JP5344218B2 - 燃料電池システムおよび電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、メタノール等と酸化剤ガス(酸素)との反応により発電を行う燃料電池システムおよびそのような燃料電池システムを備えた電子機器に関する。
従来、燃料電池は、発電効率が高く、有害物質を排出しないため、産業用や家庭用の発電装置として、あるいは人工衛星や宇宙船などの動力源として実用化されてきた。また、近年では、乗用車、バス、トラック等の車両用の動力源としての開発が進んでいる。このような燃料電池は、アルカリ水溶液型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型および直接型メタノールなどの種類に分類される。中でも、ダイレクトメタノール固体高分子電解質型燃料電池(DMFC;Direct Methanol Fuel Cell)は、燃料水素源としてメタノールを用いることによって高エネルギー密度化することができ、また改質器が不要であり小型化が可能であることから、小型携帯用燃料電池向けに研究が進められている。
DMFCでは、固体高分子電解質膜を2枚の電極で挟み、一体化させて接合した単位セルであるMEA(Membrane Electrode Assembly;膜電極接合体)が使用される。そしてガス拡散電極の一方を燃料電極(負極)とすると共に、その表面に燃料としてのメタノールを供給すると、メタノールが分解されて水素イオン(プロトン)と電子とが生じ、水素イオンが固体高分子電解質膜を透過する。また、ガス拡散電極の他方を酸素電極(正極)とすると共に、その表面に酸化剤ガスとしての空気を供給すると、空気中の酸素と上記水素イオンおよび電子とが結合し、水が生成される。このような電気化学反応により、DMFCから起電力が生じるようになっている。
ところで、モバイル用途で用いられる燃料電池では、室内、真冬の屋外、真夏の高温の車内、放熱が困難なバッグの中など、あらゆる環境にて安定に発電動作することが求められている。また、暖かい室内から極寒の屋外へ突然持ち出されるなど、急激な環境変化にも追随することも求められている。このように、燃料電池は、外部環境の温度や湿度によって適切な燃料供給量が異なるため、環境変動に応じたきめ細やかな燃料供給制御(燃料供給量に過不足が生じないような燃料供給制御)が求められている。
ここで、燃料の供給量が過剰になってしまった場合には、余った燃料が酸素電極にまで浸透して、クロスオーバーという現象が生じてしまう。このクロスオーバー現象は、余剰燃料が酸素電極上で直接燃焼してしまう現象であり、燃料の利用効率が低下して無駄となるばかりでなく、温度上昇によってユーザーに火傷を負わせてしまうおそれがある。また、逆に、燃料供給が不足になってしまった場合には、十分な出力を得ることができなくなり、燃料電池に接続された機器への電力供給がストップしてしまう可能性がある。
そこで、従来より、燃料供給量における過不足を抑えることを目的とした燃料供給量の制御方法が、提案されている(例えば特許文献1)。
特開2007−227336号公報
上記特許文献1における燃料供給制御では、電圧や電流に2つの閾値(上限値および下限値)を定め、上限値を超えたら燃料供給を停止する一方、下限値を下回ったら燃料供給を再開するようになっている。この制御方法によれば、定電流発電の際には電圧変動によって、また定電圧発電の際には電流変動によって、燃料供給を制御することができる。
ところが、この制御方法では、例えばクロスオーバー現象が発生した際に、それをより一層悪い状況にしてしまうという問題点があった。具体的には、例えば定電流制御の際に燃料が不足していると、電圧が下がって下限値を下回るが、クロスオーバー現象が生じたときも同様に電圧が下がるため、下限値を下回ってしまう。ここで、前者(燃料不足の場合)では燃料を供給しなければならないが、後者(クロスオーバー現象が生じた場合)では燃料供給を停止しなければならない。しかしながら、従来の燃料供給制御では、単に電圧しか見ていないため、これらの違いを区別できないという問題があった。
なお、上述したDMFCでは、燃料電極へメタノールを供給する方法として、液体供給型(液体燃料(メタノール水溶液)を、そのまま燃料電極へ供給するもの)と、気化供給型(液体燃料を気化した状態で、燃料電極へ供給するもの)とが提案されている。これらのうち、気化供給型では、液体供給型のような燃料の濃度に応じた燃料供給制御を行うことができず、燃料供給周期(燃料供給ポンプの動作タイミングや、シャッターの開閉タイミングなど)に応じた燃料供給制御となっている。そのため、特に気化供給型のDMFCでは、燃料供給量における過不足を抑えることにより、外部環境に依存しない安定した発電動作を実現することが望まれていた。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、外部環境によらずに従来よりも安定して発電を行うことが可能な燃料電池システム、およびそのような燃料電池システムを備えた電子機器を提供することにある。
本発明の燃料電池システムは、燃料および酸化剤ガスの供給により発電を行う発電部と、発電部側へ液体燃料を供給すると共にこの液体燃料の供給量が調節可能となっている燃料供給部と、この燃料供給部により供給された液体燃料を気化させることによって、気体燃料を発電部へ供給する燃料気化部と、発電部の温度を検出する温度検出部と、発電部の発電電流を検出する電流検出部と、温度検出部により検出された発電部の温度と電流検出部により検出された発電電流とに基づいて、発電部の発電時における燃料供給部による液体燃料の供給量を調整する制御部とを備えたものである。この制御部は、発電部の温度に基づいて発電部における発電時の温度が一定となるように第1の燃料供給量を算出し、発電電流に基づいて発電部における発電時の燃料の利用率を算出すると共に、算出したこの燃料の利用率が一定となるように第2の燃料供給量を算出し、第1の燃料供給量と第2の燃料供給量との双方を考慮して、最終的な液体燃料の供給量を決定する。
