以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る複合機1(画像記録装置)の外観構成を示すものである。本複合機1は、下部にプリンタ部2を、上部にスキャナ部3を一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)であり、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能を有する。該複合機1のうちプリンタ部2が本発明に係る画像記録装置に相当し、プリンタ機能以外の機能は任意のものである。したがって、スキャナ部3がなく、スキャナ機能やコピー機能を有しない単機能のプリンタであってもよい。
また、本発明に係る画像記録装置を多機能装置として実施する場合には、本実施の形態に示す複合機1のような小型のものであっても、複数の給紙カセットや自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)を備えた大型のものであってもよい。また、複合機1は、主に不図示のコンピュータと接続されて、該コンピュータから送信された画像データや文書データに基づいて、記録用紙に画像や文書を記録するものであるが、その他、デジタルカメラ等の外部機器と接続されてデジタルカメラから出力される画像データを記録用紙に記録したり、メモリカード等の各種記録媒体を装填して、該記録媒体に記録された画像データ等を記録用紙に記録することも可能である。また、以下に説明する複合機1の構成は、本発明に係る画像記録装置の一例であり、本発明の要旨を変更しない範囲で構成を適宜変更できることは当然である。
図1に示すように、複合機1は高さより横幅及び奥行きが大きい幅広薄型の概ね直方体の外形であり、複合機1の下部がプリンタ部2である。プリンタ部2は、正面に開口2aが形成されており、該開口2aから一部が露呈するようにして給紙トレイ20及び排紙トレイ21が上下2段に設けられている。給紙トレイ20は、被記録媒体である記録用紙を貯蔵するためのものであり、A4サイズ以下の、B5サイズ、はがきサイズ等の各種サイズの記録用紙が収容可能である。また、給紙トレイ20は、図2に示すように、必要に応じてスライドトレイ20aを引き出してトレイ面を拡大することができる。該給紙トレイ20に収容された記録用紙がプリンタ部2の内部へ給送されて所望の画像が記録され、排紙トレイ21へ排出される。
複合機1の上部はスキャナ部3であり、所謂フラットベッドスキャナとして構成されている。図1及び図2に示すように、複合機1の天板として開閉自在に設けられた原稿カバー30の下側に、プラテンガラス31及びイメージセンサ32が設けられている。プラテンガラス31は画像読取りを行う原稿を載置するためのものである。該プラテンガラス31の下方には、複合機1の奥行き方向を主走査方向とするイメージセンサ32が、複合機1の幅方向に走査可能に設けられている。
複合機1の正面上部には、プリンタ部2やスキャナ部3を操作するための操作パネル4が設けられている。操作パネル4は各種操作ボタンや液晶表示部から構成されている。複合機1は、該操作パネル4からの操作指示に基づいて動作し、また、コンピュータに接続されている場合には、該コンピュータからプリンタドライバを介して送信される指示に基づいても動作する。また、複合機1の正面の左上部には、記録媒体である各種小型メモリカードを装填可能なスロット部5が設けられている。該スロット部5に装填された小型メモリカードに記録された画像データを読み出して該画像データに関する情報を液晶表示部に表示させ、任意の画像をプリンタ部2により記録用紙に記録させるための入力を、上記操作パネル4から行うことができる。
以下、図2〜図9を参照して複合機1の内部構成、特にプリンタ部2の構成について説明する。図2に示すように、複合機1の底側に設けられた給紙トレイ20の奥側には、給紙トレイ20に積載された記録用紙を分離して上方へ案内するための分離傾斜板22が配設されている。また、搬送路23は、該分離傾斜板22から上方へ向かった後、正面側へ曲がって、複合機1の背面側から正面側へと延び、画像記録部24を通過して排紙トレイ21へ通じている。したがって、給紙トレイ20に収容された記録用紙は、搬送路23により下方から上方へUターンするように案内されて画像記録部24に至り、該画像記録部24により画像記録が行われた後、排紙トレイ21に排出される。
図3に示すように、給紙トレイ20の上側には、給紙トレイ20に積載された記録用紙を1枚ずつ分離して搬送路23へ供給するための給紙ローラ25が設けられている。該給紙ローラ25は、給紙トレイ20に接離可能に上下動する給紙アーム26の前端に軸支されており、複数のギアが噛合されてなる駆動伝達機構27により、LFモータ71(図9参照)の駆動が伝達されて回転する。
給紙アーム26は、基端側を軸として上下方向に揺動可能に配設されている。該給紙アーム26は、待機状態では、不図示の給紙クラッチやバネ等により図に示すように上側へ跳ね上げられており、記録用紙を供給する際に下側へ揺動する。給紙アーム26が下側へ揺動することにより、その前端に軸支された給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙の表面に圧接する。その状態で、給紙ローラ25が回転することにより、給紙ローラ25のローラ面と記録用紙との間の摩擦力で最上位置の記録用紙が分離傾斜板22へ送り出される。該記録用紙は、その前端が分離傾斜板22に当接して上方へ案内され、搬送路23へ送り込まれる。また、給紙ローラ25によって最上位置の記録用紙が送り出される際に、その直下の記録用紙が摩擦や静電気の作用によって共に送り出される場合があるが、該記録用紙は分離傾斜板22に当接することによって制止される。
搬送路23は、画像記録部24等が配設されている箇所以外は、所定間隔で対向する外側ガイド面と内側ガイド面とから構成されている。例えば、複合機1の背面側の搬送路23は、外側ガイド面が複合機1のフレームと一体に形成され、内側ガイド面がガイド部材28がフレーム内に固定されることにより構成されている。また、搬送路23において、特に搬送路23が曲がっている箇所には、各搬送コロ29が外側ガイド面又は内側ガイド面へローラ面を露出するようにして、搬送路23の幅方向を軸方向として回転自在に設けられている。これら各搬送コロ29によって、搬送路23が曲がっている箇所においてガイド面に接触する記録用紙の搬送が円滑となる。
