以下、本発明に係る波形記録装置における動作条件の設定方法および波形記録装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
1.波形記録装置の基本的な構成
先ず、本発明の一実施例に係る波形記録装置の基本的な構成について説明する。
図1は、本実施例の波形記録装置1の機能ブロック図である。本実施例の波形記録装置1は、入力信号の波形を予め設定された複数項目の動作条件に従って記録し表示することができる。本実施例の波形記録装置1は、入力信号の波形を記録し表示するために必要とされる複数項目の動作条件を設定するために、設定画面として任意設定画面を表示して任意に詳細な設定を行うことのできる任意設定と、設定画面として簡易設定画面を表示して特定の測定目的のための動作条件の設定を簡易に行うことのできる簡易設定と、の2通りの設定方法を選択することができる。
図1に示すように、波形記録装置1は、A/D変換部2a、2b、2c、2d、トリガ信号出力部3、制御部4、メモリ5、操作部6、表示部7、主制御部8およびデータ記録部9を有する。本実施例では、一例として、トリガ信号出力部3および制御部4がFPGA(Field Programmable Gate Alley)内に構築されている。測定部としてのA/D変換部2a、2b、2c、2dは、それぞれ測定チャネル1、2、3、4(以下、それぞれ「CH1」、「CH2」、「CH3」、「CH4」ともいう。)の測定部を構成する。具体的には、A/D変換部2a、2b、2c、2d(以下、区別しないときには「A/D変換部2」ともいう。)は、入力信号Siをアナログ−デジタル変換して(即ち、入力信号Siを所定のサンプリング周期でサンプリングして)、測定情報(測定データ)としてのサンプリングデータD1を生成する。
トリガ信号出力部3は、上記のFPGA内に構築されたAND回路およびOR回路を有するトリガ検出器(図示せず)を備えている。このトリガ信号出力部3は、A/D変換部2から出力されたサンプリングデータD1の電気的パラメータ(例えば、電圧値、電流値、周波数、位相など)と、後述するようにして予め設定された設定値との比較結果に基づいて、トリガ信号Stを出力する。なお、このトリガ信号出力部3は、波形記録装置1に対して設定される動作条件(記録条件)に応じて上記のAND回路およびOR回路の接続形態が随時変更される。本発明についての理解を容易とするために、この接続形態の変更(FPGAに対する設定の変更)についての説明は省略する。
制御部4は、A/D変換部2によって生成されたサンプリングデータD1を、例えば先入れ先出し法でメモリ5に順次記憶させる。また、制御部4は、トリガ信号出力部3からトリガ信号Stが出力されたときに、メモリ5から所定時間分(所定サンプリング数分)のサンプリングデータD1を読み出して、これを記録対象データD2として、データ記録部9に記録する。記録対象データD2は、入力信号に基づいて入力信号の波形を記録するための波形記録用情報である。
メモリ5は、一例として、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)で構成されて、上記のサンプリングデータD1を一時的に記憶する。
操作部6は、図2に示すように、動作条件の設定などのために使用するキー61や測定の開始や停止を指示する開始/停止スイッチ62などの複数の操作スイッチを備え、この操作スイッチの操作に応じた操作信号を主制御部8に出力する。特に、本実施例では、操作部6には、任意設定を行うための任意設定画面を表示するように主制御部8に操作信号を出力する設定スイッチ63、簡易設定を行うための簡易設定画面を表示するように主制御部8に操作信号を出力する簡易設定スイッチ64が設けられている。
表示部7は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)で構成される。表示部7は、主制御部8から出力された設定画面表示用データD3に基づき、複数項目の動作条件を設定するための設定画面(任意設定画面、簡易設定画面)を表示すると共に、主制御部8から出力された波形表示用データD4に基づき、入力信号の波形を表示するための波形表示画面を表示する。
主制御部8は、波形記録装置1を統括的に制御する。具体的には、主制御部8は、操作部6から出力された操作信号や予め設定された動作条件(設定値)に従い、トリガ信号出力部3および制御部4を制御する。また、主制御部8は、設定画面情報記憶部から、複数項目の動作条件を設定するための設定画面(任意設定画面、簡易設定画面)を表示するための、設定画面情報としての設定画面表示用データD3を読み出す。本実施例では、設定画面情報記憶部は、主制御部8に内蔵されたROMで構成される設定画面メモリ81とされる。また、主制御部8は、制御部4から出力された記録対象データD2に基づいて、入力信号の波形を表示する波形表示画面を表示するための、波形表示用情報としての波形表示用データD4を生成する。そして、主制御部8は、表示部7に、上記設定画面(任意設定画面、簡易設定画面)を表示させるための設定画面表示用データD3や上記波形表示画面を表示させるための波形表示用データD4を出力する。
データ記録部9は、一例として、リムーバブルメモリ(メモリカードなど)やHDD(Hard Disc Drive)で構成される。データ記録部9は、制御部4の制御に従って記録対象データD2(所定時間分のサンプリングデータD1)を記録する。データ記憶部9は、波形記録用情報としての記録対象データD2を記憶する波形記録用情報記憶部である。