本発明の電子機器は、上記燃料電池システムを備えたものである。
本発明の燃料電池システムおよび電子機器では、燃料気化部において、燃料供給部により供給された液体燃料が気化されることにより、気体燃料が発電部に供給される。そして発電部では、この気体燃料と酸化剤ガスとの供給により、発電が行われる。また、このような発電に応じた発電部の温度が、温度検出部により検出される。そして、検出された発電部の温度に基づいて、燃料供給部による液体燃料の供給量が調整されることにより、発電部の温度が一定となるように制御がなされる。ここで、燃料供給量と発電部の温度とは、互いに単調増加の関係であるため、従来のような発電電圧、発電電流または発電電力に基づく燃料供給制御と比べ、例えば、クロスオーバー現象を回避したり、外部環境の変動に応じた燃料供給制御が容易となる。また、発電部の温度が一定となるようなフィードバック制御であるため、燃料供給のオン(実行)・オフ(停止)による単純な制御と比べ、発電部の温度が安定化する。
本発明の燃料電池システムまたは電子機器によれば、検出された発電部の温度に基づいて、燃料供給部による液体燃料の供給量を調整することにより、発電部の温度が一定となるような制御を行うようにしたので、従来と比べ、例えばクロスオーバー現象を回避したり外部環境の変動に応じた燃料供給制御が容易となると共に、発電部の温度が安定化する。よって、外部環境によらずに従来よりも安定して発電を行うことが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池システム(燃料電池システム5)の全体構成を表すものである。燃料電池システム5は、負荷6を駆動するための電力を出力端子T2,T3を介して供給するものである。この燃料供給システム5は、燃料電池1と、温度検出部30と、電流検出部31と、電圧検出部32と、昇圧回路33と、二次電池34と、制御部35とから構成されている。
燃料電池1は、発電部10と、燃料タンク40と、燃料ポンプ42とを含んで構成されている。なお、この燃料電池1の詳細構成については、後述する。
発電部10は、メタノールと酸化剤ガス(例えば、酸素)との反応により発電を行う直接メタノール型の発電部であり、正極(酸素電極)および負極(燃料電極)を有する複数の単位セルを含んで構成されている。なお、この発電部10の詳細構成については、後述する。
燃料タンク40は、発電に必要な液体燃料(例えば、メタノールまたはメタノール水溶液)を内蔵するものである。なお、この燃料タンク40の詳細構成については、後述する。
燃料ポンプ42は、燃料タンク40に収容された液体燃料を汲み上げて、発電部10側へ供給(輸送)するためのポンプであり、燃料の供給量を調節することができるようになっている。また、このような燃料供給ポンプ42の動作(液体燃料の供給動作)は、後述する制御部35によって制御されるようになっている。なお、燃料ポンプ42の詳細構成については、後述する。
温度検出部30は、発電部10の温度(具体的には、発電部10の周辺部または近傍の温度)T1を検出するものであり、例えばサーミスタなどにより構成されている。
電流検出部31は、接続ラインL1H上において、発電部10の正極側と接続点P1との間に配置されており、発電部10の発電電流I1を検出するものである。この電流検出部31は、例えば抵抗器を含んで構成されている。なお、このような電流検出部31を、接続ラインL1L上(発電部10の負極側と接続点P2との間)に配置するようにしてもよい。
電圧検出部32は、接続ラインL1H上の接続点P1と、接続ラインL1L上の接続点P2との間に配置されており、発電部10の発電電圧V1を検出するものである。この電圧検出部32は、例えば抵抗器を含んで構成されている。
昇圧回路33は、接続ラインL1H上の接続点P1と、出力ラインLO上の接続点P3との間に配置されており、発電部10の発電電圧V1(直流電圧)を昇圧して、直流電圧V2を生成する電圧変換部である。この昇圧回路33は、例えばDC/DCコンバータにより構成されている。
二次電池34は、出力ラインLO上の接続点P3と、接地ラインLG上の接続点P4との間に配置されており、昇圧回路33により生成された直流電圧V2に基づいて蓄電を行うものである。この二次電池34は、例えばリチウムイオン二次電池などにより構成されている。
制御部35は、温度検出部30により検出された発電部の温度(検出温度)T1と、電流検出部31により検出された発電電流(検出電流)I1と、電圧検出部32により検出された発電電圧(検出電圧)V1とに基づいて、燃料ポンプ42による液体燃料の供給量を調整するものである。具体的には、本実施の形態では特に、温度検出部30により検出された検出温度T1に基づいて燃料ポンプ42による液体燃料の供給量を調整することにより、発電部10の温度が一定(略一定、所定の範囲内)となるように制御を行うようになっている。この制御部35は、例えばマイクロコンピュータなどにより構成されている。なお、制御部35の詳細構成および詳細動作については、後述する。
次に、図2〜図4を参照して、燃料電池1の詳細構成について説明する。図2および図3は、燃料電池1内の発電部10における単位セル10A〜10Fの構成例を表すものであり、図2は、図3におけるII−II線に沿った矢視断面構成に対応する。単位セル10A〜10Fは、面内方向に例えば3行×2列に配置されると共に、複数の接続部材20により電気的に直列に接続された平面積層構造とされている。単位セル10C,10Fには、接続部材20の延長部分である端子20Aが取り付けられている。また、単位セル10A〜10Fの下方には、燃料タンク40と、燃料ポンプ42と、ノズル43と、燃料気化部44とが設けられている。
単位セル10A〜10Fは、それぞれ、電解質膜11を間にして対向配置された燃料電極(負極、アノード電極)12と酸素電極13(正極、カソード電極)とを有している。
電解質膜11は、例えば、スルホン酸基(−SO3 H)を有するプロトン伝導材料により構成されている。プロトン伝導材料としては、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系プロトン伝導材料(例えば、デュポン社製「Nafion(登録商標)」)、ポリイミドスルホン酸などの炭化水素系プロトン伝導材料、またはフラーレン系プロトン伝導材料などが挙げられる。
