JP5467704B2 - 編組用合糸および電磁波シールド性編組スリーブ - Google Patents

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Description

本発明は、特定の金属箔巻回糸を用いて構成した編組用合糸(編組に供するために必要な糸を引き揃えた糸束)に関するものである。また、その編組用合糸を用いた電磁波シールド性編組スリーブに関するものである。
(電磁波シールド性編組スリーブ)
芯糸に対し金属箔を巻き付けた材料を編組した電磁波シールド性編組スリーブについては、多数の文献が知られている。下記の特許文献1〜5は、本発明にできるだけ近い内容のものを発見するという観点から検索することにより見い出した文献であるが、本発明とは技術思想の点でも構成の点でもかなりの距離があるようである。
なお、「箔の2重巻き、金糸線、銀糸線」に関連する用語をキーワードに選んで、本発明における「Z巻き複層巻回糸とS巻き複層巻回糸とを用いた編組用合糸や編組スリーブ」に関連する文献を探索したが、金属箔2重巻き糸にかかる文献は散見するものの、それを使う場が本発明とは大きく相違しているので、特許文献としてはあげていない。
(特許文献1)
−1−
実公平6−11599号公報(特許文献1、実開平1−86297号公報)には、「糸の表面に、金属箔を隣接する金属箔と重ならないように隙間を空けて螺旋状に巻き付けること」、「その糸の複数本を合糸し、スリーブ状に編組して電磁波シールド用スリーブとなすこと」が示されている。
−2−
その実施例の箇所には、250デニールのポリエステル糸に「箔厚0.027mm、箔幅0.32mmの銅箔」を糸長10mm当たり箔巻回数22回の割合で巻き付けた糸を準備し、それを3本合糸して打数64打ちの製紐機にて内径11.0mmに編組した電磁波シールド用フレキシブル編組スリーブにつき記載がある。
(特許文献2)
−1−
特開2001−291435号公報(特許文献2)には、所定本数の素線が螺旋状に編み組み形成された編組スリーブであって、その編み組み組織とは独立にアース線が編み込みされた構造を有するアース線付き電磁波遮断性編組スリーブが示されている。
−2−
この文献には、上記の素線としては、合成繊維糸からなる芯糸に銅箔や金属メッキ銅箔などでできた細巾の導電性金属箔を螺旋状に巻き付けたものを1本ないし複数本引き揃えたものが好適に用いられること(段落0016)、芯糸に細巾の金属箔を螺旋状に巻き付けるに際しては、金属箔が重ならないように適度の隙間をあける方が可撓性ないし屈曲性の点で好ましいこと(段落0016)、編組であるので、非常に可撓性に富むこと、伸縮性があり径方向に拡巾自在であること(段落0042)、などの記載もある。
(特許文献3)
−1−
実開平3−130117号公報(特許文献3)には、合成繊維よりなるモノフィラメント糸の外周に錫メッキを施した銅箔を捲回(巻回)して糸条を形成し、その糸条を筒状に編組して被覆材を形成した電磁波シールド用電線被覆材が示されている。
−2−
この文献には、ポリエステルモノフィラメント糸に錫メッキを施した銅箔を左捲き(左巻き)方向(つまりZ巻き)に1層密巻きしたものがもっとも優れたシールド効果と作業性が期待できること、銅箔は軟銅線を巾0.3〜0.6mm、厚さ0.027〜0.035mmに圧延加工し、これにニッケルを施したものが適していること、などの説明もなされている。
(特許文献4)
−1−
特開2005−149963号公報(特許文献4)には、弾性芯材(芯糸)の外周に細幅の導電性箔状部材を横巻き(または編組)してなるシールド素線を、筒状に編組してなるシールドスリーブが示されている。
−2−
導電性箔状部材を弾性芯材(芯糸)に横巻きする場合には、導電性箔状部材の幅よりも短い幅の隙間が形成されるように横巻きするのが好ましいこと(段落0024、図3)、横巻きは右巻き、左巻きのいずれの巻き方向でもあってもよいこと(段落0024)、弾性芯材(芯糸)の材質や太さの説明(段落0025〜0026)、導電性箔状部材の具体例や厚みと幅の説明(段落0027〜0029)などについても言及がある。
(特許文献5)
−1−
特開2003−60386号公報(特許文献5)には、代表的な実施態様として、「細い繊維を束ねた束糸に金属箔を螺旋状に巻き付けて成る第1糸部材10(その図2を参照)を2本合糸したもの」と「細い繊維を束ねた束糸から成る第2糸部材20(その図3を参照)を2本合糸したもの」とをその図1のように組物に布化(つまりスリーブ状に編組)した電磁波シールド用被覆体が示されている。
−2−
この特許文献5の段落0003および段落0020には、この特許文献5の編組スリーブは実公平6−11599号(上述の特許文献1)の編組スリーブに比し軽量(約1/4の重量しかない)であるという利点がある旨の記載がある。
−3−
