JP5481872B2 - ε型フタロシアニン顔料およびそれを用いた着色組成物 - Google Patents

ε型フタロシアニン顔料およびそれを用いた着色組成物 Download PDF

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Description

本発明は、インキ、塗料、プラスチック、トナー、カラーフィルターを始めとした着色組成物等に広く使用されているε型フタロシアニン顔料に関するものである。
従来より諸特性に優れた青色顔料としてフタロシアニン顔料が用いられている。色調をはじめとした諸物性はその結晶型で大きく変化することが知られており、用途に応じて最適な結晶型を有するフタロシアニン顔料が選択されて使用される。フタロシアニン顔料の中でも最も広範にわたって利用されている銅フタロシアニンの場合は、最も安定な構造であるβ型を始めとしてα型、γ型、ε型、δ型、π型、ρ型など数多くの結晶型が報告されている。そのうちβ型や、β型より赤味であるα型、α型より更に赤味であるε型が用途に応じて実用化されている。銅フタロシアニン以外のフタロシアニン、例えば無金属フタロシアニンや、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、白金フタロシアニンなどの二価金属を中心金属として有するフタロシアニンでも銅フタロシアニンと同様にβ型、α型、ε型の結晶型をとることが特許文献1〜3、非特許文献1等で開示されている。その中でもε型は色相が最も赤味が強く鮮明で、顔料としての色濃度が強いため、塗料を始め様々な着色材料等で用いられている。しかし耐候性を始めとした諸耐性という観点からは不十分であり、最も耐候性が要求される自動車用塗料などでの使用は現状では未だに限定的である。
また、α位とβ位の両方に置換基のない通常のフタロシアニンに対して、置換基としてハロゲンを0.5〜4個含有するハロゲン置換フタロシアニン顔料は通常のフタロシアニンと同様に青色色相を持ち、耐光性、耐候性、耐熱性、耐溶剤性といった諸耐性が優れるため、塗料、プラスチックといった高い耐性を要求される用途でよく用いられている。その際に置換基のハロゲンは下記一般式(1)のβの位置に優先的に置換している。
ハロゲン置換フタロシアニンは一般に結晶型としてα型しかとることが出来ないことが知られている。そのため諸耐性を要求される用途にはα型のハロゲン置換フタロシアニンを用いる他なく、諸耐性が高く、なおかつε型フタロシアニンのようにα型フタロシアニンより赤味の色相を有しているフタロシアニン顔料は実用化されていない。
Figure 0005481872
(式中、Mは2Hまたは2価金属であり、ハロゲンはF、Cl,Br,Iのうちいずれかもしくは複数である。)
特開平1−247464号公報 特開平2−289657号公報 特開平3−227372号公報 フタロシアニン―化学と機能― 白井汪芳 小林長夫 編 アイシーピー社 平成9年発行
本発明は上記のようにα型フタロシアニン顔料よりも赤味色相で、諸耐性が優れたフタロシアニン顔料を提供することを目的とする。
本願発明者は種々のハロゲン含有フタロシアニン顔料に関して鋭意検討を行った結果、上記一般式(1)中のα位に優先的にハロゲンが導入されたハロゲン置換フタロシアニンは驚くべきことにε型の結晶型をとれることを見出した。このハロゲン置換ε型フタロシアニン顔料は、従来のα型フタロシアニン顔料よりも赤味であり、また、諸耐性がε型フタロシアニンより優れたフタロシアニン顔料であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明が提供するのは、上記一般式(1)のα位に優先的にハロゲンを含有するハロゲン置換ε型フタロシアニン顔料であって、中心金属がCo,CuまたはZnであるものである。更に本発明のフタロシアニン顔料を用いることで、従来のα型顔料を使用した場合よりも赤味であり、諸耐性に優れた印刷インキ、塗料、プラスチック着色材料、水系カラー、捺染、トーニング剤、トナー、インクジェット用インキ、カラーフィルター用顔料分散体等の着色剤も製造可能である。
本発明が開示するようにα位に優先的にハロゲンを含有するハロゲン置換フタロシアニンが、α型以外にε型の結晶型を取ることができるのは、その立体障害が小さいからであると推測される。これまでに知られているハロゲン置換フタロシアニンはβ位に優先的にハロゲンを含有している。β位にハロゲンが導入されると、ハロゲンの部位が立体的に飛び出したような分子の形状になる。そのためε型の結晶ではハロゲンの部位が隣接する分子と衝突し、α型以外の結晶型がとれなくなっていると考えることができる。本発明が提供するα位にハロゲンが導入されたフタロシアニンならば、置換前のフタロシアニンと比較し分子の形状が大きく変化することがない。そのため分子のパッキングや結晶型には大きな影響を与えず、ハロゲンが導入されていないフタロシアニンと同様にε型の結晶もとることができると考えられる。
本発明によるハロゲン置換ε型フタロシアニンを用いることで、赤みが強く鮮明な青色の色調を有する諸耐性の優れた着色組成物を製造することができる。とくに堅牢な諸耐性が要求される塗料、プラスチック、カラーフィルター用顔料分散体等の用途に好適である。
フタロシアニン顔料13のX線回折 フタロシアニン顔料17のX線回折 フタロシアニン顔料18のX線回折
本発明のフタロシアニン顔料は上記一般式(1)であらわされる骨格のα位に優先的にハロゲンを有し、ε型の結晶型を有するものである。ハロゲンはlまたはBrである。式中の中心金属Mは、置換基を有していないフタロシアニンにおいて、無置換の銅フタロシアニンがとる結晶型であるε型と同様の結晶型をとることができるo,またはZnあり、好ましくはCuであり最も鮮明な色相を持つ。Mは一つの顔料中に一種類であっても複数であっても構わない。
