JPWO2011114646A1 - 調理器具およびそれを用いた加熱装置 - Google Patents

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Abstract

食品が載置される載置面を有する基材と、基材の表面に形成され、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するフェライトを含むマイクロ波発熱体からなる発熱層(3)とを有する調理器具であって、フェライトがFe2O3とMnOとZnOを含み、ZnOに対するFe2O3の重量比を11〜24の範囲とした構成を備えることにより、調理器具であるグリル皿の載置面を短時間で所定の温度に昇温させることができ、かつグリル皿の載置面の温度をグリル皿の構成材料の許容される耐熱温度以下に飽和させることができるので、グリル皿調理の性能向上と耐久性、安全性、信頼性を図ることができる。

Description

本発明は、照射されたマイクロ波エネルギーを吸収することによって発熱する発熱層の熱を利用して食品を調理する、グリル皿などの調理器具およびそれを用いた加熱装置に関する。
近年、電子レンジなどのマイクロ波加熱装置においては、食品に直接マイクロ波を照射することで食品を加熱するマイクロ波加熱機能に加え、マイクロ波加熱装置内に設置する調理器具、いわゆる、グリル皿を用いた調理機能が存在する。以下、これをグリル皿調理機能という。
このグリル皿調理機能とは、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するマイクロ波発熱体からなる発熱層が形成されたグリル皿を加熱室内に設置し、そのグリル皿の上に食品を載置して、マイクロ波エネルギーの照射により発熱層から発生する熱を利用し、その食品を調理するというものである。
従来、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するマイクロ波発熱体からなる発熱層を設けたグリル皿は、図8、図9に示されるような構成のものがある(例えば、特許文献1参照)。上記従来の技術について、図面を参照して説明する。
図8は、特許文献1に記載された従来のマイクロ波発熱体からなる発熱層が設けられたグリル皿の斜視図である。図9は、同マイクロ波発熱体からなる発熱層が設けられたグリル皿の断面図である。図8、図9に示すように、グリル皿101の底面にマイクロ波発熱体からなる発熱層102が設けられている。
図9に示すように、マイクロ波発熱体からなる発熱層102は、グリル皿101の食品が載置される載置面103の裏側の面に設けられている。また、載置面103には、食品の焦げ付きの抑制、調理後のグリル皿の洗浄性を向上させるためにフッ素材料のコーティング層が形成されている。
従来のマイクロ波発熱体からなる発熱層102は、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するマイクロ波吸収材料の粉末とシリコーンのゴム材料の複合物で構成される。マイクロ波吸収材料の粉末はゴム材料と混練され、ゴム中にマイクロ波吸収材料の粒子が均一に分散された状態とした混合物を、ホットプレスなどの方法でグリル皿の基材となる金属面、もしくは塗装面に接着され、発熱層102が形成される。
食品が載置されたグリル皿101を、マイクロ波を発生させるマグネトロンを搭載したマイクロ波加熱装置の所定の位置に配置し、グリル調理を開始する。これにより、マグネトロンから発振されたマイクロ波エネルギーをグリル皿101に設けられたマイクロ波発熱体からなる発熱層102が吸収することによってマイクロ波エネルギーが熱に変換される。これにより、グリル皿101の載置面103が加熱され、載置面103に載置された食品が調理される。
一般的に、グリル調理において、おいしさと、食するのに適した焦げ目とを両立させようとすると、グリル皿101の載置面103を短時間で高温に昇温させる必要がある。しかし、優れた昇温速度と到達温度の高温化を両立するマイクロ波吸収材料が見出せていない。従来は、マイクロ波発熱体からなる発熱層102のマイクロ波吸収材料は、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するものという観点で選定されたMn−Zn系フェライトが用いられている。
また、特許文献2によると、ターンテーブルの回転体に配置される金属プレートの裏面にマイクロ波発熱体からなる発熱層を設けた調理器具が知られている。このマイクロ波発熱体からなる発熱層は、調理中の金属プレートの最高温度よりも低いキュリー温度が選択されたフェライト材料が用いられている。
フェライト材料はキュリー温度に達するとマイクロ波の吸収が停止する。マイクロ波発熱体からなる発熱層として調理中の最高温度よりも低いキュリー温度を有するフェライト材料を用いることによって、フェライト自体がマイクロ波の吸収・停止を制御し、金属プレートの温度を均一に維持するようにしている。
しかしながら、従来のグリル皿のマイクロ波発熱体からなる発熱層に用いられているフェライトは、キュリー温度が220℃程度、あるいは高温調理に適した温度よりも低いキュリー温度である。
これらのフェライトを用いた発熱層はマイクロ波エネルギーを吸収してキュリー温度近傍の温度になるとマイクロ波エネルギーの吸収が低下するため220℃以下の温度までしか昇温させることができない。
その結果、ハンバーグや魚などの調理においては、適度な焦げ目を得ようとすると、調理時間が長くなる。さらに、これとともに、食品にもマイクロ波の一部が吸収され、食品内部の油や水分が加熱されて蒸気となって揮発するため、食品が乾燥してジューシーさやおいしさが失われるという課題を有していた。
一方、前述のフェライト材料に金属窒化物などの誘電体の材料を加えることにより、グリル皿の載置面の到達温度を300℃レベルに高温化することができる。しかし、加熱時間とともに到達温度が上昇することにより、グリル皿101の載置面に形成しているフッ素コーティング層や、マイクロ波発熱体からなる発熱層102に用いているシリコーンゴムの温度が許容される耐熱温度を超えるため、剥離や割れなどの発生により、グリル皿が破損するという課題を有していた。
そのため、温度センサを搭載し、グリル皿の載置面の温度を検知することによってマイクロ波出力を制御するか、あるいはマイクロ波加熱時間の経過によってマイクロ波出力を制御し、グリル皿の載置面の温度がグリル皿を構成している材料の許容される耐熱温度以下となるように設計する必要があった。
しかし、センサの誤動作や故障、調理メニューの選択ミスや食品が載置されていない状態での調理(空焚き)によって300℃以上の高温に昇温することが考えられ、安全性と信頼性の確保が困難であるという課題を有していた。
特開2006−52932号公報 特開平4−263705号公報
本発明は、グリル皿の載置面を短時間で所定の温度に昇温させ、かつグリル皿の食品の載置面の温度を、グリル皿を構成する材料の許容される耐熱温度以下で飽和させる。これにより、食品の調理時間の短縮化とグリル皿の過昇温防止を実現し、マイクロ波加熱装置における高温を必要とするグリル皿調理の性能向上と耐久性、安全性、信頼性を図るものである。
本発明の調理器具は、食品が載置される載置面を有する支持体と、支持体の表面に形成され、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するフェライトを含むマイクロ波発熱体からなる発熱層とを有する調理器具であって、フェライトがFeとMnOとZnOを含み、ZnOに対するFeの重量比を11〜24の範囲とした構成を備える。
このような構成により、本発明の調理器具は、短時間で載置面の温度を高温に昇温させることができるとともに、グリル皿の温度を、構成する材料の許容される耐熱温度以下とすることができる。したがって、食品の調理時間の短縮が可能となり、高温を必要とするグリル皿調理の性能を向上させることができる。さらに、グリル皿の構成材料の破損、劣化を防止することができ、耐久性、信頼性を向上させることができる。
また、本発明の調理器具は、食品が載置される載置面を有する基材と、基材の表面に形成され、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するフェライトを含むマイクロ波発熱体からなる発熱層とを有する調理器具であって、食品が載置面に載置されない状態で飽和する載置面の温度を240〜300℃とした構成を備える。
このような構成により、食品載置面の飽和温度が高温になるように設計しているので、所定の調理温度に短時間で昇温させることができ、調理時間の短縮化を図ることができる。また、食品を乾燥させないで適度な焦げ目を付けることができ、高温でのグリル皿調理の性能を向上させることができる。
また、食品が載置されていない状態で食品の載置面が飽和する最高温度を300℃とすることにより、調理器具であるグリル皿の温度を構成材料の耐熱許容温度以下とすることができるので、グリル皿の構成材料の劣化や破損を防止することができ、安全性、耐久性、信頼性を向上させることができる。
また、本発明の加熱装置は、加熱室と、加熱室内にマイクロ波を供給するマイクロ波発生部と、加熱室内に配置される上記調理器具とを備えた構成を備える。
このような構成により、加熱装置におけるグリル皿調理の性能を向上させることができる。
図1は、本発明の実施の形態1における調理器具であるグリル皿の断面図である。 図2は、同実施の形態1における調理器具であるグリル皿の詳細な構造を示す一部断面図である。 図3は、同実施の形態1におけるマイクロ波発熱体からなる発熱層の構造を示す模式図である。 図4は、同実施の形態1における調理器具であるグリル皿が搭載される加熱装置の断面図である。 図5は、同実施の形態1における調理器具の他の形状のグリル皿を示す斜視図である。 図6は、同実施の形態1におけるマイクロ波発熱体からなる発熱層の効果を示す昇温特性のグラフである。 図7は、本発明の実施の形態2における調理器具であるグリル皿の詳細な構造を示す一部断面図である。 図8は、従来の調理器具であるグリル皿の斜視図である。 図9は、従来の調理器具であるグリル皿の断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるマイクロ波発熱体が形成された調理器具(以下、グリル皿と記す)の断面図である。なお、本実施の形態のグリル皿は、図8で述べた従来のものと同様の形状である。
図1において、グリル皿1は、皿形状の支持体2と、支持体2のいずれか一方の表面に設けられた、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するマイクロ波発熱体からなる発熱層3とから構成される。マイクロ波発熱体からなる発熱層3は、図1に示すように、支持体2の食品が載置される側の表面2Aとは異なる表面2B(グリル皿1の裏面に相当)に形成されることが望ましい。なお、グリル皿1は、図1に示すように、食品から出る油脂などを食品と分離するために、食品の載置面に溝部2Cを設けている。
図2は、本実施の形態1におけるマイクロ波発熱体からなる発熱層3が形成されたグリル皿1の詳細な構造を示す一部断面図である。
図2において、グリル皿1の支持体2は、金属基材などの基材4と、基材4の両面に形成されたポリエーテルスルホン樹脂材料を主成分とする被覆層5と、食品が載置される側の表面2Aの被覆層5に形成された、フッ素樹脂を主成分とするフッ素コーティング層6とから構成される。なお、金属基材以外の基材4として、セラミックや結晶化ガラスなどの耐熱ガラスも用いることができる。金属基材以外の基材4は耐食性が高いので、発熱層3側の基材表面のポリエーテルスルホン樹脂材料を主成分とする被覆層5は必ずしも必要としない。そのため、グリル皿1の支持体2の構成を簡略化できる。
マイクロ波発熱体からなる発熱層3は、食品が載置される側の表面2Aとは異なる表面2Bの被覆層5の表面に形成されている。基材4としては、鉄の鋼板やアルミニウム、亜鉛がメッキされた表面処理鋼板が適用される。
図3は、マイクロ波発熱体からなる発熱層3の構造を示す模式図である。図3において、マイクロ波発熱体からなる発熱層3は、マイクロ波を吸収して発熱するフェライト粉末7と、有機化合物8とを含む組成である。さらに、必要に応じて分散剤やゴムの老化防止剤、酸化防止剤などが添加される。フェライト粉末7は、有機化合物8の中に均一に分散した状態となっている。
次に、本発明のマイクロ波発熱体からなる発熱層3を形成したグリル皿1の製造方法の一例について述べる。
溶融アルミメッキ鋼板などの基材4の両面に、ポリエーテルスルホン樹脂材料を主成分とする塗料を塗布して被覆層5を形成し、その後、一方の被覆層5の表面に、主成分がフッ素樹脂からなる塗料を塗布し、フッ素コーティング層6を形成する。次に、図1に示すように、フッ素コーティング層6が食品の載置面(表面2A)となるようにグリル皿1の形状にプレス加工が施される。
一方、発熱層3に用いられるフェライト粉末7には、グリル皿1の食品の載置面を短時間で高温に昇温させ、かつグリル皿1の許容される耐熱温度以下で飽和する昇温特性が必要である。これを実現するフェライト粉末7は、FeとMnOとZnOを含み、ZnOに対するFeの重量比を11〜24の範囲としたものがよい。この重量比の範囲となるように、出発原料であるFe、Mn、Znを含む炭酸塩や硝酸鉛などを所定の比率で混合し、高温で焼成することによって反応させ、フェライトの結晶構造を有する複合酸化物が造られる。このフェライトの複合酸化物を粉砕することによって、所定の重量比のフェライト粉末7が得られる。
次に、所定の配合量のフェライト粉末7と、有機化合物8として選択したシリコーンゴムとをオープンロールやニーダーなどの混練加工装置を用い、フェライト粉末7がシリコーンゴムの中に均一に分散するまで混練し、その後、架橋剤を添加し、再度混練する。
次に、これらの混練物の固まり、もしくはオープンロールでシート状に分出ししたものを必要量採取し、これをグリル皿1の形状にプレス加工された食品の載置面とは異なる表面2Bの被覆層5の上に配置して、ホットプレスで加圧接着および一次加硫を行う。その後、必要に応じて二次加硫などの熱処理を行うことによって、マイクロ波発熱体からなる発熱層3が形成され、本実施の形態の調理器具であるグリル皿1が得られる。
なお、混練の際にマイクロ波発熱体からなる発熱層3のさらなる耐熱性を付与するための耐熱性剤、老化防止剤や、柔軟性を付与するための油脂剤などを必要に応じて添加してもよい。
また、マイクロ波発熱体からなる発熱層3と被覆層5との接着性を向上させるために、マイクロ波発熱体からなる発熱層3の接着面あるいは被覆層5の面に、接着機能を有するプライマーを塗布し、そのプライマーを介してマイクロ波発熱体からなる発熱層3と被覆層5を接着してもよい。また、予め、フェライト粉末7と有機化合物8の混練時に接着剤を添加してもよい。
また、上述の製造方法では、マイクロ波発熱体からなる発熱層3を被覆層5の上に形成したが、発熱層3が形成される側の表面2Bの被覆層5を設けず、直接、基材4の面(表面2B)と接着してもよい。
図4は、本発明の調理器具であるグリル皿1が搭載される加熱装置の断面図である。
図4において、加熱装置40は加熱室9を有している。加熱室9は、金属材料から構成された金属境界部である右側壁面10、左側壁面11、奥壁面12、上壁面13、底壁面14および食品を加熱室9内に出し入れする開閉壁面である開閉扉(図示せず)により略直方体形状(直方体を含む)に構成される。これにより、給電されたマイクロ波エネルギーをその内部に実質的に閉じ込める。開閉扉は奥壁面12と対向した位置(図4の手前側)に設置される。
本実施の形態の加熱装置40を構成するマイクロ波発生部であるマグネトロン15は、加熱室9に供給するマイクロ波を発生するものである。加熱装置40には、マグネトロン15から発生したマイクロ波エネルギーを加熱室9内に導くための導波管16と、導波管16から加熱室9内にマイクロ波エネルギーを照射するマイクロ波放射部17とが設けられている。底壁面14にはマイクロ波を透過するガラス系やセラミック系の材料からなる封口部18が設けられている。