そして、この特許文献5の段落0019〜0021には、上記の第2糸部材(細い繊維を束ねた束糸)として合成繊維のみの第2糸部材を用いた場合は、「少なくとも数%の熱収縮率を有しているので、(電線等の被電磁遮蔽物に)取付け後に熱を加えて収縮させて良好に密着させることができること」(その図4の熱収縮率を示すデータの参照)、「切断した際に、切断面に合成繊維が多数露出することになるので、これを溶かすほどの熱を与えれば、合成繊維は互いに溶着してほつれを防止することもできること」などの記載もある。
実公平6−11599号公報 特開2001−291435号公報 実開平3−130117号公報 特開2005−149963号公報 特開2003−60386号公報
(特許文献1〜5について)
上記の特許文献1〜5は、金属箔巻回糸を用いて編組を行うことにより電磁波シールド性を有するスリーブを得る技術に関するオーソドックスでかつ基本的な文献であるが、本発明とは合糸の構成糸が相違しかつ編組構造も相違する上、編組により得られるスリーブの作用効果も相違する。
(金属箔単層巻回糸を引き揃えた合糸のみを用いた編組方式1)
−1−
従来の代表的な編組スリーブは、銅箔のような金属箔を芯糸に対して通常はZ巻き(場合によりS巻き)に1層巻回したもの(「金属箔単層巻回糸」)の所定本数(たとえば特許文献1の実施例においては3本)を引き揃えた合糸をボビンに巻き、そのようなボビンの必要数をブレーダーと呼ばれる編組機にセットしてから編組すること(合糸同士が交叉するように丸紐状に組み上げていくこと)により作製されるが、次のような問題点ないし限界がある。(付言するに、金属箔単層巻回糸としては、従来より伝統的にZ巻き単層巻回糸を用いることが多く、S巻き単層巻回糸を用いるのは例外的である。普及している箔巻き装置がZ巻きの装置であることによるものと思われる。)
−2−
すなわち、所期の電磁波シールド効果を得るためには、1束の合糸を構成する金属箔単層巻回糸の糸数を増やさなければならないところ、そのようにすると、(イ)得られる編組スリーブの単位長さ当りの重量が大きくなるため軽量化が困難になり、車載用などの用途への使用が制限されることがあること、(ロ)編組スリーブの開口性および拡幅性が不足しがちになるため、その編組スリーブを電線などの対象物に外挿する際の作業効率が悪くなること、などの問題点を招くおそれがある。
(金属箔単層巻回糸を引き揃えた合糸aと合成樹脂糸を引き揃えた合糸bとを用いた編組方式2)
−1−
上記のような事情から、本発明者は、上述の「金属箔単層巻回糸の複数本を引き揃えた合糸a」と「合成樹脂糸の複数本を引き揃えた合糸b」とをそれぞれ交叉するように組み合わせて編組に供することについても検討を行った。この編組方式2は、先にあげた特許文献5記載の方式に相当するものである。
−2−
しかしながら、この編組方式2は、2種の合糸を構成するそれぞれの合糸a、bの強度や性質が異なるため、編組する際に歪みを生じやすいという問題点があった。また、編組スリーブの網目が伸縮する際に、それぞれの合糸a、bの強度が異なるため、擦れによる糸切れを生ずることがあった。
−3−
そして、この編組方式2においては、電磁波シールド効果を上げる目的で「金属箔単層巻回糸の複数本を引き揃えた糸束である合糸a」の方の束数を増やしたときには、金属箔単層巻回糸は比重の大きい金属箔を含むので編組スリーブの重量が重くなると共に、コストアップにつながってしまうという問題点があった。しかも、そのように「金属箔単層巻回糸の複数本を引き揃えた合糸a」の束数を増やしたときには、編組スリーブの開口性および拡幅性も低下し、電線などの対象物に外挿するときの挿入性が悪化してしまうという問題点もあった。
−4−
一方、上記とは逆に、「合成樹脂糸の複数本を引き揃えた糸束である合糸b」の方の束数を増やしたときには、編組スリーブの重量は軽くなりかつ開口性や拡幅性も良好になるものの、今度は電磁波シールド性が極端に低下することを免れなかった。
−5−
上記の編組方式2は、そのほか、強度や性質の異なる2種の合糸a、bを別々のボビンに巻いて編組に供するため、どちらかに過不足を生じ、そのため残材(残った方の材料)が無駄になることが多く、残材をゼロにすることは至難であった。
(金属箔複層巻回糸を引き揃えた合糸のみによる編組方式3)
−1−
そこで、本発明者は、金属箔「単層」巻回糸に代えて金属箔「複層」巻回糸を用いることにつき思い至った。すなわち、銅箔のような金属箔を芯糸に対してZ巻き(場合によりS巻き)に複層巻きしたもの(「金属箔複層巻回糸」)の所定本数を引き揃えた合糸を準備して、その合糸の必要束数を編組することを試みた。
−2−
この編組方式3によれば、芯糸に金属箔を複層に巻回してあるため、導電性を高めること(つまり電磁波シールド性を確保すること)が可能になり、その結果、(イ)合糸の構成糸の糸数を減ずることができること、(ロ)従って細い径の編組スリーブとすることも可能になること、(ハ)1本の構成糸は芯糸1本に金属箔を複層巻回したものであるので、従来の金属箔単層巻回糸に比し金属箔1層当りの芯糸の重さが著減し、従って金属箔巻回糸のコストも低減すること、などの利点がある。
−3−
