JP5469333B2 - 茶枝葉の移送装置並びにこれを用いた茶刈装置 - Google Patents
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Description
そして、このような摘採機にあっては、刈刃で摘採した茶葉Aを収容部まで移動するため多くは送風による手法が採られていた。
従来一般的であったものは、例えば図9に示すように、刈刃22′の前方側に茶葉移送のための分岐ノズル47′付きの送風管を配し、この分岐ノズル47′からの送風によって茶葉Aを移送するものであった(例えば特許文献1参照)。
この手法は、従来から長年にわたって用いられ、確立した技術手段として代替手段による改良の試みなど、正に想定されていなかった。しかしながら本出願人は、斯界における技術常識を打破することにより、派生的に従来甘受されてきた種々の不都合を改善し、種々の利点を奏し得るであろうとの着想の下、当該技術の改善に挑戦し、前記従来型の主要機材である送風管を不要とした手法を案出している。
このものは、特許出願公開2006−50963号公報(特許文献2参照)として開示されており、既にその実用機が市販の途についている。具体的には、刈刃後方にスリット状の吹出口を設け、ここから移送風(背面風)を吹き出し、その流れによって摘採された茶葉を吸い寄せながら且つ上方等の所定の位置に移送してゆくものである。
この視点で予想される困難状況の一つに、雨天時に摘採作業を行わなければならないとき、茶葉が濡れて重くなり(いわゆる「雨茶」)、その移送がスムーズに行えないという問題が指摘されている。また茶園管理の一環として、茶樹を刈揃える剪枝作業が行われるが、この際剪枝した枝幹が絡まって刈り取られることがあり、当然その移送は円滑に行われない場合もあり、その対応も求められていた。
その後も本出願人は、移送風(背面風)による、摘採された茶葉の移送メカニズムについて探究した結果、更なる移送能力の向上を図ることができることを知見するに至った。
この発明によれば、刈刃後方から移送ダクト内に空気流を送り込んで茶枝葉を所望の部位に移送するため、例えば刈り取り直後の茶枝葉を水平移送せずに、上方等に移送することができ、極めて斬新且つ画期的な移送形態が採り得る。
また刈刃後方から上向きの背面風を作用させることによって、刈り取り直後の茶枝葉を水平移送せずに、即、上昇移送することができる。
更に背面風は前後二列に並設された主吹出口と副吹出口との双方から噴出されるため、背面風の流速すなわち茶枝葉の上昇速度は、吹出口が一カ所のみに設けられている場合と比べて、高くなるものであり、この結果、主吹出口及び副吹出口付近への茶葉A(特に雨茶)の付着を回避することができる。
更にまた、副吹出口は刈刃の直近部位に形成されるため、茶枝葉(特に雨茶)の付着をよりいっそう確実に回避することができる。
この発明によれば、導入部から背面ダクト内に導入した圧力風を、上向きの背面風として移送ダクト(移送開始部)に送り込むため、刈り取り直後の茶枝葉を、そのまま上昇移送する合理的構成を現実のものとする。また、移送ダクトをほぼ鉛直に立ち上げるように形成した場合には、水平移送路を要しない分、移送装置ひいては茶刈機の前後長を短縮化できる。なお、この短縮化の点について、背面ダクトを移送ダクトに対して密着状態に設けたことも短縮化に寄与する。
この発明によれば、吹出口から噴出される背面風の流速を高めることができ、また乱流を防止して雨茶の付着等を効果的に防止することができる。
この発明によれば、いわゆる乗用式摘採機等に本改良技術を適用するものであり、実際の茶圃場における作業性を著しく向上させることができる。
そしてこれら各請求項に記載された要件を手段として、前記課題の解決が図られる。
特にいわゆる雨天時に摘採される雨茶の場合、見かけ質量が重くなること及び水分による張り付き等により刈刃から吹出口まで移送がスムーズに行かない場合も予想されるが、このような雨茶の円滑な移送が可能となる。
また茶葉の移送がスムーズに行われるため、茶木の刈跡が綺麗に整ったものとなる。
なお本発明は、茶芽を刈り取る摘採作業のみならず、樹形を整え樹勢の回復を図るために枝幹を剪除する剪枝作業にも利用でき、このようなことに因み、本発明の名称中や請求項等に記載した「茶枝葉」とは、摘採した茶葉Aと剪除した枝幹とを総称するものである(茶枝葉にも茶葉と同一の符号Aを付す)。また、「茶刈」もしくは「茶刈装置」とは、摘採(摘採機)と剪枝(剪枝機)とを総称するものである。なお剪枝作業の具体的形態については後述する。
