JP5478091B2 - マイクロカテーテルシステム及びステントシステム - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロカテーテルシステム及びこれに用いられるステントシステムに係り、特に、ステントと、ステントを保持するガイドワイヤ部と、マイクロカテーテルを含むマイクロカテーテルシステムと、これに用いられるステントとガイドワイヤ部とを含むステントシステムに関する。
動脈あるいは静脈の疾患である血管瘤の治療としては、カテーテル、バルーン等を併用しながら血管瘤の内部に留置するコイル、血管瘤のある血管本管に留置するステント等が知られている。この場合、留置するコイル、ステントを血管瘤のある部位まで案内し、その部位で留め置く技術が必要である。
血管内を通ってコイル、ステントを所望の部位まで案内する装置としては、ガイドワイヤを内部に挿通するカテーテルを用いることができる。この場合、所望の部位でガイドワイヤからコイル、ステントを切り離してその部位に留置したまま、ガイドワイヤを体外に戻すことが必要で、そのためにデタッチメント機構と呼ばれる着脱装置が用いられる。しかし、細い血管における血管瘤等の場合には、カテーテルの外径に制限があり、したがって、複雑な着脱機構をガイドワイヤの先端に設けることに限界がある。
そこで、特許文献1には、血液中で電解によって分解できる末端部分を有する核ワイヤを用いることが開示されている。ここでは、ガイドワイヤの先端部がステンレス鋼の細い糸状部分とされ、この糸状部分にステンレス鋼コイルがはんだづけされ、さらにステンレス鋼コイルの先端にプラチナ二次コイルがはんだづけされ、このプラチナ二次コイルの先端にプラチナチップがはんだづけされている。そして、電圧源の陰極が皮膚上に配置され、ガイドワイヤに0.1ないし6ボルトで、約0.01ないし2ミリアンペアで、3ないし10分以内の正電流が適用されることで、ステンレス鋼糸状部分、ステンレス鋼コイルの少なくとも一部分が電解による分解によってガイドワイヤから分離されると述べられている。
本件発明の発明者は、血管内に配置することができ、動脈瘤、静脈瘤等の血管瘤の開口部の少なくとも一部を閉鎖して瘤内への血液の流入を阻止し、それにより瘤の破裂を防止することができる構成を有するステントとして、粗密構造のステントを考案し、特許文献2として出願した。このステントは、形状記憶材料から構成された複数本の細線を相互に交差させ、ダイヤモンド状の編目隙間を形成しながら長手方向に編んでホース状体とし、ホース状体の長手方向に沿って、編み方が粗で編目隙間の開口面積が大きく形成された細線粗成ホース部と、ホース状体の長手方向に沿って、細線粗成ホース部よりも編み方が密で編目隙間の開口面積が小さく形成された細線密成ホース部とを有し超弾性が付与された粗密ステントである。この構造によれば、細線密成ホース部を血管本管における血管瘤の開口部に宛がうように留置することで、血管瘤の近辺の側枝血管に対しては血流の閉塞を行わず、目的とする血管瘤に対して効果的に血流の閉塞を行うことが期待できる。
特許第2501389号公報 特願2007−178220号明細書
特許文献2のステントを一般的なカテーテルのガイドワイヤに取り付けるときにはそのステントの分離が問題となる。これに特許文献1の方法を適用することが考えられるが、特許文献1の場合は、留置すべきコイル及びチップの形状が変化しない。また、ガイドワイヤからの分離は1箇所、つまりガイドワイヤの先端部とコイルとの接続部分だけでよい。
これに対し、本件発明者の考案した特許文献2のステントは、カテーテル内では細長く引き延ばされ、カテーテル外に引き出されたときに形状記憶された元の太い外径に拡張するものであり、ステントの長さと外径が変化する。したがって、特許文献1の方法をそのまま適用することができず、ステントの長さと外径の変化に対応する工夫が必要である。
本発明の目的は、カテーテル内の状態とカテーテル外の状態の間で長さと外形とが変化するステントをガイドワイヤから分離することを可能とするマイクロカテーテルシステム及びこれに用いられるステントシステムを提供することである。
本発明に係るマイクロカテーテルシステムは、形状記憶材料から構成された複数本の細線を相互に交差させ、ダイヤモンド状の編目隙間を形成しながら長手方向に編んでホース状体とし、超弾性が付与されて編み上げた外径と長さについて形状記憶するステントと、ステントを保持するステント保持部を末端側に有するガイドワイヤ部と、ガイドワイヤ部を軸方向にスライド可能として内部に収容するスライド通路を有し、ガイドワイヤ部を基部端側に戻してスライドさせる戻しモードのとき、ステントを軸方向に細長く引き伸ばしてステント保持部に保持させた状態で、ガイドワイヤ部の末端側を引き込んで内部に収容し、ガイドワイヤ部を末端側に押し込んでスライドさせる押込モードのとき、ステントを径方向に元の形状に拡張させる状態で、ガイドワイヤ部の末端側を突き出すマイクロカテーテル部と、を備え、ステントは、ステントの軸方向に沿った末端側及び基部端側に取り付けられ、ガイドワイヤ部のステント保持部に配置される取付部と、ステントと取付部とを接合する接着材であって、常温では固体状態をとり、体温の温度を有する液体中にあるときは液体状態となって体温の温度を有する液体に溶融し、固体状態のときには、ステントを取付部に一体的に固定し、液体状態のときには固体状態における一体的固定を解除してステントを取付部から自由状態に離脱させる接着材と、を含むことを特徴とする。