ハロゲンの数は、上記一般式(1)のα位のハロゲン置換基数をm、β位のハロゲン置換基数をnとしたときに、平均ハロゲン置換基数m+nは4>=m+n>=0.05である。0.05未満ではハロゲンが置換されていないフタロシアニン顔料と性質がほとんど変わらず、4より大きいと実質的にε型の結晶型がとれなくなる。好ましくはm+nが0.1から2.0である。また、α位に存在するハロゲンの割合m/(m+n)は1>=m/(m+n)>=0.5であり、0.5未満では、ε型がとれてもハロゲン置換による諸耐性の向上効果はほとんど無くなる。またβの位置にハロゲンが導入されると置換基の部位が立体障害となり、ε型の結晶型を取ることが難しくなる。そのためβの位置のハロゲン置換基数nは0.23個以下、好ましくは0.2個以下である。
本発明のε型フタロシアニン顔料が含有するハロゲン以外に、α位とβ位の両方に任意の原子または官能基が置換されていてもよい。ただし、前述したように、とくにβの位置に置換基が導入されると、置換基の部位が立体的に飛び出したような分子の構造になりε型の結晶型がとれなくなるため、この置換基はフタロシアニンの1分子に対して0.3個以下、好ましくは0.2個以下である必要がある。置換基の種類は、例えば、アルキル基、アリール基、ニトロ基、スルホン基、スルホアミド基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオ基、アシル基、シリルオキシ基、シリル基、およびそれらから誘導される置換基である。

α位のハロゲン置換基数m、β位のハロゲン置換基数nはフタロシアニンを硫酸セリウムで分解してフタルイミド類とした後に、得られたフタルイミド類を液体クロマトグラフィーで分析することで求められる。液体クロマトグラフィーの結果得られた、全フタルイミド類の合計モル濃度をa、3位または6位にハロゲンを有するフタルイミド類の合計モル濃度をb(3,6位両方にハロゲンを有するフタルイミド類の場合はそのフタルイミド類のモル濃度は実測の2倍として計算する)、4位または5位にハロゲンを有するフタルイミド類の合計モル濃度をc(4,5位両方にハロゲンを有するフタルイミド類の場合はそのフタルイミド類のモル濃度は実測の2倍として計算する)とした場合、m=4×b/a、n=4×c/aとして計算される。詳細の操作は実施例に記載する。
本発明のε型の結晶型とは実施例中の図2に示すようなX線回折パターンを有する結晶型である。すなわちCu−Kα線を用いて測定した場合、ブラッグ角2θ(±0.3°)の7.5°、9.1°にほぼ強度が等しい強い回折ピーク、14.0°、16.8°、17.4°、20.3°、21.8°、23.5°、27.0°、28.2°、30.1°に回折ピークを持つ結晶型である。金属種やハロゲン含有量により各々の回折ピークの位置は若干移動するが、回折パターンとしては図2と類似のパターンをもつものである。
本発明の着色組成物は、印刷インキ、塗料、プラスチック着色剤、水系カラー、捺染、トーニング剤、トナー、インクジェット用インキ、カラーフィルター用レジストインキ等の顔料分散体が代表的であるがこれに限定されるものではない。顔料の形態は本発明では制限されないが、粉体や、水を含有したプレスケーキ状のもの、樹脂との混合物など何らかの加工が施されていてもよい。印刷インキとはオフセットインキ、グラビアインキ、UVインキ、フレキソインキ等が主なものであるが、これらに限定されるものではない。以下に着色組成物を詳細に説明する。
オフセットインキは本発明のフタロシアニン顔料とオフセットインキ用ビヒクルを混合、分散することで製造できる。オフセットインキ用ビヒクルとは、例えば、ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂、アルキッド樹脂またはこれら乾性油変成樹脂等の樹脂と、必要に応じて、アマニ油、桐油、大豆油等の植物油と、n−パラフィン、イソパラフィン、アロマテック、ナフテン、α−オレフィン等の溶剤から成るものであって、それらの混合割合は、ビヒクル成分の合計重量を基準(100重量%)として、樹脂:植物油:溶剤=10〜50重量%:0〜30重量%:20〜60重量%の範囲が好ましい。オフセットインキには、必要に応じて、インキ溶剤、ドライヤー、レベリング改良剤、増粘剤、顔料分散剤等の公知の添加剤を適宜配合することができる。
グラビアインキは本発明のフタロシアニン顔料とグラビアインキ用ビヒクルを混合、分散することで製造できる。グラビアインキ用ビヒクルは、樹脂と溶剤から成るものであって、それらの混合割合は、ビヒクル成分の合計重量を基準(100重量%)として、樹脂:溶剤=5〜40重量%:60〜95重量%の範囲が好ましい。
樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、石灰化ロジン、ライムロジン、ロジンエステル、マレイン酸樹脂、ギルソナイト、ダンマル、セラック、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂、ニトロセルロース、環化ゴム、塩化ゴム、エチルセルロース、酢酸セルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、トルエン、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、イソプロピルアルコール、クロルベンゾール、エチルエーテル、メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル等が挙げられる。
