JP5482935B1 - 共役ジエン重合体の製造方法、それによって得られた共役ジエン重合体、及び共役ジエン重合体の着色防止方法 - Google Patents

共役ジエン重合体の製造方法、それによって得られた共役ジエン重合体、及び共役ジエン重合体の着色防止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】環境に影響を及ぼすことなく重合体の酸化を防止し、さらに助触媒残渣である残留塩素を低減することができ、ゴム組成物にしたときに他の成分に影響を与えることなく、共役ジエン重合体の着色を防止できる共役ジエン重合体の製造方法、それによって得られた共役ジエン重合体、及び共役ジエン重合体の着色防止方法を提供する。
【解決手段】ジエン系モノマーを重合後に、(1)水及び(2)キレート作用を有するカルボン酸塩を添加することを特徴とする共役ジエン重合体の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、キレート作用を有するカルボン酸塩を添加することで、共役ジエン重合体の着色を防止することができる共役ジエン重合体の製造方法、それによって得られた共役ジエン重合体、及び共役ジエン重合体の着色防止方法に関する。
従来、共役ジエン重合体には、製造工程で各種触媒、助触媒、酸化防止剤等の数多くの化合物を加えることが多い。特に、酸化防止剤を添加することで、製品の劣化を防げることから、こうした添加剤は必須となっている。しかしながら、添加剤の種類や量が多いと、着色や臭いなどの副作用を生ずることが多く、思わぬ問題が起こりうる。
特に、着色の副作用が生じると、製品に透明性を求められる用途に関しては、大きな問題となることが多く、その解決方法がこれまで数多く図られている。
例えば、特許文献1には、所定のリン酸エステルと水等(ROH)を添加し、色調及び耐湿熱変色性が良好で且つ透明で耐失透性に優れる重合体を得る重合体の回収方法が記載されている。
また、特許文献2では、ブタジエンゴムの重合後に1種類以上のフェノール性化合物を混合し、かつpH値が4〜11の範囲、かつ酸素含有量が0〜0.3ppmになるよう調整することで、安定かつ無色のポリブタジエンゴムを提供している。
国際公開第2006/088160号 特表2003−535926号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法のようにリン系の添加剤を添加すると、リン酸が発生し環境への影響が問題となる。また、特許文献2に記載の方法では、水分の酸素含有量を調整することが必要であり、工業化への制約が多いという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、環境に影響を及ぼすことなく重合体の酸化を防止し、さらに助触媒残渣である残留塩素を低減することができ、ゴム組成物にしたときに他の成分に影響を与えることなく、共役ジエン重合体の着色を防止できる共役ジエン重合体の製造方法、それによって得られた共役ジエン重合体、及び共役ジエン重合体の着色防止方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、以上の目的を達成するために、鋭意検討した結果、ジエン系モノマーを重合後に、水及びキレート作用を有するカルボン酸塩を添加することによって、環境に影響を及ぼすことなく重合体の酸化を防止し、さらに助触媒残渣である残留塩素を低減することができ、ゴム組成物にしたときに他の成分に影響を与えないで共役ジエン重合体の着色を防止することができることを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は、ジエン系モノマーを重合後に、(1)水及び(2)キレート作用を有するカルボン酸塩を添加することを特徴とする共役ジエン重合体の製造方法に関する。
本発明の製造方法においては、前記(2)キレート作用を有するカルボン酸塩をあらかじめ前記(1)水に溶解し、キレート作用を有するカルボン酸水溶液として添加することが好ましく、前記(2)キレート作用を有するカルボン酸塩が、エチレンジアミン四酢酸塩であることが好ましい。
また、本発明の製造方法において、前記共役ジエン重合体は、1,4−シス構造が80〜99%、及び1,2−ビニル構造が0.5〜20%であることが好ましく、前記共役ジエン重合体は、遷移金属触媒と有機アルミニウム助触媒からなる触媒を用いた重合により製造されることが好ましい。
