まず、最初に本実施例の概要を説明するとすれば、その紙幣処理装置は、搬送部、識別部、バラ用集積部、結束用集積部、結束部及び制御部を有する。搬送部は、投入紙幣を一枚単位で繰り込んで、その紙幣を搬送する。識別部は、搬送部によって繰り込まれた紙幣の金種を識別し、この識別した紙幣の汚損度合を3種類の正損カテゴリで識別する。バラ用集積部は、識別部によって識別された紙幣を取出可能に集積する。結束用集積部は、識別部によって識別された紙幣を結束用に集積する。結束部は、結束用集積部に集積された所定枚数の紙幣を結束する。
更に、制御部は、3種類の正損カテゴリの内、1種類の正損カテゴリ(ATM正券)の紙幣をバラ用集積部に集積し、他の2種類の正損カテゴリ(窓口正券及び損券)の紙幣を結束用集積部に集積すべく、搬送部を制御する。更に、制御部は、結束用集積部に集積した2種類の正損カテゴリの紙幣を区別可能に結束すべく、結束部を制御する。
この紙幣処理装置では、3種類の正損カテゴリの内、1種類の正損カテゴリの紙幣をバラ用集積部に集積し、他の2種類の正損カテゴリの紙幣を結束用集積部に集積すると共に、結束用集積部に集積した2種類の正損カテゴリの紙幣を区別可能に結束する。その結果、同一金種の紙幣を正損カテゴリ毎にバラ紙幣や結束紙幣に分別できると共に、結束用集積部に集積した2種類の正損カテゴリの紙幣を結束内容で区別できる。つまり、オペレータは、同一金種紙幣の正損カテゴリ毎にバラ紙幣や結束紙幣に分別して収集する際の作業負担を大幅に改善できると共に、2種類の正損カテゴリの結束紙幣を区別できる。
図1は、本実施例の紙幣処理装置の外観構成を示す斜視図、図2は、本実施例の紙幣処理装置の内部構成を示す説明図である。
紙幣処理装置1は、紙幣分類ユニット2、紙幣結束ユニット3及び表示ユニット4を有する。紙幣分類ユニット2は、取引紙幣を連続入金し、これら入金した紙幣を紙幣種別毎に分類集積すると共に、その紙幣の入金枚数を紙幣種別毎に計数する。紙幣結束ユニット3は、紙幣分類ユニット2によって分類された特定金種の紙幣を所定枚数、例えば100枚単位で結束する。更に、表示ユニット4は、例えば、計数結果等の各種情報を表示する。
紙幣分類ユニット2は、ホッパ部11、繰出部12、紙幣搬送部13、分岐部13A、紙幣識別部14、紙幣反転部15、スタッカ16、第1リジェクト部17、紙幣搬送路18、検知センサ19及び第2リジェクト部20を有する。先ず、紙幣搬送路18は、第1搬送路18A、第2搬送路18B及び第3搬送路18Cを有する。第1搬送路18Aは、スタッカ16の上方位置に配置され、ホッパ部11と接続される。第2搬送路18Bは、スタッカ16の配置方向に折り返すように配置され、第1搬送路18Aと接続される。第3搬送路18Cは、第2搬送路18Bと接続されると共に、スタッカ16及び紙幣結束ユニット3内の結束用集積部21と接続される。尚、第2搬送路18Bは、第1搬送路18A及び第3搬送路18Cに接続する着脱可能なユニットで構成する。
ホッパ部11は、取引紙幣を紙幣搬送路18内に投入する投入口に相当する。繰出部12は、ホッパ部11に投入した取引紙幣を1枚ずつ紙幣搬送路18上に繰り出す。紙幣搬送部13は、搬送ベルト等で構成され、繰出部12によって繰り出された紙幣を紙幣搬送路18上で搬送する。
分岐部13Aは、紙幣搬送路18上の分岐箇所に配置され、紙幣搬送路18上を搬送する搬送紙幣を、スタッカ16、結束用集積部21、第1リジェクト部17又は第2リジェクト部20に振り分ける。尚、分岐部13Aは、検知センサ19を通じて搬送紙幣の先端の進入を検知すると、図示せぬソレノイドが駆動することで搬送紙幣を振り分ける。更に、紙幣識別部14は、第1搬送路18A上に配置され、紙幣搬送部13によって搬送された紙幣の種別を識別する。尚、紙幣種別とは、例えば、人民元紙幣の場合、1元、5元、10元、20元、50元及び100元の6種類の金種の他に、真券・偽券を識別する真偽情報、ATM正券・窓口正券・損券を識別する正損カテゴリがある。更に、紙幣種別には、表裏を識別する表裏情報や、金種毎の新券・旧券を識別する刷版情報等がある。また、損券は、汚損度合が高レベル、流通に適さないと判断された紙幣に相当する。また、ATM正券は、汚損度合が低レベル、ATMに使用したとしても、ジャムが生じない程度の正券に相当し、窓口正券は、ATM正券の汚損度合よりも高いものの、損券の汚損度合よりも低く、銀行窓口で利用可能な流通に適した紙幣に相当する。
また、紙幣反転部15は、第2搬送路18B上に配置され、紙幣識別部14の紙幣種別である表裏情報に基づき、紙幣反転部15の手前に設けられた分岐部13Aで搬送紙幣を反転ルート又は無反転ルートに振り分ける。更に、紙幣反転部15は、振り分けられた搬送紙幣の表面及び裏面の内、特定面に揃えて第3搬送路18Cに搬送する。尚、反転ルートでは、反転部材15A、図示せぬ搬送ベルト、搬送ベルトを駆動する駆動モータ及び、図示せぬガイド部を有する(特許第4119664号公報参照)。反転部材15Aは、紙幣の搬送方向に延在する曲面を有する。搬送ベルトは、一部が反転部材15Aの曲面に沿うようにして、反転部材15Aの長手方向に対して斜めに掛けられている。ガイド部は、搬送ベルト及び反転部材15Aで挟まれ、反転部材15Aの曲面に巻き付けられながら、反転部材15Aの長手方向に搬送される紙幣の表面を摺動案内する。
紙幣反転部15は、駆動モータで搬送ベルトを駆動した状態で紙幣が搬送されると、その紙幣を搬送ベルトと反転部材15Aとの間で挟み、その紙幣を搬送ベルトの移動に応じて搬送方向に移動する。この際、搬送ベルトは、反転部材15Aの長手方向に対して斜めに沿うように曲面に掛けられているため、紙幣は、曲面に巻き付けられながら搬送されると共に、自転しながら表裏反転される。また、紙幣反転部15は、紙幣を表裏反転する際、ガイド部で紙幣の表面を摺動案内させることで、搬送途中における紙幣の動きを規制しながら紙幣を確実に表裏反転させることが可能になる。
紙幣反転部15は、例えば、搬送紙幣の表面を表面のまま、第3搬送路18Cに搬送する場合、無反転ルートを通じて紙幣反転部15の反転処理を実行することなく、表面のまま、搬送紙幣を第3搬送路18Cに搬送する。また、紙幣反転部15は、例えば、裏面の搬送紙幣を表面に反転して第3搬送路18Cに搬送する場合、反転ルートを通じて紙幣反転部15の長手反転処理を実行することで、裏面を表面に反転し、その搬送紙幣を第3搬送路18Cに搬送する。
