以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、ベクトルにおいて矢印を考慮して起点から終点に向かう進みが向きと表現され、ベクトルにおいて矢印を考慮せずに起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明では、複合機1が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向14が定義され、操作パネル9が設けられている側を手前側(正面)として前後方向12が定義され、複合機1を手前側(正面)から見て左右方向13が定義される。
[複合機1]
図1に示されるように、本発明のインクジェット記録装置の一例である複合機1は、下部に配設されたプリンタ部2と、プリンタ部2の上部に配設されたスキャナ部3などを一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)である。複合機1は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、及びファクシミリ機能などを有する。
なお、本実施形態において、複合機1はプリンタ機能として片面画像記録機能のみ有しているが、複合機1は両面画像記録機能を有していてもよい。また、本発明を実現するうえで、スキャナ機能やファクシミリ機能などは任意の機能であり、例えば、本発明に係るインクジェット記録装置が、プリンタ機能のみを有するプリンタとして実施されてもよい。なお、本発明を実現するうえでスキャナ部3は関係しないため、ここでは、スキャナ部3の詳細な説明は省略される。
複合機1の上面の前方側であって、スキャナ部3の正面側の上面には、プリンタ部2やスキャナ部3を操作するための操作パネル9が設けられている。操作パネル9は、各種操作ボタンや液晶表示部11から構成されている。複合機1は、操作パネル9からの指示情報、又は後述する外部デバイスから送信される指示情報に基づいて、複合機1の動作を統括する制御部130(図3参照)により動作される。
複合機1は、主に不図示のPC(Personal Computer)や小型メモリカード、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの外部デバイス(本発明の当該装置の外部の一例)と接続された状態で使用される。プリンタ部2は、外部デバイスから受信した記録データやスキャナ部3で読み取られた原稿の記録データに基づいて、記録用紙19(本発明の被記録媒体の一例)に画像を記録する。
複合機1の全面には、少なくとも1つ(本実施形態においては3つ)のスロット部7が設けられている。各スロット部7は、記憶媒体である各種小型メモリカードの装填を可能とするものであり、複合機1の正面の左上部に設けられている。各種小型メモリカードは、例えば、MS(メモリスティック:登録商標)、SD(SDカード:登録商標)、SM(スマートメディア:登録商標)などである。複合機1は、スロット部7に装填された小型メモリカードに記憶された画像データを読み出してその画像データに関する情報を操作パネル9の液晶表示部11に表示させる。そして、複合機1は、表示させた情報に係る画像のうち、任意の画像をプリンタ部2により記録用紙19に記録させる。このための入力は、操作パネル9から行われる。
[プリンタ部2]
図1に示されるように、プリンタ部2は、正面に開口4が形成されたケーシング5を有する。ケーシング5内にプリンタ部2の各構成要素が配設されている。
開口4を通じて、給紙トレイ20及び排紙トレイ21(図2参照)が複合機1に装着される。なお、図1では、給紙トレイ20及び排紙トレイ21が省略されている。給紙トレイ20には、A4サイズやB5サイズ等の所望のサイズの記録用紙19が収容される。排紙トレイ21は、給紙トレイ20に支持されて、給紙トレイ20の上方に配置される。
図2に示されるように、給紙トレイ20の上側には、給紙ローラ25が設けられている。給紙ローラ25は、給紙トレイ20に接離可能に上下動する給紙アーム26の端部で軸支されている。給紙ローラ25は、複数のギアが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、給紙モータ76(図3参照)の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ25は、給紙トレイ20上の記録用紙19に圧接して、その状態で回転する。これにより、積載された記録用紙19が、以下で説明される搬送路23(本発明の搬送路に相当)へ供給される。
搬送路23は、給紙トレイ20の後側の端部から上方且つ複合機1の前側へ曲がって、複合機1の背面側(後側)から正面側(前側)へ延出されている。搬送路23は、搬送ローラ対54(本発明の搬送部の一例)による挟持位置、記録部24の下側、及び排出ローラ対55(本発明の搬送部の一例)による挟持位置を通過して排紙トレイ21へ通じている。給紙トレイ20から繰り出された記録用紙19は、搬送路23により下方から上方へUターンするように案内されて記録部24に至る。記録用紙19は、記録部24により画像記録が行われた後、排紙トレイ21に排出される。搬送路23は、記録部24などが配設されている箇所以外は、所定間隔で対向する外側ガイド面29と内側ガイド面28によって形成されている。
以下、記録用紙19が、搬送路23に沿った向きであって、搬送ローラ対54による挟持位置から記録部24の下方及び排出ローラ対55による挟持位置を通過して排紙トレイ21へ搬送される向き(図2に破線の矢印で示される方向)を、搬送向き15(本発明の第1向きに相当)として説明を行う。
図2に示されるように、記録部24よりも搬送向き15の上流側には、搬送ローラ47とピンチローラ48とを有する搬送ローラ対54が設けられている。記録部24よりも搬送向き15の下流側には、排紙ローラ49と拍車50とを有する排出ローラ対55が設けられている。
