JP4902919B2 - ペプチド作成の方法 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は生物活性ペプチドの製造方法およびこの技術により生成する分子に関する。さらに詳しくは、生体内でα−ヘリックス構造を形成でき、ペプチドの三次元構造内でのカチオン性かつ嵩高い疎水性残基の相対的位置によって、良好な選択性を示す生物活性ペプチドに関し、またこのようなペプチドの製造に関する。治療活性の増大および/あるいは毒性の低減によって選択性、すなわち利用可能な治癒効果のある窓を生成あるいは増大することができる。
【0002】
本発明はペプチドの活性(抗菌性あるいは抗腫瘍性)の増大方法および選択性の増大(治癒効果のある窓の増加)方法を示す。毒性が増加しない、あるいは極少量だけ増加するが、活性が増大することによって選択性の増大を達成してもよい。代わりに、標的細胞に対する活性が同等、あるいはわずかにのみ減少するが、毒性が低減することによって選択性の増大を達成してもよい。
【0003】
ペプチド、その誘導体およびその非ペプチド擬態物(ペプチド擬態物)は治療的に重要なクラスの化合物である。ペプチド、例えば天然に存在するタンパク質の断片およびペプチドは抗微生物剤、特に抗細菌剤として開発されている。幅広い種類の微生物が宿主防御機構の一部としてペプチドを使用する。抗微生物性ペプチドは細菌から哺乳動物までのように様々な種から分離されている[Lehrer, R.I., Lichtenstein, A.K. and Ganz, T. (1993) Ann. Rev. Immunol. 11, 105-128]。通常、これらの抗微生物性ペプチドは正味、正に荷電し、細菌細胞膜中の外側のリン脂質二重層との相互作用により両親媒性α−ヘリックスあるいはβ−シート構造を形成する傾向がある[Besalle, R., Gorea, A., Shalit, J., Metger, J.W., Dass, C., Desiderio, D.M. and Fridkin, M. (1993) J. Med. Chem. 36, 1203-1209]。クラス L(溶解性)ペプチドに分類される数種のペプチドは、恐らく透過性の変化およびその結果起こる細胞溶解を引き起こすイオンチャネルあるいは通孔を形成ながら[Ludtke, S.J., He, K., Heller, W.T., Harroun, T.A., Yang, L. and Huang, H.W. (1996) Biochemistry 35 13723-13728]、細菌細胞膜と相互作用すると思われるが、ほとんどの場合、抗生的な作用の詳細な分子機構は分かっていない。
【0004】
マゲイニン(magainin)はアフリカツメガエル(Xenopus laevis)の皮膚由来の抗細菌性ペプチドであり、細菌を特に溶解するのでクラスL抗生物質に分類される。マストロパラン(mastroparan)、ミツバチ毒のような他のペプチドは、原核細胞と同様に真核細胞をも溶解するので、この特異性を欠き、クラス L毒物と呼ばれる[Tytler, E.M., Anantharamaiah, G.M., Walker, D.E., Mishra, V.K., Palgunachari, M.N. and Segrest, J.P (1995) Biochemistry 34, 4393-4401]。
【0005】
マゲイニンおよびマストロパランと同様に、宿主防御ペプチドは蛾および蝿(セクロピン)から、さらにカブトガニから分離されている。寄生生物を撃退するためのこれらの宿主防御ペプチド、例えば毒物のようなものの直接的作用は明らかになっている。抗生的な効果を示すペプチドの探索により、細胞毒性を有しないと予想される他のタンパク質/ペプチドが同定されている。これらのうちの1つがラクトフェリンであり、弱い抗細菌効果も示す鉄輸送物質である。
【0006】
さらに最近、新しい抗菌性ペプチドの探索だけでなく、既知の抗微生物性を有するタンパク質あるいはペプチドの活性を増大させることが追求されている。これを、ウシのラクトフェリンの場合には、胃から調製したペプシンで自然のままのタンパク質を消化し、天然のウシのラクトフェリンよりもかなり高活性なペプチド、ラクトフェリシンB(LFB)を製造することによって行っている。LFBは、ウシのラクトフェリンの残基17から41に相当する25残基ペプチドである[Bellamy et al. (1992) Biochem. Biophys. Acta. 1121, pp130 以下参照]。構造−活性の研究はマゲイニンに関して行なわれており、例えばラセン構造およびカチオン性電荷の増強によって、抗細菌活性が高くとなることが示されている[Chan, Y.H., Brown, J.H., Morell, J.L. and Huang, C.M. (1988) FEBS Letters 236, 462-466]。しかし、このような配列修飾によって溶血活性が高くなることがよくある。したがって、本発明はかなり高い抗菌活性を有するが、好ましくは低溶血活性に示されるような低毒性、すなわち通常の真核細胞には影響を及ぼさないペプチドおよび/あるいはペプチド誘導体を製造することを目的としている。赤血球は代表的な真核細胞ではないかもしれないが、便宜的な毒性検査方法を提供し、いずれにしても、赤血球は治癒効果のある生物活性ペプチドを用いても少なからぬ量まで溶解しては困る細胞の典型である。
【0007】
マゲイニンおよび他の抗微生物性ペプチドの構造−活性の研究により、細胞膜の破壊能力を決定する主要な構造モチーフとして正味の正電荷、両親媒性およびα−ヘリックス構造の重要性が明らかになっている(Blondelle 1992, Chen 1988)。このようなペプチドの抗微生物性および選択性を改良することが試みられており、両親媒性の尺度として平均疎水性モーメントおよび疎水性が研究されている(Pathak 1995, Dathe 1997, Wieprecht 1997)。通常、高い疎水性および疎水性モーメントを有するペプチドは高い抗細菌活性を示すが、ほとんどの場合、溶血活性もまた高い。また、正に荷電したラセンに対する角度についても研究され(Wieprecht 1997)、角度が大きいと高い抗菌活性を示すが、同時に選択性が減少することが見出された。
【0008】
さらに最近(例えば、Risso et al. Cell. Immunol. [1998] 107)、抗癌剤としてのペプチドの役割、特に腫瘍細胞の溶解能によるその役割が確認されている。このことから周囲の健康な細胞のみならず標的細胞も真核細胞であるために、選択性という、より大きな問題が生じている。標的細胞と非標的細胞との細胞膜あるいは細胞表面の違いがほとんどないため、このような状況で治療的な窓を認め大きく開けることは困難である。腫瘍細胞は同じタイプの健康な細胞あるいは異なったタイプの近傍にある真核細胞とはわずかに異なるかもしれないが、この微妙な変化はよく理解されていない。したがって、なんらかの違いを利用する機構は記載されていない。したがって、本発明は良好な抗腫瘍活性を有するが、生理的に受け入れられる毒性レベル、すなわち大多数の健康な真核細胞を溶解しない毒性レベル、そうでなければ妨害あるいは破壊しない毒性レベルを有する、治癒効果のあるペプチドを同定あるいは開発するための機構を提供することを特に目的としている。
【0009】
腫瘍は広範囲にわたる既存の化学療法製剤に対する抵抗性を発達させ得ることから、このような耐薬性を発達させた細胞に対して有効な抗癌剤の開発が特に求められている。
驚くことにペプチドのカチオン性セクターと嵩高い疎水性残基との間の立体的な関係がペプチドの治療活性および/あるいは選択性において重要な役割を果たしていることが分かってきた。
【0010】
本発明は標的細胞の細胞膜との相互作用により治癒効果を発揮する生物活性ペプチドに関する。これに関しては2つのタイプの相互作用が重要である。1つ目はペプチドの正荷電が負に荷電した膜リン脂質を引き寄せる相互作用であり、2つ目はリン脂質の疎水性部分と相互作用すると思われる嵩高い疎水性基の存在である。すなわち、そうしたペプチドは水を好む正に荷電した領域および水を嫌う疎水性の領域を有する両親媒性の性格を有する。
【0011】
ペプチドを構築するアミノ酸の側鎖の違いによりカチオン性あるいは疎水性を有する基を与える。遺伝的にコード化されるアミノ酸のうち、リジン、アルギニンおよびヒスチジンはカチオン性部位、すなわちpH7.0で正に荷電した部位を有し、ここではこれらを便宜的にカチオン性アミノ酸と呼ぶ。遺伝的にコード化されるアミノ酸のうち、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンは嵩高い疎水性の側鎖を含有し、ここでは便宜的に嵩高い疎水性アミノ酸と呼ぶ。
【0012】
本発明による方法によって製造されるペプチドは生体内で両親媒性のα−ヘリックス構造を形成することができ、そのアミノ酸組成およびおおよその三次元構造を便宜的にα−らせん回転輪(α−helical wheel)表すことができ、例として図1に示す。アミノ酸がD体あるいはL体に基づきα−ヘリックスは反時計回りあるいは時計回りとなり得る。本発明では、いずれの型も想定している。らせん回転輪(helical wheel)は三次元のペプチドの二次元表現であり、ラセン形状のペプチドを円形に概念的に圧縮した結果である。したがって、セクターも二次元で考え、円の中心での角度によりその大きさを決定する。この方法でプロットすると、1つ以上のカチオン性セクター、すなわちカチオン性アミノ酸の集合体が識別できる。例えば、所望の治癒効果、一般的には溶解活性を示すペプチドは1つの中心となるカチオン性セクターを含有する。例として図1のペプチドのカチオン性セクターを示す。
【0013】
発明者らは、驚くことに、カチオン性セクターに隣接する領域に嵩高い疎水性アミノ酸を集めることにより細胞障害性ペプチドの治療活性および選択性の両方が増大することを見出した。これは以下でさらに詳しく述べるように、嵩高い疎水性基それぞれの生理学的効果を最大にしたい場合に、特にそうである。カチオン性セクターに隣接する領域が最も“活性のある” 領域、すなわち嵩高い疎水性の各残基の影響が最大になる区域であることを見出した。したがって、治療的活性がわずかに減少することを容認しても、大多数の嵩高い疎水性基を含有するペプチドの毒性を低減したい場合、カチオン性セクターから遠ざけるようにしてこれらの残基を組み込むことが有利となり得る。