グラビアインキには、必要に応じて、例えば硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、アルミナホワイト、クレー、シリカ、シリカホワイト、タルク、珪酸カルシウム、沈降性炭酸マグネシウム等の体質顔料の他、補助剤として、可塑剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料分散剤等の公知の添加剤を適宜配合することができる。
塗料は本発明のフタロシアニン顔料と塗料用ビヒクルを混合、分散することで製造できる。塗料用ビヒクルは、樹脂と溶剤から成るものであって、それらの混合割合は、ビヒクル成分の合計重量を基準(100重量%)として、樹脂:溶剤=5〜45重量%:55〜95重量%の範囲が好ましい。
樹脂としては、例えば、ニトロセルロース、アミノアルキド樹脂、アクリル樹脂、アミノアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等が挙げられる。溶剤としては、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、アルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系、エーテル・アルコール系、エーテル・エステル系の有機溶剤、水等が挙げられる。
塗料には本発明の効果を阻害しない範囲内で他の有機顔料、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、アルミナホワイト、クレー、シリカ、シリカホワイト、タルク、珪酸カルシウム、沈降性炭酸マグネシウム等の体質顔料の他、補助剤として硬化剤、硬化促進剤、難燃剤、沈降防止剤、たれ防止剤、造膜助剤、防腐剤、塗膜の付着性向上のためのシランカップリング剤、防黴剤、消泡剤、粘性調整剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、凍結防止剤、可塑剤、pH調整剤、抗菌剤、光安定剤、つや消し剤、酸化防止剤、顔料分散剤、顔料誘導体等の公知の添加剤を適宜配合することができる。
プラスチック着色剤は本発明のフタロシアニン顔料とプラスチック用樹脂を混合、分散することで製造できる。プラスチック用樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、αオレフィンとアクリル酸またはマレイン酸との共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンとアクリル酸または無水マレイン酸との共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等のビニル樹脂、ホルマル樹脂やブチラール樹脂等のアセタール樹脂、ポリアクリロニトリルやメタクリル樹脂等のアクリル樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体等のスチロール樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等のポリエステル樹脂、6−ナイロン等のナイロン、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、セルロース樹脂等がある。
プラスチックには本発明の効果を阻害しない範囲内で他の有機顔料、無機顔料、ワックス、又その誘導体、重金属不活性剤、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または亜鉛の金属石けん、ハイドロタルサイト、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等からなる帯電防止剤、ハロゲン系、リン系または金属酸化物などの難燃剤、エチレンビスアルキルアマイド等の滑剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤、加工助剤、充填剤、顔料分散剤、顔料誘導体等、公知のポリマー用の各種添加剤を包含することができる。要求される品質、着色作業性を満足するために、あらかじめ顔料をこれらの成分と分散処理し、粉体状のドライカラー、顆粒状のビーズカラー、液状のペーストカラー等とした後に樹脂と混合してもよい。また顔料とプラスチック、その他の上記の添加剤から構成され、顔料を高濃度に含有する、いわゆるマスターバッチを製造し、マスターバッチを使用して樹脂を着色してもよい。
トナーは本発明のフタロシアニン顔料とトナー用樹脂を混合、分散することで製造できる。トナー用の樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、塩化樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ロジンエステル、ロジン等がある。
プラスチックには本発明の効果を阻害しない範囲内で他の有機顔料、無機顔料、ワックス、又その誘導体、重金属不活性剤、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または亜鉛の金属石けん、ハイドロタルサイト、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等からなる帯電防止剤、ハロゲン系、リン系または金属酸化物などの難燃剤、エチレンビスアルキルアマイド等の滑剤、研磨剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤、加工助剤、充填剤、帯電制御剤、シリカ微粒子、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、離型剤、顔料分散剤、顔料誘導体等、公知のポリマー用の各種添加剤を包含または外添してもよい。