また、スタッカ16は、設定中の紙幣種別毎に搬送紙幣を分類集積する第1スタッカ16A〜第4スタッカ16Dを有する。更に、各スタッカ16は、搬送紙幣を1枚単位で紙幣集積空間内の所定位置に集積する羽根車16Eを有する。尚、各スタッカ16は、最大500枚までの紙幣を集積可能とし、スタッカ16全体で最大2000枚の紙幣を集積可能とする。また、スタッカ16は、抜取可能なオープン型のスタッカである。
また、第1リジェクト部17は、2個配置し、スタッカ16及び紙幣結束ユニット3に対応する紙幣種別に該当しない搬送紙幣をリジェクトする。尚、各第1リジェクト部17は、搬送紙幣を1枚単位で紙幣集積空間内の所定位置に集積する羽根車17Cを有する。また、検知センサ19は、紙幣搬送路18上の分岐箇所、合流箇所や装置間の連結箇所等での搬送紙幣の進入及び通過を検知する。また、第2リジェクト部20は、第3搬送路18Cの最終端に配置され、搬送紙幣を1枚単位で紙幣集積空間内の所定位置に集積する札たたきベルト20Aを有する。
また、紙幣結束ユニット3は、紙幣搬送部13の他に、結束用集積部21、結束部22、束放出口23、端数返却口24、結束前搬送部25及び結束後搬送部26を有する。紙幣搬送部13は、紙幣分類ユニット2内部の紙幣搬送路18から本ユニット内へ特定金種紙幣を搬送する。更に、結束用集積部21は、紙幣結束ユニット3内の上下方向に三段配置され、その搬送された特定金種紙幣を分類集積する。
図3は、結束用集積部21の内部構成を示す説明図である。結束用集積部21は、集積空間31、ステージ部32、札たたきベルト33、進入検知センサ34及び寸法調整機構35を有する。集積空間31は、左右の側壁部31A及び背面壁部31Bで構成される。更に、ステージ部32は、図2に示すように、集積空間31内に昇降可能に配置され、搬送紙幣を集積する。尚、ステージ部32は、一番上に集積した紙幣の高さを一定に保持すべく、搬送紙幣を集積する都度、順次降下する。更に、札たたきベルト33は、集積空間31内に集積された搬送紙幣を整位する。更に、進入検知センサ34は、集積空間31内への搬送紙幣の進入を検知する。寸法調整機構35は、結束用集積部21に集積される紙幣の設定寸法に応じて集積空間31を調整する。
寸法調整機構35は、紙幣整理機構36及び短手調整機構37を有する。紙幣整理機構36は、集積設定中の設定紙幣の設定寸法に応じて集積空間31に集積する結束対象紙幣の長手方向を整位する。紙幣整理機構36は、左右のアーム部36A及びステッピングモータ36Bを有する。左右のアーム部36Aは、集積空間31内の側壁部31Aの端部に対して回動可能に配置され、集積空間31の内方向Yへ回動する。更に、ステッピングモータ36Bは、設定紙幣に応じた設定回動位置に左右のアーム部36Aを回動させる。左右のアーム部36Aは、その先端部で集積空間31内のステージ部32上に集積する集積紙幣の端面を叩き、集積紙幣の長手方向を整位する。
また、短手調整機構37は、集積空間31の背面壁部31Bを紙幣搬送の前後方向Xに移動可能にし、集積空間31に集積設定された設定紙幣の短手寸法に応じて集積空間31の短手寸法を調整する。また、背面壁部31Bは、例えば、3個の切欠部31Cを有する。結束前搬送部25のハンド部41(図2参照)は、これら3個の切欠部31Cを通じて集積空間31内への進入を可能とする。更に、背面壁部31Bは、その下部を開閉可能なシャッタ構成としている。その結果、ハンド部41は、切欠部31Cを通じて集積空間31内の結束対象紙幣の長手側を把持し、その把持した結束対象紙幣を集積空間31から引き抜くことができる。
また、結束部22は、3個の結束用集積部21の下方位置に配置され(図2参照)、結束用集積部21に集積された結束対象紙幣が所定枚数、例えば、100枚に到達した場合、その100枚の結束対象紙幣を結束帯で結束して、結束紙幣を作成する。更に、結束部22は、結束帯リール51、結束帯止め部52、旋回アーム53、カッタ部54、ヒータ部55及び印字部56を有する。結束帯リール51は、結束帯を収容する部位である。結束帯止め部52は、結束対象紙幣の結束位置を結束ステージ上の結束作業位置に位置決め配置した状態で、結束帯リール51から引き出した結束帯の先端を結束対象紙幣の結束位置に止める。尚、結束ステージとは、結束部22の結束作業領域に相当するものである。
また、旋回アーム53は、結束対象紙幣の結束位置に止めた結束帯を結束帯リール51から引き出し、引き出した結束帯を結束対象紙幣の結束位置に巻き付ける。カッタ部54は、結束対象紙幣の結束位置に巻き付けた結束帯の他端を切断する。ヒータ部55は、そのカッタ部54で切断した結束帯の他端を熱溶着する。印字部56は、結束帯リール51から引き出した結束帯に任意の文字を印字する。
また、束放出口23は、ホッパ部11近傍に配置され、結束部22によって結束された結束紙幣をオペレータ側に投出する投出口である。更に、端数返却口24は、結束用集積部21の近傍に配置され、取引終了時に結束用集積部21に集積された端数紙幣をオペレータ側に放出する返却口である。
また、結束前搬送部25は、結束用集積部21に集積された結束対象紙幣を結束部22又は端数返却口24に搬送する。結束前搬送部25は、結束用集積部21に集積された結束対象紙幣の内、100枚の結束対象紙幣の長手側を把持して、これら100枚の結束対象紙幣を結束部22内の結束ステージ上に搬送する。また、結束前搬送部25は、取引終了時に、結束用集積部21に集積された結束対象紙幣の内、100枚に満たない端数紙幣を把持して、これら端数紙幣を端数返却口24へ搬送する。
更に、結束前搬送部25は、ハンド部41を備えた搬送ユニット42、水平移動機構43及び垂直移動機構44を有する。搬送ユニット42のハンド部41は、結束用集積部21に集積された結束対象紙幣の長手側を一括把持する。更に、水平移動機構43は、搬送ユニット42を前後方向(水平方向)に移動させる機構である。更に、垂直移動機構44は、搬送ユニット42を上下方向(垂直方向)に移動させる機構である。垂直移動機構44は、紙幣結束ユニット3内の下端から上端に到る垂直に設置されたガイド軸44Aと、このガイド軸44Aで案内して搬送ユニット42を昇降する駆動ベルト44Bとを有する。
