JP5491845B2 - スパッタリングターゲット材 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば基板上に薄膜を形成するためのスパッタリングに使用されるスパッタリングターゲット材に関するものである。
近年、大型ディスプレイパネルの高精細化のため、TFTアレイ配線の微細化が要求されている。配線材料としては、電気抵抗率がアルミニウム(Al)よりも低い銅(Cu)の採用が始まっている。今後、4K×2K(4000×2000画素級)の更なる高精細化や駆動周波数が120Hzや240Hzといった高速駆動化に対応するためには、益々、配線材料の低抵抗化が必要とされ、配線材料の主流であったAlからCuへの変更が進むと予想される。
ところで、基板上に微細なCu配線パターンを形成する際にターゲット材を用いて行われるスパッタリングプロセスにおいては、長時間のスパッタリングによりターゲット材表面が侵食され、その侵食されたエロージョン部分の凹凸が大きくなると、エロージョン部分で異常放電が発生する。この異常放電により、ターゲット材質が高温で液滴状になったスプラッシュが基板に付着するので、Cu配線の製造歩留まりが低下するという問題点があった。
上記問題点を改善するため、スパッタリング用Cuターゲット材の結晶組織の検討が行われてきた。その従来の一例としては、例えば再結晶プロセスを用いて平均結晶粒径を80μm以下とすることで、スパッタリング粒子の方向性を揃え、かつ、粗大クラスタの発生を低減したCuターゲットがある(例えば、特許文献1参照)。
従来の他の一例としては、例えば純度を5N(99.999%)とし、平均結晶粒径を250(超)〜5000μmとし、パーティクルの発生を抑制した高純度Cuスパッタリングターゲットがある(例えば、特許文献2参照)。
一方、従来のスパッタ技術の一例としては、例えばCuのセルフイオンスパッタリング法(Ar等のプロセスガスを使用せずに、ターゲット材質原子自身のCuイオンによりスパッタリングする方法)がある。このセルフイオンスパッタリング法を適用した高純度Cuスパッタリングターゲットは、Cuイオンによる自己維持放電を長時間持続させるため、高純度Cuに、Ag及びAuから選ばれる少なくとも一種を、合計含有量として0.005〜500ppmの範囲で添加している(例えば、特許文献3参照)。
また、従来の他のスパッタリング材の一例としては、半導体装置配線シード層形成用のCu合金スパッタリングターゲットがある(例えば、特許文献4参照)。この従来のCu合金スパッタリングターゲットは、Agを0.05〜2質量%(500〜20000ppm)含有し、V、Nb、及びTaのうちの1種又は2種以上を合計で0.03〜0.3質量%(300〜3000ppm)含有するCu合金からなっている。
上記特許文献4に記載された従来のCu合金スパッタリングターゲットを用いて、LSIのSi系半導体におけるバリア層としてのTaN層上にシード層となる薄膜をスパッタ成膜すると、熱による凝集が少なくなり、薄膜のボイド発生が抑えられるとしている。
特開平11−158614号公報 特開2002−129313号公報 特開2001−342560号公報 特開2004−193553号公報
上記特許文献1に記載された従来のスパッタリング用Cuターゲットは、平均結晶粒径を80μm以下の微細な結晶粒径とすることで異常放電を抑制しているが、冷間圧延の加工度を高めることで結晶粒を微細化しなければならないので、(220)面の割合が増えてスパッタ速度(成膜速度)が遅くなり、製造のタクトタイムを向上させることは困難になる。
上記特許文献2に記載された従来の高純度Cuスパッタリングターゲットは、250(超)〜5000μmの粗大な結晶粒径としており、エロージョン部分の凹凸が大きくなり易いので、異常放電発生の頻度が高くなり、パーティクルの発生が増加する。
上記特許文献1及び2に記載された従来の配線膜形成技術では、Cuターゲット材の結晶粒径についての記載は行われているかも知れないが、スパッタリングによる異常放電の抑制と成膜の高速化とを両立させるという対策は講じられていない。
一方、上記特許文献3に記載されたセルフイオンスパッタリング法を適用した高純度Cuスパッタリングターゲットは、Cuイオンによる自己放電の持続性を向上させることを目的としたものであり、上記特許文献4に記載された従来のCu合金スパッタリングターゲットは、半導体装置配線シード層のボイド耐性を向上させることを目的としたものである。これらの従来の薄膜形成技術では、Cuターゲット材の結晶組織についての記載は行われているかも知れないが、スパッタリングによる異常放電の抑制と成膜の高速化とを両立させた構成については、開示も示唆もされていない。
