以下、添付図面を参照して、本発明に係る測定データ記録装置の最良の形態について説明する。
最初に、測定データ記録装置1の構成について説明する。
図1に示す測定データ記録装置1は、本発明に係る測定データ記録装置の一例である電源監視レコーダであって、測定部2、操作部3、表示部4、タイマ5、記憶部6,7、データ記録部8および制御部9を備えている。なお、実際の測定データ記録装置1(電源監視レコーダ)には、複数の電流クランプ(電流センサ)や、複数組の電圧プローブなどが測定部2に接続されているが、本発明についての理解を容易とするために、これらについての図示および詳細な説明を省略する。測定部2は、本発明における測定部の一例であって、電圧入力部および電流入力部(いずれも図示せず)を備え、上記の電流クランプや電圧プローブ等を介して両入力部に入力された入力信号Siについての電流値や電圧値(本発明における電気的パラメータの一例:以下、これらを総称して「測定値」ともいう)をA/D変換して測定データD1を出力する。操作部3は、測定データ記録装置1の動作条件を設定操作するための操作スイッチや、測定データ記録装置1による測定データの記録処理を開始/停止させるための操作スイッチ等の各種操作スイッチが配列され、スイッチ操作に応じた操作信号を制御部9に出力する。
表示部4は、制御部9の制御に従い、後述するように本発明における記録条件を設定するためのイベント設定画面10(図2参照)や、発生したイベントをリスト表示するイベントリスト表示画面(図示せず)等を表示する。タイマ5は、制御部9の制御に従って計時処理を開始してタイマ信号Stを制御部9に出力する。記憶部6は、本発明における第1および第2の記録条件や、本発明における第1から第4の設定時間、第1から第4の設定回数、および第1から第4の変更量に相当する各種条件が記録された条件データD0、および制御部9の動作プログラムや演算結果などを記憶する。この場合、制御部9の動作プログラムについては、専用の記憶部に記憶させる構成を採用することもできる。また、記憶部7は、制御部9の制御に従い、制御部9から順次出力される測定データD2をリングバッファ形式(一例として、FIFO)で記憶する。データ記録部8は、本発明における記録部に相当し、一例として、不揮発性メモリで構成されている。なお、本発明における記録部は、不揮発性メモリに限定されず、揮発性のメモリやハードディスクドライブ等の各種記録メディアを採用することができる。また、本発明における記録部は、測定データ記録装置1に内蔵の記録メディアに限定されず、メモリーカードや光ディスクなどの各種リムーバブルメディアがこれに含まれる。
制御部9は、本発明における制御部の一例であって、測定データ記録装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部9は、測定部2を制御して入力信号Siについての測定処理を実行させて測定データD1を出力させると共に、測定データD1に基づいて測定データD2を生成して記憶部7に記憶させる。また、制御部9は、後述するようにして、図3に示す測定データ記録処理20を実行して、条件データD0によって特定される記録条件を満たす測定データD2を記憶部7から読み出してデータ記録部8に記録させる。さらに、制御部9は、後述するように、上記の測定データ記録処理20において、イベントの発生回数(本発明における「記録条件」を満たす測定データD1の測定部2からの出力回数)が設定回数を超えたとき、および設定回数を下まわったときに、イベント発生の有無を判別するための閾値(本発明における「上限値」または「下限値」:上記の条件データD0)を予め設定された変更条件に従って変更する。
次に、測定データ記録装置1の使用方法について、添付図面を参照して説明する。