インクジェットインキは本発明のフタロシアニン顔料とインクジェットインキ用ビヒクルを混合、分散することで製造できる。インクジェットインキ用ビヒクルは、樹脂と溶剤から成るものであって、それらの混合割合は、ビヒクル成分の合計重量を基準(100重量%)として、樹脂:溶剤=1〜10重量%:90〜99重量%の範囲が好ましい。樹脂としては、アクリル、スチレン−アクリル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、フッ素樹脂等の水に溶解する樹脂および水に分散性のエマルションないしコロイダルディスパージョン樹脂が挙げられる。これらの樹脂には、必要に応じアンモニア、アミン、無機アルカリ等の中和剤が加えられる。また、溶剤としては、例えば、水、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、置換ピロリドン等が挙げられる。また、インクジェットインキの乾燥性を速める目的で、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類も使用できる。さらに、インクジェットインキには、防腐剤、浸透剤、キレート剤や、顔料の分散安定性を向上させるためにアニオン、非イオン、カチオン、両性イオン活性剤を配合することができる。インクジェットインキは、カラーフィルターの製造に用いることもできる。
カラーフィルター用レジストインキは、本発明のフタロシアニン顔料と着色レジスト材用ビヒクルを混合、分散することで製造できる。カラーフィルターの製造に用いられる着色レジスト材用ビヒクルは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または活性エネルギー線硬化性樹脂と、モノマー及び/又はオリゴマー、溶剤とから成るものであり、それらの混合割合は、ビヒクル成分の合計重量を基準(100重量%)として、樹脂:モノマー及び/又はオリゴマー:溶剤=4〜15重量%:2〜8重量%:77〜94重量%の範囲が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等を介して、(メタ)アクリル化合物、桂皮酸等の光架橋性基を導入した樹脂が挙げられる。
モノマー及びオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1, 6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
溶剤としては、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなどの脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、アルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系、エーテル・アルコール系、エーテル・エステル系の有機溶剤が挙げられる。着色レジスト材には、光重合開始剤、増感剤を配合することができる。
次に本発明のフタロシアニン顔料の代表的な製法を説明する。フタロシアニンの製造方法は、従来公知の方法から選択でき、特に限定されるものではない。一般的にハロゲン置換フタロシアニンは四つの製法で製造される。一つ目はワイラー法と呼ばれる方法でフタロシアニンを合成する際に原料のフタル酸類の一部にハロゲン化フタル酸類を用いる方法である。二つ目はニトリル法と呼ばれる方法でフタロシアニンを合成する際に原料であるフタロジニトリル類の一部にハロゲン化フタロジニトリルを用いる方法である。三つ目は原料の一部にハロゲン化金属などを共存させてニトリル法でフタロシアニンを合成する際にフタロシアニン環にハロゲンが導入される反応を利用する方法である。四つ目はフタロシアニンを直接塩素化する方法である。αの位置に優先してハロゲンを導入するという観点からは一、二の方法が望ましいが本発明のフタロシアニン顔料は両製法に限定されるものではない。
上記の方法でハロゲン化フタロシアニンを合成したのち、必要ならばε型への結晶転移や顔料化を行うことで、本発明のフタロシアニン顔料は製造される。
ワイラー法は無水フタル酸またはその誘導体と、尿素またはその誘導体とを金属源、触媒の存在下に90℃〜300℃で反応させるフタロシアニンの合成法で、フタロシアニンの合成法として最も工業的に利用されているものである。合成の際には系内の温度制御や攪拌効率の向上等の目的のため溶剤を用いてもよい。また収率向上や純度向上等を目的として0.2〜0.7MPa程度の加圧条件で反応を行ってもよい。
ワイラー法での合成の際に使用するフタル酸類としては種々の文献で公知であるもの、例えば、無水フタル酸、フタル酸およびその塩、そのエステル、フタルイミド、フタルアミドなどがある。またこれらの化合物の芳香族環上にアルキル基、アリール基、ニトロ基、スルホン基、スルホアミド基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオ基、アシル基、シリルオキシ基、シリル基、またはそれらから誘導される置換基といった置換基を有するフタル酸類を含有していてもよい。これらのフタル酸類と、ハロゲン化されたフタル酸類を任意の割合で混合してワイラー法での合成を行うことで、任意の割合のハロゲン置換量を有するハロゲン置換フタロシアニンを合成できる。本発明のフタロシアニン顔料を製造するにあたっては、3−ハロゲン化フタル酸類や3,6−ジハロゲン化フタル酸類、または3位や6位に優先的にハロゲンが導入されたフタル酸類を原料の一部として用いるのが望ましい。
