以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る複合機10(インクジェット記録装置)の外観斜視図である。
複合機10は、下部にプリンタ部11を、上部にスキャナ部12を一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)であり、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能を有する。複合機10のうちプリンタ部11が本発明に係るインクジェット記録装置に相当する。プリンタ機能以外の機能が省略されていてもよい。したがって、本発明は、スキャナ部12が省略され、スキャナ機能やコピー機能を有しない単機能のプリンタにも適用され、さらに通信部を備えたファクシミリ機能等を有するものにも適用され得る。
本発明が複合機であるインクジェット記録装置として実施される場合には、本実施形態に係る複合機10のような小型装置として構成されてもよいし、複数の給紙カセットや自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)を備えた大型装置として構成されてもよい。また、複合機10は、主に図示されていないコンピュータと接続されて、当該コンピュータから送信された画像データや文書データに基づいて記録用紙に画像や文書を記録するように構成されていてもよい。さらに、複合機10は、デジタルカメラと接続されて、当該デジタルカメラから出力される画像データを記録用紙に記録したり、各種記録媒体が装填されることにより、当該記録媒体に記録された画像データ等を記録用紙に記録するように構成されていてもよい。
図1が示すように、複合機10は、概ね幅広薄型直方体の外形を呈し、複合機10の高さ寸法より横幅寸法及び奥行寸法が大きく設定されている。複合機10の下部にプリンタ部11が設けられている。プリンタ部11は、正面に開口13を有する。給紙トレイ14及び排紙トレイ15がこの開口13に露出するようにして上下2段に設けられている。給紙トレイ14は、記録用紙を貯蔵するためのものであり、A4サイズ以下の、B5サイズ、はがきサイズ等の各種サイズの記録用紙が収容可能となっている。給紙トレイ14は、スライドトレイ16を備えている。必要に応じてスライドトレイ16が引き出されることにより、トレイ面が拡大されるようになっている。給紙トレイ14に収容された記録用紙は、プリンタ部11の内部へ給送されて所定の画像が記録され、排紙トレイ15へ排出されるようになっている。
複合機10の上部にスキャナ部12が設けられている。このスキャナ部12は、いわゆるフラットベッドスキャナとして構成されている。複合機10は、原稿カバー17を備えている。原稿カバー17は、複合機10に対して開閉自在に設けられており、複合機10の天板として構成されている。原稿カバー17の下側に、図示されていないプラテンガラス及び画像読取キャリッジが設けられている。プラテンガラスは原稿を載置するためのものである。画像読取キャリッジは、このプラテンガラスの下方に設けられており、主走査方向(複合機10の幅方向)にスライド可能である。画像読取キャリッジは、複合機10の幅方向にスライドすることによって原稿を走査する。
複合機10の正面上部に操作パネル18が設けられている。この操作パネル18は、プリンタ部11やスキャナ部12を操作するための装置である。操作パネル18は各種操作ボタンや液晶表示部を備えている。複合機10は、この操作パネル18からの操作指示によって、あるいはプリンタドライバを介してコンピュータから送信される指示によって動作するようになっている。操作パネル18やプリンタドライバは、例えば、記録用紙のサイズ(はがきサイズ、A4サイズ等)等を入力する入力手段として機能し得る。また、複合機10の正面の左上部にスロット部19が設けられている。記録媒体である各種小型メモリカードがこのスロット部19に装填されるようになっている。小型メモリーカードに記録された画像データは、液晶表示部に表示される。そして、操作パネル18が操作されることにより、小型メモリーカードに記録された任意の画像がプリンタ部11によって記録用紙に記録される。
図2は、複合機10のプリンタ部11の構造を示す模式図である。同図において、紙面に垂直な方向が複合機10の幅方向であって上記主走査方向である。
複合機10の底部に給紙トレイ20が設けられている。この給紙トレイ20の奥側(図中右側)には、給紙トレイ20に積載された記録用紙を分離して上方へ案内するための分離傾斜板21が配設されている。この分離傾斜板21から上方へ向かって搬送路22が形成されている。搬送路22は、上方へ延びた後に左方へ湾曲し、複合機10の背面側から正面側へと延びている。さらに、この搬送路22は、画像記録部23を通過して排紙トレイ24へ通じている。したがって、給紙トレイ20に収容された記録用紙は、搬送路22により下方から上方へUターンするように案内されて画像記録部23に至る。画像記録部23が記録用紙に画像記録を行った後、この記録用紙は、排紙トレイ24に排出されることとなる。この搬送路22に沿う方向が記録用紙の搬送方向である。この搬送方向と上記主走査方向とは、直交している。
給紙トレイ20の上側に給紙ローラ25(搬送手段)が設けられている。給紙ローラ25は、給紙トレイ20に積載された記録用紙を1枚ずつ分離して搬送路22へ供給する。給紙ローラ25の構造は既知であって、例えば、給紙ローラ25は、給紙トレイ20に接離可能に上下動する給紙アーム26の先端に軸支されている。この給紙ローラ25は、駆動伝達機構を介してモータに連結されている。この駆動伝達機構は、複数のギアが噛合されて構成され得る。上記モータが作動することにより、その駆動力が給紙ローラ25に伝達され、給紙ローラ25が回転するようになっている。
給紙アーム26は、基端軸27の周りに回動可能に設けられている。これにより、給紙アーム26は、基端軸27を揺動中心として上下方向に揺動可能である。給紙アーム26は、待機状態では、図示されていない給紙クラッチやバネ等により上側へ跳ね上げられており、記録用紙を供給する際に下側へ揺動する。給紙アーム26が下側へ揺動することにより、その先端に軸支された給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙の表面に圧接する。その状態で、給紙ローラ25が回転する。給紙ローラ25のローラ面と記録用紙との間の摩擦力は、最上位置の記録用紙を分離傾斜板21へ送り出す。この記録用紙は、その先端が分離傾斜板21に当接して上方へ案内され、搬送路22へ送り込まれる。なお、給紙ローラ25によって最上位置の記録用紙が送り出される際に、その直下の記録用紙が摩擦や静電気の作用によって共に送り出される場合がある。しかし、この記録用紙は分離傾斜板21に当接することによって制止される。
搬送路22は、画像記録部23等が配設されている箇所以外では、所定間隔で対向する外側ガイド面と内側ガイド面とにより区画形成されている。この複合機10では、外側ガイド面は、複合機10のフレームの内壁面により構成されており、内側ガイド面は、複合機10のフレーム内に設けられたガイド部材の表面によって構成されている。また、特に搬送路22が曲がっている箇所には、搬送コロが設けられていてもよい。同図では搬送コロが図示されていないが、搬送コロは、搬送路22の幅方向(同図において紙面に垂直な方向)を回転中心軸方向として回転自在に設けられていてもよい。搬送コロは、そのローラ面が外側ガイド面又は内側ガイド面に露出するように取り付けられる。この搬送コロが設けられることにより、記録用紙は、搬送路22が曲がっている箇所においてもガイド面に接触して円滑に搬送される。
搬送路22が下方から上方へUターンした後の下流側に、上記画像記録部23が設けられている。図3は、画像記録部23の構成を模式的に示す斜視図であり、図4は、画像記録部23の構成を模式的に示すブロック図である。
図2及び図3が示すように、画像記録部23の上流側に駆動ローラ60及び押さえローラ61(搬送手段)が設けられている。これら駆動ローラ60及び押さえローラ61は、搬送路22を搬送される記録用紙47を狭持し、プラテン41上へ送る。一方、画像記録部23の下流側に排紙ローラ62及び押さえローラ63(搬送手段)が設けられている。これら排紙ローラ62及び押さえローラ63は、記録済みの記録用紙47を狭持して搬送する。駆動ローラ62は、モータ64により回転駆動され、排紙ローラ62も同様のモータにより回転駆動されるようになっている。これにより、記録用紙47は、所定の改行幅で間欠的に送られるようになっている。