【0014】
本発明の1つの特徴では、前記ペプチドが7〜25個、好ましくは12〜25個のアミノ酸の長さであり、少なくとも3つのカチオン性アミノ酸を含有し、両親媒性のα-ヘリックスを形成できる生物活性ペプチドの製造方法が提供される。該方法はカチオン性セクターを同定し、かつ実質的に大きさが等しい3つの別のセクターにペプチドの残りの部分が分割されることを同定し、さらにカチオン性セクターに隣接するセクターにアミノ酸R基による嵩高さおよび疎水性を少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%組み込んでなる生物活性ペプチドの製造方法である。
【0015】
本明細書では、カチオン性セクターの側面を構成するセクターを“隣接セクター”と呼び、カチオン性セクターの反対側の位置にあるセクターを“向かい側のセクター”と呼ぶ。
再度、以下でさらに詳細に述べるように、ペプチドが大多数の嵩高い疎水性残基および/あるいは多数のカチオン性基を含有する場合、いわゆる隣接セクターには嵩高い疎水性残基を低い割合で含有することが好ましい。
【0016】
嵩高い疎水性基が全て同じものである場合、嵩高さおよび疎水性のパーセンテージは、ペプチドにあるそうした基の総数に対する、隣接セクターに組み込まれたこれらの嵩高い疎水性基の割合と単純に同等であるとみなす。遺伝的にコード化された疎水性アミノ酸に嵩高さおよび疎水性についてのユニットの付け方を以下に説明する。すなわち、バリンは1ユニット、トリプトファンは2ユニット寄与するとする。実際には、このシステムをさらに最も嵩高い疎水性残基であるトリプトファンにより改良でき、トリプトファンの2つの環構造が一体化しているのでトリプトファンを2.5ユニットとみなす。例えば、ビフェニルアラニンのように縮合していない2つ以上の環を含有するR基はさらに嵩高く、そのような基の嵩高さおよび疎水性の寄与を3ユニットとみなす。(遺伝的にコード化されていないが)天然に存在するか修飾されていても全てのアミノ酸R基にこの原理を当てはめることができる。
【0017】
一般に、R基および非環状基に3〜6個の非水素原子を含有するアミノ酸は1ユニットであり、R基中に単一の環状基および8個だけの非水素原子、あるいは7〜9個の非水素原子を有する枝分かれ状アルキル基を組み込んだアミノ酸を2ユニットとする。縮合した2つの環および全部で9〜12個の非水素原子の寄与を2.5ユニットとし、2つ以上の縮合していない環を含有するものは3ユニットとする。トリプトファンおよびの類似体は全て2.5ユニットとみなす。
【0018】
本発明の別の面では、前記ペプチドが7〜25個、好ましくは12〜25個のアミノ酸の長さであり、少なくとも3つのカチオン性アミノ酸を含有し、両親媒性のα-ヘリックスを形成できる生物活性ペプチドの製造方法であり、カチオン性セクターを同定し、ペプチドの残りの部分は大きさが実質的に等しい3つの別のセクターへ分割されることを同定し、さらにカチオン性セクターと向かい側の位置にあるセクターに2個だけの、好ましくは1つ以下の嵩高い疎水性アミノ酸を組み込み、カチオン性セクターに隣接する2つのセクターには少なくとも2つ、好ましくは3つ以上の嵩高い疎水性アミノ酸を組み込む生物活性ペプチドの製造方法を提供する。
【0019】
隣接セクターに少なくとも2つのアミノ酸を導入することを述べているところは各隣接セクターに少なくとも2つの嵩高い疎水性アミノ酸を導入するのではなく、隣接セクターに両方で少なくとも2つの嵩高い疎水性アミノ酸を導入することを意味していることを理解すべきである。好都合には、少なくとも1つの嵩高い疎水性アミノ酸がカチオン性セクターに隣接する各セクターにある。
【0020】
上述したように製造にはペプチドの合成を含み、これは便宜上、相当する核酸配列の転写および翻訳によって、あるいは新規合成、現存するペプチドの修飾によるものであってもよい。以下に合成方法をより詳細に述べる。
“組み込み”とは、製造されたペプチド全体に関して特定の残基が定義されたようにセクター内で確認できるようにペプチド合成が行われるという意味で含有を意味する。
【0021】
より大きな嵩高さおよび疎水性のために、ペプチドはチロシン、フェニルアラニンおよびトリプトファンから選ばれた少なくとも2つ、例えば3つ以上の残基を含有することが好ましく、トリプトファン残基を含有することが特に好ましい。ペプチドは全体として上記に例示された7つのアミノ酸から選ばれた嵩高い疎水性残基を含有してもよいが、向かい側のセクターは、より嵩高い疎水性残基、すなわちチロシン、フェニルアラニンおよびトリプトファン、あるいはこれらの非磁性等価物を1つだけ含有するか、好ましくは1つも含有しないことである。
【0022】
別の面から考えると、嵩高い疎水性アミノ酸の2つのグループを、嵩高さおよび疎水性についてそれぞれ1あるいは2の任意の“ユニット寄与するもの”とみなすことができる。すなわち、バリンは1ユニットとし、フェニルアラニンは2ユニットとする。チロシンも2ユニット寄与するが、トリプトファンは2.5ユニット寄与するとみなす方がより好ましい。したがって、全体として、ペプチドは少なくとも2ユニット、好ましくは3ユニット、より好ましくは4〜8ユニット、例えば5あるいは6ユニットの嵩高さおよび疎水性を有する。したがって、向かい側のセクターは2ユニットだけ、好ましくは1以下のユニットの嵩高さおよび疎水性を有することが望ましい。通常、予測しているように、より長いペプチドはより多くのユニットの嵩高さおよび疎水性を必要とする。また、より少ししかカチオン性アミノ酸が組み込まれていないペプチドは、より多くのユニットの嵩高さおよび疎水性を必要とする。遺伝的にコード化されていない同等の対応するアミノ酸を同様に分類することができる。通常、R基に5以下の非水素原子を含有するアミノ酸は1ユニットのみの寄与とし、このアミノ酸は典型的には環状基を含有していない。一方、それより大きな基は2ユニットの寄与とし、典型的には環状基を含有している。異なった基により寄与されるユニットについては、上でより詳細に記載されている。
【0023】
遺伝的にコード化される嵩高い疎水性アミノ酸のうち、トリプトファンは本発明によるペプチド調製における使用に特に適している。発明者らはトリプトファンを組み込んだペプチドが特に有利なペプチドであり、具体的には良好な治療活性および良好な選択性を有することに注目している。毒性はペプチドによる赤血球溶解性に関してよく測定されるが、選択性のより重要な面は、ここではMeth A型細胞および繊維芽細胞のモデルで表されたが、同じタイプの腫瘍細胞と非腫瘍細胞とを区別する能力である。
【0024】
したがって、トリプトファン、および遺伝的にコード化されず、同様の三次元配座および疎水特性を示すその類似体および誘導体は、本発明により嵩高い疎水性アミノ酸として好ましい。好適なトリプトファン誘導体は、典型的には好ましくは1つの五員環および1つの六員環を組み込んで一体化した縮合二環構造を含有し、この六員環はアルキルあるいはアリールであり、好ましくはアリールである。これらの環のいずれかあるいは両方を、例えば炭素数1〜3、好ましくは炭素数1〜2のアルキル基により適度に置換してもよく、必要に応じて、このアルキル基の1つ以上の炭素原子を窒素、酸素あるいは硫黄に置換し、環を水酸基あるいはハロゲンで置換してもよい。一方、トリプトファンのイミダゾール基を、必要に応じて1つ以上の炭素原子を上述したように置換した炭素数2〜5の鎖状あるいは分岐状アルキル基に置換してもよい。このトリプトファンの類似体は全て2.5ユニットの嵩高さおよび疎水性の寄与とする。
【0025】
上述し、図2に例示したように、ペプチドを4つのセクター、すなわちカチオン性セクター、ここでは“隣接セクター”と呼ぶ、カチオン性セクターに隣接する2つのセクター、およびここでは“向かい側のセクター”と呼ぶ、カチオン性セクターと向かい合う位置にあるセクターに分割することが、本発明にとって重要な部分である。このような分割は、従来、提案されておらず、驚くべきことに新規のペプチドを設計し、効能を最大にし、既知のペプチドの毒性を最小限にすることに対し有用な骨格を与える。
【0026】
カチオン性セクターの同定を容易にするために、便宜的にまずペプチドをα−ラセンの回転輪形状で表現する。これは、単に紙上にペプチドを描くことを含めた手作業で、あるいはコンピュータモデリングを含めたモデル化、その他任意の方法でも行うことができる。
したがって、一般に、製造方法は設計および合成の段階を含むであろう。設計段階をコンピュータにより支援されてもよく、例えばα-らせん回転輪作成用のコンピュータプログラムがその分野でよく知られている。便利なプログラムとしては、DNA Star社製の“Protean and Edit sequence”がある。ペプチド合成の方法はその分野でよく知られており、以下でより詳細に述べる。
【0027】
本明細書で述べられる技術は、例えば毒性を低減するため、あるいは公知の溶解性ペプチドの選択性もしくは活性を増大させるための既存するペプチドの修飾、あるいは特定の治療上の適用性を有することを意図する新規のペプチドの設計および合成の両方に適用できる。したがって、カチオン性アミノ酸および嵩高い/疎水性アミノ酸の相対的位置が活性および選択性に影響を及ぼす方法に関するこれらの驚くべき結果の帰結として、発明者らは幅広い範囲の治療上の適用性を有するペプチドの設計および合成のための新規の戦略を提供する。特に、その方法は微生物あるいは腫瘍細胞を標的とする溶解性ペプチドの設計および合成に有用である。
【0028】
これらのペプチドは、その驚くべき良好な選択性により抗腫瘍ペプチドとして特に有効である。したがって、本発明により低毒性を有する両親媒性ラセン状ペプチドを嵩高い疎水性アミノ酸の付加または天然の嵩高い疎水性残基の移動により修飾できて、増大した腫瘍死滅活性および選択性を得る。