搬送路23が下方から上方へUターンした後の搬送路23であって、画像記録部24の上流側にはレジストセンサ33(被記録媒体検出手段)が設けられている。レジストセンサ33は、図2及び図4に示すように、搬送路23に突出して搬送される記録用紙に接触することにより、搬送路23から退避するように回動する検出子34と、該検出子34の回動を検出するフォトインタラプタ35とを具備するものである。
検出子34は、フォトインタラプタ35により検知される遮蔽部36が一体的に形成されており、軸37を中心に回動自在に設けられている。該検出子34は、不図示のバネ等の付勢手段により、検出子34が搬送路23に突出する位置に、すなわち図において時計回り方向へ弾性付勢されている。したがって、検出子34に外力が付与されない状態では、図に示すように、検出子34は搬送路23に突出し、遮蔽部36はフォトインタラプタ35の発光部と受光部との間に位置する。これにより、フォトインタラプタ35の光伝達が遮断されて、レジストセンサ33がオフとなる。一方、搬送路23に記録用紙が搬送されると、該記録用紙が検出子34に当接し、該記録用紙がさらに搬送されることにより検出子34を搬送路23から退避するように回動させる。検出子34とともに遮蔽部36も回動され、遮蔽部36はフォトインタラプタ35の発光部と受光部との間から離れる。これにより、フォトインタラプタ35の光伝達が遮断されなくなり、レジストセンサ33がオンとなる。このレジストセンサ33のオン/オフにより、画像記録部24の上流側において記録用紙の通過が検知される。
図3に示すように、レジストセンサ33の下流側には、画像記録部24が設けられている。該画像記録部24は、記録ヘッド39を搭載して主走査方向へ往復移動する走査キャリッジ38を備えている。記録ヘッド39は、複合機1内に記録ヘッド39とは別途に設置されたインクタンク40(図5参照)からインク供給管41を通じてシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色インクが供給され、各インクを微小なインク滴として吐出するものである。該記録ヘッド39が搭載された走査キャリッジ38が走査されることにより、プラテン42上を搬送される記録用紙に画像記録が行われる。
詳細には、図5に示すように、搬送路23の上側において記録用紙の搬送方向へ所定間隔で、一対のガイドレール43a,43bが搬送路23の幅方向に延設されている。上記走査キャリッジ38は、ガイドレール43a,43bを跨ぐようにして摺動可能に設けられている。記録用紙の搬送方向の上流側に配設されたガイドレール43aは、搬送路23の幅方向の長さが走査キャリッジ38の走査幅より長い平板状のものであり、該ガイドレール43aの上面が、上記走査キャリッジ38の上流側の端部を摺動自在に担持している。
記録用紙の搬送方向の下流側に配設されたガイドレール43bは、搬送路23の幅方向の長さが上記ガイドレール43aとほぼ同じ長さの平板状のものであり、上記走査キャリッジ38の下流側の端部を支持する縁部43cが、上方へ向かって略直角に曲折されている。走査キャリッジ38は、ガイドレール43bの上面に摺動自在に担持されており、且つ、上記縁部43cを不図示のローラ等により狭持している。したがって、走査キャリッジ38は、ガイドレール43a,43b上に摺動自在に担持され、ガイドレール43bの縁部43cを基準として、搬送路23の幅方向に往復移動する。なお、走査キャリッジ38がガイドレール43a,43cの上面と接触する部位には、摩擦を低減するための摺動部材が適宜設けられる。
また、図に示すように、ガイドレール43bの上面には、ベルト駆動機構44が配設されている。該ベルト駆動機構44は、搬送路23の幅方向の両端付近にそれぞれ設けられた駆動プーリ45と従動プーリ46間に、内側に歯が設けられた無端環状のタイミングベルト47が張架されてなるものである。駆動プーリ45の軸にはCRモータ73(図9参照)から駆動力が入力され、該駆動プーリ45の回転によりタイミングベルト47が周運動する。なお、タイミングベルト47は無端環状のもののほか、有端のベルトの両端部を走査キャリッジ38に固着するものを用いてもよい。
上記走査キャリッジ38は、上記タイミングベルト47に固着されており、該タイミングベルト47の周運動により、走査キャリッジ38が縁部43cを基準としてガイドレール43a,43b上を往復移動する。このような走査キャリッジ38に記録ヘッド39が搭載されて、該記録ヘッド39が、搬送路23の幅方向を主走査方向として往復移動可能となっている。また、上記縁部43cに沿ってストリップ状のリニアエンコーダ77が配設されており、該リニアエンコーダ77をフォトインタラプタにより検出して、走査キャリッジ38の往復移動が制御される。
図3に示すように、搬送路23の下側には、上記記録ヘッド39と対向してプラテン42が配設されている。該プラテン42は、走査キャリッジ38の往復移動範囲のうち、記録用紙が通過する中央部分に渡って配設されている。プラテン42の幅は、搬送可能な記録用紙の最大幅より十分に大きいものであり、記録用紙の両端は常にプラテン42の上を通過することとなる。また、記録用紙を担持するプラテン42の上面の色は、一般的な記録用紙の色である白色と反射率が異なる色が好適であり、特に好ましくは黒色である。
また、図5に示すように、記録用紙が通過しない範囲、すなわち記録ヘッド39による画像記録範囲外には、パージ機構48や不図示の廃インクトレイ等のメンテナンスユニットが配設されている。パージ機構48は、記録ヘッド39のノズル53等からインクとともに気泡や異物を吸引除去するためのものである。該パージ機構48は、記録ヘッド39のノズル面を覆うキャップ49と、該キャップ49を通じて記録ヘッド39に接続されるポンプ機構(不図示)と、該キャップ49を記録ヘッド39のノズル面に接離させるための移動機構(不図示)とからなる。記録ヘッド39の気泡等の吸引除去を行う際には、記録ヘッド39がキャップ49上に位置するように走査キャリッジ38が移動され、その状態でキャップ49が上方へ移動して記録ヘッド39の下面のインク吐出口53a(図6参照)を密閉するように密着し、該キャップ49と連結されたポンプにより記録ヘッド39のノズル53等からインクが吸引される。