搬送ローラ47及び排紙ローラ49は、搬送モータ59(図3参照、本発明の駆動源の一例)から駆動伝達機構(不図示)を介して駆動力が伝達されて回転される。搬送ローラ47が正転駆動(図2における反時計回りに駆動)されることで、給紙トレイ20から給紙された記録用紙19は、搬送ローラ対54により狭持されて、搬送向き15へ搬送される。排紙ローラ49が正転駆動(図2における時計回りに駆動)されることで、記録部24による画像記録済みの記録用紙19は、排出ローラ対55により狭持されて、搬送向き15へ搬送される。
図2に示されるように、搬送ローラ47の回転量を検出するロータリーエンコーダ68が設けられている。ロータリーエンコーダ68は、搬送ローラ47と同軸に設けられて搬送ローラ47と共に回転するエンコーダディスク51と光学センサ60とからなる。エンコーダディスク51には、その円周方向に一定間隔で光を透過する透過部と光を透過しない非透過部とが等ピッチで交互に配置されたパターンが形成されている。搬送ローラ47と共にエンコーダディスク51が回転すると、光学センサ60によってロータリーエンコーダ68のマークが検出される毎にパルス信号が生成される。パルス信号は制御部130へと出力される。
[記録部24]
記録部24は、搬送路23を搬送向き15へ搬送される記録用紙19に対して、画像を記録するものである。記録部24は、インクジェット方式で画像記録を行う。記録部24は、主として記録ヘッド65(本発明の記録ヘッドに相当)、プラテン66、及びキャリッジ67(本発明のキャリッジに相当)によって構成されている。
キャリッジ67は、搬送路23の上方に設けられている。キャリッジ67は、例えば、プリンタ部2の内部に設けられたフレーム(不図示)に取り付けられた2本のガイドレール(不図示)によって支持されている。2本のガイドレールは、左右方向13に延設されている。また、2本のガイドレールは、前後方向12に所定間隔をあけて配置されている。キャリッジ67は、2本のガイドレールを跨ぐようにして配置されている。これにより、キャリッジ67は、2本のガイドレール上を左右方向13に摺動可能である。ガイドレールの上面に、ベルト駆動機構(不図示)が配設されている。また、ベルト駆動機構を構成するベルトは、キャリッジ67と連結されている。そして、キャリッジ駆動モータ103(図3参照)からベルト駆動機構に駆動力が伝達されることにより、キャリッジ67は左右方向13に摺動される。
つまり、本実施形態において、キャリッジ67は、搬送向き15と直交し且つ記録用紙19の画像記録面に沿った左右方向13(本発明の第2方向の一例)へ往復移動可能である。キャリッジ67は、後述する制御部130に制御されることによって、右向きへの移動と左向きへの移動を交互に繰り返す。
記録ヘッド65には、インクタンク(不図示)からインクチューブ(不図示)を通じてシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色インクが供給される。各インクチューブは、合成樹脂製のチューブであり、キャリッジ67の移動に応じて撓むような可撓性を有する。インクチューブは、4色のインクに対応して4本が設けられている。
記録ヘッド65は、キャリッジ67に搭載されている。記録ヘッド65は、キャリッジ67の下面側に露出され、プラテン66と対向されている。記録ヘッド65の下面には、複数のノズル(不図示)が設けられている。各ノズルは、上記の各色インクごとに設けられている。プラテン66は、搬送路23の下側にキャリッジ67と対向して配置されており、記録用紙19を支持する。なお、プラテン66の左右方向13の幅は、記録用紙19の最大幅より十分に大きい。キャリッジ67が往復移動することにより、記録ヘッド65がプラテン66上の記録用紙19に対して走査される。このとき、記録ヘッド65の各ノズルからインク滴が吐出される。インク滴が記録用紙19に着弾して画像記録が行われる。
記録用紙19は、制御部130に制御された搬送ローラ47及び排紙ローラ49によって、記録部24のプラテン66上を、搬送向き15へ所定の改行幅で間欠搬送される。つまり、記録用紙19は、所定の改行幅の搬送及び停止を繰り返しながら、搬送される。記録用紙19の搬送が停止されている間に、記録ヘッド65が、左右方向13に移動されながらインク滴を選択的に記録用紙19へ吐出する。記録用紙19の間欠搬送と記録ヘッド65の移動とが繰り返されて、記録用紙19に画像が記録される。
以上より、記録ヘッド65は、搬送ローラ対54及び排出ローラ対55によって搬送される記録用紙19に画像記録を行う。
[制御部130]
以下、図3が参照されて、制御部130の概略構成が説明される。制御部130が後述するフローチャートにしたがって記録制御を行うことによって、本発明が実現される。
制御部130は、複合機1の全体動作を制御するものである。制御部130は、CPU131、ROM132、RAM133(本発明の記憶部の一例)、EEPROM134、ASIC135を主とするマイクロコンピュータとして構成されている。これらは内部バス137によって接続されている。
ROM132には、CPU131が複合機1の記録制御を含む各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
ASIC135には、給紙モータ76、キャリッジ駆動モータ103、搬送モータ59、及び記録ヘッド65が接続されている。ASIC135には、それぞれのモータを制御する駆動回路が組み込まれている。CPU131から所定のモータに応じた駆動回路に各モータを回転させるための駆動信号が入力されると、駆動信号に応じた駆動電流が駆動回路から対応するモータへ出力される。これにより、対応するモータが所定の回転速度で正転又は逆転する。