また、本発明は、前記製造方法により製造されたことを特徴とする共役ジエン重合体に関する。
また、本発明は、共役ジエン重合体の着色防止方法であって、ジエン系モノマーを重合後に、キレート作用を有するカルボン酸水溶液を導入することを特徴とする着色防止方法に関する。
以上のように、本発明によれば、環境に影響を及ぼすことなく重合体の酸化を防止し、さらに助触媒残渣である残留塩素を低減することができ、ゴム組成物にしたときに他の成分に影響を与えることなく、共役ジエン重合体の着色を防止できる共役ジエン重合体の製造方法、それによって得られた共役ジエン重合体、及び共役ジエン重合体の着色防止方法を提供することができる。
本発明の共役ジエン重合体の製造方法は、ジエン系モノマーを重合後に、(1)水及び(2)キレート作用を有するカルボン酸塩を添加することを特徴とする。以下、本発明の共役ジエン重合体の製造方法について、好適な一実施形態を詳細に説明する。
本実施形態に係る共役ジエン重合体の製造方法としては、(A)ジエン系モノマーを(B)有機溶媒に溶かし、その中へ(C)水を溶解し、次いで、(D)遷移金属触媒及び(E)有機アルミニウム助触媒を入れて重合をさせ、重合後、(1)水及び(2)キレート作用を有するカルボン酸塩、場合によっては(F)重合停止剤及び(G)酸化防止剤を添加することが好ましい。
(A)ジエン系モノマー
本実施形態において、ジエン系モノマーとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を混合してもよく、さらに1,3−ヘキサジエンなど他のジエンと共重合して用いてもよい。中でも好ましいのは、1,3−ブタジエンである。
(B)有機溶媒
本実施形態に使用する有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素、n−ヘキサン、ブタン、ヘプタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン等のオレフィン系炭化水素、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ケロシン等の炭化水素系溶媒、及び塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。また、1,3−ブタジエンそのものを重合溶媒としてもよい。有機溶媒として好ましくは、非芳香族炭化水素であり、特にシクロヘキサンが好ましい。
(D)遷移金属触媒
本実施形態に使用できる遷移金属触媒としては、コバルト系触媒が挙げられる。コバルト系触媒としては、コバルトの塩や錯体が好ましく用いられる。具体的には、特に好ましいものとして、コバルトオクタエート、塩化コバルト、臭化コバルト、硝酸コバルト、オクチル酸(エチルヘキサン酸)コバルト、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト、マロン酸コバルト等のコバルト塩が挙げられる。また、コバルトのビスアセチルアセトネート、トリスアセチルアセトネート;アセト酢酸エチルエステルコバルト;コバルト塩のピリジン錯体、ピコリン錯体等の有機塩基錯体、もしくはエチルアルコール錯体などが挙げられる。この中でも特に、コバルトオクタエートが好ましい。
コバルト系触媒の添加量は、(A)ジエン系モノマー1モルに対し、通常、コバルト系触媒が1×10−7〜1×10−4モルが好ましく、1×10−6〜1×10−5モルが特に好ましい。
本実施形態においては、共役ジエン重合体は、コバルト系以外の(D)遷移金属触媒でも製造することができる。コバルト系以外の(D)遷移金属触媒としては、ニッケル系、ネオジム系、バナジウム系などの触媒を挙げることができ、中でも特に、バナジウム系触媒が好ましい。
バナジウム系触媒としては、シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、メチルシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、エチルシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、プロピルシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、イソプロピルシクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)バナジウムトリクロライド、(2−メチルインデニル)バナジウムトリクロライド、シクロペンタジエニルバナジウムトリt−ブトキサイド、シクロペンタジエニルバナジウムトリi−プロポキサイド、シクロペンタジエニルバナジウムジメトキシクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(η−シクロペンタジエニル)シランバナジウムジクロライド、シクロペンタジエニルトリス(ジエチルアミド)バナジウム、シクロペンタジエニルトリス(i−プロピルアミド)バナジウム、シクロペンタジエニルオキソバナジウムジクロライド、メチルシクロペンタジエニルオキソバナジウムジクロライド、ベンジルシクロペンタジエニルオキソバナジウムジクロライド、(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)オキソバナジウムジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(η−シクロペンタジエニル)シランオキソバナジウムクロライド、シクロペンタジエニルオキソバナジウムジメトキサイド、シクロペンタジエニルオキソバナジウムジi−プロポキサイド、(シクロペンタジエニル)ビス(ジエチルアミド)オキソバナジウムなどが挙げられる。この中でも、シクロペンタジエニルバナジウムトリクロライド、シクロペンタジエニルオキソバナジウムジクロライドが好ましい。バナジウム系触媒の添加量は、(A)ジエン系モノマー1モルに対し、通常、バナジウム系触媒が1×10−7〜1×10−4モルが好ましく、1×10−6〜1×10−5モルが特に好ましい。
さらに、金属触媒の種類に応じた共役ジエン重合体の形態として、リチウム触媒重合−ポリブタジエン(Li−BR)、コバルト触媒重合−ポリブタジエン(Co−BR)、バナジウム触媒重合−ポリブタジエン(V−BR)、ネオジム触媒重合−ポリブタジエン(Nd−BR)、ニッケル触媒重合−ポリブタジエン(Ni−BR)、チタン触媒重合−ポリブタジエン(Ti−BR)、スチレン−ブタジエン−ブロックコポリマー(SB、SBS、SEBS)、ランダムスチレン−ブタジエン−コポリマー(L−SBR)、ブタジエン−イソプレン−コポリマー(BI)、スチレン−ブタジエン−イソプレン−ターポリマー(SIB)などが挙げられる。ここでは特に、コバルト触媒重合−ポリブタジエン(Co−BR)が本実施形態の方法に最適である。
(E)有機アルミニウム助触媒
本実施形態において使用される有機アルミニウム助触媒としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムを挙げることができる。また、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライドなどのジアルキルアルミニウムクロライド;ジアルキルアルミニウムブロマイド;セスキエチルアルミニウムクロライドなどのアルキルアルミニウムセスキクロライド;アルキルアルミニウムセスキブロマイド;エチルアルミニウムジクロライドなどのアルキルアルミニウムジクロライド等の有機アルミニウムハロゲン化合物を挙げることができる。また、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライド等の水素化有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらの(E)有機アルミニウム助触媒は、単独で用いることもできるし、2種類以上を併用することもできるが、2種類以上を併用する場合、トリアルキルアルミニウム1モルに対し、有機アルミニウムハロゲン化合物0.1〜99モルが好ましく、0.25〜19モルがより好ましく、1〜15モルが更に好ましく、3〜9モルが特に好ましい。この中でも特に、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライドなどが好ましい。
(E)有機アルミニウム助触媒の添加量は、(D)遷移金属触媒1モルに対し、50〜2000モルの範囲が好ましい。
(C)水の添加量は、(E)有機アルミニウム助触媒と(C)水とのモル比(Al/HO)が、1.00〜2.00であると好ましく、1.05〜1.95であるとより好ましく、1.10〜1.90であると更に好ましく、1.10〜1.80であると特に好ましい。Al/HOが、1.00より小さいあるいは2.00より大きいと、共役ジエン重合体の着色、経時変色が生じやすく、またゲル含量が増加する傾向があるので好ましくない。