本発明は、ペプチド内に見出された嵩高い疎水性基の治療への影響を最適化することに関する。通常、ペプチドの全体の嵩高さが大きくなればなるほど、例えば嵩高い疎水性基の数が多くなればなるほど、あるいは嵩高さおよび疎水性のユニット数が高いほど、ペプチドは治療的にも毒性の面でも両方がより活性化することがわかっている。したがって、嵩高い基を最良に使用することにより治療の活性を最大にし、かつ毒性の影響を最小したいことがある。本発明でこの必要性を示している。
【0029】
治療中の子供、あるいは癌および/あるいは受けている治療によって衰弱している癌患者の場合のように、有用な治療効果を得るが、生体内で非常に低い毒性を維持することが重要である場合、この必要性は特に重大となり得るであろう。あるドラッグデリバリーシステム、例えば、投与したペプチドの大きさおよび/あるいは疎水性を最小にしたいドラッグデリバリーシステムでは、少数の嵩高い疎水性基の効果を最大にすることもまた重要となり得る。より高い疎水性残基の数によりペプチドのα−ヘリックス構造が減少し得るので、疎水性残基の数を最小に保持することもまた有益となり得る。例えば、アラニンは大きな疎水性基よりもかなり高いα−ヘリックスの安定化作用を有する。
【0030】
上で明らかにした製造方法を含む方法によって調製されたペプチドは本発明のさらなる面を構成する。上述した段階を行った後、そのペプチドをさらに修飾してもよいことが分かる。したがって、さらなる面では、本発明はここで述べられたペプチドの製造方法を含み、さらにそれによって調製された化合物あるいはその誘導体を薬剤用に受け入れられる担体とともに混合することを含む製薬組成物の製造方法を提供する。
【0031】
さらなる特徴において、本発明は7〜25個のアミノ酸の長さであり、少なくとも3つのカチオン性アミノ酸を含有し、両親媒性のα−ヘリックス構造を形成でき、カチオン性セクターと向い側の位置にあるセクターに2つだけの嵩高い疎水性基を含有し、カチオン性セクターに隣接するセクターに少なくとも2つの嵩高い疎水性基を含有するペプチドを同定することを含み、前記ペプチドあるいはその誘導体、あるいはその非ペプチド生物模擬的な物を合成することを含み、必要に応じて、前記ペプチド、誘導体および生物模擬的な物を生理的に受け入れられる担体あるいは賦型剤に処方することを含む抗菌剤あるいは抗腫瘍剤の調製方法を提供する。別の面より考えると、同定されたペプチドは7〜25個のアミノ酸の長さであり、隣接セクターのアミノ酸R基により与えられる嵩高さおよび疎水性を少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%含有する。
【0032】
同定方法は、その既知のペプチドの活性および/あるいは選択性を増大することを目的として、新規にあるいは既知のペプチドに基づく、ペプチドの設計および修飾の側面を含んでよい。その方法は、生体外あるいは生体内でのペプチドの試験分析を含んでいてもよく、必要あるいは求められるならば、ひき続きここで明らかにされたパラメーターの範囲内でのさらなる修飾、合成および必要に応じて薬剤組成物に処方する前に再試験することを含んでいてもよい。その方法は、ペプチドの同定、そのペプチドの生物活性の分析および、処方用のその非ペプチド誘導体あるいはその擬態物の合成を含んでいてもよい。
【0033】
重要な段階は、カチオン性セクターの同定である。カチオン性セクターは、少なくとも2つのカチオン性アミノ酸、好ましくは3あるいは4以上のカチオン性残基を含有する。カチオン性セクター内のアミノ酸は全てがカチオン性であるわけではないが、カチオン性セクターは2つだけの非カチオン性アミノ酸、好ましくはわずか1つの非カチオン性アミノ酸を含有するであろう。修飾されていないN−末端アミノ酸は、N-末端がpH7.0では正に荷電しているので、もはやカチオン性アミノ酸とはみなされないアニオン性R基を含有していない限りは、“カチオン性アミノ酸”とみなされる。
【0034】
したがって、カチオン性セクターは、カチオン性アミノ酸がほとんど組み込まれているセクターであるが、最大2つの非カチオン性アミノ酸を含有しているセクターである。ペプチド内、特に両親媒性α−ヘリックス構造を形成するペプチド内のカチオン性セクターの同定は、その分野で熟練した者がよく知っている技術である。
【0035】
カチオン性セクターの角度は、通常、200°から60°まで、好ましくは180°から90°まで変化する。α−らせん回転輪の形式(α−ラセン回転輪の投影ともいう)で描かれたペプチドは1つより多くのカチオン性残基クラスター、すなわち、1つより多くのカチオン性セクターを有してもよい。この場合、中心的なカチオン性セクター、すなわち最も数多くのカチオン性アミノ酸を含有するセクターを本発明の目的のカチオン性セクターとみなす。
【0036】
カチオン性セクターがペプチド中の全カチオン性アミノ酸の少なくとも半分を含むことが好ましい。全カチオン性残基の好ましくは60%、より好ましくは70%、例えば80%以上がカチオン性セクターに存在する。どのような場合にも、ペプチドが形成でき、両親媒性α−ヘリックスとして分類され得る要件は、熟練者により見分けられるように、異なったタイプの残基の、あるパターンおよび集まりであることが要求される。
【0037】
カチオン性セクターが180°の角度を有している場合、例えば隣接セクターおよび向かい側のセクターは全て60°の角度を有するであろう。したがって、12、18あるいは24個のアミノ酸を含有するペプチドについて、これらの3つのセクターそれぞれは、2、3あるいは4個の残基を含有する。(カチオン性セクターはそれぞれの場合、6、9あるいは12のアミノ酸を含有する。)明らかに、ペプチドの非カチオン性部分のアミノ酸の数は、他の3つのセクターを描くために常に容易に3で割り切れるとは限らない。この場合、2つの隣接セクターは常に同数の残基を含有し、向かい側のセクターは2つの隣接セクターより1つ多くあるいは1つ少ない残基を含有してもよい。したがって、カチオン性セクター以外の3つのセクターが常に厳密に等しい大きさにできるとは限らないので、これらの3つのセクターが充分等しい大きさとすることが適切である。
【0038】
ペプチドは12個以上のアミノ酸の長さ、例えば12〜21個のアミノ酸の長さを有することが好ましい。
発明者らは好ましい抗菌活性あるいは抗腫瘍活性を示すために、嵩高い疎水性アミノ酸の三次元構造内の位置がこのような残基の数と同じぐらい重要であることを示した。特に、好ましいペプチドはカチオン性セクターの向かい側の領域に多くの嵩高い疎水性残基を有しないペプチドであることを示している。これは、活性の増大あるいは毒性の低減のいずれかによって選択性を補助していると思われる。別の面を考えると、好ましいペプチドはその中の大多数の嵩高い疎水性残基がカチオン性セクターに隣接する領域内にあるペプチドである。
【0039】
増強された抗菌活性および/または抗腫瘍活性および好ましくは低減された毒性を有するペプチドは、嵩高い疎水性のアミノ酸を元の/自然な配列中の位置から、カチオンセクターに隣接した領域に移動させることによって、調製することができる。したがって、前記ペプチドのアミノ酸組成全体は、変化しないままである。次のような7〜25量体ペプチドは、本発明のさらなる面を構成する。3個以上のカチオン性残基を有し、両親媒性のα−へリックスを形成することができ、前記カチオンセクターに隣接した特に嵩高い疎水性アミノ酸を有するペプチドである。前記の特に嵩高い疎水性アミノ酸は、配列中の他の好ましくない位置から持ってくることによる。嵩高い疎水性アミノ酸の代わりに、嵩高い疎水性アミノ酸が置き換わっているカチオンセクターに隣接する位置からの残基、または他の嵩高くなく疎水性でないアミノ酸を置くことができる。好ましくない位置にある嵩高い疎水性アミノ酸は、適切にカチオンセクターに隣接する領域(好ましい位置)に移動させることができ、たとえば、非必須アミノ酸を同定するアラニンスキャンや、らせんの循環配置を調べることによって同定することができる。好ましくない位置とは典型的にはカオチン性ドメインの向かい側だからである。
【0040】
上述した修飾の一変形では、嵩高い疎水性アミノ酸は、好ましくない位置、好適には向かい側のセクターから持ってこられる。そして、嵩高い疎水性アミノ酸と機能的に等価なものが好ましい位置、すなわち、隣接するセクターに置かれる。したがって、隣接するセクターに新しく位置する残基は、嵩高で、疎水性であると考えられるが、たとえばトリプトファンまたは修飾されたアミノ酸または遺伝的にコードされていないアミノ酸であってもよい。その一方、カチオンセクター内の置き換わった残基はフェニルアラニンであった。このように、残基の嵩高さおよび疎水性の性質は、その精密な構造よりも重要である。
【0041】
最小数の嵩高い疎水性アミノ酸は、良好な活性のために必要である。にもかかわらずカチオンセクターに対するそれらの位置は、そのペプチドが良好な活性を有するかどうか、標的細胞に対して選択的であるか、すなわち低毒性であるかどうかを決定するに違いない。19個以上のアミノ酸のペプチドについては、一般的に少なくとも7.5ユニットの嵩高さと疎水性(たとえば、3つのTrp残基またはそれに相当分)が全体で必要であり、長さが12〜18残基のペプチドについては、より少ないユニット、典型的には5以上が必要である。さらに重要なことに、ユニットの最適数は、存在するカチオン性残基数にも依存する。より多くのカチオン性残基が存在する場合には、より少ないユニットが必要とされる。たとえば、ペプチドが8〜10個のカチオン性残基を有している場合には、隣接セクターで7.5ユニットが最適であるが、ペプチドが6または7個のカチオン性残基を有している場合には、10ユニットが好ましい。
【0042】
このようにして、公知のペプチドの活性を増強する方法が提供される。この方法は、嵩高い疎水性アミノ酸を、発明者が示したペプチド全体の活性プロフィールを改良する位置に来るように再配列させることを特徴としている。典型的には、これは向かい側のセクターから、隣接セクターへの再移動を含む。上述したように、これはペプチドのアミノ酸組成全体が変わらないままであることを意味する。より詳しくは、修飾されたペプチド中の嵩高い疎水性残基の総数が、はじめの配列と同じであることを意味する。はじめの配列は、天然に生じるペプチド、あるいは天然に生じるペプチドの断片、または抗菌性もしくは他の活性を付与するために設計されたか修飾されたペプチドであってもよい。