燃料電極12および酸素電極13は、例えば、カーボンペーパーなどよりなる集電体に、白金(Pt)あるいはルテニウム(Ru)などの触媒を含む触媒層が形成された構成を有している。触媒層は、例えば、触媒を担持させたカーボンブラックなどの担持体をポリパーフルオロアルキルスルホン酸系プロトン伝導材料などに分散させたものにより構成されている。なお、酸素電極13には図示しない空気供給ポンプが接続されていてもよいし、接続部材20に設けられた開口(図示せず)を介して外部と連通し、自然換気により空気すなわち酸素が供給されるようになっていてもよい。
接続部材20は、二つの平坦部21,22の間に屈曲部23を有し、一方の平坦部21において一つの単位セル(例えば、10A)の燃料電極12に接し、他方の平坦部22において隣接する単位セル(例えば、10B)の酸素電極13に接しており、隣接する二つの単位セル(例えば、10A,10B)を電気的に直列に接続すると共に、各単位セル10A〜10Fで発生した電気を集電する集電体としての機能も有している。このような接続部材20は、例えば、厚みが150μmであり、銅(Cu),ニッケル(Ni),チタン(Ti)またはステンレス鋼(SUS)により構成され、金(Au)または白金(Pt)等でめっきされていてもよい。また、接続部材20は、燃料電極12および酸素電極13に燃料および空気をそれぞれ供給するための開口(図示せず)を有しており、例えば、エキスパンドメタルなどのメッシュ類や、パンチングメタルなどにより構成されている。なお、屈曲部23は、予め単位セル10A〜10Fの厚みに合わせて折曲加工されていてもよいし、接続部材20が厚み200μm以下のメッシュなど柔軟性を有している場合は製造工程においてたわむことにより形成されるようにしてもよい。このような接続部材20は、例えば、電解質膜11の周辺部に設けられたPPS(ポリフェニレンスルフィド)あるいはシリコーンゴム等の封止材(図示せず)が接続部材20にネジ締めされることにより、単位セル10A〜10Fに接合されている。
燃料タンク40は、例えば、液体燃料41の増減によっても内部に気泡などが入らずに体積が変化する容器(例えばビニール袋など)と、この容器を覆う直方体形状のケース(構造体)とにより構成されている。この燃料タンク40には、その中央付近の上方に、燃料タンク40内の液体燃料41を吸引してノズル43から排出させるための燃料ポンプ42が設けられている。
燃料ポンプ42は、例えば、圧電体(図示せず)と、この圧電体を支持するための圧電体支持樹脂部(図示せず)と、燃料タンク40からノズル43までを接続する配管としての流路(図示せず)とを含んで構成されている。この燃料ポンプ42は、例えば図4に示したように、1回の動作当りの燃料供給量または燃料供給周期Δtの変化に応じて、燃料の供給量を調節することができるようになっている。なお、この燃料ポンプ42が、本発明における「燃料供給部」の一具体例に対応する。
燃料気化部44は、燃料ポンプ42により供給された液体燃料を気化させることによって、気体燃料を発電部10(各単位セル10A〜10F)へ供給するものである。この燃料気化部44は、例えばステンレス鋼、アルミニウムなどを含む金属や合金、シクロオレフィンコポリマー(COC)などの剛性の高い樹脂材料よりなるプレート(図示せず)上に、燃料の拡散を促進するための拡散部(図示せず)が設けられたものである。拡散部としては、アルミナ、シリカ、酸化チタンなどの無機多孔質材料や樹脂多孔質材料を用いることができる。
ノズル43は、燃料ポンプ42の流路(図示せず)によって輸送される燃料の噴出口であり、燃料気化部44の表面に設けられた拡散部に向けて、燃料を噴出するようになっている。これにより、燃料気化部44へ輸送された燃料が拡散気化され、発電部10(各単位セル10A〜10F)に向けて供給される。このノズル43は、例えば直径0.1mm〜0.5mmの口径を有している。
次に、図5を参照して、制御部35の詳細構成について説明する。図5は、制御部35の詳細なブロック構成を表したものである。
制御部35は、減算部(差分算出部)350と、PID制御部351と、発熱補正部352とから構成されている。
減算部350は、制御部35内で予め設定され、あるいは外部から入力された目標温度(設定温度)Tsv(s)と、温度検出部30により検出された発電部10の温度(検出温度)T1(Tpv(s))との差分値(=Tsv(s)−Tpv(s))を求め、この差分値をPID制御部351へ出力するものである。
PID制御部351は、減算部350において求められた、目標温度Tsv(s)と検出温度Tpv(s)との差分値の時間積分値および時間微分値に対して比例させることにより、液体燃料の供給量(所望発熱量H(s))を算出し、この所望発熱量H(s)を発熱補正部352へ出力するものである。
このPID制御部351は、具体的には、以下の(1)式および(2)式を用いて、所望発熱量H(s)を算出するようになっている。
H(s)=KΔT(s)+T∫ΔT(s)ds+T{dΔT(s)/ds}…(1)
ΔT(s)=Tsv(s)−Tpv(s) …(2)
ここで、
H(s) :所望発熱量
,T,T:PID定数
Tsv(s) :目標温度
ΔT(s) :温度の差分
s :時間
発熱補正部352は、電圧検出部32により検出された発電電圧(検出電圧)V1および電流検出部31により検出された発電電流(検出電流)I1に基づいて、発電部10におけるエネルギー変換効率を算出すると共に、算出したこのエネルギー変換効率を用いて、燃料供給量P(s)を算出する(PID制御部351において算出された液体燃料の供給量を補正する)ものである。この燃料供給量P(s)の情報は、燃料電池1内の燃料ポンプ42へ出力されるようになっている。これにより、詳細は後述するが、発電部10の温度が一定となるようになっている。
