図1は本発明の多灯ストロボシステムの一例を示す構成図である。
このシステムは、撮影レンズ110とカメラ(カメラ本体)100より成る撮像装置150、ストロボ装置200、撮影レンズ310とカメラ(カメラ本体)300より成る撮像装置350、ストロボ装置400、および、スレーブストロボ装置500,501により構成される。なお、撮像装置150に装着されるストロボ装置200を第1マスターストロボ装置と呼び、撮像装置350に装着されるストロボ装置400を第2マスターストロボ装置と呼ぶ。なお、600は被写体、700は背景である。
図2は、図1に示す撮像装置150、詳しくは、カメラ100および撮影レンズ110の概略構成を示すブロック図である。なお、撮像装置350、つまりカメラ300および撮影レンズ310の概略構成も同様である。
まず、カメラ100の電気的構成について説明する。
カメラマイコン101には、シャッタ制御回路102、測光センサ103、焦点検出回路104、モータ制御回路105、液晶表示回路106、および、スイッチSW1、スイッチSW2、その他のスイッチ類が接続される。また、撮影レンズ110がカメラ100に装着されると、カメラマイコン101は、接点L0〜L6より成るマウント接点群130を介して撮影レンズ110内に配置されたレンズマイコン111と接続される。そして、これらの間で相互に信号伝達が行われる。また、第1マスターストロボ装置200がカメラ100に装着されると、カメラマイコン101は、接点S0〜S5より成るストロボ接点群140を介して第1マスターストロボ装置200内に配置されるストロボマイコン(後述)と接続される。そして、これらの間で相互に信号伝達が行われる。
上記焦点検出回路104は、カメラマイコン101からの信号に従って不図示の焦点検出用ラインセンサの蓄積制御と読み出し制御を行い、それぞれの画素情報をカメラマイコン101に出力する。カメラマイコン101はこの情報をA/D変換し、位相差検出方式により焦点検出を行う。そして、カメラマイコン101は、レンズマイコン111と信号のやりとりを行うことによって、撮影レンズ110の焦点調節を行う。なお、焦点検出方式は、上記の位相差検出方式に限るものでは無く、公知の方式を用いればよいことは言うまでもない。
上記測光センサ103は、被写体に向けてストロボ光を予備発光していない定常状態と予備発光している状態の双方の状態で輝度信号を測定してカメラマイコン101に出力する。カメラマイコン101はこの輝度信号が入力されるとA/D変換し、撮影の露出調節のための絞り値およびシャッタ速度の演算と、露光時のストロボ発光量の演算を行う。
上記シャッタ制御回路104は、カメラマイコン101からの信号に従ってシャッタ先幕駆動用のマグネットMG−1およびシャッタ後幕駆動用のマグネットMG−2の通電制御を行い、先幕および後幕を走行させ、露出動作を行う。上記モータ制御回路105は、カメラマイコン101からの信号に従ってモータMを制御することにより、主ミラーのアップダウンおよびシャッタチャージなどを行う。
上記スイッチSW1は不図示のレリーズボタンの第1ストローク(半押し)でオンするスイッチであり、オンすることによりカメラマイコン101は測光、AF(自動焦点調節)が開始させる。上記スイッチSW2はレリーズボタンの第2ストローク(全押し)でオンするスイッチであり、オンすることによりカメラマイコン101はシャッタ制御回路102を介してシャッタ先幕、後幕の走行制御、すなわち露光制御を行う。その他のスイッチ類としては、単写/連写設定スイッチ、絞り設定スイッチ、シャッタ速度設定スイッチなどがあり、カメラマイコン101はこれらの状態信号を読み取り、そのスイッチに応じた制御を行う。
上記液晶表示回路106は、カメラマイコン101からの信号に従ってファインダ内表示器107および外部表示器108を駆動制御し、各々の設定状態等を表示させる。
次に、撮影レンズ110内の電気的構成について説明する。
