JP5168950B2 - 燃料電池、電子機器および燃料供給方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水素と酸素との反応により発電を行う燃料電池、そのような燃料電池を内蔵する電子機器および燃料電池に適用される燃料供給方法に関する。
燃料電池は、水素と酸素とを化学反応させることにより、水を生成すると共に電流を取り出すものである。この燃料電池は、燃料である水素の供給方式や反応機構によって、直接水素固体高分子型、直接メタノール型、燃料改質型、リン酸型、溶融固体高分子型、固体酸化物型などに分類される。
そのうち、近年では、メタノールを直接酸化する直接メタノール型燃料電池に関する研究開発が精力的に検討されるようになっている。燃料の取扱い性と高エネルギー密度化との両立が比較的容易だからである。
図26は、従来の直接メタノール型燃料電池の構成例を断面構造で表したものである。この燃料電池101では、燃料タンク120内にメタノール水からなる液体燃料121が収容されている。燃料タンク120内の上方の中央部には燃料ポンプ122が設けられ、ノズル123を介して燃料拡散シート103に接続されている。また、この燃料拡散シート103の周囲は封止部141および分離シート142に覆われ、分離シート142の上方には複数の電池セル105A〜105Cからなる電池本体105と、燃料漏れ防止シート143とが設けられている。この燃料電池101では、液体燃料121が燃料ポンプ122およびノズル123によって燃料拡散シート103へ充填され、この燃料拡散シート103において液体燃料121が拡散しつつ気化する。そして分離シート142において気化した燃料のみが電池セル105A〜105Cへ到達して供給されることで、各電池セル105A〜105Cにおいて発電動作がなされるようになっている。
また、例えば特許文献1には、所定形状の流路を設けて液体燃料を円滑に拡散できるようにした燃料電池が開示されている。
特開2006−140153号公報 特開2000−106201号公報
ところが、図26に示した燃料電池では、燃料拡散シート103における液体燃料の拡散性が低いため、ノズル123から液体燃料121が供給された直後はこのノズル123付近でのみ液体燃料121の気化が生じ、その直上の電池セル(この場合、電池セル105B)だけに燃料が供給されてしまうという問題があった。したがって、当初は電池本体105のうちの一部分の発電セルのみが発電動作を行うため、位置ばらつきが生じると共に発電効率が低くなってしまうことになる。よって、このような位置ばらつきを抑えて気化した燃料を均一に拡散させるため、燃料拡散シート103上に所定の空間領域140が必要となり、燃料電池の小型化が困難であった。
一方、上記特許文献1では、所定形状の流路によって液体燃料を有効に拡散できる可能性があるものの、複雑な形状の流路を設ける必要があるため、製造コストが高くなってしまうことになる。
このように従来の燃料電池では、簡易な構成で電池の小型化を図ることが困難であった。
また、図26に示した構成では、燃料電池の姿勢差により、燃料拡散シート103における液体燃料121の拡散が重力の影響を受けて不均一になってしまうという問題があった。例えば、燃料電池を水平に置いた場合は、図27に示したように、液体燃料121は燃料拡散シート103の全体にほぼ均一に拡散する。しかし、燃料電池を垂直に置いた場合には、図28に示したように、液体燃料121の拡散範囲は重力の影響を受けて下方に偏ってしまい、下方の電池セルだけに燃料が供給されてしまっていた。
そこで、例えば、不織布などの多孔質部材に液体燃料を毛管力により充満させて、重力の影響を解消することが考えられる(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この方法では、不織布に充填させる液体燃料が多量に必要となるので、燃料供給を停止してもかなりの量の液体燃料が不織布に残ってしまい、燃料の気化を速やかに止めることができないという問題があった。
このように従来の燃料電池では、姿勢差による重力の影響を抑えて液体燃料を均一に各電池セルに供給することが困難であった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、簡易な構成で電池の小型化を図ることが可能な燃料電池、電子機器および燃料供給方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、姿勢差による重力の影響を抑えて液体燃料を均一に各発電部に供給することができる燃料電池およびこれを備えた電子機器を提供することにある。
本発明の燃料電池は、発電部を含む電池本体と、表面に多孔質酸化膜を有すると共に表面に溝部が設けられ、溝部および多孔質酸化膜により液体燃料を拡散させて発電部へ供給する燃料拡散部と、液体燃料を収容し、この液体燃料を多孔質酸化膜へ供給する燃料タンクと、燃料拡散部と電池本体との間に設けられ、気体と液体とを分離する分離シートとを備えたものである。
また、溝部は、燃料タンクから液体燃料が供給される入口から燃料拡散部の周縁部に向かって放射状に設けられていることが好ましい。