また、加熱室9の上部には加熱ヒータ19が設けられており、加熱室9の奥壁面12の奥にはコンベクションヒータユニット(図示せず)が設けられている。これにより、加熱装置40は、食品のマイクロ波調理、グリル調理、オーブン調理の機能を有する。
本実施の形態の調理器具であるグリル皿1は、加熱室9の右側壁面10および左側壁面11に設けられた係止部であるレール部20に沿って加熱室9内に挿入され、配置される。本実施の形態では、レール部20は、右側壁面10および左側壁面11のそれぞれに3箇所設けられている。これにより、グリル皿1の設置高さを3段階に調整できるようになっている。
また、加熱室9には加熱室9内の温度を検出するサーミスタ21、食品やグリル皿1などの温度を検出する赤外線センサ22が設けられている。サーミスタ21、赤外線センサ22、マグネトロン15、加熱ヒータ19は、これらの動作を制御する制御部23に電気的に接続されている。
次に、以上の構成からなる加熱装置40を用い、本実施の形態のグリル皿1の動作と作用について説明する。
加熱室9内に、食品(図示せず)を載置したグリル皿1をレール部20に配置し、開閉扉を閉めた状態で所定の指示操作を行う。これにより、制御部23によりマグネトロン15が動作してマイクロ波エネルギーを発生する。発生したマイクロ波エネルギーは、導波管16を経て、マイクロ波放射部17からセラミックなどで形成された封口部18を透過して加熱室9内に照射される。
加熱室9内に照射されたマイクロ波エネルギーは、グリル皿1を構成するマイクロ波発熱体からなる発熱層3で吸収され、熱に変換される。その熱がグリル皿1の食品を載置している載置面(表面2A)に伝達され、食品が加熱される。
フェライトのマイクロ波による発熱メカニズムは、次のように考察できる。
電子レンジなどのマイクロ波加熱装置に使用されるマイクロ波の周波数は2.45GHzである。このような周波数が高い領域ではフェライトの磁気特性である磁束密度(磁化)が磁場に追従できず、磁気損失が発生する。この磁気損失は、複素比透磁率の虚数部で表され、この値が大きいほどマイクロ波エネルギーの吸収による発熱性能が高くなる。
一方、フェライトの温度が上昇すると、磁束密度が小さくなるとともに複素比透磁率の虚数部が小さくなり、マイクロ波エネルギーの吸収量は減少する。フェライトの温度がキュリー温度に達すると磁束密度が0となり、複素比透磁率の虚数部が消失して発熱しなくなり、フェライトが昇温しなくなる。
以上のように、本実施の形態のグリル皿1に適用されるマイクロ波発熱体からなる発熱層3に適用されるフェライト材料は、昇温が速く、高い温度で飽和するものがよいことから、フェライトの磁束密度と複素比透磁率の虚数部が大きく、キュリー温度が高いものがよい。
このような特性を有するフェライトを適用することによって、マイクロ波エネルギーによる発熱性能に優れた発熱層3を得ることができる。
フェライトの発熱メカニズムは前述の通りであるが、その他に誘電損失、導電損失による発熱がある。
グリル皿1の食品が載置される載置面を所定の温度に飽和させるためには、磁性損失以外の発熱作用がないフェライト材料か、もしくは所定の飽和温度を変化させない程度の発熱作用を有するフェライト材料であることが好ましい。
また、グリル皿1を構成する被覆層5、フッ素コーティング層6、マイクロ波発熱体からなる発熱層3に用いる有機化合物8は長期の耐久性を確保するため、食品の載置面が飽和する温度を、グリル皿1を構成する材料が許容される耐熱温度(300℃)以下とする必要がある。
一方、グリル皿調理においては、食品の焦げ目、調理時間の短縮の点から判断すると、グリル皿1の飽和温度は高い方がよい。しかし、食品を載置した場合は食品の熱容量が加算されるため、食品が載置面と接触した部位の温度は、食品がない状態でのグリル皿の食品の載置面の温度よりも低くなる。
通常、ハンバーグや魚などの高温を必要とする食品の調理温度は、200℃前後であり、この調理温度を確保するためのグリル皿1の食品の載置面の温度は、食品が載置されていない状態で240℃以上必要であること、グリル皿1の構成材料の耐熱温度が300℃であることから、調理性能と耐久性・信頼性を両立させるためには、グリル皿1の飽和温度を240〜300℃とすることが好ましい。
これを実現するためには、常温からの昇温速度を速くすることが可能となる高い飽和磁束密度と複素透磁率の虚数部を有し、かつグリル皿1の食品の載置面の飽和温度が240〜300℃になるようなキュリー温度を有するフェライト材料が必要となる。
なお、以下の実施の形態で用いる上記の飽和温度とは、グリル皿1の食品の載置面に食品がない状態(空焚き)で飽和する温度をいう。
しかしながら、マイクロ波発熱体からなる発熱層3としての用途で市販されているフェライト材料はなく、フェライトコアなど電源線、電源トランスなどのノイズ対策として使用されるのがほとんどである。また、市販されているフェライト材料は、kHz〜MHz帯の周波数での複素比透磁率は開示されているが、オーブンレンジなどで使用する2.45GHzなどのGHz帯の周波数の特性は開示されていない。
したがって、マイクロ波発熱体として、特にグリル皿1に用いられる発熱層3の要求仕様(すなわち、高い飽和磁束密度と複素比透磁率の虚数部とを有し、グリル皿1の食品の載置面の飽和温度が240〜300℃)を満たす有用なフェライト材料および組成は不明であった。
そこでフェライト材料を探索し、マイクロ波発熱体としての性能を検討した結果、各種フェライトコア材料の中から電源のトランスに用いられているフェライトコア材料が有用であることを見出した。このフェライトコアは、Fe、MnO、ZnOを含むMn−Zn系フェライトで0℃における飽和磁束密度が約550mT、キュリー温度が約290℃である。このフェライトコアを粉砕することによってフェライト粉末7を作製し、有機化合物8(シリコーンゴム)と混合してグリル皿1の裏面にマイクロ波発熱体からなる発熱層3を形成した。
図4に示す加熱装置40を用い、800Wマイクロ波電力を供給した。その結果、常温から200℃までの昇温速度が速く、最高温度が約280℃で飽和することを確認した。
そこで上記市販のフェライト材料をベースとして、グリル皿1の上記要求仕様を満足するフェライト材料を検討した結果、フェライト粉末7を焼結体としたときの0℃での飽和磁束密度が400mT以上、フェライト粉末7と有機化合物8とを含む発熱層3としたときの常温での複素比透磁率の虚数部が、マイクロ波領域での周波数で1.3以上、フェライト粉末7のキュリー温度が250〜330℃であることが有用であることを見出した。
さらに、上記磁気特性を発現させるためのMn−Zn系フェライトの組成を検討するため、ZnOに対するFeの重量比を変えたフェライト粉末を作製し、これらを有機化合物であるシリコーンゴムと混練し、発熱層を形成したグリル皿を用い、グリル皿の昇温特性、複素比透磁率、キュリー温度を評価した。その結果、フェライト粉末は、ZnOに対するFeの重量比を11〜24の範囲とすることがグリル皿1の昇温特性に優れていることを見出した。
すなわち、フェライト粉末のZnOに対するFeの重量比が11未満の場合、発熱層の複素比透磁率の虚数部が1.3未満、キュリー温度が250℃未満となる。そのため、グリル皿の食品の載置面の昇温が遅くなるとともに、食品の載置面の飽和温度が240℃未満となり、調理性能が悪くなる。
一方、フェライト粉末のZnOに対するFeの重量比が24を超える場合、食品の載置面の昇温は速くなるが、キュリー温度が330℃を超える。その結果、食品の載置面の飽和温度が300℃の許容される耐熱温度以上に昇温するため、グリル皿の構成材料が劣化、もしくは破損し、調理器具として長期の使用ができなくなる。
以上のように、ZnOに対するFeの重量比が11〜24の範囲は、フェライト粉末7を含む発熱層3の複素比透磁率の虚数部が1.3以上、フェライト粉末7のキュリー温度が250〜330℃の特性が得られた。また、食品の載置面(表面2A)の温度は240〜300℃で飽和することが確認された。
したがって、フェライト粉末7のZnOに対するFeの重量比を11〜24の範囲とすることにより、調理性能と、耐久性、信頼性を実現することができる。
フェライト粉末7として用いるMn−Zn系フェライトがFeとMnOとZnOを含み、ZnOに対するFeの重量比が11〜24の範囲の組成とすることにより、フェライトのキュリー温度を高くすることができる。したがって、グリル皿1の載置面の温度を高温にすることが可能となり、グリル皿調理の調理時間を短縮することができ、調理性能を向上させることができる。
また、フェライト粉末7として用いるMn−Zn系フェライトがFeとMnOとZnOを含み、ZnOに対するFeの重量比が11〜24の範囲の組成とすることにより、フェライト粉末のキュリー温度を250〜330℃と高くすることができる。そして、フェライト粉末7のキュリー温度を高くすることによって、グリル皿1の食品の載置面(表面2A)の飽和温度を従来のグリル皿よりも高い240〜300℃とすることができる。
したがって、グリル皿1の食品の載置面(表面2A)の温度を高温にすることが可能となり、グリル皿調理の調理時間を短縮することができ、調理性能を向上させることができる。
また、フェライト粉末7がキュリー温度近傍になると、マイクロ波エネルギーの吸収量が少なくなるように自己制御するため、調理器具であるグリル皿1を構成する材料が許容される耐熱温度以下、すなわち300℃以下で食品の載置面の温度を飽和させることが可能となる。
以上のように、フェライト粉末7の組成は、FeとMnOとZnOを含み、ZnOに対するFeの重量比を11〜24の範囲とすることにより、グリル皿1の構成材料の過昇温による破損やグリル皿1の構成材料の発火や他の部材への延焼を防止することができ、耐久性、信頼性を向上させることができる。
さらに、グリル皿1の過昇温を防止する安全装置を必要としないため、複雑な電子制御・制御デバイスが不要となり、低コスト化を図ることができる。
グリル皿1の構成材料の耐熱許容温度は300℃であることを述べたが、グリル皿1の飽和温度は、長期の耐久性から判断すると300℃よりも低い280℃を上限とし、調理性能との両立を図るために240〜280℃とすることが好ましい。
240〜280℃のグリル皿1の飽和温度を実現するためには、本発明のマイクロ波発熱体からなる発熱層3に用いるフェライト粉末7のキュリー温度は、250〜300℃であることが好ましい。このキュリー温度を発現させるMn−Zn系のフェライト粉末7のZnOに対するFeの重量比は、11〜17.5の範囲であることが好ましい。
さらに、調理性能を向上させるためにはグリル皿1の飽和温度を260℃以上とすることがよい。さらなる調理性能と優れた耐久性、信頼性を両立させるためには、グリル皿1の飽和温度を260〜280℃とすることが好ましい。食品の載置面(表面2A)の飽和温度を260〜280℃とするためのフェライト粉末7のキュリー温度は、280〜300℃であることが好ましく、これを実現するフェライト粉末7のZnOに対するFeの重量比は、14.5〜17.5の範囲であることが好ましい。
さらに好ましくは、ZnOに対するFeの重量比は、キュリー温度が280〜300℃となる14.5〜17.5である。
また、Mn−Zn系のフェライト粉末7のFeの含有量は、ZnOに対するFeの重量比が11〜24の範囲では、70〜76重量%の範囲であることが好ましい。
Feの含有量が70重量%未満の場合、昇温に寄与する磁気特性(飽和磁束密度、複素比透磁率の虚数部)が低下することによる昇温速度の低下やキュリー温度が240℃未満となる。含有量が76重量%を超える場合、昇温に寄与する磁気特性が低下することによる昇温速度の低下やキュリー温度が330℃を超える。すなわち、Feの含有量が70〜76重量%の範囲でない場合は、本発明の目的が達成できなくなる。
また、フェライト粉末7のZnOに対するFeの重量比の範囲が11〜17.5と14.5〜1である場合、Feの含有量は、それぞれ、70〜74重量%と72〜74重量%が適している。
なお、本実施の形態1に用いるフェライト粉末7は、発熱層3の複素比透磁率の虚数部による磁気損失と、フェライト粉末7のキュリー温度とを利用して、グリル皿1の食品の載置面の温度がグリル皿1の耐熱許容温度以下となるように飽和させるため、誘電損失などその他の作用による発熱は小さくする必要がある。
例えば、フェライト粉末7と有機化合物8であるシリコーンゴムとを含む発熱層3の複素比誘電率の虚数部(誘電損失)は0.7以下であれば、誘電損失による発熱を抑制することができる。そのため、マイクロ波発熱体からなる発熱層3を所定の温度で飽和させることが可能である。
フェライト材料としては、Mn−Zn系フェライトの他に、Mg−Zn系、Ni−Zn系のフェライトがある。これらの中で、本実施の形態における好ましい磁気特性、キュリー温度が満足するものであれば適用できる。
食品の載置面(表面2A)の温度の飽和現象は、マイクロ波発熱体からなる発熱層3がマイクロ波エネルギーを吸収して発熱する発熱量と、加熱されたグリル皿1からの伝導、対流、放射による放熱量がバランスすることよって起こる。すなわち、本実施の形態1では、食品が載置面(表面2A)に載置されない状態で発熱層3による発熱と、調理器具であるグリル皿1からの放熱とがバランスして飽和する載置面(表面2A)の温度を240〜300℃としている。
また、本実施の形態によると、発熱層3に含まれるフェライト粉末7がキュリー温度近くになると、フェライトの特性である飽和磁束密度、複素比透磁率の虚数部が低下し、マイクロ波エネルギーの吸収が低下する。したがって、食品の載置面の温度が高くなるにつれ、発熱量が減少することになり、食品の載置面は、フェライト粉末7のキュリー温度よりも低い温度で飽和する。
なお、グリル皿1の調理性能と構成材料の許容される耐熱温度が両立する温度が240〜300℃とすると、この温度で飽和させるためのマイクロ波発熱体からなる発熱層3に用いるフェライト粉末7のキュリー温度は、250〜330℃である。
食品の載置面(表面2A)の飽和温度を240〜300℃の高温とすることにより、所定の調理温度に短時間で昇温させることができ、調理時間の短縮化を図ることができる。さらに、食品を乾燥させないで適度な焦げ目を付けることができ、高温でのグリル皿調理の性能を向上させることができる。
また、食品が載置されていない状態で食品の載置面が飽和する最高温度を300℃とすることにより、調理器具であるグリル皿の構成材料を耐熱許容温度以下とすることができる。したがって、グリル皿の構成材料の劣化や破損を防止することができ、安全性、耐久性、信頼性を向上させることができる。
一方、発熱層3が発熱層3に含まれるフェライト粉末7のキュリー温度あるいはそれ以上の温度になると、マイクロ波エネルギーの吸収がなくなる。
この温度で加熱室9にマイクロ波を照射し続けると、マイクロ波の電界が発熱層3以外の箇所(加熱室9を構成する右側壁面10、左側壁面11、奥壁面12、上壁面13、底壁面14など)に集中してスパークが発生すること、マイクロ波が加熱室9内で反射して導波管16を経てマグネトロン15に戻り、マイクロ波放射部17が破損することなど、安全性、信頼性を損なう可能性がある。
本実施の形態では、食品の載置面がフェライト粉末7のキュリー温度より低い温度で飽和する構成としているため、発熱層3のフェライト粉末7は加熱室9に照射されたマイクロ波の吸収を持続することができる。
したがって、加熱室9の他の部材への電界集中やマグネトロン15へのマイクロ波の反射が抑制され、加熱室9内でのスパークやマグネトロン15の破損を防止することができるので安全性、信頼性を確保することができる。
食品の種類によって多少異なるが、経験的にグリル皿調理においてはグリル皿1の食品の載置面の温度を200℃以上に到達する時間が2分以内であることが好ましい。そのために、少なくとも常温から200℃の温度範囲において、マイクロ波エネルギーを吸収する発熱層3の複素比透磁率の虚数部を大きくすることが必要となる。