また、搬送ユニット42は、水平移動機構43内の駆動ベルト43Aを通じて前進又は後退可能なハンド部41を備える。ハンド部41は、例えば、上ハンド41Aの3本の把持爪及び、下ハンド41Bの3本の把持爪同士を対峙し、把持爪同士で結束用集積部21に集積された結束対象紙幣の長手側を把持する。尚、下ハンド41Bは、固定であるのに対し、上ハンド41Aは、駆動ベルト41Cを通じて上下動可能である。
搬送ユニット42は、上ハンド41A及び下ハンド41Bの把持爪同士で結束対象紙幣の長手側を把持し、把持した結束対象紙幣を結束部22内の結束ステージ上の作業準備位置又は端数返却口24に搬送する。結束前搬送部25は、搬送ユニット42を通じて100枚の結束対象紙幣の長手側を把持した状態で、結束部22内の結束ステージ上の作業準備位置に結束対象紙幣を搬送配置する。
また、結束後搬送部26は、結束部22内の結束対象紙幣を紙幣長手方向に把持搬送すると共に、結束部22によって結束された結束紙幣を束放出口23方向に搬送する。結束後搬送部26は、把持搬送部27及び放出搬送部28を有する。把持搬送部27は、結束前搬送部25によって結束対象紙幣を結束部22内の結束ステージ上に搬送した後、この搬送した結束対象紙幣の短手側を把持し、この把持した結束対象紙幣を紙幣長手方向に搬送する。その後、把持搬送部27は、結束部22によって結束された結束紙幣を把持して搬送する。
また、把持搬送部27は、搬送ユニット42を通じて100枚の結束対象紙幣の長手側を把持した状態で、結束部22内の結束ステージ上の作業準備位置で100枚の結束対象紙幣の短手側を把持する。尚、結束前搬送部25内の搬送ユニット42は、把持搬送部27による結束対象紙幣の短手側の把持動作に応じて、結束対象紙幣の長手側の把持を開放し、待機位置に移動する。
更に、把持搬送部27は、紙幣の短手側を一括把持する上下ハンドの把持部27Aを有する。把持部27Aは、結束対象紙幣の結束位置を結束ステージ上の結束作業位置に位置決め配置すべく、結束対象紙幣を把持し、作業準備位置から結束対象紙幣の長手方向に結束対象紙幣を搬送する。
結束部22は、把持部27Aを通じて結束対象紙幣の短手側を把持した状態で、結束対象紙幣の結束位置を結束ステージ上の結束作業位置に位置決め配置すると、結束対象紙幣の結束位置に結束帯を結束する結束作業を実行する。
把持部27Aは、結束部22を通じて結束対象紙幣の結束動作が完了すると、この結束紙幣を作業準備位置に戻し、結束紙幣を放出搬送部28内の結束紙幣リフト部61内に搬送する。尚、把持搬送部27は、結束紙幣を結束紙幣リフト部61内に搬送すると、結束紙幣の短手側の把持を開放する。
尚、把持搬送部27は、結束前搬送部25によって結束部22内の結束ステージ22A上の作業準備位置に結束対象紙幣を搬送した後、この作業準備位置で結束対象紙幣の短手側を把持する(後述する図7(C)参照)。更に、結束前搬送部25は、把持搬送部27による結束対象紙幣の短手側の把持動作に応じて、結束対象紙幣の長手側の把持を開放する。作業準備位置とは、結束作業を実行する結束ステージ22A上の結束作業位置に対して結束対象紙幣の移動調整、すなわち結束対象紙幣長手方向への移動を開始する位置に相当する。また、結束作業位置は、結束対象紙幣に結束帯を結束する作業位置に相当する。
また、把持搬送部27は、結束ステージ22A上の作業準備位置に結束対象紙幣を把持すると、結束ステージ22A上の結束作業位置に結束対象紙幣の結束位置を配置すべく、結束対象紙幣を、その紙幣長手方向に移動調整する(後述する図7(E)参照)。尚、結束部22は、この結束作業位置に結束対象紙幣の結束位置を配置することで、同結束対象紙幣の結束位置に結束帯を巻回する。また、把持搬送部27は、結束対象紙幣を紙幣長手方向に移動調整することで、結束対象紙幣の結束位置を変更する。その結果、結束部22は、結束対象紙幣の異なる結束位置に結束帯を巻回する。
更に、把持搬送部27は、結束対象紙幣の短手側を把持したまま、結束ステージ22A上の結束作業位置での結束対象紙幣の結束作業が完了すると、その結束紙幣を作業準備位置に搬送する(後述する図7(F)参照)。更に、把持搬送部27は、この結束紙幣を放出搬送部28内に搬送する。
また、放出搬送部28は、把持搬送部27によって搬送された結束紙幣を束放出口23に搬送する。放出搬送部28は、結束紙幣リフト部61、押出機構62及び放出保持機構63を有する。結束紙幣リフト部61は、把持搬送部27によって搬送された結束紙幣を紙幣結束ユニット3上部に搬送する。更に、押出機構62は、結束紙幣リフト部61によって紙幣結束ユニット3上部に搬送された結束紙幣を束放出口23方向(装置正面方向)に押し出す。更に、放出保持機構63は、押出機構62で装置正面に押し出された結束紙幣を集積すると共に、結束紙幣を束放出口23から投出できる。
放出保持機構63は、束集積部71を有する。束集積部71は、結束紙幣ステージ71A及び開閉プレートを有する。結束紙幣ステージ71Aは、束集積部71内に配置され、押出機構62によって押し出された結束紙幣を載置する。尚、結束紙幣ステージ71Aは、その高さを調整する機構を有する。従って、結束紙幣ステージ71Aは、調整機構を使用して最上部の結束紙幣の高さを束集積部71内の特定位置に保持すべく付勢配置される。開閉プレートは、束集積部71の上部開口部を開閉するプレートである。更に、開閉プレートは、押出機構62によって結束紙幣が装置正面方向に押出されると、その結束紙幣の自重による開動作に応じて当該結束紙幣を束集積部71内の結束紙幣ステージ71A上に落下させる。尚、開閉プレートは、バネ復帰力で閉動作を実行し、例えば、結束紙幣の自重で開動作を実行するようにしたが、これら開閉動作を駆動制御で行うようにしても良い。
図4は、紙幣処理装置1の内部構成を示すブロック図である。図4に示す紙幣処理装置1は、紙幣識別部14、スタッカ側メカ機構110、結束側メカ機構120、操作部130、表示制御部140、駆動制御部150、寸法調整駆動制御部160及び制御部170を有する。スタッカ側メカ機構110は、紙幣分類ユニット2内部のメカ機構に相当し、繰出部12、紙幣搬送部13、分岐部13A、紙幣反転部15、羽根車16E(17C)及び検知センサ19を有する。