この発熱補正部352は、具体的には、以下の(3)式および(4)式を用いて、燃料供給量P(s)を算出するようになっている。なお、本実施の形態では、発電部10の発電電圧V1に加えて発電部10の発電電流I1をも考慮して、発電部10におけるエネルギー変換効率ηを算出しているが、燃料の利用率Eがほぼ1であるという近似を行うことにより、発電部10におけるエネルギー変換効率ηを近似的に算出する(η≒V/V)ようにしてもよい。実際の制御では、このように近似的な算出をしたとしても、制御動作にはほとんど影響がないからである。
P(s)(=PPID(s))=H(s)×(1−η) ……(3)
η={(V)/(V)}=(V/V)×E ……(4)
:燃料供給量から見積もられる理論電流値
本実施の形態の燃料電池システム5は、例えば次のようにして製造することができる。
まず、上述した材料よりなる電解質膜11を、上述した材料よりなる燃料電極12および酸素電極13の間に挟んで熱圧着することにより、電解質膜11に燃料電極12および酸素電極13を接合し、単位セル10A〜10Fを形成する。
次いで、上述した材料よりなる接続部材20を用意し、図6および図7に示したように、6個の単位セル10A〜10Fを3行×2列に配置し、接続部材20により電気的に直列に接続する。なお、電解質膜11の周辺部には上述した材料よりなる封止材(図示せず)を設け、この封止材を接続部材20の屈曲部23にネジ締めにより固定する。
そののち、連結された単位セル10A〜10Fの燃料電極12側に、液体燃料41が収容されると共に燃料ポンプ42およびノズル43等が設けられた燃料タンク40を配設することにより、燃料電池1を形成する。そしてこの燃料電池1に対し、上述した温度検出部30、電流検出部31、電圧検出部32、昇圧回路33、二次電池34および制御部35をそれぞれ、図1に示したように電気的に並列接続して取り付ける。以上により、図1〜図3に示した燃料電池システム5が完成する。
次に、本実施の形態の燃料電池システム5の作用および効果について、比較例と比較しつつ詳細に説明する。
この燃料電池システム5では、燃料タンク40に収容される液体燃料が、燃料ポンプ42によって汲み上げられ、流路(図示せず)を通って燃料気化部44に到達する。この燃料気化部44では、ノズル43によって液体燃料が噴出すると、その表面に設けられた拡散部(図示せず)によって広範囲に拡散される。これにより、液体燃料が自然気化され、気体燃料が発電部10(具体的には、各単位セル10A〜10Fの燃料電極12)に供給される。
一方、発電部10の酸素電極13へは、自然換気あるいは空気供給ポンプ(図示せず)によって空気(酸素)が供給される。すると、酸素電極13では、以下の(5)式に示した反応が起こり、水素イオンと電子とが生成される。この水素イオンは電解質膜11を通って燃料電極12へ到達し、燃料電極12では、以下の(6)式に示した反応が起こり、水と二酸化炭素が生成される。よって、燃料電池1全体としては、以下の(7)式に示した反応が生じ、発電が行われる。
CH3OH+H2O → CO2+6H+6e ……(5)
6H+(3/2)O2+6e-→ 3H2 ……(6)
CH3OH+(3/2)O2→ CO2+2H2O ……(7)
これにより、液体燃料41すなわちメタノールの化学エネルギーの一部が電気エネルギーに変換され、接続部材20により集電されて、発電部10から電流(発電電流I1)として取り出される。この発電電流I1に基づく発電電圧(直流電圧)V1は、昇圧回路33によって昇圧(電圧変換)され、直流電圧V2となる。この直流電圧V2は、二次電池34または負荷(例えば、電子機器本体)へ供給される。そして、二次電池34へ直流電圧V2が供給された場合、この電圧に基づいて二次電池34に蓄電がなされる一方、出力端子T2,T3を介して負荷6へ直流電圧V2が供給された場合、負荷6が駆動され、所定の動作がなされる。このとき、燃料ポンプ42では、制御部35による制御によって、1回の動作当りの燃料供給量または燃料供給周期Δtの変化に応じて、燃料の供給量が調節される。
ここで、比較例1に係る従来の燃料供給制御では、上記した燃料供給周期Δtが、常に一定となっている。この場合、「出力上昇→温度上昇→電解質膜11の乾燥→出力低下→温度低下→電解質膜11の湿潤→…」というループが、延々と繰り返えされてしまうことになる。したがって、例えば図8に示したように、燃料供給が一定間隔であるにも関わらず、発電出力や温度が大きく振動してしまうことになる。
また、比較例2に係る従来の燃料供給制御では、定電流発電制御時における発電電圧や、定電圧発電制御時における発電電流に2つの閾値(上限値および下限値)を定め、上限値を超えたら燃料供給を停止する一方、下限値を下回ったら燃料供給を再開するようになっている。ところが、燃料供給量と、発電電圧、発電電流およびそれらの積である発電出力とは、例えば図9に示したように、互いに単調な変化を示さず、燃料供給量の増加に応じて発電電圧等が極大値を持つ山なりの曲線を描くようになっている。したがって、例えば発電電圧が低かった場合、その時点で極大値(閾値)を超えているかどうかを知る術がないため、燃料供給を増やすべきか減らすべきかを、正しく判定することができないのである。具体的には、例えばクロスオーバー現象が発生した際に、それをより一層悪い状況にしてしまうことになる。すなわち、例えば定電流制御の際に燃料が不足していると、電圧が下がって下限値を下回るが、クロスオーバー現象が生じたときも同様に電圧が下がるため、下限値を下回ってしまう。ここで、前者(燃料不足の場合)では燃料を供給しなければならないが、後者(クロスオーバー現象が生じた場合)では燃料供給を停止しなければならない。しかしながら、この比較例2の燃料供給制御では、単に電圧しか見ていないため、これらの違いを区別できないことになる。
これに対して、本実施の形態の燃料電池システム5では、図1および図5に示したように、発電部10の温度(検出温度)T1が、温度検出部30により検出されると共に、この検出温度T1に基づいて、燃料ポンプ42による液体燃料の供給量が、制御部35により調整されるようになっている。ここで、燃料供給量と発電部の温度とは、上記した発電電圧等とは異なり、例えば図10に示したように互いに単調増加の関係となっている。