また、ASIC135には、ロータリーエンコーダ68から出力されるパルス信号が入力される。制御部130は、ロータリーエンコーダ68からのパルス信号に基づいて、搬送ローラ47の回転量を算出し、算出した回転量を目標回転量に一致するよう搬送モータ59を回転させる駆動回路に駆動信号を出力する。つまり、制御部130は、ロータリーエンコーダ68からのパルス信号に基づいて、搬送ローラ47の回転量を制御する。
制御部130は、記録用紙19に画像を記録する際、搬送モータ59の駆動を制御して、搬送ローラ対54及び排出ローラ対55による記録用紙19の搬送及び停止を交互に繰り返す間欠搬送を実行させる。そして、制御部130は、記録用紙19の搬送が停止されている間に、キャリッジ67を右向きまたは左向きに一回移動させながら、記録ヘッド65を制御して、記録ヘッド65からインク滴を吐出させる。このとき、制御部130は、後述する記録データに基づいて、いずれの色のインク滴をいずれのノズルから吐出するかを決定する。これにより、記録用紙19には、記録データに基づいた画像が記録される。本段落における処理は、本発明の第1制御手段に相当する。また、本段落における処理は、後述する変形例3において、本発明の第2制御手段に相当する。
制御部130は、記録用紙19に画像を記録する際、スロット部7に装填された小型メモリカードに記憶された画像データ、スキャナ部3によって読み取られた原稿の画像データ、またはPCから送信されてきた画像データを取り込んでRAM133に記憶させる。つまり、RAM133には、複合機1の外部から複合機1に入力される画像データが記憶される。
また、制御部130は、RAM133に記憶された画像データを、記録データに変換する。ここで、記録データは、画像データを記録用紙19に記録可能な形式に変換したデータである。本実施形態において、画像データは、レッド、グリーン、及びブルーの多値画像データであり、記録データは、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの多値画像データである。本段落における処理は、本発明のデータ変換手段に相当する。
[記録制御]
上述の如く構成されたプリンタ部2においては、制御部130によって用紙を給紙し、記録を行う一連の記録制御が実行される。以下、図4及び図5のフローチャートに基づいて、記録制御の処理手順が説明される。
外部機器や操作パネル9から、複合機1に画像記録指示が入力されると(S10)、制御部130は、給紙モータ76を駆動して給紙ローラ25を回転させる。これにより、給紙トレイ20に収容された記録用紙19は、搬送ローラ対54に向かって搬送路23に沿って搬送される(S20)。
また、制御部130は、複合機1に画像記録指示が入力されると(S10)、複合機1の外部から画像データを取り込んでRAM133に記憶する処理、及びRAM133に記憶された画像データのうち、キャリッジ67の次の移動において記録用紙19に記録される画像データを、記録データに変換する処理を実行する。ここで、画像データの取り込み元である複合機1の外部の指定は、画像記録指示において行われる。例えば、画像記録指示において、スロット部7に装填された小型メモリカードが複合機1の外部として指定された場合、制御部130は、当該小型メモリカードに記憶された画像データをRAM133に記憶する。
画像データのRAM133への記憶、及びRAM133に記憶された画像データの記録データへの変換処理は、記録用紙19の搬送及び停止にかかわらず実行される。また、複合機1の外部から取り込まれる画像データの容量が、複合機1に搭載されているRAM133の容量よりも小さい場合、画像データの全てがRAM133に記憶され、その後、画像データのうち、キャリッジ67の次の移動において記録用紙19に記録される画像データが記録データに変換される。一方、複合機1の外部から取り込まれる画像データの容量が、複合機1に搭載されているRAM133の容量よりも大きい場合、画像データは、キャリッジ67の一回の移動において記録用紙19に記録される容量毎に、記録用紙19に記録される順序でRAM133に記憶される。RAM133に記憶された画像データ(例えば、記録用紙19に最初に記録される画像データ)は、記録データに変換され、記録用紙19に記録される。記録用紙19に次に記録される画像データは、RAM133に記憶されている画像データ(記録用紙19に最初に記録される画像データ)が記録用紙19に記録された後、当該画像データに上書きされることによって、RAM133に記憶される。なお、本実施形態においては、複合機1の外部から取り込まれる画像データの容量が、複合機1に搭載されているRAM133の容量よりも大きい場合が説明される。
制御部130は、給紙ローラ25の回転によって記録用紙19が搬送ローラ対54に到達して給紙処理が完了すると(S20)、搬送モータ59を駆動して搬送ローラ47を回転させる。これにより、給紙ローラ25によって搬送路23を搬送されてきた記録用紙19は、搬送ローラ対54に挟持される。そして、記録用紙19は、搬送ローラ対54によって、記録ヘッド65の直下に向かって搬送される(S30)。
制御部130は、記録用紙19を画像記録の開始位置まで搬送させる。ここで、画像記録の開始位置は、搬送される記録用紙19の先端(搬送向き15の下流端)と記録ヘッド65のノズルとの前後方向12の位置が同じとなる位置である。換言すると、画像記録の開始位置は、搬送される記録用紙19の先端とノズルとが対向可能な位置である。記録用紙19が開始位置まで搬送されると、画像記録が開始される。つまり、記録用紙19の間欠搬送が開始される。すなわち、記録用紙19は、画像記録が完了するまで、制御部130によって間欠搬送される。
