JP5486227B2 - 熱転写受像シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱転写受像シートの製造方法及び熱転写受像シートに関する。
昇華性染料を記録剤とし、これを基材に担持させた熱転写シートを用いて、昇華性染料で染着可能な熱転写受像シート上にカラー画像を形成する方法が提案されている。これは加熱手段としてプリンターのサーマルヘッドなどを使用し、加熱によって染料を受像シートに転写させてカラー画像を得るものである。このようにして形成された画像は、染料を用いることから非常に鮮明であり、且つ透明性に優れているため、中間色の再現性や階調性に優れ、高品質の画像が期待できる。上記熱転写受像シートとして、近年、染料の染着性の観点から、フェノキシエチル(メタ)アクリレート系重合体を含有する受容層を有する熱転写受像シートが提案されている。
このような熱転写受像シートに関する技術としては、例えば、熱転写受像シートの耐光性、保存安定性、可塑剤のブリード等の改善の観点から、特許文献1〜5などが挙げられる。
しかし、これらの技術は、いずれもフェノキシエチル(メタ)アクリレート系重合体を有機溶剤に溶かして受容層として使用するものであり、近年の高画質化等の要求により、熱転写受像シートの耐光性、及び離型性、染料の染着性が重要な課題であるという観点からは、前記技術ではこれら全ての性能を満足する熱転写受像シートは得られていなかった。
特開平8−197854号公報 特開平8−224967号公報 特開2002−283750号公報 特開2004−122522号公報 特開2008−44378号公報
本発明は、染着性、離型性及び耐光性のいずれにも優れた熱転写受像シート、及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、
[1](1)基材上に、中空粒子の分散液を塗布して中間層を設ける工程、及び
(2)上記中間層の上に、樹脂粒子の分散液を塗布して染料受容層を設ける工程、
を有する熱転写受像シートの製造方法であって、前記工程(2)における樹脂粒子がフェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有する重合体を含有する熱転写受像シートの製造方法、及び
[2]基材、及び該基材上に設けられた中空粒子を含有する中間層、及び該中間層上に樹脂粒子の分散液を塗布してなる染料受容層を有し、かつ、前記樹脂粒子がフェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有する重合体を含有する熱転写受像シート、
に関する。
本発明によれば、染着性、離型性及び耐光性のいずれにも優れた熱転写受像シート及びその製造方法を提供することができる。
[工程(1)]
本発明の製造方法における工程(1)は、基材上に、中空粒子の分散液を塗布して中間層を設ける工程である。
(中空粒子)
中間層に用いられる中空粒子としては、少なくとも一部に空孔を有するポリマー粒子であれば、特に制限はない。例えば、1)樹脂により形成された粒子隔壁内部に存在する水が、塗布乾燥後、粒子外に蒸発して粒子内部が中空となる非発泡型の中空粒子、2)ブタン、ペンタンなどの低沸点液体を樹脂で被覆した粒子を加熱することにより、粒子内部の低沸点液体が膨張して内部が中空となる中空粒子、3)前記2)をあらかじめ加熱発泡させた中空ポリマー粒子、4)樹脂粒子を形成する重合体に含まれる酸性基の少なくとも一部が中和されることによって形成される中空粒子、等が挙げられる。本発明においては、中間層の平滑性及び中間層と染料受容層の密着性の観点から、前記1)又は3)の方法により得られるものが好ましく使用できる。
前記中空粒子を構成する材料については特に制限はなく、前記方法に使用される種々の公知の材料、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル共重合体、それらの混合物等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体等がいずれも使用できるが、本発明においては、中間層と染料受容層の密着性の観点から、スチレン−アクリル共重合体、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体等が好ましく用いられる。
前記中空粒子の形状は特に限定されず、球状はもちろん球状以外のいかなる形状のものであってもよいが、本発明においては、中間層の平滑性及び中間層と染料受容層の密着性の観点から、実質球状のものであることが好ましい。また、中空粒子の個数平均粒径は、0.1〜5μmであり、中間層と染料受容層の密着性の観点からは、0.3〜3μmのものが好ましく、0.3〜1μmのものがより好ましい。この値は、電界放射型走査電子顕微鏡(日立製作所社製、S-4800型)により測定することができる。
本発明において、前記中空粒子としては、そのメチルエチルケトン(MEK)不溶分が、中空粒子の耐熱性及び中間層と染料受容層の密着性の観点から、好ましくは20重量%以上、より好ましくは20〜70重量%、更に好ましくは30〜70重量%であるものが好ましく用いられる。本発明において、「MEK不溶分」とは、25℃のMEK95重量部に対して、中空粒子2.000重量部を溶解させた場合の、中空粒子が有する不溶な中空粒子成分の重量割合で定義されるものである。
前記中空粒子のMEK不溶分は、例えば、これを構成する樹脂の架橋度を制御すること等により調整することができる。
