JP5482935B1 - 共役ジエン重合体の製造方法、それによって得られた共役ジエン重合体、及び共役ジエン重合体の着色防止方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジエン系モノマーを重合後に、(1)水及び(2)キレート作用を有するカルボン酸塩を添加することを特徴とする共役ジエン重合体の製造方法である。
【選択図】なし
Description
本実施形態において、ジエン系モノマーとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を混合してもよく、さらに1,3−ヘキサジエンなど他のジエンと共重合して用いてもよい。中でも好ましいのは、1,3−ブタジエンである。
本実施形態に使用する有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素、n−ヘキサン、ブタン、ヘプタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン等のオレフィン系炭化水素、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ケロシン等の炭化水素系溶媒、及び塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。また、1,3−ブタジエンそのものを重合溶媒としてもよい。有機溶媒として好ましくは、非芳香族炭化水素であり、特にシクロヘキサンが好ましい。
本実施形態に使用できる遷移金属触媒としては、コバルト系触媒が挙げられる。コバルト系触媒としては、コバルトの塩や錯体が好ましく用いられる。具体的には、特に好ましいものとして、コバルトオクタエート、塩化コバルト、臭化コバルト、硝酸コバルト、オクチル酸(エチルヘキサン酸)コバルト、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト、マロン酸コバルト等のコバルト塩が挙げられる。また、コバルトのビスアセチルアセトネート、トリスアセチルアセトネート;アセト酢酸エチルエステルコバルト;コバルト塩のピリジン錯体、ピコリン錯体等の有機塩基錯体、もしくはエチルアルコール錯体などが挙げられる。この中でも特に、コバルトオクタエートが好ましい。
本実施形態において使用される有機アルミニウム助触媒としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムを挙げることができる。また、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライドなどのジアルキルアルミニウムクロライド;ジアルキルアルミニウムブロマイド;セスキエチルアルミニウムクロライドなどのアルキルアルミニウムセスキクロライド;アルキルアルミニウムセスキブロマイド;エチルアルミニウムジクロライドなどのアルキルアルミニウムジクロライド等の有機アルミニウムハロゲン化合物を挙げることができる。また、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライド等の水素化有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
本実施形態において使用されるキレート作用を有するカルボン酸塩としては、エデト酸塩(エチレンジアミン四酢酸塩)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ペンテト酸塩(ジエチレントリアミン五酢酸塩)、フィチン酸塩、エチドロン酸塩(ヒドロキシエタンジホスホン酸塩)、シュウ酸塩、ポリアミノ酸塩類(ポリアスパラギン酸塩、ポリグルタミン酸塩等)、アスパラギン酸二酢酸塩、グルタミン酸二酢酸塩、ポリリン酸、メタリン酸、リン酸、クエン酸、アラニン、ジヒドロキシエチルグリシン、グルコン酸、コハク酸及び酒石酸の塩等が挙げられる。中でも、エデト酸塩(エチレンジアミン四酢酸塩:EDTA塩)が好ましく用いられる。
EDTA塩としては、例えば、EDTAのNa塩(2Na塩、3Na塩、4Na塩)、K塩(2K塩、3K塩、4K塩)、及びCa・Na塩(Ca・2Na塩)などが挙げられる。これらは、水和物であってもよい。中でも、キレート作用が高いことから、EDTAのNa塩が好ましく、水への溶解性とキレート作用の高さの点から、EDTAの2Na塩がより好ましい。キレート作用を有するカルボン酸塩は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
共役ジエン重合体の重合の停止は、通常の方法で水、アルコール、有機酸または無機酸および/またはフェノールの添加により行うことができる。この中でも、分散性が良く、好ましい重合停止剤としては、水や低級アルコールなどが挙げられる。
低級アルコールとしては、炭素数が5以下のものがよく、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ter−ブチルアルコール、ペンタノールとそれらの異性体などが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
水の使用量としては、トータルの原料混合溶液に対する割合が1.38×10−8〜9.9vol%であることが好ましく、2.76×10−8〜5vol%であることがより好ましく、4.14×10−8〜3vol%であることがさらにより好ましい。トータルの原料混合溶液とは、反応器へ仕込む原料であるジエン系モノマーと、シクロへキサン、ブテンなどの有機溶媒の混合溶液と、変性前に添加する原料混合溶液との総和量である。
