JP5469801B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、液を吸収するための吸収性物品に関する。
従来、経血などの所定の液を吸収するための吸収体を備えた吸収性物品が知られている。このような吸収性物品には、第1吸収体と、第1吸収体に重ね合わされた第2吸収体とを有する2層構造のものがある。その中でも、使用者の体にぴったりとフィットするように、例えば、第2吸収体が三つ葉断面形状に成形された吸収性物品も提案されている。(例えば、特許文献1)。
特表2002−512851号公報
しかし、特許文献1に記載の吸収性物品の第2吸収体は、吸収性材料を含んだシート状の複合ウェブの一方面(肌当接面)の端部が対向するように、三ヶ所で折り畳まれることによって、三つ葉断面形状に成形されており、製造方法が複雑である。
そこで本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、使用者の体に密着し、製造方法が容易な吸収性物品を提供することを目的とする。
上記のような課題を解決するために、主たる本発明は、
不透液性シート及び吸収体基材を有する基体と、前記基体の上に重ねて設けられた吸収体とを、有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、吸液性コアと、前記吸液性コアを内包するシートと、幅方向と、前記幅方向と交差する長手方向とを、有し、
前記吸収体の幅は、前記基体の幅より短く、
前記吸収体は前記長手方向において一端と他端を備え、他端は前記基体に本接合されており、前記一端は前記他端を支点として前記基体から分離して移動可能であり、
前記シートは、身体に接触する側に位置する肌当接面と、身体に接触しない側に位置する非肌当接面とを有し、
前記シートの前記非肌当接面の一部と前記シートの前記非肌当接面の他の一部とが、前記幅方向の中央部において、前記長手方向に沿って対向するように、前記一部と前記他の一部とを接合する接合部を有し、
前記吸収体は、身体の膣口に対向する膣口対向部位を有し、
前記吸収体の前記長手方向における前記一端が、身体の臀部側に位置し、
前記接合部は、前記長手方向において、前記膣口対向部位から前記一端までの間に位置し、
装着前の状態における前記幅方向の長さが所定幅である幅狭領域が、前記長手方向において、装着前の状態における前記幅方向の長さが前記所定幅よりも長い第1領域と、装着前の状態における前記幅方向の長さが前記所定幅よりも長い第2領域との間に位置し、
前記幅狭領域は、前記接合部により前記一部と前記他の一部とが接合された領域であり、
前記幅狭領域の目付は、前記第1領域および前記第2領域の各目付よりも低いことを特徴とする吸収性物品である。
本発明によれば、使用者の体に密着し、製造方法が容易な吸収性物品を提供することが可能である。
本明細書及び図面には、少なくとも次の事項が開示されている。
吸液性コアと、前記吸液性コアを内包するシートとを有し、前記シートが、身体に接触する側に位置する肌当接面と、身体に接触しない側に位置する非肌当接面とを有し、幅方向と、前記幅方向と交差する長手方向とを有する吸収体であって、前記シートの前記非肌当接面の一部と前記シートの前記非肌当接面の他の一部とが、前記幅方向の中央部において、前記長手方向に沿って対向するように、前記一部と前記他の一部とを接合する接合部を有することを特徴とする吸収体である。
このような吸収体によれば、シートの前記一部と前記他の一部とが接合された領域は幅方向の幅が狭くなるため、吸収体を身体の溝部(会陰部)に入り込ませ易く、また、吸収体を身体に密着させ易くすることができる。また、シートの一部分同士を接合するだけであるため、製造方法が容易であり、安価に大量生産することが可能となる。
かかる吸収体であって、前記吸収体は、身体の膣口に対向する膣口対向部位を有し、前記吸収体の前記長手方向における一端が、身体の臀部側に位置し、前記接合部は、前記長手方向において、前記膣口対向部位から前記一端までの間に位置すること。
このような吸収体によれば、接合部により幅方向の幅が狭くなる領域が、身体の溝部と対向するため、吸収体と身体の溝部が密着し易くなる。
かかる吸収体であって、前記幅方向の長さが所定幅である幅狭領域が、前記長手方向において、前記幅方向の長さが前記所定幅よりも長い第1領域と、前記幅方向の長さが前記所定幅よりも長い第2領域との間に位置し、前記幅狭領域は、前記接合部により前記一部と前記他の一部とが接合された領域であること。
このような吸収体によれば、身体の溝部と当接する幅狭領域以外の領域(第1領域および第2領域)は幅狭領域よりも幅が広く、外観上において、使用者に安心感を与えることができる。また、例えば、第1領域が膣口と当接する場合には、幅の広い領域で液体を受け止めることができる。さらに、第1領域および第2領域は比較的に平面な形状であるため、例えば、第2領域が臀部(腰部)と当接する場合には、使用者が横になった時にも装着の違和感を与えない。
かかる吸収体であって、前記幅狭領域の目付は、前記第1領域および前記第2領域の各目付よりも低いこと。
このような吸収体によれば、接合部によりシートの一部分同士を接合し易くなる。また、吸液性コアの使用量を抑えられる。
かかる吸収体であって、前記吸収体を前記幅方向に沿った折り位置にて折り畳む際に、前記折り位置上に前記接合部が存在しないこと。
このような吸収体によれば、個別包装の際などに、接合部によりシートの一部分同士が接合された状態で折り畳まれたとしても、接合部が剥がれにくい。また、折り畳みやすい。