本発明の電子機器は、本発明の燃料電池を内蔵したものである。
本発明の燃料供給方法は、燃料タンクに収容される液体燃料を発電部へ供給するための方法であって、表面に多孔質酸化膜を有すると共に表面に溝部が設けられた燃料拡散部を用い、燃料拡散部と発電部との間に、気体と液体とを分離する分離シートを設け、液体燃料を多孔質酸化膜および溝部が設けられた表面へ供給し、液体燃料を毛細管現象により溝部を伝って移動させ、移動した液体燃料を溝部から多孔質酸化膜に供給し、多孔質酸化膜での毛細管現象によって液体燃料を拡散させ、拡散された液体燃料を多孔質酸化膜において気化させ、気化した燃料を、分離シートを通過して発電部へ供給するようにしたものである。
また、液体燃料を燃料拡散部の入口へ供給し、入口から燃料拡散部の周縁部に向かって放射状に形成された溝部での毛細管現象によって液体燃料を移動させることが好ましい。
本発明の燃料電池および電子機器では、燃料タンクに収容される液体燃料が多孔質酸化膜および溝部が設けられた表面へ供給される。液体燃料は、毛細管現象により溝部を伝って移動する。移動した液体燃料は、溝部から多孔質酸化膜に供給される。多孔質酸化膜では、多数の微細な空孔に起因した毛細管現象により、液体燃料が拡散する。そして拡散した液体燃料が気化し、気化した燃料が、分離シートを通過して発電部へ供給される。
また、燃料タンクに収容される液体燃料は、燃料拡散部の入口に供給され、毛細管現象により放射状の溝部を伝って移動することが好ましい。燃料拡散部が垂直に配置されている場合、液体燃料は重力に逆らって溝部内を上昇する。よって、姿勢差による重力の影響が抑えられ、液体燃料が各発電部に均一に供給される。
本発明の燃料電池または電子機器によれば、表面を多孔質酸化膜とすると共に表面に溝部を有する燃料拡散部を設け、燃料タンクから燃料拡散部へ供給される液体燃料を、溝部を伝って移動させると共に多孔質酸化膜で拡散させるようにしたので、毛細管現象を利用して液体燃料を均一かつ広範囲に拡散させてから気化させ、発電部へ供給することができる。よって、簡易な構成で電池の小型化を図ることが可能となる。
また、燃料拡散部の電池本体側の表面に、入口から燃料拡散部の周縁部に向かって放射状に放射状に溝部を設けるようにすれば、重力方向にかかわらず毛細管現象を利用して液体燃料を溝部内で移動させることができる。よって、姿勢差による重力の影響を抑えて液体燃料を均一に各発電部へ供給することができる。
本発明の燃料供給方法によれば、燃料タンクに収容される液体燃料を多孔質酸化膜および溝部が設けられた表面へ供給し、この溝部および多孔質酸化膜での毛細管現象によって液体燃料を拡散させ、拡散された液体燃料を気化させて、気化した燃料を、分離シートを通過させて発電部へ供給するようにしたので、気化した燃料を均一に拡散させることができる。よって、簡易な構成で電池の小型化を図ることが可能となる。
また、燃料タンクに収容される液体燃料を燃料拡散部の入口へ供給し、この入口から燃料拡散部の周縁部に向かって放射状に形成された溝部での毛細管現象によって液体燃料を移動させ、移動した液体燃料を気化させて発電部へ供給するようにすれば、燃料拡散部を垂直に配置した場合であっても、液体燃料を重力に逆らって溝部内を上昇させることができる。よって、姿勢差による重力の影響を抑えて液体燃料を均一に各発電部へ供給することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池(燃料電池1)の断面構成を表すものである。なお、本発明の第1の燃料供給方法は、本実施の形態に係る燃料電池装置によって具現化されるので、以下、併せて説明する。
この燃料電池1には、液体燃料(例えば、メタノール水)21を収容する燃料タンク20が設けられ、この燃料タンク20の上方には、電池本体5が設けられている。電池本体5は、水平方向に沿って配置された複数の電池セル5A〜5Cを含んでいる。なお、燃料タンク20は、例えば、液体燃料21の増減によっても内部に気泡などが入らずに体積が変化する容器(例えばビニール袋など)と、この容器を覆う直方体形状のケース(構造体)とにより構成される。
各電池セル5A〜5Cはそれぞれ、水素と酸素との反応により発電を行う直接メタノール型の発電部であり、電解質膜52を介して燃料電極(アノード電極、負極)51と酸素電極(カソード電極、正極)53とが対向配置されている。酸素電極53には図示しない空気供給ポンプが接続され、燃料電極51は電池セル5A〜5Cのうちの燃料タンク20側に形成されている。なお、電解質膜52は、例えばプロトン伝導体により構成される。
燃料タンク20内には、その中央付近の上方に、燃料タンク20内の液体燃料を吸引してノズル23から排出させるための燃料供給ポンプ22が設けられている。この燃料タンク20と電池セル5A〜5Cとの間、具体的には燃料タンク20の上面には、ノズル23から排出される液体燃料21を層内で拡散させるための燃料拡散層3が形成されている。なお、ノズル23は、燃料タンク20および燃料拡散層3の一部を貫通し、燃料タンク20内の液体燃料が燃料拡散層3へ供給されるようになっている。
図2は、燃料拡散層3の断面形状を詳細に表したものである。この燃料拡散層3は、金属層31上(電池本体5側の表面)に多孔質酸化膜32(膜厚:d1)を有するものである。
