JP4349999B2 - 茶枝葉の移送方法並びにその移送装置並びにこれを具えた茶刈機 - Google Patents

茶枝葉の移送方法並びにその移送装置並びにこれを具えた茶刈機 Download PDF

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Description

本発明は、茶葉の摘採や枝幹の剪除等を行う茶刈機に関するものであって、特にこれら摘採茶葉や剪除枝幹など刈り取り後の茶枝葉の新規な移送手法と、これを適用した茶刈機に係るものである。
例えば茶葉の摘採を行う摘採機としては、比較的大型の乗用型摘採機が存在する。このものは、摘採した茶葉の収容部として、大容量のコンテナを搭載したもの、あるいは複数の茶袋を吊り下げ状態に取り付けて収容部を形成する等、大量の茶葉を収容できるようにしたものが多い。
そして、このような摘採機にあっては、例えば図9に示すように、刈刃22′の前方側に茶葉移送のための分岐ノズル47′付きの送風管を配し、この分岐ノズル47′からの送風によって茶葉Aを移送するのが一般的であった。また、刈刃22′から収容部4′まで茶葉Aを移送する移送路は、刈刃22′のほぼ後方に延びる水平移送部Xと、その後に収容部4′の上部に臨むように接続された上昇移送部Yとを具えるのが一般的であった(例えば特許文献1参照)。
この際、上昇移送に先立ち、まず茶葉Aを刈刃後方側に水平移送するのは、刈刃前方からの送風形態を採ることに起因する。すなわち、茶葉Aを上昇移送するには、その前までに茶葉Aに、ある程度の流速を持たせる必要があり、このために刈り取り直後の茶葉Aをまず後方側(水平)に送り、充分に加速するものである。言い換えれば水平移送部Xは上昇移送に備えて茶葉Aの流速を増すため、もしくはエネルギーを蓄積するための助走路の作用を担うものである。
しかしながら、このような移送形態(送風形態)では、水平移送部Xを要する分、移送装置5′ひいては摘採機の前後長が長くなり、摘採機の取り回し性を低下させてしまうという問題があった。
このため水平移送部Xを極力短縮、もしくは排除することが考えられるが、分岐ノズル47′からの送風は、茶葉Aを上昇移送するのに充分な送風力を有するものであり、刈刃22′の前方から、このような強力な送風を行っている状態では、急激に移送方向を水平から上向きに切り換えると、茶葉Aに傷みが生じ易く、刈刃前方からの送風形態を採りながら、水平移送部Xを排除することは不可能であった。
一方、装置の前後長を短縮化したい、という要請が顕在化するものとしては、二段刈摘採機等の複数段刈茶刈機が挙げられる。ここで二段刈摘採機としては、例えば異なった刈り取り高さに設定できる二基の刈刃を前後に配するとともに、各刈刃毎に上昇移送路を具えたものがある。この際、刈刃同士の前後方向における離反距離が空き過ぎていると、茶畝地の凹凸面が摘採面に現れ易く、刈り取りが綺麗に行えないことがあった。この場合、摘採茶葉の均一性が低下し、収穫した茶芽(例えば新芽)に古葉が混入することがあり、その後の製茶加工も円滑に行えないことがあった。
このため、二段刈摘採機等においても、極力、刈刃同士の前後間隔を狭めることが強く望まれていたが、刈刃前方からの従来の送風形態では、上昇移送部Yの前段に水平移送部Xを要するため、刈刃同士の前後間隔を狭めるには一定の限界が生じていた。
このようなことから、本出願人は、半ば技術常識となっていた、刈刃前方からの送風形態を根本から見直し、送風形態(移送形態)そのものから移送装置ひいては摘採機の短縮化を試みたものである。
特開2001−95346
本発明は、このような背景を認識してなされたものであって、主に送風形態に着眼し、例えば上昇移送を伴う摘採機等の場合、水平移送部を設けることなく、刈り取り直後、即、茶葉を上昇移送できるようにし、摘採機の前後寸法の短縮化を図り、摘採機をコンパクトに構成できるようにした新規な茶枝葉の移送方法並びにその移送装置並びにこれを適用した茶刈機の開発を試みたものである。
すなわち請求項1記載の茶枝葉の移送方法は、
バリカン式の刈刃(22)によって刈り取った茶葉や枝幹等の茶枝葉(A) を、移送ダクト(6) 内に流す圧力風の作用のみによって、前記刈刃(22)から所定の位置まで移送する方法であって、
前記移送ダクト(6) は、ダクト内において茶枝葉(A) の移送が開始される移送開始部(31)の下部が、前記刈刃(22)とほぼ同じ高さに設定されるものであり、
刈り取り後の茶枝葉(A) を前記刈刃(22)から所定の位置まで移送するにあたっては、前記刈刃(22)の後方側から移送ダクト(6) に背面風(W) を送り込むことによって、茶枝葉(A) の移送を行うようにしたことを特徴として成るものである。
また請求項2記載の茶枝葉の移送方法は、前記請求項1記載の要件に加え、
前記移送ダクト(6) は、移送開始部(31)が、平面から視て前記刈刃(22)を取り囲むように形成されるものであり、
また前記背面風(W) を前記刈刃(22)の後方から作用させるにあたっては、移送開始部(31)から上昇流として移送ダクト(6) 内に送り込むようにしたことを特徴として成るものである。
更にまた請求項3記載の茶枝葉の移送方法は、前記請求項1または2記載の要件に加え、
前記移送ダクト(6) は、刈り取り方向後方側に、移送ダクト(6) に沿う背面ダクト(7) が併設されるとともに、この背面ダクト(7) の上部には、このダクト内に圧力風を取り込む導入部(8) が形成されるものであり、
前記背面風(W) を前記刈刃(22)の後方から作用させるにあたっては、導入部(8) から下向きの圧力風を背面ダクト(7) 内に取り込んだ後、移送ダクト(6) の移送開始部(31)から上昇流として移送ダクト(6) 内に送り込むようにしたことを特徴として成るものである。
また請求項4記載の茶枝葉の移送方法は、前記請求項3記載の要件に加え、