この測定データ記録装置1では、出願人が開示している従来の電源監視レコーダのように記録処理に先立って設定した記録条件(例えば、「線間電圧の実効値が所定の基準電圧を下まわった」との条件)だけに基づいて測定データD2をデータ記録部8に記録させる通常記録モードと、イベントの発生回数(記録条件を満たす測定データD1の測定部2からの出力回数)に応じて記録条件を自動的に変更し、変更後の記録条件に基づいて測定データD2をデータ記録部8に記録させる条件自動変更記録モードとのいずれかの記録モードで測定データD2を記録することができるように構成されている。この場合、条件自動変更記録モードで測定データD2の記録処理を実行するときには、記録処理の開始に先立ち、記録条件を変更する変更条件を設定する。具体的には、まず、操作部3の操作スイッチを操作して、図2に示すイベント設定画面10を表示部4に表示させる。このイベント設定画面10は、一例として、記録モード表示部11、記録条件表示部12,13、OKボタン14aおよびキャンセルボタン14bなどで構成されている。
記録モード表示部11は、測定データ記録装置1が上記の通常記録モードおよび条件自動変更記録モードのいずれの記録モードで動作するように設定されているかを表示する。この場合、同図では、測定データ記録装置1が条件自動変更記録モードで動作するように設定されて記録モード表示部11に「ON」と表示されている状態を図示している。記録条件表示部12は、「電圧実効値上限」との記録条件(「電圧の実効値が設定された電圧値を超えた」との記録条件:本発明における「第2の記録条件」の一例)についての設定事項を表示する。この場合、同図では、電圧実効値の上限値として「110.000V」との電圧値が設定されると共に、この記録条件に基づく記録処理を実行しないように設定されて「OFF」と表示されている状態を図示している。記録条件表示部13は、「電圧実効値下限」との記録条件(「電圧の実効値が設定された電圧値を下まわった」との記録条件:本発明における「第1の記録条件」の一例)についての設定事項を表示する。この場合、同図では、電圧実効値の下限値として「090.000V」との電圧値が設定されると共に、この記録条件に基づく記録処理を実行するように設定されて「ON」と表示されている状態を図示している。
また、記録条件表示部12の下には、記録条件表示部12に表示されている記録条件を変更する条件を表示する変更条件表示部12aが表示され、記録条件表示部13の下には、記録条件表示部13に表示されている記録条件を変更する条件を表示する変更条件表示部13aが表示されている。具体的には、変更条件表示部12a,13aは、対応する記録条件を満たす測定データD1の測定部2からの出力回数(イベント数)をカウントする時間についての設定を表示する領域(同図において最上段の領域)、対応する記録条件の設定値を変更するイベント数の上限値についての設定を表示する領域(同図において上から2番目の領域)、イベント数が上記の上限値を超えたときに対応する記録条件の設定値を変更する変更ステップについての設定を表示する領域(同図において上から3番目の領域)、対応する記録条件の設定値を変更するイベント数の下限値についての設定を表示する領域(同図において上から4番目の領域)、およびイベント数が上記の下限値を下まわったときに対応する記録条件の設定値を変更する変更ステップについての設定を表示する領域(同図において最下段の領域)の5つの表示領域で構成されている。
この場合、同図の変更条件表示部12aは、「設定された上限値を超える測定データD1が出力された」とのイベントの発生回数が「60秒(本発明における「第2の設定時間」の一例)」の間に「100回(本発明における「第2の設定回数」の一例)」を超えて発生したときに、電圧実効値の上限値に関する設定を「5.000V(本発明における「第2の変更量」の一例)」だけ高い値に設定すると共に、上記のイベントの発生回数が「60秒」の間に「10回(本発明における「第4の設定回数」の一例)」を下まわったときに、電圧実効値の上限値に関する設定を「3.000V(本発明における「第4の変更量」の一例)」だけ低い値に設定するとの変更条件が設定されている状態を図示している。また、同図の変更条件表示部13aは、「設定された下限値を下まわる測定データD1が出力された」とのイベントの発生回数が「60秒(本発明における「第1の設定時間」の一例)」の間に「100回(本発明における「第1の設定回数」の一例)」を超えて発生したときに、電圧実効値の下限値に関する設定を「5.000V(本発明における「第1の変更量」の一例)」だけ低い値に設定すると共に、上記のイベントの発生回数が「60秒」の間に「10回(本発明における「第3の設定回数」の一例)」を下まわったときに、電圧実効値の下限値に関する設定を「3.000V(本発明における「第3の変更量」の一例)」だけ高い値に設定するとの変更条件が設定されている状態を図示している。
