JP5481642B2 - 抜き型および抜き型温度制御システム - Google Patents

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Description

本発明は、上下定盤間に配置された打ち抜き対象物を打ち抜くために使用される高周波加熱用ヒータ付の抜き型、この抜き型を用いた抜き型温度制御システムに関し、打ち抜き刃(ひいては、打ち抜き刃の刃先)を加熱することで対象物の打ち抜き面を良好にすることができる技術に関する。
従来、抜き型を用いて、アクリル等の対象物を打ち抜く際に、ひびが生じることがある。この不都合を解消するために、抜き型が取り付けられている定盤をヒータにより加熱し、間接的に抜き型に装着された抜き型自体(削り出し刃の基台)を、たとえば、70℃〜100℃程度まで加熱することがある。
しかし、この打ち抜き技術では、定盤から抜き型自体(削り出し刃の基台)への熱伝導効率が悪いことはもちろん、熱の蓄積容量が大きい定盤自体を加熱しているため定盤を加熱すること自体に大電力が必要となるし、定盤の放熱が極端に大きくなので、定盤の温度維持のためにも大電力が必要となる。
また、温度調整されている作業環境で使用する場合には、当該作業環境の温度の上昇を防ぐために空調機を駆動せざるを得ないため、さらに大電力が必要となる。
しかも、従来では、帯状刃(トムソン刃)を加熱することは、実際上はできなかった。
本発明の目的は、打ち抜き刃を加熱することで、対象物のきれいな打ち抜きを可能にすることである。
本発明は、(1)から(3)を要旨とする。
(1)
上下定盤間に配置された打ち抜き対象物を、打ち抜き刃により打ち抜く、前記上下定盤の少なくとも一方に設けられた抜き型であって、
前記打ち抜き刃が、金属板を削り出して形成されたループ状の刃を備えた、フィルムを打ち抜くための打ち抜き刃において、
前記ループ状の刃の直下に、当該刃の平面視形状に沿って、ループ状の溝が2本平行に形成され、
当該溝に電流向きが逆向きになるように高周波加熱用の電線が埋設されていることを特徴とする打ち抜き刃。
抜き型は、基本的には金属基台と削り出し刃とから構成される。また、金属基台と当該削り出し刃が収容される治具(合板,合成樹脂,金属等からなる)とから構成できる。
上定盤,下定盤の何れか一方に抜き型が設けられる場合には、他方の定盤に、刃先と向かい合わせに、表面が刃先に一致する受け面が形成され受け部材を設けることができる。
この受け部材は、特に打ち抜き刃の刃先が1つの平面上にないとき(2以上の平面上にあるとき、曲面上にあるとき、またはこれらを組み合わせた面上にあるとき)には必須である。
また、上定盤と下定盤とにそれぞれ抜き型が設けられる場合には、両刃先同士が、打ち抜き時に一致するように形成することができる。
ヒータは、電磁誘導コイルである。
なお、本発明においては、加熱温度は打ち抜き対象物の材料や厚さにもより適宜温度(本発明は、加熱温度には限定されないが、たとえば70℃から100℃の範囲)にすることができる。
本発明では、抜刃先の近傍のみが加熱されるので、打ち抜き対象物が加熱されることを回避することができる。

前記打ち抜き刃が削り出し刃であり、前記削り出し刃が形成されていない部分の全部又は一部に断熱材が貼着または塗布されていることを特徴とする(1に記載の抜き型。
この態様では、打ち抜き刃が放熱を防止できるので、効率がよくなるし、たとえば打ち抜き刃の刃が形成されていない部分に断熱材に貼着または塗布することで打ち抜き刃の近傍のみを加熱することもできる。

(1)または(2)に記載の抜き型を用いた温度制御システムであって、
前記抜き型には前記打ち抜き刃の温度を検出する温度センサが設けられ、前記温度センサからの信号に基づき、前記ヒータに供給する熱量を制御することを特徴とする抜き型温度制御システム。
温度センサは、通常、削り出し刃の基台や帯状刃に接するように設けられる。