しかしながら、金属箔複層巻回糸の所定本数を引き揃えた合糸のみを編組することにより得られるスリーブは、編組スリーブの捩れが著しいこと、擦れによる切断のおそれがあること、スリーブ末端のバラケのおそれがあることなどの点で、改良の余地がある。
(金属箔複層巻回糸を引き揃えた合糸と合成樹脂糸の合糸とを用いた編組方式4)
本発明者は、さらに、上述の「金属箔複層巻回糸を引き揃えた合糸」を「合成樹脂糸を引き揃えた合糸」とそれぞれ交叉するように組み合わせて編組に供することを試みたが、先に述べた「金属箔単層巻回糸を引き揃えた合糸aと合成樹脂糸の合糸bとを用いた編組方式2」の場合と同様の限界があった。
(金属箔複層巻回糸と合成樹脂糸との双方を構成糸とする合糸のみを用いた編組方式5)
−1−
本発明者は、その後も検討を重ねた結果、Z巻き(場合によりS巻き)の金属箔複層巻回糸と合成樹脂糸との双方を引き揃えて合糸とし、その合糸を互いに交叉するように編組することを試みた。金属箔複層巻回糸は導電性が高いため、合成樹脂糸を組み込んでも必要な導電性を確保することができるからである。
−2−
そして、この編組方式5を採用すれば、(イ)得られた編組スリーブは、合成樹脂糸の復元力により、電線などの対象物へ外挿するときの開口性や拡幅性を向上することができること、(ロ)合糸(糸束)の中に合成樹脂糸を組み込んでいるので、編組スリーブの網目の伸縮による擦れに起因する糸切れを防止できること、(ハ)合成樹脂糸に本来備わっている屈曲性や耐摩耗性を、合糸(糸束)全体に及ぼすことができること、(ニ)編組時の工夫により合糸中の合成樹脂糸にその編組時の波形の形状を記憶させて編組スリーブ全体の形状保持性を高めることができるので、編組スリーブに対して特別の末端処理を行わなくても、該スリーブの末端がほつれにくくなるであろうこと、などのすぐれた作用効果が奏されることが期待できる。
−3−
上記の編組方式5によれば、本発明が達成しようとする目標にかなり近づいたということができるが、なお次のような解決課題が残っていた。すなわち、この編組方式5によっても、得られた編組スリーブに捩れを生じやすいという問題点があった。
(発明の目的)
本発明は、このような背景下において、特定の金属箔巻回糸を用いて構成した編組用合糸およびその編組用合糸を用いた電磁波シールド性編組スリーブに関するものであって、すぐれた電磁波シールド性を有するのみならず、軽量性、捩れ防止性、撓み抑制性(柔軟すぎず適度のハリを示す性質)、電線などの対象物に外挿するときの開口性および拡幅性、さらには装着後の対象物へのフィット性、末端部のバラケ防止性、編組時の残材発生防止性の点でも有効であり、かつ品質がすぐれているにもかかわらずコストの点でも有利である電磁波シールド性編組スリーブおよびそのための編組用合糸を提供することを目的とするものである。
本発明の編組用合糸は、
芯糸(C)に対し細巾の金属箔(F)がZ巻きにかつ複層に巻回された構成を有するZ巻き複層巻回糸(2Z)、
芯糸(C)に対し細巾の金属箔(F)がS巻きにかつ複層に巻回された構成を有するS巻き複層巻回糸(2S)、および、
非金属糸(R)
の少なくとも3者を構成糸として含む引き揃え糸である合糸(A)からなること、
を特徴とするものである。
本発明の電磁波シールド性編組スリーブは、
芯糸(C)に対し細巾の金属箔(F)がZ巻きにかつ複層に巻回された構成を有するZ巻き複層巻回糸(2Z)、
芯糸(C)に対し細巾の金属箔(F)がS巻きにかつ複層に巻回された構成を有するS巻き複層巻回糸(2S)、および、
非金属糸(R)
の少なくとも3者を構成糸として含む引き揃え糸である合糸(A)のスリーブ状の編組体(B)からなること、
を特徴とするものである。
本発明においては、次に述べるようなすぐれた作用効果が奏される。
(作用効果1/捩れ防止性)
−1−
1束の合糸(A)の中に、「芯糸(C)に対し細巾の金属箔(F)がZ巻きにかつ複層に巻回された構成を有するZ巻き複層巻回糸(2Z)」と「芯糸(C)に対し細巾の金属箔(F)がS巻きにかつ複層に巻回された構成を有するS巻き複層巻回糸(2S)」との「双方」を含むようにしているので、金属箔巻回糸の巻き方向に起因する左右のアンバランスがほとんどなく、従って編組後のスリーブに捩れを生ずる原因が発生しない。ちなみに、上に述べたZ巻き複層巻回糸(2Z)またはS巻き複層巻回糸(2S)のどちらか一方のみでは、スリーブの捩れを防止することができない。
−2−
なお、請求項2、4のように上記の合糸(A)がさらに金属箔単層巻回糸(芯糸(C)に対し細巾の金属箔(F)がZ巻きまたはS巻きに巻回された構成を有するZ巻き単層巻回糸(1Z)またはS巻き単層巻回糸(1S))を含んでいる場合も、そのような金属箔単層巻回糸に起因する編組品の捩れは小さいので、編組後のスリーブに捩れに関して実用上の支障を生ずるほどの影響は与えない。
(作用効果2/軽量性)
−1−
