JP5490268B2 - 燃料電池システムおよびその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、直接酸化型燃料電池等の燃料電池と二次電池を具備する燃料電池システムに関し、さらに詳しくは、二次電池の残存容量に基づいて燃料電池の運転状態を切り替える燃料電池システムのハイブリッド制御に関する。
燃料電池は、使用される電解質の種類によって、高分子電解質型燃料電池、リン酸型燃料電池、アルカリ型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、及び固体酸化物型燃料電池等に分類される。なかでも高分子電解質型燃料電池(PEFC:polymer electrolyte fuel cell)は、作動温度が低く、かつ出力密度が高いことから、車載用電源、及び家庭用コージェネレーションシステム用電源等として実用化されつつある。
また、近年、燃料電池を、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話、及び携帯情報端末(PDA:personal digital assistance(assistant))等の携帯小型電子機器の電源として使用することが検討されている。燃料電池は燃料を補充することで連続的に発電することが可能であることから、燃料電池を充電が必要な二次電池の代わりに用いることで、携帯小型電子機器の利便性を向上させ得るものと期待されている。また、上述したとおり、PEFCは作動温度が低い点でも、携帯小型電子機器用の電源として有利である。キャンプなどのアウトドアレジャー用途の電源として燃料電池を実用化する動きも進んでいる。
PEFCのなかでも直接酸化型燃料電池(DOFC:Direct Oxidation Fuel Cell)は、常温で液体の燃料を使用し、その燃料を水素に改質することなく、直接的に酸化して電気エネルギを取り出す。このため、直接酸化型燃料電池は、改質器を備える必要がなく、小型化が容易である。直接酸化型燃料電池のなかでも、燃料としてメタノールを用いる直接メタノール型燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)は、エネルギ効率及び発電出力が他の直接酸化型燃料電池よりも優れており、携帯小型電子機器用の電源として、最も有望視されている。
DMFCのアノード及びカソードでの反応を、下記反応式(11)及び(12)にそれぞれ示す。カソードに導入される酸素は、一般に、大気中から取り入れられる。
アノード: CH3OH+H2O→CO2+6H++6e- …(11)
カソード: (3/2)O2+6H++6e-→3H2O …(12)
DMFC等の固体高分子型燃料電池は、一般に、複数のセルを積層して構成される。各セルは、高分子電解質膜と、高分子電解質膜を間に挟むように配されたアノード及びカソードとを含んでいる。アノード及びカソードは、ともに触媒層及び拡散層を含んでおり、例えばDMFCのアノードには、燃料であるメタノールが供給され、カソードには酸化剤である空気が供給される。
アノードに燃料を供給する燃料流路は、例えば、アノード拡散層と接するように配されるアノード側セパレータのアノードとの接触面に、蛇行する溝を形成して構成される。同様に、カソードに空気を供給する空気流路は、例えば、カソード拡散層と接するように配されるカソード側セパレータのカソードとの接触面に、蛇行する溝を形成して構成される。
現在、DMFC等の直接酸化型燃料電池において解決すべき技術的課題としては、アノードに供給された燃料(例えばメタノール)が高分子電解質膜を透過し、カソードに到達して、酸化される現象を抑制することが挙げられる。上記現象は、メタノールクロスオーバー(MCO)と呼ばれ、燃料の利用効率を低下させる原因となっている。さらに、MCOに伴うカソードでの燃料の酸化反応は、カソードで通常生じる酸化剤(酸素)の還元反応と競合し、カソードの電位を低下させる。このため、MCOは、発電電圧の低下、及び発電効率の低下の原因ともなっている。
燃料電池には、反応物質を外部から供給する必要がある。そのため、急激に負荷が変動するような用途に対しては、燃料電池を二次電池やキャパシタなどの蓄電装置とハイブリッド化してシステムを構成することが一般的である。そして、そのような蓄電装置に使用する二次電池は、エネルギ密度の大きな二次電池、具体的にはニッケルカドミウム二次電池、ニッケル水素二次電池、およびリチウムイオン二次電池が好ましい。特にリチウムイオン二次電池は、最もエネルギ密度が高く、長期保存性も高いことから、携帯機器用の燃料電池システムの蓄電装置として最も有望である。ただし、これらの二次電池は、適切な残存容量範囲を外れた過充電状態または過放電状態になると、劣化が顕著になりやすいので、適切な残存容量範囲で充放電することが望ましい。
そこで、特許文献1は、二次電池の容量を検知し、その検出値に基づいて燃料電池の出力指令値を設定することで、二次電池を適切な残存容量範囲で充放電することを提案している。この方法では、二次電池の容量に応じて、燃料電池の出力指令値が設定されるとともに、燃料電池の起動および停止が指示される。
しかしながら、特許文献1の方法では、負荷の消費電力の変動にともなって、頻繁に燃料電池の起動と停止を繰り返したり、出力電力を変化させたりすることがあり得る。そのような場合には、燃料電池の発電効率は低下するので、必ずしも優れた方策とはいえない。特に、出力変動による発電効率の低下は、燃料のクロスオーバーが起りやすい直接酸化型燃料電池において顕著である。出力電力を変化させると、燃料電池の発電電流と燃料の供給量との間に一時的なアンバランスが生じる。直接酸化型燃料電池では、そのアンバランスにより燃料のクロスオーバー量が増大する。
さらに、燃料ストイキオ比が大きくなるほどに、燃料のクロスオーバー量は増大する。つまり、燃料の供給量が必要量に比べて過剰であると、アノードと高分子電解質膜との界面での燃料濃度が増加して、電解質膜内部の濃度勾配が大きくなる。その結果、電解質膜内の燃料の拡散速度が増加して、燃料のクロスオーバー量は増大する。ここで、燃料ストイキオ比とは、例えば上記の式(11)を使用して計算される、発電電流に相当する燃料量Ftと、実際の燃料供給量Frとの比:Fr/Ft、により表される化学量論比である。ただし、燃料ストイキオ比を極端に小さくすると、燃料電池の電極内部での燃料濃度の低下が顕著になり、濃度過電圧によって燃料電池の発電電圧が低下し、出力も低下する。よって、高い発電効率を得るためには、燃料ストイキオ比を適切に設定する必要がある。
以上のように、燃料電池の出力を調節するためには、まず、燃料電池の出力電流を、目標とする出力電力を得ることができるように調節する必要性がある。次に、その出力電流に、予め設定された燃料ストイキオ比を乗じることで、燃料供給量の設定値を決定し、その設定値と一致するように燃料供給量を調節する必要性がある。このとき、発電電流および燃料供給量の変更は瞬時に実行されるのに対して、実際の燃料電池の電極内部の燃料濃度の変化には時間的な遅れが生じる。
例えば、燃料電池の出力電力を減少させる場合に、出力電流と燃料供給量とを同時に減少させたとしても、アノードに燃料を供給する燃料供給路やアノードの拡散層には燃料の蓄積がある。その結果、実際の燃料消費量に比べて燃料が過剰となり、アノードと電解質膜との界面で燃料濃度が上昇する。結果として、燃料のクロスオーバー量が増加する。
逆に、燃料電池の出力電力を増加させる場合には、燃料不足による濃度過電圧が増加する。これを防止するためには、予め燃料供給量を増加させた後で、出力電流を増加させる必要性がある。出力電力の増加にはタイムラグがあり、その間は、アノードに燃料が過剰に供給されるために、燃料のクロスオーバー量が増加する。
特許文献2は、上記のような出力可変制御の過渡状態での発電効率の低下を抑制するために、限られた数の発電モードの間でだけ燃料電池の出力電力を切り替えることを提案している。より具体的には、燃料電池の出力電力を、二次電池の残存容量に応じて、発電量が異なる複数の発電モードの間で切り替えている。これにより、燃料電池の出力電力の切り替え頻度を低減することが可能となり、燃料電池の発電効率を高く維持しながら、二次電池の寿命を伸長させることが期待される。
特許文献3は、負荷に電力を供給しながら、燃料電池システムの二次電池の劣化状態を正確に把握するための技術を提案している。すなわち、外部負荷の消費電力が燃料電池の出力電力よりも小さいときに、所定の期間だけ二次電池の充放電を停止し、その状態で二次電池の開回路電圧(OCV:Open-Circuit Voltage)を測定する。そして、その測定値に基づいて、二次電池の劣化を正確に検出しようとしている。
特開2002−34171号公報 特開2005−38791号公報 特開2003−132960号公報
しかしながら、特許文献3に記載の技術では、あらゆる使用状況にも対応して二次電池の劣化を正確に把握できるとはいえない。つまり、特許文献3の提案では、外部負荷の消費電力が、燃料電池の出力電力以下である所定電力未満であるときにのみ、二次電池の電圧が測定される。ところが、負荷機器の種類および使用状態によっては、消費電力が、数秒〜数100秒にわたって、上記の所定電力未満とならないことがあり得る。そのような場合には、長期間にわたって二次電池の電圧を測定することができずに、その間に二次電池の劣化が進展してしまうことも考えられる。
また、特許文献3においては、二次電池の劣化状態を把握するために、OCV値から計測された残存容量値と、リフレッシュ充電後の放電電気量から計測される残存容量値との差分を計算することで、二次電池の劣化状態を把握している。ところが、この方法では、OCVを計測する手段と、放電電気量を計測する手段という二つの異なる計測手段を導入する必要性が生じる。さらに、二次電池を定期的にリフレッシュ充電する必要性が生じるために、制御システムが複雑になり、コストアップの原因となることも考えられる。
さらに、二次電池は、劣化の進行に伴って、内部抵抗が増大する。このため、燃料電池の出力電力を二次電池の残存容量に応じて複数の発電モードの間で切り替えるものとしても、劣化していない初期の二次電池と同じ条件で発電モードを切り替えると、劣化が進行した二次電池では、その劣化をさらに加速してしまうことがあり得る。
そこで、本発明は、高い発電効率で燃料電池を発電させることができるとともに、二次電池の劣化を抑えることができる、燃料電池システムの制御方法を提供することを目的とする。
本発明の一局面は、燃料電池と、二次電池とを備えた燃料電池システムで、前記燃料電池の出力電力を可変制御する制御方法であって、
(i)負荷に供給している電力量と前記出力電力とに応じて、前記二次電池を、前記出力電力により充電し、または、放電する工程、
(ii)前記二次電池の残存容量CRを検出する工程、
(iii)前記残存容量CRに応じて前記出力電力を段階的に切り替える工程、
(iv)前記二次電池の充放電サイクル数を検出する工程、および
(v)前記充放電サイクル数の検出値に基づいて、前記出力電力を切り替えるときの条件を補正する工程、を含む燃料電池システムの制御方法、に関する。
本発明の他の一局面は、燃料電池と、二次電池とを備えた燃料電池システムで、前記燃料電池の出力電力を可変制御する制御方法であって、
(i)負荷に供給している電力量と前記出力電力とに応じて、前記二次電池を、前記出力電力により充電し、または、放電する工程、
(ii)前記二次電池の残存容量CRを検出する工程、
(iii)前記残存容量CRと少なくとも1つの基準値RVとを比較し、その比較結果に基づいて、あらかじめ設定された、前記出力電力が異なる前記燃料電池の複数の発電モードの中の1つを選択する工程、および
(iv)前記発電モードが切り替えられた回数に基づいて、前記充放電サイクル数を検出する工程、を含む、燃料電池システムの制御方法、に関する。
本発明のさらに他の一局面は、燃料電池と、二次電池とを備え、前記燃料電池の出力電力を可変制御する燃料電池システムであって、
負荷に供給している電力量と前記二次電池の出力電力とに応じて、前記二次電池を、前記出力電力により充電し、または、放電する手段、