また、(C)水と(E)有機アルミニウムとは、熟成させることが好ましく、熟成時間は、3〜30分間が好ましく、4〜25分間がより好ましく、4.5〜15分間が特に好ましい。熟成時間が3分間より短いと、共役ジエン重合体の着色、経時変色が大きい傾向にあり、熟成時間が30分間より長いと、ゴム自体の収量が減少し、生産性が悪くなる傾向にあるため好ましくない。
本実施形態においては、ジエン系モノマーの重合後、(1)水及び(2)キレート作用を有するカルボン酸塩を添加する。ジエン系モノマーの重合後とは、ジエン系モノマーが少なくとも30%以上重合した後の状態をいい、35%以上が好ましく、40%以上がより好ましい。(1)水及び(2)キレート作用を有するカルボン酸塩は、(2)キレート作用を有するカルボン酸塩をあらかじめ(1)水に溶解し、キレート作用を有するカルボン酸水溶液として同時に添加しても、(1)水及び(2)キレート作用を有するカルボン酸塩をそれぞれ別々に添加してもよい。しかしながら、(2)キレート作用を有するカルボン酸塩は、水溶液の状態で特に効果を発揮するため、(1)水及び(2)キレート作用を有するカルボン酸塩は、(2)キレート作用を有するカルボン酸塩をあらかじめ(1)水に溶解し、キレート作用を有するカルボン酸水溶液として添加することが好ましい。
(2)キレート作用を有するカルボン酸塩
本実施形態において使用されるキレート作用を有するカルボン酸塩としては、エデト酸塩(エチレンジアミン四酢酸塩)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ペンテト酸塩(ジエチレントリアミン五酢酸塩)、フィチン酸塩、エチドロン酸塩(ヒドロキシエタンジホスホン酸塩)、シュウ酸塩、ポリアミノ酸塩類(ポリアスパラギン酸塩、ポリグルタミン酸塩等)、アスパラギン酸二酢酸塩、グルタミン酸二酢酸塩、ポリリン酸、メタリン酸、リン酸、クエン酸、アラニン、ジヒドロキシエチルグリシン、グルコン酸、コハク酸及び酒石酸の塩等が挙げられる。中でも、エデト酸塩(エチレンジアミン四酢酸塩:EDTA塩)が好ましく用いられる。
EDTA塩としては、例えば、EDTAのNa塩(2Na塩、3Na塩、4Na塩)、K塩(2K塩、3K塩、4K塩)、及びCa・Na塩(Ca・2Na塩)などが挙げられる。これらは、水和物であってもよい。中でも、キレート作用が高いことから、EDTAのNa塩が好ましく、水への溶解性とキレート作用の高さの点から、EDTAの2Na塩がより好ましい。キレート作用を有するカルボン酸塩は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(2)キレート作用を有するカルボン酸塩の添加量としては、重合後の共役ジエン重合体に対して、100〜2000ppmが好ましく、200〜1000ppmがより好ましい。100ppm未満では、着色防止効果が低く、2000ppmを超えると排水の化学的酸素要求量を上昇させるため好ましくない。
共役ジエン重合体の着色として、例えば、触媒として添加した遷移金属を中心とする錯体や重合体に残留する塩素化合物(残留塩素)などの呈色物質の影響が考えられるが、ジエン系モノマーの重合後、(1)水及び(2)キレート作用を有するカルボン酸塩を添加することで、キレート作用によってこれらの呈色物質が減少し、共役ジエン重合体の着色を防止することができると考えられる。
また、本実施形態においては、ジエン系モノマーの重合後、場合によっては(F)重合停止剤及び(G)酸化防止剤を添加することができる。(1)水、(2)キレート作用を有するカルボン酸塩、(F)重合停止剤及び(G)酸化防止剤のそれぞれの添加順序としては特に制限はなく、例えば、(F)重合停止剤及び(G)酸化防止剤を添加し、その後(1)水及び(2)キレート作用を有するカルボン酸塩を添加することなどが挙げられる。
(F)重合停止剤
共役ジエン重合体の重合の停止は、通常の方法で水、アルコール、有機酸または無機酸および/またはフェノールの添加により行うことができる。この中でも、分散性が良く、好ましい重合停止剤としては、水や低級アルコールなどが挙げられる。
低級アルコールとしては、炭素数が5以下のものがよく、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ter−ブチルアルコール、ペンタノールとそれらの異性体などが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
