JP5465431B2 - ヒアルロナンを用いる治療プロトコル - Google Patents

ヒアルロナンを用いる治療プロトコル Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、概ね薬物療法学、特に化学療法およびそれに有用な製剤の分野に関する。より具体的には、本発明は、治療作用物質の毒性を低下させるか、または効力を上げる治療ストラテジーを提供する。組成物、処置方法、ならびに予防および治療プロトコルもまた本発明は意図する。
先行技術の説明
本明細書内のいかなる先行技術の参照も、その先行技術が任意の国における通常の一般的知識の一部を形成することを認めるものでも、またはいかなる形の示唆でもなく、かつそのように解釈されるべきではない。
薬物毒性は、治療化合物の投与の主要な制限事項である。活性薬物物質の治療濃度を病理部位および病理部位内で達成および維持するには、高用量の化学療法薬を投与する必要がある。全身毒性はしばしば最終結果であることから、医師は全身毒性の軽減を図って治療活性用量と非毒性の薬物用量との難しいバランスを取った最適未満の用量の治療作用物質を投与するであろう。この妥協的ではあるがバランスを取った薬物レジメンの結果、患者に利用可能な、投与された治療化合物の血清レベルは、多くの場合、最適未満となる。毒性が観察された結果、投与頻度、投与量、または投与サイクル数が制限されることがある。
重大な毒性を伴うこのような治療物質の一例は塩酸イリノテカン(CPT-11; Camptosar (登録商標) CPT-11)であり、これは元々カンレンボク(Camptotheca acuminata)から単離された抗腫瘍活性を有する植物アルカロイドのカンプトテシンの水溶性誘導体である。CPT-11は、広域スペクトルの抗腫瘍活性を有しており、再発性結腸直腸癌の処置に有効であることが示されており、このためCPT-11化学療法が世界中で承認されている。
CPT-11化学療法中の主たる投与制限毒性は、遅延型の下痢および骨髄抑制である。骨髄抑制は、骨髄の活動が低下した状態である。この状態は、一般的に免疫系の低下ならびに一次および二次的な細菌および/または真菌感染症有病率の増加となって現れる、赤血球、白血球、および血小板の減少を招く。骨髄抑制の期間は、顆粒球コロニー刺激因子の投与によって一部管理できるが、この治療アプローチは患者にとって侵襲的かつ長期の入院であるだけでなく、高額の費用を要する処置でもある。下痢はクオリティーオブライフに影響し、骨髄抑制と組み合わさって生命を脅かすこともある。
CPT-11は、肝臓のカルボキシルエステラーゼによってインビボで変換されて活性代謝物SN-38を形成するが、これはDNA複製および転写のプロセスにおける重要な核酵素であるトポイソメラーゼIの強力なインヒビターである。肝臓では、SN-38の一部はその後UDP-グルクロニシルトランスフェラーゼ系によってグルクロン酸抱合されて解毒され、不活性なSN-38Gを形成する。胆汁排泄は、CPT-11およびその代謝物の主要な排泄経路である。ひとたび腸のSN-38Gが細菌または組織のβグルクロニダーゼの仲介によって脱抱合化されてSN-38に開裂されると、胃を局所刺激し、毒性をもたらすことがある(Takasuna et al. Cancer Res 56:3752-3757, 1996(非特許文献1))。腸からは、CPT-11およびその代謝物もまた、腸細胞を介して再吸収され、腸肝循環回路を形成するであろう(Takasuna et al. 1996前記)。
それ故に、今日、最適用量で投与された場合に、癌、病原体による感染などの疾患、疼痛処置、胃腸障害、および数ある他の状態のなかでも特に神経状態を処置できるような治療作用物質を入手することができるものの、衰弱化をもたらす副作用を軽減し、および/または特に効果的形状の治療作用物質の生成を促進する組成物および治療ストラテジーが必要とされている。
Takasuna et al. Cancer Res 56:3752-3757, 1996
発明の概要
本明細書を通して、文脈上他の解釈が必要でない限り、語「含む(comprise)」、または「含んでいる」もしくは「含む(comprises)」などのその変化形は、記載された要素もしくは整数、または要素もしくは整数の群を含めるが、いかなる他の要素もしくは整数、またはいかなる他の要素もしくは整数の群も排除しないことを意味することが理解されよう。
本発明は、本明細書においてヒアルロナンもしくはHAとも呼ばれるヒアルロン酸、またはその化学修飾された誘導体が、治療作用物質の有毒代謝物もしくはそれらのプロドラッグ形態のいずれかを生成するか、または治療作用物質のより効果的な形態を生成する酵素のレベルもしくは活性を調節するという判断に一部基づいている。これに加えて、これら薬物またはそれらの代謝物の再吸収、輸送、および排泄を担うタンパク質も、ヒアルロナンもしくはHA、またはその化学修飾された誘導体によって調節されうる。それ故に、HAおよび治療作用物質の、同時投与または何れかの順番による連続的な同時投与が提案されている。
治療作用物質は、抗癌剤、抗病原体剤、あるいは糖尿病、神経学的状態、疼痛管理、および胃腸障害の処置などに有益な治療効果を示すまたは付与する任意の作用物質でよい。「有益な治療効果」は、疾患または状態の一つまたは複数の症状の寛解を含む。用語「化学療法薬」は、作用物質を任意の特定タイプの作用物質に限定するものとして(抗癌剤だけなど)解釈してはならない。化学的またはタンパク質性の性質を有する任意の治療作用物質を対象とするように広く解釈するものとする。用語「化学療法薬」および「治療作用物質」は、本明細書では同意語と考えられ、かつ互換的に用いられる。
本発明は、驚くべきことに、疾患の処置に用いる製剤の一成分として特に低分子量のHAを含めると、胃腸毒性のレベルを低下させると同時に薬物の薬力学を変化させ、最終的な結果として血行中の有毒な薬物またはそれらの代謝物が減少することを証明している。
それ故に、本発明は、ヒアルロナン(HA)および治療作用物質を含む製剤の投与を含、前記製剤またはその成分がβグルクロニダーゼの活性を調節して、治療作用物質単独に比べて胃腸毒性を低下させる処置方法を提供する。
本発明の別の局面は、ヒアルロナン(HA)および治療作用物質を含む製剤の投与を含む処置方法であって、前記製剤またはその成分がcMOATとして知られるカチオン交換タンパク質のような薬物輸送タンパク質の活性を調節し、それが結果として有毒な薬物またはそれらの代謝物の循環レベルを低下させ;骨髄毒性を下げる最終治療効果を有する臨床徴候をもたらす、処置方法を提供する。
特に、本処置方法は、消化管中のβグルクロニダーゼの生物活性が調節される、製剤の投与を含む。
特定の態様では、ヒアルロナン成分は、約1キロダルトン〜約1000キロダルトンの平均分子量を有する。
別の特定の態様では、ヒアルロナン成分は、約1キロダルトン〜約100キロダルトンの平均分子量を有する。
さらなる特定の態様では、ヒアルロナン成分は、約350ダルトン〜約10キロダルトンの平均分子量を有する。
さらに別の特定の態様は、ヒアルロナン成分が、約350ダルトン〜約5キロダルトンの平均分子量を有することを含む。
さらに別の特定の態様では、ヒアルロナン成分は、約350ダルトン〜約2キロダルトンの平均分子量を有する。
特に、処置方法は、分子量約350〜9500ダルトンのヒアルロナン(HA)および治療作用物質を含む、胃腸管内の毒性レベルを下げる製剤の投与を含み、前記HAは、管内のβグルクロニダーゼの活性を調節する。
特に、処置方法は、
(i) 平均分子量が約10キロダルトンのヒアルロナン(HA);および
(ii) 平均分子量が約860キロダルトンのヒアルロナン(HA);および
(iii) 治療作用物質、
を含む製剤の投与を含み、該製剤はβグルクロニダーゼの活性を調節して、治療作用物質単独に比べて胃腸毒性を低下させる。
特に、処置方法は、
(i) 平均分子量が約2キロダルトンのヒアルロナン(HA);および
(ii) 平均分子量が約860キロダルトンのヒアルロナン(HA);および
(iii) 治療作用物質、
を含む製剤の投与を含み、該製剤はβグルクロニダーゼの活性を調節して、治療作用物質単独に比べて胃腸毒性を低下させる。
特に、HAは、前記作用物質の投与の前、またはそれに続いて投与される。
特に、HAは、前記作用物質の投与の前に投与される。
特に、HAは、前記作用物質の投与に続いて投与される。
特に、平均分子量が約10キロダルトンのHAは、経口投与される。
特に、平均分子量が約2キロダルトンのHAは、経口投与される。
特に、平均分子量が約860キロダルトンのHAは、全身投与される。
特に、前記作用物質はβグルクロニダーゼの基質である。
特に、治療作用物質は、グルクロニド成分を含有する。
特に、治療作用物質は、代謝されてグルクロニド抱合体を形成する。
好ましくは、グルクロニドは、モルヒネ-3-グルクロニド、モルヒネ-6-グルクロニド、リトコラートグルクロニド(lithocholate glucuronide)、D-グルクロニド、エストロン-3-グルクロニド、レチノイルグルクロニド、インボキシル-β-D-ドキソルビシングルクロニド(imboxyl-β-D-doxorubicin glucuronide)、アンドロスタネオジオールグルクロニド(androstaneodiol glucuronide)およびパラセタモールグルクロニドからなるリストより選択される。
好ましくは、化学療法薬は、ダウノルビシン、ダウノマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、エソルビシン(esorubicin)、ブレオマイシン、マホスファミド(mafosfamide)、イホスファミド、シトシンアラビノシド、ビス-クロロエチルニトロソウレア、ブスルファン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、プレドニソン、ヒドロキシプロゲステロン、テストステロン、タモキシフェン、ダカルバジン、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、ミトキサントロン、アムサクリン、クロランブシル、メチルシクロヘキシルニトロソウレア、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、シクロホスファミド、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-アザシチジン、ヒドロキシウレア、デオキシコホルマイシン、4-ヒドロキシペルオキシ-シクロホスホルアミド、5-フルオロウラシル(5-FU)、5-フルオロデオキシウリジン(5-FUdR)、メトトレキサート(MTX)、オキサリプラチン、ドキソルビシン、コルヒチン、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド(VP-16)、トリメトレキサート、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、テニポシド、シスプラチン、ジエチルスチルベストロール(DES)およびそれらのグルクロニド抱合体からなるリストより選択される。
好ましくは、化学療法薬は、抗代謝薬、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂阻害剤、ステロイド、ホルモン、アルキル化剤、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、ホルモンアゴニスト、および微小管阻害剤を含む化学療法化合物からなるリストより選択される。他の有用な治療作用物質としては、植物、サンゴ、または微生物などの生物供給源からの抽出物または精製分子が挙げられる。植物由来の抗癌剤は、単離された形状または画分もしくは抽出物として特に有用である。
本発明の別の局面は、ヒアルロナン(HA)および治療作用物質を含む製剤の投与を含み、該製剤またはその成分がβグルクロニダーゼの活性を調節して、治療作用物質単独に比べて薬物の活性化を増強する、処置方法を提供する。
本発明の別の局面は、ヒアルロナン(HA)および治療作用物質を含む製剤の投与を含み、該製剤がβグルクロニダーゼの活性を調節して、治療作用物質単独に比べて骨髄抑制を緩和する、処置方法を提供する。
好ましくは、ヒアルロナン成分は、約1キロダルトン〜約1000キロダルトンの平均分子量を有する。
好ましくは、ヒアルロナン成分は、約1キロダルトン〜約100キロダルトンの平均分子量を有する。
好ましくは、ヒアルロナン成分は、約350ダルトン〜約10キロダルトンの平均分子量を有する。