更に、結束側メカ機構120は、紙幣結束ユニット3内部のメカ機構に相当し、紙幣搬送部13、分岐部13A、検知センサ19、結束部22、結束前搬送部25、結束後搬送部26、札たたきベルト33及び寸法調整機構35を有する。尚、結束後搬送部26は、把持搬送部27及び放出搬送部28を有し、寸法調整機構35は、紙幣整理機構36及び短手調整機構37を有する。
尚、操作部130は、様々なコマンドを入力し、例えば、指定部131を有する。指定部131は、第1スタッカ16A〜第4スタッカ16D、結束用集積部21に集積すべき搬送紙幣の紙幣種別をオペレータ側の操作で指定する。その指定内容として、例えば、「第1スタッカ16A〜第4スタッカ16DにATM正券の100元紙幣、第1結束用集積部21Aに窓口正券の100元紙幣、第2結束用集積部21Bに損券の100元紙幣、第3結束用集積部21Cに予備」を指定する。
表示制御部140は、表示ユニット4の表示を制御する。駆動制御部150は、スタッカ側メカ機構110及び結束側メカ機構120の駆動を制御する。寸法調整駆動制御部160は、結束側メカ機構120内部の寸法調整機構35を調整制御する。制御部170は、紙幣処理装置1全体を制御する。
制御部170は、設定制御部171、搬送制御部172及び結束制御部173を有する。設定制御部171は、指定部131の指定内容に基づき、例えば、スタッカ16、第1リジェクト部17、第2リジェクト部20及び結束用集積部21に集積する紙幣種別(集積紙幣)を設定する。尚、設定制御部171は、例えば、「第1スタッカ16A〜第4スタッカ16DにATM正券の100元紙幣、第1リジェクト部17Aに100元紙幣以外の金種紙幣」を設定する。更に、設定制御部171は、初期設定として、「第1結束用集積部21Aに窓口正券の100元紙幣、第2結束用集積部21Bに損券の100元紙幣、第3結束用集積部21Cに予備」を設定する。更に、制御部170は、検知センサ19の検知結果に基づき、紙幣搬送路18上の紙幣詰まり(ジャム)等の障害を認識する。
更に、搬送制御部172は、搬送紙幣の紙幣種別に対応した設定制御部171の設定内容に基づき、搬送紙幣をスタッカ16又は結束用集積部21に分別集積すべく、駆動制御部150を通じて紙幣搬送部13及び分岐部13Aの駆動を制御する。また、搬送制御部172は、搬送紙幣がスタッカ16及び結束用集積部21に設定中の紙幣以外の場合、この搬送紙幣を第1リジェクト部17に搬送すべく、駆動制御部150を通じて紙幣搬送部13及び分岐部13Aの駆動を制御する。また、搬送制御部172は、搬送紙幣が搬送異常等により識別できない紙幣の場合に、この搬送紙幣を第1リジェクト部17に搬送すべく、駆動制御部150を通じて紙幣搬送部13及び分岐部13Aの駆動を制御する。また、搬送制御部172は、第1リジェクト部17Bより上流で搬送紙幣の障害を検出した場合に、この搬送紙幣を第1リジェクト部17Bに順次搬送すべく、駆動制御部150を通じて紙幣搬送部13及び分岐部13Aの駆動を制御する。
更に、搬送制御部172は、第1リジェクト部17Bから下流で搬送紙幣の障害を検出した場合に、この搬送紙幣を第2リジェクト部20に順次搬送すべく、駆動制御部150を通じて紙幣搬送部13及び分岐部13Aの駆動を制御する。尚、第2搬送路18B又は第3搬送路18Cの第1リジェクト部17Bから下流では、紙幣搬送路18上の紙幣単体の斜行、紙幣の連鎖や紙幣重送等の障害がある場合、紙幣搬送の停止に比較して、障害紙幣を第2リジェクト部20まで搬送した方が迅速に障害復旧できる。
更に、搬送制御部172は、搬送紙幣が結束用集積部21に設定中の紙幣種別(集積紙幣)の場合に、この搬送紙幣を結束用集積部21に分類集積すべく、駆動制御部150を通じて紙幣搬送部13及び分岐部13Aの駆動を制御する。更に、搬送制御部172は、例えば、第1結束用集積部21Aに集積される結束対象紙幣が100枚に到達した場合に、駆動制御部150を通じて結束前搬送部25の駆動を制御する。その結果、結束前搬送部25の搬送ユニット42内のハンド部41は、駆動制御部150の駆動制御に応じて、第1結束用集積部21Aに集積された結束対象紙幣を引き抜く。
更に、結束制御部173は、結束前搬送部25で引き抜かれた100枚の結束対象紙幣を結束帯で結束すべく、結束部22を制御する。尚、結束制御部173は、例えば、100枚の結束対象紙幣が窓口正券の100元紙幣の場合、この窓口正券の中央部を結束位置とし、この結束位置に結束帯を結束すべく、結束部22を制御する。更に、結束制御部173は、100枚の結束対象紙幣が損券の100元紙幣の場合に、この損券の左端部を結束位置とし、この結束位置に結束帯を結束すべく、結束部22を制御する。
また、設定制御部171は、例えば、第1結束用集積部21Aに集積される窓口正券の100元紙幣が100枚に到達した場合に、予備の第3結束用集積部21Cに窓口正券の100元紙幣を切替設定する。更に、設定制御部171は、搬送ユニット42内のハンド部41を通じて100枚に到達した窓口正券の100元紙幣を引き抜いたことで、紙幣集積可能となった第1結束用集積部21Aに予備を切替設定する。
また、結束制御部173は、結束用集積部21に集積された結束対象紙幣が100枚単位で引き抜かれた時点で、結束作業前に結束対象紙幣の紙幣種別を認識できる。従って、結束制御部173は、その紙幣種別に応じて結束対象紙幣の結束位置を設定変更すべく、把持搬送部27を駆動制御した後、その結束位置に結束帯を巻回して結束対象紙幣を結束する。
また、結束用集積部21の寸法を調整する寸法調整駆動制御部160の動作について説明する。尚、寸法調整駆動制御部160は、紙幣種別毎に、紙幣整理機構36内のアーム部36Aの設定回動位置及び短手調整機構37内の短手寸法を管理する。図5は、結束用集積部21の動作遷移を示す説明図である。図5において寸法調整駆動制御部160は、集積設定中の設定紙幣に応じて、背面壁部31BをX方向に移動して集積空間31を調整すべく、短手調整機構37の駆動を制御する。更に、寸法調整駆動制御部160は、その設定紙幣の長手寸法に応じて紙幣整理機構36のアーム部36Aの設定回動位置を設定すべく、紙幣整理機構36の駆動を制御する。