前記背面ダクト(7) の内部には、導入部(8) から背面ダクト(7) 内に取り込んだ圧力風を、前記刈刃(22)の幅方向に向かって拡がるようにガイドする拡開案内体(40)が取り付けられることを特徴として成るものである。
また請求項5記載の茶枝葉の移送方法は、前記請求項1、2、3または4記載の要件に加え、
前記移送ダクト(6) は、刈り取り方向前方側に移送ダクト(6) に沿う正面ダクト(9) が併設されるものであり、
茶枝葉(A) の移送にあたっては、この正面ダクト(9) を通して前記刈刃(22)の斜め上方から前記刈刃(22)の上面に指向する正面風(W1)を、背面風(W) とともに補助的に発生させて、茶枝葉(A) の移送を行うようにしたことを特徴として成るものである。
また請求項6記載の茶枝葉の移送方法は、前記請求項5記載の要件に加え、
前記導入部(8) には、ここに導入した圧力風を、背面ダクト(7) と正面ダクト(9) とに振り分けるガイド板(43)が設けられ、背面風(W) とともに正面風(W1)を移送ダクト(6) の移送開始部(31)に作用させるようにしたことを特徴として成るものである。
また請求項7記載の茶枝葉の移送装置は、
茶葉や枝幹等の茶枝葉(A) を刈り取るバリカン式の刈刃(22)に対して、内部に空気流を流す移送ダクト(6) を具え、この移送ダクト(6) 内に流す圧力風の作用のみによって、刈り取り後の茶枝葉(A) を前記刈刃(22)から所定の位置まで移送する装置であって、
前記移送ダクト(6) は、ダクト内において茶枝葉(A) の移送が開始される移送開始部(31)の下部が、前記刈刃(22)とほぼ同じ高さに設定されて成り、
また、この装置には、前記刈刃(22)の後方から移送ダクト(6) 内に背面風(W) を送り込む吹出口(38)が設けられるものであり、この吹出口(38)から移送ダクト(6) 内に背面風(W) を送り込むことによって、刈り取り後の茶枝葉(A) を前記刈刃(22)から所定の位置まで移送するものであることを特徴として成るものである。
また請求項8記載の茶枝葉の移送装置は、前記請求項7記載の要件に加え、
前記移送ダクト(6) の移送開始部(31)は、平面から視て前記刈刃(22)を取り囲むように形成されて成り、
また前記移送ダクト(6) 内に送り込まれる背面風(W) は、上昇流として移送開始部(31)から移送ダクト(6) 内に送り込まれて成ることを特徴として成るものである。
また請求項9記載の茶枝葉の移送装置は、前記請求項7または8記載の要件に加え、
前記移送ダクト(6) は、刈り取り方向後方側に、移送ダクト(6) に沿う背面ダクト(7) が併設されるとともに、この背面ダクト(7) の上部には、このダクト内に圧力風を取り込む導入部(8) が形成されるものであり、
前記背面風(W) は、導入部(8) から背面ダクト(7) 内に取り込まれた下向きの圧力風が、上昇流として移送開始部(31)から移送ダクト(6) 内に送り込まれて成ることを特徴として成るものである。
また請求項10記載の茶枝葉の移送装置は、前記請求項9記載の要件に加え、
前記背面ダクト(7) は、導入部(8) から取り込んだ圧力風を、前記刈刃(22)の幅方向に向かって拡げるようにガイドする拡開案内体(40)が、内部に設けられることを特徴として成るものである。
また請求項11記載の茶枝葉の移送装置は、前記請求項7、8、9または10記載の要件に加え、
前記移送ダクト(6) は、刈り取り方向前方側に移送ダクト(6) に沿う正面ダクト(9) が併設されるとともに、この正面ダクト(9) には、前記刈刃(22)の斜め上方から前記刈刃(22)の上面に指向する分岐ノズル(47)が形成されるものであり、
前記背面風(W) は、この分岐ノズル(47)から発生する正面風(W1)とともに、移送ダクト(6) 内に送り込まれて成ることを特徴として成るものである。
また請求項12記載の茶枝葉の移送装置は、前記請求項11記載の要件に加え、
前記導入部(8) には、ここに導入した圧力風を、背面ダクト(7) と正面ダクト(9) とに振り分けるガイド板(43)が設けられることを特徴として成るものである。
また請求項13記載の茶刈機は、
茶畝(T) を跨いで走行する走行機体(2) と、
この走行機体(2) に取り付けられ摘採作業または剪枝作業を実質的に行う茶刈機体と、
この茶刈機体の後方に設けられ摘採した茶葉を収容可能とする収容部(4) と、
刈り取った茶葉や枝幹等の茶枝葉(A) を茶刈機体から収容部(4) まで移送する移送装置(5) とを具え、
目的に応じて摘採または剪枝作業が行えるようにした茶刈機であって、
前記移送装置(5) は、請求項7、8、9、10、11または12記載の装置が適用されて成ることを特徴として成るものである。
また請求項14記載の茶刈機は、前記請求項13記載の要件に加え、
前記茶刈機体は、刈り取り高さを適宜変更し得る複数基のバリカン式の刈刃(22)を具えるとともに、移送装置(5) も各刈刃(22)に応じて複数基設けられ、一回の走行によって多段階の刈り取りが一挙に行えるようにしたことを特徴として成るものである。
また請求項15記載の茶刈機は、前記請求項14記載の要件に加え、
前記収容部(4) は、各刈刃(22)毎に収穫した茶葉を別個に収容できるようにしたことを特徴として成るものである。
これら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。すなわち請求項1または7記載の発明によれば、刈刃後方から移送ダクト内に空気流を送り込んで茶枝葉を所望の部位に移送するため、例えば刈り取り直後の茶枝葉を水平移送せずに、上方等に移送することができ、極めて斬新且つ画期的な移送形態が採り得る。
また請求項2または8記載の発明によれば、刈刃後方から上向きの背面風を作用させることによって、刈り取り直後の茶枝葉を水平移送せずに、即、上昇移送することができる。
更にまた請求項3または9記載の発明によれば、導入部から背面ダクト内に導入した圧力風を、上向きの背面風として移送ダクト(移送開始部)に送り込むため、刈り取り直後の茶枝葉を、そのまま上昇移送する合理的構成を現実のものとする。また、移送ダクトをほぼ鉛直に立ち上げるように形成した場合には、水平移送路を要しない分、移送装置ひいては茶刈機の前後長を短縮化できる。なお、この短縮化の点について、背面ダクトを移送ダクトに対して密着状態に設けたことも短縮化に寄与する。
また請求項4または10記載の発明によれば、背面ダクト内には、拡開案内体が設けられるため、背面ダクトの一部分から取り込んだ圧力風でも、これを移送ダクトの移送開始部に背面風として吹き込ませる際には、刈刃の全幅にわたって、ほぼ均一に作用させることができる。
また請求項5または11記載の発明によれば、刈刃後方からの背面風に加え、刈刃前方からの正面風を副次的に作用させるため、茶枝葉の移送が確実に行える。また、例えば、摘採直後の茶葉を刈刃後方に送り、そのまま茶袋に収容する形態を採る場合には、刈刃前方から作用させる正面風のエネルギーを、従来に比べ格段に低く抑えることができる。
また請求項6または12記載の発明によれば、背面風とともに正面風を生起させる合理的な手法を具体的なものとする。
また請求項13記載の発明によれば、上述した移送手法を茶刈機に適用するため、例えば刈り取り後の茶枝葉を上昇移送する茶刈機にあっては、刈り取り直後、水平移送部を設けることなく、そのまま茶枝葉を上昇移送することができ、前後長の短縮化が図れ、コンパクトな茶刈機が実現できる。また、上昇移送を伴わない茶刈機、すなわち刈り取り後の茶枝葉を刈刃後方側にそのまま移送する茶刈機にあっては、刈刃前方から作用させる正面風の送風力を格段に低減できる、もしくはこのような正面風を全く省略でき、シンプルな構造の茶刈機が実現できる。
また請求項14記載の発明によれば、例えば二段刈摘採機等の複数段刈茶刈機に、上述した移送手法を適用するため、水平移送部を要しない分、各刈刃の前後方向における離反距離を極力狭めることができ、茶畝地の凹凸面が刈り取り面に現れ難く、綺麗に刈り取ることができる。
また請求項15記載の発明によれば、例えば二段刈り(二段摘み)の場合には、茶芽の生育状況に応じて、上質の茶葉と、これよりもいくらか品質的には低下するが良質の茶葉とを分けて収容することができ、その後の製茶加工等も分けて行うことができ、能率的に製茶加工できる。
本発明の最良の形態は、以下の実施例に述べる通りである。なお説明にあたっては、まず本発明の茶刈機として摘採機を例に挙げながら、その全体構成を概略的に説明し、併せて本発明装置である茶枝葉の移送装置について説明する。また、この摘採機としては、刈り取った茶葉Aを上昇移送して収容部に収容する、いわゆる大型の乗用式摘採機(茶畝跨走型摘採機1)を例に挙げて説明する。
なお本発明の移送手法そのものは、茶芽を刈り取る摘採作業のみならず、樹形を整え樹勢の回復を図るために枝幹を剪除する剪枝作業にも利用でき、このようなことに因み、本発明の名称中や請求項等に記載した「茶枝葉」とは、摘採した茶葉Aと剪除した枝幹とを総称するものである(茶枝葉にも茶葉と同一の符号Aを付す)。また、「茶刈」もしくは「茶刈機」とは、摘採(摘採機)と剪枝(剪枝機)とを総称するものである。なお剪枝作業の具体的形態については後述する。
本発明の移送手法を適用した茶畝跨走型摘採機1は、一例として図1、2に示すように、茶畝Tを跨ぐように走行する走行機体2と、この走行機体2によって茶畝T上面に位置するように支持される摘採機体3と、摘採機体3の後方に設けられ摘採した茶葉Aを収容する収容部4と、摘採した茶葉Aを摘採機体3から収容部4まで移送する移送装置5とを具えて成るものである。以下、各構成部について説明する。
まず走行機体2について説明する。このものは、茶畝Tを跨いで茶畝間の畝地を接地走行するものであり、走行方向から見て概ね門型状に形成されたフレーム11を骨格部材とする。このフレーム11は、畝間に立ち上げ状態に設けられる脚部フレーム11Aと、この脚部フレーム11Aを繋ぐ連結フレーム11Bと、脚部フレーム11Aに対し昇降自在に取り付けられる昇降ブラケット11Cとを具えて成るものである。そして、脚部フレーム11Aの下端には一例としてクローラを適用した走行体12を設ける。もちろん、この走行体12は、このようなクローラに限らず、畝地を過剰に押し付けないような空気タイヤ、あるいは双方を適用した形態(例えば前側に空気タイヤ、後側にクローラを適用した形態)等が適宜採り得る。
更に連結フレーム11Bの上部には、摘採機に乗車した作業者が座る操縦者用シート13、操縦桿14、摘採機の制御や操作等を行うためのコントロールボックス15を設けるものである。そして操縦者用シート13の側傍には、例えばディーゼルエンジン等を適用した原動機16を搭載するものであり、一例として、この原動機16により図示を省略する油圧ポンプを駆動し、この油圧ポンプにより供給される作動油によって前記走行体12の駆動や、後述する摘採機体3の刈刃22の駆動、更には前記昇降ブラケット11Cの昇降動を担うシリンダ(図示略)等の駆動を行う。
また前記連結フレーム11B上には、刈刃22によって刈り取った茶葉Aを風送するための送風機17を設けるものであって、この送風機17は前記原動機16により直接駆動される。そして、この送風機17からは送風ダクト18を介して圧力風が移送装置5(摘採機体3側)に供給される。なお送風ダクト18は、一部または全部が、フレキシブルダクト18Aによって構成され、移送装置5に接続されている。
なお本実施例では摘採した茶葉Aを茶袋Bに収容する形態を採るため、上記連結フレーム11Bには、茶葉Aでいっぱいになった茶袋Bを仮置きする回動アーム19(図2参照)が設けられ、茶袋Bを載置する際には、この回動アーム19を摘採機の側方に張り出すようにウイング状に拡げ、ここに載せるものである。
