以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(図2の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている面を前面23として前後方向8が定義され、複合機10を前方から視て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8、及び左右方向9は互いに直交している。
[システム5の概要]
図1に示されるように、システム5は、複合機10(印刷装置の一例)と、パーソナルコンピュータなどである情報処理装置150とを備える。複合機10及び情報処理装置150は、インターネットなどの通信回線6によって接続されている。複合機10及び情報処理装置150は、TCP/IPなどの通信プロトコルを用いて相互に通信可能である。情報処理装置150は、通信回線6を介して、複合機10へ印刷データなどの情報を送信可能である。
[複合機10の全体構造]
図2に示されるように、複合機10は、概ね直方体形状である。複合機10の下部にプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。複合機10は、プリント機能として、インクジェット方式で用紙12(図3参照、シートの一例)の片面に印刷(画像記録)する機能を有している。なお、複合機10は、用紙12の両面に印刷するものであってもよい。プリンタ部11の上部には、操作部17が配置されている。操作部17は、印刷の指示や各種設定のために操作されるボタン171や、各種情報が表示される液晶ディスプレイ172などによって構成されている。
図3に示されるように、プリンタ部11は、給送トレイ20、給送部16、外ガイド部材18、内ガイド部材19、プラテン42(支持部の一例)、記録部24、搬送ローラ対59(搬送部の一例)、排出ローラ対44、ロータリーエンコーダ(不図示)、コントローラ130(図1参照、第1コントローラの一例)、メモリ140(図1参照)、及び通信インタフェース136(図1参照、以下、通信I/F136と記載)を備えている。通信I/F136は、第1通信インタフェースの一例である。
[給送トレイ20]
図2に示されるように、プリンタ部11の正面には、開口13が形成されている。給送トレイ20が、前後方向8へ移動することによって、開口13を介してプリンタ部11に対して挿入及び抜去可能である。給送トレイ20は、上方が開放された箱形状の部材であり、用紙12を収容する。図3に示されるように、給送トレイ20の底板22に、用紙12が重ねられた状態で支持される。給送トレイ20の前部の上方には、排出トレイ21が配置されている。排出トレイ21の上面には、記録部24によって印刷されて排出された用紙12が支持される。
[給送部16]
図3に示されるように、給送部16は、記録部24の下方且つ給送トレイ20の底板22の上方に配置されている。給送部16は、給送ローラ25、給送アーム26、駆動伝達機構27、及び軸28を備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端部で回転可能に支持されている。給送アーム26は、基端部に設けられた軸28を中心として、矢印29の方向へ回動する。これにより、給送ローラ25は、給送トレイ20または給送トレイ20に支持された用紙12に対して、当接及び離間が可能である。
給送ローラ25は、複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、給送用モータ102(図1参照)の駆動力が伝達されて回転する。これにより、給送トレイ20の底板22に支持された用紙12のうち、給送ローラ25と当接している最上の用紙12が、搬送路65へ給送される。なお、駆動伝達機構27は、複数のギヤが噛合されている形態に限らず、例えば軸28と給送ローラ25の軸とに架け渡されたベルトであってもよい。
[搬送路65]
図3に示されるように、給送トレイ20の後端部から搬送路65が延出されている。搬送路65は、湾曲部33と直線部34とを備える。湾曲部33は、上方へ向かいつつ後方から前方へUターンするように延びている。直線部34は、概ね前後方向8に沿って延びている。
湾曲部33は、所定間隔を隔てて互いに対向する外ガイド部材18と内ガイド部材19とによって形成されている。外ガイド部材18及び内ガイド部材19は、図3における紙面と直交する方向である左右方向9へ延設されている。直線部34は、記録部24が配置されている位置では所定間隔を隔てて互いに対向する記録部24とプラテン42とによって形成されている。
給送トレイ20に支持された用紙12は、給送ローラ25によって湾曲部33を搬送されて、後述する搬送ローラ対59に到達する。搬送ローラ対59に挟持された用紙12は、直線部34を記録部24へ向けて前方へ搬送される。記録部24の直下に到達した用紙12は、記録部24により印刷される。印刷された用紙12は、直線部34を前方へ搬送されて排出トレイ21に排出される。以上より、用紙12は、図3に一点鎖線の矢印で示される搬送向き15に沿って搬送される。
[プラテン42]
図3に示されるように、プラテン42は、搬送路65の直線部34に配置されている。本実施形態において、プラテン42は、黒色の板状部材である。プラテン42は、記録部24の下方に配置されており、上下方向7において記録部24に対向している。プラテン42は、搬送路65を搬送される用紙12を下方から支持する。
[記録部24]
図3に示されるように、記録部24は、直線部34の上方に配置されている。記録部24は、キャリッジ40とヘッド38と光学センサ120(図4参照)とを備えている。
キャリッジ40は、前後方向8に間隔を空けて配置された2つのガイドレール56、57によって搬送向き15と直交する左右方向9に沿って移動可能に支持されている。つまり、キャリッジ40は、左向き(第2向きの一例)及び右向き(第1向きの一例)に移動可能である。キャリッジ40は、キャリッジ40の下面67及びヘッド38の下面68がプラテン42と上下方向7に対向するように左右方向9に移動する。なお、キャリッジ40の移動方向は、左右方向9に限らず、搬送向き15と交差する方向であればよい。
ガイドレール56は、ヘッド38よりも搬送向き15の上流に配置されている。ガイドレール57は、ヘッド38よりも搬送向き15の下流に配置されている。ガイドレール56、57は、左右方向9において搬送路65の直線部34の外方に配置された一対のサイドフレーム(不図示)によって支持されている。キャリッジ40は、キャリッジ駆動用モータ103(図1参照)から駆動力を付与されることにより移動する。
ガイドレール56またはガイドレール57には、左右方向9に延びたエンコーダストリップ(不図示)が配置されている。エンコーダストリップには、光を透過させる透光部と光を遮断する遮光部とが、左右方向9に等ピッチで交互に配置されたパターンが記されている。キャリッジ40におけるエンコーダストリップに対向する位置には、光学センサ35(図1参照)が設けられている。光学センサ35によって検知された電気信号は、コントローラ130(図1参照)に出力される。
図3に示されるように、ヘッド38は、キャリッジ40に搭載されている。ヘッド38は、複数のサブタンク(不図示)と、複数のノズル39と、インク流路(不図示)と、圧電素子45(図1参照)とを備えている。
複数のサブタンクには、インクカートリッジ(不図示)やインクタンク(不図示)などからインクが供給される。図4に示されるように、複数のノズル39は、プラテン42及びプラテン42に支持される用紙12と対向可能なように、ヘッド38の下面68に開口されている。つまり、下面68には、複数の開口(ノズル39)が形成されている。下面68は、前後方向8及び左右方向9に拡がる面である。下面68は、キャリッジ40の下面67に形成された開口を通じて下方へ露出している。インク流路は、複数のサブタンクと複数のノズル39とを繋ぐ。図1に示される圧電素子45は、インク流路の一部を変形させることでノズル39からインク滴を吐出させる。圧電素子45は、コントローラ130(図1参照)により給電されることで動作する。