従って、本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その具体的な目的は、スパッタリング法による配線膜形成において、スパッタリングによる異常放電を抑制しつつ、高速成膜を実現することを可能としたスパッタリングターゲット材を提供することにある。
本件発明者等は、上記従来の課題を解決すべく、スパッタリングプロセスにおいて、ターゲット材表面の各結晶の結晶面方位によるスパッタ速度(スパッタリングにより削られる速度)の差により凹凸が発生するとともに、結晶粒径が凹凸に大きく影響することと、加工条件との関係について種々の検討を行った。その結果、以下の(1)〜(4)のような現象を見いだし、本発明を完成させるに至った。
(1)ターゲット表面(スパッタリング面)において(111)面が多く、(220)面が少ないほど、スパッタ速度は速い。
(2)結晶粒径が大きい程、エロージョン部分の凹凸は大きく粗くなり、結晶粒径が細かい程、エロージョン部分の凹凸は小さく滑らかになる。
(3)ターゲット材の製造プロセスにおいて、冷間圧延の加工度を40%〜70%程度に調整することにより、微細な結晶粒径が得られる。
(4)ただし、微細な結晶粒径を得るため、上記(3)のように冷間圧延の加工度を高くすると、(111)面配向は減少し、(220)面配向は増加し、スパッタ速度は遅くなる。
即ち、本発明は、上記目的を達成するため、4N(99.99%)以上の無酸素銅に銀を0.02〜0.2質量%(200〜2000ppm)添加したことを特徴とするスパッタリングターゲット材を提供する。
本発明のスパッタリングターゲット材にあっては、平均結晶粒径を30〜100μmにすることが好適である。また、本発明のスパッタリングターゲット材によると、スパッタリング面のX線回折のピーク強度測定により求められた(220)面の配向比率及び(111)面の配向比率との比(220)/(110)を6以下に規定し、その値のバラツキを示す標準偏差を10以内に規定することが望ましい。また更に、本発明のスパッタリングターゲット材にあっては、鋳造及び圧延により製造することが好適である。
本発明によれば、スパッタリング法による配線膜形成において、異常放電の抑制による歩留りを向上させるとともに、スパッタ速度を向上させることで、高速成膜化の実現が可能となる。
(a)は本発明の好適な実施例1であるターゲット材表面のX線回折パターンの一例を示す説明図であり、(b)は比較例1のターゲット材表面のX線回折パターンを示す説明図、(c)は比較例2のターゲット材表面のX線回折パターンを示す説明図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
(ターゲット材の組成)
この実施の形態におけるスパッタリングターゲット材は、Ag(銀)を含有し、残部がCu(銅)及び不可避的不純物からなる銅合金を基本組成成分としている。Cu及びAg以外の他の元素を含有させる必要はない。このCuとして望ましいものは、4N(99.99%)以上のOFC(無酸素銅)である。一方のAgは、結晶組織制御を行うために用いるものである。形成される膜の抵抗率が無酸素銅の抵抗率と同等に得られるように、Agを微量に添加することが好ましい。このAgの添加量としては、0.02〜0.2質量%(200〜2000ppm)の範囲が好適である。
(ターゲット材の製作)
このスパッタリングターゲット材は、特に限定されるものではないが、例えば液晶パネルのTFTアレイ基板に配線膜や電極膜を形成する際に好適に使用される。一般的には鋳造→熱間圧延→冷間圧延→熱処理→仕上げ圧延の各工程を経てスパッタリングターゲット材を製造することができる。
この実施の形態では、スパッタリングターゲット材の製造工程のうち、冷間圧延は、結晶粒径を微細化するために実施するものである。この冷間圧延の加工度を、例えば40%〜70%に調整することが望ましい。この加工度を限定した理由は、平均結晶粒径が30μm以上100μm以下の範囲の結晶組織となり、エロージョン部分の粗さ(Ra)が3.0程度に抑えられるからである。冷間圧延の加工度を高めることで、エロージョン部分の凹凸が小さくなり、滑らかな表面が得られるとともに、異常放電を抑制することが可能となる。