本発明において、中空粒子は、基材上への塗工性の観点からその分散液として使用され、好ましくは水性媒体中の分散液として使用される。好ましく使用できる市販の中空粒子として、例えば、日本ゼオン社製の「Nipol MH8101」、JSR社製の「SX8782(D)」等が挙げられる。
本発明における中間層には、染料の染着性及び中間層と染料受容層の密着性の観点から、前記中空粒子を、中間層のバインダーとして用いられる樹脂に対し、重量比(中空粒子/バインダー樹脂)で、30/70〜90/10含有することが好ましく、より好ましくは40/60〜85/15、さらに好ましくは50/50〜70/30含有する。
(バインダー樹脂)
中間層には、前記中空粒子とともに、これを固定するバインダー樹脂として、水溶性高分子を使用することが好ましく、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられるが、このなかでも、中間層の熱特性の観点からゼラチンが好ましい。その粘度は、熱転写受像シートの離型性及び造膜性の観点から、JIS K6503−2001で測定した粘度(60℃)が2.5〜6.0mPa・sであることが好ましく、3.0〜5.5mPa・sであることがより好ましい。
また、印画時に発生するワレや剥がれの観点から、ゼラチンのゼリー強度は150〜300であることが好ましく、より好ましくは160〜300であり、更に好ましくは190〜300であり、より更に好ましくは200〜300である。ゼラチンのゼリー強度は、JIS K6503に従って測定することができる。
中間層における前記バインダー樹脂の含有量は、中間層全体の1〜75重量%であることが好ましく、1〜50重量%であることがより好ましい。
また、中間層に含まれるバインダー樹脂は、アルデヒド類、エポキシ類、ビニルスルホン類、トリアジン類、カルボジイミド類等の架橋剤により架橋されていることが好ましい。
(中間層)
中間層には、前記中空粒子の分散液、バインダー樹脂に加え、その白色度を向上させて転写画像の鮮明度を高める観点から、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリンクレー、炭酸カルシウム、微粉末シリカ等の顔料や充填剤を使用することができる。これらの顔料や充填剤は、熱転写受像シートの白色度の観点から、中間層中に、中間層のバインダー樹脂100重量部に対して好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.1〜10重量部含有することができる。
中間層には、更に必要に応じて、グリコールエーテル類等の造膜助剤、離型剤、硬化剤、触媒等の添加剤を含有することもできる。
本発明の熱転写受像シートの製造方法において、中間層は、熱転写受像シートの基材の少なくとも一方の面に、必要に応じて用いられるバインダー樹脂及び各種添加剤を有機溶剤や水に分散あるいは溶解して、これを中空粒子の分散液と混合して塗布し乾燥して形成することができる。
中間層の厚みは、耐擦傷性、耐折曲げ性、断熱性の観点から、10〜100μmであることが好ましく、より好ましくは20〜50μmである。また、乾燥後の固形分量としては、中間層1m2当り7〜70g/m2であることが好ましい。中間層は、例えば、熱転写受像シートの基材の少なくとも一方の面に、中空粒子の分散液、及び必要に応じて用いられるバインダー樹脂、添加剤等を水に溶解して、あるいは水に分散して得られた溶液あるいは分散液を含む塗工液を、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等により塗布し乾燥して形成することができる。
前記中間層を設ける基材としては、例えば合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート等の各種の樹脂のフイルム又はシート等が使用でき、また、これらの樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フイルムあるいは発泡させた発泡シート等も使用できる。また、前記基材を組み合わせた積層体も使用できる。
これらの基材の厚みは、例えば、10〜300μm程度が一般的である。前記の如き基材には、染料受容層との密着力を向上する観点から、その表面にプライマー処理やコロナ放電処理を施すことが好ましい
[工程(2)]
本発明の製造方法における工程(2)は、前記中間層の上に、樹脂粒子の分散液を塗布して染料受容層を設ける工程であり、樹脂粒子がフェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有する重合体を含有する。
(樹脂粒子の分散液)
工程(2)における樹脂粒子の分散液は、前記樹脂粒子がフェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有する重合体を含有するものである。
フェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有する重合体
フェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットは、染料の染着性及び熱転写受像シートの耐光性の観点から、基本構造として下記式(1)の構造を有する。
Figure 0005486227
