JP5479182B2 - 発電システムおよび充放電制御装置 - Google Patents

発電システムおよび充放電制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、発電システムおよび充放電制御装置に関し、特に、自然エネルギーを用いて発電する発電装置と、電力を蓄電可能な蓄電手段とを備えた発電システムおよび充放電制御装置に関する。
近年、変電所からの交流電力の供給を受ける各需要家(たとえば、住宅や工場など)に、風力や太陽光などの自然エネルギーを利用した発電装置(太陽電池など)が設けられるケースが増加している。このような発電装置は、変電所の配下に設けられる電力系統に接続され、発電装置により発電された電力は、需要家内の電力消費装置側に出力される。また、需要家内の電力消費装置により消費されずに余った電力は、電力系統に出力される。この需要家から電力系統に向かう電力の流れは、「逆潮流」と呼ばれ、需要家から電力系統に出力される電力は「逆潮流電力」と呼ばれる。
ここで、電力会社等の電力供給者には、電力の安定供給の義務が課されており、逆潮流電力分も含めた電力系統全体における周波数や電圧を一定に保つ必要がある。たとえば、電力供給者は、変動周期の大きさに応じた複数の制御手法によって、電力系統全体の周波数を一定に保っている。具体的には、一般に20分程度以上の変動周期をもつような負荷成分については、最も経済的な発電電力の出力分担が可能なように経済負荷配分制御(EDC:Economic Dispatching Control)が行われている。このEDCは、1日の負荷変動予想に基づいた制御であり、時々刻々と変動する負荷の増減(20分程度より小さい変動周期の成分)に対する対応は困難である。そこで、電力会社は、時々刻々と変動する負荷に応じて電力系統への電力の供給量を調整し、周波数の安定化を行うための複数の制御を行っている。EDCを除いたこれらの制御は特に周波数制御と呼ばれており、この周波数制御によって、EDCで調整できない負荷変動分の調整を行っている。
より詳細には、約10秒以下の変動周期の成分については、電力系統自体の自己制御性により自然に吸収することができる。また、約10秒〜数分程度の変動周期の成分に対しては、各発電所の発電機のガバナフリー運転により対応が可能である。また、数分から20分程度までの変動周期の成分については、負荷周波数制御(LFC:Load Frequency Control)により対応している。この負荷周波数制御では、電力供給者の中央給電指令所からの制御信号によってLFC用発電所が発電出力を調整することにより、周波数制御を行っている。
しかし、自然エネルギーを利用した発電装置の出力は、天候などに応じて急激に変化することがある。このような発電装置の出力の急激な変化は、連系している電力系統の周波数の安定度に大きな悪影響を与えてしまう。この悪影響は、自然エネルギーを利用した発電装置を有する需要家が増えるほど顕著になってくる。このため、今後、自然エネルギーを利用した発電装置を有する需要家がさらに増えてきた場合には、発電装置の出力の急激な変化を抑制することにより、電力系統の安定度を維持する必要が生じてくる。
そこで、従来、このような発電装置の出力の急激な変化を抑制するために、自然エネルギーを利用した発電装置と、発電装置により発電された電力を蓄電可能な蓄電手段とを備えた発電システムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、太陽電池と、太陽電池に接続されるとともに電力系統に接続されるインバータと、インバータと太陽電池とを接続する母線に接続された充放電部と、充放電部に接続された蓄電手段とを備えた発電システムが開示されている。上記特許文献1では、太陽電池の発電電力の変動に伴って蓄電手段の充放電を行うように充放電部を制御することにより、インバータからの出力電力の変動を抑制している。これにより、電力系統への出力電力の変動を抑制することが可能であるので、電力系統の周波数などへの悪影響を抑制することが可能である。
特開2007−228737号公報
しかしながら、上記特許文献1では、発電装置の発電電力の変化に伴って蓄電手段の充放電がその都度行われるので、充放電の回数が多くなり、その結果、2次電池などからなる蓄電手段の寿命が短くなるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、発電装置による発電電力の変動に起因する電力系統への影響を抑制しながら、蓄電手段の長寿命化を図ることが可能な発電システムを提供することである。
課題を解決するための手段および発明の効果
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による発電システムは、電力系統に連系され、自然エネルギーを用いて発電する発電装置と、電力を蓄電可能な蓄電手段と、発電装置と電力系統との間の配線の所定部分を通過する電力を検出する電力検出部と、蓄電手段の充放電を制御する充放電制御部とを備え、充放電制御部は、電力検出部により検出された電力が第1電力から第2電力に変化した際の変化量が所定の変化量以上であり、かつ、第1電力から第2電力に変化した時点から第1期間内に第2電力から第1電力近傍の電力に戻らない場合に、蓄電手段の充放電制御を開始するように構成されている。なお、第1電力および第2電力は一定の値を意味するものではなく、所定の変化量以上の電力の変化があった場合の変化前の電力および変化後の電力を意味する。
この第1の局面による発電システムでは、上記のように、電力検出部により検出された電力が第1電力から第2電力に変化した際の変化量が所定の変化量以上の場合に蓄電手段の充放電制御を行うように充放電制御部を構成することによって、電力検出部により検出された電力の変化量が所定の変化量よりも小さい場合には充放電制御を行わないので、蓄電手段の充放電回数を減らすことができる。また、第1電力から第2電力に変化した時点から第1期間内に第2電力から第1電力近傍の電力に戻らない場合に、蓄電手段の充放電制御を開始するように構成することによって、電力検出部により検出された電力の変化量が所定の変化量以上の場合であっても、第1期間内に第2電力から第1電力近傍の電力に戻った場合には充放電制御を開始しないので、蓄電手段の充放電回数をさらに減らすことができる。これにより、蓄電手段の長寿命化を図ることができる。また、本願発明者は、鋭意検討した結果、第1電力から第2電力に変化した際の変化量が所定の変化量より小さい、または所定の変化量より大きくても第1期間内に第2電力から第1電力近傍の電力に戻った場合には、充放電制御を行わない場合であっても、発電装置による発電電力の変動に起因する電力系統への影響が小さいことを見出した。したがって、本発明では、発電装置による発電電力の変動などに起因する電力系統への影響を抑制しながら、蓄電手段の長寿命化を図ることができる。
上記第1の局面による発電システムにおいて、好ましくは、充放電制御部は、電力検出部による検出電力が、第1電力から第2電力に変化した時点から第1期間内に、第1電力の近傍の値または第1電力と同一の値からなる所定の閾値に電力が到達しない場合に、第2電力から第1電力近傍の電力に戻らないと判断するように構成されている。このように構成すれば、第1電力と同一または第1電力近傍に設定された所定の閾値を用いて、第2電力から第1電力近傍の電力に戻ったか否かを容易に判断することができる。
この場合、好ましくは、閾値は、第1電力の近傍の値で、かつ、第1電力よりも大きい第1閾値と、第1電力の近傍の値で、かつ、第1電力よりも小さい第2閾値とを含み、充放電制御部は、第1電力から第2電力にかけて検出電力が大きくなる方向に変化し、かつ、第1期間内に検出電力が第1閾値以下にまで低下しない場合に、第2電力から第1電力近傍の電力に戻らないと判断するとともに、第1電力から第2電力にかけて検出電力が小さくなる方向に変化し、かつ、第1期間内に検出電力が第2閾値以上にまで上昇しない場合に、第2電力から第1電力近傍の電力に戻らないと判断するように構成されている。このように構成すれば、第1電力から第2電力にかけて検出電力が大きくなる方向に変化した場合には、第1電力よりも大きくかつ第1電力近傍の第1閾値を下回ったか否かを判断することにより、第2電力から第1電力よりも少し大きい第1電力近傍の電力にまで戻ったか否かを容易に判断することができる。また、第1電力から第2電力にかけて検出電力が小さくなる方向に変化した場合には、第1電力よりも小さくかつ第1電力近傍の第2閾値を上回ったか否かを判断することにより、第2電力から第1電力近傍の第1電力よりも少し小さい電力にまで戻ったか否かを容易に判断することができる。
上記第1の局面による発電システムにおいて、好ましくは、充放電制御部は、電力検出部による検出電力データを所定の検出時間間隔で取得するとともに、所定の検出時間間隔で取得された検出電力データに基づいて、電力検出部による検出電力の変化量が所定の変化量以上であるか否かを判断し、かつ、検出電力が所定の検出時間間隔よりも長い第1期間内に第1電力近傍の検出電力に戻ったか否かを判断するように構成されている。このように構成すれば、第1電力近傍の電力に検出電力が戻ったか否かを判断する第1期間を検出電力の検出時間間隔よりも大きい期間に設定することにより、検出電力の検出時間間隔よりも長い時間をかけて比較的緩やかに電力が変化前の電力に戻る場合にも、第1期間内に電力が戻ったと判断して充放電制御を行わないようにすることができる。これによっても蓄電手段の充放電回数を減らすことができるので、蓄電手段の長寿命化を図ることができる。
上記検出電力データを所定の検出時間間隔で検出する構成において、好ましくは、第1期間は、所定の検出時間間隔の2倍以上の期間(たとえば、検出時間間隔の2倍以上の整数倍の期間)である。このように構成すれば、第1期間内に検出電力が戻ったか否かを判断するために検出電力データの検出時間間隔以外のタイミングで電力を別途検出する必要がなく、所定の検出時間間隔毎のタイミングで検出電力データを取得することにより、第1期間内に検出電力が戻ったか否かを容易に判断することができる。
上記第1の局面による発電システムにおいて、好ましくは、第1期間は、負荷周波数制御(LFC)により対応可能な変動周期以下の期間である。このように構成すれば、第1期間を設けることによって生じる変動周期に対応する影響を、少なくとも負荷周波数制御により対応可能な変動周期範囲内において抑制することができる。このため、負荷周波数制御により対応可能な変動周期部分の変動を抑制しながら、効果的に蓄電手段の充放電回数を減らすことができる。
上記第1の局面による発電システムにおいて、好ましくは、充放電制御部は、蓄電手段の充放電制御を行う際に、目標出力電力を移動平均法により算出するとともに、充放電制御の初期および終期の少なくとも一方の期間において、充放電制御の初期および終期の少なくとも一方の期間以外の期間よりも、移動平均の算出に用いる検出電力データの取得期間を短くして目標出力電力を算出するように構成されている。このように構成すれば、所定の変化量以上の急激な検出電力の変化が生じた際に充放電制御を開始して充放電制御の開始時点の目標出力電力を算出する際に、検出電力データの取得期間が短く設定されるので、充放電制御開始時の検出電力と大きく異なる急激な変化前(充放電制御開始前)の検出電力の値が目標出力電力の算出に用いられてしまうことを抑制することができる。これにより、充放電制御開始時において算出する目標出力電力と実際の電力との差を小さくすることができるので、充放電の開始時点の前後で電力系統側への出力電力の変化を小さくすることができるとともに、その差を埋め合わせるための蓄電手段の充放電量を少なくすることができる。その結果、電力系統側に出力される電力の変動を抑制することができるので、電力系統への悪影響を抑制することができるとともに、蓄電手段の蓄電容量を小さくすることができる。
また、充放電制御の終期における移動平均の算出に用いる検出電力データの取得期間を、充放電制御の初期および終期以外の期間よりも短くした場合には、充放電制御の終了時点で、充放電制御の終了時点近傍の検出電力データのみ取得されて目標出力電力が算出されるので、充放電制御の終了時点で算出される目標出力電力と実際の電力との差を小さくすることができる。これにより、充放電制御の終了時点の前後で電力系統側への出力電力の変化を小さくすることができる。その結果、電力系統側に出力される電力の変動を抑制することができるので、電力系統への悪影響を抑制することができる。
上記目標出力電力を移動平均法により算出する構成において、好ましくは、充放電制御部は、充放電制御の初期の期間において、充放電制御の初期および終期以外の期間よりも移動平均に用いる検出電力データの取得期間を短くするとともに、充放電制御の初期から初期および終期以外の期間にかけて移動平均に用いる検出電力データの取得期間を充放電制御の開始時点からの検出電力データの蓄積量に応じて徐々に増加して目標出力電力を算出するように構成されている。このように構成すれば、移動平均に用いる検出電力データの取得期間を充放電制御の開始時点からの検出電力データの蓄積量(蓄積期間)に応じて徐々に増加させることによって、充放電制御の開始時点以降に徐々に蓄積されて増加される検出電力データを蓄積量(蓄積期間)に応じて適切に取得して目標出力電力を算出することができるので、充放電制御の初期以降の目標出力電力を、実際の電力推移に近い値に設定することができる。これによっても、電力系統側に出力される電力の変動を抑制することができるので、電力系統への悪影響を抑制することができるとともに、蓄電手段の蓄電容量を小さくすることができる。
