JP2002523517A - 生物活性ペプチド - Google Patents

生物活性ペプチド

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Abstract

(57)【要約】 本発明は1個またはそれ以上の非遺伝性の嵩高で親油性のアミノ酸、及びそのエステル、アミド、塩及びその環状誘導体を有するカチオン性残基を1個またはそれ以上有する7ないし25量体細胞毒性ペプチド、並びにそのようなペプチドの製造方法、それらを含有する医薬組成物、及びそれらの医薬として特に抗微生物剤または抗腫瘍剤としての使用を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、生物活性ペプチド、特にその細胞毒活性を高めるために変更された
ペプチドに関する。
【0002】 多くの種類の生物体がそれらの宿主防御メカニズムの部分としてペプチドを使
用し、脊椎動物ではこれは非常に特殊な細胞−介在免疫系を捕足する[Mor. A.,
Hanoi, K.及びNicolas, P.(1994) J. Biol. Chem. 269, 31635-31641. Boman,
H.G.(1996) Scand. J. Immunol. 43, 475-482]。抗微生物性ペプチドは種々の
バクテリア及び哺乳動物の種から分離されている[Lehrer, R.I., Lichtenstein,
A.K.及びGanz, T.(1993) Ann. Rev. Immunol. 11, 105-128]。一般的に、これ
らの抗微生物性ペプチドは純粋に陽性の電荷をもち、バクテリアの細胞膜中の燐
脂質の外部両層と相互作用して両極性のα−フェリックスまたはβ−シート構造
を形成する傾向がある。[Besalle, R., Gorea, A., Shalit, J., Metger, J.W.
, Dass, C., Desiderio, D.M. 及び Fridkin, M.(1993) J. Med. Chem. 36, 120
3-1209]。L(溶菌性)類ペプチドとして分類されるいくつかのペプチドはバク
テリアの細胞膜と相互作用して多分イオン−チャンネルまたは孔を形成し、浸透
性の変化を起しその結果細胞溶菌性の変化に導くと信じられているけれども、多
くの場合、抗微生物活性の詳しい分子メカニズムはまだ知られていない [Ludtke
, S.J., He, K. Heller, W. T., Harroun, T. A., Yang, L. 及びHuang, H.W. (
1996) Biochemistry 35 13723-13728]。
【0003】 マゲニン(Magainins)は蛙(Xenopus laeris)の皮膚からの抗バクテリアペプ
チドでL類抗微生物剤として分類される。何故ならこれらはバクテリアを特異的
に溶解するからである。他のペプチド、例えば蜂毒であるマストロパラン(mastr
oparans)は真核細胞も原核細胞も溶解するのでこの特異性を欠如しておりL類毒
素と呼ばれている。(Tyler, E.M., Anantharamaiah, G.M., Walker, D.E., Mis
hra, V.K., Palgunachari, M.N. 及び Segrest, J.P.(1995) Biochemistry 34 4
393-4401] ある種の病原性微生物により示される抗生物質抵抗性は問題を増大
させ常に新しい抗生物質を必要とする。高い細胞毒性及び好ましくは原核細胞に
特異の毒性をもつペプチドを見出すことを目的として抗細菌性ペプチド、例えば
L類ペプチドが知られ、更に多く発見されている。真核生物と原核生物との間に
は脂質の二層の構造と組成に相違があり原核生物それ自身の間でも相違しており
、これは異なるペプチドは広く相違する特異性をもつであろうということを意味
する。
【0004】 マゲニン及びマストロパランと同様に蛾やハエ(cecropins)及びかぶとがに
から宿主防御ペプチドが分離された。食肉動物を追い払うこれらの宿主防御ペプ
チドの直接作用、例えば毒素としての作用は明らかである。抗細菌性効果を示す
ペプチドのための研究は、細胞毒性をもつことが期待されない他の蛋白質/ペプ
チドの同定を先導することになった。これらのうちの1つは、弱い抗細菌効果も
示す鉄の運搬者であるラクトフェリンである。
【0005】 新しい抗細菌性ペプチドの探求と同様に、最近では公知の抗菌性をもつ蛋白質
またはペプチドの活性を増大させることも研究されている。これは、牛のラクト
フェリンの場合に、本来の蛋白質を胃液ペプシンで消化して、ラクトフェリシン
B(LFB)ペプチドを作り、これが本来の牛のラクトフェリンよりもずっと大
きい活性を示すというケースにおいて試された。LFBは、牛のラクトフェリン
の残基17−41に対応するペプチド残基25である。[Bellamy et al, (1992
) Biochem, Biophys. Acta 1121 pp 130 以下)。マゲニンについて構造−活性
の研究が行われ、例えば、らせん構造の増大及びカチオン電荷の増大がより高い
抗菌活性を導くことが示された。[Chen, Y.H., Brown, J.H., Morell, J.L. 及
びHuang, C.M.(1988) FEBS Letters 236, 462-466]。しかしながら、そのよう
な配列の変更はしばしば高い溶血活性を引き起こす結果となる。従って、本発明
の目的は、有意の抗菌活性を有するが好ましくは低い毒性、即ち正常な真核細胞
にはほとんど作用しない、例えば低い溶血性をもつペプチド及び/又はペプチド
誘導体を製造することである。赤血球は典型的な真核細胞ではないが、それは毒
性のための分析の便利な方法を提供し、如何なる場合にも治療用の生物活性ペプ
チドによって有意な範囲まで溶解されてはならないタイプの細胞である。
【0006】 ペプチドの嵩高さまたは親油性を増大させることによりその生物活性特にその
細胞毒性を増加させることができることが見出された.好ましくは1個またはそ
れ以上のアミノ酸残基の嵩高さ及び親油性を増加させる。
【0007】 本発明によれば、3個またはそれ以上のカチオン性残基をもつ7ないし25量
体細胞毒性ペプチドを提供する。これは任意に両極性α−ヘリックスを形成する
ことができ、1個以上の非遺伝性の嵩高い及び/又は親油性アミノ酸を持つか、
または公知のまたは天然の細胞毒性ペプチドの少なくとも40%の配列同族体を
もち更に1個またはそれ以上の嵩高い及び/又は親油性アミノ酸、及びそのエス
テル、アミド、塩及び環状誘導体を有する。
【0008】 この同族体%は,好ましくは50または60%以上、特に70または80%以
上である。本発明の目的のためには、“配列同族体”という語は配列が同一であ
るとして使用されておらず、同じアミノ酸が存在するかまたは同じ官能基からの
アミノ酸が存在するという意味である。標準遺伝子コードのアミノ酸はその特性
、特に極性及び電荷に従ってグループ別けすることができる。グループ分けは、
便利には、グリシンとアラニン、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミ
ンとシステイン、リジン、アルギニンとヒスチジン、アスパラギン酸とグルタミ
ン酸、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリ
プトファンとチロシンである。20の標準(遺伝性)アミノ酸のうち、バリン、
ロイシン、イソロイシン、メチオニン、チロシン、トリプトファン及びフェニル
アラニンは“嵩高い及び/又は親油性”アミノ酸という言葉でカバーされる予定
である。イソロイシン、トリプトファン及びフェニルアラニンが好ましい。この
明細書全体にわたって20の標準アミノ酸のために広く使用され理解されている
3文字及び1文字コードを使用した。1つのグループのアミノ酸を同じグループ
の他のアミノ酸で置換することは便宜的に“保守的置換”とした。そのような置
換は一般に本発明のペプチドの性質には実質的に影響せずそしてそのような置換
によってのみ他のものからペプチドが異なる場合は、もし1つのペプチドが本発
明によるペプチドであるならば、典型的にはその別のペプチドもまた本発明によ
るペプチドである。
【0009】 本発明の好ましい実施態様によれば、3個またはそれ以上のカチオン性残基を
有する7ないし25量体細胞毒性ペプチドを提供し、これは任意に両極性α−ヘ
リックスを形成することができそして1個またはそれ以上の非遺伝性の嵩高い親
油性アミノ酸及びそのエステル、アミド、塩及びその環状誘導体を有するもので
ある。
【0010】 非遺伝性の嵩高くて親油性アミノ酸を挿入するペプチドは好ましくはバクテリ
アまたは腫瘍細胞に対して増大した細胞毒性効果を示し、他方ペプチドの毒性、
例えばその溶血活性は減少されるか、または天然の、またはもとのペプチドに比
較してほんの少しだけ増加しているものである。
【0011】 驚くべきことに、ある大きさのアミノ酸またはその誘導体が細胞毒性ペプチド
として使用するのに特に適する変更されたペプチドを与えるために使用すること
ができることが見出された。このように、本発明によれば“非遺伝性の嵩高いそ
して親油性アミノ酸”という語によって、自然に存在するが20の標準遺伝子コ
ードアミノ酸のうちの1つではなく、そのR基(α−側鎖)が好ましくは荷電さ
れておらずそして少なくとも7,好ましくは8、より好ましくは9個の水素では
ない原子を有するアミノ酸又はアミノ酸誘導体を意味する。特に好ましい非遺伝
性の嵩高い親油性アミノ酸はそのR基に少なくとも12、好ましくは少なくとも
18個の水素でない原子を有する。例としてアミノ酸フェニルアラニンのR基は
7個の非水素原子を有するが、それは遺伝子コードのもの、または“標準の”ア
ミノ酸の1つであるので“非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸”という我々の定義
内には入らない。“非水素”という語は分子または基の中に存在する原子数を数
える時に水素原子は含まれないことを示すために使用されている。
【0012】 非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸におけるR基は好ましくは少なくとも8また
は9個の非水素原子、例えば炭素原子を有し、理想的には閉環系を含む。より好
ましくは、5または6個の原子の少なくとも2つの閉環系を有し、これらの2つ
の環が縮合しているか橋かけしているのが便利である。この基は1個だけの環を
含んでも良いがこの環は重度に枝わかれしたアルキル基によって置換され、アル
キル基は1個以上の枝わかれ部位または非水素原子への4個の結合位をもつ1個
の枝わかれ部位をもつものである。環系は炭素原子から作られ、任意に窒素、酸
素または硫黄原子をも含む。特に好ましいアミノ酸は置換または非置換インドー
ルを含む。基は好ましくは3次元であるべきである。好ましい非遺伝性の嵩高い
親油性アミノ酸は、アダマンチルアラニン、3−ベンゾチエニルアラニン、4,4´
−ビフェニルアラニン、3,3−ジフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、2,6
−ジクロロベンジルチロシン、シクロヘキシルチロシン、7−ベンジルオキシト
リプトファン、トリ−ターシャル−ブチルトリプトファン、ホモトリプトファン
、3−(−アントラセニル)−L−アラニン、L−p−イソプロピルフェニルア
ラニン、L−チロキシン、3,3´,5−トリヨード−L−チロニンである。
【0013】 親油性分子は、それ自身の種類と水溶液中で会合するもので、親油性分子間の相
互作用が、親油性分子と水分子との間の作用よりも強いからという必要はなく親
油性分子と水との間の相互作用が水分子自身の間のより強い相互作用を破壊する
からである。従って非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸のR基は多くの極性官能基
を含むべきではなく、例えば4個より多くなく、好ましくは2またはそれより少
ない極性官能基を含むべきである。そのような基は水性の周囲との結合相互作用
を増大し、従って分子の親油性を低くするであろう。従って高い親油性基が好ま
しい。例えば、嵩高い親油性基の要素としてのフェニル基はピリジル基よりも両
者が同じ数の非水素原子を有し全体として似たような大きさをもっているにも拘
らず、好ましい。
【0014】 従って、適する嵩高で親油性のアミノ酸残基は、天然に存在する、及び天然に存
在しないもので、前記に定義したR基を有するアミノ酸であって、例えばアダマ
ンチルアラニンまたは遺伝子コードされたアミノ酸でそのR基が前記定義したよ
うな非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸を与えるように変更されたものを含むアミ
ノ酸である。
【0015】 この第2のカテゴリーに入る非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸は変更トリプトフ
ァン及びフェニルアラニン残基を含み、特にインドール環の1−、2−、5−及び
/又は7−位で置換されたトリプトファン残基が好ましく、1−または2−の位置
がより好ましい。嵩高で親油性を有する種々の他のアミノ酸誘導体が当業者に知
られており、“非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸”の語の内に含まれようとして
いる。
【0016】 適するアミノ酸はチロキシン及び下記の市販されているアミノ酸及びその誘導体
を含む。
【0017】 L−3−ベンゾチエニルアラニン、CAS=72120-71-9(Synthetech)、D−3
−ベンゾチエニルアラニン、CAS=111139-55-0(Synthetech)、L−4,4
’−ビフェニルアラニン、(Synthetech)、D−4,4’−ビフェニルアラニン
、(Synthetech)、L−4−ブロモフェニルアラニン、CAS=24250-84-8(Sy
nthetech)、D−4−ブロモフェニルアラニン、CAS=62561-74-4(Synthetec
h)、L−2−クロロフェニルアラニン、CAS=103616-89-3(Synthetech)、
D−2−クロロフェニルアラニン、CAS=80126-50-7(Synthetech)、L−3
−クロロフェニルアラニン、CAS=80126-51-8(Synthetech)、D−3−クロ
ロフェニルアラニン、CAS=80126-52-9(Synthetech)、L−4−クロロフェ
ニルアラニン、CAS=14173-39-8(Synthetech)、D−4−クロロフェニルア
ラニン、CAS=14091-08-8(Synthetech)、L−3−シアノフェニルアラニン
、CAS=57213-48-6(Synthetech)、D−3−シアノフェニルアラニン(Synth
etech)、L−4−シアノフェニルアラニン(Synthetech)、D−4−シアノフェ
ニルアラニン(Synthetech)、L−3,4−ジクロロフェニルアラニン、CAS
=52794-99-7(Synthetech)、D−3,4−ジクロロフェニルアラニン、CAS
=52794-98-6(Synthetech)、L−3,3−ジフェニルアラニン(Synthetech)
、D−3,3−ジフェニルアラニン(Synthetech)、L−ホモフェニルアラニン、
CAS=943-73-7(Synthetech)、D−ホモフェニルアラニン、CAS=82795-5
1-5(Synthetech)、L−2−インダニルグリシン(Synthetech)、D−2−イ
ンダニルグリシン(Synthetech)、L−4−ヨードフェニルアラニン、CAS=
24250-85-9(Synthetech)、D−4−ヨードフェニルアラニン、CAS=62561-
75-5(Synthetech)、L−1−ナフチルアラニン、CAS=55516-54-6(Synthe
tech)、D−1−ナフチルアラニン、CAS=78306-92-0(Synthetech)、L−
2−ナフチルアラニン、CAS=58438-03-2(Synthetech)、D−2−ナフチル
アラニン、CAS=76985-09-6(Synthetech)、L−3−トリフルオロメチルフ
ェニルアラニン、CAS=14464-68-7(Synthetech)、D−3−トリフルオロメ
チルフェニルアラニン(Synthetech)、L−4−トリフルオロメチルフェニルア
ラニン、CAS=114926-38-4(Synthetech)、D−4−トリフルオロメチルフ
ェニルアラニン、CAS=114872-99-0(Synthetech)、Boc−D−ホモフェ
ニルアラニン(Neosystem Laboratoire)、Boc−L−ホモフェニルアラニン
(Neosystem Laboratoire)、Fmoc−4−メチル−D−フェニルアラニン(Neosys
tem Laboratoire)、Fmoc−4−メチル−L−フェニルアラニン(Neosystem Labo
ratoire)、2,6−ジクロロベンジルチロシン、CAS=40298-71-3(Senn C
hemicals)、ベンジルチロシン Fmoc(Senn Chemicals)、シクロヘキシルチ
ロシン Fmoc(Senn Chemicals)、L−3,5ジヨードチロシン、CAS=300-
39-0(Senn Chemicals)、D−3,5ジヨードチロシン(Senn Chemicals)、L
−3,5ジブロモチロシン(Senn Chemicals)、D−3,5ジブロモチロシン(
Senn Chemicals)、L−ターシャルブチルチロシン(Senn Chemicals)、
L−ターシャルブチルチロシン(Senn Chemicals)、N−アセチルホモトリプト
ファン(Toronto Research)、7−ベンジルオキシトリプトファン(Toronto
Research)、ホモトリプトファン(Toronto Research)、3−(−アントラセ
ニル)−L−アラニンBoc(又はFmoc)(Peninsula Laboratories)、3−(3
,5−ジブロモ−4−クロロフェニル)−L−アラニン(Peninsula Laboratori