ワイラー法でのフタロシアニン類の合成に使用する尿素またはその誘導体としては尿素、アンモニア、ビウレット、トリウレットなどがある。その使用量は無水フタル酸またはその誘導体1モルに対し1モル〜10モル程度である。金属源は金属粉、塩化物、臭化物、沃化物、硫酸塩、硫化物、酢酸塩、酸化物、水酸化物、炭酸塩、リン酸塩などが使用できる。金属の価数は反応に影響を与えるが、一般にフタロシアニン合成には使用できる。金属源の使用量はフタル酸またはその誘導体に対しモル比で0.15から0.40の範囲で用いるのが好ましい。触媒としてはワイラー法で公知なものすべてを用いることができる。例えばモリブデン酸アンモニウム、酸化アンモニウム、リンモリブデン酸などのモリブデン酸化合物、四塩化チタン、チタン酸エステルなどのチタン化合物、酸化アンチモン、酸化ヒ素、ホウ酸などがある。使用量に関しては特に限定はないが、フタル酸またはその誘導体に対し重量比で0.0001から0.3の範囲で用いるのが好ましい。また反応性状の向上や反応性の向上、製品の純度や鮮明性向上等を目的としてオルトリン酸、メタリン酸、ポリリン酸、ポリメタリン酸、硫酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素及びこれらの金属塩やアンモニウム塩をフタル酸またはその誘導体に対しモル比で0.05モル〜1モルの割合で添加してもよい。
使用できる溶剤としてはワイラー法の合成溶剤として公知のものすべてを用いることができる。例えば、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、テトラリン等の芳香族炭化水素、アルキルシクロヘキサン、デカリン、アルキルデカリン等の脂環式炭化水素、デカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素、ニトロベンゼン、o−ニトロトルエン等のニトロ化合物、トリクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン、ヘキサクロロブタジエン等のハロゲン化炭化水素、スルホラン、ジメチルスルホラン、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物、キノリン等の複素環化合物等が使用可能である。これらの有機溶媒は、2種以上の混合物であってもかまわない。
反応完了後、溶剤の濾過や溶剤留去等の反応溶剤との分離処置を行った後、水や有機溶剤での洗浄を行うのが好ましい。洗浄の際に酸やアルカリを用いてもよい。更に精製が必要ならば公知の精製技術である昇華、アシッドペースト、アシッドスラリー、再沈殿、再結晶、抽出等の操作によって不純物を除去してもよい。
ニトリル法はフタロニトリル類、ジイミノイソインドリン類と金属塩を触媒となる塩基の存在下、60℃〜300℃で反応させるフタロシアニンの合成法である。合成の際には系内の温度制御や攪拌効率の向上等の目的のため溶剤を用いてもよい。また収率向上や純度向上等を目的として0.2〜0.7MPa程度の加圧条件で反応を行ってもよい。
ニトリル法での合成の際に使用するフタロニトリル類やジイミノイソインドリン類としては、これらのフタロニトリルやジイミノイソインドリンの芳香族環上にアルキル基、アリール基、ニトロ基、スルホン基、スルホアミド基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、チオ基、アシル基、シリルオキシ基、シリル基、またはそれらから誘導される置換基といった置換基を有していてもよいし、金属塩の状態でもかまわない。上記のフタロニトリル類やジイミノイソインドリン類と、ハロゲン化されたフタロニトリル類やジイミノイソインドリン類を任意の割合で混合してニトリル法での合成を行うことで、任意の割合のハロゲン置換量を有するハロゲン置換フタロシアニンを合成できる。本発明のフタロシアニン顔料を製造するにあたっては、3−ハロゲン化フタロニトリル類もしくは3−ハロゲン化ジイミノイソインドリン類や3,6−ジハロゲン化フタロニトリル類、3,6−ジハロゲン化ジイミノイソインドリン類、または3位や6位に優先的にハロゲンが導入されたフタロニトリル類やジイミノイソインドリン類を原料の一部として用いるのが望ましい。
ニトリル法で使用できる金属源は、塩化物、臭化物、沃化物、硫酸塩、硫化物、酢酸塩、酸化物、水酸化物、炭酸塩、リン酸塩などが使用できる。金属の価数は反応に影響を与えるが、一般にフタロシアニン合成には使用できる。金属源の使用量はフタロニトリル類やジイミノイソインドリン類に対し、モル比で0.15から0.40の範囲で用いるのが好ましい。
触媒となる塩基としては特に制限はないが、アンモニア、モルホリン、ピペリジン等の環状アミン、ピリジン、ピコリン、キノリン等の芳香環に窒素が導入されたアミン類、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン( DBN)、1、8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等のアミジン部位を持つアミン類、又は、炭素数1から12のアルコキシド、およびこれらの混合物が好適である。塩基の量としてはフタロニトリル類及びジイミノイソインドリン類に対して0.001モルから2モルの範囲で用いるのが好適である。塩基を溶剤として用いる場合には更に多くてもかまわない。