制御部130は、記録用紙19が搬送ローラ対54に挟持されてから画像記録の開始位置に搬送されるまでの間に、第1時間(本発明の第1時間に相当)を算出する(S40)。ここで、第1時間は、画像データのRAM133への記憶開始から記憶完了までの時間、または、RAM133に記憶された画像データのうちキャリッジ67の次の移動において記録されるデータの記録データへの変換開始から変換完了までの時間の一方または双方の合計である。画像データのRAM133への記憶開始から記憶完了までの時間は、例えば、画像データのヘッダに含まれる当該画像データのサイズが示された情報(本発明のサイズ情報の一例)と、CPU131の処理速度とから得られる。また、キャリッジ67の次の移動において記録される画像データから記録データへの変換開始から変換完了までの時間は、例えば、キャリッジ67の一回の移動によって記録される画像データのサイズ(例えば、上記の画像データのサイズが示された情報及び上記の改行幅などに基づいて算出される。)と、CPU131の処理速度とから得られる。ステップS40における処理が、本発明の算出手段に相当する。
本実施形態では、間欠搬送におけるキャリッジ67の1回目の移動前(つまり画像データの記録用紙19の先端部への記録開始前)の第1時間は、1枚の記録用紙19へ記録される画像データのRAM133への記憶開始から記憶完了までの時間と、RAM133に記憶された画像データのうちキャリッジ67の間欠搬送における1回目の移動において記録されるデータの記録データへの変換開始から変換完了までの時間との合計に設定される。また、間欠搬送におけるキャリッジ67の1回目の移動後(つまり画像データの記録用紙19の先端部への記録後)の第1時間は、既に画像データが上述の間欠搬送におけるキャリッジ67の1回目の移動前にRAM133に記憶されているため、RAM133に記憶された画像データのうちキャリッジ67の間欠搬送における次の移動において記録されるデータの記録データへの変換開始から変換完了までの時間に設定される。
なお、第1時間は、上述したような設定に限らない。例えば、間欠搬送におけるキャリッジ67の移動が何回目であるかにかかわらず、第1時間は、1枚の記録用紙19へ記録される画像データのうちの一部(例えば、間欠搬送におけるキャリッジ67の次の移動において記録用紙19に記録される画像データ)のRAM133への記憶開始から記憶完了までの時間と、RAM133に記憶された画像データ(つまり上述した1枚の記録用紙19へ記録される画像データのうちの一部)の記録データへの変換開始から変換完了までの時間との合計に設定されてもよい。
また、制御部130は、記録用紙19が搬送ローラ対54に挟持されてから画像記録の開始位置に搬送されるまでの間に、画像データの記録データへの変換が完了するまでの時間(本発明の残り時間に相当、以下の説明において当該時間は残り時間と記される。)を算出する(S40)。残り時間は、ステップS10において画像記録指示が入力されてから間欠搬送の1回目の搬送(記録用紙19が開始位置に到達してから初めての搬送)の開始前までの間に、制御部130によって実行される画像データのRAM133への記憶処理、及び画像データの記録データへの変換処理に要する時間を、上記の第1時間から減ずることによって算出される。
制御部130は、ステップS40において算出された残り時間が第2時間(本発明の第2時間に相当)以上であるか否かを判定する(S50)。第2時間は、間欠搬送の各搬送において、記録用紙19を第1搬送速度(本発明の第1搬送速度に相当)で第1搬送量(本発明の第1搬送量に相当)を搬送するのに要する時間である。ここで、第1搬送速度は、記録用紙19に記録される画像の解像度に基づいて設定される速度であり、解像度が高い程、低速となる。また、第1搬送量は、上記の所定の改行幅に対応する搬送量である。ステップS50における処理が、本発明の第1判定手段に相当する。
なお、第2時間(詳細には第2時間を算出するための第1搬送速度や第1搬送量)は、以下に説明するような時間に設定される。つまり、記録用紙19が待機されている状態(詳細には、記録用紙19を搬送させる搬送ローラ47が停止されているが、搬送ローラ47には電力が供給されている状態)が当該第2時間以上継続すると、共振による異音が発生し、複合機1のユーザが不快感や違和感を覚える可能性が高くなる時間である。
残り時間が第2時間未満である場合(S50:No)、制御部130は、間欠搬送において、記録用紙19を第1搬送速度で第1搬送量だけ搬送させる通常搬送を実行する(S60)。詳細には、図5のステップS210〜S250の処理が実行される。つまり、制御部130は、記録用紙19を第1搬送速度で搬送させつつ(S210)、画像データのRAM133への記憶処理、及び画像データの記録データへの変換処理も実行する。そして、記録データへの変換処理が記録用紙19の第1搬送量の搬送よりも先に完了した場合(S220:Yes)、制御部130は、第1搬送量を搬送されるまで(S230:No)、記録用紙19の第1搬送速度での搬送を継続する(S210)。第1搬送量の搬送が完了すると(S230:Yes)、ステップS60の通常搬送を終了する。記録用紙19の第1搬送量の搬送が記録データへの変換処理よりも先に完了した場合(S220:No、S240:Yes)、記録データへの変換処理が完了するまで、記録用紙19は、第1搬送量の搬送完了位置において停止した状態を、維持される(S250)。以上より、制御部130は、搬送モータ59の駆動を制御して、間欠搬送の各搬送のうちステップS50における判定の対象となった搬送において搬送ローラ対54による記録用紙19の搬送速度を第1搬送速度とし、記録用紙19の搬送量を第1搬送量として搬送する。以上のステップS210〜S250までの処理も、上述した本発明の第1制御手段に相当する処理と同様に、本発明の第1制御手段に相当する。
通常搬送が完了すると(S60)、画像記録処理が制御部130によって実行される(S140)。つまり、制御部130は、キャリッジ67を右向きまたは左向きに一回移動させながら、記録ヘッド65を制御して、記録ヘッド65からインク滴を吐出させる。
