JP2008256278A - 調理機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】調理中に付着した食品の焦げ付き汚れや油汚れを、人手を煩わせるまでもなく、容易かつ自動的に除去することが可能な自動クリーニング機能を有する調理機器を提供する。
【解決手段】本発明の調理機器は、食品収容用の容器の内面のうち少なくとも食品が触れる領域または油汚れが生じる虞のある領域に、ケイ素(Si)と、ジルコニウム(Zr)と、酸素(O)とを含有し、前記ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO2)に、前記ジルコニウム(Zr)を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケイ素(SiO2)の、前記酸化ジルコニウム(ZrO2)と前記酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率が1重量%以上かつ40重量%以下、膜厚が0.01μm以上かつ10μm以下である被膜を形成し、さらに、この被膜に水蒸気を噴出するかまたは水滴を噴霧する手段を備えた。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の調理機器は、食品収容用の容器の内面のうち少なくとも食品が触れる領域または油汚れが生じる虞のある領域に、ケイ素(Si)と、ジルコニウム(Zr)と、酸素(O)とを含有し、前記ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO2)に、前記ジルコニウム(Zr)を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケイ素(SiO2)の、前記酸化ジルコニウム(ZrO2)と前記酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率が1重量%以上かつ40重量%以下、膜厚が0.01μm以上かつ10μm以下である被膜を形成し、さらに、この被膜に水蒸気を噴出するかまたは水滴を噴霧する手段を備えた。
【選択図】なし
Description
本発明は、食品を容器内に収容し、この容器内の食品を加熱することにより調理を行う調理機器に関し、特に、調理機器の容器内部に付着した食品の焦げ付き汚れや油汚れを、人手を煩わせるまでもなく、自動的かつ簡単に除去することが可能な自動クリーニング機能を有する調理機器に関するものである。
従来、食品を庫内(容器内)に収容し、この庫内の食品を加熱することにより調理を行う調理機器としては、例えば、オーブン、グリル等が知られており、これらの調理機器の一例として、食品を加熱する加熱庫内に専用の洗剤を散布する洗剤散布手段と、この散布された加熱庫内の洗剤を洗い流すために前記加熱庫内に洗浄シャワーを噴出させるシャワー噴出手段とを備えた食品調理器具が提案されている(特許文献1参照)。
特開平10−185197号公報
しかしながら、従来の洗剤散布手段及びシャワー噴出手段を備えた食品調理器具には、次のような改良すべき点があった。
(1)この食品調理器具専用の洗剤が必要であり、しかも、この専用洗剤は一般の台所用洗剤と比較して薬液成分が強い。
(2)専用洗剤を散布する際に、専用洗剤の液滴をあまり吸い込まないよう注意が必要であり、また、専用洗剤が誤って皮膚にかからないよう注意が必要である。そのために、手袋をするなどが必要となり、洗浄作業が面倒になる。
そこで、調理機器の庫内における食品の焦げ付き汚れや油汚れを、人手を煩わせることなく、自動的かつ簡単に除去することができる自動クリーニング機能を有する調理機器の出現が強く望まれていた。
(1)この食品調理器具専用の洗剤が必要であり、しかも、この専用洗剤は一般の台所用洗剤と比較して薬液成分が強い。
(2)専用洗剤を散布する際に、専用洗剤の液滴をあまり吸い込まないよう注意が必要であり、また、専用洗剤が誤って皮膚にかからないよう注意が必要である。そのために、手袋をするなどが必要となり、洗浄作業が面倒になる。
そこで、調理機器の庫内における食品の焦げ付き汚れや油汚れを、人手を煩わせることなく、自動的かつ簡単に除去することができる自動クリーニング機能を有する調理機器の出現が強く望まれていた。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、調理中に付着した食品の焦げ付き汚れや油汚れを、人手を煩わせるまでもなく、容易かつ自動的に除去することが可能な自動クリーニング機能を有する調理機器を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、調理機器の食品を収容するための容器の内面に、ケイ素(Si)とジルコニウム(Zr)と酸素(O)とを含有する特定組成の被膜を形成し、さらに、この被膜に水蒸気を噴出するかまたは水滴を噴霧する手段を備えたこととすれば、調理中に付着した食品や食材の焦げ付き汚れや油汚れを容易に洗浄・除去することができ、その結果、食品の焦げ付き汚れや油汚れを容易かつ自動的に除去することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の調理機器は、食品を収容するための容器と、この容器内の食品を加熱する加熱手段とを備えた調理機器であって、
前記容器の内面の少なくとも一部には、ケイ素(Si)と、ジルコニウム(Zr)と、酸素(O)とを含有し、前記ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO2)に、前記ジルコニウム(Zr)を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケイ素(SiO2)の、前記酸化ジルコニウム(ZrO2)と前記酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率が1重量%以上かつ40重量%以下である被膜が形成され、