次に摘採機体3について説明する。このものは茶葉Aの摘採を実質的に行うものであり、刈刃22を主要部材として成るものである。この刈刃22は、例えば上下一対の刈刃体22Aと、これら刈刃体22Aを摺動自在に支持する刈刃支持フレーム22Bと、刈刃体22Aを偏心板やエキセントリックシャフト等によって往復摺動させる駆動部22Cとを具えて成り、上下一対の刈刃体22Aを交互に往復動させることで、各刈刃体22Aに形成した刃(歯)のバリカン作用により茶葉Aを刈り取るものである(図2参照)。
このように刈刃22は、刈刃体22A、刈刃支持フレーム22B、駆動部22C等を一体的に組み付けた、いわゆるカセット式替刃の形態を採り、刈刃22の取り替えにより、容易に摘採機から浅刈機・中刈機等の剪枝機に仕様変更できるものである。なお図中符号23は、このようなカセット式の刈刃22を着脱自在に保持する側板部であり、この側板部23が上記昇降ブラケット11Cに支持され、刈刃22の高さが自在に設定できる構成となっている。
また、上記刈刃22の駆動部22Cも、前記油圧ポンプ(走行機体2に搭載された原動機16によって駆動される)から供給される作動油によって駆動することが望ましい構成であるが、刈刃22の駆動は別途エンジンによって行うことも可能である。
次に上記刈刃22によって刈り取った茶葉Aを収容する収容部4について説明する。収容部4は、一例として図1、2に示すように、後述する移送ダクト6の吐出口33から吊り下げ状態に取り付けられた茶袋Bと、収容部4の枠組みを成すフレーム部26とを主要部材として成るものである。もちろん、フレーム部26は、収容部4の骨格を形成するだけでなく、茶葉Aを収容した茶袋Bを保護もしくはガードする作用も併せ持つものである。
なお、本実施例では、摘採機を背面側から視て二つの茶袋Bを左右に並べるように取り付けるものであるが、茶袋Bの数やその配置等は、適宜変更可能である。また、ここでは、茶袋Bをほぼ鉛直方向に垂れ下げ状態に取り付けて収容部4を構成したが、茶袋Bは、摘採機を側面から視て、傾斜するように取り付けることも可能である。
更にまた収容部4としては、このような茶袋Bに収容する形態ではなく、コンテナ式のものを採用し、この中に茶葉Aを収容する形態を採ることも可能である。
次に本発明装置である茶枝葉Aの移送装置5について説明する。移送装置5は、刈り取った茶葉Aを所定の位置に向けて移送する部位であり、ここでは茶葉Aを摘採機体3から収容部4まで中継移送するものである。具体的には刈り取り直後の茶葉Aを収容部4に向けて刈刃22のほぼ真上に上昇移送する形態を採る。ここで、茶葉Aの移送は空気流、つまりダクト内に圧力風を送り込んで収容部4に移送するものであり、ここでは複数のダクト部材を用いることに因み、これらをダクトユニット5Aと総称する。
ダクトユニット5Aは、一例として図1〜3に示すように、移送ダクト6と背面ダクト7とを主要部材として成るものである。このうち移送ダクト6は、刈刃22の直上部からほぼ真っ直ぐに立ち上げられた後、収容部4上方に臨むように形成されるものである。また背面ダクト7は、刈刃22の後方側、すなわち摘採方向に対して後方となる刈刃22の背面側から、前記移送ダクト6内に上昇流となる圧力風(これを背面風Wとする)を送り込むものである。以下、これら移送ダクト6や背面ダクト7等について更に詳細に説明する。
まず移送ダクト6について説明する。このものは、上述したように刈刃22のほぼ真上に立ち上げられ、刈り取り直後の茶葉Aを収容部4まで上昇移送するものである。ここで移送ダクト6において茶葉Aの移送が開始される部位(下部)を移送開始部31とし、茶葉Aの移送が終わる部位(上部)を移送終端部32とするものであり、この移送終端部32には収容部4に臨む吐出口33が形成される。また、本実施例では、移送開始部31は、下方側に開口され、平面から視て、刈刃22を取り囲むように形成されている。一方、移送終端部32は、吐出口33が収容部4に臨むように適宜湾曲形成されるものであり、更にこの吐出口33には茶袋Bの開放端側を取り付けるフック34が設けられる。
なお移送ダクト6は、移送開始部31から吐出口33(移送終端部32)に至る移送途中において、幅寸法や断面積等を急激に変化させないことが好ましく、これは移送に伴う茶葉Aの傷みを極力低減させるためである。また、移送路は、例えば図3(a)に示すように、途中部分が二股状に分岐するように形成され、この分岐部35に前記送風機17からの圧力風を背面ダクト7に取り込む導入部8が設けられる(導入部8については後述する)。分岐部35は、上昇移送する茶葉Aを左右に分ける部位となるため、分岐部35に茶葉Aが当たっても極力茶葉Aが傷まないように、滑らかなR状つまり移送路としては略U字状を成し、スムーズに茶葉Aを左右に振り分けるようにすることが好ましい。
また、このような移送ダクト6(ダクトユニット5A)は、少なくとも一部が入れ子状もしくはフレキシブル状に形成され、刈刃22とともに上下動できる構成が望ましい。
以上述べたように、本実施例では、茶葉Aを上昇移送するにあたり刈刃後方側への移送を伴わないため、移送装置5ひいては摘採機の前後長を短縮化できるものであるが、これに加え、摘採機を側面から視た場合、上記導入部8を、移送ダクト6とほぼ重なるように設けたことも、ダクトユニット5A(移送装置5)としての厚み(摘採機の前後方向に相当する寸法)を薄くすることができ、摘採機の前後長短縮化に寄与するものである。
次に背面ダクト7について説明する。このものは、上述したように刈刃22の後方側から移送ダクト6(移送開始部31)内に背面風Wを送り込むダクトであり、移送ダクト6の背面側に密着状態に設けられる。ここで図中符号38は、背面風Wを移送ダクト6内に送り込む吹出口である。