es)、3−(3,5−ジブロモ−4−クロロフェニル)−D−アラニン(Peninsu
la Laboratories)、3−(2−キノイル)−L−アラニンBoc(又はFmoc)(Pe
ninsula Laboratories)、3−(2−キノイル)−D−アラニンBoc(又はFmoc
)(Peninsula Laboratories)、2−インダニル−L−グリシンBoc(Peninsula
Laboratories)、2−インダニル−D−グリシンBoc(Peninsula Laboratorie
s)、L−p−ターシャルブトキシフェニルグリシンFmoc(RSP)、L−2−ターシ
ャルブトキシフェニルアラニンFmoc(RSP)、L−3−ターシャルブトキシフェニ
ルアラニンFmoc(RSP)、L−ホモチロシン、O−ターシャルブチルエーテルFmoc
(RSP)、L−p−ターシャルブトキシメチルフェニルアラニンFmoc(RSP)、L−
p−メチルフェニルアラニンFmoc(RSP)、L−p−エチルフェニルアラニンFmoc
(RSP)、L−p−イソプロピルフェニルアラニンFmoc(RSP)、L−p−メトキシ
フェニルアラニンFmoc(RSP)、L−p(ターシャルブチルチオ)フェニルアラニ
ンFmoc(RSP)、L−p−(Trt−チオメチル)フェニルアラニンFmoc(RSP)、L
−p−ヒドロキシメチル−フェニルアラニン、O−t−ブチル(RSP)、L−p−
ベンゾイルフェニルアラニン(Advanced Chem Tech)、D−p−ベンゾイル−
フェニルアラニン(Advanced Chem Tech)、O−ベンジル−L−ホモセリンBoc
(Advanced Chem Tech)、L−β−1−ナフチル−アラニン(Advanced Chem
Tech)、D−β−1−ナフチル−アラニン(Advanced Chem Tech)、L−ペン
タ−フルオロフェニルアラニンBoc(Advanced Chem Tech)、D−ペンタ−フル
オロフェニルアラニンBoc(Advanced Chem Tech)、D−ペンタ−フルオロフェ
ニルアラニンBoc(Advanced Chem Tech)、3,5−ジヨード−L−チロシンFm
oc(Boc)(Advanced Chem Tech)、L−チロキシンNa, CAS=6106-07-6(
Navabiochem)、3,3’,5−トリヨード−L−チロニンNa, CAS=55-06-1
(Navabiochem)
【0018】 驚くべきことに、R基に結合され、それによって残基の嵩高さと親油性を増大さ
せた時、標準の化学的保護基がペプチドの生物活性を増加できることが見出され
た。そのような保護基は当業者に公知である。有意に抗バクテリア活性を増大さ
せることのできる適当な保護基はPmc(2,2,5,7,8−ペンタメチルクロ
マン−6−スルホニル)、Mtr(4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼ
ンスルホニル)、及びPbf(2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾ
フランスルホニル)を含み、これらは芳香族アミノ酸、例えばPhe、Trp及びTyr
の容積と親油性を便利に増大させるであろう。ターシャルブチル基も広い範囲の
アミノ酸のための一般的な保護基であり、ここで記載したように特に芳香族基を
変更する時、非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸を与えることができる。カルボキ
シルベンジル基(Z-基)は更にアミノ酸の容積と親油性を増大させるのに使用す
ることができる保護基で、本発明によるペプチドを与える。
【0019】 増大する生物活性の初期の観察は、ペプチド内でアルギニンのグアニジノ基から
トリプトファンへの保護基Pmcの予期せぬ好運な移動の結果として観察されたの
であるが保護基をもつTrpのようなアミノ酸は直接合成することができ、そして
ペプチドへ挿入することができる。
【0020】 このArgからTrpへのPmcの移動はStierandova等によって観察された[Int. J. of
Peptide Science (1994) 43, 31-38]。本発明によるペプチドはこのArgからTrp
への保護基の移動を利用することによって作ることができる。これらの2つのア
ミノ酸が1−3個のアミノ酸によって分離される時、Pmcの移動は最も効率的であ
る。本発明によるペプチドはこのように保護基を持つアミノ酸例えばインドール
環の2位に結合するPmcをもつTrpを便利に包含する。Pmc基をTrpに結合させ、こ
れを加えてもよいし、またはもとのペプチド中に存在するTrp残基にPmc基を結合
させても良い。本発明の好ましい実施態様においてはペプチドが1個またはそれ
以上のトリプトファン残基を更に挿入し、その大きさと親油性を更に増加させる
ためにこれを変更しそのようにして本発明によるペプチドを与える。
【0021】 本発明の関連において“環状誘導体”とは1個またはそれ以上のジ−スルフィド
橋の結果として環状であるペプチドを指す。2個以上のシステイン残基を挿入し
ているいくつかのペプチドにはこれは天然に存在する形であり、線状ペプチドの
製造はシステイン残基の変更を必要とするであろう。
【0022】 非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸はもとの配列のアミノ酸に加えて存在するであ
ろうし、これはそれ自身で天然に存在するペプチド、またはそのフラグメントま
たは天然に存在するペプチドまたはフラグメントに他の変更を加えたもの、また
は完全に合成したものであり得る。それに代わって、そして好ましくは、非遺伝
性の嵩高で親油性のアミノ酸はもとの配列中のアミノ酸の1つの代わりに存在で
きる。アミノ酸が“加えられる”時、ペプチド中にすべてのもともとのアミノ酸
が留まっている。余分のアミノ酸が“置換される”時、それはもとのアミノ酸の
1個に置きかわる。然しこの置換は存在する残基の変更を含み、前に定義したよ
うな非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸を与える。
【0023】 非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸は、好ましくは他の、天然に存在する非必須ア
ミノ酸の代わりに存在する。“非必須”という語は全体として細胞毒活性を示す
ペプチドにとってその存在が必要とされないアミノ酸を意味する。典型的には非
遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸の挿入前のペプチドはある細胞毒活性を示すがこ
の活性は非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸の挿入によって増大される。
【0024】 本発明の好ましい実施態様において非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸はもとのペ
プチド中に存在する遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸に隣接して存在するか、好ま
しくはそのアミノ酸の場所に存在する。換言すれば、すでにある嵩高で親油性ア
ミノ酸をもっと嵩高で親油性にするということである。これはもとのアミノ酸の
R基の変更によって、またはそのアミノ酸を非遺伝性のアミノ酸で置換すること
によって達成される。遺伝的にコードされたアミノ酸で嵩高くそして/又は親油
性であると考えることのできるアミノ酸は前に定義してある。このように、本発
明の好ましい実施態様においてペプチドは非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸を、
例えば変更トリプトファン残基(例えばTrp−Pmc)の形で、または例えばトリプ
トファンまたはフェニルアラニンの位置に例えばトリブチルトリプトファン残基
の形で挿入する。
【0025】 本発明のペプチドは、1ないし5個、例えば2または3個の非遺伝性の嵩高で親
油性アミノ酸をここで定義したように挿入するのが好ましい。
【0026】 細胞毒性を増加するために与えられた細胞毒性ペプチドに非遺伝性の嵩高い親油
性アミノ酸を挿入するために適する位置は多くの方法で決めることができる。上
記の如く、“挿入”の語は存在している残基の変更をも包含する。その嵩高さと
親油性を増加するために、嵩高で親油性アミノ酸により置換または変更すること
のできる非必須アミノ酸を決定するためにアラニンスキャン(アラニンによるア
ミノ酸の配列置換を含む)を使用することができる。その代わりとして、両性α
−ヘリックスを形成する、予定されたペプチドを残基の“らせん輪転(helical
wheel)”として表わすことができ、カチオン性残基を同定することができる。
これらのカチオン性残基は3次元のらせんペプチド構造内に陽性に荷電された領
域または範囲を形成する。そして非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸を与えるため
に挿入又は変更に適した位置は、らせん輪転の軸にそって見ていく時、一般にそ
のようなカチオン性領域に隣接するかまたはそのようなカチオン領域の間である
【0027】 嵩高で親油性アミノ酸をもともとの/天然の配列中のその位置からカチオン性の
区域に隣接する領域へ移動することにより、従ってそのペプチドの全体としての
アミノ酸組成は不変のままであるのに、抗細菌及び/又は抗腫瘍活性が増大され
そして好ましくは毒性が減少されているペプチドを製造できることさえ見出され
た。3個またはそれ以上のカチオン性残基をもち両性α−ヘリックスを形成する
ことができ、そのカチオン領域に隣接して余分の嵩高い親油性アミノ酸を有し、
この余分の嵩高い親油性アミノ酸は、配列中の好ましくない他の位置からとった
ものである。そのような7−25量体ペプチドは本発明の更に別の態様を構成す
る。嵩高い親油性アミノ酸の代わりに、嵩高い親油性アミノ酸を置き換えるカチ
オン性領域に隣接する所からの残基または他のあまり大きくもなく親油性でもな
いアミノ酸を入れることができる。カチオン性領域に隣接する区域(好ましい位
置)へ移動することのできる、好ましくない位置にある嵩高で親油性アミノ酸の
適当なものは、例えば非必須アミノ酸を同定するアラニンスキャンによって、ま
たはらせん輪転配置を研究することによって決定することができる。好ましくな
い位置は典型的にはカチオン性区域の反対側である。
【0028】 例えばトリプトファンまたはフェニルアラニンのような非必須で非常に嵩高くて
親油性のアミノ酸を、例えばイソロイシンまたはロイシンまたはアラニンまたは
リジンのようなあまり大きくもなく親油性でもないアミノ酸で置き換えることに
より、かなりの抗バクテリアまたは抗腫瘍活性を有するが減少させた毒性(即ち
高められた選択性)をもつペプチドを製造することができることも発見された。
一般的に“非必須”の嵩高で親油性アミノ酸はカチオン性区域から、らせんの反
対側に位置している。そのような非必須の嵩高で親油性アミノ酸はらせん輪転図
またはアラニンスキャンを使用して同定することができる。然しながらこれらの
ペプチドはここで定義したように少なくとも3個の嵩高で親油性のアミノ酸を保
持しているべきである。このように7ないし25のアミノ酸を有し、少なくとも
3個のカチオン性残基と、少なくとも3個の嵩高で親油性アミノ酸を有し、両極
性のα−ヘリックスを形成することができる変更された細胞毒性ペプチドであっ
て、もともとの/天然の配列中の1個の非必須トリプトファンまたはフェニルア
ラニン残基を、より小さいあまり親油性でない残基、例えばイソロイシンまたは
アラニンによって置換してある変更した細胞毒性ペプチドは本発明の更に別の態
様を構成する。インドリシンは天然に存在するトリプトファン豊富なペプチドで
あり、これはその毒性を減らすためにこの方法で便利に変更することができる。
【0029】 嵩高で親油性アミノ酸の挿入のために適する他の場所は存在している親油性アミ
ノ酸の近く、好ましくはそれに隣接する位置である。近接位置はペプチドの第1
構造よりむしろ第2構造について判断される。アラニンスキャンを実施する技術
及びらせん輪転図を構成する技術は当事者に公知である。
【0030】 LFB(17−31)(10個の炭素末端残基が欠如しているLFBの15個のアミノ
酸断片)の場合、アラニンスキャンを使用して決定された非必須アミノ酸はCys
(3)、Glu(7)及びGly(14)であった。ここでの番号はペプチドそれ自身
に関する絶対数である。非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸によってこれらのアミ
ノ酸を置換したLFB(17−31)の類似体は特に効果的である。マゲニン2の
ようなマゲニンペプチドを変更するためには、Phe(16)及びGlu(19)の位
置での非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸の挿入が特に効果的である。
【0031】 1個以上の非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸の存在に加えて、本発明によるペプ
チドは更に変更を行うことが有利である。特に、例えば1個またはそれ以上の天
然に存在するアミノ酸、特に非必須アミノ酸を1個またはそれ以上のプラスに荷
電した残基、例えばリジンまたはアルギニンによって置換することによりペプチ
ドの全体的なプラス電荷を増加させることはペプチドの活性をより一層増大する
。“プラスに荷電”という語はpH7.0で純粋にプラス電荷をもつアミノ酸残
基の側鎖(R−基)を表わす。抗腫瘍剤として使用するためのペプチドの場合、
ペプチドは有利にはα−ヘリックスを形成することができ、カチオン性領域によ
って限定される角度、即ちらせんのプラスに荷電された面の角度を小さくするの
に役立つペプチド配列内の置換が更に活性を増大する。事実、限定される角度を
小さくすることは、それ自体の純粋プラス電荷よりも活性に与えるインパクトが
大きい。他の残基はアラニンで置換されるのが有利である。更に、“遺伝性”の
嵩高い及び/又は親油性アミノ酸例えばTrpまたはPheもまたここで定義したよう
に有利に挿入される。
【0032】 本発明によるペプチドを与えるために変更しうる適当なペプチドは、マゲニン、
PGLa、類似体、セクロピン、デフェンシン、メリチン及びラクトフェリン及び(
L)類溶菌性ペプチドなどのような細胞毒活性、特に抗細菌活性をその変更され
ない形で細胞毒性を示すことが知られているすべてのペプチドを含む。更に適す
るペプチドは、天然には存在しないが合成されており細胞毒活性を示すものを含
み、そのようなペプチドはモデリン類を含む。この関連において、“未変更の”
という語は天然に存在する蛋白質またはペプチドの消化によって得られる断片を
も含む。新しい抗バクテリア性蛋白質及びペプチドはまだまだ発見されており、
本発明の技術は一般的な応用能力をもっており、これまで同定されていないが細
胞毒性、特に抗細菌剤として今後特徴づけられるペプチドにかなりの程度の成功
チャンスをもって簡単に応用することができると信じられる。
【0033】 本発明による特に好ましいペプチドは、ラクトフェリン断片、特に牛のラクトフ
ェリン(LFB)またはその断片に基づくもの、(例えばLFB17-31)または他の動
物からのラクトフェリンの同等の断片に基づくものである。
【0034】 本発明によるペプチドの特に有利な点はその大きさが小さいことであり、15個
またはそれより少ないアミノ酸をもつペプチドが好ましい。特に有利には9個ま
たは10個のアミノ酸またはそれより少ないものである。そのような効果的な小
さいペプチドの1つはLFB(17−27)で、LFB(17−31)のC-末端からLys2
8、Leu29、Gly30及びAla31を除去したものである。ペプチドはいかなる
公知の方法によってでも製造され、天然ペプチドの酵素による消化または化学的
開裂及びそれに続く変更により、またはアミノ酸構築ブロックからの直接合成に
よって製造するのが有利である。製造に関する限り、所望するペプチドが短いほ
ど良く、特に製造法として好ましい直接合成の場合アミノ酸のキラル性に関連す
る問題を限定するので好ましい。その上、短いペプチドは生体受渡しが良好であ
る。注射の必要がなく、鼻の毛細血管を通る吸入や吸収によって投与できる抗微
生物剤がますます要求されている。10量体ペプチドはこの方法で容易に投与で
きるが、長さで25個以上のアミノ酸を有するペプチドは吸入によっては到達す
ることができない。
【0035】 ペプチドの循環半減期を増大させることも望まれ、これは本発明のペプチドを更
に変更して、酵素による破壊に抵抗性のあるような人工のアミノ酸を含むことに
よって達成されるであろう。長いペプチドは、ペプチドの内部で開裂するエンド
ペプチダーゼによる破壊をうけ易く、短いペプチドはエンドペプチダーゼによる
開裂に対して損傷を受けることが少なく、ペプチドの末端を攻撃するエクソペプ
チダーゼによる破壊はN-末端基をアセチル化することにより、またはC-末端基を
ブロックすることにより減少させることができる。
【0036】 エナンチオアミノ酸の挿入は本発明のペプチドの生物活性を有意に増加すること
ができることも観察された。そのようなペプチドは本発明の更に好ましい実施態
様を構成する。天然のペプチドの正確な鏡像であるエナンチオペプチド及び天然
のペプチドと同じα−らせん構造をとるがアミド結合点が反対方向にあるレトロ
−エナンチオペプチドがすぐれた抗微生物活性を示した。好ましくは本発明によ
れば前記の定義のように、そのようなペプチドも、非遺伝性の嵩高で親油性のア
ミノ酸を挿入される。
【0037】 エナンチオアミノ酸も酵素による破壊に抵抗性であり、その結果ペプチドの半減
期を増加させることが増大された抗細菌活性をある程度説明するであろう。エナ
ンチオアミノ酸は高価で、それが本発明による比較的短いペプチドが特に有利で
ある理由でもある。
【0038】 本発明による更に好ましいペプチドは、従って非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸
を前記の定義のように挿入し、そして1個またはそれ以上のD-アミノ酸、例えば
アミノ酸の1/3または1/2または2/3がD−型であるものを含み、これら
は配列全体にわたって例えばL-アミノ酸に代わって、如何なる方法ででも配置さ
れているものである。
【0039】 両極性α−ヘリックスを形成する“能力”という語によって、ある環境において
ペプチドがα−ヘリックスを形成することを意味する。ペプチドは水性媒体中で
はその天然の立体構造としてはα−ヘリックスをもつ必要はないが、然し例えば
ナトリウムドデシルサルフェート(SDS)、2,2,2−トリフルオロエタノー
ル(TFE)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP
)またはSDSの他のミセル及び細胞膜(人工及び天然)のようならせん構造を与
える物質の存在下ではα−ヘリックスまたは実質的にα−らせん構造を形成する
ことができる。α−ヘリックスの存在をテストするために円型二色性を便利に使
用できる。
【0040】 α−ヘリックスの形成よりもっと重要なことはペプチドが両極性であること、即
ちペプチドがα−らせん状であってもなくても、ペプチドの2°構造が両極性で
あるという事実である。このことは、どんな環境でもα−ヘリックスを形成しな
いエナンチオペプチド及び1個以上のD-アミノ酸を挿入しているペプチドの良好
な活性によって証明される。従って両極性α−らせん構造という要件は本発明の
本質的な要件ではない。
【0041】 更に本発明は非ペプチド要素でその蛋白質対応部と同じ細胞毒活性を示すものに
も関する。そのようなペプチド模倣化合物(peptidomimetics)または“小分子
”で蛋白質またはペプチドの活性を模造することのできるものは、それらの化学
安定性が増加している故に例えば経口投与に良好に適しているようである。その
ような要素は、前記の定義のような“非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸”に対応
する部分を含む。より詳細には、これらは前記の非遺伝性、嵩高で親油性のアミ
ノ酸のR基に対応する基、即ち少なくとも7、好ましくは少なくとも9個の非水
素原子をR基の同等位に有し、この基は荷電されておらず好ましくは極性基をあ
まり含まない基を含む。
【0042】 現在では、ペプチドまたは蛋白質ベースの有効成分、例えば治療用ペプチドをそ
のような機能的に同等の活性を有するペプチド模倣物で置き換えることは当業者
にとって普通である。種々の分子ライブラリーや化学の組み合わせ技術が存在し
、標準技術を使用してそのような要素の同定、選択及び/又は合成のために利用
できる(Kieber-Emons, T. et al, 生物技術における現在の見解1997、8:435-4
41)。そのような標準技術は本発明によるペプチド模倣化合物、即ち本発明のペ
プチドと実質的に同じかまたは類似の細胞毒活性を示すペプチド模倣有機化合物
、例えば本願実施例に記載した化合物を得るために使用される。
【0043】 本発明の更なる態様は、従って、本発明のペプチドをベースとする生物模倣有機
化合物を与えることであり、該化合物はここで前に定義したように、少なくとも
本発明のペプチドにより示されるレベルで細胞毒活性、例えば抗微生物または抗
腫瘍活性を示すことを特徴とする。
【0044】 “細胞毒性”という語は、単に原核細胞に対して活性であるのみならず、真核細
胞に対しても活性であることを示す。ある環境では良好な抗微生物活性を示すが
溶血または患者の細胞を破壊しないようなペプチドを得ることが望まれるが本発
明の範囲内のペプチドは抗腫瘍活性をもつことを示した。これらのペプチドの抗
腫瘍活性及びそれを含む薬剤は更に本発明の態様を構成する。抗腫瘍活性は良性
または悪性腫瘍の大きさまたは数を破壊または減少させ、転移の防止または減少
を含む。
【0045】 一般に、非遺伝性アミノ酸を持たず腫瘍細胞に対して良好な活性を有する本発明
によるラクトフェリン誘導ペプチドは25−10、好ましくは12−20、例え
ば18個のアミノ酸を有する。非遺伝性の嵩高で親油性基により、良好な抗腫瘍
活性を有するペプチドは一般に短いもので、7−20、好ましくは10−20、
より好ましくは10−15個のアミノ酸を有する。例として、LFB17-27A7、M3、
R2、11W4、10、Y1-NH2PMC及びLFB18−24R1、7W2,3,6−NH2PMCはMethA細胞の50
%を殺すためにそれぞれ50及び38μg/mlのみを必要とする。
【0046】 一般的に腫瘍に対して良好な活性をもつペプチドは良好な抗細菌活性を示すもの
よりも長い。抗バクテリア活性ペプチドは典型的には7ないし20、好ましくは
7ないし14、例えば8または9個のアミノ酸を有する。
【0047】 変更されたペプチドは、ペプチドがバクテリア細胞上に溶解効果をもつらしいと
いう事実からのみ予想されるよりはずっと良好な抗腫瘍活性を示す。試験管中で
観察された腫瘍細胞への溶解効果は強力でマウス中の腫瘍退化は非常に速く、3
ないし6日以内に起る。治療後及びもとの腫瘍の退化後にマウスに腫瘍細胞を接
種しても2次的な腫瘍の成長を起こさなかったので、免疫上の記憶の誘導がある
ものと思われる。
【0048】 重要なことは、変更していないLFBを使っても成長した腫瘍の退化を示したこと
である。これに関連して“変更しない”という語は、この抗腫瘍活性を示すLFB
の断片、例えばLFB(17-31)をも表わす。ペプチドは環状でも線状でも良いが好
ましくは環状である。腫瘍が部分切除不可能な場合に固い腫瘍を治療する能力は
特に有効である。更に有利なことは、腫瘍上に観察された細胞溶解効果はその種
類に特異なものでなく、従ってペプチドを人間の腫瘍の治療に使用できるという
ことである。
【0049】 腫瘍の治療のために適する生物活性ペプチドの投与量は当事者に公知であり、こ
こに記載した動物実験で使用した投与量は他の動物及び人間の患者のための大体
の投与量を概算するために使用することができる。ペプチドの投与は毎日であり
、通常は1日おきまたは3日おきまたは4日おきである。1ないし10、典型的
には2ないし5回の投与が良好な治療効果を与える。同様の治療プロトコールを
バクテリアまたはヴィールスの感染症の治療のために使用する。
【0050】 本発明によるペプチドは好ましくは少なくともLFB(17-31)と同じ細胞毒性を示
す。本発明によるペプチドのあるものはある点(例えば抗腫瘍)においてはLFB
(17-31)よりももっと活性であるが他の点、例えば大腸菌に対する点では活性
が小さい。あるペプチドは活性は小さいが、然し他の性質、例えば低い溶血性が
特定の応用において有用性を与えるであろう。
【0051】 本発明のペプチドの抗細菌活性は多くの異なる方法で現われる。ある変更は静菌
性ペプチドを与える結果になり他の変更は殺菌性のペプチドの結果をもたらす。
本発明によるペプチドの大部分のものは有利なことに、殺菌性である。とりわけ
本発明は本発明による細胞毒性ペプチドの阻害効果を示す量をバクテリアに接触
させることからなるバクテリアの成長を阻止する方法をも与える。
【0052】 “接触させる”という語はバクテリアをペプチドに暴露し、それによってバクテ
リアを効果的に阻害、殺菌またはバクテリアを溶解させエンドトキシン(LPS)
と結合させ、またはグラム陰性バクテリア外膜に浸透させることを示している。
“接触”は試験管中で例えばペプチドに対するバクテリアの感受性をテストする
ためペプチドをバクテリア培養液中に加えることにより行う。試験管中で、例え
ばバクテリア性病気、例えば腐敗ショックをもつものにペプチドを投与すること
で接触を行う。“阻害”または“阻害に効果的な量”という語は静菌または殺菌
効果を起こすために必要とされるペプチドの量を表わす。阻害されるべきバクテ
リアの例は大腸菌(E.coli)、P. aeruginosa, E. cloacae, S. typhimurium及
びS. aureusを含む。バクテリアの成長阻害方法は更に、組み合わせまたは相乗
的治療のための抗生剤を添加することを含む。投与される抗生剤の適当なものは
、典型的にはバクテリアの感受性に依存し、例えば、バクテリアがグラム陰性菌
かグラム陽性菌かに依存し、当業者における手段の1つによって容易に識別され
る。
【0053】 更に、異なる変更は、あるタイプのバクテリアに対して他のタイプのものに対す
るよりも抗細菌活性をより大きく増大させる。例えばS. aureusは、非常に大き
い嵩高で親油性基、典型的にはR基中に少なくとも12または18の非水素原子
をもつもの、例えばPmc変更されたトリプトファン残基を挿入したペプチドに対
して特に感受性が高い。それに加えて、実質的に平面状であるR基は大腸菌に対
して良好な活性を示し、一方比較的親油性である、より3次元の基はS. aureus
に対して良好な活性を作り出すために望ましい。
【0054】 上記の如く、非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸を挿入することにより活性を増大
させる技術は細胞毒性ペプチドの広範な種類に一般的に応用される。特にL(溶
解性)類ペプチド、特に興味のあるのはマンマリアンから誘導されるペプチド、
特にラクトフェリンから誘導されるペプチド、特にラクトフェリシンである。抗
細胞活性を有意に失うことなく、牛ラクトフェリシンの配列(LFB17-41)では約
10個までの残基をC-末端で減少させる、例えばLFB(17-31)まで減らすことが
できるということがわかった。LFB17-31=FKCRRWQWRMKKLGA。牛
ラクトフェリシンと同様に、我々は人間でもLFB17-31に対応する領域を同定
した。LFH=TKCFQWQRNMRKVRG、ヤギ、LFC=SKCYQWQRRMRKLGA、マウス、LFM=EKCL
RWQNEMRKVGG、ブタ、LFP=SKCRQWQSKIRRTNP。そしてそのような領域は本発明によ
る操作のためにも適当であることがわかった。
【0055】 上で述べたあるペプチドの親油性における増加効果の変化が観察された。本発明
の更なる態様は、1端に付加的な嵩高で/親油性基を持つことを特徴とする15
個またはそれ以下のアミノ酸の細胞毒性ペプチドを含むことからなる。本発明の
この面に関して、嵩高で親油性基は、保護基のような有機の基、特にFmoc、Boc
または他の標準的なN-末端保護基、または枝分かれした、線状又は環状の一般式
CH3(CH2)nで表わされるアルキル基(式中nは5ないし20、好ましくは8ない
し14で、最も好ましいのは10ないし12である)、または6ないし21、好
ましくは9ないし15で、最も好ましくは11ないし13個の炭素原子を有する
枝分かれした、線状または環状アシル基を含む。例えば、そのN-末端にCH3(CH2)
nアルキル基を有するLFB(17-31)ペプチドは抗菌活性において10倍まで増大
された。これらの基は残基のN-末端またはC-末端、またはN-またはC-末端残基の
近く好ましくは隣りに結合される。これらの基は天然のアミノ酸残基に結合され
てもよく、または嵩高で親油性基をもつ非天然のアミノ酸をペプチド中に結合さ
せてもよい。“細胞毒性ペプチド”の適当な定義は上で述べた通りである。
【0056】 アミノ酸及びペプチドの嵩高で親油性の性質はN-末端またはC-末端での変更によ
って増大させることができ、そのような変更は本発明によるペプチドを更に得る
結果となる。
【0057】 従って、上で述べたような非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸を挿入する代わりに
、または挿入に加えてペプチドをN-及び/又はC-末端位で変更してもよい。
【0058】 更に明確には、好ましくはアルキル基またはアリール基である5または6員環の
環状基を含む変更をN-末端基に挿入することによって抗細菌性及び/又は抗腫瘍
活性を有するが毒性の低いペプチドが作られることが見出された。更に好ましく
は、N-末端変更を含む基は2個またはそれ以上の縮合環でその1個以上が5−員
環であるもの、例えばアダマンチルまたはFmocを含む。驚くべきことに3次元性
質をもつ基、例えば、単一な平面内に存在しない縮合環系と結合したものは特に
有利な性質をもつことが見出された。
【0059】 N-末端基を変更するために使用できる適当な分子は下記のものを含む: シス−ビシクロ[3,3,0]オクタン−2−カルボン酸、[18209-43-3](Aldrich);
アビエチン酸、[514-10-3](Aldrich);ウルソル酸、[77-52-1](Aldrich);(
1、2−メタノフレレン−C60)-61-カルボン酸、[155116-19-1](Fluka);ジメ
チルクバン-1、4-ジカルボキシレート、[29412-62-2](Fluka);2-ノルボルナ
ン酢酸、[1007-01-8](Aldrich);4−ペンチルビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カ
ルボン酸、[73152-70-2](Aldrich);3−ノルアダマンタンカルボン酸、[1620
0-53-6](Aldrich);9−フルオレン酢酸、[6284-80-6](Aldrich);シス−デ
カヒドロ−1−ナフトール、[36159-47-4](Aldrich);9−エチル−ビシクロ[
3.3.1]ノナン−9−オール、[21915-33-3](Aldrich);3−キヌクリジノール
、[1619-34-7](Aldrich);[(1S)−エンド]−(−)−ボルネオール、[464-45-
9](Aldrich);(1R,2R,3R,5S)−(−)−イソピノカンフェオール、[25465
-65-0](Aldrich);デヒドロアビエチルアミン[1446-61-3](Aldrich);(±
)−3−アミノキヌクリジン[6530-09-2](Aldrich);(R)−(+)−ボルニル
アミン、[32511-34-5](Aldrich);1、3、3−トリメチル6−アザ−ビシクロ[3
、2、1]オクタン[53460-46-1](Aldrich);1−アダマンチルアミン、[768-94-
5](Aldrich);9−アミノフルオレン、[5978-75-6](Aldrich);(1R)−(
−)−10−カンフォールスルフォン酸、[35963-20-3](Aldrich);5−イソキ
ノリンスルフォン酸、[27655-40-9](Aldrich);2−キノリンチオール、[2637
-37-8](Aldrich);8−メルカプトメントン、[38462-22-5](Aldrich)
【0060】 従って、本発明によるペプチドを与えるためのN-末端変更は典型的には、直接N-
末端アミンに結合して、モノ-、ジ-、及び多カチオン性のトリアルキル化N-末端
アミンを形成する嵩高で親油性のR基を含む。その代わりとして、R基は、結合成
分例えばカルボニル基(RCO)を通して結合してもよく、例えばアダマンチルま
たはベンジル、カルバメート(ROCO)例えばFmoc、または尿素(RNHCO)または
(R2NCO)を形成する結合成分、またはスルホンアミド、ボロンアミドまたはホ
スホンアミドを形成する結合成分を通して結合してもよい。結合成分を形成する
スルホンアミドは、より安定なペプチドを必要とする時に特に有用である。嵩高
で親水性のR基は好ましくは飽和環状基であり、より好ましいのは環状基が結合
または橋かけしている多環状基である。
【0061】 そのようなN-末端変更を挿入したペプチドは抗腫瘍ペプチドとして特に有効であ
り、そして驚くべきことに環状、好ましくは多環状N-末端基の存在は腫瘍細胞、
例えばMeth A細胞(繊維肉腫からのもの)を殺す能力をもつが正常細胞例えば赤
血球または正常な繊維芽細胞に対してはほとんど細胞毒活性を示さないペプチド
を与える。勿論この選択性は試験管内で確立した腫瘍の治療に非常に望ましいも
のである。例えば46μg/mlの濃度でシクロヘキシル−LFB17−31はMeth A細
胞(ネズミの肉腫細胞ライン)の50%を殺したが1000μg/mlの濃度でさえ
も繊維芽球の赤血球の50%を殺すことはなかった。
【0062】 従って本発明の更なる態様は、3個又はそれ以上のカチオン性残基をもつ7ない
し25量体の細胞毒性ペプチドであって、これは任意に両極性のα−ヘリックス
を形成することができ、そのN-末端は、5個、好ましくは6個以上の非水素原子
からなる環状基、並びにそのエステル、アミド、塩及び環状誘導体によって変更
されているペプチドを与えることである。そのような変更されたペプチドを薬剤
的に許容される希釈剤または担体と共に含有する医薬組成物及びそのようなペプ
チドを治療方法、特に細菌感染を阻止または治療する方法または抗腫瘍剤として
使用すること(良性及び悪性腫瘍、腹水の数及び大きさを減少させることまたは
破壊すること及び転移の防止の両方)は本発明の更なる態様を構成する。
【0063】 本発明により、特に効果的なC-末端変更もまた発明された。ペプチド全体の電荷
を変化させるためにC-末端をアミド化することが知られているが、エステル、チ
オエステルまたは置換された第1級または第2級アミドの形成を含むより大きな
C-末端変更は更に増大した細胞毒活性を有するペプチドを与える結果になること
が今、発見された。C-末端変更基は、有利には4個以上、好ましくは6個、更に
好ましくは8または10個以上の非水素原子を含み、例えばベンジルエステルま
たはアミドを形成する。他のC-末端基は、ナフチルアミン、置換芳香族アミン、
例えばフェニルエチルアミン、モノ-、ジ-又はトリ-アミノアルキル基などを含
み、環状基を含む基が好ましい。標準的なC-末端保護基もまた、活性増大の変更
として適している。
【0064】 本発明によるペプチドを与えるためのC-末端変更は、従って典型的にはC-末端カ
ルボキシル基に直接結合してケトンを形成してもよい嵩高で親油性R基を含む。
その代わりとしてR基は結合成分を通して結合してもよく、例えばC-末端でエス
テルを作る(OR)、(NH-R)または(NR、ここで2個のRは同じものでなくて
もよい)で、これは第1級及び第2級アミド基をC-末端でそれぞれ形成する、ま
たは(B-(OR2))基でホウ酸エステルまたはリン酸類似物などである。嵩高で