使用できる溶剤としてはニトリル法の合成溶剤として公知のものすべてを用いることができる。例えば、メタノール、エチレングリコールを始めとしたアルコール類、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、テトラリン等の芳香族炭化水素、アルキルシクロヘキサン、デカリン、アルキルデカリン等の脂環式炭化水素、デカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素、ニトロベンゼン、o−ニトロトルエン等のニトロ化合物、トリクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン、ヘキサクロロブタジエン等のハロゲン化炭化水素、スルホラン、ジメチルスルホラン、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物、キノリン等の複素環化合物等、DMF,NMP,1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが使用可能である。これらの有機溶媒は、2種以上の混合物であってもかまわない。
反応は必要な場合は不活性ガス雰囲気化で行ってもよいし、必要ならばモリブデン酸アンモニウムや尿素等のワイラー法での使用が公知であるものを添加してもよい。
反応完了後、溶剤の濾過や溶剤留去等の反応溶剤との分離処置を行った後、水や有機溶剤での洗浄を行うのが好ましい。洗浄の際に酸やアルカリを用いてもよい。更に精製が必要ならば公知の精製技術である昇華、アシッドペースト、アシッドスラリー、再沈殿、再結晶、抽出等の操作によって不純物を除去してもよい。
上記の四つの方法に代表される製法で合成されたハロゲン化フタロシアニン粗製顔料は合成された状態そのままで使用してもよいが、一般に所望の結晶型への転移や粒子サイズの制御、易分散性の付与等といった目的のために顔料化の操作を行うことが望ましい。本発明のε型のフタロシアニン顔料を製造するためには公知の顔料化法すべてを用いることができるが、一般にε型結晶を有するフタロシアニン顔料を製造するための顔料化法である、ソルベント法、ソルベントミリング法、ソルベントソルトミリング法等が使用できる。転移のために必要であればε型の結晶型を有するフタロシアニン顔料を種結晶として添加してもよいし、下記一般式(2)で示される置換基を少なくとも1つ有する、無金属または金属フタロシアニン誘導体を添加してもよいし、複数の顔料化法を併用してもよい。
また一般にε型フタロシアニンはα型フタロシアニンを原料として、ε型への結晶転移を行うことで製造するため、顔料化処理の前処理としてさらにアシッドペースト、アシッドスラリー、ドライミリング等の操作を追加して行い、α型フタロシアニン顔料としておくことが望ましい。アシッドペースト、アシッドスラリー両方法により完全にα型のフタロシアニン顔料としておくことが更に好ましい。またハロゲン化フタロシアニン粗製顔料の段階でε型であった場合にはそのまま使用することもできる。あるいはε型以外の結晶型を有するフタロシアニン顔料を用い、ワニス中で60℃から200℃で加熱混合してε型へ転移させることにより、ε型のフタロシアニン顔料を含有する着色組成物としてもよい。
一般式(2) − X − Y
( 式中、X は直接結合、または水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる2〜50個の原子で構成される化学的に合理的な組み合わせからなる2 価の結合基を表す。Y はニトロ基またはハロゲン原子で置換されていてもよいフタルイミドメチル基、−NR1R2、−SO3・M/m または−COO・M/mを表し、R1とR2はそれぞれ独立に水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、またはR1とR2とで一体となって更なる窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を表し、M は水素イオン、1〜3価の金属イオンまたは少なくとも1つがアルキル基で置換されているアンモニウムイオンを表し、m はM の価数を表す。)
一般式(2) で示される置換基の具体例として、フタルイミドメチル基、4−ニトロフタルイミドメチル基、4−クロロフタルイミドメチル基、テトラクロロフタルイミドメチル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジブチルアミノメチル基、ピペリジノメチル基、ジメチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジエチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジブチルアミノプロピルアミノスルホニル基、モルホリノエチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノプロピルアミノカルボニル基、4−(ジエチルアミノプロピルアミノカルボニル) フェニルアミノカルボニル基、ジメチルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジエチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジブチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、スルホン酸基、ナトリウムスルホナト基、カルシウムスルホナト基、アルミニウムスルホナト基、ドデシルアンモニオスルホナト基、オクタデシルアンモニオスルホナト基、トリメチルオクタデシルアンモニオスルホナト基、ジメチルジデシルアンモニオスルホナト基、カルボン酸基、2−アルミニウムカルボキシラ−5−ニトロベンズアミドメチル基、などがある。