一方、図には示していないが、フラッシングと呼ばれる記録ヘッド39からのインクの空吐出を受けるための廃インクトレイも、走査キャリッジ38の往復移動範囲内であって画像記録範囲外に設けられる。これらメンテナンスユニットにより、記録ヘッド39内の気泡や混色インクの除去等のメンテナンスが行われる。なお、パージ機構48や廃インクトレイ等のメンテナンスユニットは本発明において任意の構成である。
インクタンク40は、図1に示すように、プリンタ部2の正面側であって左側方(図右側)の筐体内に設けられたインクタンク収容部6に収容されている。図5に示すように、該インクタンク40は、装置内において、記録ヘッド39を搭載する走査キャリッジ38とは別途に設けられており、該走査キャリッジ38へはインク供給管41を通じてインクが供給されるようになっている。
インクタンク40は、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色インクを貯蔵する4個のインクタンク40C,40M,40Y,40Kからなり、装置筐体内に設けられたインク収容部6内の所定の位置にそれぞれ装填されている。図には詳細に示していないが、各インクタンク40C,40M,40Y,40Kは、合成樹脂製の筐体内に各色インクが充填されたカートリッジ式のものであり、インク収容部6の上方から着脱可能となっている。各インクタンク40C,40M,40Y,40Kの筐体の底部には、それぞれ貯蔵している各色インクを供給するための開口が形成され、該開口は逆止弁により封止されている。インク収容部6には、該逆止弁を開放する接合部が設けられており、各インクタンク40C,40M,40Y,40Kがインク収容部6に装填されることにより、上記開口の逆止弁が開放され、該開口からインク供給が可能となる。
なお、本実施の形態では、4色のインクで画像記録を行う複合機1について説明しているが、本発明に係る画像記録装置においてインク色の数は特に限定されず、例えば、6色インクや8色インクにより画像記録を行う場合には、インクタンクを増やすことが可能であることは勿論である。また、インクタンク40は、カートリッジ式のものに限定されず、装置筐体内に据え置きされてインクが適宜補充されるものであってもよい。
インク収容部6に装填された各インクタンク40C,40M,40Y,40Kから上記記録ヘッド39へは、各色毎に独立したインク供給管41により各色インクが供給される。各インク供給管41C,41M,41Y,41Kは、合成樹脂製のチューブであり、走査キャリッジ38の走査に応じて撓むような可撓性を有するものである。図には詳細に示していないが、各インク供給管41C,41M,41Y,41Kは、上記インク収容部6の各インクタンク収容位置に設けられた上記各接合部に、その一端側の開口がそれぞれ接続されている。インク供給管41Cは、上記インクタンク40Cに対応しておりシアン(C)のインクを供給するためのものである。同様に、インク供給管41M,41Y,41Kは、それぞれ上記インクタンク40M,40Y,40Kに対応しており、それぞれマゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)のインクを供給するためのものである。
インク収容部6から導出された各インク供給管41C,41M,41Y,41Kは、装置の幅方向に沿って中央付近まで引き出されて、装置フレーム等の適当な部材に一旦固定されている。そして、該固定部から走査キャリッジ38までの部分は、装置フレーム等に固定されておらず、走査キャリッジ38の往復移動に追従して姿勢変化する。すなわち、走査キャリッジ38が往復移動方向の一端(図左側)へ移動するに従い、各インク供給管41C,41M,41Y,41Kは、U字形状の湾曲部分の曲げ半径が小さくなるように撓みながら、走査キャリッジ38の移動方向へ移動する。一方、走査キャリッジ38が往復移動方向の他端(図右側)へ移動するに従い、各インク供給管41C,41M,41Y,41Kは、湾曲部分の曲げ半径が大きくなるように撓みながら、走査キャリッジ38の移動方向へ移動する。
図6に示すように、走査キャリッジ38には、記録ヘッド39とともにメディアセンサ50が搭載されている。該メディアセンサ50は、図6及び図7に示すように、発光ダイオードからなる発光部51と、光学式センサからなる受光部52とを具備する。図7に示すように、メディアセンサ50の発光部51は、プラテン42へ向かって光を照射し、該光の反射光を受光部52が受光するようになっている。前述したように、プラテン42の上面の色は、例えば黒色のように記録用紙Pと反射率が異なる色であり、記録用紙Pが存在しない場合には、反射率の低いプラテン42からの反射光を受光部52が受光するのでメディアセンサ50の検出値(AD値)は低い値となる。一方、記録用紙Pが存在する場合には、反射率の高い記録用紙Pからの反射光を受光部52が受光するのでメディアセンサ50の検出値(AD値)は高い値となる。このようなメディアセンサ50が、図6に示すように、記録ヘッド39の搬送方向上流側であって走査方向一端側において走査キャリッジ38に搭載されて、該走査キャリッジ38により走査方向へ往復移動するようになっている。
記録ヘッド39は、図6に示すように、その下面にインク吐出口53aが、CMYBkの各色インク毎に記録用紙の搬送方向に列設されている。なお、各インク吐出口53aの搬送方向のピッチや数は、記録画像の解像度等を考慮して適宜設定されるものである。また、カラーインクの種類数に応じてインク吐出口53aの列数を増減することも可能である。
図8に示すように、記録ヘッド39の下部に列設されたノズル53の下端が記録ヘッド39の下面に開口して上記インク吐出口53aが形成されている。該ノズル53の上端側には、各色インク毎の複数のノズル53に渡ってマニホールド54が形成されている。該マニホールド54は、列設されたノズル53の一端側に形成された供給管55と、各ノズル53の上端に渡って形成されたマニホールド室56とから構成されており、供給管55から供給されたインクがマニホールド室56を通じて各ノズル53に分配される。
上記マニホールド室56の各ノズル53と対向する面は、インクが流れる下流側へ向かって下降するように傾斜されており、マニホールド室56の断面積が下流側へ向かって小さくなるように構成されている。マニホールド54により分配されたインクを各ノズル53がインク吐出口53aからインク滴として吐出する機構は、例えばノズル53の側壁を圧電材料で構成して、該圧電材料の変形によりインク滴を噴出させるものや、その他の公知の機構を採用することができる。
