以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態の空調システム(10)は、空気調和装置である空調機(20)と、外気処理装置である外気処理機(50)とを備えている。また、この空調システム(10)では、空調機(20)に設けられた空調側コントローラ(91)と、外気処理機(50)に設けられた調湿側コントローラ(92a,92b)とが、制御手段である制御システム(90)を構成している。
〈空調機の構成〉
空調システム(10)を構成する空調機(20)は、一台の室外ユニット(21)と、四台の室内ユニット(22a,22b,22c,22d)とを備えている。この空調機(20)では、室外ユニット(21)と各室内ユニット(22a〜22d)を配管で接続することによって、第1冷媒回路である空調用冷媒回路(30)が形成されている。なお、室外ユニット(21)及び室内ユニット(22a〜22d)の台数は、単なる例示である。
室外ユニット(21)には、室外回路(40)と室外ファン(23)とが収容されている。室外回路(40)には、空調用圧縮機(41)と、アキュームレータ(42)と、四方切換弁(43)と、室外熱交換器(44)と、室外膨張弁(45)と、レシーバ(46)と、液側閉鎖弁(47)と、ガス側閉鎖弁(48)とが設けられている。
室外回路(40)において、空調用圧縮機(41)は、その吐出側が四方切換弁(43)の第1のポートに接続され、その吸入側がアキュームレータ(42)を介して四方切換弁(43)の第2のポートに接続されている。四方切換弁(43)の第3のポートは、室外熱交換器(44)のガス側端に接続されている。室外熱交換器(44)の液側端は、室外膨張弁(45)の一端に接続されている。室外膨張弁(45)の他端は、レシーバ(46)を介して液側閉鎖弁(47)に接続されている。四方切換弁(43)の第4のポートは、ガス側閉鎖弁(48)に接続されている。
室外回路(40)には、高圧センサ(26)と低圧センサ(27)とが設けられている。高圧センサ(26)は、空調用圧縮機(41)の吐出側と四方切換弁(43)を繋ぐ配管に接続され、空調用圧縮機(41)から吐出された高圧冷媒の圧力を計測する。低圧センサ(27)は、アキュームレータ(42)と四方切換弁(43)を繋ぐ配管に接続され、空調用圧縮機(41)へ吸入される低圧冷媒の圧力を計測する。
空調用圧縮機(41)は、いわゆる全密閉型の圧縮機である。空調用圧縮機(41)の電動機には、図外のインバータを介して電力が供給される。インバータから電動機へ供給される交流の周波数(即ち、空調用圧縮機(41)の運転周波数)を変化させると、電動機の回転速度が変化し、その結果、空調用圧縮機(41)の運転容量が変化する。
室外熱交換器(44)は、室外ファン(23)によって供給された室外空気を冷媒と熱交換させるフィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。四方切換弁(43)は、第1のポートが第3のポートに連通し且つ第2のポートが第4のポートに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートに連通し且つ第2のポートが第3のポートに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。
各室内ユニット(22a〜22d)には、室内回路(35a,35b,35c,35d)が一つずつ収容されている。また、各室内ユニット(22a〜22d)には、室内ファン(24a,24b,24c,24d)と、室内温度センサ(25a,25b,25c,25d)とが一つずつ設けられている。
各室内回路(35a〜35d)には、室内熱交換器(36a,36b,36c,36d)と、室内膨張弁(37a,37b,37c,37d)とが一つずつ設けられている。室内熱交換器(36a〜36d)は、室内ファン(24a〜24d)によって供給された室内空気を冷媒と熱交換させるフィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。
各室内回路(35a〜35d)において、室内熱交換器(36a〜36d)は、その一端が室内回路(35a〜35d)のガス側端に接続され、その他端が室内膨張弁(37a〜37d)を介して室内回路(35a〜35d)の液側端に接続されている。各室内回路(35a〜35d)は、それぞれの液側端が液側連絡配管(31)を介して室外回路(40)の液側閉鎖弁(47)に接続され、それぞれのガス側端がガス側連絡配管(32)を介して室外回路(40)のガス側閉鎖弁(48)に接続されている。
図示しないが、各室内ユニット(22a〜22d)には、空気の吸込口と吹出口が形成されている。各室内ユニット(22a〜22d)は、それぞれに形成された吸込口及び吹出口の全てが同一の室内空間に連通するように設置されている。つまり、各室内ユニット(22a〜22d)は、同一の室内空間から室内空気を吸い込み、室内熱交換器(36a〜36d)を通過した室内空気を同一の室内空間へ吹き出す。
〈外気処理機の構成〉
空調システム(10)を構成する外気処理機(50)は、一台の圧縮機ユニット(51)と、二台の調湿ユニット(52a,52b)とを備えている。この外気処理機(50)では、圧縮機ユニット(51)と各調湿ユニット(52a,52b)を配管で接続することによって、第2冷媒回路である調湿用冷媒回路(60)が形成されている。なお、圧縮機ユニット(51)及び調湿ユニットの台数は、単なる例示である。
圧縮機ユニット(51)には、圧縮機側回路(70)が収容されている。圧縮機側回路(70)には、調湿用圧縮機(71)と、アキュームレータ(72)と、高圧側閉鎖弁(73)と、低圧側閉鎖弁(74)とが設けられている。圧縮機側回路(70)において、調湿用圧縮機(71)は、その吐出側が高圧側閉鎖弁(73)に接続され、この吸入側がアキュームレータ(72)を介して低圧側閉鎖弁(74)に接続されている。
調湿用圧縮機(71)は、いわゆる全密閉型の圧縮機である。調湿用圧縮機(71)の電動機には、図外のインバータを介して電力が供給される。インバータから電動機へ供給される交流の周波数(即ち、調湿用圧縮機(71)の運転周波数)を変化させると、電動機の回転速度が変化し、その結果、調湿用圧縮機(71)の運転容量が変化する。
図2にも示すように、各調湿ユニット(52a,52b)には、調湿用回路(80a,80b)が一つずつ収容されている。各調湿用回路(80a,80b)には、四方切換弁(83a,83b)と、第1吸着熱交換器(81a,81b)と、第2吸着熱交換器(82a,82b)と、調湿用膨張弁(84a,84b)とが一つずつ設けられている。
各調湿用回路(80a,80b)において、四方切換弁(83a,83b)は、その第1のポートが調湿用回路(80a,80b)の高圧側端に接続され、その第2のポートが調湿用回路(80a,80b)の低圧側端に接続されている。また、各調湿用回路(80a,80b)では、四方切換弁(83a,83b)の第3のポートから第4のポートに向かって順に、第1吸着熱交換器(81a,81b)と、調湿用膨張弁(84a,84b)と、第2吸着熱交換器(82a,82b)とが配置されている。各調湿用回路(80a,80b)は、それぞれの高圧側端が高圧側連絡配管(61)を介して圧縮機側回路(70)の高圧側閉鎖弁(73)に接続され、それぞれの低圧側端が低圧側連絡配管(62)を介して圧縮機側回路(70)の低圧側閉鎖弁(74)に接続されている。
第1吸着熱交換器(81a,81b)と第2吸着熱交換器(82a,82b)は、何れもフィン・アンド・チューブ型の熱交換器の表面にゼオライト等の吸着剤を担持させたものである。これら吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱され又は冷却され、そこを通過する空気が吸着剤と接触する。各四方切換弁(83a,83b)は、第1のポートが第3のポートに連通し且つ第2のポートが第4のポートに連通する第1状態(図2(A)に示す状態)と、第1のポートが第4のポートに連通し且つ第2のポートが第3のポートに連通する第2状態(図2(B)に示す状態)とに切り換わる。