上記目標出力電力を移動平均法により算出する構成において、好ましくは、充放電制御部は、充放電制御の終期の期間において、充放電制御の初期および終期以外の期間よりも移動平均に用いる検出電力データの取得期間を短くするとともに、充放電制御の初期および終期以外の期間から終期にかけて移動平均に用いる検出電力データの取得期間を徐々に減少して目標出力電力を算出するように構成されている。このように構成すれば、充放電制御の終期における移動平均の算出に用いる検出電力データの取得期間を、充放電制御の初期および終期以外の期間よりも徐々に短くすることができるので、充放電制御の終了時点に近づくにつれて、目標出力電力と実際の電力との差を徐々に小さくすることができる。これにより、充放電制御の終了直前の目標出力電力と終了直後の実際の電力との差が大きくなってしまうことを抑制することができるので、充放電制御の終了時の前後で電力系統への電力の変化をより小さくすることができる。これにより、電力系統側に出力される電力の変動をより抑制することができるので、電力系統への悪影響をより抑制することができる。
上記第1の局面による発電システムにおいて、好ましくは、充放電制御部は、蓄電手段の充放電制御を行う際に、検出電力データの取得期間として所定の第2期間の範囲で検出電力データを取得して移動平均法により目標出力電力を算出するように構成されており、所定の第2期間は、負荷周波数制御により対応可能な変動周期の下限周期以上の期間である。このように構成すれば、第2期間の範囲の検出電力データに基づいて算出した目標出力電力となるように充放電を制御することにより、特に、負荷周波数制御により対応可能な変動周期の成分を減らすことができる。これにより、電力系統に影響を与えることを抑制することができる。
上記第1の局面による発電システムにおいて、好ましくは、充放電制御部は、充放電制御の開始から所定の第3期間の経過後に充放電制御を停止するように構成されている。このように構成すれば、一定期間のみ充放電制御することにより、充放電制御を停止しない場合に比べて充放電回数を減少することができる。これによっても、蓄電手段の長寿命化を図ることができる。なお、充放電制御を停止する方法として、制御期間内の検出電力の変動がなくなったことを感知して、充放電制御を停止する方法もある。この場合、より短時間で充放電制御を停止させることも可能である。なお、充放電制御が短時間で行われた場合に、負荷周波数制御(LFC)の範囲内に含まれる変動周期の抑制が困難になるおそれがある。このような場合には、少なくとも負荷周波数制御の範囲内に含まれる変動周期の抑制が期待できる一定期間以上の第3期間の制御時間を設けることが好ましい。
この場合、好ましくは、充放電制御部は、充放電制御中に、電力検出部による検出電力の所定の変化量以上の変化が所定回数以上あった場合に、充放電制御の所定の第3期間を延長するように構成されている。このように構成すれば、検出電力の変動が続くと予想される場合には継続して充放電制御を行うことができる一方、検出電力の変動が続かず、充放電制御が不必要と考えられる期間には充放電制御を行うことを抑制することができる。その結果、蓄電手段の充放電回数を減少させながら、効果的に充放電制御を行うことができる。
上記第1の局面による発電システムにおいて、好ましくは、発電装置は、太陽光を用いて発電するように構成されており、充放電制御部は、電力検出部による検出電力を所定の検出時間間隔で取得するとともに、所定の検出時間間隔で取得された発電電力に基づいて、電力検出部による検出電力の変化量が所定の変化量以上であるか否かを判断し、検出電力の変化量が所定の変化量以上で充放電制御を開始する際の所定の変化量は、たとえば快晴時の昼間の時間帯における所定の検出時間間隔毎の最大変化量よりも多い変化量である。このように構成すれば、後述するように所定の検出時間間隔毎の検出電力の変化量の少ない快晴時には、充放電制御を行わなくても電力系統への悪影響が小さいので、快晴時に充放電制御を行わないことにより、発電装置による発電電力の変動などに起因する電力系統への影響を抑制しながら充放電回数を減少することができ、その結果、蓄電手段の長寿命化を図ることができる。
上記第1の局面による発電システムにおいて、好ましくは、発電装置と電力系統との間の配線に設けられ、発電装置と電力系統とを連系するためのインバータと、発電装置とインバータとの間に直列的に接続され、発電装置により発電された直流電圧を所定の直流電圧に変換するDC−DCコンバータとをさらに備え、蓄電手段は、DC−DCコンバータとインバータとを接続する接続線に並列的に接続され、発電装置により発電された電力を蓄電する蓄電部と、蓄電部の充放電を行う充放電部とを含み、電力検出部は、DC−DCコンバータにより変換された所定の直流電圧での発電電力を検出するように構成されており、充放電制御部は、DC−DCコンバータにより変換された所定の直流電圧での発電電力が第1電力から第2電力に変化した際の変化量が所定の変化量以上であり、かつ、第1電力から第2電力に変化した時点から第1期間内に第2電力から第1電力近傍の発電電力に戻らない場合に、蓄電手段の充放電制御を開始するように構成されている。このように構成すれば、日射量などにより母線電圧が変動することを抑制することができ、母線部分を略一定の電圧とすることが可能になる。充放電量を制御するために、蓄電池側と母線側との電圧差が重要になるが、母線側が略一定電圧であることから、蓄電池側のみの電圧制御により充放電量の制御が可能になる。これにより、充放電制御部の制御性を向上させることができる。
上記第1の局面による発電システムにおいて、好ましくは、電力検出部は、発電装置の発電電力を検出するように構成されており、充放電制御部は、発電装置の発電電力が第1発電電力から第2発電電力に変化した際の変化量が所定の変化量以上であり、かつ、第1発電電力から第2発電電力に変化した時点から第1期間内に第2発電電力から第1発電電力近傍の発電電力に戻らない場合に、蓄電手段の充放電制御を開始するように構成されている。このように構成すれば、発電電力の変動に基づいて充放電制御を行うことにより、容易に電力系統に与える影響を抑制することができる。
この場合、好ましくは、充放電制御部は、発電装置と電力系統との間の配線に接続された負荷の稼動状況の変化を検出するとともに、負荷の稼動状況の変化に伴って生じる電力系統に出入りする電力の変化を抑制するように、蓄電手段の充放電制御を行うように構成されている。このように構成すれば、たとえば逆潮流が発生している状況下において、負荷が稼動することにより負荷の消費電力の分だけ電力系統に出力される電力が減少する場合に、その減少分の少なくとも一部を蓄電手段から放電することができる。また、負荷が停止することにより負荷の消費電力の分だけ電力系統に出力される電力が増加する場合には、その増加分の少なくとも一部を蓄電手段に充電することができる。これにより、負荷の稼動状況の変化に伴って電力系統に出入りする電力が変動することを抑制することができるので、電力系統に与える影響を抑制することができる。
上記第1の局面による発電システムにおいて、好ましくは、発電装置と電力系統との間の配線は、負荷を接続可能に構成されており、電力検出部は、配線の負荷が接続される部分よりも電力系統側に設けられているとともに、電力系統に出入りする電力を検出するように構成されており、充放電制御部は、電力系統に出入りする電力が第1電力から第2電力に変化した際の変化量が所定の変化量以上であり、かつ、第1電力から第2電力に変化した時点から第1期間内に第2電力から第1電力近傍の電力に戻らない場合に、蓄電手段の充放電制御を開始するように構成されている。このように構成すれば、負荷の消費電力を差し引いた分の電力(電力系統に出入りする電力)の変動が、電力系統への影響を直接的に表す変動であるので、そのような変動に基づいて充放電制御を開始することによって、発電電力の変動に基づいて充放電制御を行う場合よりもより効果的に電力系統に与える影響を抑制しながら、より適切なタイミングで充放電制御を開始することができる。
この場合、好ましくは、電力検出部は、電力系統から購入した電力を検出する購入電力検出部と、電力系統に売却した電力を検出する売却電力検出部との少なくとも一方を含む。このように構成すれば、買電電力または売電電力の少なくとも一方に基づいて、発電電力の変動に基づいて充放電制御を行う場合よりもより効果的に電力系統に与える影響を抑制しながら、より適切なタイミングで充放電制御を開始することができる。
この発明の第2の局面による充放電制御装置は、電力系統に連系され、自然エネルギーを用いて発電する発電装置と電力を蓄電可能な蓄電手段とを備えた発電システムに用いられ、蓄電手段の充放電を制御する充放電制御装置であって、発電装置と電力系統との間の配線の所定部分を通過する電力を検出する電力検出部により検出された電力が第1電力から第2電力に変化した際の変化量が所定の変化量以上であり、かつ、第1電力から第2電力に変化した時点から第1期間内に第2電力から第1電力近傍の電力に戻らない場合に、蓄電手段の充放電制御を開始するように構成されている。
この第2の局面による充放電制御装置では、上記のように、電力検出部により検出された電力が第1電力から第2電力に変化した際の変化量が所定の変化量以上の場合に蓄電手段の充放電制御を行うように充放電制御装置を構成することによって、電力検出部により検出された電力の変化量が所定の変化量よりも小さい場合には充放電制御を行わないので、蓄電手段の充放電回数を減らすことができる。また、第1電力から第2電力に変化した時点から第1期間内に第2電力から第1電力近傍の発電電力に戻らない場合に、蓄電手段の充放電制御を開始するように構成することによって、電力検出部により検出された電力の変化量が所定の変化量以上の場合であっても、第1期間内に第2電力から第1電力近傍の発電電力に戻った場合には充放電制御を開始しないので、蓄電手段の充放電回数をさらに減らすことができる。これにより、蓄電手段の長寿命化を図ることができる。また、本願発明者は、鋭意検討した結果、第1電力から第2電力に変化した際の変化量が所定の変化量より小さい、または所定の変化量より大きくても第1期間内に第2電力から第1電力近傍の電力に戻った場合には、充放電制御を行わない場合であっても、発電装置による発電電力の変動などに起因する電力系統への影響が小さいことを見出した。したがって、本発明では、発電装置による発電電力の変動などに起因する電力系統への影響を抑制しながら、蓄電手段の長寿命化を図ることができる。
本発明の第1実施形態による発電システムの構成を示すブロック図である。 図1に示した第1実施形態による発電システムの充放電制御の開始時における発電電力の推移および目標出力電力(発電電力が急激に低下した後に充放電制御を開始する例)について説明するための図である。 図1に示した第1実施形態による発電システムの充放電制御の開始時における発電電力の推移(発電電力が急激に低下した後に充放電制御を開始しない例)について説明するための図である。 図1に示した第1実施形態による発電システムの充放電制御の開始時における発電電力の推移および目標出力電力(発電電力が急激に上昇した後に充放電制御を開始する例)について説明するための図である。 図1に示した第1実施形態による発電システムの充放電制御の開始時における発電電力の推移(発電電力が急激に上昇した後に充放電制御を開始しない例)について説明するための図である。 図1に示した第1実施形態による発電システムの充放電制御時における目標出力電力の算出のための発電電力データの取得期間について説明するための図である。 電力系統に対する負荷変動の大きさと変動周期との関係を説明するための図である。 図1に示した第1実施形態による発電システムの充放電制御開始前の制御フローを説明するためのフローチャートである。 図1に示した第1実施形態による発電システムの充放電制御開始後の制御フローを説明するためのフローチャートである。 快晴時および雲のある晴天時における電力系統への出力電力の一日の推移(充放電制御なし)を示すグラフである。 快晴時および雲のある晴天時における蓄電池の蓄電量の一日の推移(第1実施形態による充放電制御なし)を示すグラフである。 図10に示す快晴時および雲のある晴天時における電力系統への出力電力(充放電制御なし)の変化をFFT(高速フーリエ変換)法により解析した解析結果を示す図である。 雨天時における電力系統への出力電力の一日の推移(充放電制御なし)を示すグラフである。 図13に示す雨天時の電力系統への出力電力(充放電制御なし)の変化をFFT(高速フーリエ変換)法により解析した解析結果を示す図である。 充放電制御を行うことによる電力系統への悪影響の軽減効果を検証するためのFFT解析結果を示す図である。 充放電制御におけるサンプリング期間について説明するための図である。 本発明の第2実施形態による発電システムの構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態による発電システムの構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態による発電システム(実施例4)の充放電制御を説明するためのグラフである。 本発明の第3実施形態による発電システム(実施例5)の充放電制御を説明するためのグラフである。 本発明の第3実施形態による発電システム(実施例4)の充放電制御を行うことによる効果を説明するためのグラフである。 本発明の第3実施形態による発電システム(実施例5)の充放電制御を行うことによる効果を説明するためのグラフである。 本発明の第3実施形態による発電システム(実施例4および実施例5)の充放電制御を行うことによる効果を説明するためのグラフである。 本発明の第4実施形態による発電システムの構成を示すブロック図である。 本発明の第4実施形態による発電システムの充放電制御を説明するためのグラフである。 2秒の検出時間間隔で発電電力データを取得した場合の充放電制御のシミュレーション結果を示すグラフである。 10秒の検出時間間隔で発電電力データを取得した場合の充放電制御のシミュレーション結果を示すグラフである。 30秒の検出時間間隔で発電電力データを取得した場合の充放電制御のシミュレーション結果を示すグラフである。 2秒、10秒および30秒のそれぞれの検出時間間隔で平滑化した場合の出力電力推移についてFFT(高速フーリエ変換)法により解析した解析結果を示す図である。 常に目標出力電力を算出する場合の1次遅れ法により充放電制御を行った場合のシミュレーション結果を示すグラフである。 時定数を固定にした場合の1次遅れ法により充放電制御を行った場合のシミュレーション結果を示すグラフである。 時定数を徐々に増加させる場合の1次遅れ法により充放電制御を行った場合のシミュレーション結果を示すグラフである。 1次遅れ法の時定数と移動平均法のサンプリング期間との関係を説明するためのグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図7を参照して、本発明の第1実施形態による発電システム(太陽光発電システム1)の構造を説明する。