先ず、寸法調整駆動制御部160は、設定紙幣の短手寸法に応じた位置に背面壁部31Bを移動配置し、設定紙幣の長手寸法に応じた設定回動位置に紙幣整理機構36のアーム部36Aに設定する(図5(A)参照)。
次に、寸法調整駆動制御部160は、進入検知センサ34を通じて集積空間31内の搬送紙幣の進入を検知すると、左右のアーム部36Aを拡開する(図5(B)参照)。更に、寸法調整駆動制御部160は、進入検知センサ34を通じて搬送紙幣の通過完了を検知した後、その所定時間経過後に、左右のアーム部36Aを設定回動位置に回動する。そして、寸法調整駆動制御部160は、左右のアーム部36Aの先端部同士で集積空間31内に集積された搬送紙幣の長手方向を整位する(図5(C)参照)。その結果、結束用集積部21の集積空間31内には搬送紙幣が順次集積されることになる。
次に、集積空間31内に順次集積された搬送紙幣(結束対象紙幣P)を結束部22の作業準備位置又は端数返却口24に搬送する際の結束前搬送部25の動作について説明する。図6は、結束前搬送部25の動作遷移を示す説明図である。
結束前搬送部25は、搬送ユニット42を通じて結束対象紙幣Pを引き抜く場合に、引抜対象の結束用集積部21内のステージ部32を最下端まで降下させる(図6(A)参照)。結束前搬送部25は、駆動ベルト44Bの動作で引抜対象の結束用集積部21に対する位置、すなわち結束用集積部21に集積された結束対象紙幣Pの最下端の紙幣よりも下ハンド41Bの上面が低くなる位置まで搬送ユニット42を降下させる(図6(A)参照)。
更に、結束前搬送部25は、駆動ベルト41Cの動作で結束対象紙幣Pの最上端の紙幣よりも上ハンド41Aの下面が高くなる位置まで搬送ユニット42の上ハンド41Aを上昇させる(図6(A)参照)。その結果、上ハンド41A及び下ハンド41B間は拡開した状態となる。
また、搬送ユニット42は、水平移動機構43の駆動ベルト43Aの動作に応じて前進する。そして、上ハンド41A及び下ハンド41Bは、搬送ユニット42の前進動作に応じて、結束用集積部21の背面壁部31Bに形成した切欠部31Cを通じて結束用集積部21内に進入する。その結果、これら上ハンド41A及び下ハンド41B間には、結束対象紙幣Pが位置することになる(図6(B)参照)。更に、搬送ユニット42は、駆動ベルト41Cの動作で上ハンド41Aを下降させる。これら上ハンド41A及び下ハンド41Bは、上ハンド41Aの下降動作に応じてステージ部32上の結束対象紙幣の長手側を強固に把持することになる(図6(C)参照)。
そして、搬送ユニット42は、水平移動機構43の駆動ベルト43Aの動作に応じて後退する。垂直移動機構44は、搬送ユニット42の後退動作に応じて、上ハンド41A及び下ハンド41Bで把持した結束対象紙幣Pを結束ステージ22A上の作業準備位置又は端数返却口24に移動可能な状態となる(図6(D)参照)。
例えば、駆動制御部150は、結束対象紙幣Pが100枚に到達した場合に、結束前搬送部25内の搬送ユニット42のハンド部41が背面壁部31Bの切欠部31Cを通じて集積空間31内に進入すべく、結束前搬送部25の駆動を制御する。そして、ハンド部41は、ステージ部32上の結束対象紙幣の長手側を把持し、この把持した結束対象紙幣を結束用集積部21から引き抜く。更に、駆動制御部150は、この引き抜いた結束対象紙幣を、水平移動機構43、垂直移動機構44及び水平移動機構43を通じて結束部22に搬送すべく、結束前搬送部25の駆動を制御する。
また、駆動制御部150は、取引終了時に、結束対象紙幣Pが100枚に満たない場合に、搬送ユニット42のハンド部41が背面壁部31Bの切欠部31Cを通じて集積空間31内に進入すべく、結束前搬送部25の駆動を制御する。そして、ハンド部41は、ステージ部32上の結束対象紙幣の長手側を把持し、この把持した端数の結束対象紙幣を結束用集積部21から引き抜く。更に、駆動制御部150は、この引き抜いた端数の結束対象紙幣を、水平移動機構43、垂直移動機構44及び水平移動機構43を通じて端数返却口24に搬送すべく、結束前搬送部25の駆動を制御する。その後、駆動制御部150は、結束用集積部21に集積された結束対象紙幣Pの引抜後、結束用集積部21内のステージ部32を上昇させて、搬送ユニット42を通常の紙幣集積待ち位置に復帰すべく、結束前搬送部25の駆動を制御する。
次に、結束前搬送部25によって搬送された100枚の結束対象紙幣Pを搬送する把持搬送部27の動作について説明する。図7は、把持搬送部27の動作遷移を示す説明図である。図8は、結束ステージ22A上の把持搬送部27の動作遷移を示す説明図である。図7において結束前搬送部25の搬送ユニット42は、結束用集積部21に集積された結束対象紙幣Pの長手側を把持し、この把持した結束対象紙幣Pを水平移動機構43及び垂直移動機構44を通じて結束部22の入口付近に搬送する(図7(A)参照)。尚、把持搬送部27の把持部27Aは、図7(A)に示すように結束ステージ22A上の作業準備位置に配置する。
更に、搬送ユニット42は、水平移動機構43を通じて結束対象紙幣を結束部22内の結束ステージ22A上に搬送する(図7(B)参照)。更に、搬送ユニット42は、結束対象紙幣を結束ステージ22A上の作業準備位置に搬送する(図7(C)参照)。その結果、把持搬送部27の把持部27Aは、搬送ユニット42による結束対象紙幣Pの作業準備位置への搬送に応じて、作業準備位置で結束対象紙幣Pの短手側を把持する(図7(C)参照)。
搬送ユニット42は、把持搬送部27の把持部27Aの結束対象紙幣Pの把持動作に応じて、結束対象紙幣Pの長手側の把持を開放し(図7(D)参照)、通常の紙幣集積待ち位置に戻る。更に、把持搬送部27の把持部27Aは、結束対象紙幣Pの結束位置を結束ステージ22A上の結束作業位置に位置決め配置すべく、結束対象紙幣Pの長手方向に移動する(図7(E)参照)。尚、結束部22は、把持部27Aによって結束対象紙幣Pの短手側を把持したまま、結束ステージ22A上の結束作業位置に位置決めされた結束対象紙幣Pの結束位置に結束帯Rを巻回して結束する。そして、結束部22は、結束紙幣P1を作成する。
尚、図8(A)において把持部27Aは、結束対象紙幣Pの結束位置である中央部を結束ステージ22A上の結束作業位置に位置決め配置する。そして、結束部22は、結束対象紙幣Pの中央部に結束帯Rを巻回して結束することで、中央巻きの結束紙幣P1を作成する。