さらに、前記被膜に水蒸気を噴出するかまたは水滴を噴霧する手段を備えてなることを特徴とする。
前記容器の内面の少なくとも一部には、ケイ素(Si)と、ジルコニウム(Zr)と、酸素(O)とを含有し、前記ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO2)に、前記ジルコニウム(Zr)を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケイ素(SiO2)の、前記酸化ジルコニウム(ZrO2)と前記酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率が1重量%以上かつ40重量%以下である被膜が形成され、
さらに、前記被膜に水蒸気を噴出するかまたは水滴を噴霧する手段を備えてなることを特徴とする。
この調理機器では、食品を収容するための容器の内面の少なくとも一部を、ケイ素(Si)と、ジルコニウム(Zr)と、酸素(O)とを含有し、前記ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO2)に、前記ジルコニウム(Zr)を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケイ素(SiO2)の、前記酸化ジルコニウム(ZrO2)と前記酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率が1重量%以上かつ40重量%以下である被膜を形成したことにより、この被膜に、調理中に付着した食品が焦げ付いたり、油汚れが付着した場合においても、これら食品の焦げ付き汚れや油汚れは強固に付着する虞がなく、簡単に剥離する。
これにより、この被膜に食品の焦げ付き汚れや油汚れが付着した場合においても、この被膜上の食品の焦げ付き汚れや油汚れに、水蒸気を噴出するかまたは水滴を噴霧することで、この蒸気が食品の焦げ付き汚れや油汚れを被膜から剥離し、除去する。
これにより、この被膜に食品の焦げ付き汚れや油汚れが付着した場合においても、この被膜上の食品の焦げ付き汚れや油汚れに、水蒸気を噴出するかまたは水滴を噴霧することで、この蒸気が食品の焦げ付き汚れや油汚れを被膜から剥離し、除去する。
この調理機器では、前記重量百分率は、1重量%以上かつ20重量%以下であることが好ましい。
また、前記重量百分率は、20量%を超えかつ40重量%以下であることとしてもよい。
前記被膜の厚みは、0.01μm以上かつ10μm以下であることが好ましい。
また、前記重量百分率は、20量%を超えかつ40重量%以下であることとしてもよい。
前記被膜の厚みは、0.01μm以上かつ10μm以下であることが好ましい。
本発明の調理機器によれば、食品を収容するための容器の内面の少なくとも一部に、ケイ素(Si)と、ジルコニウム(Zr)と、酸素(O)とを含有し、前記ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO2)に、前記ジルコニウム(Zr)を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケイ素(SiO2)の、前記酸化ジルコニウム(ZrO2)と前記酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率が1重量%以上かつ40重量%以下である被膜を形成し、さらに、前記被膜に水蒸気を噴出するかまたは水滴を噴霧する手段を備えたので、食品収容用の容器の内面に付着した食品の焦げ付きや油汚れに、水蒸気を噴出するかまたは水滴を噴霧することにより、食品の焦げ付きや油汚れを、人手を煩わせるまでもなく、容易かつ自動的に洗浄・除去することができる。
また、容器の内面に付着した食品の焦げ付きや油汚れに水蒸気を噴出するかまたは水滴を噴霧するだけでよいので、従来の様に専用の洗剤を用いる必要もなく、容器内を時間を掛けて人手により洗浄する手間もかからない。
本発明の調理機器を実施するための最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本実施形態の調理機器は、食品を収容するための容器と、この容器内の食品を加熱する加熱手段とを備えた調理機器であり、
前記容器の内面の少なくとも一部には、ケイ素(Si)と、ジルコニウム(Zr)と、酸素(O)とを含有し、前記ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO2)に、前記ジルコニウム(Zr)を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケイ素(SiO2)の、前記酸化ジルコニウム(ZrO2)と前記酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率が1重量%以上かつ40重量%以下である被膜が形成され、
さらに、前記被膜に水蒸気を噴出するかまたは水滴を噴霧する手段を備えた調理機器である。
前記容器の内面の少なくとも一部には、ケイ素(Si)と、ジルコニウム(Zr)と、酸素(O)とを含有し、前記ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO2)に、前記ジルコニウム(Zr)を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケイ素(SiO2)の、前記酸化ジルコニウム(ZrO2)と前記酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率が1重量%以上かつ40重量%以下である被膜が形成され、
さらに、前記被膜に水蒸気を噴出するかまたは水滴を噴霧する手段を備えた調理機器である。