2.波形記録装置の基本的な使用方法
次に、波形記録装置1の基本的な使用方法について説明する。なお、以下の説明においては、A/D変換部2に対して測定対象体が電気的に接続されて波形記録装置1に入力信号Siが入力されているものとする。また、本発明の特徴は、複数項目の動作条件の設定を簡易設定画面により簡易に行える点にあるが、本発明についての理解を容易とするために、波形記録装置1の基本的な使用方法として、複数項目の動作条件の設定を任意設定画面により行う方法を先に説明する。
2−1.任意設定
波形記録装置1による記録対象データD2の記録処理に際しては、先ず、記録対象データD2を記録し、波形表示用データD4を生成する動作条件を設定する。
具体的には、任意設定を行う場合、操作部6の設定スイッチ63(図2)を押すことにより、図4〜7に示す設定画面としての任意設定画面10を表示部7に表示させる。任意設定画面10は、A/D変換部2、トリガ信号出力部3および制御部4の動作条件を任意に設定するための表示画面である。本実施例では、任意設定画面10は、それぞれ「測定設定」、「各CH(チャネル)設定」、「全CH(チャネル)一覧」、「トリガ」とのタイトルが付されたタブにより選択して表示させる複数のタブ画面11、12、13、14を有して構成される。本発明についての理解を容易とするために、入力信号の波形を記録し表示するために必要となる複数項目の動作条件のうち、代表的な設定項目について説明する。
(1)測定設定タブ画面
図4に示す測定設定タブ画面11は、時間軸レンジ設定部11a、時間軸倍率設定部11b、記録長設定部11c、繰り返し記録設定部11dなどを有して構成される。
時間軸レンジ設定部11aは、制御部4がサンプリングデータD1に基づいて記録対象データD2を生成する際の時間軸(横軸)方向の比率を設定する部位である。時間軸レンジ設定部11aに、例えば「5ms/div」との条件が設定された状態においては、後述する波形表示画面30の波形表示部31(図8)における時間軸方向の1div当りに5ms分のサンプリングデータD1が含まれるように、制御部4によって記録対象データD2が生成される。
時間軸倍率設定部11bは、制御部4がデータ記録部9に記録されている記録対象データD2に基づいて信号波形Wを波形表示部31(図8)に表示させる際の時間軸方向の表示倍率を設定する部位である。時間軸倍率設定部11bに、例えば「x1」との条件(等倍)が設定された状態においては、波形表示部31の1div当りに、時間軸レンジ設定部11に設定された時間長(この例では、「5ms」)を1倍した分の信号波形Wが表示される。
記録長設定部11cは、制御部4がサンプリングデータD1に基づいて記録対象データD2を生成する時間の長さを設定する部位である。記録長設定部11cに、例えば「20div」との条件が設定された場合は、時間軸レンジ設定部11aで設定された時間軸方向の比率(この例では、「5ms」)を20倍した時間(即ち、「100ms」)分の記録対象データD2を生成する。
繰り返し記録設定部11dは、設定された動作条件で1回だけ測定するか(単発)、トリガ信号毎などに複数回繰り返して測定するかを選択する部位である。
(2)各CH設定タブ画面
図5に示す各CH設定タブ画面12は、チャネル選択部12a、選択チャネル表示部12b、チャネル使用選択部12c、測定レンジ設定部12d、ローパスフィルタ使用選択部12e、結合選択部12f、測定レンジ倍率設定部12g、0位置(ゼロ位置)設定部12h、トリガ使用選択部12i、トリガ条件設定部12jおよび波形モニタ表示部12kなどを有して構成される。各CH設定タブ画面12は、A/D変換部2によってサンプリングデータD1を生成する際のチャネル毎の動作条件(測定条件)、制御部4がサンプリングデータD1に基づいて記録対象データD2を生成する際のチャネル毎の動作条件、トリガ信号出力部3の動作条件などを設定するための画面である。
各CH設定タブ画面12では、チャネル選択部12aを操作して、選択チャネル表示部12bにCH1、CH2、CH3、CH4のうちのいずれかを表示させることで、動作条件を設定するチャネルを選択する。選択チャネル表示部12bに表示されるチャネルが変わると、それに連動して上記各設定項目12c〜12jの表示などが切り替わり、チャネル毎の各設定項目の設定を行えるようになる。
チャネル使用選択部12cは、該当するチャネルを使用するか否かを選択する部位である。チャネル使用選択部12cにチェックマークを付けることで該当するチャネルを使用することが選択される。
測定レンジ設定部12dは、サンプリングデータD1を生成する際の測定値軸(縦軸)方向の比率である測定レンジを設定する部位である。測定レンジ設定部12dに、例えば「50V/div」との条件が設定された状態においては、波形表示部31において測定値軸方向の1div当たりに50Vの測定レンジで信号波形Wが表示されるように、サンプリングデータD1が生成される。
ローパスフィルタ使用選択部12eは、サンプリングデータD1を生成する際に、低周波数信号を通過させるフィルタを使用して高周波数ノイズを除く機能のON/OFFを選択するための部位である。
結合選択部12fは、測定すべき電気的パラメータの種類を設定する部位である。