また、不透液性シートを有する基体と、前記基体の上に重ねて設けられた吸収体とを、有する吸収性物品であって、前記吸収体は、吸液性コアと、前記吸液性コアを内包するシートと、幅方向と、前記幅方向と交差する長手方向とを、有し、前記シートは、身体に接触する側に位置する肌当接面と、身体に接触しない側に位置する非肌当接面とを有し、前記シートの前記非肌当接面の一部と前記シートの前記非肌当接面の他の一部とが、前記幅方向の中央部において、前記長手方向に沿って対向するように、前記一部と前記他の一部とを接合する接合部を有することを特徴とする吸収性物品である。
このような吸収性物品によれば、身体に密着させ易い吸収性物品を容易に製造することができる。
===本実施形態===
〈生理用ナプキンの概略構成〉
以下、吸収性物品を生理用ナプキンとして説明する。以下では、生理用ナプキンの身体に接触する側を表面側とし、下着に接する側を裏面側とする。また、生理用ナプキンは全体として所定方向に長い形状を成し、この所定方向を長手方向とし、この長手方向と交差する方向を幅方向とする。そして、生理用ナプキンの表面または裏面に対する法線方向を厚み方向とする。まず、生理用ナプキンの構成概要について説明する。
図1は、ベース吸収体10の表面側の平面図であり、図2は、トップ吸収体20の表面側の平面図であり、図3は、ベース吸収体10とトップ吸収体20が接合された状態を示す図であり、図4は、生理用ナプキン1の斜視図である。図1のベース吸収体10の平面図には、トップ吸収体20の外形線を仮想的に点線で示している。この生理用ナプキン1(吸収性物品)は、ベース吸収体10(基体に相当)と、ベース吸収体10の表面に重ね合わせられたトップ吸収体20(吸収体に相当)とを備えた2層構造の生理用ナプキンである。
この生理用ナプキン1にあっては、図3に示すように、生理用ナプキン1の幅方向における中心線CL上であって、長手方向における中央より前側に、膣口対面想定位置Z(膣口対向部位に相当)が位置するようになっている。即ち、生理用ナプキン1では、膣口対面想定位置Zから後側の長さの方が、同位置Zから前側の長さより長く形成されている。
また、トップ吸収体20の前端部20aがベース吸収体10の前端部10aに接合されている一方で、トップ吸収体20の後端部20bは、前端部20aを支点としてベース吸収体10から分離して移動可能な自由端になっている。よって、生理用ナプキン1の使用者は、まず、長手方向が身体の前後方向に沿うようにベース吸収体10を下着の内面に付着固定し、下着を穿いた状態においてトップ吸収体20の後端部20bを引き上げ、トップ吸収体20が臀部等の溝部に入り込むように装着する。そして、主にトップ吸収体20によって排泄される経血等の液体が吸収される。
なお、本実施形態のトップ吸収体20の長手方向中央部(幅狭領域51,詳細は後述)は、図2に示すように、前端側20aや後端側20bに比べて幅方向の幅が狭くなっている。そのため、使用者がトップ吸収体20を臀部等の溝部に入り込ませ易く、また、溝部にトップ吸収体20が密着し易いため、液漏れを防止することができる。
以下、生理用ナプキン1の各構成要素について詳細に説明する。
<ベース吸収体10について>
図5Aから図5Cは、それぞれ、図1中のA−A断面図、同B−B断面図、同C−C断面図である。なお、図5中ではトップ吸収体20の外形線のみを仮想的に点線で示している。
ベース吸収体10の平面形状は、長手方向に長尺な略長方形である。そして、ベース吸収体10は、液体を吸収する吸収体基材12と、少なくとも吸収体基材12の表面側をその全面に亘って覆って設けられた表面シート14と、吸収体基材12に吸収された液体の裏面側への漏れを防止するための裏面シート30と、幅方向の外側への液体の漏れを防ぐ防漏壁46を形成するためのサイドシート40と、を有する。
吸収体基材12は、パルプを粉砕した粉砕パルプを積層させた粉砕パルプ積層体12aと、粉砕パルプ積層体12aの中に混入された高吸収性ポリマーと、粉砕パルプ積層体12aを包むティッシュペーパー等の透液性シート(不図示)と、を有する。
表面シート14は透液性シートであり、その素材は適宜な不織布等で、例えば、ポリエステルやポリエチレン等の合成樹脂繊維で形成されたエアースルー不織布や同スパンレース不織布等が親水化処理等されて使用される。
そして、表面シート14と吸収体基材12はホットメルト系接着剤を介在させて溝付きエンボス加工により、厚み方向に圧縮され、接合一体化される。溝付きエンボス加工とは、互いに対向する一対の挟圧部材(不図示)を用いて行われる。一対の挟圧部材のうちの一方の挟圧部材は、連続するリブ状の突部を有すると共に、リブ状の突部の頂部には更に島状の突部がリブ状の突部の連続方向に関して間欠的に設けられている。また、もう一方の挟圧部材におけるリブ状の突部と対向する面は平坦に形成されている。よって、溝付きエンボス加工後の表面シート14と吸収体基材12に形成される圧縮溝15は、図1に示すように、低い圧縮率で圧縮された低圧縮部15aと、それよりも高い圧縮率で圧縮された高圧縮部15bとが圧縮溝15の延在方向に交互に形成されている。
また、このような圧縮溝15が形成された領域の剛性は高くなる。図1に示すように、ベース吸収体10上には長手方向に沿って略4本の圧縮溝が形成されるため、ベース吸収体10は幅方向に変形し難くなる。例えば、幅方向に突出したウィング部32(後述)が存在する中央領域Rcでは、身体の股間が当接して幅方向に挟み込まれるため、仮に中央領域Rcの幅方向の剛性が小さいと、股間による挟み込みに抗しきれずに中心線CLに沿ってベース吸収体10は折れてしまう。すると、トップ吸収体20はベース吸収体10に両脇から挟み込まれ、トップ吸収体20に長手方向に沿って形成された皺等により、トップ吸収体20と臀部の溝との密着性が悪くなってしまう。このような剛性が必要な領域を対象に選択的に圧縮溝15が形成される。