この調理機器とは、食品を収容するための容器と、この容器内の食品を加熱する加熱手段とを備えたものである必要があり、例えば、屋内のキッチンや調理場等の厨房で使用されるオーブン、グリル等、食品の調理に用いられる各種ガス機器や電気機器及び各種厨房設備の付帯設備を総称したものである。
この調理機器の食品を収容するための容器の材質としては、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等の金属材料、ガラス、ジルコニア等のセラミックス材料、琺瑯等の金属−セラミックス複合材料等、種類を問わない。
この調理機器の食品を収容するための容器の材質としては、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等の金属材料、ガラス、ジルコニア等のセラミックス材料、琺瑯等の金属−セラミックス複合材料等、種類を問わない。
上述した加熱手段としては、特に制限されるものではなく、例えば、発熱体素子に通電して食品を加熱するヒータ加熱方式の加熱手段、高周波による誘導方式(Induction Heating)の加熱手段、燃焼ガスを燃焼する燃焼加熱手段、のいずれであってもよい。
また、上述した水蒸気を噴出するかまたは水滴を噴霧する手段としても、特に制限されるものではなく、例えば、水に超音波を照射して水蒸気を発生させ、この水蒸気を前記被膜に噴出する超音波式、ヒータ加熱により水を蒸発させ、この水蒸気を前記被膜に噴出する加熱式等を例示することができる。
また、上述した水蒸気を噴出するかまたは水滴を噴霧する手段としても、特に制限されるものではなく、例えば、水に超音波を照射して水蒸気を発生させ、この水蒸気を前記被膜に噴出する超音波式、ヒータ加熱により水を蒸発させ、この水蒸気を前記被膜に噴出する加熱式等を例示することができる。
以下、前記被膜について詳細に説明する。
この被膜を形成する領域としては、食品を収容するための容器のうち、少なくとも、食品が触れる領域または油汚れが生じる虞のある領域とする必要があるが、食品を収容するための容器の内面全体に洩れなく上記の被膜を形成した構成としてももちろんかまわない。
この被膜を形成する領域としては、食品を収容するための容器のうち、少なくとも、食品が触れる領域または油汚れが生じる虞のある領域とする必要があるが、食品を収容するための容器の内面全体に洩れなく上記の被膜を形成した構成としてももちろんかまわない。
ここで、被膜の組成を、ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO2)に、ジルコニウム(Zr)を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(SiO2)の、酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率を1重量%以上かつ40重量%以下とした理由は、酸化ケイ素(SiO2)の重量百分率が1重量%を下回ると、食品の焦げ付き汚れは容易に布拭き程度で除去できるものの、油汚れは布拭き程度では除去することができないからであり、一方、酸化ケイ素(SiO2)の重量百分率が40重量%を越えると、油汚れは容易に布拭き程度で除去できるものの、食品の焦げ付き汚れは布拭き程度では除去することができないからである。
ここで、前記重量百分率を1重量%以上かつ20重量%以下の範囲に限定すると、食品の焦げ付き汚れの除去容易性が特に優れたものとなる。もちろん、油汚れの除去容易性、被膜の耐水性も良好である。
また、前記重量百分率を20量%を超えかつ40重量%以下の範囲に限定すると、油汚れの除去性が特に優れたものとなる。もちろん、食品の焦げ付き汚れの除去容易性、被膜の耐水性も良好である。
また、前記重量百分率を20量%を超えかつ40重量%以下の範囲に限定すると、油汚れの除去性が特に優れたものとなる。もちろん、食品の焦げ付き汚れの除去容易性、被膜の耐水性も良好である。
この被膜の組成を撥水性及び親水性の点から考えると、酸化ジルコニウム(ZrO2)は表面に親水基(−OH)を有しないので撥水性を示すが、酸化ケイ素(SiO2)は、表面に親水基(−OH)を有するので親水性を示す。したがって、撥水性を示す酸化ジルコニウム(ZrO2)に、重量百分率が1重量%〜40重量%となるように酸化ケイ素(SiO2)を導入すると、この酸化ケイ素(SiO2)含有酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる被膜は、適度な撥水性と親水性とを兼ね備えたものとなる。
この被膜の厚みは、0.01μm以上かつ10μm以下であることが好ましい。
この被膜の厚みが0.01μmを下回ると、食品の焦げ付きや油汚れの防止効果が不充分となるので好ましくなく、一方、厚みが10μmを越えると、被膜の耐衝撃性が低下して、この被膜にクラックが入り易くなるので好ましくない。
この被膜の厚みが0.01μmを下回ると、食品の焦げ付きや油汚れの防止効果が不充分となるので好ましくなく、一方、厚みが10μmを越えると、被膜の耐衝撃性が低下して、この被膜にクラックが入り易くなるので好ましくない。
この被膜は、例えば、次のような方法により作製することができる。
すなわち、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物、ジルコニウムアルコキシドのキレート化合物、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物のキレート化合物の群から選択される1種または2種以上のジルコニウム成分と、ケイ素成分と、溶媒とを含み、前記ジルコニウム成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、前記ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO2)にそれぞれ換算したときの、前記酸化ケイ素の、前記酸化ジルコニウムと前記酸化ケイ素の合計量に対する重量百分率が1重量%以上かつ40重量%以下である塗布液を、食品を収容するための容器の内面の少なくとも一部に塗布して塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を大気中、200℃以上の温度にて熱処理する。