ステップS50において、残り時間が第2時間以上である場合(S50:Yes)、制御部130は、第2搬送速度(本発明の第2搬送速度に相当)を算出する(S70)。ここで、第2搬送速度は、第1搬送速度よりも低速に設定された速度である。第2搬送速度は、残り時間及び第1搬送量に基づいて算出される。具体的には、第2搬送速度は、第1搬送量から残り時間を除算することによって算出される。ステップS70の処理も、上述した本発明の第1制御手段に相当する処理と同様に、本発明の第1制御手段に相当する。
ステップS70の後、制御部130は、記録用紙19を第2搬送速度で搬送させる。詳細には、ステップS80〜S130と処理が実行される。つまり、制御部130は、記録用紙19を第2搬送速度で搬送させつつ(S80)、画像データのRAM133への記憶処理、及び画像データの記録データへの変換処理も実行する。
そして、記録データへの変換処理が記録用紙19の第1搬送量の搬送よりも先に完了した場合(S90:Yes)、制御部130は、記録用紙19が第1搬送量を搬送されているか否かの判定を行う(S100)。記録用紙19が第1搬送量を搬送されている場合(S100:Yes)、画像記録処理が制御部130によって実行される(S140)。一方、記録用紙19が第1搬送量を搬送されていない場合(S100:No)、制御部130は、それまで第2搬送速度で搬送されていた記録用紙19を第2搬送速度よりも高速で搬送させる(S110)。つまり、記録用紙19は、第1搬送量までの残りの搬送量を、速度を上げて搬送される。本実施形態において、制御部130は、ステップS110において記録用紙19を第1搬送速度で搬送させる。なお、制御部130は、ステップS110において記録用紙19を、第1搬送速度よりも速い速度や、第2搬送速度よりも速く且つ第1搬送速度よりも遅い速度で、搬送させてもよい。
以上より、制御部130は、記録用紙19の第2搬送速度での搬送(低速搬送)の実行中であって(S80)、キャリッジ67の次の移動において記録される記録データへの変換が完了したときに(S90:Yes)、記録用紙19の第1搬送量分の搬送が完了していないことを条件として(S100:No)、低速搬送の実行を停止して、記録用紙19の第1搬送量のうちの未完了分の搬送を第1搬送速度で搬送させる。
一方、記録用紙19の第1搬送量の搬送が記録データへの変換処理よりも先に完了した場合(S90:No、S120:Yes)、記録データへの変換処理が完了するまで、記録用紙19は、第1搬送量の搬送完了位置において停止した状態を、維持される(S130:No)。記録データへの変換処理が完了すると(S130:Yes)、画像記録処理が制御部130によって実行される(S140)。以上より、制御部130は、搬送モータ59の駆動を制御して、間欠搬送の各搬送のうちステップS50における判定の対象となった搬送において搬送ローラ対54による記録用紙19の搬送速度を第1搬送速度よりも低速の第2搬送速度とする低速搬送(本発明の低速搬送に相当)を実行することによって、記録用紙19を第1搬送量搬送させる。ステップS80〜S130までの処理も、上述した本発明の第1制御手段に相当する処理と同様に、本発明の第1制御手段に相当する。
以上より、画像データの記録データへの変換、及び記録用紙19の第1搬送量の搬送のうち、一方が先に完了した場合、他方の完了まで画像記録処理(S140)を開始することができない。しかし、画像データの記録データへの変換、及び記録用紙19の第1搬送量の搬送が同時に完了した場合、直ぐに画像記録処理(S140)を開始することができる。つまり、図4のフローチャートで説明されている一連の処理が、効率よく実行可能である。そして、画像データの記録データへの変換、及び記録用紙19の第1搬送量の搬送を同時に完了させるためには、例えば、制御部130が、画像データの内容に基づいて、第1搬送速度を増減させればよい。
画像記録処理の後、制御部130は、記録用紙19に記録するために複合機1の外部からRAM133に記憶された画像データの全てを、記録用紙19に記録したか否かを判定する(S150)。
1枚分の画像データの記録用紙19への記録が完了していない場合(S150:No)、制御部130は、間欠搬送の2回目の搬送のために、再びステップS40以降の処理を実行する。ここで、間欠搬送の2回目以降におけるステップS40で算出される第1時間は、上述したように間欠搬送の各搬送におけるキャリッジ67の移動において記録用紙19に記録される容量の画像データのRAM133への記憶開始から記憶完了までの時間、または、RAM133に記憶された画像データのうち間欠搬送の各搬送におけるキャリッジ67の移動において記録されるデータの記録データへの変換開始から変換完了までの時間の一方または双方の合計である。また、間欠搬送の各搬送におけるステップS40で算出される残り時間は、ステップS140から間欠搬送の各搬送の開始前までの間に、制御部130によって実行される画像データのRAM133への上書き記憶処理、及び上書き記憶された画像データの記録データへの変換処理に要する時間を、上記の第1時間から減ずることによって算出される。
一方、全ての画像データの記録用紙19への記録が完了している場合(S150:Yes)、制御部130は、搬送ローラ47及び排紙ローラ49を駆動させる。これにより、記録用紙19を搬送向き15の下流側へ搬送され、排紙トレイ21に排出される(S160)。
以下、図9に基づいて、処理の全体の流れの一例が簡単に説明される。図9(A)は、記録用紙19の先端と記録ヘッド65のノズルとの前後方向12の位置が同じとなる位置である(S30)。この状態において、図9(C)の画像40に対応する画像データのRAM133への記憶及び図9(B)の画像40に対応する画像データの記録データへの変換が完了されているため、図9(B)に示されるように、キャリッジ67が矢印CR1に沿って往復移動される。これにより、記録用紙19に画像40(図9(B)においては記録用紙19の最上段に記録される4つの画像の上半分)が記録される。