なお、本実施例では、別体構成の移送ダクト6と背面ダクト7とを張設してダクトユニット5Aを形成するものであるが、上述した構成上、これらは一体的に形成することも可能であり、その場合には、移送ダクト6の後方壁面は、背面ダクト7の前方壁面と共通化させることが可能である。
また背面ダクト7は、摘採機の背面から視た場合、上方の導入部8を頂上とするような山形を呈し(図3(a)参照)、上方には、前記導入部8に連通する導入口39が開口されている。これによって、背面ダクト7は導入口39から圧力風を取り込むことができ、この圧力風を下方に導いた後、移送ダクト6(移送開始部31)に上昇流として送り込むものである。
因みに背面ダクト7は、ほぼ一定の薄い厚さに形成され、これも摘採機の前後長短縮化に寄与するものである。
また背面ダクト7内には拡開案内体40が形成されるものであり、これは導入口39から取り込んだ圧力風を刈刃22の幅方向にわたって、ほぼ均一に流すための部材である。具体的には、一例として図3(a)に併せて示すように、断面L字状のブラケットを複数用い、これを導入口39から刈刃22に向かって末広がり状もしくは放射状に取り付けて構成される。そして、この拡開案内体40によって、一カ所の導入口39から圧力風を取り込んでも、刈刃22の幅方向にほぼ均一に案内し、刈刃22の全幅にわたって同程度の強さの背面風Wに変換し得るものである。
次に、導入部8について説明する。このものは、前記送風機17からの圧力風を、背面ダクト7の導入口39に導くためのものであり、一例として図3(b)に示すように、舌片状のガイド板43を具え、このガイド板43を傾斜状態に設けることで、上述した空気流、すなわちフレキシブルダクト18Aによって送風機17から供給された圧力風を、導入口39から背面ダクト7内に送り込む送風を達成する。
なお導入部8は、ガイド板43と、これを両側から挟み込む移送ダクト6の両外側面とによって、導入部8の下方と左右が閉塞された状態となり、フレキシブルダクト18Aから供給される圧力風を、ほぼそのまま導入口39から背面ダクト7内に案内するものである。
本発明の茶刈機の一例であり、また本発明の移送手法を適用した茶畝跨走型摘採機1は、以上のような基本構造を有するものであり、以下、このような摘採機における茶葉Aの移送態様を説明しながら、実質的に本発明方法である茶枝葉の移送方法について説明する。なお、説明にあたっては、背面風Wの形成過程を説明した後、これによる茶葉Aの移送態様について説明する。
(1)背面風の形成過程
背面風Wを生じさせるには、まず走行機体2上の原動機16を駆動し、送風機17によって圧力風を生起する。生起された圧力風は、その後、送風ダクト18(フレキシブルダクト18A)を通して導入部8に導かれ、ここでガイド板43に案内されて、導入口39から背面ダクト7内に取り込まれる。背面ダクト7内に導入された圧力風は、次いで、背面ダクト7内に設けられた拡開案内体40によって、刈刃22の幅方向にほぼ均一に拡がるようにガイドされ、刈刃後方の吹出口38から背面風Wとして移送ダクト6(移送開始部31)内に送り込まれる。この背面風Wは、刈刃22の後方から、ほぼ真上に向かう上昇流であり、少なくとも茶葉Aを移送ダクト6の吐出口33(移送終端部32)まで搬送する移送能力を有する。
(2)茶葉の移送態様
このような背面風Wによって、茶葉Aは、一例として図4に示すように、刈り取り直後、まず刈刃22の後方側に引き寄せられる。これは、刈刃22の後方から背面風Wを吹き出すことにより、刈刃22の後方付近、具体的には、背面風Wの吹出口38近傍に負圧が形成され、茶葉Aが刈刃部分から吹出口38側に引き寄せられるものと考えられる(以下、これを背面風Wの負圧吸引作用と称する)。そして、吹出口38側に引き付けられた茶葉Aは、その後、上昇流を形成する背面風Wに乗って、移送ダクト6内を上昇し、吐出口33から収容部4に設けられた茶袋B内に収容される。
〔他の実施例〕
本発明は、以上述べた実施例を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。すなわち先の図1〜4に示した実施例では、刈刃22の後方から作用する背面風Wのみによって茶葉Aを移送するものであった。しかしながら、摘採する茶芽の生育状態、移送路の状況(上昇移送距離等)、背面風Wを生起させる送風機17の能力等によっては、例えば図5、8に示すように背面風Wに加えて、刈刃22の正面側(刈り取り方向正面側)からも移送風(これを正面風W1とする)を補助的に作用させることが可能である。この場合、正面風W1を生じさせる正面ダクト9を移送ダクト6の正面側に密着状態に設けることが好ましく、これに因み上記ダクトユニット5Aは、移送ダクト6、背面ダクト7、正面ダクト9とによって主に構成される。
なお正面風W1を生じさせるにあたっては、例えば上記図5(b)に併せて示すように、導入部8のガイド板43を、二枚の傾斜板により、側面視、山形状に形成するものである。すなわち導入部8に取り込んだ圧力風をガイド板43(二枚の傾斜板)によって、背面ダクト7と正面ダクト9とに振り分けるようにするものである。なおここで二枚の傾斜板を各別に表示する場合には、その作用から背面ガイド板43Aと正面ガイド板43Bとして区別する。また、この場合、例えば背面ガイド板43Aと正面ガイド板43Bの合わせ位置、すなわちガイド板43の頂上の位置によって、背面風Wと正面風W1の流量バランスが決定でき、ガイド板43が、背面風Wと正面風W1との風量の調整作用をも担うものである。もちろん茶葉Aの上昇移送は、主に背面風Wが担うため、背面ダクト7に導入する風量(流量)が多く、大部分を占めるのが一般的である。
また、このようなことから正面ダクト9にも導入部8から圧力風を取り込む導入口46が、移送ダクト6側の壁面に開口されるものである。
また正面ダクト9は、一例として図5(c)に示すように、正面視、導入部8付近では、ほぼストレート状をなし、刈刃付近で刈刃22の幅方向に広がるように形成される。また下端部では一例として図5(b)に示すように、斜め下方の刈刃22に指向する分岐ノズル47が刈刃22に沿って複数形成されている。
このように、本実施例では、背面ダクト7と正面ダクト9とを移送ダクト6に沿うように形成し、しかもその厚み寸法を、ほぼ一定の薄い厚さに形成するため、これが移送装置5ひいては摘採機の前後長短縮化に寄与する。もちろん、この短縮化については、上述したように、刈刃後方への水平移送が省略できることや、移送ダクト6の途中に分岐部35を形成し、ここに導入部8を設け、側面から視て、導入部8を移送ダクト6に重ねるように設けたことも短縮化の大きな要因である。
なお、上述した正面風W1は、あくまでも背面風Wをサポートする場合に設けられるものである。
また、先に述べた基本の実施例では、移送ダクト6の背面側に背面ダクト7を設け、刈刃後側から移送ダクト6内に背面風Wを送り込むように説明したが、例えば図6に示すように、移送ダクト6の横つまり側面下部から圧力風を供給し、これを背面風Wに変換することも可能である。この場合、移送ダクト6の横から供給された圧力風の向きを上向き(背面風W)に変える風向体50を設ける必要があるが(例えば上記分岐ノズル47様の構造)、送風機17から圧力風を導入するフレキシブルダクト18Aや、上記風向体50等が実質的に背面ダクト7の作用を担うため、背面ダクト7そのものは省略することができる。
更に、この場合、送風機17から移送ダクト6に圧力風を導いてくる導入部8も省略することができるため、側面から視て、この導入部8を移送ダクト6に重ねるように設ける必要もなく、移送ダクト6を単管状(途中で分岐しない単一の管状)に形成することができる。
また、先に述べた基本の実施例では、上昇移送を伴う摘採機の形態を例に挙げて説明したが、上述したように、本発明の移送手法は摘採機のみに限らず剪枝機にも利用できる。この場合、剪除した枝幹は、例えば移送ダクト6内を上昇移送させた後、収容部4内を通過するように設けたシュート部材によって畝間まで導き、落下させる形態が可能である(例えば本出願人の出願に係る特開2002−136214号「茶畝跨走型茶刈装置における剪除枝幹の移送構造」参照)。もちろん剪除した枝幹は、必ずしも収容部4内を経由させて畝間まで導く必要はなく、例えば先に述べた基本の実施例の場合には、収容部4の枠組みがフレーム部26によって形成されることから、これと干渉しないように吐出口33から畝間までダクトを取り付け、剪除枝幹を畝間に落下させることも可能である。なお、摘採機を剪枝機に変更する場合、先に述べたカセット式の刈刃22を剪枝機用のものに変更すれば、摘採機体3を容易に剪枝機体に仕様変更できるものである。
また、本発明の移送手法は、刈刃22の後方側に水平移送部Xを形成しなくても、茶葉Aを刈刃22のほぼ真上に移送できることから、上昇移送を伴う摘採機に好適と考えられるが、刈刃22の後方側から圧力風(背面風W)を作用させて茶葉Aを移送する手法そのものは、極めて斬新且つ新規なアイデアであるため、必ずしも上昇移送を伴わない種々の機種への適用も考えられる。例えば図7(a)に示すように、茶葉Aを刈刃22からそのまま後方に送って、寝かせた状態にセットした茶袋B内に収容する、いわゆる簡易型乗用摘採機または小型乗用摘採機と呼ばれるものへの適用が可能である。また剪除した枝幹を収容部4の内側を経由させずに、そのまま畝端部に向けて風送して畝間に落とし込む剪枝機にも適用することが可能である。そして、このような機種に、本発明の移送手法を適用した場合、従来の刈刃前方から作用させていた移送風のエネルギーを低く抑えられる、もしくは従来の刈刃前方からの送風は全て不要になり得る点で、本発明の移送手法は利用範囲が広く、また実現の可能性も高いものである。
また本発明の移送手法は、刈刃後方からの背面風Wによって、その吹出口38付近に負圧を生じさせ、この負圧吸引作用によって刈り取り直後の茶枝葉Aを刈刃後方側に引き寄せ、その後は茶枝葉Aを背面風Wに乗せて、収容部4など適宜の部位に移送するものである。このため、背面風Wの負圧吸引作用を効率的に利用するには、刈刃22の直後方から背面風Wを作用させる構成が好ましいと考えられるが、例えば図7(b)に示すように、刈刃22から背面風Wの吹出口38までの距離が比較的長いものにも本発明を適用することが可能である。この場合、上述したように、背面風Wによる負圧吸引作用は幾らか低下することが考えられるため、刈刃22の前方側には、正面ダクト9による分岐ノズル47を設け、刈刃前方からの送風を補助的に行うことが好ましい。なお、この場合、上述したように、分岐ノズル47による送風を行っても、従来、前方から風を送り込んでいた送風力と比較すれば、分岐ノズル47の送風力は、極めて少ない送風力で済むと考えられる。
また先に述べた基本の実施例では、刈刃22を一基のみ設けた摘採機(一段刈摘採機)を例に挙げて説明したが、本発明の移送手法は、刈刃22を上下方向に複数基設けた、いわゆる多段刈摘採機にも適用することが可能であり、例えば図8は本発明の移送手法を適用した二段刈摘採機1Aの一例を示している。ここで、上下二基の刈刃22を区別する場合には、前方上側のものを上段刈刃22U、後方下側のものを下段刈刃22Dとして区別する。なお二段刈り(二段摘み)とは、例えば前方の上段刈刃22Uで新芽(ミル芽)の先端側2/3〜1/3を摘採してから、後方の下段刈刃22Dで残りの部分を摘採するという摘採手法である。このため通常は、上段刈刃22Uの方が下段刈刃22Dよりも高い位置に設定されることが多いが、例えば二基の刈刃22U、22Dを同じ高さに設定する場合もあり得る。