これにより、比較例1のような発電電圧等に基づく燃料供給制御と比べ、例えば、クロスオーバー現象を回避したり、外部環境の変動に応じた燃料供給制御が容易となる(例えば図10中に示したような閾値を定義しやすくなる)。具体的には、検出温度T1が高すぎるときには、常に燃料供給を少なくすればよく、逆に、検出温度T1が低すぎるときには、常に燃料供給を増やせばよい。この原則によれば破綻を来す状況が存在しないため、安定性の高い堅牢な発電を続けることが可能となる。
また、燃料電池はそもそも、化学反応によって発電している。燃料電極では燃料の酸化反応が進行し、酸素電極では酸化剤の還元反応が進行している。よって、発電を制御するということは、これらの化学反応そのものを制御することに他ならない。ここで、化学反応速度論によると、化学反応速度を決定するパラメーターは、頻度因子、活性化エネルギーおよび温度である。前者の2つがほぼ定数であることを考えると、燃料電池の化学反応を安定化させるには、温度を安定化させることが重要であることが分かる。したがって、このような観点からも、発電電流を決める根本の制御パラメーターである温度を安定化させることにより、安定な発電が実現されることになる。
ただし、検出温度T1に基づいて燃料供給を行う際、上限温度を超えたら燃料供給を停止する一方、下限温度を下回ったら燃料供給を再開する、という単純な制御は、好適とは言えない。この場合、バイメタルを用いたサーモスタットによる温度制御と同様に、例えば図11(A),図11(B)に示した比較例3のように、温度が大きく振動してしまう可能性が高い。すなわち、上限温度を超えてから燃料供給を停止したのでは遅すぎ、発電部10の温度T1はさらに上昇してしまい、逆に下限温度を下回ってから燃料供給を再開したのでも遅すぎ、発電部10の温度T1はさらに低下してしまうことになる。
そこで、本実施の形態の燃料電池システム5では、図5に示したように、PID制御部351により、発電部10の温度が一定となるようなフィードバック制御(具体的には、PID制御)がなされるようになっている。このPID制御は、制御量を目標値に迅速に近づけかつ安定化させることができる古典的なフィードバック制御法の1つであり、スムーズに実際の目標値に近づけることを可能とする制御法である。
これにより、例えば図12(A),図12(B)に示したように、発電部10の温度におけるオーバーシュートおよびアンダーシュートが防止され、上記比較例3で説明した燃料供給のオン(実行)・オフ(停止)による単純な制御と比べ、発電部10の温度が安定化する。したがって、例えば図13に示したように、本実施の形態の燃料供給制御により、発電部10において安定に発電動作がなされることが分かった。
また、例えば図14(A)〜図14(D)に示した実施例では、算出された燃料供給量をそのまま供給するのではなく、計算結果にノイズを加えて発電試験を行っている(ノイズあり→ノイズなし→ノイズあり、と変化させたときの発電結果)。この図14により、ノイズを加えても発電出力にはほとんど影響がなく、安定に発電が続くことが分かる。燃料供給手段として燃料ポンプを用いる燃料電池システムでは、燃料ポンプの経時劣化や外乱によって噴出量が変化する可能性がある。しかし、図14に示した結果では、燃料ポンプの噴出量が不意に変化しても、発電が安定に続くことを示している。
また、例えば図15(A)〜図15(D)に示した実施例は、燃料供給量を突然大幅に変化させた場合(ここでは、突然低下させた場合)のものである。この図15により、燃料供給量を突然大幅に変化させても、PID制御によってその変動をほぼ吸収することが可能であることが分かる。
さらに、例えば図16(A)〜図16(C)に示した実施例は、液体燃料に気泡を混入させた場合のものである。この図16により、燃料電極に多少の空気が混入した場合であっても、PID制御によってその変動をほぼ吸収することが可能であることが分かる。
以上のように本実施の形態では、温度検出部30によって検出された発電部10の温度T1に基づいて、燃料ポンプ42による液体燃料の供給量を調整することにより、発電部10の温度T1が一定となるような制御を行うようにしたので、従来と比べ、例えばクロスオーバー現象を回避したり外部環境の変動に応じた燃料供給制御が容易となると共に、発電部10の温度が安定化する。よって、外部環境(例えば、経時劣化や外乱)によらず、従来よりも安定して発電を行うことが可能となる。
具体的には、PID制御部351において、液体燃料の供給量を、目標温度Tsv(s)と検出温度T1(Tpv(s))との差分値の時間積分値および時間微分値に対して比例させることにより、発電部10の温度が一定となるように制御を行うようにしたので、上記した効果を得ることが可能となる。
また、発熱補正部352において、電圧検出部32により検出された発電電圧V1および電流検出部31により検出された発電電流I1に基づいて、発電部10におけるエネルギー変換効率ηを算出すると共に、算出したこのエネルギー変換効率ηを用いて液体燃料の供給量を補正するようにしたので、エネルギー変換効率ηを考慮した燃料供給制御が可能となり、従来よりもさらに安定した発電を行うことが可能となる。
さらに、外部環境に依存しない安定した発電動作が特に望まれていた気化供給型のDMFCにおいても、燃料供給量における過不足を抑えることにより、従来よりも安定して発電を行うことが可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の燃料電池システムは、図1に示した第1の実施の形態の燃料電池システム5において、制御部35の代わりに、後述する制御部36を設けるようにしたものである。なお、第1の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図17は、本実施の形態の制御部36のブロック構成を表したものである。この制御部36は、減算部(差分算出部)350と、PID制御部351と、発熱補正部352と、利用率制御部361と、最小値選択部362とから構成されている。すなわち、図5に示した第1の実施の形態の制御部35において、利用率制御部361および最小値選択部362をさらに設けるようにしたものである。
