JP5470887B2 - 水質改質システム - Google Patents

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Description

本発明は、ボイラなどの機器に供給するための給水の水質を膜濾過装置を用いて改質する水質改質システムに関する。
被処理水中の不純物を除去して機器へ供給する互いに並列接続された複数の逆浸透膜部と、前記各逆浸透膜部毎に設けられ被処理水を前記逆浸透膜部へ供給するポンプと、前記各ポンプの回転数を制御する制御手段とを備える水質改質システムは、特許文献1(図3参照)および特許文献2(図1参照)にて公知である。
この水質改質システムは、前記各ポンプが駆動と停止とを行うのみで、回転数を制御するものではない。したがって、前記各逆浸透膜部毎の処理水の水質変化を考慮した制御を行えないものであった。
特開平6−15270号公報 特開2005−279462号公報
この発明は、各逆浸透膜部毎の処理水の水質を安定化したり、システムの省エネを実現する水質改質システムを提供することを課題とする。
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、被処理水中の不純物を除去して処理水を機器へ供給する互いに並列接続された複数の逆浸透膜部と、前記各逆浸透膜部毎に設けられ被処理水を前記各逆浸透膜部へ供給する回転数制御可能なポンプと、前記各ポンプの回転数を個別に制御する制御手段とを備える水質改質システムであって、前記各逆浸透膜部の処理水水質の変化要因の値を検出するものであって、水温を検出する水温検出手段および前記各逆浸透膜部の基準水温かつ基準定格流量における基準イオン透過率を検出する膜性能検出手段を含む要因値検出手段と、処理水に対する前記機器の要求水質を判定する要求水質判定手段と、前記各逆浸透膜部の処理水の流量を検出する流量検出手段と、前記各逆浸透膜部の処理水流量および水温をパラメータとする処理水水質の水質特性テーブル、並びに基準水温かつ基準定格流量における初期基準イオン透過率を予め記憶した記憶手段とを備え、前記制御手段は、前記膜性能検出手段による検出基準イオン透過率の値を前記初期基準イオン透過率の値で除して劣化補正係数を求め、この劣化補正係数を前記水質特性テーブルの処理水水質の値に乗じて、前記各水質特性テーブルを補正する第一ステップと、前記水温検出手段による水温および前記要求水質判定手段による要求水質に基づき、前記各逆浸透膜部毎に補正された前記各水質特性テーブルから前記要求水質を満たす処理水水質が得られる所定流量を演算する第二ステップと、前記流量検出手段の検出流量が前記所定流量となるように前記ポンプの回転数を制御する第三ステップとを行うことを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、前記各逆浸透膜部に係る補正された前記水質特性テーブルから前記要求水質を満たし、かつ省エネを実現できる前記所定流量を簡易に演算できる。その結果、水温等の変化に拘わらず、処理水の水質を維持しつつポンプの消費電力を低減し、省エネを簡易に実現することができる。また、処理水水質を検出してフィードバック制御するものは、応答性においてハンチングする可能性があるが、請求項に記載の発明よれば、前記所定流量となるように前記ポンプの回転数を制御するので、処理水水質を検出して所定の処理水質となるように制御するものと比較して、安定した水質、流量制御を行うことができるという効果を奏する。
請求項に記載の発明は、請求項において、前記所定流量が前記要求水質を満たす最小流量であることを特徴としている。
請求項に記載の発明によれば、請求項に記載の発明による効果に加えて、前記所定流量を最小流量とすることで、最大の省エネを実現することができるという効果を奏する。
請求項に記載の発明は、請求項において、前記制御手段は、前記第三ステップにおいて、前記各逆浸透膜部に対する要求処理水流量の合計である総要求処理水流量が前記各逆浸透膜部の所定流量の合計を超えるとき、前記各逆浸透膜部のポンプの回転数を上昇させることで、総要求処理水流量となるように制御することを特徴としている。
請求項に記載の発明によれば、請求項に記載の発明による効果に加えて、総要求処理水流量が前記最小流量を超えるとき、前記総要求水流量および前記要求水質をともに満たすことができるという効果を奏する。
この発明によれば、前記各ポンプの回転数を制御することにより、前記水質特性の変化に拘わらず前記各逆浸透膜部の処理水の水質を調整して水質を均一化できたり、前記ポンプの回転数を調整することでシステム全体の省エネを実現できる。
本発明を実施した水質改質システムの実施例1の概略構成図である。 同実施例1の膜濾過装置の概略構成図である。 同実施例1の制御手順の要部を示すフローチャート図である。 同実施例1の処理水タンク水位と運転モードとの関係を説明する図である。 同実施例1の流量比率および水温イオンをパラメータとした透過比率の特性図である。 同実施例1の流量比率および水温イオンをパラメータとした水質特性図である。 同実施例1の流量比率および水温イオンをパラメータとした有効操作圧力特性図である。 同実施例1の流量比率および水温イオンをパラメータとした省エネ比率特性図である。
1 水質改質システム
2 熱機器
3 給水ライン
7 膜濾過装置
8 処理水タンク
9 逆浸透膜部
10 ポンプ
11a 流量センサ
11b 水温センサ
11c 入口圧力センサ
11d 出口背圧センサ
11e 電気伝導センサ
11f 電気伝導センサ
12 第一制御器