裏面シート30(不透液シートに相当)は、例えばポリエチレンやポリプロピレン等を素材とする液不透過性シートであり、その形状は、長手方向には吸収体基材12よりも長く、幅方向には吸収体基材12よりも広い形状である。そして、裏面シート30の表面側に、ホットメルト系接着剤にて吸収体基材12が接着され、また、前端部30aと後端部30bにおいて、裏面シート30と表面シート14は溶着等により接合され(図1中に網掛けで示す部分を参照)、これにより、裏面シート30と表面シート14との間に吸収体基材12が保持されている。ちなみに各シートの層間にはホットメルト系接着剤が介在していることが好ましい。
なお、裏面シート30の裏面側には、生理用ナプキン1を下着の内面に配置した後に、その配置位置から生理用ナプキン1がずれないように下着の内面に付着固定するための「ずれ止め用付着部31」が設けられている。このずれ止め用付着部31は、例えば、裏面シート30の裏面における所定範囲に塗布されたホットメルト系接着剤であり、ベース吸収体10の前端部10aから後端部10bまでに亘って連続して形成されている。
また、下着と生理用ナプキン1とのずれ止めをより強固なものにすべく、裏面シート30の幅方向の両端には、ウィング部32が幅方向の外側に延出して形成されている。ウィング部32の裏面にも「ずれ止め用付着部33」が設けられおり、ウィング部32は外側に折り返され、ずれ止め用付着部33によって下着の外面に付着固定される。ちなみに、長手方向に関するウィング部32の中心位置と、前述の膣口対面想定位置Zとは一致している。
サイドシート40は、図5Bに示すように吸収体基材12の幅方向の両端部の近傍位置に防漏壁46を形成するためのものであり、図1に示すように長手方向に沿って、表面シート14を表面側から覆って設けられている。なお、サイドシート40は疎水性シートからなり、その素材としては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂繊維で形成されたスパンボンド不織布等が使用される。
詳しくは、図1に示すように、幅方向に一対のサイドシート40が、幅方向の中心線CLに関して線対称に配置され、長手方向に沿って前端部10aから後端部10bまで、つまり生理用ナプキン1の外形輪郭まで延びている。そして、図5Bに示すように、各サイドシート40は、それぞれに、吸収体基材12の幅方向の両端部の近傍位置において表面シート14に圧着固定されて固定部44が形成されており、この固定部44から端部46が自由端になっている。この端部46には、弾性部材48が伸長下の状態で長手方向に沿って固定されている。よって、表面シート14が内側となるように生理用ナプキン1を湾曲させると弾性部材48が収縮し、これによって、自由端たる前記端部46は表面シート14から起立して防漏壁46となる。なお、防漏壁たる端部46の長手方向の前端部及び後端部は、図5A及び図5Cに示すように、表面シート14側に伏せられた状態でホットメルト系接着剤によりサイドシート40に接合されており、起立しない未起立部となっている。
また、これらサイドシート40は、それぞれに、固定部44から更に幅方向の外側へと延出しており、つまり、その外端縁は裏面シート30の外形輪郭、つまり生理用ナプキン1の外形輪郭にまで達している。そして、外端縁(図1中で網掛けで示す部分を参照)は、裏面シート30の幅方向の外端縁と長手方向に亘ってホットメルト系接着剤等により接合される。
<トップ吸収体20について>
図6Aから図6Eは、それぞれ、図2中のA−A断面図、同B−B断面図、同C−C断面図、同D−D断面図、同E−E断面図である。トップ吸収体20は、液体を吸収する粉砕パルプ積層体22(吸液性コアに相当)と、粉砕パルプ積層体22よりも表面側に配された中間シート23と、これら粉砕パルプ積層体22及び中間シート23をひとまとめに包み込み、これら粉砕パルプ積層体22等を長手方向に長い長尺体形状に保持するための保形シート24(シートに相当)とを有する。更に、トップ吸収体20の長手方向中央部では、図6Bに示すように、保形シート24のうちの身体と接触しない側である裏面側(非肌当接面に相当)の一部と、保形シート24の裏面側の他の一部とが、幅方向の中央部において、長手方向に沿って対向するように接合されている。その結果、トップ吸収体20の長手方向中央部は、前端側20aや後端側20bに比べて幅方向の幅が狭い幅狭領域51となっている。また、保形シート24の一部と、他の一部とを接合する接合部52は、保形シート24のうちの身体と接触する側である表面側(肌当接面に相当)に露出しない。なお、図3では、接合部52の位置を示すために、接合部52を点線にて仮想的に示している。
中間シート23は、保形シート24よりも液体の引き込み性に優れた透液性シートであり、その素材としては、例えばポリプロピレン等の合成樹脂繊維で形成されたエアースルー不織布等が使用される。この中間シート23は、保形シート24と重ね合わされた状態で開孔エンボス加工が施され、これにより中間シート23は保形シート24に接合一体化される。但し、中間シート23は必須ではなく、例えば、保形シート24を二層にすることで密度勾配を設けても良い。
ちなみに、開孔エンボス加工は、互いに対向する一対の加工部材(不図示)を用いて行われる。すなわち、一方の加工部材には円錐状の突部が設けられており、対向する他方の加工部材には前記突部が入り込む穴部が設けられている。そして、前記突部が形成されている加工部材は加熱されており、円錐状の突部が、互いに重ね合わされた中間シート23と保形シート24とを貫通して多数の孔28(図2を参照)が形成される際に孔縁部が熱融着されることにより中間シート23は保形シート24に接合一体化される。