好ましくは、ヒアルロナン成分は、約350ダルトン〜約5キロダルトンの平均分子量を有する。
好ましくは、ヒアルロナン成分は、約350ダルトン〜約2キロダルトンの平均分子量を有する。
好ましくは、処置方法は、
(i) 平均分子量が約10キロダルトンのヒアルロナン(HA);および
(ii) 平均分子量が約860キロダルトンのヒアルロナン(HA);および
(iii) 治療作用物質、
を含む製剤の投与を含み、該製剤はβグルクロニダーゼの活性を調節して、治療作用物質単独に比べて骨髄抑制を緩和する。
好ましくは、処置方法は、
(i) 平均分子量が約2キロダルトンのヒアルロナン(HA);および
(ii) 平均分子量が約860キロダルトンのヒアルロナン(HA)、および
(iii) 治療作用物質、
を含む製剤の投与含み、該製剤はβグルクロニダーゼの活性を調節して、治療作用物質単独に比べて骨髄抑制を緩和する。
好ましくは、HAは、前記作用物質の投与の前またはそれに続いて投与される。
好ましくは、HAは、前記作用物質の投与の前に投与される。
好ましくは、HAは、前記作用物質の投与に続いて投与される。
好ましくは、HAは経口投与される。
好ましくは、平均分子量が約10キロダルトンのHAは、経口投与される。
好ましくは、平均分子量が約2キロダルトンのHAは、経口投与される。
好ましくは、HAは、全身投与される。
好ましくは、平均分子量が約860キロダルトンのHAは、全身投与される。
好ましくは、治療作用物質は、グルクロニド成分を含有する。
好ましくは、グルクロニドは、モルヒネ-3-グルクロニド、モルヒネ-6-グルクロニド、リトコラートグルクロニド、エストロン-3-グルクロニド、レチノイルグルクロニド、インボキシル-β-D-グルクロニド、ドキソルビシングルクロニド、アンドロスタネオジオールグルクロニドおよびパラセタモールグルクロニドからなるリストより選択される。
好ましくは、前記作用物質は、ダウノルビシン、ダウノマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、エソルビシン、ブレオマイシン、マホスファミド、イホスファミド、シトシンアラビノシド、ビス-クロロエチルニトロソウレア、ブスルファン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、プレドニソン、ヒドロキシプロゲステロン、テストステロン、タモキシフェン、ダカルバジン、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、ミトキサントロン、アムサクリン、クロランブシル、メチルシクロヘキシルニトロソウレア、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、シクロホスファミド、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-アザシチジン、ヒドロキシウレア、デオキシコホルマイシン、4-ヒドロキシペルオキシ-シクロホスホルアミド、5-フルオロウラシル(5-FU)、5‐フルオロデオキシウリジン(5-FUdR)、メトトレキサート(MTX)、オキサリプラチン、ドキソルビシン、コルヒチン、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド(VP-16)、トリメトレキサート、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、テニポシド、シスプラチン、ジエチルスチルベストロール(DES)およびそれらのグルクロニド抱合体からなるリストより選択される化学療法薬である。
好ましくは、前記作用物質は、抗代謝薬、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂阻害剤、ステロイド、ホルモン、アルキル化剤、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、ホルモンアゴニスト、および微小管阻害剤を含む化学療法化合物からなるリストより選択される。
好ましくは、本発明の製剤を含む薬学的組成物は、癌の処置に用いられる。
本明細書での「処置」という言及は、一つまたは複数の症状の予防および寛解を含む。
発明の詳細な説明
本発明は、ヒアルロン酸(HA)が治療作用物質の代謝を変えるという判断に一部基づく。この文脈における「変える」という言及は、いくつかの状況において治療作用物質またはそれらのプロドラッグ形態を有毒な生成物または中間体へと代謝する酵素を阻害するため、調節する事を意味する。その結果、治療作用物質の有毒な代謝副産物のレベルは、HA非存在下で治療作用物質を投与した場合に比べて低下する。別の状況では、より治療活性の高い代謝副産物を生成する酵素のレベルは上昇し、その結果、投与された作用物質またはそのプロドラッグ形態の効力は、該作用物質をHA非存在下で投与した場合に比べ高められる。
したがって、本発明は、ヒアルロナン(HA)および治療作用物質を含む製剤の投与を含む処置方法であって、該製剤またはその成分がβグルクロニダーゼの活性を調節して、治療作用物質単独の場合に比べて胃腸毒性を低下させる、処置方法を提供する。
用語「治療作用物質」および「化学療法薬」は、本明細書では、本明細書全体を通して同義語と見なされ、互換的に用いられる。本用語は、治療事象または便益を誘導、提示、または付与するのに用いられる任意の化学的または頑固な分子を含み、最も広義な意味で解釈されるものとする。治療作用物質は、抗癌剤または抗病原体薬などの、非天然の化学物質でよい。あるいは、化学療法薬は、抗生物質または組換え分子である。一つの特別な態様では、化学療法薬は、βグルクロニダーゼなどのグルクロニダーゼの基質である。この文脈での用語「基質」は、グルクロニダーゼが、化学療法薬の代謝変化を触媒しうることを意味する。この局面によれば、本発明は、化学療法薬または該薬のプロドラッグ形態の投与を含む治療プロトコルを被験体に提供し、該方法は、HA非存在下で治療作用物質を投与した場合に比べて、該物質またはそのプロドラッグ形態に、毒性またはより高い活性を与える酵素のレベルまたは活性を調節するのに有効な量のHAまたはその誘導体を、治療作用物質またはそのプロドラッグ形態を投与する前、投与中、投与後に該被験体に投与することを含む。
特記のない限り本発明は、特定の成分の製剤、製造方法、投薬レジメン等に限定されず、変更可能なものとして理解しなければならない。本明細書で用いる用語法は、特定の態様を記載することのみを目的としており、限定を意図するものではない。
これに加えて、本明細書で使用する単数形の「1つの(a、an)」、および「その(the)」は、文脈からそうでないことが明らかでない限り、複数形の局面も含む。したがって、例えば「化学療法薬」「抗癌剤」「ヒアルロン酸」等への言及は、単数の実体(即ち単一の抗癌剤、化学療法薬、またはヒアルロン酸)だけでなく二またはそれ以上の実体を含む。
用語「HA」は、その最も一般的な意味で用いられ、またヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロナン、またはヒアルロン酸としても公知である。これらの用語は全て、同一の実体を表すのに用いることができる。それは、哺乳動物体部のあらゆる部分に存在し、哺乳動物の結合組織の主要成分であるムコ多糖類である。生理学的状態では、HAは、とりわけ細胞内空間に水を吸収して「ゼリー状マトリックス」を作る。インビボでは、これは細胞構造を保護し、且つ外部傷害、細菌感染等から守る役割を果たす。
本発明はまた、一つまたは複数の抗癌抗体ならびにHAの誘導体、断片、および/または塩を含む組成物を提供する。多くのHAの誘導体および断片が文献に記載されており、本発明の方法および製剤中に含めることを意図している。
例示的HA誘導体は、米国特許第6,620,927号(チオール修飾ヒアルロン酸誘導体);米国特許第6,552,184号(ヒアルロン酸の架橋化合物およびそれらの誘導体);米国特許第6,579,978号(ヒアルロン酸の硫酸化化合物およびそれらの誘導体);米国特許第6,831,172号(架橋ヒアルロン酸およびそれらのヘミスクシニル化誘導体);米国特許第6,027,741号(硫酸化ヒアルロン酸およびそれらのエステル);欧州特許第0138572号(ヒアルロン酸断片HYALECTINおよびHYALASTINE)に記載されているHA誘導体である。
Falkの初期の特許(例えば米国特許第5852002号;米国特許第6069135号)は、ヒアルロン酸を、分子量が50,000ダルトン以上に変わることがある、天然のグリコサミノグリカンと定義している。Fidiaの特許(欧州特許第013852号)は、創傷治癒の促進に有用な局所適用物質に望ましい特性を有する、HYALASTINEと呼ばれる分子量約50kDa〜100kDaのヒアルロン酸を開示している。30kDa未満の画分を含む低分子量物質もFidiaらによって開示されている。しかしながらこれらの画分は、不純物として廃棄されており、そのため本発明に記載されているように製剤としての使用は教示されていない。例えば、国際特許出願第WO 00/41730号および第WO 02/05852号は、主に750kDaより大きな分子量のHAの使用に関する。第WO 02/05852号は、いくつかの低分子量ヒアルロナン(例えば四糖類、五糖類、および十二糖類、ならびに5600 Daおよび50,000 DaのHA)を記載しているが、これら低分子量ヒアルロナンは、細胞周期に対するHAの効果を決定するのに用いられた。この先行技術のどれも、10,000Da未満のHAを使用して毒性レベルを下げること、および/または骨髄抑制を寛解することは開示していない。驚くべきことに、本発明のHAは、50,000 Daよりはるかに低い、特に10,000 Daより低い、好ましくは約2000 Daの分子量の画分を含み、これらは胃腸管内の毒性を有利に下げ、かつ/または骨髄抑制を有利に寛解する。
したがって、本発明は、その中間の分子量も含む、下記のような約350ダルトン〜1000k Daの分子量を有するHAの使用にまで及ぶ:
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HAの断片および誘導体に加えて、合成誘導体および/または半合成誘導体を本発明の方法および組成物に用いることができる。HAの例示的半合成誘導体は、「HYAFF」と称される脂肪族、芳香族、複素環式、環式芳香族系列のアルコールによるHAのエステルであり、それらは、米国特許第4,851,521号、第4,965,353号、および第5,202,431号、欧州特許第0341745号および第0216453号に記載されている。上記各特許の内容は、参照によって本明細書に明示的に組み入れられる。
本明細書で使用する用語「被験体」は、本発明の組成物および方法から便益を受けることができる動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを指す。本発明から便益を受ける可能性のある動物のタイプは制限されない。ヒトであるかヒト以外の動物であるかにかかわらず被験体は、個体、被験体、動物、宿主、またはレシピエントとして言及されうる。本発明の方法は、ヒト用薬剤、獣医用薬剤、ならびに一般的には、家畜または野生動物の畜産に用途を有する。好ましくは、候補被験体は、ヒトなどの哺乳動物、またはマウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスターなどの研究用試験動物、または家禽などの鳥類である。
ヒアルロナンは、グルクロン酸およびN-アセチルグルコサミンユニットが交互に結合して出来ている分岐鎖状多糖類である。HA分子は、高分子になるとある範囲の分子量を示し得る。それ故に、HA製剤は、様々な分子量を有する分子を含みうる。HAの形態上の分子量製剤の殆ど全ての平均は、本発明の方法に有効であり、本発明はHAの任意の特定のサイズまたはサイズ範囲に限定されない。HAの最小単位は、分子量397ダルトンの二糖類である。より大きな糖類は、この二糖類単位の倍数体であり、その分子量は(n-1 × 379)+397であり、したがって四糖類(二つの最小単位、n=2)は776の分子量を有するといった具合である。好ましくは、nは約5〜約2200の間である。より分子量が大きいヒアルロナンは代謝されまたは生物分解されてより低分子量のヒアルロナンになるため、本発明者らは任意の平均分子量のヒアルロナンを本発明にしたがって用いることができると期待している。