次いで、操作部3の操作スイッチを操作して、記録条件表示部12,13および変更条件表示部12a,13aの各設定値を所望の設定値に変更した後に、OKボタン14aを操作する。この場合、本発明における下限値、上限値、各設定時間、各設定回数および各変更量(上記の記録条件表示部12,13や変更条件表示部12a,13aに表示されている設定値)については、任意に設定することができるが、一例として、図2に示す設定値のままOKボタン14aが操作されたものとする。この際に、制御部9は、イベント設定画面10に表示させている各設定値に基づいて条件データD0を生成し、生成した条件データD0を記憶部6に記憶させる。続いて、図示しない設定画面を表示部4に表示させた状態において、一例として、記録処理を継続する時間についての設定を行う。この際には、一例として、記録開始のスイッチ操作が行われてから7日間に亘って記録処理を継続して実行するように設定する。これにより、測定データ記録装置1による測定データD2の記録処理に関する設定作業が完了する。
なお、実際の測定データ記録装置1では、記録条件表示部12,13に表示されている両記録条件の他にも各種の記録条件を設定して測定データD2を記録させることができるように構成されているが、本発明についての理解を容易とするために、上記の2つの記録条件について説明し、他の記録条件に関する設定方法や測定データD2の記録処理に関する説明を省略する。また、本発明についての理解を容易とするために、上記の設定作業時において、イベント設定画面10の記録条件表示部12に表示されている記録条件に基づく記録処理を実行せずに、記録条件表示部13に表示されている記録条件に基づく記録処理だけを実行するように設定した例について説明したが、設定作業時に、例えば、記録条件表示部12,13の双方を実行するように設定することで、以下に説明する記録処理時において、両記録条件のいずれかを満たすときに測定データD2を記録させることもできる。
一方、操作部3に対するスイッチ操作によって記録処理の開始を指示されたときには、制御部9は、図3に示す測定データ記録処理20を開始する。この測定データ記録処理20では、制御部9は、まず、測定部2を制御して入力信号Siについての測定処理(測定データD1の生成および出力)を開始させると共に、タイマ5を制御して計時を開始させる(ステップ21)。これに応じて、測定部2は、入力信号Siについての電気的パラメータ(この例では、線間電圧)を測定して(所定のサンプリング周期でサンプリングして)測定データD1を生成し、生成した測定データD1を制御部9に順次出力する。また、タイマ5は、タイマ信号Stを一定周期で制御部9に出力する。一方、制御部9は、タイマ5からのタイマ信号Stに基づいて、イベント設定画面10を終了する条件(処理終了条件:この例では、「開始から7日間が経過した」との条件)を満たしていないと判別し(ステップ22)、測定部2から出力された測定データD1に基づいて測定部2による測定処理の測定値(この例では、電圧値)を取得すると共に(ステップ23)、取得した測定値を測定データD2として記憶部7に順次記憶させる。
次いで、制御部9は、取得した測定値(電圧値)が記憶部6に記憶されている条件データD0の記録条件を満たしているか否かを判別する(ステップ24)。この際に、取得した測定値(電圧値)が「100V」のときには、制御部9は、記録条件を満たしていないと判別し、この時点においては、処理終了条件が満たされていないため(ステップ22)、測定部2から出力された次の測定データD1に基づいて測定値(電圧値)を取得して(ステップ23)、取得した測定値を測定データD2として記憶部7に記憶させる。以後、制御部9は、処理終了条件を満たしたか否かの判別(ステップ22)、測定データD1に基づく測定値(電圧値)の取得(ステップ23)、および取得した測定値(電圧値)が記録条件を満たしているか否かの判別(ステップ24)を繰り返して実行する。