抜き型温度制御システムは、典型的には、温度センサと、温度センサからの検出信号を受信しフィードバック制御を行なう制御回路(CPU,ROM等からなる)と、スイッチ回路と、スイッチ回路を駆動するためのドライブ回路とからなる。
本発明の抜き型では、打ち抜き刃の刃先がヒータにより加熱されるので、対象物をきれいに打ち抜くことができる。また、本発明の抜き型では、定盤を加熱しないので、加熱に使用する電力を低く抑えることができる。
本発明の抜き型では、削り出し刃基台の熱容量が大きいので、安定した温度を打ち抜き刃に提供できる。
さらに、本発明の抜き型温度制御システムでは、打ち抜き刃を常に適切な温度に保つことができるし、打ち抜き対象物に応じて、打ち抜き刃を適切な温度に設定することもできる。
本発明の第1関連技術の説明図であり、(A)は抜き型を示す斜視図であり、(B)は抜き型の底面に断熱材をセットした例を示す図である。 抜き型を下定盤設けた上下定盤を示す図である。 抜き型に温度センサを設けた抜き型用温度制御システムの関連技術を示す図である。 (A)は抜き型を上定盤に取り付けた例を示す図、(B)は抜き型の底面に形成された溝にマグネットを固定した例を示す図である。 第1関連技術の抜き型の設計変更例を示す図であり、(A)は電熱線のヒータを設けた抜き型の上基部を示す分解斜視図、(B)は上基部を下方から見た斜視図である。 第2関連技術の抜き型を示す斜視図である。 受け部材を示す図であり、(A)は側面図、(B)は受け面を持つ側から見た平面図である。 下定盤に図6の抜き型を取り付け、上定盤に受け部材を取り付けた様子を示す図である。 本発明の第3関連技術を示す、抜き型セットの斜視図である。 第1の抜き型および第2の抜き型を上下定盤に取り付けた例を示す図であり、(A)は打ち抜き前の様子を示す図、(B)は打ち抜き後の例を示す図である。 本発明の第4関連技術の説明図であり、加熱管により加熱される抜き型を示す図である。 第4関連技術における説明図であり、(A)は図11の抜き型の平面図,(B)は同じく側面図である。 第4関連技術の説明図であり、下基部の底面に溝を形成し、この溝に断熱材をセットした例を示す図である。 第4関連技術における加熱装置を示す図であり、(A)は平面図、(B)は左側面図である。 図14の加熱装置からファンをとり除いた図であり、(A)は平面図、(B)左側面図である。 第4関連技術の抜き型を下定盤に設置した例を示す図である。 加熱装置を抜き型に直接取り付けた例を示す図であり、(A)は平面図、(B)は左側面図である。 本発明の第5関連技術の説明図であり、(A)は刃の形状に沿った加熱管を有する抜き型を示す分解斜視図、(B)は上基部を下方から見た斜視図である。 図18に示す分解斜視図の各構成要素を組み立てた状態を示す斜視図である。 (A)は図18(A),図19に示した加熱管の下側部分に断熱塗料を塗布した例を示す斜視図、(B)は図18(A),図19に示した抜き型の打ち抜き刃を除く全面に断熱塗料を塗布した例を示す斜視図、(C)は図18(A),図19に示した抜き型の基部を打ち抜き刃の部分を残して除去した例を示す斜視図である。 本発明の第6関連技術の説明図であり、(A)はトムソン刃による打ち抜き刃を示す分解斜視図、(B)は上基部を下方から見た斜視図である。 図21(A)の各構成要素を組み立て状態を示す斜視図である。 本発明の第7関連技術における加熱装置を示す図であり、(A)は高周波誘導加熱用のコイルが搭載された抜き型を示す側面図、(B)は同じく平面図である。 本発明の実施形態における加熱装置を示す図であり、(A)は高周波誘導加熱用のコイルが搭載された抜き型を示す側面図、(B)は同じく平面図である。 抜き型以外にヒータを設ける例を示す関連技術の参考図であり、(A)はヒータ収容装置を搭載した抜き型システムの側面図、(B)はヒータ収容装置の分解図である。 レールにより抜き型を加熱室に移動させる関連技術の抜き型装置の説明図であり、(A)は抜き型装置側面図、(B)は同じく平面図、(C)は同じく正面図である。 操作アームにより抜き型を加熱室に移動させる関連技術の抜き型装置の説明図である。 図27の抜き型装置における抜き型移動の説明図であり、(A)から(D)は操作アームの動作説明図である。 操作アームにより赤外線ヒータを抜き型の刃先部分に移動させて加熱する関連技術の抜き型装置の説明図である。 図29の抜き型装置における抜き型移動の説明図であり、(A)から(C)は操作アームの動作説明図である。