本発明に係るステントシステムは、形状記憶材料から構成された複数本の細線を相互に交差させ、ダイヤモンド状の編目隙間を形成しながら長手方向に編んでホース状体とし、超弾性が付与されて編み上げた外径と長さについて形状記憶するステントと、ステントを保持するステント保持部を末端側に有するガイドワイヤ部と、を備え、ステントは、ステントの軸方向に沿った末端側及び基部端側に取り付けられ、ガイドワイヤ部のステント保持部に配置される取付部と、ステントと取付部とを接合する接着材であって、常温では固体状態をとり、体温の温度を有する液体中にあるときは液体状態となって体温の温度を有する液体に溶融し、固体状態のときには、ステントを取付部に一体的に固定し、液体状態のときには固体状態における一体的固定を解除してステントを取付部から自由状態に離脱させる接着材と、を含み、ガイドワイヤ部を軸方向にスライド可能として内部に収容するスライド通路を有るマイクロカテーテル部において、ガイドワイヤ部を基部端側に戻してスライドさせる戻しモードのときには、ステントを軸方向に細長く引き伸ばしてステント保持部に保持させた状態で、ガイドワイヤ部の末端側を引き込んで内部に収容でき、ガイドワイヤ部を末端側に押し込んでスライドさせる押込モードのときには、ステントを径方向に元の形状に拡張させる状態で、ガイドワイヤ部の末端側を突き出すことができることを特徴とする。
また、本発明に係るステントシステムにおいて、接着材は、部分アセチル化ポリビニルアルコールで構成されることが好ましい。
また、本発明に係るステントシステムにおいて、取付部は、ステントの末端側に設けられる末端側取付部またはステントの基部端側に取り付けられる基部端側取付部の少なくとも一方が、ガイドワイヤ部のステント保持部に対し、軸方向に移動可能である貫通穴を有することが好ましい。
また、本発明に係るステントシステムにおいて、取付部は、ステントの末端側に設けられる末端側取付部またはステントの基部端側に取り付けられる基部端側取付部の少なくとも一方が、ガイドワイヤ部のステント保持部に対し固定されることが好ましい。
また、本発明に係るステントシステムにおいて、取付部は、X線に対し不透過性の材料で構成されることが好ましい。
また、本発明に係るステントシステムにおいて、ステントは、ホース状体の長手方向に沿って、編み方が粗で編目隙間の開口面積が大きく形成された細線粗成ホース部と、ホース状体の長手方向に沿って、細線粗成ホース部よりも編み方が密で編目隙間の開口面積が小さく形成された細線密成ホース部とを有する粗密ステントであることが好ましい。
上記構成により、マイクロカテーテルシステムは、形状記憶材料から構成された複数本の細線を相互に交差させ、ダイヤモンド状の編目隙間を形成しながら長手方向に編んでホース状体とし、編み上げた外径と長さについて形状記憶する超弾性が付与されたステントがガイドワイヤ部の末端側に保持される。そして、マイクロカテーテル部に対しガイドワイヤ部を基部端側に戻してスライドさせる戻しモードのときには、ステントが軸方向に細長く引き伸ばされ、マイクロカテーテル部に対しガイドワイヤ部を末端側に押し込んでスライドさせる押込モードのときには、ステントが径方向に元の形状に拡張する。
このように、マイクロカテーテル部の内部にあるときと外部にあるときとで、長さと外径とが異なるステントについて、ステントの軸方向に沿った末端側及び基部端側に接着材で取付部が取り付けられる。ここで取付部はガイドワイヤ部のステント保持部に配置される。
そして、この接着材は、固体状態と液体状態とをとり得て、固体状態のときには、ステントを取付部に一体的に固定し、液体状態のときには固体状態における一体的固定を解除してステントを取付部から自由状態に離脱させるので、例えば、ガイドワイヤ部によってステントを所望の部位に移動させるときは接着材を固体状態としてガイドワイヤ部のステント保持部にステントを保持させ、所望の部位に移動後は、接着材を液体状態として保持部をガイドワイヤ部のステント保持部に残したまま、ステント保持部から自由に移動可能とすることができる。このようにして、マイクロカテーテル内の状態とマイクロカテーテル外の状態の間で長さと外形とが変化するステントをガイドワイヤ部から分離することが可能となる。
ここで、ステントとガイドワイヤ部とを含む部分であって、マイクロカテーテル部の内部に軸方向にスライドして内部に収容されることができる部分をステントシステムと呼ぶことにすれば、ステントシステムも、上記のマイクロカテーテルシステムと同様な作用と効果とを奏する。すなわち、ステントシステムは、それが内部に収容できるマイクロカテーテル部であれば、様々なマイクロカテーテル部に適合して利用でき、同様な作用と効果を奏する。
また、ステントシステムにおいて、接着材は、温度変化に応じて固体状態と液体状態とをとり得る熱可塑性接着材である。例えば、ガイドワイヤ部によってステントを所望の部位に移動させるときは接着材を低温にして固体状態とし、所望の部位に移動後は、接着材を高温にして液体状態とすることができる。
また、ステントシステムにおいて、取付部は、ステントの末端側に設けられる末端側取付部またはステントの基部端側に取り付けられる基部端側取付部の少なくとも一方が、ガイドワイヤ部のステント保持部に対し、軸方向に移動可能である貫通穴を有する。これによって、ステントは、ガイドワイヤ部のステント保持部の範囲内で、少なくとも末端側または基部端側が移動可能となり、その移動によってステントの長さと外径をステント保持部の範囲内で変化させることができ、軸方向への引き延ばしと、径方向への拡張を容易に行うことができる。