親油性R基は少なくとも4個の非水素原子を含むのが好ましい。
【0065】 このように、本発明の更に別の態様は、3個またはそれ以上のカチオン残基を有
し、任意に両極性のα-ヘリックスを形成することができ、そのC-末端基は少な
くとも4個の非水素原子を含む有機基及びその塩、及び環状誘導体によって変更
されている7ないし25量体細胞毒性ペプチドを与えることである。そのような
変更されたペプチドを薬剤として許容されている希釈剤または担体と共に含む医
薬組成物及びそのような治療方法に使用するためのペプチド、特に細菌感染の治
療または阻止に使用すること、または抗腫瘍剤として(腹水であってもよい良性
または悪性腫瘍の大きさまたは数の減少または破壊及び転移の防止の両方)の使
用は本発明の更に別の態様を構成する。
【0066】 本発明によるこの態様でのペプチドは典型的には下記の式によって表わすことが
できる: O ‖ X−C−R 式中Xは3個のカチオン性残基を含む、長さで7ないし25個のアミノ酸のペプ
チドを表わし、R=OR,SRまたはRであって、R=アルキル、シク
ロアルキル、アミノアルキルまたはアリールで任意にヒドロキシ、アルコキシ、
アシルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、オクソまたはフルオロ基
によって置換されており、または任意に酸素、窒素、硫黄または燐原子によって
中断されている。
【0067】 置換R1基はモノまたはポリ置換であってよい。“アシル”という語はここでは
カルボキシレート及びカルボネート両方の基を包含する。
【0068】 ここで使用しているように、“アルキル”という語は長いかまたは短い直鎖また
は枝分かれした脂肪族飽和または不飽和炭化水素基を含む。R1は40個までの
非水素原子を含み好ましくは4ないし12、より好ましいのは6ないし10のそ
のような原子を含む。
【0069】 本発明によるペプチドは、ここで定義したように、非遺伝性の嵩高で親油性アミ
ノ酸及びN−及び/又はC−末端変更基を含むものである。ペプチドは嵩高で親
油性基のすべての3つのタイプを含むことができるが好ましくは2つのそのよう
な基を含む。
【0070】 更に本発明の別の態様は、増大された細胞毒活性及び/又は目標とする細胞のタ
イプに対し改善された選択性を有するペプチドを製造する方法を提供し、該方法
は任意に両極性α-ヘリックスを形成することができる3個以上のカチオン性残
基を有する7ないし25量体ペプチドに非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸を挿入
することからなる。
【0071】 このように本発明は、3個以上のカチオン性残基をもつ7ないし25量体ペプチ
ドの細胞毒性または選択性を、非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸をそこに挿入す
ることによって増大させる方法をも提供する。
【0072】 非遺伝性の嵩高くて親油性アミノ酸の定義は前述した通りである。すでに述べた
ように、“挿入する”という語は存在する残基の変更またはペプチドに付加また
は置換によってそのような残基を導入することを含み、置換が好ましい。成長す
るペプチドの配列中に非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸が含まれるように合成方
法が使用されるので後からのペプチド形成工程は必要としない。
【0073】 ここで“増大された”細胞毒活性をもつペプチドと云う時、本発明によって変更
されたペプチドが、そのような変更のないペプチドと比較して1種以上のバクテ
リアに対して、またはガン細胞の1種以上のタイプに対して増大された細胞毒性
をもつことを意味する。“目標細胞タイプに対する改善された選択性”という語
は、目標としない細胞タイプに比較して目標とする細胞に対する細胞毒活性の割
合が増加していることを意味する。換言すれば、例えばペプチドの抗細菌活性が
変更の前と後とで同じであるが、溶血活性は変更後に減少しているならば、選択
性は改善されたと云える。同様に、もし抗細菌または抗腫瘍活性が非常に大きく
増加しているならばたとえ溶血性が増加していても本発明により有用なペプチド
が作られたといえる。選択性はまた他のタイプのバクテリアよりも1つのタイプ
のバクテリアに対してもいえる。
【0074】 前述の如く、非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸の挿入によって特に活性で有用な
ペプチドが作られた。1個またはそれ以上の“遺伝性”の前に定義したような嵩
高で親油性アミノ酸を追加して挿入することによりペプチドの嵩高さ及び親油性
が増大し活性を増加させることも見出された。特に、いくらかの細胞毒活性を示
すことが知られているトリプトファン豊富なペプチドの類似体は抗菌剤として効
果的であることが示された。そのような類似体は他の非必須残基にかえて1個ま
たは2個のトリプトファン残基をもっている。
【0075】 このように本発明による更に別の態様では3個またはそれ以上のカチオン残基を
有し、任意に両極性α-ヘリックスを形成することのできる7ないし25量体細
胞毒性ペプチドであって、公知のまたは天然の細胞毒性ペプチドをもつ配列同族
体を少なくとも40%有し、その上に1個以上の遺伝性の嵩高く親油性アミノ酸
(例えばトリプトファン)及びそのエステル、アミド、塩及び環状誘導体を有す
るペプチドを提供する。
【0076】 同族体の%は好ましくは50または60%以上であり、特に70又は80%以上
が好ましい。本発明の目的のためには“配列同族体”という語は配列が一致する
ということではなく同じアミノ酸が存在するかまたは同じ官能基からのものが存
在するかのどちらかを意味する。標準的なアミノ酸のための適するグループはす
でに上述した。
【0077】 本発明のそのような短いペプチドの配列同族体は、最も簡単には、2個のアミノ
酸が1,2,3などの位置で同じであるかまたは先に定義したような同じグルー
プにあるかどうかを決めるために残基と残基との2つの配列を比較することによ
って計算することができる。従って、LFB(17-31)W3はLFB(17-31)と
93.3%の同族体を有する。配列同族体を計算するためのコンピュータプログ
ラムもまた当業者に知られており、これらは配列中での添加(挿入)または削除
(ギャップ)を可能にさせる。アミノ酸配列同族体は、ウィスコンシン大学から
の遺伝子コンピュータグループ(CGG)ヴァージョン10ソフトウェアパッケ
ージのベストフィットプログラムを使用して決定される。プログラムは欠損値で
SmithとWatermanの局部同族体互除法を使用する:ギャップ創生ペナルティ=8
、ギャップ延長ペナルティ=2、平均マッチ=2,912、平均ミスマッチ=−
2,003。そのようなプログラムは従って、天然の配列をもつ本発明のペプチ
ドの同族体を評価するために使うことができた。特に変更されたペプチドがギャ
ップまたは挿入物を結合しているならば、使用できた。そのようなプログラムは
2つの配列の間の整列を確立するために、特に変更された配列がギャップまたは
挿入物を結合している場合に最も適している。
【0078】 遺伝的にコードされたアミノ酸のみを含むそのようなペプチドは公知のまたは天
然の細胞毒性ペプチドをもつ変更されたペプチドと同様に、同属体%よりもむし
ろ2つの配列をエンコードする核酸分子の交雑の緊密さによって表わすことがで
きる。この場合、変更されたペプチドをエンコードするssDNA分子は公知のまた
は天然の細胞毒性ペプチドをエンコードするssDNA分子に相補的なssDNA分子と交
雑するべきである。本発明のペプチドをエンコードする核酸分子は更に本発明の
態様を構成する。
【0079】 “交雑する”配列は、厳密でない条件下(例えば6×SSC、50%ホルムアミド
、室温)で結合(交雑)し、低い厳密さの条件(例えば2×SSC、室温、好まし
くは2×SSC、42℃)でまたはもっと高い厳密さ(例えば2×SSC、65℃)(
ここでSSC=0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.2)の条件下で洗浄
した配列である。
【0080】 好ましくは、配列は上記のようなより高い厳密さの条件下で交雑するかまたはコ
ードの縮重のためには、配列は高い厳密さ条件下で交雑する方が良い。
【0081】 好ましくは、ペプチドは1個または2個の遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸を更に
含み、その他は公知の細胞毒性ペプチドと同じであるか、または従来の置換基の
みを挿入する。
【0082】 更に本発明は3個またはそれ以上のカチオン性残基を有し、任意に両極性α−ヘ
リックスを形成することのできる、長さに7ないし25のアミノ酸を含むペプチ
ドの細胞毒活性を増大する方法を提供するものであって、該方法は遺伝性の嵩高
い親油性アミノ酸(例えばトリプトファン)を付加または置換、好ましくは置換
によって導入することからなる。例として、マゲニンから導かれるペプチドでト
リプトファン残基を更に挿入し、増大した活性を示すペプチドがここで開示され
ている。本発明のこれらのペプチドをエンコードするポリヌクレオチドも本発明
の更なる態様を構成する。
【0083】 本発明の、非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸を挿入するペプチドが公知の、また
は天然に存在する細胞毒性ペプチドまたはそのフラグメントから導かれる時、上
述したようにそれらは公知の、または天然に存在するペプチドと同程度の同族体
を有するのが好ましい。
【0084】 ペプチド、特にここで定義したような嵩高い親油性のR基で“遺伝性”のアミノ
酸の側鎖が変更されているペプチドは当業者によく知られた表現システムによっ
て原核細胞及び真核細胞宿主中で表わされる。微生物的に表わされたペプチドの
分離及び精製の方法もまた公知である。
【0085】 ペプチドの表現のためにバクテリア宿主が選ばれるならば、表現された抗細胞性
ペプチドから宿主を保護するための段階をとる必要がある。そのような技術は当
業者に公知であり、表現される特別のペプチドに対して抵抗性のあるバクテリア
の菌種を使用するか、または一端または両端にセクションを持ち、ペプチドの抗
細菌活性を無力化した融合ペプチドの表現を使用し、その後融合ペプチドを開裂
することを含む。いずれにしても、表現されたペプチドの活性は低く、例えばPm
cの付加による本発明のペプチドを与えるための後からの合成変更によってのみ
本当に細胞毒性レベルを増大される。
【0086】 本発明のペプチドは便利な方法で直接合成できる。一般的には全合成の間、存在
する反応性基(例えばアミノ基、チオール基、及び/又はカルボキシル基)を保
護する。合成の最終段階で本発明の保護されている誘導体の保護基を除く。上述
した如く、本発明のあるペプチドは、これが細胞毒活性の増大に責任があるので
、“保護基”をもっている。
【0087】 ペプチドを形成する時、原則としてC-末端かN-末端のどちらかで出発することが
でき、C-末端出発方法が好ましい。配列を延長する時または後合成的変更の結果
として、この段階で非遺伝性アミノ酸を挿入することができる。
【0088】 ペプチド合成法は当業者によく知られているが本発明のためには、固相支持体上
で合成を行うのが特に便利である。そのような支持体は当業者によく知られてい
る。
【0089】 アミノ酸の公知の保護基は広い範囲で選択でき、適するアミン保護基はカルボベ
ンゾキシ(Zで表わす)、t−ブトキシカルボニル(Bocで表わす)、4−メト
キシ−2、3、6−トリメチルベンゼンスルホニル(Mtr)及び9−フルオレニ
ルメトキシカルボニル(Fmocで表わす)を包含する。ペプチドをC-末端から形成
する時、アミン保護基を、付加する各々の新しい残基のα−アミノ基上に存在さ
せ、そして次のカプリング段階の前に選択的に除去するということが適当である
【0090】 使用しうるカルボキシル保護基は、例えば容易に開裂するエステル基、例えばベ
ンジル基(Bzl)、p−ニトロベンジル基(ONb)、ペンタクロロフェニル基(OP
ClP)、ペンタフルオロフェニル基(Opfp)またはt−ブチル基(OtBu)及び固
体支持体上に結合している基、例えばポリスチレンに結合したメチル基を含む。
【0091】 チオール保護基はp−メトキシベンジル基(Mob)、トリチル基(Trt)及びアセ
トアミドメチル基(Acm)を含む。
【0092】 アミン−及びカルボキシル保護基を除去するためには広範囲の方法が存在する。
これらは然し、使用する合成戦略と一致していなければならない。側鎖保護基は
、次の結合段階の前にα-アミノ保護基を一時的に除去するために使用する条件
に対して安定でなければならない。
【0093】 Bocのようなアミン保護基及びtBuのようなカルボキシル保護基は酸処理、例え
ばトリフルオロ酢酸を使用して同時に除去できる。チオール保護基、例えばTrt
はヨウ素のような酸化剤を使用して選択的に除去される。
【0094】 本発明によるペプチドは、ペプチドの細胞毒活性を増大する基を残すために不完
全な保護基除去によって製造することができる。代わりとして、ペプチドの合成
及びその保護基除去後に変更したR基及びN-及びC-末端基を作ることもできる。
【0095】 特に好ましい方法は次式のアミノ酸誘導体を使用しての合成法を含む: Fmoc―アミノ酸―Opfp
【0096】 本発明はまた上記に定義したような本発明のペプチドを医薬的に許容される希釈
剤、担体または賦形剤と共に含有する医薬組成物を提供する。適当な希釈剤、賦
形剤及び担体は当業者に公知である。治療方法、特にバクテリア感染の治療また
は予防での使用、または抗腫瘍剤としての使用、腹水であっても良い良性または
悪性腫瘍の大きさ及び数の減少及び破壊及び転移の防止の両方における使用のた
めの本発明のペプチドは更に本発明の態様を構成する。
【0097】 本発明による組成物は、例えば経口投与、鼻腔投与、腸管外投与、静脈投与、腫
瘍内投与または直腸投与に適する形で与えられる。
【0098】 ここで使用しているように“医薬用の”という語は本発明の獣医学的利用をも含
む。
【0099】 本発明による化合物は従来の薬理学的投与形態で与えられる。例えば、錠剤、被
覆錠剤、鼻腔スプレー、溶液、乳剤、リポサム、粉剤、カプセル剤または持続放
出形態である。本発明のペプチドは局所投与、例えば糖尿病の障害治療に特に適
している。これらの形態を製造するためには通常の医薬用賦形剤や通常の製造方
法が利用される。例えば錠剤は有効成分または有効成分と公知の賦形剤例えば炭
酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはラクトースのような希釈剤、コーンスタ
ーチまたはアルギン酸のような崩壊剤、デンプンまたはゼラチンのような結合剤
、ステアリン酸マグネシウムまたはタルカムのような潤滑剤及び/又はカルボキ
シポリメチレン、カルボキシメチルセルローズ、セルローズアセテート、フタレ
ートまたはポリビニルアセテートのような持続的放出を得るための作用剤とを混
合することによって作られる。
【0100】 所望ならば数層からなる錠剤でもよい。被覆錠剤は、同じような方法で得た錠剤
のコアに、通常錠剤被覆のために使われている作用剤、例えばポリビニルピロリ
ドンまたはシェラック、アラビアゴム、タルカム、二酸化チタンまたは砂糖でコ
ーティングすることにより製造される。持続性放出を得るためにまたは配合禁忌
を避けるためにコアは数層からなる。錠剤被覆もまた持続性放出を得るために数
層からなり、その場合上述した賦形剤を使用する。
【0101】 器官に特別の担体系も使用される。例えば注射液は従来の方法で製造され、例え
ばp−ヒドロキシベンゾエートのような保存剤、またはEDTAのような安定剤の添
加により製造される。この溶液をその後注射用ガラスびんまたはアンプルに充填
する。
【0102】 鼻腔スプレーは投与方法として好ましく、水溶液と同じように配合され、スプレ
ー用コンテナーにエアロゾルプロペラで充填するかまたは手動圧縮の方法で提供
される。1種または数種の有効成分を含むカプセルは例えば有効成分と不活性担
体、例えばラクトースまたはソルビトールと混合し、混合物をゼラチンカプセル
内に充填することにより製造される。
【0103】 適当な座薬は、例えば有効成分または有効成分の組み合わせと従来のこの目的に
使用される担体、例えば天然の脂肪またはポリエチレングリコールまたはその誘
導体と混合することによって作られる。
【0104】 本発明化合物を含有する投与量ユニットは好ましくは0.1−10mg例えば1−5mgの
本発明のペプチドを含有する。医薬用組成物はその上更に、他の細胞毒性剤、例
えば他の抗微生物ペプチドを含む追加の有効成分を含有してもよい。他の有効成
分は異なるタイプの抗生剤、減数分裂剤、例えばIFN−γ、TNF、CSF及び成長フ
ァクター、免疫調節剤、化学療法剤、例えばシスプラチンまたは抗体を含む。
【0105】 更に本発明の態様は、上記の定義による本発明のペプチドを治療用に使用するこ
とを提供する。即ちペプチドを医薬品、例えば抗バクテリア剤または抗腫瘍剤と
して使用する。更に別の態様では患者におけるバクテリア感染を防止または治療
する方法を含みその方法は該患者に本発明のペプチドの1種またはそれ以上を投
与することからなり、また患者の腫瘍を治療する方法は本発明のペプチドの1種
またはそれ以上を投与することからなる。腫瘍の治療は腹水であってもよい、良
性または悪性腫瘍の大きさまたは数を減少させ、または破壊し、転移の防止を含
む。
【0106】 更に別の本発明の態様は、バクテリア感染症または腫瘍を治療するための医薬品
の製造に本発明のペプチドの1種またはそれ以上を使用することを含む。
【0107】 本発明のペプチドのような抗微生物剤は医薬品以外にも種々の広い応用ができる
。これらは、例えば微生物の汚染に敏感である物質のための殺菌剤として使用で
きる。本発明のペプチドは広い範囲の抗微生物活性及び抗生物活性を示し、従っ
て抗ウィルス及び抗かび剤としても適しており、医薬及び農薬として利用できる
。また傷治療の促進剤または殺精子剤(spermicides)としても適している。す