本発明の第1関連技術を説明する。図1(A)は、ヒータを搭載した抜き型1Aを示す斜視図である。図2に示すように、抜き型1Aは、下定盤92に載置されており、上定盤91と下定盤92との間に配置された打ち抜き対象物Oは、上定盤91を下降することで、打ち抜かれる。
図1(A)において抜き型1Aは、基部(金属基部)11の上面に、刃先Eから基部11の底面までの距離が全ての部位で同一の打ち抜き刃12が削り出しにより形成されている。基部11には、ヒータ装着孔H(図1では複数)が形成されており、このヒータ装着孔Hには、ヒータ(電熱線加熱体)13が挿着されている。なお、図1(A)では、説明の便宜上、ヒータ13は1つだけ示されている。ヒータ13は、図1(A)では棒状のものを使用しているが、メンブレム状(シート状)のものを基部11の適宜の箇所に貼り付けて使用することができる。このメンブレムヒータは、たとえば、基部11の何れかに浅い溝を形成し、当該溝に埋め込むようにしてもよい。
電熱線ヒータ13の電源として、本関連技術では定盤の外部の電源を使用している。二次電池等の独立電源を、抜き型1Aに搭載したり、定盤上にセットしておき、このヒータ13を加熱することもでき、この場合には電線の引き回しがなくなる。また、本発明の関連技術では、ヒータとして、化学的な発熱体、たとえば空気中の酸素と反応して発熱する材料を抜き型1Aに内装または密着させておき、打ち抜き刃12を加熱することもできる。
図1(A)では、抜き型1Aの底面は平坦であるが、図1(B)に示すように、底面にフラットな溝Gを形成し、当該溝Gに断熱材14をセットすることができる。これにより、抜き型1Aに蓄積された熱が定盤に伝導するのを防止することができる。なお、抜き型1Aの底面に溝を形成せずに、セラミック,ガラス,硬質プラスチック等の断熱板を抜き型1Aと定盤との間に配置することもできる。
図3は抜き型1Aに温度センサ15を設けた抜き型用温度制御システムの関連技術を示している。図3では、温度センサ15は、基部11の上面に貼り付けられているが、基部11に溝を形成しまたは孔をあけて、この溝や孔に温度センサ15を埋め込むようにできる。
温度センサ15からの信号は、制御装置2により取得される。制御装置2は、フィードバック制御により、打ち抜き刃12の温度(実際には、温度センサ15の近傍温度)が適宜の温度になるように、ヒータ13に電力を供給する。
図2では、抜き型1Aを下定盤92に載置したが、図4(A)に示すように、抜き型1Aを、上定盤91に取り付けることもできる。この取り付けは、周知の方法で行なわれる。図4(A)では、治具911により、抜き型1Aを上定盤91に取り付けてあるが、たとえば、図4(B)に示すように抜き型1Aの底面に形成された溝GMにマグネット16を固定しておき、マグネット16の磁力により抜き型1Aを、上定盤91に取り付けるようにしてもよい。
図5は第1関連技術の設計変更例を示す図である。図5(A)に示すように、抜き型1Aの基部11は上基部111と下基部112とから構成され、上基部111の下面には図5(B)にも示すように溝Gが形成されている。また、下基部112に設けたフラットな溝Gには耐熱性を持つ断熱材14が設けられる。電熱線からなるヒータ13は溝Mに配置される。ヒータ13には絶縁管Iが多数設けられている。