次に、図9(C)に示されるように、記録用紙19が矢印P2だけ搬送向き15に搬送される。矢印P2の搬送において、上述した低速搬送または後述する変形例において説明される繰り返し搬送が実行される。記録用紙19の矢印P2の搬送後、図9(C)の画像40に対応する画像データの記録データへの変換が完了されているため、キャリッジ67が矢印CR3に沿って往復移動される。これにより、記録用紙19に画像40(図9(C)においては記録用紙19の最上段に記録される4つの画像の下半分)が記録される。
次に、図9(D)に示されるように、記録用紙19が矢印P4だけ搬送向き15に搬送される。矢印P4の搬送においても、低速搬送または繰り返し搬送が実行される。記録用紙19の矢印P4の搬送後、図9(F)の画像41に対応する画像データのRAM133への記憶及び図9(E)の画像41に対応する画像データの記録データへの変換が完了されているため、図9(E)に示されるように、キャリッジ67が矢印CR5に沿って往復移動される。これにより、記録用紙19に画像41(図9(E)においては記録用紙19の2段目に記録される4つの画像の上半分)が記録される。
次に、図9(F)に示されるように、記録用紙19が矢印P6だけ搬送向き15に搬送される。矢印P6の搬送においても、低速搬送または繰り返し搬送が実行される。記録用紙19の矢印P6の搬送後、図9(F)の画像41に対応する画像データの記録データへの変換が完了されているため、キャリッジ67が矢印CR7に沿って往復移動される。これにより、記録用紙19に画像41(図9(F)においては記録用紙19の2段目に記録される4つの画像の下半分)が記録される。
以下、記録用紙19に対する画像記録が完了するまで、上述と同様にして、記録用紙19の搬送と、キャリッジ67の移動及び画像記録とが交互に繰り返される。
なお、図9において、記録用紙19の搬送後に、画像データのRAM133への記憶及び画像データの記録データへの変換が完了していない場合、キャリッジ67は、当該記憶及び当該変換が完了するまでの間、一時的に待機する。つまり、記録用紙19を搬送させる搬送ローラ47が停止されているが、搬送ローラ47には電力が供給されている状態となる。しかしながら、上記待機の時間は極めて短い時間であるため、共振による異音の発生は防止される。或いは、共振による異音の発生は極僅かに抑えられる。
[実施形態の効果]
間欠搬送の各搬送において、記録用紙19の搬送開始から第2時間が経過すると、記録用紙19の搬送は完了する。一方、間欠搬送において、記録用紙19への画像の記録は、画像データがRAM133に記憶され、且つRAM133に記憶された画像データのうち記録対象のデータが記録データに変換されたことを条件として、実行される。上記条件が具備されるために必要な時間は、ステップS40において制御部130によって算出される第1時間である。ここで、RAM133への記憶や記録データへの変換は、記録用紙19の搬送及び停止にかかわらず、実行される。よって、間欠搬送の各搬送の開始前において、記録データの変換完了までに要する時間は、ステップS40において制御部130によって算出される残り時間である。つまり、記録用紙19が搬送を開始してから第2時間が経過したが、残り時間が経過していないとき、ローラ対54、55は、当該記録用紙19への画像記録の開始までの間、記録用紙19を搬送させることなく待機している。そして、このような状態である期間が長くなると、搬送ローラ47、排紙ローラ49への給電による共振によって生じる異音が大きくなるおそれがある。
そこで、本実施形態においては、制御部130は、ステップS50において、残り時間が第2時間以上であると判定されたことを条件として、低速搬送を実行する。低速搬送が実行された場合、間欠搬送の各搬送において、記録用紙19が搬送を開始してから第1搬送量を搬送されて停止するまでの時間を延ばすことができる。以上より、本実施形態においては、ローラ対54、55が記録用紙19への画像記録の開始を待って待機する時間を短くすることができる。換言すると、ローラ対54、55による記録用紙19の搬送が連続して停止される期間を短くすることができる。これにより、搬送モータ59の搬送ローラ47、排紙ローラ49への電力供給による異音が大きくなることが低減可能である。
また、本実施形態によれば、制御部130は、記録用紙19への記録データの記録が可能な状態となったことを条件として(S90:Yes)、低速搬送の実行を停止して、記録用紙19を第2搬送速度よりも高速で搬送させる(S110)。つまり、それまで意識的に多くの時間をかけて実行されていた記録用紙19の搬送が、多くの時間をかけない搬送とされる。これにより、記録用紙19への画像記録を早く開始することができる。
また、本実施形態によれば、第2搬送速度が残り時間及び第1搬送量に基づいて算出される。これにより、間欠搬送において記録用紙19の第1搬送量の搬送に要する第2時間が、残り時間と略等しくなる。その結果、ローラ対54、55が記録用紙19への画像記録の開始を待って待機する時間をゼロに近づけることができる。
[実施例の変形例1]
上述の実施形態においては、残り時間が第2時間以上である場合(S50:Yes)、記録用紙19が低速搬送される場合が説明された。しかし、残り時間が第2時間以上である場合(S50:Yes)、記録用紙19は、繰り返し搬送(本発明の繰り返し搬送に相当)によって搬送されてもよい。ここで、繰り返し搬送は、記録用紙19に対して、第1搬送量よりも小さい第2搬送量(本発明の第2搬送量に相当)の搬送及び短時間の停止を交互に繰り返すことによって、記録用紙19を第1搬送量搬送させる搬送である。以下、記録用紙19が繰り返し搬送される場合の記録制御の処理手順が、図6のフローチャートに基づいて説明される。なお、以下の説明において、上述の実施形態と同じ処理が実行されるステップについては、図4及び図5と同じステップ番号が付され、その詳細な説明が省略される。
