JP5475937B2 - 生物活性ペプチド - Google Patents

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Description

本発明は、生物活性ペプチド、特にその細胞毒活性を高めるために変更されたペプチドに関する。
多くの種類の生物体がそれらの宿主防御メカニズムの部分としてペプチドを使用し、脊椎動物ではこれは非常に特殊な細胞−介在免疫系を捕足する[Mor. A., Hanoi, K.及びNicolas, P.(1994) J. Biol. Chem. 269, 31635-31641. Boman, H.G.(1996) Scand. J. Immunol. 43, 475-482]。抗微生物性ペプチドは種々のバクテリア及び哺乳動物の種から分離されている[Lehrer, R.I., Lichtenstein, A.K.及びGanz, T.(1993) Ann. Rev. Immunol. 11, 105-128]。一般的に、これらの抗微生物性ペプチドは純粋に陽性の電荷をもち、バクテリアの細胞膜中の燐脂質の外部両層と相互作用して両親媒性のα−フェリックスまたはβ−シート構造を形成する傾向がある。[Besalle, R., Gorea, A., Shalit, J., Metger, J.W., Dass, C., Desiderio, D.M. 及び Fridkin, M.(1993) J. Med. Chem. 36, 1203-1209]。L(溶菌性)類ペプチドとして分類されるいくつかのペプチドはバクテリアの細胞膜と相互作用して多分イオン−チャンネルまたは孔を形成し、浸透性の変化を起しその結果細胞溶菌性の変化に導くと信じられているけれども、多くの場合、抗微生物活性の詳しい分子メカニズムはまだ知られていない [Ludtke, S.J., He, K. Heller, W. T., Harroun, T. A., Yang, L. 及びHuang, H.W. (1996) Biochemistry 35 13723-13728]。
マゲニン(Magainins)は蛙(Xenopus laeris)の皮膚からの抗バクテリアペプチドでL類抗微生物剤として分類される。何故ならこれらはバクテリアを特異的に溶解するからである。他のペプチド、例えば蜂毒であるマストロパラン(mastroparans)は真核細胞も原核細胞も溶解するのでこの特異性を欠如しておりL類毒素と呼ばれている。(Tyler, E.M., Anantharamaiah, G.M., Walker, D.E., Mishra, V.K., Palgunachari, M.N. 及び Segrest, J.P.(1995) Biochemistry 34 4393-4401] ある種の病原性微生物により示される抗生物質抵抗性は問題を増大させ常に新しい抗生物質を必要とする。高い細胞毒性及び好ましくは原核細胞に特異の毒性をもつペプチドを見出すことを目的として抗細菌性ペプチド、例えばL類ペプチドが知られ、更に多く発見されている。真核生物と原核生物との間には脂質の二層の構造と組成に相違があり原核生物それ自身の間でも相違しており、これは異なるペプチドは広く相違する特異性をもつであろうということを意味する。
マゲニン及びマストロパランと同様に蛾やハエ(cecropins)及びかぶとがにから宿主防御ペプチドが分離された。食肉動物を追い払うこれらの宿主防御ペプチドの直接作用、例えば毒素としての作用は明らかである。抗細菌性効果を示すペプチドのための研究は、細胞毒性をもつことが期待されない他の蛋白質/ペプチドの同定を先導することになった。これらのうちの1つは、弱い抗細菌効果も示す鉄の運搬者であるラクトフェリンである。
新しい抗細菌性ペプチドの探求と同様に、最近では公知の抗菌性をもつ蛋白質またはペプチドの活性を増大させることも研究されている。これは、牛のラクトフェリンの場合に、本来の蛋白質を胃液ペプシンで消化して、ラクトフェリシンB(LFB)ペプチドを作り、これが本来の牛のラクトフェリンよりもずっと大きい活性を示すというケースにおいて試された。LFBは、牛のラクトフェリンの残基17−41に対応するペプチド残基25である。[Bellamy et al, (1992) Biochem, Biophys. Acta 1121 pp 130 以下)。マゲニンについて構造−活性の研究が行われ、例えば、らせん構造の増大及びカチオン電荷の増大がより高い抗菌活性を導くことが示された。[Chen, Y.H., Brown, J.H., Morell, J.L. 及びHuang, C.M.(1988) FEBS Letters 236, 462-466]。しかしながら、そのような配列の変更はしばしば高い溶血活性を引き起こす結果となる。従って、本発明の目的は、有意の抗菌活性を有するが好ましくは低い毒性、即ち正常な真核細胞にはほとんど作用しない、例えば低い溶血性をもつペプチド及び/又はペプチド誘導体を製造することである。赤血球は典型的な真核細胞ではないが、それは毒性のための分析の便利な方法を提供し、如何なる場合にも治療用の生物活性ペプチドによって有意な範囲まで溶解されてはならないタイプの細胞である。
ペプチドの嵩高さまたは親油性を増大させることによりその生物活性特にその細胞毒性を増加させることができることが見出された.好ましくは1個またはそれ以上のアミノ酸残基の嵩高さ及び親油性を増加させる。
本発明によれば、3個またはそれ以上のカチオン性残基をもつ7ないし25量体細胞毒性ペプチドであって、任意に両親媒性α−ヘリックスを形成することができ、1個以上の非遺伝性の嵩高い及び/又は親油性アミノ酸を持つか、または公知のまたは天然の細胞毒性ペプチドの少なくとも40%の配列同族体をもち更に1個またはそれ以上の嵩高い及び/又は親油性アミノ酸を有するペプチド、及びそのエステル、アミド、塩及び環状誘導体を提供する。
この同族体%は,好ましくは50または60%以上、特に70または80%以上である。本発明の目的のためには、“配列同族体”という語は配列が同一であるとして使用されておらず、同じアミノ酸が存在するかまたは同じ官能基からのアミノ酸が存在するという意味である。標準遺伝子コードのアミノ酸はその特性、特に極性及び電荷に従ってグループ別けすることができる。グループ分けは、便利には、グリシンとアラニン、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミンとシステイン、リジン、アルギニンとヒスチジン、アスパラギン酸とグルタミン酸、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンとチロシンである。20の標準(遺伝性)アミノ酸のうち、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、チロシン、トリプトファン及びフェニルアラニンは“嵩高い及び/又は親油性”アミノ酸という言葉でカバーされる予定である。イソロイシン、トリプトファン及びフェニルアラニンが好ましい。この明細書全体にわたって20の標準アミノ酸のために広く使用され理解されている3文字及び1文字コードを使用した。1つのグループのアミノ酸を同じグループの他のアミノ酸で置換することは便宜的に“保守的置換”とした。そのような置換は一般に本発明のペプチドの性質には実質的に影響せずそしてそのような置換によってのみ他のものからペプチドが異なる場合は、もし1つのペプチドが本発明によるペプチドであるならば、典型的にはその別のペプチドもまた本発明によるペプチドである。
本発明の好ましい実施態様によれば、3個またはそれ以上のカチオン性残基を有する7ないし25量体細胞毒性ペプチドであって、任意に両親媒性α−ヘリックスを形成することができそして1個またはそれ以上の非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸を有するペプチド、及びそのエステル、アミド、塩及びその環状誘導体を提供する。
非遺伝性の嵩高くて親油性アミノ酸を挿入するペプチドは好ましくはバクテリアまたは腫瘍細胞に対して増大した細胞毒性効果を示し、他方ペプチドの毒性、例えばその溶血活性は減少されるか、または天然の、またはもとのペプチドに比較してほんの少しだけ増加しているものである。
驚くべきことに、ある大きさのアミノ酸またはその誘導体が細胞毒性ペプチドとして使用するのに特に適する変更されたペプチドを与えるために使用することができることが見出された。このように、本発明によれば“非遺伝性の嵩高いそして親油性アミノ酸”という語によって、自然に存在するが20の標準遺伝子コードアミノ酸のうちの1つではなく、そのR基(α−側鎖)が好ましくは荷電されておらずそして少なくとも7,好ましくは8、より好ましくは9個の水素ではない原子を有するアミノ酸又はアミノ酸誘導体を意味する。特に好ましい非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸はそのR基に少なくとも12、好ましくは少なくとも18個の水素でない原子を有する。例としてアミノ酸フェニルアラニンのR基は7個の非水素原子を有するが、それは遺伝子コードのもの、または“標準の”アミノ酸の1つであるので“非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸”という我々の定義内には入らない。“非水素”という語は分子または基の中に存在する原子数を数える時に水素原子は含まれないことを示すために使用されている。
非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸におけるR基は好ましくは少なくとも8または9個の非水素原子、例えば炭素原子を有し、理想的には閉環系を含む。より好ましくは、5または6個の原子の少なくとも2つの閉環系を有し、これらの2つの環が縮合しているか橋かけしているのが便利である。この基は1個だけの環を含んでも良いがこの環は重度に枝わかれしたアルキル基によって置換され、アルキル基は1個以上の枝わかれ部位または非水素原子への4個の結合位をもつ1個の枝わかれ部位をもつものである。環系は炭素原子から作られ、任意に窒素、酸素または硫黄原子をも含む。特に好ましいアミノ酸は置換または非置換インドールを含む。基は好ましくは3次元であるべきである。好ましい非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸は、アダマンチルアラニン、3−ベンゾチエニルアラニン、4,4´−ビフェニルアラニン、3,3−ジフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、2,6−ジクロロベンジルチロシン、シクロヘキシルチロシン、7−ベンジルオキシトリプトファン、トリ−ターシャル−ブチルトリプトファン、ホモトリプトファン、3−(−アントラセニル)−L−アラニン、L−p−イソプロピルフェニルアラニン、L−チロキシン、3,3´,5−トリヨード−L−チロニンである。
親油性分子は、それ自身の種類と水溶液中で会合するもので、親油性分子間の相互作用が、親油性分子と水分子との間の作用よりも強いからという必要はなく親油性分子と水との間の相互作用が水分子自身の間のより強い相互作用を破壊するからである。従って非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸のR基は多くの極性官能基を含むべきではなく、例えば4個より多くなく、好ましくは2またはそれより少ない極性官能基を含むべきである。そのような基は水性の周囲との結合相互作用を増大し、従って分子の親油性を低くするであろう。従って高い親油性基が好ましい。例えば、嵩高い親油性基の要素としてのフェニル基はピリジル基よりも両者が同じ数の非水素原子を有し全体として似たような大きさをもっているにも拘らず、好ましい。
従って、適する嵩高で親油性のアミノ酸残基は、天然に存在する、及び天然に存在しないもので、前記に定義したR基を有するアミノ酸であって、例えばアダマンチルアラニンまたは遺伝子コードされたアミノ酸でそのR基が前記定義したような非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸を与えるように変更されたものを含むアミノ酸である。
この第2のカテゴリーに入る非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸は変更トリプトファン及びフェニルアラニン残基を含み、特にインドール環の1−、2−、5−及び/又は7−位で置換されたトリプトファン残基が好ましく、1−または2−の位置がより好ましい。嵩高で親油性を有する種々の他のアミノ酸誘導体が当業者に知られており、“非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸”の語の内に含まれようとしている。
適するアミノ酸はチロキシン及び下記の市販されているアミノ酸及びその誘導体を含む。
L−3−ベンゾチエニルアラニン、CAS=72120-71-9(Synthetech)、D−3−ベンゾチエニルアラニン、CAS=111139-55-0(Synthetech)、L−4,4’−ビフェニルアラニン、(Synthetech)、D−4,4’−ビフェニルアラニン、(Synthetech)、L−4−ブロモフェニルアラニン、CAS=24250-84-8(Synthetech)、D−4−ブロモフェニルアラニン、CAS=62561-74-4(Synthetech)、L−2−クロロフェニルアラニン、CAS=103616-89-3(Synthetech)、D−2−クロロフェニルアラニン、CAS=80126-50-7(Synthetech)、L−3−クロロフェニルアラニン、CAS=80126-51-8(Synthetech)、D−3−クロロフェニルアラニン、CAS=80126-52-9(Synthetech)、L−4−クロロフェニルアラニン、CAS=14173-39-8(Synthetech)、D−4−クロロフェニルアラニン、CAS=14091-08-8(Synthetech)、L−3−シアノフェニルアラニン、CAS=57213-48-6(Synthetech)、D−3−シアノフェニルアラニン(Synthetech)、L−4−シアノフェニルアラニン(Synthetech)、D−4−シアノフェニルアラニン(Synthetech)、L−3,4−ジクロロフェニルアラニン、CAS=52794-99-7(Synthetech)、D−3,4−ジクロロフェニルアラニン、CAS=52794-98-6(Synthetech)、L−3,3−ジフェニルアラニン(Synthetech)、D−3,3−ジフェニルアラニン(Synthetech)、L−ホモフェニルアラニン、CAS=943-73-7(Synthetech)、D−ホモフェニルアラニン、CAS=82795-51-5(Synthetech)、L−2−インダニルグリシン(Synthetech)、D−2−インダニルグリシン(Synthetech)、L−4−ヨードフェニルアラニン、CAS=24250-85-9(Synthetech)、D−4−ヨードフェニルアラニン、CAS=62561-75-5(Synthetech)、L−1−ナフチルアラニン、CAS=55516-54-6(Synthetech)、D−1−ナフチルアラニン、CAS=78306-92-0(Synthetech)、L−2−ナフチルアラニン、CAS=58438-03-2(Synthetech)、D−2−ナフチルアラニン、CAS=76985-09-6(Synthetech)、L−3−トリフルオロメチルフェニルアラニン、CAS=14464-68-7(Synthetech)、D−3−トリフルオロメチルフェニルアラニン(Synthetech)、L−4−トリフルオロメチルフェニルアラニン、CAS=114926-38-4(Synthetech)、D−4−トリフルオロメチルフェニルアラニン、CAS=114872-99-0(Synthetech)、Boc−D−ホモフェニルアラニン(Neosystem Laboratoire)、Boc−L−ホモフェニルアラニン(Neosystem Laboratoire)、Fmoc−4−メチル−D−フェニルアラニン(Neosystem Laboratoire)、Fmoc−4−メチル−L−フェニルアラニン(Neosystem Laboratoire)、2,6−ジクロロベンジルチロシン、CAS=40298-71-3(Senn Chemicals)、ベンジルチロシン Fmoc(Senn Chemicals)、シクロヘキシルチロシン Fmoc(Senn Chemicals)、L−3,5ジヨードチロシン、CAS=300-39-0(Senn Chemicals)、D−3,5ジヨードチロシン(Senn Chemicals)、L−3,5ジブロモチロシン(Senn Chemicals)、D−3,5ジブロモチロシン(Senn Chemicals)、L−ターシャルブチルチロシン(Senn Chemicals)、L−ターシャルブチルチロシン(Senn Chemicals)、N−アセチルホモトリプトファン(Toronto Research)、7−ベンジルオキシトリプトファン(Toronto Research)、ホモトリプトファン(Toronto Research)、3−(−アントラセニル)−L−アラニンBoc(又はFmoc)(Peninsula Laboratories)、3−(3,5−ジブロモ−4−クロロフェニル)−L−アラニン(Peninsula Laboratories)、3−(3,5−ジブロモ−4−クロロフェニル)−D−アラニン(Peninsula Laboratories)、3−(2−キノイル)−L−アラニンBoc(又はFmoc)(Peninsula Laboratories)、3−(2−キノイル)−D−アラニンBoc(又はFmoc)(Peninsula Laboratories)、2−インダニル−L−グリシンBoc(Peninsula Laboratories)、2−インダニル−D−グリシンBoc(Peninsula Laboratories)、L−p−ターシャルブトキシフェニルグリシンFmoc(RSP)、L−2−ターシャルブトキシフェニルアラニンFmoc(RSP)、L−3−ターシャルブトキシフェニルアラニンFmoc(RSP)、L−ホモチロシン、O−ターシャルブチルエーテルFmoc(RSP)、L−p−ターシャルブトキシメチルフェニルアラニンFmoc(RSP)、L−p−メチルフェニルアラニンFmoc(RSP)、L−p−エチルフェニルアラニンFmoc(RSP)、L−p−イソプロピルフェニルアラニンFmoc(RSP)、L−p−メトキシフェニルアラニンFmoc(RSP)、L−p(ターシャルブチルチオ)フェニルアラニンFmoc(RSP)、L−p−(Trt−チオメチル)フェニルアラニンFmoc(RSP)、L−p−ヒドロキシメチル−フェニルアラニン、O−t−ブチル(RSP)、L−p−ベンゾイルフェニルアラニン(Advanced Chem Tech)、D−p−ベンゾイル−フェニルアラニン(Advanced Chem Tech)、O−ベンジル−L−ホモセリンBoc(Advanced Chem Tech)、L−β−1−ナフチル−アラニン(Advanced Chem Tech)、D−β−1−ナフチル−アラニン(Advanced Chem Tech)、L−ペンタ−フルオロフェニルアラニンBoc(Advanced Chem Tech)、D−ペンタ−フルオロフェニルアラニンBoc(Advanced Chem Tech)、D−ペンタ−フルオロフェニルアラニンBoc(Advanced Chem Tech)、3,5−ジヨード−L−チロシンFmoc(Boc)(Advanced Chem Tech)、L−チロキシンNa, CAS=6106-07-6(Navabiochem)、3,3’,5−トリヨード−L−チロニンNa, CAS=55-06-1(Navabiochem)