各調湿ユニット(52a,52b)には、給気ファン(53a,53b)と排気ファン(54a,54b)とが収容されている。また、各調湿ユニット(52a,52b)には、空気通路が形成されている。各調湿ユニット(52a,52b)では、図外のダンパを開閉することによって、空気の流通経路が切り換え可能となっている。そして、各調湿ユニット(52a,52b)は、室内空気と室外空気を吸い込むと共に、吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)を通過した室内空気を室外へ排出し、吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)を通過した室外空気を室内へ供給するように構成されている。
具体的に、各調湿ユニット(52a,52b)では、吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)の上流側における空気の流通経路が、室内空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られて室外空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られる状態(図2(A)に示す状態)と、室内空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られて室外空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られる状態(図2(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。また、各調湿ユニット(52a,52b)では、吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)の下流側における空気の流通経路が、第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過した空気が排気ファン(54a,54b)へ送られて第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過した空気が給気ファン(53a,53b)へ送られる状態(図2(A)に示す状態)と、第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過した空気が給気ファン(53a,53b)へ送られて第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過した空気が排気ファン(54a,54b)へ送られる状態(図2(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。
各調湿ユニット(52a,52b)には、室内温度センサ(55a,55b)と、室内湿度センサ(56a,56b)と、室外温度センサ(57a,57b)と、室外湿度センサ(58a,58b)とが設けられている。これらのセンサ(53a,54,…,53b,54b,…)は、空気の流通経路における吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)の上流側に設置されている。室内温度センサ(55a,55b)は、調湿ユニット(52a,52b)へ吸い込まれた室内空気の温度を計測する。室内湿度センサ(56a,56b)は、調湿ユニット(52a,52b)へ吸い込まれた室内空気の相対湿度を計測する。室外温度センサ(57a,57b)は、調湿ユニット(52a,52b)へ吸い込まれた室外空気の温度を計測する。室外湿度センサ(58a,58b)は、調湿ユニット(52a,52b)へ吸い込まれた室外空気の相対湿度を計測する。
図示しないが、各調湿ユニット(52a,52b)には、室内空気の吸込口及び吹出口と、室外空気の吸込口及び吹出口とが形成されている。各調湿ユニット(52a,52b)は、それぞれに形成された室内空気の吸込口及び吹出口の全てが同一の室内空間に連通するように設置されている。つまり、各調湿ユニット(52a,52b)は、同一の室内空間から室内空気を吸い込んで室外へ排出し、取り込んだ室外空気を同一の室内空間へ供給する。
また、各調湿ユニット(52a,52b)に形成された室内空気の吸込口及び吹出口が連通する室内空間は、空調機(20)の各室内ユニット(22a〜22d)の吸込口及び吹出口が連通する室内空間と同一の空間である。つまり、本実施形態の空調システム(10)では、各調湿ユニット(52a,52b)に形成された室内空気の吸込口及び吹出口と、各室内ユニット(22a〜22d)に形成された吸込口及び吹出口とは、何れも共通の室内空間に連通している。
〈制御システムの構成〉
上述したように、空調システム(10)の制御システム(90)は、空調側コントローラ(91)と調湿側コントローラ(92a,92b)とによって構成されている。
空調側コントローラ(91)は、空調機(20)の室外ユニット(21)に収容されている。空調側コントローラ(91)には、低圧センサ(27)や高圧センサ(26)の計測値が入力される。空調側コントローラ(91)は、空調機(20)の運転動作を制御するように構成されている。空調機(20)の運転中において、空調側コントローラ(91)は、空調用圧縮機(41)に接続されたインバータの出力周波数を制御することによって、空調機(20)が発揮する空調能力を調節する。
調湿側コントローラ(92a,92b)は、外気処理機(50)の調湿ユニット(52a,52b)に一つずつ収容されている。第1の調湿ユニット(52a)に設けられた調湿側コントローラ(92a)には、第1の調湿ユニット(52a)に設けられた室内温度センサ(55a)、室内湿度センサ(56a)、室外温度センサ(57a)、及び室外湿度センサ(58a)の計測値が入力される。この調湿側コントローラ(92a)は、第1の調湿ユニット(52a)の運転動作を制御するように構成されている。第2の調湿ユニット(52b)に設けられた調湿側コントローラ(92b)には、第2の調湿ユニット(52b)に設けられた室内温度センサ(55b)、室内湿度センサ(56b)、室外温度センサ(57b)、及び室外湿度センサ(58b)の計測値が入力される。この調湿側コントローラ(92b)は、第2の調湿ユニット(52b)の運転動作を制御するように構成されている。
第1の調湿ユニット(52a)に設けられた調湿側コントローラ(92a)は、調湿用圧縮機(71)の運転制御を行うように構成されている。外気処理機(50)の運転中において、調湿側コントローラ(92a)は、調湿用圧縮機(71)に接続されたインバータの出力周波数を制御することによって、外気処理機(50)が発揮する空調能力を調節する。
また、第1の調湿ユニット(52a)に設けられた調湿側コントローラ(92a)には、ユーザーによって設定された室内空気の温度の目標値(即ち、目標室内温度Ts)及び室内空気の相対湿度の目標値(即ち、目標室内湿度Hs)が、図外のリモコンを介して入力される。そして、この調湿側コントローラ(92a)は、図4に示すように、五つの動作(第1〜第5動作)を順次行うように構成されている。また、この調湿側コントローラ(92a)は、図4に示す五つの動作を、所定の時間が経過する毎に繰り返し行うように構成されている。