押さえローラ61は、駆動ローラ60を所定の押圧力で押圧するように駆動ローラ60に対して弾性付勢されている。したがって、駆動ローラ60と押さえローラ61との間に記録用紙47が進入した場合には、押さえローラ61は、記録用紙47の厚み分だけ弾性的に退避しつつ駆動ローラ60と協働して記録用紙47を狭持する。このため、駆動ローラ60の回転力は、確実に記録用紙47へ伝達される。押さえローラ63も排紙ローラ62に対して同様に設けられている。ただし、押さえローラ63は、記録済みの記録用紙47に圧接するので、記録用紙47に記録された画像を劣化させないようにローラ面が拍車状に形成されているのが好ましい。
駆動ローラ60及び押さえローラ61に狭持された記録用紙47は、所定の改行幅でプラテン41上を間欠搬送される。記録ヘッド43は、記録用紙47の改行ごとに主走査方向にスライドされ、記録用紙47の先端側から画像記録を行う。画像記録が行われた記録用紙47は、その先端側から排紙ローラ62及び押さえローラ63に狭持される。換言すれば、記録用紙47は、先端側を排紙ローラ62及び押さえローラ63に、後端側を駆動ローラ60及び押さえローラ61に狭持された状態で所定の改行幅で間欠して搬送され、記録ヘッド43が記録用紙47に画像の記録を行う。さらに、記録用紙47が搬送されると、記録用紙47の後端が駆動ローラ60及び押さえローラ61を通過する。これにより、記録用紙47は、駆動ローラ60及び押さえローラ61から開放され、排紙ローラ62及び押さえローラ63によって所定の改行幅で間欠して搬送される。この場合も、記録ヘッド43は、記録用紙47に画像の記録を行う。記録用紙47の所定領域に画像が記録された後は、排紙ローラ62が連続的に回転駆動され、排紙ローラ62及び押さえローラ63により狭持された記録用紙47は、排紙トレイ24へ排出される。
図2ないし図4が示すように、画像記録部23は、ヘッド部28と、ヘッド部28と対向配置されたプラテン41と、後述される記録ヘッド43(インクジェット記録ヘッド)にインクを供給するサブタンク29〜36と、このサブタンク29〜36にインクを供給するカートリッジタイプのインクタンク37〜40と、各インクタンク37〜40からインクを引き出すポンプ(図示せず)と、このポンプの駆動等を制御する図示されていない制御装置(制御手段)とを備えている。この制御装置については後に詳述される。
インクタンク37〜40は、カートリッジタイプである必要はなく、要するにインクを貯留しておけるものであればよい。画像記録部23は、プラテン41上を搬送される記録用紙47に画像記録を行うものである。すなわち、ヘッド部28が、インクタンク37〜40から供給されるブラック(Bk)・マゼンタ(M)・シアン(C)・イエロー(Y)等の各色インクを吐出しながら主走査方向にスライドされることにより、記録用紙47に画像が記録される。
各インクタンク37〜40に、可撓性チューブからなる接続管94〜97が連結されている。後述されるようにヘッド部28は、図4において左右方向にスライドされるようになっている。接続管94〜97は可撓性を備え且つ十分な長さに設定されている。したがって、接続管94〜97は、ヘッド部28のスライドに滑らかに追従するように変形することができる。
図3が示すように、ヘッド部28は、走査キャリッジ42を備えている。上記サブタンク29〜36は、この走査キャリッジ42に保持されている。ヘッド部28は、上記記録ヘッド43を備えており、この記録ヘッド43も走査キャリッジ42に保持されている。記録ヘッド43は、走査キャリッジ42の下面に露出するように配置されており、サブタンク29〜36から記録ヘッド43へインクが供給される。走査キャリッジ42は、案内シャフト44に支持されており、この案内シャフト44に沿ってスライドすることができる。走査キャリッジ42には無端ベルト45が取り付けられている。この無端ベルト45にベルト駆動モータ46がプーリを介して連結されており、ベルト駆動モータ46が作動することによってヘッド部28が主走査方向にスライドする。
走査キャリッジ42は、メディアセンサ115(検知手段)を備えている。このメディアセンサ115は、上記記録用紙47の存在及びその端部位置を検知するためのものであって、光源及び受光素子を有している。光源は、下方に光りを発することができる。この光源から発せられた光は、ヘッド部28側に搬送された記録用紙47の表面に照射される。プラテン41上まで記録用紙47が搬送されていない場合は、上記光はプラテン41に照射される。上記記録用紙47又はプラテン41に照射された光は、反射される。上記受光素子は、この反射光を受光し、受光量に応じて出力する。この出力の値は、いわゆるAD値(電圧値)によって表される。前述のように走査キャリッジ42がスライドされることによって、メディアセンサ115が上記プラテン41上を走査する。そして、上記AD値の変化に応じて、記録用紙47がプラテン41上に存在すること及びその端部の位置が検知される。また、後述されるように、制御装置69は、上記AD値に応じて当該記録用紙47の種類(用紙タイプ)を判定するようになっている。
本実施形態に係る複合機10の特徴とするところは、上記メディアセンサ115により検知された記録用紙47の端部位置、後述されるように判定される当該記録用紙47の用紙タイプ及び上記操作パネル18等により入力された当該記録用紙47の用紙サイズ等の情報に基づいて記録用紙47が後述のようにセンシング及び搬送され、高速且つ良好な縁なし記録が実現される点である。
図5は、記録ヘッド43の拡大底面図であって、記録ヘッド43の下面の構造が詳細に図示されている。
同図が示すように、記録ヘッド43の下面にインク吐出口48が設けられている。本実施形態では、このインク吐出口48を構成する4列のノズル49が縦方向に並設されている。同図において縦方向とは、記録用紙47の搬送方向である。同図において最も右端に位置するノズル49は、ブラックインク(Bk)に対応しており、このノズル49からブラックインク(Bkインク)が吐出される。このBkインク用のノズル49に隣り合うように順に、3列のノズル49が設けられている。各列のノズル49は、それぞれ、イエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)に対応しており、各ノズル49からは、イエローインク(Yインク)、マゼンタインク(Mインク)、シアンインク(Cインク)が吐出される。すなわち、この記録ヘッド43は、4色のインクを吐出することができる。
図6は、ヘッド部28の断面図である。
同図が示すように、インク吐出口48を構成する複数のノズル49が、記録ヘッド43の下部にBk、Y、M、Cの各カラーインクごとに並んでいる。各カラーインクに対応する各ノズル49ごとに、当該ノズル49の上流側にマニホールド50が形成されている。マニホールド50は、ノズル49の一端側に形成された供給管51と、ノズル49に連続して形成されたマニホールド室52とから構成されており、供給管51から供給されたインクは、マニホールド室52を通じて各ノズル49に分配されるようになっている。
マニホールド室52のノズル49と対向する面は、インクが流れる下流側へ向かって下降するように傾斜しており、マニホールド室52の断面積は、下流側へ向かって漸次小さくなるように構成されている。マニホールド50により分配されたインクをノズル49がインク吐出口48からインク滴として吐出する機構は、既知の種々の機構が採用され得る。この機構は、典型的には、ノズル49の側壁が圧電材料で構成され、この圧電材料の変形がインク滴を噴出させるものが採用される。
上記マニホールド50の上側にバッファタンク53が配設されている。バッファタンク53は、ノズル49及びマニホールド50と同様に各カラーインクに対応して設けられている。このバッファタンク53が前述の各サブタンク29〜36の一部又は全部を構成していてもよい。上記インクタンク37〜40内のインクは、インク供給口54を通じて各サブタンク29〜36に供給される。このように、インクタンク37〜40から直接ノズル49へインクが供給されずに、インクが一旦バッファタンク53(サブタンク29〜36)にストックされることにより、インク内に発生した気泡が除去され、ノズル49に気泡が進入することが防止される。また、バッファタンク53(サブタンク29〜36)内で捕捉された気泡は、図示されていない気泡排出口から除去される。