べてのこれらの使用は本発明の更なる態様を構成するものである。
【0108】 局所組成物として使用する時、ペプチドは一般的に少なくとも0.1重量%の量
で存在する。多くの場合、1.0重量%より多い量のペプチドを使用する必要は
ない。
【0109】 抗腫瘍ペプチドは他の活性剤との相剰組成物と組み合わせ投与できる。例えば本
発明のペプチドを化学療法剤、免疫療法剤、外科手術、放射線治療と組み合わせ
て、または他の抗腫瘍ペプチドの投与と組み合わせて投与する。
【0110】 このような組成物を組織内(筋肉内、静脈内、腹膜内)に使用する場合、活性ペ
プチドは、ペプチドの血清レベルが少なくとも約5μg/mlに達する量で存在
させる。一般的にペプチドの血清レベルは500μg/mlを超える必要はない
。好ましい血清レベルは約100μg/mlである。そのような血清レベルは、
組織内に投与するべき組成物内に1ないし約10mg/kgの1回の量でペプチ
ドを挿入することにより達成される。一般的にペプチドは100mg/kgを超える
1回の投与量で投与する必要はない。
【0111】 ここで例示したペプチドは本発明による好ましいペプチドを代表している。ここ
で開示した特定の配列をもつ如何なるペプチドも、特にバクテリア細胞に対して
LFB17-31よりももっと大きい活性を示すそのようなペプチドは本発明の更なる態
様を構成する。
【0112】 本発明のペプチド内に挿入される好ましい非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸のあ
るものは、容積と親油性の増加を与え、生物活性を有意に増大させる置換トリプ
トファンを含む。置換は1位(またはインドールのN−位)と隣接する2−位で
なされた。実施例2に記載されたこれらの新規化合物は本発明の態様を構成する
。新規な1−置換トリプトファンは1−ベンジル及び1−トシルトリプトファン
を含む。
【0113】 下記の新規な2−置換トリプトファン残基が作られた。Z-Trp(2−ニトロフェ
ニルスルフェニルクロライド)−OH及びそのオキシド及びZ-Trp(2−Pmc)−OH
(式中Zは保護基、例えばFmocを表わす)。実施例2Eの第2の方法は、2−ス
ルフォンの範囲の製造に適する新しく考案された合成ルートであり、そして本発
明の更なる態様を構成する。従って我々はインドール環の2−位で置換されたト
リプトファン残基を製造する方法を更に提供する。該方法はトリプトファンが置
換される基をグアニジル含有基からN-位で保護されたトリプトファンに転移させ
ることからなる。好ましくはグアニジル含有基はアリールアルキル−またはアル
キルグアニシル基であり、最も好ましいのはフェニルエチルグアニジル基である
。好ましいN-保護基はFmocであり好ましいトリプトファン置換基はPmcである。
【0114】 LFB17−41のシステイン残基をピリジルエチル化またはアセトアミド−メチル化
によってブロックし、嵩高で親油性アミノ酸を挿入していないものはそれ自身で
は本発明のペプチドではない。然しながらこのようなペプチドを含む医薬用組成
物及び治療剤としてのペプチドの使用は、ここに記載したように本発明の更なる
態様を構成する。
【0115】 本発明を下記の実施例を参照して詳細に記載するが、これらの実施例は発明を限
定するものではない。
【0116】 実施例 1 ヒト、ウシ、ネズミ及びヤギのラクトフェリン誘導ペプチド類 A)MIC(最低阻害濃度)テスト 使用したバクテリアの菌株は大腸菌ATCC25922及びStaphylococcus aureus ATC
C25923であった。すべての菌株を−70℃で保存した。バクテリアは2%のバクト
ペプトン水(Difco 1807-17-4)中で成長させた。すべてのテストは中間対数的
成長段階のバクテリアを用いて行った。バクテリア株に対するペプチドの最低阻
害濃度(MIC)の測定は1%のバクトペプトン水中で行った。2×10CFU/ml
の接種バクテリアを用いる標準ミクロ希釈法を使用した。すべての分析は3つ1
組で行った。これらのペプチドはプラスに荷電しているので、従ってプラスチッ
クのウエルに付着する可能性があるので、溶液中のペプチドの実際の濃度をHPLC
によってコントロールした。プラスチック製ウエルに溶液を入れる前と後とでペ
プチド濃度の差はなかった。
【0117】 B)ペプチドの合成 最初は、使用したラクトフェリシンBはWayne Bellamy(栄養科学研究所、森
永乳業株式会社、日本)から寄贈されたものであった。後には、この研究におい
てはペプチドは9050プラスペプシンセサイザー(Milligen)を用いて合成された
。すべてのペプチドはフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)化学の使用によ
る固相上で合成された。システイン含有ペプチド中のシステインはジスルフィド
架橋形成を防ぐために、アセトアミドメチル基で保護した。ペプチドは254nmで
の紫外線検出を行うWaters 600Eクロマトグラフ(Millipore)上で逆相HPLC法に
よって分析し精製した。HPLC上で精製されたフラクションは電気スプレー界面(
Fisons VG Quattro)及び/又はFast Atom Bombardmentマススペクトロメトリー
(FAB−MS)(Fisons VG Tribrid)を用いる液体クロマトグラフィー マススペ
クトロメータ(LC−MS)上で分析した。
【0118】ラクトフェリシンの構造 ヒトラクトフェリンの構造はX線クリスタログラフィーによって2.8及び2.2Å
解像度まで決定された。ヒトラクトフェリシン(LFH)はヒトラクトフェリシンの
残基1−47からなる。LFHは2つのペプチドフラグメントを含んでおり、その1つ
はCys 20 とCys 37との間でジスルフィド橋により環化した残基12−14から成っ
ており、第2のフラグメント(残基1−11)はCys 10とCys 46の間のジスルフィ
ド橋を通して上記12−47 フラグメントに連結されている。ヒトラクトフェリン
構造においては、対応する残基は1本のβ−ストランド(残基4−11)、1本の
α−ヘリックス(残基12−29)及び1本のターン(残基30と31)からなり、それ
に続いて1本のβ−ストランド(残基31−37)がある[Day, C.L., Anderson, B
.F., Tweedie, J.W. 及びBaker, E.N.(1993) J.Mol. Biol. 232, 1084-1100]。
単一鎖中で25残基のみ(残基17−41)を有するウシラクトフェリシン(LFB)は
構造的にはLFHよりずっと簡単である。
【0119】異なった種からの配列を有する合成ラクトフェリシンの抗生物活性 ヤギからのラクトフェリンのアミノ酸配列[Provost, F.L.,Nocart, M., Guer
in, G.及びMartin, P.(1994) Biochem. Biophys. Res. Commun. 203, 1324-1332
]及びマウスからのもの[Pentecost, B.T.及びTeng, C.T.(1987) J.Biol. Chem
. 262 10134-10139]はすでに決定されておりヒト及びウシのラクトフェリンと
高い配列相同関係を示している。ヘリックス−ターン−ストランドのモチーフに
関係する残基は図1に示されているような配列の中で容易に同定することができ
る。LFBはLFHよりも抗菌性である故に、LFB(17−41)に対応する残基がヒト、
ネズミ及びヤギのラクトフェリンのアミノ酸配列において類似のラクトフェリシ
ンペプチドを製造するために選ばれた。即ちLFH(18-42)、LFM(17-41)及びLFC
(17-41)である。ジスルフィド橋はウシ及びヒトラクトフェリシンでは抗生物
活性のために必須ではなく[Bellamy et al(1992)]すべてのペプチドは環化ま
たは酸化を回避するためにシステイン残基のACM保護の下に製造した。
【0120】 MICで表わされた合成ラクトフェリシン類の抗バクテリア活性は表1に表わさ
れており、この表はLFB(17-41)がE. coli及びS. aureusに対して最も重要な抗
バクテリア活性を発揮したことを示している。
【表1】
【0121】異なる鎖長を有するLFB類似体 線状ペプチドの抗バクテリア活性を決定する時に最も重要と考えられている性
質の1つは、それらがラセン状構造をとる能力である。変化させていないラクト
フェリン蛋白質においては、残基14-28はα−ヘリックスの中に位置しており、
残基29-31はターンを含み、そして残基32-41はβ−ストランド中にある。従って
我々はラクトフェリシンの抗バクテリア効果は、未変更の蛋白質のヘリックスに
関与している配列部分から発生するのであろうと予測した。ウシのラクトフェリ
シン配列、LFB(17-41)が有意の抗バクテリア活性を有する唯一のペプチドであ
ったので、我々は蛋白質のへリックスとターン残基の両方を含むウシペプチドの
短い変種、即ちLFB(17-31)を製造することを選択し、ストランドを包含する1
0個の残基を除去した。LFB(17-31)はLFB(17-41)及びLFC(17-41)よりも低い
実効電荷(図1)を有するという事実にも拘らず,表1に示したように抗バクテ
リア効力の大部分をそのまま保持している。これらの発見は、全体の電荷は重要
であるとしても、抗バクテリア活性にとっては十分ではないということを示して
いる。
【0122】 実施例2新規な置換トリプトファン類の製造 以下の実施例及び本明細書全体において、下記の一般式:Z−XX(n−y)−OHが
置換アミノ酸(XX)を表わすものとし、式中アミノ酸のNH−基がZで保護されて
おり、アミノ酸がn−位でy−置換されており、アミノ酸のCOOH基は遊離している
ことを表わす。 A)Ac−Trp(1−Tos)−OHの製造
【0123】 実験 Ac−Trp−OET(0.19g, 0.69 mmol)、塩化トシル(0.20g, 1.04 mmol)、テトラブ
チルアンモニウムハイドロジエンサルフェート(2mg, 0.01当量)及びNaOH(0.07g,
1.73 mmol)をジクロロメタン中実温で2.5時間攪拌した。反応混合物にpH2.3に
達するまで希塩酸を加え、その後水洗した。有機層に希塩基を加え、水層をジク
ロロメタンで抽出し、酸性化しその後再びジクロロメタンで抽出した。 材料 Ac−Trp−OEt 下記の「ジアセチルトリプトファンエチルエステルの製造方法」(Bodanszky,M
. 及びBodanszky,A.ペプチド合成の手順(1944)p.30 Vogel’s 実験有機化学の
テキストブック5版(1989)p.1273)に記載された手順に従って製造した。
【0124】 B)Fmoc−Trp(1−ベンジル)−OHの製造 Boc−Trp(1−ベンジル)−OH : ジメチルスルフォキシド(7ml)を水酸化カリウム(0.73g, 13 mmol)(粉砕され
たペレット)に加え混合物を5分間攪拌した。次にBoc−Trp−OH(1g, 3.3 mmol
)を加え、その混合物を1時間攪拌した。臭化ベンジル(1.13g, 6.6 mmol)を加え
てその混合物を少し冷却し、水(20ml)を加える前に更に20時間攪拌した。混合
物をジエチルエーテル(3×20ml)で抽出した。水層分を合わせ、1Mの塩酸(20ml)
を加えることによりそのpHを2-3に調節し、混合物を更にジエチルエーテル(3×2
0ml)で抽出した。各抽出液を水(3×20ml)で洗浄した。ジエチルエーテル層を合
わせてMgSOで乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。生成物は白色結晶として分離
された。(0.89g, 2.3 mmol)。収率69%。 H-Trp(1−ベンジル)−OH Boc-Trp(1−Bn)−OHを98%TFAに溶解し、室温で3時間攪拌した。その後、溶媒
を減圧下で除去した。生成物を油として分離し、それ以上精製することなく使用
した。 Fmoc-Trp(1−ベンジル)−OH H-Trp(1−Bn)−OH(1.90g, 6.5mmol)を10%炭酸ナトリウム溶液(21ml, 20 mmol)
に溶解した。ジオキサン(15ml)を加え、混合物を氷水浴中で攪拌した。9-フル
オレニルメチルクロロカルボネート(1.69g, 6.5 mmol)を少量づつ加え、氷水浴
温度で4時間攪拌を続けた後、室温で更に8時間続けた。反応混合物を水(400ml
)中に注入しエーテル(3×20ml)で抽出した。エーテル層を合わせ硫酸マグネ
シウムで乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。生成物を溶媒A(溶媒A=酢酸エチ
ル:メタノール=4:1)中のシリカゲル上で、クロマトグラフィーにより精製
した。精製後,生成物は白色の結晶化合物として得られた。収量は2.42g(72%)で
あった。 材料 Boc−Trp−OH Bachem No.A−2360 Fmoc−ONSu Fluka No.46920 トリフルオロ酢酸 Fluka No.91700/KEBO No.1.8341-100 参考文献1:Heaney,H.及びLey,S.V.J.Chem.Soc.Perkin 1 (1973)499-500
【0125】 C)Fmoc-Trp(2-Nps)−OHの製造 ジオキサン12ml中のFmoc-L−トリプトファン2.0g(4.7mmol)の溶液にジオキサ
ン25mlの2-ニトロフェニルスルフェニルクロライド(2-Nps-cl)0.87g(4.6mmol)の
溶液を室温で攪拌しながら加えた。3日間放置した後、反応混合物にエチルエー
テル50mlを加え、溶媒を蒸発させた。生成物を溶媒A(溶媒A=クロロフォルム
:エタノール:へプタン=1:1:1)中のシリカゲル上クロマトグラフィーによ
り精製した。R=0.43. 精製後、生成物は黄褐色の結晶性化合物として得られ
た。収量は2.5g(89%)であった。 ペプチド中にFmoc-Trp(2−Nps)−OHを挿入した後、MSエレクトロスプレイ分析
により期待した分子量を確認した。材料 Fmoc−Trp−OH Bachem No.B-1445/Senn No.02019 2-ニトロフェニルスルフェニルクロライド Fluka No.73740
【0126】 D)Fmoc-Trp(2−Nps)−OHの酸化 氷酢酸15ml中のFmoc-Trp(2−Nps)−OH 1.12g(1.9mmol)の溶液に30%HO12
mlを室温で攪拌下に加えた。反応混合物を2時間65℃で熱した。沈殿物を集め水
を加えて凍結乾燥した。収量は0.59g(52%)であった。生成物は黄色結晶性化合
物として得られた。 ペプチドにFmoc-Trp(2−NpsO2)−OHを導入した後、MSエレクトロスプレイによ
る分析でFmoc-Trp(2−Nps)−OHの酸化が不完全であったことが判明した。生成物
はスルフォキシドFmoc-Trp(2−NpsO)-OHとスルフォンFmoc-Trp(2−NpsO)-OHと
の約3:1の混合物であった。プロトンNMRはβ-、α-及びカルボキシル−プロトン
の信号に基づいて両化合物の1:1混合物であることを示した。
【0127】 E)Fmoc-Trp(2-Pmc)−OHの製造 方法I:Fmoc-Arg(Pmc)−OHからPmc基の移動による方法
【0128】 Fmoc-Arg(Pmc)−OH(0.5g, 0.75 mmol)及びFmoc-Trp−OH(0.43g, 0.1mmol)
を100%TFA 10mlに溶解し、30℃で1.5時間加熱した。TFAの蒸留後、シリカゲル
のカラムクロマトグラフィーによりヘプタン/酢酸エチル2:1を用いてFmoc-Arg
−OHを移動層として除去した。Fmoc-Trp(2Pmc)−OHを調整用HPLC(C18, 70-100%,
B 15 min., t14.8 min,(A=HO+0.1%TFA, B=CHCN+0.1%TFA)) により分
離した。単離収量130mg(0.19mmol,25%) 材料 Fmoc-Arg(Pmc)−OH Bachem No.B−1670 Fmoc-Trp−OH Bachem No.B−1445/Senn No.02019 トリフルオロ酢酸 KEBO No.1.8341-100/ Fluka No.91700方法II :フェニルエチルグアニジル−PmcよりPmc基の移動による方法 2、2、5、7、8−ペンタメチルクロマン 参考文献:Robert Ramage, Jeremy Green及び Alexander J.Blake,テトラヘドロ
ン Vol.47, No.32, pp6353-6370, 1991 反応: 薬品:
【0129】 手順: 2,3,5−トリメチルフェノール(50.03g, 0.367 mol)、イソプレン(25.09g
, 0.368mol)及び溶融塩化亜鉛(5.94g, 0.044 mol)を無水酢酸(47ml)と共に
室温で14時間攪拌した。濁った赤色混合物をゆっくり加熱すると透明になった。
反応混合物を還流すると黒色になった。8時間還流後、室温まで冷却した。反応
混合物を250mlの水に注ぐと黒色の油が分離した。水層をペンタン(3×200ml)
で抽出し、有機層を合わせてクライゼンアルカリ(2×150ml)、水(3×250ml)
及び食塩水(2×200ml)で洗浄した後、塩化カルシウム上で乾燥し減圧下で濃縮
して複色油を得た。粗生成物を0.48mBarで蒸留して、淡黄色液体としての生成物
(36.90g, 収率49%)が得られた。b.p.82−96℃(0.48mBar);純度95%以上(G
C)。結果 : 冷却すると固化する淡黄色の液体として、49%の収率で生成物を単離した。 MS (GC/MS): m/z=204(100)、189(14)、149(91). 2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン-6-スルフォニルクロライド ジクロメタン30ml中の2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン(3.39g,16.6 mmol)の溶
液に−8℃で攪拌しながらジクロロメタン30ml中のクロロスルフォン酸(3.98g, 3
4.2mmol)を3分間以内で添加した。混合物を−8℃で15分間攪拌し、更に室温で2.