本発明の第1実施形態による太陽光発電システム1は、太陽光を用いて発電する太陽電池からなる発電装置2と、発電装置2により発電された電力を蓄電可能な蓄電手段3と、電力系統50に接続され、発電装置2により発電された電力および蓄電手段3により蓄電された電力を電力系統50側に出力するインバータを含む電力出力部4と、蓄電手段3の充放電を制御する充放電制御部5とを備えている。
発電装置2と電力出力部4とを接続する直流側母線6には、DC−DCコンバータ7が直列的に接続されている。DC−DCコンバータ7は、発電装置2により発電された電力の直流電圧を一定の直流電圧(第1実施形態では、約260V)に変換して電力出力部4側に出力する機能を有する。また、DC−DCコンバータ7は、いわゆるMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御機能を有している。MPPT制御機能とは、発電装置2により発電された電力が最大となるように発電装置2の動作電圧を自動的に調整する機能である。発電装置2とDC−DCコンバータ7との間には、発電装置2に向かって電流が逆流するのを防止するためのダイオード(図示せず)が設けられている。なお、DC−DCコンバータ7は、本発明の「DC−DCコンバータ」の一例である。また、直流側母線6は、本発明の「配線」の一例である。
また、蓄電手段3は、直流側母線6に並列的に接続された蓄電池31と、蓄電池31の充放電を行う充放電部32とを含んでいる。蓄電池31としては、自然放電が少なく、充放電効率の高い2次電池(たとえば、Li−ion蓄電池、Ni−MH蓄電池など)が用いられている。また、蓄電池31の電圧は約48Vである。なお、蓄電池31は、本発明の「蓄電部」の一例である。
充放電部32は、DC−DCコンバータ33を有しており、直流側母線6と蓄電池31とはDC−DCコンバータ33を介して接続されている。DC−DCコンバータ33は、充電時には、蓄電池31に供給する電力の電圧を、直流側母線6の電圧から蓄電池31を充電するのに適した電圧まで降圧させることにより、直流側母線6側から蓄電池31側に電力を供給する。また、DC−DCコンバータ33は、放電時には、直流側母線6側に放電させる電力の電圧を、蓄電池31の電圧から直流側母線6の電圧付近まで昇圧させることにより、蓄電池31側から直流側母線6側に電力を放電させる。
また、充放電制御部5は、CPU5aおよびメモリ5bを含んでいるとともに、DC−DCコンバータ33を制御することにより、蓄電池31の充放電制御を行う。具体的には、充放電制御部5は、発電装置2の発電電力(DC−DCコンバータ7の出力電力)と、後述する目標出力電力とに基づいて、発電装置2の発電電力と目標出力電力との差を補償するように蓄電池31の充放電を行う。すなわち、充放電制御部5は、発電装置2の発電電力が目標出力電力よりも大きい場合には、過剰分の電力を蓄電池31に充電するようにDC−DCコンバータ33を制御するとともに、発電装置2の発電電力が目標出力電力よりも小さい場合には、不足分の電力を蓄電池31から放電するようにDC−DCコンバータ33を制御するように構成されている。
また、DC−DCコンバータ7の出力側には、発電装置2の発電電力を検出する発電電力検出部8が設けられている。なお、発電電力検出部8は、本発明の「電力検出部」の一例である。充放電制御部5は、発電電力検出部8の検出結果に基づいて、発電装置2の発電電力を所定の検出時間間隔(たとえば、30秒以下)毎に取得することが可能である。第1実施形態では、充放電制御部5は、30秒毎に発電装置2の発電電力データを取得している。なお、この発電電力の検出時間間隔は、発電装置2の発電電力の変動周期などを勘案して適正な値に定める必要がある。この第1実施形態では、負荷周波数制御(LFC)により対応可能な変動周期よりも短く、かつ、後述する待機時間よりも短くなるように検出時間間隔を設定している。また、充放電制御部5は、電力出力部4の出力電力を取得することにより、実際に電力出力部4から電力系統50側に出力された電力と目標出力電力との差を認識することにより、電力出力部4からの出力電力が目標出力電力となるように充放電部32の充放電をフィードバック制御することが可能である。
また、充放電制御部5は、電力系統50側に出力する目標出力電力を、移動平均法を用いて算出するように構成されている。移動平均法とは、たとえばある時点の目標出力電力を、その時点より過去の期間の発電装置2の発電電力の平均値とする算出方法である。以下、目標出力電力の算出に用いる発電電力データを取得するための期間をサンプリング期間と呼ぶ。なお、サンプリング期間は、本発明の「検出電力データの取得期間」および「第2期間」の一例である。サンプリング期間は、負荷周波数制御(LFC)で対応する変動周期T1〜T2の間、特に後半付近(長周期付近)からT1を超える範囲であまり長時間に渡らない範囲とすることが好ましい。サンプリング期間の具体的な値としては、たとえば、図7に示すような「負荷変動の大きさ−変動周期」特性を有する電力系統においては約10分以上約30分以下の期間であり、第1実施形態では、後述するように、充放電制御の初期および終期以外の期間においては、サンプリング期間を約10分としている。この場合、充放電制御部5は、約30秒置きに発電装置2の発電電力データを取得するので、過去10分の期間に含まれる20個の発電電力データの平均値を目標出力電力として算出している。この上限周期T1および下限周期T2については、後に詳細に説明する。
上記のように、第1実施形態では、発電装置2の発電電力をそのまま電力系統50側に出力するのではなく、過去の発電装置2の発電電力から目標出力電力を算出し、発電装置2の発電電力と蓄電池31の充放電量との合計が目標出力電力となるように蓄電池31の充放電を制御して目標出力電力を電力系統50側に出力する制御である充放電制御を行う。充放電制御を行うことにより、電力系統50側に出力する電力の変動が抑制されるので、雲の有無などによる発電装置2の発電電力の変動などに起因する電力系統50への悪影響が抑制される。
ここで、第1実施形態では、充放電制御部5は、充放電制御を常に行うわけではなく、特定の条件を満たした時にのみ充放電制御を行うように構成されている。すなわち、発電装置2の発電電力をそのまま電力系統50側に出力しても電力系統50への悪影響が小さい場合には充放電制御を行わず、悪影響が大きい場合にのみ充放電制御を行うように構成されている。具体的には、充放電制御部5は、発電装置2の発電電力が所定の発電電力(以下、「制御開始発電電力」と呼ぶ)以上で、かつ、発電装置2の発電電力の変化量が所定の変化量(以下、「制御開始変化量」と呼ぶ)以上である場合に、充放電制御を行うように構成されている。制御開始発電電力は、たとえば雨天時の発電電力よりも多い発電電力であり、具体的な数値としては、たとえば、発電装置2の定格出力の10%である。また、制御開始変化量は、快晴時(雲が殆どない晴天)の昼間の時間帯における検出時間間隔毎の最大変化量よりも多い変化量であり、具体的な数値としては、たとえば、変化前の発電電力の5%である。また、発電電力の変化量は、所定の検出時間間隔毎に検出される発電装置2の発電電力の連続する2つの発電電力データの差分を算出することにより取得される。なお、上記の具体的な数値(変化前の発電電力の5%および定格出力の10%)については、発電電力の検出時間間隔が約30秒である等、第1実施形態の場合に対応する数値であり、検出時間間隔を変えた場合には、その検出時間間隔に応じて制御開始発電電力および制御開始変化量を設定する必要がある。
また、充放電制御部5は、発電装置2の発電電力が制御開始発電電力未満の状態から制御開始発電電力以上の状態になった場合に、発電装置2の発電電力の変化量の検出を開始する。そして、発電装置2の発電電力が制御開始発電電力以上の状態で、発電装置2の発電電力の変化量が制御開始変化量以上になった時に、はじめて充放電制御を開始する。発電装置2の発電電力が制御開始発電電力以上になった場合にも、発電装置2の発電電力の変化量が制御開始変化量を超えない場合には充放電制御は行わない。また、発電装置2の発電電力の変化量が制御開始変化量を超えないまま、発電装置2の発電電力が制御開始発電電力未満になった場合には、発電装置2の発電電力の変化量の検出を停止する。
また、充放電制御部5は、発電装置2の発電電力の変化量が制御開始変化量以上になった場合であっても、制御開始変化量以上の変化を検出した時点から所定の待機時間内に発電電力が変化前の発電電力の近傍の値に戻った場合には、電力系統に与える悪影響が小さいので、充放電制御を開始しない。上記所定の待機時間は、負荷周波数制御(LFC)により対応可能な変動周期以下の期間であり、図7に示す変動周期−負荷変動線の関係図を参照して、好ましくは上限周期T1以下の期間であり、より好ましくは下限周期T2以下の期間である。第1実施形態では、待機時間を約2分以下とした。また、待機時間は検出時間間隔よりも大きく、検出時間間隔の2倍以上(たとえば、検出時間間隔の2倍以上の整数倍)である。なお、待機時間は、本発明の「第1期間」の一例である。また、変化前の発電電力の近傍の値とは、具体的には、変化前の発電電力に対して微小量だけ大きい上側閾値と、変化前の発電電力に対して微小量だけ小さい下側閾値との間の値である。上側閾値は、たとえば、変化前の発電電力の101%の値であり、下側閾値は、たとえば、変化前の発電電力の99%の値である。発電電力の制御開始変化量以上の変化が発電電力の制御開始変化量以上の低下である場合には、充放電制御部5は、発電電力が低下した後、待機時間内に下側閾値(変化前の発電電力の99%)以上にまで上昇した場合に、変化前の発電電力の近傍の値に戻ったと判断する。また、発電電力の制御開始変化量以上の変化が発電電力の制御開始変化量以上の上昇である場合には、充放電制御部5は、発電電力が上昇した後、待機時間内に上側閾値(変化前の発電電力の101%)以下にまで低下した場合に、変化前の発電電力の近傍の値に戻ったと判断する。つまり、発電電力の制御開始変化量以上の変化が上昇である場合と低下である場合とで、変化前の発電電力の近傍の値に戻ったか否かの判断の基準となる閾値を異ならせている。なお、上側閾値および下側閾値は、それぞれ、本発明の「第1閾値」および「第2閾値」の一例である。
上記した点を図2〜図5を参照して説明する。図2に示すように、発電電力P(−2)から発電電力P(−1)まで急激に発電電力が低下した場合に、発電電力P(−1)を検出した時点から待機時間内に発電電力P(−2)の近傍の値まで戻らない場合(上昇しない場合)には、充放電制御を開始する。図2に示した例では待機時間を1分としている。この例では、発電電力P(−1)を検出した時点から1分の待機時間内に検出した発電電力P0およびP1が下側閾値を下回ったままである。この場合、充放電制御部5は、待機時間内に変化前の発電電力(発電電力P(−2))の近傍まで発電電力が戻らなかったと判断するとともに、発電電力P1の検出時点(待機時間の終了時点)で充放電制御を開始する。また、図3に示した例では、発電電力P(−1)を検出した時点から1分の待機時間内に検出した発電電力のうち、発電電力P0は下側閾値を下回っている一方、発電電力P1は下側閾値以上に上昇している。この場合、充放電制御部5は、待機時間内に変化前の発電電力(発電電力P(−2))の近傍まで発電電力が戻ったと判断するとともに、待機時間が経過した後も充放電制御を開始しない。
また、図4に示すように、発電電力P(−2)から発電電力P(−1)まで急激に発電電力が上昇した場合に、発電電力P(−1)を検出した時点から待機時間内に発電電力P(−2)の近傍の値まで戻らない場合(低下しない場合)には、充放電制御を開始する。図4に示した例では、発電電力P(−1)を検出した時点から1分の待機時間内に検出した発電電力P0およびP1が上側閾値を上回ったままである。この場合、充放電制御部5は、待機時間内に変化前の発電電力(発電電力P(−2))の近傍まで発電電力が戻らなかったと判断するとともに、発電電力P1の検出時点(待機時間の終了時点)で充放電制御を開始する。また、図5に示した例では、発電電力P(−1)を検出した時点から1分の待機時間内に検出した発電電力のうち、発電電力P0は上側閾値を上回っている一方、発電電力P1は上側閾値以下に下降している。この場合、充放電制御部5は、待機時間内に変化前の発電電力(発電電力P(−2))の近傍まで発電電力が戻ったと判断するとともに、待機時間が経過した後も充放電制御を開始しない。
なお、図2〜図5における変化前の発電電力P(−2)および変化後の発電電力P(−1)は、それぞれ、本発明の「第1電力(第1発電電力)」および「第2電力(第2発電電力)」の一例である。