カメラ100と撮影レンズ110とは、上述したようにレンズマウント接点群130を介して相互に電気的に接続される。このレンズマウント接点群130は、上記したように、接点L0〜L6より構成される。接点L0は、撮影レンズ110内のフォーカス駆動モータ115および絞り駆動モータ116の電源用接点である。接点L1は、レンズマイコン111の電源用接点である。接点L2は、シリアルデータ通信を行うためのクロック用接点である。接点L3は、カメラ100から撮影レンズ110へのデータ送信用接点である。接点L4は、撮影レンズ110からカメラ100へのデータ送信用接点である。接点L5は、モータ用電源に対するモータ用グランド接点である。また、接点L6は、レンズマイコン111用電源に対するグランド接点である。
レンズマイコン111は、上記レンズマウント接点130を介してカメラマイコン101と接続され、カメラマイコン101からの信号に応じてフォーカス駆動モータ115および絞りモータ116を動作させ、撮影レンズ110の焦点調節と絞りを制御する。
図3は、本実施例に係わる第1マスターストロボ装置200の回路構成を示す図である。なお、この図3の構成は、第2マスターストロボ装置400およびスレーブストロボ装置500,501も同様の回路構成となっている。
図3において、201は電源電池、202はDC/DCコンバータであり、電池電圧を数100Vに昇圧する。203は発光エネルギーを蓄積するメインコンデンサである。204,205は抵抗であり、メインコンデンサ203の充電電圧を所定比に分圧する。206は発光電流を制限するためのコイル、207は発光停止時に発生する逆起電圧を吸収するためのダイオードである。209はトリガ発生回路、210はIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などの発光制御回路である。
211はデータセレクタであり、入力端子Y0,Y1からの2種類の入力信号の組み合わせにより、端子D0,D1,D2からの入力のいずれかを選択して端子Yに出力する。212はフラット発光の発光レベル制御用のコンパレータ、213はストロボ(閃光)発光時の発光量制御用のコンパレータである。214は第2受光素子217に流れる微小電流を増幅すると共に光電流を電圧に変換する測光回路である。215は第1受光素子218に流れる光電流を対数圧縮するとともにキセノン管216発光量を圧縮積分するための積分測光回路である。
219は第1マスターストロボ装置200全体の動作を制御するストロボマイコン、232は第1マスターストロボ装置200の電源のオンオフを切り換えるための電源スイッチである。
上記ストロボマイコン219は以下の各端子を具備している。CNTはDC/DCコンバータ202の充電を制御する制御出力端子、AD1は充電電圧を読み込むためのA/D変換入力端子、AD2はバッテリレベルを読み込むためのA/D変換入力端子である。COM2は電源スイッチ232のグラウンド電位に相当する制御出力端子、OFFは第1マスターストロボ装置200が電源オフ時に選択される入力端子である。ONは第1マスターストロボ装置200が電源オン時に選択される入力端子、CLKはカメラ100とシリアル通信を行うための同期クロックの入力端子である。DOは同期クロックに同期して第1マスターストロボ装置200からカメラ100にシリアルデータを転送するためのシリアルデータ出力端子である。DIは同期クロックに同期してカメラ100から第1マスターストロボ装置200にシリアルデータを受け取るためのシリアルデータ入力端子である。CHGは第1マスターストロボ装置200からカメラ100にキセノン管の発光可否を伝達するための出力端子、Xはカメラ100からの閃光発光指令が入力される入力端子である。INTは積分測光回路215の積分制御出力端子、AD0は積分測光回路215から発光量を示す積分電圧を読み込むためのA/D変換入力端子、DA0はコンパレータ212,213のコンパレート電圧を出力するためのD/A出力端子である。Y0,Y1は前述のデータセレクタ211に接続される出力端子、TRIGは発光トリガ信号の出力端子である。AD3はA/D入力端子、DIR,MTは後述のズーム制御回路220と接続される端子である。COM1,MASTER,SLAVEは後述のスイッチ242と接続される端子、CS,SCLK,Tx,Rxは後述の送受信回路240に接続される端子である。