マイクロ波発熱体からなる発熱層3の常温の複素比透磁率の虚数部は、1.3以上が好ましい。複素比透磁率の虚数部を1.3以上とすることにより、発熱層3のマイクロ波エネルギーの吸収を高くすることができ、グリル皿1の食品の載置面の温度の立ち上がりを速くすることができる。
一方、発熱層3の温度が上昇すると、発熱層3の複素比透磁率の虚数部は、フェライト粉末7の飽和磁束密度の低下によって小さくなる。その結果、発熱層3の温度が上昇するにつれ、昇温速度は遅くなり、調理に必要な温度への到達時間が長くなる傾向になる。
したがって、昇温速度を速くするために、発熱層3は、常温から200℃までの複素比透磁率の虚数部の低下を少なくすることが必要である。
常温から200℃までの発熱層3の複素比透磁率の虚数部は、常温の複素比透磁率の虚数部の値の50%以上であれば、発熱層3の昇温速度の低下を抑制することができ、グリル皿1の食品の載置面の温度を2分以内で200℃以上に到達させることができる。
複素比透磁率の虚数部の温度依存性は、フェライトの飽和磁束密度、キュリー温度に関係していると考えられ、複素比透磁率の虚数部は、飽和磁束密度が大きく、キュリー温度が高くなると大きくなる。
以上のことから、グリル皿1の食品の載置面の優れた昇温性能を実現するためには、発熱層3の常温の複素比透磁率の虚数部が1.3以上であり、常温から200℃までの複素比透磁率の虚数部は、常温の複素比透磁率の虚数部の値の少なくとも50%以上であることが好ましい。発熱層3に用いられるMn−Zn系のフェライト粉末7において、ZnOに対するFeの重量比が11〜24の範囲であれば、複素比透磁率の虚数部は、1.3以上を実現することができる。
その結果、調理器具であるグリル皿1の食品の載置面の温度をフェライト粉末7のキュリー温度近傍に短時間で昇温させることができる。その結果、調理時間をさらに短縮することができ、調理能を一層向上させることができる。
また、グリル皿1の載置面と接触している食品を素早く焼くことができるため、食品の載置面へのこびり付きが抑制され、調理後のグリル皿からの食品の取り出しや、グリル皿の洗浄などの手入れを容易に行うことができる。
なお、複素比透磁率は、ネットワークアナライザーを用い、Sパラメータ法で試料ホルダーを所定の温度に加熱して測定している。
有機化合物8の材料としては、耐熱性の高いゴムや樹脂が挙げられる。フェライト粉末7を含むマイクロ波発熱体からなる発熱層3は、これらの有機化合物8を用いることによって、ホットプレス加工などによりグリル皿1に容易に形成することができる。
また、有機化合物8がグリル皿1の支持体2と発熱層3の強固な接着を実現することができるので耐久性を向上させることができる。
また、比較的低温で発熱層3を形成することができるのでグリル皿1の構成材料の劣化を防止することができる。
有機化合物8としては、特にシリコーンゴムやフッ素ゴムがよい。中でもシリコーンゴムは、耐熱性が高く、かつ発熱層3とグリル皿1の支持体2との接着性をより向上させることができる。そのため、発熱層3の剥離やクラックが防止され、長期にわたり初期の発熱性能を保持することができ、常に安定したグリル皿調理の性能を実現することができる。
また、シリコーンゴムは優れた耐熱性と耐化学薬品性を有するため、耐久性、信頼性の高い発熱層3を実現することができる。
また、シリコーンゴムを用いることによって発熱層3の膜厚を厚く構成することができるので、マイクロ波の吸収に必要なフェライト粉末7を多量に含有させることができる。
この構成により、フェライト粉末7のマイクロ波エネルギーの吸収量を多くすることが可能となり、昇温速度の速いマイクロ波発熱体を実現することができる。
本実施の形態のグリル皿1は、マイクロ波発熱体からなる発熱層3によって加熱されるが、グリル皿1の大きさが大きくなると、グリル皿1からの放熱量が大きくなり、食品の載置面の飽和温度が低くなる。一方、グリル皿1が小さくなると、放熱量が少なくなり、食品載置面の飽和温度が高くなる。
グリル皿1からの放熱量に応じてグリル皿1の許容耐熱温度近傍で飽和するようなキュリー温度を有するフェライト粉末7を用いればよい。
しかし、これに整合したフェライトの新規開発や製造するための投資を考慮すると実用的でない。フェライト粉末7を焼結体としたときの0℃での飽和磁束密度が400mT以上、フェライト粉末7とシリコーンゴムとを含む発熱層3としたときの常温の複素比透磁率の虚数部が1.3以上、常温から200℃までの複素比透磁率の虚数部が常温の複素比透磁率の虚数部の値の少なくとも50%以上であり、かつフェライト粉末7のキュリー温度が250〜330℃の特性を有するフェライト粉末7を有効に利用するためには、グリル皿1に形成される発熱体を主成分とする発熱層3の面積を規定する必要がある。
グリル皿1を用いたグリル調理は、通常、800W前後のマイクロ波出力が使用される。800Wでグリル皿1を加熱する場合、発熱層3の面積が0.1mを超えると、グリル皿1が大きくなることによって熱容量が大きくなる。そのため、食品の載置面(表面2A)の昇温に時間がかかり、グリル皿調理に適している2分以内に200℃に昇温させることができなくなる。
また、食品の載置面の面積も大きくなることによって加熱された面からの放熱量が多くなり、食品の載置面(表面2A)の飽和温度が240℃未満になる。その結果、調理時間が長くなるとともに、食品の適した焦げ目、おいしさが得られなくなる。
一方、発熱層3の面積が0.05m未満になると、発熱層3に含まれるフェライト粉末7の量が少なくなることによって発熱層3のマイクロ波エネルギーの吸収が少なくなる。その結果、発熱層3以外の部材にマイクロ波の電界が集中にしてスパークが発生することや、反射したマイクロ波によってマグネトロンの破損など、耐久性、安全性を損なう可能性がある。また、食品へのマイクロ波エネルギーの吸収も増加し、食品の水分量の低下など、おいしさを阻害する原因となる。
したがって、発熱層3の面積は、0.05〜0.1mとすることにより、食品の載置面(表面2A)を短時間で昇温させることができるとともに、所定の飽和温度に加熱することができるので優れた調理性能を実現することができる。
また、調理時間の短縮化と省エネルギー化を図ることができる。さらに、マグネトロンの破損やスパークの発生を防止することができ、加熱装置40の耐久性、安全性を確保することができる。
食品の載置面(表面2A)の飽和温度を260〜280℃とする場合、発熱層3のマイクロ波エネルギー吸収量とグリル皿1からの放熱量のバランス幅が狭くなるため、発熱層3の面積は0.06〜0.08mの範囲が適している。
本実施の形態のマイクロ波発熱体からなる発熱層3は、膜厚が2mmを超える場合、発熱層3の重量の増加による熱容量の増加や、熱伝導が悪くなることによる食品の載置面(表面2A)への熱伝達の低下によって食品の載置面(表面2A)の昇温速度が遅くなる。また、膜厚が厚いことにより、コストが高くなる。
一方、発熱層3の膜厚を0.5mm未満にすると、フェライト粉末7の量が不足して食品の載置面(表面2A)の飽和温度が低くなる。
したがって、昇温速度の向上と、240〜300℃の食品の載置面(表面2A)の飽和温度の実現を両立するためには、発熱層3の膜厚を0.5〜2mmとすることが好ましい。また、発熱層3の膜厚を0.5〜2mmとすることによって、優れた調理性能と調理時間の短縮化を実現することができる。
また、食品の載置面の飽和温度を260〜280℃とする場合、発熱層3のマイクロ波エネルギー吸収量とグリル皿1からの放熱量のバランス幅が狭くなるため、発熱層3の膜厚は、0.7〜1.5mmの範囲が適している。
さらに、安定した昇温性能を得るためには、発熱層3の膜厚を0.9〜1.1mmの範囲とすることが望ましい。
また、フェライト粉末7の配合量が多くなると、発熱層3の昇温性能は向上するが、以下の3つの課題が発生する。
第1に、有機化合物8と食品の載置面との接着性が悪くなり、発熱層3の剥離がしやすくなる。第2に、有機化合物8とフェライト粉末7の発熱体組成物が硬くなり、ホットプレス時の発熱体組成物の流動性が悪く、均一な膜厚の発熱層3が得られない。これによって、発熱層3の加熱むらが大きくなり、調理性能が低下する。第3に、形成された発熱層3が硬くなりことによって、耐熱衝撃や耐機械的衝撃が低下し、グリル皿1の落下や冷熱の繰り返しが起こると発熱層3が破損する可能性がある。
一方、フェライト粉末7の配合量が少なくなると、発熱層3のマイクロ波エネルギーの吸収性能が低下し、満足する昇温性能が得られなくなる。
食品の載置面の飽和温度を240〜300℃とした場合、上記課題を解決し、耐久性、昇温性能、調理性能に優れた発熱層3を得るための発熱層3のフェライト粉末7の配合量は、50〜90重量%の範囲が好ましい。
また、食品の載置面の飽和温度を260〜280℃とする場合、発熱層3のマイクロ波エネルギー吸収量とグリル皿1からの放熱量のバランス幅が狭くなるため、フェライト粉末7の配合量は、65〜85重量%の範囲が適している。
さらに、安定した昇温性能を得るためには、フェライト粉末7の配合量を75〜80重量%の範囲とすることが好ましい。
加熱室9にマイクロ波が照射されると、加熱室9内でマイクロ波の定在波が生じる。その結果、加熱室9内にマイクロ波エネルギーの強弱が発生し、グリル皿1の底面に接着されているマイクロ波発熱体からなる発熱層3の面もマイクロ波エネルギーの強弱によってマイクロ波の吸収量が異なり、不均一な温度分布となる。
グリル皿1の支持体2の材料は、熱伝導率が高いほど発熱層3からの熱を効率よく伝達でき、食品の載置面の温度分布を均一にすることができる。しかし、熱伝導が高すぎると食品の載置面以外へも熱が伝達され、グリル皿1からの放熱量が増加し、食品の載置面の飽和温度が低下する。
一方、支持体2として熱伝導率が低すぎる材料は、発熱層3に発生した不均一な温度分布を均一にすることができず、食品の焼きむらが発生し、調理性能を悪化させる。
熱伝導率が高すぎる材料としては、アルミニウムや銅などの熱伝導率が200W/m・K以上のものが挙げられる。熱伝導率が低すぎる材料としては、セラミックやガラスなど熱伝導率が10W/m・K以下のものが挙げられる。これらの材料は支持体2として好ましくない。
本実施の形態のグリル皿1の支持体2としては、熱伝導率が50〜150Wの材料が好ましい。この材料としては鉄を主成分とする鋼板、アルミニウムや亜鉛がメッキされた鉄を主成分とする表面処理鋼板、塗料によって塗装された鉄を主成分とする表面処理鋼板が挙げられる。
鉄を主成分とする鋼板は、熱伝導率が約85W/m・Kでありアルミニウムより低いが、機械的強度が高く支持体2の厚みを薄くする。そのため、発熱層3から食品の載置面への熱抵抗を小さくすることができ、効率よく熱を伝達することができる。
また、鉄を主成分とする鋼板は、アルミニウムよりは温度分布の均一性は劣るが、食品の載置面全体の温度分布を均一化することができる。
さらに、鉄を主成分とする鋼板は、発熱層3からの食品の載置面以外への方向の熱抵抗を大きくすることができる。これにより、食品の載置面以外への熱ロスを抑制することができるので、食品の載置面の温度を高い温度で飽和させることができる。
より好ましいグリル皿1の支持体2の熱伝導率は、80〜150W/m・Kである。
なお、本実施の形態のグリル皿1は、高温でのグリル皿調理の性能を向上させることを目的としているが、高温を必要としないグリル皿調理、例えば、解凍調理、温め調理に対してはマイクロ波電力の出力制御よって対応することができる。
また、フェライト粉末7に、フェライト粉末7よりもキュリー温度が低く、かつ磁気損失よりも誘電損失の大きな誘電体粉末を混合して発熱層3を構成することも有用である。
この場合、食品載置面の飽和温度は、フェライトのキュリー温度によって決まるのでグリル皿1の構成材料の許容される耐熱温度以下とすることができ、耐久性、信頼性を確保することができる。
また、逆にキュリー温度が低いフェライト粉末に、フェライト粉末よりもキュリー温度が高い誘電体粉末を混合して発熱層3を構成したものも適用できる。
この場合、誘電体粉末にグリル皿1の構成材料の許容される耐熱温度以下に飽和させる機能を持たせることによって同様な効果を得ることができる。
さらに、キュリー温度が同等で誘電損失の大きな誘電体粉末と磁気損失の大きなフェライト粉末を混合して構成した発熱層3も適用でき、同様な効果を得ることができる。
フェライト粉末と誘電体粉末の組成、配合は、昇温速度が速く、グリル皿1の食品の載置面を所定の温度で飽和させる機能を有することを前提とし、発熱層3の製造、コスト、支持体2との接着性、使用環境の適用性など利点を勘案して必要に応じて選択される。
図5は、本実施の形態において、形状が異なるグリル皿を示す斜視図を示すものである。本実施の形態のマイクロ波発熱体からなる発熱層3は、図5に示すグリル皿形状にも適用できる。
図5に示すように、グリル皿24の食品が載置される載置面(表面2A)は、端部2Dよりも中央部2Eを広くした構成である。これにより、食品が載置される可能性が高いグリル皿24の中央付近の載置面の面積を大きくしている。
このグリル皿24によると、食品と載置面(表面2A)との接触面積を大きくすることができる。そのため、図8と同じ形状のグリル皿1(図1参照)よりも発熱層3から食品に伝達される熱を多くすることができるので、調理時間の短縮化、グリル皿調理の性能を一層図ることができる。
また、食品との接触面積が大きくなることにより、食品の焦げむらを少なくすることができるので、食品の仕上がり状態を向上させることができる。さらに、食品の乾燥むらも抑制できるのでジューシーさ、おいしさを向上させることができる。
次に、本実施の形態1の具体的な温度特性について述べる。図6は、本実施の形態1におけるマイクロ波発熱体からなる発熱層3の効果を示す昇温特性のグラフである。図6は、図4に示す加熱装置を用い、食品を載置していないグリル皿1を加熱室9内の所定の位置に配置し、800Wのマイクロ波電力を照射したときのマイクロ波発熱体からなる発熱層3の発熱性能を加熱時間毎に評価した結果を示している。
なお、比較例として、2種の従来のマイクロ波発熱体からなる発熱層を形成したグリル皿についても同様に評価した。
図6において、線Aは本実施の形態の、キュリー温度が約300℃、0℃における飽和磁束密度が約550mT、ZnOに対するFeの重量比が15.5のFe、MnO、ZnO、を含むMn−Zn系のフェライト粉末7を用い、マイクロ波発熱体からなる発熱層3を形成したグリル皿1の食品の載置面の昇温特性である。
線Bは比較例としての従来の発熱層の昇温特性を示し、ZnOに対するFeの重量比が9.8、キュリー温度が約220℃、0℃における飽和磁束密度が約540mTのMn−Zn系のフェライト粉末7を用いたマイクロ波発熱体からなる発熱層3を形成したグリル皿の食品の載置面の昇温特性である。
線Cは比較例としての他の従来の発熱層の昇温特性を示し、線Bの特性を有する発熱層と同じフェライト粉末7に誘電体材料を加えた組成物でマイクロ波発熱体からなる発熱層3を形成したグリル皿の食品の載置面の昇温特性である。
なお、線Aの特性を有する本実施の形態の発熱層3の200℃までの複素比透磁率の虚数部は、常温での複素比透磁率の虚数部に対して約69%、線Bをその昇温特性とする発熱層の場合は41%である。
図6に示すように、本実施の形態の発熱層3(線A)を有するグリル皿1の食品の載置面の温度は、昇温速度が速く、加熱時間2分で230℃以上、3分で約270℃に到達し、5分以上では約280℃で飽和する傾向にある。
一方、線Bの特性を有する発熱層を有するグリル皿の食品の載置面は、加熱時間1分までは本実施の形態の発熱層3(線A)とほぼ同等の昇温速度を示すが、それ以上の時間では昇温速度が遅くなり、5分以上では約250℃で飽和する傾向にある。
これは、本実施の形態の発熱層3(線A)の方が、0℃における飽和磁束密度、常温での複素比透磁率の虚数部に対する200℃までの複素比透磁率の虚数部が、線Bの特性を有する発熱層よりも高く、磁気損失による発熱性能の低下が少ないこと、本実施の形態の発熱層3(線A)に用いているフェライト粉末7のキュリー温度が、線Bの特性を有する発熱層に用いているフェライト粉末より高いことによるものである。