電磁波シールド性(導電性)は、合糸の構成糸である糸部材の金属成分の重量に依存するので(つまり金属箔の条数に依存するので)、金属箔単層巻回糸を主たる糸部材とする従来品においても、合糸の構成糸である金属箔単層巻回糸の糸数を増やしていけば、必要な導電性を確保することができる。たとえば、4本の金属箔単層巻回糸を構成糸とする合糸1本中の金属箔の条数は4条であるので(このときの合糸1本の重量は、金属箔4条の重量と芯糸4本の重量との合計になる)、その合糸の適当本数を用いて編組を行えば、必要な導電性を確保することができる。
−2−
一方、本発明において金属箔2層巻回糸を用いた場合を例にとると、Z巻き2層巻回糸(2Z)1本とS巻き2層巻回糸(2Z)1本とを含む2層巻回糸2本の合計重量は、金属箔4条の重量と芯糸2本の重量との合計になる。これを上記の単層巻回糸4本の合計重量と対比すると、芯糸2本分の重量だけ軽量になる。すなわち、本発明によれば、目標とする電磁波シールド性(導電性)を確保するのに、金属箔単層巻回糸を用いた従来品に比し確実に軽量化が図られる上、芯糸の数を減ずることができるので芯糸コストの点からも有利になる。
(作用効果3/対象物への外挿性)
−1−
金属箔単層巻回糸を引き揃えた合糸を用いた編組方式1により得た編組スリーブは、柔軟すぎるため、該スリーブを電線などの対象物に外挿する際の使い勝手が悪い。
金属箔単層巻回糸を引き揃えた合糸aと合成樹脂糸を引き揃えた合糸bとを用いた編組方式2により得られた編組スリーブは、上記の編組方式1により得た編組スリーブよりもさらに柔軟であるため、対象物への外挿性が劣る。
一方、金属箔複層巻回糸を用いている編組方式3,4,5により得た編組スリーブは、対象物への外挿性のみに着目すれば良好であるが、すでに述べたように他の不利がある。
−2−
これに対し、本発明における編組用合糸(A)は、上述のZ巻き複層巻回糸(2Z)およびS巻き複層巻回糸(2S)と共に、非金属糸(R)を構成糸として含んでいる。剛柔の度合いで言えば、前者のZ巻き複層巻回糸(2Z)およびS巻き複層巻回糸(2S)が剛素材に相当し、後者の非金属糸(R)は相対的には柔素材に相当する。そのため、この編組用合糸(A)を編組することにより得たスリーブ状の編組体(B)は、全体として、適度のコシ(腰)やハリ(張り)があるので柔軟すぎたり撓みすぎたりするということがなく、しかも過度に剛直すぎるということもないので、電線などの対象物への外挿性が良好であり、非常に使い勝手が良い。
(作用効果4/拡幅性および対象物へのフィット性)
本発明における編組用合糸(A)は、上述のZ巻き複層巻回糸(2Z)およびS巻き複層巻回糸(2S)と共に、非金属糸(R)を構成糸として含んでおり、その合糸(A)を編組することによりスリーブ状の編組体(B)を得ている。この非金属糸(R)は、元の形に戻ろうとする適度の復元性ないし弾力性を有しているので、編組後の編組スリーブ(スリーブ状の編組体(B))は、上述のように電線などの対象物への外挿性(開口性)が良好であることはもとより、拡幅性も良好であり、また電線などの対象物を被覆後にはその対象物をぴったりと包むように締め付ける(フィット性が良い)。
(作用効果5/スリーブ末端のバラケ防止性)
本願の請求項5の発明は、スリーブ状の編組体(B)中において、非金属糸(R)がその編組時の波形の形状を記憶していることを特徴とするものである。このような工夫を講じておくと、編組スリーブを所定の長さに裁断したときに、その切り口であるスリーブ末端のバラケが著減するので、取り扱いの点で極めて好ましいものとなる。
(作用効果6/編組時の残材発生防止性)
−1−
編組は、糸を巻いた所定数のボビンを編組機の所定箇所にセットし、そのボビンから糸を繰り出しながら編み組みすることにより進行する。同一種の糸であれば、全てのボビンに巻いた糸を使い切るように制御することはそれほど困難ではない。これに対し、異なる種類の糸X、Yを編組に供した場合には、両者の伸張性などが微妙に相違するため、どちらか一方の糸を使い切った時点で他方の糸が残ることが多々ある。
−2−
本発明のスリーブ状の編組体(B)は、その編組にあたり、Z巻き複層巻回糸(2Z)、S巻き複層巻回糸(2S)および非金属糸(R)の少なくとも3者を構成糸として含む合糸(A)を用いている。このように、異種の構成糸を1つの糸束にした合糸(A)の必要束数を交叉させて編組を行っているので、残材を生じないように編組することは容易である。
以下、本発明を詳細に説明する。(なお、「Z巻き」は「左巻き」と同義であり、「S巻き」は「右巻き」と同義である。)
[編組用合糸、合糸(A)]
(合糸(A))
本発明の編組用合糸における合糸(A)は、少なくとも次の3者、すなわち、
・芯糸(C)に対し細巾の金属箔(F)がZ巻きにかつ複層に巻回された構成を有するZ巻き複層巻回糸(2Z)、
・芯糸(C)に対し細巾の金属箔(F)がS巻きにかつ複層に巻回された構成を有するS巻き複層巻回糸(2S)、および、
・非金属糸(R)
を構成糸として含むものである。合糸(A)とは、これらの構成糸を引き揃えたものである。(もし必要ならゆるい撚りをかけることもできるが、編組操作時の制御条件が複雑になる上、メリットが少ないので、単に引き揃えただけの糸束とするのが通常である。)