この調湿側コントローラ(92a)が行う第1〜第5動作の詳細は後述する。ここでは、各動作の概要を説明する。第1動作は、各センサ(55a,56a,…)の出力値等の必要なデータを取得する動作である。第2動作は、第1動作において取得したデータに基づき、空調システム(10)全体に要求される空調能力を算出する動作である。第3動作は、第2動作において算出した空調システム(10)全体に要求される空調能力に基づき、空調機(20)が発揮すべき第1目標空調能力と外気処理機(50)が発揮すべき第2目標空調能力とを決定する動作である。第4動作は、第3動作において決定した第1目標空調能力および第2目標空調能力に基づき、空調用圧縮機(41)の運転周波数の指令値と調湿用圧縮機(71)の運転周波数の指令値とを決定する動作である。第5動作は、第4動作において決定した空調用圧縮機(41)及び調湿用圧縮機(71)の運転周波数の指令値に基づき、各圧縮機(41,71)へ電力を供給するインバータに対して出力周波数を指令する動作である。
−運転動作−
空調システム(10)の運転動作について説明する。本実施形態の空調システム(10)において、空調機(20)では冷房運転と暖房運転が切り換え可能となり、外気処理機(50)では除湿運転と加湿運転が切り換え可能となっている。
〈空調機の運転動作〉
上述したように、空調機(20)では、冷房運転と暖房運転とが切り換え可能となっている。冷房運転中と暖房運転中の何れにおいても、空調機(20)の空調用冷媒回路(30)では、冷媒を循環させることによって蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。
空調機(20)の冷房運転について説明する。冷房運転中の空調用冷媒回路(30)では、四方切換弁(43)が第1状態(図1に実線で示す状態)に設定され、室外膨張弁(45)が全開状態に設定され、各室内膨張弁(37a〜37d)の開度が適宜調節される。また、冷房運転中の空調用冷媒回路(30)では、室外熱交換器(44)が凝縮器として動作し、各室内熱交換器(36a〜36d)が蒸発器として動作する。
冷房運転中の空調用冷媒回路(30)における冷媒の流れを具体的に説明する。空調用圧縮機(41)から吐出された高圧冷媒は、四方切換弁(43)を通過後に室外熱交換器(44)へ流入し、室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器(44)から流出した冷媒は、室外膨張弁(45)とレシーバ(46)を通過後に液側連絡配管(31)へ流入し、各室内回路(35a〜35d)へ分配される。各室内回路(35a〜35d)へ流入した冷媒は、室内膨張弁(37a〜37d)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となり、その後に室内熱交換器(36a〜36d)へ流入し、室内空気から吸熱して蒸発する。各室内回路(35a〜35d)において室内熱交換器(36a〜36d)から流出した冷媒は、ガス側連絡配管(32)へ流入して合流した後に室外回路(40)へ流入し、四方切換弁(43)を通過後に空調用圧縮機(41)へ吸入されて圧縮される。
上述したように、冷房運転中には、各室内熱交換器(36a〜36d)が蒸発器として動作する。各室内ユニット(22a〜22d)は、吸い込んだ室内空気を室内熱交換器(36a〜36d)において冷却した後に室内へ送り返す。
空調機(20)の暖房運転について説明する。暖房運転中の空調用冷媒回路(30)では、四方切換弁(43)が第2状態(図1に破線で示す状態)に設定され、室外膨張弁(45)及び各室内膨張弁(37a〜37d)の開度が適宜調節される。また、暖房運転中の空調用冷媒回路(30)では、各室内熱交換器(36a〜36d)が凝縮器として動作し、室外熱交換器(44)が蒸発器として動作する。
暖房運転中の空調用冷媒回路(30)における冷媒の流れを具体的に説明する。空調用圧縮機(41)から吐出された冷媒は、四方切換弁(43)を通過後にガス側連絡配管(32)へ流入し、各室内回路(35a〜35d)へ分配される。各室内回路(35a〜35d)へ流入した冷媒は、室内熱交換器(36a〜36d)へ流入し、室内空気へ放熱して凝縮する。各室内回路(35a〜35d)において室内熱交換器(36a〜36d)から流出した冷媒は、室内膨張弁(37a〜37d)を通過後に液側連絡配管(31)へ流入して合流してから室外回路(40)へ流入する。室外回路(40)へ流入した冷媒は、レシーバ(46)を通過後に室外膨張弁(45)へ流入し、室外膨張弁(45)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となる。室外膨張弁(45)を通過した冷媒は、室外熱交換器(44)へ流入し、室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(44)から流出した冷媒は、四方切換弁(43)を通過後に空調用圧縮機(41)へ吸入されて圧縮される。
上述したように、暖房運転中には、各室内熱交換器(36a〜36d)が凝縮器として動作する。各室内ユニット(22a〜22d)は、吸い込んだ室内空気を室内熱交換器(36a〜36d)において加熱した後に室内へ送り返す。
〈外気処理機の運転動作〉
上述したように、外気処理機(50)では、除湿運転と加湿運転とが切り換え可能となっている。除湿運転中と加湿運転中の何れにおいても、外気処理機(50)の調湿用冷媒回路(60)では、冷媒を循環させることによって蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。
外気処理機(50)の除湿運転について、図2を参照しながら説明する。除湿運転中において、各調湿ユニット(52a,52b)は、第1除湿動作と第2除湿動作を交互に所定の時間毎(例えば3分間毎)に切り換えて行う。なお、各調湿ユニット(52a,52b)における第1除湿動作と第2除湿動作の相互切り換えのタイミングは、互いに同期している必要はない。
図2(A)に示すように、第1除湿動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、四方切換弁(83a,83b)が第1状態に設定され、調湿用膨張弁(84a,84b)の開度が適宜調節される。そして、第1除湿動作中の調湿用回路(80a,80b)では、第1吸着熱交換器(81a,81b)が凝縮器として動作し、第2吸着熱交換器(82a,82b)が蒸発器として動作する。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱される。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって冷却される。
第1除湿動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れを具体的に説明する。調湿用回路(80a,80b)の高圧側端には、調湿用圧縮機(71)から吐出された高圧冷媒が高圧側連絡配管(61)を通じて供給される。調湿用回路(80a,80b)へ流入した高圧冷媒は、四方切換弁(83a,83b)を通過後に第1吸着熱交換器(81a,81b)へ流入して凝縮する。第1吸着熱交換器(81a,81b)から流出した冷媒は、調湿用膨張弁(84a,84b)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となり、その後に第2吸着熱交換器(82a,82b)へ流入して蒸発する。第2吸着熱交換器(82a,82b)から流出した冷媒は、四方切換弁(83a,83b)を通過後に低圧側連絡配管(62)へ流入し、その後に調湿用圧縮機(71)へ吸入されて圧縮される。