利用率制御部361は、電流検出部31により検出された発電電流(検出電流)I1に基づいて、発電部10における燃料の利用率E(=実際の発電電流値I/燃料供給量から見積もられる理論電流値I)を算出すると共に、算出したこの燃料の利用率Eが維持されるように(一定となるように)、液体燃料の供給量P(s)を算出するものである。なお、燃料の利用率Eとは、メタノール1分子当りで6eの電荷が取り出されることから、この関係に基づいて算出された、理論最大電流に対する実測電流(ここでは、検出電流I1)の比率を意味する。
この利用率制御部361は、具体的には、以下の(8)式を用いて、燃料供給量P(s)を算出するようになっている。
(s)=Kcell×Esv×Ipv(s) ……(8)
(Kcell:比例定数、Esv:利用率の設定値、Ipv(s):現在の発電電流値)
最小値選択部362は、PID制御部351および発熱補正部352において、発電部10の温度T1に基づいて算出された燃料供給量PPID(s)(第1の燃料供給量)と、利用率制御部361において、燃料の利用率Eに基づいて算出された燃料供給量P(s)(第2の燃料供給量)とを考慮して、最終的な燃料供給量P(s)を決定し、燃料電池1内の燃料ポンプ42へ供給するものである。具体的には、これら燃料供給量PPID(s)および燃料供給量P(s)のうちの一方を選択することにより、最終的な燃料供給量P(s)を決定するようになっている。より具体的には、これら燃料供給量PPID(s)および燃料供給量P(s)のうち、供給量値の小さいほうを選択することにより、最終的な燃料供給量P(s)を決定するようになっている。
なお、最小値選択部36における選択方式の代わりに、他の選択方式を用いるようにしてもよい。例えば、発電部10における発電モードの種類などに応じて、燃料供給量PPID(s)および燃料供給量P(s)のうちの一方を選択することにより、最終的な燃料供給量P(s)を決定するようにしてもよい。
次に、本実施の形態の燃料電池システムの作用および効果について、詳細に説明する。なお、燃料電池システムの基本動作は第1の実施の形態と同様であるので、制御部36による燃料供給の制御動作についてのみ説明する。
まず、上記した第1の実施の形態の制御部35では、例えば発電中の燃料電池1を突然冷却した場合などには、例えば図18に示したように、大きな高発熱現象が生じてしまうことがありうる。これは、目標温度が常に一定であるため、外部から冷却され続けて目標温度に達せない場合には、過剰に燃料供給を行ってクロスオーバーを発生させてでも、目標温度に近づこうとしてしまうからである。すなわち、発電できない状況なのに、それを認識できていないことになる。
そこで、例えば図19に示した制御部106(比較例4)のように、制御部106内に上記した利用率制御部361を設け、算出した燃料の利用率が一定となるように液体燃料の供給量P(s)を調整することが考えられる。これによれば、例えば突然の冷却等が生じた場合でも、環境変化に追随することが可能となると考えられるためである。
この比較例4の燃料供給制御では、例えば図20(A)〜図20(C)に示したように、発電中に発電部10の周囲に風を流して冷却させた場合(突然の冷却が生じた場合)でも、利用率が下がることなく(約50%に維持され)、発電が続いていることが分かる。しかしながら、図20(C)に示したように、発電部10の温度が最高で60℃近くまで上昇し、高温度現象が生じてしまっている。
これに対して、本実施の形態の制御部36では、PID制御部351および発熱補正部352において、発電部10の温度T1に基づいて算出された燃料供給量PPID(s)と、利用率制御部361において、燃料の利用率に基づいて算出された燃料供給量P(s)との両方を考慮して、最終的な燃料供給量P(s)が決定されるようになっている。すなわち、発熱部10の温度を一定とするPID制御における利点と、発熱部10の利用率を一定とする利用率制御における利点とが兼用され、お互いの欠点が相殺されるようになっている。
これにより、例えば突然の冷却等が生じた場合に、発電部10の利用率Eが一定となることにより、PID制御の場合の高発熱現象が回避されると共に、発電部10の温度に上限が設けられるため、利用率制御の場合の高温度現象が回避される。
したがって、例えば図21(A)〜図21(D)に示したように、発電部10の周りに風を流して冷却させた場合でも、クロスオーバーによる異常発熱が生じず、安全な発電がなされていることが分かる。また、例えば図22(A)〜図22(D)に示したように、発電部10の底を直接冷却した場合でも、同様にクロスオーバーによる異常発熱が生じず、安全な発電がなされていることが分かる。
以上のように本実施の形態では、PID制御部351および発熱補正部352において、発電部10の温度T1に基づいて算出された燃料供給量PPID(s)と、利用率制御部361において、燃料の利用率Eに基づいて算出された燃料供給量P(s)との両方を考慮して、最終的な燃料供給量P(s)を決定するようにしたので、PID制御の場合の高発熱現象や、利用率制御の場合の高温度現象を回避することができる。よって、第1の実施の形態と比べ、さらに様々な外部環境の変化の下でも、安定して発電を行うことが可能となる。
具体的には、最小値選択部362において、燃料供給量PPID(s)および燃料供給量P(s)のうちの供給量値の小さいほうを選択することによって、最終的な燃料供給量P(s)を決定するようにしたので、上記したような効果を得ることが可能となる。
また、PID制御と利用率制御とを組み合わせることにより、発電部10の温度の上限値(Tmax)と、利用率の下限値(Emin)とを規定することができ、様々な外乱に対し、安全でロバストな発電動作を実現することが可能となる。
(第2の実施の形態の変形例)