【0043】
同じタイプのアミノ酸、すなわち、カチオン性の、嵩高くかつ疎水性(これらは上記で定義した)、アニオン性(アスパラギン酸およびグルタミン酸)または次の官能基分類に入るもの、グリシンおよびアラニン、またはセリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、およびシステインは、クラス内の他の残基によって、ペプチドの機能的な組成を変えることなく、置き換えることができる。プロリンは、それ自身で1つのクラスと考えられ、一般的には本発明のペプチドとしては好ましくない成分である。これらの官能基分類の範囲内にあり、遺伝的にコードされないアミノ酸は容易に入手でき、当業者に知られている。
【0044】
特定の状況においては、向かい側のセクターから嵩高い疎水性アミノ酸を除去するとともに、嵩高い疎水性アミノ酸を隣接するセクターへ導入することに加えて、はじめのペプチドの機能的な組成を変化させる修飾を行うこともできる。たとえば、カチオン性または嵩高い疎水性残基の数を増やすこともできる。
本発明のこの面は、前記ペプチド内に存在する残基を「シャッフル」して最適な活性にすることに関するので、各機能的カテゴリー内の残基の数は、同じかほぼ同じのままである。このことは、機能的な相同性は、配列の特異的な順序ではなく、組成に依存しており、異なるクラス内にあるアミノ酸は機能的には同じであると考えることができる。したがって、Arg-Trp-Alaのトリペプチドは、Phe-Lys-Glyと100%の機能的な相同性を有する。本発明のこの面に関していえば、前記ペプチドは、何らかの抗微生物活性または抗腫瘍活性を示す公知のまたは自然界に生じるペプチドと、少なくとも70%、好ましくは80%、さらに90または100%の機能的な相同性を有する。
【0045】
便宜のために、ここでは、公知のアミノ酸に3文字および1文字のコードを用いる。
修飾して本発明に合致するペプチドを提供することができる好適なペプチドとしては、すべてのペプチドが挙げられ、たとえば、マガイニン、PGLa類似体、セクロピン、デフェンシン、メリチン、およびラクトフェリン、ならびに一般的なクラス(L)溶菌ペプチドなどが挙げられる。これらは未修飾の形態で、細胞毒性、特に抗菌活性を示すことが知られている。さらに好適なペプチドとしては、天然には生じず合成されており、細胞毒性を示すもの、たとえば、モデリン(modelines)といったペプチドが挙げられる。これに関して、予備修飾のペプチドとして、自然界に生じるタンパク質またはペプチドの消化によって得られた断片が挙げられる。新しい抗菌性タンパク質およびペプチドは、いまなお発見されているところであり、本発明の技術が、一般的な適用可能性を有し、妥当な成功の機会でもって、まだ同定されていないが細胞毒性、特に抗微生物性があるといずれ特徴づけられるペプチドにも簡単に応用できると確信している。
【0046】
抗腫瘍剤に関しては、標的細胞と非標的細胞間の類似性のため、良好な選択性を得ることは、特に重要であるとともに困難である。低減された毒性を有する一方で依然として適切な抗菌活性または抗腫瘍活性(すなわち、増強された選択性)をも有するペプチドは、非必須の高度に嵩高い疎水性アミノ酸、たとえば、トリプトファンまたはフェニルアラニンを、あまり嵩高でない疎水性アミノ酸、たとえば、イソロイシンまたはロイシン、またはさらにアラニンまたはリシンと置き換えることにより調製できることが見出されてきた。一般に、「非必須」の嵩高い疎水性アミノ酸は、カチオンセクターからへリックスの反対側(すなわち、向かい側のセクター)に位置し、このような非必須の嵩高い疎水性アミノ酸は、らせん回転輪の図を使用するか、アラニンスキャンによって同定することができる。それにもかかわらず、これらのペプチドは、ここで定義した嵩高い疎水性アミノ酸を、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個保持するべきである。嵩高さおよび疎水性のユニットに換算して、前記ペプチドは、好ましくは少なくとも5ユニット、好ましくは少なくとも7ユニット、たとえば7.5ユニット以上の嵩高さおよび疎水性のユニットを有するもので、嵩高さおよび疎水性は、カチオンセクターに隣接するセクター内で見出されることが好ましい。
【0047】
このように7〜25個のアミノ酸を有し、少なくとも3個のカチオン性残基と少なくとも2個の嵩高い疎水性アミノ酸を有し、両親媒性のα−へリックスを形成しうる修飾された細胞毒性ペプチドであって、元の/自然の配列中にある非必須のトリプトファンまたはフェニルアラニン残基1つが、あまり嵩高でない疎水性残基、たとえば、イソロイシンまたはアラニンによって置き換えられていることを特徴とするペプチドは、本発明のさらなる面を構成する。インドリシ(ジ)ン(indolici(di)n)は、天然に生じるトリプトファンリッチのペプチドであり、その毒性を減少させるような方法で都合よく修飾できる。ペプチドの溶血活性は、この方法で好都合に減少させることができる。繊維芽細胞に対する阻害または溶解の傾向として測定される毒性は、向かい側のセクター内の嵩高い疎水性基を、嵩高でない疎水性残基、たとえば、アラニンで置き換えることにより、減少させることができる。
【0048】
嵩高い疎水性アミノ酸を取り込むための好適な他の部位は、既存の疎水性アミノ酸の位置またはその付近、好ましくは隣接した位置である。近接性は、ペプチドの1次構造よりも2次構造に関して判断される。その技術は、アラニンスキャンを実施すること、および、らせん回転輪図を構築することなどを含む公知技術である。
【0049】
選択性に関しては特に興味深い効果が、トリプトファンのような縮合二環を有する嵩高い疎水性基を1以上組み込んだペプチドで観察されている。わずかな置換基を有するか、または置換基を有さない縮合二環からなるアミノ酸のR基は、上述したように、一般に2.5ユニットの嵩高さまたは疎水性に寄与する。前記効果は、(KAAKKAA)3配列に基づく一連のモデルペプチドについて研究されている。3つのトリプトファン残基を組み込んだペプチドについては、それらの残基はカチオンセクターに隣接するセクターに位置すべきであることが示されている。もし、このようなペプチドが4つのトリプトファン残基を含有する場合には、これらの残基は向かい側のセクターか、カチオンセクターに直接隣接していない隣接のセクター付近のいずれかに置かれるべきである。
【0050】
これは、ペプチドが、嵩高さおよび疎水性についての閾値を有することを示す。つまり、その値の上では嵩高い疎水性残基を、ペプチドの最も「活性な」領域、すなわち、カチオンセクターに隣接している領域、特に直接隣接している領域から、離して置くことが望ましい。当業者に理解されるように、この閾値は、ペプチドの長さに依存して変化するが、さらにとりわけ、カチオン性残基の数と、さまざまな基によって表される嵩高さと疎水性の程度に依存して変化する。
【0051】
トリプトファンは、腫瘍細胞に対する良好な選択性を取り入れたペプチドの設計に特に有用である。なぜならトリプトファンは、天然に生ずるものであるため、ペプチド産物の転写および翻訳に依拠する方法、たとえば細菌の発酵システムによる方法により組み入れることができるからである。さらに、それは潜在的に危険な毒性の分解産物を生じることなく、容易に体内で代謝されるだろう。
【0052】
それにもかかわらず、ペプチドが、転写および翻訳の通常のメカニズムに依存しない「合成」ルートによって調製でき、これらの分子内に遺伝的にコードされてないアミノ酸を組み込むことができることは理解される。さらに、製造されたペプチドは、たとえば細菌によって、翻訳後修飾を受けてもよい。したがって、本発明に係る製造されたペプチドは、縮合二環を持つR基を有するアミノ酸、たとえばトリプトファン残基またはその類似体を1以上組み込んでいることが好ましい。
【0053】
トリプトファン類似体は、トリプトファンと疎水性および極性に関して類似した性質を示すだけでなく、類似した3次元構造を示す分子の一群である。疎水性は、公知のいくつかの異なる方法で測定することができるが、特に水:オクタノール系中の分配係数の実験的な測定が挙げられる。分配係数P(またはlogP)は、オクタノール相中の化合物の濃度を、水相中のその化合物の濃度で除することで定義される。Trpのインドール基は、2.14のlogP値を有し、Trp類似体の側鎖は、好ましくは1.5〜3.5、より好ましくは1.8〜2.5のlogP値を有している。これらの類似体は、縮合二環構造を組み込んでおり、1つの環はC6の芳香族環であることが好ましく、たとえばベンゾチエニルアラニン中の環が挙げられる。2番目の環は、5または6員環であり、好都合には芳香族であってもよく、たとえば2−または1−ナフチルアラニン中の環が挙げられ、あるいは5または6員の非芳香族基であって、そこでは1以上の炭素原子が、任意に酸素、窒素または硫黄と置き換わっていることを特徴とするものであってもよい。縮合二環はメチル基、水酸基またはハロゲンで置換されていてもよいが、置換されていないことが好ましい。
【0054】
より小さいカチオンセクターを有するペプチド、たとえば、前述した21量体ペプチド中に9残基あるのとは対照的に、カチオンセクターを形成するのに7残基しか有していない15量体ペプチドKKWAKKAWKWAKKAWに関しては、最適な治療上の活性および選択性のためには、嵩高さおよび疎水性の程度がより大きいことが望ましく、隣接する領域に存在する4つのトリプトファン残基は、顕著な結果を与えた。このようにあるバランスが存在し、もしあるペプチドが高カチオン性であって、このため細胞膜中の負に帯電したリン脂質に対して非常に強力な吸引力を有するならば、嵩高い疎水性基の全体数がより小さいことは、最適な選択性のためには望ましく、あるいはより非活性の領域、すなわち、カチオンセクターの向かい側の領域内に、嵩高く疎水性のものをいくつか置くことは、嵩高い疎水性基の影響を減らすため、たとえば毒性を減らすために必要である。もし、ある分子がわずかなカチオン性残基を有する場合には、すべての嵩高い疎水性残基を、カチオンセクターに隣接する、ペプチドのもっとも活性な領域内に置くことが必要である。ここで述べた前記の結果および原理によって、当業者は、選択したペプチド類の活性および選択性を最適化することができる。