また本発明は、茶葉Aの移送を行うための圧力風の取り扱いに技術的特長を有するものであり、後述する主吹出口38から噴出される圧力風を主背面風WMと称する。また副助吹出口38Sから噴出される圧力風を副背面風WSと称する。更にこれら主背面風WMと副背面風WSとに分かれる前の圧力風や、主背面風WMと副背面風WSとを総称して背面風Wと称する場合もある。
なお本実施例では摘採した茶葉Aを茶袋Bに収容する形態を採るため、上記連結フレーム11Bには、茶葉Aでいっぱいになった茶袋Bを仮置きする回動アーム19が設けられ、茶袋Bを載置する際には、この回動アーム19を摘採機の側方に張り出すようにウイング状に拡げ、ここに載せるものである。
更にまた収容部4としては、このような茶袋Bに収容する形態ではなく、コンテナ式のものを採用し、この中に茶葉Aを収容する形態を採ることも可能である。また、コンテナ式あるいは茶袋B適用タイプを問わず収容部4は、走行機体2の適宜の空スペースを利用して設けることが可能である。
なお、ダクトユニット5Aは、別体構成の移送ダクト6と背面ダクト7とを張り合わせ状に組み合わせて形成されるものであるが、上述した構成上、これらは一体的に形成することが可能であり、本実施例では移送ダクト6の後方壁面を、背面ダクト7の前方壁面と共通化させた区画板76として構成するようにした。
なおダクトユニット5Aにおける吹出口38と刈刃22とは、互いにその設置位置を相対的に変更自在としてもよい。
また図4に示すように、移送ダクト6内における移送開始部31周辺には、前方から後方に向かって上昇する斜面が形成されるように移送促進板31Bが具えられる。この移送促進板31Bは背面風Wの乱流を防ぐとともに、茶葉Aの移送を促すガイド板として機能するものである。なおこの実施例では、移送促進板31Bを、後述する上面吹出ダクト板380Aの上面と区画板76との間に傾斜させて位置させるようにした。
そして吹出ダクト部380の上面吹出ダクト板380Aと下面吹出ダクト板380Bとの間が、背面風Wの流路となるものであり、この流路を刈刃22側において分岐させることにより、背面風Wが主吹出口38と副吹出口38Sとの双方から噴出するように構成される。
具体的には、刈刃体22Aは、吹出ダクト部380に対して刈刃支持フレーム22Bが組み付けられることにより、ダクトユニット5Aと一体化される機構が採用されているため、この様な従来機構をほぼ踏襲した機構が採用される。すなわち図4、図5(a)に示すように、前記刈刃支持フレーム22Bに対して、断面視において凹陥状の溝381を形成するとともに、この溝381上に分流板382を位置させることにより、吹出ダクト部380内を通過した背面風Wは分流板382によって上下方向に分流されるようになっている。この結果、一方の流れ(分流板382の後方側)は主吹出口38から主背面風WMとして噴出され、もう一方の流れは分流板382の前方側に回り込んで副吹出口38Sから副背面風WSとして噴出されることとなる。
因みに背面ダクト7は、図6に示すように下方に向かって先細りとなるような形状等、種々の形態が取り得るものであり、図4に示したようにほぼ一定の薄い厚さに形成した場合には、摘採機の前後長短縮化に寄与することとなる。
なお導入部8は、ガイド板43と、これを両側から挟み込む移送ダクト6の両外側面とによって、導入部8の下方と左右が閉塞された状態となり、フレキシブルダクト18Aから供給される圧力風を、ほぼそのまま導入口39から背面ダクト7内に案内するものである。
まず適宜の素材を用いることにより刈刃支持フレーム22Bの薄型化が可能である場合には図5(b)に示すように、下面吹出ダクト板380Bの先端を分流板382よりも前方に位置させるとともに立ち上げることにより、主吹出口38と副吹出口38Sとを形成するような参考形態を採ることもできる。
また図6に示すように、刈刃支持フレーム22Bの先端に凸部383を形成し、この凸部383と分流板382との間を副吹出口38Sとする参考形態を採ることもできる。
まず背面風Wを生じさせるには、走行機体2上の原動機16を駆動し、送風機17によって圧力風を生起する。生起された圧力風は、その後、送風ダクト18(フレキシブルダクト18A)を通して導入部8に導かれ、ここでガイド板43に案内されて、導入口39から背面ダクト7内に取り込まれる。
