JP5474787B2 - 病原体に対する抵抗性を有するカキを得る方法 - Google Patents

病原体に対する抵抗性を有するカキを得る方法 Download PDF

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Description

本発明は、病原体に対して抵抗性を有するカキを得る方法、および結果として得られたカキに関する。
より詳細には、本発明は、ボナミア・オストレア(Bonamia ostreae)およびマルテイリア・レフリンゲンス(Martelia refringens)のような病原体に対して抵抗性を有する養殖カキの商業的な生産において使用されるものに関する。
以下の明細書の記載において、角かっこ([])内の参考文献は、実施例の後に示された参考文献のリストに掲載されている。
ヒラガキのOstrea edulis(ヨーロッパ・ヒラガキ)は、ヨーロッパで最も養殖されているカキの一つであるが、米国およびカナダでも養殖されている。
1970〜1980年の間、寄生虫であるマルテイリア・レフリンゲンスおよびボナミア・オストレアの出現により、カキの生産が大きく減少し、カキの養殖者は、そのような寄生虫を克服する手段を捜し求めている。
カキにおける感染を制限するために、いくつかの方法が取られている。それらの方法の一つは、カキを1つの養殖場から別の養殖場へ置き換えること、および幼生のカキを一つの区域から他の区域へ置き換えることを制限することにあった。
他の方法は、寄生虫であるボナミア・オストレアに対する抵抗性を有するカキを選択しようとするものであった。非特許文献1[1]。このような選択は、前記寄生虫に対する寛容性の促進を可能にしたが、寄生虫に対する抵抗性は促進されず、また、養殖カキの遺伝的多様性の弱体化およびカキの血族関係における有害性の増加を引き起こした。非特許文献2[2]。
他の研究では、大西洋からの感受性である幼生のカキを使用して、カキを養殖するための、感染していない領域を特定することが行われた。これらの研究の一つは、80年代にコルシカ島のディアナ湖で行われ、水産養殖生成物を調整する動物の健康状態に関連する欧州理事会指令91/67/CEEにより、IFREMERの提案を受けて、そのような池を感染領域として分類することになった。コルシカ島全体を包囲するゾーン1は、ボナミア症およびマルテイリア症が存在するとして分類された。
種々の研究は、寄生虫に感染している領域の地図の作成を可能にし、各領域において、より寄生虫寛容性であるカキを選択することさえ可能にしたが、これは、カキの遺伝的多様性を弱体化させた。
前記寄生虫に対する抵抗性を有するカキの生産を可能にする研究は存在しない。
したがって、従来技術の欠点、弱点および障害に対処して、病原体に対して抵抗性を有するカキを得ることを可能にし、かつ低価格で産業的生産を行うことを可能にする方法が真に求められている。また、この方法は、容易に実施されなければならない。
Naciri−Gravenら(1998)「Selecting the flat oyster Ostrea edulis (L.)for survival when infected with the parasite Bonamia ostrea」J.Exp.Mar Biol.Ecol.,224:91−107 N.Tarisら「Consequences genetiques de la production des larves d’huitres en ecloserie:etude des processus de derive et de selection.」,Les actes du BRG,6(2006)521−541
本発明は、より正確には、病原体に対する抵抗性を有するカキを得る方法を提供することによって、先に記載した要求および欠点に対処することを目的とする。
本発明の方法は、そのような病原体に対する抵抗性を有する地中海のヨーロッパ・ヒラガキと、非抵抗性のカキとの交配を含むことを特徴とする。
また、本発明は、本発明の方法により得ることのできる可能性の高い、病原体に対する抵抗性を有するカキに関する。
本発明では、「抵抗性のカキ」とは、病原体に対する抵抗性を有する任意の地中海のヨーロッパ・ヒラガキを意味する。抵抗性の地中海のヨーロッパ・ヒラガキは、病原体に対する抵抗性を有する任意の野生のカキで、地中海を起源とする。たとえば、大西洋を起源とする養殖系統の養殖および/または移植による人為的な選択的圧力も、遺伝子混入も受けていない地中海のヨーロッパ・ヒラガキの全てである。地中海起源のカキは、アロザイム・マーカまたはマイクロサテライト・マーカ、Launey S.ら「Geographic structure in the European flat oyster(Ostrea edulis L.)as revealed by Microsatellite polymorphism.」J Hered.2002Sept−Oct;93(5):331−51.(2002)[3]、あるいはRNA配列による、系統の分子分析によってチェックすることができる。たとえば、Diaz−Almelaらの科学記事「Reduced female gene flow in the European flat oyster Ostrea edulis」J Hered.2004Nov−Dec;95(6):510−6.(2004)[4]に記載されるように、地中海沿岸起源の層(couche)を示すように使用することができる分子マーカは、前記系統のミトコンドリア12s−rRNA遺伝子の313ペアの塩基の配列に対応する。
抵抗性のカキは、成長及び状態の指数(全体重に対する食べられる肉の比を意味する)に関する養殖品質を好ましく有するように選択されてもよく、それは交配方法に最も適合したものである。たとえば、前記比は、0.10〜0.20の間でありえ、好ましくは0.15を超え得る。測定は、たとえば、ある世代の、貝殻が適合した形を持つ、すなわち、貝殻の下半分が凸状の最も大きなカキで行うことができる。抵抗性のカキは、たとえば、コルシカ島のカキに関し、80g未満の重さの若い第一成熟度のカキから選択してもよく、最も大きなカキは、殻の比がより大きくなる傾向がある。これらの中でも、平均直径における厚さの比で定義される凸度[(長さ+幅)/2]が0.33を超えるカキが、好ましく選択され得る。
抵抗性のカキは、寸法、重さなどの表現型特性に応じて選択することができる。たとえば、抵抗性の地中海のヨーロッパ・ヒラガキは、60mmを超える直径を有するものを好ましいものとして選択してもよい。
また、抵抗性のカキは、天然の成長培地に関してそれらの所在地に応じて選択することもできる。たとえば、天然培地に関し、堆積物の表面上に散在した遊離型のものと、岩に固定されたカキとの間では、養殖に対してより適合する特性を示すので、遊離型が好ましい。
好ましくは、自然環境でのカキのサンプリング領域は、最も高い生産性を意味する、最も重要な集団を含む領域である。軟質堆積物を占める遊離型に関して、カキは、たとえば、1匹の個体/mを超える密度、好ましくは2匹の個体/mを超える密度を有する集団の中から選択することができる。
抵抗性のヨーロッパ・ヒラガキは、たとえば、コルシカ島の潟、モロッコのナドル、チュニジアのガベス、リビア、ギリシャ、スペインのムルシアのマールメノイル湖、トルコのボスフォラス海峡のエーゲ海区域、バレアレス諸島のミノルカ島、ウクライナのセバストポリ、紅海および/またはバルト海を起源とする、抵抗性の地中海のヨーロッパ・ヒラガキの中のカキから選択することができる。
