JP5466550B2 - 印刷方法 - Google Patents
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Description
本発明に用いる熱可塑性樹脂は、モノマー化合物から所謂ラテックスの乳化重合法など公知の製造方法を用いることにより製造することができる。熱可塑性樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、エチレン−塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂等、およびこれらの重合体をグラフト的、ブロック的に組み合わせた共重合体等の合成高分子化合物が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂であると、印刷部分の摺れ擦れ耐性がよくなり、好ましい。なお、本発明において、例えば酢酸ビニル樹脂とは、酢酸ビニルを主体とした樹脂状の重合体を指し、これには単独重合体のみならず、酢酸ビニルを主体に、他の一種以上の単量体を共重合したものも含まれる。
本発明の前処理液は、前記熱可塑性樹脂を含有する水分散液である。水と混和性のある有機溶剤を水に対して配合量30質量%以下で含有してもよい。水と混和性のある有機溶剤を含有することによって、溶媒の蒸発を促進することができ、好ましい。30質量%を超えると、印刷用紙の印刷面が変色あるいは凹凸に変形することがある。
本発明の印刷方法は、前処理液を印刷用紙の印刷面に供給後8秒以内にインクジェット記録方式で印刷する。インクジェット記録方式で印刷後5秒以内に印刷面を少なくとも1秒間以上は40℃以上にする。
熱可塑性樹脂は、攪拌機、温度計、還流コンデンサー付きセパラフラスコに、イオン交換水、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウム、モノマーとしてアクリル酸メチル、ブタジエン、スチレンをあらかじめ混合乳化させた乳化物を入れ、重合開始剤に過硫酸カリウムを添加し、加熱して反応させ、エマルジョンを得た。平均粒子径およびガラス転移温度は、乳化剤およびモノマーの添加量にて調整し、それぞれガラス転移温度13℃、23℃、33℃および46℃の熱可塑性樹脂を調製した。ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)、例えばEXSTAR 6000(セイコー電子社製)、DSC220C(セイコー電子工業社製)、DSC−7(パーキンエルマー社製)などで測定し、ベースラインと吸熱ピークの傾きとの交点から求めた。
ガラス転移温度が23℃である熱可塑性樹脂のエマルジョンをイオン交換水で希釈し、界面活性剤を1部加え、熱可塑性樹脂の15%水分散液を調製した。
ガラス転移温度が23℃である熱可塑性樹脂のエマルジョンをイオン交換水で希釈し、界面活性剤を1部加え、熱可塑性樹脂の5%水分散液を調製した。
ガラス転移温度が23℃である熱可塑性樹脂のエマルジョンをイオン交換水で希釈し、界面活性剤を1部加え、熱可塑性樹脂の30%水分散液を調製した。
ガラス転移温度が23℃である熱可塑性樹脂のエマルジョンをイオン交換水で希釈し、界面活性剤を1部加え、熱可塑性樹脂の0.25%水分散液を調製した。
ガラス転移温度が33℃である熱可塑性樹脂のエマルジョンをイオン交換水で希釈し、界面活性剤を1部加え、熱可塑性樹脂の15%水分散液を調製した。
ガラス転移温度が13℃である熱可塑性樹脂のエマルジョンをイオン交換水で希釈し、界面活性剤を1部加え、熱可塑性樹脂の15%水分散液を調製した。
ガラス転移温度が46℃である熱可塑性樹脂のエマルジョンをイオン交換水で希釈し、界面活性剤を1部加え、熱可塑性樹脂の15%水分散液を調製した。
印刷用紙として上質紙の上に前処理液1をメイヤーバーを用いてWetの状態で2g/m2塗布し、6秒後にインクジェット印刷機CM8060(ボンディングエージェントオフ 搬送速度20m/min シアン/マゼンタ/イエロー/ブラックの各色顔料インク搭載 ヒューレット・パッカード社製)にて印刷した。トレイに排出された印刷用紙を、3秒後にドライヤーを用いて熱風を当て、2秒間、印刷面の温度が45℃の状態として乾燥させた。印刷用紙の温度はポータブル赤外線温度計を用いて測定した。
実施例1において、印刷用紙を上質紙からA2マットコート紙に変更する以外は実施例1と同様に行い、実施例2の印刷を行った。
実施例1において、印刷用紙を上質紙からA2グロスコート紙に変更する以外は実施例1と同様に行い、実施例3の印刷を行った。
実施例3において、トレイに排出された印刷用紙を、ドライヤーにて熱風乾燥するまでの時間を3秒から1.5秒に変更する以外は実施例3と同様に行い、実施例4の印刷を行った。
実施例3において、乾燥における印刷面の温度が45℃から65℃に変更する以外は実施例3と同様に行い、実施例5の印刷を行った。
実施例3において、トレイに排出された印刷用紙を、ドライヤーにて熱風乾燥するまでの時間を3秒後から1.5秒後に、かつ乾燥における印刷面の温度が45℃から65℃に変更する以外は実施例3と同様に行い、実施例6の印刷を行った。
実施例3において、前処理液を塗布し、インクジェット印刷機にて印刷するまでの時間を6秒から3秒に変更する以外は実施例3と同様に行い、実施例7の印刷を行った。