また、例えば「89V」との測定値(電圧値)を取得したときには、制御部9は、記録条件(「90Vを下まわる」との記録条件)を満たしたと判別し(ステップ24)、その測定値に対応する測定データD2を記憶部7から読み出してデータ記録部8に記録させる(ステップ25)。この際に、制御部9は、記録条件を満たした測定値の測定データD2だけでなく、記録条件を満たした測定値の測定データD2よりも先に記憶部7に記憶させている所定時間分の測定データD2(所定数の測定データD2)を記憶部7から読み出してデータ記録部8に記録させる。
続いて、制御部9は、設定値を下まわる電圧降下が生じた旨をその発生時刻と共に報知する表示を図示しないイベントリストに追記して表示部4に表示させると共に(ステップ26)、タイマ5からのタイマ信号Stに基づき、イベント数をカウントする時間(設定時間:この例では、60秒)が経過したか否かを判別する(ステップ27)。この際に、タイマ5による計時の開始時点、または、以下に説明するカウンタのリセット実行時点から設定時間(60秒)が経過しているときには、制御部9は、後述するようにイベント数をカウントするカウンタの値をリセットする(ステップ28)。一方、タイマ5による計時の開始時点、または、カウンタのリセット実行時点から設定時間(60秒)が経過していないときには(ステップ27)、制御部9は、イベント数(この例では、「設定値を下まわる電圧値の測定データD1が出力された」との条件が満たされた回数)のカウントを1つカウントアップする(ステップ29)。次いで、制御部9は、カウンタの値(イベント数のカウント値)が設定範囲内か否かを判別する(ステップ30)。
具体的には、この例では、前述したように、測定データ記録処理20の開始に先立って、「90Vを下まわる測定データD1が出力された」とのイベントの発生回数が「60秒」の間に「100回」を超えて発生したときに、電圧実効値の下限値に関する設定を「5V」だけ低い値に設定すると共に、上記のイベントの発生回数が「60秒」の間に「10回」を下まわったときに、電圧実効値の下限値に関する設定を「3V」だけ高い値に設定するとの条件が設定されて条件データD0として記憶部6に記憶されている。したがって、制御部9は、60秒の間に発生したイベント数が10回以上100回以下の範囲内(設定範囲内)のときには(ステップ30)、記録条件を変更することなく、測定データ記録処理20の終了条件が満たされたか否かの判別(ステップ22)に戻り、測定値(電圧値)を取得して測定データD2として記憶部7に記憶させる処理(ステップ23)、および測定値(電圧値)が記録条件を満たしているか否かの判別処理(ステップ24)等を実行する。
一方、90Vを下まわる電圧降下が頻繁に発生して例えば89V程度の測定値の測定データD1が測定部2から頻繁に出力され、これに起因して、イベント数のカウント値が60秒間当り100回を超えたときには(ステップ30)、制御部9は、条件データD0として記憶部6に記憶されている変更条件に従って、記録条件を変更する(ステップ31)。具体的には、例えば、60秒間当りのイベント数(90Vを下まわる電圧降下の発生数)が200回であったときには、制御部9は、記録条件の設定値(この例では下限値)を変更するイベント数の上限値を超えたと判別し(ステップ30)、その時点において設定されている設定値(下限値:この例では、「90V」)を予め設定されている変更量だけ低い値(この例では、「5V」)だけ低い「85V」)に変更して(ステップ31)、変更後の設定値を条件データD0として記憶部6に記憶させる。
この後、制御部9は、測定データ記録処理20の終了条件が満たされたか否かの判別(ステップ22)に戻り、測定値(電圧値)を取得して測定データD2として記憶部7に記憶させる処理(ステップ23)、および測定値(電圧値)が記録条件を満たしているか否かの判別処理(ステップ24)を実行する。この際に、記録条件を変更した後の処理においては、85Vを下まわる測定データD1が出力されたときに、対応する測定データD2がデータ記録部8に記録されることとなる。したがって、電圧降下が頻繁に発生して89V程度の測定値の測定データD1が測定部2から頻繁に出力されとしても、データ記録部8内にこれらの測定データD1に対応する測定データD2が次々と記録されることがないため、データ記録部8の記録可能容量が短時間で過剰に減少する事態が回避される。