なお、第2の実施の形態の燃料供給制御(PID制御と利用率制御との組み合わせ)では、利用率Eの下限値の設定が不適切である場合、十分な発電出力が得られなかったり、逆に無駄に燃料を消費してしまう可能性がある。なお、利用率Eの下限値の設定が不適切である場合とは、具体的には、利用率Eの下限値の設定が外部環境等に適合しなかった場合や、燃料供給系の不具合などに起因して、燃料ポンプ42の一動作当りの燃料供給量が変動してしまった場合などが挙げられる。そこで、燃料の利用率Eの設定値(ここでは、下限値)を、制御部36において、環境に応じて定期的に(ダイナミックに)更新するようにするのが好ましい。具体的には、例えば10分ごとに燃料を完全消費させると共に、過去10分間における燃料の利用率Eの実力値を、その都度計算するようにする。そして、その計算された利用率Eが、次の10分間においても維持されるよう、利用率Eの下限値を自動更新するようにする。
このように構成した場合、例えば図23(A)〜図23(F)に示したように、安全性だけでなく、エネルギー変換効率η(燃費)も最適化することが可能となる。
以上、第1〜第2の実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態等では、液体燃料の供給量を、目標温度Tsv(s)と検出温度Tpv(s)との差分値の時間積分値および時間微分値に対して比例させることにより、発電部10の温度が一定となるように制御を行う(PID制御を行う)場合について説明したが、例えば、P制御やPI制御、ファジー制御、H∞制御などの他のフィードバック制御を用いて、発電部10の温度が一定となるように制御を行うようにしてもよい。具体的には、液体燃料の供給量を、目標温度Tsv(s)と検出温度Tpv(s)との差分値に対して比例させることにより、発電部10の温度が一定となるように制御を行う(P制御を行う)ようにしてもよい。また、液体燃料の供給量を、目標温度Tsv(s)と検出温度Tpv(s)との差分値の時間積分値に対して比例させることにより、発電部10の温度が一定となるように制御を行う(PI制御を行う)ようにしてもよい。また、液体燃料の供給量を、目標温度Tsv(s)と検出温度Tpv(s)との差分値の時間微分値に対して比例させることにより、発電部10の温度が一定となるように制御を行う(PD制御を行う)ようにしてもよい。
また、上記実施の形態等では、発熱補正部352が、電圧検出部32により検出された発電電圧(検出電圧)V1を用いて発電部10におけるエネルギー変換効率ηを算出する場合について説明したが、そのような発電電圧V1の代わりに予め設定された所定の電圧(設定電圧)を用いて、発電部10におけるエネルギー変換効率ηを算出するようにしてもよい。
また、上記実施の形態等では、発電部10が、互いに電気的に直列接続された6つの単位セルを含む場合について説明したが、単位セルの数はこれには限られない。例えば、発電部10が1つの単位セルにより構成されていてもよく、また、2以上の任意の複数の単位セルにより構成されていてもよい。
また、上記実施の形態等では、酸素電極13への空気の供給を自然換気とするようにしたが、ポンプなどを利用して強制的に供給するようにしてもよい。その場合、空気に代えて酸素または酸素を含むガスを供給するようにしてもよい。
また、上記実施の形態等では、液体燃料41を収容する燃料タンク40を燃料電池システム5内に内蔵させる場合で説明したが、そのような燃料タンクが、燃料電池システムに対して着脱可能な構成としてもよい。
また、上記実施の形態等では、ダイレクトメタノール型の燃料電池システムについて説明したが、本発明は、これ以外の種類の燃料電池システムについても適用することが可能である。
本発明の燃料電池システムは、例えば、携帯電話、電子写真機、電子手帳またはPDA(Personal Digital Assistants)等の携帯型の電子機器に好適に用いることが可能であ
る。
本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池システムの全体構成を表すブロック図である。 図1に示した発電部の構成例を表す断面図である。 図1に示した発電部の構成例を表す平面図である。 気化型の燃料供給方式の概要を説明するための特性図である。 図1に示した制御部の詳細構成を説明するためのブロック図である。 図1に示した発電部の製造方法を説明するための断面図である。 図1に示した発電部の製造方法を説明するための平面図である。 比較例1に係る燃料供給制御による発電特性の一例を表す特性図である。 比較例2に係る燃料供給制御による発電特性について説明するための模式特性図である。 第1の実施の形態に係る燃料供給制御による発電特性の概要について説明するための模式特性図である。 比較例3に係る燃料供給制御による発電特性について説明するための模式特性図である。 第1の実施の形態に係る燃料供給制御による発電特性の詳細について説明するための模式特性図である。 第1の実施の形態に係る燃料供給制御による発電特性の一例を表す特性図である。 第1の実施の形態に係る燃料供給制御による発電特性の他の例を表す特性図である。 第1の実施の形態に係る燃料供給制御による発電特性の他の例を表す特性図である。 第1の実施の形態に係る燃料供給制御による発電特性の他の例を表す特性図である。 第2の実施の形態に係る制御部の詳細構成を説明するためのブロック図である。 第1の実施の形態に係る燃料供給制御において生じ得る高発熱について説明するための特性図である。 比較例4に係る制御部の詳細構成を説明するためのブロック図である。 比較例4に係る燃料供給制御による発電特性の一例を表す特性図である。 第2の実施の形態に係る燃料供給制御による発電特性の一例を表す特性図である。 第2の実施の形態に係る燃料供給制御による発電特性の他の例を表す特性図である。 第2の実施の形態の変形例に係る燃料供給制御による発電特性の一例を表す特性図である。
符号の説明