【0055】
したがって、さらなる面において、本発明は、生理活性ペプチドを製造する方法を提供する。すなわち、該ペプチドは7〜25個、好ましくは12〜25個のアミノ酸の長さであり、両親媒性のα−ヘリックスを形成することができる生物活性ペプチドを製造する方法であって、該方法が、
カチオン性セクターの同定およびペプチドの残り部分が実質的にサイズの等しい3つのセクターへ分割することの同定を含み、しかも
(a)4〜8個、例えば5〜7個のカチオン性残基を有するペプチドのためには、カチオン性セクターに隣接する両セクター内に、縮合二環のR基を有するアミノ酸(たとえば、トリプトファン残基またはそれらの類似体)を少なくとも3個、好ましくは4個取り込まれており、
(b)8個、通常は9個以上のカチオン性残基(例えば9〜12個のカチオン性残基)を有するペプチドのためには、カチオン性セクターに隣接する両セクター内に、縮合二環のR基を有するアミノ酸(具体的にはトリプトファン残基もしくはその類似体)を2〜4個、好ましくは3個取り込まれており、
(c)8個、通常は9個以上のカチオン性残基を有するペプチドのためには、カチオン性セクターに向かい合うセクター内に、縮合二環のR基を有するアミノ酸を4または5個、好ましくは4個取り込まれているか、あるいはカチオン性セクターに隣接する両セクターの各々の中に縮合二環のR基を有するアミノ酸を2個取り込まれており、これらのアミノ酸の中でわずかに1つのみがカチオン性セクターに実際に隣接する位置にあり、好ましくはその位置にこれらのアミノ酸のいずれもないことを特徴としている。
【0056】
上述した(b)でわずか2個のアミノ酸の場合には、さらには縮合二環を持つR基を有する1個のアミノ酸を、隣接するセクターの向かい側のセクター内に組み込むことが好ましい。
実施例のペプチド、特に10を超えるFib IC50/Meth A IC50比(実施例3参照)を有するもの、好ましくは15を超えるものは、本発明のさらなる面を構成する。これらのペプチドは、一群の活性ペプチドの例であり、本発明のさらなる面を構成する。すなわち、細胞毒性を有する12〜25量体、好ましくは14〜22量体ペプチドであって、2次元のらせん回転輪で表される場合に、少なくとも5個、好ましくは少なくとも6個、より好ましくは少なくとも7または8個、特に好ましくは9または10個のカチオン性残基を含有してなるカチオンセクターを有しており、該ペプチドは、10を超え、好ましくは15を超え、さらに好ましくは18を超え、特に好ましくは20を超えるFib IC50/Meth A IC50比を有している。適切には、この特定の選択性比率は、関心の対象である標的腫瘍細胞に関する等価なIC50、非悪性/腫瘍細胞の比に置き換えることができる。たとえば、Johnstone, S.A.ら、「抗ガン剤の設計(Anti-Cancer Drug Design)」 (2000) 15, 151-160を参照のこと。
【0057】
好都合なことに、ペプチドの残りの部分は、実質的に同じ大きさの3つのさらなるセクターに分割される。前記ペプチドは、好ましくは2個、さらに好ましくは3個のトリプトファン残基またはそれらの類似体を、隣接するセクター内に組み込んでおり、それらの残基のうち少なくとも1個、好ましくは2個は、直接カチオンセクターに隣接している;あるいは、カチオンセクターと向かい側のセクター内に、5個または好ましくは4個のトリプトファン残基またはそれらの類似体を有している;あるいは、4または5残基が3つの非カチオンセクター間で分配されている(これらの残基のいずれもが丁度カチオンセクターに隣接する位置には存在しないと仮定して)。カチオンセクターからの唯一の位置は、好ましくは1個だけか、より好ましくはこれらの残基のいずれでもない。(ペプチドの全体の大きさを考慮に入れたと仮定して)。前記は、カチオンセクターからの唯一の位置(ペプチドの全体の大きさを考慮に入れたと仮定して)である。残りの残基は、好ましくはグリシン、アラニンおよびバリンから選ばれ、グリシンまたはアラニンが好ましい。
【0058】
たとえば、ビフェニルアラニンのような、非常に大きい嵩高い疎水性アミノ酸に関して、らせん回転輪の中の位置は、より重要ではないことが観察された。すなわち、それぞれが3ユニットの嵩高さと疎水性に寄与するアミノ酸群を有するペプチドは、それらが隣接セクター内に位置しても、向かい側のセクター内に位置しても良好な選択性を示すことができる。このような細胞毒性を有する7〜25、好ましくは12〜25量体ペプチドであって、5〜11個のカチオン性残基と、縮合していない2環を持つR基を有する2〜4個のアミノ酸とを組み込んでいるが、上述した選択性の程度は、たとえば10を超えるIC50値 非悪性/腫瘍細胞の比を示すペプチドは、本発明のさらなる面を構成する。さらに、このようなペプチドを製造する方法も、本発明のさらなる面を構成する。2〜4個の縮合していない二つの環のR基に代わって、4〜8個の小さな嵩高い疎水性基が見出されてもよい。すなわち、それらは、わずか2ユニットの嵩高さと疎水性に寄与し、たとえば、アミノ酸のR基に環状基をただひとつ有するもの、たとえば、フェニルアラニンが挙げられる。
【0059】
LFB(17-31)すなわち、Phe-Lys-Cys-Arg-Arg-Trp-Gln-Trp-Arg-Met-Lys-Lys-Leu-Gly-Alaの配列を有するLFBの15アミノ酸断片の場合には、アラニンスキャンを用いて決定された非必須アミノ酸は、Cys(3)、Gln(7)およびGly(14)であった。ここで、番号はペプチド自体に関する固有の項である。前記アミノ酸が非遺伝的で嵩高い疎水性アミノ酸で置き換えられているLFB(17-31)の類似体は、特に効果的である。マガイニンペプチド、たとえばマガイニン2の修飾については、非遺伝的で嵩高い疎水性アミノ酸をPhe(16)およびGlu(19)の位置に組み込むことは特に効果的である。
【0060】
これらの修飾は、上述した一般的な原理を説明する。すなわち、前記ペプチドは、異なるセクターを含有してなると考えることができ、驚くべきことに、カチオンセクターに隣接する領域は、嵩高い疎水性残基にとり好ましい領域であり、さらに、カチオンセクターの向かい側の領域は、嵩高い疎水性残基をほとんどまたは全く含まないとすべきである。
【0061】
実施例2でのトリプトファンの置換は、嵩高い疎水性残基を有することの重要性を示す。ここでのTrpは、治療(Meth A細胞に対する環状(cyclic)活性)および選択性の双方、すなわち、繊維芽細胞や赤血球よりも腫瘍細胞を標的にする能力のために、カチオンセクターに隣接する領域にあるものである。図1から明らかなように、位置3はカチオンセクターの向かい側であり、位置9および11はカチオンセクターに隣接している。
【0062】
本発明の好ましい態様において、向かい側のセクターには、親水性残基、たとえば、リジン、アルギニンまたはこれらに相当するものを組み込んでもよい。
本明細書で開示された本発明のすべてのペプチドに、遺伝的にコードされないアミノ酸および修飾されたペプチド、たとえば、NまたはC末端において、典型的にはC末端のアミド化またはエステル化によって修飾されたペプチドを、組み込んでもよいことは理解されるべきである。したがって、嵩高で疎水性のカチオン性アミノ酸を、遺伝的にコードされないが天然に生じるアミノ酸により、あるいは非天然に生じるアミノ酸または修飾されたアミノ酸によって、与えることができる。非遺伝的で嵩高い疎水性アミノ酸の例としては、アダマンチルアラニン、3−ベンゾチエニルアラニン、4,4'−ビフェニルアラニン、3,3−ジフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、2,6−ジクロロベンジルチロシン、シクロヘキシルチロシン、7−ベンジルオキシトリプトファン、トリ−tert−ブチルトリプトファン、ホモトリプトファン、3−(アントラセニル)−L-アラニン、L-p−イソプロピルフェニルアラニン、L-チロキシン、3,3',5−トリヨード−L−チロキシンが挙げられる。嵩高い疎水性アミノ酸を与える修飾基としては、Pmc(2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル)、Mtr(4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル)およびPbf(2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフランスルホニル)などが挙げられる。これらは、都合の良いことに、芳香族アミノ酸、たとえば、Phe、TrpおよびTyrの嵩高さおよび疎水性を増加させることができる。さらに、前記tert−ブチル基は、広範なアミノ酸に対する共通の保護基であり、非遺伝性の嵩高い疎水性アミノ酸を与えることができ、特に芳香族残基を修飾する場合である。前記Z基(カルボキシベンジル)は、さらに別の保護基であり、あるアミノ酸の嵩高さと疎水性を増加するために用いることができる。
【0063】
さらに、本発明は、タンパク質性対応物のように、同様の細胞毒性の活性を示す非ペプチド化合物に関する。このようなペプチド様物質、あるいはタンパク質またはペプチドの活性をまねる能力をもつ「小さな分子群」は、それらの増加した化学的安定性のため、たとえば、経口供給のためなどにより適していると考えられる。このような化合物もまたインビボで実質的にらせん構造を有するか、細胞膜と接触していないときにはそのような構造を形成することができると考えられる。したがって、それらは、カチオン性部分および前述した異なるセクターに対応する領域をも有すると考えられる。
【0064】