これらの置換基を有するフタロシアニン誘導体は、例えば、特許文献4〜7に記載の方法で製造できる。
特公昭39−28884号公報 特公昭57−15620号公報 特公昭58−28303号公報 特公昭64−5070号公報
上記顔料化法の中でも、粒径制御や結晶転移の観点からソルベントソルトミリング法が最も好適である。ソルベントソルトミリング法はフタロシアニン顔料と、水溶性無機塩、水溶性有機溶剤を混練機の中で混練することにより、結晶転移と顔料化を行う手法である。本発明に用いられる水溶性無機塩は特に限定されないが、例えば、食塩(塩化ナトリウム)、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、塩化亜鉛、塩化カルシウムまたはこれらの混合物等を挙げることができる。水溶性無機塩の量は、少なすぎると微細化や、結晶転移を伴う場合はε型への結晶転移が進み難く、多すぎると顔料の処理量が少なくなるため、生産性が低下して工業的には不利となる。このため、フタロシアニン顔料に対し、水溶性無機塩が2重量倍〜20重量倍の範囲が好ましく、5重量倍〜14重量倍がより好ましい。水溶性無機塩の量は、目的とする顔料粒度に応じても選択できる。
水溶性有機溶剤は、フタロシアニン顔料と水溶性無機塩とが均一な固まりとなるように加えるもので、水と自由に混和するもの、または自由に混ざらないが工業的に水洗により除去できる溶解度を持つものである。フタロシアニン顔料の粒子成長や結晶転移を促進するものであれば特に限定されないが、混練時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール、アニリン、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレンゴリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。また必要に応じて2種類以上の溶剤を混合して使用してもよい。
混練組成物中の水溶性有機溶剤の量は、少なすぎると混練組成物が硬くなり過ぎて混練機を安定運転し難く、多すぎると混練組成物が軟らかくなり過ぎてフタロシアニン顔料の結晶転移や微細化のレベルが低下する。このため、フタロシアニンに対し、水溶性有機溶剤が0.5重量倍〜5重量倍の範囲が好ましく、水溶性無機塩の量と混練組成物の硬さに応じて選択できる。温度は50℃から220℃が好ましいが、80℃から160℃が特に好ましい。
また転移のために必要であればε型の結晶型を有するフタロシアニン顔料を種結晶として添加してもよいし、上記一般式(2)で示される置換基を少なくとも1つ有する、無金属または金属フタロシアニン誘導体を添加してもよい。
また本発明のフタロシアニン顔料は、顔料化の際の結晶成長阻害、結晶安定性付与、凝集防止、顔料を着色剤として使用する際の易分散性付与、結晶安定性付与、凝集防止、着色力向上等の諸目的のため、ロジン、金属ロジン、ロジンエステル等のロジン誘導体、樹脂、活性剤、上記一般式(2)で示される顔料誘導体等を顔料化中、もしくは顔料化工程後に顔料と混合してもよい。
[実施例]
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における「部」は、「重量部」を表す。
実施例1
無水フタル酸85部、3−クロロ無水フタル酸35部、塩化第一銅19部、尿素139部、モリブデン酸アンモニウム0.5部、溶媒としてハイゾールP(日本石油(株)製アルキルベンゼン混合物)210部を1リットルのオートクレーブ中に仕込み、200℃で圧力0.3MPaで4時間反応させた。精製したスラリーを減圧下で加熱することで溶剤を留去して回収した。残留物に2000部の5%硫酸を加え90℃で4時間攪拌して濾過し、乾燥することで100部の粗製塩素化銅フタロシアニン1を得た。
実施例2〜7、比較例1〜5
実施例1の尿素、モリブデン酸アンモニウム、溶剤の仕込み重量と、金属源のモル数、フタル酸類の合計モル数を固定し、実施例1と同様に以下の表1のように実験を行い、粗製フタロシアニン2〜11を合成した。収量は表1に記載してあるとおりである。
Figure 0005481872
実施例8、比較例6
実施例1、2、比較例1で得られたフタロシアニン1〜12をそれぞれ0.015部とり98%硫酸0.9部に溶解させた。硫酸セリウム粉末を0.075部加え、色が消えないようならば適宜硫酸セリウムを追加し、フタロシアニンを完全分解した。次に水50部に上記分解液を加え、最終的に一定体積に定容した。上記分解液を液体クロマトグラフィーで分析し、m、nを求めると以下の表2のようになった。また同様にCYANINE BLUE F−1102 CRUDE(山陽色素製、ハロゲン化フタロシアニン粗製顔料)を分析するとm=0.16、n=0.88であり、α位に存在するハロゲンの割合m/(m+n)は0.15であった。
Figure 0005481872
実施例9〜15、比較例7〜11
98重量%硫酸350部ずつに対し粗製フタロシアニン1〜12をそれぞれ35部加え4時間室温で撹拌した。その後1400部の水にフタロシアニン顔料を溶解したスラリーを滴下し、フタロシアニンを完全に析出させた。80℃で30分間撹拌したのち、濾過、水洗を行い、更にその後に乾燥、粉砕を行った。得られたフタロシアニン顔料のうち33部とハロゲンを含有していないε型フタロシアニン(種結晶)8.3部、塩化ナトリウム413部、およびジエチレングリコール60部をニーダー中で、内容物の温度を110〜120度に保って20時間湿式摩砕した。取り出し後、得られた内容物を水に分散させ70℃まで加熱し、60分保持してから、濾過、水洗、乾燥、粉砕を行い、対応するフタロシアニン顔料13〜24を得た。