前記二次電池の残存容量CRを検出する手段、
前記残存容量CRに応じて前記燃料電池の出力電力を段階的に切り替える手段、
前記二次電池の充放電サイクル数を検出する手段、および
前記充放電サイクル数の検出値に基づいて、前記出力電力を切り替えるときの条件を補正する手段、を備えた燃料電池システム、に関する。
本発明によれば、燃料電池の出力電力を段階的に切り替えることで、出力電力の変動を抑えて、高い発電効率で燃料電池を発電させることができる。一方、二次電池の充放電サイクル数を検出し、その検出値に基づいて、出力電圧を切り替えるときの条件を補正することで、二次電池の劣化の進行の程度を考慮して、燃料電池の出力電圧、あるいは二次電池の充電電流を調節することができる。これにより、劣化がある程度進行している二次電池において、劣化が加速されるのを防止することができ、二次電池の劣化を抑制することが可能となる。
さらに、燃料電池の発電モードの切り替え回数により二次電池の充放電サイクル数を検出し、それに基づいて二次電池の寿命情報を生成し、出力することで、使用者に、例えば適切な時期の二次電池の交換を促すことができる。これにより、燃料電池システムが突然に動作不能となるような不都合を防止することが可能となり、燃料電池システムの信頼性を向上させることも可能となる。
本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。 上記の燃料電池システムに含まれる燃料電池の要部を拡大した断面図である。 上記の燃料電池の電流と電圧との関係および電流と出力との関係を示すグラフである。 上記の燃料電池システムの一例で発電モードを切り替えるときの残存容量についての基準値と、充放電サイクル数との関係を示すグラフである。 上記の燃料電池システムの他の一例で発電モードを切り替えるときの残存容量についての基準値と、充放電サイクル数との関係を示すグラフである。 基準値補正処理のフローチャートである。 本発明の実施例における負荷パターンを示すグラフである。 本発明の実施例および比較例の充放電サイクル数と容量維持率との関係を示すグラフである。 本発明の実施例および比較例の充放電の1サイクル目の残存容量の変化を示すグラフである。 本発明の実施例および比較例の充放電の801サイクル目の残存容量の変化を示すグラフである。
本発明は、燃料電池と、二次電池とを備えた燃料電池システムで、燃料電池の発電量を可変制御する制御方法に関する。本制御方法においては、(i)負荷に供給している電力量と二次電池の出力電力とに応じて、二次電池を燃料電池の出力電力により充電し、または、放電する工程、が行われる。これにより、例えば負荷機器の消費電力が減少して、燃料電池の出力電力よりも小さくなると、余剰の電力を二次電池に蓄電することが可能となる。一方、負荷機器の消費電力が増大して、燃料電池の出力電力よりも大きくなると、二次電池が放電され、不足の電力が補われる。以上により、負荷機器が必要とする電力を安定的に供給することができるとともに、燃料電池の出力電力を、負荷機器の消費電力の変動に即応して切り替える必要性がなくなる。よって、運転状態の切り替えに伴う様々な弊害(例えば、クロスオーバー量の増大、発電効率の低下)を抑制することができる。
さらに、本制御方法においては、(ii)二次電池の残存容量CRを検出する工程、および(iii)残存容量CRに応じて燃料電池の出力電力を段階的に切り替える工程、が実行される。これにより、常に適量の電力を二次電池に蓄えておくことが可能となり、より安定的に負荷に電力を供給することが可能となる。また、連続的にではなく燃料電池の出力電力を段階的に切り替えることで、出力電力が頻繁に切り替えられるのを防止することができる。これにより、より確実に、発電効率の低下を抑えることができる。
さらに、本制御方法においては、(iv)二次電池の充放電サイクル数を検出する工程、および(v)充放電サイクル数の検出値に基づいて、燃料電池の出力電力を切り替えるときの条件を補正する工程が行われる。以下、この点を詳しく説明する。
二次電池は、一般に、充放電サイクル数が増大すると劣化が進行し、内部抵抗が増大する。そして、二次電池の内部抵抗が増大し、かつ充電状態(SOC:State of Charage)が高いときに二次電池を大きな電流で充電すると、二次電池の劣化がさらに促進される。したがって、二次電池の劣化を抑えて長寿命化を図るためには、二次電池の劣化の進行に伴って、二次電池の充電深度が大きいときの充電電流を抑えるようにするのが好ましい。言い換えれば、二次電池の劣化の進行に伴って、二次電池の満充電状態に近い残存容量の領域(以下、高充電領域ともいう)では、充電電流は低めに設定するのが好ましい。
以上の理由で、本制御方法においては、残存容量CRに応じて燃料電池の出力電力を可変制御するときに、二次電池の充放電サイクル数を検出し、その検出値に応じて、燃料電池の出力電力を切り替えるときの条件を補正している。これにより、例えば、充放電サイクル数の検出値から二次電池のある程度の劣化が推定される状況では、より低い充電状態で充電電流を小さくするように燃料電池の出力電力を切り替えるといった運用が可能となる。これにより、高充電領域では、二次電池が大きな電流で充電されるのを防止することができ、二次電池の劣化を抑えることが可能となる。そして、高充電領域では、二次電池に比較的大きな電力量が蓄えられており、燃料電池の出力電力を小さくしても、負荷に供給すべき電力が不足する事態にはなりにくいので、このような制御には合理性がある。
一方、二次電池の充放電サイクル数が比較的小さい間は、高充電領域で二次電池を大電流で充電しても劣化が加速され難いので、満充電状態に比較的近い状態まで二次電池を比較的に大きな電流で充電する。これにより、二次電池を急速に満充電状態まで充電することが可能となり、負荷機器が要求する電力をより安定的に供給することが可能となる。
なお、本制御方法が適用される燃料電池および二次電池の種類は特に限定されない。二次電池の劣化が進んだときに高充電領域での充電電流を小さくすることで、各種二次電池を長寿命化することが可能である。しかしながら、燃料電池の発電効率を向上させるという観点では、燃料のクロスオーバーが発電効率に大きく影響する燃料電池、例えば、直接酸化型燃料電池に対しては、特に大きなエネルギ変換効率の改善効果が得られる。また、劣化に伴って内部抵抗が増大しやすいリチウムイオン二次電池に対して、より長寿命化の効果を発揮しやすくなる。
以上の理由により、本制御方法は、直接酸化型燃料電池(特に、直接メタノール型燃料電池)と、リチウムイオン二次電池とを具備する燃料電池システムに対して、より顕著な効果を達成し得る。なお、二次電池に、鉛蓄電池等の低コストの二次電池を使用して、システムを低コスト化することもできる。二次電池の数は1個だけでもよく、複数でもよい。例えば複数の二次電池を並列接続した高容量の組電池(電池群)を用いてもよく、更に複数の二次電池、あるいは並列接続された電池群を直列接続した高電圧の組電池を用いてもよい。
本発明の一形態においては、上記の工程(iii)は、残存容量CRと少なくとも1つの基準値RVとを比較すること、および、その比較結果に基づいて、あらかじめ設定された、出力電力が異なる燃料電池の複数の発電モードの1つを選択すること、を含む。このとき、上記の工程(v)は、充放電サイクル数の検出値に基づいて、少なくとも1つの基準値RVを補正することを含む。
以上のように、残存容量CRと、少なくとも1つの基準値RVとの比較結果に基づいて、予め設定された複数の発電モードの1つが選択され、その基準値RVが、二次電池の充放電サイクル数に基づいて補正される。これにより、二次電池の劣化の程度に応じて、燃料電池の発電モードを切り替えるときの二次電池の残存容量CRに関する条件を変更することが可能となる。
そして、発電モードの選択は、残存容量CRが減少するのに伴って、出力電力がより大きな発電モードを選択するのが好ましい。これにより、残存容量CRが小さい低充電領域では、二次電池を大電流で充電し、残存容量CRが大きい高充電領域では、二次電池を小電流で充電することができる。これにより、負荷への電力供給の安定化と、二次電池の劣化抑制とを両立し得る。
ここで、二次電池の充放電サイクル数は、燃料電池の発電モードの切り替え回数に基づいて検出するのが好ましい。これにより、特別の充放電サイクル数検出機構を設けることなく、二次電池の充放電サイクル数を検出することが可能となる。また、発電モードの切り替えは、基準値RVをまたぐような残存容量CRの変動が生じたときに実行される。そして、基準値RVは、残存容量CRと充電電流の大きさが二次電池の劣化に与える影響との関係を考慮して設定することができる。したがって、発電モードの切り替え回数に基づいて二次電池の充放電サイクル数を検出することで、二次電池の劣化との関連性がより高い態様で、充放電サイクル数を検出することができる。
なお、二次電池の劣化速度は、充放電サイクル数のみに依存するものではなく、燃料電池システムの環境温度および環境湿度、およびシステムの稼働初期からの経過時間(以下、稼働時間という)にも依存する。よって、上記の環境温度、環境湿度および稼働時間を監視し、その監視結果に応じて、充放電サイクル数の検出値から推定した二次電池の劣化度(例えば、内部抵抗の増加度)を補正することで、二次電池の劣化の程度をより正確に知ることが可能となる。これにより、より適切に、基準値RV等を補正することが可能となる。
より具体的には、燃料電池システムにタイマー、温度センサおよび湿度センサを搭載する。そして、一般に、二次電池の環境温度および環境湿度が高くなるほどに二次電池の劣化速度が大きくなることから、あらかじめ、いくつかの温度領域および湿度領域を設定し、温度領域毎および湿度領域毎に、システムの稼働初期からの経過時間(あるいは、充放電実行時間と放置時間と)を積算する。さらに、温度領域毎および湿度領域毎の劣化加速係数(常温(例えば20℃)、常湿(例えば65%)での劣化速度を基準とする係数)をあらかじめ求めておき、温度領域毎および湿度領域毎の各積算時間に、その係数を乗算する。これにより、二次電池の環境温度および環境湿度による劣化への影響を反映させて二次電池の稼働時間を求めることができ、その稼働時間に応じた補正値を求めることができる。そして、求められた補正値を、充放電サイクル数に基づいて求められる劣化度に加算することで、システムの稼働時間、環境温度および環境湿度を考慮した二次電池の劣化度を求めることができる。
さらに、充放電の繰り返しに起因する二次電池の劣化の程度(以下、単にサイクル劣化度ともいう)自体も、環境温度および環境湿度の影響を受ける。したがって、1サイクルあたりに増大すると考えられる劣化度(つまり、サイクル劣化速度)を、環境温度および環境湿度に応じて補正し、それを1サイクル毎に加算することで、充放電サイクル数に基づいて、より正確に二次電池のサイクル劣化度を求めることができる。
さらに、本発明の好ましい形態の制御方法においては、少なくとも1つの基準値RVとして、互いに異なる2以上の基準値RV1、RV2、…、RVn(ただし、RV1>RV2>…>RVn)が設定される。これにより、よりきめ細かい燃料電池の出力電力の設定が可能となり、電力供給の安定化と、二次電池の劣化抑制とを、より適切な態様でバランスさせることができる。
このとき、残存容量CRがRV1以上の値からRV1未満の値に移行した回数、並びに、残存容量CRがRVn未満の値からRVn以上の値に移行した回数に基づいて、充放電サイクル数を検出するのが好ましい。そのような回数に基づいて充放電サイクル数を検出することで、満充電状態に近い状態から完全放電状態に近い状態まで放電されたときと、完全放電状態に近い状態から満充電状態に近い状態まで充電されたときとを1セットとして、充放電サイクル数を係数することが可能となる。よって、充放電サイクル数の検出値に、より正確に二次電池のサイクル劣化度を反映させることが可能となる。
残存容量CRは、二次電池の電圧に基づいて検出するのが好ましい。これにより、簡易に残存容量CRを検出することができ、システムの簡素化および低コスト化を図ることができる。なお、残存容量CRは、例えば満充電状態からの放電電気量および充電電気量を積算するような方法によっても検出することができる。