この発明の実施の形態を説明する。この発明の実施の形態は、ナノ濾過膜(NF膜、NF:Nanofiltration)を含む逆浸透膜による濾過処理部を用いた水質改質システムに好適に実施することができる。
(実施の形態1)
この発明の実施の形態1は、つぎの構成要素を含む水質改質システムである。すなわち
、被処理水中の不純物を除去した処理水を機器へ供給する互いに並列接続された複数の逆浸透膜部と、前記各逆浸透膜部毎に設けられ被処理水を前記逆浸透膜部へ供給する回転数制御可能なポンプと、前記各ポンプの回転数を個別に制御する制御手段とを含んでいる。ここで被処理水,処理水とは、それぞれ前記逆浸透膜部にて処理される前の水,処理された後の水を意味する。
そして、この実施の形態1は、好ましくは、前記各逆浸透膜部の処理水の水質(処理水水質)の変化の要因である変化要因の値を検出する要因値検出手段を備え、前記制御手段は、前記要因値検出手段による検出結果に基づき当該各逆浸透膜部に接続したポンプの回転数を制御する。
この好ましい実施の形態1においては、前記要因値検出手段により、前記各逆浸透膜部により処理された処理水水質の変化を検出する。この検出結果に基づき、前記各逆浸透膜部に接続したポンプの回転数を個別に制御する。
このポンプの回転数制御は、好ましくは、前記各逆浸透膜部の処理水水質が前記機器の要求水質を満たすように均一化するように行われる。勿論、水質の均一化以外の目的、たとえば、省エネの目的,前記ポンプの発停を抑えることで膜の劣化を防止する目的,処理水タンクの小型化の目的で、前記ポンプの回転数を制御することができる。
前記各逆浸透膜部の処理水水質は、変化要因(単に要因と称することができ、要素と称してもよい。)により変化する。この変化要因としては、前記各逆浸透膜部の操作圧(逆浸透膜に加わる水圧)または処理水流量,被処理水の水温,前記各逆浸透膜部の膜性能,被処理水の水質を含んでいる。すなわち、処理水水質,操作圧または処理水流量,水温,膜性能,被処理水の水質からなる変化要因は、お互いに関係テーブルまたは関係式で特定される関係特性を有している。
前記各逆浸透膜部の関係特性は、要求水質から処理水流量を求めるためのものであるから、好ましくは、処理水水質と前記変化要因とをパラメータとした処理水流量で表したものとするが、処理水流量を含む前記変化要因をパラメータとした処理水水質で表すこともできる。この関係特性において、「処理水流量」は、処理水流量を定格処理水流量(最大処理水流量と称することができる。)で除した値である処理水流量比率(以下、単に「流量比率」と称する。)または前記操作圧として表現できる。
前記制御手段は、前記関係特性を設定する第一ステップと、前記関係特性から前記機器の要求水質を満たす所定の処理水流量(所定流量)を演算する第二ステップと、前記各逆浸透膜部の処理水流量を検出する流量検出手段の検出値が前記所定流量となるように前記ポンプの回転数を制御する第三ステップとを順次行う。
前記各逆浸透膜部の関係特性は、流量比率および水温をパラメータとした処理水の水質特性として表現できる。以下に、この水質特性について説明する。処理水水質をイオン除去率%(被処理水のイオン量で前記各逆浸透膜部で除去されたイオン量を除した値)で表現すると、イオン除去率は、水温を一定とした場合、流量比率が増大するにつれて増大(水質が向上)し、流量比率を一定とした場合、水温が上昇するにつれて減少(水質が低下)する傾向を示す。
前記水質特性において、処理水水質は、イオン透過率%(被処理水のイオン量で前記各逆浸透膜部を透過したイオン量を除した値)で表現することができる。このイオン透過率は、水温を一定とした場合、流量比率が増大するにつれて減少(水質が向上)し、流量比率を一定とした場合、水温が上昇するにつれて増大(水質が低下)する傾向を示す。
また、処理水水質は、イオン透過比率で表現することができる。このイオン透過比率は、特定の流量比率および特定の水温でのイオン透過率で、流量比率および水温を変化させたときのイオン透過率を除した値である。イオン透過比率は、流量比率および水温の増減に対する値の変化は、イオン透過率と同様の傾向で変化する。
さらに、処理水水質は、水質(mg/L)で直接的に表現することができ、電気伝導度(電気伝導率)(mS/m)にて検出することができる。水質(mg/L)は、イオン透過率およびイオン透過比率と同様の傾向を示す。すなわち、水質(mg/L)は、水温を一定とした場合、流量比率が増大するにつれて減少(水質が向上)し、流量比率を一定とした場合、水温が上昇するにつれて増大(水質が低下)する傾向を示す。
前記イオン除去率,イオン透過率は、望ましくは、リアルタイムで求めるが、試運転時等のデータからイオン透過率を計算して前記制御手段内または外の記憶手段に入力してこれを一定条件(たとえば、水温25℃等)下における初期のイオン透過率とすることができる。こうして求めたイオン透過率からイオン透過比率を求めておき、このイオン透過比率と、特定の流量比率および特定の水温で実測した水質(mg/L)とから処理水の水質(mg/L)特性を求めることができる。この水質特性は、流量比率を含む変化要因をパラメータとした特性である。こうして求めた水質特性(関係特性)を前記各逆浸透膜部毎に求めて前記記憶手段に記憶させる。
この水質特性における「流量比率」は、処理水流量と等価であり、操作圧とも所定の関係を有するので、「流量比率」を処理水流量または操作圧に置き換えて表現することができる。また、「水質(mg/L)」は、イオン除去率,イオン透過率,イオン透過比率と所定の関係を有するので、「水質(mg/L)」をイオン除去率,イオン透過率,イオン透過比率のいずれかで表現することができる。よって、この発明において「流量比率」は、処理水流量,操作圧を含み、「水質(mg/L)」は、電気伝導率,イオン除去率,イオン透過率,イオン透過比率を含む概念とする。要するに、前記水質特性は、所定の処理水水質から処理水流量を直接的または間接的に求めることができるものであればよい。