線Bの特性を有する発熱層が設けられたグリル皿は、フェライト粉末のキュリー温度が約220℃にもかかわらず、約250℃の温度まで昇温している理由は、用いているMn−Zn系フェライト粉末の組成や不純物によって誘電損失による発熱が現れたことによるものと考えられる。
さらに、線Cの特性を有する発熱層が設けられたグリル皿における食品の載置面は、加熱時間3分以内では線Bとほぼ同等の昇温速度であり、それ以上の加熱時間で徐々に温度が上昇し、食品の載置面の温度が飽和しない傾向にある。
線Cの特性を有する発熱層は、線Bの特性を有する発熱層の場合と同じフェライト粉末であるため、初期の昇温特性は線Bと同じであるが、線Cの特性を有する発熱層はさらに誘電体粉末を加えているため、この誘電体粉末の誘電損失が出現し、昇温値が線Bの特性を有する発熱層よりも高くなったものと考えられる。
また、線Cにおいて、食品の載置面の温度が飽和しない理由は、加えた誘電体粉末のキュリー温度が高く、マイクロ波エネルギーの吸収による発熱が持続していることにあると考えられる。
線Cのように、食品の載置面の温度が高くなると、グリル皿調理の性能は向上するが、食品の載置面の温度が飽和しないので加熱時間を延長すれば、グリル皿を構成する材料の許容される耐熱温度を超え、耐久性が損なわれる可能性を有する。
以上のように、本実施の形態のグリル皿1は、キュリー温度が約290℃、0℃における飽和磁束密度が約550mT、ZnOに対するFeの重量比が15.5のFe、MnO、ZnO、を含むMn−Zn系のフェライト粉末7を用い、マイクロ波発熱体からなる発熱層3を形成することにより、短時間で食品載置面の温度を昇温させることができ、優れたグリル皿調理の性能を実現することできる。
また、フェライト粉末7のキュリー温度が290℃のものを用いることにより、食品の載置面の温度をキュリー温度以下で飽和させることがきるので、グリル皿1の構成材料の許容される耐熱温度を確保することができ、優れた耐久性を実現することができる。
さらに、何らかの原因で発熱層3の一部に電界が収集して異常加熱が発生してもフェライト粉末7のキュリー温度を超えての温度上昇を防止することができるので、発熱層3を構成するゴム材料の発煙、発火を防止することができ、安全性も向上させることができる。
なお、本実施の形態では、フェライトにおいて、ZnOに対するFeの重量比の範囲が11〜24で、載置面に載置されない状態の飽和する温度が240〜300℃である例で説明したが、これに限られない。例えば、載置面に載置されない状態の飽和する温度を240〜300℃にできる構成であれば、特に、ZnOに対するFeの重量比の範囲が11〜24である必要はない。つまり、グリル皿1の発熱層3として用いる発熱材料や組成または温度制御により、載置面に載置されない状態で240〜300℃の飽和温度を実現してもよい。
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2におけるマイクロ波発熱体からなる発熱層3が形成されたグリル皿1の詳細な構造を示す一部断面図である。
実施の形態1と異なる点は、フッ素コーティング層6の代わりに赤外線放射率が0.9以上の被覆層26を設けた点、および発熱層3を基材4に直接形成した点であり、その他の材料は実施の形態1と同じものが適用される。
図7において、支持体25は、基材4と、食品が載置される側(表面2A)の基材4に赤外線放射率が0.9以上の被覆層26を形成した構成を有する。マイクロ波発熱体からなる発熱層3は、食品が載置される側の表面2Aとは異なる表面2Bの基材4の表面に形成されている。基材4としては、アルミニウムや亜鉛がメッキされた表面処理鋼板、鉄板が適用される。
実施の形態1で用いたグリル皿1において、フッ素コーティング層6の表面の赤外線放射率は、2〜20μmの波長範囲で食品の載置面の温度を200〜250℃としたとき、約0.8である。
グリル皿1は、図1に示すように、食品から出る油脂などを食品と分離するために、食品の載置面に溝部2Cを設けている。しかし、この溝部2Cは食品と接触しないため、マイクロ波発熱体の発熱層3の熱が食品に伝達されにくく、焼きむらの発生による食品の仕上がり状態が悪くなる。
本実施の形態2によると、グリル皿1の食品の載置面(表面2A)に、フッ素コーティング層6の代わりに赤外線放射率が0.9以上の被覆層26を設けることにより、マイクロ波発熱体の発熱層3によって加熱された食品の載置面(表面2A)の放射率を大きくすることができる。これによって、載置面(表面2A)と接触していない食品の部位(グリル皿1の溝部3C)を輻射熱によって加熱することができるので、食品の調理性能を向上させることができる。
本実施の形態2の赤外線放射率が0.9以上の被覆層26は、シリカを主成分とするセラミック材料、あるいはガラス材料(ほうろう)がよい。
シリカはマイクロ波を透過する特性を有するため、被覆層26のグリル皿1の食品の載置面側(表面2A側)に回り込んだマイクロ波エネルギーの吸収がない。そのため、食品へのマイクロ波エネルギーの吸収量の減少が防止され、調理性能を向上させることができる。
また、被覆層26としてシリカを主成分とするセラミック質、あるいはガラス質とすることにより、グリル皿1の構成材料の許容される耐熱温度を向上させることができる。これによって、グリル皿1の食品の載置面(表面2A)の温度をより高くすることができるので、グリル皿調理の性能をさらに向上させることができる。
また、被覆層26は表面の硬度を大きくすることができる。したがって、食品を取り出す際に金属ヘラを用いたり、グリル皿1を洗浄する際に硬いナイロン束子を用いたりしても、被覆層26の傷や剥離が発生することがなく、優れた耐久性を実現することができる。
さらに、被覆層26に防汚性を付与することも有用である。これによって、調理時に食品そのもの、食品から出る油脂、調理に使用する調味料などのこびり付きを低減することができる。したがって、グリル皿1の洗浄などの手入れをさらに容易に行うことができ、グリル皿1の耐汚染性を向上させることができる。
防汚性を発現させるためには2つの方法がある。1つは食品の載置面(表面2A)に撥水性を発現させ、汚染物の付着量を少なくするとともに、汚染物の付着エネルギーを小さくすることにより、洗浄の際に汚染物を落とし易くする方法である。被覆層26への撥水の防汚性の発現は、被覆層26のベース材料に食品衛生上問題のないシリコーン油などの有機物成分を添加することによって実現することができる。
また、撥水以外の防汚性の発現は、被覆層26の表面に微少の凹凸を形成することによっても実現することができる。この微少の凹凸の形成は、被覆層26の焼成条件、有機物の選定など形成条件を制御することによって実現可能である。
もう1つは、撥水性とは逆に、食品の載置面(表面2A)に親水性を発現させ、付着した汚染物と食品の載置面(表面2A)の間に洗浄で使用する水が浸透し易くし、汚染物を落とし易くする方法である。被覆層26への親水の防汚性の発現は、被覆層26のベース材料に表面エネルギーを小さくする材料を添加することによって実現することができる。
なお、実施の形態2において、マイクロ波発熱体からなる発熱層3は、基材4の表面2Bに直接設けている。しかし、これに限定されるものでなく、基材4の耐食性を向上させるために、実施の形態1で述べた被覆層5や、他の耐熱性を有する被覆層を設け、その上に発熱層3を形成してもよい。
なお、実施の形態1、2において、マイクロ波発熱体からなる発熱層3は、有機化合物8として、ゴム材料、特にシリコーンゴムを用いている。しかし、これ以外にほうろうで用いられるフリット、アルミナゾル、シリカゾルなどの無機質バインダーなど被覆層26として使用する材料を用いることができる。
発熱層3に上記材料を用いることにより、グリル皿の耐熱許容温度を実施の形態1で述べたグリル皿1よりも高くすることができ、耐久性、信頼性をさらに向上させることができる。
また、発熱層3の有機化合物8の代わりに、ほうろうで用いられるフリット、アルミナゾル、シリカゾルなどの無機質バインダーなど被覆層26として使用する材料を用いることにより、グリル皿の構成材料を不燃性とすることができるので、耐久性に加え、安全性を向上させることができる。
また、マイクロ波発熱体からなる発熱層3のさらなる耐久性を向上させるため、マイクロ波に対して透過性が高い材料の保護層を発熱層3の上に設けてもよい。保護層の材料としては、前述のほうろうで用いられるフリット、アルミナゾル、シリカゾルなどの無機質バインダーや、被覆層26として使用する材料が挙げられる。
以上説明したように本発明の調理器具は、食品が載置される載置面を有する基材と、基材の表面に形成され、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するフェライトを含むマイクロ波発熱体からなる発熱層とを有する調理器具であって、フェライトがFeとMnOとZnOを含み、ZnOに対するFeの重量比を11〜24の範囲とした構成を備える。
このような構成により、フェライトのキュリー温度を高くすることができるのでグリル皿の載置面の温度を高温にすることが可能となる。したがって、グリル皿調理の調理時間を短縮することができ、グリル皿調理の性能を向上させることができる。
また、フェライトがキュリー温度近傍になるとマイクロ波エネルギーの吸収量が少なくなるように自己制御するため、調理器具であるグリル皿の温度を構成する材料の許容される耐熱温度以下で飽和させることが可能となる。したがって、過昇温によるグリル皿の構成材料の破損や発火や他の部材への延焼を防止することができ、安全性、耐久性、信頼性を向上させることができる。
さらに、グリル皿の過昇温を防止する安全装置を必要としないため、複雑な電子制御・制御デバイスが不要となり、低コスト化を図ることができる。
また、本発明の調理器具は、食品が載置される載置面を有する基材と、基材の表面に形成され、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するフェライトを含むマイクロ波発熱体からなる発熱層とを有する調理器具であって、食品が載置面に載置されない状態で飽和する載置面の温度を240〜300℃としたものである。
このような構成によれば、食品載置面の飽和温度が高温になるように設計しているので、所定の調理温度に短時間で昇温させることができ、調理時間の短縮化を図ることができる。
また、食品を乾燥させないで適度な焦げ目を付けることができ、高温でのグリル皿調理の性能を向上させることができる。
また、食品が載置されていない状態で食品の載置面が飽和する最高温度を300℃とすることにより、調理器具であるグリル皿の温度を構成材料の耐熱許容温度以下とすることができるので、グリル皿の構成材料の劣化や破損を防止することができ、安全性、耐久性、信頼性を向上させることができる。
また、本発明は、発熱層がフェライトの粒子と有機化合物とを含むものである。このような構成によれば、フェライトを含むマイクロ波発熱体からなる発熱層をグリル皿に容易に形成することができる。
また、有機化合物によって調理器具であるグリル皿の基材と発熱層の強固な接着性を実現することができるので、耐久性を向上させることができる。
また、比較的低温で発熱層を形成することができるのでグリル皿の構成材料の劣化を防止することができる。
また、本発明は、発熱層に含まれる前記有機化合物としてシリコーンゴムを含むものである。
このような構成によれば、発熱層の耐熱性を向上させることができるとともに、より優れたグリル皿と発熱層の接着を実現することができる。
また、発熱層の厚さを厚くすることができるのでマイクロ波の吸収に必要なフェライトの量を多くすることができ、昇温速度の速いマイクロ波発熱体を実現することができる。
また、本発明は、200℃までの複素比透磁率の虚数部が、常温での複素比透磁率の虚数部の少なくとも50%を有するものである。
このような構成によれば、発熱層の温度が上昇する過程においても発熱層自体のマイクロ波吸収の低下を抑制することができる。そのため、発熱層の昇温速度の低下が抑制され、調理器具であるグリル皿の載置面を短時間で高温に昇温させることができる。
また、本発明は、発熱層の面積が0.1mまたは0.1mより小さいものである。
このような構成によれば、通常使用される800W前後のマイクロ波出力で調理器具であるグリル皿を加熱しても、グリル皿の熱容量の増加や加熱されたグリル皿からの放熱量を抑制することができる。したがって、所定の温度に短時間で昇温させることができ、調理時間の短縮化と省エネルギー化を図ることができる。
また、昇温速度を低下させることなく、発熱と放熱によってバランスして飽和する温度を、フェライトのキュリー温度近傍でかつキュリー温度よりも低くなるように容易に設定することができるので、調理性能に優れたグリル皿を実現することができる。
また、本発明は、基材の熱伝導率を50〜150W/mKの範囲であるものである。
このような構成によれば、熱伝導が高すぎることによって起こるグリル皿の食品の載置面以外への熱伝達、放熱面積の拡大による放熱量の増加、熱伝導が低すぎることによって起こる食品載置面の温度分布の不均一性を抑制することができるので、食品の加熱効率に優れたグリル皿を実現することができる。
また、本発明は、食品が載置される載置面に、赤外線放射率が基材よりも高い材料からなる被覆層を形成するものである。
このような構成によれば、マイクロ波発熱体からなる発熱層の発熱によって加熱された載置面の熱の放射量を多くすることができる。したがって、載置面と接触していない食品の部位を輻射によって加熱することができ、食品の調理性能を向上させることができる。
また、本発明は、被覆層に防汚性を付与するものである。このような構成によれば、食品、食品から出る油脂、調味料などの汚染物のこびり付きを抑制することができるとともに、グリル皿の洗浄などの手入れを容易に行うことができる。したがって、調理器具として常に清潔な状態を維持することができる。
また、本発明は、被覆層がシリカを含むものである。このような構成によれば、被覆層の耐熱性を向上させることができるとともに、グリル皿の載置面の温度をより高くすることができる。したがって、グリル皿調理の性能と耐久性をさらに向上させることができる。
また、被覆層の硬度を高くすることができるので、食品を取り出す際に金属ヘラやグリル皿を洗浄する際に硬いナイロン束子を用いても、被覆層の傷や剥離の発生を防止することができ、優れた耐久性を実現することができる。
また、本発明は、加熱室と、加熱室内にマイクロ波を供給するマイクロ波発生部と、加熱室内に配置される調理器具とを備えた加熱装置である。
このような構成によれば、加熱装置におけるグリル皿調理の性能を向上させることができる。
本発明の調理器具は、グリル皿調理の性能を向上させることが可能となるので、電子レンジなどのマイクロ波加熱装置に適用可能であるとともに、マイクロ波発熱体を主成分とする発熱層は、乾燥機など調理機器以外のマイクロ波加熱機器として適用できる。
1,24,101 グリル皿
2,25 支持体
2A,2B 表面
2C 溝部
2D 端部
2E 中央部
3,102 発熱層
3C 溝部
4 基材
5,26 被覆層
6 フッ素コーティング層
7 フェライト粉末
8 有機化合物
9 加熱室
10 右側壁面
11 左側壁面
12 奥壁面
13 上壁面
14 底壁面
15 マグネトロン
16 導波管
17 マイクロ波放射部
18 封口部
19 加熱ヒータ
20 レール部
21 サーミスタ
22 赤外線センサ
23 制御部
40 加熱装置
103 載置面
本発明は、照射されたマイクロ波エネルギーを吸収することによって発熱する発熱層の熱を利用して食品を調理する、グリル皿などの調理器具およびそれを用いた加熱装置に関する。
近年、電子レンジなどのマイクロ波加熱装置においては、食品に直接マイクロ波を照射することで食品を加熱するマイクロ波加熱機能に加え、マイクロ波加熱装置内に設置する調理器具、いわゆる、グリル皿を用いた調理機能が存在する。以下、これをグリル皿調理機能という。