金属層31は、アルミニウム(Al)またはその合金により構成されている。多孔質酸化膜32は、金属層31に対して所定のアルマイト加工することによって形成されたものであり、酸化アルミニウム(Al2 3 )または酸化アルミニウム合金により構成されている。多孔質酸化膜32には、図2に示したように、層間方向に沿って多数の微細な空孔(例えば、直径10nm程度)が形成されている。なお、この多孔質酸化膜32を形成する際のアルマイト加工の詳細については、後述する。
図1の説明に戻り、燃料タンク20上における燃料拡散層3の周囲では、封止部41が層間方向に延在している。燃料拡散層3の上方には、封止部41に接続された分離シート42が一様に形成され、気体と液体とを分離できるようになっている。なお、この分離シート42は、例えばポリプロピレンベースの多孔質膜などにより構成される。
分離シート42の上方には、前述の電池セル5A〜5Cがそれぞれ配置されている。電池セル5A〜5C間およびこれらと分離シート42との間は、燃料漏れ防止部43によって接続され、分離シート42を通過してしまった液体燃料21の漏れを防止できるようになっている。
この燃料電池1は、例えば次のようにして製造することができる。
まず、燃料供給ポンプ22およびノズル23が取り付けられた燃料タンク20上に、例えばスパッタ法により、前述した材料よりなる金属層31を形成する。
次に、この金属層31に対して所定のアルマイト加工を施し、多孔質酸化膜32を形成する。具体的には、まず、アルマイト加工用の前処理として、金属層31に対して脱脂処理およびエッジング処理などを行い、金属層31表面の油類や自然酸化膜を除去する。次いで、金属層31に対してアルマイト処理(陽極酸化被膜処理)を施し、多孔質酸化膜32を形成する。この際、例えば硫酸層や、クロム酸層、有機酸層、硝酸層、シュウ酸層またはホウ酸層などにおいて処理を行い、例えば1(A/dm2 )程度の直流電流を印加させて行う。また、上記酸層の温度は例えば20℃程度に設定するが、この温度によって多孔質酸化膜32の表面状態を調整することができる。また、温度を上昇させると液体燃料の拡散効果を強めることができるので望ましい。なお、このアルマイト処理の際の染色については任意の色を設定することができる。また、通常のアルマイト加工においては、この後封孔処理を行うが、本実施の形態のアルマイト加工においては封孔処理の全部または一部を省略して空孔を残し、完全には封孔処理を施さないようになっている。
最後に、このようにして形成された燃料拡散層3上に封止部41および分離シート42を設け、さらにその上に前述した材料よりなる電池本体5および燃料漏れ防止部43を設けることにより、図1に示した燃料電池装置1が製造される。
この燃料電池装置1では、燃料タンク20に収容される液体燃料21が、燃料供給ポンプ22およびノズル23によって燃料拡散層3へ充填される。また、充填された液体燃料21は、燃料拡散層3表面の多孔質酸化膜32において拡散し、気化する。そして気化した燃料が分離シート42を通過して各電池セル5A〜5Cへ到達し、それらの燃料電極51へそれぞれ供給される。一方、図示しない空気供給ポンプによって、各電池セル5A〜5Cの酸素電極53へ空気(酸素)が供給される。すると、各燃料電極51において、反応により水素イオンと電子とが生成される。また、この水素イオンは電解質膜52を通って酸素電極53へ移動し、電子および酸素と反応して水が生成されると共に、二酸化炭素が副生成される。このようにして、燃料電池1において発電動作がなされる。
その際、多孔質酸化膜32には上述した所定のアルマイト加工により微細な空孔が多数形成されているため、これらの微細な空孔に起因した毛細管現象によって、例えば図3(A)および図4(A)にそれぞれ断面図および平面図で示したように、多孔質酸化膜32へ供給された液体燃料21が、均一かつ広範囲に拡散する。なお、図3(A)では、液体燃料21が空孔の底部にまで一様に拡散しているが、多孔質酸化膜32の表面の状況等によっては、液体燃料21が空孔の底部にまでは拡散しない場合もありうる。
一方、図26に示した従来の燃料電池101では、燃料拡散シート103へ供給された液体燃料121は、燃料拡散シート103上において液体燃料121の濡れ性が低いため、例えば図3(B)および図4(B)にそれぞれ平面図および断面図で示したように、本実施の形態の燃料電池1の場合と比べ、拡散する範囲が狭くなっている。
このようにして本実施の形態の燃料電池1では、多孔質酸化膜32へ供給された液体燃料21が均一かつ広範囲に拡散するので、その結果、気化した燃料がノズル23の上方付近に偏らず、均一な状態で電池本体5へ供給される。
以上のように、本実施の形態では、電池本体5と燃料タンク20との間に、電池本体5側の表面を多孔質酸化膜32とする燃料拡散層3を設け、燃料タンク20から燃料拡散層3へ供給される液体燃料21をこの多孔質酸化膜32で拡散させるようにしたので、微細な空孔に起因した毛細管現象を利用して液体燃料21を均一かつ広範囲に拡散させてから気化させ、電池本体5内の各電池セル5A〜5Cへ供給することができる。よって、気化した燃料を均一に拡散させるための空間領域や、液体燃料を拡散させるための複雑な形状の流路などが不要となり、簡易な構成で電池の小型化を図ることが可能となる。