ヒータ13は、商用周波数(たとえば、50Hz,60Hz)または商用周波数よりも高い周波数の交流により発熱させることもできるし、直流により駆動することもできる。ヒータ13に加える電圧は適宜設定される。
本発明の第2関連技術を説明する。図6は、ヒータを搭載した抜き型1Bを示す斜視図である。抜き型1Bは、金属基部11の上面に、刃先Eから基部11の底面までの距離が、一部で異なる打ち抜き刃12が、削り出しにより形成されている。また、基部11には、打ち抜き刃12を加熱するためのヒータ15が取り付けられている。
この抜き型1Bは、図7(A)の側面図,(B)の平面図に示す金属製の受け部材3とともに使用され、抜き型1Bと受け部材3とが本発明の関連技術の抜き型セットU1を構成する。
図7(A),(B)において、受け部材3は、図6に示した抜き型1Bの刃先Eに対応する曲面Sを有している。また、受け部材3の受け面Sの内側には軽量化のための溝GSが形成されている。なお、受け面Sの刃先(打ち抜き刃12の先端)Eが当接する部分は、銅・軟鉄・真鍮等の金属・合金(打ち抜き刃12よりも柔らかい金属)により形成することができ、たとえば、刃先Eに当接する部分を交換可能にしておくことができる。
図8に示すように、第1基板41は上定盤91に取り付けられており、第1基板41には受け部材3が取り付けられている。また、第2基板42は下定盤92に取り付けられており、第2基板42には受け部材3が取り付けられている。
第1基盤41と第2基盤42とには、案内部材43が設けられている。案内部材43は、第1基盤41と第2基盤42とを垂直方向に相対的に摺動可能としてある。図8では、案内部材43は第1基盤41の4隅に埋め込んだ摺動ロッド431と、第2基盤42に埋め込んだ案内管432により構成される。
なお、第2関連技術でも、第1関連技術と同様、ヒータ13の電源として、二次電池や水素電池を使用できるし、電熱線のヒータに代えて、化学的な発熱体を使用することができる。また、第1関連技術で説明した断熱技術(図1(B)に示した断熱材14をセットすること等)を採用することができる。さらに、第2関連技術の抜き型セットU1も、図3に示したような抜き型用温度制御システムに適用できる。
本発明の第3関連技術を説明する。図9は、ヒータを搭載した抜き型セットU2を示す斜視図である。抜き型セットU2は、第1の抜き型1Caと、第1の抜き型1Cbとからなる。
第1の抜き型1Caは、基部11aの上面(図面では下面)には溝GBaが形成されており、溝GBaの内部は打ち抜き刃12aが形成されている。打ち抜き刃12aの刃先Eaから基部11aの底面(図面では上面)までの距離が同一である打ち抜き刃12aが、削り出しにより形成されており、刃先Eaは基部11aの上面(図面では下面)からやや迫り出している。また、基部11aの上面(図面では下面)の四隅には、ピン433が設けられている。
同様に、第2の抜き型1Cbは、基部11bの上面には溝GBbが形成されており、溝GBbの内部は打ち抜き刃12aが形成されている。打ち抜き刃12bの刃先Ebから基部11bの底面までの距離が同一である打ち抜き刃12bが、削り出しにより形成されており、刃先Eaは基部11aの上面からやや迫り出している。また、基部11bには、ヒータ装着孔Hが形成されており、この孔Hには打ち抜き刃12bを加熱するためのヒータ13が挿着されている。なお、第1の抜き型1Caの基部11aにも、ヒータ13を設けることができる。また、基部11bの上面の四隅のピン433に対応する位置には、ピン受け孔434が設けられている。ピン受け孔434は、ピン433と相俟って、第1の抜き型1Caと第2の抜き型1Cbとを垂直方向に相対的に摺動可能にする案内部材43を構成する。