本発明の方法を実施するために、抵抗性のヨーロッパ・ヒラガキは、ディアナ湖、ウルビーノの池、ポルトベッキオ湾、サンタマンザ湾およびサルジニアの潟からの、野生のコルシカ島のヨーロッパ・ヒラガキを含む群から選択することが好ましい。本発明の方法を実施するために、選択された抵抗性のヨーロッパ・ヒラガキは、ディアナ湖からの野生のコルシカ島のヨーロッパ・ヒラガキであることが好ましい。
本発明によれば、抵抗性の地中海のカキは、古い地中海集団を起源とするカキであってもよい。そのカキは、移植や養殖による外部からの遺伝的変化を受けていない野生のヒラガキおよび/または地理的に限定された地中海の潟を起源とするカキであることが好ましい。地中海の潟に長期間住む野生の集団は、特に、それらの生息場所に関連する適応性特性、とりわけ、温度のレベルおよび幅、塩分濃度のレベルおよび変化度、培地の酸素負荷、培地および潮流の栄養価および自然集団の陸地出現に対する抵抗性の可能性における変化に特有な遺伝子型、表現型および養殖的特性を有する。たとえば、モロッコのナドル潟のカキの天然集団は、満潮の間、数時間、殻を開き、死ぬことなく、亜熱帯陽光区域に曝すことができる。本発明の方法の実施形態において、大西洋での養殖の潮間帯に適合させた交配種を得る抵抗性のカキは、ナドルからのカキであってもよい。
しかし、開かれた生息場所であって餌料供給が少ない場所を起源とする抵抗性の地中海系統は、交配の特性としては一般的にあまり適さない、一般的な適応特性を受け継ぐ。これは、ギリシャのキクラデス諸島、クロアチア、カラブリア、シチリアおよびカマルグ(ポール・サン・ルイ・デュ・ローヌ)を起源とする抵抗性系統に関する場合である。
地中海起源のカキは、たとえば、アロザイム・マーカ、マイクロサテライト・マーカ[3]、または先に記載したRNA配列[4]による系統の分子分析によってチェックすることができる。
本発明によれば、選択された抵抗性のカキは、交配に適したレベルの炭水化物を貯蔵する物質を有するのが有利である。グリコーゲンで構成されるそのような貯蔵物質は、革新的に、その生殖腺を発達させ、その配偶子を生み出すことができる「太った」カキの態様を与えるであろう。そのような貯蔵物質は、配偶子を作成するために春に、および全配偶子形成の間、使用することができ、したがって、産卵の栄養は、受精率および動員を決定する。炭水化物貯蔵物質は、カキの受精率を十分発現するように働き、したがって、本発明の方法の実現に有利に働く。
本発明によれば、抵抗性の地中海のヨーロッパ・ヒラガキは、好ましくは養殖世代、好ましくは第一養殖世代で選択される。第一養殖世代でのカキの選択により、交配を行うための配偶子の最高生存率を保証することを可能にできる。
本発明によれば、「非抵抗性のカキ」は、起源、その属または種には関係なく、病原体に対して脆弱な任意の感受性のカキを意味する。病原体に対するカキの非抵抗性は、たとえば、カキの成長の変性、遅延または停止に必然的に伴い得る、任意のカキの生物学的機能の変更によって現れ得る。また、病原体への非抵抗性は、カキの死を引き起こし得る。ボナミア症の場合、その感染症の第一徴候は、成長の遅れ、エラの損傷、殻の解放に加えて、一般的に最初の性的成熟移行から現れる高い死亡率がしばしば挙げられる。「Aber病」とも称されるマルテイリア症に関しては、以下の臨床的徴候、すなわち、グリコーゲン貯蔵の減少および枯渇、消化腺の完全な変色、給餌の停止およびカキの弱体化が、リアスまたは他の潮間帯のいずれかにおいて養殖場において現れ、これらは続いて高い死亡率が起こる徴候である。
換言すれば、非抵抗性のカキは、養殖カキの病気に対して感受性である任意のカキと言える。たとえば、イタボガキ科の二枚貝カキであってもよい。
たとえば、非抵抗性のカキは、カキのヘルペス・ウィルス1(「イタボガキヘルペスウィルス−1(OsHV−1)」)に対して感受性であるカキであってもよい。
たとえば、非抵抗性のカキとしては、環境因子、すなわち、毒性因子、環境の汚染または物理学的因子の変化のため、免疫防御が弱体化しているカキが可能である(Gagnaire B.,2005)[10]。
たとえば、非抵抗性のカキは、養殖場における選択に関し、養殖作業または圧力に起因する遺伝的浮動により、感染物質に対して感受性にされたカキであってもよい(Taris N.,2007)[15]。
本発明によれば、本発明の方法により交配され得る非抵抗性のカキは、自然採取によってまたは孵化場で得られる野生のカキ、養殖カキ、天然のカキ系統、地中海に土着のカキおよび地中海の外を起源とするカキの中から選択することができる。たとえば、非抵抗性のカキは、大西洋、太平洋および/またはインド洋からのカキであってもよい。
本発明によれば、非抵抗性のカキは、たとえば、カキの養殖作業によって変質した地中海のカキ、または、大西洋、太平洋および/またはインド洋からの感受性かつ/または汚染されたカキの移送によって汚染された地中海のカキであってもよい。
本発明によれば、非抵抗性のカキは、抵抗性のヨーロッパ・ヒラガキと同じまたは異なる属または種のものであってもよい。たとえば、ヒラガキまたはポルトガルガキであり得る。たとえば、本発明で使用することができる非抵抗性のカキの種は、以下の属および/または種、ヨーロッパ・ヒラガキ、オストレア・アンガシ(Ostrea angasi)、オストレア・コンチャフィーラ(Ostrea conchaphila)、オリンピアガキ(Ostrea lurida)、イタボガキ(Ostrea denselamellosa)、オストレア・プエルカナ(Ostrea puelchana)、ワニガキ(Ostrea folium)、ムラサキガキ(Ostrea permollis)、オストレア・ステンティナ(Ostrea stentina)、チリガキ(Tiostrea chilensis)、アメリカガキ(Crassoster virginica)、マングローブガキ(Crassostrea gasar)およびカリブガキ(Crassostrea Rhizoporae)などに属するものが可能であるが、これらに限定されない。
非抵抗性のカキは、たとえば、東アフリカの河口およびマングローブ林の、マングローブ木のカキであるマングローブガキ、およびインド洋−太平洋のマングローブ木カキであるカリブガキなどを含む群から選択することができる。
非抵抗性のヨーロッパ・ヒラガキは、たとえば、タウ湖からのヒラガキ「ブジーグ」(Bouzigues)、ベニスの潟からのカキ、ベニスからのヒラガキ、シャラントおよび/またはバンデからの、アルカション池からのヒラガキ「グラヴェット」(Gravettes)、リアスおよびモルビアン湾を起源とする、南ブルターニュからのヒラガキ「ブロン」、北ブルターニュおよびノルマンディーを起源とする「カンカル」(Cancale)、スペインのガリシアを起源とするカキ、ポルトガルを起源とするカキ、英国、コーンウォールからのカキ、南および北アイルランドからのカキ、オランダからのカキ、デンマークからのカキ、米国およびカナダ、西大西洋、フロリダからケベックまでのカキ、USAおよびカナダの海岸を起源とする東太平洋からのカキ、カリフォルニアとアラスカとの間の海岸からのカキを含む群から選択することができる。
本発明の方法の実施のために、非抵抗性のカキは、病原体に対して感染していてもあるいは感染していなくても、あるいは寛容性があってもなくてもよい。前記カキは、それが有している病変を発現する前に最初の生殖を行う傾向にある場合、寛容性があると称される。
本発明によれば、本発明の方法の実施のために、抵抗性の地中海のヨーロッパ・ヒラガキおよび非抵抗性のカキは、性的潜伏期後に選択することが好ましい。こうした期間は、通常冬に生じる。次いで、そのような抵抗性のカキおよび非抵抗性のカキは、たとえば養殖場のタンク中、たとえば日照時間が増加する中で、交配のために調整されることが好ましい。