驚くべきことに、R基に結合され、それによって残基の嵩高さと親油性を増大させた時、標準の化学的保護基がペプチドの生物活性を増加できることが見出された。そのような保護基は当業者に公知である。有意に抗バクテリア活性を増大させることのできる適当な保護基はPmc(2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル)、Mtr(4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル)、及びPbf(2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフランスルホニル)を含み、これらは芳香族アミノ酸、例えばPhe、Trp及びTyrの容積と親油性を便利に増大させるであろう。ターシャルブチル基も広い範囲のアミノ酸のための一般的な保護基であり、ここで記載したように特に芳香族基を変更する時、非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸を与えることができる。カルボキシルベンジル基(Z-基)は更にアミノ酸の容積と親油性を増大させるのに使用することができる保護基で、本発明によるペプチドを与える。
増大する生物活性の初期の観察は、ペプチド内でアルギニンのグアニジノ基からトリプトファンへの保護基Pmcの予期せぬ好運な移動の結果として観察されたのであるが保護基をもつTrpのようなアミノ酸は直接合成することができ、そしてペプチドへ挿入することができる。
このArgからTrpへのPmcの移動はStierandova等によって観察された[Int. J. of Peptide Science (1994) 43, 31-38]。本発明によるペプチドはこのArgからTrpへの保護基の移動を利用することによって作ることができる。これらの2つのアミノ酸が1−3個のアミノ酸によって分離される時、Pmcの移動は最も効率的である。本発明によるペプチドはこのように保護基を持つアミノ酸例えばインドール環の2位に結合するPmcをもつTrpを便利に包含する。Pmc基をTrpに結合させ、これを加えてもよいし、またはもとのペプチド中に存在するTrp残基にPmc基を結合させても良い。本発明の好ましい実施態様においてはペプチドが1個またはそれ以上のトリプトファン残基を更に挿入し、その大きさと親油性を更に増加させるためにこれを変更しそのようにして本発明によるペプチドを与える。
本発明の関連において“環状誘導体”とは1個またはそれ以上のジ−スルフィド橋の結果として環状であるペプチドを指す。2個以上のシステイン残基を挿入しているいくつかのペプチドにはこれは天然に存在する形であり、線状ペプチドの製造はシステイン残基の変更を必要とするであろう。
非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸はもとの配列のアミノ酸に加えて存在するであろうし、これはそれ自身で天然に存在するペプチド、またはそのフラグメントまたは天然に存在するペプチドまたはフラグメントに他の変更を加えたもの、または完全に合成したものであり得る。それに代わって、そして好ましくは、非遺伝性の嵩高で親油性のアミノ酸はもとの配列中のアミノ酸の1つの代わりに存在できる。アミノ酸が“加えられる”時、ペプチド中にすべてのもともとのアミノ酸が留まっている。余分のアミノ酸が“置換される”時、それはもとのアミノ酸の1個に置きかわる。然しこの置換は存在する残基の変更を含み、前に定義したような非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸を与える。
非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸は、好ましくは他の、天然に存在する非必須アミノ酸の代わりに存在する。“非必須”という語は全体として細胞毒活性を示すペプチドにとってその存在が必要とされないアミノ酸を意味する。典型的には非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸の挿入前のペプチドはある細胞毒活性を示すがこの活性は非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸の挿入によって増大される。
本発明の好ましい実施態様において非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸はもとのペプチド中に存在する遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸に隣接して存在するか、好ましくはそのアミノ酸の場所に存在する。換言すれば、すでにある嵩高で親油性アミノ酸をもっと嵩高で親油性にするということである。これはもとのアミノ酸のR基の変更によって、またはそのアミノ酸を非遺伝性のアミノ酸で置換することによって達成される。遺伝的にコードされたアミノ酸で嵩高くそして/又は親油性であると考えることのできるアミノ酸は前に定義してある。このように、本発明の好ましい実施態様においてペプチドは非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸を、例えば変更トリプトファン残基(例えばTrp−Pmc)の形で、または例えばトリプトファンまたはフェニルアラニンの位置に例えばトリブチルトリプトファン残基の形で挿入する。
本発明のペプチドは、1ないし5個、例えば2または3個の非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸をここで定義したように挿入するのが好ましい。
細胞毒性を増加するために与えられた細胞毒性ペプチドに非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸を挿入するために適する位置は多くの方法で決めることができる。上記の如く、“挿入”の語は存在している残基の変更をも包含する。その嵩高さと親油性を増加するために、嵩高で親油性アミノ酸により置換または変更することのできる非必須アミノ酸を決定するためにアラニンスキャン(アラニンによるアミノ酸の配列置換を含む)を使用することができる。その代わりとして、両性α−ヘリックスを形成する、予定されたペプチドを残基の“らせん輪転(helical wheel)”として表わすことができ、カチオン性残基を同定することができる。これらのカチオン性残基は3次元のらせんペプチド構造内に陽性に荷電された領域または範囲を形成する。そして非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸を与えるために挿入又は変更に適した位置は、らせん輪転の軸にそって見ていく時、一般にそのようなカチオン性領域に隣接するかまたはそのようなカチオン領域の間である。
嵩高で親油性アミノ酸をもともとの/天然の配列中のその位置からカチオン性の区域に隣接する領域へ移動することにより、従ってそのペプチドの全体としてのアミノ酸組成は不変のままであるのに、抗細菌及び/又は抗腫瘍活性が増大されそして好ましくは毒性が減少されているペプチドを製造できるととさえ見出された。3個またはそれ以上のカチオン性残基をもち両性α−ヘリックスを形成することができ、そのカチオン領域に隣接して余分の嵩高い親油性アミノ酸を有し、この余分の嵩高い親油性アミノ酸は、配列中の好ましくない他の位置からとったものである。そのような7−25量体ペプチドは本発明の更に別の態様を構成する。嵩高い親油性アミノ酸の代わりに、嵩高い親油性アミノ酸を置き換えるカチオン性領域に隣接する所からの残基または他のあまり大きくもなく親油性でもないアミノ酸を入れることができる。カチオン性領域に隣接する区域(好ましい位置)へ移動することのできる、好ましくない位置にある嵩高で親油性アミノ酸の適当なものは、例えば非必須アミノ酸を同定するアラニンスキャンによって、またはらせん輪転配置を研究することによって決定することができる。好ましくない位置は典型的にはカチオン性区域の反対側である。
例えばトリプトファンまたはフェニルアラニンのような非必須で非常に嵩高くて親油性のアミノ酸を、例えばイソロイシンまたはロイシンまたはアラニンまたはリジンのようなあまり大きくもなく親油性でもないアミノ酸で置き換えることにより、かなりの抗バクテリアまたは抗腫瘍活性を有するが減少させた毒性(即ち高められた選択性)をもつペプチドを製造することができることも発見された。一般的に“非必須”の嵩高で親油性アミノ酸はカチオン性区域から、らせんの反対側に位置している。そのような非必須の嵩高で親油性アミノ酸はらせん輪転図またはアラニンスキャンを使用して同定することができる。然しながらこれらのペプチドはここで定義したように少なくとも3個の嵩高で親油性のアミノ酸を保持しているべきである。このように7ないし25のアミノ酸を有し、少なくとも3個のカチオン性残基と、少なくとも3個の嵩高で親油性アミノ酸を有し、両親媒性のα−ヘリックスを形成することができる変更された細胞毒性ペプチドであって、もともとの/天然の配列中の1個の非必須トリプトファンまたはフェニルアラニン残基を、より小さいあまり親油性でない残基、例えばイソロイシンまたはアラニンによって置換してある変更した細胞毒性ペプチドは本発明の更に別の態様を構成する。インドリシンは天然に存在するトリプトファン豊富なペプチドであり、これはその毒性を減らすためにこの方法で便利に変更することができる。
嵩高で親油性アミノ酸の挿入のために適する他の場所は存在している親油性アミノ酸の近く、好ましくはそれに隣接する位置である。近接位置はペプチドの第1構造よりむしろ第2構造について判断される。アラニンスキャンを実施する技術及びらせん輪転図を構成する技術は当事者に公知である。
LFB(17−31)(10個の炭素末端残基が欠如しているLFBの15個のアミノ酸断片)の場合、アラニンスキャンを使用して決定された非必須アミノ酸はCys(3)、Glu(7)及びGly(14)であった。ここでの番号はペプチドそれ自身に関する絶対数である。非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸によってこれらのアミノ酸を置換したLFB(17−31)の類似体は特に効果的である。マゲニン2のようなマゲニンペプチドを変更するためには、Phe(16)及びGlu(19)の位置での非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸の挿入が特に効果的である。
1個以上の非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸の存在に加えて、本発明によるペプチドは更に変更を行うことが有利である。特に、例えば1個またはそれ以上の天然に存在するアミノ酸、特に非必須アミノ酸を1個またはそれ以上のプラスに荷電した残基、例えばリジンまたはアルギニンによって置換することによりペプチドの全体的なプラス電荷を増加させることはペプチドの活性をより一層増大する。“プラスに荷電”という語はpH7.0で純粋にプラス電荷をもつアミノ酸残基の側鎖(R−基)を表わす。抗腫瘍剤として使用するためのペプチドの場合、ペプチドは有利にはα−ヘリックスを形成することができ、カチオン性領域によって限定される角度、即ちらせんのプラスに荷電された面の角度を小さくするのに役立つペプチド配列内の置換が更に活性を増大する。事実、限定される角度を小さくすることは、それ自体の純粋プラス電荷よりも活性に与えるインパクトが大きい。他の残基はアラニンで置換されるのが有利である。更に、“遺伝性”の嵩高い及び/又は親油性アミノ酸例えばTrpまたはPheもまたここで定義したように有利に挿入される。
本発明によるペプチドを与えるために変更しうる適当なペプチドは、マゲニン、PGLa、類似体、セクロピン、デフェンシン、メリチン及びラクトフェリン及び(L)類溶菌性ペプチドなどのような細胞毒活性、特に抗細菌活性をその変更されない形で細胞毒性を示すことが知られているすべてのペプチドを含む。更に適するペプチドは、天然には存在しないが合成されており細胞毒活性を示すものを含み、そのようなペプチドはモデリン類を含む。この関連において、“未変更の”という語は天然に存在する蛋白質またはペプチドの消化によって得られる断片をも含む。新しい抗バクテリア性蛋白質及びペプチドはまだまだ発見されており、本発明の技術は一般的な応用能力をもっており、これまで同定されていないが細胞毒性、特に抗細菌剤として今後特徴づけられるペプチドにかなりの程度の成功チャンスをもって簡単に応用することができると信じられる。
本発明による特に好ましいペプチドは、ラクトフェリン断片、特に牛のラクトフェリン(LFB)またはその断片に基づくもの、(例えばLFB17-31)または他の動物からのラクトフェリンの同等の断片に基づくものである。
本発明によるペプチドの特に有利な点はその大きさが小さいことであり、15個またはそれより少ないアミノ酸をもつペプチドが好ましい。特に有利には9個または10個のアミノ酸またはそれより少ないものである。そのような効果的な小さいペプチドの1つはLFB(17−27)で、LFB(17−31)のC-末端からLys28、Leu29、Gly30及びAla31を除去したものである。ペプチドはいかなる公知の方法によってでも製造され、天然ペプチドの酵素による消化または化学的開裂及びそれに続く変更により、またはアミノ酸構築ブロックからの直接合成によって製造するのが有利である。製造に関する限り、所望するペプチドが短いほど良く、特に製造法として好ましい直接合成の場合アミノ酸のキラル性に関連する問題を限定するので好ましい。その上、短いペプチドは生体受渡しが良好である。注射の必要がなく、鼻の毛細血管を通る吸入や吸収によって投与できる抗微生物剤がますます要求されている。10量体ペプチドはこの方法で容易に投与できるが、長さで25個以上のアミノ酸を有するペプチドは吸入によっては到達することができない。
ペプチドの循環半減期を増大させることも望まれ、これは本発明のペプチドを更に変更して、酵素による破壊に抵抗性のあるような人工のアミノ酸を含むことによって達成されるであろう。長いペプチドは、ペプチドの内部で開製するエンドペプチダーゼによる破壊をうけ易く、短いペプチドはエンドペプチダーゼによる開裂に対して損傷を受けることが少なく、ペプチドの末端を攻撃するエクソペプチダーゼによる破壊はN-末端基をアセチル化することにより、またはC-末端基をブロックすることにより減少させることができる。
エナンチオアミノ酸の挿入は本発明のペプチドの生物活性を有意に増加することができることも観察された。そのようなペプチドは本発明の更に好ましい実施態様を構成する。天然のペプチドの正確な鏡像であるエナンチオペプチド及び天然のペプチドと同じα−らせん構造をとるがアミド結合点が反対方向にあるレトロ−エナンチオペプチドがすぐれた抗微生物活性を示した。好ましくは本発明によれば前記の定義のように、そのようなペプチドも、非遺伝性の嵩高で親油性のアミノ酸を挿入される。
エナンチオアミノ酸も酵素による破壊に抵抗性であり、その結果ペプチドの半減期を増加させることが増大された抗細菌活性をある程度説明するであろう。エナンチオアミノ酸は高価で、それが本発明による比較的短いペプチドが特に有利である理由でもある。