ここで、二次電池として、複数の二次電池が並列接続および/または直列接続された電池群もしくは組電池を使用する場合には、個々の二次電池の電圧を測定することで、個々の二次電池の残存容量CRを求め、それらを合算してもよい。あるいは、電池群もしくは組電池全体の電圧を測定し、それにより残存容量CRを求めてもよい。
残存容量CRを二次電池の電圧に基づいて検出する場合には、二次電池と並列接続したキャパシタの電圧を検出し、それに基づいて、二次電池の電圧を検出するのが好ましい。そのようなキャパシタの電圧は、一定時間の平均的な二次電池の電圧を示す。よって、一時的な電圧変動の影響が排除されるので、二次電池の電圧に基づいて、より正確に残存容量CRを求めることができる。その結果、例えば二次電池の電圧が一時的に大きく変動しても、それにより発電モードの切り替えが実行されるのを避けることができ、発電モードが無意味に切り替わるのを抑制することができる。よって、発電モードの切り替えに伴う効率低下等の弊害を最小限度に抑えながら、より適切に二次電池の蓄電量を調節することが可能となる。
さらに、本発明の燃料電池システムの制御方法は、燃料電池の発電モードを切り替えるときの条件を補正するか否かに関わりなく、その切り替えの回数に基づいて、充放電サイクル数を検出または推定する形態を取り得る。これにより、簡易に二次電池の充放電サイクル数を知ることが可能となる。
本発明の他の好ましい形態の燃料電池システムの制御方法は、充放サイクル数の検出値または推定値に基づいて、二次電池の寿命情報を生成し、出力する工程、をさらに含む。燃料電池システムの二次電池が寿命に達すると、適切な量の電力を二次電池に備蓄しておくことが困難となり、負荷機器に安定的に電力を供給することが困難となる。本形態によれば、二次電池の寿命に関する情報を出力することで、ユーザが二次電池の交換等に備えることが可能となり、燃料電池システムの信頼性を向上させることができる。
ここで、寿命情報の出力は、燃料電池システム、あるいは負荷機器のユーザーインターフェースを介して実行することができる。寿命情報の内容は、発電モードを切り替えた回数、それに基づいて計数される充放電サイクル数、充放電サイクル数に基づいて推定される二次電池の劣化度、二次電池が寿命を迎えるまでの残りの充放電サイクル数あるいはシステムの稼働可能時間の予測値、等とすることができる。
寿命情報を出力する方法は、液晶ディスプレイ装置やLED表示装置等によりメッセージを表示する方法であってもよく、警告灯の点灯、点滅等の視覚的サイン(sign)により二次電池の交換を促す方法であってもよい。視覚的サインによる場合にも、警告灯の点滅速度や色の切り替えを行うことで、残り寿命の長さを知らせることもできる。あるいは、音声メッセージで寿命情報を出力してもよく、単に警告音を発すること(聴覚的サイン)で二次電池の交換を促してもよい。聴覚的サインによる場合にも、警告音を発する間隔や警告音の波長を変えることで、残り寿命の長さを知らせることができる。
以下に、燃料電池システムに含まれる二次電池の寿命に関し、特に注意すべき事項を説明する。燃料電池システムに含まれる二次電池は、補助的な電源として使用される点が一般的な二次電池とは異なっている。
一般に、二次電池が電気機器の主電源として使用される場合には、電気機器の種類に応じて増減はあるものの、使用初期の容量の70〜80%にまで容量が低下したときに、その二次電池は寿命に達したものとして取り扱われる。
これに対して、二次電池を、電気機器の主電源としてではなく、燃料電池システムで補助的電源として使用する場合には、さらに大きく容量が低下するまで、二次電池の使用を継続することができる。燃料電池システムの補助的電源としての二次電池は、燃料電池が起動された後、発電を開始するまでに、燃料や空気を供給するためのポンプ類や電気回路を駆動するための電気量を蓄えることができれば、最低限の役割を果たすことも可能だからである。
上記の観点からは、二次電池の寿命は、二次電池の容量が、燃料電池を起動するのに要する電気量(最低限容量)にマージンを加えた容量を基準容量として定めることができる。例えば、負荷機器に供給される電力に占める二次電池の放電電気量の割合が小さいシステムにおいては、上記の基準容量をそのまま使用して二次電池の寿命を判定することができる。この場合には、例えば、初期容量に対する現在の容量の比率(以下、容量維持率ともいう)が20%にまで低下したときに、二次電池が寿命に達したと判定する運用も可能である。
一方、負荷機器に供給される電力に占める二次電池の放電電気量の割合が大きいシステムにおいては、二次電池の容量が低下すると、負荷機器に安定的に電力を供給することができなくなる場合が多い。このため、そのようなシステムにおいては、上記の場合よりも高い容量維持率で、二次電池が寿命に達したと判定する必要性が生じる。そのような場合には、二次電池を負荷機器の主電源として使用する場合と同様の判定基準で二次電池の寿命を判定するのが好ましい。
さらに、本発明の一形態の燃料電池システムは、燃料電池と、二次電池とを備え、燃料電池の出力電力を可変制御する燃料電池システムに関する。本システムは、負荷に供給している電力量と二次電池の出力電力とに応じて、二次電池を燃料電池の出力電力により充電し、または、二次電池を放電する手段、二次電池の残存容量CRを検出する手段、残存容量CRに応じて燃料電池の出力電力を段階的に切り替える手段、二次電池の充放電サイクル数を検出する手段、および充放電サイクル数の検出値に基づいて、出力電力を切り替えるときの条件を補正する手段、を備える。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1に、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの概略構成をブロック図により示す。図2に、燃料電池システムに含まれる燃料電池の概略構成を断面図により示す。
初めに、図2を参照して、図1のシステムに使用される燃料電池の構造を説明する。図2においては、説明を簡単にするために、1つのセルだけを含む燃料電池10を例として示している。しかしながら、燃料電池は、2以上のセルを電気的に直列に接続し、積層したセルスタックを含むことができる。図1に示す燃料電池システム1の燃料電池10も、図2に拘わらず、必要とされる出力電力を得るように、2以上のセルを含む形態であり得る。
図示例の燃料電池10は、直接メタノール型燃料電池(DMFC)であり、高分子電解質膜12と、高分子電解質膜12を間に挟むように配置されたアノード14及びカソード16を含んでいる。高分子電解質膜12は、水素イオン伝導性を有している。アノード14には、燃料であるメタノールが供給される。カソード16には、酸化剤である空気が供給される。アノード14、カソード16およびこれらの間に介在する高分子電解質膜12の組み合わせは、MEA(Membrane Electrode Assembly:膜−電極接合体)と呼ばれる。1つのMEAが、上記の1つのセルを構成している。
さらに、アノード14、高分子電解質膜12及びカソード16の積層方向において、アノード14の外側(図では上側)には、一方の面でアノード14と接するように、板状のアノード側セパレータ26が配置され、さらにその外側に、アノード側セパレータ26と接するように、端板46Aが配置されている。一方、上記積層方向におけるカソード16の外側(図では下側)には、一方の面でカソード16と接するように、板状のカソード側セパレータ36が配置され、さらにその外側に、カソード側セパレータ36と接するように、端板46Bが配置されている。
なお、燃料電池10が2以上のセルを積層したセルスタックを有する場合には、端板46A及び46Bはセル毎に設けず、セルスタックの両端に1つずつ配置することができる。また、アノード側セパレータ26の他方の面と接するように別のセルのカソード16を配置したり、カソード側セパレータ36の他方の面と接するように別のセルのアノード14を配置したりすることができる。
アノード側セパレータ26の周縁部と高分子電解質膜12の周縁部との間には、アノード14を囲むようにガスケット42が配置され、カソード側セパレータ36の周縁部と高分子電解質膜12の周縁部との間には、カソード16を囲むようにガスケット44が配置されている。ガスケット42及び44は、それぞれ、燃料及び酸化剤がアノード14及びカソード16から外部に漏れるのを防止する。
2つの端板46A及び46Bは、各セパレータとMEAとを加圧するように、図示しないボルト及びバネ等により締結される。MEAと、アノード側セパレータ26及びカソード側セパレータ36との界面は接着性に乏しい。そのため、上記のようにして各セパレータとMEAとを加圧することにより、MEAと各セパレータとの接着性を高めることができる。その結果、MEAと各セパレータとの間の接触抵抗を低減させることができる。
アノード14は、互いに接しているアノード触媒層18及びアノード拡散層20を含む。アノード触媒層18は、高分子電解質膜12に接している。アノード拡散層20は、アノード側セパレータ26と接する、撥水処理が施されたアノード多孔質基材24と、アノード多孔質基材24の表面に形成された、撥水性の高い材料からなるアノード撥水層22とを含む。アノード撥水層22は、アノード触媒層18と接している。
カソード16は、互いに接しているカソード触媒層28及びカソード拡散層30を含む。カソード触媒層28は、高分子電解質膜12に接している。カソード拡散層30は、カソード側セパレータ36と接する、撥水処理が施されたカソード多孔質基材34と、カソード多孔質基材34の表面に形成された、撥水性の高い材料からなるカソード撥水層32とを含む。カソード撥水層32は、カソード触媒層28と接している。
高分子電解質膜12、アノード触媒層18及びカソード触媒層28からなる積層体は、燃料電池の発電を担っており、CCM(Catalyst Coated Membrane)と呼ばれている。つまり、MEAは、CCMに、アノード拡散層20及びカソード拡散層30を加えたものである。アノード拡散層20及びカソード拡散層30は、アノード14及びカソード16に供給される燃料または酸化剤の均一な分散を担うとともに、生成物である水または二酸化炭素の円滑な排出を担っている。
アノード側セパレータ26は、アノード多孔質基材24との接触面に、アノード14に燃料を供給するための燃料流路38を有している。燃料流路38は、例えば、上記接触面に形成され、アノード多孔質基材24に向かって開口する凹部ないしは溝から構成される。
カソード側セパレータ36は、カソード多孔質基材34との接触面に、カソード16に酸化剤(空気)を供給するための空気流路40を有している。空気流路40もまた、例えば、上記接触面に形成され、カソード多孔質基材34に向かって開口する凹部ないしは溝から構成される。
アノード側セパレータ26の燃料流路38およびカソード側セパレータ36の空気流路40は、例えば、各セパレータを形成した後で、その表面を溝状に切削することにより形成することができる。または、燃料流路38および空気流路40は、セパレータ自体を射出成形、圧縮成形等の手法により成形するときに同時に形成することもできる。
アノード触媒層18は、上述の反応式(11)に示す反応を促進するためのアノード触媒粒子と、アノード触媒層18と高分子電解質膜12との間のイオン伝導性を確保するための高分子電解質とを含む。アノード触媒層18に含まれる高分子電解質としては、例えば、パーフルオロスルホン酸/ポリテトラフルオロエチレン共重合体(H+型)、スルホン化ポリエーテルスルホン(H+型)、及びアミノ化ポリエーテルスルホン(OH-型)等が挙げられる。
アノード触媒粒子は、カーボンブラック等の導電性炭素粒子の担体に担持させることができる。アノード触媒粒子には、白金(Pt)とルテニウム(Ru)とを含む合金、またはPtとRuの混合物を使用することができる。アノード触媒粒子の活性点を増加させ、反応速度を向上させるために、アノード触媒粒子はできる限り小さくして使用することが好ましい。アノード触媒粒子の平均粒径は、1〜20nmとすることができる。