一方、熱処埋は圧延組織を再結晶させるためのものであり、熱処理温度が高い程、再結晶の粒径は大きくなる。この熱処埋の温度としては、例えば300〜400°Cの温度範囲で実施することが好ましい。400°Cを超える温度で実施すると、結晶粒が粗大化し、300°Cより低いと、再結晶が得られないので好ましくない。
(ターゲット材の結晶組織)
この実施の形態においてスパッタリングターゲット材の主要な構成とするところは、Cu及びAg以外の他の元素を含有させることなく、Cuに対するAgの含有量を規定することで、結晶粒径を揃える構成にある。これにより、スパッタリング法による配線膜形成において、スパッタリングによる異常放電の抑制と成膜の高速化とを両立させることが可能となる。
異常放電抑制のための結晶粒径の微細化を得るために冷間圧延の加工度を高くすると、スパッタ速度を低下させる結晶面方位の配向組織となるのが一般的である。しかしながら、この実施の形態の主要な成分であるAgを0.02〜0.2質量%(200〜2000ppm)の範囲でCuに添加すれば、冷間圧延の加工度を高めても、スパッタ速度を低下させる(111)面配向の減少と(220)面配向の増加とを効果的に抑制することができるようになり、結晶組織の制御が有効となる。
つまり、CuにAgを0.02〜0.2質量%(200〜2000ppm)の範囲で添加することで、(111)面が多く存在し、(220)面が少なく存在するという独自の結晶面配向状態を有することが可能になり、(220)面の配向比率と(111)面の配向比率との比(220)/(111)を5.0程度に抑えることができる。これにより、冷間圧延の加工度を高めても、高速の成膜速度が得られる。この理由は、圧延後の熱処理による再結晶で、結晶中のAgが(220)面から(111)面への配向の変化を促進しているからであると考えられる。
スパッタリングターゲット材の結晶面の配向は、例えばX線回折により求められた回折ピーク強度比を用いることで確認することができる。ここで、(220)面の配向比率と、(111)面の配向比率との計算方法は、各ピーク強度の測定値をそれぞれの相対強度比(JCPDSカードのNo.カード番号40836に記載された値)で除した値を求め、これらの値の合計を分母とした各値の比率を各結晶面の配向比率とする。
ターゲット表面の結晶面の配向としては、ターゲット表面の面方位をX線回折法で測定した際に、X線回折のピーク強度で(220)面の配向比率と(111)面の配向比率との比(220)/(111)が6以下であることが好適である。この結晶面方位の(220)/(111)比としては、ターゲット表面全体としてのバラツキを示す標準偏差が10以内とされることが好ましい。これにより、スパッタ速度(成膜速度)を速くすることが可能となる。
(実施の形態の効果)
上記実施の形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)Agの微量添加ではCuの抵抗率の上昇は少なく、形成される配線膜に必要な低抵抗率が得られる。スパッタリングにおいても、ターゲットの抵抗は純Cuなみに低く、速やかに安定した放電が実施できる。
(2)結晶粒径の微細化を得るために圧延加工度を40%〜70%の範囲に規定することで、エロージョン部分の凹凸が小さくなり、滑らかな表面が得られるとともに、異常放電を抑制することが可能となる。
(3)Agの微量添加によりスパッタ速度を低下させる(111)面配向の減少と(220)面配向の増加とを抑制することができるようになる。その結果、スパッタ速度を速めることが可能となり、高速成膜化による製造コストの低減が可能となる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その実施の形態から当業者が容易に変更可能な技術的範囲をも当然に包含するものである。
以下に、本発明の更に具体的な実施の形態として、実施例及び比較例を挙げて詳細に説明する。なお、この実施例は、上記実施の形態であるターゲット材の典型的な一例を挙げており、本発明は、これらの実施例及び比較例に限定されるものではないことは勿論である。
実施例1〜3、及び比較例1,2の5種類のターゲット材を以下に詳述する条件で製造し、得られたターゲット材について比較を行った。表1に、実施例1〜3、及び比較例1,2のターゲット材の組成、冷間加工度、平均結晶粒径、(220)/(111)配向比、エロージョン部分の粗さ、成膜速度、及び膜抵抗率の測定結果をまとめて示す。
[実施例1]
(ターゲット材の製作)