本発明による更に好ましいペプチドは、従って非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸を前記の定義のように挿入し、そして1個またはそれ以上のD-アミノ酸、例えばアミノ酸の1/3または1/2または2/3がD−型であるものを含み、これらは配列全体にわたって例えばL-アミノ酸に代わって、如何なる方法ででも配置されているものである。
親媒性α−ヘリックスを形成する“能力”という語によって、ある環境においてペプチドがα−ヘリックスを形成することを意味する。ペプチドは水性媒体中ではその天然の立体構造としてはα−ヘリックスをもつ必要はないが、然し例えばナトリウムドデシルサルフェート(SDS)、2,2,2−トリフルオロエタノール(TFE)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)またはSDSの他のミセル及び細胞膜(人工及び天然)のようならせん構造を与える物質の存在下ではα−ヘリックスまたは実質的にα−らせん構造を形成することができる。α−ヘリックスの存在をテストするために円型二色性を便利に使用できる。
α−ヘリックスの形成よりもっと重要なことはペプチドが両親媒性であること、即ちペプチドがα−らせん状であってもなくても、ペプチドの2°構造が両親媒性であるという事実である。このことは、どんな環境でもα−ヘリックスを形成しないエナンチオペプチド及び1個以上のD-アミノ酸を挿入しているペプチドの良好な活性によって証明される。従って両親媒性α−らせん構造という要件は本発明の本質的な要件ではない。
更に本発明は非ペプチド要素でその蛋白質対応部と同じ細胞毒活性を示すものにも関する。そのようなペプチド模倣化合物(peptidomimetics)または“小分子”で蛋白質またはペプチドの活性を模造することのできるものは、それらの化学安定性が増加している故に例えば経口投与に良好に適しているようである。そのような要素は、前記の定義のような“非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸”に対応する部分を含む。より詳細には、これらは前記の非遺伝性、嵩高で親油性のアミノ酸のR基に対応する基、即ち少なくとも7、好ましくは少なくとも9個の非水素原子をR基の同等位に有し、この基は荷電されておらず好ましくは極性基をあまり含まない基を含む。
現在では、ペプチドまたは蛋白質ベースの有効成分、例えば治療用ペプチドをそのような機能的に同等の活性を有するペプチド模倣物で置き換えることは当業者にとって普通である。種々の分子ライブラリーや化学の組み合わせ技術が存在し、標準技術を使用してそのような要素の同定、選択及び/又は合成のために利用できる(Kieber-Emons, T. et al, 生物技術における現在の見解1997、8:435-441)。そのような標準技術は本発明によるペプチド模倣化合物、即ち本発明のペプチドと実質的に同じかまたは類似の細胞毒活性を示すペプチド模倣有機化合物、例えば本願実施例に記載した化合物を得るために使用される。
本発明の更なる態様は、従って、本発明のペプチドをベースとする生物模倣有機化合物を与えることであり、該化合物はここで前に定義したように、少なくとも本発明のペプチドにより示されるレベルで細胞毒活性、例えば抗微生物または抗腫瘍活性を示すことを特徴とする。
“細胞毒性”という語は、単に原核細胞に対して活性であるのみならず、真核細胞に対しても活性であることを示す。ある環境では良好な抗微生物活性を示すが溶血または患者の細胞を破壊しないようなペプチドを得ることが望まれるが本発明の範囲内のペプチドは抗腫瘍活性をもつことを示した.これらのペプチドの抗腫瘍活性及びそれを含む薬剤は更に本発明の態様を構成する。抗腫瘍活性は良性または悪性腫瘍の大きさまたは数を破壊または減少させ、転移の防止または減少を含む。
一般に、非遺伝性アミノ酸を持たず腫瘍細胞に対して良好な活性を有する本発明によるラクトフェリン誘導ペプチドは25−10、好ましくは12−20、例えば18個のアミノ酸を有する。非遺伝性の嵩高で親油性基により、良好な抗腫瘍活性を有するペプチドは一般に短いもので、7−20、好ましくは10−20、より好ましくは10−15個のアミノ酸を有する。例として、LFB17-27A7、M3、R2、11W4、10、Y1-NH2PMC及びLFB18-24R1、7W2,3,6-NH2PMCはMethA細胞の50%を殺すためにそれぞれ50及び38μg/mlのみを必要とする。
一般的に腫瘍に対して良好な活性をもつペプチドは良好な抗細菌活性を示すものよりも長い。抗バクテリア活性ペプチドは典型的には7ないし20、好ましくは7ないし14、例えば8または9個のアミノ酸を有する。
変更されたペプチドは、ペプチドがバクテリア細胞上に溶解効果をもつらしいという事実からのみ予想されるよりはずっと良好な抗腫瘍活性を示す。試験管中で観察された腫瘍細胞への溶解効果は強力でマウス中の腫瘍退化は非常に速く、3ないし6日以内に起る。治療後及びもとの腫瘍の退化後にマウスに腫瘍細胞を接種しても2次的な腫瘍の成長を起こさなかったので、免疫上の記憶の誘導があるものと思われる。
重要なことは、変更していないLFBを使っても成長した腫瘍の退化を示したことである。これに関連して“変更しない”という語は、この抗腫瘍活性を示すLFBの断片、例えばLFB(17-31)をも表わす。ペプチドは環状でも線状でも良いが好ましくは環状である。腫瘍が部分切除不可能な場合に固い腫瘍を治療する能力は特に有効である。更に有利なことは、腫瘍上に観察された細胞溶解効果はその種類に特異なものでなく、従ってペプチドを人間の腫瘍の治療に使用できるということである。
腫瘍の治療のために適する生物活性ペプチドの投与量は当事者に公知であり、ここに記載した動物実験で使用した投与量は他の動物及び人間の患者のための大体の投与量を概算するために使用することができる。ペプチドの投与は毎日であり、通常は1日おきまたは3日おきまたは4日おきである。1ないし10、典型的には2ないし5回の投与が良好な治療効果を与える。同様の治療プロトコールをバクテリアまたはヴィールスの感染症の治療のために使用する。
本発明によるペプチドは好ましくは少なくともLFB(17-31)と同じ細胞毒性を示す。本発明によるペプチドのあるものはある点(例えば抗腫瘍)においてはLFB(17-31)よりももっと活性であるが他の点、例えば大腸菌に対する点では活性が小さい。あるペプチドは活性は小さいが、然し他の性質、例えば低い溶血性が特定の応用において有用性を与えるであろう。
本発明のペプチドの抗細菌活性は多くの異なる方法で現われる。ある変更は静菌性ペプチドを与える結果になり他の変更は殺菌性のペプチドの結果をもたらす。本発明によるペプチドの大部分のものは有利なことに、殺菌性である。とりわけ本発明は本発明による細胞毒性ペプチドの阻害効果を示す量をバクテリアに接触させることからなるバクテリアの成長を阻止する方法をも与える。
“接触させる”という語はバクテリアをペプチドに暴露し、それによってバクテリアを効果的に阻害、殺菌またはバクテリアを溶解させエンドトキシン(LPS)と結合させ、またはグラム陰性バクテリア外膜に浸透させることを示している。“接触”は試験管中で例えばペプチドに対するバクテリアの感受性をテストするためペプチドをバクテリア培養液中に加えることにより行う。試験管中で、例えばバクテリア性病気、例えば腐敗ショックをもつものにペプチドを投与することで接触を行う。“阻害”または“阻害に効果的な量”という語は静菌または殺菌効果を起こすために必要とされるペプチドの量を表わす。阻害されるべきバクテリアの例は大腸菌(E.coli)、P. aeruginosa, E. cloacae, S. typhimurium及びS. aureusを含む。バクテリアの成長阻害方法は更に、組み合わせまたは相乗的治療のための抗生剤を添加することを含む。投与される抗生剤の適当なものは、典型的にはバクテリアの感受性に依存し、例えば、バクテリアがグラム陰性菌かグラム陽性菌かに依存し、当業者における手段の1つによって容易に識別される。
更に、異なる変更は、あるタイプのバクテリアに対して他のタイプのものに対するよりも抗細菌活性をより大きく増大させる。例えばS. aureusは、非常に大きい嵩高で親油性基、典型的にはR基中に少なくとも12または18の非水素原子をもつもの、例えばPmc変更されたトリプトファン残基を挿入したペプチドに対して特に感受性が高い。それに加えて、実質的に平面状であるR基は大腸菌に対して良好な活性を示し、一方比較的親油性である、より3次元の基はS. aureusに対して良好な活性を作り出すために望ましい。
上記の如く、非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸を挿入することにより活性を増大させる技術は細胞毒性ペプチドの広範な種類に一般的に応用される。特にL(溶解性)類ペプチド、特に興味のあるのはマンマリアンから誘導されるペプチド、特にラクトフェリンから誘導されるペプチド、特にラクトフェリシンである。抗細胞活性を有意に失うことなく、牛ラクトフェリシンの配列(LFB17-41)では約10個までの残基をC-末端で減少させる、例えばLFB(17-31)まで減らすことができるということがわかった。LFBI7-31=FKCRRWQWRMKKLGA。牛ラクトフェリシンと同様に、我々は人間でもLFB17-31に対応する領域を同定した。LFH=TKCFQWQRNMRKVRG、ヤギ、LFC=SKCYQWQRRMRKLGA、マウス、LFM=EKCLRWQNEMRKVGG、ブタ、LFP=SKCRQWQSKIRRTNP。そしてそのような領域は本発明による操作のためにも適当であることがわかった。
上で述べたあるペプチドの親油性における増加効果の変化が観察された。本発明の更なる態様は、1端に付加的な嵩高で/親油性基を持つことを特徴とする15個またはそれ以下のアミノ酸の細胞毒性ペプチドを含むことからなる。本発明のこの面に関して、嵩高で親油性基は、保護基のような有機の基、特にFmoc、Bocまたは他の標準的なN-末端保護基、または枝分かれした、線状又は環状の一般式CH3(CH2)nで表わされるアルキル基(式中nは5ないし20、好ましくは8ないし14で、最も好ましいのは10ないし12である)、または6ないし21、好ましくは9ないし15で、最も好ましくは11ないし13個の炭素原子を有する枝分かれした、線状または環状アシル基を含む。例えば、そのN-末端にCH3(CH2)nアルキル基を有するLFB(17-31)ペプチドは抗菌活性において10倍まで増大された。これらの基は残基のN-末端またはC-末端、またはN-またはC-末端残基の近く好ましくは隣りに結合される。これらの基は天然のアミノ酸残基に結合されてもよく、または嵩高で親油性基をもつ非天然のアミノ酸をペプチド中に結合させてもよい。“細胞毒性ペプチド”の適当な定義は上で述べた通りである。
アミノ酸及びペプチドの嵩高で親油性の性質はN-末端またはC-末端での変更によって増大させることができ、そのような変更は本発明によるペプチドを更に得る結果となる。
従って、上で述べたような非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸を挿入する代わりに、または挿入に加えてペプチドをN-及び/又はC-末端位で変更してもよい。
更に明確には、好ましくはアルキル基またはアリール基である5または6員環の環状基を含む変更をN-末端基に挿入することによって抗細菌性及び/又は抗腫瘍活性を有するが毒性の低いペプチドが作られることが見出された。更に好ましくは、N-末端変更を含む基は2個またはそれ以上の縮合環でその1個以上が5−員環であるもの、例えばアダマンチルまたはFmocを含む。驚くべきことに3次元性質をもつ基、例えば、単一な平面内に存在しない縮合環系と結合したものは特に有利な性質をもつことが見出された。
N-末端基を変更するために使用できる適当な分子は下記のものを含む:
シス−ビシクロ[3,3,0]オクタン−2−カルボン酸、[18209-43-3](Aldrich);アビエチン酸、[514-10-3](Aldrich);ウルソル酸、[77-52-1](Aldrich);(1、2−メタノフレレン-C60)-61-カルボン酸、[155116-19-1](Fluka);ジメチルクバン-1、4-ジカルボキシレート、[29412-62-2](Fluka);2-ノルボルナン酢酸、[1007-01-8](Aldrich);4−ペンチルビシクロ[2.2,2]オクタン-1-カルボン酸、[73152-70-2](Aldrich);3−ノルアダマンタンカルボン酸、[16200-53-6](Aldrich);9−フルオレン酢酸、[6284-80-6](Aldrich);シス−デカヒドロ−1−ナフトール、[36159-47-4](Aldrich);9−エチル−ビシクロ[3.3.1]ノナン−9−オール、[21915-33-3](Aldrich);3−キヌクリジノール、[1619-34-7](Aldrich);[(1S)−エンド]−(−)−ボルネオール、[464-45-9](Aldrich);(1R,2R,3R,5S)−(−)−イソピノカンフェオール、[25465-65-0](Aldrich);デヒドロアビエチルアミン[1446-61-3](Aldrich);(±)−3−アミノキヌクリジン[6530-09-2](Aldrich);(R)−(+)−ボルニルアミン、[32511-34-5](Aldrich);1、3、3−トリメチル6−アザ−ビシクロ[3、2、1]オクタン[53460-46-1](Aldrich);1−アダマンチルアミン、[768-94-5](Aldrich);9−アミノフルオレン、[5978-75-6](Aldrich);(1R)−(−)−10−カンフォールスルフォン酸、[35963-20-3](Aldrich);5−イソキノリンスルフォン酸、[27655-40-9](Aldrich);2−キノリンチオール、[2637-37-8](Aldrich);8−メルカプトメントン、[38462-22-5](Aldrich)
従って、本発明によるペプチドを与えるためのN-末端変更は典型的には、直接N-末端アミンに結合して、モノ-、ジ-、及び多カチオン性のトリアルキル化N-末端アミンを形成する嵩高で親油性のR基を含む。その代わりとして、R基は、結合成分例えばカルボニル基(RCO)を通して結合してもよく、例えばアダマンチルまたはベンジル、カルバメート(ROCO)例えばFmoc、または尿素(RNHCO)または(R2NCO)を形成する結合成分、またはスルホンアミド、ボロンアミドまたはホスホンアミドを形成する結合成分を通して結合してもよい。結合成分を形成するスルホンアミドは、より安定なペプチドを必要とする時に特に有用である。嵩高で親水性のR基は好ましくは飽和環状基であり、より好ましいのは環状基が結合または橋かけしている多環状基である。
そのようなN-末端変更を挿入したペプチドは抗腫瘍ペプチドとして特に有効であり、そして驚くべきことに環状、好ましくは多環状N-末端基の存在は腫瘍細胞、例えばMeth A細胞(繊維肉腫からのもの)を殺す能力をもつが正常細胞例えば赤血球または正常な繊維芽細胞に対してはほとんど細胞毒活性を示さないペプチドを与える。勿論この選択性は試験管内で確立した腫瘍の治療に非常に望ましいものである。例えば46μg/mlの濃度でシクロヘキシル−LFB17−31はMeth A細胞(ネズミの肉腫細胞ライン)の50%を殺したが1000μg/mlの濃度でさえも繊維芽球の赤血球の50%を殺すことはなかった。
従って本発明の更なる態様は、3個又はそれ以上のカチオン性残基をもつ7ないし25量体の細胞毒性ペプチドであって、これは任意に両親媒性のα−ヘリックスを形成することができ、そのN-末端は、5個、好ましくは6個以上の非水素原子からなる環状基によって変更されているペプチド、並びにそのエステル、アミド、塩及び環状誘導体を与えることである。そのような変更されたペプチドを薬剤的に許容される希釈剤または担体と共に含有する医薬組成物及びそのようなペプチドを治療方法、特に細菌感染を阻止または治療する方法または抗腫瘍剤として使用すること(良性及び悪性腫瘍、腹水の数及び大きさを減少させることまたは破壊すること及び転移の防止の両方)は本発明の更なる態様を構成する。
本発明により、特に効果的なC-末端変更もまた発明された。ペプチド全体の電荷を変化させるためにC-末端をアミド化することが知られているが、エステル、チオエステルまたは置換された第1級または第2級アミドの形成を含むより大きなC-末端変更は更に増大した細胞毒活性を有するペプチドを与える結果になることが今、発見された。C-末端変更基は、有利には4個以上、好ましくは6個、更に好ましくは8または10個以上の非水素原子を含み、例えばベンジルエステルまたはアミドを形成する。他のC-末端基は、ナフチルアミン、置換芳香族アミン、例えばフェニルエチルアミン、モノ-、ジ-又はトリ-アミノアルキル基などを含み、環状基を含む基が好ましい。標準的なC-末端保護基もまた、活性増大の変更として適している。
本発明によるペプチドを与えるためのC-末端変更は、従って典型的にはC-末端力ルボキシル基に直接結合してケトンを形成してもよい嵩高で親油性R基を含む。その代わりとしてR基は結合成分を通して結合してもよく、例えばC-末端でエステルを作る(OR)、(NH-R)または(NR、ここで2個のRは同じものでなくてもよい)で、これは第1級及び第2級アミド基をC-末端でそれぞれ形成する、または(B-(OR2))基でホウ酸エステルまたはリン酸類似物などである。嵩高で親油性R基は少なくとも4個の非水素原子を含むのが好ましい。