各カラーインク(Bk、Y、M、C)に対応する各サブタンク29〜36(バッファタンク53)は、それぞれ、嵌合部56を備えている。この嵌合部56に上記インク供給口54が設けられている。図6では明確に図示されていないが、この嵌合部56に上記可撓性チューブからなる接続管94〜97が連結されている(図3参照)。したがって、図4が示すように、インクタンク37とサブタンク29とが接続管94により接続され、インクタンク38とサブタンク32とが接続管95により接続され、インクタンク39とサブタンク34とが接続管96により接続され、インクタンク40とサブタンク36とが接続管97により接続されている。
図3が示すように、インクタンク37〜40は、ホルダ65に保持されている。前述のように、インクタンク37〜40は、それぞれ、Bkインク、Mインク、Cインク、Yインクを貯留している。各インクタンク37〜40の下部に、それぞれ、上記サブタンク29〜36の嵌合部56(図6参照)に接続される接続部66が設けられている。そして、上記接続管94〜97は、これら接続部66に連結されている。
上記ポンプが作動すると、Yインクがインクタンク40から引き出され、接続管97を介してサブタンク36へ送られる。同様にして、Cインクがインクタンク39からサブタンク34に供給され、Mインクがインクタンク38からサブタンク32へ供給され、Bkインクがインクタンク37からサブタンク29へ供給される。そして、前述のように、各サブタンク29〜36(バッファタンク53)は、供給管51を通じてマニホールド室52と連通しているから(図6参照)、インクタンク37〜40から供給された各カラーインクがサブタンク29〜36(バッファタンク53)及びマニホールド50を通ってノズル49に流れる。記録ヘッド43は、各カラーインクをインク吐出口48からインク滴として吐出する。
図7は、複合機10の制御装置の構成を示すブロック図である。
同図が示すように、制御装置69は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備えた中央処理部70を有し、この中央処理部70が、バス71及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)72を介して、各種センサ、プリンタ部11、スキャナ部12、操作パネル18等とデータ送受信可能に接続されている。
中央処理部70のROMは、所定のコンピュータプログラムを記憶している。CPUは、このコンピュータプログラムにしたがい、各種センサの情報に基づいて種々の演算を行う。これにより、駆動ローラ60の駆動源であるモータ64(LFモータ)の回転制御、ヘッド部28をスライドさせるためのベルト駆動モータ46(CRモータ)の回転制御、インクタンク37〜40からインクを引き出すための上記ポンプの作動制御及びメディアセンサ115から送信される情報(上記AD値)に基づく用紙タイプの判定その他所定の演算等が行われる。
上記CPUは、上記メディアセンサ115からの情報(上記AD値)に基づき、上記ROMに記憶されたコンピュータプログラムにしたがって記録用紙47の用紙タイプを判定する。すなわち、このCPUは、記録用紙47の用紙タイプを判定する判定手段として機能する。さらに、上記CPUは、上記メディアセンサ115からの情報(上記AD値)に基づいて、プラテン41上における記録用紙47の存在及びその端部位置を検出する。具体的には、上記メディアセンサ115から出力されるAD値の変化に基づいて、記録用紙47の主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置が検知される。
これら記録用紙47の主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置は、当該記録用紙47の先頭検出点及び中間検出点において検出される。後に詳述されるが、先頭検出点とは、記録用紙47の一端及び他端の位置を定量的に検出するための検出点であって、当該記録用紙47の搬送方向の先頭位置である。また、中間検出点とは、上記先頭検出点を基準に搬送方向後方に所定距離(例えば1/4インチ)ごとに設定された検出点である。そして、上記CPUは、先頭検出点及び複数の中間検出点において検出された上記主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置に基づき、当該記録用紙47の斜行量を演算により決定する。
上記各検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置並びに当該記録用紙47の斜行量、用紙タイプ及び用紙サイズは、それぞれ関連づけられて上記RAM(記憶手段)に記憶される。すなわち、用紙タイプ情報と、用紙サイズ情報と、先頭検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置、各中間検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置及び斜行量を含む端部位置情報とが当該記録用紙47に関する情報のグループを構成する。そして、上記CPUは、これら情報に基づいて、後述のようなヘッド部28の制御等を行う。
複合機10は、操作パネル18からの入力のほか、例えばパーソナルコンピュータ(PC)73と接続され、このコンピュータ73から送信された画像データや文書データに基づいて記録用紙47に画像や文書を記録することもできる。そのために、パーソナルコンピュータ73とデータを送受信するためのインタフェース(I/F)も備えている。なお、本実施形態で示した制御装置69の構成は一例であり、したがって、後述の制御を行う制御装置であれば、他の構成が採用されてもよいことは勿論である。
図8は、インクがインクタンク37〜40からサブタンク29〜36を経て記録ヘッド43へ送られるインク供給経路及び記録ヘッド43の動作位置を模式的に示したものである。
インクタンク37〜40から供給されたインクは、前述のようにサブタンク29〜36(バッファタンク53:図6参照)に貯留されてインク中の気泡が捕捉される。このインクは、供給管51(図6参照)からマニホールド室52へ流れてノズル49に分配され、各ノズル49からインク滴として吐出される。このようにして記録ヘッド43が各カラーインクのインク滴を吐出しながら、画像記録範囲W1をスライドすることにより、記録ヘッド43の下方を搬送される記録用紙47に画像が記録される。
同図が示すように、記録ヘッド43の画像記録範囲W1外であって走査可能範囲W2の両端側には、パージ機構74及び廃インクトレイ75がそれぞれ配設されている。パージ機構74は、記録ヘッド43のノズル49等から気泡や異物を吸引除去するためのものであって、上記ポンプを備えている。記録ヘッド43が走査可能範囲W2の右端にスライドすると、パージ機構74のキャップ76が上方へ移動し、キャップ76は、記録ヘッド43の下面にインク吐出口48を覆うように密着する。このキャップ76に上記ポンプが接続されている。このポンプが作動することによって、記録ヘッド43のノズル49等からインクが吸引され、上記各サブタンク29、32、34及び36に送られる。本実施形態に係る複合機10では、インクタンク37〜40は外部と連通しており、インクタンク37〜40内の圧力は、大気圧となっている。また、記録ヘッド43は、インクタンク37〜40よりも下方に配置されている。したがって、記録ヘッド43がインクを吐出することによって、大気圧が作用しているインクタンク37〜40内のインクが上記接続管94〜97(図4参照)を介して連続的に記録ヘッド43へ供給される。さらに、上記記録ヘッド43をスライドさせるためのベルト駆動モータ46の制御、キャップ76の移動制御、ポンプの制御は、上記制御装置69が行う。
廃インクトレイ75は、記録ヘッド43からのインクの空吐出を受けるためのものである。このようなインクの空吐出は、一般にフラッシングと呼ばれる。フラッシングの際には、記録ヘッド43が走査可能範囲W2の左端に移動され、その位置で各カラーインクが廃インクトレイ75へ向かって空吐出される。なお、パージ機構74及び廃インクトレイ75の左右の配置は特に限定されるものではなく、走査可能範囲W2において前述と左右反対に配置しても、左右のいずれか一方に両者を配置してもよい。