また、充放電制御部5は、充放電制御を開始した後、一定の制御期間の経過後に充放電制御を停止するように構成されている。なお、制御期間は、本発明の「第3期間」の一例である。制御期間は、少なくとも負荷周波数制御で対応する変動周期範囲を基に決定したサンプリング期間以上とし、充放電制御の初期あるいは終期に発電電力データ取得期間を短くする手法を取る場合には、少なくともサンプリング期間にデータ取得期間を短くする期間を加えたものが最低の制御期間である。制御期間は短すぎると負荷周波数制御で対応する変動周期範囲の抑制効果が薄くなり、長すぎると充放電回数の頻度が増えることから蓄電池寿命が短くなる傾向にあり、適切な時間を設定する必要がある。第1実施形態では、制御期間は30分間に設定されている。また、制御期間中に制御開始変化量以上の発電電力の変化を所定回数(第1実施形態では、3回)検出した場合には、充放電制御部5は、制御期間を延長するように構成されている。この延長は、3回目の発電電力変化を検出した時点で、新たに30分の制御期間を設定することにより行われる。制御期間が延長された場合、3回目の検出時点(延長開始時点)から制御開始変化量以上の発電電力の変化を新たに3回検出しない場合には、3回目の検出時点(延長開始時点)から30分後に充放電制御が停止される。3回目の検出時点(延長開始時点)から制御開始変化量以上の発電電力の変化を新たに3回検出した場合には、再度30分延長される。
また、充放電制御部5は、制御期間中に、発電装置2の発電電力が制御終了発電電力未満になった場合には、制御期間の経過前であっても、充放電制御を停止するように構成されている。なお、制御終了発電電力は、制御開始発電電力以下の値であり、第1実施形態では、制御開始発電電力の半分の値としている。
次に、図2および図6を参照して、本発明の第1実施形態による太陽光発電システム1の充放電制御部5による目標出力電力の算出方法について説明する。まず、図2に示すような発電電力変化があると仮定する。具体的には、徐々に発電電力が上昇していき、ある発電電力検出タイミング(発電電力P(−2))からその次の発電電力検出タイミング(発電電力P(−1))にかけて発電電力の急激な変化(低下)が生じ、その後、待機時間内に発電電力の変化量が変化前の発電電力(発電電力P(−2))の近傍の値に戻らずに発電電力が徐々に低下していく例を想定する。なお、図2においては発電電力が急激に低下する例を示しているが、発電電力が急激に上昇する場合も、以下に説明する目標出力電力の算出方法は同様である。
図2に示したような発電電力の急激な変化があった場合、図6に示すように、充放電制御の初期および終期以外の期間においては、充放電制御部5は、過去10分のサンプリング期間に含まれる20個の発電電力データの平均値を目標出力電力として算出する。その一方、充放電制御の初期(充放電制御の開始時から10分間)および終期(充放電制御の終了予定時までの10分間)については、充放電制御の初期および終期以外の期間の発電電力データのサンプリング期間(10分、20個の発電電力データ)よりも短い期間の発電電力データから目標出力電力を算出するように構成されている。
具体的には、充放電制御の初期において、充放電制御部5は、充放電制御の開始以降の発電電力データ(P1、P2…)をメモリ5bに順次蓄積していくとともに、発電電力データのサンプリング期間を充放電制御の開始時点からの発電電力データの蓄積量に応じて徐々に増加させる。すなわち、図6に示すように、ある発電電力検出タイミングにおける発電電力P(−2)と、その次の発電電力検出タイミングにおける発電電力P(−1)との間に大きな変化が生じ、かつ、待機時間内に発電電力P(−2)の近傍まで発電電力が戻らないことが認識されて充放電制御が開始された場合において、充放電制御開始後の1回目の目標出力電力Q1を、直前に取得した発電電力データP1そのものとし、2回目の目標出力電力Q2を、メモリ5bに蓄積された2つの発電電力データ(直前の2つの発電電力データP1およびP2)の平均とする。3回目の目標出力電力Q3は、メモリ5bに蓄積された3つの発電電力データ(直前の3つの発電電力データP1、P2およびP3)の平均とする。
同様にして、20回目の目標出力電力Q20を、その直前の20個の発電電力データ(P1〜P20)の平均とする。発電電力データの蓄積量が20個に達した時点で、初期から初期および終期以外の期間に移行する。そして、発電電力データの蓄積量が20個に達した後(初期および終期以外の期間)では、20個の発電電力データに基づいて目標出力電力を算出する。
また、充放電制御の終了時点(終了予定時点)が近づくと、発電電力データのサンプリング期間を充放電制御の終了時点(終了予定時点)までの発電電力データの取得予定量に応じて徐々に減少させる。なお、終了予定時点は充放電制御の開始(延長の開始)から30分であるので、発電電力データのサンプリング期間を減少させ始める時点は算出可能である。すなわち、充放電制御の終了予定時点の10分前になった時点で、初期および終期以外の期間から終期に移行するとともに、終期の開始時点から発電電力データのサンプリング期間を減少させ始める。
具体的には、充放電制御の終了時点(終了予定時点)の目標出力電力の算出が制御開始からn回目とすると、制御終了前20回目の目標出力電力Q(n−19)を、その直前の20個の発電電力データP(n−38)〜P(n−19)の平均とする。制御終了前19回目の目標出力電力Q(n−18)を、その直前の19個の発電電力データP(n−36)〜P(n−18)の平均とする。同様にして、制御終了前3回目の目標出力電力Q(n−2)を、その直前の3個の発電電力データP(n−4)、P(n−3)およびP(n−2)の平均とする。制御終了前2回目の目標出力電力Q(n−1)を、その直前の2個の発電電力データP(n−2)およびP(n−1)の平均とする。そして、制御終了直前の目標出力電力Q(n)は、その直前の発電電力データP(n)そのままとする。
ここで、第1実施形態による充放電制御により変動抑制を主に行う変動周期範囲について説明する。図7に示すように、変動周期によって対応可能な制御方法が異なっており、負荷周波数制御(LFC)により対応可能な変動周期が領域D(ハッチングで示す領域)に示されている。また、EDCにより対応可能な変動周期は領域Aに示されている。なお、領域Bは、負荷変動などによる影響を電力系統50自体の自己制御性により自然に吸収する領域である。また、領域Cは、各発電所の発電機のガバナフリー運転により対応が可能な領域である。ここで、領域Dと領域Aとの境界線が負荷周波数制御(LFC)により対応可能な変動周期の上限周期T1となり、領域Cと領域Dとの境界線が負荷周波数制御により対応可能な変動周期の下限周期T2となる。この上限周期T1および下限周期T2は、図7より固有の周期ではなく、負荷変動の大きさなどによって変化する数値であることが分かる。さらに、構築された電力網によって図示されている変動周期の時間も変化する。第1実施形態では、EDC、電力系統50自体の自己制御性およびガバナフリー運転などによって対応できない領域D(LFCにより対応可能な領域)の範囲内に含まれる変動周期(変動周波数)を有する変動に着目し、抑制することを目的としている。
次に、図8を参照して、本発明の第1実施形態による太陽光発電システム1の充放電制御開始前の制御フローについて説明する。
充放電制御部5は、発電装置2の発電電力を所定の検出時間間隔毎(30秒毎)に検出している。そして、ステップS1において、充放電制御部5は、発電電力が制御開始発電電力以上になったか否かを判断する。発電電力が制御開始発電電力以上にならなかった場合には、この判断が繰り返される。発電電力が制御開始発電電力以上になった場合には、ステップS2において、充放電制御部5は、発電電力の変化量の監視を開始する。すなわち、検出した発電電力と、その直前の発電電力の検出値との差分を発電電力の変化量として取得する。
そして、ステップS3において、充放電制御部5は、制御開始変化量以上の発電電力の変化があったか否かを判断する。制御開始変化量以上の発電電力の変化がない場合には、ステップS2に戻り、発電電力の変化量の監視を継続する。
また、制御開始変化量以上の発電電力の変化があった場合には、ステップS4において、待機時間以内に発電電力が変化前の値の近傍に戻ったか否かを判断する。発電電力が変化前の値の近傍に戻った場合には、充放電制御を行わずにステップS2に戻り、発電電力の変化量の監視を継続する。発電電力が変化前の値の近傍に戻らない場合には、充放電制御を開始する。なお、図8には記載していないが、たとえばステップS2において発電電力の変化量を監視する際に発電電力の絶対値を確認し、発電電力が制御開始発電電力または制御終了発電電力を下回った場合にはステップS1に戻るようにもしている。
次に、図9を参照して、充放電制御の開始後の制御フローについて詳細に説明する。
充放電制御を開始した後、充放電制御部5は、ステップS5において、充放電制御を開始した時点からの経過時間のカウントを開始する。
次に、ステップS6において、充放電制御部5は、充放電制御を開始してからの発電電力データの蓄積数(サンプリング回数k1)または充放電制御の終了予定までのサンプリング予定回数k2が所定回数(第1実施形態では、20回)以上であるか否かを判断する。
発電電力データのサンプリング数k1または終了までのサンプリング予定回数k2が20個以上または20回以上である場合には、ステップS7において、直前の20個のサンプリング値を用いて移動平均法により目標出力電力を算出して設定する。
また、発電電力データのサンプリング数k1または制御終了までのサンプリング予定回数k2が所定個数(20個)または所定回数(20回)未満である場合には、ステップS8において、k1個またはk2個のサンプリング値を用いて移動平均法により目標出力電力を算出して設定する。すなわち、充放電制御の開始時には、目標出力電力の算出に用いるサンプリング数を目標出力電力の算出毎に1から20まで1つずつ増加させ、充放電制御の終了(予定)時には、目標出力電力の算出に用いるサンプリング数を目標出力電力の算出毎に20から1まで1つずつ減少させる。
そして、ステップS9において、充放電制御部5は、ステップS7またはS8において設定した目標出力電力と、目標出力電力の算出後に検出した発電電力との差を算出する。そして、ステップS10において、充放電制御部5は、充放電部32に対して過不足分の充放電を指示する。すなわち、目標出力電力が発電電力よりも大きい場合には、目標出力電力に対して発電装置2の発電電力では足りない分を蓄電池31により補うように、充放電制御部5はDC−DCコンバータ33に対して放電を指示する。また、目標出力電力が発電電力よりも小さい場合には、発電装置2の発電電力から目標出力電力を差し引いて余る分を蓄電池31に充電するように、充放電制御部5はDC−DCコンバータ33に対して充電を指示する。
そして、ステップS11において、目標出力電力(発電装置2の発電電力+蓄電池31の充放電電力)が電力出力部4から電力系統50側に出力される。
この後、ステップS12において、充放電制御部5は、所定の変化量(制御開始変化量)以上の発電電力の変化が制御期間(30分)中に所定回数(第1実施形態では、3回)あったか否かを判断する。制御開始変化量以上の発電電力の変化が3回あった場合には、この後も発電電力の変化が継続する可能性が高いので、ステップS13において、経過時間のカウントをリセットするとともに、充放電制御の期間を延長する。この場合、ステップS5に戻り、新たに経過時間のカウントを開始する。
また、制御開始変化量以上の発電電力の変化が3回未満の場合には、ステップS14において、発電装置2の発電電力が所定の発電電力(制御終了発電電力)以上であるか否かを判断する。そして、制御開始発電電力以上である場合には、ステップS15において、充放電制御部5は、充放電制御を開始してから、または、充放電制御期間を延長してから制御期間(30分)を経過したか否かを判断する。制御期間が経過した場合には、充放電制御部5は充放電制御を停止する。制御期間が経過していない場合には、ステップS6に戻り、充放電制御が継続される。
また、ステップS14において発電電力が制御終了発電電力未満であると判断された場合には、制御期間が経過していない場合であっても、充放電制御を停止する。
第1実施形態では、上記のように、発電装置2の発電電力が変化した際の変化量が制御開始変化量以上の場合に蓄電手段3の充放電制御を行うように構成することによって、発電装置2の発電電力の変化量が制御開始変化量よりも小さい場合には充放電制御を行わないので、蓄電手段3の充放電回数を減らすことができる。また、制御開始変化量以上変化した時点から待機時間内に変化前の発電電力近傍の発電電力に戻らない場合に、充放電制御を行うように構成することによって、発電装置2の発電電力の変化量が制御開始変化量以上の場合であっても、待機時間内に変化前の発電電力近傍の発電電力に戻った場合には充放電制御を行わないので、蓄電手段3の充放電回数をさらに減らすことができる。これにより、蓄電手段3の長寿命化を図ることができる。また、本願発明者は、鋭意検討した結果、後述するように、発電電力の変化量が制御開始変化量より小さい、または制御開始変化量より大きくても待機時間内に変化前の発電電力近傍の発電電力に戻った場合には、充放電制御を行わない場合であっても、発電装置2による発電電力の変動に起因する電力系統50への影響が小さいことを見出した。したがって、第1実施形態では、発電装置2による発電電力の変動に起因する電力系統50への影響を抑制しながら、蓄電手段3の長寿命化を図ることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御開始変化量以上変化した時点から待機時間内に、変化前の発電電力の近傍の値からなる閾値(下側閾値および上側閾値)に発電電力が到達しない場合に、変化前の発電電力の近傍の発電電力に戻らないと判断するように構成されている。このように構成することによって、変化前の発電電力の近傍に設定された閾値(下側閾値および上側閾値)を用いて、変化前の発電電力近傍の発電電力に戻ったか否かを容易に判断することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御開始変化量以上の変化が発電電力が大きくなる方向の変化で、かつ、待機時間内に発電電力が上側閾値以下にまで低下しない場合に、変化前の発電電力近傍の発電電力に戻らないと判断する。