前記要因値検出手段は、この実施の形態1では、好ましくは、変化要因のうち水温,前記各逆浸透膜部の膜性能を含むが、水温,膜性能,被処理水の水質の中から一つまたは複数を選び、選んだ変化要因の値を検出するセンサ,計測器とすることができる。どの変化要因を選択するかは、水質改質システムの使用環境に応じて決められる。被処理水の水温は、水温検出手段としての水温センサにより検出するが、処理水の水温または前記各逆浸透膜部からの排水(濃縮水)の水温により間接的に検出するように構成することができる。前記被処理水の水質は、前記各逆浸透膜部により除去される成分の濃度を検出する水質センサ(好ましくは、電気伝導率センサで、硬度センサやシリカ濃度を検出するセンサ)により検出する。
前記要因値検出手段としての前記各逆浸透膜の膜性能検出手段は、前記個体差を含め、膜の詰りおよび膜の劣化による膜性能の状態を検出する。この膜性能は、処理水水質(電気伝導度)、除去率(イオン成分を除去した割合)または透過率、透過流束などにより検出可能である。処理水水質および透過率(または除去率)により膜の劣化度に関する膜性能が検出可能であり、透過流束により膜の詰り度に関する膜性能が検出可能である。
前記透過率について説明する。前記各逆浸透膜部の膜は、固体差による初期基準性能(初期特性)を有している。この初期基準性能は、初期基準透過率で表すことができる。この初期基準透過率は、システムの使用開始時に通水して前記制御部により求めることもできるが、システムの出荷前に、前記各逆浸透膜部毎に初期基準透過率を求めてインプット
しておくことができる。
透過率(%)=100−除去率(%)とする。透過率および除去率は、水質を表し、膜の固体差および劣化による膜性能を表す数値である。この透過率および除去率は、それぞれイオン透過率,イオン除去率と称することができる。
透過率は水温、圧力(流量)により影響を受ける。よって、実際の運転条件下での基準透過率は、次式で求めることができる。
実際の運転条件下での基準透過率=基準透過率(25℃、基準定格流量)×水温補正係数X×圧力(流量)補正係数
実際に前記各逆浸透膜部を使用していくと除去率は、膜の劣化等によって悪くなる可能性もあるため、基準透過率は経時的に変化する。よって、劣化を考慮した実際の運転条件下での基準透過率は、次式となる。
実際の運転条件下での基準透過率=基準透過率(25℃、基準定格流量)×水温補正係数×圧力(流量)補正係数×劣化補正係数Y
この劣化補正係数Y=現在の基準透過率/初期基準透過率によって求めることができる。この劣化補正係数Yは、リアルタイムで求めてもよいし、通水時間によってあらかじめ一定の係数としてもよい。例えば、1000h通水で劣化補正係数1.1とする。
前記除去率は、前記各逆浸透膜部の入口側と出口側の電気伝導度の差を入口側の電気伝導度で除すことで求める。
前記透過流束は、膜の水透過性能,すなわち前記膜の詰まり状態を示す指標で、特開2008−55336号公報に記載の方法により求めることができる。すなわち、単位時間当たり、単位膜面積を透過する水の量を単位膜差圧当たりとして標準温度条件下に換算したものである。これを数式にて表現すると、次式1にて表現できる。
透過流束(L/m2・h・MPa)=処理水瞬間流量/[{入口運転圧力−(装置差圧÷2)−出口背圧−浸透圧}×温度補正係数×膜面積]………………式1
ここで、処理水瞬間流量:処理水流量計での検出値(単位:L/h),入口運転圧力:入口運転圧力センサでの検出値(単位:MPa),装置差圧:設定値(単位:MPa),出口背圧:設定値(単位:MPa),浸透圧:設定値(単位:MPa),温度補正係数:A(給水水温センサで検出される給水温度の関数),膜面積:設定値(単位:m2)である。
この透過流束を演算するためのデータ(処理水瞬間流量,入口運転圧力および給水温度)は、各データの測定(検出)手段により検出される。これらのデータのサンプリングは、前記制御手段により前記逆浸透膜部の濾過性能が安定するタイミングで行われる。前記の装置差圧、浸透圧、出口背圧は、必ずしも設定値でなくてもよく、センサでリアルタイムに検出して求めてもよい。前記透過流束は、前記サンプリングを複数回行うことにより得た複数の透過流束の平均値とすることが望ましい。
また、前記透過流束(L/m2・h・MPa)を表現する式は、前記式1に限定されず、次の式2にても表現可能である。 処理水瞬間流量/[{(入口圧力−出口圧力)÷2−出口背圧−浸透圧}×温度補正係数×膜面積]……式2
また、前記式1または前記式2において、膜面積を削除したり、出口背圧や浸透圧の影響が無視できる(一定)の場合は、これらを削除することができる。
この実施の形態1において、被処理水の水質の変化が殆ど無い使用環境であると仮定し
て、前記要因値検出手段を水温検出手段と膜性能検出手段とした場合、この実施の形態1は、好ましくは、つぎのような構成を具備した水質改質システムである。