また、図8(B)において把持部27Aは、結束対象紙幣Pの結束位置である把持側端部(右端部)を結束作業位置に位置決め配置する。そして、結束部22は、結束対象紙幣Pの把持側端部に結束帯Rを巻回して結束することで、右端巻きの結束紙幣P1を作成する。
また、図8(C)において把持部27Aは、結束対象紙幣Pの結束位置である把持反対側の端部(左端部)を結束作業位置に位置決め配置する。そして、結束部22は、結束対象紙幣Pの把持反対側端部に結束帯Rを巻回して結束することで、左端巻きの結束紙幣P1を作成する。
そして、把持搬送部27の把持部27Aは、結束ステージ22A上の結束作業位置に位置決め配置された結束紙幣P1を作業準備位置に移動し(図7(F)参照)、結束紙幣P1を放出搬送部28に搬送する(図7(G)参照)。
次に、把持搬送部27によって搬送された結束紙幣P1を束放出口23方向に搬送する結束後搬送部26の放出搬送部28の動作について説明する。図9は、放出搬送部28の動作遷移を示す説明図である。放出搬送部28の結束紙幣リフト部61は、把持搬送部27で搬送した結束紙幣P1を載置するための搬送リフト61Aを最下位で待機させる(図9(A)参照)。次に、把持搬送部27は、結束紙幣リフト部61の搬送リフト61A上に結束紙幣P1を把持したまま、その結束紙幣P1を搬送する(図9(B)参照)。結束紙幣リフト部61は、搬送リフト61Aの上昇動作に応じて搬送リフト61A上に結束紙幣P1を載置する(図9(C)参照)。更に、把持搬送部27は、搬送リフト61A上に結束紙幣P1が載置されると、結束紙幣P1の把持を開放した後(図9(D)参照)、作業準備位置へと移動する(図9(E)参照)。
その後、結束紙幣リフト部61は、結束紙幣P1が載置された搬送リフト61Aを上昇させる。更に、押出機構62の押出搬送部62Aは、搬送リフト61Aの上昇に応じたリンク機構61Bの連携動作に応じて押出状態とし(図9(F)参照)、搬送リフト61A上に載置した結束紙幣P1を押出搬送部62Aにセットする(図9(G)参照)。
押出搬送部62Aは、セットした結束紙幣P1を装置正面パネル方向に押出搬送する(図9(H)参照)。放出保持機構63は、束集積部71の開閉プレートの開動作に応じて結束紙幣P1を束集積部71内の結束紙幣ステージ71A上に落下して集積する(図9(I)参照)。その後、結束紙幣リフト部61は、搬送リフト61Aを最下位へ下降し、その下降動作に連動したリンク機構61Bの動作に応じて押出搬送部62Aを元の待機状態に戻す(図9(I)及び(J)参照)。
更に、放出保持機構63は、束集積部71内に集積された最上部の結束紙幣P1の高さが特定位置に保持すべく、束集積部71内の結束紙幣ステージ71Aを調整する(図9(K)参照)。
次に、同一金種紙幣を正損カテゴリ毎に分別する紙幣正損分別処理について説明する。図10は、紙幣正損分別処理に関わる制御部170内部の処理動作を示すフローチャートである。図10に示す紙幣正損分別処理は、同一金種紙幣、例えば、100元紙幣をATM正券、窓口正券及び損券の3種類の正損種別に応じてバラ紙幣及び結束紙幣に分別する処理である。尚、制御部170内の設定制御部171は、ATM正券の100元紙幣をスタッカ16の集積紙幣に設定すると共に、窓口正券及び損券の100元紙幣を結束用集積部21の集積紙幣に設定する。
制御部170は、紙幣識別部14を通じて搬送紙幣の紙幣種別を識別すると(ステップS11)、その識別結果に基づき、搬送紙幣が100元紙幣であるか否かを判定する(ステップS12)。
制御部170は、搬送紙幣が100元紙幣の場合に(ステップS12肯定)、識別結果に基づき、搬送紙幣がATM正券であるか否かを判定する(ステップS13)。制御部170内の搬送制御部172は、搬送紙幣がATM正券である場合に(ステップS13肯定)、この搬送紙幣をスタッカ16へ搬送すべく、駆動制御部150を通じて紙幣搬送部13及び分岐部13Aの駆動を制御する(ステップS14)。
更に、制御部170は、搬送紙幣であるATM正券の100元紙幣をスタッカ16に搬送し、後述する図11に示すスタッカ集積処理に移行した後(ステップS15)、図10に示す処理動作を終了する。
また、搬送制御部172は、搬送紙幣が100元紙幣でない場合に(ステップS12否定)、この搬送紙幣を第1リジェクト部17へ搬送すべく、駆動制御部150を通じて紙幣搬送部13及び分岐部13Aの駆動を制御する(ステップS16)。制御部170は、搬送紙幣を第1リジェクト部17に搬送した後、図10に示す処理動作を終了する。
更に、搬送制御部172は、搬送紙幣がATM正券でない場合に(ステップS13否定)、この搬送紙幣が窓口正券又は損券と判断する。更に、搬送制御部172は、搬送紙幣が窓口正券又は損券と判断すると、この搬送紙幣を結束用集積部21へ搬送すべく、駆動制御部150を通じて紙幣搬送部13及び分岐部13Aの駆動を制御する(ステップS17)。制御部170は、搬送紙幣である窓口正券又は損券の100元紙幣を結束用集積部21に搬送し、後述する図12に示す結束用集積処理に移行した後(ステップS18)、図10に示す処理動作を終了する。
図11は、スタッカ集積処理に関わる制御部170内部の処理動作を示すフローチャートである。図11に示すスタッカ集積処理は、スタッカ16に設定中の紙幣種別、例えば、ATM正券の100元紙幣をスタッカ16内に順次集積する処理である。
制御部170内の搬送制御部172は、第1スタッカ16Aの集積枚数が500枚に到達したか否かを判定する(ステップS21)。尚、第1スタッカ16Aの集積紙幣は、ATM正券の100元紙幣である。搬送制御部172は、第1スタッカ16Aの集積枚数が500枚に到達していない場合に(ステップS21否定)、この第1スタッカ16Aに搬送紙幣を集積し(ステップS22)、図11に示す処理動作を終了する。尚、搬送制御部172は、駆動制御部150を通じて紙幣搬送部13及び分岐部13Aを駆動制御して、搬送紙幣をスタッカ16内に集積することは言うまでもない。