220は照射角を調整するためのズーム制御回路である。前述の撮影レンズ110の焦点調節が行われると、ストロボマイコン219は第1マスターストロボ装置200のシリアルデータ入力端子DIを介してその信号を受け取り、端子DIRから出力される信号でWIDE方向またはTELE方向に駆動するかを決定する。そして、端子MTを介してズーム制御回路220を駆動し、焦点距離に対応した照射角の調整を行わせる。
221は発光部であり、フレネルレンズにより光の拡散を行う。また、発光部221の温度を検出するための不図示の温度計が搭載されており、A/D入力端子AD3から読み込んでA/D変換し、温度をディジタル値として読み取ることができる。
ここで、ストロボ発光時について説明する。
ストロボマイコン219は、カメラ100より指示された所定発光レベル、または、第1マスターストロボ装置200の不図示の設定部材を用いてユーザーにより設定された所定発光レベルに応じて端子DA0に所定の電圧(コンパレート電圧)を設定する。次に、ストロボマイコン219は、端子Y0,Y1に1,0を出力し、データセレクタ211に入力端子D2を選択させる。このとき、キセノン管216は未だ発光していないので、第2受光素子217の光電流はほとんど流れていないため、コンパレータ212の反転入力端子に入力される測光回路214の出力は発生しない。一方、コンパレータ212の出力はHiであるので、発光制御回路210は導通状態となる。
次に、ストロボマイコン219は、出力端子TRIGより発光トリガ信号を出力する。すると、トリガ発生回路209は高圧を発生したキセノン管216を励起し、ストロボ発光が開始される。一方、ストロボマイコン219は、積分測光回路215に積分開始を指示する。これにより、積分測光回路215は第1受光素子218の対数圧縮された光電出力の積分を開始すると同時に、発光時間をカウントするタイマ(不図示)を起動させる。
ストロボ発光が開始されると、発光レベル制御用の第2受光素子217からの光電流が多くなり、測光回路214の出力が上昇する。そして、測光回路214の出力がコンパレータ212の非反転入力に設定されている所定のコンパレート電圧より高くなると、コンパレータ212の出力はLoに反転し、発光制御回路210がキセノン管216の発光電流を遮断する。これにより、放電ループが断たれるが、ダイオード208およびコイル206により環流ループを形成し、発光電流は回路の遅れによるオーバーシュートが収まった後、徐々に減少する。
発光電流の減少に伴い、発光レベルが低下するので、第2受光素子217の光電流は減少し、測光回路214の出力も低下する。そして、所定のコンパレート電圧以下に低下すると、再びコンパレータ212の出力がHiに反転し、発光制御回路210が再度導通してキセノン管216の放電ループが形成され、発光電流が増加して発光レベルも増加する。
このように、端子DA0に設定された所定のコンパレート電圧を中心に、コンパレータ212は短い周期で発光レベルの増加減少を繰り返し、結果的には、所望するほぼ一定の発光レベルでストロボ発光を継続させるフラット発光制御が行われる。
前述したタイマのカウントにより所定の発光時間が経過すると、ストロボマイコン219は、データセレクタ211の端子Y0,Y1に0,0を出力する。これにより、データセレクタ211の入力は端子D0が選択、すなわちLoレベル入力が選択され、出力は強制的にLoレベルとなり、発光制御回路210はキセノン管216の放電ループを遮断する。これにより、ストロボ発光が終了する。
また、ストロボ発光終了時に、ストロボマイコン219は、発光量を積分した積分測光回路215の出力をA/D入力端子AD0から読み込んでA/D変換し、積分値、すなわち発光時の発光量をディジタル値として読み取ることができる。
242はストロボ装置のワイヤレス動作状態を設定するワイヤレスセレクタースイッチであり、当該ストロボ装置を、マスターストロボ装置もしくはスレーブストロボ装置のいずれかを選択するためのスイッチである。ワイヤレスセレクタースイッチ242によりマスター側が選択されることにより、ストロボマイコン219の端子MASTERが選択され、スレーブ側が選択されることにより、ストロボマイコン219の端子SLAVEが選択される。