また、アルミニウムよりなる金属層31に対して所定のアルマイト加工を行うだけでよいので、安価な製造コストで実現することができる。
また、通常のアルマイト加工では、微細な空孔を形成した後にこれらの空孔をふさぐための封孔処理を施しているが、本実施の形態の多孔質酸化膜32ではこの封孔処理を省くようにしたので、上記した効果を実現可能とすると共に、工程を1つ省くことにより、通常のアルマイト加工と比べてより簡単な方法で燃料拡散層3を形成することが可能となる。
また、多孔質酸化膜32において液体燃料21を拡散させた後、すぐに気化させることができるので、電池本体5における発電終了後に無駄な液体燃料21を残存させてしまうことがなく、少量の液体燃料21によって広範囲に供給することができる。よって、液体燃料21の利用効率を向上させ、燃料電池1の発電効率も向上させることが可能となる。
さらに、多孔質膜となっているのがアルミニウム化合物の中でも最も安定な酸化アルミニウムなので、例えば液体燃料21がメタノールである場合でも、メタノールによる膜の変質を防ぎ、経時的な劣化を回避することができる。よって、長時間経過した後においても安定した発電動作を行うことが可能となる。
なお、本実施の形態の燃料電池1では、例えば図5に示したような多孔質酸化膜32A(膜厚:d2)を有する燃料拡散層3Aのように、多孔質酸化膜の膜厚を、液体燃料21の拡散速度や燃料保持量に応じて調整するようにしてもよい。このように構成した場合、本実施の形態における効果に加え、多孔質酸化膜の膜厚調整により、液体燃料21の拡散速度や燃料保持量を最適な値に調整することが可能となる。また、この他にも、多孔質酸化膜の膜厚調整によって、燃料供給ポンプ22の駆動能力や液体燃料21の保水条件なども、最適な値に調整することが可能である。
以下、第1の実施の形態の変形例(第1〜第4)について説明する。
(第1の変形例)
例えば、平面図である図6(A)およびそのII−II面の矢視断面図である図6(B)にそれぞれ示した燃料拡散層3Bのように、燃料拡散層における電池本体5側の表面に、所定方向に沿った物理的加工による溝部33(ここでは、複数の溝部331〜333からなる)を形成するようにしてもよい。このように構成した場合、例えば、図6(A)に示したように、符号P1部分の液体燃料を図中の矢印のように溝部33の延在方向に沿って選択的に拡散させることができ、上記実施の形態における効果に加え、液体燃料21の拡散方向を任意に制御することが可能となる。なお、このような物理的加工による溝部の代わりに、多孔質酸化膜32上に意図的にいわゆるアルマイトクラックを形成し、このアルマイトクラックを利用して液体燃料21の拡散方向を制御するようにしてもよい。
(第2の変形例)
また、例えば平面図である図7(A)およびそのIII−III面の矢視断面図である図7(B)にそれぞれ示した燃料拡散層3Cのように、燃料拡散層へ液体燃料21を供給するためのノズルを複数設け、その数を増やすようにしてもよい(ここでは、5つのノズル231〜235からなる)。このように構成した場合、液体燃料21の拡散性をより向上させ、液体燃料21の利用効率および燃料電池1の発電効率をより向上させることが可能となる。
(第3の変形例)
また、例えば図8に示した燃料タンク20Aを有する燃料電池1Aのように、燃料タンク自体をアルミニウムまたはその合金により構成し、その上面、すなわち電池本体5側の表面をアルマイト加工して、燃料タンクの表面に多孔質酸化膜を形成するようにしてもよい。このように構成した場合、燃料拡散層を別途形成する必要がなくなり、より簡単な構成で燃料電池のさらなる小型化を図ることが可能となる。
(第4の変形例)
さらに、例えば図9に示した燃料電池1Bのように、各電池セル5A〜5Cと燃料拡散層3との間をそれぞれ接続する熱伝導部6A〜6Cを設け、各電池セル5A〜5Cで生ずる熱を燃料拡散層3へ伝導させるようにしてもよい。このように構成した場合、各電池セル5A〜5Cで生ずる熱を利用して燃料拡散層3の温度を上昇させることができ、多孔質酸化膜32での拡散効率をより向上させることが可能となる。また、この多孔質酸化膜32は熱伝導率が高いアルミニウム酸化物により構成されているので、接続部6A〜6Cから伝えられた熱を迅速に膜全体へ伝導させることができ、その効果は大きい。さらに、各電池セル5A〜5Cで発生した熱を有効に再利用することができ、電池本体5での放熱を効率的に行うことができると共に、エネルギーを有効に再利用することが可能となる。
(第2の実施の形態)
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池の燃料拡散層の構成を表したものである。この燃料電池は、燃料拡散層3Dの溝部33の形状が異なることを除いては、上記第1の変形例および上記第1の実施の形態と同様に構成されている。よって、対応する構成要素には同一の符号を付して説明する。なお、本発明の第2の燃料供給方法は、本実施の形態に係る燃料電池装置によって具現化されるので、以下、併せて説明する。