サブタンクは4つ設けられている。各サブタンクには、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のインクの一つが貯留される。複数のノズル39は、ノズル群69C、69M、69Y、69Bを含んでいる。ノズル群69Cはシアンのサブタンクと繋がっており、ノズル群69Mはマゼンタのサブタンクと繋がっており、ノズル群69Yはイエローのサブタンクと繋がっており、ノズル群69Bはブラックのサブタンクと繋がっている。各ノズル群69C、69M、69Y、69Bは、少なくとも1つのノズル列で構成されている。ノズル列は、搬送向き15に沿って並んで配置された複数のノズルよりなる。ノズル列が複数ある場合、各ノズル列は左右方向9に沿って並んで配置されている。なお、図4では、各ノズル群69C、69M、69Y、69Bは、3つのノズル列で構成されている。
つまり、複数のノズル39は、第1色のインクを吐出可能な第1ノズル群と、第1ノズル群より右に位置しており、第2色のインクを吐出可能な第2ノズル群と、を備えている。例えば、ノズル群69Bが第1ノズル群に相当する場合、ブラックが第1色に相当し、
ノズル群69C、69M、69Yが第2ノズル群に相当し、シアン、マゼンタ、イエローが第2色に相当する。また、例えば、ノズル群69Mが第1ノズル群に相当する場合、マゼンタが第1色に相当し、ノズル群69Yが第2ノズル群に相当し、イエローが第2色に相当する。
ノズル群69Cを構成する各ノズルからは、シアンのインク滴が吐出される。ノズル群69Mを構成する各ノズルからは、マゼンタのインク滴が吐出される。ノズル群69Yを構成する各ノズルからは、イエローのインク滴が吐出される。ノズル群69Bを構成する各ノズルからは、ブラックのインク滴が吐出される。つまり、複数のノズル39は、4種類のインク滴を吐出するものである。
なお、サブタンクの個数は4つに限らない。つまり、サブタンクに貯留されるインクは4色に限らず、複数のノズル39に含まれるノズル群は4つに限らず、複数のノズル39が吐出するインク滴は4色に限らない。また、ノズル群69C、69M、69Y、69Bの左右方向9の配列は、図4に示される配列に限らない。例えば、ノズル群69C、69M、69Y、69Bのうち、ノズル群69Bが最も右に形成されていてもよい。
光学センサ120は、搬送路65を搬送される用紙12を検知するためのものである。光学センサ120は、キャリッジ40に搭載されている。光学センサ120は、プラテン42及びプラテン42に支持される用紙12と対向可能なように、キャリッジ40の下面67に形成された開口を通じて下方へ露出している。本実施形態において、光学センサ120は、複数のノズル39より左に搭載されている。なお、光学センサ120は、複数のノズル39より右に搭載されていてもよい。
光学センサ120は、発光ダイオードなどからなる発光部(不図示)と、光学式センサなどからなる受光部(不図示)とを備えている。コントローラ130に制御されることによって、発光部は、光学センサ120がプラテン42と上下に対向している状態において、下方へ向けて光を照射する。照射された光は、記録部24の下方に位置するプラテン42またはプラテン42に支持された用紙12において反射する。反射された光は受光部で受光される。光学センサ120は、受光部における反射光の受光量に応じた電気信号を、コントローラ130へ出力する。例えば、光学センサ120は、受光量が大きい程、レベルの高い電気信号をコントローラ130へ出力する。
上述したように、本実施形態において、プラテン42は、黒色の部材である。一方、用紙12は、白色などの黒色よりも明るい色である。そのため、発光部から照射された光がプラテン42に当たって反射した場合、受光部における反射光の受光量は少なくなる。このとき、光学センサ120はローレベル(予め設定された閾値より小さいレベル)の電気信号をコントローラ130へ出力する。一方、発光部から照射された光が用紙12に当たって反射した場合、受光部における反射光の受光量は多くなる。このとき、光学センサ120はハイレベル(予め設定された閾値より大きいレベル)の電気信号をコントローラ130へ出力する。
なお、光学センサ120は、上記とは逆に、受光量が大きい程、レベルの低い電気信号をコントローラ130へ出力してもよい。また、光学センサ120は、ローレベルの電気信号をコントローラ130へ出力する代わりに、電気信号をコントローラ130へ出力しなくてもよい。また、光学センサ120は、上述した反射式のものに限らず、例えば透過式であってもよい。
記録部24は、コントローラ130(図1参照)によって制御される。キャリッジ40が左右方向9へ移動しているときに、ヘッド38は、ノズル39からインク滴をプラテン42へ向けて、詳細にはプラテン42に支持されている用紙12へ向けて吐出する。これにより、直線部34を搬送向き15へ搬送されてプラテン42に支持されている用紙12に印刷される。
[搬送ローラ対59及び排出ローラ対44]
図3に示されるように、直線部34におけるヘッド38及びプラテン42よりも搬送向き15の上流には、搬送ローラ対59が配置されている。直線部34におけるヘッド38及びプラテン42よりも搬送向き15の下流には、排出ローラ対44が配置されている。
搬送ローラ対59は、搬送ローラ60と、搬送ローラ60の下方に搬送ローラ60と対向して配置されたピンチローラ61とを備えている。ピンチローラ61は、コイルバネなどの弾性部材(不図示)によって搬送ローラ60に押圧されている。搬送ローラ対59は、用紙12を挟持可能である。
排出ローラ対44は、排出ローラ62と、排出ローラ62の上方に排出ローラ62と対向して配置された拍車ローラ63とを備えている。拍車ローラ63は、コイルバネなどの弾性部材(不図示)によって排出ローラ62へ向けて押圧されている。排出ローラ対44は、用紙12を挟持可能である。
搬送ローラ60及び排出ローラ62は、搬送用モータ101(図1参照)から駆動力を付与されて回転する。搬送ローラ対59に用紙12が挟持されている状態で搬送ローラ60が回転すると、当該用紙12は、搬送ローラ対59によって搬送向き15へ搬送され、プラテン42上に搬送される。排出ローラ対44に用紙12が挟持されている状態で排出ローラ62が回転すると、当該用紙12は、排出ローラ対44によって搬送向き15へ搬送され、排出トレイ21上に排出される。なお、搬送用モータ101と給送用モータ102として、共通のモータが用いられてもよい。この場合、当該共通のモータから各ローラへの駆動伝達経路が切替可能に構成されている。
なお、用紙12を搬送させるものは、上述したようなローラ対に限らない。例えば、搬送ローラ対59及び排出ローラ対44の代わりに、搬送ベルトが配置されていてもよい。
[ロータリーエンコーダ]
搬送用モータ101には、搬送用モータ101の回転量を検出するロータリーエンコーダ(不図示)が設けられている。ロータリーエンコーダは、搬送用モータ101の軸に設けられて搬送用モータ101と共に回転するエンコーダディスク(不図示)と光学センサ75(図1参照)とからなる。エンコーダディスクには、光が透過される透過部と光が透過されない非透過部とが円周方向に等ピッチで交互に配置されたパターンが形成されている。エンコーダディスクが回転すると、光学センサ75によって透過部と非透過部とが検出される毎にパルス信号が生成される。生成されたパルス信号は、コントローラ130(図1参照)に出力される。コントローラ130は、当該パルス信号に基づいて、搬送用モータ101の回転量を算出する。なお、ロータリーエンコーダは、搬送用モータ101以外、例えば給送用モータ102や搬送ローラ60に設けられていてもよい。