240は、ストロボ装置をワイヤレスストロボ装置として使用する場合に、ストロボマイコン219で作成された制御指令を送受信する時に使用する送受信回路である。ストロボマイコン219の端子CSは、送受信回路240を使用するときに、該送受信回路240に対して信号を出力する端子であり、SCLKは送受信回路240とのデータ通信の同期をとるためのクロック信号端子であり。Txは送受信回路240に対して送信データを出力する端子である。一方、端子Rxは送受信回路240からのデータを受信する入力端子である。243は送受信回路240からの送信データを無線上に転送する、または、無線上からの受信データを受信するためのアンテナである。
244は送受信回路240からの受信データを一次的に保存するための主記憶部である。245は設定項目選択部であり、ストロボ装置の基準光量比や光量比変化量、多灯ストロボシステムではスレーブストロボ装置の発光比率などの設定項目を選択するものである。246は設定量選択部であり、ストロボ装置の基準光量比や光量比変化量、多灯ストロボシステムではスレーブストロボ装置の発光比率などの設定量の選択を行うものである。247はストロボ装置の発光モードを設定する発光モード選択部である。上記の各選択部は、ダイヤルボタンでも良いし、プッシュボタンでも良い。
次に、本実施例に係るワイヤレスストロボシステムの動作について、図4ないし図7を用いて説明する。なお、図4は第1マスターストロボ装置200での動作を、図5はスレーブストロボ装置500,501での動作を、図6は第2マスターストロボ装置400での動作を、それぞれ示すフローチャートである。
ユーザーにより第1マスターストロボ装置200のスイッチ232がONされると、ストロボマイコン219は当該第1マスターストロボ装置200の電源を投入する(S401)。次に、スイッチ242によりマスター(MASTER)側が選択されると、当該ストロボ装置を第1マスターストロボ装置200として使用する設定を行い(S402)、続いて通信を行うチャンネルの設定を行う(S403)。無線通信の設定が終了すると、図1に示すスレーブストロボ装置500,501との接続処理を行う(S404)。
一方、スレーブストロボ装置500,501のストロボマイコン219は、自己のスイッチ232がユーザーによりONに設定されることで電源を投入する(S501)。そして、スイッチ242によりスレーブ(SLAVE)側が選択されることでスレーブストロボ装置500,501として機能するようにする(S502)。次に、第1マスターストロボ装置200と通信を行うため、第1マスターストロボ装置200で選択されたチャネルと同じチャネルを選択し(S503)、第1マスターストロボ装置200との接続動作を行う(S504)。なお、チャネルを知る方法としては、マスター(第1マスターストロボ装置200)が送信するビーコン情報に含まれている情報を受信して利用する。又は、マスターがブロードキャストで送信するパケットにチャネル情報を含んでおり、スレーブ(スレーブストロボ装置500,501)は、そのパケットを受信して利用することが考えられる。スレーブ側は、上記方法で取得したマスターのチャネル情報をカメラの液晶表示部に表示する、又は、ストロボ装置自体に表示部があれば、その表示部に表示することが考えられる。また、上記ステップS404,S504の接続処理は、上記方法でマスターのチャネルを設定したスレーブから、接続要求をマスターに対して送信する。マスターは、接続機器の上限を超えていない、又は許可しているスレーブであることが分かれば、接続許可をスレーブに対して返信する。