すなわち、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物、ジルコニウムアルコキシドのキレート化合物、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物のキレート化合物の群から選択される1種または2種以上のジルコニウム成分と、ケイ素成分と、溶媒とを含み、前記ジルコニウム成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、前記ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO2)にそれぞれ換算したときの、前記酸化ケイ素の、前記酸化ジルコニウムと前記酸化ケイ素の合計量に対する重量百分率が1重量%以上かつ40重量%以下である塗布液を、食品を収容するための容器の内面の少なくとも一部に塗布して塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を大気中、200℃以上の温度にて熱処理する。
この塗布液においては、上記のジルコニウムアルコキシドとしては、特に制限されるものではないが、例えば、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシドを例示することができる。これらジルコニウムテトラノルマルブトキシドやジルコニウムテトラプロポキシドは、適度な加水分解速度を有し、しかも、取り扱い易いので、膜質が均一な被膜を形成することができる。
また、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物としては、特に制限されるものではないが、例えば、ジルコニウムテトラノルマルブトキシドの加水分解物、ジルコニウムテトラプロポキシドの加水分解物を例示することができる。この加水分解物の加水分解率としては、特に制限はなく、0モル%超〜100モル%の範囲内のものを使用することができる。
これらジルコニウムアルコキシドやジルコニウムアルコキシドの加水分解物は、吸湿性が高く、不安定であり、貯蔵安定性も充分でないので、取り扱う際には、非常に注意を要する。
そこで、取り扱いの容易さの点では、これらジルコニウムアルコキシドやジルコニウムアルコキシドの加水分解物をキレート化したジルコニウムアルコキシドのキレート化合物、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物のキレート化合物が好ましい。
そこで、取り扱いの容易さの点では、これらジルコニウムアルコキシドやジルコニウムアルコキシドの加水分解物をキレート化したジルコニウムアルコキシドのキレート化合物、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物のキレート化合物が好ましい。
上記のジルコニウムアルコキシドのキレート化合物としては、ジルコニウムアルコキシドと、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のエタノールアミン、アセチルアセトン等のβ−ジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、マロン酸ジエチル、フェノキシ酢酸エチル等のβ−ケト酸エステル、酢酸、乳酸、クエン酸、安息香酸、リンゴ酸等のカルボン酸の群から選択される1種または2種以上の加水分解抑制剤(化合物)との反応生成物を例示することができる。ここで、加水分解抑制剤とは、ジルコニウムアルコキシドとキレート化合物を形成し、このキレート化合物の加水分解反応を抑制する作用を有する化合物のことである。
また、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物のキレート化合物としては、ジルコニウムアルコキシドと、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のエタノールアミン、アセチルアセトン等のβ−ジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、マロン酸ジエチル、フェノキシ酢酸エチル等のβ−ケト酸エステル、酢酸、乳酸、クエン酸、安息香酸、リンゴ酸等のカルボン酸の群から選択される1種または2種以上の加水分解抑制剤(化合物)との反応生成物を例示することができる。加水分解抑制剤の定義は、上述した通りである。
この加水分解抑制剤の、ジルコニウムアルコキシドまたはジルコニウムアルコキシドの加水分解物に対する割合は、このジルコニウムアルコキシドまたはジルコニウムアルコキシドの加水分解物に含まれるジルコニウム(Zr)の0.5モル倍〜4モル倍、好ましくは1モル倍〜3モル倍が好ましい。
割合が0.5モル倍よりも少ないと、塗布液の安定性が不充分なものとなるからであり、一方、4モル倍を超えると、熱処理した後においても加水分解抑制剤が被膜中に残留し、その結果、被膜の硬度が低下するからである。
割合が0.5モル倍よりも少ないと、塗布液の安定性が不充分なものとなるからであり、一方、4モル倍を超えると、熱処理した後においても加水分解抑制剤が被膜中に残留し、その結果、被膜の硬度が低下するからである。
これらジルコニウムアルコキシドのキレート化合物、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物のキレート化合物としては、ジルコニウムアルコキシドまたはジルコニウムアルコキシドの加水分解物を溶媒中に溶解し、さらに加水分解抑制剤を添加し、得られた溶媒中にてキレート化反応を生じさせたものであってもよい。