5時間攪拌を続けた.反応混合物をジクロロメタン50ml及び氷100mlと共に注意深
く数回振盗し、有機層を分離した。粗生成物は1HNMRによる判定で約16%の出発
物質を含有していた。熱したペンタンをこの粗生成物に加えると暗色の油が形成
し、これをデカントして除去した。次に生成物をペンタンから結晶化させて単離
し淡黄色の粉末を得た。(2.80g, 9.3 mmol)。収率56%。
【0130】2−フェニルエチルグアニジンヘミサルフェート 2−フェニルエチルアミン(8.49g, 70.1 mmol)とS−メチルイソチオ尿素サルフェ
ート(9.43g, 33.9 mmol)とを100mlの蒸留水に溶解した。反応混合物に空気を通
し、50%NaOH(500ml)次いで5%硫酸第1銅溶液(250ml)を通過させた。反応混合
物を還流下で5時間加熱した。溶媒を蒸発させると白色粉末を得た。生成物を96
%エタノールから結晶化させて単離し、冷アセトンとジエチルエーテルで洗浄し
、デシケーター中で乾燥させた。3回結晶化した後、生成物はごく少量の出発物
質を含むのみであった。この反応では61.5%(9.14g)の収率で2−フェニルエチ
ルグアニジンヘミサルフェートを生成した。 フェニルエチルグアニジル−Pmc: 反応:Ian Michael Eggleston, Ph.D.thesis, オックスフォード大学、1990 反応 薬品
【0131】 手順: 2−フェニルエチルグアニジンヘミサルフェート(3)(7.40g,34.87 mmol)を6M
NaOH(80ml)中に懸濁し、クロロフォルム(2×80ml)中へ抽出した。溶媒を真
空蒸発させた後、油状の残渣をベンゼン(2×10ml)と共に共蒸留した。遊離の
グアニジン(3b)を磁気攪拌子と圧力平衡器をつけた100mlの添加ロートを装備
した250mlの丸底フラスコ中でジクロロメタン75mlに溶解した。ロート中に75ml
のジクロロメタンに溶解したPmc-SO-Cl(7.00g, 23.17 mmol)を入れた。容器を
窒素でフラッシュし、反応を弱い窒素流下で行った。丸底フラスコを氷/水浴中
で冷却し、Pmc-SO-Cl溶液を20−25分間にわたって添加した。反応混合物を1
晩放置して室温に達するようにした。ジクロロメタンを真空蒸発させ、残渣を水
(100ml)と酢酸エチル(120ml)の間で分配させた。有機層をその後水洗(100m
l)した。酢酸エチルを冷却すると、生成物は白色/淡黄色粉末として現われ、
これを濾過し真空で乾燥した。結果 : 淡黄色粉末3.32gを分離した。反応収率は33%である。 融点:145−147℃
【0132】 Fmoc-Trp(2−Pmc)−OH: 反応: 薬品 手順: N-(6−SO−Pmc)−2-フェニルエチルグアニジン(2.08g, 4.84mmol)及びFmo
c-Trp−OH(4.14g, 9.71 mmol)を室温でトリフルオロ酢酸(25ml)と共に2時間攪
拌した。反応混合物を真空で蒸発させ、残渣をクロロホルムと1M塩酸の間で分
配した。クロロホルム溶液を冷却し、過剰のFmoc-Trp−OHを濾過によって除去す
ることができた。 生成物をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン=1:1)によ
って精製した。
【0133】結果 : 表記の化合物を白色粉末として26%の収率で単離した。 原料:
【0134】 F)Fmoc−2,5,7−トリターシャルブチルトリプトファンの製造 2,5,7−トリターシャルブチルトリプトファン トリプトファン(4.00g, 19.59 mmol)、98%トリフルオロ酢酸(60ml)、及び
ターシャルブタノール(15.54g, 209.66mmol)を混合した。反応混合物を48時間攪
拌した。トリフルオロ酢酸を蒸発させた。残渣を40mlの蒸留水に懸濁し、pH値を
炭酸水素ナトリウムを加えて中性にした。粗生成物を濾過によって得た。50%エ
タノールからの結晶化によって生成物は白色粉末(85−90%純度)として得られ
た。 Fmoc-2,5,7−トリターシャルブチルトリプトファン: 表記化合物がFmoc-Trp(1-ベンジル)−OHとして製造された。
【0135】実施例3 ラクトフェリシン類似体の生物活性 類似体の合成 すべてのペプチド類はFmoc保護及びペンタフルオロフェニル(PfP)エステル
類での活性化、またはカプリング試薬、HATU(0-(7-アザベンゾトリアゾール-1-
イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスフェート)による
その場での活性化を使用して9050ミリポア自動ペプチド合成機により合成された
。ペンタフルオロフェニルエステルとのカプリングの場合は、1-HOBt(1-ヒドロ
キシベンゾトリアゾール)を加えて反応に触媒作用をさせ、またカプリング試薬
であるHATUを使用する時にはDIPEA(ジイソプロピルエチルアミン)で塩基触媒
作用を行った。すべての反応性側鎖を有するアミノ酸は酸不安定の保護基であっ
て、スカベンジャーを含有するTFA(トリフルオロ酢酸)で処理することにより開
裂できる保護基で保護された。(スカベンジャー混合物については下記参照)。
同時に、ペプチドはTFA溶液処理によって固体支持体から分離された。
【0136】 A)すべてのD-ペプチド類合成の際の最初のアミノ酸の固体支持体への付着
固体支持体PAC-PEG-PS(ペプチド酸−ポリエチレングリコール−ポリスチレン
樹脂)(1当量)を少量のDMF(ジメチルホルムアミド)中でFmoc-D-アミノ酸−O
pfp(5当量)及びDMAP(ジメチルアミノピリジン)(1当量)と共に混合し30分
間放置して膨潤させた。その後溶液をゆっくりと4時間半攪拌した。Aco(無水
酢酸)(2.5当量)とDMAP(0.1当量)を溶液に加えて固体支持体上に残存するす
べての水酸基をアセチル化した。溶液を更に1時間攪拌した。C-末端アミノ酸の
付いている固体支持体を濾過によって分離し、フィルター上でDMFにより数回洗
浄した。固体支持体をその後9050ミリポア自動ペプチド合成機で目的とするペプ
チド合成に使用した。
【0137】B)無水酢酸を使用するN-末端アミノ基のアセチル化 少量のDMFにペプチド-樹脂複合体を溶解し過剰の無水酢酸(20当量)とDMAP(5
当量)とで、小さいマグネットで溶液をゆっくり攪拌しながら4時間処理した。完
全なアセチル化はニンヒドリン試験/カイザー試験(下記参照)により確認した
【0138】 C)ニンヒドリン試験/カイザー試験 1mg以下のペプチド樹脂複合体を少しの同容積のエタノール中5%のニンヒド
リン溶液、20mlエタノール中80gのフェノール溶液、及び、乾燥し、蒸留したピ
リジン溶液で処理した。反応混合物を110℃で2分間加熱した後、顕微鏡で調べた
。(このテストでは黄色の反応混合物はアセチル化反応が成功したことを示して
おり、青色溶液はまだ遊離のアミノ酸があることを示している)。
【0139】 D)酸に不安定な保護基の開裂 酸に不安定な保護基の開裂及び固体支持体からのペプチドの開裂はTFA中の2%
アニソール、2%エタンジチオール(EDT)、2%水及び2%フェノールの混合物を
用い、4時間以下の開裂時間で達成された。固体支持体をその後濾過によって除
去し、ペプチドをジエチルエーテル中で沈殿させた。TFAを含むエーテル溶液を
パストゥールピペットを用いて除去し、ペプチドを数回ジエチルエーテルデ洗浄
し、高真空下で乾燥した。
【0140】E)精製 ペプチドはC18-反転相カラム(*)と流動相として水とアセトニトリル(両方と
も0.1%TFAを添加)の混合物を用いたHPLCによって精製された。ペプチドフラク
ションの検知に選ばれた波長は254nmであった。 (*)PrePakカートリッジ25×100mm. Delta PakTMC18 15μm100Å(Waters Co
rporatiom)
【0141】 F)分析 ペプチドはすべて流動層として水とアセトニトリル(両方とも0.1%、TFA
添加)の混合物を用いた分析HPCL C18-反転層カラム上で不純物について分析さ
れた。ペプチドの分子量は正イオンエレクトロスプレーイオン化マススペクトロ
メトリー(VG Quattro Quadrupole)によって決定した。 ラクトフェリシンのL−及びD−類似体の合成に使用されたアミノ酸誘導体 アミノ酸誘導体はBachem, MilliGen/Biosearch(Milliporeの1部門)またはPer
Septive Biosystemsのどちらかから購入した。 トリプトファン−Pmc残基を含有するアラニンスキャンペプチドの抗微生物活性 トリフルオロ酢酸による酸不安定保護基の除去及び樹脂からのペプチドの開裂
の間にPmc(2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン-6-スルホニル基)保護基のアル
ギニンからトリプトファンのインドールの第2位置への転位を含む副反応が観察
された。これらの副反応生成物の分離を行いMIC分析から得られた結果を表2に
記載する。この表は又、Pmc基をもたないLFB上で行われたアラニンスキャンの結
果も示している。 アラニンスキャンの間に、連続したアミノ酸がアラニンによって置換された一
連のペプチドが生成した。
【0142】 アミノ酸17ないし31からの天然のウシラクトフェリシン(LFB17-31)の配列は
H2N-Phe-Lys-Cys-Arg-Arg-Trp-Gln-Trp-Arg-Met-Lys-Lys-Leu-Gly-Ala-COOH(SEQ
ID No.1)である。 表2−2個のトリプトファン残基の1個に付いたPmc基をもつアラニンスキャンペ
プチドのMIC結果。この結果はPmc基をもたないLFBについて行われたアラニンス
キャンの結果も示している。
【表2】 これらの結果はトリプトファン残基の1つに結合したPmc基は大腸菌に対して
はその活性を4倍増大させることを示している。S.aureus菌に対する効果は更に
注目すべきものである。このグラム陽性バクテリアはすべてのアラニンスキャン
類似体に対してほとんど完全に耐性を有することが見出されていたが、今やMIC
が10ないし22.5μg/mlであることが示された。この事は天然のLFB17-31に比較し
て抗バクテリア活性で10倍増大していることを示す。疎水性であるトリプトファ
ン−Pmc残基は従って、バクテリア細胞膜の疎水性部分に対するペプチドの親和
性を、ペプチドの抗バクテリア活性が、この残基をもたないペプチドほどには配
列に依存しない程度まで増大させるように思われる。 天然ウシラクトフェリシン(LFB17-31)とエナンチオ−、レトロ−及びレトロ−
エナンチオLFB17-31及びトリプトファン−Pmc残基を導入したこれらの同じペプ
チドとの間の抗バクテリア活性の比較
【0143】 アルギニン残基からトリプトファン残基へ転位させたPmc基を含むペプチドも
エナンチオ−、レトロ−及びレトロ−エナンチオLFB17-31の合成後に分離した。 表3−天然のウシラクトフェリシン(LFB17-31)とエナンチオ−、レトロ−及
びレトロ−エナンチオLFB17-31及び2個のトリプトファン残基のうちの1個に結合
したPmc基を有するこれらのペプチドのMICの結果
【表3】
【0144】 天然のペプチドの正確な鏡像であるエナンチオペプチドは抗バクテリア活性に
おいて注目すべき改善を示している。(事実、このペプチドは大腸菌の場合に天
然のペプチドである、トリプトファン−Pmc残基を有するLFB17-31と同じ活性を
示す)。 立体配位的には、この事はLFB17-31のすべてのD−アミノ酸類似体はすべての
天然L−アミノ酸ペプチドLFB17-31よりもバクテリアの細胞膜のキラル燐脂質と
より良く相互作用するということを意味する。このエナンチオペプチドはバクテ
リアの分解性プロテアーゼに対してより一層低抗性であることも暗示しているで
あろう。 LFB17-31に関して逆の配列をもつレトロペプチドは抗バクテリア活性について
は改善を示していない。これはLFB17-31の抗バクテリア活性が配列特異性である
という理論と両立するものである。アミノ酸配列が全く異なっているのでこのペ
プチドはウシラクトフェリシンの本当の異性体ではない。このペプチドの低い抗
バクテリア活性は従って驚くべきことではない。 すでに述べた通り、天然ペプチドLFB17-31とそのアミド結合位置が反対方向で
ある点を除いて同じα−らせん立体配置をとっているレトロ−エナンチオペプチ
ドでは大腸菌に対して非常に高い抗バクテリア活性が観察された。すべてのL−
アミノ酸が立体異性体であるレトロLFB17-31は低い抗バクテリア活性を示してい
る。その理由は、全D−アミノ酸ペプチドは、バクテリア細胞膜のキラルリン脂
質類とより強く相互作用するか、またはそれらの全L−アミノ酸対応物よりもプ
ロテアーゼに対してより低抗性であるということであろう。 S.aureus菌に対するペプチドの活性は大腸菌で観察されたほどには高くない。
これはグラム陰性バクテリアのリポ多糖類層との相互作用はグラム陽性バクテリ
アのリピッド細胞膜との相互作用よりも強いであろうということを示している。
【0145】 トリプトファン−Pmc含有ペプチドの活性は、全D−アミノ酸及び全L−アミノ
酸異性体間でPmc基をもたないペプチドについて観察されたものと同じ差を示さ
ない。トリプトファン−Pmc残基の効果は、この残基をもたないペプチド間に見
られた立体配置による効果よりも、特にS.aureus菌の場合により強く表われるよ
うである。最も注目すべきことは、レトロ−Pmcペプチドの活性が著しく増大す
ることである。このペプチドの活性はトリプトファンPmc残基の故に大腸菌の場
合8倍増大し、S.aureus菌の場合10倍以上増大する。 Pmc変更について観察された改善は大腸菌の場合無視しうるものであるが、S.a
ureus菌に対する活性は変更によって約6倍増大する。グラム陽性バクテリアは明
らかにトリプトファン−Pmc含有ペプチドに対して、トリプトファン−Pmcをもた
ないその対応物に対するより攻撃されやすい。 トリプトファン変更されたヒト(LFH)、ブタ(LFP)、及びヤギ(LFG)ラクトフェリ
シンの抗バクテリア活性 ウシラクトフェリシン(LFB17-31)のアラニンスキャンからの結果は6位及び
8位の2個のトリプトファン残基は抗バクテリア活性の大部分を失うことなしに
アラニンで置換することができないという事を示した。天然LFH、LFP、及びLFG
ラクトフェリシンの同様の配列部分を調べたところ、これらのペプチドは8位で
トリプトファン残基を欠如しているが進化を維持する間に6位にトリプトファン
残基を持つことを示している。これらのペプチドの抗微生物活性を増加すること
ができるかどうかを見るために、我々は8位で置換されたトリプトファン残基を
有するLFH、LFP、及びLFG類似体を合成した。天然配列のMIC値がトリプトファン
変更されたペプチドと共に表4に与えられている。 変更されたヒトラクトフェリシン(LFHW8)の配列。置換トリプトファンは厚
字で表わしてある(Arg−Trp) 変更されたヤギラクトフェリシン(LFGW8)の配列。置換トリプトファンは厚
字で表わしてある(Arg−Trp)
【0146】 表4−トリプトファン変更したヒト(LFHW8)及びヤギ(LFGW8)ラクトフェリ
シンのMIC結果(天然のLFB17-31及びLFH及びLFGの天然配列のものについてのMIC
値も比較のために記載してある)。
【表4】 LFHW8とLFGW8は両方とも同じペプチドの天然の配列体と比較して大腸菌に対す
る活性の改善を示している。
【0147】トリプトファン−Pmc残基を有するLFH、LFP及び LFGの抗微生物活性 ペプチド(天然配列に対する上記の変更をしたものまたはしないもの)の樹脂か
らの酸による開裂及び酸不安定性保護基の開裂中にトリプトファン残基の1つに
結合したPmc−基を有する副生成物が分離されその抗バクテリア活性を分析した
。結果を表5に示す。 表5−2個のトリプトファン残基の1つに結合するPmc基を有するLFH、LFG 及びL
FP、並びにPmc基を唯一利用可能なトリプトファンに結合されるLFC Pmc及びLFHP
mcのMICの結果
【表5】 これまで分析されたトリプトファン−Pmc含有ペプチドのすべてについてこれ
らのペプチドは一般的にE.coliとS.aureusの両方に対する抗バクテリア活性にお
いて顕著な改善を示している。
【0148】 ウシラクトフェリシン(LFB17-31)の多トリプトファン類似体の抗微生物活性 ウシラクトフェリシン17-31の配列において2個のトリプトファン残基がこのペ
プチドの抗バクテリア活性には絶対不可欠である事はアラニンスキャンで示され
た。これら2個の残基のいずれかのアラニン置換は抗バクテリア活性の大半の損
失に導いたのである。アラニンスキャンは又、ウシラクトフェリシン17-31の配
列における非必須アミノ酸がCys(3)、Gln(7)、及びGly(14)の3つの残基である
ことを示した。この知見に基づいて、我々は、従ってトリプトファンで置換され
た非必須アミノ酸の1つ、2つ、または3つを有する5種のウシラクトフェリシン17
-31多トリプトファン類似体のシリーズを合成した。アラニンスキャンを行い次
に見かけ上非必須アミノ酸と思われるものをトリプトファン又は他の嵩高及び/
又は親油性アミノ酸で置換する、この技術が一般にペプチドの細胞毒性を増大さ
