JP6775323B2 - 状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置並びにこれを具えた刈取装置 - Google Patents
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Description
この移送装置は、本出願人が商標的に指称するスリットジェットタイプの機構を具えるものであって、刈取機体によって刈り取られた刈取枝葉は移送装置における移送ダクト内に流す搬送風によりこの中を一旦上昇移送され、取付装置後方のコンテナ等を適用した収容部に送られている。
即ち特許文献1たる特許第4349999号「茶枝葉の移送方法並びにその移送装置並びにこれを具えた茶刈機」に開示されているように、刈取装置後方からほぼ垂直上方に延びる移送ダクトは、その周囲に移送風を供給するためのスペースを容易に確保できなかったことから、まず、移送風を刈取幅全幅にわたって供給するための送風ダクトの一部を偏平に構成して、移送ダクトの後背面のわずかなスペースを利用してここに配設している。
しかし乍ら一方で、移送ダクト本来の機能からすると、移送ダクトの内部スペースである移送管路は、上昇移送の途中で分岐した形状となっている。換言すれば充分幅方向に移送管路が確保されていたものが、途中で中央に移送を阻害する仕切壁状の分岐部が存在するような形状となっている。
このため、実作業時には、刈取寸法が短いものの場合には、円滑な移送がなされるが、予期しない程の刈取寸法が長いものや、つる状のものが刈り取られたときには、分流部で滞留が生じてしまう場合もあった。
もちろん分岐しないタイプの移送ダクトについても先の特許文献1に提案されているが、実用的に満足できる作動状態を得るには、送風ホースの具体的配設態様や、関連諸部材の配設態様について更に技術的解決を図る必要があり、現実には市場への提供はなされていない。結果的に移送ダクトは上方分岐タイプのものが最善の形態として認識され、固定概念となってこのレイアウトが踏襲されている。
しかし乍ら一方でこのような単管タイプの移送ダクトとした場合、刈取装置後方の視界は完全に阻まれてしまい、刈取装置における移送ダクト後方に配設される収容部(コンテナ)への茶葉等の刈取枝葉の状況等の目視確認が不可能となってしまう。
そしてこれら各請求項記載の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
また、透視窓を形成することによる前面板及び後面板の著しい強度低下を回避することができる。
また特に前面板、後面板が屈曲形成される場合には、透視窓を構成する透明素材の形成及びその設置を容易に行うことが可能となる。
更にまた、コンタミが発生した場合には、コンタミが発生した個所の透視窓のみ取り外して清掃を行うことにより、メンテナンス効率を向上することができる。
更にまた、前透視窓と後透視窓とが高さ方向の形成位置が段違い状にずらせて形成されているため、見る角度によって、前透視窓と後透視窓との双方を透過する視界と、前透視窓のみを透過してその後方を移送ダクトの内壁に遮られる視界とのいずれかを選択することが可能となる。
このため、前透視窓と後透視窓との双方を透過する視界を選択した場合には、移送ダクトの後方に位置する収容部内及びその後方を視認することができる。
一方、前透視窓のみを透過してその後方を移送ダクトの内壁に遮られる視界を選択した場合には、移送ダクト内を移送されている刈取枝葉の挙動等を、刈取枝葉が背景に埋もれてしまうことなく明確に目視確認することができる。
また圧力風の効率を落とすことのないように送風ホースを取り廻すことができ、且つシンプルな外観形状とすることができる。
なお本発明の移送手法そのものは、茶芽を刈り取る摘採作業のみならず、樹形を整え樹勢の回復を図るために枝幹を剪除する剪枝作業にも利用でき、このようなことに因み、本発明の名称中や請求項等に記載した「茶枝葉」とは、摘採した茶葉Aと剪除した枝幹とを総称するものである(茶枝葉にも茶葉と同一の符号Aを付す)。また、「茶刈」もしくは「茶刈機」とは、摘採(摘採機)と剪枝(剪枝機)とを総称するものである。なお剪枝作業の具体的形態については後述する。
なおこの実施例では、図2(b)に示すように正面視で原動機26の左側、すなわち走行機体2のほぼ中央に送風機27が配設されるようにしたが、後述するように導流中継ダクト7Bの導入口77が正面視で右端に位置するため、正面視で原動機26の右側に送風機27を配設するようにしてもよい。
なお刈刃31としては、必ずしもこのようなバリカン式のものに限らず、例えばロータリー式の回転刃を適用することも可能である。
また送風ダクト7は、刈刃31の後方側、すなわち摘採方向に対して後方となる刈刃31の背面側から圧力風Wを送り込み、前記移送ダクト6内に上昇流となる搬送風W1を生起させるものである。以下、これら移送ダクト6や送風ダクト7等について更に詳細に説明する。