(Z巻き複層巻回糸(2Z)、S巻き複層巻回糸(2S))
−1−
Z巻き複層巻回糸(2Z)における「複層」の層数に限定はないものの、好ましくは2層とし、多くとも3層までとするのが通常である。層数が多くなることは電磁波シールド性の観点からは有利であるが、重量の点や可撓性の点で不利になるからである。
−2−
また、S巻き複層巻回糸(2S)における複層の層数も、上記のZ巻き複層巻回糸(2Z)の場合と同様に、好ましくは2層とし、多くとも3層までとするのが通常である。
−3−
合糸(A)におけるZ巻き複層巻回糸(2Z)とS巻き複層巻回糸(2S)の数は、各1本、各2本というように同数本とするのが通常であり、典型的には各1本を用いる。
ただし、編組スリーブの要求性能が許すときは、たとえば片方が1本で他方が2本というようにすることもできる。なお、この場合には、少ない本数の方の複層巻回糸の役割を補うために、その少ない方の複層巻回糸と同じ巻き方の単層巻回糸の1本か2本を合糸(A)に組み込むことが望ましい。これは捩れを極力抑えるための工夫である。
−4−
上記の芯糸(C)としては、
ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、ポリイミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、フッ素樹脂系繊維、その他の種々の耐熱性繊維などの合成繊維;
植物由来の繊維や動物由来の繊維;
ガラス繊維、カーボン繊維などの無機系繊維;
などのモノフィラメント糸やマルチフィラメント糸を用いることが多い。
芯糸(C)の太さは、たとえば、100〜700デニール程度あるいはその前後、好ましくは150〜500デニール程度とすることが多い。
−5−
上記の金属箔(F)としては、金属の種類に特に限定はないものの、銅箔、錫メッキ銅箔、ニッケルメッキ銅箔などが好適に用いられる。ここで、金属メッキを施したメッキ箔は、金属箔のほかにメッキ層を有するが、1条(1層)の金属箔(F)と数えることにする。
金属箔(F)の巾は、特に制限はないものの、たとえば0.1〜2mm程度あるいはその前後とするのが通常である。金属箔(F)の厚さは、たとえば5〜70μm程度あるいはその前後、好ましくは10〜60μm程度とするのが通常である。
なお、金属メッキ銅箔は、たとえば直径が0.05〜0.4mm程度の軟銅線を圧延加工し、それにたとえば1〜2μm程度の金属メッキをすることにより得ることができる。
−6−
芯糸(C)への金属箔(F)の巻回に際しては、1層目については箔が重ならないように若干の隙間をあけて巻き付けることが好ましい。2層目についても、箔が重ならないように若干の隙間をあけて巻き付けるようにすると共に、できるだけ下層となる1層目の箔の隙間を覆うように巻き付けを行うことが好ましい。上記のように箔の巻き付け方に留意することにより、必要な電磁波シールド性を確保しながら、Z巻き複層巻回糸(2Z)およびS巻き複層巻回糸(2S)の可撓性ないし屈曲性の低下を最小限にとどめることができる。
−1−
(非金属糸(R))
合糸(A)における構成糸の他の1つは、非金属糸(R)である。このときの非金属糸(R)としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、フッ素樹脂系繊維、その他の種々の耐熱性繊維をはじめとする各種の合成繊維のモノフィラメント糸やマルチフィラメント糸を用いることが多く、ポリウレタン系をはじめとするエラストマー系の樹脂からなる糸も使用可能である。合成繊維糸のほか、ガラス繊維やカーボン繊維を用いることも好ましい。
非金属糸(R)の太さ(マルチフィラメント糸の場合は全体の太さ)は、直径で0.1〜0.6mm程度あるいはその前後とすることが多い。
−2−
この非金属糸(R)は、上記に詳述した合糸(A)の編組に際し、そして編組品の性質・性能の点において、[発明の効果]の「作用効果3、4、5」の箇所で述べたような重要な役割を果たす。
(Z巻き単層巻回糸(1Z)またはS巻き単層巻回糸(1S))
−1−
上記の合糸(A)は、さらに、芯糸(C)に対し細巾の金属箔(F)がZ巻きまたはS巻きに巻回された構成を有するZ巻き単層巻回糸(1Z)またはS巻き単層巻回糸(1S)の少なくとも一方を構成糸として含んでいることが特に好ましい。このときには、Z巻き単層巻回糸(1Z)のみの1本(または2本)の使用でもよく、S巻き単層巻回糸(1S)のみの1本(または2本)の使用でもよく、両者を各1本づつ用いてもよい。合糸(A)全体の軽量性の観点からは、Z巻き単層巻回糸(1Z)、S巻き単層巻回糸(1S)のうちのどちらか1本のみを用いるのが最適であり、その場合でも最終的な編組体(B)の捩れ防止性に悪影響を及ぼすことはない。
−2−
これらのZ巻きまたはS巻きの単層巻回糸(1Z)、(1S)は、先に述べたZ巻き複層巻回糸(2Z)およびS巻き複層巻回糸(2S)のみによっては電磁波シールド性が不足する場合に、その電磁波シールド性の補完のために有効である。そして、これらの単層巻回糸(1Z)、(1S)は、上記の複層巻回糸(2Z)、(2S)に比しフレキシブル性がより好ましい上、その単層巻回糸の組み込みにより合糸(A)が嵩高となるため、電線などの対象物の物理的な保護性の点でも好ましくなる。また、スリーブ径の設定も容易となる。