さらに、上記マニホールド54の上側にはバッファタンク57が配設されている。該バッファタンク57は、上記ノズル53及びマニホールド54と同様にCMYBkの各色インク毎に設けられている。各バッファタンク57には、図5に示したように、インクタンク40からインク供給管41を通じてインク供給口58からインクが供給される。このように、インクタンク40から直接ノズル53へインクを供給せずに、バッファタンク57に一旦貯留することにより、インク供給管41等でインク内に発生した気泡を捕捉することができ、ノズル53に気泡が進入することが防止される。また、バッファタンク57内で捕捉された気泡は、気泡排出口59から不図示のポンプ機構により吸引除去される。
また、バッファタンク57は、上記供給管55を通じて上記マニホールド室56と接続されている。これにより、インクタンク40から供給された各色インクがバッファタンク57、マニホールド54を介してノズル53へ流れるように流路が構成される。このような流路を通じて供給されたCMYBkの各色インクが、インク吐出口53aからインク滴として記録用紙に吐出される。
図3に示すように、上記画像記録部24の上流側には、搬送路23を搬送されている記録用紙を狭持して、プラテン42上へ搬送する一対の搬送ローラ60及び押さえローラ61が設けられている。一方、画像記録部24の下流側には、記録済みの記録用紙を狭持して搬送する一対の排紙ローラ62及び拍車ローラ63が設けられている。搬送ローラ60及び排紙ローラ62は、LFモータ71から駆動力が伝達されて、所定の改行幅で間欠駆動する。搬送ローラ60及び排紙ローラ62の回転は同期されており、搬送ローラ60に設けられたロータリエンコーダ76(図9参照)をフォトインタラプタで検出することにより、搬送ローラ60及び排紙ローラ62の回転が制御される。
一方、押さえローラ61は搬送ローラ60に所定の押圧力で押圧するように付勢されて回転自在に設けられている。搬送ローラ60と押さえローラ61との間に記録用紙が進入した場合には、押さえローラ61は記録用紙の厚み分だけ退避して該記録用紙を搬送ローラ60とともに狭持する。これにより、搬送ローラ60の回転力が確実に記録用紙へ伝達される。拍車ローラ63も排紙ローラ62に対して同様に設けられたものであるが、記録済みの記録用紙と圧接するので、記録用紙に記録された画像を劣化させないようにローラ面が拍車状に凹凸したものとなっている。
搬送ローラ60及び押さえローラ61に狭持された記録用紙は、所定の改行幅でプラテン42上を間欠して搬送される。その改行毎に記録ヘッド39が走査されて、記録用紙の前端側から画像記録が行われる。画像記録が行われた記録用紙の前端側は、その後、排紙ローラ62及び拍車ローラ63に狭持される。したがって、該記録用紙は前端側を排紙ローラ62及び拍車ローラ63に狭持され、後端側を搬送ローラ60及び押さえローラ61に狭持された状態で所定の改行幅で間欠して搬送され、同様に記録ヘッド39により画像記録が行われる。さらに記録用紙が搬送されると、記録用紙の後端が搬送ローラ60及び押さえローラ61を通過して、これらによる狭持が開放される。したがって、記録用紙は排紙ローラ62及び拍車ローラ63に狭持されて所定の改行幅で間欠して搬送され、同様に記録ヘッド39により画像記録が行われる。記録用紙の所定領域に画像記録を行った後は、排紙ローラ62が連続的に回転駆動される。これにより、排紙ローラ62及び拍車ローラ63により狭持された記録用紙が排紙トレイ21へ排出される。このような搬送ローラ60、押さえローラ61、排紙ローラ及び拍車ローラ63、さらには上記給紙ローラ25によって本発明に係る搬送手段が構成されている。
図9は、複合機1の制御部64(制御手段)の構成を示している。該制御部64は、スキャナ部2のみでなくプリンタ部3も含む複合機1の全体動作を制御するものであるが、本実施の形態においてはスキャナ部3の詳細な構成の説明は省略する。制御部64は、図に示すように、CPU65、ROM66、RAM67、EEPROM68を主とするマイクロコンピュータとして構成されており、バス69を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit)70に接続されている。
ROM66には、複合機1の各種動作を制御するためのプログラム等が格納されている。RAM67は、CPU65が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記録する記憶領域又は作業領域として使用される。
ASIC70は、CPU65からの指令に従い、LF(搬送)モータ71に通電する相励磁信号等を生成して、該信号をLFモータ71の駆動回路72に付与し、該駆動回路72を介して駆動信号をLFモータ71に通電することにより、LFモータ71の回転制御を行っている。
駆動回路72は、上記給紙ローラ25、搬送ローラ60、排紙ローラ62、及びパージ機構48に接続されたLFモータ71を駆動させるものであり、ASIC70からの出力信号を受けて、LFモータ71を回転するための電気信号を形成する。該電気信号を受けてLFモータ71が回転し、該LFモータ71の回転力がギアや駆動軸等からなる周知の駆動機構を介して、給紙ローラ25、搬送ローラ60、排紙ローラ62、及びパージ機構48へ伝達される。
同様に、ASIC70は、CPU65からの指令に従い、CR(キャリッジ)モータ73に通電する相励磁信号等を生成して、該信号をCRモータ73の駆動回路74に付与し、該駆動回路74を介して駆動信号をCRモータ73に通電することにより、CRモータ73の回転制御を行っている。
駆動回路74は、上記走査キャリッジ38に接続されたCRモータ73を駆動させるものであり、ASIC70からの出力信号を受けて、CRモータ73を回転するための電気信号を形成する。該電気信号を受けてCRモータ73が回転し、該CRモータ73の回転力がベルト駆動機構44を介して、走査キャリッジ38へ伝達されことにより走査キャリッジ38が走査される。
駆動回路75は、記録ヘッド39から所定のタイミングでインクを記録用紙に対して選択的に吐出させるものであり、CPU65から出力される駆動制御手順に基づいてASIC70において生成された出力信号を受け、記録ヘッド39を駆動制御する。