また、ステントシステムにおいて、取付部は、ステントの末端側に設けられる末端側取付部またはステントの基部端側に取り付けられる基部端側取付部の少なくとも一方が、ガイドワイヤ部のステント保持部に対し固定される。一方が固定され、他方が移動可能のときは、ステントの一方端が固定されて他方端が移動するので、ステント保持部の範囲内で、ステントの軸方向への引き延ばしと、径方向への拡張を容易に行うことができる。また、双方が固定のときは、ステントの両端が固定されるので軸方向への引き延ばし状態で固定でき、接着材が液体状態となるときに、ステントの両端がともに自由状態となって、径方向の拡張を行うことができる。
また、ステントシステムにおいて、取付部は、X線に対し不透過性の材料で構成されるので、外部からX線を照射させてその像を観察することで、ステントを所望の部位に移動したか否かを判断することが容易となる。
また、ステントシステムにおいて、ステントは粗密ステントであるので、例えば細線密成ホース部を血管本管における血管瘤の開口部に宛がうように留置することで、血管瘤の近辺の側枝血管に対しては血流の閉塞を行わず、目的とする血管瘤に対して効果的に血流の閉塞を行うことが可能となる。
本発明に係る実施の形態のマイクロカテーテルシステムの構成と作用を説明する図である。 本発明に係る実施の形態のマイクロカテーテルシステムを分解してその各構成要素を説明する図である。 本発明に係る実施の形態のマイクロカテーテルシステムにおいて、ガイドワイヤ部にステントを搭載する手順を説明する図である。 本発明に係る実施の形態のマイクロカテーテルシステムに用いられる粗密ステントが血管瘤に対し留置される様子を説明する図である。 別の構成の粗密ステントについて、血管瘤に対し留置される様子を説明する図である。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下では、ステントとして、長手方向に編目の粗の部分と密の部分が配列される粗密ステントを説明するが、超弾性が付与されてマイクロカテーテル部の内にあるときと外にあるときとで、その長さと外径とが変化するステントであればよく、したがって、一様な編目のステントであってもよい。
以下では、接着材として、部分アセチル化ポリビニルアルコールを説明するが、温度変化に応じて固体状態と液体状態とをとり得る材料であればよく、部分アセチル化ポリビニルアルコール以外であっても、熱可塑性接着材で血液中に曝されて血栓等を生成せずに溶解されるものを用いることができる。
また、以下では、マイクロカテーテルシステムとして、ステントとガイドワイヤ部とマイクロカテーテル部とを備えるものとして説明するが、ここでマイクロカテーテル部は、ステントとガイドワイヤ部とを内部に収容できるものであればよい。つまり、ステントとガイドワイヤ部とを含む部分であって、マイクロカテーテル部の内部に軸方向にスライドして内部に収容されることができる部分をステントシステムと呼ぶことにすれば、マイクロカテーテルシステムは、ステントシステムとマイクロカテーテル部とを含むシステムであって、マイクロカテーテル部は内径が同じであれば様々な種類のものを用いることができる。
ステントシステムを様々なマイクロカテーテル部と組み合わせることができる1つの部品セットと考えるときは、輸送用のときに単独で取り扱えることが好ましい。この場合には、ステントシステムのガイドワイヤ部の末端側のステントが搭載される部分を収容するものとしてシースイントロデューサを用いることができる。シースイントロデューサは、マイクロカテーテル部の先端部分に相当するもので、マイクロカテーテル部の内径と同じ内径を有する。したがって、以下では以下で述べるマイクロカテーテル部をシースイントロデューサと読みかえることで、マイクロカテーテルシステムは、シースイントロデューサ付きステントシステムと同じものである。
また、以下で説明する材料、形状、寸法等は例示であって、使用目的に応じ、これらの内容を適宜変更できる。なお、以下において、マイクロカテーテル部を生体の体内に挿入するときに、その進行方向側である先端のほうを末端側、生体の体外であって手元側で操作する側を基部端側と呼ぶことにする。基部端側は、一般的にディスタル側と呼ばれ、基部端側は一般的にプロキシマル側と呼ばれるものである。
以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
図1は、マイクロカテーテルシステム10の構成と作用を説明する図で、(a)と(A)は構成を示す図で、(a)は全体断面図、(A)はその部分拡大図であり、(b)と(c)は作用を説明するための図である。
マイクロカテーテルシステム10は、マイクロカテーテル部12と、マイクロカテーテル部12の内部に挿通されるガイドワイヤ部20と、ガイドワイヤ部20の末端側に設けられるステント保持部31に保持される粗密ステント40とを含んで構成される。なお、粗密ステント40は、後述するように、マイクロカテーテル部12の内にあるときと外にあるときとでその長さと外径を変化させるので、図1では、マイクロカテーテル部12の外にある粗密ステント40と、マイクロカテーテル部12の内にある粗密ステント41とで、符号を変えている。
マイクロカテーテル部12は、ガイドワイヤ部20を軸方向にスライド可能として内部に収容するスライド通路を有する可撓性のチューブである。かかるマイクロカテーテル部12としては、医学用として選ばれたもので、ステンレス網目が埋め込まれたナイロンチューブを用いることができる。
ガイドワイヤ部20は、マイクロカテーテルシステム10を生体の管部に挿入するときの案内をする機能と、粗密ステント40を保持する機能とを有する細い柔軟性を有するワイヤ線である。その材質は、医学用に適した金属等が用いられる。形状は、基部端側は一様な外径を有するが、末端側においては、テーパ部、糸状部、先細部と順次外径が細くなる。その詳細は、図2において説明する。寸法の一例をあげると、基部端側の外径が0.34mm、全長が約1800mmのものを用いることができる。