ペプチドもしくはタンパク質をベースにした活性剤、たとえば、治療ペプチドを機能的に等価な活性を有するペプチド様物質で置換することは、現在ありふれた技術である。一般に、このような化合物は、単にペプチドのバックボーンである(−C(R)CONH)−nを、しなやかな線状バックボーン、たとえば(−C(R)NHCO)−n、または(−C(R)CH2CH2)−n、または非線状のバックボーン(たとえば、縮合したシクロヘキサン環の糸をベースにしたもの)のいずれかで置き換えたものである。バックボーンの変化にもかかわらず、ペンダントである官能基(ペプチド起源の側鎖)は、類似した形で存在しており、類似した抗菌活性および抗腫瘍活性を該化合物に持たせる。したがって、典型的には、前記ペプチド様物質はα−らせん回転輪の等価物と同等に表現でき、ペンダント官能基の分類の等価ならせん/円筒表示を示すことができる。
【0065】
さまざまな分子ライブラリーとコンビナトリアル化学の技術が存在し、これらは前記の同定、選択および/または標準的技術(Kieber-Emons, T.ら、Current Opinion in Biotechnology 1997 8:435-441)を用いる前記化合物の合成を容易にするために用いることができる。このような標準的技術は、本発明に係るペプチド様化合物を得るために用いられる。すなわち、このようなペプチド様有機化合物は、たとえば、本明細書の実施例で述べられたように、本発明のペプチドと実質的に類似しているかまたは同様の細胞毒性活性を示す。
【0066】
本発明のさらなる面は、本発明のペプチドに基づいた生物模擬的な有機化合物を提供することであり、前記化合物は細胞毒性、たとえば、抗菌活性または抗腫瘍活性を示すことを特徴とし、少なくとも、上記に規定したように本発明のペプチドにより示されたレベルである。
このように、ある態様において、7〜25個のアミノ酸と同等であり、3個のカチオン性アミノ酸と等価な基を有し、両親媒性のα−へリックスを形成しうる生物模擬的な分子の製造方法が提供される。この方法は、カチオンセクターの同定と、分子の残りの部分がさらに実質的に同じ大きさの3つのセクターに分割されることの同定、嵩高い疎水性アミノ酸のR基に等価な基をわずかに2個、好ましくはわずかに1個、カチオンセクターの向かい側のセクターに組み込むこと、および、カチオンセクターに隣接する2つのセクターに、合計で少なくとも2、好ましくは3個以上の前記嵩高い疎水性基を組み込むことを含んでなる。
【0067】
別の見方をすると、本発明は、7〜25個のアミノ酸と等価であり、少なくとも3個のカチオン性アミノ酸と等価な基を有し、両親媒性のα−へリックスを形成しうる生物模擬的な分子の製造方法を提供する。この方法は、カチオンセクターの同定と、分子の残りの部分がさらに実質的に同じ大きさの3つのセクターに分割されることの同定と、およびアミノ酸のR基によって与えられる嵩高さと疎水性の少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%を、カチオンセクターの隣接するセクターに組み込むことを含んでなる。
【0068】
「細胞毒性」という用語は、原核細胞に対する活性ばかりでなく、真核細胞に対する活性にも言及することを意図する。特定の状況では、良好な抗菌活性を有するが、患者の細胞を溶解したり、さもなくば破壊したりしないペプチドが切望されているところであるが、本発明の範囲内にあるペプチドは、抗腫瘍活性を有することが示されてきている。前記ペプチドの抗腫瘍活性およびこれらを含有する医薬は、本発明のさらなる面を構成する。抗腫瘍活性としては、良性腫瘍または悪性腫瘍の破壊または大きさもしくは数における減少、および転移の予防または減少を挙げることができる。
【0069】
したがって、本発明の方法によって製造されたペプチドの治療ための使用、特に良性腫瘍または悪性腫瘍の破壊または大きさまたは数における減少、および転移の予防または減少は、本発明のさらなる面を構成する。同様に、本発明の方法によって製造されたペプチドの、良性腫瘍または悪性腫瘍の破壊または大きさまたは数における減少、あるいは転移の予防または減少のための医薬の製造における使用は、本発明のさらなる面を構成する。
【0070】
本発明のペプチドの抗菌活性は、多くの異なる方法で明らかにすることができる。ある特定の修飾によって、静菌性のペプチドを得ることができ、他の修飾では殺菌性のペプチドを得ることができる。優越していることに、本発明に係るペプチドの大多数は殺菌性である。したがって、とりわけ本発明は、細菌の発育を阻害する方法をも提供しており、その方法は、とりわけ阻害するのに効果的な量の本発明に係る生物活性ペプチドと細菌とを接触させることを含んでなる。
【0071】
「接触」なる用語は、細菌を効果的に阻害できるように、つまり細菌を殺すか溶解したり、エンドトキシン(LPS)と結合させるか、またはグラム陰性菌の外膜の透過性を上げるために、細菌をペプチドに曝すことを意味する。接触は、インビトロで行ってもよく、たとえば、細菌の培地に前記ペプチドを添加し、ペプチドに対する細菌の感受性を試験してもよい。接触は、インビボで行ってもよく、たとえば、敗血症ショックのような細菌性の疾患を有する被験者に前記ペプチドを投与してもよい。「阻害」または「阻害するのに効果的な量」とは、静菌効果または殺菌効果を生じさせるのに必要なペプチドの量を意味する。阻害できる細菌の例としては、E.coli、P.aeruginosa、E.cloacae、S.typhimuriumおよびS.aureusが挙げられる。さらに、細菌の発育を阻害する方法としては、組合せまたは相乗的な治療のための抗生物質の添加が挙げられる。投与される好適な抗生物質は、典型的には細菌の感受性、たとえば、細菌がグラム陰性菌であるかグラム陽性菌であるかどうかに依存し、当業者であれば容易に見分けることができる。
【0072】
本発明のペプチドは、任意の従来方法により直接合成することができる。一般に反応性の基(例えば、アミノ、チオールおよび/またはカルボキシル基)があれば、合成全体を通じて保護されるであろう。かくして合成の最終段階は、本発明の保護された誘導体から保護基をはずすことになるであろう。
ペプチドを構築するにあたり、原則的にはC末端、N末端のいずれから開始することができるが、C末端から開始する手法が好まれる。非遺伝的なアミノ酸は、配列が伸長する段階に、または合成後の修飾の結果として取り込むことができる。
【0073】
ペプチド合成の方法は、当業界では、周知の技術であるが、本発明にあっては固相担体上で合成を行うことがとりわけ好都合であり、そうした担体は当業界ではよく知られている。
アミノ酸を保護する基の広い選択の幅が知られ、アミンの適切な保護基としてカルボベンゾキシ(Zとも表示される)、t−ブトキシカルボニル(Bocとも表示される)、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルフォニル(Mtrとも表示される)および9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmocとも表示される)などが挙げられる。ペプチドがC末端から構築される場合、新たに付加される各残基のα−アミノ基上にアミン保護基が存在しており、これは次のカップリング段階の前に選択的に除去する必要があることは認識されるだろう。
【0074】
使用することが可能なカルボキシル保護基として、例えば、容易に切断されるエステル基、具体的にはベンジル(Bzl)、p−ニトロベンジル(ONb)、ペンタクロロフェニル(OPClP)、ペンタフルオロフェニル(OPfp)またはt−ブチル基(OtBu)などのほかに、固相担体上のカップリング基、例えばポリスチレンに結合したメチル基などが挙げられる。
【0075】
チオール保護基として、p−メトキシベンジル(Mob)、トリチル(Trt)、アセタミドメチル(Acm)が例示される。
アミン−およびカルボキシル−保護基を除去するために、広範囲の方法が存在する。しかしながら、これらの方法は、用いられる合成の戦略と合致するものでなければならない。側鎖の保護基は、次のカップリング段階の前に、一時的なα−アミノ保護基を除去するために用いられる条件に対して安定でなければならない。
【0076】
Bocといったアミン保護基およびtBuといったカルボキシル保護基は、酸、例えばトリフルオロ酢酸を使用した処理で一緒にはずすことができる。Trtといったチオール保護基は、ヨウ素のような酸化剤を用いることにより選択的に除去することができる。
特に好ましい方法としては、式:Fmoc−アミノ酸−Opfpで表されるアミノ酸誘導体を使用する合成法が挙げられる。
【0077】
本発明はまた製薬組成物を提供し、これは上記で規定した本発明のペプチドを生理的に受容され得る希釈剤、担体または賦型剤とともに含むものである。適切な希釈剤、賦型剤および担体は、当業者には知られている。本発明のさらに別の面として、治療方法、とりわけ細菌感染の治療もしくは予防において、あるいは腹水であるかもしれない良性もしくは悪性の腫瘍の破壊または数もしくはサイズの減少において、および転移予防においていずれも抗がん剤として、本発明のペプチドを使用することを含むものである。
【0078】
本発明に基づく組成物は、例えば経口、経鼻、経動脈、静脈内、腫瘍内、直腸内投与のために適切な形態で提供することができる。
本明細書において使用される「製薬上」なる用語は、本発明の獣医学上の応用を含むものである。
本発明による化合物は、従来的な投与の製薬形態で提供することができ、その例として錠剤、被覆錠剤、鼻孔スプレー、溶液、懸濁液、リポゾーム、粉末、カプセル、徐放形態である。本発明のペプチドは、特に、例えば糖尿病性潰瘍の治療における局所的な投与に好適である。これらの形態での調剤のためには、通常の製剤方法に加えて、従来的な製薬用賦型剤を用いてもよい。例えば、錠剤は活性成分もしくは成分類を公知の賦型剤とともに混合することにより製造してもよい。その賦型剤には、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ラクトースといった希釈剤、トウモロコシ澱粉もしくはアルギン酸といった崩壊剤、澱粉もしくはゼラチンといった結合剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクといった滑剤、および/またはカルボキシポリメチレン、カルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースもしくはポリビニルアセテートといった徐放性を得るための製剤などがある。