このように、本発明の更に別の態様は、3個またはそれ以上のカチオン残基を有し、任意に両親媒性のα-ヘリックスを形成することができ、そのC-末端基は少なくとも4個の非水素原子を含む有機基によって変更されている7ないし25量体細胞毒性ペプチド、及びその塩、及び環状誘導体を与えることである。そのような変更されたペプチドを薬剤として許容されている希釈剤または担体と共に含む医薬組成物及びそのような治療方法に使用するためのペプチド、特に細菌感染の治療または阻止に使用すること、または抗腫瘍剤として(腹水であってもよい良性または悪性腫瘍の大きさまたは数の減少または破壊及び転移の防止の両方)の使用は本発明の更に別の態様を構成する。
本発明によるこの態様でのペプチドは典型的には下記の式によって表わすことができる:
Figure 0005475937
式中Xは3個のカチオン性残基を含む、長さで7ないし25個のアミノ酸のペプチドを表わし、R=OR,SRまたはRであって、R=アルキル、シクロアルキル、アミノアルキルまたはアリールで任意にヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、オクソまたはフルオロ基によって置換されており、または任意に酸素、窒素、硫黄または燐原子によって中断されている。
置換R1基はモノまたはポリ置換であってよい。“アシル”という語はここではカルボキシレート及びカルボネート両方の基を包含する。
ここで使用しているように、“アルキル”という語は長いかまたは短い直鎖または枝分かれした脂肪族飽和または不飽和炭化水素基を含む。R1は40個までの非水素原子を含み好ましくは4ないし12、より好ましいのは6ないし10のそのような原子を含む。
本発明によるペプチドは、ここで定義したように、非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸及びN−及び/又はC−末端変更基を含むものである。ペプチドは嵩高で親油性基のすべての3つのタイプを含むことができるが好ましくは2つのそのような基を含む。
更に本発明の別の態様は、増大された細胞毒活性及び/又は目標とする細胞のタイプに対し改善された選択性を有するペプチドを製造する方法を提供し、該方法は任意に両親媒性α-ヘリックスを形成することができる3個以上のカチオン性残基を有する7ないし25量体ペプチドに非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸を挿入することからなる。
このように本発明は、3個以上のカチオン性残基をもつ7ないし25量体ペプチドの細胞毒性または選択性を、非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸をそこに挿入することによって増大させる方法をも提供する。
非遺伝性の嵩高くて親油性アミノ酸の定義は前述した通りである。すでに述べたように、“挿入する”という語は存在する残基の変更またはペプチドに付加または置換によってそのような残基を導入することを含み、置換が好ましい。成長するペプチドの配列中に非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸が含まれるように合成方法が使用されるので後からのペプチド形成工程は必要としない。
ここで“増大された”細胞毒活性をもつペプチドと云う時、本発明によって変更されたペプチドが、そのような変更のないペプチドと比較して1種以上のバクテリアに対して、またはガン細胞の1種以上のタイプに対して増大された細胞毒性をもつことを意味する。“目標細胞タイプに対する改善された選択性”という語は、目標としない細胞タイプに比較して目標とする細胞に対する細胞毒活性の割合が増加していることを意味する。換言すれば、例えばペプチドの抗細菌活性が変更の前と後とで同じであるが、溶血活性は変更後に減少しているならば、選択性は改善されたと云える。同様に、もし抗細菌または抗腫瘍活性が非常に大きく増加しているならばたとえ溶血性が増加していても本発明により有用なペプチドが作られたといえる。選択性はまた他のタイプのバクテリアよりも1つのタイプのバクテリアに対してもいえる。
前述の如く、非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸の挿入によって特に活性で有用なペプチドが作られた。1個またはそれ以上の“遺伝性”の前に定義したような嵩高で親油性アミノ酸を追加して挿入することによりペプチドの嵩高さ及び親油性が増大し活性を増加させることも見出された。特に、いくらかの細胞毒活性を示すことが知られているトリプトファン豊富なペプチドの類似体は抗菌剤として効果的であることが示された。そのような類似体は他の非必須残基にかえて1個または2個のトリプトファン残基をもっている。
このように本発明による更に別の態様では3個またはそれ以上のカチオン残基を有し、任意に両親媒性α-ヘリックスを形成することのできる7ないし25量体細胞毒性ペプチドであって、公知のまたは天然の細胞毒性ペプチドをもつ配列同族体を少なくとも40%有し、その上に1個以上の遺伝性の嵩高く親油性アミノ酸(例えばトリプトファン)を有する該ペプチド、並びにそのエステル、アミド、塩及び環状誘導体を提供する。
同族体の%は好ましくは50または60%以上であり、特に70又は80%以上が好ましい。本発明の目的のためには“配列同族体”という語は配列が一致するということではなく同じアミノ酸が存在するかまたは同じ官能基からのものが存在するかのどちらかを意味する。標準的なアミノ酸のための適するグループはすでに上述した。
本発明のそのような短いペプチドの配列同族体は、最も簡単には、2個のアミノ酸が1,2,3などの位置で同じであるかまたは先に定義したような同じグループにあるかどうかを決めるために残基と残基との2つの配列を比較することによって計算することができる。従って、LFB(17-31)W3はLFB(17-31)と93.3%の同族体を有する。配列同族体を計算するためのコンピュータプログラムもまた当業者に知られており、これらは配列中での添加(挿入)または削除(ギャップ)を可能にさせる。アミノ酸配列同族体は、ウィスコンシン大学からの遺伝子コンピュータグループ(CGG)ヴァージョン10ソフトウェアパッケージのベストフィットプログラムを使用して決定される。プログラムは欠損値でSmithとWatermanの局部同族体互除法を使用する:ギャップ創生ペナルティ=8、ギャップ延長ペナルティ=2、平均マッチ=2,912、平均ミスマッチ=−2,003。そのようなプログラムは従って、天然の配列をもつ本発明のペプチドの同族体を評価するために使うことができた。特に変更されたペプチドがギャップまたは挿入物を結合しているならば、使用できた。そのようなプログラムは2つの配列の間の整列を確立するために、特に変更された配列がギャップまたは挿入物を結合している場合に最も適している。
遺伝的にコードされたアミノ酸のみを含むそのようなペプチドは公知のまたは天然の細胞毒性ペプチドをもつ変更されたペプチドと同様に、同属体%よりもむしろ2つの配列をエンコードする核酸分子の交雑の緊密さによって表わすことができる。この場合、変更されたペプチドをエンコードするssDNA分子は公知のまたは天然の細胞毒性ペプチドをエンコードするssDNA分子に相補的なssDNA分子と交雑するべきである。本発明のペプチドをエンコードする核酸分子は更に本発明の態様を構成する。
“交雑する”配列は、厳密でない条件下(例えば6×SSC、50%ホルムアミド、室温)で結合(交雑)し、低い厳密さの条件(例えば2×SSC、室温、好ましくは2×SSC、42℃)でまたはもっと高い厳密さ(例えば2×SSC、65℃)(ここでSSC=0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.2)の条件下で洗浄した配列である。
好ましくは、配列は上記のようなより高い厳密さの条件下で交雑するかまたはコードの縮重のためには、配列は高い厳密さ条件下で交雑する方が良い。
好ましくは、ペプチドは1個または2個の遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸を更に含み、その他は公知の細胞毒性ペプチドと同じであるか、または従来の置換基のみを挿入する。
更に本発明は3個またはそれ以上のカチオン性残基を有し、任意に両親媒性α−ヘリックスを形成することのできる、長さに7ないし25のアミノ酸を含むペプチドの細胞毒活性を増大する方法を提供するものであって、該方法は遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸(例えばトリプトファン)を付加または置換、好ましくは置換によって導入することからなる。例として、マゲニンから導かれるペプチドでトリプトファン残基を更に挿入し、増大した活性を示すペプチドがここで開示されている。本発明のこれらのペプチドをエンコードするポリヌクレオチドも本発明の更なる態様を構成する。
本発明の、非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸を挿入するペプチドが公知の、または天然に存在する細胞毒性ペプチドまたはそのフラグメントから導かれる時、上述したようにそれらは公知の、または天然に存在するペプチドと同程度の同族体を有するのが好ましい。
ペプチド、特にここで定義したような嵩高い親油性のR基で“遺伝性”のアミノ酸の側鎖が変更されているペプチドは当業者によく知られた表現システムによって原核細胞及び真核細胞宿主中で表わされる。微生物的に表わされたペプチドの分離及び精製の方法もまた公知である。
ペプチドの表現のためにバクテリア宿主が選ばれるならば、表現された抗細胞性ペプチドから宿主を保護するための段階をとる必要がある。そのような技術は当業者に公知であり、表現される特別のペプチドに対して抵抗性のあるバクテリアの菌種を使用するか、または一端または両端にセクションを持ち、ペプチドの抗細菌活性を無力化した融合ペプチドの表現を使用し、その後融合ペプチドを開裂することを含む。いずれにしても、表現されたペプチドの活性は低く、例えばPmcの付加による本発明のペプチドを与えるための後からの合成変更によってのみ本当に細胞毒性レベルを増大される。
本発明のペプチドは便利な方法で直接合成できる。一般的には全合成の間、存在する反応性基(例えばアミノ基、チオール基、及び/又はカルボキシル基)を保護する。合成の最終段階で本発明の保護されている誘導体の保護基を除く。上述した如く、本発明のあるペプチドは、これが細胞毒活性の増大に責任があるので、“保護基”をもっている。
ペプチドを形成する時、原則としてC-末端かN-末端のどちらかで出発することができ、C-末端出発方法が好ましい。配列を延長する時または後合成的変更の結果として、この段階で非遺伝性アミノ酸を挿入することができる。
ペプチド合成法は当業者によく知られているが本発明のためには、固相支持体上で合成を行うのが特に便利である。そのような支持体は当業者によく知られている。
アミノ酸の公知の保護基は広い範囲で選択でき、適するアミン保護基はカルボベンゾキシ(Zで表わす)、t−ブトキシカルボニル(Bocで表わす)、4−メトキシ−2、3、6−トリメチルベンゼンスルホニル(Mtr)及び9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmocで表わす)を包含する。ペプチドをC-末端から形成する時、アミン保護基を、付加する各々の新しい残基のα−アミノ基上に存在させ、そして次のカプリング段階の前に選択的に除去するということが適当である。
使用しうるカルボキシル保護基は、例えば容易に開裂するエステル基、例えばベンジル基(Bzl)、p−ニトロベンジル基(ONb)、ペンタクロロフェニル基(OPClP)、ペンタフルオロフェニル基(Opfp)またはt−ブチル基(ОtBu)及び固体支持体上に結合している基、例えばポリスチレンに結合したメチル基を含む。
チオール保護基はp−メトキシベンジル基(Mob)、トリチル基(Trt)及びアセトアミドメチル基(Acm)を含む。
アミン−及びカルボキシル保護基を除去するためには広範囲の方法が存在する。これらは然し、使用する合成戦略と一致していなければならない。側鎖保護基は、次の結合段階の前にα-アミノ保護基を一時的に除去するために使用する条件に対して安定でなければならない。
Bocのようなアミン保護基及びtBuのようなカルボキシル保護基は酸処理、例えばトリフルオロ酢酸を使用して同時に除去できる。チオール保護基、例えばTrtはヨウ素のような酸化剤を使用して選択的に除去される。
本発明によるペプチドは、ペプチドの細胞毒活性を増大する基を残すために不完全な保護基除去によって製造することができる。代わりとして、ペプチドの合成及びその保護基除去後に変更したR基及びN-及びC-末端基を作ることもできる。
特に好ましい方法は次式のアミノ酸誘導体を使用しての合成法を含む:
Fmoc―アミノ酸―Opfp
本発明はまた上記に定義したような本発明のペプチドを医薬的に許容される希釈剤、担体または賦形剤と共に含有する医薬組成物を提供する。適当な希釈剤、賦形剤及び担体は当業者に公知である。治療方法、特にバクテリア感染の治療または予防での使用、または抗腫瘍剤としての使用、腹水であっても良い良性または悪性腫瘍の大きさ及び数の減少及び破壊及び転移の防止の両方における使用のための本発明のペプチドは更に本発明の態様を構成する。
本発明による組成物は、例えば経口投与、鼻腔投与、腸管外投与、静脈投与、腫瘍内投与または直腸投与に適する形で与えられる。
ここで使用しているように“医薬用の”という語は本発明の獣医学的利用をも含む。
本発明による化合物は従来の薬理学的投与形態で与えられる。例えば、錠剤、被覆錠剤、鼻腔スプレー、溶液、乳剤、リポサム、粉剤、カプセル剤または持続放出形態である。本発明のペプチドは局所投与、例えば糖尿病の障害治療に特に適している。これらの形態を製造するためには通常の医薬用賦形剤や通常の製造方法が利用される。例えば錠剤は有効成分または有効成分と公知の賦形剤例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはラクトースのような希釈剤、コーンスターチまたはアルギン酸のような崩壊剤、デンプンまたはゼラチンのような結合剤、ステアリン酸マグネシウムまたはタルカムのような潤滑剤及び/又はカルボキシポリメチレン、カルボキシメチルセルローズ、セルローズアセテート、フタレートまたはポリビニルアセテートのような持続的放出を得るための作用剤とを混合することによって作られる。
所望ならば数層からなる錠剤でもよい。被覆錠剤は、同じような方法で得た錠剤のコアに、通常錠剤被覆のために使われている作用剤、例えばポリビニルピロリドンまたはシェラック、アラビアゴム、タルカム、二酸化チタンまたは砂糖でコーティングすることにより製造される。持続性放出を得るためにまたは配合禁忌を避けるためにコアは数層からなる。錠剤被覆もまた持続性放出を得るために数層からなり、その場合上述した賦形剤を使用する。
器官に特別の担体系も使用される。例えば注射液は従来の方法で製造され、例えばp−ヒドロキシベンゾエートのような保存剤、またはEDTAのような安定剤の添加により製造される。この溶液をその後注射用ガラスびんまたはアンプルに充填する。
鼻腔スプレーは投与方法として好ましく、水溶液と同じように配合され、スプレー用コンテナーにエアロゾルプロペラで充填するかまたは手動圧縮の方法で提供される。1種または数種の有効成分を含むカプセルは例えば有効成分と不活性担体、例えばラクトースまたはソルビトールと混合し、混合物をゼラチンカプセル内に充填することにより製造される。
適当な座薬は、例えば有効成分または有効成分の組み合わせと従来のこの目的に使用される担体、例えば天然の脂肪またはポリエチレングリコールまたはその誘導体と混合することによって作られる。
本発明化合物を含有する投与量ユニットは好ましくは0.1−10mg例えば1−5mgの本発明のペプチドを含有する。医薬用組成物はその上更に、他の細胞毒性剤、例えば他の抗微生物ペプチドを含む追加の有効成分を含有してもよい。他の有効成分は異なるタイプの抗生剤、減数分裂剤、例えばIFN−γ、TNF、CSF及び成長ファクター、免疫調節剤、化学療法剤、例えばシスプラチンまたは抗体を含む。
更に本発明の態様は、上記の定義による本発明のペプチドを治療用に使用することを提供する。即ちペプチドを医薬品、例えば抗バクテリア剤または抗腫瘍剤として使用する。更に別の態様では患者におけるバクテリア感染を防止または治療する方法を含みその方法は該患者に本発明のペプチドの1種またはそれ以上を投与することからなり、また患者の腫瘍を治療する方法は本発明のペプチドの1種またはそれ以上を投与することからなる。腫瘍の治療は腹水であってもよい、良性または悪性腫瘍の大きさまたは数を減少させ、または破壊し、転移の防止を含む。
更に別の本発明の態様は、バクテリア感染症または腫瘍を治療するための医薬品の製造に本発明のペプチドの1種またはそれ以上を使用することを含む。
本発明のペプチドのような抗微生物剤は医薬品以外にも種々の広い応用ができる。これらは、例えば微生物の汚染に敏感である物質のための殺菌剤として使用できる。本発明のペプチドは広い範囲の抗微生物活性及び抗生物活性を示し、従って抗ウィルス及び抗かび剤としても適しており、医薬及び農薬として利用できる。また傷治療の促進剤または殺精子剤(spermicides)としても適している。すべてのこれらの使用は本発明の更なる態様を構成するものである。
局所組成物として使用する時、ペプチドは一般的に少なくとも0.1重量%の量で存在する。多くの場合、1.0重量%より多い量のペプチドを使用する必要はない。