また、図2(A)に示すように、第1除湿動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、室内空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られ、室外空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られる。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、加熱された吸着剤から脱離した水分が室内空気に付与される。第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過する際に加湿された室内空気は、排気ファン(54a,54b)に吸い込まれ、その後に室外へ排出される。一方、第2吸着熱交換器(82a,82b)では、室外空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過する際に除湿された室外空気は、給気ファン(53a,53b)に吸い込まれ、その後に室内へ供給される。
図2(B)に示すように、第2除湿動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、四方切換弁(83a,83b)が第2除湿状態に設定され、調湿用膨張弁(84a,84b)の開度が適宜調節される。そして、第2除湿動作中の調湿用回路(80a,80b)では、第2吸着熱交換器(82a,82b)が凝縮器として動作し、第1吸着熱交換器(81a,81b)が蒸発器として動作する。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱される。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって冷却される。
第2除湿動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れを具体的に説明する。調湿用回路(80a,80b)の高圧側端には、調湿用圧縮機(71)から吐出された高圧冷媒が高圧側連絡配管(61)を通じて供給される。調湿用回路(80a,80b)へ流入した高圧冷媒は、四方切換弁(83a,83b)を通過後に第2吸着熱交換器(82a,82b)へ流入して凝縮する。第2吸着熱交換器(82a,82b)から流出した冷媒は、調湿用膨張弁(84a,84b)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となり、その後に第1吸着熱交換器(81a,81b)へ流入して蒸発する。第1吸着熱交換器(81a,81b)から流出した冷媒は、四方切換弁(83a,83b)を通過後に低圧側連絡配管(62)へ流入し、その後に調湿用圧縮機(71)へ吸入されて圧縮される。
また、図2(B)に示すように、第2除湿動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、室内空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られ、室外空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られる。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、加熱された吸着剤から脱離した水分が室内空気に付与される。第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過する際に加湿された室内空気は、排気ファン(54a,54b)に吸い込まれ、その後に室外へ排出される。一方、第1吸着熱交換器(81a,81b)では、室外空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過する際に除湿された室外空気は、給気ファン(53a,53b)に吸い込まれ、その後に室内へ供給される。
外気処理機(50)の加湿運転について、図3を参照しながら説明する。加湿運転中において、各調湿ユニット(52a,52b)は、第1加湿動作と第2加湿動作を交互に所定の時間毎(例えば3分間毎)に切り換えて行う。なお、各調湿ユニット(52a,52b)における第1加湿動作と第2加湿動作の相互切り換えのタイミングは、互いに同期している必要はない。
図3(A)に示すように、第1加湿動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、四方切換弁(83a,83b)が第1状態に設定され、調湿用膨張弁(84a,84b)の開度が適宜調節される。そして、第1加湿動作中の調湿用回路(80a,80b)では、第1吸着熱交換器(81a,81b)が凝縮器として動作し、第2吸着熱交換器(82a,82b)が蒸発器として動作する。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱される。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって冷却される。第1加湿動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れは、除湿運転の第1除湿動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れと同じである。
また、図3(A)に示すように、第1加湿動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、室外空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られ、室内空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られる。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、加熱された吸着剤から脱離した水分が室外空気に付与される。第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過する際に加湿された室外空気は、給気ファン(53a,53b)に吸い込まれ、その後に室内へ供給される。一方、第2吸着熱交換器(82a,82b)では、室内空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過する際に除湿された室内空気は、排気ファン(54a,54b)に吸い込まれ、その後に室外へ排出される。
図3(B)に示すように、第2加湿動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、四方切換弁(83a,83b)が第2状態に設定され、調湿用膨張弁(84a,84b)の開度が適宜調節される。そして、第2加湿動作中の調湿用回路(80a,80b)では、第2吸着熱交換器(82a,82b)が凝縮器として動作し、第1吸着熱交換器(81a,81b)が蒸発器として動作する。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱される。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって冷却される。第2加湿動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れは、除湿運転の第2除湿動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れと同じである。
また、図3(B)に示すように、第2加湿動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、室外空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られ、室内空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られる。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、加熱された吸着剤から脱離した水分が室外空気に付与される。第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過する際に加湿された室外空気は、給気ファン(53a,53b)に吸い込まれ、その後に室内へ供給される。一方、第1吸着熱交換器(81a,81b)では、室内空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過する際に除湿された室内空気は、排気ファン(54a,54b)に吸い込まれ、その後に室外へ排出される。