実施例3において、前処理液を塗布し、インクジェット印刷機にて印刷するまでの時間を6秒から3秒に、かつ乾燥における印刷面の温度が45℃から65℃に変更する以外は実施例3と同様に行い、実施例8の印刷を行った。
実施例7において、印刷面の温度が45℃の状態とする乾燥時間を2秒間から7秒間とする以外は実施例7と同様に行い、実施例9の印刷を行った。
実施例3において、前処理液1から前処理液2に変更する以外は実施例3と同様に行い、実施例10の印刷を行った。
実施例3において、前処理液1から前処理液3に変更する以外は実施例3と同様に行い、実施例11の印刷を行った。
実施例3において、前処理液1から前処理液4に変更する以外は実施例3と同様に行い、実施例12の印刷を行った。
実施例3において、前処理液1から前処理液5に変更する以外は実施例3と同様に行い、実施例13の印刷を行った。
実施例3において、前処理液1から前処理液6に変更する以外は実施例3と同様に行い、参考例1の印刷を行った。
実施例3において、前処理液1から前処理液7に変更する以外は実施例3と同様に行い、参考例2の印刷を行った。
実施例3において、前処理液を塗布し、インクジェット印刷機にて印刷するまでの時間を6秒から10秒に変更する以外は実施例3と同様に行い、比較例1の印刷を行った。
実施例3において、トレイに排出された印刷用紙を、ドライヤーにて熱風乾燥するまでの時間を3秒後から7秒後に変更する以外は実施例3と同様に行い、比較例2の印刷を行った。
実施例3において、乾燥における印刷面の温度が45℃から30℃に変更する以外は実施例3と同様に行い、比較例3の印刷を行った。
実施例3において、印刷面の温度が40℃の状態である時間を2秒から0.5秒に変更する以外は実施例3と同様に行い、比較例4の印刷を行った。
実施例3において、前処理液1を塗布しなかった以外は実施例3と同様に行い、比較例5の印刷を行った。
所定の搬送速度で印刷機の排紙部に排出された印刷用紙の印刷面を観察し、インクの擦れ跡およびインクの剥離の度合いを目視評価で判定した。3〜5の評価であれば、実用上に問題はない。
5:インクの擦れ跡、インクの剥離が認められない。
4:インクの擦れ跡、インクの剥離がともにほとんど認められない。
3:インクの擦れ跡がかすかにあり、インクの剥離が極僅かに認められる。
2:インクの擦れ跡があり、部分的に印刷物が汚れたように見える。
1:印刷部分の全体的に、インクの擦れ跡やインクの剥離が発生している。
印刷用紙に、18cm×18cm画サイズのブラックインクによるベタ画像を、速度毎分64mで印刷した。印刷してから1時間後に、印刷用紙の印刷面に500gまたは300gの荷重で木綿のガーゼを押し付けて25回摩擦試験を行い、下記基準に従って目視にて評価した。3〜5の評価であれば、実用上に問題はない。
5:500gのとき、ほとんど傷が認められない。
4:500gのとき、僅かに傷が認められるが、許容レベルである。
3:300gのとき、僅かに傷が認められるが、許容レベルである。
2:300gのとき、多少の傷が認められる。
1:300gのとき、著しく傷が認められる。
印刷後の印刷用紙を、平滑な台上に印刷面を上にして水平に静置し、四隅が台からどのくらい浮き上がっているかを定規にて測定し、四隅の高さの平均値から評価した。なお、四隅が印刷面の裏側に曲がっている場合には印刷面を下にして浮き上がっている高さを測定した。便宜上、印刷面を上にした四隅の浮き上がりをプラス、逆に印刷面を下にした四隅の浮き上がりをマイナスと表記する。このようにして得られたカールを下記の基準に従って判定した。3〜5の評価であれば、実用上に問題はない。
5:平均値が、−1mm以上1mm以下
4:平均値が、−5mm以上−1mm未満または1mm超5mm以下
3:平均値が、−10mm以上−5mm未満または5mm超10mm以下
2:平均値が、−15mm以上−10mm未満または10mm超15mm以下
1:平均値が、−15mm未満または15mm超
表1より、本発明の印刷方法である実施例1〜13、並びに参考例1および2は、オフセット印刷機向け印刷用紙を用いてインクジェット記録方式を利用する印刷機で高速印刷しても、印刷部分の摺れ擦れ耐性に優れた印刷物となる。一方、比較例1〜4では本発明の効果は得られない。また、比較例5では前処理液を供給しないため、インク定着性や摺れ擦れ耐性に非常に劣る。
Claims (2)
- 印刷用紙に少なくともシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色顔料インクを搭載したインクジェット記録方式を利用する印刷機で印刷する方法であって、インクジェット記録方式による印刷前に、該印刷用紙の印刷面に熱可塑性樹脂を含有する前処理液を印刷面全面に供給し、熱可塑性樹脂のモノマー単位がアクリル酸メチル、ブタジエンおよびスチレンであり、熱可塑性樹脂のガラス転移温度が20℃以上38℃以下であり、供給後8秒以内にインクジェット記録方式による印刷を行い、インクジェット記録方式の印刷後から5秒以内に該印刷用紙の印刷面を加熱し、少なくとも印刷面が1秒間以上は40℃以上に達することを特徴とする印刷方法。
- 熱可塑性樹脂が印刷面に対して1平方メートル当たり0.01g〜0.5g供給される請求項1に記載の印刷方法。
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