酸化防止剤としては、例えばフェノール系酸化防止剤として、4,6−ビス(オクチルメチル)−o−クレゾール(CAS−No.110553−27−0)、オクタデシル−3−(3,5−ジtertブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(CAS−No.2082−79−3)、ペンタエリスリトールテトラキス〔3(3,5−ジtertブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(CAS−No.6683−19−8)等が挙げられる。他には、リン系酸化防止剤等も挙げられる。
色相の評価は、目視で確認した。
(色差(ΔE*ab))
色差は、ポリブタジエンシート(5mm)サンプルを標準白板の前に設置し、色差計を用い、その反射光を測定し、標準白板に対する色差(ΔE*ab:この数値が小さいほど良)で評価した。
(酸化誘導期)
示差走査熱量計DSC−50(島津製作所製)を用いて、空気雰囲気下、150℃で、ジエン重合体の酸化発熱ピークまでの時間を測定した。
(残留塩素)
ジエン重合体10gをトルエン300mlに溶解後、蒸留水を100ml添加、強攪拌により蒸留水中へ塩素成分を抽出した。その後、イオンクロマトグラフを用いて、塩素イオンを測定し、試料中の塩素濃度を得た。
JIS K 6300に準拠して測定した。
(加硫時間)
キュラストメーター(JSRキュラストメーターIIF型)を用い、150℃で測定した。
(硬度)
JIS K 6253に準拠して測定した。
(引張特性)
JIS K6251に準じ3号ダンベルで測定した。
(比重)
自動比重計H−D型(東洋精機製作所製)を用い、23℃で比重を測定した。
内容量1.5Lの重合用オートクレーブの内部を窒素置換し、原料混合溶液(シクロヘキサン20wt%、ブタジエン40wt%、ブテン40wt%)を、0.70Lを仕込んで攪拌した。次いで、水1.95mMを添加して室温にて30分間攪拌を続けた。その後、ジエチルアルミニウムクロライド(DEAC)2.96mMを添加し、5分間攪拌させて熟成させた。その後、分子量調節剤として1,5−シクロオクタジエン(COD)6.6mM添加し、溶液の温度を50℃として、コバルトオクタエート(Co(Oct)2)8.7μMを添加し、重合を開始し、30分間重合を行った。反応後、酸化防止剤として、4,6−ビス(オクチルメチル)−o−クレゾール0.24mMをシクロヘキサン溶液として添加し、EDTA・4Na0.34mMを水溶液として2ml添加し攪拌した。その後、脱灰水として、水0.57Lを加えて、30分間攪拌した後、30分間静置し、水と分離してポリブタジエン溶液を回収した。
その後、回収したポリブタジエン溶液を105℃、2.0時間真空乾燥させることによって、ポリブタジエンを得た。結果を表1に示す。
EDTA・4Na水溶液をEDTA・3Na水溶液にした以外は実施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。
EDTA・4Na水溶液をEDTA・2Na水溶液にした以外は実施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。
EDTA・4Na水溶液を水2mlにした以外は実施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。
EDTA・4Na水溶液をオレイン酸Na0.42mMの水溶液にした以外は実施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。
具体的には、ASTM D3189に従い、下記配合にてゴム組成物を作製し、得られた加硫試験片を評価した。結果を表2に示す。
ポリブタジエン:100重量部、カーボンブラック(HAF IRB#7):60重量部、アロマオイル:15重量部、1号亜鉛華:3重量部、ステアリン酸:2重量部、加硫促進剤(TBBS):0.9重量部、硫黄:1.5重量部
Claims (5)
- ジエン系モノマーを重合後に、(1)水及び(2)キレート作用を有するカルボン酸塩を添加する共役ジエン重合体の製造方法であって、
前記共役ジエン重合体は、遷移金属触媒と有機アルミニウム助触媒からなる触媒を用いた重合により製造されることを特徴とする共役ジエン重合体の製造方法。 - 前記(2)キレート作用を有するカルボン酸塩をあらかじめ前記(1)水に溶解し、キレート作用を有するカルボン酸水溶液として添加することを特徴とする請求項1に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
- 前記(2)キレート作用を有するカルボン酸塩が、エチレンジアミン四酢酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
- 前記共役ジエン重合体は、1,4−シス構造が80〜99%、及び1,2−ビニル構造が0.5〜20%であることを特徴とする請求項1に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
- 遷移金属触媒と有機アルミニウム助触媒からなる触媒を用いた重合により製造される共役ジエン重合体の着色防止方法であって、ジエン系モノマーを重合後に、キレート作用を有するカルボン酸水溶液を導入することを特徴とする着色防止方法。
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