また、ここでは上段刈刃22Uと下段刈刃22Dとについて、各々にダクトユニット5Aが形成されるものであり、これらも各々、上刃用ダクトユニット5AU、下刃用ダクトユニット5ADとして区別する。すなわち、ここでは上段刈刃22Uによって摘採した茶葉Aと、下段刈刃22Dによって摘採した茶葉Aとを、別々の茶袋Bに分けて収容できるようにしている。これは、上段刈刃22Uと下段刈刃22Dによって、性状の異なった茶葉Aを別々に摘採する場合、例えば上段刈刃22Uによって手摘み物に近い上質の茶葉Aを摘採し、下段刈刃22Dによって手摘み物よりは幾らか品質的には低下するが、良質の茶葉Aを摘採する場合等に好適な収容形態であり、これによって、その後の製茶加工においても茶葉Aの性状に応じた適切な加工条件が適宜採り得るものである。
そして両刈刃22U、22Dは、昇降ブラケット11Cとともに昇降動される一方、刈刃間距離(上下間隔)が変更できるように構成されている。具体的には、下段刈刃22Dが、昇降ブラケット11C側に取り付けられるとともに、この下段刈刃22Dに対して上段刈刃22Uが昇降動できるように取り付けられている。ここで図中符号51は、下段刈刃22Dに対して上段刈刃22Uを昇降動させるためのハンドルであり、これは手動、自動どちらでも駆動させ得る形態が好ましい。
なお図8に示す実施例では、原動機16によって駆動される送風機17も刈刃22に合わせて二基設けたが、搭載する送風機17は一基とし、このものから各々のダクトユニット5AU、5ADに圧力風を等分して送ることも可能である。
次に、本発明の移送手法を、上述した二段刈摘採機1A等の多段刈茶刈機に適用する有用性について説明する。二段刈摘採機1Aでは、上段刈刃22Uと下段刈刃22Dとの前後間隔が空き過ぎると、茶畝地の凹凸面が摘採面に現れ易く、刈り取りが綺麗に行えないことがある。このような場合、摘採した茶葉Aの均一性が悪くなり、収穫した新芽に、本来摘採すべきでない部位(古葉や枝幹等)が混入することがあり、その後の製茶加工や値段に悪影響を及ぼすことがあった。
このため、このような二段刈摘採機1Aにあっては、上段刈刃22Uと下段刈刃22Dとの前後間隔をできるだけ狭めることが、能率的な摘採を行う上で非常に有効であり、この点において移送装置5の前後長を送風形態から短縮できる本発明は、二段刈摘採機1Aに好適なものと言える。逆に言えば、従来の二段刈摘採機では、水平移送を伴う分、上段刈刃22Uと下段刈刃22Dとの前後間隔が長くなることは否めず、綺麗に摘採を行うには、ある程度の限界が生じていた。
なお、上述したように本発明の移送手法を適用した複数段刈摘採機については、摘採機の前後長が短縮化できることや、これに起因して摘採作業時における摘採機の取り回し性が向上することに加え、複数段刈りが格段に綺麗に且つ能率的に行えるという新たな効果を奏する。
本発明の移送手法と、これを適用した本発明の茶刈機(摘採機)とを併せて示す説明図である。 本発明の茶刈機の一例である摘採機を示す側面図(a)、並びに正面図(b)である。 本発明の茶枝葉の移送装置を示す斜視図(a)、並びに導入部を拡大して示す斜視図(b)である。 刈刃後方から上向きの背面風を作用させることによって、刈り取り直後の茶葉を刈刃のほぼ真上に上昇移送する様子を示す説明図である。 移送ダクトの前側に正面ダクトを密着状態に設け、刈刃前方側から正面風を補助的に作用させるようにした移送装置の他の実施例を示す背面図(a)、側面断面図(b)、並びに正面図(c)である。 移送ダクトの横から圧力風を供給する移送装置の他の実施例を示す斜視図である。 本発明の移送手法を小型もしくは簡易型の乗用式摘採機に適用し、刈刃後方からの背面風によって、刈り取り後の茶葉を刈刃の後方側に移送するようにした他の実施例を示す説明図(a)、並びに刈刃から背面風の吹出口までの距離が比較的長い場合の移送手法を示す説明図(b)である。 本発明の移送手法を適用した二段刈摘採機を示す側面図(a)、並びに正面図(b)である。 従来の摘採機の移送手法を示す説明図である。
1 茶畝跨走型摘採機
1A 二段刈摘採機
2 走行機体
3 摘採機体
4 収容部
5 移送装置
5A ダクトユニット
5AU 上刃用ダクトユニット
5AD 下刃用ダクトユニット
6 移送ダクト
7 背面ダクト
8 導入部
9 正面ダクト
11 フレーム
11A 脚部フレーム
11B 連結フレーム
11C 昇降ブラケット
12 走行体
13 操縦者用シート
14 操縦桿
15 コントロールボックス
16 原動機
17 送風機
18 送風ダクト
18A フレキシブルダクト
19 回動アーム
22 刈刃
22A 刈刃体
22B 刈刃支持フレーム
22C 駆動部
22U 上段刈刃
22D 下段刈刃
23 側板部
26 フレーム部
31 移送開始部
32 移送終端部
33 吐出口
34 フック
35 分岐部
38 吹出口
39 導入口
40 拡開案内体
43 ガイド板
43A 背面ガイド板
43B 正面ガイド板
46 導入口
47 分岐ノズル
50 風向体
51 ハンドル
A 茶葉(茶枝葉)
B 茶袋
T 茶畝
X 水平移送部
Y 上昇移送部
W 背面風
W1 正面風

Claims (15)

  1. バリカン式の刈刃(22)によって刈り取った茶葉や枝幹等の茶枝葉(A) を、移送ダクト(6) 内に流す圧力風の作用のみによって、前記刈刃(22)から所定の位置まで移送する方法であって、
    前記移送ダクト(6) は、ダクト内において茶枝葉(A) の移送が開始される移送開始部(31)の下部が、前記刈刃(22)とほぼ同じ高さに設定されるものであり、
    刈り取り後の茶枝葉(A) を前記刈刃(22)から所定の位置まで移送するにあたっては、前記刈刃(22)の後方側から移送ダクト(6) に背面風(W) を送り込むことによって、茶枝葉(A) の移送を行うようにしたことを特徴とする茶枝葉の移送方法。
  2. 前記移送ダクト(6) は、移送開始部(31)が、平面から視て前記刈刃(22)を取り囲むように形成されるものであり、
    また前記背面風(W) を前記刈刃(22)の後方から作用させるにあたっては、移送開始部(31)から上昇流として移送ダクト(6) 内に送り込むようにしたことを特徴とする請求項1記載の茶枝葉の移送方法。