更に、搬送制御部172は、第1スタッカ16Aの集積枚数が500枚を到達した場合に(ステップS21肯定)、第2スタッカ16Bの集積枚数が500枚に到達したか否かを判定する(ステップS23)。更に、搬送制御部172は、第2スタッカ16Bの集積枚数が500枚に到達していない場合に(ステップS23否定)、この第2スタッカ16Bに搬送紙幣を集積し(ステップS24)、図11に示す処理動作を終了する。更に、搬送制御部172は、第2スタッカ16Bの集積枚数が500枚を到達した場合に(ステップS23肯定)、第3スタッカ16Cの集積枚数が500枚に到達したか否かを判定する(ステップS25)。
更に、搬送制御部172は、第3スタッカ16Cの集積枚数が500枚に到達していない場合に(ステップS25否定)、この第3スタッカ16Cに搬送紙幣を集積し(ステップS26)、図11に示す処理動作を終了する。更に、搬送制御部172は、第3スタッカ16Cの集積枚数が500枚を到達した場合に(ステップS25肯定)、第4スタッカ16Dの集積枚数が500枚に到達したか否かを判定する(ステップS27)。 更に、搬送制御部172は、第4スタッカ16Dの集積枚数が500枚に到達していない場合に(ステップS27否定)、この第4スタッカ16Dに搬送紙幣を集積し(ステップS28)、図11に示す処理動作を終了する。
更に、制御部170は、第4スタッカ16Dの集積枚数が500枚を到達した場合に(ステップS27肯定)、第1スタッカ16A〜第4スタッカ16Dの集積枚数が満杯と判断し、満杯アラームを報知出力する(ステップS29)。その結果、オペレータは、満杯アラームの報知出力に基づき、第1スタッカ16A〜第4スタッカ16Dの満杯、すなわち2000枚のATM正券の100元紙幣の集積完了を認識できる。尚、満杯アラームの報知出力は、表示ユニット4への表示出力若しくはアラーム音等の音響出力に相当する。その後、オペレータは、スタッカ16から2000枚のATM正券の100元紙幣を抜き取り、この2000枚のATM正券の100元紙幣をATMカセットに装填できる。
搬送制御部172は、満杯アラームの報知出力後、搬送紙幣の搬送動作を停止し(ステップS30)、ステップS21に移行する。尚、搬送紙幣の搬送動作を停止することで、例えば、ATM正券の100元紙幣が満杯のスタッカ16内に集積されてしまうような事態を回避できる。
図11に示すスタッカ集積処理を実行する紙幣処理装置1では、搬送紙幣がATM正券の100元紙幣の場合に、このATM正券の100元紙幣をスタッカ16内に順次集積する。その結果、オペレータは、スタッカ16からATM正券の100元紙幣を簡単に収集し、これら収集したATM正券をATMカセットに装填できる。
また、図12は、結束用集積処理に関わる制御部170内部の処理動作を示すフローチャートである。図12に示す結束用集積処理は、結束用集積部21に設定中の紙幣種別、例えば、窓口正券又は損券の100元紙幣を結束用集積部21内に順次集積すると共に、その結束紙幣を投出する処理である。
制御部170は、100元紙幣の搬送紙幣が窓口正券であるか否かを判定する(ステップS41)。制御部170内の搬送制御部172は、100元紙幣の搬送紙幣が窓口正券の場合に(ステップS41肯定)、窓口正券設定中の結束用集積部21に搬送紙幣を集積する(ステップS42)。尚、搬送制御部172は、駆動制御部150を通じて紙幣搬送部13及び分岐部13Aの駆動を制御することで、搬送紙幣を結束用集積部21内に集積することは言うまでもない。
搬送制御部172は、窓口正券設定中の結束用集積部21の集積枚数が100枚に到達したか否かを判定する(ステップS43)。搬送制御部172は、窓口正券設定中の結束用集積部21の集積枚数が100枚に到達した場合に(ステップS43肯定)、これら100枚の窓口正券の100元紙幣を当該結束用集積部21から結束前搬送部25を通じて引き抜く(ステップS44)。
更に、制御部170内の設定制御部171は、窓口正券の結束用集積部21から100枚の窓口正券が引き抜かれると、予備の結束用集積部21に窓口正券を設定、引き抜かれた窓口正券の結束用集積部21に予備を設定する(ステップS45)。更に、結束制御部173は、引き抜かれた100枚の窓口正券の100元紙幣の中央部分の結束位置に結束帯を巻回して中央巻きの窓口正券用結束処理を実行した後(ステップS46)、図12に示す処理動作を終了する。その結果、オペレータは、束放出口23から中央巻きの結束紙幣として、窓口正券の結束紙幣を得る。
また、搬送制御部172は、搬送紙幣が窓口正券でない場合に(ステップS41否定)、搬送紙幣が損券の100元紙幣と判断し、損券設定中の結束用集積部21に損券の搬送紙幣を集積する(ステップS47)。
搬送制御部172は、損券の結束用集積部21の集積枚数が100枚に到達したか否かを判定する(ステップS48)。搬送制御部172は、損券の結束用集積部21の集積枚数が100枚に到達した場合に(ステップS48肯定)、これら100枚の損券の100元紙幣を当該結束用集積部21から結束前搬送部25を通じて引き抜く(ステップS49)。
更に、設定制御部171は、損券の結束用集積部21から100枚の損券が引き抜かれると、予備の結束用集積部21に損券を設定、引き抜かれた損券の結束用集積部21に予備を設定する(ステップS50)。更に、結束制御部173は、引き抜かれた100枚の損券の100元紙幣の左端部分の結束位置に結束帯を巻回して左端巻きの損券用結束処理を実行した後(ステップS51)、図12に示す処理動作を終了する。その結果、オペレータは、束放出口23から左端巻きの結束紙幣として、損券の結束紙幣を得る。
また、制御部170は、結束用集積部21の窓口正券の100元紙幣の集積枚数が100枚に到達してない場合に(ステップS43否定)、図12に示す処理動作を終了する。また、制御部170は、結束用集積部21の損券の100元紙幣の集積枚数が100枚に到達していない場合に(ステップS48否定)、図12に示す処理動作を終了する。
図12に示す結束用集積処理を実行する紙幣処理装置1では、搬送紙幣が窓口正券の100元紙幣の場合に、窓口正券の100元紙幣を結束用集積部21に集積し、窓口正券の100元紙幣が100枚に到達した場合に100枚の窓口正券の100元紙幣を中央巻きで結束する。その結果、オペレータは、窓口正券の100元紙幣を結束紙幣で簡単に収集できる。更に、オペレータは、中央巻きの結束帯で窓口正券の結束紙幣を認識できる。