[コントローラ130、メモリ140、及び通信I/F136]
以下、図1が参照されて、コントローラ130及びメモリ140の構成が説明される。コントローラ130が後述するフローチャートにしたがった処理を行うことによって、本発明が実現される。コントローラ130は、複合機10の全体動作を制御するものである。コントローラ130は、CPU131及びASIC135を備えている。メモリ140は、ROM132、RAM133、及びEEPROM134を備えている。CPU131、ASIC135、ROM132、RAM133、EEPROM134、及び通信I/F136は、内部バス137によって接続されている。
ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。つまり、CPU131が上記のプログラムを実行することによって、本発明が実現される。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
ASIC135には、搬送用モータ101、給送用モータ102、及びキャリッジ駆動用モータ103が接続されている。ASIC135には、各モータを制御する駆動回路が組み込まれている。CPU131は、各モータを回転させるための駆動信号を各モータに対応する駆動回路に出力する。駆動回路は、CPU131から取得した駆動信号に応じた駆動電流を対応するモータへ出力する。これにより、対応するモータが回転する。つまり、コントローラ130は、給送用モータ102を制御して、給送部16に用紙12を給送させる。また、コントローラ130は、搬送用モータ101を制御して、搬送ローラ対59及び排出ローラ対44に用紙12を搬送させる。また、コントローラ130は、キャリッジ駆動用モータ103を制御して、キャリッジ40を移動させる。
また、ASIC135には、光学センサ120が接続されている。コントローラ130は、電気信号を、ASIC135を通じて光学センサ120の発光部へ出力する。電気信号を受け取った発光部は、光を下方へ向けて照射する。光学センサ120の受光部は、発光部から照射された光のプラテン42または用紙12における反射光を受光する。光学センサ120は、受光部で受光された反射光の受光量に応じたレベルの電気信号をコントローラ130へ出力する。コントローラ130は、光学センサ120の出力結果に基づいて(本実施形態では、光学センサ120から取得した電気信号がハイレベルであるかローレベルであるかに基づいて)、反射光の受光量を認識する。本実施形態において、コントローラ130は、光学センサ120からハイレベルの電気信号を取得した場合に、プラテン42に用紙12が支持されていると判断し、光学センサ120からローレベルの電気信号を取得した場合に、プラテン42に用紙12が支持されていないと判断する。
また、ASIC135には、ロータリーエンコーダの光学センサ75が接続されている。コントローラ130は、光学センサ75から受け取った電気信号に基づいて、搬送用モータ101の回転量を算出する。
また、ASIC135には、エンコーダストリップの光学センサ35が接続されている。コントローラ130は、光学センサ35から受け取った電気信号に基づいて、キャリッジ40の位置を認識する。
また、ASIC135には、圧電素子45が接続されている。圧電素子45は、不図示のドライブ回路を介してコントローラ130により給電されることで動作する。コントローラ130は、圧電素子45への給電を制御し、上述した各ノズル群69C、69M、69Y、69Bから選択的にインク滴を吐出させる。
コントローラ130は、用紙12に印刷する際、搬送用モータ101を制御することによって、搬送ローラ対59及び排出ローラ対44に所定搬送量の用紙12の搬送及び停止を交互に繰り返す間欠搬送処理を実行させる。なお、用紙12の搬送量は、例えば、搬送ローラ60の回転量を上述したロータリーエンコーダでカウントすることによって認識される。
コントローラ130は、間欠搬送処理において用紙12が停止している間に、印刷パスを実行する。印刷パスは、キャリッジ40を左右方向9に沿って移動させながら、圧電素子45への給電を制御して、ノズル39からプラテン42へ向けてインク滴を吐出させる処理である。これにより、用紙12に対して1回の印刷パス分の印刷が実行される。以下において、キャリッジ40が右向きに移動しながら実行される印刷パスが第1印刷パスと示され、キャリッジ40が左向きに移動しながら実行される印刷パスが第2印刷パスと示される。
間欠搬送処理と1回の印刷パス分の印刷とが交互に繰り返し実行されることによって、用紙12の印刷可能な全領域に、印刷することが可能である。つまり、コントローラ130は、複数の印刷パスで1枚の用紙12に印刷させる。
なお、コントローラ130は、上記に限らず、CPU131のみが各種処理を行うものであってもよいし、ASIC135のみが各種処理を行うものであってもよいし、CPU131とASIC135とが協働して各種処理を行うものであってもよい。CPU131が各種処理を実行する場合、CPU131はROM132に格納されたプログラムを実行する。ASIC135が各種処理を実行する場合、ASIC135には各種処理に対応する集積回路が組み込まれている。また、コントローラ130は、1つのCPU131が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のCPU131が処理を分担して行うものであってもよい。また、コントローラ130は、1つのASIC135が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のASIC135が処理を分担して行うものであってもよい。
通信I/F136は、公知の回路などで構成されている。通信I/F136は、通信回線6を通じて、情報処理装置150が送信した印刷データなどの情報を受信し、コントローラ130へ送る。つまり、コントローラ130は、情報処理装置150が送信した印刷データなどの情報を通信I/F136を通じて受信する。また、通信I/F136は、通信回線6を通じて、情報処理装置150以外の装置が送信した情報を受信可能であってもよいし、情報処理装置150などへ情報を送信可能であってもよい。
[情報処理装置150]
図1に示されるように、情報処理装置150は、コントローラ151(第2コントローラの一例)と、メモリ152と、通信インタフェース153(以下、通信I/F153と記載)とを備える。通信I/F153は、第2通信インタフェースの一例である。コントローラ151、メモリ152、及び通信I/F153は、内部バス154によって接続されている
コントローラ151は、プログラムを実行するCPUを備えている。メモリ152は、データやプログラムを記憶するハードディスク、RAM、ROM、EEPROMなどで構成されている。
通信I/F154は、公知の回路などで構成されている。通信I/F154は、コントローラ151から印刷データなどの情報を受け取り、当該情報を通信回線6を通じて複合機10へ送信する。つまり、コントローラ151は、印刷データなどの情報を通信I/F154を通じて送信する。また、通信I/F154は、通信回線6を通じて、複合機10以外の装置へ情報を送信可能であってもよいし、複合機10などから情報を受信可能であってもよい。
コントローラ151は、ユーザによって指定された画像データを変換して印刷データを生成する変換処理を実行する。
画像データは公知の種々の形式が採用可能である。本実施形態において、画像データはビットマップデータである。画像データの各画素の画素値は、0から255までの256階調のR(赤)、G(緑)、B(青)の色値(階調値)で表されている。なお、ユーザによって指定された画像データの形式がビットマップ以外の形式(例えば、EMF(Enhanced Meta File)形式)である場合、コントローラ151は、当該形式をビットマップ形式に変換し、変換したビットマップ形式のデータを変換して印刷データを生成する。