測定レンジ倍率設定部12gは、制御部4がデータ記録部9に記録されている記録対象データD2に基づいて信号波形Wを波形表示部31に表示させる際の、測定値軸方向の表示倍率を設定する部位である。測定レンジ倍率設定部12gに、例えば「x1」との条件(等倍)が設定された状態においては、上記測定レンジ設定部12dで設定した1div当りの測定レンジを1倍した測定レンジで信号波形Wが表示される。
ゼロ位置設定部12hは、制御部4が信号波形Wを波形表示部31に表示させる際の、測定軸方向のゼロ位置を設定する部位であって、正負を均等にして観察したい場合は「50%」の位置をゼロ位置に設定するが、正側の波形を観察したい場合や負側の波形を観察した場合はゼロ位置を変更することができる。
図5に示す例は、1div当り50Vの測定レンジで、0Vの位置が波形表示部31の上下方向中央部に位置するように直流電圧(DC)を表示倍率1倍(x1)で記録し表示する処理が該当するチャネル(この例では、CH1)について設定されている状態である。
トリガ使用選択部12iは、トリガ信号出力部3にトリガ信号(開始トリガ信号)Stを出力させるためのトリガ出力処理のON/OFFを選択するための部位である。いずれかのチャネルについてトリガ機能を仕様する場合は、トリガ使用選択部12iをONに設定する。
トリガ条件設定部12jは、例えばいずれかのチャネルの入力信号をトリガ源としてトリガ信号出力部3がトリガ信号Stを出力するように、該当するチャネルについてトリガ出力処理の条件を設定する部位である。トリガ条件設定部12jには、トリガ種類選択部12j1、トリガレベル設定部12j2、スロープ設定部12j3、外部トリガ使用選択部12j4、フィルタ使用選択部12j5などが設けられている。トリガ種類選択部12j1は、トリガ出力処理の種類を指定するための部位である。トリガ種類選択部12j1には、「電圧降下トリガ」、「ウィンドウトリガ」および図5に示す「レベルトリガ」などの各種のトリガ出力処理のうちから、操作者によって選択された(指定された)種類のトリガ出力処理が表示される。「電圧降下トリガ」は、電圧値が設定値(レベル、閾値)を下回った場合にトリガを発生する処理である。「ウィンドウトリガ」は、電圧値が設定した上限値と下限値との間の範囲内に入った場合または該範囲から出た場合にトリガを発生する処理である。「レベルトリガ」は、設定電圧値を立ち上がりまたは立ち下がりで横切った場合にトリガを発生する処理である。トリガレベル設定部12j2には、トリガ信号Stを出力させるための設定値が設定される。スロープ設定部12j3は、設定値を超えるか(上向き)または下回るか(下向き)のいずれの態様でトリガレベル設定部12j2で設定された条件を満たした場合に、トリガ信号Stを出力させるかが選択される。外部トリガ使用選択部12j4では、外部装置からのトリガ信号の使用の有無(ON/OFF)が選択される。フィルタ使用選択部12j5は、トリガレベル設定部12j2で設定された条件と比較する入力信号に対するノイズ除去処理のON/OFFが選択される。
図5に示す例は、該当するチャネル(この例では、CH1)のA/D変換部2によって生成されたサンプリングデータD1の電圧レベルを監視して、トリガ条件設定部12jのトリガレベル設定部12j2に設定された電圧レベル(この例では、100V)を上向きに超えたときに、トリガ信号出力部3からトリガ信号Stが出力されるレベルトリガが選択された状態が示されている。また、図5に示す例では、外部トリガはOFFであり、フィルタもOFFである。
なお、各CH設定タブ画面12に設けられた波形モニタ表示部12kは、各チャネルのA/D変換部2に入力信号Siが入力されている状態において、各入力信号Siを現在設定されている波形記録装置1の動作条件で処理して生成したモニタ表示用データに基づいて、動作条件の設定を補助するためのモニタ用の信号波形が表示される部位である。
また、本実施例では、各CH設定タブ画面12に、測定設定タブ画面11における時間軸レンジ設定部11a、時間軸倍率設定部11b、記録長設定部11cとそれぞれ同じ動作条件を設定するための項目12l、12m、12nが設けられており、各CH設定タブ画面12からもこれらの設定項目の設定を行うことができる。
(3)全CH一覧タブ画面
図6に示す全CH一覧タブ画面13には、CH1、CH2、CH3、CH4の各チャネルについての測定レンジ、ローパスフィルタ使用選択、結合選択、測定レンジ倍率、ゼロ位置などをそれぞれ設定することのできる部位13a、13b、13c、13dが一覧表示される。全CH一覧タブ画面13の上記各設定項目で設定できる内容は、各CH設定タブ画面12の該当する設定項目で設定できる内容と同様である。各CH設定タブ画面12では、チャネル毎に切り替えて表示させ、その設定を行うようになっていたが、全CH一覧タブ画面13では、全てのチャネルの上記各設定項目の状態を同時に見ながら、各設定項目の設定を行うことができる。
(4)トリガタブ画面
図7に示すトリガタブ画面14は、CH1、CH2、CH3、CH4の各チャネルについてのトリガ使用選択、トリガ条件などをそれぞれ設定することのできる部位14a、14b、14c、14dが一覧表示される。トリガタブ画面14の上記各設定項目で設定できる内容は、各CH設定タブ画面12の該当する設定項目で設定できる内容と同様である。各CH設定タブ画面12では、チャネル毎に切り替えて表示させ、その設定を行うようになっていたが、トリガタブ画面14では、全てのチャネルの上記各設定項目の状態を同時に見ながら、各設定項目の設定を行うことができる。