このグリル皿調理機能とは、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するマイクロ波発熱体からなる発熱層が形成されたグリル皿を加熱室内に設置し、そのグリル皿の上に食品を載置して、マイクロ波エネルギーの照射により発熱層から発生する熱を利用し、その食品を調理するというものである。
従来、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するマイクロ波発熱体からなる発熱層を設けたグリル皿は、図8、図9に示されるような構成のものがある(例えば、特許文献1参照)。上記従来の技術について、図面を参照して説明する。
図8は、特許文献1に記載された従来のマイクロ波発熱体からなる発熱層が設けられたグリル皿の斜視図である。図9は、同マイクロ波発熱体からなる発熱層が設けられたグリル皿の断面図である。図8、図9に示すように、グリル皿101の底面にマイクロ波発熱体からなる発熱層102が設けられている。
図9に示すように、マイクロ波発熱体からなる発熱層102は、グリル皿101の食品が載置される載置面103の裏側の面に設けられている。また、載置面103には、食品の焦げ付きの抑制、調理後のグリル皿の洗浄性を向上させるためにフッ素材料のコーティング層が形成されている。
従来のマイクロ波発熱体からなる発熱層102は、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するマイクロ波吸収材料の粉末とシリコーンのゴム材料の複合物で構成される。マイクロ波吸収材料の粉末はゴム材料と混練され、ゴム中にマイクロ波吸収材料の粒子が均一に分散された状態とした混合物を、ホットプレスなどの方法でグリル皿の基材となる金属面、もしくは塗装面に接着され、発熱層102が形成される。
食品が載置されたグリル皿101を、マイクロ波を発生させるマグネトロンを搭載したマイクロ波加熱装置の所定の位置に配置し、グリル調理を開始する。これにより、マグネトロンから発振されたマイクロ波エネルギーをグリル皿101に設けられたマイクロ波発熱体からなる発熱層102が吸収することによってマイクロ波エネルギーが熱に変換される。これにより、グリル皿101の載置面103が加熱され、載置面103に載置された食品が調理される。
一般的に、グリル調理において、おいしさと、食するのに適した焦げ目とを両立させようとすると、グリル皿101の載置面103を短時間で高温に昇温させる必要がある。しかし、優れた昇温速度と到達温度の高温化を両立するマイクロ波吸収材料が見出せていない。従来は、マイクロ波発熱体からなる発熱層102のマイクロ波吸収材料は、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するものという観点で選定されたMn−Zn系フェライトが用いられている。
また、特許文献2によると、ターンテーブルの回転体に配置される金属プレートの裏面にマイクロ波発熱体からなる発熱層を設けた調理器具が知られている。このマイクロ波発熱体からなる発熱層は、調理中の金属プレートの最高温度よりも低いキュリー温度が選択されたフェライト材料が用いられている。
フェライト材料はキュリー温度に達するとマイクロ波の吸収が停止する。マイクロ波発熱体からなる発熱層として調理中の最高温度よりも低いキュリー温度を有するフェライト材料を用いることによって、フェライト自体がマイクロ波の吸収・停止を制御し、金属プレートの温度を均一に維持するようにしている。
しかしながら、従来のグリル皿のマイクロ波発熱体からなる発熱層に用いられているフェライトは、キュリー温度が220℃程度、あるいは高温調理に適した温度よりも低いキュリー温度である。
これらのフェライトを用いた発熱層はマイクロ波エネルギーを吸収してキュリー温度近傍の温度になるとマイクロ波エネルギーの吸収が低下するため220℃以下の温度までしか昇温させることができない。
その結果、ハンバーグや魚などの調理においては、適度な焦げ目を得ようとすると、調理時間が長くなる。さらに、これとともに、食品にもマイクロ波の一部が吸収され、食品内部の油や水分が加熱されて蒸気となって揮発するため、食品が乾燥してジューシーさやおいしさが失われるという課題を有していた。
一方、前述のフェライト材料に金属窒化物などの誘電体の材料を加えることにより、グリル皿の載置面の到達温度を300℃レベルに高温化することができる。しかし、加熱時間とともに到達温度が上昇することにより、グリル皿101の載置面に形成しているフッ素コーティング層や、マイクロ波発熱体からなる発熱層102に用いているシリコーンゴムの温度が許容される耐熱温度を超えるため、剥離や割れなどの発生により、グリル皿が破損するという課題を有していた。
そのため、温度センサを搭載し、グリル皿の載置面の温度を検知することによってマイクロ波出力を制御するか、あるいはマイクロ波加熱時間の経過によってマイクロ波出力を制御し、グリル皿の載置面の温度がグリル皿を構成している材料の許容される耐熱温度以下となるように設計する必要があった。
しかし、センサの誤動作や故障、調理メニューの選択ミスや食品が載置されていない状態での調理(空焚き)によって300℃以上の高温に昇温することが考えられ、安全性と信頼性の確保が困難であるという課題を有していた。
特開2006−52932号公報 特開平4−263705号公報
本発明は、グリル皿の載置面を短時間で所定の温度に昇温させ、かつグリル皿の食品の載置面の温度を、グリル皿を構成する材料の許容される耐熱温度以下で飽和させる。これにより、食品の調理時間の短縮化とグリル皿の過昇温防止を実現し、マイクロ波加熱装置における高温を必要とするグリル皿調理の性能向上と耐久性、安全性、信頼性を図るものである。
本発明の調理器具は、食品が載置される載置面を有する支持体と、支持体の表面に形成され、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するフェライトを含むマイクロ波発熱体からなる発熱層とを有する調理器具であって、フェライトがFe23とMnOとZnOを含み、ZnOに対するFe23の重量比を11〜24の範囲とした構成を備える。
このような構成により、本発明の調理器具は、短時間で載置面の温度を高温に昇温させることができるとともに、グリル皿の温度を、構成する材料の許容される耐熱温度以下とすることができる。したがって、食品の調理時間の短縮が可能となり、高温を必要とするグリル皿調理の性能を向上させることができる。さらに、グリル皿の構成材料の破損、劣化を防止することができ、耐久性、信頼性を向上させることができる。
また、本発明の調理器具は、食品が載置される載置面を有する基材と、基材の表面に形成され、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するフェライトを含むマイクロ波発熱体からなる発熱層とを有する調理器具であって、食品が載置面に載置されない状態で飽和する載置面の温度を240〜300℃とした構成を備える。
このような構成により、食品載置面の飽和温度が高温になるように設計しているので、所定の調理温度に短時間で昇温させることができ、調理時間の短縮化を図ることができる。また、食品を乾燥させないで適度な焦げ目を付けることができ、高温でのグリル皿調理の性能を向上させることができる。
また、食品が載置されていない状態で食品の載置面が飽和する最高温度を300℃とすることにより、調理器具であるグリル皿の温度を構成材料の耐熱許容温度以下とすることができるので、グリル皿の構成材料の劣化や破損を防止することができ、安全性、耐久性、信頼性を向上させることができる。
また、本発明の加熱装置は、加熱室と、加熱室内にマイクロ波を供給するマイクロ波発生部と、加熱室内に配置される上記調理器具とを備えた構成を備える。
このような構成により、加熱装置におけるグリル皿調理の性能を向上させることができる。
本発明の実施の形態1における調理器具であるグリル皿の断面図 同実施の形態1における調理器具であるグリル皿の詳細な構造を示す一部断面図 同実施の形態1におけるマイクロ波発熱体からなる発熱層の構造を示す模式図 同実施の形態1における調理器具であるグリル皿が搭載される加熱装置の断面図 同実施の形態1における調理器具の他の形状のグリル皿を示す斜視図 同実施の形態1におけるマイクロ波発熱体からなる発熱層の効果を示す昇温特性のグラフ 本発明の実施の形態2における調理器具であるグリル皿の詳細な構造を示す一部断面図 従来の調理器具であるグリル皿の斜視図 従来の調理器具であるグリル皿の断面図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるマイクロ波発熱体が形成された調理器具(以下、グリル皿と記す)の断面図である。なお、本実施の形態のグリル皿は、図8で述べた従来のものと同様の形状である。
図1において、グリル皿1は、皿形状の支持体2と、支持体2のいずれか一方の表面に設けられた、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するマイクロ波発熱体からなる発熱層3とから構成される。マイクロ波発熱体からなる発熱層3は、図1に示すように、支持体2の食品が載置される側の表面2Aとは異なる表面2B(グリル皿1の裏面に相当)に形成されることが望ましい。なお、グリル皿1は、図1に示すように、食品から出る油脂などを食品と分離するために、食品の載置面に溝部2Cを設けている。
図2は、本実施の形態1におけるマイクロ波発熱体からなる発熱層3が形成されたグリル皿1の詳細な構造を示す一部断面図である。
図2において、グリル皿1の支持体2は、金属基材などの基材4と、基材4の両面に形成されたポリエーテルスルホン樹脂材料を主成分とする被覆層5と、食品が載置される側の表面2Aの被覆層5に形成された、フッ素樹脂を主成分とするフッ素コーティング層6とから構成される。なお、金属基材以外の基材4として、セラミックや結晶化ガラスなどの耐熱ガラスも用いることができる。金属基材以外の基材4は耐食性が高いので、発熱層3側の基材表面のポリエーテルスルホン樹脂材料を主成分とする被覆層5は必ずしも必要としない。そのため、グリル皿1の支持体2の構成を簡略化できる。
マイクロ波発熱体からなる発熱層3は、食品が載置される側の表面2Aとは異なる表面2Bの被覆層5の表面に形成されている。基材4としては、鉄の鋼板やアルミニウム、亜鉛がメッキされた表面処理鋼板が適用される。
図3は、マイクロ波発熱体からなる発熱層3の構造を示す模式図である。図3において、マイクロ波発熱体からなる発熱層3は、マイクロ波を吸収して発熱するフェライト粉末7と、有機化合物8とを含む組成である。さらに、必要に応じて分散剤やゴムの老化防止剤、酸化防止剤などが添加される。フェライト粉末7は、有機化合物8の中に均一に分散した状態となっている。
次に、本発明のマイクロ波発熱体からなる発熱層3を形成したグリル皿1の製造方法の一例について述べる。
溶融アルミメッキ鋼板などの基材4の両面に、ポリエーテルスルホン樹脂材料を主成分とする塗料を塗布して被覆層5を形成し、その後、一方の被覆層5の表面に、主成分がフッ素樹脂からなる塗料を塗布し、フッ素コーティング層6を形成する。次に、図1に示すように、フッ素コーティング層6が食品の載置面(表面2A)となるようにグリル皿1の形状にプレス加工が施される。
一方、発熱層3に用いられるフェライト粉末7には、グリル皿1の食品の載置面を短時間で高温に昇温させ、かつグリル皿1の許容される耐熱温度以下で飽和する昇温特性が必要である。これを実現するフェライト粉末7は、Fe23とMnOとZnOを含み、ZnOに対するFe23の重量比を11〜24の範囲としたものがよい。この重量比の範囲となるように、出発原料であるFe、Mn、Znを含む炭酸塩や硝酸鉛などを所定の比率で混合し、高温で焼成することによって反応させ、フェライトの結晶構造を有する複合酸化物が造られる。このフェライトの複合酸化物を粉砕することによって、所定の重量比のフェライト粉末7が得られる。
次に、所定の配合量のフェライト粉末7と、有機化合物8として選択したシリコーンゴムとをオープンロールやニーダーなどの混練加工装置を用い、フェライト粉末7がシリコーンゴムの中に均一に分散するまで混練し、その後、架橋剤を添加し、再度混練する。
次に、これらの混練物の固まり、もしくはオープンロールでシート状に分出ししたものを必要量採取し、これをグリル皿1の形状にプレス加工された食品の載置面とは異なる表面2Bの被覆層5の上に配置して、ホットプレスで加圧接着および一次加硫を行う。その後、必要に応じて二次加硫などの熱処理を行うことによって、マイクロ波発熱体からなる発熱層3が形成され、本実施の形態の調理器具であるグリル皿1が得られる。
なお、混練の際にマイクロ波発熱体からなる発熱層3のさらなる耐熱性を付与するための耐熱性剤、老化防止剤や、柔軟性を付与するための油脂剤などを必要に応じて添加してもよい。
また、マイクロ波発熱体からなる発熱層3と被覆層5との接着性を向上させるために、マイクロ波発熱体からなる発熱層3の接着面あるいは被覆層5の面に、接着機能を有するプライマーを塗布し、そのプライマーを介してマイクロ波発熱体からなる発熱層3と被覆層5を接着してもよい。また、予め、フェライト粉末7と有機化合物8の混練時に接着剤を添加してもよい。
また、上述の製造方法では、マイクロ波発熱体からなる発熱層3を被覆層5の上に形成したが、発熱層3が形成される側の表面2Bの被覆層5を設けず、直接、基材4の面(表面2B)と接着してもよい。
図4は、本発明の調理器具であるグリル皿1が搭載される加熱装置の断面図である。
図4において、加熱装置40は加熱室9を有している。加熱室9は、金属材料から構成された金属境界部である右側壁面10、左側壁面11、奥壁面12、上壁面13、底壁面14および食品を加熱室9内に出し入れする開閉壁面である開閉扉(図示せず)により略直方体形状(直方体を含む)に構成される。これにより、給電されたマイクロ波エネルギーをその内部に実質的に閉じ込める。開閉扉は奥壁面12と対向した位置(図4の手前側)に設置される。
本実施の形態の加熱装置40を構成するマイクロ波発生部であるマグネトロン15は、加熱室9に供給するマイクロ波を発生するものである。加熱装置40には、マグネトロン15から発生したマイクロ波エネルギーを加熱室9内に導くための導波管16と、導波管16から加熱室9内にマイクロ波エネルギーを照射するマイクロ波放射部17とが設けられている。底壁面14にはマイクロ波を透過するガラス系やセラミック系の材料からなる封口部18が設けられている。
また、加熱室9の上部には加熱ヒータ19が設けられており、加熱室9の奥壁面12の奥にはコンベクションヒータユニット(図示せず)が設けられている。これにより、加熱装置40は、食品のマイクロ波調理、グリル調理、オーブン調理の機能を有する。
本実施の形態の調理器具であるグリル皿1は、加熱室9の右側壁面10および左側壁面11に設けられた係止部であるレール部20に沿って加熱室9内に挿入され、配置される。本実施の形態では、レール部20は、右側壁面10および左側壁面11のそれぞれに3箇所設けられている。これにより、グリル皿1の設置高さを3段階に調整できるようになっている。
また、加熱室9には加熱室9内の温度を検出するサーミスタ21、食品やグリル皿1などの温度を検出する赤外線センサ22が設けられている。サーミスタ21、赤外線センサ22、マグネトロン15、加熱ヒータ19は、これらの動作を制御する制御部23に電気的に接続されている。
次に、以上の構成からなる加熱装置40を用い、本実施の形態のグリル皿1の動作と作用について説明する。
加熱室9内に、食品(図示せず)を載置したグリル皿1をレール部20に配置し、開閉扉を閉めた状態で所定の指示操作を行う。これにより、制御部23によりマグネトロン15が動作してマイクロ波エネルギーを発生する。発生したマイクロ波エネルギーは、導波管16を経て、マイクロ波放射部17からセラミックなどで形成された封口部18を透過して加熱室9内に照射される。
加熱室9内に照射されたマイクロ波エネルギーは、グリル皿1を構成するマイクロ波発熱体からなる発熱層3で吸収され、熱に変換される。その熱がグリル皿1の食品を載置している載置面(表面2A)に伝達され、食品が加熱される。
フェライトのマイクロ波による発熱メカニズムは、次のように考察できる。
電子レンジなどのマイクロ波加熱装置に使用されるマイクロ波の周波数は2.45GHzである。このような周波数が高い領域ではフェライトの磁気特性である磁束密度(磁化)が磁場に追従できず、磁気損失が発生する。この磁気損失は、複素比透磁率の虚数部で表され、この値が大きいほどマイクロ波エネルギーの吸収による発熱性能が高くなる。
一方、フェライトの温度が上昇すると、磁束密度が小さくなるとともに複素比透磁率の虚数部が小さくなり、マイクロ波エネルギーの吸収量は減少する。フェライトの温度がキュリー温度に達すると磁束密度が0となり、複素比透磁率の虚数部が消失して発熱しなくなり、フェライトが昇温しなくなる。
以上のように、本実施の形態のグリル皿1に適用されるマイクロ波発熱体からなる発熱層3に適用されるフェライト材料は、昇温が速く、高い温度で飽和するものがよいことから、フェライトの磁束密度と複素比透磁率の虚数部が大きく、キュリー温度が高いものがよい。
このような特性を有するフェライトを適用することによって、マイクロ波エネルギーによる発熱性能に優れた発熱層3を得ることができる。
フェライトの発熱メカニズムは前述の通りであるが、その他に誘電損失、導電損失による発熱がある。
グリル皿1の食品が載置される載置面を所定の温度に飽和させるためには、磁性損失以外の発熱作用がないフェライト材料か、もしくは所定の飽和温度を変化させない程度の発熱作用を有するフェライト材料であることが好ましい。
また、グリル皿1を構成する被覆層5、フッ素コーティング層6、マイクロ波発熱体からなる発熱層3に用いる有機化合物8は長期の耐久性を確保するため、食品の載置面が飽和する温度を、グリル皿1を構成する材料が許容される耐熱温度(300℃)以下とする必要がある。
一方、グリル皿調理においては、食品の焦げ目、調理時間の短縮の点から判断すると、グリル皿1の飽和温度は高い方がよい。しかし、食品を載置した場合は食品の熱容量が加算されるため、食品が載置面と接触した部位の温度は、食品がない状態でのグリル皿の食品の載置面の温度よりも低くなる。
通常、ハンバーグや魚などの高温を必要とする食品の調理温度は、200℃前後であり、この調理温度を確保するためのグリル皿1の食品の載置面の温度は、食品が載置されていない状態で240℃以上必要であること、グリル皿1の構成材料の耐熱温度が300℃であることから、調理性能と耐久性・信頼性を両立させるためには、グリル皿1の飽和温度を240〜300℃とすることが好ましい。
これを実現するためには、常温からの昇温速度を速くすることが可能となる高い飽和磁束密度と複素透磁率の虚数部を有し、かつグリル皿1の食品の載置面の飽和温度が240〜300℃になるようなキュリー温度を有するフェライト材料が必要となる。
なお、以下の実施の形態で用いる上記の飽和温度とは、グリル皿1の食品の載置面に食品がない状態(空焚き)で飽和する温度をいう。
しかしながら、マイクロ波発熱体からなる発熱層3としての用途で市販されているフェライト材料はなく、フェライトコアなど電源線、電源トランスなどのノイズ対策として使用されるのがほとんどである。また、市販されているフェライト材料は、kHz〜MHz帯の周波数での複素比透磁率は開示されているが、オーブンレンジなどで使用する2.45GHzなどのGHz帯の周波数の特性は開示されていない。
したがって、マイクロ波発熱体として、特にグリル皿1に用いられる発熱層3の要求仕様(すなわち、高い飽和磁束密度と複素比透磁率の虚数部とを有し、グリル皿1の食品の載置面の飽和温度が240〜300℃)を満たす有用なフェライト材料および組成は不明であった。
そこでフェライト材料を探索し、マイクロ波発熱体としての性能を検討した結果、各種フェライトコア材料の中から電源のトランスに用いられているフェライトコア材料が有用であることを見出した。このフェライトコアは、Fe23、MnO、ZnOを含むMn−Zn系フェライトで0℃における飽和磁束密度が約550mT、キュリー温度が約290℃である。このフェライトコアを粉砕することによってフェライト粉末7を作製し、有機化合物8(シリコーンゴム)と混合してグリル皿1の裏面にマイクロ波発熱体からなる発熱層3を形成した。
図4に示す加熱装置40を用い、800Wマイクロ波電力を供給した。その結果、常温から200℃までの昇温速度が速く、最高温度が約280℃で飽和することを確認した。
そこで上記市販のフェライト材料をベースとして、グリル皿1の上記要求仕様を満足するフェライト材料を検討した結果、フェライト粉末7を焼結体としたときの0℃での飽和磁束密度が400mT以上、フェライト粉末7と有機化合物8とを含む発熱層3としたときの常温での複素比透磁率の虚数部が、マイクロ波領域での周波数で1.3以上、フェライト粉末7のキュリー温度が250〜330℃であることが有用であることを見出した。
さらに、上記磁気特性を発現させるためのMn−Zn系フェライトの組成を検討するため、ZnOに対するFe23の重量比を変えたフェライト粉末を作製し、これらを有機化合物であるシリコーンゴムと混練し、発熱層を形成したグリル皿を用い、グリル皿の昇温特性、複素比透磁率、キュリー温度を評価した。その結果、フェライト粉末は、ZnOに対するFe23の重量比を11〜24の範囲とすることがグリル皿1の昇温特性に優れていることを見出した。
すなわち、フェライト粉末のZnOに対するFe23の重量比が11未満の場合、発熱層の複素比透磁率の虚数部が1.3未満、キュリー温度が250℃未満となる。そのため、グリル皿の食品の載置面の昇温が遅くなるとともに、食品の載置面の飽和温度が240℃未満となり、調理性能が悪くなる。
一方、フェライト粉末のZnOに対するFe23の重量比が24を超える場合、食品の載置面の昇温は速くなるが、キュリー温度が330℃を超える。その結果、食品の載置面の飽和温度が300℃の許容される耐熱温度以上に昇温するため、グリル皿の構成材料が劣化、もしくは破損し、調理器具として長期の使用ができなくなる。
以上のように、ZnOに対するFe23の重量比が11〜24の範囲は、フェライト粉末7を含む発熱層3の複素比透磁率の虚数部が1.3以上、フェライト粉末7のキュリー温度が250〜330℃の特性が得られた。また、食品の載置面(表面2A)の温度は240〜300℃で飽和することが確認された。
したがって、フェライト粉末7のZnOに対するFe23の重量比を11〜24の範囲とすることにより、調理性能と、耐久性、信頼性を実現することができる。
フェライト粉末7として用いるMn−Zn系フェライトがFe23とMnOとZnOを含み、ZnOに対するFe23の重量比が11〜24の範囲の組成とすることにより、フェライトのキュリー温度を高くすることができる。したがって、グリル皿1の載置面の温度を高温にすることが可能となり、グリル皿調理の調理時間を短縮することができ、調理性能を向上させることができる。
また、フェライト粉末7として用いるMn−Zn系フェライトがFe23とMnOとZnOを含み、ZnOに対するFe23の重量比が11〜24の範囲の組成とすることにより、フェライト粉末のキュリー温度を250〜330℃と高くすることができる。そして、フェライト粉末7のキュリー温度を高くすることによって、グリル皿1の食品の載置面(表面2A)の飽和温度を従来のグリル皿よりも高い240〜300℃とすることができる。
したがって、グリル皿1の食品の載置面(表面2A)の温度を高温にすることが可能となり、グリル皿調理の調理時間を短縮することができ、調理性能を向上させることができる。
また、フェライト粉末7がキュリー温度近傍になると、マイクロ波エネルギーの吸収量が少なくなるように自己制御するため、調理器具であるグリル皿1を構成する材料が許容される耐熱温度以下、すなわち300℃以下で食品の載置面の温度を飽和させることが可能となる。
以上のように、フェライト粉末7の組成は、Fe23とMnOとZnOを含み、ZnOに対するFe23の重量比を11〜24の範囲とすることにより、グリル皿1の構成材料の過昇温による破損やグリル皿1の構成材料の発火や他の部材への延焼を防止することができ、耐久性、信頼性を向上させることができる。
さらに、グリル皿1の過昇温を防止する安全装置を必要としないため、複雑な電子制御・制御デバイスが不要となり、低コスト化を図ることができる。
グリル皿1の構成材料の耐熱許容温度は300℃であることを述べたが、グリル皿1の飽和温度は、長期の耐久性から判断すると300℃よりも低い280℃を上限とし、調理性能との両立を図るために240〜280℃とすることが好ましい。
240〜280℃のグリル皿1の飽和温度を実現するためには、本発明のマイクロ波発熱体からなる発熱層3に用いるフェライト粉末7のキュリー温度は、250〜300℃であることが好ましい。このキュリー温度を発現させるMn−Zn系のフェライト粉末7のZnOに対するFe23の重量比は、11〜17.5の範囲であることが好ましい。
さらに、調理性能を向上させるためにはグリル皿1の飽和温度を260℃以上とすることがよい。さらなる調理性能と優れた耐久性、信頼性を両立させるためには、グリル皿1の飽和温度を260〜280℃とすることが好ましい。食品の載置面(表面2A)の飽和温度を260〜280℃とするためのフェライト粉末7のキュリー温度は、280〜300℃であることが好ましく、これを実現するフェライト粉末7のZnOに対するFe23の重量比は、14.5〜17.5の範囲であることが好ましい。
さらに好ましくは、ZnOに対するFe23の重量比は、キュリー温度が280〜300℃となる14.5〜17.5である。
また、Mn−Zn系のフェライト粉末7のFe23の含有量は、ZnOに対するFe23の重量比が11〜24の範囲では、70〜76重量%の範囲であることが好ましい。
Fe23の含有量が70重量%未満の場合、昇温に寄与する磁気特性(飽和磁束密度、複素比透磁率の虚数部)が低下することによる昇温速度の低下やキュリー温度が240℃未満となる。含有量が76重量%を超える場合、昇温に寄与する磁気特性が低下することによる昇温速度の低下やキュリー温度が330℃を超える。すなわち、Fe23の含有量が70〜76重量%の範囲でない場合は、本発明の目的が達成できなくなる。
また、フェライト粉末7のZnOに対するFe23の重量比の範囲が11〜17.5と14.5〜1である場合、Fe23の含有量は、それぞれ、70〜74重量%と72〜74重量%が適している。
なお、本実施の形態1に用いるフェライト粉末7は、発熱層3の複素比透磁率の虚数部による磁気損失と、フェライト粉末7のキュリー温度とを利用して、グリル皿1の食品の載置面の温度がグリル皿1の耐熱許容温度以下となるように飽和させるため、誘電損失などその他の作用による発熱は小さくする必要がある。
例えば、フェライト粉末7と有機化合物8であるシリコーンゴムとを含む発熱層3の複素比誘電率の虚数部(誘電損失)は0.7以下であれば、誘電損失による発熱を抑制することができる。そのため、マイクロ波発熱体からなる発熱層3を所定の温度で飽和させることが可能である。
フェライト材料としては、Mn−Zn系フェライトの他に、Mg−Zn系、Ni−Zn系のフェライトがある。これらの中で、本実施の形態における好ましい磁気特性、キュリー温度が満足するものであれば適用できる。
食品の載置面(表面2A)の温度の飽和現象は、マイクロ波発熱体からなる発熱層3がマイクロ波エネルギーを吸収して発熱する発熱量と、加熱されたグリル皿1からの伝導、対流、放射による放熱量がバランスすることよって起こる。すなわち、本実施の形態1では、食品が載置面(表面2A)に載置されない状態で発熱層3による発熱と、調理器具であるグリル皿1からの放熱とがバランスして飽和する載置面(表面2A)の温度を240〜300℃としている。
また、本実施の形態によると、発熱層3に含まれるフェライト粉末7がキュリー温度近くになると、フェライトの特性である飽和磁束密度、複素比透磁率の虚数部が低下し、マイクロ波エネルギーの吸収が低下する。したがって、食品の載置面の温度が高くなるにつれ、発熱量が減少することになり、食品の載置面は、フェライト粉末7のキュリー温度よりも低い温度で飽和する。
なお、グリル皿1の調理性能と構成材料の許容される耐熱温度が両立する温度が240〜300℃とすると、この温度で飽和させるためのマイクロ波発熱体からなる発熱層3に用いるフェライト粉末7のキュリー温度は、250〜330℃である。
食品の載置面(表面2A)の飽和温度を240〜300℃の高温とすることにより、所定の調理温度に短時間で昇温させることができ、調理時間の短縮化を図ることができる。さらに、食品を乾燥させないで適度な焦げ目を付けることができ、高温でのグリル皿調理の性能を向上させることができる。
また、食品が載置されていない状態で食品の載置面が飽和する最高温度を300℃とすることにより、調理器具であるグリル皿の構成材料を耐熱許容温度以下とすることができる。したがって、グリル皿の構成材料の劣化や破損を防止することができ、安全性、耐久性、信頼性を向上させることができる。
一方、発熱層3が発熱層3に含まれるフェライト粉末7のキュリー温度あるいはそれ以上の温度になると、マイクロ波エネルギーの吸収がなくなる。
この温度で加熱室9にマイクロ波を照射し続けると、マイクロ波の電界が発熱層3以外の箇所(加熱室9を構成する右側壁面10、左側壁面11、奥壁面12、上壁面13、底壁面14など)に集中してスパークが発生すること、マイクロ波が加熱室9内で反射して導波管16を経てマグネトロン15に戻り、マイクロ波放射部17が破損することなど、安全性、信頼性を損なう可能性がある。
本実施の形態では、食品の載置面がフェライト粉末7のキュリー温度より低い温度で飽和する構成としているため、発熱層3のフェライト粉末7は加熱室9に照射されたマイクロ波の吸収を持続することができる。
したがって、加熱室9の他の部材への電界集中やマグネトロン15へのマイクロ波の反射が抑制され、加熱室9内でのスパークやマグネトロン15の破損を防止することができるので安全性、信頼性を確保することができる。
食品の種類によって多少異なるが、経験的にグリル皿調理においてはグリル皿1の食品の載置面の温度を200℃以上に到達する時間が2分以内であることが好ましい。そのために、少なくとも常温から200℃の温度範囲において、マイクロ波エネルギーを吸収する発熱層3の複素比透磁率の虚数部を大きくすることが必要となる。
マイクロ波発熱体からなる発熱層3の常温の複素比透磁率の虚数部は、1.3以上が好ましい。複素比透磁率の虚数部を1.3以上とすることにより、発熱層3のマイクロ波エネルギーの吸収を高くすることができ、グリル皿1の食品の載置面の温度の立ち上がりを速くすることができる。
一方、発熱層3の温度が上昇すると、発熱層3の複素比透磁率の虚数部は、フェライト粉末7の飽和磁束密度の低下によって小さくなる。その結果、発熱層3の温度が上昇するにつれ、昇温速度は遅くなり、調理に必要な温度への到達時間が長くなる傾向になる。
したがって、昇温速度を速くするために、発熱層3は、常温から200℃までの複素比透磁率の虚数部の低下を少なくすることが必要である。
常温から200℃までの発熱層3の複素比透磁率の虚数部は、常温の複素比透磁率の虚数部の値の50%以上であれば、発熱層3の昇温速度の低下を抑制することができ、グリル皿1の食品の載置面の温度を2分以内で200℃以上に到達させることができる。
複素比透磁率の虚数部の温度依存性は、フェライトの飽和磁束密度、キュリー温度に関係していると考えられ、複素比透磁率の虚数部は、飽和磁束密度が大きく、キュリー温度が高くなると大きくなる。