1…燃料電池、10…発電部、10A〜10F…単位セル、11…電解質膜、12…燃料電極、13…酸素電極、20…接続部材、20A…端子、30…温度検出部、31…電流検出部、32…電圧検出部、33…昇圧回路、34…二次電池、35,36…制御部、350…減算部(差分算出部)、351…PID制御部、352…発熱補正部、361…利用率制御部、362…最小値選択部、40…燃料タンク、41…液体燃料、42…燃料ポンプ、43…ノズル、44…燃料気化部、5…燃料電池システム、6…負荷、V1…発電電圧(検出電圧)、V2…直流電圧、I1…発電電流(検出電流)、T1(Tpv(s))…検出温度、Tsv(s)…目標温度、H(s)…所望発熱量、P(s),PPID(s),P(s)…燃料供給量(燃料噴出量)、P1〜P4…接続点、T2,T3…出力端子、L1L,L1H…接続ライン、LO…出力ライン、LG…接地ライン、Δt…燃料供給周期。

Claims (12)

  1. 燃料および酸化剤ガスの供給により発電を行う発電部と、
    前記発電部側へ液体燃料を供給すると共に、この液体燃料の供給量が調節可能となっている燃料供給部と、
    前記燃料供給部により供給された液体燃料を気化させることによって、気体燃料を前記発電部へ供給する燃料気化部と、
    前記発電部の温度を検出する温度検出部と、
    前記発電部の発電電流を検出する電流検出部と、
    前記温度検出部により検出された発電部の温度と、前記電流検出部により検出された発電電流とに基づいて、前記発電部の発電時における前記燃料供給部による液体燃料の供給量を調整する制御部と
    を備え
    前記制御部は、
    前記発電部の温度に基づいて、前記発電部における発電時の温度が一定となるように、第1の燃料供給量を算出し、
    前記発電電流に基づいて、前記発電部における発電時の燃料の利用率を算出すると共に、算出したこの燃料の利用率が一定となるように、第2の燃料供給量を算出し、
    前記第1の燃料供給量と前記第2の燃料供給量との双方を考慮して、最終的な液体燃料の供給量を決定する
    燃料電池システム。
  2. 前記制御部は、前記第1および第2の燃料供給量のうちの一方を選択することにより、前記最終的な液体燃料の供給量を決定する
    請求項に記載の燃料電池システム。
  3. 前記制御部は、前記第1および第2の燃料供給量のうち、供給量値の小さいほうを選択することにより、前記最終的な液体燃料の供給量を決定する
    請求項に記載の燃料電池システム。
  4. 前記制御部は、前記燃料の利用率の設定値を、定期的に更新する
    請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記制御部は、
    前記発電部の発電電圧または所定の設定電圧に基づいて、前記発電部におけるエネルギー変換効率を近似的に算出すると共に、
    算出したこのエネルギー変換効率を用いて、前記第1の燃料供給量を補正する
    請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  6. 前記制御部は、
    前記発電部の発電電圧または所定の設定電圧に加え、
    前記発電部の発電電流をも考慮して、前記発電部におけるエネルギー変換効率を算出する
    請求項に記載の燃料電池システム。
  7. 前記制御部は、前記第1の燃料供給量を、設定温度と検出された発電部の温度との差分の時間積分値および時間微分値に対して比例させることにより、前記発電部における発電時の温度が一定となるように制御を行う
    請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  8. 前記制御部は、前記第1の燃料供給量を、設定温度と検出された発電部の温度との差分値に対して比例させることにより、前記発電部における発電時の温度が一定となるように制御を行う
    請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  9. 前記制御部は、前記第1の燃料供給量を、設定温度と検出された発電部の温度との差分の時間積分値に対して比例させることにより、前記発電部における発電時の温度が一定となるように制御を行う
    請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  10. 前記制御部は、前記第1の燃料供給量を、設定温度と検出された発電部の温度との差分の時間微分値に対して比例させることにより、前記発電部における発電時の温度が一定となるように制御を行う
    請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  11. 前記液体燃料を収容する燃料タンクを備えた
    請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  12. 燃料電池システムを備え、
    前記燃料電池システムは、
    燃料および酸化剤ガスの供給により発電を行う発電部と、
    前記発電部側へ液体燃料を供給すると共に、この液体燃料の供給量が調節可能となっている燃料供給部と、
    前記燃料供給部により供給された液体燃料を気化させることによって、気体燃料を前記発電部へ供給する燃料気化部と、
    前記発電部の温度を検出する温度検出部と、
    前記発電部の発電電流を検出する電流検出部と、
    前記温度検出部により検出された発電部の温度と、前記電流検出部により検出された発電電流とに基づいて、前記発電部の発電時における前記燃料供給部による液体燃料の供給量を調整する制御部と
    を有し、
    前記制御部は、
    前記発電部の温度に基づいて、前記発電部における発電時の温度が一定となるように、第1の燃料供給量を算出し、
    前記発電電流に基づいて、前記発電部における発電時の燃料の利用率を算出すると共に、算出したこの燃料の利用率が一定となるように、第2の燃料供給量を算出し、
    前記第1の燃料供給量と前記第2の燃料供給量との双方を考慮して、最終的な液体燃料の供給量を決定する
    電子機器。
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