本明細書で使用する「ヒアルロン酸」、「ヒアルロナン」、「HA」等などの用語はまた、HAの化学的誘導体または重合誘導体または架橋結合誘導体も包含する。HAに実施可能な化学修飾の例としては、HAの四つの反応性官能基、即ちアセトアミド、カルボキシル、ヒドロキシル、および還元端部と作用物質との任意の反応が挙げられる。
上記した様に、HAおよび化学療法薬は、両実体が一つに混合されているかまたは治療作用物質がHAで覆われている単一組成物として投与できる。あるいは、HAおよび治療作用物質は、どちらかを先に、互いに数秒、数分、数時間、数日、または数週以内に投与される。したがって、同時投与、ならびにHAおよび治療作用物質のどちらかを先行させる連続投与は本発明の一部である。
本発明は、癌の処置だけでなく、ある範囲の細菌、真菌、酵母、ウイルス、および寄生虫による感染などの様々な他の状態まで拡張される。病原体の例としては、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、マラリア原虫、および多剤耐性ブドウ球菌が挙げられる。
他の疾患状態としては、疼痛(急性および/または神経障害痛)、糖尿病、胃腸管障害(例えば下痢)、ならびにパーキンソン病、アルツハイマー病、およびハンチントン舞踏病を含む神経学的状態の処置が挙げられる。事実、本発明は、グルクロニドを与えて、状態を追跡または表すことができる任意の疾患状態を意図する。
しかしながら一つの特別な態様では、疾患は癌である。「癌」への言及は、腫瘍、肉腫、癌腫等を含む。
したがって、本発明の別の局面は、癌に罹った被験体を処置する方法であって、HA非存在下で抗癌化学療法薬を投与した場合に比べて、抗癌化学療法薬またはそのプロドラッグ形態に毒性を付与するかまたはより活性にする酵素の活性レベルを調節するために有効な量のHAまたはその誘導体を、抗癌化学療法薬またはそのプロドラッグ形態を投与する前、途中、または後に前記被験体に投与することを含む方法を意図する。
上記した様に「抗癌化学療法薬」への言及は、複数、即ち二種類またはそれ以上の治療作用物質への言及を含む。好ましい態様では、化学療法薬は、グルクロニダーゼの基質であり、最も好ましい態様ではグルクロニドである。
一つの好ましい態様では、本発明は、被験体の「固形」腫瘍の成長および/または転移を処置または防止するための方法を提供する。本明細書で使用される「固形腫瘍」は、制御されていない様式で成長しているか、または成長して腫瘍を形成し、特化した異なる細胞へと分化していない一つまたは複数の細胞を指す。本明細書で用いる用語「固形腫瘍」としては、「癌腫」、「腺腫」、および「肉腫」が挙げられるが、これらに限定されない。「肉腫」は、結合組織、軟骨、骨、筋肉等の癌である。「癌腫」は、上皮(裏層)細胞の癌である。「腺腫」は、腺起源の細胞に由来する癌腫を指す。
本発明にしたがって処置できる例示的「腫瘍」には、エイズ関連腫瘍、音響神経腫、アデノ嚢胞性癌、副腎皮質癌、原発性骨髄線維症、脱毛症、歯槽軟部肉腫、肛門癌、血管肉腫、再生不良性貧血症、星状細胞腫、毛細血管拡張性運動失調、基底細胞癌(皮膚)、膀胱ガン、骨癌、腸癌、脳幹膠腫、脳および中枢神経系胚細胞(CNS)腫瘍、乳癌、中枢神経系胚細胞(CNS)腫瘍、カルチノイド腫瘍、子宮頸癌、小児期脳腫瘍、小児期癌、小児期軟組織肉腫、軟骨肉腫、絨毛膜癌、結腸直腸癌、皮膚T-細胞リンパ腫、隆起性皮膚線維肉腫、線維形成小円形細胞-腫瘍、管癌、内分泌癌、子宮内膜癌、上衣腫、食道ガン、ユーイングの肉腫、肝外胆管癌、目癌、目:黒色腫、網膜芽細胞腫、ファロピーオ管癌、ファンコニ貧血症、繊維肉腫、胆嚢癌、胃癌、胃腸癌、胃腸カルチノイド-腫瘍、尿生殖器の癌、生殖細胞腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、膠腫、婦人科癌、悪性血液病、頭頸部癌、肝細胞性癌、遺伝性乳癌、組織球増殖症、ホジキン病、ヒト乳頭腫ウイルス、胞状奇胎、高カルシウム血症、咽喉頭癌、眼内黒色腫、島細胞癌 、カポシ肉腫、腎臓癌、ランゲルハンス細胞組織球増加症、喉頭の癌、平滑筋肉腫、リー-フラウメニ(Li-Fraumeni)癌症候群、唇の癌、脂肪肉腫、肝癌、肺癌、リンパ水腫、リンパ腫、ホジキンのリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、男性の乳癌、腎臓の悪性ラブドイド腫瘍、髄芽細胞腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、転移性癌、口癌、複合内分泌腺新生物、菌状息肉腫、脊髄形成異常の症候群、骨髄腫、脊髄増殖性障害、鼻癌、鼻咽頭癌、腎芽細胞腫、神経芽細胞腫、神経線維腫症、ナイメーヘン破損症候群、非黒色腫皮膚癌、非小細胞-肺-癌-(NSCLC)、眼性癌、食道の癌、口腔癌、口こういん頭癌、骨肉腫、オストミ卵巣癌、膵臓癌、傍鼻癌、副甲状腺癌、耳下腺癌、陰茎癌、周辺神経外胚様性腫瘍、下垂体性癌、真性赤血球増加症、前立腺ガン、珍しい癌-及び-関連-障害、腎臓細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、ロートムント(Rothmund)-トムソン(Thomson)症候群、唾液腺癌、肉腫、神経鞘腫、セザリー(Sezary)症候群、皮膚癌、小細胞肺癌(SCLC)、小腸癌、軟組織肉腫、脊髄腫瘍、へん平細胞-癌(皮膚)、胃癌、滑液肉腫、精巣癌、胸腺癌、甲状腺ガン、移行細胞 -癌(膀胱)、移行細胞癌(腎盂-/-尿管)、栄養芽の癌、尿道癌、尿路系癌、尿路移行上皮膜貫通蛋白、子宮肉腫、子宮癌、膣の癌、外陰部癌、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症およびウィルムス腫瘍が挙げられる。
本発明の方法を用いて処置される腫瘍は、一次病巣でも、原発性癌が転移した結果でもよい。よりさらには、腫瘍が原発性癌の転移である場合には、原発性癌は上記のような原発性腫瘍でも、白血病またはリンパ腫などの分散した原発性癌のいずれでもよい。
本発明は、被験体へのHAの「投与」を意図する。本明細書で用いる用語「投与」は、あらゆるHAの投与方法を包含すると考えるべきである。当業者にとって明らかである様に、最も好都合または好適な投与経路は、複数の要因に依存し、それ自体は被験体ごとに変わるだろう。しかしながら、任意の特定被験体にとって最も好都合または好適な投与経路は、過度の実験を行うことなく当業者によって容易に決定されるだろう。投与経路としては、手術中を含む、動脈内、肝臓内、皮下、静脈内、吸入による、坐剤、または徐放性製剤が挙げられるが、本発明はいかなる形でも、これら特定の経路に限定されると考えてはならない。これに加えてHAおよび化学療法薬は、異なる経路または同一の経路から投与することができる。
HAの好ましい濃度は、約0.00001%w/v〜10,000%w/vであり、この濃度のHAは、1分間から336時間までの期間をかけて投与されるが、好ましい注入時間は120分である。ここでもHAは、化学療法薬と同時に投与しても、または両実体をどちらかを先に連続的に投与してもよい。これに加えて、治療プロトコルは、HAまたは化学療法薬の一方の複数回投与、ならびにHAおよび化学療法薬の他方のより少ない頻度の投与を含むことができる。
「同時投与」とは、同一または別経路からの同一製剤または二種類の製剤として同時に投与すること、あるいは同一または別経路からの連続投与を意味する。「連続」投与とは、二種類の作用物質の投与または処置プロトコルの間の、数秒、数分、数時間、数日、または数週間の時間差を意味する。連続投与された作用物質または処置プロトコルは、任意の順番で投与できる。一つの態様では、HAおよび化学療法薬は、同一製剤の形での送達を介して同時投与されるか、HAは、治療作用物質投与の前、および/または治療作用物質投与に続いて投与される。
別の態様では、治療作用物質は、HAまたはその誘導体によって封入されているか、または結合されていてもよい。HAを化学的に修飾して、下記の治療作用物質などの小型の治療化合物を閉塞または閉じ込めることができる高分子粘性物質を形成することができる。さらに別の態様では、HAを化学的に修飾して、標的組織内で集団的に閉塞できる治療作用物質で満たすことができるHAビーズを形成させることができる。
HAまたはその誘導体と一緒に同時投与することができるそのような治療作用物質の例は、ダウノルビシン、ダウノマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、エソルビシン、ブレオマイシン、マホスファミド、イホスファミド、シトシンアラビノシド、ビス-クロロエチルニトロソウレア、ブスルファン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、プレドニソン、ヒドロキシプロゲステロン、テストステロン、タモキシフェン、ダカルバジン、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、ミトキサントロン、アムサクリン、クロランブシル、メチルシクロヘキシルニトロソウレア、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、シクロホスファミド、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-アザシチジン、ヒドロキシウレア、デオキシコホルマイシン、4-ヒドロキシペルオキシシクロホスホルアミド、5-フルオロウラシル(5-FU)、5‐フルオロデオキシウリジン(5-FUdR)、メトトレキサート(MTX)、オキサリプラチン、ドキソルビシン、コルヒチン、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド(VP-16)、トリメトレキサート、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、テニポシド、シスプラチン、ジエチルスチルベストロール(DES)およびそれらのグルクロニド抱合体が挙げられるがそれらに限定されない。さらに化学療法化合物の非限定的例としては、抗代謝薬、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂阻害剤、ステロイド、ホルモン、アルキル化剤、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、ホルモンアゴニスト、および微小管阻害剤が挙げられる。組成物はまた、癌関連のレセプターまたは結合タンパク質の調節を通して抗血管新生活性または抗癌活性を発揮する抗体またはタンパク質を含むことができる。
本明細書で用いる用語「抗代謝薬」は、細胞の成長および複製に必要な体の化学的プロセスに干渉する物質を含む;癌処置では、抗代謝薬はDNA産生を破壊し、換言すれば細胞分裂を阻止する。例としては、アザセリン、D-シクロセリン、ミコフェノール酸、トリメトプリム、5-フルオロウラシル、カペシタビン、メトトレキセート、ゲムシタビン、シタラビン(ara-C)、およびフルダラビンが挙げられる。
「抗腫瘍抗生物質」は、酵素および有糸分裂を停止させるか、または細胞を取り囲む膜を変化させることによってDNAに干渉する化合物を含む。これらの作用物質は、細胞周期の全ての時期で働く。したがって、それらは様々な癌に広く用いられている。抗腫瘍抗生物質の例としては、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、およびミトキサントロンが挙げられる。
「有糸分裂阻害剤」は、植物アルカロイドおよび天然産物に由来する他の化合物を含む。それらは、有糸分裂を阻害もしくは停止させ、または細胞の複製に必要なタンパク質を作るための酵素を阻害しうる。これらは、細胞周期のM期の間に働く。有糸分裂阻害剤の例としては、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド(VP-16)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビンが挙げられる。
本明細書で用いる用語「ステロイド」は、いくつかのタイプの癌(リンパ腫、白血病、および多発性骨髄腫)ならびに他の病気の処置に有用な天然ホルモンおよびホルモン様薬物を含む。これらの薬物を用いて癌細胞を死滅させるかまたはそれらの成長を遅らせる場合には、それらは化学療法薬と考えられる。それらは、多くの場合、その効力を高めるために、他のタイプの化学療法薬と組み合わされる。例としては、プレドニソンおよびデキサメサゾンが挙げられる。