カソード触媒層28は、上述の反応式(12)に示す反応を促進するためのカソード触媒粒子と、カソード触媒層28と高分子電解質膜12とのイオン伝導性を確保するための高分子電解質とを含む。カソード触媒層28に含まれる高分子電解質としては、アノード触媒層18に含まれる高分子電解質として例示した材料を用いることができる。
カソード触媒粒子は、そのまま用いてもよいし、カーボンブラック等の導電性炭素粒子の担体に担持させてもよい。カソード触媒粒子としては、例えば、Pt単体およびPt合金が挙げられる。Pt合金としては、Ptと、コバルト、鉄等の遷移金属との合金が挙げられる。
高分子電解質膜12の材料は、高分子電解質膜12にイオン伝導性を付与する材料であれば特に限定されない。そのような材料としては、たとえば、当該分野で公知の各種高分子電解質材料を用いることができる。なお、現在、流通している高分子電解質膜は、主として、水素イオン伝導性を有する電解質膜である。
高分子電解質膜12の具体例としては、フッ素系高分子膜が挙げられる。フッ素系高分子膜の具体例としては、パーフルオロスルホン酸/ポリテトラフルオロエチレン共重合体(H+型)等のパーフルオロスルホン酸ポリマーを含有する高分子膜が挙げられる。パーフルオロスルホン酸ポリマーを含有する膜の具体例としては、ナフィオン膜:商品名「Nafion(米国デュポン社の登録商標)が挙げられる。
なお、高分子電解質膜12は、燃料電池に用いられる燃料(メタノール等)のクロスオーバーを低減する効果を有していることが好ましい。このような効果を有する高分子電解質膜としては、上記フッ素系高分子膜のほかに、例えば、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン(S−PEEK)等のフッ素原子を含まない炭化水素系ポリマーを含む膜、および無機物と有機物との複合膜が挙げられる。
アノード多孔質基材24およびカソード多孔質基材34に用いられる多孔質基材としては、例えば、炭素繊維を含むカーボンペーパー、カーボンクロス、カーボン不織布(カーボンフェルト)、耐腐食性を有する金属メッシュ、および発泡金属が挙げられる。
アノード撥水層22及びカソード撥水層32に用いられる高撥水性材料としては、例えば、フッ素系高分子、およびフッ化黒鉛が挙げられる。フッ素系高分子としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられる。
アノード側セパレータ26及びカソード側セパレータ36は、例えば、黒鉛等のカーボン材料を用いて形成される。セパレータは、セル間の化学物質の流通を防止する隔壁の役割を果たすとともに、セル間の電子伝導を担い、各セルを直列に接続する役割を果たしている。
ガスケット42及び44の構成材料としては、例えば、PTFE、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系高分子、フッ素ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等の合成ゴム、およびシリコーンエラストマーが挙げられる。例えば、PTFEからなるシートの中央部分に、アノードおよびカソードを収容するための開口部を設けることにより、ガスケット42及び44を構成することができる。
直接酸化型燃料電池が発生する電圧は、単位セルあたり、0.3〜0.5Vである。複数のセルを積層し、それらのセルを電気的に直列に接続することで、燃料電池スタックの出力電圧は、単位セルあたりの出力電圧とセル積層数の積となる。一般的には、セルの積層数を著しく多くすることは、燃料電池スタックの部品点数や組立工数を増加させ、製造原価を増加させる。そこで、燃料電池スタックが発生する電圧は、DC−DCコンバータ9によって昇圧されて、電気機器に供給されるか、交流を発生するインバータに供給される。
次に、図1を参照して、本発明の燃料電池システムの構成を説明する。
図示例の燃料電池システム1は、燃料電池(セルスタック)10、燃料タンク4からアノードに燃料を供給する燃料ポンプ2、カソードに空気を供給する空気ポンプ3、アノードおよびカソードからの排液を貯留する液回収部5、燃料電池システムを冷却する冷却装置6、システム全体の運転状態を制御する制御部7、燃料電池スタックの出力電力を蓄える二次電池8、DC−DCコンバータ9、二次電池の電圧を検出する電圧センサ11、並びに、燃料電池10の出力電流を検出する電流センサ12を備えている。さらに、燃料電池システム1は、DC−DCコンバータ9の出力(直流電力)を交流電力に変換して出力するためのインバータを備えてもよい。
制御部7は、燃料電池10の出力電力を可変制御するための演算を実行する演算部7aと、記憶部7bとを備えている。なお、制御部7が、演算部7aおよび記憶部7bを含むことは必須ではなく、演算部7aおよび記憶部7bを、制御部7とは別に設けることもできる。しかしながら、演算部7aおよび記憶部7bは制御部7と相互かつ頻繁に情報の交換を行いかつ制御部7の行うべきプロセスの一部を実行する部分である。このため、好ましい形態として、図示例の燃料電池システム1では、演算部7aおよび記憶部7bを制御部7に内蔵させている。その結果、図1においては、演算部7aおよび記憶部7bの相互の接続線は図示していない。
演算部7aには、中央演算処理装置(CPU)、または、マイクロプロセッサ(MPU)等を使用することができる。また、演算部7aには、後述の各種演算を行うためのソフトウェア、および/または種々のロジック回路を含ませることができる。記憶部7bは、記憶装置(メモリ)等により構成することができる。また、演算部7aおよび記憶部7bを除く制御部7自体にも、演算装置、記憶装置、および各種ソフトウェア、および/または種々のロジック回路などを含ませることができる。一般的には、パソコン(PC)やマイクロコンピュータを制御部7として使用することができる。そのような場合には、演算部7aおよび記憶部7bを、制御部7自体のハードウェアと共通のハードウェアを使用して構成することができる。
DC−DCコンバータ9の入力端子は、燃料電池10に接続されており、出力端子は、図示しない電気機器(またはインバータ)に接続されている。DC−DCコンバータ9の出力端子は、二次電池8とも接続されている。これにより、DC−DCコンバータ9を介して送られてくる燃料電池10の出力電力のうち、電気機器に送られない電力は、二次電池8により蓄電される。二次電池8に蓄電された電力は、必要に応じて放電され、負荷機器に送られる。DC−DCコンバータ9は、制御部7の命令にしたがって、燃料電池10の出力を、所望の電圧に変換する。
図示例の燃料電池システム1では、燃料ポンプ2および燃料タンク4が燃料供給装置を構成している。一方、空気ポンプ3が酸化剤供給装置を構成している。冷却装置6には、例えば送風機を使用することができる。送風機は、シロッコファン、ターボファン、軸流ファン、およびクロスフローファン等のファン類でもよく、遠心ブロア、軸流ブロア、及び容積ブロア等のブロア類でもよく、ファンモータでもよい。また、冷却装置6は、空冷式に限らず、水冷式でもよい。
そして、図示例の燃料電池システム1では、電圧センサ11が残存容量CRを検出する手段を構成している。燃料ポンプ2および空気ポンプ3には、フィードポンプを用いることができる。例としては、圧電素子とダイアフラムとを含むマイクロポンプが挙げられる。酸化剤供給装置は、空気ポンプ3に限らず、酸素ボンベ等を使用して酸化剤を供給する形態であり得る。また、燃料供給装置は、ポンプ等で積極的に燃料を供給する形態に限らず、毛細管現象等を利用して燃料を供給する形態であり得る。残存容量CRは、二次電池8の電圧から求める形態に限られず、上述したように、充電電気量および放電電気量を積算することで求めることができる。この場合には、電圧センサ11および電流センサ12が残存容量CRを検出する手段を構成する。
燃料タンク4は、燃料であるメタノールまたはメタノール水溶液を貯蔵する。燃料タンク4に貯蔵された燃料は、燃料ポンプ2により燃料電池10のアノード14に送られる。燃料タンク4から供給される燃料は、液回収部5の回収液(水、ないしは低濃度のメタノール水溶液)と混合部(混合タンク)2aにおいて混合され、希釈された状態で、燃料ポンプ2により燃料電池10に送られる。混合部2aは、燃料ポンプ2に内蔵させることもできる。
ここで、メタノールを希釈して燃料電池10に送る理由は、高濃度のメタノール水溶液がアノード14に供給されると、メタノールクロスオーバー(MCO)が顕著となるからである。したがって、燃料タンク4に希釈されたメタノール水溶液を貯蔵させる場合には、燃料を燃料タンク4から直接的に燃料電池10に送ることもできる。
一方、酸化剤である空気は、空気ポンプ3により、燃料電池10のカソード16に送られる。カソード16では水が生成される。生成された水の一部は、液回収部5にて回収され、液体の水として液回収部5により貯蔵され、上述した燃料の希釈に利用される。余剰の水は、水蒸気として、カソード16に供給された空気とともに、液回収部5に配置された気液分離膜により分離され、液回収部5から外部に排出される。発電によってアノード14で生成される二酸化炭素も、気液分離膜により分離され、液回収部5から外部に放出される。
液回収部5は、例えば、上部に開口部を有する容器で形成され、開口部を図示しない気液分離膜により塞ぐようにして構成される。気液分離膜は、液体である水および未使用燃料と、気体である空気、水蒸気および二酸化炭素とを分離する。液回収部5は蓄積された水の量を検出するためのセンサ(水量センサ)を有することが好ましい。
水量センサの検出値は制御部7へ送られる。燃料電池10の長時間の運転により水が液回収部5に過剰に蓄積されると、制御部7は、空気ポンプ3の出力を増大させることにより、液回収部5の内部により多くの空気を流通させて、水蒸気として外部に散逸させる水量を増加させる。逆に、液回収部5の水が不足している場合には、冷却装置6をフルに運転させて、燃料電池10の温度あるいは液回収部5の温度を低下させ、液回収部5から散逸する水蒸気の量を低減させる。このように、液回収部5は、制御部7、空気ポンプ3、冷却装置6と連携しながら、システム内に適量の水を保持するように動作する。
二次電池8には、ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池、およびリチウムイオン二次電池などを用いることができる。これらのうちでは、リチウムイオン二次電池が高出力かつ高エネルギー密度である点で、特に本発明の燃料電池システムに適している。二次電池8には、複数の二次電池が並列または直列に接続された電池群もしくは組電池を用いてもよい。一般的な電源装置の直流出力電圧は、12Vまたは24Vであるため、例えばリチウムイオン電池であれば、4セルまたは7セルを直列に接続した組電池が使用される。また、二次電池8で必要とされる容量に応じて複数のセルが並列に接続される。
次に、燃料電池システム1において実行される、燃料電池10の出力電力の可変制御を説明する。
図1の燃料電池システム1においては、燃料電池10は、出力電力の異なる複数の発電モードで運転される。発電モードは、制御部7の演算部7aが実行する発電モード選択処理により切り替えられる(出力電力を段階的に切り替える手段)。発電モード選択処理では、記憶部7bに記憶された情報を参照して、二次電池8の電圧または残存容量CRに基づいて、発電モードが選択される。記憶部7bには、二次電池8の電圧と残存容量CRとの関係を示す情報、燃料電池10の出力電力を切り替えるときの条件である基準値RVに関する情報、および発電モードの切り替え回数に関する情報等が記憶される。
制御部7は、基本的には、燃料電池10の出力電力と、負荷機器の消費電力との大小関係に基づいて、DC−DCコンバータ9の出力電圧が、二次電池8を充電するのに適した電圧、または、二次電池8から放電するのに適した電圧となるように、DC−DCコンバータ9を制御する(二次電池を、燃料電池の出力電力により充電し、または、放電する手段)。そのような制御部7の制御の結果、二次電池8の残存容量CRは増減する。
