とを有する。
また、本発明のインフレーションフィルムの製造方法には、前記扁平工程と巻取り工程との間に、扁平状のインフレーションフィルムの両端をレーザーで溶断する溶断工程を有する。
引き取り速度は3〜100m/分が好ましい。
本発明のインフレーションフィルムは、1種類の材料からなる単層フィルムであってもよく、複数の種類の層からなる多層フィルムであってもよい。
扁平手段40への引き取り速度は、成形工程時の引き取り速度と同じ速度に設定するのが好ましい。
レーザーの照射条件としては、レーザー出力を10w〜10kwに設定するのが好ましく、より好ましくは100w〜1kwである。また、扁平フィルム50の搬送速度は、成形工程時の引き取り速度と同じ速度に設定するのが好ましい。さらに、扁平フィルム50の端部51の外縁52から、レーザー照射位置53までの距離dは、レーザーが照射されるスポットの大きさに合わせて設定するのが好ましい。
なお、図2に示すように、溶断により扁平フィルム50から切断された切断物54は、図1に示す溶断手段70に備えられた回収機構71により回収され、系外へ排出される。
なお、扁平フィルム50の両端よりも内側を長さ方向に溶断する工程は、図3に示すように扁平フィルム50の両端を溶断する工程と同時に行ってもよいし、両端を溶断する工程の前、または後に行ってもよい。
巻取り速度は成形工程時の引き取り速度と同じ速度に設定するのが好ましい。
しかし、本発明によれば、非接触型の溶断方法を採用しているので、破片がフィルムに付着することに起因するフィルム汚染を抑制でき、高品質を保持できる。
しかし、本発明によれば、溶断後にフィルムを冷却する必要がないので、溶断手段の直後に巻取り手段を配置することも可能である。従って、生産性を維持することができる。
しかし、本発明によれば、フィルムの厚さを厚くしても、扁平フィルムの両端を溶断させることにより厚みムラを解消できるので、扁平フィルムを平坦に巻き取ることができる。従って、例えば輸液バッグなど薬剤を収容する医療容器用のフィルムのように、フィルムに100〜1000μm程度の厚みを持たす必要がある場合でも、本発明により得られるインフレーションフィルムは所望の厚さのフィルムを製造することができるので、医療容器用のフィルムとしても好適である。
[実施例1]
<インフレーションフィルムの製造>
図1に示す装置を用い、インフレーションフィルムを製造した。インフレーションフィルムの原料、および各工程における条件を以下に示す。
原料:直鎖状低密度ポリエチレン(MFR(メルトフローレート):2g/10分、密度:0.921g/cm3)を使用した。
なお、MFRは、日本工業規格JIS K 7210に準拠し、190℃、21.18Nの荷重にてMFRを測定した。
冷却工程:水冷にて成形フィルム10を冷却した。
扁平工程:扁平手段40への引き取り速度20m/分にて、一対のピンチロールの間に成形フィルム10を通過させて、扁平フィルム50とした。
溶断工程:溶断手段70として、CO2レーザー装置(ファナック社製、「C4000i−MODEL B」)を用い、出力を1kw、扁平フィルム50の搬送速度を20m/分、図2に示す扁平フィルム50の端部51の外縁52から、レーザー照射位置53までの距離dを19cmに設定し、扁平フィルム50の両端を溶断した。
巻取り工程:巻取り速度20m/分にて、溶断された扁平フィルム50をロールに巻き取った。
溶断工程において、ニクロム線を扁平フィルム50の両端に接触させて溶断した以外は、実施例1と同様にして、インフレーションフィルムを製造した。
その結果、製造初期においては実施例で得られたインフレーションフィルムと同等の品質のインフレーションフィルムを製造することができたが、時間の経過と共に、ニクロム線が劣化し、劣化物の破片が飛翔してインフレーションフィルムに付着し、品質が低下した。
Claims (4)
- 連続的に成形される、扁平状で長さ方向に平行な両端が溶着しているインフレーションフィルムの製造方法において、
筒状にインフレーションフィルムを成形する成形工程と、該インフレーションフィルムを冷却する冷却工程と、インフレーションフィルムを扁平状にする扁平工程と、扁平状のインフレーションフィルムを巻き取る巻取り工程とを有し、
前記扁平工程と巻取り工程との間に、扁平状のインフレーションフィルムの両端をレーザーで溶かしてシールしつつ切断する溶断工程を有することを特徴とするインフレーションフィルムの製造方法。 - 前記溶断工程は、扁平状のインフレーションフィルムの両端よりも内側をレーザーで長さ方向にさらに溶かしてシールしつつ切断することを特徴とする請求項1に記載のインフレーションフィルムの製造方法。
- 前記レーザーがCO2レーザーであることを特徴とする請求項1または2に記載のインフレーションフィルムの製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載のインフレーションフィルムの製造方法により得られたことを特徴とするインフレーションフィルム。
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