粗密ステント40は、形状記憶材料から構成された複数本の細線を相互に交差させ、ダイヤモンド状の編目隙間を形成しながら長手方向に編んでホース状体とし、ホース状体の長手方向に沿って、編み方が粗で編目隙間の開口面積が大きく形成された細線粗成ホース部と、ホース状体の長手方向に沿って、細線粗成ホース部よりも編み方が密で編目隙間の開口面積が小さく形成された細線密成ホース部とを有し、超弾性が付与されて編み上げたときの外径と長さについて形状記憶するステントである。
図1では、マイクロカテーテル部12の内に収納された状態の粗密ステント41が(a)とその拡大図である(A)に示され、マイクロカテーテル部12の外に出された状態の粗密ステント40が(b)と(c)に示されている。この(a)と(A)に示される状態が、マイクロカテーテル部12の内径で形状が拘束され、編み上げられたときの長さから長手方向に引き延ばされ、外径が細くなっている状態であり、(b)と(c)に示される状態が、マイクロカテーテル部12の内径による拘束がなくなって、形状記憶されていた編み上げられたときの外径と長さに戻った状態である。
図1(A)において、ストッパ30,32は、ガイドワイヤ部20の長手方向に沿って予め定めた間隔をあけて、それぞれガイドワイヤ部20に固定される環状部材である。ストッパ30とストッパ32との間の部分が、粗密ステント40を保持するステント保持部31に相当する。ストッパ30,32とガイドワイヤ部20との間の固定は、適当な接着剤を用いて行うことができる。なお、この接着剤は、後述する接着材47,48と異なり、一旦固化すると再び液体状態に戻ることなく、しっかりと固定が行われる。かかるストッパ30,32としては、ステンレスパイプを用いることができる。
図1(A)において、コイル34は、ストッパ32よりもガイドワイヤ部20の末端側に設けられ、ガイドワイヤ部20の最先端の尖った部分を保護する機能を有する部材である。また、コイル34は、X線に不透過の材料を用いることで、粗密ステント40の位置を示すマーカとしての機能を持たせることができる。コイル34は、ストッパ32とガイドワイヤ部20の末端側と接着剤で固定される。この接着剤も、後述する接着材47,48と異なり、一旦固化すると再び液体状態に戻ることなく、しっかりと固定が行われる。かかるコイル34は、Pt製の細線をらせん状に巻いて成形したものを用いることができる。
図1(A)において、マーカ36は、粗密ステント40の基部端側に接着材48によって接続される環状部材である。マーカ36の内径は、ステント保持部31におけるガイドワイヤ部20の外径よりも大きく設定され、これによって、マーカ36はガイドワイヤ部20のステント保持部31の範囲で軸方向に移動可能である。マーカ36と呼ばれるのは、X線に対し不透過の材料で構成され、体外からX線を照射してその像を観察することで、マーカ36の位置、すなわち、粗密ステント40の基部端側の位置を知ることができるからである。かかるマーカ36は、Pt製のパイプを用いることができる。
粗密ステント40は、ストッパ32と接着材47によって接続される。ストッパ32は、上記のように、ガイドワイヤ部20の末端側に一旦固化すると再び軟化することのない接着剤で固定されるので、粗密ステント40の末端側はガイドワイヤ部20の末端側に固定され、基部端側はマーカ36を介してガイドワイヤ部20に対して軸方向に移動可能として配置される。この意味で、ストッパ32とマーカ36は、粗密ステント40が取り付けられる取付部である。
接着材47,48は、固体状態と液体状態とをとり得て、固体状態のときには、粗密ステント40をストッパ32とマーカ36にそれぞれ一体的に固定し、液体状態のときには固体状態における一体的固定を解除して粗密ステント40をストッパ32とマーカ36から自由状態に離脱させる熱可塑性の接着物質である。
かかる接着材47,48としては、ポリビニルアルコールを用いることができる。ポリビニルアルコールは、液体に溶解しない固体状態から水等の溶液に溶解するアモルファス状態に変わるあるいはその逆に流動化する液体状態から固体状態に変わる状態変化温度をある程度設計できる。以下では、固体状態に対比して、流動化し水等の溶液に溶解する状態を液体状態と呼ぶことにする。例えば、常温で固体状態をとり、血液の温度、すなわち体温で流動化し血液に溶ける部分アセチル化ポリビニルアルコールを接着材として用いることができる。
この場合、接着材47,48であるポリビニルアルコールの温度を制御する手段として、例えば、常温の生理食塩水を接着材47,48の周囲に流すことで接着材47,48を固体状態に保持し、常温の生理食塩水の供給を止めて血液中に接着材47,48を曝すことで液体状態に流動化することができる。なお、流動化した接着材は血液に溶け、血液の体内循環を経て、最後は廃棄物として体外に排出されることになる。ここでは、生理食塩水の供給と停止を行う装置が、接着材47,48の温度を変化させる温度制御手段に相当する。
具体的なマイクロカテーテルシステム10の操作においては、粗密ステント40をマイクロカテーテル部12の内部に収容した状態で、生体の血管内を進行させるときに、生理食塩水を流しながら接着材47,48の温度を状態変化温度以下に維持することを行う。図1の(a)と(A)は、このときのマイクロカテーテルシステム10の状態を示す図である。ここでは、ガイドワイヤ部20を基部端側に戻してスライドさせる戻しモードがとられ、粗密ステント40を軸方向に細長く引き伸ばしてステント保持部31に保持させた状態で、ガイドワイヤ部20の末端側を引き込んでマイクロカテーテル部12の内部に収容する状態となっている。