燃料タンク20,液体燃料21,燃料供給ポンプ22,電池本体5,封止部41,分離シート42,燃料漏れ防止部43は、第1の実施の形態と同様に構成されている。
燃料拡散層3Dの構成材料は、特に限定されないが、例えばアルミニウム(Al)またはアルミニウム(Al)を含む合金が好ましい。高熱伝導性を活かして液体燃料21の温度を瞬時に上昇させ、液体燃料21の気化効率を向上させることができるからである。
燃料拡散層3Dの電池本体5側の表面には、多数の溝部33が、燃料タンク20から液体燃料21が供給される入口ILから燃料拡散部3Dの周縁部に向かって放射状に形成されている。これにより、この燃料電池では、溝部33における毛細管現象を利用して、燃料電池の姿勢差による重力の影響を抑えて液体燃料21を均一に各電池セル5A〜5Cに供給することができるようになっている。
溝部33の断面形状は特に限定されないが、例えば図11に示した逆三角形(V字形)、図12に示した矩形、または図13に示した円あるいは楕円などの曲線(U字形)よりなる断面形状が好ましい。断面逆三角形の溝部33は、先端の鋭角部34が狭い部分となっており、この鋭角部34に強力な毛細管現象を生じさせることができ、加工も容易である。断面矩形の溝部33は、底面と側面とによる二つの角部35を有しているので、一定の毛細管力を確保することができ、効率の良い燃料輸送が可能となる。断面曲線形状の溝部33は、燃料輸送効率を重視する場合に好適であると共に加工も容易である。
更に、溝部33は、図14および図15に示したように、深さ方向に複数(例えば二段階)の溝33A,33Bを組合せた構成を有していてもよい。これにより、上述した各断面形状を複合し、それらの利点を更に活かすことが可能となる。溝33A,33Bの断面形状も特に限定されず、また、溝33A,33Bを同一の断面形状としてもよいし異なる断面形状としてもよい。例えば図14に示したように、溝33A,33Bを幅の異なる逆三角形の断面形状としてもよいし、図15に示したように、溝33Aを円や楕円などの曲線よりなる断面形状とし、溝33Bを逆三角形の断面形状としてもよい。
加えて、溝部33は、図16に示したように、燃料拡散層3Dの電池本体5側の表面に二つの突起36を設け、この突起36の間の隙間を溝部33として構成したものであってもよい。この場合、突起36の外側の隅部37にも溝33と同様の燃料輸送機能を持たせることが可能となる。
更にまた、燃料拡散層3Dは、図17に示したように、溝部33を設けた燃料輸送層3D1と、この燃料輸送層3D1の溝部33が設けられた表面を覆う被覆層3D2とを有していてもよい。溝部33の側面は緩斜面38となっており、この緩斜面38と被覆層3D2との間に挟まれた二つの鋭角部34において効率良く毛細管現象を生じさせるようになっている。なお、溝部33の断面形状は、図17(B)に示したような二つの鋭角部34を有するような双曲線状または逆三角形でもよいが、どちらか片側の鋭角部34のみを有
する形状でもよい。また、図17(A)では、左上の溝部33に設けられた被覆層3D2のみを表しているが、被覆層3D2は、全ての溝部33を覆うように設けられている必要がある。ただし、被覆層3D2は、少なくとも溝部33を覆っていればよく、必ずしも燃料輸送層3D1の全面を覆っていなくてもよい。この被覆層3D2は、少なくとも溝部33の終点を露出させるか、あるいは、少なくとも溝部33の終点に、液体燃料21の出口となる孔61を有していることが望ましい。燃料輸送層3D1の入口ILの周囲には、供給された液体燃料21を一時的に貯留させるための燃料溜まり62が設けられていてもよい。
図10および図17に示した溝部33の本数、延長方向の長さおよび溝部33の面内分布は、いずれも一例であり、燃料拡散層3Dの形状および寸法に応じて、液体燃料21が燃料拡散層3Dの全体に行き渡るように設定することが望ましい。
燃料拡散層3Dは、図18に示したように、第1の実施の形態の燃料拡散層3と同様に、金属層31上(電池本体5側の表面)に多孔質酸化膜32を有していることが好ましい。溝部33により輸送された液体燃料21を、多孔質酸化膜32において拡散・気化させることができ、両者の相乗効果により更に高い効果を得ることができるからである。なお、溝部33は、多孔質酸化膜32の膜厚d1よりも深く、金属層31に達していてもよいし、多孔質酸化膜32の膜厚d1よりも浅くてもよい。図18では、溝部33の断面形状を逆三角形とした場合を表しているが、多孔質酸化膜32が形成されている場合にも、溝部33の断面形状は特に限定されない。
この燃料電池は、例えば次のようにして製造することができる。
まず、第1の実施の形態と同様にして、燃料供給ポンプ22およびノズル23が取り付けられた燃料タンク20上に、上述した材料よりなる金属層31を形成する。次いで、この金属層31に対して、第1の実施の形態と同様にして所定のアルマイト加工を施し、多孔質酸化膜32を形成する。
続いて、多孔質酸化層32の表面に、例えばダイカット、エッチング、またはカッター等を用いた物理的加工により、入口ILから周縁部に向かって放射状に多数の溝33を設け、燃料拡散層3Dを形成する。