抗腫瘍ペプチドは他の活性剤との相剰組成物と組み合わせ投与できる。例えば本発明のペプチドを化学療法剤、免疫療法剤、外科手術、放射線治療と組み合わせて、または他の抗腫瘍ペプチドの投与と組み合わせて投与する。
このような組成物を組織内(筋肉内、静脈内、腹膜内)に使用する場合、活性ペプチドは、ペプチドの血清レベルが少なくとも約5μg/mlに達する量で存在させる。一般的にペプチドの血清レベルは500μg/mlを超える必要はない。好ましい血清レベルは約100μg/mlである。そのような血清レベルは、組織内に投与するべき組成物内に1ないし約10mg/kgの1回の量でペプチドを挿入することにより達成される。一般的にペプチドは100mg/kgを超える1回の投与量で投与する必要はない。
ここで例示したペプチドは本発明による好ましいペプチドを代表している。ここで開示した特定の配列をもつ如何なるペプチドも、特にバクテリア細胞に対してLFB17-31よりももっと大きい活性を示すそのようなペプチドは本発明の更なる態様を構成する。
本発明のペプチド内に挿入される好ましい非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸のあるものは、容積と親油性の増加を与え、生物活性を有意に増大させる置換トリプトファンを含む。置換は1位(またはインドールのN−位)と隣接する2−位でなされた。実施例2に記載されたこれらの新規化合物は本発明の態様を構成する。新規な1−置換トリプトファンは1−ベンジル及び1−トシルトリプトファンを含む。
下記の新規な2−置換トリプトファン残基が作られた。Z-Trp(2−ニトロフェニルスルフェニルクロライド)−OH及びそのオキシド及びZ-Trp(2−Pmc)−ОH(式中Zは保護基、例えばFmocを表わす)。実施例2Eの第2の方法は、2−スルフォンの範囲の製造に適する新しく考案された合成ルートであり、そして本発明の更なる態様を構成する。従って我々はインドール環の2−位で置換されたトリプトファン残基を製造する方法を更に提供する。該方法はトリプトファンが置換される基をグアニジル含有基からN-位で保護されたトリプトファンに転移させることからなる。好ましくはグアニジル含有基はアリールアルキル−またはアルキルグアニシル基であり、最も好ましいのはフェニルエチルグアニジル基である。好ましいN-保護基はFmocであり好ましいトリプトファン置換基はPmcである。
LFB17−41のシステイン残基をピリジルエチル化またはアセトアミド−メチル化によってブロックし、嵩高で親油性アミノ酸を挿入していないものはそれ自身では本発明のペプチドではない。然しながらこのようなペプチドを含む医薬用組成物及び治療剤としてのペプチドの使用は、ここに記載したように本発明の更なる態様を構成する。
本発明を下記の実施例を参照して詳細に記載するが、これらの実施例は発明を限定するものではない。
実施例 1
ヒト、ウシ、ネズミ及びヤギのラクトフェリン誘導ペプチド類
A)MIC(最低阻害濃度)テスト
使用したバクテリアの菌株は大腸菌ATCC25922及びStaphylococcus aureus ATCC25923であった。すべての菌株を−70℃で保存した。バクテリアは2%のバクトペプトン水(Difco 1807-17-4)中で成長させた。すべてのテストは中間対数的成長段階のバクテリアを用いて行った。バクテリア株に対するペプチドの最低阻害濃度(MIC)の測定は1%のバクトペプトン水中で行った。2×10CFU/mlの接種バクテリアを用いる標準ミクロ希釈法を使用した。すべての分析は3つ1組で行った。これらのペプチドはプラスに荷電しているので、従ってプラスチックのウエルに付着する可能性があるので、溶液中のペプチドの実際の濃度をHPLCによってコントロールした。プラスチック製ウエルに溶液を入れる前と後とでペプチド濃度の差はなかった。
B)ペプチドの合成
最初は、使用したラクトフェリシンBはWayne Bellamy(栄養科学研究所、森永乳業株式会社、日本)から寄贈されたものであった。後には、この研究においてはペプチドは9050プラスペプシンセサイザー(Milligen)を用いて合成された。すべてのペプチドはフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)化学の使用による固相上で合成された。システイン含有ペプチド中のシステインはジスルフィド架橋形成を防ぐために、アセトアミドメチル基で保護した。ペプチドは254nmでの紫外線検出を行うWaters 600Eクロマトグラフ(Millipore)上で逆相HPLC法によって分析し精製した。HPLC上で精製されたフラクションは電気スプレー界面(Fisons VG Quattro)及び/又はFast Atom Bombardmentマススペクトロメトリー(FAB-MS)(Fisons VG Tribrid)を用いる液体クロマトグラフィー マススペクトロメータ(LC-MS)上で分析した。
ラクトフェリシンの構造
ヒトラクトフェリンの構造はX線クリスタログラフィーによって2.8及び2.2Å解像度まで決定された。ヒトラクトフェリシン(LFH)はヒトラクトフェリシンの残基1−47からなる。LFHは2つのペプチドフラグメントを含んでおり、その1つはCys 20 とCys 37との間でジスルフィド橋により環化した残基12−14から成っており、第2のフラグメント(残基1−11)はCys 10とCys 46の間のジスルフィド橋を通して上記12−47 フラグメントに連結されている。ヒトラクトフェリン構造においては、対応する残基は1本のβ−ストランド(残基4−11)、1本のα−ヘリックス(残基12−29)及び1本のターン(残基30と31)からなり、それに続いて1本のβ−ストランド(残基31−37)がある[Day, C.L., Anderson, B.F., Tweedie, J.W. 及びBaker, E.N.(1993) J.Mol. Biol. 232, 1084-1100]。単一鎖中で25残基のみ(残基17−41)を有するウシラクトフェリシン(LFB)は構造的にはLFHよりずっと簡単である。
異なった種からの配列を有する合成ラクトフェリシンの抗生物活性
ヤギからのラクトフェリンのアミノ酸配列[Provost, F.L.,Nocart, M., Guerin, G.及びMartin, P.(1994) Biochem. Biophys. Res. Commun. 203, 1324-1332]及びマウスからのもの[Pentecost, B.T.及びTeng,C.T.(1987) J.Biol. Chem. 262 10134-10139]はすでに決定されておりヒト及びウシのラクトフェリンと高い配列相同関係を示している。ヘリックス−ターン−ストランドのモチーフに関係する残基は図1に示されているような配列の中で容易に同定することができる。LFBはLFHよりも抗菌性である故に、LFB(17−41)に対応する残基がヒト、ネズミ及びヤギのラクトフェリンのアミノ酸配列において類似のラクトフェリシンペプチドを製造するために選ばれた。即ちLFH(18-42)、LFM(17-41)及びLFC(17-41)である。ジスルフィド橋はウシ及びヒトラクトフェリシンでは抗生物活性のために必須ではなく[Bellamy et al(1992)]すべてのペプチドは環化または酸化を回避するためにシステイン残基のACM保護の下に製造した。
MICで表わされた合成ラクトフェリシン類の抗バクテリア活性は表1に表わされており、この表はLFB(17-41)がE. coli及びS. aureusに対して最も重要な抗バクテリア活性を発揮したことを示している。
Figure 0005475937
異なる鎖長を有するLFB類似体
線状ペプチドの抗バクテリア活性を決定する時に最も重要と考えられている性質の1つは、それらがラセン状構造をとる能力である。変化させていないラクトフェリン蛋白質においては、残基14-28はα−ヘリックスの中に位置しており、残基29-31はターンを含み、そして残基32-41はβ−ストランド中にある。従って我々はラクトフェリシンの抗バクテリア効果は、未変更の蛋白質のヘリックスに関与している配列部分から発生するのであろうと予測した。ウシのラクトフェリシン配列、LFB(17-41)が有意の抗バクテリア活性を有する唯一のペプチドであったので、我々は蛋白質のヘリックスとターン残基の両方を含むウシペプチドの短い変種、即ちLFB(17-31)を製造することを選択し、ストランドを包含する10個の残基を除去した。LFB(17-31)はLFB(17-41)及びLFC(17-41)よりも低い実効電荷(図1)を有するという事実にも拘らず,表1に示したように抗バクテリア効力の大部分をそのまま保持している。これらの発見は、全体の電荷は重要であるとしても、抗バクテリア活性にとっては十分ではないということを示している。
実施例2
新規な置換トリプトファン類の製造
以下の実施例及び本明細書全体において、下記の一般式:Z-XX(n-y)-OHが置換アミノ酸(XX)を表わすものとし、式中アミノ酸のNH2-基がZで保護されており、アミノ酸がn−位でy−置換されており、アミノ酸のCOOH基は遊離していることを表わす。
A)Ac−Trp(1−Tos)−OHの製造
Figure 0005475937
実験
Ac−Trp−OET(0.19g, 0.69 mmol)、塩化トシル(0.20g, 1.04 mmol)、テトラブチルアンモニウムハイドロジエンサルフェート(2mg, 0.01当量)及びNaОH(0.07g, 1.73mmol)をジクロロメタン中実温で2.5時間攪拌した。反応混合物にpH2.3に達するまで希塩酸を加え、その後水洗した。有機層に希塩基を加え、水層をジクロロメタンで抽出し、酸性化しその後再びジクロロメタンで抽出した。
Figure 0005475937
材料
Ac-Trp-OEt
下記の「ジアセチルトリプトファンエチルエステルの製造方法」(Bodanszky,M. 及びBodanszky,A.ペプチド合成の手順(1944)p.30 Vogel’s 実験有機化学のテキストブック5版(1989)p.1273)に記載された手順に従って製造した。
B)Fmoc-Trp(1−ベンジル)−OHの製造
Figure 0005475937
Boc-Trp(1−ベンジル)−OH1
ジメチルスルフォキシド(7ml)を水酸化カリウム(0.73g, 13 mmol)(粉砕されたペレット)に加え混合物を5分間攪拌した。次にBoc-Trp-OH(1g, 3.3 mmol)を加え、その混合物を1時間攪拌した。臭化ベンジル(1.13g, 6.6 mmol)を加えてその混合物を少し冷却し、水(20ml)を加える前に更に20時間攪拌した。混合物をジエチルエーテル(3×20ml)で抽出した。水層分を合わせ、1Mの塩酸(20ml)を加えることによりそのpHを2-3に調節し、混合物を更にジエチルエーテル(3×20ml)で抽出した。各抽出液を水(3×20ml)で洗浄した。ジエチルエーテル層を合わせてMgSOで乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。生成物は白色結晶として分離された。(0.89g, 2.3 mmol)。収率69%。
Figure 0005475937
H-Trp(1−ベンジル)−OH
Boc-Trp(1−Bn)−OHを98%TFAに溶解し、室温で3時間攪拌した。その後、溶媒を減圧下で除去した。生成物を油として分離し、それ以上精製することなく使用した。
Fmoc-Trp(1−ベンジル)−OH
H-Trp(1−Bn)−OH(1.90g, 6.5mmol)を10%炭酸ナトリウム溶液(21ml, 20 mmol)に溶解した。ジオキサン(15ml)を加え、混合物を氷水浴中で攪拌した。9-フルオレニルメチルクロロカルボネート(1.69g, 6.5 mmol)を少量つつ加え、氷水浴温度で4時間攪拌を続けた後、室温で更に8時間続けた。反応混合物を水(400ml)中に注入しエーテル(3×20ml)で抽出した。エーテル層を合わせ硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。生成物を溶媒A(溶媒A=酢酸エチル:メタノール=4:1)中のシリカゲル上で、クロマトグラフィーにより精製した。精製後,生成物は白色の結晶化合物として得られた。収量は2.42g(72%)であった。
Figure 0005475937
材料
Boc-Trp-OH Bachem No.A−2360
Fmoc-ONSu Fluka No.46920
トリフルオロ酢酸 Fluka No.91700/KEBO No.1.8341-100
参考文献1:Heaney,H.及びLey,S.V.J.Chem. Soc.Perkin 1 (1973)499-500
C)Fmoc-Trp(2-Nps)−OHの製造
Figure 0005475937
ジオキサン12ml中のFmoc-L−トリプトファン2.0g(4.7mmol)の溶液にジオキサン25mlの2-ニトロフェニルスルフェニルクロライド(2-Nps-cl)0.87g(4.6mmol)の溶液を室温で攪拌しながら加えた。3日間放置した後、反応混合物にエチルエーテル50mlを加え、溶媒を蒸発させた。生成物を溶媒A(溶媒A=クロロフォルム:エタノール:ヘプタン=1:1:1)中のシリカゲル上クロマトグラフィーにより精製した。R=0.43. 精製後、生成物は黄褐色の結晶性化合物として得られた。収量は2.5g(89%)であった。
Figure 0005475937
ペプチド中にFmoc-Trp(2−Nps)−OHを挿入した後、MSエレクトロスプレイ分析により期待した分子量を確認した。
材料
Fmoc-Trp-OH Bachem No.B-1445/Senn No.02019
2-ニトロフェニルスルフェニルクロライド Fluka No.73740
D)Fmoc-Trp(2−Nps)−OHの酸化
Figure 0005475937
氷酢酸15ml中のFmoc-Trp(2−Nps)−OH 1.12g(1.9mmol)の溶液に30%HO12mlを室温で攪拌下に加えた。反応混合物を2時間65℃で熱した。沈殿物を集め水を加えて凍結乾燥した。収量は0.59g(52%)であった。生成物は黄色結晶性化合物として得られた。
Figure 0005475937
ペプチドにFmoc-Trp(2−NpsO2)−OHを導入した後、MSエレクトロスプレイによる分析でFmoc-Trp(2−Nps)−OHの酸化が不完全であったことが判明した。生成物はスルフォキシドFmoc-Trp(2−NpsO)−OHとスルフォンFmoc-Trp(2−NpsO)−OHとの約3:1の混合物であった。プロトンNMRはβ-、α-及びカルボキシル−プロトンの信号に基づいて両化合物の1:1混合物であることを示した。
E)Fmoc-Trp(2−Pmc)−OHの製造
Figure 0005475937
方法I:Fmoc-Arg(Pmc)−OHからPmc基の移動による方法
Figure 0005475937
Fmoc-Arg(Pmc)−OH(0.5g, 0.75 mmol)及びFmoc-Trp−OH(0.43g, 0.1mmol)を100%TFA 10mlに溶解し、30℃で1.5時間加熱した。TFAの蒸留後、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーによりヘプタン/酢酸エチル2:1を用いてFmoc-Arg−OHを移動層として除去した。Fmoc-Trp(2Pmc)−OHを調整用HPLC(C18, 70-100%, B 15 min., t14.8 min,(A=HO+0.1%TFA, B=CHCN+0.1%TFA)) により分離した。単離収量130mg(0.19mmol,25%)
Figure 0005475937
材料
Fmoc-Arg(Pmc)−OH Bachem No.B-1670
Fmoc-Trp-OH Bachem No.B−1445/Senn No.02019
トリフルオロ酢酸 KEBO No.1.8341-100/ Fluka No.91700
方法II:フェニルエチルグアニジル−PmcよりPmc基の移動による方法
Figure 0005475937
2、2、5、7、8−ペンタメチルクロマン
参考文献:Robert Ramage, Jeremy Green及び Alexander J.Blake,テトラヘドロン Vol.47, No.32, pp6353-6370, 1991
反応:
Figure 0005475937
薬品:
Figure 0005475937
手順:
2, 3, 5−トリメチルフェノール(50.03g, 0.367 mol)、イソプレン(25.09g, 0.368mol)及び溶融塩化亜鉛(5.94g, 0.044 mol)を無水酢酸(47ml)と共に室温で14時間攪拌した。濁った赤色混合物をゆっくり加熱すると透明になった。反応混合物を還流すると黒色になった。8時間還流後、室温まで冷却した。反応混合物を250mlの水に注ぐと黒色の油が分離した。水層をペンタン(3×200ml)で抽出し、有機層を合わせてクライゼンアルカリ(2×150m1)、水(3×250ml)及び食塩水(2×200ml)で洗浄した後、塩化カルシウム上で乾燥し減圧下で濃縮して複色油を得た。粗生成物を0.48mBarで蒸留して、淡黄色液体としての生成物(36.90g, 収率49%)が得られた。b.p.82−96℃(0.48mBar);純度95%以上(GC)。
結果
冷却すると固化する淡黄色の液体として、49%の収率で生成物を単離した。
Figure 0005475937
MS (GC/MS):
m/z=204(100)、189(14)、149(91).