実施例1のターゲット材を製造するために、Agを含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる4NのOFCを溶解鋳造し、熱間圧延及び冷間圧延を施し、更に熱処理を行い、最終形状に仕上げ圧延を行うことで、Agを200ppm添加した4NのOFCベースのターゲット材(150mm幅×20mm厚×2m長)を製作した。
このとき、冷間圧延の加工度を50%程度とし、熱処埋は、300〜400°Cの温度範囲で実施した。得られた4NのOFCターゲット材を切り出して、直径100mm、厚さ5mmのスパッタ実験装置用ターゲット材(以下、「OFCターゲット材」という。)のサンプルとした。
[実施例2]
実施例2において製作したOFCターゲット材については、Agを500ppm添加した以外は、上記実施例1と同様の製法及び条件で製作した。
[実施例3]
実施例3において製作したOFCターゲット材については、Agを2000ppm添加した以外は、上記実施例1と同様の製法及び条件で製作した。
[比較例1]
比較例1において製作したOFCターゲット材については、上記実施例1と同様の製法で、Ag無添加のOFCターゲット材を製作した。このとき、冷間圧延の加工度を50%程度にまで高めて、300〜400°Cの温度で熱処理した。
[比較例2]
比較例2において製作したOFCターゲット材については、上記実施例1と同様の製法で、Ag無添加のOFCターゲット材を製作した。このとき、冷間圧延の加工度を20%程度に抑えて、300〜400°Cの温度で熱処理した。
(結晶面の配向度の測定)
実施例1〜3、及び比較例1,2のOFCターゲット材における結晶面の配向度の測定にあたっては、X線回折装置((株)リガク社製)を用いて、X線回折(2θ法)により、任意の角度の範囲でX線回折強度を測定した。
図1(a)に実施例1のOFCターゲット材表面(スパッタ面)のX線回折測定の結果を、図1(b)及び(c)に比較例1及び2のOFCターゲット材表面のX線回折測定の結果をそれぞれ示している。これらの図において、縦軸はX線強度(count per second:cps)であり、横軸は回折角2θ(°)である。
実施例1〜3、及び比較例1,2における5種類のOFCターゲット材の表面(スパッタ面)を研磨してX線回折を測定し、上記比率の計算方法により(220)/(111)配向比を求めた。このとき、バルク状のOFCターゲット材表面のX線回折ピーク強度の比率は、粉末サンプルとは異なり、バラツキが大きいので、複数の表面箇所を測定し、(220)/(111)配向比の平均値を求めた。
(結晶組織の評価)
図1(a)及び表1から明らかなように、実施例1におけるAg含有のOFCターゲット材では、平均結晶粒径が30μmに微細化していた。(220)/(111)配向比は、6以下であり、(220)面の配向は少なかった。実施例2及び3におけるAg含有のOFCターゲット材にあっても、平均結晶粒径、及び(220)/(111)配向比は、実施例1と同様に、初期の目的とする規定範囲を満足するものであった。
図1(b)及び表1から明らかなように、比較例1におけるAg無添加のOFCターゲット材は、冷間圧延の加工度を高めることで平均結晶粒径を30μmに微細化したが、(220)/(111)配向比は13.3であり、(220)面の配向は多かった。比較例1のOFCターゲット材では、(220)/(111)配向比が初期の目的とする規定範囲から外れていた。
図1(c)及び表1から明らかなように、比較例2におけるAg無添加のOFCターゲット材では、上記実施例1〜3と同様に、(220)/(111)配向比は6以下であり、(220)面の配向は少なかったが、平均結晶粒径が100μmに粗大化しており、平均結晶粒径が初期の目的とする規定範囲から外れていた。
(エロージョン部分の粗さ測定)
実験用のスパッタ装置(ULVAC製SH−350)を用いて、長時間のスパッタリングによるエロージョン部分の粗さ(Ra)を評価した。スパッタリング条件は、プロセスガス:Ar、スパッタリング時の圧力:0.5Pa、放電パワー:2kWとし、直流電源を用いたDCスパッタにより、スパッタリングを80分間実施した。粗さの測定は、接触式粗さ測定装置((株)東京精密製の サーフコム1800D/DH)を用いた。測定長が1.25mmの条件でエロージョン部分の算術平均粗さ(Ra)を測定した。
(エロージョン部分の粗さ評価)
表1から明らかなように、実施例1〜3において製作したOFCターゲット材のエロージョン部分の粗さは、平均結晶粒径が小さいので、3.4又は3.5μmであり、滑らかであった。これらのOFCターゲット材は、初期の目的とする規定範囲を満足するものであった。