本発明によれば、病原体に対して抵抗性であるか、または非抵抗性であるかの特性に応じてカキを個別にマークすることができる。マーキングは、当業者に公知の任意の方法、たとえば、乱切法又は接着剤、たとえばエポキシ接着剤を用いてラベルを固定することによって行うことができる。このようなカキの個々のマーキングは、交配種幼生カキの均質なバッチを構成することを可能にする。
本発明によれば、交配に使用されるカキは、反対の性を有する。オストレア属のヒラガキは、周期的な連続雌雄性を有する非同期的な二枚貝である。一般的に、雄性先熟は、ひとつの季節の間に性を数回変えることができ、雄および雌系統は同時に存在するので、雌雄の選別を難しくする。オストレア属に関連する生殖のこの特定モードは、大量生産の場合、遺伝的同一性のいかなる制御も阻止する。したがって、交配がオストレア属の抵抗性のカキおよび非抵抗性のカキを扱う場合、カキを2匹ずつ分離することが好ましい。換言すると、カキを2匹ずつ分離することが好ましい。理論的には、分離したカキは、各2つのペアのうち、1つのペアのみが雄−雌の組になるはずである。本発明では、前記組の70〜80%が受精することが有利である。実際のところ、最も早熟のカキの成熟は、2匹目のカキの、逆の性への方向付けを引き起こし得る。したがって、本発明によって得られる交配の数は、推定される理論的数よりも高い。
カキは、広温性で、広塩性であることが非常に多いことに気をつけるべきである。そのような寛容性は、成熟の同期化および配偶子の放出、ならびに単一の地理的培地を起源とする2匹のカキの交配を促進する。
本発明によれば、病原体は、細菌、寄生虫およびウィルスを含む群から選択することができる。
本発明によれば、「病原体」は、ある種類の病原体または数種の病原体、または複数の、ある種の病原体、あるいは細菌、ウィルス症状、寄生虫病またはこれらに関与する症状に関連する他の物質との組合せを意味する。
本発明によれば、病原体は、略胞子虫類、原生動物、マルテイリア、寄生虫およびカキの中の全身細胞および/または体液性免疫機構を必要とする外部汚染物質、たとえば、病原体、ボナミア・オストレアおよびマルテイリア・レフリンゲンスを含む群から選択することができる。
本発明によれば、病原体は、病状、たとえば、ボナミア症、マルテイリア症、ハプロスポリジウム症、小血球症、パーキンサス症および/またはイリボウィルス症(irivovirose)に関与する可能性があり、病原体は、好ましくは、ボナミア症および/またはマルテイリア症に関与する。
本発明によれば、病原体は、動物間流行病、大量のまたは反復性致死症候群、たとえば、培養培地の温度の上昇にともなう夏の死亡率および/またはカキのヘルペス・ウィルス1(「カキ・ヘルペス・ウィルス−1(OsHV−1)”)に関連する可能性があり、および日和見病原体、たとえば、ノカルディア・クラッソストレア(Nocardia crassostreae)に関連する可能性がある。経済的利益のある軟体動物に見られるこのような病原体および/または日和見病原体は、「Synopsis of Infectious Diseases and Parasites of Commercially Exploited Shellfish」(Bowerら、1994)[13]、(Bower&McGladerry,2003)[14])において分類されている。
本発明の方法を実施する方法を以下に記載する。
本発明によれば、交配は、カキの交配の実施が可能な、当業者に公知の任意のタンクで行うことができる。タンクは、たとえば、ガラス、木、金属、合成材料、または石造り製の養殖容器、水槽、任意のタンク、容器またはたらい、あるいは任意の適用可能な導管であってもよい。本発明の方法の実現のために使用されるタンクの容量は、たとえば、1〜100リットルの容積が可能であり、好ましくは5〜20リットルである。
本発明によれば、タンクは水の酸素供給手段を含んでもよい。たとえば、水は、当業者に公知の任意の手段、たとえば、空気をタンクの水に放出することができるポンプを使用して酸素供給することができる。また、酸素供給は、水回路レベルで行うこともできる。水の酸素供給の速度は、交配の実現の間に適合することができ、好ましくは、本発明に必要な温度および塩分濃度のレベルがいかなるものでも、水性培地を溶解した酸素で飽和することを目的として適合する。酸素濃度は、5mg/L〜11mg/Lが可能であり、好ましくは6.5mg/Lを超える。本発明によれば、交配すべきカキを含むタンクには、たとえば、予め水を満たし、連続してまたは非連続的に、水回路によって給水することができる。水の循環速度は、0L/時間〜100L/時間の間が可能であり、好ましくは5L/時間〜20L/時間の間である。その速度は、カキおよび幼生の呼吸および給餌の要求基準に合わせることができる。
本発明によれば、前記水回路は、1つのタンクから別のタンクに分離することができる。より詳しくは、水回路の分離により、交配されるべきカキへの外部からの影響を避けることが可能になり、したがって、交配種幼生の純度を保証することが可能になる。そのような分離は、たとえば、望ましくない遺伝的汚染をともなう交配種生成を防止することができるようにする。
本発明によれば、本発明で使用される水は、交配の実施に適合された任意の水であり得る。本発明の実施に適合された水は、たとえば、非抵抗性のカキの最初の培地および/または抵抗性のカキの培地の特性と同じ、中間のあるいは異なる物理化学的特性、たとえば、塩分濃度、pH、温度などを有する水であり得る。
本発明によれば、水は、本発明の方法のステップに応じて、異なる組成を有することができる。
本発明によれば、使用する水は、塩分濃度を3‰〜50‰の間とすることができ、好ましくは12‰〜38‰の間である。水は、pHを6.5〜9の間とすることができ、好ましくは7〜8.5の間である。水は、温度を−8℃〜+55℃の間とすることができ、好ましくは12℃〜40℃の間である。
本発明によれば、本発明を実現するために供給される餌料は、カキおよび/または交配されるカキを養殖するための、当業者に公知の任意の餌料で構成することができる。前記供給餌料は、たとえば、単細胞藻類、植物プランクトン、餌料微粒子の供給のための海底の細菌、組合せ餌料製品、炭水化物、タンパク質、ビタミン類、その他のような溶解した有機物質の供給物、またはこれらの混合物で構成することができる。
植物プランクトン、底生細菌および単細胞藻類は、カキの孵化場および/または天然の培養培地に由来し得る。微粒子は、天然または人工の起源を持ち得る。たとえば、有機質廃棄物および/または養殖廃棄物を起源とすることができる。
単細胞藻類および/または植物プランクトンは、たとえば、冷却ペーストの形態で遠心操作により濃縮することができ、餌料微粒子は、たとえば、懸濁および/または乳化することができ、配合餌料は、たとえば、乾燥したものでも、または水和されたものでも、グリシドおよび/または脂肪および/またはタンパク質物質を配合したものでもよく、押出され、検量され、またはマイクロカプセル化されてもよい。
孵化場および/または天然の培地で育った単細胞藻類は、イソクリシス・ガルバナ(Isochrysis galbana)、スケレトネマ・コスタータム(Skeletonema costanum)、パブロバ・ルテリ(Pavlova lutheri)、キートセラス・カリストランス(Chaetoceros calcitrans)、テトラセルミス属などを含む群から選択され得る。たとえば、植物プランクトンは、イソクリシス・ガルバナ、パルボバ・ルテリ、キートセラス・フォルマ・プミラム(Chaetoceros forma pumilum)などを含む群から選択され得る。使用される植物プランクトンおよび単細胞藻類の量および品質は、本発明の方法の製品に適合していることが好ましい。栄養分は、卵塊の受精率および幼生および交配種カキの動員の成功に重要な要素である。