上記接続動作(S404,S504)により第1マスターストロボ装置200とスレーブストロボ装置500,501との接続が成功した(S405,505のYES)とする。すると、第1マスターストロボ装置200のストロボマイコン219は、ストロボ接点群140を介してカメラ100の電源が投入されているか否かを確認する(S406)。カメラ100の電源が投入されていれば、ストロボ接点140を介してカメラマイコン101と通信を行い(S407)、撮像装置150のカメラ情報を取得し(S408)、主記憶部244に記憶する。この時、取得するカメラ情報は、図7(b)の800に示すような情報である。つまり、スレーブストロボ装置の発光量比率、自己の発光量、カメラ100の設定値(Av、Tv、ISO感度)やカメラ100に装着されている撮影レンズ110の情報、及びカメラ100の機種情報である。なお、従来、ストロボ装置をグループ毎にまとめて、それぞれのグループに対して、発光量を異なる設定にし、且つグループ毎に発光タイミングを変更できるワイヤレス多灯システムがある。図7(b)にあるグループA、B、Cはその技術を考慮してグループ分けされたものである。
次に、第1マスターストロボ装置200のストロボマイコン219は、取得したカメラ情報に変更があったか否かを確認し(S409)、変更があった場合は、すぐさま取得したカメラ情報をスレーブストロボ装置500,501に通知する(S411)。また、カメラ情報に変更がない場合は(S409のNO)、以前にカメラ情報をスレーブストロボ装置500,501に転送しているか否かを確認し(S410)、既に転送している場合はステップS410からステップS412へ進む。未だ転送していない場合は(S410のNO)、すぐさま取得したカメラ情報をスレーブストロボ装置500,501に通知する(S411)。
一方、スレーブストロボ装置500,501では、第1マスターストロボ装置200との接続が成功すると(S505のYES)、第1マスターストロボ装置200から転送される接続データ(図7(a)に示すデータ700)を受信する。そして、この識別ID番号を第1マスターストロボ装置200の識別ID番号としてスレーブストロボ装置500,501の主記憶部244に記憶する(S506)。
次に、スレーブストロボ装置500,501では、マスターストロボ装置が切り換わったか否かを判定するが(S530)、起動時は主記憶部244に比較するマスターストロボ装置の識別ID番号が記憶されていない。そのため、起動時にはマスターストロボ装置が切り換わっていないと判定し(S530のNO)、無線によるデータの受信を所定時間、待ち続ける(S507→S508→S507……)。ここで、所定時間、受信データが発生しない(受信データがない)場合にはタイムアウトし(S508のYES)、スレーブストロボ装置500,501の電源を自動的に遮断する(S509)。この時のタイムアウトする所定時間は、ストロボ装置の設定項目選択部245や設定量選択部246により、ダイヤル、又はボタンといった操作部を用いて、ユーザーが自由に設定できるものとする。
一方、受信データがある場合(S507のYES)、スレーブストロボ装置500,501は、送受信回路240を介してデータを受信し(S510)、このデータがスレーブストロボ装置宛てのデータかどうかを判定する(S510→S511)。その結果、スレーブストロボ装置宛てのデータでなければ(S511のNO)、受信データを破棄し(S512)、ステップS507に戻り、再度受信データが発生するのを待ち続ける。
また、自己宛ての受信データであれば(S511のYES)、受信データの解析を行う(S513)。そして、受信データを解析することにより、受信データがストロボ発光命令であるか否かを判定する(S514)。ここで、ストロボ発光命令でない場合はカメラ情報の通知であるとしてそのデータの解析が可能か否かを判定し(S515)、解析不可能なデータであれば、データエラー(S516)として何も処理を行わず、ステップS507の受信状態に戻る。一方、カメラ情報の通知として解析可能であった場合は、主記憶部244に記憶してから(S517)、ステップS507の受信状態に戻る。
ここで、第1マスターストロボ装置200よりストロボ発光命令を通知した場合の、当該第1マスターストロボ装置200とスレーブストロボ装置500,501での動作を説明する。