この水質改質システムは、前記要因値検出手段としての水温を検出する水温検出手段および前記各逆浸透膜部の膜性能を検出する膜性能検出手段と、前記機器の要求水質を判定する要求水質判定手段と、前記各逆浸透膜部の処理水の流量を検出する流量検出手段とを備え、前記制御手段は、前記各逆浸透膜部の処理水流量,水温,前記各逆浸透膜部の膜性能および前記各逆浸透膜部の処理水水質を含む要因の相互の関係特性を設定する第一ステップと、前記要求水質判定手段による要求水質と前記水温検出手段による検出水温と前記膜性能検出手段による膜性能とに基づき、前記各逆浸透膜部毎に前記各関係特性から前記要求水質を満たす所定流量を演算する第二ステップと、前記流量検出手段の検出流量が前記所定流量となるように前記ポンプの回転数を制御する第三ステップとを行うものである。前記膜性能検出手段は、好ましくは、透過率または除去率を検出するものとする。
前記関係特性は、前記各逆浸透膜部の処理水流量(または流量比率),水温および前記各逆浸透膜部の膜性能をパラメータとした処理水の水質特性として求めることができる。具体的には、水温と前記逆浸透膜部の流量比率を変化させて得られる処理水水質の特性を水質特性とする、そして、この水質特性に対し、検出した膜性能に基づく前記劣化補正係数Yにより補正することで求めることができる。この劣化補正係数(膜の劣化係数)Yは、好ましくは、前述のように検出膜性能/初期膜性能である。
前記水質特性をテーブルで表現した場合は、このテーブルの値にYを乗ずることで水質特性の補正を行うことができる。
前記水質特性を式(関数)で表現した場合につき説明する。流量比率,水温をパラメータとした水質特性の予想水質をつぎの関係式で求めることができる。
予想水質=α×K×劣化補正係数Y
ただし、αは特定の水温および特定の流量比率での水質,Kはイオン透過比率。
前記各逆浸透膜部が同じ構造で、同じ定格処理流量のものであり、かつ膜性の初期能が実質的に同じである場合は、前記記憶手段に記憶する前記水質特性は共通のものとすることができる。
前記各逆浸透膜部の初期の膜性能(初期性能)が異なる場合は、前記水質特性を補正して前記各逆浸透膜部毎に求める。この場合、前記制御手段は、前記各逆浸透膜部の初期性能の相違に基づき当該各逆浸透膜部に接続したポンプの回転数を制御することができる。
この水質改質システムにおいては、前記制御手段は、前記第一ステップを行う。この第一ステップは、前記各逆浸透膜部の処理水流量,水温,前記各逆浸透膜部の膜性能および前記各逆浸透膜部の処理水水質からなる要因間の相互の関係特性を求めて設定するものである。この設定は、つぎの二つの方法を含む。第一の方法は、処理水流量,水温,膜性能および処理水水質の相互の関係特性を予め求め、前記記憶手段に記憶しておき、記憶した関係特性を読み出して設定する方法である。第二の方法は、処理水流量,水温および処理水水質の相互の関係特性を予め求め、前記記憶手段に記憶しておき、この関係特性を読み出して、前記膜性能検出手段により検出した膜性能に基づき、この関係特性を補正する方法である。
第二ステップでは、予め設定されている前記機器の要求水質、または変化する前記機器からの要求水質を前記要求水質判定手段により判定した要求水質と、前記水温検出手段により検出された検出水温と、前記膜性能検出手段により検出された膜性能とに基づき、前
記各逆浸透膜部毎に前記各関係特性から前記要求水質を満たす所定流量を演算する。
そして、第三ステップでは、前記流量検出手段の検出流量が前記所定流量となるように前記ポンプの回転数をフィードバック制御する。
この水質改質システムによれば、前記関係特性から前記要求水質を満たす所定流量を簡易に演算できる。この所定流量は、限りなく前記要求水質を満たす処理水流量のうち最小の流量(最小流量)とすることができ、水温および膜性能の変化に拘わらず、処理水の水質を維持しつつポンプの消費電力を低減し、省エネを簡易に実現することができる。
この水質改質システムにおいて、前記最小流量で運転する運転モードを省エネ運転とする。この省エネ運転は、前記機器の要求処理水流量を考慮しない条件下での運転であり、例えば、処理水を処理水タンクに一度貯留してから前記機器へ処理水を供給する処理水タンク保有システムにおいて、前記処理水タンクの水位が第一設定水位以上ある場合などにおいて実施される。
この水質改質システムにおいては、好ましくは、前記省エネ運転に加えて、非省エネ運転を加える。この非省エネ運転は、前記各逆浸透膜部に対する要求処理水流量の合計である総要求処理水流量(機器の要求処理流量)が前記各逆浸透膜部の最小流量の合計を超えるとき、前記各逆浸透膜部のポンプの回転数を上昇させることで、総要求処理水流量となるように制御する運転とすることができる。この非省エネ運転は、前記処理水タンク保有システムにおいては、前記処理水タンクの水位が第二設定水位(<第一設定水位)未満のとき行われる。この非省エネ運転は、好ましくは、前記各逆浸透膜部の定格流量運転とするが、定格流量より少なく、前記最小流量より多い流量とすることができる。この場合は、前記処理水タンクの水位の回復が遅くなる。また、省エネ運転においては、前記最小流量より若干多い流量とすることができる。この場合は、省エネ効果が減少する。
前記省エネ運転は、前記要求水質を満たしつつ低回転数で前記ポンプを制御する運転であり、前記非省エネ運転は、前記要求水質を満たしつつ要求処理水流量を満たすように前記ポンプを制御する運転である。
ここで、処理水流量を低くすると省エネとなる理由につき説明する。前記逆浸透膜部の流量比率(処理水流量)と水温をパラメータとする操作圧特性は、水温を一定とした場合、流量比率が増大するにつれて当該処理水流量とするために必要とする操作圧が増大する傾向を示す。前記流量比率を一定とした場合、水温が上昇するにつれて当該流量比率とするために必要とする操作圧が減少する傾向を示す。
一方、前記ポンプの消費電力は、操作圧力の1.5乗に比例する。すなわち、省エネ比率=(W2/W1)∝(P2/P1)1.5で表される。ここでW1は、前記ポンプの基準処理水流量における基準消費電力,W2は、前記ポンプの比較対象となる処理水流量での消費電力であり、P1,P2は、それぞれW1,W2に対応する操作圧力である。よって、省エネ比率は、処理水流量を少なくするほど、低くなる(省エネルギーとなる)。この低くなる程度は、処理水流量の1.5乗できいてくるので、処理水流量の低減による省エネ効果は、大きいものとなる。
ここで、この実施の形態1の構成要素について説明する。前記使用機器は、前記逆浸透膜部により処理された処理水が使用される機器であって、ボイラなどとされる。
前記逆浸透膜部は、ナノ濾過膜等の逆浸透膜によりイオン成分を除去する逆浸透膜部を有する濾過装置であればよく、特定の構造の濾過装置に限定されるものではない。
前記ポンプは、回転数が制御可能なものであれば、特定のポンプに限定されない。回転数の制御は、好ましくは、インバータにより制御するものとする。
前記制御手段は、好ましくは、前記各逆浸透膜部毎に設けるが、前記各ポンプの制御を共通の制御器で制御するように構成できる。また、この制御手段へ信号を入力する前記要因値検出手段としての水温センサおよび被処理水の水質を検出する水質センサは、前記各逆浸透膜部毎に設けることなく、それぞれ共通の水温センサ,水質センサにより検出するように構成できる。
(実施の形態2)
この発明は、上述の実施の形態1に限定されるものではなく、例えば、特開2005−279462号公報に記載の水質改質システムに適用した実施の形態2とすることができる。この実施の形態2は、機器への給水ラインの上流側に逆浸透濾過膜部を備え、その上流側には逆浸透濾過膜部に給水を供給するポンプを備え、下流側には給水中の溶存気体を透過する気体透過膜を用いて脱気する膜式脱気部を備え、前記給水ラインを流れる給水を逆浸透濾過膜部で濾過した後、膜式脱気部で溶存気体を脱気して機器に供給する水質改質システムであって、前記逆浸透濾過膜部が給水ラインに並列に複数接続され、前記ポンプが各逆浸透濾過膜部毎に配置され、更に各逆浸透濾過膜部の下流側には、それぞれ逆流阻止可能な制御弁が配置されていることを特徴とするものである。
そして、この実施の形態2においても、前記実施の形態1と同様に、前記各ポンプを個別に回転数制御可能に構成して、前述した制御と同様な制御を行うことができる。この実施の形態2においては、前記所定流量は、逆浸透濾過膜部による濾過水質に対する第一要求水質と膜式脱気部による脱気水質に対する第二要求水質とをともに満たすように演算され設定される。この所定流量は、好ましくは、できるだけ少ない流量に設定される。この場合の所定流量を求める制御も機器の要求処理水流量を考慮しない制御である。そして、この実施の形態2は、好ましくは、前記実施の形態1と同様に前記膜式脱気部の下流側に処理水タンクを備えて、この処理水タンクの水位が比較的低いとき、前記の所定流量制御を行う。この実施の形態2において、機器の要求処理水流量を満たす制御を行う場合は、前記各ポンプを所定流量より多い流量となるように前記各ポンプを制御することにより可能となる。
以下、この発明の水質改質システムの実施例1を図面に基づき説明する。図1は、同実施例1の概略構成図である。図2は、同実施例1の各膜濾過部の概略構成図である。図3は、同実施例1の制御手順を説明するフローチャート図である。図4は、同実施例1の処理水タンク水位と運転モードとの関係を説明する図である。図5は、同実施例1の流量比率および水温をパラメータとした透過比率の特性図であり、図6は、同実施例1の流量比率および水温をパラメータとした水質特性図であり、図7は、同実施例1の流量比率および水温をパラメータとした有効操作圧力特性図であり、図8は、同実施例1の流量比率および水温をパラメータとした省エネ比率特性図である。
図1において、実施例1の水質改質システム1は、熱機器2へ供給する給水の水質を改質するための水質改質システムであって、前記熱機器2へ給水を供給する給水ライン3と、この給水ライン3に接続される活性炭濾過装置4と、軟水装置5と、プレフィルタ6と、互いに並列に接続される複数の膜濾過装置7(7−1,7−2,7−3)と、前記熱機器2へ供給する処理水を貯留する処理水タンク8とを備えて構成されている。前記給水は、前記逆浸透膜部9の上流側を被処理水と称し、前記逆浸透膜部9の下流側を処理水と称する。また、前記給水ライン3は、前記各膜濾過装置7に含まれる後記各逆浸透膜部9上
流側を被処理水ライン3−1と称し、前記各逆浸透膜部9の下流側を処理水ライン3−2と称する。
前記熱機器2は、蒸気ボイラ、温水ボイラ、クーリングタワー、給湯器等である。前記活性炭濾過装置4は、給水中に溶存する次亜塩素酸ソーダ等の酸化剤を吸着除去するための装置として構成されている。前記軟水装置5は、前記残留塩素が除去された給水中に含まれるカルシウム、マグネシウム等の硬度成分をイオン交換樹脂(図示省略)により除去する装置として構成されている。前記プレフィルタ6は、給水中のゴミ等を除去するためのものである。
図2を参照して、前記各膜濾過装置7は、それぞれ逆浸透膜部9と、この逆浸透膜部9の上流側に接続されるポンプ10と、前記各逆浸透膜部9の上流側および下流側に接続される各種検出器11(11a〜11e)と、前記ポンプ10に接続されるインバータ(図示省略)と、前記ポンプ10の制御と、前記各逆浸透膜部9の濾過部材の詰まり/劣化の判断、および装置全体の制御と、前記詰まり/劣化の警報を表示にて行う通報手段(図示省略)の制御とを行う第一制御器12とを備えて構成されている。以下、前記各構成について説明する。
前記各逆浸透膜部9は、濾過部材としてナノ濾過膜(NF膜、NF:Nanofiltration)を備えて構成されている。
前記各逆浸透膜部9の一端には、前記ポンプ10から送り出された給水が流入するようになっている。流入した給水は、前記各逆浸透膜部9の内部において、ナノ濾過膜により、濾過成分としての腐食促進成分が捕捉されるとともに腐食抑制成分が透過されるようになっている。前記各逆浸透膜部9の他端からは、透過水と濃縮水とが流出するようになっている。その透過水は、処理水として前記処理水ライン3−2を流れて前記処理水タンク8に貯留されるようになっている。一方、濃縮水は、その一部が排水ライン13側へ流れるとともに、残りが循環水ライン14を流れて前記ポンプ10の上流側に供給されるようになっている。
前記ポンプ10は、前記プレフィル6の下流側の被処理水ライン3−1を流れる、ゴミ等が除去された給水を前記各逆浸透膜部9に供給するためのものであって、その回転数は、前記インバータから出力される出力周波数に応じて可変するように構成されている。
前記各種検出器11としては、流量センサ11a、水温センサ11b、入口圧力センサ11c、出口圧力センサ11d、電気伝導センサ11e,11fを含む。前記流量センサ11aは、前記各逆浸透膜部9を通過した透過水の水量を検知して流量検知信号を前記第一制御器12に出力するものであって、前記各逆浸透膜部9の下流側の処理水ライン3−2に接続されている。
前記水温センサ11bは、この発明の水温検出手段として機能するもので、前記各逆浸透膜部9の上流側の被処理水ライン3−1、前記各逆浸透膜部9の下流側の処理水ライン3−2、前記排水ライン13のいずれかに接続され、この実施例1では、前記各逆浸透膜部9の上流側であって、前記ポンプ10の上流側の被処理水ライン3−1に接続されている。この水温センサ11bは、給水の温度を検知して温度検知信号を前記第一制御器12に出力するように構成されている。
前記入口運転圧力センサ11c,前記出口背圧センサ11dは、それぞれ前記各逆浸透膜部9の上流側,下流側の被処理水ライン3−1,処理水ライン3−2に接続され、給水の圧力を検知して圧力検知信号を前記第一制御器12に出力するように構成されている。
前記電気伝導度センサ11e,11fは、それぞれ前記各逆浸透膜部9の下流側の処理水ライン3−2,上流側の被処理水ライン3−1に接続され、前記各逆浸透膜部9を通過した透過水,被処理水の電気伝導度を検知してその検知信号を前記第一制御器12に出力するように構成されている。
前記流量センサ11a,前記入口運転力センサ11c,前記水温センサ11bは、透過流束を検出する膜性能検出手段として機能する。前記電気伝導度センサ11e,11fは、イオン透過率検出する膜性能検出手段として機能する。
前記第一制御器12は、CPU,記憶手段(ROM,RAM)およびインタフェースを備えている。前記記憶手段には、前記各逆浸透膜部9の処理水流量比率,水温および前記各逆浸透膜部の処理水水質の相互の関係特性を予め記憶している、前記関係特性は、前記各逆浸透膜部の流量比率と水温をパラメータとした処理水の水質特性である。
前記水質特性は、この実施例1では、図6で示すようなテーブル形式で記憶している。そして、この水質特性は、つぎのようにして求めている。まず、図5に示すように、流量比率および水温をパラメータとしてイオン透過比率を求める。このイオン透過比率の流量比率−水温特性は、補正係数K(K11〜K65,ただしK63=1.000)で表現される。そして、水温25℃,流量比率100%の水質(mg/L)の値を10.9(被処理水水質および回収率が一定の場合)として、この値に前記補正係数Kを乗じることにより、図6のように、処理水の流量比率および水温をパラメータとした水質(mg/L)を求める。これを水質特性として前記記憶手段に記憶している。
前記第一制御器12は、前記各種検出器11a〜11fからの信号と後記第二制御器19からの信号を入力して、前記記憶手段に記憶している図3に示す流量制御手順などを実行する。この流量制御手順は、前記各逆浸透膜部9の処理水流量比率,水温,前記各逆浸透膜部9の膜性能および前記各逆浸透膜部9の処理水水質の相互の関係特性を設定する第一ステップと、前記熱機器2の要求水質Q1と前記水温センサ11bによる検出水温と前記膜性能検出手段による膜性能とに基づき、前記各逆浸透膜部9毎に前記各関係特性から前記要求水質を満たす所定流量を演算する第二ステップと、前記流量センサ11aの検出流量が前記所定流量となるように前記各ポンプ10の回転数を制御する第三ステップとを行うことを特徴としている。前記所定流量は、この実施例1では前記要求水質Q1を満たす処理水流量の最小値である最小流量としている。
図1を再び参照して、前記各膜濾過装置7の下流側には、それぞれ電磁弁16(16−1,16−2,16−3)を設けるとともに、前記処理水タンク8の上流側であって、前記各膜濾過装置7の処理水が合流して流れる前記処理水ライン3−2には、水質確認用の第二の電気伝導度センサ17および流量確認用の第二の流量センサ18を設けており、その検出信号は、第二制御器19へ入力される。
前記第二制御器19は、前記各第一制御器12と接続され、前記各膜濾過装置7を制御するとともに、前記各電磁弁16を制御する。前記各電磁弁16は、前記各逆浸透膜部9の洗浄が必要となったとき,運転停止時や運転待機時に閉じられる。
前記第二制御器19は、前記水位センサ15の検出水位に応じて、停止,省エネ流量運転,定格流量運転の信号を前記各第一制御器12へ送り、前記各膜濾過装置7を制御する。その制御手順は、つぎのように構成されている。
すなわち、図4に示すように、前記処理水タンク8の水位上昇時において、水位が第一
水位L未満のとき、前記各ポンプ10を定格流量運転させる第一指令を、第一水位L+A以上となると前記各ポンプ10を前記省エネ運転させる第二指令を、第二水位H以上となると前記各ポンプ10を停止させる第三指令を前記第一制御器12へ送信する制御を行うものである。また、前記第二制御器19は、前記第二電気伝導度センサ17の検出信号により、要求水質Q1が満たされているかどうかを判定し、前記流量センサ18の検出信号により、前記第一指令および前記第二指令による設定流量が満たされているかどうかを判定し、満たされていない場合には、前記通報手段により使用者に通報する制御も行う。この通報は、ブザーや表示パネル(図示省略)により、使用者に知らせる通報および通信による管理装置(図示省略)への通報を含む。また、要求水質Q1が満たされていない場合、要求水質Q1を満たすように前記省エネ運転で設定された流量比率を大きくする制御を行うことが望ましい。
前記第一指令は、この実施例1のシステムに対する総要求処理水流量を前記各逆浸透膜部9の定格流量×前記逆浸透膜部9の台数とするものと考えることができる。また、前記第二指令は、総要求処理水流量が存在しないものと考えることができる。
前記第二制御器19の制御手順には、前記各電磁弁16を前記各逆浸透膜部9の洗浄が必要となったときなどに閉じ、それ以外は開く制御を含んでいる。
この第二制御器19の制御機能は、前記各第一制御器12に持たせることができる。この場合、前記第二制御器19を省略することができる。また、前記各第一制御器12の制御機能を前記第二制御器19に統合して持たせることができる。この場合、前記第一制御器12を省略することができる。
つぎに、この実施例1の動作を以下に説明する。
(全体的な動作)
図示しない被処理水タンクから流出した給水は、先ず、前記活性炭濾過装置4を通過し、残留塩素が除去された状態の給水となる。次に、その給水は、前記軟水装置5を通過して軟水となる。続いて、その軟水である給水(被処理水)は、前記各膜濾過装置7において濾過処理がなされて処理水となり前記熱機器2へ供給可能な給水となる。具体的には、軟水である被処理水が前記膜濾過装置7の各逆浸透膜部9において、ナノ濾過膜を通過する際に、硫酸イオン、塩化物イオン等の腐食促進成分がナノ濾過膜により捕捉される。すなわち、腐食促進成分が軟水から除去される。一方、軟水に含まれるシリカ、すなわち腐食抑制成分は、軟水と共にナノ濾過膜を透過する。濾過処理後の腐食抑制成分を含む軟水となる処理水は、前記熱機器2へ供給可能な給水として前記処理水タンク8に貯留される。
(各膜濾過装置7の流量制御動作)
つぎに、図3の制御手順に基づく、この実施例1の動作を説明する。 処理ステップS1(以下、処理ステップSNは、単にSNと称する。)において、事前に前記記憶手段に記憶した前記熱機器2の要求水質Q1を読み出す(判定する)。S2において、前記水温センサ11aにより水温を検出する。
S3において、膜性能の検出,すなわちイオン透過率を演算する。このイオン透過率の演算は、つぎのようにして行う。前記各逆浸透膜部9の上流側の電気伝導度センサ11fの検出値から下流側の電気伝導度センサ11eの検出値を引いた値を上流側の電気伝導度センサ11fの検出値で割ることにより、イオン除去率を求め、(100−イオン除去率)により、イオン透過率を演算する。
S4において、前記記憶手段に記憶している図6に示すような水質特性を読み出し、S5において、この水質特性をS3で検出したイオン透過率の値を前記各逆浸透膜部9の初期イオン透過率(製品出荷時のイオン透過率)の値で除した劣化補正係数Yにより補正する。具体的には、図6の水質値にYを乗じて前記水質特性を補正する。すなわち、補正された水質特性は、10.9×K(イオン透過比率)×Yにて求められる。S4およびS5が、前記第一ステップに相当する。
ついで、S6において、S1にて判定された要求水質Q1と、S2による検出水温とに基づき、前記各逆浸透膜部9毎に検出したイオン透過率に基づき補正した前記各水質特性から前記要求水質Q1を満たす最小流量を演算する。具体的には、今、Y=1とし、要求水質Q1がQ33であり、検出水温が25℃であると仮定すると、図6のテーブルにて、25℃の列から、水質がQ33となる流量比率を求められる。すなわち、要求水質がQ33の場合は、流量比率は、70%となる。要求水質Q1の値がテーブルに無い場合、例えばQ23とQ33との間である場合は、流量比率60%と70%との間で比例配分して求める。すなわち、60%+10%×(Q23−Q1)/(Q23−Q33)で求めることができる。このS6は、前記第二ステップに相当する。
そして、S7において、前記第二制御器19からの指令に基づき、前記第一制御器12は、運転モードを判定する。前記処理水タンク8の水位が第一水位L未満であると、前記第二制御器19から定格流量運転の指令が送付される。すると、S7にて、定格流量運転が判定され、S8へ移行して、前記各ポンプ10を定格流量,すなわち流量比率100%で運転する。この定格流量運転により、前記各逆浸透膜部9から最大処理流量で処理水が前記処理水タンク8へ供給されるので、前記処理水タンク8の水位は急速に上昇する。
前記処理水タンク8の水位が第二水位(L+A)以上となると、前記第二制御器19から省エネ流量運転の指令が送付される。すると、S7にて、省エネ流量運転が判定され、S9へ移行して、前記第二制御器12は、前記各ポンプ10を処理水流量がS6にて演算した前記最小流量となるように制御する。すなわち、前記流量センサ11aの検出流量が前記最小流量となるように前記各ポンプ10の回転数を前記インバータを用いてフィードバック制御する。このS9は、前記第三ステップに相当する。