また、制御開始変化量以上の変化が発電電力が小さくなる方向の変化で、かつ、待機時間内に発電電力が下側閾値以上にまで上昇しない場合に、変化前の発電電力近傍の発電電力に戻らないと判断する。このように構成することによって、制御開始変化量以上の変化が発電電力が大きくなる方向の変化の場合には、変化前の発電電力よりも大きくかつ変化前の発電電力の近傍の上側閾値を下回ったか否かを判断することにより、変化前の発電電力よりも少し大きい発電電力にまで戻ったか否かを容易に判断することができる。また、制御開始変化量以上の変化が発電電力が小さくなる方向の変化の場合には、変化前の発電電力よりも小さくかつ変化前の発電電力の近傍の下側閾値を上回ったか否かを判断することにより、変化前の発電電力よりも少し大きい発電電力にまで戻ったか否かを容易に判断することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、発電電力が検出時間間隔よりも大きい待機時間内に変化前の発電電力近傍の発電電力に戻ったか否かを判断することによって、変化前の発電電力近傍に発電電力が戻ったか否かを判断する待機時間を検出時間間隔よりも大きい期間に設定することにより、発電電力の検出時間間隔よりも長い時間をかけて比較的緩やかに発電電力が変化前に戻る場合にも、待機時間内に発電電力が戻ったと判断して充放電制御を行わないようにすることができる。これによっても蓄電手段3の充放電回数を減らすことができるので、蓄電手段3の長寿命化を図ることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、待機時間を検出時間間隔の2倍以上の整数倍の期間としている。このように構成することによって、待機時間内に発電電力が戻ったか否かを判断するために検出時間間隔以外のタイミングで発電電力を別途検出する必要がなく、検出時間間隔毎のタイミングで発電電力を検出することにより、待機時間内に発電電力が戻ったか否かを容易に判断することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、待機時間を負荷周波数制御(LFC)により対応可能な変動周期以下の期間としている。このように構成することによって、待機時間を設けることによって生じる変動周期に対応する影響を、少なくとも負荷周波数制御により対応可能な変動周期範囲内において抑制することができる。このため、負荷周波数制御により対応可能な変動周期部分の変動を抑制しながら、効果的に蓄電手段3の充放電回数を減らすことができる。
また、第1実施形態では、上記のように、充放電制御の初期の期間において、充放電制御の初期および終期以外の期間よりも、移動平均の算出に用いる発電電力データのサンプリング期間を短くして目標出力電力を算出している。このように構成することによって、制御開始変化量以上の急激な発電電力の変化が生じた際に充放電制御を開始して充放電制御の開始時点の目標出力電力を算出する際に、発電電力データのサンプリング期間が短く設定されるので、充放電制御開始時の発電電力と大きく異なる急激な変化前(充放電制御開始前)の発電電力の値が目標出力電力の算出に用いられてしまうことを抑制することができる。これにより、充放電制御開始時において算出する目標出力電力と実際の発電電力との差を小さくすることができるので、充放電の開始時点の前後で電力系統50側への出力電力の変化を小さくすることができるとともに、その差を埋め合わせるための蓄電手段3の充放電量を少なくすることができる。その結果、電力出力部4から電力系統50側に出力される電力量の変動を抑制することができるので、電力系統50への悪影響を抑制することができるとともに、蓄電手段3の蓄電容量を小さくすることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、充放電制御の終期における移動平均の算出に用いる発電電力データのサンプリング期間を、充放電制御の初期および終期以外の期間よりも短くすることによって、充放電制御の終了時点で、充放電制御の終了時点近傍の発電電力データのみ取得されて目標出力電力が算出されるので、充放電制御の終了時点で算出される目標出力電力と実際の発電電力との差を小さくすることができる。これにより、充放電制御の終了時点の前後で電力系統50側への出力電力の変化を小さくすることができる。その結果、電力出力部4から電力系統50側に出力される電力量の変動を抑制することができるので、電力系統50への悪影響を抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、充放電制御の初期から初期および終期以外の期間にかけて移動平均に用いる発電電力データの取得期間を充放電制御の開始時点からの発電電力データの蓄積量に応じて徐々に増加して目標出力電力を算出している。このように構成することによって、移動平均に用いる発電電力データのサンプリング期間を充放電制御の開始時点からの発電電力データの蓄積量(蓄積期間)に応じて徐々に増加させることによって、充放電制御の開始時点以降に徐々に蓄積されて増加される発電電力データを蓄積量(蓄積期間)に応じて適切に取得して目標出力電力を算出することができるので、充放電制御の初期以降の目標出力電力を、実際の発電電力推移に近い値に設定することができる。これによっても、電力出力部4から電力系統50側に出力される電力量の変動を抑制することができるので、電力系統50への悪影響を抑制することができるとともに、蓄電手段3の蓄電容量を小さくすることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、充放電制御の初期および終期以外の期間から終期にかけて移動平均に用いる発電電力データのサンプリング期間を徐々に減少して目標出力電力を算出している。このように構成することによって、充放電制御の終期における移動平均の算出に用いる発電電力データのサンプリング期間を、充放電制御の初期および終期以外の期間よりも徐々に短くすることができるので、充放電制御の終了時点に近づくにつれて、目標出力電力と実際の発電電力との差を徐々に小さくすることができる。これにより、充放電制御の終了直前の目標出力電力と終了直後の実際の発電電力との差が大きくなってしまうことを抑制することができるので、充放電制御の終了時の前後で電力系統50側への電力の変化をより小さくすることができる。これにより、電力出力部4から電力系統50側に出力される電力量の変動をより抑制することができるので、電力系統50への悪影響をより抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、蓄電手段3の充放電制御を行う際に、発電電力データのサンプリング期間を、少なくとも負荷周波数制御(LFC)により対応可能な変動周期の下限周期T2以上の期間、好ましくは上限周期T1以上の期間Tとして、発電電力データを取得して移動平均法により目標出力電力を算出している。このように構成することによって、負荷周波数制御により対応可能な変動周期を考慮したTをサンプリング期間として算出した目標出力電力となるように充放電を制御することにより、負荷周波数制御(LFC)により対応する変動周期の成分を減らすことができる。これにより、電力系統50に影響を与えることを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、充放電制御の開始から所定の制御期間の経過後に充放電制御を停止している。このように構成することによって、一定期間のみ充放電制御することにより、充放電制御を停止しない場合に比べて充放電回数を減少することができる。これによっても、蓄電手段3の長寿命化を図ることができる。また、充放電制御の停止を時間により制御することができるので、制御アルゴリズムを簡略化することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、充放電制御中に、発電電力の制御開始変化量以上の変化が所定回数以上あった場合に、充放電制御の制御期間を延長している。このように構成することによって、発電電力の変動が続くと予想される場合には継続して充放電制御を行うことができる一方、発電電力の変動が続かず、充放電制御が不必要と考えられる期間には充放電制御を行うことを抑制することができる。その結果、蓄電手段3の充放電回数を減少させながら、効果的に充放電制御を行うことができる。
また、第1実施形態では、上記のように、発電電力の変化量がたとえば快晴時の昼間の時間帯における検出時間間隔毎の最大変化量以上になった場合に充放電制御を行う。このように構成することによって、発電電力の検出時間間隔毎の変化量の少ない快晴時には、充放電制御を行わなくても電力系統50への悪影響が小さいので、快晴時に充放電制御を行わないことにより、発電装置2による発電電力の変動に起因する電力系統50への影響を抑制しながら充放電回数を減少することができ、その結果、蓄電手段3の長寿命化を図ることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、発電電力の変化量が変化前の発電電力の5%の変化量以上になった場合に充放電制御を行う。このように構成することによって、充放電制御を開始する際の閾値である制御開始変化量を快晴時の変化量よりも大きくすることができるので、容易に快晴時に充放電制御を行わないように制御することができる。また、制御開始変化量は、発電装置2の定格容量を基準にして求めてもよい。このようにしても、上記と同様の効果を得ることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、DC−DCコンバータ7により変換された所定の直流電圧の電力と、電力系統50側に出力する目標出力電力とに基づいて、充放電部32を制御している。このように構成することによって、日射量などにより直流側母線6の電圧が変動することを抑制することができ、直流側母線6の部分を略一定の電圧とすることが可能になる。充放電量を制御するために、蓄電池31側と直流側母線6側との電圧差が重要になるが、直流側母線6側が略一定電圧であることから、蓄電池31側のみの電圧制御により充放電量の制御が可能になる。これにより、充放電制御部5の制御性を向上させることができる。
次に、図10〜図16を参照して、本発明の第1実施形態による太陽光発電システム1を用いることによる効果に関して鋭意検討した結果について、詳細に説明する。
図10には、快晴時および雲のある晴天時の一日の実際の発電電力(出力電力)の変動推移を示している。なお、図10は、充放電制御を行わない場合の電力系統50側への出力電力(発電装置2の発電電力そのまま)を示している。
図10に示すように、快晴時には、日光が雲により遮られることがないので、発電装置2の発電電力が大きな変動なく滑らかに推移していることがわかる。その一方、図10に示すように、雲のある晴天時には、雲の影響により日射量が変動することに起因して、発電装置2の発電電力が大きな変動を繰り返しながら推移していることがわかる。
また、第1実施形態による充放電制御を行わずに終日移動平均法による充放電制御を行う場合における蓄電池31の充電量の推移を図11に示す。図11に示すように、快晴時の充放電の最大深度差H1は蓄電池の最大充電量の約14%であり、雲のある晴天時の充放電の最大深度差H2は蓄電池の最大充電量の約15%である。すなわち、快晴時と雲のある晴天時とで充放電の最大深度差は大きく変わらないことがわかる。
充放電の最大深度差が蓄電池31の寿命に大きく影響することが知られているが、上記のように快晴時と晴天時とで充放電の最大深度差が大きく変わらないことから、快晴時と雲のある晴天時とで蓄電池31の寿命は大きく変わらないことがわかる。すなわち、全体的な推移が略同じであれば、大きな変動の頻度に拘わらず、蓄電池寿命は殆ど変わらないことがわかる。
ここで、図10の出力電力パターンが電力系統50に与える影響について考察する。電力系統50への影響を検討するために、図10の出力電力パターンについて、FFT(高速フーリエ変換)により解析した。図10のFFTによる解析結果を図12に示す。
図12に示すように、快晴時と雲のある晴天時とでパワースペクトルについて大きな差異が見られることがわかる。特に負荷周波数制御(LFC)領域である数分程度の周波数領域を見てみると、快晴時のパワースペクトルは晴天時の1/4程度の大きさとなっている。したがって、快晴時においては、充放電制御を行わなくても出力変動による電力系統50への悪影響は小さいことがわかる。
次に、雨天時の出力変動が電力系統50に与える影響について考察する。図13および図14には、雨天時の一日の実際の発電電力の変動推移およびそのFFT解析結果を示している。なお、図13は、充放電制御を行わない場合の電力系統50側への出力電力(発電装置2の発電電力そのまま)を示している。
図13に示すように、雨天時においても出力変動(発電電力の変動)が多い一方、図14に示すように、FFT解析によるパワースペクトルは非常に小さくなっていることがわかる。すなわち、雨天時には、充放電制御を行わなくても電力系統50への悪影響は小さいことがわかる。
以上のことから、FFT解析の結果、快晴時や雨天時においてはパワースペクトルが小さく、充放電制御を行わない場合であっても電力系統50への悪影響は小さいので、充放電制御を行う必要性が低いことを見出した。また、蓄電池31の寿命には大きく影響を与える充放電深度については、全体的な発電電力の推移が略同じであれば、大きな変動の頻度に拘わらず充放電制御を行う場合と行わない場合とで殆ど差が見られないことが判明した。したがって、快晴時や雨天時に充放電制御を行わないようにすることによって、充放電制御を行う頻度を低減することができ、蓄電池寿命を延ばすことができる。