インクタンク37〜40を保持したホルダ65(図3参照)は、例えば走査可能範囲W2の右端に設置されることができる。もっとも、このホルダ65は、走査可能範囲W2の左端、その他複合機10のフレームのデッドスペースに配置されていてもよいことは勿論である。
図9は、本実施形態に係る複合機10による記録要領を示すフローチャートである。当該複合機10は、次の要領で記録用紙47に画像を記録する。
所定の画像データに基づき記録が開始されると(ステップS1)、パラメータC、パラメータDが初期値(C=D=0)に設定される。これらパラメータC、Dは、搬送され、画像記録される記録用紙47に関するカウンタである。パラメータCは、記録回数のカウンタであり、パラメータDは、後述される簡易制御の回数のカウンタである。記録開始から第1枚目の記録用紙47について画像記録がなされるとき、このパラメータCがカウントアップされる(ステップS2)。その後、第1枚目の記録用紙47が給紙される(ステップS3)。記録用紙47の給紙は、給紙ローラ25によって行われ(図2参照)、駆動ローラ60及び排紙ローラ62によって搬送路22を搬送される。この記録用紙47は、所定の位置まで搬送され、画像記録に備えてセットされる。この所定の位置とは、例えば、ヘッド部28の直前の位置であって、メディアセンサ115が当該記録用紙47の先頭における側方端部を検出することができる位置である。
次に、当該記録用紙47の用紙サイズ、用紙タイプが過去n枚の記録用紙の用紙サイズ、用紙タイプと同じかどうかが判断される(ステップS4)。この数値nは、適宜設定され得る。本実施形態では、n=10に設定されている。当該記録用紙47は、第1枚目の用紙であるから、当該記録用紙47への画像記録は、後述の詳細制御(ステップS5〜S10)に基づいて行われる。すなわち、まず、当該記録用紙47の先頭検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置が検知される。具体的には、走査キャリッジ42がスライドされ(図3参照)、メディアセンサ115が当該記録用紙47の存在及び上記主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置を検知する(ステップS5)。ここで、「先頭検出点」とは、搬送される記録用紙47の側方一端及び側方他端の位置を定量的に検出するための検出点であって、記録用紙の搬送方向の先頭位置である。この先頭検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置は、当該記録用紙47の端部位置情報として上記制御装置69のRAMに記憶される(ステップS6)。また、前述のように、この制御装置69は、メディアセンサ115が受光した当該記録用紙47からの反射光の受光量に応じて当該記録用紙47の用紙タイプを判定し、これを上記RAMに用紙タイプ情報として記憶させる(ステップS7)。なお、当該記録用紙47の用紙サイズは、例えば上記操作パネル18(図1参照)から入力され、上記RAMに用紙サイズ情報として記憶される(ステップS8)。前述のように、このRAMは、これら端部位置情報、用紙タイプ情報、用紙サイズ情報を当該記録用紙47の情報のグループとして関連づけて記憶する。
そして、走査キャリッジ42がスライドされつつ記録ヘッド43からインク滴が吐出されることにより、当該記録用紙47に画像が記録される。このとき、画像記録は、搬送距離(送り量)1/4インチだけ行われる(ステップS9)。この1/4インチ分の記録は、印字改行幅と一致されている必要はなく、したがって、1/4インチの送り量に複数回の改行動作が含まれていてもよい。その後、当該記録用紙47について画像記録が完了しているかどうかが判断される(ステップS10)。当該記録用紙47にさらに記録される場合には、上記ステップS5〜ステップ9が繰り返される。具体的には、1/4インチの送り量ごとに、当該記録用紙47の中間検出点における上記端部位置情報等が検知され、上記RAMに記憶される。このRAMに記憶された中間検出点における端部位置情報等に基づいて、再び走査キャリッジ42がスライドされつつ記録ヘッド43からインク滴が吐出される。このようにして、画像記録が続けられる。ここで「中間検出点」とは、上記先頭検出点を基準に搬送方向後方に所定距離(本実施形態では1/4インチ)ごとに設定された検出点であり、本実施形態では、複数の中間検出点が設けられている。上記ステップS5〜ステップS9は、当該記録用紙47について画像記録が完了するまで繰り返され、当該記録用紙47の画像記録が完了したときは、次のページがあるか否かが判断される(ステップS11)。
次のページ(第2枚目の記録用紙47)に画像記録がなされないときは、この複合機10による画像記録が終了され、第2枚目以後の記録用紙47に画像記録がなされるときは、上記ステップS2により、用紙カウンタCがカウントアップされる。上記数値nが10に設定されていることから、連続して11枚以上の記録用紙47に画像記録されないときは、上記ステップS2〜ステップS11が繰り返される。すなわち、複数の記録用紙に連続して画像が記録される場合に、第1枚目から第n枚目(第10枚目)までの各記録用紙47については、先頭検出点及び各中間検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置、用紙サイズ及び用紙タイプが詳細に検知され、これら各情報に基づいて記録ヘッド43がインク滴を吐出することにより、良好な縁なし記録が可能となる。
第(n+1)枚目、すなわち第11枚目の記録用紙47に記録されるときは、用紙カウンタCがカウントアップされ(ステップS2)、給紙される(ステップS3)。このとき、上記第1枚目から第10枚目の記録用紙47の用紙サイズが連続して不変であるかどうかが判断され(ステップS4)、用紙サイズが不変であるならば、次に用紙タイプが同じであるかどうかが判断される(ステップS12)。第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の用紙サイズが変わっているならば、上記ステップS5〜ステップS10(上記詳細制御)にしたがって画像記録される。
ステップS12において、第1枚目から第10枚目までの記録用紙47についてそれらの用紙タイプが不変であるならば、次に、位置偏差が一定範囲内であるかどうかが判断される(ステップS13)。第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の用紙タイプが変わっているならば、上記ステップS5〜ステップS10(上記詳細制御)にしたがって画像記録される。
上記位置偏差とは、上記主走査方向(すなわち記録用紙47の搬送方向に直交する方向であり、記録用紙47の幅方向)の位置の偏差であって、本実施形態では、上記第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の側方一端の位置のずれ幅(偏差)により定義される。ステップS13において、第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の位置偏差が0.2mmを超える場合には、上記ステップS5〜ステップS10(上記詳細制御)にしたがって画像記録される。また、上記位置偏差が0.2mm以内であれば、当該第11枚目の記録用紙47の位置は、次のように擬制される(ステップS14)。
すなわち、第11枚目の記録用紙47については、上記第1枚目から第10枚目の記録用紙47の用紙サイズ及び用紙タイプが不変であり且つ上記位置偏差が0.2mm以内であるならば、当該第11枚目の記録用紙については、その位置検知等が行われずに、後述の簡易制御(ステップS14〜S17)に基づいて画像記録が行われる。換言すれば、上記第1枚目から第10枚目の記録用紙47の用紙サイズ、用紙タイプが不変であり且つ上記第1枚目から第n10目までの記録用紙の位置偏差が上記一定範囲内であるならば、この複合機10において、連続して供給される複数の記録用紙47は、位置ずれすることなく正確に連続搬送されているものとみなされる。そして、そうであるならば、画像記録に長時間を要する上記詳細制御が中断され、これに代えて上記簡易制御が行われる。