上記のケイ素成分としては、熱処理により酸化ケイ素となり得るケイ素化合物であれば特に制限はないが、例えば、コロイダルシリカ、ケイ素アルコキシド、ケイ素アルコキシドの加水分解物を例示することができる。この加水分解物の加水分解率としては、特に制限はなく、0モル%超〜100モル%の範囲内のものを使用することができる。
上記の溶媒としては、上述したジルコニウム成分及びケイ素成分を溶解または分散させることのできる溶媒であれば、特に制限なく用いることができ、例えば、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール等の低級アルコールが好適である。特に、溶媒として水を用いる場合、アルコキシドの加水分解量以上の量の水を含有させると、塗布液の安定性が低下するので好ましくない。
ここで、ジルコニウム成分としてジルコニウムアルコキシドおよび/またはジルコニウムアルコキシドの加水分解物を用いる場合、あるいは、ケイ素成分としてシリコンアルコキシドおよび/またはシリコンアルコキシドの加水分解物を用いる場合には、このジルコニウム成分またはケイ素成分の加水分解反応を制御する触媒を添加してもよい。
この触媒としては、塩酸、硝酸等の無機酸、クエン酸、酢酸等の有機酸等を例示することができる。また、この触媒の添加量は、通常、塗布液中のジルコニウム成分及びケイ素成分の合計量に対して0.01〜10重量%程度が好ましい。なお、触媒の過剰の添加は、熱処理の際に熱処理炉を腐食する虞があるので好ましくない。
この触媒としては、塩酸、硝酸等の無機酸、クエン酸、酢酸等の有機酸等を例示することができる。また、この触媒の添加量は、通常、塗布液中のジルコニウム成分及びケイ素成分の合計量に対して0.01〜10重量%程度が好ましい。なお、触媒の過剰の添加は、熱処理の際に熱処理炉を腐食する虞があるので好ましくない。
この点、ジルコニウム成分としてジルコニウムアルコキシドのキレート化合物またはジルコニウムアルコキシドの加水分解物のキレート化合物を用い、ケイ素成分としてコロイダルシリカを用いると、加水分解反応を制御する触媒である酸を添加する必要がなく、したがって、熱処理の際に熱処理炉を腐食する虞がないので好ましい。
この塗布液においては、ジルコニウム成分とケイ素成分の合計の含有率は、ジルコニウム成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO2)にそれぞれ換算したときの、酸化ジルコニウムと酸化ケイ素の合計の含有率が1重量%以上かつ10重量%以下であることが好ましい。
合計の含有率が1重量%を下回ると、所定の膜厚の被膜を形成することが困難となり、一方、合計の含有率が10重量%を超えると、所定の膜厚を超えることで被膜が白化したり、剥離する原因となるので好ましくない。
合計の含有率が1重量%を下回ると、所定の膜厚の被膜を形成することが困難となり、一方、合計の含有率が10重量%を超えると、所定の膜厚を超えることで被膜が白化したり、剥離する原因となるので好ましくない。
次いで、上記の塗布液を、食品を収容するための容器の内面の少なくとも一部、すなわち、少なくとも食品が触れる領域、さらには油汚れが付着する虞のある領域に、塗布する。塗布方法としては特に制限はなく、スプレー法、ディップ法、刷毛塗り法等が適用できる。塗布に当たっては、塗布膜の厚みを、熱処理後の膜厚が0.01μm〜10μmの範囲になるように調製することが好ましい。
このようにして得られた塗布膜を、大気中、200℃以上、より好ましくは400℃以上、さらに好ましくは500℃以上の温度にて熱処理する。
熱処理温度が200℃を下回ると、得られた被膜の膜強度が低下し、その結果、被膜の耐久性が低下するので好ましくない。なお、熱処理温度が高すぎると、食品を収容するための容器の内面を構成する基体自体が変形する虞があるため、熱処理温度を容器の内面を構成する基体の材質に応じて調整する。熱処理時の雰囲気は特に制限されず、通常、大気雰囲気中で行う。
熱処理温度が200℃を下回ると、得られた被膜の膜強度が低下し、その結果、被膜の耐久性が低下するので好ましくない。なお、熱処理温度が高すぎると、食品を収容するための容器の内面を構成する基体自体が変形する虞があるため、熱処理温度を容器の内面を構成する基体の材質に応じて調整する。熱処理時の雰囲気は特に制限されず、通常、大気雰囲気中で行う。
このようにして得られた被膜は、下記の(1)〜(4)のいずれかの組成を有している。
(1)ケイ素(Si)原子とジルコニウム(Zr)原子が酸素(O)原子を介して結合した下記式(1)
にて表される化学結合を分子骨格中に有するケイ素−ジルコニウム酸化物により構成され、このケイ素−ジルコニウム酸化物が三次元網目構造を形成した無機物質。
(1)ケイ素(Si)原子とジルコニウム(Zr)原子が酸素(O)原子を介して結合した下記式(1)
(2)ジルコニウム(Zr)原子同士が酸素(O)原子を介して結合した下記式(2)
にて表される化学結合を分子骨格中に有するジルコニウム酸化物により構成され、このジルコニウム酸化物が三次元網目構造を形成し、この三次元網目構造の中にケイ素酸化物の微粒子が閉じ込められた無機物質。
(3)ケイ素酸化物微粒子とジルコニウム酸化物微粒子が互いに分散している無機物質。
(4)上記の(1)〜(3)のいずれか1種または2種以上の無機物質が混在した状態のもの。
(4)上記の(1)〜(3)のいずれか1種または2種以上の無機物質が混在した状態のもの。