次に、充放電制御を行うことによる電力系統50への悪影響の軽減効果を検証した結果について説明する。図15には、比較例1、比較例2、比較例3、実施例1および2についてのFFT解析結果を示している。比較例1は、充放電制御を行わない場合(発電装置2の発電電力をそのまま電力系統側に出力する場合)の例である。比較例2は、第1実施形態の移動平均法とは異なる一般的な移動平均法による充放電制御を一日中常時行った場合の例である。なお、一般的な移動平均法とは、充放電制御の開始時および終了時においてサンプリング数(サンプリング期間)を減少させる第1実施形態の移動平均法と異なり、充放電制御の開始時および終了時であっても、常に一定のサンプリング数に基づいて目標出力電力を算出する制御である。また、比較例3、実施例1および2は、第1実施形態と同様に、発電装置2の発電電力が定格出力の10%を超えた場合に発電電力の監視を開始し、発電電力の変化が変化前の発電電力の5%を超え、かつ、待機時間内に発電電力が変化前の値の近傍に戻らなかった場合に充放電制御を開始する例である。また、比較例3、実施例1および2では、第1実施形態と同様に、充放電制御の開始時および終了時にサンプリング数を減らす充放電制御を行っている。また、比較例3は、第1実施形態と異なり、発電電力が変化前の値の近傍に戻ったか否かを判断する際の待機時間を設けない例である。また、実施例1および2は待機時間を設けた例であり、実施例1および2では、それぞれ、待機時間を1分および2分とした。
図15に示すように、比較例2、比較例3、実施例1および実施例2は、比較例1に比べてFFT解析結果のパワースペクトルが減少している。すなわち、比較例2、比較例3、実施例1および実施例2では、充放電制御を行わない場合(比較例1)と比べて大きくパワースペクトルが減少している。また、比較例3、実施例1および実施例2では、一般的な移動平均法を一日中行った場合(比較例2)と同レベルで出力電力の平滑化ができていることから、一般的な移動平均法を一日中常時行った場合と同レベルで電力系統50への悪影響を抑制できていることがわかる。以上のことから、第1実施形態による充放電制御を行うことによって、一般的な移動平均法によって充放電制御を一日中常時行った場合と同様に、電力系統への悪影響を軽減することが可能であることが判明した。
ここで、比較例2、比較例3、実施例1および実施例2における蓄電池31の寿命を簡易的に見積もった結果を以下の表1に示す。ここでは、約2ヶ月間の発電電力データに基づいて、比較例2、比較例3、実施例1および実施例2のそれぞれの充電量および放電量の総和を求め、その逆数をもって電池寿命の見積もり値とした。また、比較例3、実施例1および実施例2の値は、比較例2の値を基準に規格化された値である。
Figure 0005479182
表1に示すように、比較例3、実施例1および実施例2では、比較例2に比べて10%以上の電池寿命の長寿命化が期待できる。また、比較例3に比べて実施例1および2の電池寿命見積もり値が向上している。これは、1分または2分の待機時間を設けたことにより、充放電制御を行う期間が短くなったので、その分、蓄電池31の充放電回数が少なくなったことが理由であると考えられる。
次に、移動平均法のサンプリング期間について検討した。ここでは、発電電力データの取得期間であるサンプリング期間を10分とした場合のFFT解析結果と、サンプリング期間を20分とした場合のFFT解析結果を図16に示す。図16に示すように、サンプリング期間が10分の場合には、変動周期が10分未満の範囲における変動が抑制されている一方、変動周期が10分以上の範囲における変動があまり抑制されていないことがわかる。また、サンプリング期間が20分の場合には、変動周期が20分未満の範囲における変動が抑制されている一方、変動周期が20分以上の範囲における変動はあまり抑制されていない。したがって、サンプリング期間の長さと、充放電制御により抑制できる変動周期との間には良好な相関関係があることがわかる。このため、サンプリング期間の設定により効果的に変動周期を抑制できる範囲が変わることがいえる。そこで、本システムで主に注目している負荷周波数制御により対応可能な変動周期の部分を抑制するためには、サンプリング期間を負荷周波数制御で対応する変動周期以上、特にT1〜T2の後半付近(長周期付近)からT1以上の範囲の期間とすることが好ましいことがわかる。たとえば、図7の例では20分以上のサンプリング期間とすることにより、負荷周波数制御で対応する変動周期の殆どを抑制することができることがわかる。ただし、サンプリング期間を長くすると、必要な蓄電池容量が大きくなる傾向があり、T1よりもあまり長くないサンプリング期間を選択することが好ましい。
(第2実施形態)
次に、図17を参照して、本発明の第2実施形態による発電システム(太陽光発電システム100)について説明する。
図17に示すように、太陽光発電システム100では、太陽光を用いて発電する太陽電池からなる3つの発電装置2a、2bおよび2cと、蓄電手段3と、電力出力部4と、充放電制御部15とを備えている。なお、発電装置2a、2bおよび2cの合計の発電電力が電力出力部4で処理可能な発電電力以下になるようにすることが好ましい。
3つの発電装置2a、2bおよび2cは、電力出力部4に対して並列的に接続されている。また、MPPT制御機能を有しているDC−DCコンバータ7a、7bおよび7cが各発電装置2a、2bおよび2c毎に設けられている。各DC−DCコンバータ7a、7bおよび7cは、発電装置2a、2bおよび2cのそれぞれにより発電された電力の電圧を一定電圧に変換して電力出力部4側に出力する機能を有する。なお、DC−DCコンバータ7a、7bおよび7cは、本発明の「DC−DCコンバータ」の一例である。
また、充放電制御部15は、CPU15aおよびメモリ15bを含む。また、充放電制御部15は、各DC−DCコンバータ7a、7bおよび7cの出力側に設けられた発電電力検出部8a、8bおよび8cのそれぞれから発電装置2a、2bおよび2cの発電電力を取得する。充放電制御部15は、各発電装置2a、2bおよび2cの発電電力の総和データに基づいて目標出力電力を算出するとともに、各発電装置2a、2bおよび2cの発電電力の総和と上記算出した目標出力電力との差を補償するように蓄電池31の充放電制御を行う。
上記した構成以外の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、上記のように、複数の発電装置2a、2bおよび2cを設け、発電装置2a、2bおよび2cのそれぞれに対応してDC−DCコンバータ7a、7bおよび7cを設けている。このように構成することによって、上記第1実施形態のように1つの発電装置2を用いた場合には発電装置2の一部のみが陰になっただけの場合でも発電装置2全体の出力が低下する一方、第2実施形態では、1つの発電装置2aが雲の陰になって出力が低下した場合にも、他の発電装置2bおよび2cが陰になっていなければ他の発電装置2bおよび2cの出力が低下することを防止することができる。これにより、発電装置全体の発電電力の低下を抑制することができる。これにより、発電電力の変動を抑制することができるので、電力系統50への悪影響を抑制することができる。
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
次に、図18を参照して、本発明の第3実施形態による発電システム(太陽光発電システム200)について説明する。この第3実施形態では、上記第1実施形態の充放電制御を行うことに加えて、負荷210の稼動状況に応じて蓄電池31の充放電を制御する例について説明する。
図18に示すように、太陽光発電システム200は、発電装置2と、蓄電手段3と、電力出力部4と、充放電制御部201と、DC−DCコンバータ7と、発電電力検出部8とを備えている。また、電力出力部4と電力系統50との間の交流側母線9には分電盤202が設けられている。分電盤202を介して3つの負荷210、220および230が交流側母線9に接続されている。ここで、負荷210は、負荷周波数制御(LFC)で対応する変動周期の下限周期T2〜上限周期T1の時間(約2分〜約20分)内で使用されることが多く、かつ、消費電力の比較的大きい負荷であり、たとえば、IHヒータなどである。また、負荷220および負荷230は、消費電力の小さい照明などの負荷またはオン/オフを切り替えることの少ない負荷などである。
第3実施形態では、負荷210の稼動状況を検知するセンサ203が設けられている。充放電制御部201は、負荷210が使用されている(オン)か使用されていない(オフ)かをセンサ203の出力信号に基づいて判断することが可能である。充放電制御部201は、上記第1実施形態の充放電制御を行うことに加えて、負荷210のオン/オフが切り替えられることに伴って生じる電力系統50に出入りする電力の変化を抑制するように蓄電池31の充放電を制御する。すなわち、負荷210がオフからオンになったと判断した場合には、負荷210の消費が加わる分、太陽光発電システム200から電力系統50に逆潮流する電力(売電力)が減るか、電力系統50から太陽光発電システム200に入る電力(買電力)が増加するので、売電力の減少分または買電力の増加分を抑制するように蓄電池31から放電する。同様に、負荷210がオンからオフになったと判断した場合には、負荷210の消費が減る分、売電力が増加するか、買電力が減少するので、買電力の減少分または売電力の増加分を抑制するように蓄電池31の充電を行う。
第3実施形態では、上記のように、発電装置2と電力系統50との間の交流側母線9に接続された負荷210の稼動状況の変化を検出するとともに、負荷210の稼動状況の変化に伴って生じる電力系統50に出入りする電力の変化を抑制するように、蓄電手段3の充放電制御を行う。このように構成することによって、たとえば逆潮流が発生している状況下において、負荷210が稼動することにより負荷210の消費電力の分だけ電力系統50側に出力される電力が減少する場合に、その減少分の少なくとも一部を蓄電手段3から放電することができる。また、負荷210が停止することにより負荷210の消費電力の分だけ電力系統50側に出力される電力が増加する場合には、その増加分の少なくとも一部を蓄電手段3に充電することができる。これにより、負荷210の稼動状況の変化に伴って電力系統50に出入りする電力が変動することを抑制することができるので、電力系統50に与える影響を抑制することができる。
次に、図19〜図23を参照して、本発明の第3実施形態の効果を検証したシミュレーション結果について説明する。
このシミュレーションでは、発電装置2の発電電力推移に対して、第3実施形態による制御を行った場合の電力系統50側に出力される電力推移を検証した。第3実施形態による制御としては、実施例4として、上記第1実施形態の充放電制御を行いながら、負荷210のオン/オフが切り替えられた場合に、負荷210がオンである期間の間継続して蓄電池31の放電を行った。すなわち、第1実施形態で算出される蓄電池31の充放電電力に、負荷210がオンである期間の間負荷210の消費電力分の充電電力を加算するように充放電を行った。また、実施例5として、上記第1実施形態の充放電制御を行いながら、負荷210のオン/オフが切り替えられた場合に、切替直後に、第1実施形態で算出される蓄電池31の充放電電力に負荷210の消費電力分の放電電力(オン時)または充電電力(オフ時)を加算するように充放電を行い、その後、切替直後に加算した電力を5分間かけて徐々に0へとしていくように蓄電池31を制御した。また、実施例6として、上記第1実施形態の制御のみを行った。図19および図20には、実施例4、5および6の制御を行った場合に電力出力部から出力される電力の推移を示している。図21および図22は、実施例4、5および6の制御を行った場合に電力系統50側に逆潮流される電力の推移(正確には、負荷210と負荷220との間を通過する電力の推移)を示している。
図19に示すように、実施例4では、負荷210がオンされてからオフされるまでの期間Aにおいて、実施例6に示したような発電電力の推移を基に算出した出力電力に負荷210の消費電力分を加えた電力を出力している。したがって、実施例4の期間Aにおいては、蓄電池31からは実施例6に比べて負荷210の消費電力分の放電電力を加算するように充放電制御が行われている。期間A以外の期間は実施例4と実施例6とは同じ推移である。
また、図20に示すように、実施例5では、負荷210がオンされてから5分間の期間Bにおいて、実施例6に示したような発電電力の推移を基に算出した出力電力に負荷210の消費電力分を加えた電力を出力し、それから徐々に実施例6と同じ出力へと減らしている。この際、実施例5の期間Bにおいては、蓄電池31の充放電電力は負荷210のオン時に負荷210の消費電力分の放電電力を加算するように充放電電力を算出し、この加算した分の放電電力を5分かけて徐々に0へとしていく。
また、負荷210がオフされてから5分間の期間Cにおいて、期間Cの開始時に実施例6に示したような発電電力の推移を基に算出した出力電力に負荷210の消費電力分を差し引いた電力を出力し、それから徐々に実施例6と同じ出力へと増やしている。この際、実施例5の期間Cにおいては、蓄電池31の充放電電力は負荷210のオフ時に負荷210の消費電力分の放電電力を差し引くように充放電電力を算出し、この差し引いた分の放電電力を5分かけて徐々に0へとしていく。
ここで、図21および図22に示すように、実施例6では、電力出力部4から出力された電力から負荷210での消費分が減少するために、負荷210のオン時およびオフ時において、電力系統50側に出力される電力に急激な変動が生じていることがわかる。その一方、実施例4および実施例5では、実施例6で大きな変動となっている期間A〜Cにおいて、急激な変動なく滑らかに推移していることがわかる。したがって、実施例4および5は、実施例6よりも電力系統50に与える影響が少ないことがわかる。