保形シート24は、透液性シートであり、その素材には、例えば前述のベース吸収体10の表面シート14と同素材が用いられる。この保形シート24をシート状に平坦に展開した際の平面形状は略長方形である。そして、この展開状態の保形シート24にホットメルト系接着剤を全面に塗った状態で、図6Cに示すように筒体状に丸めるとともに、その幅方向の両端部24eを重ね合わせてホットメルト系接着剤にて接合した状態において、その筒体の内側には前記粉砕パルプ積層体22や中間シート23が長手方向に亘って収容される。
また、図2に示す保形シート24における長手方向の前側の部分及び後側の部分は、それぞれに、図6A及び図6Eに示すように粉砕パルプ積層体22や中間シート23が無い状態で折り畳まれるとともに、当該畳まれた部分にホットメルト系接着剤(不図示)が介在された状態でエンボス加工による圧着が施され、これにより保形シート24の長手方向の前端部及び後端部は封止されて、薄厚の封止部25,26となっている。後側の封止部26はトップ吸収体20を引き上げる際の摘み部として作用することが可能である。
更には、図2及び図6Dに示すように、トップ吸収体20の後方であって少なくとも粉砕パルプが存在する部分には、粉砕パルプ積層体22を裏面側から覆って防漏シート50が設けられている。この防漏シート50は不透液性シートであり、粉砕パルプ積層体22が吸収した液体がトップ吸収体20の外面に染み出すのを防ぐ機能を有する。つまり、生理用ナプキン1の使用時においては、トップ吸収体20の後端部20bがベース吸収体10の後端縁10eよりも後方へ飛び出す場合があり得て、その場合にトップ吸収体20の後端部20bの外面(特に裏面)に液体が染み出していたとしても、トップ吸収体20の後端部20bが下着と接触した際に下着を汚してしまうことを防げる。この防漏シート50の素材としては、液体を完全に遮断できるポリエチレンやポリプロピレン等の無孔フィルムが望ましいが、完全に遮断できなくても良く、例えば撥水性繊維からなる不織布等でも良い。
そして、トップ吸収体20の裏面側には、トップ吸収体20をベース吸収体10の表面に固定するための係止部27(図2)が設けられている。この係止部27により、トップ吸収体20を装着時に調整される好適な位置に維持することができる。係止部27として、粘着材やフック材(面ファスナーの雄材)等を用いることができる。例えば、平面から所定の角度に傾いた複数の針状のピンが配列されているフック材では、一方向に引っ張る際には繊維に引っ掛かり難く、一方向には係止が解除されやすくなり、他方向に引っ張る際には繊維が引っ掛かり易く、他方向には係止されやすいフック材等が挙げられる。また、係止力を高める目的で、トップ吸収体20側に設けられた面ファスナーの雄材に対応する面ファスナーの雌材をベース吸収体10側に設けても良い。
〈トップ吸収体20とベース吸収体10との接合について〉
トップ吸収体20は、ベース吸収体10の表面側に、それぞれの幅方向の中心線CLを揃えて重ね合わせられ、トップ吸収体の前端部20aとベース吸収体の前端部10aとを揃えた状態で接合される。なお、図3に示すように、トップ吸収体20の後端側の封止部26は、使用者が摘むことができる程度にベース吸収体10の外形輪郭から後方に突出しており、摘み部として機能する。
そして、トップ吸収体20の前端部20aはベース吸収体10の前端部10aに強固に本接合されている。本実施形態では、ベース吸収体10の本接合部10g(図1の濃色で示した領域)に、ホットメルト系接着剤HMAが塗布され(図中ではHMAと記す)、接着剤が塗布された領域とトップ吸収体20の前端部20aが接着されることにより、本接合される。ここで本接合とは、トップ吸収体20とベース吸収体10とを故意に分離させようとすると、トップ吸収体20とベース吸収体10の少なくともいずれか一方の破損を伴うことが余儀なくされる程度に強固に接合された分離不能な状態を言う。本接合の他の方法として、溝付きエンボス加工などが挙げられる。
〈トップ吸収体20の幅狭領域51について〉
図7は、トップ吸収体20における粉砕パルプ22の秤量分布図である。図8Aは、幅狭領域51を形成する前のトップ吸収体断面図であり、図8Bは、幅狭領域51を形成した後の断面図であり、図8Cは、幅狭領域51が身体の溝部91(膣口後方から肛門までの間)に当接した様子を示す断面図である。
本実施形態では、トップ吸収体20のうちの身体の溝部91と当接する領域は、前端側20aや後端側20bに比べて幅方向の幅が狭い幅狭領域51となっている。即ち、図2に示すように、幅方向の長さがW1(所定幅に相当)である幅狭領域51は、幅方向の長さ(W2)が所定幅W1よりも長い第1領域53と、幅方向の長さ(W2)が所定幅W1よりも長い第2領域54との間に位置する。
この幅狭領域51を形成するために、図7に示すように、トップ吸収体20のうちの身体の溝部91に当接する領域、即ち、膣口対面想定位置Zよりもやや後方に、ホットメルト系接着剤HMAが塗布されている。具体的には、膣口対面想定位置Zよりもやや後方の位置M1から身体の溝部91の長さ程度(例えば90mm)までの位置M2に、ホットメルト系接着HMAが塗布されている。
そして、図8A及び図8Bに示すように、保形シート24の裏面側の一部52Aと保形シート24の裏面側の他の一部52Bとが、ホットメルト系接着剤HMAにより、幅方向の中央部において接合されることで、幅狭領域51が形成される。ゆえに、ホットメルト系接着剤HMAが塗布されているトップ吸収体20の領域が、保形シート24の一部52Aと他の一部52Bとを接合する接合部52に相当する。