更に、結束用集積処理を実行する紙幣処理装置1では、搬送紙幣が損券の100元紙幣の場合に、損券の100元紙幣を結束用集積部21に集積し、損券の100元紙幣が100枚に到達した場合に100枚の損券の100元紙幣を左端巻きで結束する。その結果、オペレータは、損券の100元紙幣を結束紙幣で簡単に収集できる。更に、オペレータは、左端巻きの結束帯で損券の結束紙幣を認識できる。
本実施例では、同一金種紙幣の内、ATM正券をスタッカ16にバラ集積すると共に、窓口正券及び損券を結束用集積部21に集積して窓口正券の結束紙幣及び損券の結束紙幣を投出する。その結果、オペレータは、同一金種紙幣の内、ATM正券をバラ紙幣、窓口正券を結束紙幣、損券を結束紙幣で簡単に1回の作業で分別して収集できるので、同一金種紙幣を正損カテゴリ毎にバラ紙幣や結束紙幣に収集する際の作業負担を大幅に改善できる。
更に、本実施例では、同一金種の窓口正券及び損券を結束用集積部21に集積し、窓口正券を中央巻きの結束紙幣、損券を左端巻きの結束紙幣で束放出口23から投出する。その結果、オペレータは、同一の束放出口23から結束紙幣が投出されたとしても、中央巻き及び右端巻きの結束位置で窓口正券及び損券の結束紙幣を区別可能に認識できる。
また、本実施例では、100元紙幣のATM正券をスタッカ16にバラ集積すると共に、100元紙幣の窓口正券及び損券を結束用集積部21に集積して窓口正券の結束紙幣及び損券の結束紙幣を投出する。その結果、本実施例では、市場に流通する人民元紙幣の約9割を占める100元紙幣をATM正券、窓口正券及び損券の正損カテゴリ毎にバラ紙幣や結束紙幣に分別して収集する際のオペレータ側の作業負担を大幅に改善できる。
更に、本実施例では、スタッカ16A〜16D毎に最大500枚のATM正券の100元紙幣を集積でき、4個のスタッカ16全体で最大2000枚のATM正券の100元紙幣をバラ紙幣で収集できる。その結果、オペレータは、ATM正券をバラ紙幣で収集できるため、結束帯を解く手間が省け、ATM正券の紙幣をATMカセットへ装填する際の作業負担を大幅に改善できる。
更に、本実施例では、窓口正券の100元紙幣及び損券の100元紙幣を結束紙幣で収集する。その結果、オペレータは、窓口正券の100元紙幣を結束紙幣で取り扱うことができると共に、損券の100元紙幣を結束紙幣にし、これら損券の結束紙幣を大束にして中央銀行に返却できる。
更に、本実施例では、紙幣搬送路18上に配置した紙幣反転部15を通じて搬送紙幣の表面及び裏面の内、特定面に揃えて搬送し、スタッカ16側ではATM正券の100元紙幣、結束用集積部21側では窓口正券及び損券を特定面に揃えた状態で集積する。その結果、オペレータは、100元紙幣を特定面に揃えた状態でATM正券のバラ紙幣、窓口正券及び損券の結束紙幣を収集できる。
尚、本実施例では、窓口正券の紙幣を中央巻きの結束紙幣、更に損券の紙幣を左端巻きの結束紙幣で投出するようにしたが、把持搬送部27を通じて結束対象紙幣の結束位置を調整することで、その結束帯を巻く結束位置は適宜変更可能である。
また、本実施例では、結束位置を変えることで、同一束放出口23に投出する窓口正券及び損券の結束紙幣を区別可能にしたが、例えば、結束位置を変えず、結束帯に異なる内容を印字部56で印字することで、窓口正券及び損券を区別可能にしても良い。
また、本実施例では、窓口正券及び損券を区別可能にするために、例えば、窓口正券の場合は一箇所巻きにし、損券の場合には二箇所巻きで窓口正券及び損券を区別可能にするようにしても良い。
更に、本実施例では、ATM正券の紙幣をオープン型のスタッカ16内に順次集積し、スタッカ16内に集積したATM正券の紙幣を抜き取って、そのATM正券の紙幣をATMのATMカセット内に装填する。しかしながら、ATMカセットをスタッカ16に対して着脱可能に装着し、スタッカ16としてATMカセット内にATM正券の紙幣を集積するようにしても良い。この場合、スタッカ16からATM正券の紙幣を抜き取ってATMカセット内に装填する作業負担が解消できる。
更に、本実施例では、汚損度合の大きさに応じて、汚損度合が低い順にATM正券<窓口正券<損券の3段階に正損カテゴリを設定した。しかしながら、窓口正券の正損カテゴリ内の紙幣の汚損度合を複数レベルに設定し、例えば、ATM正券<窓口正券A<窓口正券B<損券に設定するようにしても良い。この場合、例えば、窓口正券Aを第1結束用集積部21A、窓口正券Bを第2結束用集積部21B、損券を第3結束用集積部21Cに夫々設定する。そして、同一の束放出口23からは窓口正券A、窓口正券B及び損券の3種類の結束紙幣を順次投出するようにしても良い。尚、窓口正券A、窓口正券B及び損券の結束紙幣においても、例えば、結束位置、結束箇所数や印字内容等を変えて区別可能にしても良い。この場合、オペレータは、同一束放出口23から結束紙幣が投出されたとしても、窓口正券A、窓口正券B及び損券の3種類の結束紙幣を区別できる。
また、本実施例では、紙幣結束ユニット3内に結束用集積部21を3段配置するようにしたが、3段に限定するものではなく、複数段配置するようにしても良く、更に、紙幣結束ユニット3を複数増設配置するようにしても、同様の効果が得られる。
また、本実施例では、結束対象紙幣を結束帯で結束する紙幣結束ユニット3を例に挙げて説明したが、商品券や有価証券等の紙葉類を結束帯で結束する場合にも、同様の効果が得られる。
尚、本実施例で説明した各種処理の内、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動で行うことも可能であることは勿論のこと、その逆に、手動で行われるものとして説明した処理の全部又は一部を自動で行うことも可能である。また、本実施例で説明した処理手順、制御手順、具体的名称、各種データやパラメータを含む情報についても、特記した場合を除き、適宜変更可能である。
また、図示した各装置の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、駆動制御部150と寸法調整駆動制御部160とを一つの部として統合するようにしても良い。また、本実施例において説明した各処理の内、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともできる。