JP5470695B2 - 防汚性製品及びその製造方法 - Google Patents
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そして、このような特性を備えた防汚性製品の製造方法としては、製品の基体上に成膜された二酸化ケイ素、酸化ジルコニウムを含む薄膜にリチウム化合物を加熱下にて接触させて、リチウムイオンを前記薄膜の表面から内部に拡散させることにより、薄膜中にリチウムイオンを分散状態で含有させる方法が提案されている。
また、上述した従来の調理器具では、250℃以下の低温下で焦げ付いた食品の焦げ付き汚れは比較的簡単に除去することができるものの、300℃以上の高温下で焦げ付いた食品の焦げ付き汚れは簡単には除去することができず、この焦げ付き汚れを除去するためには、上記の防汚性製品と同様、擦り落とす等の物理的方法を用いざるを得ないが、この物理的方法を用いた場合、調理器具の表面を傷つける虞があるという問題点があった。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の第1の実施形態の防汚性製品を示す断面図であり、この防汚性製品1は、防汚性製品の本体を構成する基体2と、この基体2の表面のうち少なくとも焦げ付き汚れが固着する虞のある領域に、ケイ素(Si)とジルコニウム(Zr)と酸素(O)とリン(P)とを含有する薄膜3が形成され、この薄膜3の少なくとも表層部3aにはリン(P)が分布している。
このリン(P)を含む表層部3aが、焦げ付き汚れ等に対して優れた防汚性を有している。また、この表層部3aは、酸化ケイ素(SiO2)を含有しているので、耐水性、基体2に対する密着性に優れている。
特に、酸化ケイ素(SiO2)の質量百分率が1質量%以上かつ20質量%以下の場合には、焦げ付き汚れの固着をより一層効率よく防止することができ、また、300℃以上の高温下で焦げ付き汚れが固着したとしても、この焦げ付き汚れをより一層効率よく容易に水洗除去することができるので好ましい。
この薄膜3の厚みが0.001μmを下回ると、防汚性の付与、すなわち焦げ付き汚れに対する防汚性及び固着した焦げ付き汚れの除去容易性が不充分となり、一方、厚みが10μmを上回ると、薄膜3自体の耐衝撃性が低下してクラックが入り易くなるので好ましくない。
特に、干渉色の発生を防止するためには、薄膜3の厚みを0.1μm以下とするのが好適である。
この表層部3aにおけるリン(P)の濃度が0.001質量%を下回ると、300℃以上の高温下で焦げ付いて固着した焦げ付き汚れは水拭き程度では除去することができず、一方、表層部3aにおけるリン(P)の濃度が10質量%を上回ると、薄膜3の耐水性、耐摩耗性が低下するので好ましくない。
しかも、この表層部3aを有する薄膜3は、耐久性にも優れている。
ここで、代表的な2種類の結合状態について説明する。
(1)下記の構造式(1)に示すように、1つのケイ素(Si)原子が4つの酸素(O)原子と化学結合しており、各々の酸素(O)原子が結合手を一本持っている場合。
すなわち、この第1の製造方法は、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物、ジルコニウムアルコキシドのキレート化合物及びジルコニウムアルコキシドの加水分解物のキレート化合物の群から選択される1種または2種以上のジルコニウム(Zr)成分と、ケイ素(Si)成分と、溶媒とを含み、ジルコニウム(Zr)成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、ケイ素(Si)成分を酸化ケイ素(SiO2)に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(SiO2)の、酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する質量百分率が50質量%以下、好ましくは1質量%以上かつ20質量%以下である第1の塗布液を、基体2の表面に塗布して塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を100℃以上の温度にて熱処理して薄膜とする第1の工程と、次いで、この薄膜の上にリン(P)成分を含む溶液または分散液を塗布して100℃以上、好ましくは200℃以上の温度にて熱処理することによりリン(P)成分を薄膜に含有せしめる第2の工程とを有している。
割合が0.5モル倍よりも少ないと、塗布液の安定性が不充分なものとなるからであり、一方、4モル倍を上回ると、熱処理した後においても加水分解抑制剤が薄膜中に残留し、その結果、薄膜の硬度が低下するからである。
この触媒としては、塩酸、硝酸等の無機酸、クエン酸、酢酸等の有機酸等を例示することができる。また、この触媒の添加量は、通常、塗布液中のジルコニウム成分及びケイ素成分の合計量に対して0.01〜10質量%程度が好ましい。なお、触媒の過剰の添加は、熱処理の際に熱処理炉を腐食する虞があるので好ましくない。
合計の含有率が0.1質量%を下回ると、所定の膜厚の薄膜を形成することが困難となり、一方、合計の含有率が10質量%を上回ると、膜厚が所定の膜厚を超えて薄膜が白化したり、剥離する原因となるので好ましくない。
熱処理温度が100℃を下回るか、熱処理時間が不足すると、得られた薄膜3の膜強度が低下するので好ましくない。一方、熱処理温度が高すぎたり、熱処理時間が長すぎたりすると、基体2が変形する虞があるため、熱処理温度及び熱処理時間を基体2の材質に応じて調整する。熱処理時の雰囲気は特に制限されず、通常、大気雰囲気中で行う。
このリン(P)成分としては、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸等のリン酸類、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等のリン酸塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸水素ナトリウム、メタリン酸水素ナトリム等の縮合リン酸塩、リン酸エステル等のリン酸化合物等、リン(P)を分子骨格中に有するリン化合物であればよく、特に制限はない。
この溶液または分散液の溶媒としては、リン(P)成分を溶解または分散させることのできる溶媒であればよく、水あるいは有機溶媒が挙げられ、この有機溶媒には特に制限はない。
このリン(P)成分を、水あるいは有機溶媒に溶解または分散させる。有機溶媒には特に制限はない。
このリン(P)成分の濃度が0.01質量%を下回ると、本発明の特徴的な効果である防汚性が充分に達成されず、一方、リン(P)成分の濃度が10質量%を上回ると、表層部3aの表面が粗面化され、表面祖れが生じる虞がある。
また、このリン(P)を含む溶液または分散液には、塗布性を改善するために界面活性剤を含有してもよい。
塗布方法としては特に制限はなく、スプレー法、ディップ法、刷毛塗り法等が適用できる。また、この溶液または分散液を塗布する際の塗布量については、薄膜3に十分に防汚性を付与することができる量であればよく、特に制限は無い。
ここで、熱処理温度が100℃を下回るか、熱処理時間が不足すると、薄膜3の膜強度が不充分となり、薄膜3の表層部3aにおけるリン(P)成分の含有量が不足し、防汚性の効果が達成されないからである。なお、熱処理温度が高すぎたり、熱処理時間が長すぎたりすると、基体2が変形する虞があるため、熱処理温度及び熱処理時間を基体2に応じて調整する。熱処理時の雰囲気は特に制限されず、通常、大気雰囲気中で行う。
熱処理後、残渣が残ることがあるが、これは水洗などで容易に取り除くことができる。
図2は、本発明の第2の実施形態の防汚性製品を示す断面図であり、この防汚性製品11が第1の実施形態の防汚性製品1と異なる点は、第1の実施形態の防汚性製品1では、ケイ素(Si)とジルコニウム(Zr)と酸素(O)とリン(P)とを含有する薄膜3を形成し、この薄膜3の少なくとも表層部3aにリン(P)を分布したのに対し、本実施形態の防汚性製品11では、ケイ素(Si)とジルコニウム(Zr)と酸素(O)とリン(P)とを所定の割合で含有する薄膜12を形成し、この薄膜12中にリン(P)を略均一に分布した点である。
そして、このリン(P)を含む薄膜12全体が優れた防汚機能を備えており、防汚性の薄膜となっている。また、薄膜12は酸化ケイ素(SiO2)を含有しているので、耐水性及び基体2に対する密着性に優れている。
特に、酸化ケイ素(SiO2)の質量百分率を1質量%以上かつ20質量%以下とすると、焦げ付き汚れの固着をより一層効率よく防止することができ、また、300℃以上の高温下で焦げ付き汚れが固着したとしても、この焦げ付き汚れをより一層効率よく容易に水洗除去することができるので好ましい。
この薄膜12におけるリン(P)の濃度が0.001質量%を下回ると、300℃以上の高温下で焦げ付いて固着した焦げ付き汚れは水拭き程度では除去することができず、一方、リン(P)の濃度が10質量%を上回ると、薄膜12の耐水性、耐摩耗性が低下するので好ましくない。
この薄膜12の厚みが0.001μmを下回ると、防汚性の付与、すなわち焦げ付き汚れに対する防汚性及び固着した焦げ付き汚れの除去容易性が不充分となり、一方、厚みが10μmを上回ると、薄膜12自体の耐衝撃性が低下してクラックが入り易くなるので好ましくない。
特に、干渉色の発生を防止するためには、薄膜12の厚みを0.1μm以下とするのが好適である。
しかも、この薄膜12は、耐久性にも優れている。
この薄膜12が防汚効果を発揮する理由は、第1の実施形態の薄膜3の表層部3aと同様の理由による。
すなわち、この第2の製造方法は、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物、ジルコニウムアルコキシドのキレート化合物及びジルコニウムアルコキシドの加水分解物のキレート化合物の群から選択される1種または2種以上のジルコニウム(Zr)成分と、ケイ素(Si)成分と、リン(P)成分と、溶媒とを含み、ジルコニウム(Zr)成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、ケイ素(Si)成分を酸化ケイ素(SiO2)に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(SiO2)の、酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する質量百分率が50質量%以下、好ましくは1質量%以上かつ20質量%以下である第2の塗布液を、基体2の表面に塗布して塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を100℃以上の温度にて熱処理する工程を有している。
次いで、この第2の塗布液を塗布した基体2を、100℃以上、好ましくは200℃以上の温度にて0.1時間〜24時間熱処理し、基体2上に薄膜12を形成する。
熱処理後、残渣が残ることがあるが、これは水洗などで容易に取り除くことができる。
しかも、薄膜12中にリン(P)を略均一に分布したので、防汚性製品11の表面における防汚性の面内均一性が向上したものとなる。
図3は、本発明の第3の実施形態の防汚性製品を示す断面図であり、この防汚性製品21が第1の実施形態の防汚性製品1と異なる点は、第1の実施形態の防汚性製品1では、ケイ素(Si)とジルコニウム(Zr)と酸素(O)とリン(P)とを含有する薄膜3を形成し、この薄膜3の少なくとも表層部3aにリン(P)を分布したのに対し、本実施形態の防汚性製品21では、ジルコニウム(Zr)と酸素(O)とリン(P)とを含有する薄膜22を形成し、この薄膜22の少なくとも表層部22aにリン(P)を分布した点である。
この薄膜22の厚みが0.001μmを下回ると、防汚性の付与、すなわち焦げ付き汚れに対する防汚性及び固着した焦げ付き汚れの除去容易性が不充分となり、一方、厚みが10μmを上回ると、薄膜22自体の耐衝撃性が低下してクラックが入り易くなるので好ましくない。
特に、干渉色の発生を防止するためには、薄膜22の厚みを0.1μm以下とするのが好適である。
この表層部22aにおけるリン(P)の濃度が0.001質量%を下回ると、300℃以上の高温下で焦げ付いて固着した焦げ付き汚れは水拭き程度では除去することができず、一方、表層部22aにおけるリン(P)の濃度が10質量%を上回ると、薄膜22の耐水性、耐摩耗性が低下するので好ましくない。
しかも、この表層部22aを有する薄膜22は、耐久性にも優れている。
すなわち、下記の構造式(4)に示すように、1つのジルコニウム(Zr)原子は、3つの酸素(O)原子と化学結合しており、これらの酸素(O)原子のうち1つの酸素(O)原子とは二重結合しており、その他の酸素(O)原子はそれぞれ結合手を一本持っている。
すなわち、この第3の製造方法は、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物、ジルコニウムアルコキシドのキレート化合物及びジルコニウムアルコキシドの加水分解物のキレート化合物の群から選択される1種または2種以上のジルコニウム(Zr)成分と、溶媒とを含む第3の塗布液を、基体2の表面に塗布して塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を100℃以上の温度にて熱処理して薄膜とする第1の工程と、次いで、この薄膜の上にリン(P)成分を含む溶液または分散液を塗布して100℃以上、好ましくは200℃以上の温度にて熱処理することによりリン(P)成分を薄膜に含有せしめる第2の工程とを有している。
次いで、この第3の塗布液を塗布した基体2を、100℃以上、好ましくは200℃以上の温度にて0.1時間〜24時間熱処理し、基体2上に薄膜22を形成する。
このリン(P)成分を含む溶液または分散液を薄膜22の上に塗布する塗布方法としては、特に制限はなく、スプレー法、ディップ法、刷毛塗り法等が適用できる。
ここで、熱処理温度が100℃を下回るか、熱処理時間が不足すると、薄膜22の膜強度が不充分となり、薄膜22の表層部22aにおけるリン(P)成分の含有量が不足し、防汚性の効果が達成されないからである。なお、熱処理温度が高すぎたり、熱処理時間が長すぎたりすると、基体2が変形する虞があるため、熱処理温度及び熱処理時間を基体2に応じて調整する。熱処理時の雰囲気は特に制限されず、通常、大気雰囲気中で行う。
熱処理後、残渣が残ることがあるが、これは水洗などで容易に取り除くことができる。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
図4は、本発明の第4の実施形態の防汚性製品を示す断面図であり、この防汚性製品31が第2の実施形態の防汚性製品11と異なる点は、第2の実施形態の防汚性製品11では、ケイ素(Si)とジルコニウム(Zr)と酸素(O)とリン(P)とを所定の割合で含有する薄膜12を形成し、この薄膜12中にリン(P)を略均一に分布したのに対し、本実施形態の防汚性製品31では、ジルコニウム(Zr)と酸素(O)とリン(P)とを所定の割合で含有する薄膜32を形成し、この薄膜32中にリン(P)を略均一に分布した点である。
そして、このリン(P)を含む薄膜32全体が優れた防汚機能を備えており、防汚性の薄膜となっている。
この薄膜32中におけるリン(P)の濃度が0.001質量%を下回ると、300℃以上の高温下で焦げ付いて固着した焦げ付き汚れは水拭き程度では除去することができず、一方、リン(P)の濃度が10質量%を上回ると、薄膜32の耐水性、耐摩耗性が低下するので好ましくない。
この薄膜32の厚みが0.001μmを下回ると、防汚性の付与、すなわち焦げ付き汚れに対する防汚性及び固着した焦げ付き汚れの除去容易性が不充分となり、一方、厚みが10μmを上回ると、薄膜32自体の耐衝撃性が低下してクラックが入り易くなるので好ましくない。
特に、干渉色の発生を防止するためには、薄膜32の厚みを0.1μm以下とするのが好適である。
しかも、この薄膜32は、耐久性にも優れている。
この薄膜32が防汚効果を発揮する理由は、第3の実施形態の薄膜22と同様の理由による。
すなわち、この第4の製造方法は、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物、ジルコニウムアルコキシドのキレート化合物及びジルコニウムアルコキシドの加水分解物のキレート化合物の群から選択される1種または2種以上のジルコニウム(Zr)成分と、リン(P)成分と、溶媒とを含む第4の塗布液を、基体2の表面に塗布して塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を100℃以上の温度にて熱処理する工程を有している。
次いで、この第4の塗布液を塗布した基体2を、100℃以上、好ましくは200℃以上の温度にて0.1時間〜24時間熱処理し、基体2上に薄膜32を形成する。
熱処理後、残渣が残ることがあるが、これは水洗などで容易に取り除くことができる。
本実施形態においても、第2の実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、以下の実施例及び比較例では、防汚性製品としてコンロ用天板を用いた。
「実施例1」
ジルコニウムテトラブトキシド6質量部、アセト酢酸エチル3質量部、2−プロパノール90.9質量部を室温(25℃)下で30分混合し、ジルコニウムテトラブトキシドとアセト酢酸エチルとのキレート化合物を生成させた。次いで、この溶液にテトラメトキシシラン0.1質量部を添加し、得られた溶液をエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)にて10倍に希釈し、実施例1の塗布液を得た。
次いで、このコンロ天板を、1質量%(P換算)のトリポリ燐酸ナトリウム水溶液に浸漬して、薄膜の表面を充分に濡した後、引き上げ、さらに、このコンロ天板を、大気雰囲気下、250℃にて20分間熱処理した。次いで、水洗して薄膜上の残渣を取り除き、実施例1のコンロ用天板を得た。
このコンロ用天板の薄膜の表面におけるリン(P)の含有率を電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いて測定したところ、0.1質量%であった。
「焦げ付き汚れの除去容易性」
薄膜の表面に1mLの醤油を滴下し、次いで、(1)大気中、250℃にて1時間、(2)大気中、350℃にて1時間、のそれぞれの条件の下で焦げ付かせた。次いで、水を含ませた布切れでこの焦げ付きを水拭きし、除去の容易性を評価した。評価結果を表1に示す。表1中の「含浸」とは、第1の製造方法によったことを示す。
ジルコニウムテトラブトキシドを1.7質量部に、アセト酢酸エチルを0.8質量部に、2−プロパノールを96.6質量部に、テトラメトキシシランを0.9質量部にそれぞれ変更した他は、実施例1に準じて実施例2の塗布液を得た。
この実施例2の塗布液における、ジルコニウム成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO2)に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(SiO2)の、酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する質量百分率は45質量%であった。
この実施例2のコンロ用天板の薄膜の表面におけるリン(P)の含有率を電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いて測定したところ、0.1質量%であった。
さらに、この実施例2のコンロ用天板の防汚性を実施例1に準じて評価した。評価結果を表1に示す。
ジルコニウムテトラブトキシド6質量部、アセト酢酸エチル3質量部、2−プロパノール91質量部を室温(25℃)下で30分混合し、ジルコニウムテトラブトキシドとアセト酢酸エチルとのキレート化合物を生成させた。次いで、この溶液をエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)にて10倍に希釈し、実施例3の塗布液を得た。
この実施例3のコンロ用天板の薄膜の表面におけるリン(P)の含有率を電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いて測定したところ、0.1質量%であった。
さらに、この実施例3のコンロ用天板の防汚性を実施例1に準じて評価した。評価結果を表1に示す。表1中の「含浸」とは、第3の製造方法によったことを示す。
実施例1の塗布液に、リン(P)成分としてリン酸トリメチルを添加して実施例4の塗布液を得た。ただし、リン(P)成分の添加量は、リン酸トリメチルをリン(P)に、ジルコニウム成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO2)に、それぞれ換算したときの、リン(P)の酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する質量百分率を1質量%とした。
この実施例4のコンロ用天板の薄膜の表面におけるリン(P)の含有率を電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いて測定したところ、1質量%であった。
さらに、この実施例4のコンロ用天板の防汚性を実施例1に準じて評価した。評価結果を表1に示す。表1中の「塗布」とは、第2の製造方法によったことを示す。
実施例3の塗布液に、リン(P)成分としてリン酸トリメチルを添加して実施例5の塗布液を得た。ただし、リン(P)成分の添加量は、リン酸トリメチルをリン(P)に、ジルコニウム成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、それぞれ換算したときの、リン(P)の酸化ジルコニウム(ZrO2)に対する質量百分率を1質量%とした。
この実施例5のコンロ用天板の薄膜の表面におけるリン(P)の含有率を電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いて測定したところ、1質量%であった。
さらに、この実施例5のコンロ用天板の防汚性を実施例1に準じて評価した。評価結果を表1に示す。表1中の「塗布」とは、第4の製造方法によったことを示す。
実施例1〜3のコンロ用天板それぞれにおいて、トリポリリン酸処理を施す前の未処理品、すなわち薄膜が焼き付けられただけのコンロ天板を、比較例1〜3のコンロ天板とした。
この比較例1〜3のコンロ天板の防汚性を実施例1に準じて評価した。評価結果を表1に示す。
ジルコニウムテトラブトキシドを1.5質量部に、アセト酢酸エチルを0.8質量部に、2−プロパノールを96.6質量部に、テトラメトキシシランを1.1質量部にそれぞれ変更した他は、実施例1に準じて比較例4の塗布液を得た。
この比較例4の塗布液における、ジルコニウム成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO2)に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(SiO2)の、酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する質量百分率は55質量%であった。
この比較例4のコンロ用天板の防汚性を実施例1に準じて評価した。評価結果を表1に示す。表1中の「含浸」とは、第1の製造方法によったことを示す。
実施例1の塗布液を結晶化ガラス製のコンロ天板上に、100g/m2の塗布量にてスプレー塗装し、大気雰囲気中、500℃にて20分間熱処理して焼き付け、コンロ天板上に薄膜を形成した。この薄膜の厚みは0.1μmであった。
次いで、この薄膜上に、5質量%の水酸化リチウム溶液を50g/m2の塗布量にて塗布し、大気雰囲気中、250℃の温度にて20分間熱処理し、表面にリチウムを含有する薄膜が形成されたコンロ用天板を得た。
この比較例5のコンロ用天板の防汚性を実施例1に準じて評価した。評価結果を表1に示す。
一方、比較例1〜3では、250℃における焦げ付き汚れの除去容易性は実施例1〜5と遜色が無かったものの、350℃における焦げ付き汚れの除去容易性が悪く、350℃という高温下における防汚性が劣ったものであった。
また、比較例4、5では、250℃及び350℃における焦げ付き汚れの除去容易性は共に、不良もしくは極めて不良であった。
2 基体
3 薄膜
3a 表層部
11 防汚性製品
12 薄膜
21 防汚性製品
22 薄膜
22a 表層部
31 防汚性製品
32 薄膜
Claims (3)
- セラミックスからなる基体と、この基体の表面に形成された薄膜とを備えてなる防汚性製品であって、
前記薄膜は、ケイ素(Si)と、ジルコニウム(Zr)と、酸素(O)と、リン(P)とを含有し、前記ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO2)に、前記ジルコニウム(Zr)を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケイ素(SiO2)の、前記酸化ジルコニウム(ZrO2)と前記酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する質量百分率は50質量%以下であり、かつ、前記薄膜の少なくとも表面からの厚みが0.0001μm以上であり前記リン(P)の濃度が0.001質量%以上かつ10質量%以下の濃度にて分布してなる表層部を備えていることを特徴とする防汚性製品。 - セラミックスからなる基体と、この基体の表面に形成された薄膜とを備えてなる防汚性製品の製造方法であって、
ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物、ジルコニウムアルコキシドのキレート化合物及びジルコニウムアルコキシドの加水分解物のキレート化合物の群から選択される1種または2種以上のジルコニウム(Zr)成分と、ケイ素(Si)成分と、溶媒とを含み、前記ジルコニウム(Zr)成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、前記ケイ素(Si)成分を酸化ケイ素(SiO2)に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケイ素(SiO2)の、前記酸化ジルコニウム(ZrO2)と前記酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する質量百分率が50質量%以下である塗布液を、前記基体の表面に塗布して塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を100℃以上の温度にて熱処理して薄膜とし、次いで、この薄膜の上にリン(P)成分を含む溶液または分散液を塗布して100℃以上の温度にて熱処理することにより、前記リン(P)成分を前記薄膜の少なくとも表面からの厚みが0.0001μm以上の表層部に0.001質量%以上かつ10質量%以下の濃度にて含有せしめることを特徴とする防汚性製品の製造方法。 - セラミックスからなる基体と、この基体の表面に形成された薄膜とを備えてなる防汚性製品の製造方法であって、
ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物、ジルコニウムアルコキシドのキレート化合物及びジルコニウムアルコキシドの加水分解物のキレート化合物の群から選択される1種または2種以上のジルコニウム(Zr)成分と、ケイ素(Si)成分と、リン(P)成分と、溶媒とを含み、前記ジルコニウム(Zr)成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、前記ケイ素(Si)成分を酸化ケイ素(SiO2)に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケイ素(SiO2)の、前記酸化ジルコニウム(ZrO2)と前記酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する質量百分率が50質量%以下である塗布液を、前記基体の表面に塗布して塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を100℃以上の温度にて熱処理することにより薄膜を形成すると共に、該薄膜における前記リン(P)の濃度を0.001質量%以上かつ10質量%以下とすることを特徴とする防汚性製品の製造方法。
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