また、ASIC70には、搬送路26において記録用紙を検出するためのレジストセンサ33や、搬送ローラ60の回転量を検出するためのロータリエンコーダ76、走査キャリッジ38の移動量を検出するためのリニアエンコーダ77、記録用紙の有無を検知するためのメディアセンサ50が接続されている。メディアセンサ50の検知信号は、ASIC70、バス69を介してRAM67に記憶され、CPU65がROM66に格納されたプログラムに基づいて、該検知信号を解析して記録用紙の端部を判断する。これにより、本発明の端部検出手段が実現されている。
さらに、ASIC70には、スキャナ部3や、複合機1の操作指示を行うための操作パネル4、各種小型メモリカードが挿入されるスロット部5、パソコン等の外部機器とパラレルケーブルやUSBケーブルを介してデータの送受信を行うためのパラレルインタフェース78及びUSBインタフェース79等が接続されている。さらに、ファクシミリ機能を実現するためのNCU(Network Control Unit)80やMODEM81も接続されている。
図5に示すように、上記制御部64はメイン基板82により構成されており、該メイン基板82から記録ヘッド39へはフラットケーブル83を通じて記録用信号等の伝送が行われる。フラットケーブル83は、電気信号を伝送する導体をポリエステルフィルム等の合成樹脂フィルムで覆って絶縁した薄帯状のものであり、メイン基板82と記録ヘッド39の制御基板(不図示)と電気的に接続している。また、フラットケーブル83は、走査キャリッジ38から往復移動方向へ導出され、上下方向に略U字形状に曲折されており、この略U形状の部分は、他の部材に固定されておらず、走査キャリッジ38の往復移動に追従して姿勢変化する。
以下、上記プリンタ部2における画像記録動作について説明する。
図10のフローチャートに示すように、コンピュータや小型メモリカードから印刷データが制御部64に送信されると(S10)、複合機1のプリンタ部2は、給紙トレイ20に保持された記録用紙Pの給紙を開始する(S20)。すなわち、LFモータ71が駆動されて給紙ローラ25、搬送ローラ60及び排紙ローラ62に駆動伝達され、給紙トレイ20から搬送路23へ記録用紙Pが給送される。該記録用紙Pは搬送路23に沿って上方へUターンするように反転しながら搬送され、記録用紙Pの前端が、図11に示すように、レジストセンサ33により検出される。そして、レジストセンサ33が記録用紙Pを検知してから搬送ローラ60等に入力された回転量をロータリエンコーダ76のエンコーダ量として把握し、記録用紙Pの前端付近がメディアセンサ50の直下となるまで、記録用紙Pを搬送する。そして、制御部64は、用紙後端検出フラグ及び用紙前端検出フラグをオフとする(S21)。これら用紙後端検出フラグ及び用紙前端検出フラグはEEPROM68に格納されている。
そして、記録用紙Pの前端付近において用紙幅の検出を行う(S30)。図13は用紙幅検出処理のフローチャートである。まず、図12に示すように、メディアセンサ50が用紙中央位置となるように走査キャリッジ38を移動する(S301)。図に示すように、記録用紙Pは、搬送路23の中央を基準ラインLとして搬送されており、すべてのサイズの記録用紙Pの中央位置は該基準ラインL上となる。したがって、メディアセンサ50が基準ラインL上となるように走査キャリッジ38を移動する。
続いて、上記中央位置でメディアセンサ50の光量調整を行う(S302)。前述したように、プリンタ部2において端部検出手段は、メディアセンサ50と制御部64により実現されている。メディアセンサ50の発光部51に所定の電流値で通電されることにより発光部51が所定の発光量で発光する。この発光部51の発光量は記録用紙の種類に応じて適宜調整される。例えば、紙の表面に所定の処理を施した写真印刷用の光沢紙であれば普通紙よりも反射率が高いので、受光部52の受光量が多くなる。同様に、記録用紙の表面の色が異なれば受光量も変化する。したがって、記録用紙が存在する場合の受光部52の受光量が一定となるように発光部51の発光量が調整される。
このような発光量の調整は以下のようになされる。図12に示した中央位置でメディアセンサ50をオンして、発光部51を初期発光量で発光させて受光部52の受光量を得る。初期発光量は、あらゆる紙種で受光量が目標値に到達しないような少ない光量である。したがって、初期発光量では受光部52の受光量は目標値より小さい。その後、発光部51の発光量を所定単位の発光量毎に増加させ、受光部52の受光量が目標値に到達すれば、その発光量を調整値と判断する。
つぎに、記録用紙Pの左右端を検出するために、図12に示した中央位置から、走査キャリッジ38が記録用紙Pの範囲外となる用紙幅検出開始位置へ移動する(S303)。移動する側は走査方向の左右のいずれでもよいが、ここでは、図の左側に走査キャリッジ38を移動させるものとする。記録用紙Pの範囲外であるか否かは、例えば、コンピュータから出力される印刷データに含まれる記録用紙情報が示す記録用紙サイズから判断することができ、また、走査キャリッジ38が移動可能な走査端まで移動させれば、画像記録可能な最大幅の記録用紙の範囲外となる。
そして、メディアセンサ50をオンとして(S304)、走査キャリッジ38を用紙幅検出開始位置と反対側、すなわち図12の右側へ移動する(S305)。メディアセンサ50の発光部51からは調整された発光量で光が照射され、該光の反射光を受光部52が受光する。該受光部52の出力値であるAD値は、走査キャリッジ38の位置情報となるリニアエンコーダ77のエンコーダ量に関連づけて制御部64のRAM67に記憶させる。そして、走査キャリッジ38を走査開始位置と反対側の記録用紙Pの範囲外まで移動させてメディアセンサ50をオフとする(S306)。この間に受光部52から出力されるAD値はRAM67に記憶させる。
そして、RAM67に記憶されたAD値に基づいて、記録用紙Pの左右端が検出される。例えば、図12における記録用紙Pの左端付近では、RAM67に記録されたAD値は図14に示すグラフのようになる。メディアセンサ50の対応位置に記録用紙Pがない場合、すなわち受光部52がプラテン42からの反射光を受光している場合には、受光部52が出力するAD値は低い第1出力レベルである。そして、記録用紙Pの左端付近でAD値が上昇し、記録用紙Pの範囲内となれば、受光部52は記録用紙Pからの反射光を受光し、受光部52が出力するAD値は高い第2出力レベルとなる。そして、検出されたAD値が、第1出力レベルと第2出力レベルの間に設定した紙端検出閾値となる位置を紙端位置と判断する。この紙端検出閾値は、例えば第1出力レベルと第2出力レベルの中間値とする。記録用紙Pの右端付近では、受光部52が出力するAD値は、第2出力レベルから第1出力レベルとなるので、この間に紙端検出閾値となる位置を紙端位置と判断する。このように、記録用紙Pの前端付近で、記録用紙Pの左右端の位置を検出することにより、画像記録前に記録用紙Pの幅を正確に把握することができる。