性ホルモンおよびホルモン様薬物を含む「ホルモン」は、女性または男性ホルモンの作用または産生を変化させる。それらは、通常、体内のホルモンレベルに反応して成長する、乳癌、前立腺癌、および子宮内膜(子宮の裏層)癌の成長を遅らせるのに用いられる。これらのホルモンは、典型的には標準的な化学療法薬と同じ様式で働かない。例としては、抗エストロゲン(タモキシフェン、フルベストラント)、アロマターゼインヒビター(アナストロゾール、レトロゾール)、プロゲスチン(酢酸メゲストロール)、抗アンドロゲン(ビカルタミド、フルタミド)、およびLHRHアゴニスト(ロイプロリド、ゴセレリン)が挙げられる。
「アルキル化剤」は、DNAに直接働いて癌細胞が複製するのを阻止する。この分類の薬物の場合、これら作用物質は時期特異的でない(換言すると、それらは細胞周期の全ての時期で働く)。これら薬物は、慢性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、ならびにある種の肺癌、乳癌、および卵巣癌に対し活性である。アルキル化剤の例としては、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イフォスファミド、ダカルバジン(DTIC)、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、およびメルファランが挙げられる。
その結晶性塩酸塩の形をした「ナイトロジェンマスタード」は、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、および脳腫瘍の処置に薬物として用いられる。ナイトロジェンマスタードは、細胞の遺伝性物質に突然変異を引き起こし、それによって有糸分裂または細胞分裂を破壊する。細胞のナイトロジェンマスタードに対する感受性は様々であり、急速に増殖している腫瘍および癌細胞が最も感受性である;赤血球を産生する骨髄もまた感受性であり、赤血球産生の低下はナイトロジェンマスタード治療に頻発する副作用である。ナイトロジェンマスタードはまた、免疫応答も抑制する(免疫を参照)。他のタイプとしては、芳香族マスタードメルファランおよびクロラムブシル、シクロホスファミド、HN1、ビス-(2-クロロエチル)、エチルアミン;HN2、ビス-(2-クロロエチル)、メチルアミン、ならびにHN3、トリス-(2-クロロエチル)、アミンが挙げられる。
「ニトロソウレア」は、一般的にはアルキル化剤に類似の方法で作用する。それらは、DNA修復を助ける酵素に干渉する。これらの作用物質は脳にまで移動しうることから、それらを用いて、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、および悪性メラノーマだけでなく脳腫瘍も処置することができる。ニトロソウレアの例としては、カルムスチン(BCNU)およびロムスチン(CCNU)が挙げられる。
「ホルモンアゴニスト」は、一つまたは複数のホルモンの活性を調節する化合物を含む。例としては、前立腺癌に関するロイプロリド(Lupron、Viadur、Eligard)、乳癌、前立腺癌に関するゴセレリン(Zoladex)、および卵巣癌、前立腺癌に関するトリプトレリン(Trelstar)、ならびに酢酸ナファレリン(Synarel)が挙げられる。
「微小管阻害剤」は、ビンカアルカロイド、タキソイド、およびベンズイミダゾールなどの化合物を含む。
本発明が意図する特に重要な化合物は、グルクロニドまたはグルクロニド抱合体である。本発明が包含するグルクロニドの例としては、モルヒネ-3-グルクロニド、モルヒネ-6-グルクロニド、リトコラートグルクロニド、レチノイルグルクロニド、インボキシル-β-D-グルクロニド、エストロン-3-グルクロニド、ドキソルビシングルクロニド、アンドロスタネオジオールグルクロニド、およびパラセタモールグルクロニドが挙げられるが、これらに限定されない。
一つの特定の態様では、治療作用物質は抗癌剤であるイリノテカンである。イリノテカンとHAの同時投与は、無毒のSN-38G型から有毒なSN-38型への変換を阻害する。HAは、βグルクロニダーゼの活性を阻害すると提唱されている。HAまたはその断片は、βグルクロニダーゼ変換についてSN-38Gと競合し、それにより胃腸(GI)管毒性を下げると思われる。
本発明に示すデータは、非生理学的に達成可能な濃度のヒアルロナン(860および10kDa)が、肝臓およびGI管組織由来の内因性βグルクロニダーゼの活性および管腔内容物に促進作用を及ぼしうることを証明している。しかしながらこれに対し低分子HA (2kDa未満)は、肝臓およびGI管組織由来の内因性βグルクロニダーゼに阻害作用を及ぼす(図1および2)。HAから2kDa未満の断片への異化反応により、SN-38GからSN-38への変換が妨害されうるが、これは外因的に投与されたHAが、CPT-11によって誘発される胃腸毒性の重篤度を低下させることができる有力なメカニズムである。
上記の、本発明の新規のHA/化学療法薬に基づく組成物および/または製剤(本明細書では「活性化合物」とも呼ばれる)は、投与に好適な薬学的組成物に組み入れることができる。このような組成物は、典型的には活性化合物および薬学的に許容される担体を含む。本明細書で用いる言語「薬学的に許容される担体」は、任意および全ての、薬学的投与に適合した溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張剤、および吸収遅延剤等を含むものとする。薬学的に活性な物質へのこのような媒体および作用物質の使用は、当技術分野で周知である。先に論じたように、補助活性化合物も組成物に組み入れることができる。
本発明の薬学的組成物は、その目的とする投与経路に適合するように調合される。投与経路の例としては、非腸管経路、例えば静脈内、皮内、筋肉内、骨内、皮下、口腔、鼻内、吸入、経皮(局所)、経粘膜、および直腸投与が挙げられるが、これらに限定されない。非腸管、皮内、または経皮適用に用いられる溶液または懸濁液は、下記の成分を含むことができる:注入用の水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒などの無菌希釈液;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミンテトラ酢酸などのキレート化剤;アセタート、シトラートまたはホスファートなどの緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの等張性調整剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基を用いて調整できる。非腸管調製物は、ガラスまたはプラスチックで作られたアンプル、使い捨てシリンジ、または複数回投与バイアルに封入できる。
注入使用に好適な薬学的組成物は、無菌の水溶液(水溶性の場合)または分散液、および無菌注入溶液または分散液を即時調製するための無菌粉末を含む。静脈内投与について、好適な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL. (商標) (BASF、Parsippany, N.J.)またはリン酸塩緩衝化食塩水(PBS)が挙げられる。組成物は無菌であることが好ましく、シリンジで容易に取扱いできる程度に流動的でなければならない。好適には、組成物は、製造および保管条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染活動に対し保護されていなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)、ならびにそれらの好適混合物を含有する溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用によって、分散剤の場合に要求される粒子サイズを維持することによって、ならびに界面活性剤の使用によって維持できる。微生物の活動の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等によって達成できる。多くの場合では、組成物中に等張剤、例えば糖、マンニトールのようなポリアルコール、ソルビトール、塩化ナトリウムを含めることが好ましいだろう。注入可能組成物の長期吸収は、吸収を遅延させる、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような作用物質を組成物中に含めることによってもたらすことができる。
無菌の注入溶液は、治療上有効なまたは便益的な量の活性化合物を、必要に応じて上記の構成要素の一つまたは組み合わせと一緒に、適切な溶媒中に組み入れ、続いて濾過滅菌することによって調製できる。一般的には、分散液は、活性化合物を、基本分散媒体および上記したものから必要とされる他の構成要素を含有する無菌ビヒクルの中に組み入れることによって調製される。無菌注入溶液の調整用の無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、事前に無菌濾過されたそれらの溶液から、活性成分に任意の追加の所望の構成要素を加えた粉末を生成する、真空乾燥および凍結乾燥である。
経口組成物は、一般的には不活性希釈液または食用担体を含む。好適な経口組成物は、例えばゼラチンカプセルに封入されるか、または錠剤に圧縮できる。経口治療投与を目的とする場合、活性化合物を賦形剤と一緒に組み入れ、錠剤、トローチ、またはカプセル剤の形で用いることができる。経口組成物はまた、口腔洗浄剤として用いるための液性担体を用いても調製でき、この場合液性担体中の化合物が経口的に適用され、局所使用され、吐出され、または飲み込まれる。薬学的に適合可能な結合剤、および/または補助物質を組成物の一部として含めることができる。錠剤、ピル、カプセル剤、トローチ等は、任意の下記の成分、または同様の性質を有する化合物を含有しうる:微結晶セルロース、トラガカントゴム、またはゼラチンなどの結合剤;デンプンまたはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、またはトウモロコシデンプンなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロート(Sterotes)などの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;ショ糖またはサッカリンなどの甘味剤;あるいはペパーミント、メチルサリチル酸、またはオレンジ香味料などの香味剤。
吸入による投与では、化合物は好適な発射剤、例えばヒドロキシフルオロアルカン(HFA)などの気体を含む加圧された容器またはディスペンサー、あるいは噴霧器からエアゾールスプレーの形態で送達される。あるいは、鼻内調製物は、乾燥粉末と共にHFAなどの好適な発射剤を含んでもよい。
全身投与はまた、経粘膜または系皮的手段によっても可能である。経粘膜または経皮投与では、浸透させる障害物に適切な浸透剤が製剤に用いられる。このような浸透剤は、当技術分野で一般的に公知であり、例えば、経粘膜投与に関しては、界面活性剤、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、鼻スプレーまたは坐剤を用いて達成できる。経皮投与に関しては、活性化合物は、当技術分野で一般的に公知であるように外用薬、軟膏、ゲル、またはクリームに調合できる。
化合物は、坐剤(例えばココアバターおよび他グリセリドなどの通常の坐剤基剤を用いて)または直腸送達用の滞留クリームの形に調合することもできる。
一つの態様では、活性化合物は、インプラントおよびマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤など、体から急速に排除されないように化合物を保護する担体を用いて調製される。エチレンビニルアセタート、ポリアンヒドリド、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生物分解性の生物適合ポリマーを用いることができる。このような製剤を調製するための方法は、当業者にとって明らかである。材料は、例えばAlza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Incから購入できる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いた感染細胞を標的とするリポソームを含む)はまた、薬学的に許容される担体としても用いることができる。これらは、当業者に公知である方法、例えば米国特許第4,522,811号に記載されている方法にしたがって調製できる。