ストロボ発光命令であり、第1マスターストロボ装置200にてE−TTLモード(撮影前に露出をあわせるために、事前発光を行うモード)が選択されているとする。この場合(S412のYES)は、第1マスターストロボ装置200のストロボマイコン219はレリーズボタンの第1ストローク(半押し)がなされるのを待機する(S413)。そして、第1ストロークがなされると、スレーブストロボ装置500,501へプリ発光命令を転送する。スレーブストロボ装置500,501では、転送されて来るプリ発光命令に従い、プリ発光を行う(S514→S520)。すると、第1マスターストロボ装置200のストロボマイコン219は、そのプリ発光をもとに最適な露出演算を行い、レリーズボタンの第2ストローク(全押し)がなされるのを待機する(S417)。
その後、レリーズボタンの第2ストロークがなされると、第1マスターストロボ装置200のストロボマイコン219は、スレーブストロボ装置500,501へストロボ発光命令を転送する(S418)。スレーブストロボ装置500,501では、転送されて来る発光命令に従い、指定モードで本発光を行い(S520)、発光モードをスレーブストロボ装置500,501の外部表示部108に表示する。そして、ストロボ充電動作を行い(S522)、ストロボ充電が完了するとステップS507へ戻る。なお、ステップS520の指定モードとは、マルチ発光や後幕シンクロなどのうちから指定された発光モードを意味する。またこの際、マスターストロボ装置自体も発光して構わない。その場合は、プリ発光時にマスターストロボ装置も発光し、その発光量をスレーブストロボ装置は計算に入れることになる。
その後、撮影を続けていくに当たり、撮像装置150、もしくは第1マスターストロボ装置200の設定値に変更が発生するとする(S409)。すると、第1マスターストロボ装置200は、変更されたカメラ情報を再度、スレーブストロボ装置500,501に対して転送する処理を行う(S411)。
次に、上記ワイヤレス多灯ストロボシステムにおいて、スレーブストロボ装置500,501は同一のまま、撮像装置150と第1マスターストロボ装置200が、異なる撮像装置350と第2マスターストロボ装置400に置き換わった場合について説明を行う。図6は前述したように第2マスターストロボ装置400での動作を示すフローチャートであるが、第1マスターストロボ装置200と同じ動作を行う部分は図4と同一のステップ番号を付し、その説明は省略する。
上記までの説明で、第1マスターストロボ装置200から転送された撮像装置150のカメラ情報は、スレーブストロボ装置500,501内の主記憶部244に記憶されている。ここで、撮影で使用する構成が、第1マスターストロボ装置200と撮像装置150の組み合わせから、第2マスターストロボ装置400と撮像装置350の組み合わせに切り換えられたとする。
この時、第2マスターストロボ装置400は、図6において、図4にて前述したステップS401〜S406と同様の処理を行い、スレーブストロボ装置500,501に接続処理を行う。そして、スレーブストロボ装置500,501と接続可能状態になれば、撮像装置350とカメラ通信を行い(S407)、撮像装置350のカメラ情報を取得し(S408)、このカメラ情報を主記憶部244に記憶する。
一方、スレーブストロボ装置500,501では、第2マスターストロボ装置400との接続処理が行われると、第2マスターストロボ装置400より転送される接続データ(図7(a)参照)を受信する。そして、第2マスターストロボ装置400の識別ID番号を主記憶部244に記憶する(S506)。そして、既に記憶されている第1マスターストロボ装置200の識別番号との比較を行う(S530)。ここでは接続された第2マスターストロボ装置400が、今まで接続されていた第1マスターストロボ装置200と異なると判定する(S530のYES)。すると、既に記憶部244に記憶されている、今まで接続されていた第1マスターストロボ装置200から取得した撮像装置150のカメラ情報を、新たに接続された第2マスターストロボ装置400に対して制御指令の信号として転送する(S531)。
この場合、第1マスターストロボ装置200から取得した撮像装置150のカメラ情報を転送するスレーブストロボ装置としては、スレーブストロボ装置500,501のどちらでもよいものとする。また、第1マスターストロボ装置200によって、撮像装置150のカメラ情報を転送するスレーブストロボ装置をいずれかに決定しても良い。