メモリ152(本実施形態では、EEPROMだが、ハードディスクやROMでもよい。)には、移動向き情報が記憶されている。移動向き情報は、画像データの画素を構成する色値と印刷パス時のキャリッジ40の移動向きとが対応付けられたテーブルである。移動向き情報の一例が、図5に示されている。図5に示される移動向き情報は、R(赤)、G(緑)、B(青)の色値の組み合わせと、各組み合わせに対するキャリッジ40の移動向きMDとで構成されている。移動向きMDは、「0」、「1」、「-1」のいずれかで表される。「1」の値は、キャリッジ40の好ましい移動向きが右向きであることを示している。「-1」の値は、キャリッジ40の好ましい移動向きが左向きであることを示している。「0」の値は、キャリッジ40の移動向きが左右どちらも好ましいことを示している。
色値の組み合わせに対する移動向きMDの値は、キャリッジ40が左向きへ移動しながら印刷された結果と、キャリッジ40が右向きへ移動しながら印刷された結果のそれぞれを測色することによって決定される。キャリッジ40が左向きへ移動しながら印刷する場合には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの順序でインク滴が用紙12に着弾するのに対して、キャリッジ40が右向きへ移動しながら印刷する場合には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順序でインク滴が用紙12に着弾する。そのため、同じ画像を印刷する場合であっても、キャリッジ40の移動向きによって、色が微妙に異なる場合があったり、表現できない色があったりする。よって、上記の測色を、様々な条件(例えば異なる画像や異なるインク量など)で印刷された結果に対して行うことによって、画素の組み合わせに対するキャリッジ40の好ましい移動向きMDが決定される。この測色によって決定された移動向きMDが、移動向き情報として記憶される。
以下、コントローラ151による変換処理が説明される。コントローラ151は、ユーザによって用紙12への印刷を指定された画像データ(本実施形態ではRGBの色データ)のうち、用紙12に対する最初の印刷パスで印刷される画像データである対象データを特定する。
次に、コントローラ151は、以下に詳述するようにして、対象データの印刷時におけるキャリッジ40の移動向きを決定する。
コントローラ151は、移動向き情報を参照して、対象データの各画素について移動向きMDを求める。コントローラ151は、対象データの全ての画素の移動向きMDを加算する。コントローラ151は、加算結果が所定の閾値以上である場合、用紙12に対する最初の印刷パスにおけるキャリッジ40の移動向きを右向きに決定する。一方、コントローラ151は、加算結果が所定の閾値未満である場合、用紙12に対する最初の印刷パスにおけるキャリッジ40の移動向きを左向きに決定する。
なお、加算結果が所定の閾値未満である場合、用紙12に対する最初の印刷パスにおけるキャリッジ40の移動向きは、必ずしも左向きである必要はなく、右向きであってもよい。つまり、加算結果が所定の閾値以上の場合には、キャリッジ40の移動向きは右向きに固定されるが、加算結果が所定の閾値未満の場合には、キャリッジ40の移動向きは任意である。なお、上記とは逆に、加算結果が所定の閾値未満の場合に、キャリッジ40の移動向きは左向きに固定され、加算結果が所定の閾値以上の場合に、キャリッジ40の移動向きが任意であってもよい。
次に、コントローラ151は、対象データを、印刷を実行可能なBMCY(B(ブラック)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Y(イエロー))の色データに変換する。
次に、コントローラ151は、変換されたBMCYの色データに、決定されたキャリッジ40の移動向きを示す情報(印刷パス情報の一例)を対応付けしたデータを印刷データとする。つまり、コントローラ151は、キャリッジ40の移動向きを右向きに決定した場合、用紙12に対する最初の印刷パスが第1印刷パスであるとの情報が含まれる印刷データを生成し、キャリッジ40の移動向きを左向きに決定した場合、用紙12に対する最初の印刷パスが第2印刷パスであるとの情報が含まれる印刷データを生成する。
以後、コントローラ151は、用紙12に対する2回目以降の印刷パスで印刷される画像データについても、上記と同様にして印刷データを生成していく。本実施形態において、コントローラ151は、用紙12に対する2回目以降の印刷パスで印刷される画像データの印刷時におけるキャリッジ40の移動向きを、前回の印刷パス(例えば2回目の印刷パスの前回の印刷パスは最初の印刷パス)におけるキャリッジ40の移動向きと逆向きとする。つまり、最初の印刷パスに対応する印刷データに、当該印刷パスが第1印刷パスであるとの情報が含まれている場合、次の印刷パスに対応する印刷データに、当該印刷パスが第2印刷パスであるとの情報が含まれる。すなわち、本実施形態において、印刷データは、キャリッジ40が印刷パス毎に左右交互に移動するように生成されている。
なお、印刷データは、キャリッジ40が印刷パス毎に左右交互に移動するように生成されていなくてもよい。例えば、コントローラ151は、用紙12に対する2回目以降の印刷パスでの印刷時におけるキャリッジ40の移動向きを、用紙12に対する最初の印刷パスでの印刷時におけるキャリッジ40の移動向きと同様に、移動向き情報を参照して決定してもよい。
コントローラ151は、生成した各印刷パスの印刷データを、複合機10へ逐次送信する。なお、コントローラ151は、生成した各印刷パスの印刷データを、複合機10へ一括送信してもよい。
なお、コントローラ151は、上述した変換処理を、メモリ152に記憶されたプログラムを実行することによって実行してもよいし、上述した変換処理を行うための専用の変換ICを備えていてもよい。変換ICは、入力されたRGBデータを変換して、BMCYデータを出力する。
なお、プリンタ部11のコントローラ130が、変換処理を行って、ユーザによって用紙12への印刷を指定された画像データから印刷データを生成してもよい。
[印刷制御]
上述のように構成されたプリンタ部11では、コントローラ130によって、用紙12が給送されて、給送された用紙12に印刷される一連の印刷制御が実行される。以下、印刷制御の処理が、図6のフローチャートを参照しつつ説明される。
複合機10と接続された外部機器(本実施形態では情報処理装置150)から印刷データがコントローラ130へ送られると、当該印刷データを受信したコントローラ130は(S10:Yes)、給送用モータ102を駆動して、給送ローラ25に、給送トレイ20に支持された用紙12を搬送路65へ給送させる(S20)。また、コントローラ130は、搬送用モータ101を駆動して、搬送ローラ対59に、用紙12が記録部24と対向する印刷開始位置に到達するまで、用紙12を搬送向き15へ搬送させる(S30)。用紙12は、印刷開始位置で停止される。
印刷開始位置は、用紙12の搬送向き15の下流端が、複数のノズル39のうち当該用紙12に対する最初の印刷パスでインク滴を吐出するノズル39より搬送向き15の下流となる位置である。本実施形態において、印刷開始位置は、用紙12における印刷領域(インク滴が吐出される領域)の搬送向き15の下流端が、当該用紙12に対する最初の印刷パスでインク滴を吐出するノズル39のうち搬送向き15の最下流に配置されたノズル39と対向する位置である。また、印刷開始位置は、用紙12の搬送向き15の下流端が、光学センサ120より搬送向き15の下流となる位置である。