最後に、このようにして形成された燃料拡散層3D上に、第1の実施の形態と同様にして、封止部41および分離シート42を設け、更にその上に前述した材料よりなる電池本体5および燃料漏れ防止部43を設けることにより、本実施の形態の燃料電池装置が製造される。
この燃料電池装置では、燃料タンク20に収容される液体燃料21は、燃料拡散層3Dに供給される。燃料拡散層3Dにおいて拡散し、気化した燃料が分離シート42を通過して各電池セル5A〜5Cへ到達し、それらの燃料電極51へそれぞれ供給される。一方、図示しない空気供給ポンプによって、各電池セル5A〜5Cの酸素電極53へ空気(酸素)が供給される。すると、各燃料電極51において、反応により水素イオンと電子とが生成される。また、この水素イオンは電解質膜52を通って酸素電極53へ移動し、電子および酸素と反応して水が生成されると共に、二酸化炭素が副生成される。このようにして、燃料電池において発電動作がなされる。
その際、燃料拡散層3Dの電池本体5側の表面に、入口ILから周縁部に向かって放射状に多数の溝部33が設けられているので、入口ILに供給された液体燃料21は、毛細管現象により放射状の溝部33を伝って移動し、供給直後に、特別なポンプ等なしに、瞬時に燃料拡散層3Dの隅々まで行き渡る。よって、特許文献2のように均一な拡散のため、不織布などの多孔質部材に多量の液体燃料を充填させる必要はなくなり、また、発電中止の際には、燃料供給を中止すれば速やかに気化が止まる。従って、無駄な燃料供給が防止され、少量の液体燃料が有効に利用される。
また、燃料拡散層3Dが垂直に配置されている場合、液体燃料21は重力に逆らって溝部33内を上昇する。よって、姿勢差による重力の影響が抑えられ、液体燃料21が各電池セル5A〜5Cに均一に供給される。これに対して、図28に示した従来の燃料電池では、燃料電池が垂直に置かれた場合、燃料拡散シート103へ供給された液体燃料121の拡散範囲は、燃料の自重により下方に偏ってしまっていた。
更に、燃料拡散層3Dの表面には多孔質酸化膜32が設けられているので、溝部33を伝って移動した液体燃料21は、溝部33の側面から多孔質酸化膜32に供給され、多孔質酸化膜32の多数の微細な空孔に起因した毛細管現象により、均一かつ広範囲に拡散する。よって、溝部33と多孔質酸化膜32との相乗効果により、更に液体燃料21が均一に拡散すると共に拡散範囲も拡大する。
なお、毛細管現象とは、液体中に入れた細い管の内部や固体壁間の狭い隙間などで、液面が外側の自由表面より上昇(下降)する現象である。管内の液面の上昇高さhは、数1により与えられる。例えば、海水面高度で直径0.1mmのガラス管内における水面の上昇高さhを数1により計算すると、約28cmとなる。ただし、本実施の形態の溝部33は管ではないので、溝部33内の液面の上昇高さhを、図19に示したようにして実際に算出した。二枚のガラス板403A,403Bの一辺を接触させ、その対向辺に厚み1.2mmのスペーサ403Cを挟み、溝部33に相当する断面逆三角形の隙間433を形成した。このガラス板403A,403Bを、液体燃料21に相当する着色水421を入れた水槽420内に立てて置いたところ、着色水421は隙間433内を上昇し、水槽420内の着色水421の水面から隙間433内の最高位置までの上昇高さhは約6cmとなった。
Figure 0005168950

(式中、hは液面の上昇高さ(m)、Tは表面張力(N/m),θは接触角、ρは液体の密度(kg/m3 )、gは重力加速度(m/s2 )、rは管の内径(半径)(m)をそれぞれ表す。水の場合、表面張力Tは0.0728N/m(20℃),接触角θは20℃、密度ρは1000kg/m3 であり、重力加速度gは9.80665m/s2 とする。)
図20は、間隙433の大きさを変えた場合の着色水421の上昇高さhを数1に基づいて算出した結果を表したものである。図20の計算結果と、図21に示した隙間433における実際の水面の形状とは良好に一致しており、溝部33に相当する隙間433内の水面の上昇が毛細管現象に基づくものであることが分かる。よって、ガラス板403A,403Bに代えて、図21に示したように、ガラス板503に溝部533を形成し、溝部533の延長方向を重力方向gに一致させるようにしてガラス板503を着色水421を入れた水槽420内に立てて置いた場合にも、図22に示したように、溝部533内の水面の形状は、図19および図20に示した隙間433内の水面の形状と同様に、毛細管現象に従うものと考えられる。
このように本実施の形態では、燃料拡散層3Dの電池本体5側の表面に、入口ILから周縁部に向かって放射状に多数の溝部33を設けるようにしたので、燃料拡散層3Dを垂直に配置した場合であっても、液体燃料21を重力に逆らって溝部33内を上昇させることができる。よって、姿勢差による重力の影響を抑え、液体燃料21を各電池セル5A〜5Cに均一に供給することができる。
また、入口ILに供給した液体燃料21を、毛細管現象により放射状の溝部33を伝って移動させ、供給直後に、特別なポンプ等なしに、瞬時に燃料拡散層3Dの隅々まで行き渡らせることができる。よって、特許文献2のように均一な拡散のため、不織布などの多孔質部材に多量の液体燃料を充填させる必要はなくなり、また、発電中止の際には、燃料供給を中止すれば速やかに気化を止めることができる。従って、無駄な燃料供給を防止し、少量の液体燃料を有効に利用して発電を行うことができる。
