JP5477654B2 - 電子制御装置、及び、これを用いた電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
この問題を解決するために、複数のマイコンを用いて演算結果を相互比較する方式がある。また、特許文献2には、ネットワーク接続された電子制御装置のマイコンの演算機能が正常に動作していることを監視するために、一方のマイコン(駆動装置)が所定の演算命令を送信し、他方のマイコン(指令装置)が演算命令に応じた演算結果を返送する「演算監視」の方法が開示されている。
しかし、これら3つの監視手段を全て回路に実装するためには、ウォッチドッグ監視用信号線、演算監視用信号線、クロック監視用信号線と、それぞれ独立の専用信号線を設ける必要がありコストがアップするという問題がある。
電子制御装置は、周期的に実行される複数のタスクについて所定時間あたりの実行回数を所定の最大閾値および所定の最小閾値と比較して実行周期を監視する監視タスクを設定する。そして、当該監視タスクによって、複数のタスクのいずれかの実行回数が最大閾値より多いか、または最小閾値より少ないと判断された場合、クロック監視用信号線もしくは演算監視用信号線のいずれか一方または両方を経由して、クロック監視回路もしくは演算監視回路のいずれか一方または両方に異常情報を通信することで、主マイクロコンピュータまたはクロック監視用信号線または演算監視用信号線の異常を検出する。
この場合、従来技術によると、クロック監視用信号線および演算監視用信号線の他に、ウォッチドッグ監視用の専用信号線が必要であった。それに対し、本発明では、ウォッチドッグ監視用の信号線を設けず、クロック監視用信号線および演算監視用信号線の2つの信号線で異常を検出することができる。
監視タスクは、自タスクを監視することも可能であり、1つの監視タスクが自タスクを含めた全てのタスクの実行周期を監視することとしてもよい。しかしながら、その1つの監視タスクに異常が発生した場合、全てのタスクの監視ができなくなるリスクがある。そこで、監視タスクを2つ以上設定し、異なる監視タスク同士が相互に監視することで信頼性を向上することができる。
請求項4に記載の電子制御装置は、監視タスクによって複数のタスクの実行回数がいずれも最小閾値より少ないと判断された場合、クロック監視用信号線から通信される正常時よりも長い周期の信号をクロック監視回路が検出することで、主マイクロコンピュータの異常を検出する。
上記(2)の「マイコンの演算機能の異常」等の共通の原因によって複数のタスクがいずれも動作しなくなった場合、監視タスク自体も停止するため、実行周期の監視による異常検出ができなくなる。しかし、演算監視用信号線による通信が途絶したことを演算監視回路が認識することで、異常を検出することができる。
なお、タスク停止に至らずとも、演算監視用信号線による通信を規定の周期で行なうことができない状態に至った場合、すなわち複数のタスクの実行回数がいずれも正常範囲よりも多くなるか少なくなった場合で、かつクロックが正常な場合には、演算監視によって故障認識可能である。
これにより、クロック監視回路および演算監視回路の構成が具体的に示される。
これにより、例えば、ハードウェアまたはソフトウェアの本質的故障でなく、ノイズ等によってレジスタ値が一時的に異常値に変化した場合など、主マイクロコンピュータをリセットすることで正常状態に復帰させることができる。
電動パワーステアリング装置は、安全性の面から、確実に異常を検出することが要求される。したがって、簡易な構成でマイコン等の異常検出を実現するという本発明の電子制御装置の効果が有効に発揮される。
(一実施形態)
図1は、電動パワーステアリング装置を備えたステアリングシステムの全体構成を示す。ステアリングシステム90に備えられる電動パワーステアリング装置1は、ハンドル91に接続されたステアリングシャフト92に操舵トルクを検出するためのトルクセンサ94を設置している。
ステアリングシャフト92の先端にはピニオンギア96が設けられており、ピニオンギア96はラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪98が回転可能に連結されている。
この構成により、電動パワーステアリング装置1は、ハンドル91の操舵を補助するための操舵アシストトルクを発生し、ステアリングシャフト92に伝達する。
タイマB16は、演算監視用の通信処理等を行う周期タスクbを生成する。
監視回路21は、クロック監視回路22および演算監視回路23を含む。クロック監視回路22は、クロック監視用信号線24を経由してメインマイコン11と接続されており、演算監視回路23は、演算監視用信号線25を経由してメインマイコン11と接続されている。監視回路21は、クロック監視用信号線24および演算監視用信号線25から通信される情報を監視することで、メインマイコン11またはクロック監視用信号線24または演算監視用信号線25の異常を検出する。
メインマイコン11の異常が検出されたときの処置としては、例えば、リセット回路19の端子に監視回路21からリセット信号を出力することで、メインマイコン11を再起動させる。あるいは、メインマイコン11ではなく、駆動回路26に対し、例えばプリドライバの駆動許可信号をオフとすることで、プリドライバ駆動を停止する。
タスクbの実行回数が異常の場合、すなわちS31またはS32でYESの場合、S33にてタスクbの「異常時処置」を行う。続くS34では、監視以外のタスクa周期処理を実行する。最後にS35でタスクaの実行回数をカウントアップする。なお、S31〜S33と、S34、S35の実行順番は入れ替わっても良い。
タイマB16が故障した場合、または、周期タスクbを実行中にプログラムのエラー等により周期タスクbの実行周期が異常となった場合を想定する。例えば、発振の場合は周期が短く(速く)なり、実行回数が正常時の実行回数よりも多くなる。また、周期が長く(遅く)なると、実行回数が正常時の実効回数よりも少なくなる。さらに、周期タスクbが停止した場合には、実行回数はゼロとなる。
また、演算監視用の通信を行う場合は、演算監視用信号線25を経由して意図的に異常となる通信を行うか、または、演算監視用の通信を停止する。
あるいは、上記のクロック監視用の通信と演算監視用の通信の両方を行ってもよい。
ケース1とは逆に、タイマA15が故障した場合、あるいは、周期タスクaを実行中にプログラムのエラー等により周期タスクaの実行周期が異常となった場合を想定する。