〈制御システムの動作〉
空調側コントローラ(91)と調湿側コントローラ(92a,92b)とによって構成された制御システム(90)の動作について説明する。
空調側コントローラ(91)は、空調用冷媒回路(30)に設けられた四方切換弁(43)や室外膨張弁(45)に対する制御動作や、室外ファン(23)等に対する制御動作を行う。各調湿ユニット(52a,52b)に設けられた調湿側コントローラ(92a,92b)は、調湿用回路(80a,80b)に設けられた四方切換弁(83a,83b)や調湿用膨張弁(84a,84b)に対する制御動作を行う。
また、上述したように、第1調湿ユニット(52a)に設けられた調湿側コントローラ(92a)は、図4に示す五つの動作を行う。この調湿側コントローラ(92a)は、図4に示す第1〜第5動作を順に行う動作を一連の制御動作とし、この一連の制御動作を所定の時間が経過する毎(例えば、12分毎)に繰り返し行う。なお、調湿側コントローラ(92a)において、第1〜第5動作から成る制御動作の時間間隔は、各調湿ユニット(52a,52b)における“第1除湿動作と第2除湿動作の切り換え時間間隔”と“第1加湿動作と第2加湿動作の切り換え時間間隔”のどちらよりも長い値に設定されている。以下では、この調湿側コントローラ(92a)が行う第1〜第5動作のそれぞれについて、詳細に説明する。
===第1動作 ===
調湿側コントローラ(92a)は、第1動作として、必要なデータを取得する動作を行う。具体的に、調湿側コントローラ(92a)は、第1の調湿ユニット(52a)に設けられた室内温度センサ(55a)、室内湿度センサ(56a)、室外温度センサ(57a)、及び室外湿度センサ(58a)のそれぞれから計測値を取得する。また、調湿側コントローラ(92a)は、目標室内温度Ts(室内空気の温度の目標値)及び目標室内湿度Hs(室内空気の相対湿度の目標値)を、図外のリモコンから取得する。
===第2動作 ===
調湿側コントローラ(92a)は、第1動作が終了すると第2動作を実行する。調湿側コントローラ(92a)は、第2動作として、空調システム(10)全体に要求される空調能力(総計要求能力Q)を算出する動作を行う。総計要求能力Qは、室内の空気調和に必要な空調能力Q1と、外気処理に必要な空調能力Q2との和である(Q=Q1+Q2)。そこで、調湿側コントローラ(92a)は、室内の空気調和に必要な空調能力Q1と、外気処理に必要な空調能力Q2とを個別に算出し、それらを足し合わせることによって総計要求能力Qを算出する。
調湿側コントローラ(92a)の第2動作について、空調機(20)が冷房運転を行い、外気処理機(50)が除湿運転を行っている場合を例に、図5を参照しながら説明する。同図において、点Aは室外空気の状態を、点Bは現時点における室内空気の状態を、点Cは目標とする室内空気の状態を、それぞれ表している。点Aの状態は、乾球温度が室外温度センサ(57a)の計測値となり、相対湿度が室外湿度センサ(58a)の計測値となっている状態である。点Bの状態は、乾球温度が室内温度センサ(55a)の計測値となり、相対湿度が室内湿度センサ(56a)の計測値となっている状態である。点Cの状態は、乾球温度が目標室内温度Tsとなり、相対湿度が目標室内湿度Hsとなっている状態である。
先ず、調湿側コントローラ(92a)が外気処理に必要な空調能力Q2を算出する動作について説明する。図5に示すように、外気処理に必要な空調能力Q2は、点Aの状態の室外空気を点Cの状態にするために必要な空調能力である。そこで、調湿側コントローラ(92a)は、点Aの状態の湿り空気と点Cの状態の湿り空気の比エンタルピの差h_2を算出する。そして、調湿側コントローラ(92a)は、第1の調湿ユニット(52a)が室内へ供給する室外空気の流量と、第2の調湿ユニット(52b)が室内へ供給する室外空気の流量との合計値Voaを比エンタルピ差h_2に乗ずることによって、外気処理に必要な空調能力Q2を算出する(Q2=h_2×Voa)。
次に、調湿側コントローラ(92a)が室内の空気調和に必要な空調能力Q1を算出する動作について説明する。図5に示すように、室内の空気調和に必要な空調能力Q1は、点Bの状態の室内空気を点Cの状態にするために必要な空調能力である。
ところで、室内の空気調和に必要な空調能力Q1は、在室者の人数や発熱源となるOA機器の台数などの影響を受ける値である。このため、現時点での室内空気の状態(点Bの状態)と目標とする室内空気の状態(点Cの状態)とが分かっても、それから空調能力Q1を理論的に算出することはできない。そこで、調湿側コントローラ(92a)は、点Bの状態と点Cの状態の乾球温度差(即ち、室内温度センサ(55a)の計測値Trと目標室内温度Tsの差(Tr−Ts))と、空調機(20)の定格能力Qac0とを用いて、室内の空気調和に必要な空調能力Q1を推定する。
具体的に、調湿側コントローラ(92a)は、温度差(Tr−Ts)が所定の基準値ΔTm以上の場合(Tr−Ts≧ΔTm)には、室内の空気調和に必要な空調能力Q1が空調機(20)の定格能力Qac0に等しい(Q1=Qac0)と推定し、温度差(Tr−Ts)がゼロの場合(Tr=Ts)には、室内の空気調和に必要な空調能力Q1がゼロである(Q1=0)と推定する。また、調湿側コントローラ(92a)は、温度差(Tr−Ts)がゼロより大きくて基準値ΔTm未満の場合(0<Tr−Ts<ΔTm)には、温度差(Tr−Ts)の値に応じた係数を空調機(20)の定格能力Qac0に乗じて得られた値を、室内の空気調和に必要な空調能力Q1の値であると推定する。つまり、0<Tr−Ts<ΔTmである場合において、調湿側コントローラ(92a)は、例えば「Q1={(Tr−Ts)/ΔTm}×Qac0」という数式を用いて空調能力Q1の値を推定する。
===第3動作 ===
調湿側コントローラ(92a)は、第2動作が終了すると第3動作を実行する。調湿側コントローラ(92a)は、第3動作として、空調機(20)が発揮すべき第1目標空調能力Qac_setと外気処理機(50)が発揮すべき第2目標空調能力Qdc_setとを決定する動作を行う。この第3動作において、調湿側コントローラ(92a)は、第1目標空調能力Qac_setと第2目標空調能力Qdc_setの和が総計要求能力Qとなる(Q=Qac_set+Qdc_set)という条件の下で、空調機(20)の消費電力Wacと外気処理機(50)の消費電力Wdcの和(即ち、空調システム(10)全体の消費電力Ws(=Wac+Wdc))が最小となるように、第1目標空調能力Qac_set及び第2目標空調能力Qdc_setの値を決定する。
調湿側コントローラ(92a)は、第3動作を行うために、第1運転特性データと第2運転特性データとを予め記憶している。第1運転特性データは、空調機(20)における空調能力と消費電力の関係を示すデータであって、図6に示すようなマトリックスとして調湿側コントローラ(92a)に記録されている。一方、第2運転特性データは、外気処理機(50)における空調能力と消費電力の関係を示すデータであって、図7に示すようなマトリックスとして調湿側コントローラ(92a)に記録されている。
先ず、第1運転特性データについて説明する。図6に示すように、第1運転特性データは、異なる能力比について作成された複数のマトリックスによって構成されている。第1運転特性データを構成する各マトリックスは、室内空気の湿球温度(T1,T2,…)と室外空気の乾球温度(Ta,Tb,…)とで決まる複数の運転条件において空調機(20)が発揮する空調能力と、その空調能力を発揮する状態における空調機(20)の消費電力とによって構成される。なお、図6には、「能力比:100%」のマトリックスと「能力比:90%」のマトリックスだけを図示しているが、調湿側コントローラ(92a)には、それ以外の能力比についてのマトリックスも記録されている。