次に、コントローラ130は、光学センサ120の発光部から光を照射させることによって、光学センサ120と対向する位置に用紙12があるか否かを判断する(S40)。ステップS40の処理は、検知処理に相当する。なお、光学センサ120が用紙12があると想定される位置と対向していない場合、コントローラ130は、光学センサ120が用紙12があると想定される位置と対向する位置へキャリッジ40を移動させてから、光学センサ120の発光部から光を照射させる。なお、フローチャートにおいて、キャリッジ40はCRと表記されている。
コントローラ130は、光学センサ120と対向する位置に用紙12がないと判断した場合(S40:No)、印刷開始位置に用紙12がないと判断して、液晶ディスプレイ172(図2参照)に、例えばプラテン42に用紙12が支持されていない旨、或いは複合機10内に用紙12が詰まっている旨を表示することによって、当該旨を報知する(S50)。その後、一連の印刷制御は終了する。なお、コントローラ130は、印刷開始位置に用紙12があるか否かを判断(光学センサ120の発光部からの光の照射)を複数回リトライしてもよい。また、上記の報知は、液晶ディスプレイ172への表示に限らず、例えばスピーカーからの音声などによって行われてもよい。
コントローラ130は、光学センサ120と対向する位置に用紙12があると判断した場合(S40:Yes)、印刷開始位置に用紙12があると判断して、キャリッジ40を開始位置に移動させる(S60)。
開始位置は、用紙12に印刷するための複数の印刷パスのうち当該用紙12に対する最初の印刷パスにおけるキャリッジ40の移動開始位置である。例えば、受信した印刷データに、用紙12に対する最初の印刷パスが第1印刷パスであるとの情報が含まれている場合、開始位置は、最初の印刷パスで使用される最も右のノズル39が用紙12に印刷される画像の左端より左方である位置(以下、左スタート位置とも称する。)である。一方、受信した印刷データに、用紙12に対する最初の印刷パスが第2印刷パスであるとの情報が含まれている場合、開始位置は、最初の印刷パスで使用される最も左のノズル39が用紙12に印刷される画像の右端より右方である位置(以下、右スタート位置とも称する。)である。なお、印刷パスで用紙12に印刷される画像の領域は、印刷データに基づいて決定される。
コントローラ130は、受信した印刷データに、用紙12に対する最初の印刷パスが第1印刷パスであるとの情報が含まれるか、用紙12に対する最初の印刷パスが第2印刷パスであるとの情報が含まれるかを判断する。換言すると、コントローラ130は、用紙12に対する最初の印刷パスが第1印刷パス(キャリッジ40が右へ移動しながらの印刷)または第2印刷パス(キャリッジ40が左へ移動しながらの印刷)のいずれであるかを判断する。
受信した印刷データに、用紙12に対する最初の印刷パスが第1印刷パスであるとの情報が含まれる場合、コントローラ130は、キャリッジ40を左スタート位置に移動させる。受信した印刷データに、用紙12に対する最初の印刷パスが第2印刷パスであるとの情報が含まれる場合、コントローラ130は、キャリッジ40を右スタート位置に移動させる。
次に、コントローラ130は、次に実行される印刷パスが現在印刷を実行している(または実行しようとしている)用紙12に対する最後の印刷パスであるか否かを判断する(S70)。当該判断は、受信した印刷データや用紙12のサイズに関する情報などに基づいて行われる。
最後の印刷パスでない場合(S70:No)、コントローラ130は、印刷データに基づいて印刷パスを実行する(S80)。つまり、コントローラ130は、印刷データに含まれるキャリッジ40の移動向きを示す情報に従ってキャリッジ40を右向きまたは左向きに移動させつつ、ノズル39からプラテン42へ向けてインク滴を吐出させて印刷データに対応する画像を用紙12に印刷する(S80)。
次に、コントローラ130は、搬送用モータ101を駆動して、搬送ローラ対59及び排出ローラ対44に当該用紙12を所定搬送量(所定改行幅)だけ搬送させる(S90)。
以後、コントローラ130は、ステップS70において、次に実行される印刷パスが現在印刷を実行している(または実行しようとしている)用紙12に対する最後の印刷パスであると判断するまで(S70:Yes)、印刷パス(S80)と用紙12の所定搬送量の搬送(S90)とを交互に実行する。なお、上述したように、本実施形態において、キャリッジ40は、印刷パス毎に左右交互に移動する。
コントローラ130は、次に実行される印刷パスが現在印刷を実行している(または実行しようとしている)用紙12に対する最後の印刷パスであると判断すると(S70:Yes)、ステップS10で受信した印刷データの全てが用紙12へ印刷されたか否か、換言すると次ページの用紙12への印刷が実行されるか否かを判断する(S100)。
ステップS10で受信した印刷データの全てが用紙12へ印刷された場合、換言すると次ページの用紙12への印刷が実行されない場合(S100:No)、最後の印刷パスがステップS80と同様にして実行される(S110)。その後、コントローラ130は、搬送用モータ101を駆動して、排出ローラ対44に、用紙12を搬送向き15へ搬送させて排出トレイ21へ排出させる(S120)。これにより、一連の印刷制御は終了する。
一方、ステップS10で受信した印刷データの全てが用紙12へ印刷されていない場合、換言すると次ページの用紙12への印刷が実行される場合(S100:Yes)、以下で詳述する最後・最初の印刷パス制御(図7参照)が実行される(S130)。
[最後・最初の印刷パス制御]
以下、最後・最初の印刷パス制御の処理が、図7のフローチャートを参照しつつ説明される。
コントローラ130は、次ページの用紙12(以下、所定用紙12と記す。)への印刷が実行されると判断した場合(S100:Yes、図6参照)、受信した印刷データを参照して、所定用紙12に対する最初の印刷パスが第1印刷パスであるとの情報が含まれるか、所定用紙12に対する最初の印刷パスが第2印刷パスであるとの情報が含まれるかを判断する(S300)。換言すると、コントローラ130は、印刷データに基づいて、所定用紙12に対する最初の印刷パスが第1印刷パス(キャリッジ40が右へ移動しながらの印刷)または第2印刷パス(キャリッジ40が左へ移動しながらの印刷)のいずれであるかを判断する(S300)。所定用紙12は、所定シートの一例である。ステップS300の処理は、第1判断処理に相当する。
所定用紙12に対する最初の印刷パスが第1印刷パスである場合(S300:Yes)、以下で説明するステップS310以降の処理が実行される。所定用紙12に対する最初の印刷パスが第2印刷パスである場合(S300:No)、後述するステップS390以降の処理が実行される。
ステップS310において、コントローラ130は、印刷データに基づいて、現ページの用紙12(次ページの前のページであって現在の印刷対象である用紙12、つまり所定用紙12の直前に印刷される用紙12)に対する最後の印刷パスを実行する。以下、現ページの用紙12は、直前用紙12(直前シートの一例)とも称される。コントローラ130は、印刷データに含まれるキャリッジ40の移動向きを示す情報に従ってキャリッジ40を移動させつつ、ノズル39からプラテン42へ向けてインク滴を吐出させて印刷データに対応する画像を直前用紙12に印刷する(S310)。
コントローラ130は、終了位置でキャリッジ40を停止させる(S320)。終了位置は、インク滴の吐出の終了後すぐにキャリッジ40を停止させた場合のキャリッジ40の位置である。つまり、直前用紙12に対する最後の印刷パスにおける印刷範囲に応じて、キャリッジ40は異なる位置に停止する。例えば、直前用紙12に対する最後の印刷パスにおいて、キャリッジ40が左向きに移動する場合に、当該印刷範囲が用紙12の右端部のみである場合、キャリッジ40は用紙12の右端部付近に停止する。また、例えば、直前用紙12に対する最後の印刷パスにおいて、キャリッジ40が左向きに移動する場合に、当該印刷範囲が用紙12の左端部のみである場合、キャリッジ40は用紙12の左端部付近または用紙12の左端より左方に停止する。