次に、マイクロカテーテルシステム10を操作して、マーカ36の位置を体外からX線像を利用して追跡しながらその末端側を進行させ、所望の部位、例えば血管瘤のある部位に到達すると、ガイドワイヤ部20をマイクロカテーテル部12に対してその先端を突き出す。ここでは、ガイドワイヤ部20を末端側に押し込んでスライドさせる押込モードがとられ、粗密ステント40をマイクロカテーテル部12の外に出して、径方向に元の形状に拡張させる状態となっている。図1(b)にはその様子が示されている。このときには、まだ生理食塩水が接着材47,48の周囲に流されている。
そして、マーカ36の位置をX線像で確認し、粗密ステント40が所望の位置において拡張したことが確かめられると、生理食塩水の供給を止める。これによって、接着材47,48が血液に曝され、その温度が上昇し、状態変化温度を超えて、接着材47,48が液体状態となる。こうして、粗密ステント40の末端側がストッパ32から離脱し、基部端側がマーカ36から離脱する。離脱に十分な時間経過後にガイドワイヤ部20をマイクロカテーテル部12に対して引き込むと、ガイドワイヤ部20にストッパ32が固定され、マーカ36がステント保持部31に残された状態で、粗密ステント40の中空部をくぐって、ガイドワイヤ部20が粗密ステント40から完全に離脱する。図1(c)にはその様子が示されている。
このように、マイクロカテーテルシステム10は、ガイドワイヤ部20のステント保持部31において、粗密ステント40をストッパ32とマーカ36に状態変化温度を境に固体状態から液体状態に変化する特性を有する接着材37,38で取り付けて配置される。そして接着材37,38の温度を制御することで、粗密ステント40をガイドワイヤ部20に対し、固定状態から分離状態とすることができる。
図2は、マイクロカテーテルシステム10を分解してその各構成要素を説明する図である。ここでは、特に、マイクロカテーテルシステム10の末端側に関する各構成要素が示されている。マイクロカテーテルシステム10は、マイクロカテーテル部12と、ガイドワイヤ部20と、ストッパ30,32と、コイル34と、マーカ36と、粗密ステント40を含んで構成される。
マイクロカテーテル部12は、上記のようにガイドワイヤ部20を軸方向に挿通可能な可撓性のナイロンチューブである。寸法の一例をあげると、外径が0.90mm、内径が0.52mm、チューブの管肉厚は、0.19mm、全長が約1600mmのものを用いることができる。
ガイドワイヤ部20は、上記のように、マイクロカテーテルシステム10を生体の管部に挿入するときの案内をし、粗密ステント40をステント保持部31で保持するワイヤ線である。材質としては、ステンレス鋼を用いることができる。その末端側の形状は、基部端側につながる一様外径部22、テーパ部24、糸状部26、先細部28と順次外径が細くなる。寸法の一例をあげると、一様外径部22の外径が0.34mm、長さL1が約1700mm、テーパ部24の長さL2が65mm、糸状部26の外径が0.18mm、長さL3が100mm、先細部28の最先端の直径が0.05mm、長さL4が30mmのものを用いることができる。
ストッパ30,32は、上記のように、それぞれガイドワイヤ部20に固定される環状部材である。かかるストッパ30,32としては、外径が0.30mm、内径が0.20mm、長さが1.0mmのステンレスパイプを用いることができる。なお、後述するようにストッパ32は、ガイドワイヤ部20に固定されるとともに、コイル34の基部端側が固定され、さらに粗密ステント40の末端側が接着材47で取り付けられるというように、いくつもの接続部としての機能を有するので、ストッパ30よりも外径を大き目とすることが好ましい。以下では、ストッパ30の外径を0.30mmとするが、ストッパ32の外径をこれより大き目の0.36mmとするものとして説明する。
コイル34は、上記のように、Pt製の細線をらせん状に巻いて成形したもので、寸法の一例としては、外径が0.34mm、内径が0.20mm、長さが32mm程度とすることができる。
マーカ36は、上記のようにPt製のパイプであって、寸法の一例としては、外径が0.30mm、内径が0.20mm、長さが1.0mmのものとすることができる。
粗密ステント40は、上記のように、形状記憶材料から構成された複数本の細線を相互に交差させ、ダイヤモンド状の編目隙間を形成しながら長手方向に編んでホース状体としたもので、長手方向に沿って両端側にそれぞれ編み方が粗の細線粗成ホース部42,46が設けられ、その間に編み方が密に変更された細線密成ホース部44が配置されている。粗密ステント40は、超弾性が付与されて編み上げたときの外径と長さについて形状記憶している。
粗密ステント40を編み上げるのに用いた細線は、直径が0.03mmのニッケル−チタン合金線で、24本用いられる。この24本のうち、1本おきの12本が左巻きらせん状に、残りの12本が右巻きらせん巻き状に、円筒周面上に巻きつけられながら、左巻きの細線と右巻きの細線とが平織状に斜面交差して編み上げられたものである。ステントの粗密は、この円筒周面の軸方向に沿った編み上げ速度を高速から低速に変更することによって連続的に形成することができる。
編み上げられたホース状体は、その円筒周面を有する金型と共に超弾性付与の熱処理が行われる。例えば、500℃30分の加熱が行われる。その後常温に戻すことで、超弾性付与時の形状が記憶される。