残存容量CRは、図示例のシステムにおいては、電圧センサ11により検出される二次電池8の電圧に基づいて、演算部7aが所定の演算を実行することにより検出される(残存容量CRを検出する手段)。より具体的には、演算部7aは、記憶部7bに記憶された、二次電池8の電圧と残存容量CRとの関係に関する情報を参照して、電圧センサ11の検出値に基づいて、残存容量CRを検出する。残存容量CRの検出の基礎となる電圧としては、二次電池8の開回路電圧を検出してもよく、比較的小さな負荷を接続した状態での閉回路電圧を測定してもよい。また、二次電池8が組電池であれば、組電池全体の電圧を測定してもよく、各セルの電圧を測定してもよい。
残存容量CRを、少数の電圧測定結果から求めると、実際の残存容量との間に誤差を生じる場合がある。例えば、急激に負荷が変動する場合には、電池電圧が激しく変動するために、大きな誤差が生じる。したがって、一定時間内の複数の電圧の測定結果を平均化する方法で二次電池8の電圧を求めるのが好ましい。
そのことに関連して、二次電池8と並列にキャパシタを接続しておき、そのキャパシタの端子間電圧を測定することにより、二次電池の平均的な電圧を求めることもできる。この場合、キャパシタの電圧は、短時間に激しく変動する電圧には影響されず、ある一定時間の平均的な電圧を示す。そのため、電圧を平均化する演算が不要となり、演算が複雑になることを回避できる。また、電気的に接地せずに二次電池の電圧を正確に測定できるので、回路構成の自由度を大きくすることができる。
発電モード選択処理においては、記憶部7bに記憶された基準値RVと、残存容量CRとが比較され、その比較結果に基づいて、燃料電池10の発電モードが選択される。制御部7は、発電モード選択処理により選択された発電モードと対応する出力電力が得られるように、燃料ポンプ2により燃料電池10に供給される燃料量および空気ポンプ3により供給される空気の流量を設定する。それとともに、二次電池8の充電または放電を行うようにDC−DCコンバータ9の出力電圧を設定する。
そして、制御部7は、発電モード選択処理の結果にしたがって発電モードを切り替えるときにDC−DCコンバータ9に対して発電モードの切り替え指示信号を出力する。演算部7aは、発電モード選択処理の結果により直接的に記憶部7bにより記憶された発電モードの切り替え回数に関する情報を更新していくこともできるし、制御部7が出力する切り替え指示信号を監視して、その監視結果に基づいて、記憶部7bにより記憶された発電モードの切り替え回数に関する情報を更新していくこともできる。以上により、記憶部7bに、累積された発電モードの切り替え回数が保持される。
次に、燃料電池システムの発電モードを設定する発電モード設定処理について説明する。
図3に、燃料電池の定常状態における電流と電圧との関係(電流−電圧曲線L1)、および燃料電池の定常状態における電流と出力電力との関係(電流−出力曲線L2)をそれぞれプロットしたグラフを示す。図3に示すように、燃料電池10の出力電力は、出力電流または出力電圧を調整することで制御することができる。したがって、制御部7が、目標とする出力電力を得るようにDC−DCコンバータ9に入力電圧を指示することで、燃料電池の出力電力が目標値と一致するように制御される。
なお、図3から理解されるように、燃料電池10は、一般に、電流−電圧曲線L1および電流−出力曲線L2上のポイントであれば、いずれのポイントでも稼働可能である。つまり、燃料電池10の出力電圧または出力電流を連続的に変化させることで、燃料電池10の出力電力を連続的に変化させることもできる。しかしながら、そのように燃料電池10の出力電力を制御すると、前述したとおり、出力変動に伴って燃料利用率が低下するとともに、制御が煩雑となるので、図示例の燃料電池システム1においては、限定された個数の発電モードの間で段階的に燃料電池10の出力電力を切り替えている。
そのような発電モードの一例として、図3には、「強モード(出力電力が最大の発電モード)」と対応するポイントP1およびP2、「中モード(出力電力が中程度の発電モード)」と対応するポイントP3およびP4、並びに、「弱モード(出力電力が小さい発電モード)」と対応するポイントP5およびP6が示されている。発電モードの他の例としては、図には示されていないが、「停止モード(出力電力が零の発電モード)」が考えられる。
上の例をより詳しく説明すると、「強モード」は、残存容量CRが二次電池の完全放電状態に近い領域(例えばSOCで30%未満の領域)にあるときを想定した発電モードであり、このとき、燃料電池10は、電流−出力曲線L2において出力が最大となる電流値I(1)で運転される。「中モード」は、残存容量CRが中くらいの領域(例えばSOCで30〜70%の領域)にあるときを想定した発電モードであり、このとき、燃料電池10は、電流−出力曲線L2において出力が強モードの40〜80%の出力となる電流値I(2)で運転される。「弱モード」は、残存容量CRが二次電池の満充電状態に近い領域(例えばSOCで70%を超える領域)にあるときを想定した発電モードであり、このとき、燃料電池10は、電流−出力曲線L2において出力が強モードの10〜40%の出力となる電流値I(3)で運転される。「停止モード」は、二次電池が満充電状態である場合を想定した発電モードであり、燃料ポンプ2、および空気ポンプ3が停止されて、燃料電池10による発電が停止される。
上記の例においては、発電モード間の切り替えの頻度を低減させて、燃料電池の発電効率の向上を図るためには、「中モード」で運転する残存容量CRの範囲を広く設定することが好ましい。例えば、「中モード」の残存容量CRの範囲は、電池の全容量のSOCを100%としたときに、20〜40%の幅を有することが好ましい。特に、二次電池がリチウムイオン電池である場合、残存容量が中庸の領域で置かれる場合が最も劣化が抑えられる。よって、「中モード」の残存容量の中央値は、SOCで40〜60%の範囲にあることが好ましい。
なお、上記の例において、「停止モード」への移行は、残存容量CRがSOC100%に達したときに限られない。温度変化による影響や組電池におけるセル毎の容量ばらつきに起因して一部の二次電池が過充電状態となることを防止するために、SOCで80〜100%の範囲に基準値を設定し、それを超えたときには「停止モード」に移行させるように制御することもできる。
以下、上記のような4つの発電モードを予め設定した場合を例として、実施形態1の発電モード設定処理をより詳しく説明する。
図4Aに、発電モードを切り替えるときの残存容量CRについての基準値を一定とする場合の、二次電池の充放電サイクル数と基準値との関係を示す。図4Aの例では、上述したような4つの発電モードとそれぞれ対応して、残存容量CRの4つの領域X1’〜X4’が設定されている。ここでは、各領域の境界に、充放電サイクル数によらずに一定値をとる3つの基準値RV1’〜RV3’が設定されている。
図4Bに、発電モードを切り替えるときの残存容量CRについての基準値を補正する場合の、二次電池の充放電サイクル数と基準値との関係を示す。図4Bの例では、上述した4つの発電モードとそれぞれ対応して、残存容量CRの4つの領域X1〜X4が設定されている。そして、ここでは、各領域の境界に、充放電サイクル数が増大するにつれて段階的に値が小さくなるように補正される、3つの基準値RV1〜RV3が設定されている。
次に、燃料ストイキオについて説明する。燃料ストイキオFstoは、アノードに供給された燃料量を、発電電流値の燃料換算量、つまり実際に発電に使用された燃料量で除して得られる係数であり、下記式(1)により求めることができる。
sto=(I1+I2)/I1 (1)
ただし、I1:発電電流、I2:未消費の燃料量とMCOの燃料量との和の電流換算値、である。
制御部7は、電流センサ12により検出された燃料電池10の発電電流値に関する情報と、設定された燃料ストイキオFstoを元に、燃料供給量(I1+I2の燃料換算値)を求める。更に、アノード14に供給される燃料濃度を考慮して、燃料ポンプ2が上記の求められた燃料供給量で燃料を供給できるように、燃料ポンプ2に制御信号を送る。
また、燃料利用率Futiは、下記式(2)により求めることができる。
uti=I1/(I1+IMCO) (2)
ただし、IMCO:MCOに対応する燃料量の電流換算値、である。
燃料電池10に送られた燃料のうち、電流I2の燃料換算値(以下、余剰燃料量FI2という)と対応する余剰の燃料は、燃料電池10において消費されることなく、液回収部5を経由して、再び燃料電池10に供給される。ただし、燃料ストイキオFstoを十分小さく設定した場合には、余剰燃料量FI2は非常に小さくなり、燃料電池10からの排液に含まれる燃料量が非常に小さくなる。
以下、図4Bの場合を例に、図5に示すフローチャートを参照して、実施形態1の発電モード設定処理を説明する。
燃料電池システム1が起動され、負荷への電力供給が開始される(スタート)と、電圧センサ11により二次電池8の電圧が検出される(S1)。その電圧の検出値に基づいて、演算部7aにより残存容量CRを検出するための演算が行われる(S2、残存容量CRを検出する手段)。このとき、演算部7aは、記憶部7bに記憶されている、二次電池8の電圧と残存容量CRとの関係に関する情報を参照して、残存容量CRを検出する。
二次電池8の電圧の検出は、所定時間(例えば、0.5秒)毎に実行することができる。残存容量CRを検出するための演算は、電圧を1回検出する毎に実行してもよいし、電圧を複数回検出する毎に実行してもよい。電池電圧の変動や測定誤差を均すために、複数回の電圧の検出値を平均化し、その平均値に基づいて残存容量CRを求めてもよい。または、移動平均処理により、電圧を検出するのと同じ頻度で平均値を算出し、その平均値に基づいて残存容量CRを検出してもよい。
次に、演算部7aにより、残存容量CRと、予め設定されている少なくとも1つの基準値RVとを比較する演算が実行され、その比較結果に基づいて、複数の発電モードの中から1つの発電モードが選択される(S3、出力電力を段階的に切り替える手段)。起動直後であれば、演算部7aは、燃料電池システム1の稼働を前回停止したときに記憶部7bに記憶させた、基準値RVの補正結果を読み出し、その補正された基準値RVと残存容量CRとを比較して、発電モードを選択する。
制御部7は、選択された発電モードで燃料電池10を運転するように、燃料ポンプ2、空気ポンプ3およびDC/DCコンバータ9等の制御を行う(S4)。そして、演算部7aは、発電モードの切り替えが行われたか否かを判定する演算を実行し、その判定結果に基づいて、記憶部7bに記憶された発電モードの切り替え回数に関する情報(切り替え回数情報)を更新する(S5)。
次に、演算部7aは、切り替え回数情報に基づいて、後で詳しく説明する充放電サイクル数推定処理により、二次電池8の充放電サイクル数CNを検出または推定する(S6)。そして、その充放電サイクル数CNと、予め設定された、充放電サイクル数についての少なくとも1つの参照値NR(図4Bの例では、NR1、NR2、NR3、およびNR4)とを比較して、基準値RVを補正する演算を実行し(S7)た後、S1に戻る。以下、基準値RVを補正する基準値補正処理について説明する。
充放電サイクル数が小さい初期の二次電池8では、発電モードを切り替えるときの残存容量CRについての基準値RVは、できるだけ大きくした方が、ユーザにとっての利便性は高くなる。つまり、上記の例で言えば、「弱モード」と「停止モード」との境界をSOC100%の近くに設定し、「弱モード」と「中モード」との境界、並びに、「中モード」と「強モード」との境界をそれぞれ高めのSOCに設定することで、常に満充電状態に近い領域で二次電池を使用することができる。
その結果、二次電池の容量を最大限に利用することができる。これにより、二次電池8が完全放電状態に近い領域まで放電されてしまい、負荷機器への電力供給に不足が発生するのを防止できる。そして、そのような領域まで仮に二次電池8が放電されたとしても、燃料電池8が「強モード」で運転される残存容量CRの領域が大きいために、二次電池8を速やかに充電することが可能となる。よって、二次電池の容量回復に要する時間を短縮することができる。その結果、短時間のうちに、消費電力の大きな負荷を接続して使用することが可能となる。