また、例えば91V程度の測定値の測定データD1が測定部2から頻繁に出力されていたとしても、90Vを下まわる電圧降下が殆ど発生しないときには、イベント数のカウント値が少数となる。この際に、イベント数のカウント値が60秒間当り10回を下まわったときには(ステップ30)、制御部9は、条件データD0として記憶部6に記憶されている変更条件に従って、記録条件を変更する(ステップ31)。具体的には、例えば、60秒間当りのイベント数(90Vを下まわる電圧降下の発生数)が5回であったときには、制御部9は、記録条件の設定値(この例では下限値)を変更するイベント数の下限値を下まわったと判別し(ステップ30)、その時点において設定されている設定値(下限値:この例では、「90V」)を予め設定されている変更量だけ高い値(この例では、「3V」だけ高い「93V」)に変更して(ステップ31)、変更後の設定値を条件データD0として記憶部6に記憶させる。
この後、制御部9は、測定データ記録処理20の終了条件が満たされたか否かの判別(ステップ22)に戻り、測定値(電圧値)を取得して測定データD2として記憶部7に記憶させる処理(ステップ23)、および測定値(電圧値)が記録条件を満たしているか否かの判別処理(ステップ24)を実行する。この際に、記録条件を変更した後の処理においては、93Vを下まわる測定データD1が出力されたときに、対応する測定データD2がデータ記録部8に記録されることとなる。したがって、91V程度までの電圧降下が頻繁に発生している状態において、対応する測定データD2が記録されることなく破棄される(記憶部7において新たに記録される測定データD2が上書きされる)事態が回避される。この後、制御部9は、処理終了条件を満たしたときに(この例では、開始から7日間が経過した時点:ステップ22)、この測定データ記録処理20を終了する。
なお、上記の例では、イベント設定画面10において記録条件表示部13に表示されている記録条件に基づく記録処理だけを実行しているが、この測定データ記録装置1では、前述したように、記録条件表示部13に表示されている記録条件だけでなく、記録条件表示部12に表示されている記録条件に基づく記録処理を並行して実行したり、記録条件表示部12表示されている記録条件に基づく記録処理だけを実行したりすることができる。この場合、この測定データ記録装置1では、複数の記録条件(この例では、記録条件表示部12,13に表示されている2つの記録条件)に基づいて測定データD2を記録する記録処理を並行して実行するように設定した状態においては、上記の測定データ記録処理20におけるステップ22以降の各処理が、設定された記録条件毎に並行して実行される。したがって、2つ記録条件について個別的にイベント数がカウントされ、変更条件を満たすイベント数が発生したと判別されたときには(ステップ30)、その記録条件についての設定値が予め規定された条件に従って変更される(ステップ31)。この際に、記録条件表示部12に表示されている記録条件については、変更条件表示部12aに表示されている変更条件に従って設定値(この例では、上限値)が変更される。
このように、この測定データ記録装置1では、「測定部2の測定値(この例では、電圧)が予め設定された下限値(一例として、90V)を下まわった」との第1の記録条件が設定されている状態において第1の記録条件を満たす測定データD1の測定部2からの出力回数(上記記録条件のイベントの発生回数)が第1の設定時間(この例では、60秒)内に第1の設定回数(この例では、100回)を超えたときに、予め設定された第1の変更量(この例では、5V)だけ低い値となるように下限値を変更すると共に、「測定部2の測定値(この例では、電圧)が予め設定された上限値(一例として、110V)を超えた」との第2の記録条件が設定されている状態において第2の記録条件を満たす測定データD1の測定部2からの出力回数(上記記録条件のイベントの発生回数)が第2の設定時間(この例では、60秒)内に第2の設定回数(この例では、100回)を超えたときに、予め設定された第2の変更量(この例では、5V)だけ高い値となるように上限値を変更する。