ここでは、超弾性付与時の形状として、長さが15mm、外径が5mmとすることができる。この場合、細線粗成ホース部42,46の長さを約1mm、細線密成ホース部44の長さを約3mmとすることができる。これを図1で説明したように、ガイドワイヤ部20のステント保持部31に長く引き延ばして保持するときには、外径がマイクロカテーテル部12の内径である0.52mmとなり、長さがステント保持部31の長さである約100mmとなる。
図3は、マイクロカテーテルシステム10において、ガイドワイヤ部20に粗密ステント40を搭載する手順を説明する図である。ここでは、説明のために主要な部分を部分的に拡大した模式図を用いて、(a)から(i)へ進む手順を説明する。これらの図において、ガイドワイヤ部20の長手方向の左側が末端側、右側が基部端側である。
最初に(a)に示すように、ガイドワイヤ部20を準備する。そして、(b)に示されるように、ストッパ30をガイドワイヤ部20の末端側から挿入する。上記の寸法例では、ガイドワイヤ部20の糸状部26の外径が0.18mm、テーパ部24はこの0.18mmから0.34mmまで次第に太くなるが、ストッパ30の内径は0.20mmであるので、糸状部26の基部端側でストッパ30は止まる。その位置で、適当な接着剤を用いてストッパ30とガイドワイヤ部20とをしっかり固定する。
次に(c)に示されるように、マーカ36をガイドワイヤ部20の末端側から挿入する。マーカ36はガイドワイヤ部20と接着しない。マーカ36の内径は0.20mmであり、ストッパ30の外径は0.30mmであるので、この段階においては、マーカ36はストッパ30を限度として、糸状部26に挿入された形態でガイドワイヤ部20の軸方向に自由に移動可能である。
次に(d)に示されるように、ストッパ32をガイドワイヤ部20の末端側から挿入する。ストッパ32の内径は0.20mmであり、ガイドワイヤ部20の糸状部26の外径が0.18mmであるから、ストッパ32は糸状部26の範囲を自由に移動できるが、糸状部26と先細部28との境界のところに位置が設定され、その位置で、適当な接着剤を用いてストッパ32とガイドワイヤ部20とがしっかり固定される。先ほどのストッパ30と、このストッパ32とで、ガイドワイヤ部20においてステント保持部31が規定されることになる。したがって、ステント保持部31の軸方向に沿った長さは約100mmである。
そして、(e)に示すように、粗密ステント40をガイドワイヤ部20の末端側から挿入する。粗密ステント40は、細線をホース状に編み上げたもので、外力が加えられていない自然状態では上記のように長さが15mm、外径が5mmであるので、ホース状の内径はストッパ30,32、マーカ36の外径に対し十分大きい。ここでは粗密ステント40をガイドワイヤ部20のステント保持部31の領域の適当なところまで挿入する。
次に、(f)に示すように、粗密ステント40の末端側を、ストッパ32に固定する。固定は、上記のように状態変化温度を有する接着材が用いられる。これによって、粗密ステント40の末端側がガイドワイヤ部20のステント保持部31の末端側に固定されることになる。
そして、(g)に示すように粗密ステント40の基部端側を、マーカ36に固定する。固定は、上記のように状態変化温度を有する接着材が用いられる。マーカ36は、上記のようにステント保持部31の領域の間で糸状部26の軸方向に沿って移動可能であるので、マーカ36を粗密ステント40の基部端側の位置に移動させることで接着固定作業を行うことができる。これによって、粗密ステント40の末端側がガイドワイヤ部20のステント保持部31の末端側に固定され、基部端側がステント保持部31の領域の間で移動可能な状態とされる。
そして、(h)に示すように、コイル34をガイドワイヤ部20の末端側から挿入する。コイル34は、上記のようにPt製の細線をらせん状に巻いて成形したもので、外径が0.34mmであるので、ガイドワイヤ部20の先細部28の外径よりも十分に大きい。また、ストッパ32の外径よりも大きいが、ここではストッパ32の位置でコイル34の挿入を止める。そして、その位置で、適当な接着剤を用いてストッパ30とコイル34の基部端側とをしっかり固定する。コイル34の長さは32mmであるので、先細部28の長さよりも長い。これによって、ガイドワイヤ部20の先細部28の鋭い先細部が弾性のあるコイル34によって囲まれて、先細部28自体の保護と、生体組織に対する安全性が確保できる。
このようにして、粗密ステント40を備えるガイドワイヤ部20が完成する。(i)は、このように末端側に粗密ステント40を備えるガイドワイヤ部20をマイクロカテーテル部12に挿入するときの様子を説明する図である。(i)に示されるように、ガイドワイヤ部20をマイクロカテーテル部12に対し相対的に移動させて、マイクロカテーテル部12の基部端側からガイドワイヤ部20の末端側が順次挿入される。
ガイドワイヤ部20において、マイクロカテーテル部12の内径である0.52mmよりも大きい外径を有するのは、粗密ステント40のみである。そして、粗密ステント40は細線を編み上げたホース状体であるので、マイクロカテーテル部12の内径に拘束されてその寸法に外径がならい、その分、軸方向に引き延ばされる。(i)では、そのように粗密ステント40の末端側がマイクロカテーテル部12の内径に拘束されながら、基部端側はマーカ36がステント保持部31の領域の間で軸方向に沿って基部端側に移動してゆく様子が示される。
このように、ガイドワイヤ部20がマイクロカテーテル部12の内部に挿入されるとき、粗密ステント40は、末端側がガイドワイヤ部20のストッパ32によって位置が固定され、基部端側がマーカ36によってステント保持部31の領域の間で基部端側に移動する。これによって、ガイドワイヤ部20がマイクロカテーテル部12の内部に挿入されるにつれて、粗密ステント40は、ステント保持部31の領域の範囲で、外径をマイクロカテーテル部12の内径に拘束されながら細長く引き延ばされる。