以上説明したように、本実施形態の調理機器によれば、食品を収容するための容器の内面の少なくとも一部に、ケイ素(Si)と、ジルコニウム(Zr)と、酸素(O)とを含有し、前記ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO2)に、前記ジルコニウム(Zr)を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケイ素(SiO2)の、前記酸化ジルコニウム(ZrO2)と前記酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率が1重量%以上かつ40重量%以下である被膜を形成し、さらに、前記被膜に水蒸気を噴出するかまたは水滴を噴霧する手段を備えたので、食品を収容するための容器の内面に付着した食品の焦げ付きや油汚れに、水蒸気を噴出するかまたは水滴を噴霧することにより、食品の焦げ付きや油汚れを、人手を煩わせるまでもなく、容易かつ自動的に洗浄・除去することができる。
また、食品の焦げ付きや油汚れに水蒸気を噴出するかまたは水滴を噴霧するだけでよいので、従来の様に専用の洗剤を用いる必要もなく、容器内を時間を掛けて人手により洗浄する手間もかからない。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、ここでは、食品を収容するための容器の基材として、琺瑯が表面に被覆されたステンレス板(以下、「琺瑯板」と称する)を用いた。
なお、ここでは、食品を収容するための容器の基材として、琺瑯が表面に被覆されたステンレス板(以下、「琺瑯板」と称する)を用いた。
「実施例1」
ジルコニウムテトラブトキシド6重量部、アセト酢酸エチル3重量部、2−プロパノール90.9重量部を室温(25℃)下で30分混合し、ジルコニウムテトラブトキシドとアセト酢酸エチルとのキレート化合物を生成させた。次いで、この溶液にテトラメトキシシラン0.1重量部を添加し、塗布液を得た。
この塗布液における、ジルコニウム成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO2)に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(SiO2)の、酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率は2重量%であった。
ジルコニウムテトラブトキシド6重量部、アセト酢酸エチル3重量部、2−プロパノール90.9重量部を室温(25℃)下で30分混合し、ジルコニウムテトラブトキシドとアセト酢酸エチルとのキレート化合物を生成させた。次いで、この溶液にテトラメトキシシラン0.1重量部を添加し、塗布液を得た。
この塗布液における、ジルコニウム成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO2)に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(SiO2)の、酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率は2重量%であった。
次いで、この塗布液を琺瑯板上に塗布量(固形分換算)が3g/m2となるようにスプレー塗装し、大気雰囲気中、600℃にて20分間、熱処理して、琺瑯板上に厚みが1μmの被膜を形成し、試験片1を得た。
次いで、この試験片1を評価した。評価結果を表1に示す。
なお、評価項目及び評価方法は次のとおりである。
次いで、この試験片1を評価した。評価結果を表1に示す。
なお、評価項目及び評価方法は次のとおりである。
(1)焦げ付き汚れの除去容易性
試験片1の被膜の表面に醤油を10ml滴下し、大気中、300℃にて1時間加熱し、醤油を焦げ付かせた。次いで、この焦げ付きに120℃の温度の水蒸気(10g)を1.1気圧で吹き付けた後、布を用いて焦げ付きを拭き取り、除去の容易性を評価した。
◎;極めて良好
○;良好
×;不良
試験片1の被膜の表面に醤油を10ml滴下し、大気中、300℃にて1時間加熱し、醤油を焦げ付かせた。次いで、この焦げ付きに120℃の温度の水蒸気(10g)を1.1気圧で吹き付けた後、布を用いて焦げ付きを拭き取り、除去の容易性を評価した。
◎;極めて良好
○;良好
×;不良
(2)油汚れの除去容易性
試験片1の被膜の表面にサラダ油を10ml滴下し、大気中、300℃にて1時間加熱し、サラダ油を焦げ付かせた。次いで、この焦げ付きに120℃の温度の水蒸気(10g)を1.1気圧で吹きつけた後、布を用いて焦げ付きを拭き取り、除去の容易性を評価した。
◎;極めて良好
○;良好
×;不良
試験片1の被膜の表面にサラダ油を10ml滴下し、大気中、300℃にて1時間加熱し、サラダ油を焦げ付かせた。次いで、この焦げ付きに120℃の温度の水蒸気(10g)を1.1気圧で吹きつけた後、布を用いて焦げ付きを拭き取り、除去の容易性を評価した。
◎;極めて良好
○;良好
×;不良
(3)耐水性
試験片1を、水道水を沸騰させた沸騰水中に24時間浸漬した後、被膜を指先で擦り、被膜の剥離状況を評価した。
◎;極めて良好
○;良好
×;不良
試験片1を、水道水を沸騰させた沸騰水中に24時間浸漬した後、被膜を指先で擦り、被膜の剥離状況を評価した。
◎;極めて良好
○;良好
×;不良
「実施例2」
ジルコニウムテトラブトキシド2.7重量部、アセト酢酸エチル1.8重量部、2−プロパノール95.2重量部を室温(25℃)下で30分混合し、ジルコニウムテトラブトキシドとアセト酢酸エチルとのキレート化合物を生成させた。次いで、この溶液にテトラメトキシシラン0.3重量部を添加し、塗布液を得た。
この塗布液における、ジルコニウム成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO2)に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(SiO2)の、酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率は15重量%であった。
次いで、この塗布液を用い、実施例1に準じて実施例2の試験片2を得た。この試験片2を、実施例1に準じて評価した。評価結果を表1に示す。