以上のようにして、任意設定画面10により、波形記録装置1の複数項目の動作条件を設定することができる。
なお、任意設定画面10における各設定項目は、予め決められた複数の選択肢から選択するようになっていても、一定の決まりに従って任意の値を入力するようになっていてもよい。これらの選択や入力は、操作部6における操作スイッチを操作することによって行う。
2−2.測定動作
次いで、操作部6のスタートスイッチを操作すると、主制御部8がトリガ信号出力部3および制御部4を制御して記録対象データD2の記録処理を開始させると共に、図8に示すように、波形表示画面30を表示部7に表示させる。この波形表示画面30は、波形表示部31、スケール表示32、トリガレベル表示33、時間軸レンジ表示部34、時間軸倍率表示部35、記録長表示部36などを有して構成されている。
波形表示部31には、データ記録部9に対する記録対象データD2の記録が開始された時点において、データ記録部9に記録された記録対象データD2に基づく信号波形Wが表示される。また、スケール表示32は、波形表示部31に表示される信号波形W(この例では、CH1に入力されている入力信号Siの信号波形)の電圧レベルを示す。さらに、トリガレベル表示33は、設定されているトリガレベルを信号波形Wに関連付けて(この例では、レベルトリガが設定されたCH1の信号波形Wb1に関連付けて)表示する。なお、図8には、CH1に入力されている入力信号Siの信号波形のみ表示されている例を示しているが、その他のチャネルも使用している場合には、設定した動作条件に従って、CH2、CH3、CH4に入力されている入力信号Siの信号波形も同時に表示することができる。
また、時間軸レンジ設定部34には、前述した任意設定画面10で設定された時間軸レンジの設定値が表示され、時間軸倍率設定部35には、前述した任意設定画面10で設定された時間軸倍率の設定値が表示される。さらに、CH条件設定部36には、CH選択部37で選択されているチャネルについて、前述した任意設定画面10で設定された設定値が表示される。
主制御部8によって記録処理の開始を指示されたトリガ信号出力部3は、A/D変換部2から出力されるサンプリングデータD1が設定されたトリガレベル(この例では、20V)を超えるか否かを監視する。そして、制御部4は、トリガ信号Stが出力されたときに、メモリ5に順次記憶させているサンプリングデータD1に基づいて、設定された条件に従って記録対象データD2を生成し、生成した記録対象データD2をデータ記録部9に順次記録させると共に主制御部8に出力する。また、主制御部8は、制御部4から記録対象データD2が出力されたときに、記録対象データD2の記録処理が開始されたと判別して、出力された記録対象データD2に基づいて波形表示用データD4を生成し、図8に示すように、その時点においてデータ記録部9に記録対象データD2が記録されている入力信号Siの信号波形Wを波形表示部31に表示させる。その後、主制御部8は、設定された記録時間が経過したときに、制御部4を制御して記録対象データD2の生成(データ記録部9に対する記録処理)を停止させる。これにより、一例の記録処理が完了する。
2−3.任意設定における課題
ここで、波形記録装置1は、対象とする特定の測定目的に応じて、複数項目の動作条件を最適と思われるものに設定する必要がある。一例として、時間軸レンジの設定値が短過ぎるとき(1div当りの測定時間長が短過ぎるとき)には、信号波形Wの表示が1周期分にも満たない不完全な状態となる。このような場合には、時間軸レンジ(時間/div)の設定値をより大きい値に変更する必要がある。また、一例として、いずれかのチャネルの測定レンジの設定値が大き過ぎるときには、信号波形Wの振幅が小さな状態となる。このような場合には、該当するチャネルの測定レンジ(値/div)の設定値をより小さい値に変更する必要がある。
例えば、100V、50Hzの商用電源を測定する場合を例として更に説明すると、波形記録装置1の複数項目の動作条件を当該測定目的のために任意設定画面10で設定する場合には、操作者は例えば次のような点に注意して慎重に設定を行う必要がある。
先ず、各CH設定タブ画面12または全CH一覧タブ画面13において、使用するチャネルに確実にチェックマークを付ける必要がある。
また、各CH設定タブ画面12または全CH一覧タブ画面13において、表示部7で表示できる縦軸の最大div数(マス数)を考慮して、各チャネルの測定レンジ(1div当たりの電圧値)を設定する必要がある。本実施例の波形記録装置1では最大10divの表示が可能なので、測定レンジは「50V/div」に設定し、測定レンジ倍率は「×1」に設定するのが望ましい。また、正側の波形を観察したいのか、負側の波形を観察したいのかによって、ゼロ位置を変える必要があるが、正負を均等にして観察したい場合には「50%」の位置をゼロ位置として設定するのが望ましい。
また、測定設定タブ画面11または各CH設定タブ画面12において、測定信号の周波数50Hzに基づいて、時間軸の1divを何秒に設定すれば波形を観察し易いかを考慮し、時間軸レンジ(1divの時間)を設定する必要がある。本実施例の波形記録装置1では、50Hzの場合は時間軸レンジを「5ms/div」あるいは「10ms/div」程度に設定し、時間軸倍率を「×1」に設定するのが望ましい。また、各CH設定タブ画面12または全CH一覧タブ画面13において、高周波数ノイズが重畳した波形を観察したいのか、ノイズを除いた波形を観察したいかによって、各チャネルのローパスフィルタのON/OFFを選択する必要がある。