2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン-6-スルフォニルクロライド
Figure 0005475937
ジクロメタン30ml中の2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン(3.39g,16.6 mmol)の溶液に−8℃で攪拌しながらジクロロメタン30ml中のクロロスルフォン酸(3.98g, 34.2mmol)を3分間以内で添加した。混合物を−8℃で15分間攪拌し、更に室温で2.5時間攪拌を続けた.反応混合物をジクロロメタン50ml及び氷100mlと共に注意深く数回振盗し、有機層を分離した。粗生成物は1HNMRによる判定で約16%の出発物質を含有していた。熱したペンタンをこの粗生成物に加えると暗色の油が形成し、これをデカントして除去した。次に生成物をペンタンから結晶化させて単離し淡黄色の粉末を得た。(2.80g, 9.3 mmol)。収率56%。
Figure 0005475937
2−フェニルエチルグアニジンヘミサルフェート
Figure 0005475937
2−フェニルエチルアミン(8.49g,70.1 mmol)とS−メチルイソチオ尿素サルフェート(9.43g, 33.9 mmol)とを100mlの蒸留水に溶解した。反応混合物に空気を通し、50%NaOH(500ml)次いで5%硫酸第1銅溶液(250ml)を通過させた。反応混合物を還流下で5時間加熱した。溶媒を蒸発させると白色粉末を得た。生成物を96%エタノールから結晶化させて単離し、冷アセトンとジエチルエーテルで洗浄し、デシケーター中で乾燥させた。3回結晶化した後、生成物はごく少量の出発物質を含むのみであった。この反応では61.5%(9.14g)の収率で2−フェニルエチルグアニジンヘミサルフェートを生成した。
Figure 0005475937
フェニルエチルグアニジル−Pmc:
反応:Ian Michael Eggleston, Ph.D.thesis, オックスフォード大学、1990
反応
Figure 0005475937
薬品
Figure 0005475937
手順:
2−フェニルエチルグアニジンヘミサルフェート(3)(7.40g,34.87 mmol)を6M NaOH(80ml)中に懸濁し、クロロフォルム(2×80ml)中へ抽出した。溶媒を真空蒸発させた後、油状の残渣をベンゼン(2×10ml)と共に共蒸留した。遊離のグアニジン(3b)を磁気攪拌子と圧力平衡器をつけた100mlの添加ロートを装備した250mlの丸底フラスコ中でジクロロメタン75mlに溶解した。ロート中に75mlのジクロロメタンに溶解したPmc-SO-Cl(7.00g, 23.17 mmol)を入れた。容器を窒素でフラッシュし、反応を弱い窒素流下で行った。丸底フラスコを氷/水浴中で冷却し、Pmc-SO-Cl溶液を20−25分間にわたって添加した。反応混合物を1晩放置して室温に達するようにした。ジクロロメタンを真空蒸発させ、残渣を水(100ml)と酢酸エチル(120ml)の間で分配させた。有機層をその後水洗(100ml)した。酢酸エチルを冷却すると、生成物は白色/淡黄色粉末として現われ、これを濾過し真空で乾燥した。
結果
淡黄色粉末3.32gを分離した。反応収率は33%である。
融点:145−147℃
Figure 0005475937
Fmoc-Trp(2−Pmc)−OH:
反応:
Figure 0005475937
薬品
Figure 0005475937
手順
N-(6−SO−Pmc)−2-フェニルエチルグアニジン(2.08g, 4.84mmol)及びFmoc−Trp−OH(4.14g, 9.71 mmol)を室温でトリフルオロ酢酸(25ml)と共に2時間攪拌した。反応混合物を真空で蒸発させ、残渣をクロロホルムと1M塩酸の間で分配した。クロロホルム溶液を冷却し、過剰のFmoc-Trp−OHを濾過によって除去することができた。
生成物をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン=1:1)によって精製した。
結果
表記の化合物を白色粉末として26%の収率で単離した。
原料:
Figure 0005475937
F)Fmoc−2,5,7−トリターシャルブチルトリプトファンの製造
2,5,7−トリターシャルブチルトリプトファン
トリプトファン(4.00g, 19.59 mmol)、98%トリフルオロ酢酸(60ml)、及びターシャルブタノール(15.54g, 209.66mmol)を混合した。反応混合物を48時間攪拌した。トリフルオロ酢酸を蒸発させた。残渣を40mlの蒸留水に懸濁し、pH値を炭酸水素ナトリウムを加えて中性にした。粗生成物を濾過によって得た。50%エタノールからの結晶化によって生成物は白色粉末(85−90%純度)として得られた。
Figure 0005475937
Fmoc-2,5,7−トリターシャルブチルトリプトファン
表記化合物がFmoc-Trp(1-ベンジル)−OHとして製造された。
実施例3
ラクトフェリシン類似体の生物活性
類似体の合成
すべてのペプチド類はFmoc保護及びペンタフルオロフェニル(PfP)エステル類での活性化、またはカプリング試薬、HATU(0-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスフェート)によるその場での活性化を使用して9050ミリポア自動ペプチド合成機により合成された。ペンタフルオロフェニルエステルとのカプリングの場合は、1-HOBt(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)を加えて反応に触媒作用をさせ、またカプリング試薬であるHATUを使用する時にはDIPEA(ジイソプロピルエチルアミン)で塩基触媒作用を行った。すべての反応性側鎖を有するアミノ酸は酸不安定の保護基であって、スカベンジャーを含有するTFA(トリフルオロ酢酸)で処理することにより開裂できる保護基で保護された。(スカベンジャー混合物については下記参照)。同時に、ペプチドはTFA溶液処理によって固体支持体から分離された。
A)すべてのD-ペプチド類合成の際の最初のアミノ酸の固体支持体への付着
固体支持体PAC-PEG-PS(ペプチド酸−ポリエチレングリコール−ポリスチレン樹脂)(1当量)を少量のDMF(ジメチルホルムアミド)中でFmoc-D-アミノ酸−Opfp(5当量)及びDMAP(ジメチルアミノピリジン)(1当量)と共に混合し30分間放置して膨潤させた。その後溶液をゆっくりと4時間半攪拌した。Aco(無水酢酸)(2.5当量)とDMAP(0.1当量)を溶液に加えて固体支持体上に残存するすべての水酸基をアセチル化した。溶液を更に1時間攪拌した。C-末端アミノ酸の付いている固体支持体を濾過によって分離し、フィルター上でDMFにより数回洗浄した。固体支持体をその後9050ミリポア自動ペプチド合成機で目的とするペプチド合成に使用した。
B)無水酢酸を使用するN-末端アミノ基のアセチル化
少量のDMFにペプチド-樹脂複合体を溶解し過剰の無水酢酸(20当量)とDMAP(5当量)とで、小さいマグネットで溶液をゆっくり攪拌しながら4時間処理した。完全なアセチル化はニンヒドリン試験/カイザー試験(下記参照)により確認した。
C)ニンヒドリン試験/カイザー試験
1mg以下のペプチド樹脂複合体を少しの同容積のエタノール中5%のニンヒドリン溶液、20mlエタノール中80gのフェノール溶液、及び、乾燥し、蒸留したピリジン溶液で処理した。反応混合物を110℃で2分間加熱した後、顕微鏡で調べた。(このテストでは黄色の反応混合物はアセチル化反応が成功したことを示しており、青色溶液はまだ遊離のアミノ酸があることを示している)。
D)酸に不安定な保護基の開裂
酸に不安定な保護基の開裂及び固体支持体からのペプチドの開裂はTFA中の2%アニソール、2%エタンジチオール(EDT)、2%水及び2%フェノールの混合物を用い、4時間以下の開裂時間で達成された。固体支持体をその後濾過によって除去し、ペプチドをジエチルエーテル中で沈殿させた。TFAを含むエーテル溶液をパストゥールピペットを用いて除去し、ペプチドを数回ジエチルエーテルデ洗浄し、高真空下で乾燥した。
E)精製
ペプチドはC18-反転相カラム(*)と流動相として水とアセトニトリル(両方とも0.1%TFAを添加)の混合物を用いたHPLCによって精製された。ペプチドフラクションの検知に選ばれた波長は254nmであった。
(*)PrePakカートリッジ25×100mm. Delta PakTMC18 15μm100Å(Waters Corporatiom)
F)分析
ペプチドはすべて流動層として水とアセトニトリル(両方とも0.1%、TFA添加)の混合物を用いた分析HPCL C18-反転層カラム上で不純物について分析された。ペプチドの分子量は正イオンエレクトロスプレーイオン化マススペクトロメトリー(VG Quattro Quadrupole)によって決定した。
ラクトフェリシンのL−及びD−類似体の合成に使用されたアミノ酸誘導体
Figure 0005475937
アミノ酸誘導体はBachem, MilliGen/Biosearch(Milliporeの1部門)またはPerSeptive Biosystemsのどちらかから購入した。
トリプトファン−Pmc残基を含有するアラニンスキャンペプチドの抗微生物活性
トリフルオロ酢酸による酸不安定保護基の除去及び樹脂からのペプチドの開裂の間にPmc(2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン-6-スルホニル基)保護基のアルギニンからトリプトファンのインドールの第2位置への転位を含む副反応が観察された。これらの副反応生成物の分離を行いMIC分析から得られた結果を表2に記載する。この表は又、Pmc基をもたないLFB上で行われたアラニンスキャンの結果も示している。
アラニンスキャンの間に、連続したアミノ酸がアラニンによって置換された一連のペプチドが生成した。
アミノ酸17ないし31からの天然のウシラクトフェリシン(LFB17-31)の配列はH2N-Phe-Lys-Cys-Arg-Arg-Trp-Gln-Trp-Arg-Met-Lys-Lys-Leu-Gly-Ala-COOH(SEQ ID No.1)である。
表2−2個のトリプトファン残基の1個に付いたPmc基をもつアラニンスキャンペプチドのMIC結果。この結果はPmc基をもたないLFBについて行われたアラニンスキャンの結果も示している。
Figure 0005475937
これらの結果はトリプトファン残基の1つに結合したPmc基は大腸菌に対してはその活性を4倍増大させることを示している。S.aureus菌に対する効果は更に注目すべきものである。このグラム陽性バクテリアはすべてのアラニンスキャン類似体に対してほとんど完全に耐性を有することが見出されていたが、今やMICが10ないし22.5μg/mlであることが示された。この事は天然のLFB17-31に比較して抗バクテリア活性で10倍増大していることを示す。疎水性であるトリプトファン−Pmc残基は従って、バクテリア細胞膜の疎水性部分に対するペプチドの親和性を、ペプチドの抗バクテリア活性が、この残基をもたないペプチドほどには配列に依存しない程度まで増大させるように思われる。
天然ウシラクトフェリシン(LFB17-31)とエナンチオ−、レトロ−及びレトロ−エナンチオLFB17-31及びトリプトファン−Pmc残基を導入したこれらの同じペプチドとの間の抗バクテリア活性の比較
アルギニン残基からトリプトファン残基へ転位させたPmc基を含むペプチドもエナンチオ−、レトロ−及びレトロ−エナンチオLFB17-31の合成後に分離した。
表3−天然のウシラクトフェリシン(LFB17-31)とエナンチオ−、レトロ−及びレトロ−エナンチオLFB17-31及び2個のトリプトファン残基のうちの1個に結合したPmc基を有するこれらのペプチドのMICの結果
Figure 0005475937
天然のペプチドの正確な鏡像であるエナンチオペプチドは抗バクテリア活性において注目すべき改善を示している。(事実、このペプチドは大腸菌の場合に天然のペプチドである、トリプトファン−Pmc残基を有するLFB17-31と同じ活性を示す)。
立体配位的には、この事はLFB17-31のすべてのD−アミノ酸類似体はすべての天然L−アミノ酸ペプチドLFB17-31よりもバクテリアの細胞膜のキラル燐脂質とより良く相互作用するということを意味する。このエナンチオペプチドはバクテリアの分解性プロテアーゼに対してより一層低抗性であることも暗示しているであろう。
LFB17-31に関して逆の配列をもつレトロペプチドは抗バクテリア活性については改善を示していない。これはLFB17-31の抗バクテリア活性が配列特異性であるという理論と両立するものである。アミノ酸配列が全く異なっているのでこのペプチドはウシラクトフェリシンの本当の異性体ではない。このペプチドの低い抗バクテリア活性は従って驚くべきことではない。
すでに述べた通り、天然ペプチドLFB17-31とそのアミド結合位置が反対方向である点を除いて同じα−らせん立体配置をとっているレトロ−エナンチオペプチドでは大腸菌に対して非常に高い抗バクテリア活性が観察された。すべてのL−アミノ酸が立体異性体であるレトロLFB17-31は低い抗バクテリア活性を示している。その理由は、全D−アミノ酸ペプチドは、バクテリア細胞膜のキラルリン脂質類とより強く相互作用するか、またはそれらの全L−アミノ酸対応物よりもプロテアーゼに対してより低抗性であるということであろう。
S.aureus菌に対するペプチドの活性は大腸菌で観察されたほどには高くない。これはグラム陰性バクテリアのリポ多糖類層との相互作用はグラム陽性バクテリアのリピッド細胞膜との相互作用よりも強いであろうということを示している。
トリプトファン−Pmc含有ペプチドの活性は、全D−アミノ酸及び全L−アミノ酸異性体間でPmc基をもたないペプチドについて観察されたものと同じ差を示さない。トリプトファン−Pmc残基の効果は、この残基をもたないペプチド間に見られた立体配置による効果よりも、特にS.aureus菌の場合により強く表われるようである。最も注目すべきことは、レトロ−Pmcペプチドの活性が著しく増大することである。このペプチドの活性はトリプトファンPmc残基の故に大腸菌の場合8倍増大し、S.aureus菌の場合10倍以上増大する。
Pmc変更について観察された改善は大腸菌の場合無視しうるものであるが、S.aureus菌に対する活性は変更によって約6倍増大する。グラム陽性バクテリアは明らかにトリプトファン−Pmc含有ペプチドに対して、トリプトファン−Pmcをもたないその対応物に対するより攻撃されやすい。
トリプトファン変更されたヒト(LFH)、ブタ(LFP)、及びヤギ(LFG)ラクトフェリシンの抗バクテリア活性
ウシラクトフェリシン(LFB17-31)のアラニンスキャンからの結果は6位及び8位の2個のトリプトファン残基は抗バクテリア活性の大部分を失うことなしにアラニンで置換することができないという事を示した。天然LFH、LFP、及びLFGラクトフェリシンの同様の配列部分を調べたところ、これらのペプチドは8位でトリプトファン残基を欠如しているが進化を維持する間に6位にトリプトファン残基を持つことを示している。これらのペプチドの抗微生物活性を増加することができるかどうかを見るために、我々は8位で置換されたトリプトファン残基を有するLFH、LFP、及びLFG類似体を合成した。天然配列のMIC値がトリプトファン変更されたペプチドと共に表4に与えられている。
Figure 0005475937
変更されたヒトラクトフェリシン(LFHW8)の配列。置換トリプトファンは原字で表わしてある(Arg−Trp)
Figure 0005475937
変更されたヤギラクトフェリシン(LFGW8)の配列。置換トリプトファンは厚字で表わしてある(Arg−Trp)
Figure 0005475937
表4−トリプトファン変更したヒト(LFHW8)及びヤギ(LFGW8)ラクトフェリシンのMIC結果(天然のLFB17-31及びLFH及びLFGの天然配列のものについてのMIC値も比較のために記載してある)。
Figure 0005475937
LFHW8とLFGW8は両方とも同じペプチドの天然の配列体と比較して大腸菌に対する活性の改善を示している。
トリプトファン−Pmc残基を有するLFH、LFP及び LFGの抗微生物活性
ペプチド(天然配列に対する上記の変更をしたものまたはしないもの)の樹脂からの酸による開裂及び酸不安定性保護基の開裂中にトリプトファン残基の1つに結合したPmc−基を有する副生成物が分離されその抗バクテリア活性を分析した。結果を表5に示す。