このようにして、粗密ステント40がマイクロカテーテル部12の内部に収納されるが、そのときの外径はマイクロカテーテル部12の内径の0.52mmと同じで、長さはステント保持部31の長さである約100mmとなる。図1(a),(A)はその状態を示すものである。
粗密ステント40は、成形のときの形状が記憶されるように超弾性処理がなされているので、マイクロカテーテル部12の内径による拘束から解放されると、成形のときの形状である長さが15mm、外径が5mmの大きさに一気に拡張する。図1(b)はそのときの様子を示す図である。
そして、粗密ステント40の末端側と基部端側はそれぞれストッパ32、マーカ36と、状態変化温度を有する接着材47,48によって接続されるので、接着材47,48の温度が状態変化温度を超えると、接着材47,48は液体状態となる。これによって、粗密ステント40はストッパ32、マーカ36と分離可能となる。
上記のようにストッパ32はガイドワイヤ部20にしっかり固定され、マーカ36はステント保持部31の領域の間で移動可能であるが、ガイドワイヤ部20から完全分離ができない。また、上記のように粗密ステント40の内径は、ストッパ32、マーカ36の外径よりも十分に大きい。したがって、粗密ステント40を血管内の所望の箇所に留置し、その状態でガイドワイヤ部20をマイクロカテーテル部12の内部に引き戻すと、ストッパ32、マーカ36もガイドワイヤ部20とともにマイクロカテーテル部12の内部に回収することができる。図1(c)はその途中の様子を示す図である。
図4は、粗密ステント40が血管60の血管瘤62に対応する部位に留置されたときの様子を示す図である。ここでは、血管60に開口部の大きさがDである血管瘤62がある場合に、隙間編目の密な細線密成ホース部44の長さLDがDよりやや大きめの粗密ステント40を用いて、その細線密成ホース部44が血管瘤62の開口部にあてがわれる。細線密成ホース部44の両側は隙間編目の粗い細線粗成ホース部42,46であるので、血管瘤62の近傍に側枝がある場合でも、側枝への血流を粗密ステント40によって閉塞することがないようにできる。
なお、細線密成ホース部44の長さLDは、粗密ステント40の全長Lの約1/2程度とすることが好ましい。また、細線密成ホース部44の編目隙間の大きさは、粗密ステント40の長手方向に沿った寸法で0.1mm以下とすることが好ましい。細線粗成ホース部42,46は適当に大きな編目隙間を有するものとできる。
図4では、粗密ステント40の中央部に細線密成ホース部44を設け、その軸方向に沿った長さLDで血管瘤62の開口部の全体を塞ぐようにしている。図5は、血管内の血液の流れを考慮して、血管瘤62の開口部の一部を塞ぐようにできる粗密ステント50の例を示す図である。
すなわち、血管60の外周に開口部の大きさDで血管瘤62が形成される場合、血管60から血管瘤62に血流が流れ込む様子を観察すると、血流は血管60から血管瘤62に流れ込んでその内部を還流して再び血管60に戻る成分が多い。つまり、血管瘤62の内部に滞留する成分の他に還流成分があり、この還流成分によって、血管瘤62に血流圧がもたらされる。このように、血管瘤62に流れ込んで再び血管60に戻る流れは、血管瘤62の開口部の全面について出入りがあるわけでなく、例えば、開口部の下流側から血管瘤62の内部に流れ込み、内部を還流して、開口部の上流側から再び血管60に戻ってくる。勿論、場合によっては、開口部の上流側から流れ込んで下流側から流れ出すこともあり得、また、開口部のほぼ中央部から流れ込んで、開口部の周辺から流れ出すこともあり得る。
したがって、このようなことを考慮すると、ステントは、細線密成ホース部を、血管瘤62の開口部の一部を覆うように留置することで、血管瘤62に対する血流圧の過度の上昇を効果的に抑制することが可能となる。また、このようにすることで、ステントにおける細線密成ホース部の長さを血管瘤62の開口部の大きさに正確に合わせる必要性が少なくなり、粗密ステントの製造が容易となる。
図5の粗密ステント50は、隙間編目の粗い細線粗成ホース部52と、隙間編目の密な細線密成ホース部54と、隙間編目の粗い細線粗成ホース部56とが、粗密ステント50の長手方向に沿ってこの順に形成されている。ここで、粗密ステント50の長手方向の全長Lは、例えば、血管瘤62の開口部の大きさDが分かっていれば、およそ2D程度の長さとすることが好ましい。そして、細線密成ホース部4は、粗密ステント50の長手方向に沿った配置位置が、粗密ステント50の中間位置よりも上流側または下流側にずらして設定される。すなわち、細線粗成ホース部52,56のそれぞれの長手方向に沿った長さLC1,LC2は相互に異なる値に設定される。図5の例では、上流側の細線粗成ホース部52の長手方向に沿った長さLC1が、下流側の細線粗成ホース部56の長手方向に沿った長さLC2よりも長い。
細線密成ホース部54の粗密ステント50の長手方向に沿った長さLDは、粗密ステント50の長手方向の全長Lに対し、L/4からL/10の範囲で設定されることが好ましい。例えば、粗密ステント50の全長Lを、血管瘤62の開口部の長さDの約2倍の長さとして血管内に留置することを考えると、細線密成ホース部4の長さLDは、D/2からD/5の範囲に相当する。粗密ステント50の全長Lが2Dから多少前後したとしても、細線密成ホース部54の長さLDは、血管瘤62の開口部の長さDの一部のままとすることが容易にできる。