せるのに利用することができ、これはラクトフェリシンに限られるものではない
。 多トリプトファンウシラクトフェリシン類似体の配列を下記に示す。 表6−ウシラクトフェリシン(LFB17-31)の5種の多トリプトファン類似体と天然
のLFB17-31のMIC結果
【表6】
【0149】 LFB17-31配列中の非必須アミノ酸をトリプトファン残基で置換するとこれらの
ペプチドの抗バクテリア活性が天然の配列体のものよりE.coliの場合少なくとも
2倍,S.aureusの場合には4倍も改善されている。 3個の追加トリプトファン残基(ペプチド内に全部で5個のトリプトファン残基
)を有するペプチドW3714は活性が減少した。このペプチドは水溶液中での溶解
性が低くそのために計算よりも低い濃度を与えるので、これは多分溶解性の問題
の結果であろう。ペプチドが高濃度では沈殿する傾向のある時、MICテストの操
作中にこのことは物理的に観察された。 実施例4: 置換マゲニンペプチドも製造された。天然のマゲニン2は下記の配列をもつ。 下記の表7は天然ペプチド及び16位または19位のトリプトファンまたはフェニ
ルアラニンの単一アミノ酸置換が行われた変更ペプチドのいくつかのMIC結果を
示す。その結果として抗バクテリア活性が増大している。
【表7】
【0150】 実施例5各種ペプチドの抗腫瘍効果 環状LFB17-41は、日本の森永乳業社製のものであった。細胞毒性 異なったネズミ及びヒト腫瘍細胞(4×10)を0.1mlのRPMI1640媒体
容積で96-ウェル培養プレート(Costar)に置いた。ペプチド溶液(0.1ml
)を加えプレートを37℃で30分間、4時間、または24時間培養した。細胞
毒性はMTT法を用いて測定した(Mosmann et al., J. Immunol.(1986)136, 2348-
2357)。
【0151】電子顕微鏡検査 走査電子顕微鏡検査(SEM) 走査電子顕微鏡検査のためにはMeth A細胞を12個のウェル培養プレート中で
培養し、下記のような各種ペプチド類で処理した。細胞をMcDowellの保留剤中で
固定し、1%OsO4中で後固着処理し、脱水し、標準方法に従って臨界点乾燥を行
った。細胞をJeol JSM-5300走査顕微鏡で調べた。透過電子顕微鏡検査(TEM) Meth A細胞を12培養プレートから吸出しによって採集し、McDowellの保留剤
中で一晩固定し、その後標準手法に従って後色留め、脱水及びEponアラルダイト
中に固定する処理を行った。超薄片をReichert Ultracut S上で切り取り、次い
で5%の酢酸ウラニルとReynoldクエン酸鉛中で対照比較した。切片をJeol LEM-
1010透過電子顕微鏡で調べた。実験動物 Charles River社(ドイツ)から特別の病原菌フリーのCB6F1(Balb/c XC57 BL
/6)の年令約8週間のメスのマウスを得た。マウスは標準研究室用飼料及び水で
飼育した。腫瘍をもったマウスをヴィールス(LDH,CMV)及びマイコプラスミッ
ク感染に対して血清学的スクリーニングを行ったがテストしたすべての場合に陰
性であった。腫瘍 Meth Aは非粘着性ネズミ肉腫の細胞ライン[sveinbjørnsson et al, (1
996) BBRC223:643-649]で、Balb/cにおいて同系であり、これを2%のFoetalコ
ウシ血清を含有するRPMI 1640中で試験管中で保存した。成長段階での細胞を採
集し、新鮮な媒体中で洗浄し、マウスの腹部位に皮下注射した。各マウスはRPMI
1640中の5×10の生存能力のある腫瘍細胞を1回接種された。結果 試験管中 細胞毒性 ラクトフェリシンB誘導体
【0152】 A)Meth A 環状及び線状LFB Meth A細胞に対する環状及び線状LFB(17-41)の細胞毒性効果を研究した。Ac
mで保護されたシステインをもつ線状LFBはMeth A細胞(1×10/ml)を0
.6mg/mlより高い濃度では4時間の培養後効果的に殺した(図2)。ウシ
ラクトフェリンを酵素的に開裂したフラグメントである環状LFBは0.8mg/ml
より高い濃度で、細胞の99%以上を効果的に殺した。 LFB誘導体 異なる長さで異なった変更をうけたLFB誘導体類がその細胞毒性についてテス
トされた。Meth A細胞を種々のLFB誘導体の異なる濃度で1/2時間及び4時間
培養した。図3に示したように変更されなかったLFB17-31は1/2時間の培養後
で1mg/mlまでの濃度ではMeth A細胞に対して有意の細胞毒性効果をもって
いなかった。この実験において、4時間の培養の後では1mg/mlでは弱い効
果があった(図4)。PMC変更されたLFB17-31類似体は500μg/mlより高い濃
度で1/2時間培養後腫瘍細胞を殺した。4時間後に効果的な死滅を達成するた
めには同じ濃度を必要とした。Pmcで変更した線状LFB(17-41)はPmc変更LFB17-
31よりもやや効果が高かった。 図中“−”はPmc変更なしを示し、“+”はPmc変更を表わす。 Pmcで変更された、より短い配列のLFB20-29は250μg/mlで細胞の90%以上
を死滅させた。(8位でアラニン置換の)PmcとN-末端Fmoc保護されたLFB17-31
類似体は100μg/ml以上の濃度では1/2時間後、50μg/mlでは4時間
後に効果を示した。Fmoc保護されたLFBペプチド(8位でアラニン置換)は250μ
g/mlで1/2時間及び4時間でほとんどの細胞を殺した(図5及び図6)。
それ故、FmocとPmc変更の組み合わせで、LFBの細胞毒効果は2つの変更のうちの
各1つを行うよりも増大されるように思われる。レトロLFB類似体もテストした
。レトロ-Pmc-変更されたLFB17-31もまた変更しないLFB17-31と比較して増大し
た細胞毒効果を所有していた(図5及び図6)。 B)ヒト骨髄白血病細胞ラインHL60 ヒトHL60細胞についてLFB17-41(PB)、LFB14-31(P1)、LF
B14-31Pmc(P2)、LFB(P3)17-31及びLFB17-31Pmc(P4)
の細胞毒効果を調べた。LFB14-31及びLFB17-31はテストした濃度では細胞
毒性を全く示さなかったが、LFB17-41は弱い濃度依存症の細胞毒性効果を有
していた。LFB17-31Pmcペプチドはテストした他のペプチドよりも著しく
強い(約5倍高い)効果を誘発した。図7参照。 EM調査 SEM及びTEM研究により細胞膜がラクトフェリシンペプチドによってひど
く崩解され、その結果、細胞内容物を効果的に放出するということが分かった。
この溶解は極めて速く、即ち大部分の効果的ペプチドによって数分以内に起ると
思われる。
【0153】生体内 1.腫瘍の退縮 ネズミのMeth A繊維肉腫 5×10の生存性Meth A細胞の1回接種後、種々のLFペプチド(L
FB14-31、LFB17-31Pmcは50μlの投与量で500μg;LFB17-31は50μ
l投与量で1000μg)を7日目及び10日目に腫瘍内注射した。LFB14-31も500
μg/mlで腹膜内(PBI)注射した。食塩水のみをコントロールのマウスに
(50μl)注射した(K1、K2、K3)。腫瘍の直径(横断線と縦断線との平
均)を電子カリパスで測定した。 ネズミMeth A繊維肉腫に対するLFB17-31、LFB17-31Pmc及びL
FBの生体内効果 図8で示したようにテストしたすべての3種のペプチド、LFB17−31(PB
)、LFB14-31Pmc(P2)、LFB14-31(P1)は、7日目及び10日目で
の処理後Meth A腫瘍の退縮を誘発した。“Diam. mm”は腫瘍の直径を表わ
している。 興味あることは、LFB14-31で腹膜内処理されたマウスでは腫瘍は根絶され
ていた(PBI)。食塩水のみで処置されたマウスはK1、K2及びK3で示し
てある。
【0154】 実験例2 ネズミの黒色腫(Melanoma)B16F10 5×10の生存性B16F10ネズミ黒色腫細胞を1回接種後、D-LFBA7
Pmc−NHを10日目及び12日目に腫瘍内注射した(50μ1食塩水中1回の注
射につき500μg)。コントロールのマウスには食塩水(50μl)のみを注射し
た。腫瘍の直径(横断線と縦断線との平均)を電子カリパスで2日毎に測定した
ネズミ黒色腫B16F10に対するD-LFBA7Pmc−NHの生体内効果 図9に示したように、D−LFBA7Pmc−NH(Pep)は固い腫瘍の
効果的な退縮を引き起こすことができた。y軸は腫瘍の直径をmmで表わしたも
のである。5つのうち3つの腫瘍は単に2回の注射の後、完全に根絶された。最
初の治療処置から6日目に、腫瘍の1つが再び成長し始め、最初の処置から10
日目には2番目の腫瘍が成長し始めた。
【0155】 2.適応性免疫 定着したMeth A腫瘍の成功した処置の後、何匹かのマウスを上記の腫瘍
細胞の再接種の前1ヶ月間飼育した。これらのマウスのうち何匹かについて2回
目の腫瘍細胞接種から1ヶ月後に3回目の接種を行った。これらのマウスでは腫
瘍はできず、これらのマウスの通常の条件に如何なる影響もなく長期間生存した
【0156】実施例6 中程度に活性のあるペプチドの化学的変更の効果も更に研究された。出発ペプ
チドは天然の配列の残基14-31に対応するウシラクトフェリシンのフラグメント
である(完全な配列については図1の表1参照)。各種のペプチドのE. coli及
びS. aureus菌に対するMIC値の形での抗微生物活性、50%の溶血(EC5
0)を引き起こす濃度として表わされた毒性、及び50%のMeth A細胞を
殺すために要するペプチドのμg/ml数の形での抗腫瘍活性を下記の表8に示
してある。
【表8】 前例の如く、1個またはそれ以上のトリプトファン残基上の嵩高く/親油性基P
MCの存在は抗微生物及び抗腫瘍活性を増大させる。興味あることには、この人
工的な嵩高くて親油性基の存在は殺バクテリア活性を選択的に増大することがで
き、一般的にE.coliに対するよりもS.aureusに対する活性を増大させる。
【0157】実施例7 表9は、天然の配列中の1個のアミノ酸の代わりに非遺伝性の嵩高い親油性アミ
ノ酸を結合しているLFBに基づいたペプチドについて抗バクテリア活性及び毒
性データを示している。更に別のペプチドは天然に存在するトリプトファン残基
の1つの嵩高さ及び親油性を増加させる基(PMC)を結合している。
【表9】 上記の表において Bip=ビフェニルアラニン Tbt=トリ−ターシャルブチルトリプトファン Nal=2−ナフチルアラニン NPS=オルト−ニトロフェニルスルフィニル NPS-O=オルト-ニトロフェニルスルフォニル PMC=2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルフォニル すべてのペプチドはLFB17-31及びその変更物である。
【0158】実施例8 PMC及び異なる長さのペプチドの抗腫瘍活性及び毒性(溶血活性)の効果を
研究するための実験を行った。これらの実験の結果は下記表10に示されている
【表10】 LFBペプチドの1個またはそれ以上のトリプトファン残基上のPMC基の存在
はその抗腫瘍活性を有意に増大させ、またその溶血活性をより小さい程度で増加
させる。驚くべきことに、ペプチドの長さを減少させることによって、選択性、
即ちペプチドの抗腫瘍活性対溶血活性が増加することが見出された。
【0159】実施例9 マゲニンから誘導された活性ペプチドに導入されたトリプトファン残基の数の増
加効果を研究するために、変更されたペプチドを製造した。これらの変更反応の
結果を下記表11に示す。典型的バクテリアに対するMIC値及び50%のMe
th A細胞を殺すのに要するペプチドのμg/mlによって抗腫瘍活性を示し
てある。
【表11】 中程度の抗腫瘍活性のみしかもたないペプチドでは1個の残基をトリプトファン
で置換することによってその活性は著しく増加する。 トスマグ(Tosmag)はすでに高い細胞毒性であり、それ自身嵩高で親油性であ
るフェニルアラニン残基の1個またはそれ以上を置換してもトリプトファンでの
置換によって活性が有意に増大しないことは驚くべきことではない。 明らかに、ペプチドの嵩高さ及び親油性をあまり増加させると目的とは逆効果
をもたらす。これは、重要な残基が置換されるという事実、またはペプチドの側
鎖がどれ程嵩高で/親油性であるべきかについては制限があるという事実による
ものであろう。
【0160】実施例10 ペプチドエステルの製造方法 樹脂からのエステル転位 SASRINTM及びMerrifield型樹脂からの塩基触媒によるエステ
ル転位反応によって完全に保護されたペプチドエステルを得ることができる。メ
タノール及びベンジルアルコールで良好な収率が得られた。KCNまたはLi
Br/DBUのどちらかを触媒として使用した時、最高の結果を得られた。 KCN−触媒によるエステル転位反応の標準手段: 使用するペプチド樹脂及び溶媒は、その使用前に注意深く乾燥しなければならず
、すべては長時間のKCN処理に耐えられなければならない。KCNの溶解度が
低くても、エステル転位反応は起るし残存する塩は邪魔しなかった。ペプチド樹
脂を所望のアルコールと共溶媒、例えばジメチルアセトアミドの混合物に懸濁す
る(通常1:1、10ml/g樹脂)。30分後0.08M溶液を得るのに十分な量(ま
たは少なくとも飽和溶液)の固体KCNを添加する。24時間の攪拌後、樹脂を
濾過し、共溶媒で洗浄する。触媒は例えば濾液を十分な量の固体無水FeCl2と激
しく振盪することにより直ちに分解しなければならない。紺青色の物が群がり出
すのでこれを約30分間かけて沈積させ濾取する。濾液は緑がかったままである
。生成物の溶解性に依存して更に加工するがこれを水で処理しなければならない
。アルコールと共溶媒を除去した後、残査を有機溶媒、例えば酢酸エチルまたは
クロロホルム中にとり、塩類を除くために更に水で抽出する。 N-アシルペプチド類の直接的ベンジルエステル化 (p−ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウム誘導体(HOBMX)は容
易にベンジルカチオン基を発生し、これはN-末端の、及び側鎖が保護されたペプ
チド類をラセミ化することなくそれらのベンジルエステルに変換する。 一般的手段:ペプチド及び炭酸カリウムをジクロロメタンに溶解し、その混合物
を室温で攪拌する。10分後、HOBMClを溶液に添加し8時間攪拌する。反応混合物
中の無機塩類を濾過して除去し、濾液を真空蒸発させる。残査をトルエンに溶解
し、0.5MのNaOH水溶液で、次に水で洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウム上
で乾燥し濾液を真空で蒸留する。
【0161】実施例11 ネズミラクトフェリンに基づいて一連の更に変更されたペプチドを製造した。
下記のデータ(表12参照)ではLFMはネズミのラクトフェリンの残基17-31を表
わす。もっと短いペプチドは番号で表わしてあり、例えばLFM17-24はネズミラク
トフェリンの17から24位にあるアミノ酸に対応する8量体ペプチドを表わす
。 ネズミのLFBに対応するものは一般的にウシLFBよりもずっと活性が低いが、然
し本発明によるペプチド変更によって、非常に大きく増大した抗バクテリア活性
を有するペプチドを製造することができる。より活性なウシ対応物と異なり、LF
Mは8位にトリプトファン残基をもっていない。本発明者達はこの残基がLFBの活
性にとって重要であるとして同定し、そしてこのアスパラギンをトリプトファン
で置換した。この置換のみでは、テストしたバクテリアの菌種に対する活性は有
意には増加しなかった。1位及び9位のアニオン性残基の片方または両方を未変
更のアラニンまたは、より好ましくはアルギニンのようなカチオン性残基で置換
することによって活性を更に増加させることができた。 更に嵩高く/親油性残基、例えばチロジン残基を13位であまり嵩高くないバリ
ンの代わりに導入することによって、及び/またはより嵩高いPMC基を導入して
トリプトファン残基を変更することによって、良好な抗バクテリア活性を有する
ペプチドを作ることができた。
【0162】 更に加えて、驚くべきことに、更に嵩高く/親油性のアミノ酸、例えばトリプ
トファンまたはチロジンを追加して導入し、天然の残基をアルギニンのようなカ
チオン性残基で置換することによってペプチド全体の電荷を増大させるような変
更を加えるとき、LFMのフラグメントに基づく、より短いペプチドが特に効果
的であることが見出された。
【表12】
【0163】実施例12 下記の表13は本発明によるペプチドを与える更なる化学的変更の効果を例証
するものである。
【表13】 特記しない限り、LFBはLFB7-31を表わす。
【0164】実施例13 下記の表14は本発明によるペプチドの抗バクテリア活性及び毒性(%溶血)
データを例証するものである。
【表14】
【0165】実施例14 他の抗生剤に対して耐性を示したバクテリア株に対して活性な抗バクテリアペ
プチド類は潜在的に極めて有用なペプチド類である。下記の表15は、本発明の
好ましいペプチド類の抗バクテリア活性及び毒性データを与えるものである。M
RSAはメチシリン耐性S.aureus, MRSEはメチシリン耐性S.epidermidis菌
である。表15では特に記載しない限り、LFBはLFB17-31のことである。前に