式(1)において、熱転写シート上に設けられた染料層(リボン)との離型性及び樹脂分散液の分散安定性の観点から、nは(CH2CH2O)の平均付加モル数を表し、1〜3が好ましく、1〜2がより好ましく、1がさらに好ましい。また、Rとしては、水素原子、メチル基、エチル基などのアルキル基等を挙げることができる。なお、本明細書において、「フェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニット」とは、フェノキシエチレングリコールメタクリレートユニットとフェノキシポリエチレングリコールメタクリレートユニットの両方を含むことを意味する。
また、フェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有する重合体には、フェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートモノマーと他のモノマーとの共重合体が包含される。前記他のモノマーとしては、例えば、
アクリル酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル、スチレン等が挙げられ、リボンとの離型性の観点から、メタクリル酸アルキル、スチレンが好ましく用いられる。
前記フェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有する重合体中におけるフェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットの含有量は、染料の染着性の観点から、25〜100重量%であることが好ましく、より好ましく40〜100重量%、更には50〜100重量%、更に好ましくは70〜100重量%、より更に好ましくは90〜100重量%である。なお、前記フェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットの含有量は、原料モノマーとしてのフェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートの使用量に対応するものとする。
また、フェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有する重合体は、そのガラス転移点が、リボンとの離型性及び染料の染着性の観点から、40℃以上であることが好ましく、40〜80℃であることがより好ましく、40〜70℃であることが更に好ましい。また、前記重合体の重量平均分子量は10,000〜5,000,000程度であることが好ましい。重量平均分子量が前記範囲内にあると、良好な塗膜特性が得られる。以上の観点から、重量平均分子量は、100,000〜5,000,000であることがより好ましい。
従来、フェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有する重合体は、溶剤に溶かして使用する必要があることから、分子量の低い重合体が用いられていた。このため、離型性を確保するために分子量を上げる手段として架橋剤と反応させることが行われている。しかし、この方法では樹脂が架橋してしまうため、染料の染着性に劣ることとなる。しかし、本発明では、フェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有する重合体を、これを含む樹脂粒子の分散液として使用するため、架橋剤を用いることなく分子量を大幅に上げることができるために離型性に優れる熱転写受像シートを得ることができる。そして、この架橋構造を有しない樹脂構造と、前記中空粒子を含有する中間層による熱特性により熱転写時に熱が受容層に適度にかかり、染料が樹脂に拡散し、染料の染着性が向上するものと考えられる。また、このように染料が樹脂に拡散するためか、耐光性が向上するという効果も奏する。
本発明においては、フェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有する重合体の製造方法については特に制限はなく、例えば、懸濁重合、塊状重合、溶液重合、乳化重合などいずれの方法でも製造することができるが、
高分子量化及び塗工性の観点から、いわゆるミニエマルション重合法により行うことが好ましい。重合体を高分子量化することで、リボンとの離型性がより向上する。
ミニエマルション重合法には、具体的には、原料モノマーを水あるいは有機溶剤中で界面活性剤等と混合して、これに剪断力を加え、モノマー油滴を、好ましくは20〜1000nm、より好ましくは50〜800nmの粒径に微細化し、更に重合開始剤を添加することにより該油滴中のモノマーを重合させて重合体粒子を得る方法が挙げられる。ここで、前記モノマー油滴の粒径は、レーザー回折型粒径測定機(HORIBA社製、「LA−920」)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で、体積中位粒径(D50)を測定して得られる。
この方法において、界面活性剤としては、乳化性及び樹脂粒子の分散液の分散安定性の観点から、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられ、その使用量は、乳化性、樹脂分散液の分散安定性及び塗膜の耐湿性の観点から、重合体の全原料モノマーに対し、0.5〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜5重量%であり、更に好ましくは1〜3重量%である。また、モノマー油滴を微細化する方法としては、モノマー油滴を微細化しうる程度の剪断力を与えることができる方法であれば特に制限はないが、好ましくは、超音波分散法、高圧分散法等の方法を用いることが好ましい。
