JP5467282B2 - 麺類に対するほぐれ改良剤の自動処理方法 - Google Patents
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例えば、麺類は、麺線表面の離水および糊化された澱粉の粘着性により麺線が互いに付着し、全体が塊状に固着してほぐれが悪くなることから、これを防止するために、茹でまたは蒸し、冷却後の麺類にほぐれ改良剤や食用油脂を塗布する方法が採られている。
ストレートタイプのほぐれ改良剤は、製造現場において水で希釈混合する操作を必要としないことから、コンビニエンスストアやスーパー向けに麺類を大量に製造する現場で多用されている。
このフローによれば、貯留タンク1に貯留されたストレートタイプのほぐれ改良剤が定量ポンプ9で一定水量に調整されて噴霧ノズル4に供給され、エア(Air)系のエアが電磁弁3に供給され、電磁弁の開閉により、噴射ノズルからほぐれ改良剤が麺類に噴霧される。図中、図番2はバルブを示す。また、貯留タンク1に貯留されたほぐれ改良剤は羽根付き撹拌機により撹拌されている。
しかしながら、上記の保管スペースや残包装資材の問題が解決できたとしても、製造現場においてほぐれ改良剤を所定の濃度に水で希釈混合する操作が必要となるという問題に逆戻りする。また、手作業による希釈混合の操作が多くなる分、衛生上の問題が発生する頻度が高くなる。
前記ほぐれ改良剤希釈液を調製する工程が、加圧水を供給する水系に、前記加圧水の水量に応じて前記ほぐれ改良剤を一定水量に調整して注入し、前記加圧水と注入されたほぐれ改良剤とを混合することからなり、前記工程によりほぐれ改良剤を水で希釈混合する工程を自動化することを特徴とする麺類に対するほぐれ改良剤の自動処理方法が提供される。
さらに、本発明によれば、ほぐれ改良剤の希釈混合の操作を自動化して、手作業の頻度が減少し、生産時間のロスが短縮されるので、麺類の製造スピードが向上するだけでなく、衛生上の問題が発生する頻度が低下する。
また、塗布が、加圧したほぐれ改良剤希釈液の一流体ノズルから噴霧、または加圧したほぐれ改良剤希釈液および加圧エアの二流体からの噴霧により行われることにより、ほぐれ改良剤が効率的に麺類に塗布されるので、上記の効果がさらに発揮される。
茹で麺は、茹で、冷却(水切り)およびほぐれ改良剤噴霧などの工程により製造される。このような麺類としては、調理麺、冷凍麺、マカロニ・パスタおよびビーフンなどが挙げられる。茹で麺の中でも、LL麺は、茹で、酸浸漬、冷却(水切り)、ほぐれ改良剤噴霧および殺菌などの工程により製造される。
蒸し麺は、蒸し、冷却およびほぐれ改良剤噴霧などの工程により製造される。このような麺類としては、焼きそばおよび即席めん(ノンフライ麺、フライ麺)などが挙げられる。即席めんでは、ほぐれ改良剤噴霧後に、油揚げおよび熱風乾燥などの工程が付加される。
なお、麺類の冷却は、例えば、水冷(水洗)および空冷(冷風)などにより行われる。
水での希釈倍率は、ほぐれ改良剤の原液の濃度、塗布対象の麺類の種類や得ようとするほぐれ効果、麺類の製造時の季節などにより適宜設定すればよい。
例えば、液状のほぐれ改良剤としては、0.01〜15倍容量、好ましくは0.5〜12倍容量の水で希釈混合を要する、濃縮タイプの液状のほぐれ改良剤が好適に用いられる。
すなわち、本発明の自動処理方法における希釈混合は、液状のほぐれ改良剤とその0.01〜15倍容量の水との混合であるのが好ましい。
これらの中でも、液状のほぐれ改良剤と水とを効率的に希釈混合し得るスタティックミキサーを用いた方法が特に好ましく、スタティックミキサーとしては、株式会社ノリタケカンパニーリミテド製の「N30シリーズ」などが挙げられる。
スタティックミキサーの大きさは処理液量などにより、そのエレメントの形状は、流体となるほぐれ改良剤と水の物性、流量、使用温度、圧力などにより適宜設定すればよい。
希釈に用いる水は、食品衛生上許容され得る水であればよく、一般の上水またはそれを濾過または精製した水であってもよい。
このようなほぐれ改良剤の中でも、ほぐれ効果の点で、大豆由来の水溶性ヘミセルロース、増粘安定剤および乳化剤から選択される少なくとも1種を含有する組成物であるのが好ましい。