この場合、監視タスクbが周期タスクaの実行回数を確認し、最大閾値Max(a)より多いか、または最小閾値Min(a)より少ない場合、ケース1と同様にタスクa異常時処置を行う。これにより、ケース1と同様、ウォッチドッグ監視用の専用信号線を設けることなく、クロック監視用信号線24または演算監視用信号線25を用いて異常を検出することができる。
周期タスクaおよび周期タスクbの実行回数が共に最大閾値より多くなるか、共に最小閾値より少なくなる場合、すなわち周期が共に正常範囲よりも短くなるか長くなる場合は、動作クロック自体の異常の場合である。したがって、タイマA15が生成しクロック監視用信号線24を経由して通信されるパルス信号の周期が異常となるため、この異常周期の信号をクロック監視回路22が検出することで、異常を検出することができる。
マイコンの演算機能の異常やプログラムのエラー等の共通の原因によって周期タスクaおよび周期タスクbが共に動作しなくなった場合、周期タスクaと周期タスクbとの相互監視による異常検出ができなくなる。しかし、タスクbが行うはずの演算監視用の通信が途絶したことを演算監視回路23が認識することで、異常を検出することができる。
第2実施形態は、1つの監視タスクが自タスクを含めた全ての周期タスクの実行周期を監視する実施形態である。第2実施形態は、図4のフローチャートのS51、S52で、監視タスクaが自タスクの実行回数を確認する点を除いて、第1実施形態と同様である。
(ア)上記の実施形態によるタスク動作のフローチャート(図3、4参照)では、タスクの先頭で周期監視を行い、タスクの最後にカウントアップを行っているが、その逆に、先にカウントアップを行い、後で周期監視を行ってもよい。
(イ)実行回数が最大閾値より多いか否かの判断(S31等)と、最小閾値より少ないか否かの判断(S32等)とは、いずれが先でもかまわない。
図5(a)に示す例は、5つの周期タスクa、b、c、d、eがいずれも監視タスクの場合である。監視タスクaは、自タスクを除く全てのタスクb、c、d、eを周期監視する。監視タスクb、c、d、eは、それぞれ監視タスクaを周期監視する。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
2 ・・・モータ駆動装置、
10 ・・・ECU(電子制御装置)、
11 ・・・メインマイコン(主マイクロコンピュータ)、
15 ・・・タイマA、
16 ・・・タイマB、
19 ・・・リセット回路、
21 ・・・監視回路、
22 ・・・クロック監視回路、
23 ・・・演算監視回路、
24 ・・・クロック監視用信号線、
25 ・・・演算監視用信号線。
Claims (9)
- 主マイクロコンピュータと、
前記主マイクロコンピュータのクロック異常を監視するクロック監視回路と、
前記主マイクロコンピュータの演算回路の異常を監視する演算監視回路と、
前記クロック監視回路に通信可能なクロック監視用信号線と、
前記演算監視回路に通信可能な演算監視用信号線と、を有し、
周期的に実行される複数のタスクについて所定時間あたりの実行回数を所定の最大閾値および所定の最小閾値と比較して実行周期を監視する監視タスクを設定し、
当該監視タスクによって、前記複数のタスクのいずれかの実行回数が前記最大閾値より多いか、または前記最小閾値より少ないと判断された場合、
前記クロック監視用信号線もしくは前記演算監視用信号線のいずれか一方または両方を経由して、前記クロック監視回路もしくは前記演算監視回路のいずれか一方または両方に異常情報を通信することで、前記主マイクロコンピュータまたは前記クロック監視用信号線または前記演算監視用信号線の異常を検出することを特徴とする電子制御装置。 - 請求項1に記載の電子制御装置において、
前記監視タスクを2つ以上設定し、当該監視タスクが自タスクを除く他のタスクの実行周期を監視することを特徴とする電子制御装置。 - 請求項1または2に記載の電子制御装置において、
前記監視タスクによって前記複数のタスクの実行回数がいずれも前記最大閾値より多いと判断された場合、前記クロック監視用信号線から通信される正常時より短い周期の信号を前記クロック監視回路が検出することで、前記主マイクロコンピュータの異常を検出することを特徴とする電子制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子制御装置において、
前記監視タスクによって前記複数のタスクの実行回数がいずれも前記最小閾値より少ないと判断された場合、前記クロック監視用信号線から通信される正常時より長い周期の信号を前記クロック監視回路が検出することで、前記主マイクロコンピュータの異常を検出することを特徴とする電子制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子制御装置において、
前記複数のタスクがいずれも停止した場合、前記演算監視用信号線を用いた通信ができないことを前記演算監視回路が検出することで、前記主マイクロコンピュータの異常を検出することを特徴とする電子制御装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子制御装置において、
前記クロック監視回路および前記演算監視回路は、監視用ICによって構成されることを特徴とする電子制御装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子制御装置において、
前記クロック監視回路および前記演算監視回路は、前記主マイクロコンピュータと異なる副マイクロコンピュータによって構成されることを特徴とする電子制御装置。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子制御装置において、
前記主マイクロコンピュータを再起動可能なリセット回路を備え、
異常が検出されたとき、前記主マイクロコンピュータをリセットすることを特徴とする電子制御装置。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子制御装置と、
前記電子制御装置によって駆動されるモータと、
前記モータの回転をステアリングシャフトに伝達する動力伝達手段と、を備え、
操舵トルクをアシストすることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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