しかしながら、二次電池は、一般に充電電流が大きいほどに劣化が加速される。したがって、燃料電池を「強モード」で運転して急速に二次電池を充電すると二次電池の劣化が促進される。さらに、既に劣化が進行した状態で二次電池を急速に充電すると、著しく劣化速度が増加する。したがって、ある程度劣化している二次電池を大電流で充電することは、二次電池を長寿命化するためには好ましくないといえる。そして、ある程度劣化している二次電池の劣化速度を抑えるためには、「強モード」に移行するときの残存容量CRを低めに設定することが有効である。
以上の理由により、本基準値補正処理においては、図4Bに示すように、二次電池を最大出力で運転する「強モード」に移行するときの基準値(基準値RV3)を、充放電サイクル数CNが小さい間は、高く設定する。一方、充放電サイクル数CNが増大するにつれて、基準値RV3が小さくなるように補正する。これにより、二次電池のサイクル劣化が抑制されて、二次電池を長寿命化することが可能となる。
なお、図4Bでは、基準値RV3を4段階に小さくしているが、これは一例にすぎない。基準値RV3は1回だけ補正することもできるし、さらにきめ細かく補正することも可能である。
さらに、図4Bの例では、基準値RV3以外の基準値(RV1およびRV2)も充放電サイクル数CNが増大するにつれて段階的に小さくなるように補正している。これは、一般的に二次電池は、過充電状態になると著しく劣化が促進されるためである。特に、組電池においては、二次電池の個体間の性能ばらつきや組電池内の温度分布によって、二次電池の個体毎に劣化度合いにもばらつきが生じる。そのような場合には、劣化の進んだ電池ほど、内部抵抗が増大しているために、過充電状態になる傾向がある。したがって、劣化の進んだ二次電池ほど、劣化がさらに加速される。
そのような不都合を回避するためには、組電池全体の充電レベルを低下させることが、個々の二次電池の劣化を抑制するためには有効である。したがって、「中モード」または「弱モード」に移行するときの基準値(RV1およびRV2)もまた、「強モード」に移行するときの基準値(基準値RV3)と同様に、充放電サイクル数CNの増大に伴って段階的に小さくなるように補正することで、二次電池の個体間で劣化度合いに大きな差異が生じるのを防止することができる。
なお、基準値RVには、ヒステリシスを設定することができる。例えば、出力電力の小さい発電モードから出力電力の大きい発電モードに切り替えるときに参照する基準値(以下、上り方向基準値)は元の基準値RVよりも所定値αだけ大きくする。逆に、出力電力の大きい発電モードから出力電力の小さい発電モードに切り替えるときに参照する基準値(以下、下り方向基準値)は元の基準値RVよりも所定値αだけ小さくする。このようなヒステリシスを基準値RVに対して設定することで、残存容量CRが基準値RVを上下にまたいで往復動する、いわいるハンチング状態を防止することが可能となる。
ハンチング状態になると、発電モードの切り替えが頻繁に発生する可能性があり、発電効率の著しい低下を招く。したがって、基準値RVに対してヒステリシスを設定することで、ハンチング状態を防止することができ、発電効率の向上が容易となる。その場合、下り方向基準値を、上り方向基準値よりも1〜10%の範囲で小さく設定することで、ハンチング状態を効果的に防止することができる。
次に、充放電サイクル数の検出方法をより具体的に説明する。二次電池8が満充電に近い状態で燃料電池システム1を負荷機器に接続すると、燃料電池10の発電モードは、図4Aおよび図4Bの例では、「停止モード」または「弱モード」となる。この状態では、一般的に、負荷機器の消費電力が燃料電池10の出力を上回っているので、二次電池8が放電し、残存容量CRは低下していく。図4Aおよび図4B(初期)の例では、残存容量CRが70%以下まで低下すると、燃料電池10の発電モードは「中モード」に切り替わる。この切り替わりを、演算部7aは、記憶部7bに記憶させる。
この状態でも、負荷機器の消費電力が燃料電池の出力を上回る場合には、さらに残存容量CRが低下する。その結果、図4Aおよび図4B(初期)の例では、残存容量CRが30%以下まで低下したときに燃料電池の発電モードは「強モード」に切り替わる。この切り替わりを、演算部7aは、記憶部7bに記憶させる。
以上のように、燃料電池10の発電モードが「停止モード」または「弱モード」から段階的に「強モード」に切り替えられたときに、演算部7aは二次電池が一回放電されたと判定する。そして、「強モード」での運転中に、負荷機器の消費電力が低下し、燃料電池の出力を下回れば二次電池は充電されて残存容量CRは増加していく。残存容量CRが30%以上にまで上昇すれば、発電モードは「中モード」に切り替わり、さらに充電が進むと「弱モード」または「停止モード」へと発電モードが切り替えられていく。これらの切り替えに関する情報は、演算部7aが記憶部7bに記憶させる。そして、これらの記憶された情報に基づいて、演算部7aは、二次電池8が一回充電されたことを検知する。その結果、上記の1回の放電と、今回の1回の充電との組み合わせにより、二次電池の充放電サイクル数が値「1」だけ増加したと判定する。
上記の充放電サイクル数のカウント方法の他に、以下のような簡略化したカウント方法が可能である。例えば、二次電池の放電回数は、燃料電池10の発電モードが「中モード」から「強モード」に切り替わったときを「1回」と計数する。一方、二次電池の充電回数は、燃料電池10の発電モードが「弱モード」から「停止モード」に切り替わったときを「1回」と計数する。これらの組み合わせを1サイクルと計数することで、簡易に二次電池の充放電サイクル数をカウントすることが可能となる。
上記のような簡易な方法とは逆に、充放電サイクル数を、二次電池の劣化をより正確に反映するような態様で測定することもできる。例えば、「弱モード」から「中モード」へ切り替わった後、「強モード」に移行せずに「弱モード」へ戻ったような場合には、「1/2サイクル」とカウントし、再び同様の発電モードの切り替えが発生したときに、それぞれを合算して1サイクルとカウントするような方法である。あるいは、「弱モード」、「中モード」、「弱モード」という順番で発電モードが切り替わったときに「1/2サイクル」とカウントし、「中モード」、「強モード」、「中モード」という順番で発電モードが切り替わったときにも「1/2サイクル」とカウントし、それらを合算することで、「1サイクル」とカウントするような方法である。
以上のように、満充電状態から完全放電状態まで放電した後、再び満充電状態まで充電するような充放電動作だけを「1サイクル」とカウントするのではなく、様々な発電モードの切り替えパターンに対して、きめ細かに対応するサイクル数を設定しておくことで、充放電サイクル数CNに、二次電池の劣化をより正確に反映させることが可能となる。その結果、基準値RVを、充放電サイクル数CNに基づいて、より適切に補正することが可能となる。
次に、本発明の実施形態2に係る燃料電池システムの制御方法を説明する。
(実施形態2)
実施形態2の燃料電池システムは、基本的構成は実施形態1の燃料電池システム1と同様である。以下に、実施形態1とは異なる部分を説明する。
実施形態2では、演算部7aは、充放電サイクル数CNと、図示しない参照値NRfとを比較し、充放電サイクル数CNが参照値NRf以上である場合には、ユーザに対して二次電池の寿命が近づいていることを通知するメッセージを表示する処理(警告処理)を実行する。このとき、実施形態1と同様に、基準値補正処理を実行してもよいし、基準値補正処理は実行しなくともよい。以下、警告処理を詳しく説明する。
二次電池の寿命の通知時期に関する参照値NRfは、二次電池を満充電状態としたときに取り出し可能な電気量が、燃料電池システム1を再起動するのに必要な電気量にマージンを上乗せした電気量にまで低下する時期を基準として設定することができる。一般的には、そのような充放電サイクル数CNについての参照値NRfは、二次電池を満充電状態としたときに取り出し可能な電気量が、未使用の初期の二次電池のそれに対して、20〜50%にまで低下するときのサイクル数とするのが好ましい。
上記の寿命の通知は、燃料電池システムや負荷機器のユーザーインターフェース部に表示させることにより実行することができ、例えば、ユーザーインターフェース部が警告信号を受信すると、液晶表示装置、ブザー、ライトなどによりユーザに対して、燃料電池システムの二次電池が寿命に近いことを通知する。二次電池が燃料電池システムに内蔵されている場合であれば、ユーザはメンテナンス業者などに委託して二次電池を交換することができ、二次電池が使用機器側に搭載されている場合ならば、ユーザ自身が二次電池を交換することができる。
あるいは、さらに利便性を向上するために、二次電池が上記の基準により定められるサイクル寿命に到達する前に、事前にユーザに警告するのも好ましい。例えば、充放電サイクル数が、サイクル寿命の80%を超えたときに、ユーザに寿命が近いことを通知することが好ましい。あるいは、燃料電池システム1の駆動時間と充放電サイクル数CNとの間に高い相関係数が認められるシステムにおいては、燃料電池システム1の駆動時間と充放電サイクル数CNとの間に成り立つ関係式をあらかじめ求めて、記憶部7bに記憶させておく。これにより、演算部7aは、燃料電池システム1の駆動時間から充放電サイクル数CNを高い精度で求めることが可能となる。
そして、そのような場合には、二次電池8がサイクル寿命に達するときの燃料電池システム1の総駆動時間を求めることも可能であり、その時点の燃料電池システム1の駆動時間により、二次電池8の余寿命を正確に把握して、ユーザに通知することも可能となる。
次に、本発明の実施例を説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
アノード触媒粒子と、それを担持する導電性の担体とを含むアノード触媒担持体を調製した。アノード触媒粒子としては、白金−ルテニウム合金(原子比1:1)(平均粒径:5nm)を用いた。担体としては、平均一次粒子径が30nmの導電性炭素粒子を用いた。白金−ルテニウム合金と導電性炭素粒子との合計重量に占める白金−ルテニウム合金の重量は80重量%とした。
カソード触媒粒子と、それを担持する導電性の担体とを含むカソード触媒担持体を調製した。カソード触媒粒子としては、白金(平均粒径:3nm)を用いた。担体としては、平均一次粒子径が30nmの導電性炭素粒子を用いた。白金と導電性炭素粒子との合計重量に占める白金の重量は80重量%とした。
高分子電解質膜には、厚さ50μmのフッ素系高分子膜(パーフルオロスルホン酸/ポリテトラフルオロエチレン共重合体(H+型)をベースとするフィルム、商品名「Nafion(登録商標)112」、デュポン社製)を使用した。
(a)CCMの作製
(a−1)アノードの形成
アノード触媒担持体の10gと、パーフルオロスルホン酸/ポリテトラフルオロエチレン共重合体(H+型)を含有する分散液(商品名:「Nafion(登録商標)5重量%溶液」、米国デュポン社製)の70gとを、適量の水とともに攪拌機により攪拌して混合した。この後、得られた混合物を脱泡して、アノード触媒層形成用インクを得た。
得られたアノード触媒層形成用インクを、エアーブラシを使用したスプレー法により、高分子電解質膜の一方の表面に吹き付けて塗布し、一辺10cmの正方形のアノード触媒層を形成した。アノード触媒層の寸法は、マスキングにより調整した。アノード触媒層形成用インクの吹き付け時には、表面温度をヒータにより調整した金属板に、高分子電解質膜を、減圧により吸着させて固定した。アノード触媒層形成用インクは、塗布中に漸次乾燥させるようにした。アノード触媒層の厚みは61μmであった。単位面積あたりのPt−Ruの量は、3mg/cm2であった。
(a−2)カソードの形成
カソード触媒担持体の10gと、パーフルオロスルホン酸/ポリテトラフルオロエチレン共重合体(H+型)を含有する分散液(前出の商品名:「Nafion(登録商標)5重量%溶液」)の100gとを、適量の水とともに攪拌機により攪拌して混合した。この後、得られた混合物を脱泡して、カソード触媒層形成用インクを得た。