図10(A),(B)に、第1の抜き型1Caを上定盤91に、第1の抜き型1Caを下定盤92にそれぞれ取り付け、打ち抜き対象物Oを打ち抜く例を示す。図10(A)は打ち抜き前の様子を示し、図10(B)は打ち抜き後の例を示している。第1の抜き型1Caを下定盤92は、数mm程度に水平方向に自由度を持たせて下定盤92に配置することができる。これにより、ピン433とピン受け144との間に過度の接触力が生じることを防止できる。
第1の抜き型1Caの打ち抜き刃12aおよび第2の抜き型1Cbの打ち抜き刃12bは、数値制御加工機により高精度で作成できる。また、ピン433とピン受け孔434も、基部11a,基部11bに高精度で設けることができる。
なお、第3関連技術でも、第1関連技術と同様、ヒータ13の電源として、二次電池や水素電池を使用できるし、電熱線のヒータに代えて、ペルチェ素子加熱体や、化学的な発熱体を使用することができる。また、第1関連技術で説明した断熱技術(図1(B)に示した断熱材14をセットすること等)を採用することができる。さらに、第3関連技術の抜き型セットU2も、図3に示したような抜き型用温度制御システムに適用できる。
本発明の第4関連技術を説明する。第4関連技術では、後述するように抜き型には、加熱装置が接続される。
図11に示すように抜き型1Dは、上基部511と下基部512と打ち抜き刃12と加熱管55とからなる。上基部511の上面に打ち抜き刃52が削り出しにより形成されている。上基部511の下面側におよび下基部512の上面側には、それぞれ熱媒(液体やガス)が充填される加熱管55が装着される半溝hGが形成されている。図12(A)に図11の抜き型1Dの平面図を,図12(B)に同じく側面図を示す。この場合、半溝に断熱材を形成しておく(たとえば、断熱塗料を塗布しておく)ことができる。
図12(A)の抜き型1Dの底面に、セラミック,ガラス,硬質プラスチック等の断熱板54を配置することもできる。また、図12(A),(B)に示した抜き型1Dに温度センサ56が設けられている。
図12(A),(B)の抜き型5Bの底面に、セラミック,ガラス,硬質プラスチック等の断熱板54を配置することもできる。なお、図13に示すように、下基部512の底面に溝Gを形成し、この溝に断熱材54をセットするようにしてもよい。
図14(A)の平面図および図14(B)の左側面図に、加熱装置6を示す。加熱装置6は、発熱体62の上面にはファン64を備えている。図15(A)の平面図および図15(B)の左側面図に、ファン64を取り除いた状態を示す。
図14および図15に示すように、加熱装置6の合成樹脂からなる本体60には、加熱管61が内蔵されている。本体60の上面側の往復蛇行する加熱管61の経路上には、当該加熱管61が露出するように溝G61が形成されている。溝G61には発熱体62が装着されている。また、本体60の上面側の加熱管61経路上には、溝G62が形成され当該溝G62にはポンプ64が装着されている。
また、加熱装置6には制御装置69が付属しており、制御装置69は、温度センサ56から、温度検出信号を受け取り、発熱体62に供給する電力を制御する。なお、制御装置69は、CPU,制御用テーブル、電力変換回路等を含み、供給電圧を適宜電圧に変換し、温度センサ66からの温度検出値と制御用テーブルとから、発熱体62に適宜電力を供給する。
図16に加熱装置6が取り付けられた抜き型1Dを下定盤92に設置した例を示す。図16では、上定盤91に設けた補助盤83により抜き型1Dとの間に設けた対象物Oを打ち抜くことができる。
なお、図17(A)の平面図および図17(B)の左側面図に示すように、上定盤91側の構成が、ファン64からの風が対象物Oにかからない場合には、加熱装置6を抜き型1Dに直接取り付けることもできる。
本発明の第5関連技術を説明する。図18(A)は、ヒータを搭載した抜き型1Eを示す分解斜視図である。抜き型1Eは、上基部781と下基部782と加熱管75とからなる。上基部781および下基部782は金属からなり、上基部781の上面には打ち抜き刃12が形成されている。上基部781と下基部782との、互いの対向面には、溝73,74が形成されている。これらの溝73,74は上基部781と下基部782とを組み合わせたときに、端部が開口するように、当該端部で開放されている。