上記のほぐれ改良剤の有効成分は、すべて食品衛生法上、食品原料として使用してもよいとされる食品素材または食品添加物である。
また、上記のほぐれ改良剤は、上記の有効成分の他にほぐれ効果を阻害しない範囲で、公知の麺類の添加剤を含んでいてもよい。
本発明では、ステアリン酸および/またはオレイン酸を主成分とするモノグリセライドを好適に用いることができる。
グリセリン脂肪酸エステルの配合割合は、液剤100重量部中に好ましくは0.5〜8重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
エタノールとしては、通常、食品に用いられるエタノール、例えば、70%水溶液が用いられ、その配合割合は、防腐効果および経済性の点で、好ましくは液剤100重量部中にエタノールとして1〜7重量部、より好ましくは2〜6重量部である。
また、酢酸ナトリウムとしては、通常、食品に用いられる酢酸ナトリウム無水物が用いられ、その配合割合は、防腐効果、製剤安定性および経済性の点で、好ましくは液剤100重量部中に酢酸ナトリウムとして0.1〜5重量部、より好ましくは0.3〜4重量部である。
クエン酸ナトリウムは、液剤のpH調整剤として機能し、pH調整により液剤の安定性をさらに向上させることができ、その配合割合は、液剤100重量部中に0.05〜3重量部程度、好ましくは0.05〜2重量部程度である。
例えば、茹でまたは蒸し、冷却後の麺類をほぐれ改良剤希釈液に浸漬する方法(浸漬法)、麺類にほぐれ改良剤希釈液を滴下する方法(滴下法)および噴霧する方法(噴霧法)などが挙げられる。
浸漬法は、大量の麺類を塗布処理するために大掛かりな設備を必要としかつほぐれ改良剤希釈液のロスが多いという短所を有する。また、滴下法は、麺の全体に塗布することができないという短所を有する。一方、噴霧法は、浸漬法のような短所を有さず、効率的に麺類にほぐれ改良剤希釈液を塗布できることから好ましい。
具体的には、本発明の自動処理方法における塗布は、加圧したほぐれ改良剤希釈液の一流体ノズルから噴霧、または加圧したほぐれ改良剤希釈液および加圧エアの二流体からの噴霧により行われるのが特に好ましい。
水系に加圧水を供給する工程、
貯留タンクに貯留された液状のほぐれ改良剤を、加圧水の水量に応じて定量ポンプで一定水量に調整して水系に注入する工程、
加圧水と注入された液状のほぐれ改良剤とを希釈混合してほぐれ改良剤希釈液を調製する工程、
ほぐれ改良剤希釈液をエアチャンバに供給する工程、
エア系のエアをエアレギュレータで一定圧力に調整してエアチャンバに供給する工程、
エアチャンバに供給されたエアとほぐれ改良剤希釈液との混合体を噴射ノズルに供給する工程、および
別のエア系のエアを電磁弁に供給し、電磁弁を開閉することにより、噴射ノズルから混合体を麺類に噴霧する工程
を含むのが好ましい。
図1は、本発明に用いることができる、自動希釈混合装置を装備したほぐれ改良剤の噴霧システムのフロー概略図である。
この噴霧システムのフローは、
水系に圧力調整弁10、流量計11および逆止弁12を介して加圧水を供給する工程、
貯留タンク1に貯留された液状のほぐれ改良剤を、バルブ2および背圧計8を介して、加圧水の水量に応じて定量ポンプ9で一定水量に調整して水系に注入する工程、
加圧水と注入された液状のほぐれ改良剤とをスタティックミキサー6で希釈混合してほぐれ改良剤希釈液を調製する工程、
ほぐれ改良剤希釈液をエアチャンバ5に供給する工程、
エア(Air)系のエアをエアレギュレータ(空気圧調整弁)13で一定圧力に調整してエアチャンバ5に供給する工程、
エアチャンバ5に供給されたエアおよびほぐれ改良剤希釈液の混合体を噴射ノズル4に供給する工程、および
別のエア(Air)系のエアを電磁弁3に供給し、電磁弁3を開閉することにより、噴射ノズル4から混合体を麺類に噴霧する工程
を含む。
図中、図番7は圧力計を示す。また、貯留タンク1に貯留された液状のほぐれ改良剤は羽根付き撹拌機により撹拌されている。
また、電磁弁3に空気を供給する別のエア(空気)系の空気圧は0.015〜1.5MPa程度である。