ここで、処理水流量が最小流量となるように前記各ポンプ10を制御することにより、省エネが実現される理由について説明する。今、前記透過流束を40(L/m2・h・MPa),定格流量を4000(L/h)とした場合、前記逆浸透膜部9の流量比率(処理水流量)と水温とをパラメータとした操作圧特性は、例えば、図7で示すような特性となる。この特性は、水温を一定とした場合、流量比率が増大するにつれて当該処理水流量とするために必要とする操作圧が増大する傾向を示している。
一方、前記ポンプの消費電力は、操作圧力の1.5乗に比例する。すなわち、省エネ比率=(W2/W1)∝(P2/P1)1.5で表される。操作圧力特性が図7であるとすると、省エネ比率は、図8のようになる。したがって、要求水質Q1=Q33を満たす最小流量とする流量比率が70%運転の場合、ポンプ消費電力比は、100/70(時間比)×0.586(ポンプ消費電力比)=0.837となり、16.3%の省電力となる。同様に60%運転なら22.5%の省電力,50%運転なら29.2%の省電力となる。
また、前記処理水タンク8の水位が第三水位H以上となると、前記第二制御器19から停止の指令が送付される。すると、S7にて、停止が判定され、前記各ポンプ10は運転停止となる。前記処理水タンク8の水位が低下する場合は、停止から前記第三水位,前記第二水位をそれぞれ所定のディファレンシャルで下回る毎に、省エネ運転→定格流量運転となる制御が行われる。
この実施例1の水質改質システムによれば、前記水質特性から前記要求水質Q1を満たす最小流量を簡易に演算できる。そして、水温および膜性能の変化に拘わらず、処理水の水質を維持しつつポンプの消費電力を低減し、高い省エネを簡易に実現することができる。また、前記各逆浸透膜部9毎に膜性能の変化を考慮した流量制御を行えるので、前記各逆浸透膜部9の処理水の水質を要求水質Q1を満たしつつ均一化できるものである。
また、処理水水質の変化を処理水流量で捉えて、前記所定流量となるように前記ポンプ10の回転数を制御するように構成しているので、処理水水質を検出して所定の処理水質となるように制御するものと比較して、ハンチングの可能性が少なく、安定した水質、流量制御を行うことができる。
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。すなわち、前記実施例1において、特開2008−658号公報に記載のように、つぎの構成を付加することができる。その構成は、給水中の不純物を除去する逆浸透膜部を備え、この逆浸透膜部からの濃縮水の一部を排水するとともに、残部を前記逆浸透膜部の上流側へ還流させる水質改質システムであって、濃縮水の還流量調節手段と、前記逆浸透膜部からの濃縮水の排水量または前記逆浸透膜部からの透過水量に応じて、前記還流量調節手段を制御する制御手段とを備えるものである。
こうした構成を付加することにより、前記所定流量で前記ポンプを制御する際に、透過水量に対する濃縮水量の割合を維持することができる。これにより、前記逆浸透膜部へ給水を供給するためのポンプにおいて無駄な電力を消費することを防止することができるとともに、前記逆浸透膜部の濾過膜の表面での流速が維持されてファウリングによる前記濾過膜の詰まりを防止することができるという効果を奏する。
また、前記実施例1において、膜性能が高い逆浸透膜部に接続しているポンプを優先的に駆動するように構成することができる。そうすることにより、より一層の省エネを実現できる。

Claims (3)

  1. 被処理水中の不純物を除去して処理水を機器へ供給する互いに並列接続された複数の逆浸透膜部と、前記各逆浸透膜部毎に設けられ被処理水を前記各逆浸透膜部へ供給する回転数制御可能なポンプと、前記各ポンプの回転数を個別に制御する制御手段とを備える水質改質システムであって、
    前記各逆浸透膜部の処理水水質の変化要因の値を検出するものであって、水温を検出する水温検出手段および前記各逆浸透膜部の基準水温かつ基準定格流量における基準イオン透過率を検出する膜性能検出手段を含む要因値検出手段と、
    処理水に対する前記機器の要求水質を判定する要求水質判定手段と、
    前記各逆浸透膜部の処理水の流量を検出する流量検出手段と、
    前記各逆浸透膜部の処理水流量および水温をパラメータとする処理水水質の水質特性テーブル、並びに基準水温かつ基準定格流量における初期基準イオン透過率を予め記憶した記憶手段とを備え、
    前記制御手段は、前記膜性能検出手段による検出基準イオン透過率の値を前記初期基準イオン透過率の値で除して劣化補正係数を求め、この劣化補正係数を前記水質特性テーブルの処理水水質の値に乗じて、前記各水質特性テーブルを補正する第一ステップと、前記水温検出手段による水温および前記要求水質判定手段による要求水質に基づき、前記各逆浸透膜部毎に補正された前記各水質特性テーブルから前記要求水質を満たす処理水水質が得られる所定流量を演算する第二ステップと、前記流量検出手段の検出流量が前記所定流量となるように前記ポンプの回転数を制御する第三ステップとを行うことを特徴とする水質改質システム。
  2. 前記所定流量が前記要求水質を満たす最小流量であることを特徴とする請求項1に記載の水質改質システム。
  3. 前記制御手段は、前記第三ステップにおいて、前記各逆浸透膜部に対する要求処理水流量の合計である総要求処理水流量が前記各逆浸透膜部の所定流量の合計を超えるとき、前記各逆浸透膜部のポンプの回転数を上昇させることで、総要求処理水流量となるように制御することを特徴とする請求項2に記載の水質改質システム。
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