【0079】
錠剤は所望する場合、多層からなるものであってもよい。被覆錠剤は、錠剤と同様の方法で得られる芯剤を、錠剤をコートするのに一般的に使用されるコート材、例えばポリビニルピロリドンもしくはシェラック、アラビアガム、タルク、二酸化チタニウムまたは砂糖といったものでコートすることにより製造することができる。徐放性を得るために、あるいは不適合性を避けるために上記芯材もまた複数の層から構成されていてもよい。錠剤の皮膜も同様に、徐放性を獲得するためにいくつかの層で構成されていてもよく、この場合上記の賦型剤が錠剤のために使用することができる。
【0080】
器官特異的担体のシステムも使用することができる。
注射用溶液は通常の方式、具体的にはp−ヒドロキシベンゾエートといった保存剤、EDTAといった安定化剤を添加することにより製造することができる。次いでその溶液は注射用のバイアルまたはアンプルに充填される。
好ましい投与方法の一つである鼻孔スプレーは、同様にして水溶液に配合し、エアロゾル推進ガスとともにスプレー容器に詰められるか、手動圧縮の手段を装備して充填される。1以上の活性成分を含有するカプセルは、例えばラクトースまたはソルビトールといった不活性な担体とともに混合し、生成混合物をゼラチンカプセルに充填することにより製造することができる。
【0081】
座薬は、例えば活性成分もしくは活性成分混成物とこの目的に合うと考えられる従来の担体、具体的には天然脂肪、ポリエチレングリコールまたはそれらの誘導体などと一緒に混合して製造することができる。
本発明の化合物を含有する投与単位は、好ましくは0.1〜10mg、具体的には1〜5mgの本発明のペプチドを含むものである。さらに製薬組成物は、付加的な活性成分、例えば他の抗微生物ペプチドといった細胞毒性の作用剤を含むものであってもよい。この他の活性成分には、違うタイプの抗生物質、サイトカイン(例えばγ−インターフェロン、TNF、CSFおよび成長因子)、免疫調節剤、シスプラチンもしくは抗体などの化学治療剤などが含まれるだろう。
【0082】
本発明の別の面として、上記に定義された本発明に係るペプチドの治療上の利用、すなわち医薬品、具体的には抗菌剤もしくは抗腫瘍剤として使用するためのペプチドを提供する。他の局面を構成するものとして、患者に本発明の1以上のペプチドを投与することを含む、患者を細菌感染から予防したり治療する方法があり、また患者に本発明の1以上のペプチドを投与して、腫瘍を治療する方法がある。かかる腫瘍の治療には、腹水であるかもしれない良性または悪性の腫瘍を破壊したり、その数またはサイズを減少せしめることと転移の防止が含まれる。
【0083】
本発明のもう一つの面として、細菌感染または腫瘍を治療するための医薬品の製造において、本発明に係るペプチドを1以上、使用することが挙げられる。
本発明のペプチドのような抗菌剤は、医薬品としての用途の他にも広範な用途を有している。かかる抗菌剤は、例えば、微生物汚染に敏感な物質のための殺菌剤として用いることができる。本発明のペプチドは、広範囲の抗微生物活性または抗生物質の活性を発揮し、医薬品用の用途および農業上の用途を有する抗ウィルス剤および抗カビ剤としても適切であり、負傷の治癒促進剤または殺精子剤としても有効である。これらの用途すべては、本発明の多様な面を構成する。
【0084】
本ペプチドは局所用の組成物で使用される場合、少なくとも0.1重量%の量で存在することが一般的である。ほとんどのケースでは、ペプチドを1.0重量%を超える多い量で使用する必要はない。
抗腫瘍ペプチドは、組み合わせて、おそらく他の活性のある作用剤または治療形態との相乗的な組み合わせにより投与されてもよい。例えば本発明によるペプチドの投与は、化学療法、免疫療法、外科手術、放射線治療と組み合わせること、あるいは他の抗腫瘍ペプチド類の投与と組み合わせることができる。
【0085】
そのような組成物を全身的に(筋肉内、静脈内、腹腔内に)用いるとき、活性ペプチドは、少なくともそのペプチドの血清レベルが約5μg/mlとなるような量で存在する。一般にはペプチドの血清レベルが、500μg/mlを超える必要はない。好ましい血清レベルは、約100μg/mlである。このような血清レベルは、一回の用量が1〜約10mg/kgで、全身的に投与される組成物中にあるペプチドを取り込むことにより達成されるであろう。一般にペプチド(類)は一回の用量が100mg/kgを超えて投与される必要はない。
【0086】
本発明は、以下の実施例を示してさらに記載されるが、これらの例に何ら限定されるものではない。
【0087】
【実施例】
ペプチドは、完全に自動化されたミリゲン(Milligen)9050シンセサイザーで、Fmocに依拠する化学を用いて合成された。HPLCおよびエレトロスプレー質量スペクトル分析法(VG クアトロ四重極子)を使用する精製ならびに分析が行われた。
MIC (最小阻止濃度)テスト
使用した細菌株は、大腸菌ATCC25922およびスタフィロコッカス・アウレウスATCC25923であった。すべての菌株は−70℃で保存した。細菌は2%Bactoペプトン水(Difco 1807-17-4)で成長させた。テストはすべて、対数成長相の中期にある細菌を用いて行った。細菌株に対するペプチドの最小阻止濃度(MIC)の決定は、1%Bactoペプトン水で行った。2×106CFU/mlの接種材料を用いる標準的なミクロダイリューション技術を使用した。アッセイはすべて3組で行った。ペプチドは正に荷電しており、したがってプラスチックウェルに固着できることから、溶液中にあるペプチドの実際の濃度をHPLCによりコントロールした。プラスチックウェルにその溶液を加える前と加えた後で、ペプチド濃度に差異はなかった。
抗腫瘍活性
Meth Aは、Balb/cにおいて共通遺伝型である、非接着性のげっ歯類肉腫細胞系列であり(スベインビヨルンソンら、(1996)、BBRC 223:643-649)、2%牛胎児血清を含むRPMI1640中でインビトロで維持した。細胞(4×106)を96ウェル培養プレート(Costar)に、RPMI1640培地、0.1mlの容量で適用した。ペプチド溶液(0.1 ml)を加えて、プレートを37℃で、30分間、4時間または24時間インキュベートした。細胞毒性は、MTT法(モスマンら、J. Immunol. (1986) 136, 2348-2357)を用いて測定した。
繊維芽細胞のアッセイ
アッセイに使用するMRC−5細胞は10%FBS, 1%L-グルタミンおよび0.1%ペニシリンとストレプトマイシンを含有するMEMにおいてに合流的に成長させた。細胞はPBSで洗浄し、2mlのトリプシン(80cm 培養フラスコ)を用いてトリプシン消化を行った。細胞が壁から離れた後に(通常は、約3分間のインキュベーション後)、FBSを有する培地5mlを添加した。細胞を再懸濁して数えた。次いで細胞を遠心チューブに移し替えて1500rpmで10分間遠心分離した。上清を除き、細胞を再び、1×105細胞/ml濃度となるように懸濁した。100μlの細胞懸濁液を96ウェル・ミクロタイタープレートの各ウェルに移して、24時間、細胞が付着するようにインキュベートした。
【0088】
インキュベーションの後、プレートを組織片に対し、上下に向きを代えることにより血清を含有する培地を除去した。血清およびL−グルタミンを含まない100μlの培地(アッセイ培地)を各ウェルに添加し、前と同様にして除去した。これは、血清の痕跡をも残さないようにするために行った。細胞は、アッセイ培地で種々の濃度に希釈されたペプチド100μlを各ウェルに加えることにより刺激された。アッセイの残りの部分は、MTT添加に続く2時間のインキュベーション後に130μlではなく80μlの培地を除去したこと以外は、meth Aについて前に述べたようにして行った。
溶血アッセイ
ペプチドの溶血活性は、新鮮なヒト赤血球を用いて決定した。健康なヒトから、8mlの血液を採取した。血液4mlを、ヘパリン(最終濃度として10U/ml)を含むポリカーボネートチューブに移し、残りの4mlの血液を、EDTA(最終濃度として15% EDTA)を含むガラス管に移した。
【0089】
赤血球は、ヘパリン処置血液から、1500rpm、10分間の遠心分離、リン酸緩衝液化生理食塩水(PBS)で3回洗浄して、血漿およびバッフィーコートを除去することにより、分離された。細胞ペレットをPBS中に再懸濁して、最終容量を4mlとした。ペプチドを、2mg/mlおよび0.1mg/mlの濃度に希釈した。ペプチドは、さらに表1に示される濃度まで希釈された。各チューブに、最初にPBS、次いで赤血球(RBCs)およびぺプチドの溶液をそれぞれ加えた。EDTAで処置した血液のヘマトクリットを30分後に、シスメックス(Sysmex)K−1000を用いて測定し、再懸濁したRBCsは、10%ヘマトクリットに希釈した。ペプチドを含むPBSおよび含まないPBS中のRBCs(1%)(表1)は、振盪機において37℃で1時間インキュベートし、次に4000rpmで5分間、遠心分離した。上清を注意深く、新しいポリカーボネートチューブに移し、その上清の吸光度を540nmで測定した。溶血のベースラインは、PBS存在下で放出されたヘモグロビンであり、100%の溶血は、0.1%トリトン X−100存在下で放出されたヘモグロビンである。
【0090】
【実施例1】
ここで論じる原理は、アラニンおよびリジン残基のみからなる、完全に両親媒性のヘリックス・コンホメーションに基づくぺプチドの設計、合成および試験において利用された。出発のペプチドの配列は、KA18と呼ぶ次の配列である:KAAKKAA KAAKKAA KAAK。1つ以上の嵩高い疎水性残基をこのペプチドに導入するための修飾は、位置7,9または16に隣接するセクターまたは位置6,10または17の向かい側のセクターにあるAlaを置換することにより行われた。二つの3個置換KA18ペプチドのらせん回転輪の表示が図3に示されている。
【0091】
Meth A細胞に対する抗腫瘍活性、また赤血球および正常な繊維芽細胞に対する毒性がテストされた。その結果が下記表1に示され、向かい側でなく側面に位置するセクターにある嵩高い疎水性基の重要性を表している。
【0092】
【表1】