[電磁波シールド性編組スリーブ、編組体(B)]
−1−
上述の構成糸からなる合糸(A)を編組することにより、スリーブ状の編組体(B)からなる電磁波シールド性編組スリーブが製造される。編組には、ブレーダーと呼ばれる装置が使用される。
−2−
編組前、編組中または編組後には、適当な手段により、その編み組み組織中の前記の非金属糸(R)がスリーブ状の編組体(B)中において波形ないし凹凸状の形状を記憶するようにすることが望ましい。
そのような形状記憶手段としては、たとえば、編組に供する非金属糸(R)として形状記憶樹脂製の糸を用い、編組中または編組後に予め記憶させてある形状に復元させる方法;編組中の特定領域や編組後のスリーブの全体を加熱または/および加圧する方法あるいは逆に急冷する方法;などがあげられる。ここでスリーブの「加熱」は、加熱した気体や加熱した接触体を用いたり、輻射熱を用いたりすることにより行うことができる。
このようにすると、編組スリーブの開口性、編組スリーブの電線などの対象物への外挿性、スリーブの拡幅性と被覆後の対象物へのフィット性、スリーブ切断部のバラケ防止性などの点で、取り扱い性や操作性が非常にスムースになる。
−3−
そして、このようにして得られた編組スリーブは、需要者の要望に応じて適当な長さにカットし、それを電線または電線束(ハーネス)などの被覆対象物に被覆する使い方をする。電線または電線束の例は、単線、同心撚線、複合撚線、平形撚線、編組線、銅心アルミ線などの裸電線;絹巻線、綿巻線、エナメル線、ビニル電線、コードなどの絶縁電線;などである。
なお、本発明の合糸(A)を電線などの対象物の周りに直接編組していくことにより、編組スリーブを作製していくことも可能である。
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
(材料の準備)
(Z巻き複層巻回糸(2Z)およびS巻き複層巻回糸(2S)の作製)
Z巻き用の箔巻き装置を用いて、直径0.1mmのポリエステルマルチフィラメント糸(フィラメント数は60本)からなる芯糸(C)に、軟銅線を圧延加工してから錫メッキを施した巾0.3mm、厚さ30μmの銅箔(正確には錫メッキ銅箔)をZ巻きにかつ隙間が少し空くように巻回すると共に、さらにその上から2層目の銅箔(正確には錫メッキ銅箔)をZ巻きにかつ隙間が少し空くように巻回して、「Z巻き複層巻回糸(2Z)」を作製した。なお、2層目の巻回に際しては、下層となる1層目の箔の隙間を覆うように留意した。
S巻き用の箔巻き装置を用いたほかは上記と同じ条件にて1層目および2層目の巻回を行い、「S巻き複層巻回糸(2S)」を作製した。
(Z巻き単層巻回糸(1Z)およびS巻きの単層巻回糸(1S)の作製)
芯糸(C)として直径0.1mmのポリエステルモノフィラメント糸を使用し、箔は1層巻きとしたほかは、上述の複層巻回糸の製造に準じて、「Z巻き単層巻回糸(1Z)」および「S巻き単層巻回糸(1S)」を作製した。なお、後述の実施例および比較例においては、箔巻き装置の関係で多量に製造したZ巻き単層巻回糸(1Z)の方を用いた。
(非金属糸(R)の準備)
非金属糸(R)として、合成繊維糸の一例である直径0.25mmのポリエステルモノフィラメント糸を準備した。
(合糸の準備)
上記で準備した各糸を引き揃えて、表1に示した組み合わせの構成糸からなる合糸1を作製した。図1は合糸(A)の構成糸の代表例を示した模式的な説明図であり、実施例1で用いた合糸(A)を示してある。
実施例1の合糸1が「本発明の合糸(A)」、比較例1〜3の合糸1が比較のための合糸であり、これらの合糸1はそれ単独で編組に供される。
比較例4の合糸1(3本のZ巻き単層巻回糸(1Z)からなる合糸)は、表1には掲載されていない合糸2(フィラメント数が60のポリエステルマルチフィラメント糸(直径は0.18mm))と共に、編組に供される。
[表1]


(編組体の作製と評価)
(編組体の作製)
実施例1については、上記の表1の合糸1のみを用いてブレーダー(編組機)により編組を行い、編組体(B)を作製した。なお、編組に際しては、打数は48打または64打とし、目数が4.0または3.5でスリーブの折幅が22mm、20mm、18mm、12mmのものを作製した。
比較例1〜3については、上記の表1の合糸1のみを用いてブレーダー(編組機)により編組を行い(打数は48打または64打)、種々の目数および種々の折幅の編組体を作製した。
比較例4については、上述の合糸1と合糸2との2種を用いてブレーダー(編組機)により編組を行い、打数はZ巻き単層巻回糸32打ちとさらにポリエステルマルチフィラメント糸32打ちの合計64打ちを互いに交叉させ、目数が4、折幅が17mmの編組体を作製した。