また、図23に示すように、実施例4および5では、実施例6に比べて全体的に周波数変動を抑制していることがわかる。また、実施例4および実施例5は略同じレベルで周波数変動を抑制していることがわかる。ここで、図19および図20に示したように、実施例5は実施例4のように、負荷210で消費される電力分を加算する一方で、期間Cでは負荷210で消費される電力分を減算するように制御するために、蓄電池31の充放電が充電あるいは放電の一方向に傾きにくい。その結果、蓄電池31の放電深度を抑制することができるなど、蓄電池31の長寿命化・低容量化に有利であり、実施例5は実施例4よりも有効であることがわかる。
(第4実施形態)
次に、図24を参照して、本発明の第4実施形態による発電システム(太陽光発電システム300)について説明する。この第4実施形態では、発電電力に基づいて充放電制御を行う上記第1実施形態と異なり、電力系統50に出入りする電力(買電力または売電力)に基づいて充放電制御を行う例について説明する。
図24に示すように、太陽光発電システム300は、発電装置2と、蓄電手段3と、電力出力部4と、充放電制御部301と、DC−DCコンバータ7と、発電電力検出部8とを備えている。また、電力出力部4と電力系統50との間の交流側母線9には分電盤202を介して3つの負荷210、220および230が接続されている。
また、交流側母線9の分電盤202よりも電力系統50側には太陽光発電システム300から電力系統50に売却する電力を計量する電力メータ310と、電力系統50から購入する電力を計量する電力メータ320とが設けられている。電力メータ310および電力メータ320のそれぞれには、電力センサ302および電力センサ303が設けられている。なお、電力センサ302および電力センサ303は、本発明の「電力検出部」の一例である。
充放電制御部301は、電力センサ302および303の出力に基づいて、電力系統50に出入りする電力のデータ(買電電力データまたは売電電力データ)を所定の検出時間間隔毎(たとえば、30秒以下)に取得することが可能である。充放電制御部301は、売電電力−買電電力=検出した電力のデータ(売電電力および買電電力はゼロ以上の値)を電力系統50に出入りする電力のデータ(出入電力データ)として取得する。また、充放電制御部5は、過去の出入電力データに基づいて目標出力電力を算出するとともに、実際の出入電力と目標出力電力との差の少なくとも一部を補償するように蓄電池31の充放電を行う。すなわち、充放電制御部5は、実際の出入電力が目標出力電力よりも大きい場合には、過剰分の電力の少なくとも一部を蓄電池31に充電するようにDC−DCコンバータ33を制御するとともに、実際の出入電力が目標出力電力よりも小さい場合には、不足分の電力の少なくとも一部を蓄電池31から放電するようにDC−DCコンバータ33を制御するように構成されている。
また、充放電制御部301は、発電装置2の発電電力が所定の発電電力(制御開始発電電力)以上で、かつ、出入電力(買電電力または売電電力)の変化量が所定の変化量(制御開始変化量)以上である場合に、充放電制御を開始するように構成されている。また、出入電力の変化量が制御開始変化量以上であっても、待機時間内に変化前の電力近傍まで戻った場合には、充放電制御部301は充放電制御を開始しないように構成されている。第4実施形態の制御開始変化量は、たとえば快晴時(雲が殆どない晴天)の昼間の時間帯における検出時間間隔毎の最大変化量よりも多い変化量とし、検出時間間隔、負荷量なども考慮して設定する。特に第4実施形態では、出入電力(=売電電力−買電電力)が正負の値をとるために、単純に第1実施形態などで示した発電電力の変化量と変化前の発電電力とを比較する方法ではなく、たとえば発電装置2の定格出力、負荷の定格消費電力などを加味して、変化量の絶対値で制御する方法、あるいは、出入電力(=売電電力−買電電力)に負荷量に応じて適切な電力を加算する方法が望ましい。第4実施形態では、制御開始変化量を発電装置2の定格出力の5%とした。
なお、検出時間間隔、サンプリング期間、目標出力電力の算出方法、待機時間などの充放電制御に関する設定は、上記第1実施形態と同様である。
また、図25には、ある1日の発電装置2の発電電力の推移と、同じ日の出入電力(=売電電力−買電電力)の推移とを示している。出入電力の推移は、発電電力推移から負荷(負荷210、220および230)の消費電力を差し引いたものにほぼ相当する。図25に示すように、一般家庭においては1日を通して負荷の消費電力の急激な変動の頻度は高くないので、発電電力の推移と出入電力の推移とは略同じように変動している。したがって、出入電力に基づいて充放電制御を行うことにより、出入電力の変動を抑制し、電力系統50に影響を抑制することが可能である。
第4実施形態では、上記のように、電力センサ302および303の出入電力が変化した際の変化量が制御開始変化量以上の場合に蓄電手段3の充放電制御を行うように構成することによって、電力センサ302および303の出入電力の変化量が制御開始変化量よりも小さい場合には充放電制御を行わないので、蓄電手段3の充放電回数を減らすことができる。また、制御開始変化量以上変化した時点から待機時間内に変化前の出入電力近傍の電力に戻らない場合に、充放電制御を行うように構成することによって、電力センサ302および303の出入電力の変化量が制御開始変化量以上の場合であっても、待機時間内に変化前の出入電力近傍の電力に戻った場合には充放電制御を行わないので、蓄電手段3の充放電回数をさらに減らすことができる。これにより、蓄電手段3の長寿命化を図ることができる。また、上記第1実施形態と同様に、電力センサ302および303の出入電力の変化量が制御開始変化量より小さい、または制御開始変化量より大きくても待機時間内に変化前の出入電力近傍の電力に戻った場合には、充放電制御を行わない場合であっても、発電装置2による発電電力の変動に起因する電力系統50への影響が小さいことを見出した。したがって、第4実施形態では、発電装置2による発電電力の変動に起因する電力系統50への影響を抑制しながら、蓄電手段3の長寿命化を図ることができる。なお、制御開始発電電力は第1実施形態などに比べて高く設定することが望ましい。具体的には負荷量に応じて設定する必要があるが、たとえば負荷での消費量が200W前後で推移している場合には、第1実施形態などで設定した発電装置2の定格出力の10%に200Wを加算するように設定する。
次に、図26〜図29を参照して、検出時間間隔の長さについて説明する。
図26、図27および図28には、それぞれ、検出時間間隔を2秒、10秒および30秒として第1実施形態による充放電制御を行った場合のシミュレーション結果を示している。
図26〜図28に示すように、2秒、10秒および30秒のいずれも良好な平滑化結果となっている。また、検出時間間隔が短くなるほど、平滑化後の電力がより滑らかに推移していることがわかる。
さらに、図26〜図28の平滑化後の電力推移について高速フーリエ変換を行った解析結果を図29に示す。図29に示すように、2秒、10秒および30秒のいずれも実際の発電電力の変動を抑制できていることがわかる。また、検出時間間隔が2秒の場合には、5分〜20分の変動周期において全体的にパワースペクトルが小さくなっており、平滑化効果が高いことがわかる。
このように、検出時間間隔を適切に選択することにより、平滑化の効果をより高めることが可能である。ただし、検出時間間隔が短くなると移動平均を算出するためのデータ数が増えるので、制御装置の処理能力と必要な平滑化度とを考慮して、最適な検出時間間隔を選択する必要がある。
また、検出時間間隔に合わせて各設定値を適切に変化させることが好ましい。図26〜図28では検出時間間隔を2秒、10秒および30秒としたが、制御開始変化量をそれぞれ2%、4%および6%とした。
なお、制御開始変化量と検出時間間隔との関係の目安を以下に示す。太陽光発電システムの発電電力の変化は主に雲の動きによる影響を受けている。そのため、発電電力の変化は比較的緩やかであり、秒単位以上での変化となる。ここで、我々の検討の結果、2秒程度の検出時間間隔においては1%/秒以上の変化を含む場合にFFT解析後のパワースペクトルに与える影響が大きくなる傾向を見出した。ただし、検出時間間隔が比較的長時間になる場合には、制御開始変化量を単純に1%/秒×検出時間間隔(秒)と設定した場合にはパワースペクトルの抑制が困難であった。これは、たとえば検出時間間隔を10秒とした場合において、10秒の中で1%/秒の変化が含まれていればパワースペクトルに与える影響が大きいためであり、単純な計算から求められる10%(=1(%/秒)×10秒)では、10秒間に渡って平均して1%/秒以上の変化をし続ける場合のみ適用され、10秒の中で1%/秒の変化が含まれている場合よりも狭い範囲となってしまうからである。
そこで、様々な検討を行った結果、自然現象を表す式としてよく用いられる、自然対数を含んだ以下のような式から得られる範囲を制御開始変化量とすることが有効であることがわかった。
制御開始変化量≦2×loge(t+1)
ここで、(t+1)はt>0の範囲で制御開始変化量がゼロ以上となるためのものであり、2を乗算しているのは2秒程度のときに1%/秒の変化量(=2%)となるように調整したものである。
次に、図30〜図33を参照して、1次遅れ法による平滑化方法について説明する。
1次遅れ法を用いた目標出力電力Q(t)は、以下の式により求められる。
Q(t)=Q(t−Δt)+{W(t)−Q(t−Δt)}/N・・・(1)
ここで、W(t)は検出電力(たとえば、発電電力または出入電力)であり、Nは、所定の時定数Tを検出時間間隔Δtで除した値(時間Tに含まれる発電電力のデータまたは出入電力のデータ数)である。時刻tにおける目標出力電力Q(t)は、その前の目標出力電力Q(t−Δt)に、目標出力電力Q(t−Δt)と時刻tにおける発電電力または出入電力W(t)との差分をNで除した値を加えた値として算出される。このような1次遅れ法により平滑化を行う場合においても、本発明を適用して目標出力電力を設定することにより、発電装置による発電電力の変動などに起因する電力系統への影響を抑制しながら、蓄電手段の長寿命化を図るという本発明の効果を得ることができる。
ここで、上記のように、1次遅れ法の目標出力電力は1つ前の時点の目標出力電力を用いて算出される。このため、上記第1〜第4実施形態のように1日の途中から充放電制御を開始する制御においては、充放電制御の開始前では目標出力電力を算出していないので、開始時の目標出力電力を算出することができない。ここで、1つの方法として、充放電制御の開始前にも目標出力電力を常時算出しておき、充放電制御を開始する際には、算出しておいた目標出力電力の値を用いて開始時の目標出力電力を算出するようにすることが考えられる。しかしながら、目標出力電力は過去の発電電力の影響を大きく受けるので、たとえば図30に示すように発電電力が上昇傾向にある場合には、充放電制御を開始した時点では、それまでの低い発電電力の影響のために目標出力電力が大きく減少してしまい、電力系統に影響を与える大きな変動を含んでしまう。
そこで、充放電制御の開始時においては、上記式(1)において、目標出力電力Q(t)を算出する際に、1つ前の目標出力電力Q(t−Δt)を1つ前の発電電力または出入電力W(t−Δt)として目標出力電力Q(t)を算出する。そして、その後は上記式(1)を用いて算出する。これにより、充放電制御の開始時において出力電力の変動が生じるのを防止することができる。
また、充放電制御の開始時にのみQ(t−Δt)=W(t−Δt)とする場合においては、時定数Tあるいはサンプル数Nを定数(T=Δt×N)としてもよいし、始めはT=1あるいはN=1として、それから徐々に時定数Tを増加させていってもよい。図31には、時定数T=20分(N=40、検出時間間隔30秒)に固定した場合の出力電力推移を示している。図32には、サンプル数Nを時間Δt毎に1から40まで1つずつ増加させていった場合の出力電力推移を示している。図31および図32に示すように、充放電制御の開始時にQ(t−Δt)=W(t−Δt)として目標出力電力を算出した場合には、充放電制御の開始時に出力電力の大きな変動を生ずることなく平滑化できている。ここで、図30〜図32などを用いて定性的に平滑化ができていることに触れているが、FFT解析の結果、1次遅れ法でも移動平均法と同様に平滑化の効果が得られることを確認している。
次に、1次遅れ法における時定数Tと移動平均法のサンプリング期間との関係について説明する。図33には、サンプリング期間を10分および20分として移動平均法により平滑化を行った場合の蓄電池の充電量の推移と、時定数Tを10分として1次遅れ法により平滑化を行った場合の蓄電池の充電量の推移とを示している。なお、検出時間間隔(Δt)は同じ(たとえば30秒)である。図33に示すように、サンプリング期間が20分の移動平均法と時定数Tが10分の1次遅れ法とが略同じ結果となっていることがわかる。移動平均法ではサンプリング期間をLFCにより対応可能な周波数(たとえば約2分〜約20分)以上とすることが好ましいが、1次遅れ法では、充放電量が増える傾向にあることから時定数は比較的短くすることが好ましい。たとえば、時定数を約2分〜約10分以上とすることが好ましく、特に約10分以上とすることがより好ましい。
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1〜第4実施形態では、発電装置2(発電装置2a、2bおよび2c)として太陽電池を用いる例について説明したが、本発明はこれに限らず、風力発電装置などの他の自然エネルギー発電装置を用いてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、蓄電池としてLi−ion電池やNi−MH電池を用いる例を示したが、本発明はこれに限らず、他の2次電池を用いてもよい。また、本発明の「蓄電部」の一例として、蓄電池の代わりにキャパシタを用いてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、充放電制御の開始時(初期)および終了時(終期)の両方でサンプリング期間を短くした例を示したが、本発明はこれに限らず、充放電制御の開始時(初期)および終了時(終期)のいずれか一方のみのサンプリング期間を短くしてもよい。