そして、検出された記録用紙Pの左右端位置は、端部情報としてRAM67に記憶させる(S307)。この際、制御部64は、検出された記録用紙Pの左右端位置が現在画像記録を行っている記録用紙Pのものか、次に画像記録を行う記録用紙Pnのものかを判定する。詳細には、EEPROM68に格納された用紙後端検出フラグ及び用紙前端検出フラグのオン/オフにより判定する。すなわち、用紙後端検出フラグがオフであり且つ用紙前端検出フラグがオフであれば、メディアセンサ50は現在画像記録を行っている記録用紙P上にあり、制御部64は、検出された左右端位置が該記録用紙Pのものと判定する。また、用紙後端検出フラグがオンであり且つ用紙前端検出フラグがオフであれば、メディアセンサ50は記録用紙Pと記録用紙Pnの紙間に存在するので、制御部64は、左右端検出を行わない。また、用紙後端検出フラグがオンであり且つ用紙前端検出フラグがオンであれば、メディアセンサ50は次に画像記録を行う記録用紙Pn上にあり、制御部64は、検出された左右端位置が該記録用紙Pnのものと判定する。ここでは、S21のステップにより、用紙後端検出フラグがオフであり且つ用紙前端検出フラグがオフであるので、制御部64は、検出された左右端位置を、現在画像記録を行っている記録用紙Pの端部情報としてRAM67に記憶させる。
つぎに、図10に示すように、記録用紙Pが所定搬送量(LF量)だけ搬送する(S40)。図15に示すように、搬送ローラ60及び押さえローラ61に狭持された記録用紙Pは、所定の改行幅で搬送し、その改行毎に走査キャリッジ38に搭載された記録ヘッド39を走査して、記録用紙Pの前端側から画像記録を行う(S50)。詳細には、図16に示すように、記録用紙Pなしをレジストセンサ33が検出してからxmm以上搬送されたか否かを判断する(S401)。このxmmは、記録用紙Pの後端付近がメディアセンサ50の直下に到達したか否かを判定するためのものであり、例えば、レジストセンサ33が記録用紙P無しを検知してからの搬送距離、すなわち搬送ローラ60等に入力された回転量を示すロータリエンコーダ76のエンコーダ量と、レジストセンサ33からメディアセンサ50までの搬送路の距離とに基づいて設定される。したがって、図15に示す状態では、レジストセンサ33は記録用紙P有りを検出しているので、所定の改行幅に相当する搬送量だけ記録用紙Pを搬送する(S402)。
記録用紙Pを所定の改行幅で搬送した後、走査キャリッジ38を走査して記録ヘッド39による画像記録を行う。詳細には、図17に示すように、RAM67に記憶させた記録用紙Pの端部情報を読み出して(S501)、該端部情報に含まれる左右端位置に基づいて印刷データと記録用紙Pの位置合わせを行い、記録ヘッド39から所定のタイミングでインクを吐出させて画像記録を行う(S502)。
一般に、記録用紙Pに画像記録を行う際には、コンピュータ等から複合機1には、記録用紙情報を含む印刷データが送信され、該記録用紙情報には記録用紙Pのサイズが示されている。したがって、制御部64は、該記録用紙情報に基づいて走査キャリッジ38及び記録ヘッド39の動作を制御することもできる。しかし、記録用紙Pはプラテン42上の同じ位置に常に正確に搬送されるものではなく、プラテン42上における幅方向の位置は各記録用紙Pの搬送毎に若干異なっている。そして、記録用紙Pの左右端の縁まで画像記録を行う所謂縁なし印刷の場合には、いわゆる白残りを防止するために、記録用紙Pの左右端に画像記録が行われていない部分が生じず、且つ記録ヘッド39が記録用紙Pの範囲外に吐出するインクをできる限り少なくするために、記録用紙Pの左右端の位置を正確に把握して、該左右端の位置に基づいて走査キャリッジ38及び記録ヘッド39の動作を制御をすることが好適である。
そして、記録ヘッド39が一改行幅分の画像記録を終えた後、次ページの印刷データがコンピュータ等から送信されているか否かを判断する(S60)。記録すべき画像が1ページ分のみである場合には、1ページ分の印刷データが終了するまで、搬送(S40)及び画像記録(S50)を繰り返して、1ページ分の印刷データが終了すれば(S70)、次ページを給紙することなく画像記録を終了する(S80,S90)。なお、本実施の形態では、記録用紙Pの前端付近でのみ用紙幅検出(S30)を行っているが、該用紙幅検出を、改行幅又は改行幅より広い所定の搬送量毎に行うこととしてもよい。縁なし印刷において記録用紙Pの左右端の縁に精度よく画像記録を行うには、1ページの記録用紙に対して少なくとも所定の搬送毎に複数回の用紙幅検出を行うことが好適である。
一方、記録すべき画像が複数ページ分あり、1ページ分の印刷データが終了した後に次ページのデータが送信されている場合には、次ページの給紙タイミングであるか否かを判断する(S61)。本複合機1では、記録用紙Pの連続給紙が可能なので、現在画像記録を行っている記録用紙Pを完全に排紙トレイ21に排出する前に、次の画像記録を行う記録用紙Pnを所定のタイミングで給紙トレイ20から搬送路23へ給送する(S62)。
このような連続給紙は、例えば、現在画像記録を行っている記録用紙P無しをレジストセンサ33が検出すれば、直ちに次の画像記録を行う記録用紙Pnを給送することによりなされる。現在画像記録を行っている記録用紙Pは、搬送ローラ60及び排紙ローラ62により所定の改行幅で画像記録を行いながら間欠的に搬送しているが、次に画像記録を行うべき記録用紙Pnは給紙ローラ25により連続的に搬送する。これにより、記録用紙Pnは記録用紙Pより速く搬送される。そして、レジストセンサ33が記録用紙Pn有りを検出した後は、該記録用紙Pnも記録用紙Pと同期して間欠的に搬送する。したがって、現在画像記録を行っている記録用紙Pと、次に画像記録を行うべき記録用紙Pnとが所定距離だけ搬送方向へ隔てた状態で搬送路23を搬送される。これにより、複数枚の記録用紙Pに画像記録を行う場合に、各記録用紙Pの搬送に要する時間が短縮されて、画像記録に要する時間が短縮される。
以下、連続給紙において現在画像記録を行っている記録用紙Pの後端と、次に画像記録を行うべき記録用紙Pの前端の検出について説明する。