特に、燃料拡散層3Dの電池本体5側の表面に多孔質酸化膜32を形成したので、溝部33で移送した液体燃料21を多孔質酸化膜32で更に均一かつ広範囲に拡散させてから気化させ、電池本体5内の各電池セル5A〜5Cへ供給することができる。
なお、上記第2の実施の形態では、溝部33の幅および断面形状が、延長方向全体にわたって同一である場合について説明したが、溝部33の幅および断面形状の少なくとも一方は、入口ILからの距離に応じて、毛細管力を高めるように調整されていてもよい。幅を調整する場合には、入口ILからの距離が大きくなるほど幅が細くなっていることが必要である。入口ILからの距離が大きくなるほど幅を太くすると液体燃料21の輸送が不可能になるからである。例えば、図23に示したように、溝部633は、入口IL側から順に、幅が複数段階(例えば、三段階)に異なる溝部633A,633B,633Cを連結した構成を有し、これらの溝部633A,633B,633Cの幅は、入口ILからの距離が大きくなるほど細くなっていてもよい。なお、図23では入口ILから伸びる多数の溝部633のうち一本のみを表している。
また、上記第2の実施の形態では、溝部33が枝分かれを有していない場合について説明したが、溝部633は、図24に示したように、入口ILから伸びる主溝部6331(溝部633A)と、この主溝部6331から分かれた分岐溝部6332(溝部633B1,633B2および溝部633C1,633C2)とを有するようにしてもよい。この場合、分岐溝部6332の幅が、主溝部6331よりも細くなっているようにしてもよい。更に、分岐溝部6332内において、入口ILからの距離が大きくなるほど幅が細くなっているようにしてもよい。なお、図24では、入口ILから伸びる多数の溝部633のうち一本のみを表している。
更に、図25に示したように、分岐溝部6332において多段階の枝分かれを形成するようにしてもよい。このような場合にも、分岐溝部6332の幅が、主溝部6331よりも細くなっているようにしてもよい。更に、分岐溝部6332内において、入口ILからの距離が大きくなるほど幅が細くなっているようにしてもよい。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、上記実施の形態では、燃料電池の構成について具体的に説明したが、他の構造あるいは他の材料により構成するようにしてもよい。また、例えば、上記実施の形態において説明した各構成要素の材料および厚み、または燃料電池の発電条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の発電条件としてもよい。更に、例えば、液体燃料21は、メタノールのほか、エタノールやジメチルエーテルなどの他の液体燃料でもよい。
加えて、本発明は、液体燃料を用いる燃料電池に限らず、水素など液体燃料以外の物質を燃料として用いる燃料電池についても適用可能である。
更にまた、上記実施の形態では、複数の電池セル5A〜5Cを電気的に接続したものについて説明したが、本発明は、単セル型の燃料電池についても適用することができる。
加えてまた、上記実施の形態では、本発明を燃料電池およびそれを備えた電子機器に適用した場合について説明したが、本発明は、燃料電池以外にも、キャパシタ,燃料センサまたはディスプレイ等の他の電気化学デバイスにも適用することができる。
本発明の燃料電池は、例えば、携帯電話、電子写真機、電子手帳、ノートブック型パーソナルコンピュータ、カムコーダ、携帯型ゲーム機、携帯型ビデオプレーヤー、ヘッドフォンステレオまたはPDA(Personal Digital Assistants )等の携帯型の電子機器に好適に用いることが可能である。このような電子機器では、燃料電池の小型化を簡易に実現することができるので、電子機器全体としても簡易に小型化を図ることができ、製造コストも低減することが可能となる。
本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池の構成を表す断面図である。 図1に示した燃料拡散層の詳細な構成を表す断面図である。 液体燃料の拡散について従来例と比較しつつ説明するための断面図である。 液体燃料の拡散について従来例と比較しつつ説明するための平面図である。 多孔質酸化膜の膜厚調整について説明するための断面図である。 第1の変形例に係る燃料電池の構成を表す平面図および断面図である。 第2の変形例に係る燃料電池の構成を表す平面図および断面図である。 第3の変形例に係る燃料電池の構成を表す断面図である。 第4の変形例に係る燃料電池の構成を表す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池の燃料拡散層を、溝部が形成された側から見た構成を表す平面図である。 溝部の一例を表す断面図である。 溝部の他の例を表す断面図である。 溝部の更に他の例を表す断面図である。 溝部の更に他の例を表す断面図である。 溝部の更に他の例を表す断面図である。 溝部の更に他の例を表す断面図である。 燃料拡散層の他の構成を表す平面図および断面図である。 