上記において、状態変化温度を有する接着材47,48による粗密ステント40の固定は、末端側についてストッパ32を介してガイドワイヤ部20に固定し、基部端側についてマーカ36を介してガイドワイヤ部20に対し移動可能とした。このほかに、粗密ステント40の基部端側についてストッパ30を介してガイドワイヤ部に固定し、末端側についてマーカを介してガイドワイヤ部20に対し移動可能とすることができる。また、移動可能なマーカを省略して、粗密ステント40の末端側をストッパ32に固定し、基部端側をストッパ30に固定するものとできる。
本発明に係るマイクロカテーテルシステム及びステントシステムは、動脈あるいは静脈の疾患である血管瘤の治療用として用いることができる。
10 マイクロカテーテルシステム、12 マイクロカテーテル部、20 ガイドワイヤ部、22 一様外径部、24 テーパ部、26 糸状部、28 先細部、30,32 ストッパ、31 ステント保持部、34 コイル、34 細線密成ホース部、36 マーカ、37,38 接着材、40,50 粗密ステント、41 (引き延ばされた)粗密ステント、42,46,52,56 細線粗成ホース部、44,54 細線密成ホース部、47,48 接着材、60 血管、62 血管瘤、64 細線密成ホース部。

Claims (7)

  1. 形状記憶材料から構成された複数本の細線を相互に交差させ、ダイヤモンド状の編目隙間を形成しながら長手方向に編んでホース状体とし、超弾性が付与されて編み上げた外径と長さについて形状記憶するステントと、
    ステントを保持するステント保持部を末端側に有するガイドワイヤ部と、
    ガイドワイヤ部を軸方向にスライド可能として内部に収容するスライド通路を有し、ガイドワイヤ部を基部端側に戻してスライドさせる戻しモードのとき、ステントを軸方向に細長く引き伸ばしてステント保持部に保持させた状態で、ガイドワイヤ部の末端側を引き込んで内部に収容し、ガイドワイヤ部を末端側に押し込んでスライドさせる押込モードのとき、ステントを径方向に元の形状に拡張させる状態で、ガイドワイヤ部の末端側を突き出すマイクロカテーテル部と、
    を備え、
    ステントは、
    ステントの軸方向に沿った末端側及び基部端側に取り付けられ、ガイドワイヤ部のステント保持部に配置される取付部と、
    ステントと取付部とを接合する接着材であって、常温では固体状態をとり、体温の温度を有する液体中にあるときは液体状態となって体温の温度を有する液体に溶融し、固体状態のときには、ステントを取付部に一体的に固定し、液体状態のときには固体状態における一体的固定を解除してステントを取付部から自由状態に離脱させる接着材と、
    を含むことを特徴とするマイクロカテーテルシステム。
  2. 形状記憶材料から構成された複数本の細線を相互に交差させ、ダイヤモンド状の編目隙間を形成しながら長手方向に編んでホース状体とし、超弾性が付与されて編み上げた外径と長さについて形状記憶するステントと、
    ステントを保持するステント保持部を末端側に有するガイドワイヤ部と、
    を備え、
    ステントは、
    ステントの軸方向に沿った末端側及び基部端側に取り付けられ、ガイドワイヤ部のステント保持部に配置される取付部と、
    ステントと取付部とを接合する接着材であって、常温では固体状態をとり、体温の温度を有する液体中にあるときは液体状態となって体温の温度を有する液体に溶融し、固体状態のときには、ステントを取付部に一体的に固定し、液体状態のときには固体状態における一体的固定を解除してステントを取付部から自由状態に離脱させる接着材と、
    を含み、
    ガイドワイヤ部を軸方向にスライド可能として内部に収容するスライド通路を有るマイクロカテーテル部において、ガイドワイヤ部を基部端側に戻してスライドさせる戻しモードのときには、ステントを軸方向に細長く引き伸ばしてステント保持部に保持させた状態で、ガイドワイヤ部の末端側を引き込んで内部に収容でき、ガイドワイヤ部を末端側に押し込んでスライドさせる押込モードのときには、ステントを径方向に元の形状に拡張させる状態で、ガイドワイヤ部の末端側を突き出すことができることを特徴とするステントシステム。
  3. 請求項2に記載のステントシステムにおいて、
    接着材は、部分アセチル化ポリビニルアルコールで構成されることを特徴とするステントシステム。
  4. 請求項2に記載のステントシステムにおいて、
    取付部は、ステントの末端側に設けられる末端側取付部またはステントの基部端側に取り付けられる基部端側取付部の少なくとも一方が、ガイドワイヤ部のステント保持部に対し、軸方向に移動可能である貫通穴を有することを特徴とするステントシステム。
  5. 請求項2に記載のステントシステムにおいて、
    取付部は、ステントの末端側に設けられる末端側取付部またはステントの基部端側に取り付けられる基部端側取付部の少なくとも一方が、ガイドワイヤ部のステント保持部に対し固定されることを特徴とするステントシステム。
  6. 請求項2に記載のステントシステムにおいて、
    取付部は、X線に対し不透過性の材料で構成されることを特徴とするステントシステム。
  7. 請求項2に記載のステントシステムにおいて、
    ステントは、
    ホース状体の長手方向に沿って、編み方が粗で編目隙間の開口面積が大きく形成された細線粗成ホース部と、ホース状体の長手方向に沿って、細線粗成ホース部よりも編み方が密で編目隙間の開口面積が小さく形成された細線密成ホース部とを有する粗密ステントであることを特徴とするステントシステム。
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