また、この実施例では、移送開始部62は、下方側に開口され、平面視において、刈刃31を取り囲むように形成されている。
また移送ダクト6は例えば図4(a)、(c)に示すように、移送管路が途中で分岐しない単管状に構成され、更に下方から上方にかけてその幅方向寸法を上すぼまり状とした肩部61を有する形状とする。
なお移送ダクト6は、移送開始部62から吐出口64(移送終端部63)に至る移送途中において、幅寸法や断面積等を急激に変化させないことが好ましく、これは移送に伴う茶葉Aの傷みを極力低減させるためである。
また、このような移送ダクト6及び延長ダクト6Aは、少なくとも一部が入れ子状もしくはフレキシブル状に形成され、刈刃31とともに上下動できる構成とすることもできる。
前記透視窓は具体的には、一例として図3、4に示すように前透視窓66と後透視窓67との双方がそれぞれ複数の窓単体の組み合わせにより構成され、且つ移送ダクト6を立設させた状態において、前透視窓66と後透視窓67とは、高さ方向の形成位置を段違い状にずらせて形成されている。
ここで前記異調色とは、茶畝跨走型摘採機1に乗車した作業者が後方を向いたときに、前透視窓66を通じて視界に入るものとは異なる色調を呈する色を意味するものとするものであり、一例として刈取枝葉Aの色(枝:茶褐色、葉:緑)、背景の色(空:青、灰色 雲:白、灰色 茶樹:緑)とは異なる色調が選択される。この実施例では一例として黄色を採用する。
まず前記分配背面ダクト7Aは、図4(c)に示すように背面視で導流中継ダクト7Bとの接続位置(左側)から反対側(右側)に向かって先すぼまり状に形成されている。すなわち分配背面ダクト7Aの下部は、移送ダクト6における移送開始部62全域にわたって圧力風Wを畝幅方向に拡散分配するため、この部分に馴染んだ形状とされ、ここを底辺としたほぼ三角形状に形成される。
このような分配背面ダクト7Aは、二枚の板材71、72を支柱73によって所定の間隔を保つように固定することにより、板材71、72の間の空間を圧力風Wの通路とするものである。
更に分配背面ダクト7Aの下部は、図3、5に示すように前方に向かって屈曲形成され、側面視で移送ダクト6における移送開始部62全域にわたって圧力風Wを拡散分配するため吹出口74が上向きに形成されている。
一方、背面視ほぼ三角形状の分配背面ダクト7Aの短辺には、圧力風Wの給気口76が形成される。
具体的には、一例として図4(c)及び図5に併せて示すように、断面L字状のブラケットを複数(この実施例では一例として二十枚程度)用い、これを正面視で吹出口74の幅方向に沿って適宜の間隔で取り付ける。そして、この整流板75によって、偏倚した位置に設けられた給気口76から圧力風Wを取り込んでも、刈刃31の幅方向にほぼ均一に案内し、刈刃31の全幅にわたって同程度の強さの搬送風W1に変換し得るものである。
更にこの送風ダクト7と前記移送ダクト6とを一体化するものであり、送風ダクト7の前面と移送ダクト6の背面とが密接状態とさせるとともに、図5に示すように送風ダクト7における吹出口74が移送ダクト6における移送開始部62に臨むようにする。
このような組み付け状態において前記導流中継ダクト7Bは、図3、4に示すように移送ダクト6の側面に沿うように肩部61付近に配設され、更に正面視で移送ダクト6の下端部より幅方向において張り出さない状態に設けられる。
上述のようにこの実施例では、前記導流中継ダクト7Bは一基のみ設けられ、分配背面ダクト7Aは一基で移送ダクト6全幅に圧力風Wを供給することができるものである。
はじめに移送ダクト6内に搬送風W1を生じさせるに、原動機26を駆動して送風機27によって圧力風Wを生起する。生起された圧力風Wは、その後、送風ダクト28(送風ホース28A)を通じて導入口77から導流中継ダクト7B内に導かれ、ここで下すぼまり状の角管形状に因み、流速が増した状態で排出口78、給気口76を通じて分配背面ダクト7A内に取り込まれる。
次いで刈刃31後方の吹出口74から上方に向けて吹き出された圧力風Wは、移送開始部62から移送ダクト6内に進入するものであり、搬送風W1として移送ダクト6内を上昇する。
この搬送風W1は図5に示すように、刈刃31の後方から、ほぼ真上に向かう上昇流であり、少なくとも茶葉Aを移送ダクト6の吐出口64(移送終端部63)まで搬送する移送能力を有する。
そしてこのような搬送風W1によって茶葉Aは、刈り取り直後に刈刃31の後方側に引き寄せられる。これは、刈刃31の後方から圧力風W(搬送風W1)を吹き出すことにより、刈刃31の後方付近、具体的には吹出口74近傍に負圧が形成され、茶葉Aが刈刃31部分から吹出口74側に引き寄せられるものと考えられる。