また、本実施形態では、トップ吸収体20の長手方向中央部の位置M1から位置M2まで連続してホットメルト系接着剤HMAが塗布されており、保形シート24の裏面側の一部52Aと他の一部52Bは、位置M1から位置M2に亘って、長手方向に沿って対向するように接合される。ゆえに、トップ吸収体20のうちの位置M1から位置M2までが幅狭領域51となる。なお、図3に示すように、幅狭領域51の近傍も、幅狭領域51の影響を受けて、トップ吸収体の前端部20aや後端部20bに比べて、幅方向の長さが若干短くなっている。
仮に、トップ吸収体20に幅狭領域51が設けられていないとすると、使用者がトップ吸収体20を溝部91に密着させようとしても、本実施形態のように、トップ吸収体20を溝部91へ速やかに入り込ませることができない。特に、痩せ気味で臀部等の肉があまり発達していない使用者の場合には、幅が狭くなっていないトップ吸収体20を自身の肉で挟み込むことは難しい。
そこで、本実施形態のトップ吸収体20のように、身体の溝部91に当接する領域に幅狭領域51を設けることで、トップ吸収体20を身体の溝部91に入り込ませ易く、また、溝部91にトップ吸収体20を密着させ易くすることができる。その結果、液漏れが防止される。
更に、このような身体に密着させやすいトップ吸収体20を、本実施形態では、保形シート24の裏面側の一部52Aと他の一部52Bとを接合することで実現させており、製造方法が比較的に容易である。そのため、本実施形態の生理用ナプキン1は安価に大量生産することも可能となる。
また、本実施形態のトップ吸収体20では、幅狭領域51を形成する接合部52が、保形シート24の身体と接触する側(表面側)に露出しないように、保形シート24の裏面側の一部分同士がホットメルト系接着剤HMAにより接合されている。そのため、固化して硬くなったり、ベトベト感のあるホットメルト系接着剤HMAが使用者の肌と接触することがなくなったり、使用者に不快感を与えてしまうことを防止できる。また、ホットメルト系接着剤HMA等の化学物質が使用者の肌に接触しないため、衛生的な生理用ナプキンであるともいえる。
つまり、本実施形態では、粉砕パルプ22を内包する保形シート24の裏面側の一部分同士を接合することにより、身体の溝部91に密着し易い生理用ナプキンを容易に製造することを実現させ、また、接合部が身体と接触する側に露出しないため、着け心地の良い生理用ナプキンが製造される。
更に、図7と図8Aに示すように、トップ吸収体20のうちの幅狭領域51に相当する領域では、保形シート24の裏面側の一部分同士が接合されやすいように、幅方向中央部の粉砕パルプ22の秤量が幅方向両側部の粉砕パルプ22の秤量よりも少なくなっている(B−B断面、D−D断面)。また、粉砕パルプ22の少ない幅方向中央部が折れ起点となって折れ、図6Bのような、左右均等な山折り形状が形成され易くなる。この結果、身体の溝部の奥まで幅狭領域51が到達する。これに対して、幅狭領域51よりも前方の第1領域53と幅狭領域51よりも後方の第2領域54では、特に幅方向中央部が幅方向の両側部よりも粉砕パルプ22が少なくなっていることはない。即ち、第1領域53及び第2領域54(C−C断面)の目付(g/m)は、幅狭領域51の目付よりも高くなっている。このように、幅狭領域51の目付を減らすことで粉砕パルプ22の使用量も出来る限り抑えられている。
その他、保形シート24の裏面側の一部分同士が接合されている幅狭領域51(図6B)に比べて、第1領域53と第2領域54は比較的に平面形状(図6C)である。幅狭領域51よりも後方の第2領域54は使用者の腰部(背中)と当接するため、就寝時などに使用者が横になった際にも、使用者に違和感を与えてしまうこと(段差を感じさせてしまうこと)を防止できる。就寝時には、排泄された液体が溝部91を伝って腰部まで流れやすいため、身体の腰部と当接する第2領域54の幅方向の長さが比較的広いことで、液漏れを防止でき、外観上においても使用者に安心感を与えることができる。また、係止部27が設けられている第2領域54が平面形状であることにより(図2)、装着時にトップ吸収体20をベース吸収体10に確実に係止することができる。
同様に、幅狭領域51の前方側の第1領域53も平面形状であり、トップ吸収体20とベース吸収体10とが前端部10a,20aにて確実に本接合される。また、本実施形態では、膣口対面想定位置Zよりもやや後方が幅狭領域51であるため、排泄される液を比較的広い面積の吸収体で受けることができ、液漏れが起こり難くなっている。
なお、図7では、ホットメルト系接着剤HMAは、中心線CLの近傍にのみ塗布され、中心線CLからトップ吸収体20の右端までの全面に亘っては塗布されていない。これは、トップ吸収体20の幅方向の両端(左右端)付近にまでホットメルト系接着剤HMAが塗布されると、包装時にトップ吸収体20とベース吸収体10とが接着してしまうおそれがあるからである。但し、ホットメルト系接着剤HMAの塗布位置はこれに限らず、トップ吸収体20の幅方向の両端近傍にまでホットメルト系接着剤HMAが塗布されていても良い。こうすることで、より幅の狭い幅狭領域51を形成することができるため、トップ吸収体20は身体の溝部の奥まで入り込み易くなる。なお、使用されるホットメルト系接着剤HMAとしてはオレフィン系等の固化した際にタックが少ない物(ベタベタ感が少ない物)が好ましい。
また、中心線CLから幅方向の両端(左右端)までの全面に亘ってホットメルト系接着剤HMAを塗布しないことで、図8Cに示すように、幅狭領域51の断面形状は、頂部から底部にかけて幅方向の長さが長くなり、トップ吸収体20は身体の溝部91の頂部から側面に沿って密着することができる。