第2マスターストロボ装置400は、スレーブストロボ装置500,501から転送されて来る撮像装置150のカメラ情報を受信すると(S601)、まず自己宛てのデータかどうかを判定する(S602)。自己宛てのデータでなければ破棄する(S603)。一方、自己宛てのデータであれば、受信データの解析を行い(S604)、受信データを解析した結果から、自己の発光量を決定する(S605→S606)。
なお、第2マスターストロボ装置400を撮像装置350に装着した上で、第2マスターストロボ装置400がスレーブストロボ装置500,501との接続を完了する。すると、スレーブストロボ装置500,501は、接続したマスターストロボ装置が以前と異なることを検出して、パケットを第2マスターストロボ装置400に対して送る。そのパケットを受信すると、第2マスターストロボ装置400は、発光量を第1マスターストロボ装置200と同程度になるように調整する。上記図4の動作か図6の動作かを行うかは、ステップS530でスレーブストロボ装置500,501が、第2マスターストロボ装置400に切り換わったかどうかを検出した時に、パケットを送ることがトリガーになる。
上記発光量の決定方法は、撮像装置150と撮像装置350が異なる設定、機種である場合に行う。例えば、図1に示すスレーブストロボ装置500,501の発光量比率が9:1に設定されている。また、撮像装置150の設定値が、TV=1/100秒、AV=6.3、ISO感度=100であり、第1マスターストロボ装置200の発光量が1/1のフル発光の設定である。一方、撮像装置150から切り換えられた撮像装置350の設定値が、TV=1/100秒、AV=5.6、ISO感度=100という設定であるとする。
上記の例では、撮像装置150と撮像装置350では、単純に1段分、撮像装置350の方が明るい画像を撮影できることになる。この設定において、スレーブストロボ装置500,501の発光量比率のまま、第1マスターストロボ装置200と同じ発光量で第2マスターストロボ装置400が発光してしまうと、ユーザーが意図した露出の画像を撮影できない。
そのため、撮像装置150と撮像装置350が異なる設定、機種である場合には、第2マスターストロボ装置400が、第1マスターストロボ装置200により設定されたスレーブストロボ装置500,501の発光量比率を維持するように、発光量を調整する。この例では、第1マスターストロボ装置200の発光量が1/1となっているので、第2マスターストロボ装置400の発光量を自動的に1段分落とし、1/2とする。
そうすることにより、撮影で使用されるカメラ−ストロボ装置の組み合わせが切り換えられたとしても、第1マスターストロボ装置200、撮像装置150によって設定されたスレーブストロボ装置500,501の発光比率を自動的に維持することが可能となる。よって、第2マスターストロボ装置400、撮像装置350の組み合わせにて、撮影を続けることが可能となる。
従来のワイヤレス多灯ストロボシステムにおいては、撮像装置とマスターストロボ装置が異なるものに置き換わった場合、ユーザーによってスレーブストロボ装置の発光量比率を再設定する必要があった。しかし、上記実施例の構成にする事により、同一のワイヤレス多灯ストロボシステムを使用する限り、使用するカメラ及びマスターストロボ装置を異なるものに置き換えた場合でも、スレーブストロボ装置の発光量比率の再設定を行う必要がない。よって、従来のように、ユーザーの手を煩わすことなく、ユーザーはストレス無く撮影を続けることが可能になる。
本実施例では、スレーブストロボ装置を介して、第1マスターストロボ装置からのカメラ情報を第2マスターストロボ装置へ転送する形態について説明を行ってきた。本実施例の別形態として、スレーブストロボ装置の代わりに、第1マスターストロボ装置が、第2マスターストロボ装置の識別ID番号を受信する。そして、第2マスターストロボ装置が異なるマスターストロボ装置が存在すると判定した場合に、第1マスターストロボ装置のカメラ情報を第2マスターストロボ装置に転送する形態をとっても本発明を実施することは可能である。つまり、本実施例で説明してきたスレーブストロボ装置と同様の動作を第1マスターストロボ装置が行うということである。この時、第1マスターストロボ装置から当該第1マスターストロボ装置が装着される撮像装置のカメラ情報を送る方法は、自動でも良いし、第1マスターストロボ装置にあるボタンを押す、または、ダイヤルを回す行為で代用しても良い。