また、重合開始剤としては、水溶性のものが好ましく挙げられ、具体的には、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
重合の際の温度としては、60〜100℃であることが好ましく、より好ましくは70〜95℃である。
このような方法により得られるフェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有する重合体は、染料の染着性等に優れるという利点を有する。これは、フェノキシ基が、ポリエチレングリコール鎖を介して主鎖にグラフトされているため動きやすく、適度な極性を有するためと考えられる。
樹脂粒子の分散液
本発明において、工程(2)で用いる樹脂粒子の分散液における樹脂粒子は、前述のフェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有する重合体とともに、他の樹脂を含有することができる。このような樹脂としては、上記重合体と相溶性を有するものが好ましく、例えば、エステル結合を有する樹脂(ポリエステル、ポリアクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、スチレンアクリレート、ビニルトルエンアクリレート、ポリビニル芳香族カルボン酸エステル等)、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、尿素樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル又はその共重合体等を挙げることができ、この中で、染料の染着性の観点から、ポリエステル、ポリ塩化ビニル又はその共重合体が好ましい。
本発明におけるフェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有する重合体は、染料の染着性の観点から、樹脂粒子中に25〜100重量%含有されることが好ましく、より好ましくは50〜100重量%、更に好ましくは75〜100重量%含有される。
前記樹脂粒子の分散液は、前記フェノキシポリエチレングリコールメタクリレートユニットを有する重合体を含む樹脂を、有機溶剤中や水系媒体中に分散させて得られるが、環境性の観点から、水系媒体中に分散させて得ることが好ましい。
前記樹脂を分散させる水系媒体とは、水を主成分とするもの、すなわち、水が50重量%以上のものである。環境性の観点から、水性媒体中の水の含有量は80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。
フェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有する重合体を含む樹脂粒子の分散液としては、前記フェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有する重合体を含む樹脂を水系媒体中に従来公知の方法で分散させたものであれば、いずれも使用することができるが、前述のミニエマルション重合法により得られた重合体粒子の分散液(樹脂粒子の分散液)を使用することが、リボンとの離型性の観点から好ましい。このような樹脂粒子の分散液を用いることで、染料の染着性や離型性に優れた熱転写受像シートを得ることができる。
樹脂粒子の分散液中の樹脂粒子は、熱転写受像シートを得る際の造膜性の観点から、その体積中位粒径(D50)が20〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは、50〜800nmであり、更に好ましくは80〜500nmである。この粒径は前述のモノマー油滴の粒径と同様の方法で測定することができる。
前記樹脂粒子の分散液の固形分中の樹脂のガラス転移点は、樹脂粒子の分散液の保存安定性、熱転写受像シートの保存安定性、及び、染料の染着性の観点から、30℃以上であることが好ましく、より好ましくは40℃以上、より好ましくは40〜80℃、更に好ましくは40〜70℃、より更に好ましくは40〜60℃である。
前記樹脂粒子の分散液中の固形分濃度は、樹脂粒子の分散性及び生産性の観点から、20〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは25〜50重量%、更に好ましくは30〜50重量%である。また、前記樹脂粒子の分散液の25℃におけるpH値は樹脂粒子の分散液の保存安定性の観点から、1.5〜5.0であることが好ましく、より好ましくは2.0〜4.5、更に好ましくは2.0〜4.0である
(染料受容層)
工程(2)で設けられる染料受容層は、前記中間層に前述の樹脂粒子の分散液を塗布して得られるものである。樹脂粒子の分散液を、前述の中空粒子を含む特定の中間層の上に塗布して染料受容層を設けることで、染料受容層に十分に熱がかかり、染料がリボンから効率よく転写され、染料受容層中に広く染料が拡散することで、染着性、離型性及び耐光性をいずれも満足しうる熱転写受像シートが得られると考えられる。
染料受容層用塗工液は前記樹脂粒子の分散液を含有するが、熱転写時における熱転写受像シートの離型性を更に良好にする観点から、さらに離型剤を含有することが好ましい。離型剤としては、例えば、分散性あるいは水溶性の変性シリコーンオイル等を適宜使用することができる。これらの離型剤は、染料受容層用塗工液中に、樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部含有することができる。