図18に示すように、連続給紙により、現在画像記録を行っている記録用紙Pと、該記録用紙Pから搬送方向へ隔てて次に画像記録を行うべき記録用紙Pnとが同期して搬送路23を搬送されている。例えば縁なし印刷のように、記録用紙Pに対する記録画像の位置を正確に合わせるためには記録用紙Pの後端の位置を正確に検出する必要があり、同様に、記録用紙Pnの前端の位置を正確に検出する必要がある。また、記録用紙Pn有りをレジストセンサ33が検出した後に紙詰まりが生じた場合には、記録用紙Pに紙詰まりが生じたのか、記録用紙Pの画像記録が終了し、記録用紙Pnに紙詰まりが生じたのかを判定して、解消後に再印刷すべき記録用紙を制御部64が決定する必要もある。また、図に示すように、メディアセンサ50と記録ヘッド39とは、走査キャリッジ38において搬送方向に異なる位置にあるので、メディアセンサ50が検知している記録用紙が、記録用紙Pか記録用紙Pnかを判定する必要もある。したがって、縁なし印刷や連続給紙を行う場合には、記録用紙Pと記録用紙Pnとの間、すなわち紙間を正確に検出する必要がある。
図16に示すように、記録用紙P無しをレジストセンサ33が検出してからxmm以上搬送されたか否かを判断する(S401)。図19に示したように、記録用紙Pの後端付近がメディアセンサ50の直下に到達している場合には、記録用紙Pの後端を検出するために、走査キャリッジ38を、改行幅毎の画像記録を行った後、待機位置で待機させて記録用紙Pを改行幅分だけ搬送する。図19に示した状態では、記録用紙Pの後端は未だ検出されていないので、用紙後端検出フラグはオフである(S411)。このように、現在画像記録を行っている記録用紙Pの後端付近がメディアセンサ50の検出位置に至るまでは、走査キャリッジ38を待機位置に待機させることなく、通常の画像記録動作を行い、記録用紙Pの後端付近がメディアセンサ50の検出位置に到達すれば、走査キャリッジ38を待機位置に待機させて該記録用紙Pの後端、及び次に画像記録を行う記録用紙Pnの前端を検出させることにより、記録用紙Pの前端又は後端でない位置での前端及び後端検出動作を省くことができ、画像記録の動作速度が向上する。
詳細には、図19に示すように、記録ヘッド39が記録用紙Pの範囲外、すなわち図における記録用紙Pの右端より右側であり、且つメディアセンサ50が記録用紙の範囲内、すなわち図における記録用紙Pの右端より左側となる待機位置に走査キャリッジ38を待機させる。この待機位置で、メディアセンサ50をオンとする(S412)。この待機位置は、既に検出されている記録用紙Pの端部情報に基づいて決定される。したがって、記録ヘッド39を記録用紙Pの範囲外に、メディアセンサ50を記録用紙Pの範囲内に確実に位置せしめることができる。
そして、走査キャリッジ38を待機位置に待機させた状態で、搬送ローラ60及び排紙ローラ62を駆動して所定の改行幅で記録用紙P及び記録用紙Pnを搬送する(S413)。記録ヘッド39は、記録用紙Pの範囲外に待機されているので、この状態で記録用紙P及び記録用紙Pnを搬送しても、これらが記録ヘッド39に接触することがない。特に、次に画像記録を行うべき記録用紙Pnは、下方から上方へ反転するようにして搬送されており、その前端が上方へ突出しやすいが、該記録用紙Pnの前端が記録ヘッド39に接触することはない。
一方、メディアセンサ50を記録用紙Pの範囲内に待機させることにより、所定改行幅で搬送する際に、現在画像記録を行っている記録用紙Pの後端を精度よく検出することができる(S414)。記録用紙Pの後端の検出方法は、記録用紙Pの左右端の検出方法と同様である。すなわち、メディアセンサ50をオンの状態で記録用紙Pを搬送し、その間に、メディアセンサ50の発光部51から光を照射して、該光の反射光を受光部52で受光する。該受光部52の出力値であるAD値は、搬送ローラ60のロータリエンコーダ76のエンコーダ量に関連づけて制御部64のRAM67に記憶させる。そして、RAM67に記憶されたAD値に基づいて、紙端検出閾値から記録用紙Pの後端を検出する。記録用紙Pの後端を検出した場合には、用紙後端検出フラグをオンとしてEEPROM68に格納し(S415)、メディアセンサ50をオフとする(S416)。そして、記録用紙Pの後端位置を端部情報としてRAM67に記憶させる。一方、記録用紙Pの後端を検出しない場合には、用紙後端検出フラグをオフの状態のままでメディアセンサ50をオフとする(S416)。
記録用紙Pの後端位置が検出されれば、制御部64は、RAM67に記憶された端部情報に基づいて、現在画像記録を行っている印刷データを、検出された記録用紙Pの後端位置までの範囲内で行うように、記録ヘッド39のインク吐出を制御する。これにより、記録用紙Pの後端に精度よく縁なし印刷を行うことができる。
記録用紙Pの後端を検出した後も、次に画像記録を行うべき記録用紙Pnの前端を検出するまで、図20に示すように、記録ヘッド39が記録用紙Pの範囲外であり、且つメディアセンサ50が記録用紙の範囲内となる待機位置に走査キャリッジ38を待機させる。この状態では、記録用紙Pnの前端は検出されていないので、用紙前端検出フラグはオフである(S421)。この待機位置で、メディアセンサ50をオンとする(S422)。
そして、走査キャリッジ38を待機位置に待機させた状態で、搬送ローラ60及び排紙ローラ62を駆動して所定の改行幅で記録用紙P及び記録用紙Pnを搬送する(S423)。前述したように、記録ヘッド39は、記録用紙Pnの範囲外に待機されているので、この状態で記録用紙P及び記録用紙Pnを搬送しても、記録用紙Pnの前端が記録ヘッド39に接触することはない。
一方、メディアセンサ50は記録用紙Pnの範囲内となる位置に待機されているので、所定改行幅で記録用紙Pnを搬送する際に、次に画像記録を行うべき記録用紙Pnの前端を精度よく検出することができる(S424)。記録用紙Pの前端の検出方法は、記録用紙Pの左右端の検出方法と同様である。すなわち、メディアセンサ50をオンの状態で記録用紙Pnを搬送し、その間に、メディアセンサ50の発光部51から光を照射して、該光の反射光を受光部52で受光する。該受光部52の出力値であるAD値は、搬送ローラ60のロータリエンコーダ76のエンコーダ量に関連づけて制御部64のRAM67に記憶させる。そして、RAM67に記憶されたAD値に基づいて、紙端検出閾値から記録用紙Pnの前端を検出する。記録用紙Pnの前端を検出した場合には、用紙前端検出フラグをオンとしてEEPROM68に格納し(S425)、記録用紙Pnの前端位置を端部情報としてRAM67に記憶させる。一方、記録用紙Pnの前端を検出しない場合には、用紙前端検出フラグをオフの状態のままで、メディアセンサ50をオフとする(S426)。