得られたフタロシアニン顔料に対し理学社製X線回折分析装置RINT2000でCu−Kα線に対する粉末X線回折を測定し結晶型を確認したところ、表3のようになった。βの位置にハロゲンが導入されたフタロシアニンであるフタロシアニン18、22はα型をとり、それ以外はα位にハロゲンが導入された場合でもε型の結晶型をとっていた。代表例としてフタロシアニン顔料13、17、18の回折パターンを図1〜3に示す。
Figure 0005481872
実施例16、比較例12
塩素化銅フタロシアニン1、塩素化銅フタロシアニン6を以下の表4で示す量混合し、その混合物を350部の98重量%の硫酸に溶解させた。水1400部にフタロシアニン顔料を溶解したスラリーを滴下し、フタロシアニンを完全に析出させた。80℃で30分間撹拌したのち、濾過、水洗を行い、更にその後に乾燥、粉砕を行った。
得られたフタロシアニン顔料のうち33部とハロゲンを含有していないε型フタロシアニン(種結晶)8.3部、塩化ナトリウム413部、およびジエチレングリコール60部をニーダー中で、内容物の温度を110〜120度に保って20時間湿式摩砕した。取り出し後、得られた内容物を水に分散させ70℃まで加熱し、60分保持してから、濾過、水洗、乾燥、粉砕を行った。得られたフタロシアニン顔料に関して粉末X線回折を測定すると表4のようになり、nが0.23以下ではε型の結晶が単独で得られた。0.34以上では本実験の条件ではε型単独の結晶とはならずα型結晶との混晶となることがわかった。
Figure 0005481872
実施例17、比較例13
実施例9〜15、比較例7〜11で作製したフタロシアニン顔料のうちε型の結晶型を有する13〜17、19〜21、23,24と、α型結晶を有するハロゲン置換銅フタロシアニン顔料の比較対象としてLIONOL BLUE 7185−PM(東洋インキ製造(株)製、塩素含有量5.8%)それぞれ0.5部に対し、ロジン変性フェノール樹脂ワニス2.0部を加えフーバーマーラーで分散し濃色インキを作成した。この濃色インキ0.2部と白インキ5.0部を混合して淡色インキを作成した。得られた各インキをフィルムに挟み厚みを一定として日本電色社製の測色機で測色した。測色値を表5に示す。ε型の結晶型を有する塩素化されたフタロシアニン顔料はハロゲン不含のε型フタロシアニン顔料に比較して緑味であった。
Figure 0005481872
実施例18、比較例14
実施例9〜15、比較例7〜11で作製したフタロシアニン顔料のうちε型の結晶型を有する13〜17、19〜21、23,24と、α型結晶を有するハロゲン置換銅フタロシアニン顔料の比較対象としてLIONOL BLUE 7185−PMそれぞれ6部に対し、キシレン19部、フタルキッド133−60(日立化成製)56部、メラン20(日立化成製)28部、ジルコニアビーズ1mmΦを300gを加えスキャンデックスで90分間分散し濃色塗料を作成した。この濃色塗料に対し、展色した際の濃度L*が一定となるように適宜フタルキッド133−60とメラン20の重量比2:1の混合ワニスで希釈し、試料となる塗料を得た。得られた各塗料をアプリケーターでアート紙に展色し、140℃で1時間焼き付けを行った後、日本電色社製の測色機で測色した。測色値を表6に示す。ε型の結晶型を有する塩素化されたフタロシアニン顔料はハロゲン不含のε型フタロシアニン顔料に比較して緑味であった。またε型の結晶型を有する塩素化された銅フタロシアニン顔料は、mが1.0付近までは低塩素のα型銅フタロシアニン顔料と比較して赤味であり、なおかつ鮮明であった。
Figure 0005481872
実施例19、比較例15
実施例18、比較例14で作成した塗面に対しキセノンランプで600時間紫外光を照射した。照射前後の測色値を比較し色差を算出すると表7のようになった。ハロゲン含有フタロシアニン顔料を使用して作成した塗料の塗面はハロゲンを含有していないフタロシアニンと比較して退色が少なく、高い耐光性を有することが明らかになった。
Figure 0005481872
以上のように本発明によればこれまで不可能とされてきたハロゲン含有のε型のフタロシアニン顔料を製造することが可能となった。本発明による顔料は通常のε型フタロシアニン顔料と比較し緑味であり、耐光性、耐熱性など諸耐性に優れている。ε型フタロシアニン顔料よりは緑味であるが、それでも色相はα型顔料と比較すると赤味鮮明であり、赤味鮮明で諸耐性に優れる顔料として、塗料やプラスチック組成物、トナーなど高い耐性を必要とする用途をはじめ、様々な着色用途に使用することができる。




Claims (4)

  1. ε型の結晶型を有し、下記一般式(1)中のα位に優先的にハロゲンが置換したフタロシアニン顔料であって、α位に優先的にハロゲンが置換したフタロシアニンが、α位のハロゲン置換基数をm、β位のハロゲン置換基数をnとしたときに、4>=m+n>=0.05、1>=m/(m+n)>=0.5および0.23>=n>=0およびmが0.44以上であるフタロシアニンであるフタロシアニン顔料。(ただし、ハロゲン以外の置換基は置換しない。)
    Figure 0005481872
    (式中、MはCo,CuまたはZnであり、ハロゲンはまたはBrある。)
  2. m+nが0.1から2.0である請求項1記載のフタロシアニン顔料。
  3. Mが、Cuである請求項1または2記載のフタロシアニン顔料。
  4. 請求項1〜3記載のフタロシアニン顔料を用いることを特徴とした着色組成物。
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