また、前記染料受容層用塗工液には造膜剤を含有することが好ましく、得られる染料受容層も造膜剤を含有することが好ましい。造膜剤の中でも、得られる熱転写受像シートの強度の観点から、ブチルカルビトールアセテート、ジエチルカルビトール、水溶性高分子が好ましく、水溶性高分子がより好ましい。水溶性高分子としては、具体的には、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、これらの中では、熱特性の観点からゼラチンが好ましい。その粘度としては、熱転写受像シートの離型性及び造膜性の観点から、JIS K6503−2001で測定した粘度(60℃)が1.5〜6.0mPa・sであることが好ましく、より好ましくは2.4〜5.5であり、さらに好ましくは3.0〜5.5mPa・sである。
染料受容層塗工液における造膜剤の含有量は、造膜性、熱転写受像シートの強度、染料受容層塗工液の塗工性などの観点から、当該染料受容層全体の1〜75重量%となる量であることが好ましく、1〜50重量%となる量であることがより好ましい。
更に、染料受容層の白色度を向上させて転写画像の鮮明度を高める観点から、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリンクレー、炭酸カルシウム等の顔料や充填剤を使用することができる。これらの顔料や充填剤は、本発明の熱転写受像シートの白色度の観点から、染料受容層用塗工液中に、樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部含有することができる。なお、本発明の染料受容層用塗工液には、更に必要に応じて、例えば、触媒、硬化剤等他の添加剤を含有することもできる。
以上の如く形成される染料受容層の厚さは、一般には1〜50μmであり、画質及び生産性の観点から、3〜15μmであることが好ましい。また、乾燥後の固形分量としては、染料受容層1m2当たり3〜15gであることが好ましい。
本発明の熱転写受像シートは、基材と、基材の少なくとも一方の面に前記中間層と、前記染料受容層とをこの順に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等により重層塗布及び乾燥して形成することによって得ることが好ましい。
[熱転写受像シート]
本発明の熱転写受像シートは、基材、及び該基材上に設けられた中空粒子を含有する中間層、及び該中間層上に樹脂粒子の分散液を塗布してなる染料受容層、を有し、かつ、前記樹脂粒子がフェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有する重合体を含有するものである。基材、中間層、染料受容層、フェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有する重合体等については前述の通りである。
本発明の効果の観点からは、前記熱転写受像シートは、前述の熱転写受像シートの製造方法により得られるものであることが好ましい。
[転写シート]
前記の如き本発明の熱転写受像シートを使用して熱転写を行う際に使用する転写シートは、通常、紙やポリエステルフイルム上に昇華性染料を含む染料層、及び染料を受像して得られた画像上に転写される保護層等からなるラミネート層を設けたものであり、従来公知の転写シートをいずれも使用することができる。
本発明の熱転写受像シートに好適に使用できる昇華性染料としては、例えばイエロー染料では、ピリドンアゾ系、ジシアノスチリル系、キノフタロン系、メロシアニン系;マゼンタ染料では、ベンゼンアゾ系、ピラゾロンアゾメチン系、イソチアゾール系、ピラゾロトリアゾール系;シアン染料では、アントラキノン系、シアノメチレン系、インドフェノール系、インドナフトール系が挙げられる。
熱転写時の熱エネルギーの付与手段としては、従来公知の付与手段がいずれも使用でき、例えば、サーマルプリンター等の記録装置によって、記録時間をコントロールすることにより、5〜100mJ/mm2程度の熱エネルギーを付与することによって行うことが出来る。
以下に実施例等により、本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例等においては、各性状値は次の方法により測定、評価した。
[樹脂のガラス転移点]
示差走査熱量計(Perkin Elmer社製、Pyris6DSC)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
[樹脂粒子の分散液中の樹脂のガラス転移点]
樹脂粒子の分散液中の樹脂粒子についてガラス転移点を測定する場合は、樹脂粒子の分散液から凍結乾燥により溶媒を除去し、得られた固形物について測定を行った。
樹脂分散液の凍結乾燥は、凍結乾燥機(東京理化器械社製:FDU−2100およびDRC−1000)を用いて、樹脂分散液30gを−25℃にて1時間、−10℃にて10時間、25℃にて4時間真空乾燥を行い、水分量1重量%以下となるまで乾燥させた。水分量は、赤外線水分計(ケツト科学研究所社製:FD−230)を用いて、乾燥後の試料5gを、乾燥温度150℃及び測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて測定した。
[樹脂粒子の分散液中の樹脂粒子の粒径]
レーザー回折型粒径測定機(HORIBA社製、「LA−920」)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で、体積中位粒径(D50)を測定する。
[樹脂粒子の分散液の固形分濃度]