ステップS50において、残り時間が第2時間以上である場合(S50:Yes)、制御部130は、繰り返し回数Iを算出する(S310)。ここで、繰り返し回数Iは、繰り返し搬送において記録用紙19が第2搬送量で搬送される回数である。繰り返し回数Iは、残り時間及び速度情報(本発明の速度情報の一例)に基づいて算出される。速度情報は、搬送ローラ対54及び排出ローラ対55が記録用紙19を搬送向き15へ第1搬送量だけ搬送させるときの、搬送開始から搬送終了までの予め定められた目標速度情報である。つまり、速度情報は、図8に示されるように、搬送モータ59への駆動命令の出力からの経過時間tに対する各ローラ対54、55による記録用紙19の搬送速度Vに関する情報であり、当該経過時間tと当該速度Vとの関係を満たすデータの集合である。速度情報は、例えば、ROM132またはEEPROM134に記憶されている。
図8(A)は、通常搬送を実行した場合における速度情報である。図8(A)におけるハッチング部分の面積A1が、通常搬送において記録用紙19が搬送される距離、つまり第1搬送量である。制御部130は、記録用紙19が第1搬送量だけ搬送されるように、図8(A)の速度情報を分割する。速度情報が分割された一例が図8(B)に示される。図8(B)は、繰り返し回数Iが5回の場合における速度情報である。図8(B)における各ハッチング部分の面積A2〜A6の各々が、繰り返し搬送の各搬送において記録用紙19が搬送される距離、つまり第2搬送量である。また、図8(B)における各ハッチング部分の横軸の長さt2〜t6が、繰り返し搬送の各搬送において記録用紙19が搬送される時間である。そして、横軸の長さt2〜t6の合計が残り時間である。つまり、制御部130は、分割された速度情報の各ハッチング部分の横軸の長さの合計が残り時間と一致するように、図8(A)に示される速度情報を図8(B)に示されるように分割する。これにより、分割しない場合における第1搬送量の搬送に要する時間t1を、時間t2〜t6の合計まで長くすることができる。
次に、制御部130は、第1搬送量を、ステップS310で算出した繰り返し回数Iで除算することによって、第2搬送量及び余り搬送量を算出する(S320)。つまり、第2搬送量は、第1搬送量を繰り返し回数Iで除算した場合の商であり、余り搬送量は、第1搬送量を繰り返し回数Iで除算した場合の余りである。例えば、図8(B)の場合、ハッチング部分の面積A2〜A6が、繰り返し搬送の各搬送において記録用紙19が搬送される距離、つまり第2搬送量である。そして、第2搬送量である面積A2〜A6の合計が面積A1、つまり第1搬送量である。なお、図8(B)の場合、第1搬送量を繰り返し回数Iで除算した場合の余りはゼロである。
次に、制御部130は、繰り返し搬送を実行する(S330〜380)。初めに、制御部130は、繰り返し搬送における搬送回数のカウントするための変数CNTを0に設定する(S330)。次に、制御部130は、繰り返し回数Iが変数CNTよりも大きいか否かを判定する(S340)。繰り返し回数Iが変数CNT以下の場合(S340:No)、画像記録処理が制御部130によって実行される(S140)。一方、繰り返し回数Iが変数CNTよりも大きく(S340:Yes)、且つ記録データへの変換が完了していない場合(S90:No)、ステップS350が実行される。ステップS350において、制御部130は、変数CNTが0の場合(S350:Yes)、記録用紙19を第2搬送量及び余り搬送量の合計だけ搬送させ(S360)、変数CNTが0でない場合(S350:No)、記録用紙19を第2搬送量だけ搬送させる(S370)。つまり、制御部130は、繰り返し搬送における最初の搬送時に、記録用紙19を、第2搬送量に加えて余り搬送量だけ搬送させ、繰り返し搬送における2回目以降の搬送時に、記録用紙19を、第2搬送量だけ搬送させる。なお、余り搬送量の搬送は、繰り返し搬送における最初の搬送時に限らない。その後、制御部130は、変数CNTをインクリメントする。制御部130は、ステップS350〜S380の処理を、ステップS340において繰り返し回数Iが変数CNT未満となるまで繰り返す。
変形例1においては、制御部130は、ステップS50において、残り時間が第2時間以上であると判定されたことを条件として、繰り返し搬送を実行する。繰り返し搬送が実行された場合、間欠搬送の各搬送において、記録用紙19は搬送と停止を繰り返す。この場合、当該停止の各々の時間は極短い時間である。また、繰り返し搬送が実行された場合、間欠搬送の各搬送において、記録用紙19が搬送を開始してから第1搬送量を搬送されて停止するまでの時間を延ばすことができる。以上より、本実施形態においては、ローラ対54、55が記録用紙19への画像記録の開始を待って待機する時間を短くすることができる。換言すると、ローラ対54、55による記録用紙19の搬送が連続して停止される期間を短くすることができる。これにより、搬送モータ59の搬送ローラ47、排紙ローラ49への電力供給による異音が大きくなることが低減可能である。
また、変形例1によれば、制御部130は、記録用紙19への記録データの記録が可能な状態となったことを条件として(S90:Yes)、繰り返し搬送の実行を停止して、記録用紙19を第2搬送速度よりも高速(変形例1においては第1搬送速度)で搬送させる(S110)。つまり、それまで意識的に多くの時間をかけて実行されていた記録用紙19の搬送が、多くの時間をかけない搬送とされる。これにより、記録用紙19への画像記録を早く開始することができる。
また、変形例1によれば、繰り返し回数が残り時間及び速度情報に基づいて算出される。これにより、間欠搬送において記録用紙19の第1搬送量の搬送に要する第2時間が、残り時間と略等しくなる。その結果、ローラ対54、55が記録用紙19への画像記録の開始を待って待機する時間をゼロに近づけることができる。
[実施例の変形例2]