また、各CH設定タブ画面12またはトリガタブ画面14において、トリガ機能のON/OFFを選択し、トリガ機能をONとする場合には、開始トリガ(どのチャネルをトリガ源とするのか)を選択し、外部トリガのON/OFFを選択し、トリガの設定値(レベル)の数値を設定し、スロープについて上向きか下向きかを選択し、またフィルタのON/OFFを選択する必要がある。
また、測定設定タブ画面11において、何波形分の波形を記録したいかに応じて、時間軸レンジの設定を考慮しながら、記録長を設定する必要がある。例えば、5波形分の波形を記録したい場合を考えると、時間軸レンジが5ms/divの場合は記録長を20divに設定し、時間軸レンジが10ms/divの場合は記録長を10divにする必要がある。これにより、いずれの場合も5波形分の記録が可能となる。
以上のように、波形記録装置1を使用して行うことのできる測定目的として一般的な商用電源の測定であっても、任意設定によって複数項目の動作条件を設定しようとすると、複数の画面にわたって設定項目を探し出し、必要に応じて計算をしながら、適正な設定を行うことが必要である。そのため、この種の操作に不慣れな操作者にとっては、取扱説明書などを参照しながらの煩雑かつ難しい操作となる。しかも、設定が適正でない場合には、前述のように、最適な状態で波形を記録し表示することができなくなり、場合によっては測定のやり直しをしなければならなくなる。
3.簡易設定
次に、本実施例にて特徴的な簡易設定について説明する。簡易設定によれば、波形記録装置1を使用して行うことのできる一般的な測定目的について、波形記録装置1の複数項目の動作条件を簡易に設定することができる。
任意設定を行う場合、操作部6の簡易設定スイッチ64(図2)を押すことにより、図3に示す設定画面としての簡易設定画面20を表示部7に表示させる。なお、本実施例では、簡易設定を行えるように用意された波形記録装置1の特定の測定目的は「商用電源を測る」ことであるものとする。
詳しくは後述するように、簡易設定を行えるようにする波形記録装置1を使用した一般的な測定目的は、複数用意されていてもよい。その場合、簡易設定スイッチ64(図2)を押すことにより、先ず、主制御部8が測定目的を選択するための測定目的選択画面を表示部7に表示させるようにすることができる。そして、操作部6における操作によって、その測定目的選択画面で測定目的が選択されることにより、選択された測定目的のために用意されている簡易設定画面20が表示部7に表示されるようにすることができる。
図3に示すように、簡易設定画面20には、一画面に収まるように、商用電源を測定する場合の測定内容を表す文章が表示される。そして、測定内容を表す文章の一部分が複数の選択肢から選択することで変更できるようになっており、その部分(変更可能部分)の内容を変更することで、測定内容を変更できるようになっている。即ち、操作者は、上記変更可能部分の内容を変更して、簡易設定画面20に表示された文章を所望の測定内容に沿って完成させていくことで、商用電源を測定する場合に一般的に想定される測定内容として予め用意されているものの中から、所望の測定内容に沿ったものに決定することができる。そして、この簡易設定画面20に表示された測定内容を表示する文章が完成した時点で、商用電源を測定するために設定することが必要な複数項目の動作条件のうち、上記変更可能部分のそれぞれの選択肢に関係付けられている動作条件は、選択された選択肢に関係付けられている動作条件に設定される。一方、上記変更可能部分のそれぞれの選択肢には関係付けられていないが、商用電源を測定するために設定することが必要な動作条件は、商用電源の測定に関係付けて予め決定されている動作条件に設定される。
更に説明すると、図3に示す簡易設定画面20には、「1.各チャネル設定」、「2.トリガ設定」、「3.記録長設定」、「4.繰り返し、保存設定」の欄が表示される。
「1.各チャネル設定」の欄には、CH1、CH2、CH3、CH4の各チャネルの使用の有無を選択するチャネル使用選択部21a、21b、21c、21dが設けられている。各チャネル使用選択部21a、21b、21c、21dは、複数の選択肢として「使用する」または「使用しない」を操作部6における操作により選択できるようになっている。これにより、CH1を例とすると、例えば『チャネル1「使用する」』などと表示され、操作者が直感的にCH1の使用の有無を設定する部位であることを認識することができ、所望の測定内容に応じて「使用する」または「使用しない」のいずれかを選択することができる。そして、各チャネル使用選択部21a、21b、21c、21dの選択肢「使用する」を選択すると、任意設定画面10の例えば各CH設定タブ画面12において該当するチャネル使用選択部12cにチェックマークを付けた場合と同様に、該当するチャネルを使用する設定となるように、該選択肢と動作条件とが関係付けられている。一方、選択肢「使用しない」には、該当するチャネルを使用しないとする動作条件が関係付けられている。