次に、コントローラ130は、光学センサ35から受け取った電気信号に基づいて、終了位置のキャリッジ40が所定用紙12の用紙範囲内にあるか用紙範囲外にあるかを判断する(S330)。ステップS330の処理は、第2判断処理に相当する。用紙範囲内が範囲内位置の一例であり、用紙範囲外が範囲外位置の一例である。
キャリッジ40が所定用紙12の用紙範囲内にあるとは、左右方向9における光学センサ120の位置が所定用紙12の右端と左端の間となるような位置にキャリッジ40が位置するということである。また、キャリッジ40が所定用紙12の用紙範囲外にあるとは、左右方向9における光学センサ120の位置が所定用紙12の右端より右または所定用紙12の左端より左となるような位置にキャリッジ40が位置するということである。
ステップS320におけるキャリッジ40の停止位置、つまり終了位置が所定用紙12の用紙範囲外である場合(S330:No)、コントローラ130は、キャリッジ40を所定用紙12の用紙範囲内に移動させる(S340)。
また、コントローラ130は、搬送用モータ101を駆動して、排出ローラ対44に、直前用紙12を搬送向き15へ搬送させて排出トレイ21へ排出させるとともに、給送用モータ102を駆動して、給送ローラ25に、給送トレイ20に支持された所定用紙12を搬送路65へ給送させる(S350)。
なお、ステップS340、S350は、並行して実行されてもよいし、直前用紙12の排出と所定用紙12の給送も、並行して実行されてもよい。また、本実施形態では、直前用紙12への印刷終了後に所定用紙12の給送が開始されているが、直前用紙12への印刷終了前に所定用紙12の給送が開始されてもよい。
ステップS320におけるキャリッジ40の停止位置、つまり終了位置が所定用紙12の用紙範囲内である場合(S330:Yes)、ステップS340のキャリッジ40の移動が実行されることなく、直前用紙12の排出と所定用紙12の給送が実行される(S350)。
ステップS350において、所定用紙12は、ステップS30と同様にして印刷開始位置へ搬送され、印刷開始位置で停止される。ステップS350の処理は、搬送処理に相当する。
所定用紙12の給送時、コントローラ130は、光学センサ120の発光部から光を照射させることによって、光学センサ120と対向する位置に用紙12があるか否かを判断する(S360)。ステップS360の処理は、検知処理に相当する。
所定用紙12が印刷開始位置にあるとき、所定用紙12の搬送向き15の下流端は、光学センサ120より搬送向き15の下流に位置する。また、ステップS330、S340において、光学センサ120の位置は、所定用紙12の用紙範囲内にある。よって、ステップS350の所定用紙12の給送において、所定用紙12の搬送向き15の下流端は、光学センサ120の真下を通過する。このとき、光学センサ120からコントローラ130へ出力される電気信号のレベルがローレベルからハイレベルへ変わる。この電気信号のレベルの変化が生じた場合、コントローラ130は、光学センサ120と対向する位置に用紙12があると判断する(S360:Yes)。一方、この電気信号のレベルの変化が生じない場合、コントローラ130は、光学センサ120と対向する位置に用紙12がないと判断する(S360:No)。
コントローラ130は、光学センサ120と対向する位置に用紙12がないと判断した場合(S360:No)、印刷開始位置に用紙12がないと判断して、報知を実行して(S50)、一連の印刷制御を終了する。
コントローラ130は、光学センサ120と対向する位置に用紙12があると判断した場合(S360:Yes)、印刷開始位置に用紙12があると判断して、キャリッジ40を開始位置に移動させる(S370)。所定用紙12に対する最初の印刷パスが第1印刷パスであるため(S300:Yes)、ステップS370における開始位置は、所定用紙12に対する最初の印刷パスで使用される最も右のノズル39が所定用紙12に印刷される画像の左端より左方である位置である。
コントローラ130は、印刷データに基づいて、所定用紙12に対する最初の印刷パスを実行する。コントローラ130は、キャリッジ40を右向きに移動させつつ、ノズル39からプラテン42へ向けてインク滴を吐出させて印刷データに対応する画像を所定用紙12に印刷する(S380)。その後、印刷制御(図6参照)のステップS70以降の処理が実行される。つまり、コントローラ130は、次に実行される印刷パスが所定用紙12に対する最後の印刷パスであると判断するまで(S70:Yes)、印刷パス(S80)と用紙12の所定搬送量の搬送(S90)とが交互に実行する。
ステップS300において、所定用紙12に対する最初の印刷パスが第2印刷パスである場合(S300:No)、以下で説明するステップS390以降の処理が実行される。
コントローラ130は、受信した印刷データを参照して、直前用紙12に対する最後の印刷パスが第1印刷パス(キャリッジ40が右へ移動しながらの印刷)であるとの情報が含まれるか、直前用紙12に対する最後の印刷パスが第2印刷パス(キャリッジ40が左へ移動しながらの印刷)であるとの情報が含まれるかを判断する(S390)。当該判断の後、コントローラ130は、印刷データに基づいて、直前用紙12に対する最後の印刷パスを実行する(S400、S420)。
受信した印刷データに 直前用紙12に対する最後の印刷パスが第1印刷パスであるとの情報が含まれている場合(S390:右)、コントローラ130は、キャリッジ40を右向きに移動させつつ、ノズル39からプラテン42へ向けてインク滴を吐出させて印刷データに対応する画像を直前用紙12に印刷する(S400)。
コントローラ130は、所定位置までキャリッジ40を移動させて停止させる(S410)。所定位置は、左右方向9における所定用紙12の右端よりも右方の位置である。つまり、コントローラ130は、終了位置よりも右方にまでキャリッジ40を移動させる。これにより、直前用紙12に対する印刷が終了する。
受信した印刷データに 直前用紙12に対する最後の印刷パスが第2印刷パスであるとの情報が含まれている場合(S390:左)、コントローラ130は、キャリッジ40を左向きに移動させつつ、ノズル39からプラテン42へ向けてインク滴を吐出させて印刷データに対応する画像を直前用紙12に印刷する(S420)。
コントローラ130は、終了位置でキャリッジ40を停止させる(S430)。これにより、直前用紙12に対する印刷が終了する。その後、コントローラ130は、キャリッジ40を右向きに移動させて、所定位置(所定用紙12の右端よりも右方の位置)で停止させる(S440)。
ステップS410、S440の後、コントローラ130は、ステップS350と同様にして、搬送用モータ101を駆動して、排出ローラ対44に、直前用紙12を搬送向き15へ搬送させて排出トレイ21へ排出させるとともに、給送用モータ102を駆動して、給送ローラ25に、給送トレイ20に支持された所定用紙12を搬送路65へ給送させる(S450)。ステップS450において、所定用紙12は、ステップS30、S350と同様にして印刷開始位置へ搬送され、印刷開始位置で停止される。なお、ステップS440、S450は、並行して実行されてもよい。
次に、コントローラ130は、キャリッジ40を所定位置から左向きへ移動させる(S460)。
ステップS460で開始されたキャリッジ40の左向きへの移動中に、コントローラ130は、光学センサ120と対向する位置に用紙12があるか否かを判断する(S470)。ステップS470の処理は、検知処理に相当する。コントローラ130は、印刷データに基づいてノズル39からインク滴の吐出が開始されるよりも前のタイミングで、光学センサ120の発光部から光を照射させる。