また、図7では、ホットメルト系接着剤HMAは、中心線CLよりも右側の領域のみに塗布されているが、これに限らず、中心線CLを挟んだ左右両側の領域に塗布してもよい。但し、中心線CLを折り位置としてトップ吸収体20を山折りする場合には、中心線CLを境に幅方向の片側(右側または左側)の領域のみにホットメルト系接着剤HMAを塗布した方が接着剤の消費量を削減できる。
以下、本実施形態とは異なる比較例のトップ吸収体と本実施形態のトップ吸収体20とを比較する。図9Aは、第1比較例のトップ吸収体20’の平面図と断面図であり、図9Bは、第1比較例のトップ吸収体20’が身体の溝部91に当接する様子を示す断面図である。第1比較例のトップ吸収体20’では、トップ吸収体20’と身体の溝部91を密着させることを目的として、溝部91と当接する領域の粉砕パルプ22の秤量を他の領域の秤量に比べて少なくし、くびれ部92を形成している。このくびれ部92の幅方向の長さは、その他の領域の幅方向の長さよりも短く、即ち、くびれ部92はその他の領域に比べて細くなっている。
この場合、本実施形態のトップ吸収体20と同様に、第1比較例のトップ吸収体20’は溝部91に入り込み易く、溝部91の頂部にトップ吸収体20’を当接させることができる。但し、本実施形態のトップ吸収体20では、溝部91の全域(頂部と側面部)に密着しているのに対して(図8C)、第1比較例のトップ吸収体20’は、図9Bに示すように、溝部91の側面部に接することができない。そのため、溝部91とトップ吸収体20’との間から溝部91の側面を伝って液が漏れてしまうおそれがある。
また、第1比較例のくびれ部92では、本実施形態のトップ吸収体20の幅狭領域51に比べて、液を吸収するための粉砕パルプ22の秤量が少なくなっている。即ち、身体の溝部91と当接するトップ吸収体の吸収能力が、本実施形態(幅狭領域)よりも、第1比較例(くびれ部92)の方が小さい。そのため、多量に液が排泄されたり、繰り返し液が排泄されたりする場合において、第1比較例のトップ吸収体20’では液を吸収しきれずに、液を溢れさせ、漏れの原因となってしまうおそれがある。
更に、本実施形態のトップ吸収体20の溝部91と当接する領域では、厚さ方向に高さ(厚み)を持たせることが出来ているのに対して、第1比較例のトップ吸収体20’は溝部91と当接する領域が細く、本実施形態に比べて、厚さ方向の高さを確保することができない。そのため、本実施形態のトップ吸収体20では、幅狭領域51を溝部91に入り込ませたとしても、図8Cに示すように、ベース吸収体10と幅狭領域51を接触させることができ、幅狭領域51が吸収した液をベース吸収体10に移行させやすく、使用者に不快感(ベタベタ感)を与えてしまうことを防止できる。
図10は、第2比較例のトップ吸収体20’’が身体の溝部91に当接する様子を示す図である。第2比較例のトップ吸収体20’’は、断面が三角形状となっており、溝部91の全域(頂部と側面)に密着することが可能である。但し、本実施形態のトップ吸収体20では、溝部91の頂部からの液が幅狭領域51の接合部52まで到達すると、液は幅方向の左右に分かれて、ベース吸収体10へ移行するのに対して、第2比較例のトップ吸収体20’’では、溝部91の頂部から液が厚さ方向(垂直方向)の下方に移行するか、又は、粉砕パルプ22が偏った密度の高い領域を移行するかの一方向への移行であるため、トップ吸収体20’’の一部の領域のみしか液を吸収しないおそれがある。即ち、液が二方向に分かれて移行する本実施形態のトップ吸収体20の方が、第2比較例のトップ吸収体20’’に比べて、トップ吸収体20の全域で液を吸収することができ、有効に利用することができる。
また、本実施形態のように、液を吸収するための材料として粉砕パルプ22を用いる場合には、断面が三角形となるように成形することは難しい。
更に、生理用ナプキンは長手方向に長く、折り畳んで個別包装するのが一般的であるため、折り畳む際に、成形した三角形状が崩れ、三角形の断面を維持できず、トップ吸収体20’’は身体の溝部91に密着することができない。同様に、本実施形態の生理用ナプキン1も個別包装のために折り畳んでしまうと、トップ吸収体20は、図6Bのような山状の断面形状を維持することは難しい。但し、本実施形態では、トップ吸収体20の保形シート24の裏面側の一部分同士を接合することで幅狭領域51を形成しているため、トップ吸収体20を溝部に挟み込むことで、図8Cに示すように、トップ吸収体20が溝部91の全域に密着することができる。
また、使用者の身体は、前述の通り、膣口後方の会陰部は溝部(凹部)となっているが、膣口周辺は大陰唇が発達しており、比較的に凸部となっている。そのため、本実施形態のように、膣口周辺(凸部)では、トップ吸収体20は大陰唇を覆うように凹状に変形し(平面形状の第1領域53が湾曲し)、膣口後方の会陰部(溝部)では、トップ吸収体20は溝部に入り込むように山状(図8C)となることが好ましい。そして、本実施形態のように、トップ吸収体20の保形シート24の裏面側の一部分同士を接合し、幅狭領域51を形成することで(トップ吸収体20を山折りすることで)、膣口周辺と会陰部の境界部分において、トップ吸収体20の変形(凹状から山状)がスムーズに行われるため、身体の前後方向(長手方向)の全域に亘って、トップ吸収体20を密着させることができ、液漏れが生じ難い。
〈生理用ナプキン1の包装について〉
図11Aは、生理用ナプキンの個別包装の様子を示す図である。トップ吸収体20をベース吸収体10に接合した状態で長手方向の三カ所P1,P2,P3の折り位置にて、四つ折りに折り畳みつつ、一枚の包装シート35にて一緒に包装し、リードテープ36で留められる。