本明細書では、「交配」は、抵抗性のカキ少なくとも1匹と、先に記載したような非抵抗性のカキ1匹との間の交配の実現を可能にする当業者に公知の任意の方法を意味する。また、交配は、精子細胞凍結法技術を使用し、Lannan J.E,1971による実験、太平洋のカキであるクラッソストレア・ギガス(Crassostrea gigas)の実験的自家受精に従い、細胞凍結された精子、Genetics,68:599−601[5],BougrierおよびRabedomanana,1986、日本のカキ、クラッソストレア・ギガス(Crassostreea gigas)の精子の細胞凍結法、Aquaculture,58:227−280[6]を利用し、または多選択性保存を使用し、配偶子の希釈装置を洗浄するHaffrayら「Domestication et amelioration genetique des cheptels piscicoles dans le cadre du SYSAAF」,INRA Prod.Anim.,2004,17(3),243−252[7]ことによって、先に記載した抵抗性および/または非抵抗性のカキの配偶子で直接実現することもできる。畜産の知識は、性別のコントロール、卵塊の独立した成熟、産卵の同期化、および卵塊間の化学的交換によって、同定された個体の人工繁殖を支配することを可能にすることができる。このような知識は、化学合成刊行物、Gerard A.,Naciri−Graven Y.,Boudry P.,Launey S.,Heutebise S.,Ledu C.,Phelipot P.,(1997).Controle de la gametogenese des huitres creuses et plates.In:La production naturelle et controlee des Bivalves cultives en France,Devauchelle N.,Barret J.,Salaun G.,(1997),DRV/RA/RST97−11,Ifremer Brest,217pp.[8]の主題である。
本発明の特定の実施形態によれば、交配は、以下の、
a)病原体に対する抵抗性を有する地中海のヨーロッパ・ヒラガキを供給するステップと、
b)前記病原体に対して非抵抗性のカキであって、前記ヨーロッパ・ヒラガキと性別が反対であるカキを供給するステップと、
c)交配を可能にする塩分濃度を有する水を含有するタンクに、前記カキを一緒に入れるステップと、
d)成熟に十分な給餌をともなう光周期の増加により、前記タンク中で前記カキを成熟させるステップと、
e)カキに適用される誘発剤を使用して、雄性配偶子の放出を誘発するステップと、
f)ステップe)で放出された雄性配偶子により、雌性配偶子を受精させるステップと、
g)ステップf)で得た幼生を、8〜10日間培養するステップと、
h)ステップg)で得られた幼生に植物プランクトンを供給して発眼した幼生を得るステップと、
i)得られた発眼した幼生を採取するステップと、
j)前記病原体に対する抵抗性を有する少なくとも1匹のカキを得るために、前記幼生を、発育支持体上に固定するステップと、
を含み得る。
本発明の方法によれば、ステップa)で供給される病原体に対する抵抗性を有する地中海のヨーロッパ・ヒラガキは、先に記載した抵抗性のカキである。
本発明の方法によれば、ステップb)で供給される、病原体に対して抵抗性のないカキは、先に記載したような非抵抗性のカキである。
本発明の方法によれば、ステップc)は、ステップa)で得られた少なくとも1匹のカキと、ステップb)で得られた少なくとも1匹のカキとを、一緒にタンクに入れることからなる。たとえば、ステップa)で得られた数匹のカキを、ステップb)で得られた1匹のカキとともに、タンク内に入れることもでき、その反対も行うことができる。また、ステップa)で得られた数匹のカキを、ステップb)で得られた数匹のカキと一緒に、タンク内に入れることもできる。
本発明による方法では、ステップa)およびb)で供給されたカキは、本発明の方法のステップc)において2匹ずつ分離される。すなわち、各タンクは、ステップa)で得られたカキに該当するものと、ステップb)で供給されたカキに該当するもう1匹のものとの、2匹のカキのみを有することが好ましい。
本発明の方法で使用するタンクとして、先に記載したタンクであり得る。
ステップd)〜i)は、前記実施手段によって行うことができる。そのような手段は、本発明の方法の各ステップに適合することができる。
本発明の方法によれば、本発明の方法のステップd)で行われる成熟は、カキの成熟を可能にする、当業者に公知の任意の方法で行うことができる。カキの成熟は、日照時間を徐々に長くすることによって行うことが好ましい。この増加は、1週間から6ヶ月の期間行うことができ、1ヶ月から3ヶ月が好ましい。最小照明時間は、1時間〜12時間の間であり、最大照明時間は、12時間〜23時間であり得る。成熟のステップは、本発明の方法の実現を可能にするいかなる温度でも行うことができる。好ましくは、前記成熟は、好ましくは20℃〜30℃の間の温度までの温度で徐々に上げることによって行うことができる。成熟は、20℃〜30℃の間の温度で行うことが好ましい。より詳しくは、最終成熟温度の選択は、交配の方法の間に使用された系統、および成熟に対するそれらの反応に依存する。温度は、交配すべきカキに応じて適合させることができる。このステップにおけるカキの応答の制御は、生殖腺の成熟度および配偶子の形成を制御することによって行うことができる。カキには、性的潜伏期に対応する0と番号が付けられた段階から、配偶子の放出に該当する4bと番号が付けられた段階までの異なる成熟段階がある。成熟度のコントロールは、たとえば、塩化マグネシウム(MgCl)を使用した麻酔浴中の殻片の開き具合の観察のような、当業者に公知の方法を用いて行うことができる。本発明の方法では、生殖腺成熟が第三段階に達した時、カキは成熟したとみなされる。
この成熟ステップの間、餌料供給は、任意の適正な当業者に公知の手段で行うことができる。たとえば、先に規定したような餌料供給が可能である。たとえば、単細胞藻類、植物プランクトン、底生細菌、微粒子の餌料などであり得る。
成熟ステップの間、タンクが水回路によって給水される特定の実施形態において、前記回路は、1つのタンクから別のものに分離することができる。水回路の分離は、とりわけ、1つのタンクから別のタンクへの水の交換、したがって、物質、たとえば、他のタンク内で繁殖した成熟カキによって放出された、タンパク質および/または病原体および/または化学物質の交換を回避することを可能にする。そのような物質は、卵塊の性を決定することができる。本発明の実現の望ましくない、他のタンクで繁殖した成熟カキによって放出された配偶子の交換は、望ましくない姉妹系統間の自家受精を引き起こす可能性がある。
本発明によれば、本発明の方法のステップe)で規定された配偶子の放出の誘発は、成熟カキ、たとえば、生殖腺の成熟が第三段階のカキで行うことが好ましい。そのような成熟カキは、たとえば、本発明の方法のステップd)で得られたカキであり得る。本発明の方法のステップe)で使用される誘発の媒介は、当業者に公知の誘発手段、たとえば、少なくとも熱衝撃および/または少なくともタンパク質、たとえば、ホルモン、化学物質、または神経伝達物質、たとえばセロトニンであってもよい。
好ましくは、誘発媒介は、1回または数回の熱衝撃であり得る。温度の経時的な下降および増加、本発明の方法の実現に適合される温度における変化に該当する。たとえば、最高温度は、25℃〜55℃の間、最低温度は、5℃〜20℃の間であることができる。