経口または非腸管組成物は、投与を容易にし、かつ投与量を均一にするために、投与単位形状に調合することが特に有益である。本明細書で用いる投与単位形状とは、処置対象被験体用の単一投与量として好適な、物理的に分離した単位を指す;各単位は、所望する治療効果を生み出すように計算された所定量の活性化合物を、必要とする薬学的担体と一緒に含有している。本発明の投与単位形状に関する仕様は、活性化合物の固有の特性、および達成される具体的な治療効果、ならびに個体処置用のためのそのような活性化合物を調合することに付随する当技術分野の限界によって規定され、かつ直接依存する。
このような化合物の毒性および治療効力は、細胞培養または実験動物の標準的な薬学的手順によって、例えばLD50 (集団の50%にとって致死的な用量)およびED50(集団の50%にとって治療上有効な用量)を決定するための手順によって決定できる。毒性と治療効果との間の用量比が治療指数であり、それは比LD50/ED50で表される。大きな治療指数を示す化合物が好ましい。有毒な副作用を示す化合物も用いることはできるが、非感染細胞への潜在的傷害を最小限にとどめ、それによって副作用を下げるために、このような化合物が患部組織部位を標的とするような送達システムを設計するように配慮しなければならない。
細胞培養アッセイおよび動物研究から得たデータは、ヒトに使用するための投与量の範囲の処方に用いることができる。このような化合物の投与量は、毒性がほとんど無いか、または全くないED50を含む血中濃度範囲内にあることが好ましい。投与量は、この範囲内で、使用する投与形態、および利用する投与経路に応じて変動させてもよい。本発明の方法で使用するどの化合物についても、治療上有効な用量は、まずは細胞培養アッセイから推定することができる。用量は、細胞培養での決定と同様に、動物モデルにおいてIC50 (即ち症状の最大阻害の半分を達成する化合物の濃度)を含む循環血漿濃度域を達成するように処方できる。このような情報を用いて、ヒトで有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定できる。
薬学的組成物は、投与指示書(例えば書面)、特にSiglec-8発現細胞に関係する疾患または障害を含む、本明細書に開示されている障害または疾患を処置するための活性作用物質の使用に関する指示書と一緒に、容器、パック、またはディスペンサーに入れることができる。
本発明はまた、血流または他生物体液中での、タンパク質、ペプチド、および抗体などの特定の治療作用物質の半減期延長または安定性維持にも有用である。
以下の非限定実施例は、本発明の例示である。本明細書に記載されている全ての文書は、参照により、全体として本明細書に組み入れられる。
実施例1
HA濃度および分子量がインビトロでの胃腸管組織内のβグルクロニダーゼ活性および胃腸管内容物におよぼす効果の決定
GI管組織ホモジェネートおよびGI管(管腔)内容物の超音波処理物の調製
回腸、盲腸、胃腸(GI)管の横行および下行結腸の一部を、オスの非近交系Sprague Dawleyラットから切り出した。次に各切片から管腔内容物を取り出して、重量を測定した。次に各組織切片を氷冷0.9%w/vの塩化ナトリウム溶液で十分に濯ぎ洗いし、重量を測定した。次に回腸、盲腸、横行および下行結腸を、Ultra-Turrax組織ホモジェナイザーを用いて氷冷リン酸カリウム緩衝液の中で10分間ホモジェナイズした。回腸、盲腸、横行および下行結腸から回収された管腔内容物もまた同様にしてホモジェナイズした。全てのサンプルは、次に超音波破壊に4分間付し、続いて4℃、30分間、6000gavの遠心分離にかけた。得られた上清を、BCA法を用いてタンパク質含有量について定量化した。
肝臓組織ホモジェネートの調製
肝臓は、重力を測定してから0.2% v/vのTritonX-100を含む氷冷20mMのTris/HCl pH7.5緩衝液内で5〜10分間ホモジェナイズし、次に4℃で30分間、6000gavの遠心分離にかけた。BCA法を用いて上清をタンパク質含有量について定量化し、小分けして、使用するまで-20℃で保管した。
4-メチルウンベリフェロン(4-MU)標準曲線の作成
これらの実施例のために、1単位のβグルクロニダーゼ活性は、1時間当たり、1mgについて1nmolの4MUが遊離するものと定義した(Sands et al. Protocols for Gene Transfer in Neuroscience 263-274, 1996)。これに従い、相対蛍光(アッセイした組織および管腔内容物ホモジェネート由来の)から酵素活性単位への変化を可能にするために、4-MUの標準曲線を0〜10単位のβグルクロニダーゼ活性の範囲で作成した。
アッセイの準備の前に、肝臓ホモジェネートは0.8mg/mLまで、GI管および管腔内容物は0.1mg/mLまで希釈した。
様式MW860kDaおよび10kDaのヒアルロナンストック10mg/mlを、表1にしたがって希釈したサンプルに加えた。この場合、アッセイに各サンプルを100μl使用した場合、固定量のタンパク質に対するHAの濃度範囲は、10μg、40μg、80μgおよび100μg HA/μgタンパク質であった。
(表1)
Figure 0005465431
25mg/mlの、分子量2kDa未満のヒアルロナンストックを、表2にしたがって希釈したサンプルに加えた。この場合、アッセイに各サンプルを100μl使用した場合、固定量のタンパク質に対するHAの濃度範囲は、10μg、40μg、80μgおよび100μg HA/μgタンパク質であった。
(表2)
Figure 0005465431
HAを加えた後、全てのサンプルを十分混合してから一晩、37℃でインキュベートし、その後それらを用いてβグルクロニダーゼ活性を定量化した。
βグルクロニダーゼアッセイ:96ウエルプレート法
GI管アッセイでは、100μlのサンプル(3.33μg)、100μlの基質、および100μlの停止緩衝液を用いた。アッセイは、底が透明な黒色の96ウエルプレートを用いて三重測定で実施した。コントロールサンプルとして、生物サンプルに代わって同一容積の75mMのリン酸カリウム緩衝液を用いた。反応は、適切容積の500μMの4-メチルウンベリフェリル-β-D−グルクロニド(4-MUBG)基質を各試験ウエルおよびブランクウエルに加えて開始した。プレートをは、37℃で1時間インキュベートし、その後停止緩衝液を各ウエルに加えた。次に各ウエル内に生成された産物量は、350nmで励起し450nmで蛍光を記録するFluostar Optimaプレートリーダーを用いて記録した。
実施例2
HA濃度および分子量がインビトロでの肝臓βグルクロニダーゼ活性に及ぼす効果の決定
肝臓ホモジェネートストックを、アッセイで使用する前に0.8mg/mLに希釈した。ヒアルロナン(860kDa、10kDa、および2kDa未満)は、リン酸カリウム緩衝液で、8mg/ml、3.2mg/ml、1.6mg/ml、0.4mg/ml、0.2mg/ml、0.04mg/ml、0.02mg/ml、および0.0008mg/mlまで希釈した。次に0.8mg/mlの肝臓ホモジェネートの一部を同一容積の各HA希釈調製物と十分混合して、37℃で一晩インキュベートした。翌日、サンプルを軽くたたいて混合した後、βグルクロニダーゼの活性の定量化した。サンプル調製については表3を参照されたい。
(表3)
Figure 0005465431
データの分析
生の蛍光測定値は、ブランクコントロールサンプルを用いてバックグランド蛍光について補正した。既知量の4-MUの標準曲線、即ちβグルクロニダーゼ活性の単位を用いて、次に補正した蛍光測定値を酵素活性の単位に変換した。次に下記式を用いて、βグルクロニダーゼの酵素活性のパーセンテージ変化を決定した。
Figure 0005465431
パーセンテージ変化の平均、パーセンテージ変化の標準偏差(SD)、およびパーセンテージ変化の平均の標準誤差(SEM)を決定し、グラフを描いた。全てのアッセイ測定は、三重測定で行った。
βグルクロニダーゼの活性の定量化のための標準曲線の確立
これら実施例のために、βグルクロニダーゼ酵素の1単位は、一時間当たり1ナノモルの4-MUの生成に等しい(Wolfe & Sands Protocols for Gene Transfer in Neuroscience, 1996)。4-MU反応の最終産物の濃度を変えることによって、既知量のβグルクロニダーゼ活性に対する相対蛍光単位に関係する標準曲線を用意した。0.01μm〜50μmの4-MUの濃度範囲を用いることによって、0.01〜10単位のβグルクロニダーゼ活性に関する標準曲線を作成した。標準曲線は、表4に示すように、平均r2係数=0.99 (n=5)を有する、0.001〜5単位のこの範囲の直線であった。
(表4)
Figure 0005465431
実施例3
HA分子量および濃度がインビトロでのGI管組織ホモジェネート中のβグルクロニダーゼ活性に及ぼす効果の決定
2kDa未満のHAの評価
胃腸管由来の組織ホモジェネート中のβグルクロニダーゼの活性に及ぼす2kDa未満のHAの効果について決定した。未処置の組織サンプルと比較したβグルクロニダーゼ活性のパーセンテージ変化として表したβグルクロニダーゼ単位の定量値(平均±SEM)を表5および図1に示す。HAが、40μg、80μg、および100μgの時に、βグルクロニダーゼ活性は有意低下した。本アッセイにおける最高濃度のHAを使用した時(100μg)、βグルクロニダーゼ活性は最大64%阻害された。
盲腸をアッセイし、最高のβグルクロニダーゼ活性を有することが判明したため、さらにHAを8〜0.5μg HA/μgタンパク質について用量滴定した。
(表5)
Figure 0005465431
2kDa未満のHAの活性閾値の濃度決定
HAを、下記の0.5〜8μg HA/μgタンパク質の範囲を包含するようにさらに滴定し、盲腸由来の組織ホモジェネートについてアッセイを繰り返した。未処置組織サンプルと比較した、活性のパーセンテージ変化として表したβグルクロニダーゼ単位の定量値(平均±SEM)を、表6および図2に示す。
(表6)
Figure 0005465431
10kDaのHAの評価
胃腸管由来の組織ホモジェネート中のβグルクロニダーゼの活性に及ぼす10kDaのHAの効果について決定した。未処置組織サンプルと比較した、βグルクロニダーゼ活性のパーセンテージ変化で表したβグルクロニダーゼ単位の定量値(平均±SEM)を表7に示す。HAは、40μg、80μgおよび100μg/μgタンパク質で、βグルクロニダーゼ活性を有意に上昇させた。100μg HA/μg組織の時、βグルクロニダーゼ活性は最大43%増加した。
(表7)
Figure 0005465431
860kDaのHAの評価
胃腸管由来の組織ホモジェネートのβグルクロニダーゼ活性に及ぼす、分子量860kDaのHAの効果について決定した。未処置組織サンプルと比較した、βグルクロニダーゼ活性のパーセンテージ変化で表したβグルクロニダーゼ単位の定量値(平均±SEM)を表8に示す。80μgおよび100μg HA/μgタンパク質の時、回腸、盲腸、および横行結腸のβグルクロニダーゼ活性は上昇した。HAの濃度が80μg HA/μgタンパク質以上に増加した時、βグルクロニダーゼ活性は最大41%増加した。
(表8)
Figure 0005465431
実施例4
HA濃度および分子量がインビボでの胃腸管組織および胃腸管内容物中のβグルクロニダーゼ活性に及ぼす効果の決定
オスのSprague-Dawleyラットを、Monash Animal Central Services (Monash University, Clayton)から購入した。環境に一週間順応させた後、ラットを無作為に各処置群(n=5)に割り振った。次に各動物を固定して、試験物質(表9参照)を側部尾静脈から単回ボーラス注射した。
(表9)処置群ならびにCPT-11およびHAの用量
Figure 0005465431
表9に示した各試験物質の単回静脈注射、各処置条件のラットを、90分、3時間、および6時間目に屠殺した。HPLCを用いたCPT-11、SN-38、およびSN-38Gの定量化を行うまで、血液ならびに肝臓、小腸、大腸、脾臓、および腎臓の一部分を切り取り、重量を測定し、直ちに凍結した。
血液サンプルからのCPT-11およびSN-38の抽出
CPT-11およびSN-38は、最大量(200μl)の血液サンプルから、0.1%のオルトリン酸のメタノールおよびアセトニトリル(60:40)の溶液400μlを加えて抽出した。次に、サンプルを1分間ボルテックスし、続いて1時間、撹拌しながら室温で抽出した。抽出完了後、サンプルを2分間ボルテックスし、4℃、13000gavで5分間、遠心分離に供した。次に上清を風乾した。
風乾したサンプルを200μlのHPLC移動相に再構成した後、次にサンプルを5分間ボルテックスし、4℃、13000gavで5分間、遠心分離に供した。次に得られた上清を、表10に示した溶出条件を用いて、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析した。