表1から明らかなように、比較例1において製作したOFCターゲット材のエロージョン部分の粗さは、平均結晶粒径が30μmと小さいので、3.6μmとなり、滑らかであった。
表1から明らかなように、比較例2において製作したOFCターゲット材のエロージョン部分の粗さは、6.5μmであった。エロージョン部分の粗さは実施例1〜3及び比較例1のエロージョン部分の粗さよりも非常に粗くなり、初期の目的とする規定範囲から外れていた。
ここで、本件発明者等は、これまでの研究から、エロージョン部分の粗さは、結晶粒径が大きい程、粗くなるということは分かっている。粗さと異常放電の頻度との関係は、スパッタリングの条件や累計時間も影響し、定量的には分かっていないが、これまでの多数にわたる評価結果から、結晶粒径が100μmを超えると、異常放電が発生し易いということが分かっている。従って、上記比較例2におけるAg無添加のOFCターゲット材の平均結晶粒径は、異常放電を抑制し得るという上限の条件である。
(成膜速度、及び膜抵抗率の測定)
実施例1〜3、及び比較例1,2のOFCターゲット材によるスパッタ膜の成膜速度と膜抵抗率とを測定した。スパッタ成膜条件は、プロセスガス:Ar、スパッタリング時の圧力:0.5Pa、放電パワー:2kWとし、DCスパッタによりガラス基板上に3分間スパッタ成膜した。成膜速度は、レーザー顕微鏡(KEYENCE社製のVK−8700)を用いて膜厚を測定し、測定した膜厚値を成膜時間(3分間)で除して算出した。膜抵抗率は、パウ法により測定した。
(成膜速度、及び膜抵抗率の評価)
表1から明らかなように、実施例1〜3のOFCターゲット材では、Agを微量添加し、(220)/(111)配向比を6以下に低くしたので、成膜速度が103〜107nm/minと速かった。膜抵抗率は、2.0〜2.1μΩcmであった。これらのOFCターゲット材の成膜速度、及び膜抵抗率は、初期の目的とする規定範囲を満足するものであった。
表1から明らかなように、比較例1のOFCターゲット材では、膜抵抗率は、上記実施例1と同様に、2.0μΩcmであった。しかしながら、成膜速度は、82nm/minであり、実施例1〜3及び比較例2の成膜速度よりも遅かった。
表1から明らかなように、比較例2のOFCターゲット材では、膜抵抗率は、上記実施例1と同様に、2.0μΩcmであった。成膜速度は、105nm/minであり、比較例1よりも速かった。
これらの結果から、鋳造・圧延プロセスによるCuスパッタリングターゲット材において、異常放電を抑制するために、冷間圧延の加工度を高めることで結晶粒を微細化すると、ターゲット表面は、(111)面配向が少なく、(220)面配向が多くなるので、成膜速度を低下させる配向組織となり、異常放電抑制と高速成膜との両立が難しいことが分かった。
実施例1〜3のOFCターゲット材によれば、Agを微量添加しているので、冷間圧延の加工度を高めても、(111)面配向の減少と(220)面配向の増加とを抑制することができるようになり、異常放電抑制と高速成膜との両立が可能となるということが理解できる。
実施例1〜3のOFCターゲット材のいずれかを用いて、例えば液晶パネルのTFTアレイ基板にスパッタリング法による配線膜形成を行う場合、異常放電の抑制による歩留りの向上と、高速成膜による製造コストの低減とが可能となる。更には、Agの微量添加により純Cuの抵抗率と膜抵抗率はほとんど変わらず、形成される配線膜に必要な膜抵抗率が得られる。
比較例1のOFCターゲット材では、(220)/(111)配向比、及び成膜速度が初期の目的とする規定範囲から外れており、一方の比較例2のOFCターゲット材では、エロージョン部分の粗さが非常に粗くなっている。これらの比較例1及び2のOFCターゲット材では、総合的にみて、満足するものは得られない。
Figure 0005491845

Claims (2)

  1. 4N(99.99%)以上の無酸素銅に銀を200〜2000ppm添加したスパッタリングターゲット材であって、
    スパッタリング面のX線回折のピーク強度測定により求められた(220)面の配向比率及び(111)面の配向比率との比(220)/(111)が6以下であり、その値のバラツキを示す標準偏差が10以内であると共に、平均結晶粒径が30〜100μmであることを特徴とするスパッタリングターゲット材。
  2. 鋳造及び圧延により製造されたものであることを特徴とする請求項に記載のスパッタリングターゲット材。
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