また、第1マスターストロボ装置を介して、当該第1マスターストロボ装置が装着されるカメラの表示部に第2マスターストロボ装置の存在を通知する。そして、このカメラからのボタンを押す行為、もしくはダイヤルを回す行為により、第1マスターストロボ装置からカメラ情報を第2マスターストロボ装置に対して通知する形態をとってもよい。
また、本実施例では、マスターストロボ装置内部に送受信回路がある構成で説明を行ったが、カメラ内部に送受信回路を備えた形態でも、本発明を実施することは可能である。
図1に示されるストロボ装置200,400は、マスターストロボ装置として使用可能であり、マスターストロボ装置としての使用に際してはスレーブストロボ装置500,501に対してワイヤレス通信によりスレーブ制御を行うストロボ装置である。第2マスターストロボ装置400は、他のマスターストロボ装置(第1マスターストロボ装置200)のスレーブストロボ装置となっていたものを自己のスレーブストロボ装置として用いる。そして、他のマスターストロボ装置に代わってスレーブストロボ装置に対してスレーブ制御を行う。その際に、ストロボマイコン219(情報取得手段)は、他のマスターストロボ装置がスレーブストロボ装置に対して設定していたストロボ撮影情報(図7(b)のカメラ情報)を取得する。ストロボマイコン219(発光量調整手段)は、取得した他のマスターストロボ装置のストロボ撮影情報に基づいて、自己のストロボ発光量を調整する。
ストロボマイコン219(情報取得手段)は、スレーブストロボ装置からストロボ撮影情報を取得するか、他のマスターストロボ装置からストロボ撮影情報を取得する。
マスターストロボ装置は、自己に固有の識別符号を有し、送信された識別符号に応答するスレーブストロボ装置からストロボ撮影情報を取得するか、送信された識別符号に応答する他のマスターストロボ装置からストロボ撮影情報を取得する。
図1の多灯ストロボシステムは、複数の撮像装置にそれぞれ装着される複数のマスターストロボ装置(第1、第2マスターストロボ装置200,400)と、少なくとも1つ以上のスレーブストロボ装置(スレーブストロボ装置500,501)とを有する。そして、複数のマスターストロボ装置のうち、任意の1台のマスターストロボ装置がワイヤレス通信によりスレーブストロボ装置をスレーブ制御し、発光させるものである。このようなシステムにおいて、マスターストロボ装置の切り換えが行われたとする。すると、切り換え前の第1のマスターストロボ装置がスレーブストロボ装置に対して設定していたストロボ撮影情報(図7(b)に示すカメラ情報)を、切り換え後の第2のマスターストロボ装置が取得する。そして、第2のマスターストロボ装置は取得したストロボ撮影情報に基づいて、自己のストロボ発光量を調整する。
なお、マスターストロボ装置の切り換えが行われたとする。すると、スレーブストロボ装置、もしくは、第1のマスターストロボ装置が、切り換え前の第1のマスターストロボ装置がスレーブストロボ装置に対して設定していたストロボ撮影情報を、切り換え後の第2のマスターストロボ装置へ送信する。
上記マスターストロボ装置は、それぞれ固有の識別符号(識別ID番号)を有し、マスターストロボ装置の切り換え時にこの識別符号をスレーブストロボ装置へ送信するものである。また、上記スレーブストロボ装置は、受信した識別符号の異同によりマスターストロボ装置の切り換えを判断する。
上記の構成とすることにより、多灯ストロボシステムにて使用するマスターストロボ装置が切り換えられたとしても、ユーザーの操作(テスト発光操作)を必要とすることなく、同じ露出で撮影を継続することが可能なシステムとすることができる。別言すれば、スレーブストロボ装置の発光比を一度設定しさえすれば、以後、撮影に使用する撮像装置とマスターストロボ装置を変更したとしても、ストロボ発光比を再設定する必要はなく、同じ露出を維持した状態で撮影を続けることが可能となる。