加熱管75は金属管であり、本関連技術では断面円形の金属管であり、打ち抜き刃12の形状に沿った形状に曲げ加工されている。なお、金属管に代えて、耐熱に優れかつ熱伝導性が高い材料からなる管を使用することができる。図18(B)に上基部781を下方から見た斜視図を示す。
図19に示すように、上基部781と下基部782は、加熱管75を溝73,74からなる空間に配置した状態で組み合わされる。本関連技術では、加熱管75に熱媒を流通させることで、特に、打ち抜き刃12の部分を加熱することができる。
第5関連技術の抜き型1Eにおいても、図示はしないが上述した制御装置が付属した加熱装置が接続され、抜き型用温度制御システムが構築される。
第4関連技術および第5関連技術では、加熱管を用いて熱媒を抜き型1D,1E内に流通させたが、加熱管を使用せずに抜き型1D,1Eに熱媒流通用の溝を設けるようにしてもよい。この場合、下基部に形成される半溝に断熱材を形成しておく(たとえば、断熱塗料を塗布しておく)ことができる。
図1(B)や図13では断熱材14断熱材54を抜き型の下面に設けた例を示した。第1関連技術から第5関連技術では、抜き型の打ち抜き刃を除く部分に、上記のような断熱材を貼り付けることができる。また、第1関連技術から第5関連技術では、断熱塗料を抜き型の打ち抜き刃を除く部分に塗布することもできるし、第4関連技術および第5関連技術では、加熱管の概略下半分部分を断熱材や断熱塗料に被覆することができる。これにより、加熱効率が向上する。
図20(A)に図18(A),図19に示した加熱管75の下側部分に断熱塗料CPを塗布した例を示す。また、図20(B)に、図18(A),図19に示した抜き型の打ち抜き刃を除く全面に断熱塗料を塗布した例を示す。
また、第5関連技術では、基部を打ち抜き刃の部分が残るように除去することができる。
これにより、加熱効率が向上する。図20(C)に、図18(A),図19の抜き型の基部を打ち抜き刃の部分を残して除去した例を示す。
本発明の第6関連技術を説明する。図21(A)は、ヒータを搭載した抜き型1Fを示す分解斜視図である。抜き型1Fは、上基部881と下基部882とトムソン刃(帯状刃)79と加熱管75とからなる。上基部781および下基部782は合板からなり、互いの対向面には、トムソン刃89の形状に対応する溝GT1,GT2が形成されている。トムソン刃89には、アーチ状の切り欠きOCが形成されている。上基部881および下基部882には、トムソン刃89が装着されるスリットSLTが形成されている。スリットSの深さは、アーチ状の切り欠きOCに対応するように形成され、切り欠きOCがない部分では貫通し、アーチ状の切り欠きOCに対応する部分では、アーチ形状に沿った深さに形成されている。
加熱管75は、本関連技術では断面矩形の金属管であり、トムソン刃89の外周に沿う形状に曲げ加工されている。なお、金属管に代えて、耐熱に優れかつ熱伝導性が高い材料からなる管を使用することができる。
なお、図21(B)に上基部881を下方から見た斜視図を示す。
図22は、上基部881と下基部882とトムソン刃89と加熱管85とを組み立てた様子を示す斜視図である。この状態で、溝GT1,溝GT2により形成される空間には、硬化したときに強度を有する合成樹脂(本関連技術ではレジンR)が注入される。
第6関連技術の抜き型1Fにおいても、図示はしないが上述した制御装置が付属した加熱装置が接続され、抜き型用温度制御システムが構築される。
本発明の第7関連技術を説明する。図23(A)は、高周波誘導加熱用のコイルが搭載された抜き型1Gを示す側面図、(B)は同じく平面図である。抜き型1GではコイルC1(本関連技術では、1巻のまたは2以上巻きの冷却管から構成できる)により抜き型1Gの中央が加熱される。