(表10)CPT-11およびSN-38の検出および定量化に用いたHPLC条件
Figure 0005465431
器官および便サンプルからのCPT-11およびSN-38の抽出
臓器および便サンプルは、CPT-11およびSN-38抽出前にホモジェナイズした。次にCPT-11およびSN-38を、器官および便から、各サンプル50mgに0.1%のオルトリン酸のメタノールおよびアセトニトリル(60:40)溶液を400μl加えて抽出した。2分間ボルテックスした後、全てのサンプルを、定期的に撹拌しながら室温で1時間インキュベートし、その後サンプルを4℃、13000gavで10分間、遠心分離した。次に得られた上清を清浄なエッペンドルフチューブに移し、次に風乾してから200μlのHPLC移動相に再構成した。次に全てのサンプルを4℃、13000gavで5分間、再度遠心分離し、続いて表10に示した溶離条件を用いた逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。
血液または組織ホモジェネート中のSN-38Gレベルの推定
血液サンプル、組織ホモジェネート、ならびに小腸および大腸からの便を、15倍量(w/v)の冷メタノール(-20℃)と混合してから、ホモジェネートが溶液になるまでボルテックスした。4℃、3000gavで2分間、遠心分離した後、上清を清浄なエッペンドルフ微量遠心分離チューブに移した。
クロマトグラフィーによる分離は、TSKゲルODS-80TSカラム(150×4.6mm I.D.,)および移動相勾配を用いて行った。移動相AおよびBは、それぞれ0.075Mの酢酸アンモニウム緩衝液(pH6.4)およびアセトニトリルであった。勾配溶離は、下記の移動相Bの直線プログラムにしたがって行われた:0時間、15%;6分、30%;9分、55%;13分、55%、および15分、15%;この時の流速は1.1ml/分であり、合計の運転時間は20分間であり、カラム温度は40℃に保たれたが、オートサンプラーは4℃に保った。蛍光検出器は、励起波長355nm、発光波長515nmに設定した。
計算
標準物質およびサンプルのピーク面積をスプレッドシートに手入力すると、標準曲線をグラフになるであろう。サンプル量は標準曲線から外挿し、サンプルの最終計算は次のようにして計算する。
Figure 0005465431
CPT-11またはSN-38の量=濃度×再構成後の容積
Figure 0005465431
データは平均±semの形でグラフにして表される。処置群間および時点間の比較は、パラメトリックt検定分析を用いた統計分析により行った。正規分布する場合のノンパラメトリック分析の実行は、Mann-Whitney順位検定を用いて行った。
結果
表11〜14は、表9に示した全実験群からのCPT-11、SN-38、およびSN-38Gに関する薬物動態および薬力学データをまとめている。
(表11)イリノテカンを60mg/kgの用量で投与した時の、小腸内のSN-38の組織分布に及ぼすHA用量調節の効果(図3参照)
Figure 0005465431
(表12)イリノテカンを60mg/kgの用量で投与した時の、小腸内のSN-38Gの組織分布に及ぼすHA用量調節の効果(図4参照)
Figure 0005465431
表11〜14に見られるように、イリノテカン併用HA製剤(HyCAMP)が示した主な薬物動態および薬力学的効果は次の通りである:
i. 血流中により大量のCPT-11代謝物SN-38が存在しており、薬物の胆汁排泄および腸輸送の変化したことを証明しているが、これはHAがcMOAT輸送タンパク質および排泄チャンネルの活性を変えた結果と思われる。
ii. 小腸内では、SN-38はより少なく、SN-38Gがより多く存在しており、HAが小腸のβグルクロニダーゼの活性を阻害し、その結果、胃腸毒性が低下することを明白に証明している。
(表13a)ラットにおけるHyCAMP (13/30)およびHyCAMP (26/30)およびHyCAMP (55/30)製剤の薬物動態および薬力学
Figure 0005465431
(表13b)ラットにおけるHyCAMP (13/30)およびHyCAMP (26/30)およびHyCAMP (55/30)製剤の薬物動態および薬力学
Figure 0005465431
(表14a)ラットにおけるHyCAMP (13/60)およびHyCAMP (26/60)およびHyCAMP (55/60)製剤の薬物動態および薬力学
Figure 0005465431
(表14b)ラットにおけるHyCAMP (13/60)およびHyCAMP (26/60)およびHyCAMP (55/60)製剤の薬物動態および薬力学
Figure 0005465431
実施例5
HA分子量および濃度が肝臓のβグルクロニダーゼの活性に及ぼす効果の決定
肝臓βグルクロニダーゼの活性に860、10、および2kDa未満のHAが及ぼす効果を決定した。未処置組織サンプルと比較したβグルクロニダーゼ活性におけるパーセンテージ変化で表したβグルクロニダーゼ単位の定量値(平均±SEM)を表15に示す。10および860kDAのHAはβグルクロニダーゼの活性を最大36%増加させたが、2kDa未満のHAは酵素を約61%と顕著に阻害した。
(表15)
Figure 0005465431
実施例6
ヒアルロナンが塩酸イリノテカン(CPT-11)ならびにその代謝物、SN-38およびSN-38Gの胆汁排泄および腸漏出の両方に及ぼす影響
静脈用量向け調製物HyCAMP (商標)およびイリノテカン
20mg/mLのCPT-11ストックは、発熱物質を含まない0.9%の注射等級NaCl液(w/v)で10mg/mLまで希釈し、30または60mg/kgイリノテカンの送達を目指して個々の動物の質量に基づいてイリノテカン注射液を個別に調製した。
10mg/mlの注射用HA水溶液をHAストックとして用い、26.6mg/kgのHAが投与できるように注射液を動物の質量に基づいて調製した。
HyCAMP (商標)(イリノテカンと一緒に調合されたヒアルロナン)は、注射直前に調製した。次にHyCAMP (商標)注射液は、動物の質量1kg当たり26.6mg/kgのHAならびに動物質量1kgあたり60および30mgのイリノテカンの送達を目指して個々の動物の質量に基づいて調製した。
実験動物モデル:インサイチュー潅流
動物の説明
オスのWistarラットを無作為に実験動物群に分けた(n=6/群)。処置は、ラットが所望の開始体重280〜340gに達した時点で開始した。実験前ラットは、飲料水を自由に摂らせながら一晩絶食させた。
インサイチュー潅流
ラットは、エチルカルバマート(1.2g/kg)を腹腔内(i.p)注射して麻酔した。正中腹部切開を行い、小腸を露出させた。上部十二指腸および回盲部にポリエチレンチューブをカニューレ処理した。小腸を37℃の食塩水で洗浄し、乳酸添加リンゲル液を1.3ml/分の速度で、十二指腸から小腸を通り回盲部まで潅流した。2〜3分間かけてCPT-11またはHyCAMP (商標)を大体静脈から30mg/kgまたは60mg/kg静脈投与した。薬物投与後、5分間潅流させて平衡化させた。血液サンプル(0.4ml)は、大体動脈に入れたカニューレから、0、7.5、15、30、60、120、180、および240分時に採取した。潅流液もまた、回腸排出流から、0、15、30、60、120、180、および240分時に回収した。胆汁サンプルは、総胆管に差し込まれたカニューレから、0、15、30、60、120、180、および240分時に回収した。血清を、4℃、2分間の10,000gavの遠心分離によって直ちに分離し、アッセイまで-80℃で保管した。血液、胆汁、および潅流液の回収が完了した後、ラット屠殺し、組織(肝臓、脾臓、腎臓、および小腸)を取り出し、-70℃に直ちに保管した。
総CPT-11、SN-38、およびSN-38G(ラクトンおよびカルボキシラート型)の検出および定量化のための分析方法
HPLCシステムおよび運転条件
クロマトグラフィー分離は、TSKゲルODS-80TSカラム(150×4.6mm I.D.)および移動相勾配を用いて行った。移動相AおよびBは、それぞれ0.075Mの酢酸アンモニウム緩衝液(pH6.4)およびアセトニトリルであった。勾配溶離は、下記の移動相Bの直線プログラムにしたがって行った:0時間、15%;6分、30%;9分、55%;13分、55%、および15分、15%;この時の流速は1.1ml/分であり、合計の運転時間は20分間であり、カラム温度は40℃に保ったが、オートサンプラーは4℃に保った。蛍光検出器は、励起波長355nm、発光波長515nmに設定した。
サンプル調製およびHPLC分析
血清、小腸液、および胆汁
蛍光検出器を備えたHPLCシステムを用いて、CPT-11、SN-38、およびSN-38Gを決定した。簡単に説明すると、ポリプロピレンチューブ中の一部50〜100μlを、0.2μg/mlのカンプトテシンを内部標準として含有するアセトニトリル100ulに加えた。チューブを5秒間ボルテックス混合し、-10℃にて、8000rpmで2分間遠心分離した。上清部分(100μl)を新しいチューブに移し、リン酸(pH3.0) 100μlを加えた。溶液を短時間ボルテックス混合し、室温に1時間放置してCPT-11、SN-38、およびSN-38Gをそれぞれ、それらのラクトン型に変換した。その一部20μlを上述のカラムに注入した。
組織サンプル
組織レベルの分析のために、組織サンプルを15倍容積量(W/V)の冷メタノール(-20℃)中でホモジェナイズしてから4℃で、3000rpm、2分間遠心分離した。上清(100μl)を新しいチューブに移し、これに移動相緩衝液70μlを加えた。溶液を短時間ボルテックス混合し、その一部50μlをカラムに注入した。
薬物動態分析
CPT-11、SN-38、SN-38G、およびAPC
総CPT-11、SN-38、およびSN-38Gの血清濃度-時間曲線下面積(AUC)は、台形公式を用いて計算した。CPT-11、SN-38、SN-38G、およびAPCの見かけ上の胆汁および小腸クリアランスは、4時間の間に胆汁に排泄されたか、または潅流液中に漏出した薬物の総量を、0時〜4時までのAUCでそれぞれ除して計算した。不対のt検定を用いて、薬物動態パラメータを評価した。p<0.05の確率水準を有意とした。
実験群、投与量、および投与頻度
6つの処置群(n=6)が、下記の薬物の組み合わせ、および記載の投与量の投薬を受けた。各製剤の単回静脈内注射の内容、および投与量は下記の通りである;
群1:イリノテカン(30)
群2:HyCAMP (商標) (26.6/30):(HAおよびイリノテカンを含む製剤)
群3:イリノテカン(30) 15分前にヒアルロナン(26.6)を投与
群4:イリノテカン(60)
群5:HyCAMP (商標) (26.6/60):(HAおよびイリノテカンを含む製剤)
群6:ヒアルロナン(26.6)
投与された用量は、下記式を用いて計算した。
注射された容積(mL)=注射前のシリンジの質量(g)-注射後のシリンジの質量(g)
注射された質量(mg)=注射液中の薬物/HAの濃度(mg/mL)×注射された容積(mL)
Figure 0005465431
30mg/kgイリノテカン静脈内投与後の血清濃度
抽出サンプルは全てHPLC分析前に酸性化した。したがって、示した結果は全てCPT-11、SN-38、およびSN-38Gのラクトン型を表している。
胆汁排泄プロフィール、イリノテカン(30)
イリノテカン(30)、HyCAMP (商標) (26.6/30)、またはイリノテカン(30) 15分前HA (26.6)をラットに投与した後、所定の時間に回腸排出流および総胆管に差し込まれたカニューレから排出流を集め、CPT-11、SN-38、SN-38G、およびAPCについて分析した。
CPT-11の胆汁排泄
図5aは、CPT-11の累積胆汁排泄率を示す。HyCAMP (商標)が投薬されたラットではCPT-11排泄量が少ない傾向があるものの、それらの差は有意ではなかった(図5a)。HA投与後にイリノテカンが投与されたラットにおけるCPT-11の胆汁排泄は、CPT-11処置群で観察されたものと同等であった(図5a)。HyCAMP (商標)とHA + イリノテカン群の間の差は、90〜240分間については統計学的に有意であり(p=<0.05)、製剤HyCAMP (商標)はCPT-11の累積胆汁排泄を低下させた。
SN-38の胆汁排泄