表5−2個のトリプトファン残基の1つに結合するPmcを有するLFH、LFG 及びLFP、並びにPmc基を唯一利用可能なトリプトファンに結合されるLFC Pmc及びLFHPmcのMICの結果
Figure 0005475937
これまで分析されたトリプトファン−Pmc含有ペプチドのすべてについてこれらのペプチドは一般的にE.coliとS.aureusの両方に対する抗バクテリア活性において顕著な改善を示している。
ウシラクトフェリシン(LFB17-31)の多トリプトファン類似体の抗微生物活性
ウシラクトフェリシン17-31の配列において2個のトリプトファン残基がこのペプチドの抗バクテリア活性には絶対不可欠である事はアラニンスキャンで示された。これら2個の残基のいずれかのアラニン置換は抗バクテリア活性の大半の損失に導いたのである。アラニンスキャンは又、ウシラクトフェリシン17-31の配列における非必須アミノ酸がCys(3)、Gln(7)、及びGly(14)の3つの残基であることを示した。この知見に基づいて、我々は、従ってトリプトファンで置換された非必須アミノ酸の1つ、2つ、または3つを有する5種のウシラクトフェリシン17-31多トリプトファン類似体のシリーズを合成した。アラニンスキャンを行い次に見かけ上非必須アミノ酸と思われるものをトリプトファン又は他の嵩高及び/又は親油性アミノ酸で置換する、この技術が一般にペプチドの細胞毒性を増大させるのに利用することができ、これはラクトフェリシンに限られるものではない。
多トリプトファンウシラクトフェリシン類似体の配列を下記に示す。
Figure 0005475937
表6−ウシラクトフェリシン(LFB17-31)の5種の多トリプトファン類似体と天然のLFB17-31のMIC結果
Figure 0005475937
LFB17-31配列中の非必須アミノ酸をトリプトファン残基で置換するとこれらのペプチドの抗バクテリア活性が天然の配列体のものよりE.coliの場合少なくとも2倍,S.aureusの場合には4倍も改善されている。
3個の追加トリプトファン残基(ペプチド内に全部で5個のトリプトファン残基)を有するペプチドW3714は活性が減少した。このペプチドは水溶液中での溶解性が低くそのために計算よりも低い濃度を与えるので、これは多分溶解性の問題の結果であろう。ペプチドが高濃度では沈殿する傾向のある時、MICテストの操作中にこのことは物理的に観察された。
実施例4:
置換マゲニンペプチドも製造された。天然のマゲニン2は下記の配列をもつ。
Figure 0005475937
下記の表7は天然ペプチド及び16位または19位のトリプトファンまたはフェニルアラニンの単一アミノ酸置換が行われた変更ペプチドのいくつかのMIC結果を示す。その結果として抗バクテリア活性が増大している。
Figure 0005475937
実施例5
各種ペプチドの抗腫瘍効果
環状LFB17-41は、日本の森永乳業社製のものであった。
細胞毒性
異なったネズミ及びヒト腫瘍細胞(4×10)を0.1mlのRPMI1640媒体容積で96-ウェル培養プレート(Costar)に置いた。ペプチド溶液(0.1ml)を加えプレートを37℃で30分間、4時間、または24時間培養した。細胞毒性はMTT法を用いて測定した(Mosmann et al., J. Immunol.(1986)136, 2348-2357)。
電子顕微鏡検査
走査電子顕微鏡検査(SEM)
走査電子顕微鏡検査のためにはMeth A細胞を12個のウェル培養プレート中で培養し、下記のような各種ペプチド類で処理した。細胞をMcDowellの保留剤中で固定し、1%OsO4中で後固着処理し、脱水し、標準方法に従って臨界点乾燥を行った。細胞をJeol JSM-5300走査顕微鏡で調べた。
透過電子顕微鏡検査(TEM)
Meth A細胞を12培養プレートから吸出しによって採集し、McDowellの保留剤中で一晩固定し、その後標準手法に従って後色留め、脱水及びEponアラルダイト中に固定する処理を行った。超薄片をReichert Ultracut S上で切り取り、次いで5%の酢酸ウラニルとReynoldクエン酸鉛中で対照比較した。切片をJeol LEM-1010透過電子顕微鏡で調べた。
実験動物
Charles River社(ドイツ)から特別の病原菌フリーのCB6F1(Balb/c XC57 BL/6)の年令約8週間のメスのマウスを得た。マウスは標準研究室用飼料及び水で飼育した。腫瘍をもったマウスをヴィールス(LDH,CMV)及びマイコプラスミック感染に対して血清学的スクリーニングを行ったがテストしたすべての場合に陰性であった。
腫瘍
Meth Aは非粘着性ネズミ肉腫の細胞ライン[sveinbjørnsson et al, (1996) BBRC223:643-649]で、Balb/cにおいて同系であり、これを2%のFoetalコウシ血清を含有するRPMI 1640中で試験管中で保存した。成長段階での細胞を採集し、新鮮な媒体中で洗浄し、マウスの腹部位に皮下注射した。各マウスはRPMI 1640中の5×10の生存能力のある腫瘍細胞を1回接種された。
結果
試験管中
細胞毒性
ラクトフェリシンB誘導体
A)Meth A
環状及び線状LFB
Meth A細胞に対する環状及び線状LFB(17-41)の細胞毒性効果を研究した。Acmで保護されたシステインをもつ線状LFBはMeth A細胞(1×10/ml)を0.6mg/mlより高い濃度では4時間の培養後効果的に殺した(図2)。ウシラクトフェリンを酵素的に開裂したフラグメントである環状LFBは0.8mg/mlより高い濃度で、細胞の99%以上を効果的に殺した。
LFB誘導体
異なる長さで異なった変更をうけたLFB誘導体類がその細胞毒性についてテストされた。Meth A細胞を種々のLFB誘導体の異なる濃度で1/2時間及び4時間培養した。図3に示したように変更されなかったLFB17-31は1/2時間の培養後で1mg/mlまでの濃度ではMeth A細胞に対して有意の細胞毒性効果をもっていなかった。この実験において、4時間の培養の後では1mg/mlでは弱い効果があった(図4)。PMC変更されたLFB17-31類似体は500μg/mlより高い濃度で1/2時間培養後腫瘍細胞を殺した。4時間後に効果的な死滅を達成するためには同じ濃度を必要とした。Pmcで変更した線状LFB(17-41)はPmc変更LFB17-31よりもやや効果が高かった。
図中“−”はPmc変更なしを示し、“+”はPmc変更を表わす。
Pmcで変更された、より短い配列のLFB20-29は250μg/mlで細胞の90%以上を死滅させた。(8位でアラニン置換の)PmcとN-末端Fmoc保護されたLFB17-31類似体は100μg/ml以上の濃度では1/2時間後、50μg/mlでは4時間後に効果を示した。Fmoc保護されたLFBペプチド(8位でアラニン置換)は250μg/mlで1/2時間及び4時間でほとんどの細胞を殺した(図5及び図6)。それ故、FmocとPmc変更の組み合わせで、LFBの細胞毒効果は2つの変更のうちの各1つを行うよりも増大されるように思われる。レトロLFB類似体もテストした。レトロ-Pmc-変更されたLFB17-31もまた変更しないLFB17-31と比較して増大した細胞毒効果を所有していた(図5及び図6)。
B)ヒト骨髄白血病細胞ラインHL60
ヒトHL60細胞についてLFB17-41(PB)、LFB14-31(P1)、LFB14-31Pmc(P2)、LFB(P3)17-31及びLFB17-31Pmc(P4)の細胞毒効果を調べた。LFB14-31及びLFB17-31はテストした濃度では細胞毒性を全く示さなかったが、LFB17-41は弱い濃度依存症の細胞毒性効果を有していた。LFB17-31Pmcペプチドはテストした他のペプチドよりも著しく強い(約5倍高い)効果を誘発した。図7参照。
EM調査
SEM及びTEM研究により細胞膜がラクトフェリシンペプチドによってひどく崩解され、その結果、細胞内容物を効果的に放出するということが分かった。この溶解は極めて速く、即ち大部分の効果的ペプチドによって数分以内に起ると思われる。
生体内
1.腫瘍の退縮
ネズミのMeth A繊維肉腫
5×10の生存性Meth A細胞の1回接種後、種々のLFペプチド(LFB14-31、LFB17-31Pmcは50μlの投与量で500μg;LFB17-31は50μl投与量で1000μg)を7日目及び10日目に腫瘍内注射した。LFB14-31も500μg/mlで腹膜内(PBI)注射した。食塩水のみをコントロールのマウスに(50μl)注射した(K1、K2、K3)。腫瘍の直径(横断線と縦断線との平均)を電子カリパスで測定した。
ネズミMeth A繊維肉腫に対するLFB17-31、LFB17-31Pmc及びLFBの生体内効果
図8で示したようにテストしたすべての3種のペプチド、LFB17−31(PB)、LFB14-31Pmc(P2)、LFB14-31(P1)は、7日目及び10日目での処理後Meth A腫瘍の退縮を誘発した。“Diam. mm”は腫瘍の直径を表わしている。
興味あることは、LFB14-31で腹膜内処理されたマウスでは腫瘍は根絶されていた(PBI)。食塩水のみで処置されたマウスはK1、K2及びK3で示してある。
実験例2 ネズミの黒色腫(Melanoma)B16F10
5×10の生存性B16F10ネズミ黒色腫細胞を1回接種後、D-LFBA7Pmc−NHを10日目及び12日目に腫瘍内注射した(50μl食塩水中1回の注射につき500μg)。コントロールのマウスには食塩水(50μl)のみを注射した。腫瘍の直径(横断線と縦断線との平均)を電子カリパスで2日毎に測定した。
ネズミ黒色腫B16F10に対するD-LFBA7Pmc−NH の生体内効果
図9に示したように、D−LFBA7Pmc−NH(Pep)は固い腫瘍の効果的な退縮を引き起こすことができた。y軸は腫瘍の直径をmmで表わしたものである。5つのうち3つの腫瘍は単に2回の注射の後、完全に根絶された。最初の治療処置から6日目に、腫瘍の1つが再び成長し始め、最初の処置から10日目には2番目の腫瘍が成長し始めた。
2.適応性免疫
定着したMeth A腫瘍の成功した処置の後、何匹かのマウスを上記の腫瘍細胞の再接種の前1ヶ月間飼育した。これらのマウスのうち何匹かについて2回目の腫瘍細胞接種から1ヶ月後に3回目の接種を行った。これらのマウスでは腫瘍はできず、これらのマウスの通常の条件に如何なる影響もなく長期間生存した。
実施例6
中程度に活性のあるペプチドの化学的変更の効果も更に研究された。出発ペプチドは天然の配列の残基14-31に対応するウシラクトフェリシンのフラグメントである(完全な配列については図1の表1参照)。各種のペプチドのE. coli及びS. aureus菌に対するMIC値の形での抗微生物活性、50%の溶血(EC50)を引き起こす濃度として表わされた毒性、及び50%のMeth A細胞を殺すために要するペプチドのμg/ml数の形での抗腫瘍活性を下記の表8に示してある。
Figure 0005475937
前例の如く、1個またはそれ以上のトリプトファン残基上の嵩高く/親油性基PMCの存在は抗微生物及び抗腫瘍活性を増大させる。興味あることには、この人工的な嵩高くて親油性基の存在は殺バクテリア活性を選択的に増大することができ、一般的にE.coliに対するよりもS.aureusに対する活性を増大させる。
実施例7
表9は、天然の配列中の1個のアミノ酸の代わりに非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸を結合しているLFBに基づいたペプチドについて抗バクテリア活性及び毒性データを示している。更に別のペプチドは天然に存在するトリプトファン残基の1つの嵩高さ及び親油性を増加させる基(PMC)を結合している。
Figure 0005475937
上記の表において
Bip=ビフェニルアラニン
Tbt=トリ−ターシャルブチルトリプトファン
Nal=2−ナフチルアラニン
NPS=オルト−ニトロフェニルスルフィニル
NPS-O=オルト-ニトロフェニルスルフォニル
PMC=2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン-6-スルフォニルすべてのペプチドはLFB17-31及びその変更物である。
実施例8
PMC及び異なる長さのペプチドの抗腫瘍活性及び毒性(溶血活性)の効果を研究するための実験を行った。これらの実験の結果は下記表10に示されている。
Figure 0005475937
LFBペプチドの1個またはそれ以上のトリプトファン残基上のPMC基の存在はその抗腫瘍活性を有意に増大させ、またその溶血活性をより小さい程度で増加させる。驚くべきことに、ペプチドの長さを減少させることによって、選択性、即ちペプチドの抗腫瘍活性対溶血活性が増加することが見出された。
実施例9
マゲニンから誘導された活性ペプチドに導入されたトリプトファン残基の数の増加効果を研究するために、変更されたペプチドを製造した。これらの変更反応の結果を下記表11に示す。典型的バクテリアに対するMIC値及び50%のMeth A細胞を殺すのに要するペプチドのμg/mlによって抗腫瘍活性を示してある。
Figure 0005475937
中程度の抗腫瘍活性のみしかもたないペプチドでは1個の残基をトリプトファンで置換することによってその活性は著しく増加する。
トスマグ(Tosmag)はすでに高い細胞毒性であり、それ自身嵩高で親油性であるフェニルアラニン残基の1個またはそれ以上を置換してもトリプトファンでの置換によって活性が有意に増大しないことは驚くべきことではない。
明らかに、ペプチドの嵩高さ及び親油性をあまり増加させると目的とは逆効果をもたらす。これは、重要な残基が置換されるという事実、またはペプチドの側鎖がどれ程嵩高で/親油性であるべきかについては制限があるという事実によるものであろう。
実施例10
ペプチドエステルの製造方法
樹脂からのエステル転位
SASRINTM及びMerrifield型樹脂からの塩基触媒によるエステル転位反応によって完全に保護されたペプチドエステルを得ることができる。メタノール及びベンジルアルコールで良好な収率が得られた。KCNまたはLiBr/DBUのどちらかを触媒として使用した時、最高の結果を得られた。
KCN−触媒によるエステル転位反応の標準手段:
使用するペプチド樹脂及び溶媒は、その使用前に注意深く乾燥しなければならず、すべては長時間のKCN処理に耐えられなければならない。KCNの溶解度が低くても、エステル転位反応は起るし残存する塩は邪魔しなかった。ペプチド樹脂を所望のアルコールと共溶媒、例えばジメチルアセトアミドの混合物に懸濁する(通常1:1、10ml/g樹脂)。30分後0.08M溶液を得るのに十分な量(または少なくとも飽和溶液)の固体KCNを添加する。24時間の攪拌後、樹脂を濾過し、共溶媒で洗浄する。触媒は例えば濾液を十分な量の固体無水FeCl2と激しく振盪することにより直ちに分解しなければならない。紺青色の物が群がり出すのでこれを約30分間かけて沈積させ濾取する。濾液は緑がかったままである。生成物の溶解性に依存して更に加工するがこれを水で処理しなければならない。アルコールと共溶媒を除去した後、残査を有機溶媒、例えば酢酸エチルまたはクロロホルム中にとり、塩類を除くために更に水で抽出する。
N-アシルペプチド類の直接的ベンジルエステル化
(p−ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウム誘導体(HOBMX)は容易にベンジルカチオン基を発生し、これはN-末端の、及び側鎖が保護されたペプチド類をラセミ化することなくそれらのベンジルエステルに変換する。
一般的手段:ペプチド及び炭酸カリウムをジクロロメタンに溶解し、その混合物を室温で攪拌する。10分後、HOBMClを溶液に添加し8時間攪拌する。反応混合物中の無機塩類を濾過して除去し、濾液を真空蒸発させる。残査をトルエンに溶解し、0.5MのNaOH水溶液で、次に水で洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し濾液を真空で蒸留する。
実施例11
ネズミラクトフェリンに基づいて一連の更に変更されたペプチドを製造した。下記のデータ(表12参照)ではLFMはネズミのラクトフェリンの残基17-31を表わす。もっと短いペプチドは番号で表わしてあり、例えばLFM17-24はネズミラクトフェリンの17から24位にあるアミノ酸に対応する8量体ペプチドを表わす。