ジルコニウムテトラブトキシド2.7重量部、アセト酢酸エチル1.8重量部、2−プロパノール95.2重量部を室温(25℃)下で30分混合し、ジルコニウムテトラブトキシドとアセト酢酸エチルとのキレート化合物を生成させた。次いで、この溶液にテトラメトキシシラン0.3重量部を添加し、塗布液を得た。
この塗布液における、ジルコニウム成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO2)に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(SiO2)の、酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率は15重量%であった。
次いで、この塗布液を用い、実施例1に準じて実施例2の試験片2を得た。この試験片2を、実施例1に準じて評価した。評価結果を表1に示す。
「実施例3」
ジルコニウムテトラブトキシド2.3重量部、アセト酢酸エチル1.2重量部、2−プロパノール96重量部を室温(25℃)下で30分混合し、ジルコニウムテトラブトキシドとアセト酢酸エチルとのキレート化合物を生成させた。次いで、この溶液にテトラメトキシシラン0.5重量部を添加し、塗布液を得た。
この塗布液における、ジルコニウム成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO2)に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(SiO2)の、酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率は25重量%であった。
次いで、この塗布液を用い、実施例1に準じて実施例3の試験片3を得た。この試験片3を、実施例1に準じて評価した。評価結果を表1に示す。
ジルコニウムテトラブトキシド2.3重量部、アセト酢酸エチル1.2重量部、2−プロパノール96重量部を室温(25℃)下で30分混合し、ジルコニウムテトラブトキシドとアセト酢酸エチルとのキレート化合物を生成させた。次いで、この溶液にテトラメトキシシラン0.5重量部を添加し、塗布液を得た。
この塗布液における、ジルコニウム成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO2)に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(SiO2)の、酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率は25重量%であった。
次いで、この塗布液を用い、実施例1に準じて実施例3の試験片3を得た。この試験片3を、実施例1に準じて評価した。評価結果を表1に示す。
「実施例4」
ジルコニウムテトラブトキシド2.0重量部、アセト酢酸エチル1.0重量部、2−プロパノール96.3重量部を室温(25℃)下で30分混合し、ジルコニウムテトラブトキシドとアセト酢酸エチルとのキレート化合物を生成させた。次いで、この溶液にテトラメトキシシラン0.7重量部を添加し、塗布液を得た。
この塗布液における、ジルコニウム成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO2)に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(SiO2)の、酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率は35重量%であった。
次いで、この塗布液を用い、実施例1に準じて実施例4の試験片4を得た。この試験片4を、実施例1に準じて評価した。評価結果を表1に示す。
ジルコニウムテトラブトキシド2.0重量部、アセト酢酸エチル1.0重量部、2−プロパノール96.3重量部を室温(25℃)下で30分混合し、ジルコニウムテトラブトキシドとアセト酢酸エチルとのキレート化合物を生成させた。次いで、この溶液にテトラメトキシシラン0.7重量部を添加し、塗布液を得た。
この塗布液における、ジルコニウム成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO2)に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(SiO2)の、酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率は35重量%であった。
次いで、この塗布液を用い、実施例1に準じて実施例4の試験片4を得た。この試験片4を、実施例1に準じて評価した。評価結果を表1に示す。
「比較例1」
ジルコニウムテトラブトキシド6重量部、2−プロパノール93重量部、60重量%の硝酸1重量部を混合して、塗布液を得た。
次いで、この塗布液を用い、実施例1に準じて比較例1の試験片5を得た。この試験片5を、実施例1に準じて評価した。評価結果を表1に示す。
ジルコニウムテトラブトキシド6重量部、2−プロパノール93重量部、60重量%の硝酸1重量部を混合して、塗布液を得た。
次いで、この塗布液を用い、実施例1に準じて比較例1の試験片5を得た。この試験片5を、実施例1に準じて評価した。評価結果を表1に示す。
「比較例2」
ジルコニウムテトラブトキシド1.7重量部、アセト酢酸エチル0.8重量部、2−プロパノール96.6重量部を室温(25℃)下で30分混合し、ジルコニウムテトラブトキシドとアセト酢酸エチルとのキレート化合物を生成させた。次いで、この溶液にテトラメトキシシラン0.9重量部を添加し、塗布液を得た。
この塗布液における、ジルコニウム成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO2)に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(SiO2)の、酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率は45重量%であった。