SN-38に関しては、HyCAMP (商標)処置群およびイリノテカン単独処置群の両方で同様の胆汁排泄プロフィールが観察された(図5b)。ラットにCPT-11の前にHAを投与した場合、投与15分後のSN-38の量は他の処置群に比べ約2.5倍少なかった(図5b:CPT-11群1300ngに対し、HA + CPT-11群で522;p=<0.05)。この群では、一貫してSN-38の累積胆汁排泄はより低い傾向にあったが、以後の全時点については有意でなかった。
SN-38Gの胆汁排泄
SN-38Gの胆汁排泄を比較すると、HyCAMP (商標)処置されたラットの不活性代謝物の含有量は、イリノテカン単独投与ラットに観察されたものより少ない傾向にあった(図5c)。これらの差は、有意とは見なされなかった。イリノテカン前にHAが投与されたラットでのSN-38Gの胆汁排泄は、CPT-11処置群と同等であった(図5c)。興味深いことに、HyCAMP (商標)処置群とCPT-11前にHAが投与された処置群との差は、投与後30〜240分間については有意であり、HyCAMP (商標)群の胆汁SN-38G含有量の方が少なかった(図5c)。
APCの胆汁排泄
HyCAMP (商標)投与は、APCの胆汁排泄を、CPT-11単独投与ラットで観察された胆汁排泄に比べて有意に低下させた(約5倍少ない) (図5d)。このことは、この処置群に観察されたAPCの低血清レベルと関係している。全ての時点で、これらの結果は有意であった(p=<0.05)。これは、CPT-11前にHAが投与されたラットと似た傾向を示しており、ABCの胆汁排泄は減少傾向を示すものの、イリノテカン処置ラットと比べて有意ではなかった(図5d)。HyCAMP (商標)処置群とCPT-11前HA投与処置群間のAPC胆汁排泄の差は、投与後30および60分間の時点で有意であった。
胆汁排泄プロフィール、イリノテカン(60)
CPT-11の胆汁排泄
親化合物のCPT-11は、イリノテカン処置動物およびHyCAMP (商標)処置動物の両方において、胆汁を介して排泄された注射物質の中で最大の比率を占めた。HyCAMP (商標)が投与されたラットでは、累積胆汁排出量は、イリノテカンと一緒に投与された動物に観察された排出量のおよそ半分であった(図6a:90分の時点でHyCAMP (商標)が653μgであったのに対しCPT-11では1388μg:p=<0.05)。処置群間の差は、30と180分間の間について有意であった。
SN-38の胆汁排泄
活性代謝物、SN38の胆汁排泄は、ラットにHyCAMP (商標)を投与するかイリノテカンを投与するかに係わらず同等であった(図6b)。最終時点の値は一匹のみのラットの値であり、それ故に240分時点のSN38レベルとHyCAMP (商標)値間の比較については論評出来ない。
SN-38Gの胆汁排泄
不活性代謝物である、SN-38Gの胆汁排泄は、イリノテカンをHyCAMP (商標)として投与した時に影響を受けた(図6c)。SN-38G排泄が約2倍低い120分時点だけが有意であったが、HyCAMP (商標)を注射されたラットでは、全体的に胆汁経路から排泄されるSN-38は少ない傾向が見られた。
APCの胆汁排泄
30mg/kgの投与実験で観察されるように、HyCAMPの効果は、不活性代謝物であるAPCの胆汁排泄に対して最も顕著であり(図6d)、イリノテカン単独投与されたラットと比較した場合HyCAMPラットでは約5〜2倍少ないAPCが観察された。処置群間の差は、30から120分時の間で有意であった(p=<0.05)。このプロフィールは、この処置群に観察されたAPCの低血清レベルと相関する。
腸漏出、イリノテカン(30)
CPT-11および代謝物の腸漏出
腸の累積漏出量は、腸膜を介して血液からの漏出によって腸管腔内に入ったCPT-11およびその代謝物の量を表す。この分泌様式では、HyCAMP (商標) (26.6/30)は、CPT-11に対してだけでなくSN-38、SN-38G、およびAPCについても最も顕著な効果を示す。その様子を、それぞれ図7a、b、c、およびdに示す。
CPT-11の腸漏出
HyCAMP (商標)を投与されたラットの腸管腔内に入ったCPT-11の量は、CPT-11が投与された動物に観察された量よりも約2倍少なかった(図7a:120分、CPT-11で525μgであったのに対しHyCAMP (商標)で287μg)。最初の二つの時点を除き、全ての時点で有意であった。CPT-11は、腸管口内で計量された全代謝物の中で最も多くを占めた。HAがCPT-11の腸漏出にこの効果を発揮するためには、HyCAMP (商標)の形で投与しなければならない。この記述は、イリノテカン単独投与されたラットに似たCPT-11の腸漏出プロフィールが観察された、イリノテカンの前にHAを投与されたラットからのデータによって実証される(図7a)。HyCAMP (商標)とHA + CPT-11との間の、CPT-11腸分泌の差は、60分から実験の最終点まで有意であった(図7a)。
SN-38の腸漏出
CPT-11をHyCAMP (商標)の形で投与した場合、回腸潅流液中に収集された活性代謝物のSN-38は、イリノテカンを投与されたラットに比べて約2倍低かった(図7b:120分時点;CPT-11の場合1411ng/分であったのに対しHyCAMP (商標)で696ng/分:p=<0.05)。二処置群間の差は、実験の60〜240分間で有意であった。これは、イリノテカン投与前にHAが投与されたラットと似た傾向であったが、この群とイリノテカン処置群間の差は有意ではなかった(図7b)。HyCAMP (商標)処置ラットおよびHA + CPT-11処置ラットの両方のSN-38の腸漏出データは同等と考えられた。
SN-38Gの腸漏出
イリノテカンが投与されたラットの腸管腔内に特徴的な不活性代謝物SN-38Gの量は、HyCAMP (商標)投与ラットに観察された量と有意に異なった(図7c)。具体的には、HyCAMP (商標)処置ラットに見られたSN-38Gの量は、イリノテカン群と比べて2からほぼ3倍少なかった(図7c:180分時点;イリノテカン群22μgに対しHyCAMP (商標) 9μg:p=<0.05)。処置群間の差は、実験60〜240分の間で有意であった。SN-38Gの腸漏出は、イリノテカン前にHAが投与されたラットでも影響を受けた(図7c)。この投与方法で投与されたラットとイリノテカン単独注射されたラット間の差は、実験90分から最終点まで有意であった(図7c:180分時点;イリノテカン群22μgに対しHA + CPT-11群15μg:p=<0.05)。最大のSN-38G腸漏出の調節は、HyCAMP (商標)群に観察されたが、それはイリノテカン前にHAが投与されたラットと比較した場合、全ての時点で有意ではなかった。
APCの腸漏出
血清および胆汁排泄プロフィールで観察された様に、APCの腸漏出についてもHyCAMP (商標)が最も顕著な効果を示し、二処置群間の倍率差は、HyCAMP (商標)投与ラットでAPCは約14〜27倍少なかった(図7d参照:イリノテカン群1500ngに対しHyCAMP (商標)群で92ng)。これら二群間の差は、全ての実験時点で有意であった。この場合も、HAをイリノテカンの前に投与すると、腸管腔内に蓄積するAPCが少なくなる傾向があったが、有意ではなかった。
腸漏出、イリノテカン(60)
CPT-11の腸漏出
CPT-11は、腸膜を介した血液からの漏出により腸管腔内に入った注射物質の中で最大の割合を占めた(図8a)。この様式で腸管腔内に入ったCPT-11の量は、処置群の間で同等であった。
SN-38の腸漏出
初期時点の15分および30分では、イリノテカン単独投与ラットに比べるとHyCAMP投与ラットで約2倍の量のSN-38が腸管腔内に入った(図8b)。これは、投与後180分まで一貫した傾向であったが、二群間の差は有意ではなかった。このことは、HyCAMP (商標)投与ラットでは血液循環中のSN-38レベルが高く、イリノテカン処置ラットと比べた時にこのレベルが有意に高いことを考える時に特に興味深い。
SN-38Gの腸漏出
不活性代謝物SN-38Gの場合、両処置群の比較では同様の値が腸漏出に見出せるが、より遅い時点(180分)ではHyCAMP (商標)投与ラットに観察されるSN-38Gのほうが少なかった(図8c)。これらの値は有意ではなかった。
APCの腸漏出
これまでの観察と一貫して、HyCAMP (商標)投与ラットのAPCの腸漏出は、注射後15分以後の全ての時点で有意に低かった(約3〜5倍低い) (図8d)。
データの考察
この研究は、CPT-11、SN-38、SN-38G、およびAPCの薬物動態に及ぼすヒアルロナンの効果について記載している。これらパラメータに加えて、これら化合物が胆汁経路から排泄される率および血流から腸管管腔に漏出される率についても評価した。この研究は、ヒアルロナンがイリノテカンの胃腸毒性プロフィールを下げる方法についての考え得る洞察を提供するために行われた。ヒアルロナン/イリノテカン製剤は、同一投与量のイリノテカンを単独投与されたラットに比べ、胃腸毒性を低下させる。組織病理検査は、小腸および大腸の重症障害が少ないことを明瞭に示した。具体的には、イリノテカン単独投与ラットに比べると、本発明の製剤で処置された場合、ラットの回腸および盲腸領域の障害は少なかった。事前臨床観察に加えて、最近終了した第I相臨床試験において、患者についてもGI管毒性の低下が観察された。
CPT-11およびSN-38は共に、水溶液中の各化合物を可逆的にpH依存的加水分解およびラクトン化反応できるα-ヒドロキシ-δ-ラクトン環を有している。酸性条件下では閉環ラクトン型が主であり、アルカリ条件下では開環カルボキシラート型が主である。CPT-11およびSN-38両方について、これら二つの型の相互変換が研究されており、pH7.6および5.6においてカンプトテシンがラクトン型およびカルボキシラート型で存在するパーセンテージはそれぞれ11.7%および90.8%であることが示されている。これに加えて、pH7.4および6でのCPT-11およびSN-38のラクトン型およびカルボキシラート型のパーセンテージは、それぞれ10%および90%であることも示されている[52]。それ故に、血液の主なpH(約7.4)では、平衡状態はラクトンを加水分解して開環し、カルボキシラート型を生じる方向に傾いている。
本発明者らは、CPT-11の生物変換に関与する以下の酵素について、各種分子量のHAの効果を検証するインビトロ研究を行った。
1. カルボキシルエステラーゼ
2. βグルクロニダーゼ
各酵素の供給源としては、肝臓およびGI管の組織ホモジェネートを用いた。これらの研究は、HAがカルボキシルエステラーゼの活性に影響を及ぼさないが、2kDa未満のHA断片は生理学的に意味のある濃度で肝臓およびGI管抽出物中の両方のβグルクロニダーゼの活性を阻害することを明瞭に示した。CPT-11が肝臓で活性化された後、過剰量のHA断片(2kDa未満)が存在すると、SN-38GがSN-38に戻る脱抱合化が阻害され、胆汁経路からGI管内に排泄されるSN-38は減少する。このメカニズムに加えて、GI管の管腔内のβグルクロニダーゼの阻害がSN-38GからのSN-38の生成を阻止するだろう。
試験した全ての分子量のヒアルロナンは、カルボキシエステラーゼ活性を変化させなかった(阻害作用も促進作用のいずれも観察されなかった)。これらの発見は、不活性代謝物APCの血清レベルが低いことを踏まえてこの研究結果を考える際に記憶にとどめることが重要である。具体的には、ヒアルロナンがチトクロームP450を介したCPT-11の酸化的代謝を調節および/または阻害し、その結果CPT-11の不活性代謝物のAPCの形成を低下させた。
より高用量のイリノテカン(60)を含有する製剤、HyCAMP (商標) (26.6/60)処置は、同様の傾向をもたらしたが、SN-38の血清レベルおよびAPC形成についてより注目した。ヒアルロナン/イリノテカン処置ラットは、イリノテカン単独処置ラットと比較した時に、CPT-11およびSN-38Gのレベルが同様であるにも係わらず、SN-38レベルは有意な上昇を示し、これは有意に低いAPCと相関した。この結果は、低用量時の観察を補強し、かつイリノテカン/ヒアルロナン製剤の投与がチトクロームP450酸化経路を乱して、CPT-11がカルボキシルエステラーゼ経路に向けられ、その結果より多くのSN-38が産生されることを示している。