  3. 前記移送ダクト(6) は、刈り取り方向後方側に、移送ダクト(6) に沿う背面ダクト(7) が併設されるとともに、この背面ダクト(7) の上部には、このダクト内に圧力風を取り込む導入部(8) が形成されるものであり、
    前記背面風(W) を前記刈刃(22)の後方から作用させるにあたっては、導入部(8) から下向きの圧力風を背面ダクト(7) 内に取り込んだ後、移送ダクト(6) の移送開始部(31)から上昇流として移送ダクト(6) 内に送り込むようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の茶枝葉の移送方法。
  4. 前記背面ダクト(7) の内部には、導入部(8) から背面ダクト(7) 内に取り込んだ圧力風を、前記刈刃(22)の幅方向に向かって拡がるようにガイドする拡開案内体(40)が取り付けられることを特徴とする請求項3記載の茶枝葉の移送方法。
  5. 前記移送ダクト(6) は、刈り取り方向前方側に移送ダクト(6) に沿う正面ダクト(9) が併設されるものであり、
    茶枝葉(A) の移送にあたっては、この正面ダクト(9) を通して前記刈刃(22)の斜め上方から前記刈刃(22)の上面に指向する正面風(W1)を、背面風(W) とともに補助的に発生させて、茶枝葉(A) の移送を行うようにしたことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の茶枝葉の移送方法。
  6. 前記導入部(8) には、ここに導入した圧力風を、背面ダクト(7) と正面ダクト(9) とに振り分けるガイド板(43)が設けられ、背面風(W) とともに正面風(W1)を移送ダクト(6) の移送開始部(31)に作用させるようにしたことを特徴とする請求項5記載の茶枝葉の移送方法。
  7. 茶葉や枝幹等の茶枝葉(A) を刈り取るバリカン式の刈刃(22)に対して、内部に空気流を流す移送ダクト(6) を具え、この移送ダクト(6) 内に流す圧力風の作用のみによって、刈り取り後の茶枝葉(A) を前記刈刃(22)から所定の位置まで移送する装置であって、
    前記移送ダクト(6) は、ダクト内において茶枝葉(A) の移送が開始される移送開始部(31)の下部が、前記刈刃(22)とほぼ同じ高さに設定されて成り、
    また、この装置には、前記刈刃(22)の後方から移送ダクト(6) 内に背面風(W) を送り込む吹出口(38)が設けられるものであり、この吹出口(38)から移送ダクト(6) 内に背面風(W) を送り込むことによって、刈り取り後の茶枝葉(A) を前記刈刃(22)から所定の位置まで移送するものであることを特徴とする茶枝葉の移送装置。
  8. 前記移送ダクト(6) の移送開始部(31)は、平面から視て前記刈刃(22)を取り囲むように形成されて成り、
    また前記移送ダクト(6) 内に送り込まれる背面風(W) は、上昇流として移送開始部(31)から移送ダクト(6) 内に送り込まれて成ることを特徴とする請求項7記載の茶枝葉の移送装置。
  9. 前記移送ダクト(6) は、刈り取り方向後方側に、移送ダクト(6) に沿う背面ダクト(7) が併設されるとともに、この背面ダクト(7) の上部には、このダクト内に圧力風を取り込む導入部(8) が形成されるものであり、
    前記背面風(W) は、導入部(8) から背面ダクト(7) 内に取り込まれた下向きの圧力風が、上昇流として移送開始部(31)から移送ダクト(6) 内に送り込まれて成ることを特徴とする請求項7または8記載の茶枝葉の移送装置。
  10. 前記背面ダクト(7) は、導入部(8) から取り込んだ圧力風を、前記刈刃(22)の幅方向に向かって拡げるようにガイドする拡開案内体(40)が、内部に設けられることを特徴とする請求項9記載の茶枝葉の移送装置。
  11. 前記移送ダクト(6) は、刈り取り方向前方側に移送ダクト(6) に沿う正面ダクト(9) が併設されるとともに、この正面ダクト(9) には、前記刈刃(22)の斜め上方から前記刈刃(22)の上面に指向する分岐ノズル(47)が形成されるものであり、
    前記背面風(W) は、この分岐ノズル(47)から発生する正面風(W1)とともに、移送ダクト(6) 内に送り込まれて成ることを特徴とする請求項7、8、9または10記載の茶枝葉の移送装置。
  12. 前記導入部(8) には、ここに導入した圧力風を、背面ダクト(7) と正面ダクト(9) とに振り分けるガイド板(43)が設けられることを特徴とする請求項11記載の茶枝葉の移送装置。
  13. 茶畝(T) を跨いで走行する走行機体(2) と、
    この走行機体(2) に取り付けられ摘採作業または剪枝作業を実質的に行う茶刈機体と、
    この茶刈機体の後方に設けられ摘採した茶葉を収容可能とする収容部(4) と、
    刈り取った茶葉や枝幹等の茶枝葉(A) を茶刈機体から収容部(4) まで移送する移送装置(5) とを具え、
    目的に応じて摘採または剪枝作業が行えるようにした茶刈機であって、
    前記移送装置(5) は、請求項7、8、9、10、11または12記載の装置が適用されて成ることを特徴とする茶刈機。
  14. 前記茶刈機体は、刈り取り高さを適宜変更し得る複数基のバリカン式の刈刃(22)を具えるとともに、移送装置(5) も各刈刃(22)に応じて複数基設けられ、一回の走行によって多段階の刈り取りが一挙に行えるようにしたことを特徴とする請求項13記載の茶刈機。
  15. 前記収容部(4) は、各刈刃(22)毎に収穫した茶葉を別個に収容できるようにしたことを特徴とする請求項14記載の茶刈機。
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