ここで、仮に、定格運転条件が“室内空気の湿球温度がT3で、室外空気の乾球温度Tdである運転条件”であるとする。この場合、図6における「能力比:100%」のマトリックスを構成する「Qd3(100)」の値が、空調機(20)の定格能力となる。また、「Wd3(100)」の値は、定格運転条件において空調機(20)が定格能力を発揮しているときに空調機(20)が消費する電力である。
この定格運転条件において空調機(20)が空調能力「Qd3(100)」を発揮しているときの空調用圧縮機(41)の運転周波数が「Fac_100」であるとする。そして、この「能力比:100%」のマトリックスにおいて、例えば「Qb2(100)」の値は、“室内空気の湿球温度がT2で、室外空気の乾球温度Tbである運転条件”において空調用圧縮機(41)の運転周波数を「Fac_100」に設定したときに空調機(20)が発揮する空調能力であり、「Wb2(100)」の値は、この運転条件で空調機(20)が空調能力「Qb2(100)」を発揮しているときの空調機(20)の消費電力である。つまり、第1運転特性データを構成する「能力比:100%」のマトリックスは、空調用圧縮機(41)の運転周波数を「Fac_100」に設定したときに各運転条件において空調機(20)が発揮する空調能力と、そのときの空調機(20)の消費電力とを示している。
図6の「能力比:90%」のマトリックスにおいて、定格運転条件における空調機(20)の空調能力を示す「Qd3(90)」の値は、定格能力である「Qd3(100)」の値の90%である(Qd3(90)=0.9×Qd3(100))。また、「Wd3(90)」の値は、定格運転条件において空調機(20)が空調能力「Qd3(90)」を発揮しているときの空調機(20)の消費電力である。
この定格運転条件において空調機(20)が空調能力「Qd3(90)」を発揮しているときの空調用圧縮機(41)の運転周波数が「Fac_90」であるとする。そして、この「能力比:90%」のマトリックスにおいて、例えば「Qe4(90)」の値は、“室内空気の湿球温度がT4で、室外空気の乾球温度Teである運転条件”において空調用圧縮機(41)の運転周波数を「Fac_90」に設定したときに空調機(20)が発揮する空調能力であり、「We4(90)」の値は、この運転条件で空調機(20)が空調能力「Qe4(90)」を発揮しているときの空調機(20)の消費電力である。つまり、第1運転特性データを構成する「能力比:90%」のマトリックスは、空調用圧縮機(41)の運転周波数を「Fac_90」に設定したときに各運転条件において空調機(20)が発揮する空調能力と、そのときの空調機(20)の消費電力とを示している。
次に、第2運転特性データについて説明する。図7に示すように、第2運転特性データは、異なる能力比について作成された複数のマトリックスによって構成されている。第2運転特性データを構成する各マトリックスは、室内空気の乾球温度(T1,T2,…)及び相対湿度(r1,r2,…)と室外空気の乾球温度(Ta,Tb,…)及び相対湿度(R1,R2,…)とで決まる複数の運転条件において外気処理機(50)が発揮する空調能力と、その空調能力を発揮する状態における外気処理機(50)の消費電力とによって構成される。なお、図7には、「能力比:100%」のマトリックスと「能力比:90%」のマトリックスだけを図示しているが、調湿側コントローラ(92a)には、それ以外の能力比についてのマトリックスも記録されている。
ここで、仮に、定格運転条件が“室内空気の湿球温度がT2且つ相対湿度がr2で、室外空気の乾球温度Tb且つ相対湿度がR2である運転条件”であるとする。この場合、図7における「能力比:100%」のマトリックスを構成する「Qb2_22(100)」の値が、外気処理機(50)の定格能力となる。また、「Qsb2_22(100)」の値は、外気処理機(50)が発揮する定格能力のうちの顕熱能力(即ち、室外空気の温度を変化させるために用いられる能力)であり、「Wb2_22(100)」の値は、定格運転条件において外気処理機(50)が定格能力を発揮しているときに外気処理機(50)が消費する電力である。
この定格運転条件において外気処理機(50)が空調能力「Qb2_22(100)」を発揮しているときの調湿用圧縮機(71)の運転周波数が「Fdc_100」であるとする。そして、この「能力比:100%」のマトリックスにおいて、例えば「Qa1_13(100)」の値は、“室内空気の湿球温度がT1且つ相対湿度がr3で、室外空気の乾球温度Ta且つ相対湿度がR1である運転条件”において調湿用圧縮機(71)の運転周波数を「Fdc_100」に設定したときに外気処理機(50)が発揮する空調能力である。また、「Qsa1_13(100)」の値は、外気処理機(50)が発揮する空調能力「Qa1_13(100)」のうちの顕熱能力であり、「Wa1_13(100)」の値は、この運転条件で外気処理機(50)が空調能力「Qa1_13(100)」を発揮しているときの外気処理機(50)の消費電力である。つまり、第2運転特性データを構成する「能力比:100%」のマトリックスは、調湿用圧縮機(71)の運転周波数を「Fdc_100」に設定したときに各運転条件において調湿用圧縮機(71)が発揮する空調能力と、そのときの外気処理機(50)の消費電力とを示している。
図7の「能力比:90%」のマトリックスにおいて、定格運転条件における外気処理機(50)の空調能力を示す「Qb2_22(90)」の値は、定格能力である「Qb2_22(100)」の値の90%である(Qb2_22(90)=0.9×Qb2_22(100))。また、「Qsb2_22(90)」の値は、外気処理機(50)が発揮する空調能力「Qb2_22(90)」のうちの顕熱能力であり、「Wb2_22(90)」の値は、定格運転条件において外気処理機(50)が空調能力「Qb2_22(90)」を発揮しているときにの外気処理機(50)の消費電力である。
この定格運転条件において外気処理機(50)が空調能力「Qb2_22(90)」を発揮しているときの調湿用圧縮機(71)の運転周波数が「Fdc_90」であるとする。そして、この「能力比:90%」のマトリックスにおいて、例えば「Qa2_32(90)」の値は、“室内空気の湿球温度がT2且つ相対湿度がr2で、室外空気の乾球温度Ta且つ相対湿度がR3である運転条件”において調湿用圧縮機(71)の運転周波数を「Fdc_90」に設定したときに外気処理機(50)が発揮する空調能力である。また、「Qsa2_32(90)」の値は、外気処理機(50)が発揮する空調能力「Qa2_32(90)」のうちの顕熱能力であり、「Wa2_32(90)」の値は、この運転条件で外気処理機(50)が空調能力「Qa2_32(90)」を発揮しているときの外気処理機(50)の消費電力である。つまり、第2運転特性データを構成する「能力比:90%」のマトリックスは、調湿用圧縮機(71)の運転周波数を「Fdc_90」に設定したときに各運転条件において調湿用圧縮機(71)が発揮する空調能力と、そのときの外気処理機(50)の消費電力とを示している。
調湿側コントローラ(92a)が第1目標空調能力Qac_setと第2目標空調能力Qdc_setを決定する動作について説明する。ここでは、空調機(20)の定格能力が40kW、外気処理機(50)の定格能力が12kWで、且つ空調システム(10)全体に要求される空調能力(総計要求能力Q)が30kWである場合を例に、図8を参照しながら説明する。なお、図8に示す数値は、何れも単なる一例である。