得られたカソード触媒層形成用インクを、アノード触媒層を形成したのと同様の方法で、高分子電解質膜のアノード触媒層が形成された面とは反対側の面に塗布した。これにより、一辺10cmの正方形のカソード触媒層を、高分子電解質膜に形成した。形成されたカソード触媒層に含まれる単位面積あたりのPtの量は、1mg/cm2であった。なお、アノード触媒層と、カソード触媒層とは、それぞれの中心が高分子電解質膜の厚さ方向において重なるように、配置した。
以上のようにして、CCMを作製した。
(b)MEAの作製
(b−1)アノード多孔質基材の作製
撥水処理が施されたカーボンペーパー(商品名:「TGP−H−090」、厚さ約300μm、東レ(株)製)を、希釈されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のディスパージョン(商品名:「D−1」、ダイキン工業(株)製)に1分間浸漬した。次いで、そのカーボンペーパーを、100℃に温度設定された熱風乾燥機中で乾燥させた。次いで、乾燥後のカーボンペーパーを、電気炉中において、270℃で2時間焼成した。そのようにして、PTFEの含有量が10重量%であるアノード多孔質基材を得た。
(b−2)カソード多孔質基材の作製
撥水処理が施されたカーボンペーパーに代えて、カーボンクロス(商品名:「AvCarb(商標)1071HCB」、バラードマテリアルプロダクツ社製)を使用したこと以外は、アノード多孔質基材と同様にして、PTFEの含有量が10重量%であるカソード多孔質基材を作成した。
(b−3)アノード撥水層の作製
アセチレンブラックの粉末と、PTFEのディスパージョン(商品名:「D−1」、ダイキン工業(株)製)と、を攪拌機により攪拌して混合することにより、全固形分に占めるPTFEの含有量が10重量%であり、全固形分に占めるアセチレンブラックの含有量が90重量%である撥水層形成用インクを得た。得られた撥水層形成用インクを、エアーブラシを使用したスプレー法により、アノード多孔質基材の一方の表面に吹き付けて塗布した。その後、塗布されたインクを、100℃に温度設定された恒温槽内で乾燥させた。次いで、撥水層形成用インクを塗布したアノード多孔質基材を、電気炉により、270℃で2時間焼成して、界面活性剤を除去した。こうして、アノード多孔質基材上にアノード撥水層を形成し、アノード多孔質基材及びアノード撥水層を含むアノード拡散層を作製した。
(b−4)カソード撥水層の作製
カソード多孔質基材の一方の表面に、アノード撥水層と同様にして、カソード撥水層を形成し、カソード多孔質基材及びカソード撥水層を含むカソード拡散層を作製した。
アノード拡散層及びカソード拡散層は、いずれも、抜き型を使用して、一辺10cmの正方形に成形した。
次に、アノード撥水層とアノード触媒層とが接するように、アノード拡散層とCCMとを積層した。また、カソード撥水層とカソード触媒層とが接するように、カソード拡散層とCCMとを積層した。
得られた積層体を、温度を125℃に設定した熱プレス装置により、5MPaの圧力で1分間加圧した。これにより、アノード触媒層とアノード拡散層とを接合するとともに、カソード触媒層とカソード拡散層とを接合した。
以上のようにして、アノードと、高分子電解質膜と、カソードとを具備する膜−電極接合体(MEA)を得た。
(c)ガスケットの配置
厚み0.25mmのエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)のシートを、一辺12cmの正方形に裁断した。さらに、そのシートの中央部分を、一辺10cmの正方形に開口するようにくり抜いた。このようにして、2枚のガスケットを得た。一方のガスケットの開口部にアノードが、他方のガスケットの開口部にカソードが嵌め込まれるように、各ガスケットをMEAに配置した。
(d)セパレータの作製
セパレータの素材として、厚み2mm、一辺12cmの正方形の樹脂含浸黒鉛板を準備した。黒鉛板の表面を切削して、片側にメタノール水溶液をアノードに供給する燃料流路を形成した。セパレータの一端部には、燃料流路の入口部を配置し、別の一端部には、出口部を配置した。
黒鉛板の反対側の表面には、酸化剤としての空気をカソードに供給する空気流路を形成した。セパレータの一端部には、空気流路の入口部を配置し、別の一端部には、出口部を配置した。このようにして、燃料電池スタック1のセパレータを作製した。
燃料流路及び空気流路を構成する溝の断面形状は、それぞれ、幅1mm、深さ0.5mmとした。また、燃料流路及び空気流路は、それぞれ、アノード拡散層及びカソード拡散層の各部に満遍なく燃料及び空気を供給し得るサーペンタイン型とした。
(e)DMFCのセルスタックの作製
セパレータの燃料流路がアノード拡散層と接し、空気流路がカソード拡散層と接するように、MEAとセパレータとを20セル積層した。なお、最端部に位置する一対のセパレータには、それぞれ片面のみに燃料流路および空気流路を形成したものを用いた。
上記の20セル積層体に対し、積層方向の両端に、厚さ1cmのステンレス鋼板からなる一対の端板を配置した。各端板と最端部の各セパレータとの間には、表面に金メッキが施された厚さ2mmの銅板からなる集電板と、絶縁板とを配置した。集電板はセパレータ側に配置し、絶縁板は端板側に配置した。この状態で、一対の端板を、ボルト、ナット及びばねを用いて互いに締結し、MEAと各セパレータとを加圧した。
以上のようにして、サイズが12×12cmであるDMFCのセルスタックを得た。
(f)燃料電池システムの構成
DMFCのセルスタック(以下、燃料電池という)を使用して、燃料電池システムを構成した。燃料電池への空気及び燃料の供給量は、精密に調節し、実験の精度を高めるように配慮した。空気の供給については、一般的な空気ポンプではなく、高圧空気ボンベから供給される圧縮空気を、堀場製作所(株)製のマスフローコントローラーにより流量を調節して、燃料電池に供給した。燃料の供給には、日本精密科学(株)製の精密ポンプ(パーソナルポンプNP−KX−100(製品名))を使用した。
冷却装置として、米国イービーエムパプスト社製の送風機(型番:412JHH)を使用した。
燃料供給装置に相当する精密ポンプ、空気供給装置に相当するマスフローコントローラー、冷却装置に相当する送風機は、制御部に相当するパソコンに接続した。そして、制御部によって、各装置の起動および停止、並びに流量調整をコントロールできるようにした。
液回収部には、底面が一辺5cmの正方形、高さが10cmの直方体のポリプロピレン製の容器を使用した。液回収器の上面には、日東電工(株)製の多孔膜テミッシュ(気液分離膜)を熱溶着により接合した。
燃料電池の各セルの燃料流路の入口部と燃料ポンプとを、シリコンチューブ及び分岐管により接続した。同様に、各セルの燃料流路の出口部と液回収部とを、シリコンチューブ及び分岐管により接続した。また、各セルの空気流路の入口部とマスフローコントローラーとの間、及び空気流路の出口部と液回収部との間を、シリコンチューブ及び分岐管により接続した。
燃料電池は、角筒状のプラスチック製ケーシングの内部に収納した。そのケーシングの天部及び底部の内面と、燃料電池の上面及び下面(燃料電池の積層方向における一端面及び他端面)とは接するようにして、送風機による送風が抜けないようにした。一方、ケーシングの両側部の内面と、燃料電池の両側面との間には、10mmの隙間を設けて、送風を通す風路を形成した。そして、ケーシングの開口部に向けて送風するように送風機を配置した。
二次電池としては、リチウムイオン電池CGR26650(電気容量3.1Ah)を7個直接に接続した組電池を使用した。組電池には、残存容量検知部として、電圧センサを取り付け、電圧情報が制御部であるパソコンに送信されるようにした。パソコンには、あらかじめ調査した組電池の電圧と残存容量との関係を示す情報を入力した。これにより、制御装置(演算部7a)としてのパソコンが、組電池の電圧に基づいて残存容量が認識できるようにした。残存容量および残存容量の変化率は、それぞれ0.5秒毎に計測し、10秒間の計測値を平均化した。こうして得られた残存容量の平均値に基づいて、制御モードおよび発電モードの選択を行った。
DC−DCコンバータを介して、燃料電池と、組電池とを接続した。DC−DCコンバータは、制御部であるパソコンに接続し、パソコンからDC−DCコンバータの入力電圧すなわち燃料電池の出力電圧を調整できるようにした。
(g)燃料電池の発電モードおよび制御モードの設定
(g−1)発電モード
燃料電池の発電モードを下記の3種に設定した。
強モード:出力電圧8V
中モード:出力電圧9V
弱モード:出力電圧11V
具体的には、燃料電池の電圧が上記設定値になるように、制御部であるパソコンからDC−DCコンバータに信号を送り、DC−DCコンバータを制御した。DC−DCコンバータには、図示しない電流センサを取り付け、発電時の燃料電池の出力電流を計測し、制御部であるパソコンに送信するようにした。
各発電モードでの発電初期(発電開始から30分後)の燃料電池の正味の出力、つまり燃料電池スタックの出力から燃料供給装置、空気供給装置、冷却装置および制御部が消費する電力を差し引いた出力値は、それぞれ以下の通りである。
強モード:100W
中モード:60W
弱モード:30W
制御部であるパソコンでは、電流センサの計測値(出力電流)に、あらかじめ設定したストイキオ比を乗ずることで、燃料供給量および空気供給量を求めるようにした。そして、求められた燃料供給量および空気供給量に基づいて、パソコンにより精密ポンプおよびマスフローコントローラーを制御した。燃料ストイキオ比は1.5、空気ストイキオ比は2と設定した。
実際の電気機器の代わりに、燃料電池システムの出力端子は、電子負荷装置「PLZ164WA」(菊水電子工業(株)製)に接続し、適宜出力を変化させながら、燃料電池システムを稼動させた。
(g−2)基準値RVと制御モード
発電モードを切り替えるための基準値には、ハンチング現象を防止するために、ヒステリシスを設定した。つまり、現在の発電モードよりも出力が増加する方向に発電モードを変化させるときに参照される基準値(下り方向基準値)は、反対方向の基準値(上り方向基準値)に比べて、常に2%小さくなるように設定した。ここで、上りの方向基準値と下り方向基準値の中央値を、それぞれ、基準値の中央値と称する。
以下のように、充放電サイクル数に応じて、各基準値を4段階に切り替えた。
(A)二次電池の充放電サイクル数が200サイクル未満の範囲
弱モードと中モードとの間の基準値の中央値:88%
中モードと強モードとの間の基準値の中央値:60%
(B)二次電池の充放電サイクル数が200サイクル以上、400サイクル未満の範囲
弱モードと中モードとの間の基準値の中央値:86%
中モードと強モードとの間の基準値の中央値:55%
(C)二次電池の充放電サイクル数が400サイクル以上、600サイクル未満の範囲
弱モードと中モードとの間の基準値の中央値:84%
中モードと強モードとの間の基準値の中央値:50%
(D)二次電池の充放電サイクル数が600サイクル以上、800サイクル未満の範囲
弱モードと中モードとの間の基準値の中央値:82%
中モードと強モードとの間の基準値の中央値:40%
(E)二次電池の充放電サイクル数が800サイクル以上、1000サイクル未満の範囲
弱モードと中モードとの間の基準値の中央値:80%
中モードと強モードとの間の基準値の中央値:30%
充放電サイクル数の計数は、システム上最も低コスト化が可能な方法を選択した。すなわち、本実施例では、中モードから強モードへ切り替わる回数と、中モードから弱モードへ切り替わる回数のみを記憶し、それら1対の回数がカウントされたときに、「1サイクル」としてカウントした。これらの演算は、制御部であるパソコンで行った。
二次電池の充放電サイクル寿命とユーザへの通知タイミングは、次のように設定した。
まず、燃料電池システムの起動に要する電気量を測定したところ、1Whであった。二次電池の電気容量は、約78Whであるため十分に余裕がある。二次電池の寿命は、25℃を基準として充放電サイクル数1000サイクルのときに残存容量が80%に達するという基礎データをもとに、余裕を見て800サイクルに到達した時点でユーザへの通知を実施するものとした。具体的には、本実施例における制御部であるパソコンのソフトウェアを使用して、インターフェース部であるパソコンのディスプレイ装置に「二次電池交換推奨」の表示を行うように設定した。