背面ダクト7内に導入された圧力風は、次いで、背面ダクト7内に設けられた拡開案内体40によって、刈刃22の幅方向にほぼ均一に拡がるようにガイドされ、吹込ダクト部380を経由し、更に分流板382によって上下方向に分流される。
この結果、一方の流れ(分流板382の後方側)は主吹出口38から主背面風WMとして噴出され、もう一方の流れは溝381を通過して分流板382の前方側に回り込み、副吹出口38Sから副背面風WSとして噴出されることとなる。
このように主背面風WMと副背面風WSとは移送ダクト6(移送開始部31)内に送り込まれて合流し、再び背面風Wとなる。この背面風Wは、刈刃22の後方から、ほぼ真上に向かう上昇流であり、少なくとも茶葉Aを移送ダクト6の吐出口33(移送終端部32)まで搬送する移送能力を有するものである。
刈刃22によって刈り取られた茶葉Aは、一例として図4に示すように、まず刈刃22の後方側に引き寄せられる。これは、刈刃22の後方に位置する主吹出口38及び副吹出口38Sから主背面風WM及び副背面風WSが吹き出すことにより、刈刃22の後方付近、具体的には、主吹出口38及び副吹出口38Sの近傍に負圧が形成され、茶葉Aが刈刃22から吹出口38側に引き寄せられるものと考えられる(これを背面風Wの負圧吸引作用と称する)。
そして、吹出口38側に引き付けられた茶葉Aは、初めに副背面風WSによって上方に吹き上げられ、続いて主背面風WMによって更に上方に吹き上げられるものであり、立て続けに二段階の吹き上げ作用を受けることとなる。このため茶葉Aの上昇速度は、吹出口が一カ所のみに設けられている場合と比べて、高くなるものであり、この結果、主吹出口38及び副吹出口38S付近への茶葉A(雨茶)の付着を回避することができる。また特にこの実施例では、副背面風WSを噴出する吹出口38Aは、刈刃支持フレーム22Bの先端付近に形成された溝381を利用して刈刃22の直近部位に形成されているため、背面風Wの負圧吸引作用及び吹き上げ作用を増大させ、茶葉A(雨茶)の付着をよりいっそう確実に回避することができるものである。
また前記吹出ダクト部380が、断面視で前方に向かって先細りとなるテーパー状に形成されているため、主吹出口38から噴出される主背面風WM及び副吹出口38Sから噴出される副背面風WSの流速が高められ、背面風Wの負圧吸引作用及び吹き上げ作用を増大させ、茶葉A(雨茶)の付着をよりいっそう確実に回避することができるものである。
そして茶葉Aはその後、上昇流を形成する背面風Wに乗って、移送ダクト6内を上昇し、吐出口33から収容部4に設けられた茶袋B内に収容される。
本発明は、以上述べた実施例を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に適用対象として次のような改変が考えられる。
すなわち先の図1〜4に示した実施例では、刈刃22の後方から作用する背面風Wのみによって茶葉Aを移送するものであった。しかしながら、摘採する茶芽の生育状態、移送路の状況(上昇移送距離等)、背面風Wを生起させる送風機17の能力等によっては、例えば図7に示すように背面風Wに加えて、刈刃22の正面側(刈り取り方向正面側)からも移送風(これを正面風WFとする)を補助的に作用させることが可能である。この場合、正面風WFを生じさせる正面ダクト9を移送ダクト6の正面側に密着状態に設けることが好ましく、これに因み上記ダクトユニット5Aは、移送ダクト6、背面ダクト7、正面ダクト9とによって主に構成される。
また、このようなことから正面ダクト9にも導入部8から圧力風を取り込む導入口46が、移送ダクト6側の壁面に開口されるものである。
このように、本実施例では、背面ダクト7と正面ダクト9とを移送ダクト6に沿うように形成し、しかもその厚み寸法を、ほぼ一定の薄い厚さに形成するため、これが移送装置5ひいては摘採機の前後長短縮化に寄与する。もちろん、この短縮化については、上述したように、刈刃後方への水平移送が省略できることや、移送ダクト6の途中に分岐部35を形成し、ここに導入部8を設け、側面から視て、導入部8を移送ダクト6に重ねるように設けたことも短縮化の大きな要因である。
なお、上述した正面風WFは、あくまでも背面風Wをサポートする場合に設けられるものである。