なお、実施例1(後述の実施例2、3も)の編組体(B)および比較例1,2,3,4における編組体については、その編組中にまたは編組後に加熱および加圧を行って、合糸1または合糸2中の構成糸である非金属糸が編組品の交叉組織の形状を記憶しうるように留意した。(比較例3は非金属糸に相当する糸部材を用いていないが、条件を合わせるため、同様の手段を講じた。)
(編組体の評価)
得られた編組体についての評価項目および結果を表2に示す。
[表2]


(表2の評価項目の説明)
・導電性(抵抗値)は、単位長さ間の抵抗値(2m間の平面抵抗値)。
・スリーブ重量は、スリーブ1m当りの重量。
・捩れ具合は、スリーブ1m間の360°捩れの発生個数。
・撓み量については、扁平に折り畳んだ状態のスリーブを水平な支持台の端から100mm張り出すようにした状態で、その張り出し部分の先端に3.6gのクリップを挟むことによって加重し、そのときのスリーブ先端の撓み量を測定した。
・フィット感は、スリーブ拡幅後の挿入口収縮時間を計測して判定。
・挿入口のバラケ度合いは、スリーブ先端部を机に5回叩き付け、バラケ幅を測定。
・歩留まり状態は、編組終了後の残材量(余分の合糸の残存量)を測定。(比較例4においては、Z巻き単層巻回糸(1Z)の残材が7%発生。)
(表2のデータが示すもの)
−1−
実施例1および比較例1〜4においては、編組時の目数や編組体の折幅が厳密には一致していないので、数値の絶対値をそのまま対比することはできないが、表2のデータについては以下のように理解することができる。
−2−
電磁波シールド性に関連する導電性(抵抗値)については、合糸1束当りの金属箔の合計条数に概ね比例するので、編組条件を統一すれば、合糸1束当りの金属箔の合計条数がいずれも5条である実施例1、比較例2、比較例3は、導電性が概ね同等であるということができる。
比較例1は、合糸1束当りの金属箔の合計条数が3条と少ないので、実施例1、比較例2、比較例3に比しては導電性が不足している。
比較例4は、合糸1の1束当りの金属箔の合計条数は比較例1と同じく3条であるが、金属箔を有しない合糸2(ポリエステルマルチフィラメント糸)と同じ打数で編組しているので、抵抗値は109mΩと大きく(比較例1よりもかなり大きい)、電磁波シールド性が不足している。
−3−
スリーブ重量に関し、合糸1束当りの金属箔の合計条数が少ない比較例1と比較例4とは、軽量ではあるが、肝心の導電性が他の例に比べてかなり劣っている。
一方、実施例1、比較例2、比較例3のスリーブ重量(45〜50g台)は、中程度であるということができるが、編組スリーブの第1の目的である導電性を確保していることを考慮すると、実用性の観点からはこの程度の重量は十分に許容しうるものである。
−4−
捩れ具合については、Z巻き複層巻回糸(2Z)とS巻き複層巻回糸(2S)とを各1本含んでいる合糸1から編組している実施例1と比較例3は、編組スリーブに捩れが発生していない。
これに対し、合糸1の構成糸としてZ巻き単層巻回糸(1Z)を3本使用している比較例1は捩れ箇所が1回であって、捩れ発生の傾向が見られる。
合糸1の構成糸として、Z巻き複層巻回糸(2Z)2本とZ巻き単層巻回糸(1Z)1本とを使用している比較例2と、Z巻き単層巻回糸(1Z)3本を使用している比較例4とは、捩れ箇所がいずれも5回と多く、編組スリーブの品質にとって大きな問題となる。
−5−
剛柔の度合いに関連する撓み量については、実施例1と比較例2が良好である。比較例1はやや柔軟すぎる傾向があり、比較例3は比較例1よりもさらに柔軟すぎる傾向があり、比較例4は明らかに柔軟すぎる。撓み量が大きくなると(つまり柔軟すぎるようになると)、電線などの対象物への編組スリーブの外挿性が低下する。
まず、実施例1と比較例2の編組品の撓み量が40mmと小さい(ハリがある)理由は、実施例1と比較例2は合糸1として金属箔複層巻回糸(2Z,2S)を2本用いている上に(合糸2は用いていない)、その合糸1が非金属糸(R)を含んでいることに基くものと理解される。
比較例1の編組品の撓み量が43mmとやや大きい(やや柔軟)理由は、この比較例1は合糸1に非金属糸(R)を1本用いている点では実施例1と共通しているものの、合糸1を構成する他の糸が金属箔単層巻回糸(1Z)のみであって、実施例1のように金属箔複層巻回糸(2Z,2S)を用いていないことに基くものであると理解される。
比較例3の編組品の「撓み量が45mmと比較的大きい(比較的柔軟)」理由は、この比較例3は実施例1と同様に合糸1として金属箔複層巻回糸(2Z,2S)を2本用いていることを考慮すると(合糸2は用いていない)、合糸1が非金属糸(R)を含んでいないことに基くものであると理解される。
比較例4の編組品の「撓み量が50mmと大きい(柔軟すぎる)」理由は、この比較例4は合糸2としてポリエステルマルチフィラメント糸を用いていることを考慮すると、合糸1の方に金属箔複層巻回糸(2Z,2S)を用いていないことに基くものであると理解される。
−6−