また、「1.各チャネル設定」の欄には、測定する商用電源の電圧および周波数の内容を選択する電圧選択部22と周波数選択部23が設けられている。電圧選択部22は、複数の選択肢として「100V」または「200V」を操作部6における操作により選択できるようになっている。また、周波数選択部23は、複数の選択肢として「周波数50Hz」または「周波数60Hz」を操作部6における操作により選択できるようになっている。これにより、例えば100V、50Hzの商用電源の測定を行う場合を例とすると、『測定信号:「100V」「周波数50Hz」の商用電源を測定する』などと表示され、操作者が直感的に商用電源の電圧および周波数の条件を設定する部位であることを認識することができ、測定したい商用電源の条件に合致するように電圧選択部22と周波数選択部23の内容を選択することができる。そして、電圧選択部22の選択肢「100V」を選択すると、任意設定画面10の例えば各CH設定タブ画面12において該当するチャネルの測定レンジ設定部12dに「50V/div」と設定した場合と同様に、測定レンジ(この例では、全てのチャネルで共通)が「50V/div」の設定となるように、該選択肢と動作条件とが関係付けられている。一方、電圧選択部22の選択肢「200V」には、測定レンジ(この例では、全てのチャネルで共通)を「100V/div」とする動作条件が関係付けられている。また、周波数選択部23の選択肢「50Hz」を選択すると、任意設定画面10の例えば測定設定タブ画面11において時間軸レンジ設定部11aに「5ms/div」と設定した場合と同様に、時間軸レンジが「5ms/div」の設定となるように、該選択肢と動作条件とが関係付けられている。また、本実施例では、周波数選択部23の選択肢「60Hz」には、時間軸レンジを「5ms/div」とする動作条件が関係付けられている。選択肢「60Hz」に対して他の動作条件が関係付けられていてもよい。
また、「2.トリガ設定」の欄には、CH1、CH2、CH3、CH4の各チャネルについてのトリガの使用の有無を選択するトリガ使用選択部24a、24b、24c、24dが設けられている。各トリガ使用選択部24a、24b、24c、24dは、複数の選択肢として「使用する」または「使用しない」を操作部6における操作により選択できるようになっている。これにより、CH1を例とすると、例えば『チャネル1 トリガを「使用する」』などと表示され、操作者が直感的にCH1についてのトリガの使用の有無を設定する部位であることを認識することができ、所望の測定内容に応じて「使用する」または「使用しない」のいずれかを選択することができる。そして、各トリガ使用選択部24a、24b、24c、24dの選択肢「使用する」を選択すると、任意設定画面10の例えば各CH設定タブ画面12において、該当するトリガ使用選択部12iにチェックマークを付けた場合と同様に該当するチャネルを使用する設定となり、また該当するトリガ条件設定部12jにおいて「レベル(トリガ種類)」、「0V(レベル)」、「立ち上がり(スロープ)」というトリガ条件に設定した場合と同様の設定となるように、該選択肢と動作条件とが関係付けられている。なお、本実施例では、各チャネルの測定信号の少なくとも1つでもトリガ条件を満たした場合は測定を開始するようになっている。一方、選択肢「使用しない」には、該当するチャネルについてトリガを使用しないとする動作条件が関係付けられている。
また、「3.記録長設定」の欄には、波形および波形数選択部25が設けられている。波形および波形数選択部25は、複数の選択肢として例えば「50Hz波形を2波形以上」、「50Hz波形を5波形以上」、「60Hz波形を2波形以上」、または「60Hz波形を5波形以上」を操作部6における操作により選択できるようになっている。これにより、例えば100V、50Hzの商用電源の測定において、5波形以上を観察したい場合を例とすると、『入力信号を「50Hz波形 5波形以上」測定する』などと表示され、操作者が直感的に観察したい波形数を設定する部位であることを認識することができ、測定したい波形数に合致するように波形および波形数選択部25の内容を選択することができる。そして、例えば波形および波形数選択部25の選択肢「50Hz波形を5波形以上」を選択すると、任意設定画面10の例えば測定設定タブ画面11において記録長設定部11cで「20div」に設定した場合と同様に、記録長が「20div」の設定となるように、該選択肢と動作条件とが関係付けられている。これにより、50Hzの場合は時間軸レンジとして5ms/divが設定されるので、5波形分の記録が可能となる。同様に、他の波形および波形数の選択肢に対しても、時間軸レンジとの関係で該当する波形数分の波形が記録されるように適切な記録長が予め計算され、それぞれの選択肢と関係付けられている。
また、「4.繰り返し、保存設定」の欄には、測定回数選択部26が設けられている。測定回数選択部26は、複数の選択肢として「一度だけ」、または「繰り返し」を操作部6における操作により選択できるようになっている。これにより、例えば『設定した内容で「一度だけ」測定する』などと表示され、操作者が直感的に測定回数を設定する部位であることを認識することができ、所望の測定内容に応じて測定回数を選択することができる。そして、例えば測定回数選択部26の選択肢「一度だけ」を選択すると、任意設定画面10の測定設定タブ画面11において繰り返し記録設定部11dに「単発」と設定した場合と同様に、設定した動作条件で1回だけ測定をするように、該選択肢と動作条件とが関係付けられている。同様に、繰り返し(或いはその他の測定回数)を選択した場合も、測定を繰り返す(或いは該当する回数だけ測定する)ように、それぞれの選択肢と動作条件とが関係付けられている。