また、上記第2実施形態では、3つの発電装置2a〜2cのそれぞれにDC−DCコンバータ7a〜7cを設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、1つのDC−DCコンバータを複数の発電装置に接続してもよい。たとえば、発電装置2a、2bおよび2cにそれぞれ個別のDC−DCコンバータを接続してもよいし、発電装置2aおよび2bに1つのDC−DCコンバータを接続し、発電装置2cに別のDC−DCコンバータを接続してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、蓄電池31の電圧が48Vである例について説明したが、本発明はこれに限らず、48V以外の電圧にしてもよい。なお、蓄電池の電圧としては60V以下が望ましい。
また、上記第1〜第3実施形態では、制御開始発電電力を発電装置2の定格出力の10%とし、制御開始変化量を発電装置2の変化前の発電電力の5%とした例について説明したが、本発明はこれに限らず、上記以外の数値を用いてもよい。たとえば、制御開始変化量は、発電装置の定格出力を基準にして決めてもよい。ただし、制御開始発電電力の大きさは、制御開始変化量の大きさよりも大きいことが望ましい。
また、上記第1〜第4実施形態では、待機時間が2分以下である例について説明したが、本発明はこれに限らず、2分以上でもよい。なお、待機時間は、負荷周波数制御(LFC)により対応可能な変動周期の上限周期T1以下が好ましく、下限周期T2以下の期間であることがより好ましい。ただし、電力系統側におけるいわゆるならし効果などの影響により下限周期の値も変化する。また、ならし効果の大きさも、太陽光発電システムの普及度および地域分散性などに応じて変化する。
また、上記第1〜第3実施形態では、変化前の発電電力の近傍の値に戻ったと判断するための上側閾値および下側閾値を、それぞれ、変化前の発電電力の101%および99%とした例を示したが、本発明はこれに限らず、これらの値以外の値を上側閾値および下側閾値としてもよい。また、上側閾値および下側閾値の値を異ならせずに、同じ値を用いてもよい。たとえば、変化前の発電電力と同一の発電電力を上側および下側の共通の閾値として用いてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、上側閾値および下側閾値を変化前の発電電力の1%とした例について説明したが、本発明はこれに限らず、変化前の発電電力の1%でなくてもよい。上記第1および第2実施形態では、制御開始変化量を変化前の発電電力の5%としたことに対応して変化前の発電電力の1%の範囲となる閾値を用いたが、制御開始変化量の大きさに対応して変えてもよい。たとえば、制御開始変化量を変化前の発電電力の10%とした場合には、変化前の発電電力の2%の範囲となる閾値(上側閾値および下側閾値それぞれ変化前の発電電力の102%および98%)に設定してもよい。また、閾値(上側閾値および下側閾値)は、制御開始変化量の20%以内とすることが望ましい。
また、上記第1〜第4実施形態に記載されたサンプリング期間、母線電圧などの具体的な数値についても、本発明はこれに限られず、適宜変更が可能である。
また、上記第2実施形態では、発電電力検出部を3つの発電装置毎に設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、1つの発電電力検出部を3つの発電装置に対して設けてもよい。
また、上記第3実施形態では、負荷210のオン/オフを検出するセンサ203の出力信号に基づいて蓄電池31の充放電を制御する例について説明したが、本発明はこれに限らず、負荷210の消費電力を検出する電力センサの出力信号に基づいて蓄電池31の充放電を制御してもよい。
1、100、200、300 太陽光発電システム(発電システム)
2、2a、2b、2c 発電装置
3 蓄電手段
31 蓄電池(蓄電部)
32 充放電部
4 電力出力部
5、15、201、301 充放電制御部
6 直流側母線
7、7a、7b、7c DC−DCコンバータ
8 発電電力検出部(電力検出部)
9 交流側母線
50 電力系統
302 電力センサ(電力検出部)
303 電力センサ(電力検出部)

Claims (19)

  1. 電力系統に連系され、自然エネルギーを用いて発電する発電装置と、
    電力を蓄電可能な蓄電手段と、
    前記発電装置と前記電力系統との間の配線の所定部分を通過する電力を検出する電力検出部と、
    前記蓄電手段の充放電を制御する充放電制御部とを備え、
    前記充放電制御部は、前記電力検出部により検出された電力が第1電力から第2電力に変化した際の変化量が所定の変化量以上であり、かつ、前記第1電力から前記第2電力に変化した時点から第1期間内に前記第2電力から前記第1電力近傍の電力に戻らない場合に、前記蓄電手段の充放電制御を開始するように構成されている、発電システム。
  2. 前記充放電制御部は、前記電力検出部による検出電力が、前記第1電力から前記第2電力に変化した時点から前記第1期間内に、前記第1電力の近傍の値または前記第1電力と同一の値からなる所定の閾値に電力が到達しない場合に、前記第2電力から前記第1電力近傍の電力に戻らないと判断するように構成されている、請求項1に記載の発電システム。
  3. 前記閾値は、前記第1電力の近傍の値で、かつ、前記第1電力よりも大きい第1閾値と、前記第1電力の近傍の値で、かつ、前記第1電力よりも小さい第2閾値とを含み、
    前記充放電制御部は、前記第1電力から前記第2電力にかけて前記検出電力が大きくなる方向に変化し、かつ、前記第1期間内に前記検出電力が前記第1閾値以下にまで低下しない場合に、前記第2電力から前記第1電力近傍の電力に戻らないと判断するとともに、前記第1電力から前記第2電力にかけて前記検出電力が小さくなる方向に変化し、かつ、前記第1期間内に前記検出電力が前記第2閾値以上にまで上昇しない場合に、前記第2電力から前記第1電力近傍の電力に戻らないと判断するように構成されている、請求項2に記載の発電システム。
  4. 前記充放電制御部は、前記電力検出部による検出電力データを所定の検出時間間隔で取得するとともに、前記所定の検出時間間隔で取得された検出電力データに基づいて、前記電力検出部による検出電力の変化量が所定の変化量以上であるか否かを判断し、かつ、前記検出電力が前記所定の検出時間間隔よりも長い前記第1期間内に前記第1電力近傍の検出電力に戻ったか否かを判断するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発電システム。
  5. 前記第1期間は、前記所定の検出時間間隔の2倍以上の整数倍の期間である、請求項4に記載の発電システム。
  6. 前記第1期間は、負荷周波数制御により対応可能な変動周期以下の期間である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発電システム。
  7. 前記充放電制御部は、前記蓄電手段の充放電制御を行う際に、目標出力電力を移動平均法により算出するとともに、前記充放電制御の初期および終期の少なくとも一方の期間において、前記充放電制御の初期および終期の少なくとも一方の期間以外の期間よりも、移動平均の算出に用いる検出電力データの取得期間を短くして前記目標出力電力を算出するように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発電システム。
  8. 前記充放電制御部は、前記充放電制御の初期の期間において、前記充放電制御の初期および終期以外の期間よりも前記移動平均に用いる検出電力データの取得期間を短くするとともに、前記充放電制御の初期から前記初期および終期以外の期間にかけて移動平均に用いる検出電力データの取得期間を前記充放電制御の開始時点からの検出電力データの蓄積量に応じて徐々に増加して前記目標出力電力を算出するように構成されている、請求項7に記載の発電システム。
  9. 前記充放電制御部は、前記充放電制御の終期の期間において、前記充放電制御の初期および終期以外の期間よりも前記移動平均に用いる検出電力データの取得期間を短くするとともに、前記充放電制御の前記初期および終期以外の期間から前記終期にかけて移動平均に用いる検出電力データの取得期間を徐々に減少して前記目標出力電力を算出するように構成されている、請求項7または8に記載の発電システム。
  10. 前記充放電制御部は、前記蓄電手段の充放電制御を行う際に、検出電力データの取得期間として所定の第2期間の範囲で検出電力データを取得して移動平均法により目標出力電力を算出するように構成されており、
    前記所定の第2期間は、負荷周波数制御により対応可能な変動周期の下限周期以上の期間である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発電システム。
  11. 前記充放電制御部は、前記充放電制御の開始から所定の第3期間の経過後に前記充放電制御を停止するように構成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の発電システム。
  12. 前記充放電制御部は、前記充放電制御中に、前記電力検出部による検出電力の前記所定の変化量以上の変化が所定回数以上あった場合に、前記充放電制御の前記所定の第3期間を延長するように構成されている、請求項11に記載の発電システム。
  13. 前記発電装置は、太陽光を用いて発電するように構成されており、
    前記充放電制御部は、前記電力検出部による検出電力を所定の検出時間間隔で取得するとともに、前記所定の検出時間間隔で取得された検出電力に基づいて、前記電力検出部による検出電力の変化量が所定の変化量以上であるか否かを判断し、
    前記充放電制御を開始する際の前記所定の変化量は、快晴時の昼間の時間帯における前記所定の検出時間間隔毎の検出電力の最大変化量よりも大きい変化量である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の発電システム。
  14. 前記発電装置と前記電力系統との間の配線に設けられ、前記発電装置と前記電力系統とを連系するためのインバータと、
    前記発電装置と前記インバータとの間に直列的に接続され、前記発電装置により発電された直流電圧を所定の直流電圧に変換するDC−DCコンバータとをさらに備え、
    前記蓄電手段は、
    前記DC−DCコンバータと前記インバータとを接続する接続線に並列的に接続され、前記発電装置により発電された電力を蓄電する蓄電部と、
    前記蓄電部の充放電を行う充放電部とを含み、
    前記電力検出部は、前記DC−DCコンバータにより変換された前記所定の直流電圧での発電電力を検出するように構成されており、
    前記充放電制御部は、前記DC−DCコンバータにより変換された前記所定の直流電圧での発電電力が前記第1電力から前記第2電力に変化した際の変化量が前記所定の変化量以上であり、かつ、前記第1電力から前記第2電力に変化した時点から前記第1期間内に前記第2電力から前記第1電力近傍の発電電力に戻らない場合に、前記蓄電手段の充放電制御を開始するように構成されている、請求項1〜13のいずれか1項に記載の発電システム。
  15. 前記電力検出部は、前記発電装置の発電電力を検出するように構成されており、
    前記充放電制御部は、前記発電装置の発電電力が第1発電電力から第2発電電力に変化した際の変化量が前記所定の変化量以上であり、かつ、前記第1発電電力から前記第2発電電力に変化した時点から第1期間内に前記第2発電電力から前記第1発電電力近傍の発電電力に戻らない場合に、前記蓄電手段の充放電制御を開始するように構成されている、請求項1〜14のいずれか1項に記載の発電システム。
  16. 前記充放電制御部は、前記発電装置と前記電力系統との間の配線に接続された負荷の稼動状況の変化を検出するとともに、前記負荷の稼動状況の変化に伴って生じる前記電力系統に出入りする電力の変化を抑制するように、前記蓄電手段の充放電制御を行うように構成されている、請求項15に記載の発電システム。
  17. 前記発電装置と前記電力系統との間の配線は、負荷を接続可能に構成されており、
    前記電力検出部は、前記配線の前記負荷が接続される部分よりも前記電力系統側に設けられているとともに、前記電力系統に出入りする電力を検出するように構成されており、
    前記充放電制御部は、前記電力系統に出入りする電力が前記第1電力から前記第2電力に変化した際の変化量が所定の変化量以上であり、かつ、前記第1電力から前記第2電力に変化した時点から第1期間内に前記第2電力から前記第1電力近傍の電力に戻らない場合に、前記蓄電手段の充放電制御を開始するように構成されている、請求項1〜14のいずれか1項に記載の発電システム。
  18. 前記電力検出部は、前記電力系統から購入する電力を検出する購入電力検出部と、前記電力系統に売却する電力を検出する売却電力検出部との少なくとも一方を含む、請求項17に記載の発電システム。
  19. 電力系統に連系され、自然エネルギーを用いて発電する発電装置と電力を蓄電可能な蓄電手段とを備えた発電システムに用いられ、前記蓄電手段の充放電を制御する充放電制御装置であって、
    前記発電装置と前記電力系統との間の配線の所定部分を通過する電力を検出する電力検出部により検出された電力が第1電力から第2電力に変化した際の変化量が所定の変化量以上であり、かつ、前記第1電力から前記第2電力に変化した時点から第1期間内に前記第2電力から前記第1電力近傍の電力に戻らない場合に、前記蓄電手段の充放電制御を開始するように構成されている、充放電制御装置。
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