誘発、たとえば熱衝撃は、先ず、雄性配偶子の放出を可能にし、これは、雌性配偶子の産卵を刺激する。雌性配偶子の放出の誘発は、雄性配偶子によって化学的に実現される。たとえば、ホルモンまたは神経伝達物質、たとえばセロトニンであり得る。
また、雌性配偶子の放出の誘発は、雌性配偶子の放出を誘発する当業者に公知の任意の物質によって行うことができる。たとえば、化学物質、ホルモンまたは神経伝達物質、たとえばセロトニン、たとえば、雄性配偶子を含有する水、配偶子を含有するろ過水、および/または細胞凍結法により得られた活性精子を含有する希釈培地がある。
特定の実施形態では、ステップe)のカキの配偶子の放出の誘発は、配偶子の分散を防ぐように、水を循環せずに、タンクの中で行われることが好ましい。この場合、水循環が先のステップで行われていれば、このステップe)のために、水回路を閉鎖する。
また、ステップe)の別の特定の実施形態では、別のタンク内のホルモンや雄性配偶子のような物質の分散を防ぐために、1つのタンクから別のタンクへの水の循環を分離することができる。
本発明の方法によれば、ステップf)は、雄性配偶子による雌性配偶子の受精に該当し、その雄性配偶子は、雌カキによって予め選別されている。受精は、カキの外とう腔内で起こる。このステップの実施手段は、先に記載した手段、または当業者に公知の任意の手段であり得る。これらの手段は、当然、受精の実現に適合することが好ましい。
本発明の方法によれば、ステップg)で規定するような幼生の培養は、好ましくは、カキの外とう腔内で行うことができる。幼生培養のこのステップの間、このステップを実施する手段は、先に記載した手段または当業者に公知の任意の他の手段であり得る。このような手段は、そのような培養の実現に適合されることが好ましい。培養のこのステップは、8〜10日間行うことができる。培養のこのステップの間、カキおよび幼生の給餌は、たとえば、本明細書の先に記載したような植物プランクトン、または他の任意の適正な餌料で行うことができる。培養のこの期間の後、幼生を生息地に放出する。
本発明の方法によれば、産卵、受精の誘発および幼生の培養に対応するステップe)およびg)は、外とう腔外のインビトロで、または雌の外とう腔内のインビボで行うことができる。ステップg)を、インビボ、すなわち雌のカキの外とう腔内で行う場合、配偶子は、選別され、受精され、雌のカキの外とう腔内で培養される。培養は、幼生の娩出をステップg)において可能にするような方法で行われる。
インビトロで、配偶子を生殖腺の乱切(「ストリッピング」技法)によって得ることにより、発育および受精の段階をプログラムし制御することが可能になる。
本発明の方法によれば、ステップh)は、発眼した幼生を得るための、ステップg)で培地に放出された幼生への給餌に該当する。先に記載されたような幼生への給餌を可能にする植物プランクトンは、そのようなステップの実現を可能にする当業者に公知の任意の植物プランクトンであり得る。そのようなステップを実施する手段は、先に記載した手段または当業者に公知の任意の手段であり得る。そのような手段は、好ましくは幼生の給餌の実施に適する。
本発明の方法によれば、ステップi)は、ステップh)で得られた発眼した幼生の採取に対応する。発眼した幼生の採取は、幼生の娩出の後、たとえば、8〜10日間行うことができる。発眼した幼生を採取する手段は、当業者に公知の任意の手段、たとえば、幼生の採取を可能にする直径の孔を持つフィルタ、スクリーンであってもよい。たとえば、スクリーンは、メッシュサイズが10μm〜180μm、好ましくは50μm〜150μmのものであってもよい。メッシュサイズは、放出された幼生のサイズに応じて選択することができ、そのサイズは、放出された幼生のサイズより小さくなければならない。
本発明の方法によれば、ステップj)は、発育支持体上への幼生の固定に対応する。前記固定は、本明細書で先に記載したように、タンク内で実現することができる。このステップの実施手段は、本明細書の先に記載した手段または当業者に公知の任意の手段であってもよい。これらの手段は、受精の実現に適合されることが好ましい。タンクは、その壁に同じまたは異なる発育支持体を含むことができる。幼生の発育支持体は、本発明の方法の実効を可能にする任意の支持体であり得る。たとえば、発育支持体として、微粉砕されたカキ殻またはムール貝の殻、微粉砕されたガラスおよび/または、たとえば、250μm〜500μmの間でスクリーニングされた任意の材料であって、本発明の方法によって得られた幼生の継承および遊離の幼生カキの取得を可能にする。
固定ステップの後、幼生カキを発育させて少なくとも1匹の交配種カキを得る。そのような発育ステップを実施する手段は、本明細書の先に記載した手段または当業者に公知の任意の他の手段であってもよい。そのような手段は、幼生の発育に適合することが好ましい。
本発明によれば、交配は、たとえば、一生殖期の間のみ、たとえば、第一成熟年の間の6ヶ月間に行うことができる。したがって、温度および給餌条件は、各カキが、第一成熟期間の間に数回性別を変えることができるように選択することができる。前記カキは、10日間〜70日間の間の間隔で新しい配偶子を放出することができる。
第一成熟年の間の本発明の方法の実現は、配偶子および若いカキから発生する幼生が、最適品質を有することができるようにするのが有利である。
本発明の方法により得られる交配種カキは、完全兄弟型のものであり、それらは、異型接合性によって加えられた、それらの異なる、相補的な、地理的および経済的同一性に起因する、特定の遺伝子多型を持つ親のみから生じる。異型接合体のこのような交配および形成は、病原体に対して抵抗性を有する交配種を得ることを可能にする。
本発明の方法による交配は、オストレア属の生殖の生態および遺伝学的に異なる野生集団間の地理的距離のため、現実には決して起こることはない。養殖の系は、普通、イタボガキ科が特に脆弱な血縁退行のため、雑種強勢質が次の世代で急速に失われるため、F1交配種のみを使用する。したがって、本発明の方法は、第一世代の抵抗性のカキを得ることを可能にする。
抵抗性の交配種カキは、種々の条件下で発育することができる。得られる交配に応じて、それらは、親の本来の環境で発育することができる。たとえば、コルシカ島の抵抗性のヨーロッパ・ヒラガキと、大西洋からの非抵抗性のカキとの交雑からは、大西洋海岸、また地中海海岸で発育し得る病原体に対して抵抗性を有する交配種が得られる。本発明のそのような態様は、技術水準に関し、大きな利点があり、コルシカ島のカキは、たとえば、潮流現象、したがって、浸水および出現現象、培地の変化、たとえば、塩分濃度、温度に対して適合しないため、抵抗性のコルシカ島カキは大西洋海岸では発育できないことがわかる。
交配により得られた抵抗性のカキは、その抵抗性および培地に対する適合性の能力のため、価格を下げ、病原体に感染した角の養殖場におけるカキの生産を大きく改善できるようにする。
本発明の方法で得られた抵抗性のカキには、さらに、天候の変化、たとえば、培地の温度の上昇に対して適合する特性もある。
さらに、交配種は、それらの起源である親の日成長に対して30%まで増加した日成長を有する。この態様は、カキ生産養殖場において、抵抗性の交配種を使用する関心を増加させる。
また、交配によって得たこのような抵抗性のカキは、輸入されたまたはされていないに関わりなく、病原体に感染した地域を、人によって、感染カキの養殖を介して、ストックすることを可能にし、および海洋生態系の回復を可能にすることができる。
また、交配によって得られたそのような抵抗性のカキは、血族関係がますます重要になるカキ養殖場で成長した系統の生物学的多様性の生殖を可能にする。血族関係は、系統の生殖の発生源であり、カキ養殖場の生産性の減少の原因である。