したがって、この測定データ記録装置1によれば、操作に不慣れなオペレータが設定を誤って定常時の電圧値と同程度の電圧値を下限値や上限値として設定してしまった場合(記録条件を満たす状態となる頻度が過剰に多い設定を行った場合)であっても、データ記録部8内に必要以上に数多くの測定データD2が記録されてデータ記録部8の記録可能容量が短期間で不足する状態となる事態を回避することができるだけでなく、データ記録部8の記録可能容量と、1つの測定データD2のデータサイズとに基づいて変更条件(設定時間、設定回数および変更量)を予め設定しておくことで、記録処理の開始時点に設定した下限値よりも低い新たな下限値や、記録処理の開始時点に設定した上限値よりも高い新たな上限値が自動的に設定されるため、測定データD2を所望の期間に亘って継続して記録し続けることができる。
また、この測定データ記録装置1では、上記の第1の記録条件が設定されている状態において第1の記録条件を満たす測定データD1の測定部2からの出力回数(イベントの発生回数)が第1の設定時間(この例では、60秒)内に第3の設定回数(この例では、10回)を下まわったときに、予め設定された第3の変更量(この例では、3V)だけ高い値となるように下限値を変更すると共に、上記の第2の記録条件が設定されている状態において第2の記録条件を満たす測定データD1の測定部2からの出力回数(イベントの発生回数)が第2の設定時間(この例では、60秒)内に第4の設定回数(この例では、10回)を下まわったときに、予め設定された第4の変更量(この例では、3V)だけ低い値となるように上限値を変更する。
したがって、この測定データ記録装置1によれば、操作に不慣れなオペレータが設定を誤って過剰に低い電圧値を下限値として設定してしまったり、過剰に高い電圧値を上限値として設定してしまったりした場合(記録条件を満たす状態となる頻度が過剰に少ない設定を行った場合)であっても、データ記録部8の記録可能容量と、1つの測定データD2のデータサイズとに基づいて変更条件(設定時間、設定回数および変更量)を予め設定しておくことで、記録処理の開始時点に設定した下限値よりも高い新たな下限値や、記録処理の開始時点に設定した上限値よりも低い新たな下限値が自動的に設定されるため、十分な量(数)の測定データD2を所望の期間に亘って継続して記録し続けることができる。
なお、本発明は、上記の構成に限定されない。例えば、本発明における第1の記録条件が設定されている状態において、第1の記録条件を満たす測定データD1の出力回数(イベント数)が第1の設定時間内に第1の設定回数を超えたときに第1の変更量だけ低い値となるように下限値を変更すると共に、第1の記録条件を満たす測定データD1の出力回数が第1の設定時間内に第3の設定回数を下まわったときに第3の変更量だけ高い値となるように下限値を変更する例について説明したが、本発明に係る測定データ記録装置の構成はこれに限定されない。具体定には、第1の記録条件を満たす測定データD1の出力回数が第1の設定時間内に第1の設定回数を超えたときに第1の変更量だけ低い値となるように下限値を変更するだけで、第3の変更量だけ高い値となるように下限値を変更する処理については実行しない構成や、第2の記録条件を満たす測定データD1の出力回数が第2の設定時間内に第2の設定回数を超えたときに第2の変更量だけ高い値となるように上限値を変更するだけで、第4の変更量だけ低い値となるように上限値を変更する処理については実行しない構成を採用することもできる。
このような構成を採用した場合においても、上記の測定データ記録装置1と同様にして、操作に不慣れなオペレータが設定を誤って定常時の電圧値と同程度の電圧値を下限値や上限値として設定してしまった場合(記録条件を満たす状態となる頻度が過剰に多い設定を行った場合)であっても、データ記録部8内に必要以上に数多くの測定データD2が記録されてデータ記録部8の記録可能容量が短期間で不足する状態となる事態を回避することができるだけでなく、データ記録部8の記録可能容量と、1つの測定データD2のデータサイズとに基づいて変更条件(設定時間、設定回数および変更量)を予め設定しておくことで、記録処理の開始時点に設定した下限値よりも低い新たな下限値や、記録処理の開始時点に設定した上限値よりも高い新たな上限値が自動的に設定されるため、測定データD2を所望の期間に亘って継続して記録し続けることができる。