コントローラ130は、光学センサ120が所定用紙12があると想定される位置と対向したにもかかわらず、光学センサ120から取得した電気信号がローレベルの場合に、光学センサ120と対向する位置に用紙12がない、つまり印刷開始位置に用紙12がないと判断する(S470:No)。このとき、コントローラ130は、ノズル39からインク滴を吐出させることなくキャリッジ40を停止させる。つまり、コントローラ130は、印刷をキャンセルする。このとき、コントローラ130は、報知を実行して(S50)、一連の印刷制御を終了する。
一方、コントローラ130は、光学センサ120が所定用紙12があると想定される位置と対向したときに、光学センサ120から取得した電気信号がハイレベルとなった場合に、光学センサ120と対向する位置に用紙12がある、つまり印刷開始位置に用紙12があると判断する(S470:Yes)。詳述すると、ステップS460のキャリッジ40の移動において、光学センサ120は、所定用紙12の右端の真上を通過する。このとき、光学センサ120からコントローラ130へ出力される電気信号のレベルがローレベルからハイレベルへ変わる。この電気信号のレベルの変化が生じた場合、コントローラ130は、印刷開始位置に用紙12があると判断し、ステップS460で移動開始されたキャリッジ40を停止させることなく左向きへの移動を継続しつつ、ノズル39からプラテン42へ向けてインク滴を吐出させて印刷データに対応する画像を所定用紙12に印刷する(S480)。つまり、コントローラ130は、所定用紙12に対する最初の印刷パスを実行する。
その後、印刷制御(図6参照)のステップS70以降の処理が実行される。つまり、コントローラ130は、次に実行される印刷パスが所定用紙12に対する最後の印刷パスであると判断するまで(S70:Yes)、印刷パス(S80)と用紙12の所定搬送量の搬送(S90)とが交互に実行する。
[実施形態の効果]
キャリッジ40が用紙範囲内にある状態(S330、S340)で所定用紙12を搬送させる(S350)ことで、光学センサ120によって所定用紙12の搬送向き15の下流端を検知(S360)することができる。したがって、所定用紙12の有無の検知のためだけにキャリッジ40を移動させる必要がない。よって、所定用紙12に対する印刷開始までの時間を短くすることができる。
ステップS460、S470において、印刷パスにおけるキャリッジ40の移動と並行して所定用紙12の有無を検知することができるため、所定用紙12に対する印刷開始までの時間を短くすることができる。
所定用紙12に対する検知処理(S360)の実行前に、範囲内位置へキャリッジが移動される(S340)ため、検知処理において光学センサ120によって所定用紙12の搬送向き15の下流端を検知することができる。
ステップS370でキャリッジ40が開始位置に移動されるため、キャリッジ40の移動後に、所定用紙12に対する最初の印刷パス(S380)を迅速に開始できる。
キャリッジ40が所定用紙12より右方へ移動される(S410、S440)ことにより、所定用紙12に対する最初の印刷パスにおいて、キャリッジ40の移動(S460)と並行して用紙12の有無を検知する(S470)ことができる。
各色インクの着弾順序による印刷結果の違いがあっても、より好ましい結果となるようなキャリッジ40の移動向きで、所定用紙12に対する最初の印刷パスを実行することができる。
[変形例1]
上記実施形態では、所定用紙12に対する最初の印刷パスが第1印刷パスである場合(S300:Yes)、キャリッジ40が用紙範囲内にある状態で光学センサ120から光が照射されることにより、所定用紙12の搬送向き15の下流端が検知された。
しかし、所定の条件が具備された場合には、所定用紙12に対する最初の印刷パスが第1印刷パスである場合に(S300:Yes)、キャリッジ40が右方へ移動しながら光学センサ120から光が照射されることにより、所定用紙12が検知されてもよい。
例えば、図7のステップS310~S380の代わりに、図8に示されるように、第1CR移動位置決定処理(S610)が実行されてもよい。以下、第1CR移動位置決定処理(S610)が、図9を参照しつつ説明される。なお、図8以降のフローチャートの説明において、図6及び図7と同様の処理は、図6及び図7と同一のステップ番号が付された上で、その詳細な説明が省略される。
コントローラ130は、第1距離値L1、第2距離値L2、第3距離値L3、及び第4距離値L4を取得してRAM133に記憶する(S700)。
第1距離値L1は、直前用紙12に対する最後の印刷パスにおいてキャリッジ40が終了位置で停止した場合に、光学センサ120と印刷開始位置の所定用紙12の左端との左右方向9の距離である(例えば図10参照)。
第2距離値L2は、直前用紙12に対する最後の印刷パスにおいてキャリッジ40が終了位置で停止した場合に、所定用紙12に対する最初の印刷パスにおいてインク滴を吐出するノズル39のうち最も右方にあるノズル39と、所定用紙12に対する最初の印刷パスにおいてインク滴が着弾される領域91の左端との左右方向9の距離である(例えば図10参照)。なお、領域91は、図10、図11、及び図14においてハッチングで示されている。
第3距離値L3は、直前用紙12に対する最後の印刷パスにおいてキャリッジ40が所定位置(左右方向9における所定用紙12の左端よりも左方の位置)で停止した場合に、光学センサ120と所定用紙12の左端との左右方向9の距離である(例えば図11参照)。
第4距離値L4は、直前用紙12に対する最後の印刷パスにおいてキャリッジ40が所定位置(左右方向9における所定用紙12の左端よりも左方の位置)で停止した場合に、所定用紙12に対する最初の印刷パスにおいてインク滴を吐出するノズル39のうち最も右方にあるノズル39と、所定用紙12に対する最初の印刷パスにおいてインク滴が着弾される領域91の左端との左右方向9の距離である(例えば図11参照)。
なお、光学センサ120が所定用紙12の真上に位置する場合、第1距離値L1及び第3距離値L3はゼロである。また、所定用紙12に対する最初の印刷パスにおいてインク滴を吐出するノズル39が、所定用紙12に対する最初の印刷パスにおいてインク滴が着弾される領域91の真上に位置する場合、第2距離値L2及び第4距離値L4はゼロである。
次に、コントローラ130は、第2距離値L2が第1距離値L1よりも大きいか否かを判断し(S710)、第4距離値L4が第3距離値L3よりも大きいか否かを判断する(S720)。
第2距離値L2が第1距離値L1より大きい場合(S710:Yes)、直前用紙12に対する最後の印刷パスにおいてキャリッジ40が終了位置で停止したとしても、所定用紙12に対する最初の印刷パスにおいてキャリッジ40が終了位置から右方へ移動したときに、ノズル39によるインク滴の吐出より前に、光学センサ120による所定用紙12の有無の検知ができる。この場合、コントローラ130は、ステップS730以降の処理を実行する。
第2距離値L2が第1距離値L1未満である場合(S710:No)、直前用紙12に対する最後の印刷パスにおいてキャリッジ40が終了位置で停止すると、所定用紙12に対する最初の印刷パスにおいてキャリッジ40が終了位置から右方へ移動したときに、ノズル39によるインク滴の吐出より前に、光学センサ120による所定用紙12の有無の検知ができない。この場合、コントローラ130は、ステップS720の処理を実行する。
第4距離値L4が第3距離値L3より大きい場合(S720:Yes)、直前用紙12に対する最後の印刷パスにおいてキャリッジ40が所定位置(所定用紙12の左端よりも左方)で停止すると、所定用紙12に対する最初の印刷パスにおいてキャリッジ40を所定位置から右方へ移動させたときに、ノズル39によるインク滴の吐出より前に、光学センサ120による所定用紙12の有無の検知ができる。この場合、コントローラ130は、ステップS790以降の処理を実行する。