容量3リットルのステンレス製ビーカーに水道水73.1重量部を入れ、pH調整剤としてクエン酸ナトリウム1.5重量部を加えた。得られた水溶液を液温30〜40℃に加温し、かつ撹拌機(特殊機化工業株式会社製、型式:ホモミキサーM型)を用いて回転数3000〜7000rpmで攪拌しながら、アラビアガム(伊那食品工業株式会社製、製品名:アラビアガムA)8.4重量部およびガティガム(三栄源エフエフアイ株式会社製、製品名:ガティガムSD)7.2重量部の粉末混合物を35分間掛けて少量ずつ投入した。その後、混合溶液をさらに35分間攪拌した。得られた水溶液(増粘剤水溶液)の液温は約72℃であった。
次いで、得られた水溶液の液温を60〜65℃に調整し、グリセリン脂肪酸エステル(有機酸モノグリセライド、HLB値:6、理研ビタミン株式会社製、製品名:ポエムK−37V)4.8重量部を加え、上記の撹拌機を用いて回転数8000〜10000rpmで25分間攪拌した。
次いで、得られた乳化液の液温を室温(40℃以下)まで放冷し、70%エタノール水溶液5.0重量部を加え、上記の撹拌機を用いて回転数2000〜3000rpmで
10分間攪拌して総重量約1.5kgの乳化液(ほぐれ改良剤)を得た(20℃、pH:4.6)。
(濃縮A):調製例1のほぐれ改良剤
(濃縮B):不二製油株式会社製、商品名:ソヤアップM800
(濃縮C):奥野製薬工業株式会社製、商品名:パラレルK26
(ストレートD):(濃縮A)の4倍の水希釈液
(ストレートE):(濃縮B)の約3倍の水希釈液
(ストレートF):(濃縮C)の3.5倍の水希釈液
冷やしうどんの製造現場において、図1に示す自動希釈混合装置を装備したほぐれ改良剤の噴霧システムを用いて、16万食(約200g/1食当り)の冷やしうどん茹麺に対してほぐれ改良剤のコーティング作業を実施した。
まず、容量100Lの貯留タンク1内に、表1に示すA〜Cの濃縮タイプのほぐれ改良剤50kgを投入した。次いで、表1に示すほぐれ改良剤の水による希釈倍率(倍)、1分間当りの噴霧頻度(回/分)および1食当りの噴霧量(g/食)で、自動希釈混合されたほぐれ改良剤が冷やしうどん茹麺に対して一斉に噴霧されるようにコントロールパネル設定を行ない、システムを稼動させた。
また、電磁弁3に空気を供給する別のエア(空気)系の空気圧を0.15MPaに設定し、電磁弁3側から噴霧ノズル4に間欠的に空気を送り、希釈混合されたほぐれ改良剤をうどん茹麺に対して噴霧した。
並列になるように1列に12個配置された噴霧ノズル4から希釈混合されたほぐれ改良剤を、ベルトコンベアで移動するパケット皿上に盛られたうどん茹麺に対して噴霧した。
なお、うどん茹麺は、冷やしうどんの製造工程において、茹で、冷却後の麺である。
各ほぐれ改良剤の荷姿仕様が異なるため、同一の資材に包装されているものと想定し、残包装資材の重量として換算した。
得られた結果を表1に示す。
図2に示す従来のほぐれ改良剤の噴霧システムを用い、かつ容量100Lの貯留タンク1内に、表1に示すA〜Cの濃縮タイプのほぐれ改良剤20〜25kg程度を投入し、貯留タンク1内で3〜4倍に上水で希釈すること以外は、実施例1と同様の条件でシステムを稼動させた。
具体的には、電磁弁3に空気を供給するエア(空気)系の空気圧を0.15MPaに設定し、貯留タンク1から噴霧ノズル4に希釈混合されたほぐれ改良剤を供給する液圧を0.15MPaに設定した。
得られた結果を表1に示す。
貯留タンク1内に、表1に示すD〜Fのストレートタイプのほぐれ改良剤(10kg/箱荷姿)を投入すること以外は、比較例1〜3と同様の条件でシステムを稼動させた。
得られた結果を表1に示す。
実施例1〜5(本発明法)
図1に示す自動希釈混合装置を装備したほぐれ改良剤の噴霧システムおよび濃縮タイプのほぐれ改良剤を使用して、ほぐれ改良剤と水とを自動で希釈混合する方法
比較例1〜3(従来法A)
図2に示す従来のほぐれ改良剤の噴霧システムおよび濃縮タイプのほぐれ改良剤を使用し、ほぐれ改良剤と水とを手作業で希釈混合する方法
比較例4〜6(従来法B)
図2に示す従来のほぐれ改良剤の噴霧システムおよびストレートタイプのほぐれ改良剤を使用する方法