この簡易制御が行われる場合には、第11枚目の記録用紙47が搬送されるときの位置が擬制される(ステップS14)。具体的には、本実施形態では、第11枚目の記録用紙47の主走査方向一端の位置が第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の主走査方向一端の位置の平均値として把握される。なお、第11枚目の記録用紙47の主走査方向他端の位置が第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の主走査方向他端の位置の平均値として把握されてもよい。そして、第11枚目の記録用紙47については、上記のように擬制された位置に基づいて上記走査キャリッジ42のスライド及び記録ヘッド43からのインク滴の吐出が簡易に制御される。
ここで、上記第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の主走査方向一端の位置の平均値又は主走査方向他端の位置の平均値が求められるときには、それらの最大値と最小値が除外されるのが好ましい。つまり、上記第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の主走査方向一端の位置の最大値及び最小値並びに主走査方向他端の位置の最大値及び最小値が除外され、その余の8枚の記録用紙47について主走査方向一端の位置の平均値又は主走査方向他端の位置の平均値が求められるのが好ましい。
このように簡易制御により画像が記録された場合には、簡易制御カウンタDがカウントアップされる(ステップS15)。そして、このカウンタDが所定値mを超えるかどうかが判断される(ステップS16)。このカウンタDが所定値m以下であるならば、当該第11枚目の記録用紙47について画像記録が続行される(ステップS17)。これにより、当該第11枚目の記録用紙への画像記録が迅速に行われる。
仮に上記カウンタDが所定値mを超えるならば、上記簡易制御は行われず、上記詳細制御が行われる。つまり、上記ステップS5〜ステップS10にしたがって画像が記録される。上記所定値mは、本実施形態では、m=10に設定されている。上記カウンタDの初期値はD=0であるから、簡易制御による画像記録が10枚を超えるまでは、記録用紙47は簡易制御による記録が行われる。このステップS16が設けられることにより、上記簡易制御が行われている場合であっても、定期的に上記詳細制御に強制的に切り換えられることになる。したがって、何らかの原因により、連続供給される記録用紙47に突然に大きな位置ずれが発生した場合であっても、大量の記録用紙47について記録ミスが発生することはない。もっとも、このステップS16は、省略されていてもよい。なお、このステップS16により、上記簡易制御から上記詳細制御に強制的に切り換えられた場合は、上記カウンタDは、初期値D=0にリセットされる(ステップS18)。これにより、簡易制御により画像記録されている場合であっても、10枚のうち1枚の割合で詳細制御による画像記録が行われ、その後、再び10枚の記録用紙については簡易制御による画像記録がなされ得る。
第(n+2)枚目(第12枚目)以後の記録用紙47についても、第11枚目の記録用紙47と同様に扱われる。すなわち、仮に上記第1枚目から第10枚目の記録用紙47の用紙サイズ及び用紙タイプが不変であり且つ第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の位置偏差が上記一定範囲内であるときには、当該第12枚目以後の記録用紙47についてもそれらの位置検知が行われずに、上記擬制された位置に基づいて上記走査キャリッジ42のスライド及び記録ヘッド43からのインク滴の吐出が簡易制御される。したがって、第12枚目以後の記録用紙47への画像記録も迅速に行われる。そして、上記ステップS11において、続いて供給される記録用紙47が無い場合には、当該複合機10による画像記録作業は、終了する。
このように、本実施形態に係る複合機10では、複数の記録用紙47に連続して画像が記録される際に、最初の所定枚数の記録用紙47については、その端部位置が詳細に検知される。そして、この端部位置が所定範囲内であることを条件として(上記位置偏差が上記所定範囲内であることを条件として)、その後の記録用紙47(当該所定枚数以後の各記録用紙47)については、上記所定枚数の記録用紙47の端部位置情報、用紙タイプ情報及び用紙サイズ情報に基づいて当該その後の記録用紙47の端部位置が擬制され、この擬制された端部位置に基づいて記録ヘッド43からのインク滴の吐出が簡易に制御される。すなわち、当該複合機10の制御装置69は、最初の一定枚数の記録用紙47についてその位置ずれが小さく且つその用紙タイプ及び用紙サイズが不変であるならば、その後の記録用紙47については、それらの位置ずれ、用紙タイプ及び用紙サイズを検知することなく、既に記録された記録用紙47に関するデータに基づいて記録ヘッド43のインク滴の吐出を制御する。したがって、多数枚の記録用紙47への画像記録が迅速に行われる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明される。
図10は、本発明の第2の実施形態に係る複合機10による記録要領を示すフローチャートである。本実施形態に係る記録用紙47への画像記録の要領が上記第1の実施形態に係る画像記録の要領と異なるところは、記録用紙47が上記簡易制御により画像記録される際に、当該記録用紙47の先頭検出点における端部位置がセンシングされる点である(ステップS19)。なお、その他の構成については、上記第1の実施形態に係る複合機10と同様である。
図11は、先頭検出点におけるセンシングの要領を示すフローチャートである。
同図が示すように、当該記録用紙47の先頭検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置が検知される。具体的には、走査キャリッジ42がスライドされ(図3参照)、メディアセンサ115が当該記録用紙47の存在及び上記主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置を検知する。この先頭検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置は、当該記録用紙47の端部位置情報として上記制御装置69のRAMに記憶される(ステップS20)。また、前述されたように、当該記録用紙47の用紙サイズは、例えば上記操作パネル18(図1参照)から入力され、上記RAMに用紙サイズ情報として記憶される(ステップS21)。さらに、この制御装置69は、メディアセンサ115が受光した当該記録用紙47からの反射光の受光量に応じて当該記録用紙47の用紙タイプを判定し、これを上記RAMに用紙タイプ情報として記憶させる(ステップS22)。上記RAMは、これら端部位置情報、用紙タイプ情報、用紙サイズ情報を当該記録用紙47の情報のグループとして関連づけて記憶する。
次に、当該記録用紙47の用紙サイズと、過去n枚(10枚)の記録用紙の用紙サイズとが同一であるかどうかが判断され(ステップS23)、用紙サイズが不変であるならば、次に用紙タイプが同じであるかどうかが判断される(ステップS24)。第1枚目から第10枚目までの記録用紙47のサイズが変わっているならば、上記ステップS6〜ステップS10(上記詳細制御)にしたがって画像記録される(図10参照)。本実施形態では、用紙サイズの同一を判断するための比較データとして、第1枚目から第10枚目までの記録用紙47のデータが採用されるが、この比較データとして、過去直前n枚(10枚)の記録用紙47が基準とされてもよいことは勿論である。
ステップS24において、第1枚目から第10枚目までの記録用紙47についてそれらの用紙タイプが不変であるならば、次に、位置偏差が一定範囲内であるかどうかが判断される(ステップS25)。第1枚目から第10枚目までの記録用紙47のタイプが変わっているならば、上記ステップS6〜ステップS10(上記詳細制御)にしたがって画像記録される(図10参照)。この場合においても、用紙タイプの同一を判断するための比較データとして、第1枚目から第10枚目までの記録用紙47のデータに代えて過去直前n枚(10枚)の記録用紙47のデータが採用されてもよいことは勿論である。