赤外線水分計(ケツト科学研究所社製:FD−230)を用いて、分散液5gを乾燥温度150℃,測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、ウェットベースの水分%を測定する。固形分濃度は下記の式に従って算出した。
固形分濃度(%)=100−M
M:ウェットベース水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
[中空粒子のメチルエチルケトン(MEK)不溶分]
(1)試料の溶解
1−1.中空粒子の乾燥粉末2.000gを、ガラス瓶(柏洋硝子社製、M−140)に秤量した後、MEK 95gを加え、内蓋及び外蓋を取り付ける。
1−2.ボールミルにて25℃で5時間攪拌する(周速:200mm/sec)。
1−3.そのまま25℃で10時間静置する。
(2)濾過
2−1.予め計量済み(1000分の1g単位)のナスフラスコ(重量A(g))に取り付けたガラスフィルタ(目開き規格11G−3)を準備する。ガラスフィルタのシールには、減圧が可能なゴム栓を用いる。
2−2.1−3において10時間静置した溶解液の上澄みから20mlをメスピペッドで吸い取り、2−1で準備したガラスフィルタを用いて、減圧濾過する。なお、液面から下2cmまでを上澄みとする。溶解液を濾過する前のナスフラスコ内の減圧度を40kPaに調整する。
2−3.未使用のMEK 20mlをメスピペッドで吸い取り、ガラスフィルタに付着している可溶分を注意深く濾過にて流しナスフラスコに集める。
(3)乾燥
3-1.エバポレータにて下記条件でナスフラスコ内の前記濾液と洗液からMEKを留去する。
ウォーターバス温度:70℃
ナスフラスコ回転数:200r/min
MEK除去中のナスフラスコ内の減圧度:40〜20kPaに調整
時間:10分
3−2.50℃、0.13kPaにて12時間乾燥した後、ナスフラスコの重量B(g)を計量する。
(4)MEK不溶分の算出
4−1.MEK 20mlに溶解したMEK可溶分X(g)を算出する。
X=B−A
4−2.MEK 95gに溶解するMEK可溶分Y(g)を、MEKの比重を0.805として算出する。
Y=X×95/(20×0.805)
4−3.試料1gあたりの可溶分Z(重量%)を算出する。
Z=Y/2×100
4−4.MEK不溶分(重量%)=100−Z
なお、MEK不溶分(重量%)は、3回の測定値の平均値とする。結果を表4に示す。
[重量平均分子量]
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量、重量平均分子量を算出した。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、ポリエステルをクロロホルムに溶解させた。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業社製、「FP−200」]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とした。
(2)分子量分布測定
溶解液としてテトラヒドロフランを1ml/分の流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させた。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行った。試料の分子量は、あらかじめ作製した検量線に基づき算出した。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー社製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いた。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
製造例1〜4(樹脂粒子の分散液A〜D)
表1に示す過硫酸ナトリウム以外の原料を500mLのガラス製ビーカーに入れ、超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製US-600T)で60分間超音波を照射して乳化物を調製した。窒素導入管、還流冷却管、滴下ロート、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、調製した乳化液、表1に示す過硫酸ナトリウムを仕込み、窒素気流下、撹拌を行い80℃に昇温した。80℃で6時間反応させた。室温まで冷却後、200メッシュの金網で濾過し、樹脂粒子の分散液A〜Dをそれぞれ得た。得られた樹脂粒子の分散液A〜Dの各々の樹脂粒子の体積中位粒径、固形分、pH、ガラス転移点(Tg)を表1に示す。
製造例5(樹脂粒子の分散液E)
窒素導入管、還流冷却管、滴下ロート、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、水100g、ネオペレックスG−15(花王社製、15%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液)0.67g、過硫酸ナトリウム0.08gを仕込み、窒素気流下、撹拌を行い、80℃に昇温した。一方、ガラス製ビーカーに、スチレン100g、水86g、ネオペレックスG−15(花王社製、15%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液)6.0g、過硫酸ナトリウム0.31gを仕込み、攪拌、溶解させ、TKホモミキサー(プライミクス製)で10000rpmで1分処理し、乳化物を調整した。この乳化物を滴下ロートに仕込み、四つ口フラスコに3時間かけて一定速度で滴下し、滴下終了後、さらに2時間かけて熟成を行った。室温まで冷却後、200メッシュの金網で濾過し、樹脂粒子の分散液Eを得た。得られた樹脂粒子の分散液E中の樹脂粒子の体積中位粒径、固形分、pH、ガラス転移点(Tg)を表1に示す。