さらに、「4.繰り返し、保存設定」の欄には、保存有無選択部27a、記録媒体選択部27b、記録方式選択部27cが設けられている。保存有無選択部27aは、複数の選択肢として「保存する」または「保存しない」を操作部6における操作により選択できるようになっている。また、記録媒体選択部27bは、複数の選択肢として「CF(コンパクトフラッシュ(登録商標)メモリカード)」または「USBメモリ」を操作部6における操作により選択できるようになっている。また、記録方式選択部27cは、複数の選択肢として「バイナリ」または「テキスト」を操作部6における操作により選択できるようになっている。これにより、例えば測定したデータをCFにバイナリ形式で保存したい場合は、『測定したデータを「保存する」 「CF」に「バイナリ」形式で保存する』などと表示され、操作者が直感的に記録形態を設定する部位であることを認識することができ、所望の記録形態で測定したデータを保存することができる。
また、簡易設定画面20には、測定内容を確定するための測定開始指示部28が設けられている。測定開始指示部28の表示内容も、操作者が直感的に設定操作を終了して測定を開始させる部位であることを容易に認識できるように、例えば『上記で測定を開始する』などとされている。上述の「1.各チャネル設定」、「2.トリガ設定」、「3.記録長設定」および「4.繰り返し、保存設定」の各欄の文章を所望の測定内容に応じて完成させた後に、操作部6における操作によって測定開始指示部28を選択して押下する。これにより、主制御部8は、波形記録装置1を商用電源の測定に使用する際に設定することが必要な複数項目の動作条件のうち、上記各欄の変更可能部分の各選択肢に関係付けられている動作条件は、そのときに簡易設定画面20に表示されている選択肢と関係付けられている動作条件に設定するように、動作条件記憶部としての主制御部8に内蔵されたRAMで構成される動作条件メモリ82に、その動作条件の設定を記憶する。一方、主制御部8は、波形記録装置1を商用電源の測定に使用する際に設定することが必要な複数項目の動作条件のうち、上記各欄の変更可能部分の各選択肢とは関係付けられていない動作条件は、特定の測定目的としての商用電源の測定と関係付けて予め決定されている動作条件、例えば、測定レンジ倍率は「×1」、ゼロ位置は「50%」、時間軸倍率は「×1」、ローパスフィルタは「ON」、外部トリガ「OFF」、トリガ機能におけるフィルタ「OFF」にするように、動作条件メモリ82にその動作条件の設定を記憶する。
以上のように、本発明によれば、入力信号の波形を予め設定された複数項目の動作条件に従って記録し表示する波形記録装置1における動作条件の設定方法は、波形記録装置1を使用して行うことのできる少なくとも1つの測定目的のうち特定の測定目的のための測定内容を表す文章であって、その少なくとも一部が複数の選択肢から選択することで変更できるようになっている文章を表示する段階を有する。本実施例では、上記特定の測定目的は商用電源を測定することである。そして、本実施例では、測定内容を表す文章は、例えば、「特定のチャネルを使用し、100V、50Hzの商用電源を、トリガ無しで5波形以上一度だけ測定し、CFにバイナリ形式で保存する」といった測定内容を、操作者に見やすい配置態様で表すものである。この測定内容を表す文章は、操作者が波形記録装置1を使用して行いたい商用電源の測定といった特定の測定目的における特定の測定内容を表すものである。このような文章は、典型的には、波形記録装置1の動作条件の設定項目の内容を直接的に表すものではないが、その一部に波形記録装置1の動作条件の設定項目の内容を直接的に表すものが含まれていてもよい。例えば、上述のような「測定したデータをCFにバイナリ形式で保存する」との文章は、測定内容を表すと共に、波形記録装置1の動作条件の設定項目の内容を直接的に表すものとも言える。操作者が特定の測定目的における測定内容を理解し易ければよい。
また、本発明によれば、波形記録装置1における動作条件の設定方法は、複数項目の動作条件のうち上記文章の複数の選択肢のそれぞれに関係付けて予め決定されている動作条件を、上記文章において表示された選択肢のものに設定すると共に、複数項目の動作条件のうち上記文章の複数の選択肢とは関係付けられていない動作条件を、上記特定の測定目的と関係付けて予め決定されている動作条件に設定することで、当該特定の測定目的のために設定することが必要な複数項目の動作条件を設定する段階を有する。本実施例では、上記特定の測定目的は商用電源を測定することである。そして、本実施例では、特に、入力信号の波形の時間軸(横軸)方向の比率(時間/div)、測定値軸(縦軸)方向の比率(値/div)、またはこれらの両方を含む複数の動作条件が、上記文章の複数の選択肢のそれぞれに関係付けて予め決定されている。一方、入力信号の波形の測定値軸(縦軸)方向のゼロ位置、測定値軸方向の表示倍率、時間軸(横軸)方向の表示倍率などは、上記文章の複数の選択肢には関係付けられておらず、特定の測定目的としての商用電源の測定と関係付けて予め決定されている。
また、本発明によれば、入力信号の波形を予め設定された複数項目の動作条件に従って記録し表示する波形記録装置1は、複数項目の動作条件の設定を記憶する動作条件記憶部を有する。本実施例では動作条件記憶部は、主制御部8に内蔵されたRAMで構成される動作条件メモリ82とされる。また、波形記録装置1は、複数項目の動作条件のそれぞれを任意に設定するための第1の設定画面(任意設定画面)10(11〜14)を表示するための第1の設定画面情報、および波形記録装置1を使用して行うことのできる少なくとも1つの測定目的のうち特定の測定目的のための複数項目の動作条件を設定するための第2の設定画面(簡易設定画面)20を表示するための第2の設定画面情報が記憶された設定画面情報記憶部を有する。本実施例では、設定画面情報記憶部は、主制御部8に内蔵されたROMで構成される設定画面メモリ81とされる。