Figure 0004902919
【0093】
【実施例2】
モデルペプチドとして、ウシのラクトフェリンに由来する抗微生物ペプチドである、ラクトフェリシンBの類縁体を選択した。ウシラクトフェリンの14〜31配列に基づいて、このペプチドが狭いカチオン性セクターを有する理想的な両親媒性ヘッリクス構造を与えるように修飾した。LFB(14-31)mは、LFB14-31A2,6,10,1 7F7K16L14R4(完全配列は、PAWRKAFRWAWRMLKKAA)である。この研究において、配列の1個、2個または3個全部のトリプトファン残基が他のアミノ酸により置換され、繊維芽細胞を阻害する能力だけでなく、抗菌活性、抗腫瘍活性、溶血活性もまた測定された。
結果
合成されたペプチドの配列およびその活性データが、表2にまとめられている。
【0094】
【表2】
Figure 0004902919
【0095】
IC50/EC50値は、細胞50%を殺すのに必要とされるペプチドの濃度である。
すべてのペプチドは、分析HPLCにより均一であることが示され、FAB−MSにより決定された予想分子量を有していた。
ペプチドの設計
このペプチドは、それが繊維芽細胞のみならずMeth A 細菌細胞、RBCsに対して高い生物活性を有するがゆえに、本研究において、出発配列として選択された。図1は、このペプチド配列のらせん回転輪の表示を示している。まず最初に、3,9または11位にある3個のトリプトファンのうち、1個ずつAlaとIleでそれぞれ置換した。単一のアミノ酸置換に引き続き、9および11位の2個のトリプトファンをそれぞれAlaとIleで置換した。Ile置換ペプチドについて、トリプトファンの置換の研究を進め、可能な置換のすべての組み合わせを調べるために、3個の追加的なペプチドを合成した。
ぺプチドの生物活性
抗腫瘍活性
Ala置換ペプチドの全部が、LFB(14-31)mに比較して活性の低下を示した。11μMのIC50を有する最も活性な(14-31)mAl1は、活性に関して1.5倍の低下である。活性の低下は3個のトリプトファンのうち、9および11位の2個を置換したときに最も顕著であった。Ile置換の最も活性なペプチドは、6μMのIC50を有する(14-31)mI11であった。かくしてこのペプチドの活性は、LFB(14-31)mと比較すると若干、増加した。Ile置換ペプチドにおいても、Ala置換ペプチドの結果に類似して、2個の置換ではその活性はわずかであるが低下するようである。
抗菌活性
LFB(14-31)mと比較すると、Ala置換ペプチドのすべては、大腸菌に対して低い抗菌活性を持ち、これはMeth Aについて得られた結果に類似している。Meth Aに対し最も低い活性を有する類似体、(14-31)mA9,11もまた細菌に対して最も低い活性を持っていた。
【0096】
Ile置換ペプチドは、LFB(14-31)mと比較すると、同様の抗菌活性を示したが、異なる置換類似体の間では活性に大きな差異は見られなかった。減少したMeth A活性を持つ、(14-31)mI3,9,11でさえも低下した抗菌活性を示さなかった。
溶血活性
理想的には、抗菌/抗腫瘍ペプチドは、極めて低い溶血活性を有するべきであり、あるいは、抗微生物活性/抗腫瘍活性と溶血活性との間の治療上の窓は、可能な治療剤と目されるペプチドに対し顕著であるべきだ。
【0097】
LFB(14-31)m類似体のうち1個 LFB(14-31)mI11、を除き、すべてがLFB(14-31)mよりも低い溶血活性をもっており、これは赤血球に対する活性におけるTrpの重要な寄与を示すものである。Ala置換ペプチドのうち、(14-31)mA9および(14-31)mA11が高い活性を、他方、(14-31)mA3および(14-31)mA9,11が最も低い活性を有していた。
細胞毒性
LFB(14-31)mは、繊維芽細胞に対し高い毒性を示すことがわかり、したがって、これらとMeth Aとの間には何らかの選択性がない。Ala置換ペプチドは、顕著に活性が変動するが、もっともそのいずれもがLFB(14-31)mよりは細胞毒性があるのではない。したがってLFB(14-31)mA9,11は、Meth Aに対し中程度の活性しかないけれども、赤血球および繊維芽細胞に対しては細胞毒性がない。LFB(14-31)mA3は、Meth A細胞に対して良好な活性を示すが、繊維芽細胞に対してはほとんど細胞毒性を発揮しない。このため向かい側のセクターにあるW3の除去は、最も高い選択性をもたらした。
【0098】
【実施例3】
下の表3に記載されたペプチドが合成され、先の実施例に記載したとおりにテストされた。
モデルペプチド(KAAKKAA)3は、9個のリジンおよび12個のアラニンを有し、その両親媒性のらせん回転輪の配置が図4aに示されている。この新規に表示された、哺乳類に対し低い毒性を持つ抗微生物ペプチドは、文献(ジャバポールら、J.Med.Chem. 1996, 39, 3107−3113))から選択された。このペプチドの大腸菌およびスタフィロコッカス・アウレウスに対するMICは8μMであり、他方このペプチドは繊維芽細胞およびヒト赤血球に対しては目立った活性を示さなかった。
【0099】
【表3】
Figure 0004902919
【0100】
O=オルニチン
Bip=ビフェニルアラニン
Y=これはフランキングセクター内にあるが残基がカチオン性セクターに直接側面に位置していないことを示す。
カラム項目の最上行にある「Posit.」は、F=フランキングまたはO=向かい側のセクターのいずれかにある残基の数および位置を示す。各ペプチドの選択性の尺度は、FibIC50/Meth A IC50比により示される。
【0101】
これらの結果は、テストした21aaペプチドについて、腫瘍細胞に有意の溶解作用を達成するためには少なくとも3個のトリプトファンが必要であることを示す。3つのトリプトファン残基は、4つのトリプトファン残基の場合よりも良い選択性を与える。これは4つのトリプトファン残基では腫瘍細胞に対する溶解作用は優れるとはいえ、溶解作用で測定したように繊維芽細胞に対する毒性効果もまた著しく増大するからである。明らかにある決まったペプチドにおける嵩高く疎水性である基の最適かつ最少の数は、ペプチドの長さおよび特定の嵩高く疎水性基のサイズに依存する。このような最適化は、本明細書に与えられた教示に基づき当業者であれば容易に実施することができるものである。
【0102】
観察された選択性の程度は驚くべきものであり診断的にも奨励されるものである。
フェニルアラニンはトリプトファンよりも嵩高くなくまた疎水性でもないので、21aaペプチドにおいて細胞溶解活性を発揮するには4残基またはそれ以上の残基が必要とされる。対照的に、トリプトファンよりもさらに嵩高く疎水性であるビフェニルアラニンは、2残基だけ存在するだけで選択性を与える。
【0103】
次のペプチドもまた作成された:
(KAAKKAA)3F7,9,14,16
(KAAKKAA)3F6,10,13,17
(KAAKKAA)3Bip10,17
カチオン性の性格を与える残基としてリジン残基の存在は、すべてのリジン残基をオルニチンに置換したペプチドでも良好な活性を示すことから、明らかにペプチドとして必須のものではない。事実、オルニチンン残基のより短い側鎖が、リジンと比較して選択性を増強したのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ペプチドLFB14−31mのらせん回転輪の表示を示す。
【図2】 図2は、本発明に従い4つのセクターに分割されたペプチドLFB14−31mのらせん回転輪の表示を示す。
【図3】 図3は、トリプトファンにより3個置換された2個のペプチドKA18のらせん回転輪の表示を示す。
【図4】 図4(a)は(KAAKKAA)3ペプチドの、(b)は3個のトリプトファン残基により置換された同一のペプチドの、(c)は4個のトリプトファン残基により置換された同一のぺプチドの、らせん回転輪の投影を示す。

Claims (6)

  1. ペプチドが7〜25個のアミノ酸の長さであり、少なくとも3つのカチオン性アミノ酸を有し、両親媒性のα−ヘリックスを形成することができる生物活性ペプチドを製造する方法であって、該方法が、
    (a)ペプチドを、2次元表現であるα―らせん回転輪で示し、
    (b)カチオン性セクターを同定し、ペプチドの残り部分を実質的にサイズの等しい3つのセクターに分割し、
    (c)該カチオン性セクターに向かい合うセクターに、1つ以下の嵩高く疎水性のアミノ酸を取り込み、かつ少なくとも2つの嵩高い疎水性のアミノ酸を、該カチオン性セクターに隣接する両セクター内へ取り込むことを含み、かつ
    前記嵩高く疎水性のアミノ酸が、トリプトファン、フェニルアラニン、チロシンおよび、側鎖にて環状基を有している遺伝的にコード化されていない、嵩高く疎水性である、トリプトファン、フェニルアラニン又はチロシンの類似体からなる群から選択されるアミノ酸である、生物活性ペプチドを製造する方法。
  2. 前記嵩高く疎水性のアミノ酸の1つ以上が、トリプトファンまたはトリプトファン類似体であることを特徴とする請求項1に記載の生物活性ペプチドを製造する方法。
  3. 前記嵩高く疎水性のアミノ酸の全てが、トリプトファンまたはトリプトファン類似体であることを特徴とする請求項1または2に記載の生物活性ペプチドを製造する方法。
  4. 前記生物活性ペプチドが、少なくとも5つのカチオン性残基を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の生物活性ペプチドを製造する方法。
  5. 前記生物活性ペプチドが、少なくとも7つのカチオン性残基を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の生物活性ペプチドを製造する方法。
  6. (i)請求項1〜5のいずれかに記載のペプチドの製造方法により生物活性ペプチドを調製し、
    (ii)該生物活性ペプチドと、生理的に受容できる希釈剤、担体、または賦形剤とを一緒に混合することを含む、製薬組成物の製造方法。
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