製造例6(樹脂粒子の分散液F)
窒素導入管、還流冷却管、滴下ロート、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、水100g、ネオペレックスG−15(花王社製、15%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液)0.47g、過硫酸ナトリウム0.05gを仕込み、窒素気流下、撹拌を行い、80℃に昇温した。一方、ガラス製ビーカーに、ベンジルメタクリレート100g、水86g、ネオペレックスG−15(花王社製、15%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液)4.2g、過硫酸ナトリウム0.18gを仕込み、攪拌、溶解させ、TKホモミキサー(プライミクス製)で10000rpmで1分間処理し、乳化物を調製した。この乳化物を滴下ロートに仕込み、四つ口フラスコに3時間かけて一定速度で滴下し、滴下終了後、さらに2時間かけて熟成を行った。室温まで冷却後、200メッシュの金網で濾過し、樹脂粒子の分散液Fを得た。得られた樹脂粒子の分散液F中の樹脂粒子の体積中位粒径、固形分、pH、ガラス転移点(Tg)を表1に示す。
製造例7(樹脂粒子の分散液G)
窒素導入管、還流冷却管、滴下ロート、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、水100g、ネオペレックスG−15(花王社製、15%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液)0.47g、過硫酸ナトリウム0.06gを仕込み、窒素気流下、撹拌を行い、80℃に昇温した。一方、ガラス製ビーカーに、iso−ブチルメタクリレート100g、水86g、ネオペレックスG−15(花王社製、15%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液)4.2g、過硫酸ナトリウム0.23gを仕込み、攪拌、溶解させ、TKホモミキサー(プライミクス製)で10000rpmで1分処理し、乳化物を調製した。この乳化物を滴下ロートに仕込み、四つ口フラスコに3時間かけて一定速度で滴下し、滴下終了後、さらに2時間かけて熟成を行った。室温まで冷却後、200メッシュの金網で濾過し、樹脂粒子の分散液Gを得た。得られた樹脂粒子の分散液G中の樹脂粒子の体積中位粒径、固形分、pH、ガラス転移点(Tg)を表1に示す。
Figure 0005486227
製造例8(樹脂Aの製造)
表2に示す樹脂の原料モノマーを、熱電対、攪拌器、還流冷却管及び窒素導入管を装備した500mLの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて70℃の温度で攪拌し1時間反応させた。その後、メチルエチルケトンを留去し、80℃で24時間乾燥して樹脂Aを得た。得られた樹脂のガラス転移点(Tg)及び重量平均分子量を表2に示す。
製造例9(樹脂Bの製造)
表2に示す樹脂の原料モノマーを、熱電対、攪拌器、還流冷却管及び窒素導入管を装備した500mLの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にて70℃の温度で攪拌し15分間反応させた。その後、メチルエチルケトンを留去し、80℃で24時間乾燥して樹脂Bを得た。得られた樹脂のガラス転移点(Tg)及び重量平均分子量を表2に示す。
Figure 0005486227
実施例1〜5及び比較例3〜5(熱転写受像シートの製造)
脱イオン水(45℃)に、表3に示す中空粒子とバインダーを添加、混合して中間層塗工液を作製した。この塗工液を合成紙YUPO FGS−250(厚さ250μm、坪量200g/m2)にワイヤーバーにより乾燥後に20.0g/m2になるように塗布し、25℃5分間乾燥させて中間層塗工シートを得た。
各樹脂粒子の分散液(25℃)に、表3に示す他の材料を添加、混合し染料受容層塗工液A〜E、H〜Jを作製した。この塗工液の各々を表3に示すように前述の中間層塗工シートにワイヤーバーにより乾燥後に5.0g/m2になるように塗布し、50℃2分間乾燥させて熱転写受像シートを得た。この熱転写受像シートに市販の昇華型プリンタ(キヤノン社製、SELPHY ES−2)を用いて各色(黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、グリーン(G)、レッド(R)、ブルー(B))の階調パターン(18階調)を印画し、下記の方法で染着性(印字感度、最高濃度)、耐光性を評価した。また、5×5cmの黒ベタを印画し、印画時のインクリボンとの離型性(熱融着性)を評価した。それぞれ下記のように測定し評価した。結果を表3に示す。
比較例1、2(熱転写受像シートの製造)
脱イオン水(45℃)に、表3に示す中空粒子とバインダーを添加、混合して中間層塗工液を作製した。この塗工液を合成紙YUPO FGS−250(厚さ250μm、坪量200g/m2)にワイヤーバーにより乾燥後に20.0g/m2になるように塗布し、25℃5分間乾燥させて中間層塗工シートを得た。