上述の実施形態においては、残り時間が第2時間以上である場合(S50:Yes)、記録用紙19が低速搬送される場合が説明され、変形例1においては、残り時間が第2時間以上である場合(S50:Yes)、記録用紙19が繰り返し搬送される場合が説明された。しかし、低速搬送及び繰り返し搬送が組み合わされても実行されてもよい。例えば、記録用紙19は、第2搬送速度での第2搬送量の搬送及び短時間の停止が繰り返されることによって、搬送されてもよい。
[実施例の変形例3]
制御部130は、記録用紙19への記録がインデックス記録であるか否かによって、繰り返し搬送を実行するか否かを決定してもよい。ここで、インデックス記録は、小型メモリカードなどに記憶された複数の画像データを縮小して、多数の縮小画像を集約させて、少なくとも左右方向13に並んだ状態の一覧形式で記録用紙19に記録することである。このインデックス記録により一覧形式で多数の縮小画像が記録用紙19にサムネイル形式で記録される。以下、変形例3の場合の記録制御の処理手順が、図7のフローチャートに基づいて説明される。なお、以下の説明において、上述の実施形態及び変形例1と同じ処理が実行されるステップについては、図4〜図6と同じステップ番号が付され、その詳細な説明が省略される。
外部機器や操作パネル9から、複合機1に画像記録指示が入力されると(S10)、制御部130は、当該画像記録指示がインデックス記録による画像記録を指示したものであるか否かを判定する(S410)。当該画像記録指示がインデックス記録による画像記録を指示したものである場合(S410:Yes)、そのことを示すフラグであるインデックスフラグをONにセットする(S420)。その後、記録用紙19は、給紙ローラ25及び搬送ローラ対54によって、給紙トレイ20から記録ヘッド65の直下に向かって搬送される(S20、S30)。
記録用紙19が画像記録の開始位置に搬送されると、制御部130は、インデックスフラグがONであるか否かを判定する(S430)。インデックスフラグがOFFである場合(S430:No)、制御部130は、通常搬送を実行する(S60、S210〜S250)。一方、インデックスフラグがONである場合(S430:Yes)、つまりステップS10における画像記録指示がインデックス記録による画像記録を指示したものである場合、制御部130は、変形例1と同様の繰り返し搬送を実行する(S320〜S380)。
但し、変形例2において、繰り返し回数Iは、記録用紙19に記録される画像の解像度(本発明の解像度に相当)に基づいて設定される。ここで、解像度は、ユーザが予め操作パネル9を操作することによって設定される。本実施形態において、ユーザは、操作パネル9を操作することによって、液晶表示部11に表示されている3つの解像度(600dpi、1200dpi、2400dpi)から1つの解像度を選択する。変形例3において、制御部130は、解像度が600dpiの場合に繰り返し回数Iを8に設定し、解像度が1200dpiの場合に繰り返し回数Iを6に設定し、解像度が2400dpiの場合に繰り返し回数Iを2に設定する。
なお、本実施形態において、解像度が大きい程、繰り返し回数が小さく設定されている理由は、以下のとおりである。解像度が大きい程、記録用紙19への画像記録のために必要なキャリッジ67の移動回数が増える。そして、制御部130は、キャリッジ67が移動している間に、画像データのRAM133への記憶や、画像データの記録データへの変換を実行できる。つまり、解像度が大きい程、画像データのRAM133への記憶や、画像データの記録データへの変換を実行するための時間を多く確保できるのである。そのため、解像度が大きい程、繰り返し回数が小さくてもよいのである。
その後、設定された繰り返し回数Iに基づいて、変形例1と同様の繰り返し搬送が実行される(S320〜S380)。以上より、制御部130は、画像記録がインデックス記録であることを条件として(S410:Yes)、搬送モータ59の駆動を制御して、通常搬送(S60)による搬送の第1搬送量よりも小さい第2搬送量の搬送及び短時間の停止を繰り返し回数(本発明の所定回数に相当)だけ交互に繰り返すことによって、記録用紙19を第1搬送量だけ搬送させる。以上の処理が、本発明の第3判定手段に相当する。
通常、画像データが記録用紙19に記録される場合、1つの画像データがRAM133に記憶される。これに対して、画像データがインデックス記録によって記録用紙19に記録される場合、複数の画像データがRAM133に記憶される必要がある。つまり、画像データがRAM133に記録されるために必要な時間が長くなる。すなわち、画像データがインデックス記録によって記録用紙19に記録される場合、ローラ対54、55が記録用紙19への画像記録の開始を待って待機する時間が長くなる。
そこで、変形例3においては、制御部130は、画像データがインデックス記録によって記録用紙19に記録されることを条件として(S410:Yes)、通常の搬送量(第1搬送量)よりも小さい第2搬送量の搬送及び短時間の停止を繰り返し実行することによって、記録用紙19を第1搬送量だけ搬送させる。この場合、当該停止の各々の時間は極短い時間である。また、上記のように記録用紙19を搬送させることによって、間欠搬送の各搬送において、記録用紙19が搬送を開始してから第1搬送量を搬送されて停止するまでの時間を延ばすことができる。以上より、変形例3においては、ローラ対54、55が記録用紙19への画像記録の開始を待って待機する時間を短くすることができる。換言すると、ローラ対54、55による記録用紙19の搬送が連続して停止される期間を短くすることができる。
また、通常、ローラ対54、55による記録用紙19の搬送速度は、記録用紙19に記録される画像の解像度が大きいほど遅く設定される。よって、変形例3のように、解像度に合わせて繰り返し回数が設定されることによって、記録用紙19を第1搬送量だけ搬送させるために要する時間を適切に設定することができる。