更に、この場合、送風機17から移送ダクト6に圧力風を導いてくる導入部8も省略することができるため、側面から視て、この導入部8を移送ダクト6に重ねるように設ける必要もなく、移送ダクト6を単管状(途中で分岐しない単一の管状)に形成することができる。
1A 二段刈摘採機
2 走行機体
3 摘採機体
4 収容部
5 移送装置
5A ダクトユニット
5AU 上刃用ダクトユニット
5AD 下刃用ダクトユニット
6 移送ダクト
7 背面ダクト
8 導入部
9 正面ダクト
11 フレーム
11A 脚部フレーム
11B 連結フレーム
11C 昇降ブラケット
12 走行体
13 操縦者用シート
14 操縦桿
15 コントロールボックス
16 原動機
17 送風機
18 送風ダクト
18A フレキシブルダクト
19 回動アーム
22 刈刃
22U 上段刈刃
22D 下段刈刃
22A 刈刃体
22B 刈刃支持フレーム
220 駆動部
220M 刈刃駆動モータ
220E エキセンクランクユニット
23 側板部
26 フレーム部
31 移送開始部
31B 移送促進板
32 移送終端部
33 吐出口
34 フック
35 分岐部
38 主吹出口
38S 副吹出口
380 吹出ダクト部
380A 上面吹出ダクト板
380B 下面吹出ダクト板
381 溝
382 分流板
383 凸部
39 導入口
40 拡開案内体
43 ガイド板
43A 背面ガイド板
43B 正面ガイド板
46 導入口
47 分岐ノズル
50 風向体
76 区画板
A 茶葉(茶枝葉)
B 茶袋
T 茶畝
W 背面風
WM 主背面風
WS 副背面風
WF 正面風
Claims (4)
- 茶枝葉を刈り取る刈刃に対して、内部に空気流を流す移送ダクトを具え、この移送ダクト内の風送によって刈り取り後の茶枝葉を所定の位置に向けて移送する装置であって、この装置は、刈刃後方から移送ダクト内に背面風を送り込む吹出口を具えて成るものであり、且つ前記移送ダクトは、平面から視て刈刃を取り囲むように形成された移送開始部を有するものであり、また前記背面風は、上昇流として移送開始部から移送ダクト内に送り込まれるものであり、更に前記背面風を送り込む吹出口を、刈刃の後方に位置するように前後二列に並設された主吹出口と副吹出口とし、これら主吹出口及び副吹出口から主背面風及び副背面風を共に上方に吹き出し、主吹出口及び副吹出口の近傍に負圧を形成することにより、茶葉が刈刃から吹出口側に引き寄せられる背面風の負圧吸引作用を生起させるとともに、吹出口側に引き付けられた茶葉を、初めに副背面風によって上方に吹き上げ、続いて主背面風によって更に上方に吹き上げるものであり、茶葉に対して立て続けに二段階の吹き上げ風を作用させて茶葉の上昇速度を高めることにより、主吹出口及び副吹出口付近への茶葉の付着を回避することができるように構成されているものであり、前記副吹出口は、刈刃を支持する刈刃支持フレームに対して直接形成されたものであり、前記刈刃支持フレームに対して、断面視において凹陥状の溝を形成するとともに、この溝上に分流板を位置させることにより、この分流板の前方を副吹出口としたことを特徴とする茶枝葉の移送装置。
- 前記移送ダクトは、刈り取り方向後方側に、移送ダクトに沿う背面ダクトが併設されるとともに、この背面ダクトの上部には、このダクト内に圧力風を取り込む導入部が形成されるものであり、前記背面風は、導入部から背面ダクト内に取り込まれた下向きの圧力風が、上昇流として移送開始部から移送ダクト内に送り込まれて成ることを特徴とする請求項1記載の茶枝葉の移送装置。
- 前記背面ダクトと主吹出口との間に形成される吹出ダクト部は、断面視テーパー状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の茶枝葉の移送装置。
- 茶畝を跨いで走行する走行機体と、この走行機体に取り付けられ摘採作業または剪枝作業を実質的に行う茶刈機体と、この茶刈機体の後方に設けられ摘採した茶葉を収容可能とする収容部と、刈り取った茶葉や枝幹等の茶枝葉を茶刈機体から収容部まで移送する移送装置とを具え、目的に応じて摘採または剪枝作業が行えるようにした茶刈機であって、前記移送装置は、請求項1、2または3記載の装置が適用されて成ることを特徴とする茶刈装置。
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