(実施例2)
残存容量CRについての基準値の中央値を、充放電サイクル数に関係なく、下記のように一定としたこと以外は、実施例1と同様にして、二次電池の寿命についての通知を行った。
弱モードと中モードの基準値の中央値:80%
中モードと強モードの基準値の中央値:50%
(比較例1)
残存容量CRがSOCで100%に達すると燃料電池を停止し、それ以外は、常に「強モード」で燃料電池を運転した。充放電サイクル数は、「強モード」と「停止モード」との間の切り替えのみに着眼してカウントした。以上のこと以外は、実施例1と同様にして、二次電池の寿命についての通知を行った。
[評価]
燃料電池システムの二次電池の充放電頻度を増加させることで、本発明の効果を明らかにするように、図6に示すような負荷電力パターンで燃料電池システムを連続運転した。より具体的には、負荷電力が350Wである10分間の強負荷状態と、負荷電力が20Wである90分間の弱負荷状態とを繰り返す負荷電力パターンで、燃料電池システムを連続運転した。また、環境条件は、二次電池のサイクル劣化が加速されやすいように、45℃の恒温槽中に燃料電池システムを設置した。
図7に、実施例1、実施例2並びに比較例1の各燃料電池システムの二次電池について、二次電池の充放電容量の推移を、充放電サイクル数との関係で表したグラフを示す。グラフの縦軸には、初期の二次電池の充放電容量を100%としたときの容量維持率をとった。充放電容量の推移は、充放電サイクル数が100サイクル増加する毎に、二次電池を燃料電池システムから取り外し、その充放電容量を同じ条件で測定することで確認した。
また、各燃料電池システムの1サイクル目の残存容量CRの変化を図8Aに示す。各燃料電池システムの801サイクル目の残存容量CRの変化を図8Bに示す。
また、図示はしないが、図8Aの実施例2と同様の残存容量変化を示すように、充放電装置を使用して二次電池の充放電を実施した。図示はしないが、図7における実施例2の残存容量の変化は、二次電池単体を同一条件で充放電サイクルさせたものと一致した。従って、各実施例では、充放電サイクル数が二次電池の劣化を精度よく反映していることが確かめられた。
図7から明らかなように、実施例1および実施例2は、比較例1よりも充放電サイクル寿命(初期容量の80%に到達するまでのサイクル数)が増加している。これにより、残存容量CRに応じて燃料電池の発電モードを切り替えることで、二次電池を長寿命化できることが確認された。
その要因は、図8Aにおける実施例1および実施例2と比較例1の比較から説明できるものと考える。図中のグラフで残存容量の変化率が大きいものほど、二次電池を放電または充電する電流が大きいと考えられる。充電時の容量変化を観察すると、比較例1においては、燃料電池の発電電力が一定であるため、残存容量が低い領域から高い領域まで、比較的大きな電流で充電され続け、しかも、満充電に達した後に、そのまま高い残存容量が維持される。一方、実施例1および実施例2においては、充電開始直後は、大きな電流で充電されるが、発電モードの切り替えによって、残存容量CRが増大すると充電電流が低下する。しかも、「弱モード」は充電電流が非常に小さいために、残存容量が100%に到達する前に、次のサイクルの放電が開始される。以上の理由により、実施例1および実施例2は比較例1よりも二次電池を長寿命化できたものと考えられる。
さらに、実施例1と実施例2との比較では、実施例1の方が、充放電サイクル寿命が伸長されていることがわかる。これについては、図8Bからわかるように、実施例1では、充放電サイクル数が大きくなるほど、小さい充電電流値で充電される時間が長くなっている。これにより、二次電池の劣化が緩和されると考えられる。
さらに、実施例1および2では、充放電サイクル数が800サイクルを超えた時点で、パソコンのディスプレイに「二次電池交換推奨」というメッセージが表示された。これにより、ユーザに二次電池の寿命が近づいていることを通知できることが確かめられた。
なお、、各実施例では、充放電サイクルを迅速に評価するために、小さい負荷電力での駆動時間を短くしている。しかしながら、実使用において、小さい負荷電力での駆動時間が長い場合には、図8Aおよび図8Bにおける充電時間が長くなり、二次電池は残存容量が高い領域まで充電されて、やがて燃料電池が停止モードに変更されることとなる。
実施例1においては、そのような実使用の条件においても、充放電サイクル数が大きくなるほど、停止モードに移行する二次電池の残存容量を小さくなる。これにより、サイクル劣化によって組電池のセル間に容量のばらつきが発生した場合でも、過充電状態を発生させることなく、二次電池の劣化を緩和させることができる。
以上のように、本発明によれば、二次電池の充電電流および満充電における残存容量を適切にコントロールしながら、充放電サイクル数を正確に把握することによって、ユーザに二次電池の交換時期を知らせることができるとともに、燃料電池システムの寿命を伸長させることが可能となる。
なお、上記実施形態においては、燃料にメタノールを使用するDMFCに適用する場合を説明したが、燃料電池はDMFCに限られない。本発明は、水と親和性の高い、常温で液体の燃料を使用する直接酸化型燃料電池に適用した場合に、特に顕著な効果を奏する。常温で液体の燃料の例としては、メタノールの他に、エタノール、ジメチルエーテル、蟻酸、及びエチレングリコール等の炭化水素系液体燃料を挙げることができる。
本発明によれば、小型かつ軽量のシステムを実現するために、必要最小限の燃料電池出力と二次電池容量とを選択した場合にも、消費電力の異なるさまざまな機器の使用を可能にすることができる。そして、二次電池の劣化状態をユーザに通知することによって、その利便性と信頼性を向上させることができる。さらには、二次電池の劣化を抑制することで、長寿命を有する燃料電池システムを提供することができる。
本発明の燃料電池システムおよびその制御方法は、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等の携帯小型電子機器における電源、あるいはキャンプなどのアウトドアレジャー用途のポータブル電源に適用すると有用である。また、本発明の燃料電池システムおよびその制御方法は、電動スクータ用電源等の用途にも適用することができる。
1 燃料電池システム
2 燃料ポンプ
3 空気ポンプ
4 燃料タンク
7 制御部
7a 演算部
7b 記憶部
8 二次電池
10 燃料電池
11 電圧センサ
12 電流センサ

Claims (9)

  1. 燃料電池と、二次電池とを備えた燃料電池システムで、前記燃料電池の出力電力を可変制御する制御方法であって、
    (i)負荷に供給している電力量と前記出力電力とに応じて、前記二次電池を、前記出力電力により充電し、または、放電する工程、
    (ii)前記二次電池の残存容量CRを検出する工程、
    (iii)前記残存容量CRに応じて、予め設定された、前記出力電力が異なる前記燃料電池の複数の発電モードの1つを選択する工程、
    (iv)前記発電モードが切り替えられた回数に基づいて、前記二次電池の充放電サイクル数を検出する工程、および
    (v)前記充放電サイクル数の検出値に基づいて、前記発電モードを選択するときの条件を補正する工程、を含む燃料電池システムの制御方法。
  2. 燃料電池と、二次電池とを備えた燃料電池システムで、前記燃料電池の出力電力を可変制御する制御方法であって、
    (i)負荷に供給している電力量と前記出力電力とに応じて、前記二次電池を、前記出力電力により充電し、または、放電する工程、
    (ii)前記二次電池の残存容量CRを検出する工程、
    (iii)前記残存容量CRに応じて、予め設定された、前記出力電力が異なる前記燃料電池の複数の発電モードの1つを選択する工程、
    (iv)前記二次電池の充放電サイクル数を検出する工程、および
    (v)前記充放電サイクル数の検出値に基づいて、前記発電モードを選択するときの条件を補正する工程、を含み、
    前記工程(iii)が、
    前記残存容量CRと少なくとも1つの基準値RVとを比較すること、および
    その比較結果に基づいて、前記発電モードを選択すること、を含み、
    前記工程(v)が、
    前記充放電サイクル数の検出値に基づいて、前記少なくとも1つの基準値RVを補正することを含み、
    前記少なくとも1つの基準値RVとして、互いに異なる2以上の基準値RV1、RV2、…、RVnがあり、
    前記残存容量CRが前記基準値RV1以上の値から前記基準値RV1未満の値に減少した回数、並びに、前記残存容量CRが前記基準値RVn未満の値から前記基準値RVn以上の値に増加した回数に基づいて、前記充放電サイクル数を検出する、ただし、RV1>RV2>…>RVn、である、燃料電池システムの制御方法。
  3. 燃料電池と、二次電池とを備えた燃料電池システムで、前記燃料電池の出力電力を可変制御する制御方法であって、
    (i)負荷に供給している電力量と前記出力電力とに応じて、前記二次電池を、前記出力電力により充電し、または、放電する工程、
    (ii)前記二次電池の残存容量CRを検出する工程、
    (iii)前記残存容量CRに応じて、予め設定された、前記出力電力が異なる前記燃料電池の複数の発電モードの1つを選択する工程、
    (iv)前記二次電池の充放電サイクル数を検出する工程、および
    (v)前記充放電サイクル数の検出値に基づいて、前記発電モードを選択するときの条件を補正する工程、を含み、
    前記残存容量CRを、前記二次電池の電圧に基づいて検出し、
    前記二次電池の電圧を、前記二次電池と並列接続したキャパシタの電圧に基づいて検出する、燃料電池システムの制御方法。
  4. 前記発電モードの切り替え回数に基づいて、前記充放電サイクル数を検出する、請求項記載の燃料電池システムの制御方法。
  5. 燃料電池と、二次電池とを備えた燃料電池システムで、前記燃料電池の出力電力を可変制御する制御方法であって、
    (i)負荷に供給している電力量と前記出力電力とに応じて、前記二次電池を、前記出力電力により充電し、または、放電する工程、
    (ii)前記二次電池の残存容量CRを検出する工程、
    (iii)前記残存容量CRと少なくとも1つの基準値RVとを比較し、その比較結果に基づいて、あらかじめ設定された、前記出力電力が異なる前記燃料電池の複数の発電モードの中の1つを選択する工程、および
    (iv)前記発電モードが切り替えられた回数に基づいて、前記充放電サイクル数を検出する工程、を含む、燃料電池システムの制御方法。
  6. 前記残存容量CRを、前記二次電池の電圧に基づいて検出する、請求項1、2、または5記載の燃料電池システムの制御方法。
  7. 前記充放サイクル数の検出値に基づいて、前記二次電池の寿命情報を生成し、出力する工程、をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池システムの制御方法。
  8. 前記残存容量CRが減少するのに伴って、前記複数の発電モードの中から前記出力電力がより大きな発電モードを選択する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の燃料電池システムの制御方法。
  9. 燃料電池と、二次電池とを備え、前記燃料電池の出力電力を可変制御する燃料電池システムであって、
    負荷に供給している電力量と前記二次電池の出力電力とに応じて、前記二次電池を、前記出力電力により充電し、または、放電する手段、
    前記二次電池の残存容量CRを検出する手段、
    前記残存容量CRに応じて、予め設定された、前記出力電力が異なる前記燃料電池の複数の発電モードの1つを選択する手段、
    前記発電モードの切り替え回数に基づいて、前記二次電池の充放電サイクル数を検出する手段、および
    前記充放電サイクル数の検出値に基づいて、前記発電モードを選択するときの条件を補正する手段、を備えた燃料電池システム。
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