なお、図7に示すように、長手方向の三カ所の幅方向に沿った折り位置P1,P2,P3では、各々長手方向の前後に隣り合う部分よりも粉砕パルプ22の坪量を幅方向に亘って少なくし、生理用ナプキン1を四つ折りし易くしている(ベース吸収体10も同様)。
図11Aに示すように、ウィング部32はトップ吸収体20側へ折り返されて包装される。ちなみに、ウィング部32の裏面の接着剤33と、剥離剤が塗布された保護シート34の面とが対向するように、ウィング部32と保護シート34とが接着している。こうすることで、使用者が生理用ナプキン1の包装を解く際に、剥離剤の作用により、ウィング部32の方に接着剤33が移着して残り、ウィング部32に「ずれ止め用付着部33」が形成される。このように、トップ吸収体20を保護シート34とベース吸収体10とで挟むことで、折り畳む際のトップ吸収体20の位置ずれを防止できる。同様に、係止部27も、折り畳む際のトップ吸収体20の位置ずれを防止する役割を果たす。
また、個別包装の際に、後端部(仮接合部16)においてもトップ吸収体20とベース吸収体10をエンボス加工等により分離可能に仮接合してもよい。後端部16を仮接合することで、ベース吸収体10に対してトップ吸収体20が位置ずれせず、トップ吸収体20が曲がった状態で包装されてしまうこと防止できる。
〈生理用ナプキン1の包装の変形例〉
図11Bは、生理用ナプキン1が三つ折りに折り畳まれる包装形態を示す図である。この変形例では、トップ吸収体20をベース吸収体10に接合した状態で長手方向の二カ所P1,P2の折り位置にて、三つ折りに折り畳みつつ、一枚の包装シート35にて一緒に包装する。
その際に、幅方向に沿った折り位置P1,P2上に、ホットメルト系接着剤HMA(接合部52)が存在しないようにする。そうすることで、保形シート24の裏面側の一部分同士が接合された幅狭領域51にて折り畳まれることが避けられるため、接合部52が剥がれ難く、且つ、折り畳み易くなる。
===第2実施形態===
前述の実施形態では、トップ吸収体20とベース吸収体10とが、本接合部10gにおいて分離不可能に本接合されていたが、第2実施形態では、本接合部10gに相当する部分(以下、接合部分と言う)において、トップ吸収体20とベース吸収体10とが分離可能とする。
例えば、ベース吸収体10の接合部分には面ファスナーの雌材が固定される一方、トップ吸収体20の前端部20aの裏面側には、前記雌材に対応させて面ファスナーの雄材が固定されており、これによって、接合部分においてトップ吸収体20とベース吸収体10とは着脱可能となる。
そのため、ベース吸収体10とトップ吸収体20とを別々に包装する(不図示)包装形態が可能となる。即ち、ベース吸収体10については、それのみを包装シート上に載置した状態で、包装シートと共にベース吸収体10を所定の折り位置P1,P2,P3にて四つ折りに折り畳んで包装し、他方、トップ吸収体20の方も、それのみを、上記とは別の包装シート上に載置した状態で、包装シートと共にトップ吸収体20を所定の折り位置P1,P2,P3にて四つ折りに折り畳んで包装する。そして、好ましくは、ベース吸収体10とトップ吸収体20の折り位置は同位置が良い。同位置であれば、トップ吸収体20をベース吸収体10に接合する際に、折り位置を重ね合わせられるため、接合しやすい。
このようにベース吸収体10とトップ吸収体20とが別々に包装される場合、ベース吸収体10の包装体、及び、トップ吸収体20の包装体は、それぞれ所定数にまとめられるとともに別々の袋に収容されて二つの収容体が生成され、更に、これら二つの収容体が一つの袋に一緒に収容されて、この袋を販売の最小単位として市場に供給される。但し、販売の最小単位は、これに限るものではなく、例えば、トップ吸収体20の収容体とベース吸収体10の収容体とを別々に販売しても良い。
ちなみに、トップ吸収体20とベース吸収体10を別々に販売した場合には、次のような長所がある。例えば、生理用ナプキンを昼用及び夜用というように別々に買い置きしておかずに済み、生理用ナプキンの住宅在庫を削減できる。経血の少ない昼用の生理用ナプキンとしてはベース吸収体10のみを使用し、一方、経血の多い夜用として使用する際には、ベース吸収体10にトップ吸収体20を接合して使用する。つまり昼用の生理用ナプキンを夜用に変形して用いることができて、これにより住宅在庫を削減できる。また、所定時間だけ使用してトップ吸収体20が充分に経血を吸収した際に、ベース吸収体10は交換せずにトップ吸収体20のみを交換することも可能であり、そうすれば、ベース吸収体10の交換頻度が低くなる分、ゴミを削減できる。
ところで、トップ吸収体20とベース吸収体10とが個別に包装される場合、トップ吸収体20用の包装シートの素材としては、例えば、SMS不織布(上下のスパンボンド不織布でメルトブローン不織布を挟んだ三層構造の不織布)等の不織布が好ましい。これは、トップ吸収体20はベース吸収体10の用に裏面側にずれ止め用の接着剤が塗布されていないため、包装シートが不織布であれば、その繊維間隙間に、接合用の面ファスナーの雄材や係止部27により、トップ吸収体20が有効に係止され得るので、四つ折りに折り畳む際のトップ吸収体20の幅方向の位置ずれを抑えることができ、使用者が包装を解いた際の見た目の印象を良くすることができる。
===その他の実施形態===
前述の実施形では、トップ吸収体20とベース吸収体10の後端部が剥離可能であるが、剥離不能に本接合されていても構わない。