以上のことから、グリル皿1の食品の載置面の優れた昇温性能を実現するためには、発熱層3の常温の複素比透磁率の虚数部が1.3以上であり、常温から200℃までの複素比透磁率の虚数部は、常温の複素比透磁率の虚数部の値の少なくとも50%以上であることが好ましい。発熱層3に用いられるMn−Zn系のフェライト粉末7において、ZnOに対するFe23の重量比が11〜24の範囲であれば、複素比透磁率の虚数部は、1.3以上を実現することができる。
その結果、調理器具であるグリル皿1の食品の載置面の温度をフェライト粉末7のキュリー温度近傍に短時間で昇温させることができる。その結果、調理時間をさらに短縮することができ、調理能を一層向上させることができる。
また、グリル皿1の載置面と接触している食品を素早く焼くことができるため、食品の載置面へのこびり付きが抑制され、調理後のグリル皿からの食品の取り出しや、グリル皿の洗浄などの手入れを容易に行うことができる。
なお、複素比透磁率は、ネットワークアナライザーを用い、Sパラメータ法で試料ホルダーを所定の温度に加熱して測定している。
有機化合物8の材料としては、耐熱性の高いゴムや樹脂が挙げられる。フェライト粉末7を含むマイクロ波発熱体からなる発熱層3は、これらの有機化合物8を用いることによって、ホットプレス加工などによりグリル皿1に容易に形成することができる。
また、有機化合物8がグリル皿1の支持体2と発熱層3の強固な接着を実現することができるので耐久性を向上させることができる。
また、比較的低温で発熱層3を形成することができるのでグリル皿1の構成材料の劣化を防止することができる。
有機化合物8としては、特にシリコーンゴムやフッ素ゴムがよい。中でもシリコーンゴムは、耐熱性が高く、かつ発熱層3とグリル皿1の支持体2との接着性をより向上させることができる。そのため、発熱層3の剥離やクラックが防止され、長期にわたり初期の発熱性能を保持することができ、常に安定したグリル皿調理の性能を実現することができる。
また、シリコーンゴムは優れた耐熱性と耐化学薬品性を有するため、耐久性、信頼性の高い発熱層3を実現することができる。
また、シリコーンゴムを用いることによって発熱層3の膜厚を厚く構成することができるので、マイクロ波の吸収に必要なフェライト粉末7を多量に含有させることができる。
この構成により、フェライト粉末7のマイクロ波エネルギーの吸収量を多くすることが可能となり、昇温速度の速いマイクロ波発熱体を実現することができる。
本実施の形態のグリル皿1は、マイクロ波発熱体からなる発熱層3によって加熱されるが、グリル皿1の大きさが大きくなると、グリル皿1からの放熱量が大きくなり、食品の載置面の飽和温度が低くなる。一方、グリル皿1が小さくなると、放熱量が少なくなり、食品載置面の飽和温度が高くなる。
グリル皿1からの放熱量に応じてグリル皿1の許容耐熱温度近傍で飽和するようなキュリー温度を有するフェライト粉末7を用いればよい。
しかし、これに整合したフェライトの新規開発や製造するための投資を考慮すると実用的でない。フェライト粉末7を焼結体としたときの0℃での飽和磁束密度が400mT以上、フェライト粉末7とシリコーンゴムとを含む発熱層3としたときの常温の複素比透磁率の虚数部が1.3以上、常温から200℃までの複素比透磁率の虚数部が常温の複素比透磁率の虚数部の値の少なくとも50%以上であり、かつフェライト粉末7のキュリー温度が250〜330℃の特性を有するフェライト粉末7を有効に利用するためには、グリル皿1に形成される発熱体を主成分とする発熱層3の面積を規定する必要がある。
グリル皿1を用いたグリル調理は、通常、800W前後のマイクロ波出力が使用される。800Wでグリル皿1を加熱する場合、発熱層3の面積が0.1m2を超えると、グリル皿1が大きくなることによって熱容量が大きくなる。そのため、食品の載置面(表面2A)の昇温に時間がかかり、グリル皿調理に適している2分以内に200℃に昇温させることができなくなる。
また、食品の載置面の面積も大きくなることによって加熱された面からの放熱量が多くなり、食品の載置面(表面2A)の飽和温度が240℃未満になる。その結果、調理時間が長くなるとともに、食品の適した焦げ目、おいしさが得られなくなる。
一方、発熱層3の面積が0.05m2未満になると、発熱層3に含まれるフェライト粉末7の量が少なくなることによって発熱層3のマイクロ波エネルギーの吸収が少なくなる。その結果、発熱層3以外の部材にマイクロ波の電界が集中にしてスパークが発生することや、反射したマイクロ波によってマグネトロンの破損など、耐久性、安全性を損なう可能性がある。また、食品へのマイクロ波エネルギーの吸収も増加し、食品の水分量の低下など、おいしさを阻害する原因となる。
したがって、発熱層3の面積は、0.05〜0.1m2とすることにより、食品の載置面(表面2A)を短時間で昇温させることができるとともに、所定の飽和温度に加熱することができるので優れた調理性能を実現することができる。
また、調理時間の短縮化と省エネルギー化を図ることができる。さらに、マグネトロンの破損やスパークの発生を防止することができ、加熱装置40の耐久性、安全性を確保することができる。
食品の載置面(表面2A)の飽和温度を260〜280℃とする場合、発熱層3のマイクロ波エネルギー吸収量とグリル皿1からの放熱量のバランス幅が狭くなるため、発熱層3の面積は0.06〜0.08m2の範囲が適している。
本実施の形態のマイクロ波発熱体からなる発熱層3は、膜厚が2mmを超える場合、発熱層3の重量の増加による熱容量の増加や、熱伝導が悪くなることによる食品の載置面(表面2A)への熱伝達の低下によって食品の載置面(表面2A)の昇温速度が遅くなる。また、膜厚が厚いことにより、コストが高くなる。
一方、発熱層3の膜厚を0.5mm未満にすると、フェライト粉末7の量が不足して食品の載置面(表面2A)の飽和温度が低くなる。
したがって、昇温速度の向上と、240〜300℃の食品の載置面(表面2A)の飽和温度の実現を両立するためには、発熱層3の膜厚を0.5〜2mmとすることが好ましい。また、発熱層3の膜厚を0.5〜2mmとすることによって、優れた調理性能と調理時間の短縮化を実現することができる。
また、食品の載置面の飽和温度を260〜280℃とする場合、発熱層3のマイクロ波エネルギー吸収量とグリル皿1からの放熱量のバランス幅が狭くなるため、発熱層3の膜厚は、0.7〜1.5mmの範囲が適している。
さらに、安定した昇温性能を得るためには、発熱層3の膜厚を0.9〜1.1mmの範囲とすることが望ましい。
また、フェライト粉末7の配合量が多くなると、発熱層3の昇温性能は向上するが、以下の3つの課題が発生する。
第1に、有機化合物8と食品の載置面との接着性が悪くなり、発熱層3の剥離がしやすくなる。第2に、有機化合物8とフェライト粉末7の発熱体組成物が硬くなり、ホットプレス時の発熱体組成物の流動性が悪く、均一な膜厚の発熱層3が得られない。これによって、発熱層3の加熱むらが大きくなり、調理性能が低下する。第3に、形成された発熱層3が硬くなりことによって、耐熱衝撃や耐機械的衝撃が低下し、グリル皿1の落下や冷熱の繰り返しが起こると発熱層3が破損する可能性がある。
一方、フェライト粉末7の配合量が少なくなると、発熱層3のマイクロ波エネルギーの吸収性能が低下し、満足する昇温性能が得られなくなる。
食品の載置面の飽和温度を240〜300℃とした場合、上記課題を解決し、耐久性、昇温性能、調理性能に優れた発熱層3を得るための発熱層3のフェライト粉末7の配合量は、50〜90重量%の範囲が好ましい。
また、食品の載置面の飽和温度を260〜280℃とする場合、発熱層3のマイクロ波エネルギー吸収量とグリル皿1からの放熱量のバランス幅が狭くなるため、フェライト粉末7の配合量は、65〜85重量%の範囲が適している。
さらに、安定した昇温性能を得るためには、フェライト粉末7の配合量を75〜80重量%の範囲とすることが好ましい。
加熱室9にマイクロ波が照射されると、加熱室9内でマイクロ波の定在波が生じる。その結果、加熱室9内にマイクロ波エネルギーの強弱が発生し、グリル皿1の底面に接着されているマイクロ波発熱体からなる発熱層3の面もマイクロ波エネルギーの強弱によってマイクロ波の吸収量が異なり、不均一な温度分布となる。
グリル皿1の支持体2の材料は、熱伝導率が高いほど発熱層3からの熱を効率よく伝達でき、食品の載置面の温度分布を均一にすることができる。しかし、熱伝導が高すぎると食品の載置面以外へも熱が伝達され、グリル皿1からの放熱量が増加し、食品の載置面の飽和温度が低下する。
一方、支持体2として熱伝導率が低すぎる材料は、発熱層3に発生した不均一な温度分布を均一にすることができず、食品の焼きむらが発生し、調理性能を悪化させる。
熱伝導率が高すぎる材料としては、アルミニウムや銅などの熱伝導率が200W/m・K以上のものが挙げられる。熱伝導率が低すぎる材料としては、セラミックやガラスなど熱伝導率が10W/m・K以下のものが挙げられる。これらの材料は支持体2として好ましくない。
本実施の形態のグリル皿1の支持体2としては、熱伝導率が50〜150Wの材料が好ましい。この材料としては鉄を主成分とする鋼板、アルミニウムや亜鉛がメッキされた鉄を主成分とする表面処理鋼板、塗料によって塗装された鉄を主成分とする表面処理鋼板が挙げられる。
鉄を主成分とする鋼板は、熱伝導率が約85W/m・Kでありアルミニウムより低いが、機械的強度が高く支持体2の厚みを薄くする。そのため、発熱層3から食品の載置面への熱抵抗を小さくすることができ、効率よく熱を伝達することができる。
また、鉄を主成分とする鋼板は、アルミニウムよりは温度分布の均一性は劣るが、食品の載置面全体の温度分布を均一化することができる。
さらに、鉄を主成分とする鋼板は、発熱層3からの食品の載置面以外への方向の熱抵抗を大きくすることができる。これにより、食品の載置面以外への熱ロスを抑制することができるので、食品の載置面の温度を高い温度で飽和させることができる。
より好ましいグリル皿1の支持体2の熱伝導率は、80〜150W/m・Kである。
なお、本実施の形態のグリル皿1は、高温でのグリル皿調理の性能を向上させることを目的としているが、高温を必要としないグリル皿調理、例えば、解凍調理、温め調理に対してはマイクロ波電力の出力制御よって対応することができる。
また、フェライト粉末7に、フェライト粉末7よりもキュリー温度が低く、かつ磁気損失よりも誘電損失の大きな誘電体粉末を混合して発熱層3を構成することも有用である。
この場合、食品載置面の飽和温度は、フェライトのキュリー温度によって決まるのでグリル皿1の構成材料の許容される耐熱温度以下とすることができ、耐久性、信頼性を確保することができる。
また、逆にキュリー温度が低いフェライト粉末に、フェライト粉末よりもキュリー温度が高い誘電体粉末を混合して発熱層3を構成したものも適用できる。
この場合、誘電体粉末にグリル皿1の構成材料の許容される耐熱温度以下に飽和させる機能を持たせることによって同様な効果を得ることができる。
さらに、キュリー温度が同等で誘電損失の大きな誘電体粉末と磁気損失の大きなフェライト粉末を混合して構成した発熱層3も適用でき、同様な効果を得ることができる。
フェライト粉末と誘電体粉末の組成、配合は、昇温速度が速く、グリル皿1の食品の載置面を所定の温度で飽和させる機能を有することを前提とし、発熱層3の製造、コスト、支持体2との接着性、使用環境の適用性など利点を勘案して必要に応じて選択される。
図5は、本実施の形態において、形状が異なるグリル皿を示す斜視図を示すものである。本実施の形態のマイクロ波発熱体からなる発熱層3は、図5に示すグリル皿形状にも適用できる。
図5に示すように、グリル皿24の食品が載置される載置面(表面2A)は、端部2Dよりも中央部2Eを広くした構成である。これにより、食品が載置される可能性が高いグリル皿24の中央付近の載置面の面積を大きくしている。
このグリル皿24によると、食品と載置面(表面2A)との接触面積を大きくすることができる。そのため、図8と同じ形状のグリル皿1(図1参照)よりも発熱層3から食品に伝達される熱を多くすることができるので、調理時間の短縮化、グリル皿調理の性能を一層図ることができる。
また、食品との接触面積が大きくなることにより、食品の焦げむらを少なくすることができるので、食品の仕上がり状態を向上させることができる。さらに、食品の乾燥むらも抑制できるのでジューシーさ、おいしさを向上させることができる。
次に、本実施の形態1の具体的な温度特性について述べる。図6は、本実施の形態1におけるマイクロ波発熱体からなる発熱層3の効果を示す昇温特性のグラフである。図6は、図4に示す加熱装置を用い、食品を載置していないグリル皿1を加熱室9内の所定の位置に配置し、800Wのマイクロ波電力を照射したときのマイクロ波発熱体からなる発熱層3の発熱性能を加熱時間毎に評価した結果を示している。
なお、比較例として、2種の従来のマイクロ波発熱体からなる発熱層を形成したグリル皿についても同様に評価した。
図6において、線Aは本実施の形態の、キュリー温度が約300℃、0℃における飽和磁束密度が約550mT、ZnOに対するFe23の重量比が15.5のFe23、MnO、ZnO、を含むMn−Zn系のフェライト粉末7を用い、マイクロ波発熱体からなる発熱層3を形成したグリル皿1の食品の載置面の昇温特性である。
線Bは比較例としての従来の発熱層の昇温特性を示し、ZnOに対するFe23の重量比が9.8、キュリー温度が約220℃、0℃における飽和磁束密度が約540mTのMn−Zn系のフェライト粉末7を用いたマイクロ波発熱体からなる発熱層3を形成したグリル皿の食品の載置面の昇温特性である。
線Cは比較例としての他の従来の発熱層の昇温特性を示し、線Bの特性を有する発熱層と同じフェライト粉末7に誘電体材料を加えた組成物でマイクロ波発熱体からなる発熱層3を形成したグリル皿の食品の載置面の昇温特性である。
なお、線Aの特性を有する本実施の形態の発熱層3の200℃までの複素比透磁率の虚数部は、常温での複素比透磁率の虚数部に対して約69%、線Bをその昇温特性とする発熱層の場合は41%である。
図6に示すように、本実施の形態の発熱層3(線A)を有するグリル皿1の食品の載置面の温度は、昇温速度が速く、加熱時間2分で230℃以上、3分で約270℃に到達し、5分以上では約280℃で飽和する傾向にある。
一方、線Bの特性を有する発熱層を有するグリル皿の食品の載置面は、加熱時間1分までは本実施の形態の発熱層3(線A)とほぼ同等の昇温速度を示すが、それ以上の時間では昇温速度が遅くなり、5分以上では約250℃で飽和する傾向にある。
これは、本実施の形態の発熱層3(線A)の方が、0℃における飽和磁束密度、常温での複素比透磁率の虚数部に対する200℃までの複素比透磁率の虚数部が、線Bの特性を有する発熱層よりも高く、磁気損失による発熱性能の低下が少ないこと、本実施の形態の発熱層3(線A)に用いているフェライト粉末7のキュリー温度が、線Bの特性を有する発熱層に用いているフェライト粉末より高いことによるものである。
線Bの特性を有する発熱層が設けられたグリル皿は、フェライト粉末のキュリー温度が約220℃にもかかわらず、約250℃の温度まで昇温している理由は、用いているMn−Zn系フェライト粉末の組成や不純物によって誘電損失による発熱が現れたことによるものと考えられる。
さらに、線Cの特性を有する発熱層が設けられたグリル皿における食品の載置面は、加熱時間3分以内では線Bとほぼ同等の昇温速度であり、それ以上の加熱時間で徐々に温度が上昇し、食品の載置面の温度が飽和しない傾向にある。
線Cの特性を有する発熱層は、線Bの特性を有する発熱層の場合と同じフェライト粉末であるため、初期の昇温特性は線Bと同じであるが、線Cの特性を有する発熱層はさらに誘電体粉末を加えているため、この誘電体粉末の誘電損失が出現し、昇温値が線Bの特性を有する発熱層よりも高くなったものと考えられる。
また、線Cにおいて、食品の載置面の温度が飽和しない理由は、加えた誘電体粉末のキュリー温度が高く、マイクロ波エネルギーの吸収による発熱が持続していることにあると考えられる。
線Cのように、食品の載置面の温度が高くなると、グリル皿調理の性能は向上するが、食品の載置面の温度が飽和しないので加熱時間を延長すれば、グリル皿を構成する材料の許容される耐熱温度を超え、耐久性が損なわれる可能性を有する。
以上のように、本実施の形態のグリル皿1は、キュリー温度が約290℃、0℃における飽和磁束密度が約550mT、ZnOに対するFe23の重量比が15.5のFe23、MnO、ZnO、を含むMn−Zn系のフェライト粉末7を用い、マイクロ波発熱体からなる発熱層3を形成することにより、短時間で食品載置面の温度を昇温させることができ、優れたグリル皿調理の性能を実現することできる。
また、フェライト粉末7のキュリー温度が290℃のものを用いることにより、食品の載置面の温度をキュリー温度以下で飽和させることがきるので、グリル皿1の構成材料の許容される耐熱温度を確保することができ、優れた耐久性を実現することができる。
さらに、何らかの原因で発熱層3の一部に電界が収集して異常加熱が発生してもフェライト粉末7のキュリー温度を超えての温度上昇を防止することができるので、発熱層3を構成するゴム材料の発煙、発火を防止することができ、安全性も向上させることができる。
なお、本実施の形態では、フェライトにおいて、ZnOに対するFe23の重量比の範囲が11〜24で、載置面に載置されない状態の飽和する温度が240〜300℃である例で説明したが、これに限られない。例えば、載置面に載置されない状態の飽和する温度を240〜300℃にできる構成であれば、特に、ZnOに対するFe23の重量比の範囲が11〜24である必要はない。つまり、グリル皿1の発熱層3として用いる発熱材料や組成または温度制御により、載置面に載置されない状態で240〜300℃の飽和温度を実現してもよい。
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2におけるマイクロ波発熱体からなる発熱層3が形成されたグリル皿1の詳細な構造を示す一部断面図である。
実施の形態1と異なる点は、フッ素コーティング層6の代わりに赤外線放射率が0.9以上の被覆層26を設けた点、および発熱層3を基材4に直接形成した点であり、その他の材料は実施の形態1と同じものが適用される。
図7において、支持体25は、基材4と、食品が載置される側(表面2A)の基材4に赤外線放射率が0.9以上の被覆層26を形成した構成を有する。マイクロ波発熱体からなる発熱層3は、食品が載置される側の表面2Aとは異なる表面2Bの基材4の表面に形成されている。基材4としては、アルミニウムや亜鉛がメッキされた表面処理鋼板、鉄板が適用される。
実施の形態1で用いたグリル皿1において、フッ素コーティング層6の表面の赤外線放射率は、2〜20μmの波長範囲で食品の載置面の温度を200〜250℃としたとき、約0.8である。
グリル皿1は、図1に示すように、食品から出る油脂などを食品と分離するために、食品の載置面に溝部2Cを設けている。しかし、この溝部2Cは食品と接触しないため、マイクロ波発熱体の発熱層3の熱が食品に伝達されにくく、焼きむらの発生による食品の仕上がり状態が悪くなる。
本実施の形態2によると、グリル皿1の食品の載置面(表面2A)に、フッ素コーティング層6の代わりに赤外線放射率が0.9以上の被覆層26を設けることにより、マイクロ波発熱体の発熱層3によって加熱された食品の載置面(表面2A)の放射率を大きくすることができる。これによって、載置面(表面2A)と接触していない食品の部位(グリル皿1の溝部3C)を輻射熱によって加熱することができるので、食品の調理性能を向上させることができる。
本実施の形態2の赤外線放射率が0.9以上の被覆層26は、シリカを主成分とするセラミック材料、あるいはガラス材料(ほうろう)がよい。
シリカはマイクロ波を透過する特性を有するため、被覆層26のグリル皿1の食品の載置面側(表面2A側)に回り込んだマイクロ波エネルギーの吸収がない。そのため、食品へのマイクロ波エネルギーの吸収量の減少が防止され、調理性能を向上させることができる。
また、被覆層26としてシリカを主成分とするセラミック質、あるいはガラス質とすることにより、グリル皿1の構成材料の許容される耐熱温度を向上させることができる。これによって、グリル皿1の食品の載置面(表面2A)の温度をより高くすることができるので、グリル皿調理の性能をさらに向上させることができる。
また、被覆層26は表面の硬度を大きくすることができる。したがって、食品を取り出す際に金属ヘラを用いたり、グリル皿1を洗浄する際に硬いナイロン束子を用いたりしても、被覆層26の傷や剥離が発生することがなく、優れた耐久性を実現することができる。
さらに、被覆層26に防汚性を付与することも有用である。これによって、調理時に食品そのもの、食品から出る油脂、調理に使用する調味料などのこびり付きを低減することができる。したがって、グリル皿1の洗浄などの手入れをさらに容易に行うことができ、グリル皿1の耐汚染性を向上させることができる。
防汚性を発現させるためには2つの方法がある。1つは食品の載置面(表面2A)に撥水性を発現させ、汚染物の付着量を少なくするとともに、汚染物の付着エネルギーを小さくすることにより、洗浄の際に汚染物を落とし易くする方法である。被覆層26への撥水の防汚性の発現は、被覆層26のベース材料に食品衛生上問題のないシリコーン油などの有機物成分を添加することによって実現することができる。
また、撥水以外の防汚性の発現は、被覆層26の表面に微少の凹凸を形成することによっても実現することができる。この微少の凹凸の形成は、被覆層26の焼成条件、有機物の選定など形成条件を制御することによって実現可能である。
もう1つは、撥水性とは逆に、食品の載置面(表面2A)に親水性を発現させ、付着した汚染物と食品の載置面(表面2A)の間に洗浄で使用する水が浸透し易くし、汚染物を落とし易くする方法である。被覆層26への親水の防汚性の発現は、被覆層26のベース材料に表面エネルギーを小さくする材料を添加することによって実現することができる。
なお、実施の形態2において、マイクロ波発熱体からなる発熱層3は、基材4の表面2Bに直接設けている。しかし、これに限定されるものでなく、基材4の耐食性を向上させるために、実施の形態1で述べた被覆層5や、他の耐熱性を有する被覆層を設け、その上に発熱層3を形成してもよい。
なお、実施の形態1、2において、マイクロ波発熱体からなる発熱層3は、有機化合物8として、ゴム材料、特にシリコーンゴムを用いている。しかし、これ以外にほうろうで用いられるフリット、アルミナゾル、シリカゾルなどの無機質バインダーなど被覆層26として使用する材料を用いることができる。
発熱層3に上記材料を用いることにより、グリル皿の耐熱許容温度を実施の形態1で述べたグリル皿1よりも高くすることができ、耐久性、信頼性をさらに向上させることができる。
また、発熱層3の有機化合物8の代わりに、ほうろうで用いられるフリット、アルミナゾル、シリカゾルなどの無機質バインダーなど被覆層26として使用する材料を用いることにより、グリル皿の構成材料を不燃性とすることができるので、耐久性に加え、安全性を向上させることができる。
また、マイクロ波発熱体からなる発熱層3のさらなる耐久性を向上させるため、マイクロ波に対して透過性が高い材料の保護層を発熱層3の上に設けてもよい。保護層の材料としては、前述のほうろうで用いられるフリット、アルミナゾル、シリカゾルなどの無機質バインダーや、被覆層26として使用する材料が挙げられる。
以上説明したように本発明の調理器具は、食品が載置される載置面を有する基材と、基材の表面に形成され、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するフェライトを含むマイクロ波発熱体からなる発熱層とを有する調理器具であって、フェライトがFe23とMnOとZnOを含み、ZnOに対するFe23の重量比を11〜24の範囲とした構成を備える。
このような構成により、フェライトのキュリー温度を高くすることができるのでグリル皿の載置面の温度を高温にすることが可能となる。したがって、グリル皿調理の調理時間を短縮することができ、グリル皿調理の性能を向上させることができる。
また、フェライトがキュリー温度近傍になるとマイクロ波エネルギーの吸収量が少なくなるように自己制御するため、調理器具であるグリル皿の温度を構成する材料の許容される耐熱温度以下で飽和させることが可能となる。したがって、過昇温によるグリル皿の構成材料の破損や発火や他の部材への延焼を防止することができ、安全性、耐久性、信頼性を向上させることができる。
さらに、グリル皿の過昇温を防止する安全装置を必要としないため、複雑な電子制御・制御デバイスが不要となり、低コスト化を図ることができる。
また、本発明の調理器具は、食品が載置される載置面を有する基材と、基材の表面に形成され、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するフェライトを含むマイクロ波発熱体からなる発熱層とを有する調理器具であって、食品が載置面に載置されない状態で飽和する載置面の温度を240〜300℃としたものである。
このような構成によれば、食品載置面の飽和温度が高温になるように設計しているので、所定の調理温度に短時間で昇温させることができ、調理時間の短縮化を図ることができる。
また、食品を乾燥させないで適度な焦げ目を付けることができ、高温でのグリル皿調理の性能を向上させることができる。
また、食品が載置されていない状態で食品の載置面が飽和する最高温度を300℃とすることにより、調理器具であるグリル皿の温度を構成材料の耐熱許容温度以下とすることができるので、グリル皿の構成材料の劣化や破損を防止することができ、安全性、耐久性、信頼性を向上させることができる。
また、本発明は、発熱層がフェライトの粒子と有機化合物とを含むものである。このような構成によれば、フェライトを含むマイクロ波発熱体からなる発熱層をグリル皿に容易に形成することができる。
また、有機化合物によって調理器具であるグリル皿の基材と発熱層の強固な接着性を実現することができるので、耐久性を向上させることができる。
また、比較的低温で発熱層を形成することができるのでグリル皿の構成材料の劣化を防止することができる。
また、本発明は、発熱層に含まれる前記有機化合物としてシリコーンゴムを含むものである。
このような構成によれば、発熱層の耐熱性を向上させることができるとともに、より優れたグリル皿と発熱層の接着を実現することができる。
また、発熱層の厚さを厚くすることができるのでマイクロ波の吸収に必要なフェライトの量を多くすることができ、昇温速度の速いマイクロ波発熱体を実現することができる。
また、本発明は、200℃までの複素比透磁率の虚数部が、常温での複素比透磁率の虚数部の少なくとも50%を有するものである。
このような構成によれば、発熱層の温度が上昇する過程においても発熱層自体のマイクロ波吸収の低下を抑制することができる。そのため、発熱層の昇温速度の低下が抑制され、調理器具であるグリル皿の載置面を短時間で高温に昇温させることができる。
また、本発明は、発熱層の面積が0.1m2または0.1m2より小さいものである。
このような構成によれば、通常使用される800W前後のマイクロ波出力で調理器具であるグリル皿を加熱しても、グリル皿の熱容量の増加や加熱されたグリル皿からの放熱量を抑制することができる。したがって、所定の温度に短時間で昇温させることができ、調理時間の短縮化と省エネルギー化を図ることができる。
また、昇温速度を低下させることなく、発熱と放熱によってバランスして飽和する温度を、フェライトのキュリー温度近傍でかつキュリー温度よりも低くなるように容易に設定することができるので、調理性能に優れたグリル皿を実現することができる。
また、本発明は、基材の熱伝導率を50〜150W/mKの範囲であるものである。
このような構成によれば、熱伝導が高すぎることによって起こるグリル皿の食品の載置面以外への熱伝達、放熱面積の拡大による放熱量の増加、熱伝導が低すぎることによって起こる食品載置面の温度分布の不均一性を抑制することができるので、食品の加熱効率に優れたグリル皿を実現することができる。
また、本発明は、食品が載置される載置面に、赤外線放射率が基材よりも高い材料からなる被覆層を形成するものである。
このような構成によれば、マイクロ波発熱体からなる発熱層の発熱によって加熱された載置面の熱の放射量を多くすることができる。したがって、載置面と接触していない食品の部位を輻射によって加熱することができ、食品の調理性能を向上させることができる。
また、本発明は、被覆層に防汚性を付与するものである。このような構成によれば、食品、食品から出る油脂、調味料などの汚染物のこびり付きを抑制することができるとともに、グリル皿の洗浄などの手入れを容易に行うことができる。したがって、調理器具として常に清潔な状態を維持することができる。
また、本発明は、被覆層がシリカを含むものである。このような構成によれば、被覆層の耐熱性を向上させることができるとともに、グリル皿の載置面の温度をより高くすることができる。したがって、グリル皿調理の性能と耐久性をさらに向上させることができる。
また、被覆層の硬度を高くすることができるので、食品を取り出す際に金属ヘラやグリル皿を洗浄する際に硬いナイロン束子を用いても、被覆層の傷や剥離の発生を防止することができ、優れた耐久性を実現することができる。
また、本発明は、加熱室と、加熱室内にマイクロ波を供給するマイクロ波発生部と、加熱室内に配置される調理器具とを備えた加熱装置である。
このような構成によれば、加熱装置におけるグリル皿調理の性能を向上させることができる。
本発明の調理器具は、グリル皿調理の性能を向上させることが可能となるので、電子レンジなどのマイクロ波加熱装置に適用可能であるとともに、マイクロ波発熱体を主成分とする発熱層は、乾燥機など調理機器以外のマイクロ波加熱機器として適用できる。
1,24,101 グリル皿
2,25 支持体
2A,2B 表面
2C 溝部
2D 端部
2E 中央部
3,102 発熱層
3C 溝部
4 基材
5,26 被覆層
6 フッ素コーティング層
7 フェライト粉末
8 有機化合物
9 加熱室
10 右側壁面
11 左側壁面
12 奥壁面
13 上壁面
14 底壁面
15 マグネトロン
16 導波管
17 マイクロ波放射部
18 封口部
19 加熱ヒータ
20 レール部
21 サーミスタ
22 赤外線センサ
23 制御部
40 加熱装置
103 載置面

Claims (11)

  1. 食品が載置される載置面を有する基材と、前記基材の表面に形成され、マイクロ波エネルギーを吸収して発熱するフェライトを含むマイクロ波発熱体からなる発熱層とを有する調理器具であって、前記フェライトがFeとMnOとZnOを含み、前記ZnOに対する前記Feの重量比を11〜24の範囲とした調理器具。
  2. 前記食品が前記載置面に載置されない状態で飽和する前記載置面の温度を240〜300℃とした請求項1に記載の調理器具。
  3. 前記発熱層がフェライトの粒子と有機化合物とを含む請求項1に記載の調理器具。
  4. 前記発熱層に含まれる前記有機化合物がシリコーンゴムを含む請求項3に記載の調理器具。
  5. 前記発熱層において、200℃までの複素比透磁率の虚数部が、常温での複素比透磁率の虚数部の少なくとも50%を有する請求項1に記載の調理器具。
  6. 前記発熱層の面積が0.1mまたは0.1mより小さい請求項1に記載の調理器具。
  7. 前記基材の熱伝導率が50〜150W/mKの範囲である請求項1に記載の調理器具。
  8. 前記食品が載置される載置面に、赤外線放射率が前記基材よりも大きい材料からなる被覆層を形成した請求項1に記載の調理器具。
  9. 前記被覆層に、防汚性を付与した請求項8に記載の調理器具。
  10. 前記被覆層がシリカを含む請求項8または9のいずれか1項に記載の調理器具。
  11. 加熱室と、前記加熱室内にマイクロ波を供給するマイクロ波発生部と、前記加熱室内に配置される請求項1から9のいずれか1項に記載の調理器具とを備えた加熱装置。
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