カキ養殖場における流行病の発生の増大が、1920年から観察されているため[16]、カキの血族関係は、病原体に対する抵抗を減少する原因となる可能性がある。
本発明により得られた抵抗性の交配種カキは、当業者に公知のウィルス、細菌および/または寄生虫病原体に対する抵抗性の特性を増加させている。抵抗性の増加としては、たとえば、特に血球防御が関わる限り、細胞および体液性免疫応答の増加があり得る。そのような特性は、たとえば、異型接合性に起因する遺伝的多様性の回復に由来する可能性がある[15]。
本発明により得られる抵抗性の交配種カキは、カキ養殖場内で繰り返される流行病、水温の上昇に起因する流行病、またはカキのヘルペス・ウィルス1(「イタボガキ科のヘルペス・ウィルス−1(OsHV−1)」)[16]に起因する流行病の問題の解決を可能にする。実際のところ、本発明の方法により得られるカキの遺伝的多様性は、血縁カキに、より大きな耐久力および免疫を与え、したがって、環境の変化、特に気候変化に起因する偶発的な感染に対し抵抗することを可能にする[10]。
他の利点は、説明のために掲載される本明細書の以下にある実施例を読めば、さらに当業者には明らかになるであろう。
(実施例1)
コルシカ島のディアナ湖からの抵抗性のヨーロッパ・ヒラガキ
1980年代から寄生虫、ボナミア・オストレアおよびマルテイリア・レフリンゲンスで汚染され、養殖場で繁殖に成功したと考えられているディアナ湖から、野生のカキを採取した。0.2gに成長した幼生カキにより、その湖において、良好な品質の実験的生産を得ることができる。この成功は、以下の結論を導きだすことを可能にする。
−ボナミア・オストレアおよびマルテイリア・レフリンゲンスで汚染されているゾーンで、上市サイズになるまで病状を持たないということは、ヒラガキ、ヨーロッパ・ヒラガキのコルシカ島系統に特有の特定の遺伝的多型性に関連する寄生虫病に対する抵抗性を示唆する。
−最初のロットとして、0.2gの幼生カキから18ヶ月で、n°1およびn°0のサイズを得ることは、コルシカ島系統は、成長が高い可能性があることを明らかにしている。成長周期は、大西洋のブロンヒラガキの成長周期に対して、50%を超えて減少する。
−状態指数は16%(総重量に対する食べられる肉の重量)であり、これは、南ブルターニュのブロンカキの指数より高い。十分な味覚試験により、商業的観点から、コルシカ島系統は注目に値する品質があることが確認される。
次に、その系統の健康状態および病原体に対する抵抗性をテストした。そのようなテストは、O.I.E.(ボナミア症およびマルテイリア症に関する動物の世界保険機構)のプロトコルに従って行った。
−心室およびエラの組織プリントの顕微鏡を使用した細胞診:染色後、血球内部に2〜5μmの小さな球形または卵形の生物は観察されず(ボナミア)。
−エラ、消化腺、固定し染色した生殖腺サンプルの組織の顕微鏡を使用した病理組織学的試験:自由条件下または血球内部に、2〜5μmの寄生虫細胞は観察されず(ボナミア)。消化腺の奇形も、マルテイリアの存在を証明する20〜30μmの球形生物の存在もなし。
−モノクローナル抗体免疫蛍光法を使用する検出により、コルシカ島系統は、自然環境に存在する寄生虫、ボナミアおよびマルテイリアに対する抵抗性を有することを示す。
−連鎖重合反応(PCR):寄生虫のITS1域を標的とする特定のDNAプローブにより、マルテイリア・レフリンゲンスは検出されず。
−PCR−RFLP分析(制限断片長多型):寄生虫ボナミア・オストレアのフラグメント、SSU rDNA特性を標的とする、カキ組織から抽出したDNAの負の対照により、コルシカ島系統は汚染されていないことが証明される。
−分子の原位置交配法(ISH):ボナミア・オストレア、フラグメント、SSU rDNAおよびマルテイリア・レフリンゲンス、フラグメントITS1のDNAの特定のプローブを、カキ組織の組織サンプルと接触させる。顕微鏡を使用する観察により行われた負の対照により、コルシカ島系統の組織内にB.オストレアおよびM.レフリンゲンスは存在しないことが証明される。そのような試験では、ディアナ湖からのヒラガキの野生の集団は、B.オストレアおよびM.レフリンゲンス・ボナミアと接触するが、この自然環境で、そのような寄生虫に感染していないことが示される。
これらの寄生虫の人工接種テストを行った。
−コルシカ島からのヒラガキを、ボナミア・オストレアにひどく汚染されたカキとともに、タンクに数ヶ月閉じ込めた。それらのカキは、病気を発症せず、本明細書の先に記載した検出テストにも陰性を示した。
−Mialheら(1988)の方法により単離した5×10匹の生きた寄生虫、ボナミア・オストレアを含有するろ過海水50μlを、コルシカ島からのカキの外とう腔に注射した。殻を開くように、予めカキを3.5%のMgCl−6HO溶液浴で麻酔した。
汚染量の接種液を外とう腔へ注射した後、カキを水の外に1時間置き、その後バブリングにより曝気した海水を満たした養殖タンクに戻した。1ヶ月の養殖後、死亡は観察されず、カキは、本明細書の先に記載したボナミア・オストレアの検出テストに対して陰性を示した。浴または外とう腔への注射による実験的感染のこの手法は、この寄生虫の直接水平伝播の不存在下で、マルテイリア・レフリンゲンスに対する抵抗性をテストするためには使用することができない。
そのような試験は、コルシカ島およびサルジニア、より詳しくは、ウルビーノのディアナ湖、ポルトベッキオ湾およびサンタマンザ湾、サルジニアの潟からの野生ヒラガキは、寄生虫、ボナミア・オストレア、ハプロスポラ(Haplosporides)ファミリの原生動物に対し、100%抵抗性であることを示す。そのような試験は、自生系統のヨーロッパ・ヒラガキは、原生動物に起因する病気によって撲滅されるであろうという科学的知識の現状に大きく矛盾し、このような間違った記載は、文献(MINICONI R.,2000,Les fruits de mer des cotes de Corse,Editions Alain Piazzola,P.90[9])中にあり、事実、その文献は、大西洋から輸入された抵抗性を有しないおよび/または感染した幼生カキのテスト養殖を記載している。
コルシカ島からのヒラガキで行われた全ての観察の照合確認により、二枚貝の細胞免疫(血球)および体液性免疫の一般的メカニズムを呼び起こす(ここで免疫系は、非適合性を残し、すなわち、いかなる免疫系記憶もない)、ハプロスポラ、原生動物、マルテイリア、寄生虫、日和見病原体、および外部の汚染物質に対する野生系統の抵抗性が示される。
地中海からのヒラガキの他の野生集団を、先のプロトコルに従ってテストし、寄生虫、ボナミア・オストレアおよびマルテイリア・レフリンゲンスに対して、全て抵抗性を示した。これは、コルシカ島、モロッコ(ナドルの潟)、チュニジア(ガベス湾)、ビリア(チュニジアとギリシャとの国境に近い潟)からの野生集団に関する。
(実施例2)
コルシカ島のディアナ湖からの抵抗性のヨーロッパ・ヒラガキ
野生のカキを、病原体、ボナミア・オストレアおよびマルテイリア・レフリンゲンスによって汚染された地域、ディアナ湖から採取し、養殖場で繁殖させた。野生のカキは、天然の場所から直接採集され、病原体に対して抵抗性を有する。
サンプルされた野生のカキは、直径が60mmより大きい第一養殖世代のものである。
サンプル採取を行い、塩分濃度が37‰、温度が13℃、pHが8.1の海水、容量が20Lで満たされたタンクにカキを入れ、養殖場に送った。輸送の前に、エポキシ接着剤付きのラベルを使用してサンプルされたカキに印をつけた。
(実施例3)
非抵抗性のカキ
この実施例では、天然採取から、サイズが60mmのブロン品質の未成熟カキ(「キブロン」系統、南ブルターニュ)を選んだ。本発明の方法を実施するために使用したカキは、病状を発現していないカキである。