制御部64は、用紙後端検出フラグがオンであり、且つ用紙前端検出フラグがオンであれば、記録用紙Pと記録用紙Pnの紙間を検出したと判断することができる。したがって、この後にメディアセンサ50が出力するAD値は次に印刷すべき記録用紙Pnのものと判断する。そして、制御部64は、EEPROM68に用紙前端検出フラグがオンと格納された以降の端部情報、すなわち上記記録用紙Pnの前端位置からの端部情報を、次に画像記録を行う記録用紙Pnの端部情報としてRAM67に記憶させる。また、EEPROM68に用紙前端検出フラグがオンと格納された以降は、走査キャリッジ38を待機位置に待機させることなく、通常の画像記録動作を行う。すなわち、記録用紙Pを所定の改行幅で搬送した後、走査キャリッジ38を走査しながら、RAM67に記憶させた記録用紙Pの端部情報に基づいて、記録ヘッド39から所定のタイミングでインクを吐出させて画像記録を行う。そして、該走査キャリッジ38を待機位置に待機させることなく、記録用紙Pの範囲外に位置させた状態で、記録用紙Pを所定の改行幅で搬送して、同様に走査キャリッジ38を走査して記録ヘッド39による画像記録を行う。
記録用紙Pnの前端位置が検出されて用紙前端検出フラグがオンであり、記録用紙Pnの前端位置から一定量だけ搬送されれば(S431)、制御部64は、メディアセンサ50をオンにして(S432)、該記録用紙Pnの前端付近において用紙幅検出を行う(S433)。用紙幅検出を行うべき位置は、記録用紙Pnの斜行の可能性を考慮して、前端位置からの搬送量により設定する。
また、記録用紙Pnの前端位置から一定量だけ搬送されてない場合には、指定量だけ記録用紙Pnを搬送する(S434)。そして、制御部64は、現在画像記録を行っている印刷データを記録用紙Pに印刷すべく(S50)、RAM67に記録された記録用紙Pの端部情報に基づいて記録ヘッド39のインク吐出を制御する。
図21は、メディアセンサ50が記録用紙Pn上であって、該記録用紙Pnの前端から所定位置、すなわち記録用紙Pnの前端において用紙幅検出を行う位置にある状態を示している。この状態で、記録ヘッド39は、記録用紙Pの後端付近にあり、記録用紙Pへ画像記録を行っている。制御部64は、記録用紙Pnが搬送されて、メディアセンサ50が図に示す位置となれば、記録用紙Pへの画像記録を休止して、記録用紙Pnの用紙幅検出を行う。用紙幅検出(S433)は、図13に示した用紙幅検出処理と同様である。すなわち、図21に示すように、メディアセンサ50が用紙中央位置となるように走査キャリッジ38を移動して、メディアセンサ50の光量調整を行ってから、記録用紙Pnの左右端を検出するために、図に示した中央位置から、走査キャリッジ38が記録用紙Pの範囲外となる用紙幅検出開始位置(図左側)へ移動する。そして、該走査キャリッジ38を右側へ移動させて、メディアセンサ50から順次出力されるAD値を、走査キャリッジ38の位置情報となるリニアエンコーダ77のエンコーダ量に関連づけてRAM67に記憶させ、該AD値に基づいて記録用紙Pnの左右端を検出する。
このようにして得られた端部情報は、次に画像記録を行うべき記録用紙PnのものとしてRAM67に記憶される。前述したように、制御部64は、記録用紙Pと記録用紙Pnの紙間が検出されたことにより、その後にメディアセンサ50が出力するAD値は次に印刷すべき記録用紙Pnのものと判断できる。したがって、制御部64は、該AD値から検出された記録用紙Pnの左右端位置は、次に画像記録を行うべき記録用紙Pnのものとして、現在画像記録を行っている記録用紙Pの端部情報と識別可能にRAM67記憶させる。
そして、制御部64は、記録用紙Pnの左右端検出を終えた後、再び、記録用紙Pの後端付近への画像記録を行う(S50)。この際、記録ヘッド39のインク吐出の制御に用いる端部情報は、RAM67に記録された記録用紙Pの端部情報を用いる。したがって、記録用紙Pnの左右端検出を行った後も、記録用紙Pの後端まで、該記録用紙Pの左右端位置及び後端位置に基づいて精度よく縁なし印刷を行うことができる。そして、記録用紙Pに記録すべき印刷データが終了し、該記録用紙Pへの画像記録を終了する(S70)。
記録用紙Pへの画像記録が終了すれば、制御部64は、用紙後端検出フラグ及び用紙前端検出フラグをオフとしてEEPROM68に格納する(S71)。そして、次の記録用紙Pnは既に給紙されており(S80)、また、記録用紙Pnの前端位置付近での左右端位置は、記録用紙Pnの端部情報としてRAM67に記憶されているので(S433)、所定の搬送量で記録用紙Pnを搬送し(S40)、記録用紙Pnに対応する端部情報に基づいて、記録ヘッド39のインク吐出を制御して印刷を行う(S50)。これにより、記録用紙Pnの前端及び左右端位置に合わせて精度よく縁なし印刷を行うことができる。
以下、上記実施の形態の変形例について説明する。
上記実施の形態では、図12に示したように、搬送路23の中央を基準ラインLとし、該基準ラインLに記録用紙Pの中央を合わせて搬送しているが、本変形例では、図22に示すように、搬送路23の幅方向の一端側を基準ラインLとして記録用紙Pの一端を該基準ラインLに合わせて搬送する。
そして、図13にフローチャートで示した用紙幅検出処理における光量調整(S302)は、S301のように用紙中央位置でなく、図22に示すように、基準ラインLから所定距離だけ記録用紙Pの内側となる位置で行う。記録用紙Pの一端側を基準ラインLとして搬送する場合には、すべてのサイズの記録用紙Pは該基準ラインLより中央側を必ず通過する。したがって、基準ラインLより中央側であって、画像記録を行う最小サイズの記録用紙Pの幅Wの範囲内で、メディアセンサ50の光量調整を行う位置を設定すればよい。
また、図16にフローチャートで示した用紙後端検出及び用紙前端検出を行う場合の走査キャリッジ38の待機位置(図19参照)は、記録用紙Pの基準ラインL側の一端側とする。すなわち、すべてのサイズの記録用紙Pは、その一端を基準ラインLに合わせて搬送されるので、該一端側を待機位置とすることにより、次に画像記録が行われる記録用紙Pnのサイズに拘わらず、走査キャリッジ38の待機位置を一定にして、記録用紙Pnの前端を確実に検出することができる。