同定された1文字及び3文字コードを使用し、更に下記のN−末端変更基を示し
た。 Bz=ベンジル CHx=シクロヘキシル Ad=アダマンチル
【表15】
【0166】実施例15 下記の表16は比例分のD−アミノ酸を導入した種々のペプチド類のMIC値
を示す。
【表16】
【0167】実施例16 本発明のペプチドの細胞毒性 異なるネズミ及びヒト腫瘍細胞に対するペプチドの細胞毒性効果をMTT法(
Mosmann et al., J. Immunol.(1986)136, 2348-2357)を使用して測定した。M
TTは溶解性のテトラゾリウム塩で、フェノール赤を欠く塩溶液または溶媒中で
製造すると黄色溶液を生じる。溶解したMTTを脱水素酵素によりテトラゾリウ
ム環を開裂させて不溶性の紫色のフォルマザンに変化させる。この水不溶性のフ
ォルマザンをイソプロパノールまたは他の溶媒を使用して可溶化させることがで
き、溶解した物質を分光光度計により測定する。吸光度を、変化した染料の濃度
の函数として測定した。 可溶性染料の不溶性の紫色のフォルマザンへの変換は細胞増殖の測定の際の定
量に使用される。生きている細胞の活性ミトコンドリア脱水素酵素はこの変化を
引き起こすが、死んだ細胞は起こさない。 我々は、ペプチドによってひき起こされた細胞死の程度を測定するためにこの
分析法を使用した。 細胞: 10%のFBS、1%のL−グルタミン及び0.1%のペニシリン及びストレプ
トマイシンを含有するRPMI−1641培体に細胞を保持した。検定に使用する細
胞を集合体に成長させ、トリプシンで処理し単一細胞サスペンションに分裂させ
計数し、1500rpmで10分間遠心分離した。細胞ペレットをFBS及びL−グル
タミンを含まないRPMI-1640(検定用培体)中に4×105cells/mlの濃度で再
懸濁させた。100mlの細胞懸濁液を96−ウェルのミクロタイタープレート上の
各ウェルに移した。検定用培体で希釈した種々の濃度のペプチドを100mlずつ各
ウェルに添加することにより細胞を刺激した。ペプチドの最終濃度は、例えば5
,10,20,40,60,80,100及び200mg/mlであった。細胞懸濁
液を含むウェルにペプチド溶液を添加する際2倍の希釈があるのでペプチド溶液
は2倍の濃度に作らなければならなかった。マイナスのコントロールとして培体
だけを細胞に加え、そしてプラスのコントロール(100%殺す)として1%のト
リトンX-100を添加した。4時間の培養期間に続いて、PBS中に濃度5mg/mlで
溶解したMTT20mlを各ウェルに加え、プレートを更に2時間培養した。上澄液
130mlをその後除去し酸性アルコール(イソプロパノール中0.04-0.1N HCl)を1
00ml各ウェルに添加して暗青色の結晶を溶解した。プレートを振盪機上に1時
間置き、分光光度計で590nmでSoftmaxâプログラムを使用してミクロタイ
タープレート読み取り機で読み取った。
【0168】溶血性測定 ペプチドの溶血活性は新鮮なヒトの赤血球細胞を使用して測定した。健康な人か
ら8mlの血液を採取した。ヘパリンを含有するポリカーボネート製チューブに4
mlの血液を移し最終濃度を10U/mlとした。残りの4mlの血液をEDTAを含有す
るガラス製チューブに移し最終EDTA濃度を15%とした。1500rpmの遠心分
離機によって10分間ヘパリン処理された血液から赤血球を分離し、リン酸緩衝化
食塩水(PBS)で3回洗浄してプラズマ及び淡黄色のコートを除去した。細胞ペ
レットをPBSに再懸濁して最終容積を4mlとした。ペプチドを2mg/ml及び0.1mg
/mlの濃度に希釈した。ペプチドを更に希釈して表1に記載したような濃度にし
た。各々のチューブに先ずPBSを加え、次にRBCs及びペプチド溶液を加えた。E
DTAで処理した血液中のヘマトクリットを30分後にSysmexK-1000で測定し、
再懸濁したRBCsを10%ヘマトクリット中に希釈した。PBS中1%のRBCsでペプチ
ドをもつものと、もたないもの(表18)を振盪機上で37℃で1時間培養し、
その後4000rpmで5分間遠心分離した。上澄液を注意深く新しいポリカーボネー
トチューブに移し、この上澄液の吸光度を540nmで測定した。ベースラインの溶
血はPBSの存在下で放出されたヘモグロビンであり100%の溶血は0.1%トリトンX
-1000の存在下で放出されたヘモグロビンであった。
【表17】
【0169】実施例17 固相ペプチド合成 最初に使用したラクトフェリシンBはWayne Bellamy(日本の森永乳業株式会社、
栄養科学研究所)から寄贈されたものであった。他のすべてのペプチド類は9050
ミリポア自動ペプチド合成機で合成した。一般的には、固相合成においては、ペ
プチド鎖はカルボキシ末端部からアミノ酸末端部へと組み立てられる。最初の(
C−末端)アミノ酸は、連結体(4−ヒドロキシメチル−フェノキシ酢酸)によ
って不溶性の支持体に共有結合的に結合された。残りのアミノ酸は1つまた1つ
とペプチド配列が完成されるまで加えられた。 Fmoc法を使用して、アミノ酸のα−アミノ末端を塩基に不安定な9−フルオレ
ニルメトキシカルボニル(Fmoc)基によって一時的に保護された。アミノ酸のα
―アミノ基のみが保護されたのではなかった。アミノ酸のあるものは副反応を防
ぐために合成の間保護する必要のある反応性側鎖を持っている。これらの保護基
はシステインを除いて、酸に不安定でありTFA(トリフルオロ酢酸)とスカベ
ンジャー(下記参照)での処理で開裂する。 合成に先立って、少量のDMF(ジメチルホルムアミド)を固体支持体PEG
−PS(ポリエチレングリコール−ポリスチレン樹脂)に加え30分間膨潤させ
た。カラム内に充填して、Fmoc基をDMF中20%のピペリジン溶液で処理して
除去した。流入する、保護されたアミノ酸は樹脂に結合したアミノ酸の遊離アミ
ノ末端でそのカルボキシル基で結合できるようになった。然しカプリング反応や
アシル化は自発的に起るのではなくカルボキシレートが活性化されなければなら
ない。これはペンタフルオロフェニル(Pfp)エステルのような予め活性化され
たアミノ酸、またはカプリング試薬であるHATU(0−(7−アザベンゾトリ
アゾール-1-イル)−1,1,3,3―テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ
−フォスフェート)とその場で反応できる遊離のカルボキシレートを有するアミ
ノ酸の使用によって達成された。Pfpエステルを使用して、1.3等量のHOBt(1−
ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール)を加えて反応を触媒し、一方、カプリング試
薬HATUを用いる場合、反応は2.4等量のDIPEA(ジイソプロピルエチルアミン)で
塩基触媒した。一般的には4倍量過剰の活性化アミノ酸を使用した。アミノ酸は
エクスプレス−ペプチドプログラムによって計算したように十分な量の活性化剤
溶液中に溶解した。
【0170】 次いでアミノ酸を、完全に保護基を除去したα‐アミノ基を有する支持体に結
合したアミノ酸/ペプチド中に加え、ペプチド結合形成を達成するために混合し
たループを通して再循環させた。使用した樹脂の容量は0.15ないし0.23mmol/gに
なり、流入するアミノ酸の利用可能な結合場所を意味しており、そこから活性化
剤の当量が計算される。アミノ酸の標準カプリングサイクルは30分であったが、
アルギニン、イソロイシン、スレオニン、チロシン、バリン及びその後にカプリ
ングさせたアミノ酸は例外として60分要した。これらのアミノ酸の延長されたカ
プリング時間は、カプリング反応中に立体障害を引き起こすことが知られている
それらの大きな側鎖の故に選ばれたものである。一度カプリングが完成すると過
剰のアミノ酸溶液及び反応副生成物をDMFで洗浄して除去した。次のサイクル
をN−末端アミノ酸のα‐アミノ基の保護基をはずして始めた。α‐アミノ基の
保護基はずしのプロセスと、それに続くカプリングは、所望するペプチドを組み
立てるために必要なだけの多くのサイクルをくりかえした。 合成が完成した後、カラムの内容物をロートに移しメタノールで3回、そして
ジクロロメタンで2回洗浄した。酸に不安定な側鎖保護基の開裂及び固体支持体
からのペプチドの開裂はTFA中の2%アニソール、2%エタンジチオール、2
%水及び2%フェノールの混合物を使用して4時間より長くない開裂時間で達成
された。固体支持体を次いで濾過によって除去し、濾液を高真空で濃縮し、ペプ
チドをジエチルエーテル中で沈澱させた。TFAを含有するエーテル溶液をパス
ツールピペットを使用して除去し、ペプチドを数回ジエチルエーテルで洗浄し、
高真空下で乾燥した。 アミノ酸誘導体: アミノ酸誘導体:アミノ酸誘導体はBachem, MilliGen/Biosearch (Milliporeの
一部門)またはPerSeptive Biosystems社のいずれかから購入した。フェノールは
Flukaから、そしてアニソールはSigmaから購入した。DMF、PIP、DIPEA、T
FA及びPEG‐PS樹脂はすべてPerSeptive Biosystemsから購入した。
【0171】実施例18 下記の表18は1個のTrpの代わりに2個の非遺伝性の嵩高で親油性アミノ酸
を導入するか、または天然のTrpまたはPhe残基の1個の嵩高さと親油性を増加さ
せる基(Pmc)を導入したLFB14-31誘導体の抗腫瘍活性及び毒性データを示して
いる。
【表18】 LFB14-31誘導体上の3個の非遺伝性変更基のいずれかの存在によってその抗腫瘍
活性は有意に増加した。Tbt変更されたペプチドは然しテストした3つの変更類
似体のうちで最も高い溶血活性を有していた。
【0172】実施例19 下記の表は19は本発明による更なるペプチドの抗バクテリア活性及び抗腫瘍
活性及び毒性を示している。特に、置換はトリプトファンの置換が如何に有利に
低毒性(赤血球細胞に対する活性と正常な繊維芽細胞に対する活性)をもつペプ
チドを生ずる結果になるかを示している。
【表19】
【図面の簡単な説明】
【図1】 異なる種類からの合成ラクトフェリシンのアミノ酸配列及びpH7での電荷を示
す。
【図2】 試験管中で24時間培養した、線状及び環状ラクトフェリシンBのMeth A 繊
維肉腫細胞ラインに対する効果を示す。
【図3】 試験管中で1/2時間培養した、Meth A細胞に対する異なるLFB誘導体の効果を
示す。+=pmc−変更、 −=未変更
【図4】 試験管中で4時間培養した、Meth A細胞に対する異なるLFB誘導体の効果を示
す。+=pmc−変更、 −=未変更
【図5】 試験管中で1/2時間培養した、pmc変更レトロLFB 17−31(+)、FmocLFB 17−
31(A8)及びLFB17−31のMethA細胞に対する効果を示す。RPMIをマイナスの
コントロールとして、トリトン100Xをプラスのコントロールとして使用した。
濃度はmg/mlである。
【図6】 試験管中で4時間後のMeth A細胞に対するpmc変更レトロLFB17−31(+)、F moc LFB 17−31(A8)及びLFB17−31の効果を示す。RPMIをマイナスのコントロ
ールとして、トリトン100Xをプラスのコントロールとして使用した。濃度はmg/
mlである。
【図7】 4時間後のヒトの骨髄白血病細胞ラインHL60への投薬応答を示す。HL60細胞1
×10は50、30、20、10、5、1μgずつ、1000−20 μg/mlのペプチドと共に2時
間培養しMTTで着色した。
【図8】 腫瘍成長の阻害を示す。Meth A腫瘍細胞(5×10 セル)を第1日に接種し
第7日と第10日に0.5mg(1mgのP1)の異なるペプチドで処理した。
【図9】 B16F10ネズミの黒色腫に対するD-LFB(17-31)A7 Pmc-NHの効果を示す。
【図10】 cLFBで処置し成功した後にMeth A細胞を再接種したBulb/cマウスにできた腫
瘍の大きさを示す。マウスはこの研究ではcLFBまたは他のペプチドで治療されな
かった。従って適応しうる免疫性の形が示される。Meth A腫瘍のLFB処置後1ヶ
月でMeth A細胞の再接種。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/20 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CR, CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI,G B,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL ,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V N,YU,ZA,ZW (72)発明者 ヴォーランド, ラルス ノルウェー国 エヌ−9037 トロムソ ユ ニバーシティ オブ トロムソ Fターム(参考) 4B065 AA01 BB37 CA24 CA34 CA43 CA44 4C084 AA02 AA07 BA01 BA18 BA44 NA14 ZB26 ZB35 4H045 AA10 AA30 BA10 BA14 BA15 BA16 BA17 BA18 CA43 DA83 EA06 EA29 FA16 FA33 FA52 FA58 FA59

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸、及びそのエステル、アミ
    ド、塩及び環状誘導体を1個またはそれ以上有するカチオン性残基を1個または
    それ以上含む7ないし25量体細胞毒性ペプチド。
  2. 【請求項2】 非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸のR基が少なくとも9個の
    非水素原子を有する請求項1に記載のペプチド。
  3. 【請求項3】 前記R基が5または6個の原子の閉環を2またはそれ以上含
    む請求項2に記載のペプチド。
  4. 【請求項4】 前記非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸が変更された芳香族残
    基である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のペプチド。
  5. 【請求項5】 芳香族残基がトリプトファンである請求項4に記載のペプチ
    ド。
  6. 【請求項6】 芳香族残基が保護基によって変更されている請求項4または
    5に記載のペプチド。
  7. 【請求項7】 ペプチドが両極性である請求項1ないし6のいずれか1項に
    記載のペプチド。
  8. 【請求項8】 そのN−末端基が少なくとも5個の非水素原子を含む環状基
    によって変更されたカチオン性残基、及びそのエステル、アミド、塩及び環状誘
    導体を1個またはそれ以上有する7ないし25量体の細胞毒性ペプチド。
  9. 【請求項9】 前記N−末端基変更基は2個またはそれ以上縮合環を含む請
    求項8に記載のペプチド。
  10. 【請求項10】 そのC−末端基が少なくとも4個の非水素原子を含む基に
    よって変更されているカチオン性残基、及びその塩及び環状誘導体を1個または
    それ以上有する7ないし25量体細胞毒性ペプチド
  11. 【請求項11】 前記請求項1ないし10のいずれか1項に記載のペプチド
    を生理的に許容される賦形剤と共に含有する医薬組成物。
  12. 【請求項12】 医薬品として使用するための請求項1ないし10のいずれ
    か1項に記載のペプチド。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし10のいずれか1項に記載のペプチドを患
    者に投与することからなる患者におけるバクテリア感染症を治療する方法。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし10のいずれか1項に記載のペプチドを患
    者に投与することからなる患者における腫瘍を治療する方法。
  15. 【請求項15】 請求項1ないし10のいずれか1項に記載のペプチドをバ
    クテリアを阻害する量でバクテリアに接触させることからなるバクテリアの成長
    を阻止する方法。
  16. 【請求項16】 非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸を挿入することにより3
    個またはそれ以上のカチオン性残基をもつ7ないし25量体ペプチドの細胞毒性
    または選択性を増大させる方法。
  17. 【請求項17】 非遺伝性の嵩高い親油性アミノ酸を、3個またはそれ以上
    のカチオン性残基を有する7ないし25量体ペプチド内に挿入することからなる
    、増大された細胞毒活性及び/又はある種の細胞タイプに対して改善された選択
    性を有するペプチドを製造する方法。
  18. 【請求項18】 トリプトファンが置換されるべき基をグアニジル含有基か
    らN−位で保護されたトリプトファンに移動させることからなるインドール環の
    2−位で置換されたトリプトファン残基を製造する方法。
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