ネズミのLFBに対応するものは一般的にウシLFBよりもずっと活性が低いが、然し本発明によるペプチド変更によって、非常に大きく増大した抗バクテリア活性を有するペプチドを製造することができる。より活性なウシ対応物と異なり、LFMは8位にトリプトファン残基をもっていない。本発明者達はこの残基がLFBの活性にとって重要であるとして同定し、そしてこのアスパラギンをトリプトファンで置換した。この置換のみでは、テストしたバクテリアの菌種に対する活性は有意には増加しなかった。1位及び9位のアニオン性残基の片方または両方を未変更のアラニンまたは、より好ましくはアルギニンのようなカチオン性残基で置換することによって活性を更に増加させることができた。
更に嵩高く/親油性残基、例えばチロジン残基を13位であまり嵩高くないバリンの代わりに導入することによって、及び/またはより嵩高いPMC基を導入してトリプトファン残基を変更することによって、良好な抗バクテリア活性を有するペプチドを作ることができた。
更に加えて、驚くべきことに、更に嵩高く/親油性のアミノ酸、例えばトリプトファンまたはチロジンを追加して導入し、天然の残基をアルギニンのようなカチオン性残基で置換することによってペプチド全体の電荷を増大させるような変更を加えるとき、LFMのフラグメントに基づく、より短いペプチドが特に効果的であることが見出された。
Figure 0005475937
実施例12
下記の表13は本発明によるペプチドを与える更なる化学的変更の効果を例証するものである。
Figure 0005475937
Figure 0005475937
特記しない限り、LFBはLFB7-31を表わす。
実施例13
下記の表14は本発明によるペプチドの抗バクテリア活性及び毒性(%溶血)データを例証するものである。
Figure 0005475937
実施例14
他の抗生剤に対して耐性を示したバクテリア株に対して活性な抗バクテリアペプチド類は潜在的に極めて有用なペプチド類である。下記の表15は、本発明の好ましいペプチド類の抗バクテリア活性及び毒性データを与えるものである。MRSAはメチシリン耐性S.aureus, MRSEはメチシリン耐性S.epidermidis菌である。表15では特に記載しない限り、LFBはLFB17-31のことである。前に同定された1文字及び3文字コードを使用し、更に下記のN−末端変更基を示した。
Bz=ベンジル
CHx=シクロヘキシル
Ad=アダマンチル
Figure 0005475937
Figure 0005475937
Figure 0005475937
実施例15
下記の表16は比例分のD−アミノ酸を導入した種々のペプチド類のMIC値を示す。
Figure 0005475937
実施例16
本発明のペプチドの細胞毒性
異なるネズミ及びヒト腫瘍細胞に対するペプチドの細胞毒性効果をMTT法(Mosmann et al., J. Immunol.(1986)136, 2348-2357)を使用して測定した。MTTは溶解性のテトラゾリウム塩で、フェノール赤を欠く塩溶液または溶媒中で製造すると黄色溶液を生じる。溶解したMTTを脱水素酵素によりテトラゾリウム環を開裂させて不溶性の紫色のフォルマザンに変化させる。この水不溶性のフォルマザンをイソプロパノールまたは他の溶媒を使用して可溶化させることができ、溶解した物質を分光光度計により測定する。吸光度を、変化した染料の濃度の函数として測定した。
可溶性染料の不溶性の紫色のフォルマザンへの変換は細胞増殖の測定の際の定量に使用される。生きている細胞の活性ミトコンドリア脱水素酵素はこの変化を引き起こすが、死んだ細胞は起こさない。
我々は、ペプチドによってひき起こされた細胞死の程度を測定するためにこの分析法を使用した。
細胞:
10%のFBS、1%のL−グルタミン及び0.1%のペニシリン及びストレプトマイシンを含有するRPMI−1641培体に細胞を保持した。検定に使用する細胞を集合体に成長させ、トリプシンで処理し単一細胞サスペンションに分裂させ計数し、1500rpmで10分間遠心分離した。細胞ペレットをFBS及びL−グルタミンを含まないRPMI−1640(検定用培体)中に4×105cells/mlの濃度で再懸濁させた。100mlの細胞懸濁液を96−ウェルのミクロタイタープレート上の各ウェルに移した。検定用培体で希釈した種々の濃度のペプチドを100mlずつ各ウェルに添加することにより細胞を刺激した。ペプチドの最終濃度は、例えば5,10,20,40,60,80,100及び200mg/mlであった。細胞懸濁液を含むウェルにペプチド溶液を添加する際2倍の希釈があるのでペプチド溶液は2倍の濃度に作らなければならなかった。マイナスのコントロールとして培体だけを細胞に加え、そしてプラスのコントロール(100%殺す)として1%のトリトンX-100を添加した。4時間の培養期間に続いて、PBS中に濃度5mg/mlで溶解したMTT20mlを各ウェルに加え、プレートを更に2時間培養した。上澄液130mlをその後除去し酸性アルコール(イソプロパノール中0.04-0.1N HCl)を100ml各ウェルに添加して暗青色の結晶を溶解した。プレートを振盪機上に1時間置き、分光光度計で590nmでSoftmaxâプログラムを使用してミクロタイタープレート読み取り機で読み取った。
溶血性測定
ペプチドの溶血活性は新鮮なヒトの赤血球細胞を使用して測定した。健康な人から8mlの血液を採取した。ヘパリンを含有するポリカーボネート製チューブに4mlの血液を移し最終濃度を10U/mlとした。残りの4mlの血液をEDTAを含有するガラス製チューブに移し最終EDTA濃度を15%とした。1500rpmの遠心分離機によって10分間ヘパリン処理された血液から赤血球を分離し、リン酸緩衝化食塩水(PBS)で3回洗浄してプラズマ及び淡黄色のコートを除去した。細胞ペレットをPBSに再懸濁して最終容積を4mlとした。ペプチドを2mg/ml及び0.1mg/mlの濃度に希釈した。ペプチドを更に希釈して表1に記載したような濃度にした。各々のチューブに先ずPBSを加え、次にRBCs及びペプチド溶液を加えた。EDTAで処理した血液中のヘマトクリットを30分後にSysmexK-1000で測定し、再懸濁したRBCsを10%ヘマトクリット中に希釈した。PBS中1%のRBCsでペプチドをもつものと、もたないもの(表18)を振盪機上で37℃で1時間培養し、その後4000rpmで5分間遠心分離した。上澄液を注意深く新しいポリカーボネートチューブに移し、この上澄液の吸光度を540nmで測定した。ベースラインの溶血はPBSの存在下で放出されたヘモグロビンであり100%の溶血は0.1%トリトンX-1000の存在下で放出されたヘモグロビンであった。
Figure 0005475937
実施例17
固相ペプチド合成
最初に使用したラクトフェリシンBはWayne Bellamy(日本の森永乳業株式会社、栄養科学研究所)から寄贈されたものであった。他のすべてのペプチド類は9050ミリポア自動ペプチド合成機で合成した。一般的には、固相合成においては、ペプチド鎖はカルボキシ末端部からアミノ酸末端部へと組み立てられる。最初の(C−末端)アミノ酸は、連結体(4−ヒドロキシメチル−フェノキシ酢酸)によって不溶性の支持体に共有結合的に結合された。残りのアミノ酸は1つまた1つとペプチド配列が完成されるまで加えられた。
Fmoc法を使用して、アミノ酸のα−アミノ末端を塩基に不安定な9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基によって一時的に保護された。アミノ酸のα−アミノ基のみが保護されたのではなかった。アミノ酸のあるものは副反応を防ぐために合成の問保護する必要のある反応性側鎖を持っている。これらの保護基はシステインを除いて、酸に不安定でありTFA(トリフルオロ酢酸)とスカベンジャー(下記参照)での処理で開裂する。
合成に先立って、少量のDMF(ジメチルホルムアミド)を固体支持体PEG−PS(ポリエチレングリコール−ポリスチレン樹脂)に加え30分間膨潤させた。カラム内に充填して、Fmoc基をDMF中20%のピペリジン溶液で処理して除去した。流入する、保護されたアミノ酸は樹脂に結合したアミノ酸の遊離アミノ末端でそのカルボキシル基で結合できるようになった。然しカプリング反応やアシル化は自発的に起るのではなくカルボキシレートが活性化されなければならない。これはペンタフルオロフェニル(Pfp)エステルのような予め活性化されたアミノ酸、またはカプリング試薬であるHATU(0−(7−アザベンゾトリアゾール-1-イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−フォスフェート)とその場で反応できる遊離のカルボキシレートを有するアミノ酸の使用によって達成された。Pfpエステルを使用して、1.3等量のHoBt(1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール)を加えて反応を触媒し、一方、カプリング試薬HATUを用いる場合、反応は2.4等量のDIPEA(ジイソプロピルエチルアミン)で塩基触媒した。一般的には4倍量過剰の活性化アミノ酸を使用した。アミノ酸はエクスプレス−ペプチドプログラムによって計算したように十分な量の活性化剤溶液中に溶解した。
次いでアミノ酸を、完全に保護基を除去したα‐アミノ基を有する支持体に結合したアミノ酸/ペプチド中に加え、ペプチド結合形成を達成するために混合したループを通して再循環させた。使用した樹脂の容量は0.15ないし0.23mmol/gになり、流入するアミノ酸の利用可能な結合場所を意味しており、そこから活性化剤の当量が計算される。アミノ酸の標準カプリングサイクルは30分であったが、アルギニン、イソロイシン、スレオニン、チロシン、バリン及びその後にカプリングさせたアミノ酸は例外として60分要した。これらのアミノ酸の延長されたカプリング時間は、カプリング反応中に立体障害を引き起こすことが知られているそれらの大きな側鎖の故に選ばれたものである。一度カプリングが完成すると過剰のアミノ酸溶液及び反応副生成物をDMFで洗浄して除去した。次のサイクルをN−末端アミノ酸のα‐アミノ基の保護基をはずして始めた。α‐アミノ基の保護基はずしのプロセスと、それに続くカプリングは、所望するペプチドを組み立てるために必要なだけの多くのサイクルをくりかえした。
合成が完成した後、カラムの内容物をロートに移しメタノールで3回、そしてジクロロメタンで2回洗浄した。酸に不安定な側鎖保護基の開裂及び固体支持体からのペプチドの開裂はTFA中の2%アニソール、2%エタンジチオール、2%水及び2%フェノールの混合物を使用して4時間より長くない開裂時間で達成された。固体支持体を次いで濾過によって除去し、濾液を高真空で濃縮し、ペプチドをジエチルエーテル中で沈澱させた。TFAを含有するエーテル溶液をパスツールピペットを使用して除去し、ペプチドを数回ジエチルエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥した。
アミノ酸誘導体:
Figure 0005475937
アミノ酸誘導体:アミノ酸誘導体はBachem, MilliGen/Biosearch (Milliporeの一部門)またはPerSeptive Biosystems社のいずれかから購入した。フェノールはFlukaから、そしてアニソールはSigmaから購入した。DMF、PIP、DIPEA、TFA及びPEG‐PS樹脂はすべてPerSeptive Biosystemsから購入した。
実施例18
下記の表18は1個のTrpの代わりに2個の非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸を導入するか、または天然のTrpまたはPhe残基の1個の嵩高さと親油性を増加させる基(Pmc)を導入したLFB14-31誘導体の抗腫瘍活性及び毒性データを示している。
Figure 0005475937
LFB14-31誘導体上の3個の非遺伝性変更基のいずれかの存在によってその抗腫瘍活性は有意に増加した。Tbt変更されたペプチドは然しテストした3つの変更類似体のうちで最も高い溶血活性を有していた。
実施例19
下記の表は19は本発明による更なるペプチドの抗バクテリア活性及び抗腫瘍活性及び毒性を示している。特に、置換はトリプトファンの置換が如何に有利に低毒性(赤血球細胞に対する活性と正常な繊維芽細胞に対する活性)をもつペプチドを生ずる結果になるかを示している。
Figure 0005475937
異なる種類からの合成ラクトフェリシンのアミノ酸配列及びpH7での電荷を示す。 試験管中で24時間培養した、線状及び環状ラクトフェリシンBのMeth A 繊維肉腫細胞ラインに対する効果を示す。 試験管中で1/2時間培養した、Meth A細胞に対する異なるLFB誘導体の効果を示す。+=pmc−変更、 −=未変更 試験管中で4時間培養した、Meth A細胞に対する異なるLFB誘導体の効果を示す。+=pmc−変更、 −=未変更 試験管中で1/2時間培養した、pmc変更レトロLFB 17−31(+)、FmocLFB 17−31(A8)及びLFB17-31のMethA細胞に対する効果を示す。RPMIをマイナスのコントロールとして、トリトン100Xをプラスのコントロールとして使用した。濃度はmg/mlである。 試験管中で4時間後のMeth A細胞に対するpmc変更レトロLFB17−31(+)、FmocLFB 17−31(A8)及びLFB17−31の効果を示す。RPMIをマイナスのコントロールとして、トリトン100Xをプラスのコントロールとして使用した。濃度はmg/mlである。 4時間後のヒトの骨髄白血病細胞ラインHL60への投薬応答を示す。HL60細胞1×10は50、30、20、10、5、1μgずつ、1000−20 μg/mlのペプチドと共に2時間培養しMTTで着色した。 腫瘍成長の阻害を示す。Meth A腫瘍細胞(5×10 セル)を第1日に接種し第7日と第10日に0.5mg(1mgのP1)の異なるペプチドで処理した。 B16F10ネズミの黒色腫に対するD-LFB(17-31)A7 Pmc-NHの効果を示す。 cLFBで処置し成功した後にMeth A細胞を再接種したBulb/cマウスにできた腫瘍の大きさを示す。マウスはこの研究ではcLFBまたは他のペプチドで治療されなかった。従って適応しうる免疫性の形が示される。Meth A腫瘍のLFB処置後1ヶ月でMeth A細胞の再接種。

Claims (5)

  1. 両親媒性α−ヘリックスを形成でき、非遺伝性の親油性アミノ酸を1個またはそれ以上有し、1つ又はそれ以上のカチオン性領域を形成するカチオン性残基を3個またはそれ以上含む、患者におけるバクテリア感染又は腫瘍の治療用の7ないし25個のアミノ酸残基を有する細胞毒性ペプチドであって、該非遺伝性の親油性アミノ酸は該カチオン性領域に隣接して又は該カチオン性領域の間にそして/又は別の親油性アミノ酸と隣接した位置にあり、該非遺伝性の親油性アミノ酸のα−側鎖が少なくとも9個の非水素原子を有しそして5または6個の原子の閉環を2個またはそれ以上含み、該非遺伝性の親油性アミノ酸が置換基で修飾されたトリプトファン残基である場合は、該トリプトファン残基の修飾は容積および親油性の増加を与えるものである、該細胞毒性ペプチド、並びにそのエステル、アミド、塩又は環状誘導体。
  2. 前記非遺伝性の親油性アミノ酸が、修飾されたトリプトファン残基及び修飾されたフェニルアラニン残基から選ばれる請求項1に記載のペプチド。
  3. 前記非遺伝性の親油性アミノ酸が、インドール環の1−又は2−位で置換されたトリプトファン残基である請求項2に記載のペプチド。
  4. 前記トリプトファン残基がPmc基によって修飾されている請求項2または3に記載のペプチド。
  5. 非遺伝性の親油性アミノ酸を1個又はそれ以上、下記カチオン性領域に隣接して又は該カチオン性領域の間にそして/又は存在している親油性アミノ酸と隣接した位置に導入することにより、両親媒性α−ヘリックスを形成でき、1つ又はそれ以上のカチオン性領域を形成する3個またはそれ以上のカチオン性残基をもつ7ないし25個のアミノ酸残基を有するペプチドの、細胞毒性、又は抗腫瘍活性若しくは抗微生物活性対溶血活性の選択性を増大させる方法であって、該非遺伝性の親油性アミノ酸は、そのα−側鎖が少なくとも9個の非水素原子を有しそして5または6個の原子の閉環を2個またはそれ以上含み、該非遺伝性の親油性アミノ酸が置換基で修飾されたトリプトファン残基である場合は、該トリプトファン残基の修飾は容積および親油性の増加を与えるものであり、ここで上記非遺伝性の親油性アミノ酸の導入は(a)アミノ酸を非遺伝性の親油性アミノ酸で置換える、(b)アミノ酸をその容積および親油性が増加するように修飾する、又は(a)と(b)の両方である、上記の方法。
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