(1)従来法Aは、濃縮タイプのほぐれ改良剤と水とを手作業で希釈混合するために1回当り約10分で9〜13回の作業中断時間100〜160分を要し、本発明法および従来法Bと比較して作業効率が悪い。
(2)従来法Bは、ストレートタイプのほぐれ改良剤を使用するので、薬剤投入回数が80〜112回となり、本発明法および従来法Aの24〜38回の3〜5倍を要し、労力を要する。
また、従来法Bは、本発明法および従来法Aの4倍のほぐれ改良剤を使用するので、残包装資材の重量が50.0〜69.0kgとなり、本発明法および従来法Aの15.0〜23.0kgの3〜5倍を要する。
しかしながら、本発明法は、従来法Aおよび従来法Bの短所を有さない。すなわち、希釈混合に要する作業中断がなく作業効率が良好で、薬剤投入回数が少なく労力を削減でき、残包装資材の重量を削減できる。
なお、実施例3および5における作業中断は、希釈混合ライン(スタティックミキサー)および噴霧ノズルでの目詰まりの除去および洗浄のための中断であり、希釈混合のために中断ではない。
2 バルブ
3 電磁弁
4 噴霧ノズル
5 エアチャンバ
6 スタティックミキサー
7 圧力計
8 背圧弁
9 定量ポンプ
10 圧力調整弁
11 流量計
12 逆止弁
13 エアレギュレータ(空気圧調整弁)
Claims (7)
- 茹でまたは蒸し、冷却後の麺類に、その場で液状のほぐれ改良剤を所定量の水で希釈混合してほぐれ改良剤希釈液を調製し、連続して前記ほぐれ改良剤希釈液を塗布する麺類の製造において、
前記ほぐれ改良剤希釈液を調製する工程が、加圧水を供給する水系に、前記加圧水の水量に応じて前記ほぐれ改良剤を一定水量に調整して注入し、前記加圧水と注入されたほぐれ改良剤とを混合することからなり、前記工程によりほぐれ改良剤を水で希釈混合する工程を自動化することを特徴とする麺類に対するほぐれ改良剤の自動処理方法。 - 前記希釈混合が、スタティックミキサーを用いた前記液状のほぐれ改良剤と水との混合である請求項1に記載の麺類に対するほぐれ改良剤の自動処理方法。
- 前記液状のほぐれ改良剤が、大豆由来の水溶性ヘミセルロース、増粘安定剤および乳化剤から選択される少なくとも1種を含有する組成物である請求項1または2に記載の麺類に対するほぐれ改良剤の自動処理方法。
- 前記液状のほぐれ改良剤が、液剤100重量部中に、増粘安定剤としての0.5〜15重量部のアラビアガムおよび0.5〜10重量部のガティガムならびに乳化剤としての0.5〜10重量部のグリセリン脂肪酸エステルを有効成分として含み、かつ残部がエタノール、酢酸および酢酸ナトリウムから選択される少なくとも1種ならびに水である液状のほぐれ改良剤である請求項1〜3のいずれか1つに記載の麺類に対するほぐれ改良剤の自動処理方法。
- 前記希釈混合が、前記液状のほぐれ改良剤とその0.01〜15倍容量の水との混合である請求項1〜4のいずれか1つに記載の麺類に対するほぐれ改良剤の自動処理方法。
- 前記塗布が、加圧した前記ほぐれ改良剤希釈液の一流体ノズルから噴霧、または加圧した前記ほぐれ改良剤希釈液および加圧エアの二流体からの噴霧により行われる請求項1〜5のいずれか1つに記載の麺類に対するほぐれ改良剤の自動処理方法。
- 前記ほぐれ改良剤の自動処理方法が、
水系に加圧水を供給する工程、
貯留タンクに貯留された前記液状のほぐれ改良剤を、前記加圧水の水量に応じて定量ポンプで一定水量に調整して前記水系に注入する工程、
前記加圧水と前記注入された液状のほぐれ改良剤とを希釈混合してほぐれ改良剤希釈液を調製する工程、
前記ほぐれ改良剤希釈液をエアチャンバに供給する工程、
エア系のエアをエアレギュレータで一定圧力に調整して前記エアチャンバに供給する工程、
前記エアチャンバに供給されたエアと前記ほぐれ改良剤希釈液との混合体を噴射ノズルに供給する工程、および
別のエア系のエアを電磁弁に供給し、前記電磁弁を開閉することにより、前記噴射ノズルから前記混合体を前記麺類に噴霧する工程
を含む請求項1〜6のいずれか1つに記載の麺類に対するほぐれ改良剤の自動処理方法。
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