本発明の実施形態を説明する。図24(A)は、高周波誘導加熱用のコイルが搭載された抜き型1Hを示す側面図、(B)は同じく平面図である。抜き型1GではコイルC11,C12により抜き型1Hの刃の部分が加熱される。
実施形態における加熱制御の詳細は省略するが、温度センサを設けておき、その検出値によりコイルに供給する高周波信号を制御することができる。
以上述べたように上記の実施形態では、常温では柔らかいが低温で硬くなるシート(液晶充填シート等)や表面や内部層間に粘着層を持つシート(離型紙付の粘着シート)を打ち抜く場合に、対象物が変形したり、接着材が打ち抜き刃に付着すると言う不都合は生じない。
図1(B)に示すように、抜き型1Hの底面に面にフラットな溝Gを形成し、当該溝Gに断熱材14をセットすることができ、これにより、抜き型1Hに蓄積された熱が定盤に伝導するのを防止することができる。なお、抜き型1Hの底面に溝を形成せずに、セラミック,ガラス,硬質プラスチック等の断熱板を抜き型1Hと定盤との間に配置することもできる。
図2の抜き型1Aに代えて抜き型1Hを使用することができる。
本実施形態でも、図3に示したように、温度センサを、抜き型1Hの基部の上面に貼り付けることができる。また、抜き型1Hの基部に溝を形成しまたは孔をあけて、この溝や孔に温度センサ15を埋め込むようにできる。抜き型1Hによる打ち抜きにおいても、温度センサ15からの信号は、制御装置2により取得される。制御装置2は、フィードバック制御により、打ち抜き刃12の温度(実際には、温度センサ15の近傍温度)が適宜の温度になるように電力を供給する。
抜き型1Hは、図4(A)に示したように、上定盤91に取り付けることもできる。また、図4(B)に示すように抜き型の底面に形成された溝にマグネット16を固定しておき、マグネット16の磁力により抜き型1Hを、上定盤91に取り付けるようにしてもよい。
本発明の第2関連技術で示したと同様に、抜き型1Hは、金属基部の上面に、刃先Eから基部11の底面までの距離が、一部で異なるように形成できる。
この抜き型1Hは、図7(A)の側面図,(B)の平面図に示したような、金属製の受け部材3とともに使用することがができる。抜き型1Hと受け部材3とが図7(A)に示した抜き型セットU1を構成することができる。
抜き型1Hとにより抜き型セットU1を構成する受け部材3は、刃先Eに対応する曲面Sを有することでき、また、受け部材3の受け面Sの内側には軽量化のための溝GSを形成することができる(図7(A),(B)参照)。なお、受け面Sの刃先(打ち抜き刃12の先端)Eが当接する部分は、銅・軟鉄・真鍮等の金属・合金(打ち抜き刃12よりも柔らかい金属)により形成することができ、たとえば、刃先Eに当接する部分を交換可能にしておくことができる。
図8に示した抜き型1Bに代えて抜き型1Hが使用できる。第1基板41は上定盤91に取り付けられており、第1基板41には受け部材3が取り付けられている。また、第2基板42は下定盤92に取り付けられており、第2基板42には受け部材3が取り付けられている。
第1基盤41と第2基盤42とには、案内部材43が設けられている。案内部材43は、第1基盤41と第2基盤42とを垂直方向に相対的に摺動可能としてある。図8では、案内部材43は第1基盤41の4隅に埋め込んだ摺動ロッド431と、第2基盤42に埋め込んだ案内管432により構成される。
図9における第2の抜き型1Cbとして抜き型1Hを使用することができる。また、図10(B)第2の抜き型1Cbとして抜き型1Hを使用することができる。
なお、参考に、図25(A)に抜き型1Iの受け部材98に、ヒータを設ける例を示す。図25(A)では、ヒータは高周波誘導加熱用コイルであり、抜き型1Iが設けられていない定盤(上定盤91)側に受け部材98が設けられている。図25(B)に示すように、受け部材98は受け部材構成要素981,982に分割されるように構成されている。