この場合、調湿側コントローラ(92a)は、空調機(20)の空調能力Qacと外気処理機(50)の空調能力Qdcの和(Qac+Qdc)が総計要求能力Q(図8の例では30kW)となるように、空調機(20)の空調能力Qacと外気処理機(50)の空調能力Qdcの組合せを複数組み抽出する。そして、調湿側コントローラ(92a)は、抽出した空調機(20)の空調能力Qacと外気処理機(50)の空調能力Qdcの組合せのそれぞれについて、空調機(20)の消費電力と外気処理機(50)の消費電力とを、第1運転特性データおよび第2運転特性データを用いて算出する。
先ず、調湿側コントローラ(92a)が空調機(20)の消費電力を算出する動作について説明する。仮に、室内空気の湿球温度が20℃で室外空気の乾球温度が32℃であったとする。なお、室内空気の湿球温度は、室内温度センサ(55a)および室内湿度センサ(56a)の計測値から算出される。また、室外空気の乾球温度は、室外温度センサ(57a)の計測値である。
例えば、空調機(20)の空調能力Qacが22kWのときの空調機(20)の消費電力Wacを算出する場合、調湿側コントローラ(92a)は、“室内空気の湿球温度が20℃で室外空気の乾球温度が32℃である運転条件”において空調機(20)の空調能力Qacが22kWとなるときの能力比を、第1運転特性データを用いて決定する。そして、調湿側コントローラ(92a)は、第1運転特性データを構成するマトリックスのうち決定した能力比に対応するものを参照し、“室内空気の湿球温度が20℃で室外空気の乾球温度が32℃である運転条件”において空調機(20)の空調能力Qacが22kWとなるときの消費電力Wacを算出する。
次に、調湿側コントローラ(92a)が外気処理機(50)の消費電力を算出する動作について説明する。仮に、室内空気の乾球温度が25℃で相対湿度が60%であり、室外空気の乾球温度が32℃で相対湿度が80%であるとする。なお、室内空気の乾球温度は室内温度センサ(55a)の計測値であり、室内空気の相対湿度は室内湿度センサ(56a)の計測値である。また、室外空気の乾球温度は室外温度センサ(57a)の計測値であり、室外空気の相対湿度は室外湿度センサ(58a)の計測値である。
例えば、外気処理機(50)の空調能力Qdcが8kWのときの外気処理機(50)の消費電力Wdcを算出する場合、調湿側コントローラ(92a)は、“室内空気の乾球温度が25℃且つ相対湿度が60%で、室外空気の乾球温度が32℃且つ相対湿度が80%である運転条件”において外気処理機(50)の空調能力Qdcが8kWとなるときの能力比を、第2運転特性データを用いて決定する。そして、調湿側コントローラ(92a)は、第2運転特性データを構成するマトリックスのうち決定した能力比に対応するものを参照し、“室内空気の乾球温度が25℃且つ相対湿度が60%で、室外空気の乾球温度が32℃且つ相対湿度が80%である運転条件”において外気処理機(50)の空調能力Qdcが8kWとなるときの消費電力Wdcを算出する。
調湿側コントローラ(92a)は、抽出した空調機(20)の空調能力Qacと外気処理機(50)の空調能力Qdcの組合せのそれぞれについて、空調機(20)の消費電力Wacと外気処理機(50)の消費電力Wdcの和(即ち、空調システム(10)全体の消費電力Ws(=Wac+Wdc))を算出する。そして、調湿側コントローラ(92a)は、各組合せにおける消費電力Wsを比較し、消費電力Wsが最小となる空調機(20)の空調能力Qacと外気処理機(50)の空調能力Qdcの組合せ選択し、その組合せにおける空調能力Qacの値を第1目標空調能力Qac_setとし、その組合せにおける空調能力Qdcの値を第2目標空調能力Qdc_setとする。つまり、図8に示す例では、消費電力Wsの最小値が7.7kWであり、その時の空調機(20)の空調能力Qacは22kWであり、その時の外気処理機(50)の空調能力Qdcは8kWである。従って、この例において、調湿側コントローラ(92a)は、第1目標空調能力Qac_setの値を22kWとし、第2目標空調能力Qdc_setの値を8kWとする。
===第4動作 ===
調湿側コントローラ(92a)は、第3動作が終了すると第4動作を実行する。調湿側コントローラ(92a)は、第4動作として、空調用圧縮機(41)の運転周波数の指令値と調湿用圧縮機(71)の運転周波数の指令値とを決定する動作を行う。
先ず、調湿側コントローラ(92a)が空調用圧縮機(41)の運転周波数の指令値を決定する動作について説明する。ここで、室内空気の乾球温度および相対湿度と室外空気の乾球温度とが分かれば、その運転条件において空調機(20)が第1目標空調能力Qac_setを発揮するときの空調機(20)の能力比(目標能力比)が決まる。一方、上述したように、第1運転特性データを構成する各マトリックスは、空調用圧縮機(41)の運転周波数を所定値(Fac_100,Fac_90,…)に設定したときに各運転条件において空調機(20)が発揮する空調能力と、そのときの空調機(20)の消費電力とを示している。従って、空調機(20)の目標能力比が決まれば、その目標能力比に対応する空調用圧縮機(41)の運転周波数が決まる。そこで、調湿側コントローラ(92a)は、その目標能力比に対応する空調用圧縮機(41)の運転周波数を、空調用圧縮機(41)の運転周波数の指令値に設定する。
次に、調湿側コントローラ(92a)が調湿用圧縮機(71)の運転周波数の指令値を決定する動作について説明する。ここで、室内空気の乾球温度および相対湿度と室外空気の乾球温度および相対湿度とが分かれば、その運転条件において外気処理機(50)が第2目標空調能力Qdc_setを発揮するときの外気処理機(50)の能力比(目標能力比)が決まる。一方、上述したように、第2運転特性データを構成する各マトリックスは、調湿用圧縮機(71)の運転周波数を所定値(Fdc_100,Fdc_90,…)に設定したときに各運転条件において外気処理機(50)が発揮する空調能力と、そのときの外気処理機(50)の消費電力とを示している。従って、外気処理機(50)の目標能力比が決まれば、その目標能力比に対応する調湿用圧縮機(71)の運転周波数が決まる。そこで、調湿側コントローラ(92a)は、その目標能力比に対応する調湿用圧縮機(71)の運転周波数を、調湿用圧縮機(71)の運転周波数の指令値に設定する。
===第5動作 ===
調湿側コントローラ(92a)は、第4動作が終了すると第5動作を実行する。調湿側コントローラ(92a)は、第5動作として、各圧縮機(41,71)へ電力を供給するインバータに対して出力周波数を指令する動作を行う。
具体的に、この第5動作において、調湿側コントローラ(92a)は、空調用圧縮機(41)へ電力を供給するインバータに対し、第4動作において決定した空調用圧縮機(41)の運転周波数の指令値を、そのインバータの出力周波数の指令値として送信する。その結果、空調用圧縮機(41)へ供給される電力の周波数が、第4動作で決定された空調用圧縮機(41)の運転周波数の指令値となり、空調機(20)の発揮する空調能力が第1目標空調能力となる。
また、この第5動作において、調湿側コントローラ(92a)は、調湿用圧縮機(71)へ電力を供給するインバータに対し、第4動作において決定した調湿用圧縮機(71)の運転周波数の指令値を、そのインバータの出力周波数の指令値として送信する。その結果、調湿用圧縮機(71)へ供給される電力の周波数が、第4動作で決定された調湿用圧縮機(71)の運転周波数の指令値となり、外気処理機(50)の発揮する空調能力が第2目標空調能力となる。
−実施形態の効果−
本実施形態において、制御システム(90)は、第1目標空調能力Qac_setと第2目標空調能力Qdc_setとを、第1目標空調能力Qac_setと第2目標空調能力Qdc_setの和(Qac_set+Qdc_set)が総計要求能力Q(即ち、空調システム(10)全体に要求される空調能力)と等しくなるという条件下において空調機(20)の消費電力Wacと外気処理機(50)の消費電力Wdcの和(Wac+Wdc)が最小となるように決定する。そして、本実施形態では、空調機(20)が第1目標空調能力を発揮して外気処理機(50)が第2目標空調能力を発揮するように、制御システム(90)が空調用圧縮機(41)及び調湿用圧縮機(71)の運転周波数を調節する。従って、本実施形態によれば、空調システム(10)に総計要求能力Qを発揮させつつ、空調システム(10)の消費電力Wsを必要最低限に抑えることが可能となる。