前述の実施形態では、接合部(ホットメルト系接着剤HMAが塗布された領域)により、保形シート24の裏面の一部52Aと他の一部52Bとが接合された状態で使用者に提供されるが、これに限らない。例えば、トップ吸収体20は接合部を備えているが、保形シート24の一部52Aと他の一部52Bが接合されない状態で使用者に提供されてもよい。例えば、トップ吸収体20の裏面側に接着剤(接合部)を塗布し、包装シートと接着剤との間に保護シートを設け、使用者が包装を解いた後に、使用者により保形シート24の裏面の一部52Aと他の一部52Bとを接合してもらってもよい。この場合、前述の実施形態に比べて使用者に手間を与えてしまうが、個別包装の際に、接合がなされているトップ吸収体に比べて、平面形状のトップ吸収体20を折り畳むことになるため、折り畳み易く、接合部が剥がれる虞がない。
前述の実施形態では、幅狭領域51をトップ吸収体20の中央部に設け、幅狭領域51の前方と後方は幅狭領域51よりも幅を広くしているが、これに限らない。少なくとも、トップ吸収体20のうちの身体の溝部と当接する領域に接合部52が存在していれば、トップ吸収体20を身体の溝部に入り込ませ易くすることができる。そのため、接合部52は、長手方向において、トップ吸収体20の膣口体面想定位置Zから後端20b(一端に相当)までの間に位置することが好ましく、更に、前述の実施形態のように、膣口対面想定位置Zよりもやや後方に接合部52が位置することが好ましい。そうすれば、膣口より排泄される液体を比較的に幅の広い領域で吸収することができ、液体が漏れ難い。
前述の実施形態では、基体(ベース吸収体10)が液体を吸収するための吸収体基材を有しているが、基体は不透液性シートを有していれば吸収体基材を有さなくともよい。基体が不透液性のシートを有していれば、吸収体(トップ吸収体20)が吸収した液体を下着に浸透させてしまうことを防止できる。
また、前述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨に逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
ベース吸収体の表面側の平面図である。 トップ吸収体の表面側の平面図である。 ベース吸収体とトップ吸収体が接合された状態を示す図である。 生理用ナプキン1の斜視図である。 図5Aから図5Cはベース吸収体の断面図である。 図6Aから図6Eはトップ吸収体の断面図である。 トップ吸収体における粉砕パルプの秤量分布図である。 図8Aは幅狭領域形成前の断面図であり、図8Bは幅狭領域形成後の断面図であり、図8Cは幅狭領域が身体の溝部に当接した様子を示す図である。 図9Aは比較例のトップ吸収体の平面図と断面図であり、図9Bは比較例のトップ吸収体が身体の溝部に当接する様子を示す図である。 比較例のトップ吸収体が身体の溝部に当接する様子を示す図である。 図11Aは生理用ナプキンの個別包装の様子を示す図であり、図11Bは個別包装の変形例を示す図である。
符号の説明
1 生理用ナプキン
10 ベース吸収体、10a 前端部、10b 後端部、10g 本接合部、
12 吸収体基材、12a 粉砕パルプ積層体、14 表面シート、
15 圧縮溝、16 仮接合部
20 トップ吸収体、20a 前端部、20b 後端部、
22 粉砕パルプ積層体、23 中間シート、24 保形シート、
25 封止部、26 封止部、27 係止部、28 孔、
30 裏面シート、30a 前端部、30b 後端部、
32 ウィング部、33 ずれ止め用付着部、34 保護シート、
35 包装シート、36 リードテープ、
40 サイドシート、44 固定部、46 端部、48 弾性部材、
50 防漏シート、51 幅狭領域、52 接合部、53 第1領域、
54 第2領域、90 下着、91 溝部、
CL 中心線、Z 膣口対面想定位置

Claims (2)

  1. 不透液性シート及び吸収体基材を有する基体と、前記基体の上に重ねて設けられた吸収体とを、有する吸収性物品であって、
    前記吸収体は、吸液性コアと、前記吸液性コアを内包するシートと、幅方向と、前記幅方向と交差する長手方向とを、有し、
    前記吸収体の幅は、前記基体の幅より短く、
    前記吸収体は前記長手方向において一端と他端を備え、他端は前記基体に本接合されており、前記一端は前記他端を支点として前記基体から分離して移動可能であり、
    前記シートは、身体に接触する側に位置する肌当接面と、身体に接触しない側に位置する非肌当接面とを有し、
    前記シートの前記非肌当接面の一部と前記シートの前記非肌当接面の他の一部とが、前記幅方向の中央部において、前記長手方向に沿って対向するように、前記一部と前記他の一部とを接合する接合部を有し、
    前記吸収体は、身体の膣口に対向する膣口対向部位を有し、
    前記吸収体の前記長手方向における前記一端が、身体の臀部側に位置し、
    前記接合部は、前記長手方向において、前記膣口対向部位から前記一端までの間に位置し、
    装着前の状態における前記幅方向の長さが所定幅である幅狭領域が、前記長手方向において、装着前の状態における前記幅方向の長さが前記所定幅よりも長い第1領域と、装着前の状態における前記幅方向の長さが前記所定幅よりも長い第2領域との間に位置し、
    前記幅狭領域は、前記接合部により前記一部と前記他の一部とが接合された領域であり、
    前記幅狭領域の目付は、前記第1領域および前記第2領域の各目付よりも低いことを特徴とする吸収性物品。
  2. 請求項1に記載の吸収性物品であって、
    前記吸収性物品を前記幅方向に沿った折り位置にて折り畳む際に、
    前記折り位置上に前記接合部が存在しないことを特徴とする吸収性物品
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