図27の抜き型装置では、(A)の側面図、(B)の平面図、(C)の正面図に示すよ
うに、打ち抜き工程中(上定盤91が抜き型1Jから離れている間)に、抜き型1Jを加
熱室90に移動して加熱し下定盤92に戻すことができる。図26の例では、下定盤92
に抜き型移動用レールGRが設けられており、加熱室90には赤外線ヒータIRHが設け
られている。
また、図27の抜き型装置では、図28の(A),(B),(C),(D)に示すよう
に、打ち抜き工程中(上定盤91が抜き型1Kから離れている間)に、抜き型1Kを加熱
室90に移動して加熱し下定盤92に戻すこともできる。図27の抜き型装置では、図示
していないが、下定盤92と抜き型1Kとに置決め機構を設けておき、抜き型操作アーム
CAを操作して抜き型1Kを下定盤92上に位置決めすることができる。この例でも加熱
室90には赤外線ヒータIRHが設けられている。
図29の抜き型装置では、図30の(A),(B),(C)に示すように、打ち抜き工
程中(上定盤91が抜き型1Lから離れている間)に、上下定盤91,92の外部からヒ
ータホルダHDを抜き型1Lの刃先部分に移動させることができる。ヒータホルダHDに
は赤外線ヒータIRHが取り付けられており操作アームCAにより移動する。赤外線ヒー
タIRHにより抜き型1Lの刃先部分を加熱し、上定盤91が抜き型1Lに近づく前にヒ
ータホルダHDを上定盤91,下定盤92間から抜き出すことができる。
図26,図27,図28の抜き型装置では赤外線ヒータIRHにより加熱を行ったが、
これに代えて高周波誘導加熱用コイル等の加熱手段を設けることができる。
以上述べた関連技術においては、切断に際し、刃先が打ち抜き対象物に当接する時間をなるべく長くするために、上定盤91の最下点の近傍での速度を通常の切断に比べて低下させることができるし、上定盤91を最下点で微小時間停止させて刃先部分の加熱を促進することができる。
1A,1B,1Ca,1Cb,1D,1E,1F,1G,1H,1I,1J,1K,1
L 抜き型
2 制御装置
11,11a,11b,51,511,512 基部(金属基部)
12,12a,12b,52 打ち抜き刃
13 ヒータ
14 断熱材
15 温度センサ
16 マグネット
41 第1基板
42 第2基板
43 案内部材
54 断熱板
55 加熱管
56 温度センサ
90 加熱室
91 上定盤
92 下定盤
98 受け部材
431 摺動ロッド
432 案内管
433 ピン
434 ピン受け孔
911 治具
981,982 受け部材構成要素
C ヒータ装着溝
CA 抜き型操作アーム
E,Ea,Eb 刃先
GR 抜き型移動用レール
H ヒータ装着孔
HD ヒータホルダ
IRH 赤外線ヒータ
O 打ち抜き対象物
U1,U2 抜き型セット

Claims (3)

  1. 上下定盤間に配置された打ち抜き対象物を、打ち抜き刃により打ち抜く、前記上下定盤の少なくとも一方に設けられ、
    前記打ち抜き刃が、金属板を削り出して形成されたループ状の刃を備えた、フィルムを打ち抜くための抜き型において、
    前記ループ状の刃の直下に、当該刃の平面視形状に沿って、ループ状の溝が2本平行に形成され、
    当該2本の溝に電流向きが逆向きになるように高周波加熱用の電線が、埋設されていることを特徴とする抜き型
  2. 前記削り出し刃が形成されていない部分の全部又は一部に断熱材が貼着または塗布されていることを特徴とする請求項1に記載の抜き型。
  3. 請求項1または請求項2に記載の抜き型を用いた温度制御システムであって、
    前記抜き型には前記打ち抜き刃の温度を検出する温度センサが設けられ、前記温度センサからの信号に基づき、前記ヒータに供給する熱量を制御することを特徴とする抜き型温度制御システム。
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