第2距離値L2が第1距離値L1未満であり(S710:No)、第4距離値L4が第3距離値L3未満である場合(S720:No)、直前用紙12に対する最後の印刷パスにおけるキャリッジ40の停止位置にかかわらず、所定用紙12に対する最初の印刷パスにおいてキャリッジ40を所定位置から右方へ移動させたときに、ノズル39によるインク滴の吐出より前に、光学センサ120による所定用紙12の有無の検知ができない。この場合、コントローラ130は、上記実施形態と同様にステップS310~S380を実行する。
以下、ステップS730以降の処理が説明される。コントローラ130は、直前用紙12に対する最後の印刷パスを実行し(S730)、終了位置でキャリッジ40を停止させ(S740)、直前用紙12の排出と所定用紙12の給送を実行する(S750)。
その後、コントローラ130は、キャリッジ40を終了位置から右向きへ移動させ(S760)、ステップS460、S470と同様にして、キャリッジ40の右向きへの移動中に、光学センサ120と対向する位置に用紙12があるか否かを判断する(S770)。
コントローラ130は、用紙12がないと判断した場合(S770:No)、印刷をキャンセルして、報知を実行し(S50)、一連の印刷制御を終了する。
一方、コントローラ130は、用紙12があると判断した場合(S770:Yes)、キャリッジ40を停止させることなく右向きへの移動を継続しつつ、ノズル39からプラテン42へ向けてインク滴を吐出させて印刷データに対応する画像を所定用紙12に印刷する(S780)。つまり、コントローラ130は、所定用紙12に対する最初の印刷パスを実行する。
以下、ステップS790以降の処理が説明される。コントローラ130は、直前用紙12に対する最後の印刷パスを実行し(S790)、所定位置(所定用紙12の左端よりも左方)でキャリッジ40を停止させる(S800)。その後、ステップS750以降の処理が実行される。
[変形例2]
上記実施形態では、所定用紙12に対する最初の印刷パスが第2印刷パスである場合(S300:No)、コントローラ130は、キャリッジ40を、所定用紙12の右端より右方となる位置まで移動させておき、その後、キャリッジ40が左方へ移動しながら光学センサ120から光が照射されることにより、所定用紙12の右端が検知されていた。
しかし、所定の条件が具備された場合には、所定用紙12に対する最初の印刷パスが第2印刷パスである場合に(S300:No)、コントローラ130は、キャリッジ40を、所定用紙12の右端より右方となる位置まで移動させなくてもよい。
例えば、図8に示されるように、図7のステップS390とステップS400の間に第2CR移動位置決定処理(S620)が実行され、ステップS410の代わりにステップS630が実行されてもよい。また、図8に示されるように、図7のステップS440の代わりに第3CR移動位置決定処理(S640)が実行されてもよい。
以下、第2CR移動位置決定処理が、図12を参照しつつ説明される。コントローラ130は、第5距離値L5及び第6距離値L6を取得してRAM133に記憶する(S900)。
第5距離値L5は、直前用紙12に対する最後の印刷パスにおいてキャリッジ40が終了位置で停止した場合に、光学センサ120と印刷開始位置の所定用紙12の右端との左右方向9の距離である。
第6距離値L2は、直前用紙12に対する最後の印刷パスにおいてキャリッジ40が終了位置で停止した場合に、所定用紙12に対する最初の印刷パスにおいてインク滴を吐出するノズル39のうち最も左方にあるノズル39と、所定用紙12に対する最初の印刷パスにおいてインク滴が着弾される領域91の右端との左右方向9の距離である(例えば図14参照)。
なお、光学センサ120が所定用紙12の真上に位置する場合、第5距離値L5はゼロである。よって、図14に示された状態では、光学センサ120が所定用紙12の真上に位置するため、第5距離値L5はゼロである。また、所定用紙12に対する最初の印刷パスにおいてインク滴を吐出するノズル39が、所定用紙12に対する最初の印刷パスにおいてインク滴が着弾される領域の真上に位置する場合、第6距離値L6はゼロである。
次に、コントローラ130は、第6距離値L6が第5距離値L5よりも大きいか否かを判断する(S910)。
第6距離値L5が第5距離値L5より大きい場合(S910:Yes)、直前用紙12に対する最後の印刷パスにおいてキャリッジ40が終了位置で停止したとしても、所定用紙12に対する最初の印刷パスにおいてキャリッジ40を終了位置から左方へ移動させたときに、ノズル39によるインク滴の吐出より前に、光学センサ120による所定用紙12の有無の検知ができる。この場合、コントローラ130は、ステップS630においてキャリッジ40を停止させる位置を終了位置に設定する(S920)。つまり、コントローラ130は、キャリッジ40を、所定用紙12の右端より右方となる位置まで移動させなくてもよい。
第6距離値L6が第5距離値L5未満である場合(S910:No)、直前用紙12に対する最後の印刷パスにおいてキャリッジ40が終了位置で停止すると、所定用紙12に対する最初の印刷パスにおいてキャリッジ40を終了位置から左方へ移動させたときに、ノズル39によるインク滴の吐出より前に、光学センサ120による所定用紙12の有無の検知ができない。この場合、コントローラ130は、ステップS630においてキャリッジ40を停止させる位置を所定用紙12の右端よりも右方の位置に設定する(S930)。
以下、第3CR移動位置決定処理が、図13を参照しつつ説明される。コントローラ130は、ステップS900と同様にして、第5距離値L5及び第6距離値L6を取得してRAM133に記憶する(S950)。
第6距離値L5が第5距離値L5より大きい場合(S950:Yes)、所定用紙12に対する最初の印刷パスにおいて、ステップS430で終了位置で停止したキャリッジ40を終了位置から左方へ移動させたときに、ノズル39によるインク滴の吐出より前に、光学センサ120による所定用紙12の有無の検知ができる。この場合、コントローラ130は、キャリッジ40を終了位置に停止させたままとする。つまり、コントローラ130は、キャリッジ40を、所定用紙12の右端より右方となる位置まで移動させなくてもよい。
第6距離値L6が第5距離値L5未満である場合(S910:No)、所定用紙12に対する最初の印刷パスにおいて、ステップS430で終了位置で停止したキャリッジ40を終了位置から左方へ移動させたときに、ノズル39によるインク滴の吐出より前に、光学センサ120による所定用紙12の有無の検知ができない。この場合、コントローラ130は、キャリッジ40を終了位置から所定用紙12の右端よりも右方の位置に移動させる(S970)。
[その他の変形例]
上記実施形態では、最初の印刷パスのキャリッジ40の移動向きは、移動向き情報に基づいて決定されたが、これに限らない。例えば、前ページの用紙12(直前用紙12)に対する最後の印刷パスの移動向きに基づいて、次ページの用紙12(所定用紙12)に対する最初の印刷パスの移動向きが決定されてもよい。具体的には、直前用紙12に対する最後の印刷パスの移動向きが左向きなら、所定用紙12に対する最初の印刷パスの移動向きは右向きとされ、直前用紙12に対する最後の印刷パスの移動向きが右向きなら、所定用紙12に対する最初の印刷パスの移動向きは左向きとされてもよい。
上記実施形態では、キャリッジ40が右向きに移動しながら実行される印刷パスが第1印刷パスであり、キャリッジ40が左向きに移動しながら実行される印刷パスが第2印刷パスであったが、上記とは逆に、キャリッジ40が左向きに移動しながら実行される印刷パスが第1印刷パスであり、キャリッジ40が右向きに移動しながら実行される印刷パスが第2印刷パスであってもよい。