本実施形態では、第1枚目の記録用紙から当該記録用紙47までの位置偏差が、第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の位置偏差よりも小さいかどうかが判断される(ステップS25)。そして、第1枚目の記録用紙から当該記録用紙47までの位置偏差が、第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の位置偏差よりも小さいのであれば、簡易制御による画像記録が続行され(ステップS17)、第1枚目の記録用紙から当該記録用紙47までの位置偏差が、第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の位置偏差よりも大きいのであれば、簡易制御に代えて上記詳細制御(ステップS6〜ステップS10)により画像記録される。なお、この場合においても、位置偏差の大小を判断するための比較データとして、第1枚目から第10枚目までの記録用紙47のデータに代えて過去直前n枚(10枚)の記録用紙47のデータが採用されてもよいことは勿論である。
このように、本実施形では、上記第(n+1)枚目(第11枚目)以後の記録用紙47への画像記録の際に、当該記録用紙47の先頭検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置並びに用紙サイズ及び用紙タイプが検知され、当該第11枚目以後の記録用紙47の側方一端又は他端の位置のずれ幅が大きい場合等においては、上記簡易制御されることなく、上記詳細制御により画像記録が行われる(図10参照)。したがって、第11枚目以後の記録用紙47が突然に大きく位置ずれを起こした場合であっても、良好な縁なし記録が実現される。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明される。
図12は、本発明の第3の実施形態に係る複合機10による記録要領を示すフローチャートである。本実施形態に係る記録用紙47への画像記録の要領が上記第1の実施形態に係る画像記録の要領と異なるところは、上記第1の実施形態では、上記簡易制御による画像記録がなされるための判断基準として上記位置偏差が採用されていたのに対し、本実施形態では、記録用紙の斜行量が判断基準として採用される点である。
同図が示すように、所定の画像データに基づき記録が開始されると(ステップS1)、パラメータC、パラメータDが初期値(C=D=0)に設定される。上記第1の実施形態と同様に、これらパラメータC、Dは、搬送され、画像記録されるる記録用紙47に関するカウンタであり、パラメータCは、記録回数のカウンタであり、パラメータDは、後述される簡易制御の回数のカウンタである。記録開始から第1枚目の記録用紙47について記録されるとき、このパラメータCがカウントアップされる(ステップS2)。その後、第1枚目の記録用紙47が給紙される(ステップS3)。記録用紙47の給紙は、給紙ローラ25によって行われ(図2参照)、駆動ローラ60及び排紙ローラ62によって搬送路22を搬送され、所定の位置まで搬送される。この所定の位置とは、例えば、上記ヘッド部28の直前の位置であって、メディアセンサ115が当該記録用紙47の先頭における側方端部を検出することができる位置である。
次に、当該記録用紙47のサイズ、タイプが過去n枚の記録用紙のサイズ、タイプと同じかどうかが判断される(ステップS4)。この数値nは、適宜設定され得る。本実施形態では、上記第1の実施形態と同様にn=10に設定されている。当該記録用紙47は、第1枚目の用紙であるから、当該記録用紙47への画像記録は、次の詳細制御(ステップS5〜S10)に基づいて行われる。すなわち、まず、当該記録用紙47の先頭検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置が検知される。具体的には、走査キャリッジ42がスライドされ(図3参照)、メディアセンサ115が当該記録用紙47の存在及び上記主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置を検知する(ステップS5)。この先頭検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置は、当該記録用紙47の端部位置情報として上記制御装置69のRAMに記憶される(ステップS6)。また、前述のように、この制御装置69は、メディアセンサ115が受光した当該記録用紙47からの反射光の受光量に応じて当該記録用紙47の用紙タイプを判定し、これを上記RAMに用紙タイプ情報として記憶させる(ステップS7)。なお、当該記録用紙47の用紙サイズは、例えば上記操作パネル18(図1参照)から入力され、上記RAMに用紙サイズ情報として記憶される(ステップS8)。前述のように、このRAMは、これら端部位置情報、用紙タイプ情報、用紙サイズ情報を当該記録用紙47の情報のグループとして関連づけて記憶する。
走査キャリッジ42がスライドされつつ記録ヘッド43からインク滴が吐出され、これにより、当該記録用紙47に画像が記録される。このとき、画像記録は、所定の搬送距離(送り量)だけ行われる(ステップS9)。本実施形態では、この所定の搬送距離は、1/4インチに設定されている。この1/4インチ分の記録は、印字改行幅と一致されている必要はなく、したがって、1/4インチの送り量に複数回の改行動作が含まれていてもよい。その後、当該記録用紙47について画像記録が完了しているかどうかが判断される(ステップS10)。当該記録用紙47にさらに記録される場合には、上記ステップS5〜ステップ9が繰り返される。具体的には、1/4インチの送り量ごとに、当該記録用紙47の中間検出点における上記端部位置情報等が検知され、上記RAMに記憶される。このRAMに記憶された中間検出点における端部位置情報等に基づいて、再び走査キャリッジ42がスライドされつつ記録ヘッド43からインク滴が吐出され、これにより、画像記録が続けられる。なお、上記「先頭検出点」及び「中間検出点」の意義は、前述の通りである。上記ステップS5〜ステップS9は、当該記録用紙47について画像記録が完了するまで繰り返される。
上記ステップS10において、当該記録用紙47の画像記録が完了したときは、次のページがあるか否かが判断される(ステップS11)。当該記録用紙47の最終中間検出点(当該記録用紙の最も後端側の中間検出点)における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置から、当該記録用紙47の斜行量が検知される。具体的には、制御装置69のCPUは、当該記録用紙47の先頭検出点における主走査方向一端の位置と最終中間検出点における主走査方向一端の位置とから当該記録用紙47の斜行量を算出する。この斜行量は、搬送される記録用紙47が搬送方向に対して斜行する程度を表すものであって、例えば、上記先頭検出点における上記主走査方向一端の位置と最終中間検出点における上記主走査方向一端の位置との偏差により決定される。この斜行量は、端部位置情報として上記RAMに記憶される(ステップS26)。
その後、次のページがあるか否かが判断される(ステップS11)。次のページ(第2枚目の記録用紙47)に画像記録がなされないときは、この複合機10による画像記録が終了され、第2枚目以後の記録用紙47に画像記録がなされるときは、上記ステップS2により、用紙カウンタCがカウントアップされる。上記数値nが10に設定されていることから、連続して11枚以上の記録用紙47に画像記録されないときは、上記ステップS2〜ステップ10、ステップS26及びステップS11が繰り返される。すなわち、複数の記録用紙47に連続して画像が記録される場合に、第1枚目から第n枚目(第10枚目)までの各記録用紙47については、先頭検出点及び各中間検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置、用紙サイズ、用紙タイプ及び斜行量が詳細に検知され、これら各情報に基づいて記録ヘッド43がインク滴を吐出することにより、良好な縁なし記録が可能となる。
第(n+1)枚目、すなわち第11枚目の記録用紙47に記録されるときは、用紙カウンタCがカウントアップされ(ステップS2)、給紙される(ステップS3)。このとき、上記第1枚目から第10枚目の記録用紙47の用紙サイズが不変であるかどうかが判断され(ステップS4)、用紙サイズが不変であるならば、次に用紙タイプが同じであるかどうかが判断される(ステップS12)。第1枚目から第10枚目までの記録用紙47のサイズが変わっているならば、上記ステップS5〜ステップS10及びステップS26(上記詳細制御)にしたがって画像記録される。