また、本発明における「設定回数」や「変更量」を段階的に設定し、イベントの発生状況に応じて、異なる変更量で設定値を変更する構成を採用することもできる。具体的には、一例として、「設定された下限値(90V)を下まわる測定データD1が出力された」との記録条件が設定されている状態において、そのような記録条件を満たすイベントの発生回数が「60秒」の間に「300回(本発明における「互いに異なる回数の第1の設定回数」の一例)」を超えて発生したときに、電圧実効値の下限値に関する設定を「6V(本発明における「互いに異なる変更量の第1の変更量」の一例)」だけ低い値に設定すると共に、イベントの発生回数が「60秒」の間に「150回(本発明における「互いに異なる回数の第1の設定回数」の他の一例)」を超えて発生したときに、電圧実効値の下限値に関する設定を「3V(本発明における「互いに異なる変更量の第1の変更量」の他の一例)」だけ低い値に設定するとの処理を実行する構成を採用することができる。
同様にして、例えば、「設定された上限値(110V)を超える測定データD1が出力された」との記録条件が設定されている状態において、そのような記録条件を満たすイベントの発生回数が「60秒」の間に「300回(本発明における「互いに異なる回数の第2の設定回数」の一例)」を超えて発生したときに、電圧実効値の上限値に関する設定を「6V(本発明における「互いに異なる変更量の第2の変更量」の一例)」だけ高い値に設定すると共に、イベントの発生回数が「60秒」の間に「150回(本発明における「互いに異なる回数の第2の設定回数」の他の一例)」を超えて発生したときに、電圧実効値の上限値に関する設定を「3V(本発明における「互いに異なる変更量の第2の変更量」の他の一例)」だけ高い値に設定するとの処理を実行する構成を採用することができる。このように、イベントの発生状況に応じて、異なる変更量で設定値を変更する構成を採用することにより、記録条件の設定が変更される都度、データ記録部8に記録される測定データD2の数が極端に減少したり、データ記録部8に記録される測定データD2の数が多数の状態が維持されたりする事態を回避することができる。
また、上記のイベントの発生回数が「60秒」の間に「15回(本発明における「互いに異なる回数の第3の設定回数」の一例)」を下まわったときに、電圧実効値の下限値に関する設定を「2V(本発明における「互いに異なる変更量の第3の変更量」の一例)」だけ高い値に設定すると共に、イベントの発生回数が「60秒」の間に「5回(本発明における「互いに異なる回数の第3の設定回数」の他の一例)」を下まわったときに、電圧実効値の下限値に関する設定を「4V(本発明における「互いに異なる変更量の第3の変更量」の他の一例)」だけ高い値に設定するとの処理を実行する構成を採用することができる。同様にして、上記のイベントの発生回数が「60秒」の間に「15回(本発明における「互いに異なる回数の第4の設定回数」の一例)」を下まわったときに、電圧実効値の上限値に関する設定を「2V(本発明における「互いに異なる変更量の第4の変更量」の一例)」だけ低い値に設定すると共に、イベントの発生回数が「60秒」の間に「5回(本発明における「互いに異なる回数の第4の設定回数」の他の一例)」を下まわったときに、電圧実効値の上限値に関する設定を「4V(本発明における「互いに異なる変更量の第4の変更量」の他の一例)」だけ低い値に設定するとの処理を実行する構成を採用することができる。このように、イベントの発生状況に応じて、異なる変更量で設定値を変更する構成を採用することにより、記録条件の設定が変更される都度、データ記録部8に記録される測定データD2の数が極端に増加したり、データ記録部8に記録される測定データD2の数が少数の状態が維持されたりする事態を回避することができる。