燃料拡散層の更に他の構成を表す断面図である。 溝部における毛細管力を調べるための実験を説明するための斜視図である。 図19に示した隙間の大きさを変えた場合の着色水の上昇高さの計算結果を表す図である。 溝部における毛細管力を調べるための他の実験を説明するための斜視図である。 図21に示した溝部内における水面の形状を表す断面図である。 溝部の更に他の例を表す断面図である。 溝部の更に他の例を表す断面図である。 燃料拡散層の更に他の例を表す断面図である。 従来の燃料電池の構成を表す断面図である。 従来の燃料電池の姿勢による燃料拡散の違いを説明するための平面図および断面図である。 従来の燃料電池の姿勢による燃料拡散の違いを説明するための平面図および断面図である。
符号の説明
1,1A,1B…燃料電池、20,20A…燃料タンク、21…液体燃料、22…燃料供給ポンプ、23,231〜235…ノズル、3,3A〜3C…燃料拡散層、31…金属層、32,32A…多孔質酸化膜、33…溝部、41…封止部、42…分離シート、43…燃料漏れ防止部、5…電池本体、5A〜5C…電池セル、51…燃料電極(アノード極、負極)、52…電解質膜、53…酸素電極(カソード極、正極)、6A〜6C…熱伝導部。

Claims (14)

  1. 発電部を含む電池本体と、
    表面に多孔質酸化膜を有すると共に前記表面に溝部が設けられ、前記溝部および前記多孔質酸化膜により液体燃料を拡散させて前記発電部へ供給する燃料拡散部と、
    前記液体燃料を収容し、この液体燃料を前記多孔質酸化膜へ供給する燃料タンクと、
    前記燃料拡散部と前記電池本体との間に設けられ、気体と液体とを分離する分離シートと
    を備えた燃料電池。
  2. 前記多孔質酸化膜は、層間方向に沿って多数の空孔を有し、前記空孔の一端が前記表面に開放されている
    請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記多孔質酸化膜は、アルミニウムまたはその合金をアルマイト加工して形成されると共に、前記アルマイト加工において封孔処理の全部または一部を省略して前記空孔を残したものである
    請求項2に記載の燃料電池。
  4. 前記多孔質酸化膜の厚みが、前記液体燃料の拡散速度および保持量のうちの少なくとも一方に応じて調整されている
    請求項1に記載の燃料電池。
  5. 前記燃料拡散部に前記液体燃料を供給するためのノズルを複数設けた
    請求項1に記載の燃料電池。
  6. 前記溝部として、複数の溝部が近接して一方向に沿って平行に設けられている
    請求項1に記載の燃料電池。
  7. 前記溝部は、前記燃料タンクから液体燃料が供給される入口から前記燃料拡散部の周縁
    部に向かって放射状に形成されている
    請求項1に記載の燃料電池。
  8. 前記燃料拡散部は、前記溝部を有する燃料輸送層と、前記燃料輸送層の前記溝部が設けられた表面を覆う被覆層とを有し、
    前記溝部の側面は緩斜面となっており、
    前記緩斜面と前記被覆層との間に挟まれた二つの鋭角部において毛細管現象を生じさせる
    請求項1に記載の燃料電池。
  9. 前記溝部の幅および断面形状の少なくとも一方は、前記入口からの距離に応じて調整されている
    請求項に記載の燃料電池。
  10. 前記溝部の幅は、前記入口からの距離が大きくなるほど幅が細くなっている
    請求項9に記載の燃料電池。
  11. 前記溝部は、前記入口から伸びる主溝部と、前記主溝部から分かれた分岐溝部とを有する
    請求項に記載の燃料電池。
  12. 前記発電部で生じた熱を前記燃料拡散部へ伝導させる熱伝導部を備えた
    請求項1に記載の燃料電池。
  13. 燃料電池を内蔵する電子機器であって、
    前記燃料電池は、
    発電部を含む電池本体と、
    表面に多孔質酸化膜を有すると共に前記表面に溝部が設けられ、前記溝部および前記多孔質酸化膜により液体燃料を拡散させて前記発電部へ供給する燃料拡散部と、
    前記液体燃料を収容し、この液体燃料を前記多孔質酸化膜へ供給する燃料タンクと、
    前記燃料拡散部と前記電池本体との間に設けられ、気体と液体とを分離する分離シートと
    を備えた電子機器。
  14. 燃料タンクに収容される液体燃料を発電部へ供給するための方法であって、
    表面に多孔質酸化膜を有すると共に前記表面に溝部が設けられた燃料拡散部を用い、
    前記燃料拡散部と前記発電部との間に、気体と液体とを分離する分離シートを設け、
    前記液体燃料を前記多孔質酸化膜および前記溝部が設けられた表面へ供給し、
    前記液体燃料を毛細管現象により前記溝部を伝って移動させ、
    移動した前記液体燃料を前記溝部から前記多孔質酸化膜に供給し、前記多孔質酸化膜での毛細管現象によって前記液体燃料を拡散させ、
    拡散された液体燃料を前記多孔質酸化膜において気化させ、気化した燃料を、前記分離シートを通過して前記発電部へ供給する
    燃料供給方法。
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