ステップS12において、第1枚目から第10枚目までの記録用紙47についてそれらの用紙タイプが不変であるならば、次に、上記斜行量が一定斜行範囲内であるかどうかが判断される(ステップS27)。第1枚目から第10枚目までの記録用紙47のタイプが変わっているならば、上記ステップS5〜ステップS10及びステップS26(上記詳細制御)にしたがって画像記録される。
上記ステップS27において、第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の斜行量が1.0mmを超える場合には、上記ステップS5〜ステップS10及びステップS26(上記詳細制御)にしたがって画像記録される。また、上記斜行量が1.0mm以内であれば、当該第11枚目の記録用紙47の位置が次のように擬制される(ステップS14)。
すなわち、第11枚目の記録用紙47については、上記第1枚目から第10枚目の記録用紙47の用紙サイズ及び用紙タイプが不変であり且つ上記斜行量が1.0mm以内であるならば、当該第11枚目の記録用紙については、その位置検知等が行われずに、後述の簡易制御(ステップS14〜S17)に基づいて画像記録が行われる。換言すれば、上記第1枚目から第10枚目の記録用紙47の用紙サイズ、用紙タイプが不変であり且つ上記第1枚目から第n10目までの記録用紙の斜行量が一定の範囲内にあるならば、この複合機10において、連続して供給される複数の記録用紙47は、位置ずれを起こすことなく正確に連続搬送されているものとみなされる。そして、その場合には、画像記録に長時間を要する上記詳細制御が中断され、これに代えて上記簡易制御が行われる。
この簡易制御が行われる場合には、第11枚目の記録用紙47が搬送されるときの位置が擬制される(ステップS14)。具体的には、本実施形態では、第11枚目の記録用紙47の主走査方向一端の位置が第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の主走査方向一端の位置の平均値として把握される。なお、第11枚目の記録用紙47の主走査方向他端の位置が第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の主走査方向他端の位置の平均値として把握されてもよい。そして、第11枚目の記録用紙47については、上記のようにその位置が擬制され、これに基づいて上記走査キャリッジ42のスライド及び記録ヘッド43からのインク滴の吐出が簡易に制御される。
本実施形態においても、上記第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の主走査方向一端の位置の平均値又は主走査方向他端の位置の平均値が求められるときには、それらの最大値と最小値が除外されるのが好ましい。つまり、上記第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の主走査方向一端の位置の最大値及び最小値並びに主走査方向他端の位置の最大値及び最小値が除外され、その余の8枚の記録用紙47について主走査方向一端の位置の平均値又は主走査方向他端の位置の平均値が求められるのが好ましい。
このように簡易制御により画像が記録された場合には、簡易制御カウンタDがカウントアップされる(ステップS15)。そして、このカウンタDが所定値mを超えるかどうかが判断される(ステップS16)。このカウンタDが所定値m以下であるならば、当該第11枚目の記録用紙47について画像記録が続行される(ステップS17)。したがって、当該第11枚目の記録用紙への画像記録が迅速に行われる。
上記カウンタDが所定値mを超えるならば、上記簡易制御は行われず、上記詳細制御が行われる。つまり、上記ステップS5〜ステップS10にしたがって画像が記録される。本実施形態では、上記所定値mは、上記各実施形態と同様にm=10に設定されている。上記カウンタDの初期値はD=0であるから、簡易制御による画像記録が10枚を超えるまでは、記録用紙47は簡易制御による記録が行われる。このステップS16が設けられることにより、上記簡易制御が行われている場合であっても、定期的に上記詳細制御に強制的に切り換えられることになる。したがって、何らかの原因により、連続供給される記録用紙47が突然に大きく斜行した場合であっても、大量の記録用紙47について記録ミスが発生することはない。もっとも、このステップS16は、省略されていてもよい。なお、このステップS16により、上記簡易制御から上記詳細制御に強制的に切り換えられた場合は、上記カウンタDは、初期値D=0にリセットされる(ステップS18)。これにより、簡易制御により画像記録されている場合であっても、10枚のうち1枚の割合で詳細制御による画像記録が行われ、その後、再び10枚の記録用紙については簡易制御による画像記録がなされ得る。
第(n+2)枚目(第12枚目)以後の記録用紙47についても、第11枚目の記録用紙47と同様に扱われる。すなわち、仮に上記第1枚目から第10枚目の記録用紙47の用紙サイズ及び用紙タイプが不変であり且つ第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の斜行量が上記一定斜行範囲内であるときには、当該第12枚目以後の記録用紙47についてもそれらの位置検知が行われずに上記走査キャリッジ42のスライド及び記録ヘッド43からのインク滴の吐出が簡易制御される。したがって、第12枚目以後の記録用紙47への画像記録も迅速に行われる。そして、上記ステップS11において、続いて供給される記録用紙47が無い場合には、当該複合機10による画像記録作業は、終了する。
本実施形態では、用紙サイズの同一及び用紙タイプの同一を判断するための比較データとして、また、上記斜行量を判断するためのデータとして、第1枚目から第10枚目までの記録用紙47のデータが採用されるが、これに代えて、過去直前n枚(10枚)の記録用紙47が基準とされてもよいことは勿論である。すなわち、第12枚目の記録用紙47に対して簡易制御が行われるか否かの判断につき、第2枚目から第11枚目の記録用紙47に関するデータが採用され、一般に第k枚目の記録用紙47に対して簡易制御が行われるか否かの判断につき、第(k−11)枚目から第(k−1)枚目の記録用紙47に関するデータが採用されてもよい。
このように、本実施形態に係る複合機10では、上記第1の実施形態と同様に、複数の記録用紙47に連続して画像が記録される際に、最初の所定枚数の記録用紙47については、その端部位置が詳細に検知される。そして、この端部位置が所定範囲内であることを条件として(上記斜行量が一定斜行範囲内であることを条件として)、その後の記録用紙47(当該所定枚数以後の各記録用紙47)については、上記所定枚数の記録用紙47の端部位置情報、用紙タイプ情報及び用紙サイズ情報に基づいて、当該その後の記録用紙47の端部位置が擬制され、この擬制された端部位置に基づいて記録ヘッド43からのインク滴の吐出が制御される。すなわち、当該複合機10の制御装置69は、最初の一定枚数の記録用紙47についてその位置ずれが小さく且つその用紙タイプ及び用紙サイズが不変であるならば、その後の記録用紙47については、それらの位置ずれ、用紙タイプ及び用紙サイズを検知することなく、既に記録された記録用紙47に関するデータに基づいて記録ヘッド43のインク滴の吐出を制御する。したがって、多数枚の記録用紙47への画像記録が迅速に行われる。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明される。
図13は、本発明の第4の実施形態に係る複合機10による記録要領を示すフローチャートである。本実施形態に係る記録用紙47への画像記録の要領が上記第3の実施形態に係る画像記録の要領と異なるところは、当該記録用紙47について上記簡易制御により画像記録がなされるための要件として、過去n枚の記録用紙47の位置偏差が一定範囲内であることが追加されている点である(ステップS28)。なお、その他の構成については、上記第3の実施形態に係る複合機10と同様である。