そして、吹出口74側に引き付けられた茶葉Aは、その後、上昇流を形成する搬送風W1に乗って移送ダクト6内を上昇し、吐出口64から収容部4に設けられた茶袋B内に送り込まれてここに収容される。
具体的には、前透視窓66と後透視窓67とは高さ方向の形成位置が段違い状にずらせて形成されているため、見る角度によって、前透視窓66と後透視窓67との双方を透過する視界と、前透視窓66のみを透過してその後方を移送ダクト6の内壁(後面板6R)に遮られる視界とのいずれかを選択することが可能となる。
この結果、前透視窓66と後透視窓67との双方を透過する視界を選択した場合には、移送ダクト6の後方に位置する収容部4内及びその後方を視認することができる。
2 走行機体
21 フレーム
21A 脚部フレーム
21B 連結フレーム
21C 昇降ブラケット
22 走行体
23 操縦者用シート
24 操縦桿
25 コントロールボックス
26 原動機
27 送風機
28 送風ダクト
28A 送風ホース
3 刈取機体
31 刈刃
32 刈刃体
33 刈刃支持フレーム
34 駆動部
35 側板部
4 収容部
41 フレーム部
5 移送装置
5A ダクトユニット
6 移送ダクト
6A 延長ダクト
6F 前面板
6R 後面板
6S 側面板
61 肩部
62 移送開始部
63 移送終端部
64 吐出口
66 前透視窓
67 後透視窓
7 送風ダクト
7A 分配背面ダクト
7B 導流中継ダクト
71 板材
72 板材
73 支柱
74 吹出口
75 整流板
76 給気口
77 導入口
78 排出口
A 茶葉(刈取枝葉)
B 茶袋
M 後写鏡
T 茶畝
W 圧力風
W1 搬送風
Claims (6)
- 刈取対象の畝の幅方向に作用する刈刃に対してその後段に付設され、送風ダクトから供給される搬送風の作用で刈取枝葉を刈刃直後方から一旦上昇させて所定の位置まで移送ダクト内を移送する装置であって、
前記移送ダクトは、移送管路が途中で分岐しない単管状に構成され、
且つその横断面形状は、刈刃の幅方向に長い前後の前面板と背面板及びこれらを結ぶ両側面板とにより、偏平な断面形状を具え、
この前面板と背面板とに透視窓を設けるものであり、
前記透視窓は、前面板に設けられる前透視窓と、後面板に設けられる後透視窓とから成り、
且つ移送ダクトを立設させた状態において、前透視窓と後透視窓とは、高さ方向の形成位置を段違い状にずらせて形成している
ことを特徴とする状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置。
- 前透視窓と後透視窓とのいずれか一方は、上下方向に分割された複数の窓単体の組み合わせとして構成されていることを特徴とする請求項1記載の状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置。
- 前透視窓と後透視窓との双方は、それぞれ上下方向に分割さたれ複数の窓単体の組み合わせとして構成されていることを特徴とする請求項1記載の状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置。
- 前記送風ダクトは、移送ダクトの背面に重なるように設けられた偏平な形状の分配背面ダクトと、この分配背面ダクトに搬送風を供給する導流中継ダクトとを具え、この導流中継ダクトは、その上部に送風ホースを接続する導入口を有し、この導流中継ダクトは、移送ダクトの側面に沿うように配設され、この位置から分配背面ダクト内に搬送風を供給して、圧力風を畝幅方向に拡散分配し、移送ダクト内に移送作用を行う搬送風を吹き出すようにしたことを特徴とする請求項1、2または3記載の状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置。
- 前記移送ダクトは、下方から上方にかけてその幅方向寸法を上すぼまり状とした肩部を有し、前記導流中継ダクトは、この肩部に設けられ、正面視で導流中継ダクトは、移送ダクトの下端部より幅方向において張り出さない状態に設けられていることを特徴とする請求項4記載の状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置。
- 刈取対象の畝を跨いで走行する走行機体と、
この走行機体に取り付けられ、刈取作業を直接担う刈取機体と、
この刈取機体の後段に設けられ、刈り取った刈取枝葉を収容可能とする収容部と、
刈り取った刈取枝葉を刈取機体から収容部へ移送する移送装置とを具え、
目的に応じた刈取作業を行う刈取装置であって、
前記移送装置は、前記請求項1、2、3、4または5いずれかに記載の装置が適用されることを特徴とする状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置を具えた刈取装置。
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