(実施例4)
受精用のカキの成熟
実施例2および実施例3で交配されるカキのサンプル採取の後、これらを分離し、2匹ずつ組み合わせる、すなわち、感受性のカキと抵抗性のカキとを組み合わせる。それにより、20対の組が構成される。次いで、それらの組をそれぞれ容量が20リットルの20個の予め満たされたタンクに入れる。各タンクは、予め、塩分濃度が37‰の海水20リットルで満たされている。水のpHは8.1である。水の初期温度は13℃であり、2週間で20℃に上昇させる。各タンクで、20L/時間の空気流量でポンプシステムを使用して、水に酸素供給する。
成熟の間の水の供給は、閉じた水回路で行い、各タンクは独立している。水の物理化学的特性は、成熟の間一定に保たれる。
日照時間を9時間から15時間に増やし、水温を20〜30℃に達するように徐々に上昇させ、15〜90日間、カキの成熟を行う。
成熟期間の間、餌料供給は、養殖場またはSATMAR社の冷凍濃縮ペーストから得た、単細胞藻類株、イソクリシス・ガルバナ、スケレトネマ・コスタータム、パブロバ・ルテリ、イイートセラス・カリストランスを培地に添加することによって行った。餌料供給は、カキの採食が観察される限り、任意に1日3回行う。餌料供給は、有機物、より詳しくは稚魚を飼育しているプールの廃棄物から得た有機物の添加によって、一斉に行う。
成熟を、当業者に公知の方法を使用し、塩化マグネシウム(MgCl)を使用する麻酔浴中で、生殖腺の成熟度の段階を観察することによってチェックするGagnaire B.,2005,「Etude des effets de polluants sur les parametres hemocytaires de l’huitre creuse Crassostrea gigas−Interactions entre environnement,mecanismes de defense,et maladies infectieuses」、博士論文、La Rochelle University,412ページ[10]。
カキは、生殖腺の成熟が第三段階に達した時、配偶子の放出に関し、成熟している。
(実施例5)
配偶子放出の誘発および配偶子の受精
配偶子の放出の誘発を、実施例4により、成熟とされたカキで行う。
配偶子の放出の誘発を、実施例4と同じ条件下、同じ方法を使用し、同じカキの対に関し行う。
培地中に配偶子が分散することを避けるため、誘発の前に水の循環を止める。
配偶子の放出を、熱衝撃により誘発する。最低温度を23℃〜30℃の間、最高温度を30℃〜37℃の間とし、温度を交互に4℃〜7℃で上昇および下降させる。
雄が最初に放出し、これは雌カキによる雌性配偶子の放出を化学的に誘発する。
培地中に放出された精子は、雌によって選別される。受精は雌の外とう腔内で行われ、ここで、8〜10日間幼生を育て、その後それらを雌1匹あたり100万個の数で外に娩出する。
外とう腔内での幼生の抱卵のステップの間、水を再循環させる。幼生には植物プランクトン餌を与える。幼生の給餌のために使用した植物プランクトンは、養殖場の外に位置するタンク内の大量培養物から得られた、イソクリシス・ガルバナ、パブロバ・ルテリ、キートセラス・フォルマ・プミラムで構成され、必要であれば、SATMAR社から得た藻類の濃縮ペーストを加える。使用した植物プランクトンのサイズは、第一段階に幼生に関しては、20μm〜40μmの間、成体段階までの変態時は、50〜200μmである。タンク内部の餌料の循環、および食餌中、中断される水の循環を観察しながら、植物プランクトンの日量を任意に培地に加える。
(実施例6)
幼生の採取および固定
実施例5の培地に放出された幼生の採取は、スクリーンを使用して行う。幼生の採取および固定の条件は、実施例3と同じである。使用するスクリーンの目は、直径120μmである。スクリーンを使用することにより、培地中に存在する幼生の採取を可能にする。これらを、それらの親に応じて均質バッチにグループ分けする。グループ分けはタンク中で行い、そのタンクの底を250μm〜500μmの間のスクリーンで測定した微粉砕したカキおよびムール貝の貝殻で覆う。
タンクの容量は、2m〜5mの間である。タンクを、塩分濃度が37‰、pHが8.2、および温度が20〜25℃の水で満たす。閉じた循環中のタンクを、2m/時間〜5m/時間の間の空気流量でポンプを使って酸化させる。培養8〜10日後、幼生を発育支持体上に固定する。幼生の固定方法は、幼生を支持体上に固定させる従来からの方法、さらに詳しくは、IFREMERの技術雑誌、Ifremer,2007、2007年3月17日付けの養殖業者のデータベース「Les ecloseries:cas de l’huitre creuse」[11]およびHelm,M.M.,Bourne,N.,Lovatelli,A.,(comp./ed.)Ecloseries de bibalves,Un manuel pratique.FAO document technique sur les peches No.471.Rome,FAO.2006.184p.[12]に記載されている方法である。
(実施例7)
抵抗性および非抵抗性のカキ
以下の表に、本発明の方法のための、抵抗性および非抵抗性のカキの他の実施例を示す。
表1:抵抗性の地中海のヨーロッパ・ヒラガキ
表2:抵抗性の地中海のヨーロッパ・ヒラガキ
表3:非抵抗性の地中海のヨーロッパ・ヒラガキ
表4:非抵抗性のヨーロッパ・ヒラガキ
表5:他の非抵抗性のカキ
Figure 0005474787
Figure 0005474787
Figure 0005474787
Figure 0005474787
Figure 0005474787
(実施例8)
他の交配の実施例
以下の表に、本発明の範囲内の他の実施例を示す。本発明の交配を行うことにより、長い期間、国産カキの利用の拡大することを視野に入れた、病状に対する抵抗性を得ることが可能となり、この特性は、すでに、物理的、生物的、および商業的義務に見合うように選択されてきている。
表6:本発明の方法により抵抗性のカキを得る交雑の実施例
Figure 0005474787
Figure 0005474787
すでに記載したような、本発明の方法で得られた交配種は、ヒラガキの従来の生産法の必要性を満たし、そのような交配で必要とされる特定の特性を有する。交配種は、ボナミア症およびマルテイリア症に対する抵抗性を有する。さらに、それらは、日和見性病原体に対しても抵抗性を有する。交配種は、培地の変動、たとえば、潮による陸地出現または水没、温度、塩分濃度の差に対し、耐久性および寛容性を持つ。それらは、高い成長能力を有する。それらは、潮間帯、栄養および有機物が豊富な水中での養殖、沿岸の水を加熱する気候に起因する制約に適合する。最後に、交配種は、無酸素、乾燥および輸送の制約に対しても寛容性がある。
(実施例9)
コルシカ島の湖からの野生のカキと、モロッコのナドルの潟からのカキとの間の交配
コルシカ島の湖の野生のカキとナドルの潟のカキとを、本発明の方法により交雑させた。この場合、2種類の抵抗性カキの間での交雑である。ジブラルタル海峡に近いナドルでは、潟で2mに達し得る潮が発生し、モロッコカキの自然集団の仮の陸地出現が発生する。ディアナ湖のカキとナドルのカキとの交配により、致死的な病状に対して抵抗性を有するとともに大西洋の潮の制約に適合した重要な成長を示し、暖かい天候による温度の上昇に対して寛容性があり、かつ販売用の輸送の間の乾燥に対して抵抗性を有する交配種の作成が可能になる。