水の使用量としては、トータルの原料混合溶液に対する割合が1.38×10−8〜9.9vol%であることが好ましく、2.76×10−8〜5vol%であることがより好ましく、4.14×10−8〜3vol%であることがさらにより好ましい。トータルの原料混合溶液とは、反応器へ仕込む原料であるジエン系モノマーと、シクロへキサン、ブテンなどの有機溶媒の混合溶液と、変性前に添加する原料混合溶液との総和量である。
本実施形態においては、(F)重合停止剤と(G)酸化防止剤を同時に添加してもよいし、(F)重合停止剤の後(G)酸化防止剤を添加してもよいし、(G)酸化防止剤と(F)重合停止剤を添加する順序が逆になってもよい。また、(F)重合停止剤が水以外の場合、(G)酸化防止剤の添加を省略することもできる。
(G)酸化防止剤
酸化防止剤としては、例えばフェノール系酸化防止剤として、4,6−ビス(オクチルメチル)−o−クレゾール(CAS−No.110553−27−0)、オクタデシル−3−(3,5−ジtertブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(CAS−No.2082−79−3)、ペンタエリスリトールテトラキス〔3(3,5−ジtertブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(CAS−No.6683−19−8)等が挙げられる。他には、リン系酸化防止剤等も挙げられる。
(G)酸化防止剤の添加量としては、安定させたい期間によって、適宜必要量を添加すればよいが、ジエン系モノマー1モルに対して、5×10−6〜3×10−4モルが好ましく、1×10−5〜2×10−4モルがより好ましい。この酸化防止剤の量が少な過ぎても、耐劣化機能が得られず、また多過ぎた場合には、着色原因となってくるため好ましくない。
また、本実施形態においては、重合時に公知の分子量調節剤、例えば、シクロオクタジエン、アレンなどの非共役ジエン類、またはエチレン、プロピレン、ブテン−1などのα−オレフィン類を使用することができる。
重合温度は−30〜100℃の範囲が好ましく、30〜80℃の範囲が特に好ましい。重合時間は5分〜12時間の範囲が好ましく、10分〜6時間が特に好ましい。また、重合圧は、常圧又は10気圧(ゲージ圧)程度までの加圧下で行うことができる。
本実施形態により製造された共役ジエン重合体の色相は、無色であり、色差(ΔE*ab)は、6.00未満が好ましい。
また、本実施形態により製造された共役ジエン重合体は、ミクロ構造が、1,4−シス構造が80〜99%、及び1,2−ビニル構造が0.5〜20%であることが好ましい。
本実施形態により製造された安定な無色の共役ジエン重合体は、全ての種類の加硫物を製造することができるため、例えば、タイヤ、ホース、履物部材、工業用ベルト、医療用ゴム、スポーツ用品、クローラ又はパッキンを製造するために、並びにビニル芳香族化合物、例えば、ポリスチレンおよび塊状法により製造されたABS−ポリマーを基礎とするポリマーの耐衝撃性変性のために使用することもできる。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。まず、それぞれの測定方法は、次の通りである。
(色相)
色相の評価は、目視で確認した。
(色差(ΔEab))
色差は、ポリブタジエンシート(5mm)サンプルを標準白板の前に設置し、色差計を用い、その反射光を測定し、標準白板に対する色差(ΔEab:この数値が小さいほど良)で評価した。
(酸化誘導期)
示差走査熱量計DSC−50(島津製作所製)を用いて、空気雰囲気下、150℃で、ジエン重合体の酸化発熱ピークまでの時間を測定した。
(残留塩素)
ジエン重合体10gをトルエン300mlに溶解後、蒸留水を100ml添加、強攪拌により蒸留水中へ塩素成分を抽出した。その後、イオンクロマトグラフを用いて、塩素イオンを測定し、試料中の塩素濃度を得た。
(ムーニー粘度(ML1+4,100℃))
JIS K 6300に準拠して測定した。
(加硫時間)
キュラストメーター(JSRキュラストメーターIIF型)を用い、150℃で測定した。
(硬度)
JIS K 6253に準拠して測定した。
(引張特性)
JIS K6251に準じ3号ダンベルで測定した。
(比重)
自動比重計H−D型(東洋精機製作所製)を用い、23℃で比重を測定した。
(実施例1)