具体的には、上記ステップS28では、第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の位置偏差、すなわち、第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の側方一端の位置のずれ幅が0.2mmを超える場合には、上記ステップS5〜ステップS10及びステップS26(上記詳細制御)にしたがって画像記録される。また、上記位置偏差が0.2mm以内であれば、当該第11枚目の記録用紙47の位置が前述のように擬制され(ステップS14)、上記簡易制御にしたがって画像記録される。なお、当該ステップS28においては、上記簡易制御が行われるか否かの判断基準として第1枚目から第10枚目までの記録用紙47の位置偏差が採用されているが、これに代えて、過去直前n枚(10枚)の記録用紙47の位置偏差が採用されてもよいことは勿論である。
本実施形態では、第(n+1)枚目(第11枚目)以後の記録用紙47の斜行量が一定斜行範囲内であり且つ当該記録用紙47の位置偏差が一定範囲内であるときにのみ、上記簡易制御が行われるから、突然の記録用紙47の位置ずれや斜行が発生した場合であっても、これを原因とする記録ミスが確実に防止される。
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明される。
図14は、本発明の第5の実施形態に係る複合機10による記録要領を示すフローチャートである。本実施形態に係る記録用紙47への画像記録の要領が上記第3の実施形態に係る画像記録の要領と異なるところは、記録用紙47が上記簡易制御により画像記録される際に、当該記録用紙47の先頭検出点における端部位置がセンシングされる点である(ステップS29)。なお、その他の構成については、上記第3の実施形態に係る複合機10と同様である。
図15は、先頭検出点におけるセンシングの要領を示すフローチャートである。
同図が示すように、当該記録用紙47(第(n+1)枚目の記録用紙)の先頭検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置が検知される。具体的には、走査キャリッジ42がスライドされ(図3参照)、メディアセンサ115が当該記録用紙47の存在及び上記主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置を検知する。この先頭検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置は、当該記録用紙47の端部位置情報として上記制御装置69のRAMに記憶される(ステップS30)。また、前述されたように、当該記録用紙47の用紙サイズは、例えば上記操作パネル18(図1参照)から入力され、上記RAMに用紙サイズ情報として記憶される(ステップS31)。さらに、上記制御装置69は、メディアセンサ115が受光した当該記録用紙47からの反射光の受光量に応じて当該記録用紙47の用紙タイプを判定し、これを上記RAMに用紙タイプ情報として記憶させる(ステップS32)。
そして、当該記録用紙47の上記主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置と、過去n枚(10枚)の記録用紙47の斜行量とに基づいて、当該記録用紙47の斜行量が擬制される(ステップS33)。具体的には、上記制御装置69のCPUが、当該記録用紙47の上記主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置と、過去n枚(10枚)の記録用紙47の斜行量とに基づいて、当該記録用紙47の斜行量を算出する。この算出された斜行量が当該記録用紙47の端部位置情報である斜行量として上記RAMに記憶される。上記RAMは、これら端部位置情報、用紙タイプ情報、用紙サイズ情報を当該記録用紙47の情報のグループとして関連づけて記憶する。なお、この場合においても、斜行量の算出に際し、第1枚目から第10枚目までの記録用紙47のデータが用いられてもよいが、これに代えて過去直前n枚(10枚)の記録用紙47のデータが採用されてもよいことは勿論である。
次に、当該記録用紙47の用紙サイズと、過去n枚(10枚)の記録用紙の用紙サイズとが同一であるかどうかが判断され(ステップS34)、用紙サイズが不変であるならば、次に用紙タイプが同じであるかどうかが判断される(ステップS35)。第1枚目から第10枚目までの記録用紙47のサイズが変わっているならば、上記ステップS6〜ステップS10及びステップS26(上記詳細制御)にしたがって画像記録される(図14参照)。本実施形態においても、用紙サイズの同一を判断するための比較データとして、第1枚目から第10枚目までの記録用紙47のデータが採用されてもよいが、この比較データとして、過去直前n枚(10枚)の記録用紙47が基準とされてもよいことは勿論である。
ステップS35において、第1枚目から第10枚目までの記録用紙47についてそれらの用紙タイプが不変であるならば、次に、上記擬制された斜行量(算出された斜行量)が一定斜行範囲内であるかどうかが判断される(ステップS36)。第1枚目から第10枚目までの記録用紙47のタイプが変わっているならば、上記ステップS6〜ステップS10及びステップS26(上記詳細制御)にしたがって画像記録される(図14参照)。この場合においても、用紙タイプの同一を判断するための比較データとして、第1枚目から第10枚目までの記録用紙47のデータに代えて過去直前n枚(10枚)の記録用紙47のデータが採用されてもよいことは勿論である。
本実施形態では、上記擬制された斜行量が1.0mm以内かどうかが判断される(ステップS36)。そして、この擬制された斜行量が1.0mm以内であれば、上記簡易制御による画像記録が続行され(ステップS17)、この擬制された斜行量が1.0mmを超えるのであれば、簡易制御に代えて上記詳細制御(ステップS6〜ステップS10及びステップS26)により画像記録される。
このように、本実施形では、上記第(n+1)枚目(第11枚目)以後の記録用紙47への画像記録の際に、当該記録用紙47の先頭検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置並びに用紙サイズ及び用紙タイプが検知され、当該記録用紙47の斜行量が擬制される。そして、上記第11枚目以後の記録用紙47への画像記録の際に、当該記録用紙47の擬制された斜行量が一定斜行範囲を超える場合においては、上記簡易制御されることなく、上記詳細制御により画像記録が行われる。したがって、第11枚目以後の記録用紙47が突然に大きく斜行するおそれが生じた場合であっても、良好な縁なし記録が実現される。
<第6の実施形態>
次に、本発明の第6の実施形態について説明される。
図16は、本発明の第6の実施形態に係る複合機10による記録要領を示すフローチャートである。本実施形態に係る記録用紙47への画像記録の要領が上記第4の実施形態に係る画像記録の要領と異なるところは、記録用紙47が上記簡易制御により画像記録される際に、当該記録用紙47の先頭検出点における端部位置がセンシングされる点である(ステップS29)。なお、その他の構成については、上記第4の実施形態に係る複合機10と同様である。
上記ステップS29については、前述の通り(上記第5の実施形態)である。すなわち、本実施形では、第(n+1)枚目(第11枚目)以後の記録用紙47の斜行量が一定斜行範囲内であり且つ当該記録用紙47の位置偏差が一定範囲内であるときにのみ、上記簡易制御が行われるから、突然の記録用紙47の位置ずれや斜行が発生した場合であっても、これを原因とする記録ミスが確実に防止される。加えて、上記第11枚目以後の記録用紙47への画像記録の際に、当該記録用紙47の先頭検出点における主走査方向一端の位置及び主走査方向他端の位置並びに用紙サイズ及び用紙タイプが検知され、当該記録用紙47の斜行量が擬制される。そして、上記第11枚目以後の記録用紙47への画像記録の際に、当該記録用紙47の擬制された斜行量が一定斜行範囲を超える場合においては、上記簡易制御されることなく、上記詳細制御により画像記録が行われる。したがって、第11枚目以後の記録用紙47が突然に大きく斜行するおそれが生じた場合であっても、良好な縁なし記録が実現される。
なお、本実施形態では、上記第(n+1)枚目以後の記録用紙47への画像記録の際に、当該記録用紙47の擬制された斜行量が一定範囲内であるかどうかが判断されるが、これに代えて、過去直前n枚の記録用紙47の位置偏差が一定範囲内にあるときに、上記簡易制御されることなく、上記詳細制御により画像記録が行われるように構成されていてもよい。