また、波形記録装置1は、第1および第2の設定画面を表示する表示部7を有する。また、波形記録装置1は、第1の設定画面情報に基づいて第1の設定画面(任意設定画面)10(11〜14)を表示部7に表示させると共に、第2の設定画面情報に基づいて第2の設定画面(簡易設定画面)20を表示部7に表示させる表示制御部を有する。本実施例では、主制御部8が表示制御部の機能を有する。典型的には、第2の設定画面(簡易設定画面)20は、一画面で表示される。
また、波形記録装置1は、表示部7に第1および第2の設定画面のうちいずれかを選択的に表示させる信号を表示制御部8に入力するための設定画面選択手段を有する。本実施例では、設定画面選択手段は、操作部6に設けられた設定スイッチ63、簡易設定スイッチ64で構成される。また、波形記録装置1は、第1および第2の設定画面において指定された内容に基づいて複数項目の動作条件を設定する動作条件情報を動作条件記憶部に記憶させる設定制御部を有する。本実施例では、主制御部8が設定制御部の機能を有する。
そして、本発明の波形記録装置1は、上記本発明の動作条件の設定方法を具現するものであって、第2の設定画面(簡易設定画面)20には、波形記録装置1を使用して行うことのできる少なくとも1つの測定目的のうち特定の測定目的のための測定内容を表す文章であって、その少なくとも一部が複数の選択肢から選択することで変更できるようになっている文章が表示される。また、設定制御部8は、第2の設定画面(簡易設定画面)20が表示部7に表示された場合、複数項目の動作条件のうち上記文章の複数の選択肢のそれぞれに関係付けて予め決定されている動作条件を、上記文章において表示された選択肢のものに設定すると共に、複数項目の動作条件のうち上記文章の前記複数の選択肢とは関係づけられていない動作条件を、上記特定の測定目的と関係付けて予め決定されている動作条件に設定する動作条件情報を、動作条件記憶部(動作条件メモリ)82に記憶させる。
斯かる波形記録装置1における動作条件の設定方法および波形記録装置1によれば、商用電源の測定などの一般的な測定目的のために用意されている簡易設定画面20に表示された文章を完成させていくことで、操作者が行いたい測定内容を決定することができる。そのため、波形記録装置1の複数項目の動作条件の内容を直接的に意識しなくても、当該測定内容に合致するように予め決定されている動作条件を適切に設定することができる。これにより、操作者が測定したい内容と実際に測定される内容の差を少なくすることができる。例えば、任意設定画面10で設定を行う場合、商用電源の測定などの一般的な測定目的のためにも、操作者が測定したい内容に応じて時間軸レンジや測定レンジを考えて設定しなければならかった。これに対して、簡易設定画面20で設定を行う場合には、操作者は、何V、何Hzの商用電源を何波形分測定するといった測定したい内容が分かっていれば、簡易設定画面20に表示される文章をその測定内容を表すように完成させていくことで、時間軸レンジや測定レンジのことを考えなくても、波形記録装置1の製造者側が予め決定した適切な動作条件に設定することができる。従って、例えば複雑な動作条件の設定が可能とされた波形記録装置1に初めて触る操作者でも、商用電源の測定などの一般的な測定目的のためならば、その測定目的のために必要な動作条件の設定を容易に行うことができる。簡易設定画面20は、任意設定画面10とは区別されて選択的に表示され、典型的には一画面で表示されるので、設定項目を探し出すような手間はいらない。
なお、本実施例では、特定の測定目的として商用電源を測定することを例として具体的に説明したが、波形記録装置1を使用して行うことが想定される一般的な測定目的は、商用電源を測定することに限定されるものではない。想定される任意の測定目的に関して、上述の実施例と同様に簡易設定画面を用意することができる。例えば、停電などの電圧降下を監視することが、一般的な測定目的として挙げられる。
また、本実施例では4つの測定チャネルを有する波形記録装置を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、1つの測定チャネル(単一のA/D変換部)を有する波形記録装置や、5つ以上の測定チャネル(5つ以上のA/D変換部)を有する波形記録装置に本発明を適用することができる。また、本発明における測定データとして電圧の電気的パラメータを測定する例について説明したが、これに限らず、電流、周波数および位相などの各種電気的パラメータを測定した測定データがこれに含まれる。また、温度、湿度および風力などのパラメータを電圧などに変換したものも本発明における測定データに含まれる。さらに、表示部を有する波形記録装置を例に挙げて説明したが、外部装置としての表示装置に対して上記の設定画面や波形表示画面などを表示させる構成を採用することもできる。また、データ記録部を有する(一体的に構成した)波形記録装置を例に挙げて説明したが、外部装置としての各種記録装置に記録対象データを記録する構成を採用することもできる。