交配種幼生カキの生産を、養殖場で同時に生産されるナドルカキの生産と比べた。交配種は、変態後の月の間のモロッコの幼生カキの対照バッチの平均日成長より30%まで高い平均日成長を有する。さらに、国産交配種幼生カキの相対サイズは、非常に均質に見える対照バッチのものより、大きく均質である。次いで、交配のコントロールによって示される、雑種強勢効果(活発な交配種)は、高い畜産技術を持つ国産ヒラガキの製造の範囲内で確認される。
このようにして作成された国産交配種F1は、大西洋沿岸の養殖場におけるヒラガキ、「ブロン」の変性症の問題を解決する。
その結果、そのような本発明の方法による交配のため、得られた広い適合性は、ポルトガル、ガリシア、ブルターニュ、ノルマンディー、アイルランドおよびオランダにおけるヒラガキの従来の生産の必要を満たす。交配種は、ボナミア症およびマルテイリア症に対して抵抗性を有する。また、それらは、日和見病原体に対しても抵抗性を有する。交配種は、潮の差および培地の変化、たとえば、温度および塩分濃度に対して、耐久性および寛容性を有する。それらは、高い生育能を有する。また、それらは、潮間帯での養殖(干満帯での養殖)、栄養および有機物が豊富な水中での養殖(リアスの改良、カキピットの改良)、沿岸の水の加熱に起因する制約にも適合する。最後に、交配種は、無酸素、乾燥および輸送に関連する制約、コルシカ島からブルターニュの市場に小包を送る場合に認められた抵抗に対しても寛容性がある。
Figure 0005474787
Figure 0005474787

Claims (24)

  1. 病原体に対する抵抗性を有するカキを得る方法であって、前記病原体に対する抵抗性を有する地中海のヨーロッパ・ヒラガキと、反対の性別の非抵抗性のカキとの交配を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記病原体が、細菌、寄生虫およびウィルスから選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記非抵抗性のカキが、ヨーロッパ・ヒラガキ、オストレア・アンガシ、オストレア・コンチャフィーラ、オリンピアガキ、イタボガキ、オストレア・プエルカナ、ワニガキ、オストレア・ステンティナ、チリガキ、アメリカガキ、マングローブガキおよびカリブガキからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記病原体が、ボナミア症、マルテイリア症、ハプロスポリジウム症、小血球症、パーキンサス症およびイリボウィルス症(irivovirose)のうちの少なくとも1つの疾患に関与する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記病原体が、ボナミア症およびマルテイリア症の少なくともいずれか一方に関与する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記交配が、
    a)前記病原体に対する抵抗性を有する地中海のヨーロッパ・ヒラガキを供給するステップと、
    b)前記病原体に対して非抵抗性のカキであって、前記抵抗性を有するヨーロッパ・ヒラガキとは性別が反対であるカキを供給するステップと、
    c)交配を可能にする塩分濃度を有する水を含有するタンクに、前記カキを一緒に入れるステップと、
    )成熟に十分な給餌をともなう光周期の増加により、前記タンク中で前記カキを成熟させるステップと、
    e)前記カキに適用される誘発剤を使用して、雄性配偶子の放出を誘発するステップと、
    f)ステップe)で放出された前記雄性配偶子により、雌性配偶子を受精させるステップと、
    g)8〜10日間、幼生を培養するステップと、
    h)ステップg)で得られた前記幼生に植物プランクトンを供給して発眼した幼生を得るステップと、
    i)得られた発眼した幼生を採取するステップと、
    j)前記病原体に対する抵抗性を有する少なくとも1匹のカキを得るために、前記幼生を、発育支持体上に固定するステップと
    を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. ステップe)〜g)はインビトロで行われ、前記配偶子は、生殖腺の乱切によって得られる、請求項6に記載の方法。
  8. ステップe)〜g)はインビボで行われ、ステップf)の、ステップe)で放出された前記配偶子の受精は、雌のカキの外とう腔における配偶子の選別の後に行われ、かつステップg)の培養は、幼生の娩出がなされるように、雌のカキの外とう腔内で行われる、請求項6に記載の方法。
  9. 前記タンクは、水回路により連続的に給水され、かつ、ステップe)の実施のために前記水回路が閉じられる、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記水回路は独立している、請求項9に記載の方法。
  11. ステップd)の前記成熟は、20〜30℃の温度で行われる、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記タンクは、養殖タンクである、請求項6〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. ステップe)で定義された誘発手段は、熱衝撃および少なくとも1種のタンパク質の少なくともいずれか一方である、請求項6〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記熱衝撃は、温度を5〜55℃の値に連続的に下降および上昇させることによって行われる、請求項13に記載の方法。
  15. 前記給餌は、養殖場で成長した生きた単細胞藻類で構成される、請求項6〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記単細胞藻類は、イソクリシス・ガルバナ、スケレトネマ・コスタータム、パブロバ・ルテリ、キートセラス・カリストランス、テトラセルミス属からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
  17. ステップi)は、幼生の娩出から、8〜10日後に行われる、請求項6〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. ステップi)の前記発育支持体は、250〜500μmの、微粉砕貝殻およびふるいにかけられた物質の少なくともいずれか一方である、請求項6〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記抵抗性のヨーロッパ・ヒラガキは、交配に適切なレベルの炭水化物貯蔵物質を有する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記地中海の抵抗性のヨーロッパ・ヒラガキは、最初の養殖世代のものであり、かつ直径が60mmより大きい、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記抵抗性のヨーロッパ・ヒラガキおよび前記非抵抗性のカキは、性的潜伏期の期間後に選択される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記交配は、一生殖期にのみ行われる、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記非抵抗性のカキは、大西洋、太平洋またはインド洋からのカキの系統である、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法により得られるカキ。
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