−実施形態の変形例1−
上記の実施形態では、“空調機(20)の全熱能力Qacと外気処理機(50)の全熱量力Qdcとの和(Qac+Qdc)が空調システム(10)全体に要求される全熱能力(総計要求能力Q)になる”という条件の下で空調機(20)の消費電力Wacと外気処理機(50)の消費電力Wdcとの和(Wac+Wdc)が最小となるように、空調機(20)の全熱能力Qacの目標値を第1目標空調能力Qac_setに設定し、外気処理機(50)の全熱量力Qdcの目標値を第2目標空調能力Qdc_setに設定している。なお、全熱能力とは、処理対象の空気の温度を調節するのに要する能力である顕熱能力と、処理対象の空気の絶対湿度を調節するのに要する能力である潜熱能力との和である。
このように、上記の実施形態では、全熱能力を基準に第1目標空調能力と第2目標空調能力を設定している。一方、上記の実施形態では、顕熱能力を基準に第1目標空調能力と第2目標空調能力を設定することも可能であるし、潜熱能力を基準に第1目標空調能力と第2目標空調能力を設定することも可能である。
先ず、調湿側コントローラ(92a)が顕熱能力を基準に第1目標空調能力Qac_setと第2目標空調能力Qdc_setを設定する場合について、図5〜7を参照しながら説明する。
なお、図5において、点Aの状態の空気(即ち、実際の室外空気)の乾球温度をTaとして絶対湿度をXaとし、点Bの状態の空気(即ち、実際の室内空気)の乾球温度をTbとして絶対湿度をXbとし、点Cの状態の空気(乾球温度が目標室内温度Tsで相対湿度が目標室内湿度Hsの湿り空気)の絶対湿度をXcとする。また、点Dの状態の空気は、乾球温度がTaで絶対湿度がXcとなった湿り空気であり、点Eの状態の空気は、乾球温度がTbで絶対湿度がXcとなった湿り空気である。
図5において、外気処理に必要な顕熱能力Q2sは、点Dの状態と点Cの状態の比エンタルピ差h_s2に、第1及び第2の調湿ユニット(52a,52b)が室内へ供給する室外空気の流量Voaを乗ずることによって算出される(Q2s=h_s2×Voa)。ここで、室内の空気調和に必要な全熱能力のうちの顕熱能力の割合Rsは、点Eの状態と点Cの状態の比エンタルピ差h_s1を点Bの状態と点Cの状態の比エンタルピ差h_1で除することによって得られる(Rs=h_s1/h_1)。一方、室内の空気調和に必要な全熱能力Q1は、制御システム(90)の第2動作についての説明で述べたのと同じ手順で推定できる。そして、室内の空気調和に必要な顕熱能力Q1sは、室内の空気調和に必要な全熱能力Q1に割合Rsを乗ずることによって得られる(Q1s=Q1×Rs)。また、空調システム(10)全体に要求される顕熱能力Qsは、室内の空気調和に必要な顕熱能力Q1sと外気処理に必要な顕熱能力Q2sを足し合わせることによって算出される(Qs=Q1s+Q2s)。
図6に示す第1運転特性データでは、空調機(20)の全熱能力が記録されているが、この全熱能力を顕熱能力Qs_acと潜熱能力Qr_acに予め分けておくことは可能である。なお、空調機(20)の冷房運転中には、蒸発器となった室内熱交換器(36a,36b,…)において空気中の水分が凝縮するため、空調機(20)の冷房能力(全熱能力)は、顕熱能力と潜熱能力に分けられる。また、空調機(20)の暖房運転中には、凝縮器となった室内熱交換器(36a,36b,…)において空気の温度だけが上昇するため、空調機(20)の暖房能力(全熱能力)は、その全部が顕熱能力である。一方、図7に示す第2運転特性データでは、外気処理機(50)の顕熱能力Qs_dcが既に記録されている。
この場合において、調湿側コントローラ(92a)は、空調機(20)の顕熱能力Qs_acの目標値と外気処理機(50)の顕熱量力Qs_dcの目標値とを、空調機(20)の顕熱能力Qs_acと外気処理機(50)の顕熱能力Qs_dcの和が空調システム(10)全体に要求される顕熱能力Qsになる(Qs=Qs_ac+Qs_dc)という条件の下で空調機(20)の消費電力と外気処理機(50)の消費電力の和が最小となるように決定する。そして、調湿側コントローラ(92a)は、このようにして決定した空調機(20)の顕熱能力Qs_acの目標値を第1目標空調能力Qac_setに、外気処理機(50)の顕熱量力Qs_dcの目標値を第2目標空調能力Qdc_setに、それぞれ設定する。
次に、調湿側コントローラ(92a)が潜熱能力を基準に第1目標空調能力Qac_setと第2目標空調能力Qdc_setを設定する場合について、図5〜7を参照しながら説明する。
図5において、外気処理に必要な潜熱能力Q2sは、点Aの状態と点Dの状態の比エンタルピ差h_r2に、第1及び第2の調湿ユニット(52a,52b)が室内へ供給する室外空気の流量Voaを乗ずることによって算出される(Q2r=h_r2×Voa)。ここで、室内の空気調和に必要な全熱能力のうちの潜熱能力の割合Rrは、点Bの状態と点Eの状態の比エンタルピ差h_r1を点Bの状態と点Cの状態の比エンタルピ差h_1で除することによって得られる(Rr=h_r1/h_1)。一方、室内の空気調和に必要な全熱能力Q1は、制御システム(90)の第2動作についての説明で述べたのと同じ手順で推定できる。そして、室内の空気調和に必要な潜熱能力Q1rは、室内の空気調和に必要な全熱能力Q1に割合Rrを乗ずることによって得られる(Q1r=Q1×Rr)。また、空調システム(10)全体に要求される潜熱能力Qrは、室内の空気調和に必要な潜熱能力Q1rと外気処理に必要な潜熱能力Q2rを足し合わせることによって算出される(Qr=Q1r+Q2r)。
上述したように、図6に示す第1運転特性データでは、空調機(20)の全熱能力が記録されているが、この全熱能力を顕熱能力Qs_acと潜熱能力Qr_acに予め分けておくことは可能である。一方、図7に示す第2運転特性データでは、外気処理機(50)の顕熱能力Qs_dcが既に記録されているため、外気処理機(50)の潜熱能力Qr_dcは、外気処理機(50)の全熱能力Qdcから外気処理機(50)の顕熱能力Qs_dcを差し引くことによって算出される(Qr_dc=Qdc−Qs_dc)。
この場合において、調湿側コントローラ(92a)は、空調機(20)の潜熱能力Qr_acの目標値と外気処理機(50)の潜熱量力Qr_dcの目標値を、空調機(20)の潜熱能力Qr_acと外気処理機(50)の潜熱能力Qr_dcの和が空調システム(10)全体に要求される潜熱能力Qrになる(Qr=Qr_ac+Qr_dc)という条件の下で空調機(20)の消費電力と外気処理機(50)の消費電力の和が最小となるように決定する。そして、調湿側コントローラ(92a)は、このようにして決定した空調機(20)の潜熱能力Qr_acの目標値を第1目標空調能力Qac_setに、外気処理機(50)の潜熱量力Qr_dcの目標値を第2目標空調能力Qdc_setに、それぞれ設定する。
−実施形態の変形例2−
図9に示すように、上記の実施形態では、各調湿ユニット(52a,52b)に調湿用圧縮機(71a,71b)が一台ずつ搭載されていてもよい。図9に示す空調システム(10)では、外気処理機(50)が二台の調湿ユニット(52a,52b)だけによって構成される。各調湿ユニット(52b)の調湿用回路(80a,80b)において、調湿用圧縮機(71a,71b)は、その吐出側が四方切換弁(83a,83b)の第1のポートに接続され、その吸入側がアキュームレータ(72a,72b)を介して四方切換弁(83a,83b)の第2のポートに接続される。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。