各樹脂粒子の分散液(25℃)に、表3に示す他の材料を添加、混合し染料受容層塗工液F、Gを作製した。この塗工液の各々を前述の中間層塗工シートにワイヤーバーにより乾燥後に5.0g/m2になるように塗布し、50℃15時間で乾燥させて熱転写受像シートを得た。この熱転写受像シートに市販の昇華型プリンタ(キヤノン社製、SELPHY ES−2)を用いて各色(黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、グリーン(G)、レッド(R)、ブルー(B))の階調パターン(18階調)を印画し、下記の方法で染着性(印字感度、最高濃度)、耐光性を評価した。また、5×5cmの黒ベタを印画し、印画時のインクリボンとの離型性(熱融着性)を評価した。それぞれ下記のように測定し評価した。結果を表3に示す。
評価方法
(染着性)
高濃度印画(18階調目(L=0))での転写色濃度をグレタグ濃度計(GRETAG-MACBETH製)で測定した。
(離型性)
黒ベタ連続印画時のインクリボンと染料受像シートの剥離性(離型性)を、下記基準で判断した。
A:剥離時の異音はなく、剥離できる。
B:剥離時に若干の異音があるが、剥離できる。
C:熱融着しており、剥離が困難である。
(耐光性)
下記条件のキセノンウェザーメーターにより耐光性試験を行なった。
・照射試験機:スガ試験機社製SX75
・光源:キセノンランプ
・フィルター:内側=石英フィルター、外側=#275
・パネル温度:50℃
・槽内湿度:35〜50%RH
・照射強度:50(W/m2 )、300〜400(nm)での測定値
・積算照度:10000(kJ/m2 )、300〜400(nm)での積算値
・色相変化量:光学濃度計(グレタグで測定)を用い、階調パターン印画物の黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、グリーン(G)、レッド(R)、ブルー(B)の光学反射濃度を測定し、照射前の光学反射濃度が1.0近傍のステップについて、照射前後におけるL* a* b* を色彩色差計(グレタグで測定)を用い測定し、下記式により、色相変化量を算出して、黒(K)及び有彩色の各印画物の耐光性を評価した。なお、黒+有彩色の耐光性とは、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、グリーン(G)、レッド(R)、ブルー(B)の各色の色相変化を、合計した値である。
・色相変化量=[(a* 1 −a* 22+(b* 1−b* 221/2
照射前L*** 値:L* 1 、a* 1 、b* 1
照射後L* ** 値:L* 2 、a* 2 、b* 2
Figure 0005486227
本発明の製造方法により得られる熱転写受像シートは、染着性、離型性及び耐光性のいずれにも優れたものであることから、熱転写受像シートとして好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. (1)基材上に、中空粒子の分散液を塗布して中間層を設ける工程、及び
    (2)上記中間層の上に、ブチルカルビトールアセテート、ジエチルカルビトール、及び水溶性高分子から選ばれる1種以上、並びに樹脂粒子の分散液を添加、混合した染料受容層用塗工液を塗布して染料受容層を設ける工程、
    を有する熱転写受像シートの製造方法であって、前記工程(2)における樹脂粒子が、下記式(1)で表されるフェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有するガラス転移点が40℃以上である重合体を含有しており、前記重合体中におけるフェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットの含有量が原料モノマーとして40〜100重量%である熱転写受像シートの製造方法。
    Figure 0005486227
    (式中、nは(CH 2 CH 2 O)の平均付加モル数を表し、n=1〜3である。Rは、水素原子、メチル基、又はエチル基を表す。)
  2. 工程(1)が、中空粒子の分散液に、さらに水溶性高分子を添加、混合した中間層塗工液を塗布して中間層を設ける工程である、請求項1に記載の熱転写受像シートの製造方法。
  3. 工程(2)の樹脂粒子の分散液が、ミニエマルション重合法により得られるものである、請求項1又は2に記載の熱転写受像シートの製造方法。
  4. 基材、及び該基材上に設けられた中空粒子を含有する中間層、及び該中間層上にブチルカルビトールアセテート、ジエチルカルビトール、及び水溶性高分子から選ばれる1種以上、並びに樹脂粒子の分散液を添加、混合した染料受容層用塗工液を塗布してなる染料受容層を有し、かつ、前記樹脂粒子が、下記式(1)で表されるフェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットを有するガラス転移点が40℃以上である重合体を含有しており、前記重合体中におけるフェノキシ(ポリ)エチレングリコールメタクリレートユニットの含有量が原料モノマーとして40〜100重量%である熱転写受像シート。
    Figure 0005486227
    (式中、nは(CH 2 CH 2 O)の平均付加モル数を表し、n=1〜3である。Rは、水素原子、メチル基、又はエチル基を表す。)
  5. 中間層がさらに水溶性高分子を含有する、請求項4記載の熱転写受像シート。
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