フィット感については、実施例1、比較例1、2においては、合糸1が非金属糸(R)を含むようにしてあるので、スリーブの開口性、電線などの対象物への外挿性、拡幅性についてはもとより、被覆後の電線等の締め付け性(フィット性)の点でも、好ましい結果を与える。
これに対し、合糸1中に非金属糸(R)を含んでいない比較例3、4においては、拡幅性やフィット感が劣っており、スリーブ使用時の実用上の使い勝手が非常に悪いということができる。
なお、比較例4においては、合糸2(マルチフィラメント糸)を合糸1と共に用いて編組を行っているが、拡幅性(フィット感)を改善することには成功していない。
−7−
スリーブの挿入口(開口部)のバラケ度合いについては、合糸1中に非金属糸(R)を含んでいる実施例1、比較例1、2は良好であるのに対し、合糸1中に非金属糸(R)を含んでいない比較例3、4は劣る結果となっている。
−8−
歩留まり状態(残材量)については、合糸1の1種類のみを用いて編組を行っている実施例1と比較例1〜3は残材が発生しないように編組することが容易であるが、性質の異なる2種の合糸1と合糸2とを用いている比較例4にあっては、残材を生じないように編組することは極めて難しい。この残材の発生は、製品である編組スリーブのコストの上昇に直結するものである。
−9−
表2のように、編組スリーブの製造および編組スリーブの品質にかかる諸項目を全て満足するものは実施例1にかかる本発明のみであり、本発明の産業上の有用性や貢献性は顕著であるということができる。
(実施例2)
表1の実施例1においては、合糸1の構成糸として、「Z巻き複層巻回糸(2Z)が1本、S巻き複層巻回糸(2S)が1本、Z巻き単層巻回糸(1Z)が1本、合成樹脂糸からなる非金属糸(R)が1本」の計4本の糸を用いているが、実施例2として、そのうちのZ巻き単層巻回糸(1Z)のみを省略した合糸1を用いた場合についても、編組を行った。
このときには、表2における抵抗値が37mΩ、表2におけるスリーブ重量が48gになったほかは、実施例1の場合とほぼ同等の結果が得られた。このことから、実施例2の態様も実施例1の態様に近い好ましい結果が得られることがわかる。
(実施例3)
表1の実施例1においては、合糸1の構成糸として、「Z巻き複層巻回糸(2Z)が1本、S巻き複層巻回糸(2S)が1本、Z巻き単層巻回糸(1Z)が1本、合成樹脂糸からなる非金属糸(R)が1本」の計4本の糸を用いているが、実施例3として、そのうちの非金属糸(R)として「フィラメント数60本、直径0.25mmのガラス繊維マルチフィラメント糸」を用いた合糸1を用いた場合についても、編組を行った。
このときには、表2における抵抗値が31mΩ、表2におけるスリーブ重量が54gになったほかは、実施例1の場合とほぼ同等の結果が得られた。このことから、この実施例3の態様も実施例1の態様と同等の好ましい結果が得られることがわかる。
上記の合糸(A)のスリーブ状の編組体(B)からなる本発明の電磁波シールド性編組スリーブは、電線または電線束などを被覆して所期の電磁波シールド性を発揮させる目的に好適に使用される。
合糸(A)の構成糸の代表例を示した模式的な説明図である。
(A)…合糸、
(C)…芯糸、
(F)…金属箔、
(2Z)…Z巻き複層巻回糸、
(2S)…S巻き複層巻回糸
(R)…非金属糸、
(1Z)…Z巻き単層巻回糸、
(1S)…S巻き単層巻回糸

Claims (5)

  1. 芯糸(C)に対し細巾の金属箔(F)がZ巻きにかつ複層に巻回された構成を有するZ巻き複層巻回糸(2Z)、
    芯糸(C)に対し細巾の金属箔(F)がS巻きにかつ複層に巻回された構成を有するS巻き複層巻回糸(2S)、および、
    非金属糸(R)
    の少なくとも3者を構成糸として含む引き揃え糸である合糸(A)からなること、
    を特徴とする編組用合糸。
  2. 前記の合糸(A)が、さらに、芯糸(C)に対し細巾の金属箔(F)がZ巻きまたはS巻きに巻回された構成を有するZ巻き単層巻回糸(1Z)またはS巻き単層巻回糸(1S)の少なくとも一方を構成糸として含んでいる請求項1記載の編組用合糸。
  3. 芯糸(C)に対し細巾の金属箔(F)がZ巻きにかつ複層に巻回された構成を有するZ巻き複層巻回糸(2Z)、
    芯糸(C)に対し細巾の金属箔(F)がS巻きにかつ複層に巻回された構成を有するS巻き複層巻回糸(2S)、および、
    非金属糸(R)
    の少なくとも3者を構成糸として含む引き揃え糸である合糸(A)のスリーブ状の編組体(B)からなること、
    を特徴とする電磁波シールド性編組スリーブ。
  4. 前記の合糸(A)が、さらに、芯糸(C)に対し細巾の金属箔(F)がZ巻きまたはS巻きに巻回された構成を有するZ巻き単層巻回糸(1Z)またはS巻き単層巻回糸(1S)の少なくとも一方を構成糸として含んでいる請求項3記載の電磁波シールド性編組スリーブ。
  5. 前記の非金属糸(R)が、スリーブ状の編組体(B)中においてその編組時の波形の形状を記憶している請求項3記載の電磁波シールド性編組スリーブ。

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