次いで、この塗布液を用い、実施例1に準じて比較例2の試験片6を得た。この試験片6を、実施例1に準じて評価した。評価結果を表1に示す。
ジルコニウムテトラブトキシド1.7重量部、アセト酢酸エチル0.8重量部、2−プロパノール96.6重量部を室温(25℃)下で30分混合し、ジルコニウムテトラブトキシドとアセト酢酸エチルとのキレート化合物を生成させた。次いで、この溶液にテトラメトキシシラン0.9重量部を添加し、塗布液を得た。
この塗布液における、ジルコニウム成分を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO2)に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(SiO2)の、酸化ジルコニウム(ZrO2)と酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率は45重量%であった。
次いで、この塗布液を用い、実施例1に準じて比較例2の試験片6を得た。この試験片6を、実施例1に準じて評価した。評価結果を表1に示す。
表1によれば、実施例1、2では、食品の焦げ付き汚れの除去容易性が特に優れており、また、油汚れの除去容易性、被膜の耐水性も良好なものであった。
また、実施例3、4では、油汚れの除去性が特に優れており、食品の焦げ付き汚れ、被膜の耐水性も良好なものであった。
これに対して、比較例1では、食品の焦げ付き汚れの除去容易性は良好であるものの、油汚れの除去容易性、被膜の耐水性は共に不良であった。また、比較例2では、油汚れの除去容易性、被膜の耐水性は優れているものの、食品の焦げ付き汚れの除去容易性が不良であった。
したがって、食品の焦げ付き汚れの除去容易性、油汚れの除去容易性、被膜の耐水性のいずれも良好なのは、被膜中のSiO2量が1重量%〜40重量%の範囲であることが分かった。
また、実施例3、4では、油汚れの除去性が特に優れており、食品の焦げ付き汚れ、被膜の耐水性も良好なものであった。
これに対して、比較例1では、食品の焦げ付き汚れの除去容易性は良好であるものの、油汚れの除去容易性、被膜の耐水性は共に不良であった。また、比較例2では、油汚れの除去容易性、被膜の耐水性は優れているものの、食品の焦げ付き汚れの除去容易性が不良であった。
したがって、食品の焦げ付き汚れの除去容易性、油汚れの除去容易性、被膜の耐水性のいずれも良好なのは、被膜中のSiO2量が1重量%〜40重量%の範囲であることが分かった。
本発明の調理機器は、食品を収容するための容器の内面の少なくとも一部に、ケイ素(Si)と、ジルコニウム(Zr)と、酸素(O)とを含有し、前記ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO2)に、前記ジルコニウム(Zr)を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケイ素(SiO2)の、前記酸化ジルコニウム(ZrO2)と前記酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率が1重量%以上かつ40重量%以下である被膜を形成し、さらに、前記被膜に水蒸気を噴出するかまたは水滴を噴霧する手段を備えたことにより、食品の焦げ付きや油汚れを、人手を煩わせるまでもなく、容易かつ自動的に洗浄・除去することができたものであるから、食品の調理に用いられる調理機器や各種厨房設備の付帯設備はもちろんのこと、食品を製造する食品製造業や食品を加工する食品加工業等の食品工業に対しても適用可能であり、その工業的意義は極めて大きいものである。
Claims (4)
- 食品を収容するための容器と、この容器内の食品を加熱する加熱手段とを備えた調理機器であって、
前記容器の内面の少なくとも一部には、ケイ素(Si)と、ジルコニウム(Zr)と、酸素(O)とを含有し、前記ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO2)に、前記ジルコニウム(Zr)を酸化ジルコニウム(ZrO2)に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケイ素(SiO2)の、前記酸化ジルコニウム(ZrO2)と前記酸化ケイ素(SiO2)の合計量に対する重量百分率が1重量%以上かつ40重量%以下である被膜が形成され、
さらに、前記被膜に水蒸気を噴出するかまたは水滴を噴霧する手段を備えてなることを特徴とする調理機器。 - 前記重量百分率は、1重量%以上かつ20重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の調理機器。
- 前記重量百分率は、20量%を超えかつ40重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の調理機器。
- 前記被膜の厚みは、0.01μm以上かつ10μm以下であることを特徴とする請求項1、2または3記載の調理機器。
Priority Applications (1)
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JP2007099475A JP2008256278A (ja) | 2007-04-05 | 2007-04-05 | 調理機器 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012021739A (ja) * | 2010-07-16 | 2012-02-02 | Panasonic Corp | 加熱調理器 |
-
2007
- 2007-04-05 JP JP2007099475A patent/JP2008256278A/ja not_active Withdrawn
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