内容量1.5Lの重合用オートクレーブの内部を窒素置換し、原料混合溶液(シクロヘキサン20wt%、ブタジエン40wt%、ブテン40wt%)を、0.70Lを仕込んで攪拌した。次いで、水1.95mMを添加して室温にて30分間攪拌を続けた。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(DEAC)2.96mMを添加し、5分間攪拌させて熟成させた。その後、分子量調節剤として1,5−シクロオクタジエン(COD)6.6mM添加し、溶液の温度を50℃として、コバルトオクタエート(Co(Oct))8.7μMを添加し、重合を開始し、30分間重合を行った。反応後、酸化防止剤として、4,6−ビス(オクチルメチル)−o−クレゾール0.24mMをシクロヘキサン溶液として添加し、EDTA・4Na0.34mMを水溶液として2ml添加し攪拌した。その後、脱灰水として、水0.57Lを加えて、30分間攪拌した後、30分間静置し、水と分離してポリブタジエン溶液を回収した。
その後、回収したポリブタジエン溶液を105℃、2.0時間真空乾燥させることによって、ポリブタジエンを得た。結果を表1に示す。
(実施例2)
EDTA・4Na水溶液をEDTA・3Na水溶液にした以外は実施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
EDTA・4Na水溶液をEDTA・2Na水溶液にした以外は実施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
EDTA・4Na水溶液を水2mlにした以外は実施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
EDTA・4Na水溶液をオレイン酸Na0.42mMの水溶液にした以外は実施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。
Figure 0005482935
表1の結果より、本発明の実施例1〜3は、比較例1、2と比べ、色相が無色であり、色差(ΔE*ab)が低いことが分かる。即ち、本発明の製造方法で調製したポリブタジエンは、良好に着色が抑制されていることが分かる。また、EDTA・2Naを添加した実施例3は、未添加の比較例1と比較して、ポリブタジエンの酸化誘導期を延ばすことができ、酸化防止効果も発揮できていることが分かる。また、助触媒残渣である残留塩素も併せて低減出来ることを確認した。
次に、本発明の製造方法により製造された無色の共役ジエン重合体が、ゴム組成物にしたときに他の物性に影響を与えないことを確認した。
具体的には、ASTM D3189に従い、下記配合にてゴム組成物を作製し、得られた加硫試験片を評価した。結果を表2に示す。
<配合>
ポリブタジエン:100重量部、カーボンブラック(HAF IRB#7):60重量部、アロマオイル:15重量部、1号亜鉛華:3重量部、ステアリン酸:2重量部、加硫促進剤(TBBS):0.9重量部、硫黄:1.5重量部
Figure 0005482935
表2の結果より、EDTA・2Naを添加した実施例3は、未添加の比較例1と比較して、ゴム組成物に使用して何らの物性にも影響を及ぼさないことが分かる。

Claims (5)

  1. ジエン系モノマーを重合後に、(1)水及び(2)キレート作用を有するカルボン酸塩を添加する共役ジエン重合体の製造方法であって、
    前記共役ジエン重合体は、遷移金属触媒と有機アルミニウム助触媒からなる触媒を用いた重合により製造されることを特徴とする共役ジエン重合体の製造方法。
  2. 前記(2)キレート作用を有するカルボン酸塩をあらかじめ前記(1)水に溶解し、キレート作用を有するカルボン酸水溶液として添加することを特徴とする請求項1に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
  3. 前記(2)キレート作用を有するカルボン酸塩が、エチレンジアミン四酢酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
  4. 前記共役ジエン重合体は、1,4−シス構造が80〜99%、及び1,2−ビニル構造が0.5〜20%であることを特徴とする請求項1に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
  5. 遷移金属触媒と有機アルミニウム助触媒からなる触媒を用いた重合により製造される共役ジエン重合体の着色防止方法であって、ジエン系モノマーを重合後に、キレート作用を有するカルボン酸水溶液を導入することを特徴とする着色防止方法。
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