イリノテカン(30)だけが投与されたラットと比べると、ヒアルロナン/イリノテカン(26.6/30)の製剤が投与されたラットは、血清-経時変化実験について初期時点で僅かな違いを示した。具体的には、注射後平衡化した後(5分)低CPT-11が観察され、これに相関してSN-38のレベルが一過性に増加した。その後の時点については有意ではないが、イリノテカン単独投与ラットと比較して、血清での低CPT-11および高SN-38レベルの傾向が見られた。HAは、ウリジン二リン酸グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)が触媒する解毒段階である、グルクロニド成分へのSN-38の抱合によって形成されるSN-38Gのレベルに、CPT-11の生物活性化を超えて、より明瞭な効果をもたらした。ヒアルロナン/イリノテカン処置群とイリノテカン単独処置群間の差は、投与後30分まで有意であった。このSN-38Gの誘導形成への効果は、ヒアルロナン/イリノテカン製剤を投与したラットだけに観察される。興味深いことに、本発明者らがイリノテカン投与15分前にHA (26.6)が投与されたラットにおける血清SN-38Gプロフィールの経時変化を調べたところ、SN-38Gは最初増加し、次に投与120分後まで定常状態を保ったのに対し、イリノテカン投与ラットでは同様に初期増加を示したが、それはヒアルロナンおよびイリノテカンが一緒に投与されるヒアルロナン/イリノテカン製剤で処置された動物と同等のレベルにまで低下した。これは、イリノテカン15分前にHAが投与されて、HAの異化反応に関係する酵素、特にβグルクロニダーゼの動態を飽和させた場合に、肝臓βグルクロニダーゼが阻害されることを示している。これに対しヒアルロナン/イリノテカン投与ラットはこの傾向を示さないが、これは、おそらく併用製剤の形をしたHAが、UGTが触媒するSN-38からSN-38Gへのグルクロニド抱合反応を妨害することを表している。
より高用量のヒアルロナン/イリノテカン(26.6/60)では、胃に排泄されるCPT-11およびSN-38Gの量は、イリノテカン単独投与ラットで観察される量のほぼ半分であった。これらは、この排除経路が次の様式でGI管毒性の原因となる場合に重要な観察である。
1. 胆汁を介して胃内に排泄されたSN-38がGI管障害を誘発する場合
2. 常在腸管微生物フローラからのβグルクロニダーゼによって、(SN-38Gの胆汁排泄の後)SN-38Gからグルクロニド成分が脱抱合されてSN-38を生じる場合
3. 腸管のカルボキシルエステラーゼ活性がCPT-11をSN-38に変換する場合[41]
この排泄経路を熟考する時、本発明の製剤は、GI管に入るCPT-11およびSN-38およびSN-38Gの量を低下させた。したがって、そのようにして、腸管内のカルボキシルエステラーゼ活性、および常在腸管微生物フローラからのβグルクロニダーゼ活性によるSN-38GからSN-38への脱抱合の両方から、SN-38生成が減少することが期待できることが分かる。
シクロスポリンAは、P-gpおよびcMOAT両方の公知阻害剤であり、イリノテカンと一緒に投与すると、胆汁中へのCPT-11およびSN-38の排泄を減少させる。CPT-11およびCN-38の胆汁排泄の同様の減少が、ヒアルロナン/イリノテカン製剤を投与した後にも観察され、ヒアルロナンは胆嚢膜中のcMOATおよび/またはP-gpの活性を調節すると信じられている。このことは、ヒアルロナン/イリノテカン(26.6/60)処置ラットでは、SN-38の血清レベルがイリノテカン投与動物に比べてはるかに高いこと、さらにヒアルロナン/イリノテカン動物ではCPT-11およびSN-38Gの胆汁排泄は低下すること、およびこの経路から排泄されるSN-38のレベルがイリノテカン単独投与動物と同等であるという観察によって裏付けられている。CPT-11の血清レベルの上昇は比較的同程度であることから、観察されたSN-38の血清レベルの上昇は、胆汁排泄の減少によるものであろう。
これらの実験で観察された薬物動態干渉は、HAがCPT-11代謝に関与する肝臓のCYP3A4経路を阻害し、親薬物を優先的にSN-38に向けることを潜在的に示している。
ヒアルロナンは、GI管の管腔内に漏出されるCPT-11、SN-38、およびSN-38Gの量を減らす。このことは、CPT-11、SN-38、およびSN-38Gの血清レベルをそれらの腸漏出プロフィールと比較した時に明瞭となる。CPT-11の血清レベルが処置群間で実質的に同等であり、血清SN-38が僅かに高い場合、ヒアルロナン/イリノテカン製剤は、この経路から胃に入る親薬物および毒性代謝物の量をほぼ半分に減らした。この輸送低下のメカニズムは、CPT-11を本発明の製剤の形で投与した時にだけに影響を受ける。ヒアルロナン/イリノテカン処置群でSN-38Gレベルが低レベルであるという観察は、GI管腔内に入るこの不活性抱合体のレベルが低いことを一部説明するが、それでもイリノテカン前にHAが投与されたラットは、イリノテカン処置ラットに比べ血清中のSN-38Gが高い傾向を示した。これに関連してこのラット群は、血液循環から胃腔内に入るSN-38Gが有意に少ないことも示しており、HAがこの輸送メカニズムに影響していることを示している。不活性代謝物APCも同様の様式で影響を受け、まずは血清レベルの低下となって現れるだろう。
より高用量のヒアルロナン/イリノテカン(26.6/60)では、CPT-11およびその代謝物の腸漏出は、APCを除いて本質的に顕著ではなかった。ヒアルロナン/イリノテカン群において最も明瞭に変化した血清代謝物はSN-38であり、それは有意に増加したが、それでもSN-38の腸漏出は処置群間で同等であった。
CPT-11およびその代謝物の組織分布は、30mg/kgのイリノテカンが投与された処置群のみ比較が可能であったが、これはイリノテカン(60)を投与されたラットで毒関連死が観察され、実験終了時まで生存したラットが一匹のみであったためである。これに対し、ヒアルロナン/イリノテカン(26.6/60)を投与したラットは全て生存し、この製剤が薬物を単独で投与したときのような急性毒性を示さないことを強調している。脾臓へのイリノテカンの負荷は、ヒアルロナン/イリノテカン投与またはイリノテカン15分前にHAが投与されたラットにおいて有意に低かった。興味深いことに、イリノテカン単独投与ラットでは、大量のCPT-11を示したにもかかわらず脾臓にSN-38は検出されなかった。これに関連して本発明者らは、長期間ヒアルロナン/イリノテカン(26.6/60)に曝されたラットが、イリノテカン単独投与ラットに比べて実験終了時点で脾臓が有意に小さいことを以前証明している。
残り全ての器官へのCPT-11負荷は同等であり、したがってこのことからヒアルロナンは、肝臓、腎臓、腸、および肺への本薬物の生体分布に顕著な効果は及ぼさず、それ故にこれがイリノテカン処置後のGI管誘発毒性に対しHAが発揮する保護作用の潜在的メカニズムではないことを示している。
ラットにヒアルロナン/イリノテカンが投与された場合、脾臓および肺に見出されるSN-38の量は、いずれも有意に高かった。イリノテカン単独投与後には、脾臓または肺にSN-38は検出できなかった。
より重要なことは、腸内のCPT-11および代謝物の分布であり、これは全ての処置群で比較的同等であり、このことはイリノテカン誘発GI管毒性に対しヒアルロナン/イリノテカンが保護作用を発揮するメカニズムは、胆汁を介した排除の主要な経路および腸漏出に存在していることを強調している。
実施例7
ヒアルロナンの分子量および濃度が、インビトロにおいて、腫瘍細胞の内因性βグルクロニダーゼの活性に及ぼす効果の決定
試験物およびコントロール物質
ヒアルロナン
・バッチ番号:HA10509 (Biological therapies;固有粘度測定を用いて、Institute of Drug Technologyによって決定された形式分子量860kDa)
・バッチ番号:150103E/3/240/S (CPN Ltd.形式分子量10kDa)
・ヒアルロナン2kDa未満 (ヒアルロニダーゼ消化によってHA Laboratoryで生成した)
HAの濃度および分子量が、インビトロにおいて、内因性の腫瘍細胞βグルクロニダーゼに及ぼす効果の決定
サンプルの調製
腫瘍細胞溶解物ストック(0.8mgタンパク質/ml)は、元となる細胞溶解物から調製された。10mg/mlのヒアルロナンストック(10kDaおよび860kDa)をリン酸カリウム緩衝液で、8mg/ml、3.2mg/ml、1.6mg/ml、0.4mg/ml、0.2mg/ml、0.04mg/ml、0.02mg/ml、および0.0008mg/mlのヒアルロランになるように希釈した。さらに25mg/mlの2kDa未満のHAについてもリン酸カリウム緩衝液で、8mg/ml、3.2mg/ml、1.6mg/ml、0.4mg/ml、0.2mg/ml、0.04mg/ml、0.02mg/ml、および0.0008mg/mlのヒアルロランになるように希釈した。アッセイサンプルは、0.8mgタンパク質/mlの下記細胞株の細胞溶解物が125μl入ったエッペンドルフチューブに各種ヒアルロナン希釈液を125μlずつ小分けして調製した;HCT-116、LIM-1215、LIM-2099、SK-CO1、SW-1222、HT-29、SW-620、MSTO-211H、MDA-MB-468、およびMDA-MB-435。サンプルを繰り返し(約20回)転倒混合して完全に混和し、続いて一晩37℃でインキュベートした。インキュベーション終了時にサンプルを繰り返し(約20回)転倒混合して完全に混和し、その後96ウエルプレート法を用いてβグルクロニダーゼを定量化した。
βグルクロニダーゼアッセイ:96ウエルプレート法
アッセイは、黒色の、透明底の96ウエルプレートのウエルで行い、該ウエルに腫瘍細胞溶解物50μL (20μgタンパク質)を加え、および75mMのリン酸カリウム緩衝液50μLをコントロールのブランクウエルとして用いた。これらを加えた後に500μMの4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルクロニド(4-MUBG)基質を50μLを加えたが、これを各試験ウエルおよびブランクウエルに加えた。プレートを37℃で正確に1時間インキュベートした。インキュベーション終了時に、停止緩衝液50μLを加え、Fluostar Optimaプレートリーダーを用いてプレートを350nmの励起および450nmの発光で読み取った。
ヒアルロナン分子量および濃度が内因性の腫瘍βグルクロニダーゼ活性に及ぼす効果の決定
860kDaヒアルロナンの評価
HAの濃度および分子量を変えることのβグルクロニダーゼの活性に及ぼす効果を決定するために、細胞溶解物タンパク質20μgおよび500μMの基質を、0〜10μgのHA/μgタンパク質と共インキュベートした。図9および表16に示すように、HA濃度とβグルクロニダーゼの促進作用との間には明瞭な相関性が存在した。これに加えて、CD44発現と、HAが腫瘍細胞のβグルクロニダーゼにもたらした増加倍率との間に直接の相関性があると思われた。≧2μgのHA/μgタンパク質を含有するサンプルは、HAを含まないサンプルと比較した時、有意に高いβグルクロニダーゼ活性を示した。4μgでは、βグルクロニダーゼ活性の増加は、0〜28%の範囲であった。10μgでは、βグルクロニダーゼ活性の増加は20〜125%の範囲であり、この場合CD44発現と高い相関性が存在した。
(表16)図9の作製に用いた生データ
Figure 0005465431
観察されたHAの刺激濃度を、臨床状況で起こり得る形にして表すことができ、それによって現象をインビボで起こり得るか決定することができる。これらの実験で用いた腫瘍細胞溶解物は、26.7×106腫瘍細胞から作られ、溶解物1ml当たり3.6mgの腫瘍細胞タンパク質を生じた。このことは、一個の腫瘍細胞が0.135ngタンパク質/細胞であることに等しい。それ故に、≧2μgのHA/μg腫瘍細胞タンパク質が内因性のβグルクロニダーゼ活性を刺激するのであれば、これは、≧2μg/7407細胞または≧270pgHA/細胞に相当するだろう。
850kDaのヒアルロナンのボーラス注射の生体内分布を確立するために、ヒト乳癌細胞異種移植片を担持するヌードマウスに825kDの[3H]HAを15.9±1.2mg/kg静脈内注射した。マウス(n=5/時点)は、静脈内投与後、15分、30分、60分、2時間、4時間、8時間、24時間、48時間、および72時間目に屠殺した。全ての体器官および体液を取り除き、重量を測定して、β-シンチレーション測定を用いて[3H]放射活性を定量化した。全ての組織をHA代謝物の存在について分析し、8時間後に最終産物である[3H]水および[3H]酢酸を同定した;HAの中間分解産物は検出されなかった。下記表は、825kDaのHAの有意な代謝が始まる前のHA取り込みだけを報告している。下記表に見られるように、腫瘍内に蓄積した注射用量の最高パーセンテージは2.58%であった。それ故に、ヒトにHAが2g投与されたとすると(2m2の患者に1g HA/m2を投与すると仮定するが、この量はHyCAMP (商標)の第I相および第II相臨床試験で投与されたHAの最高用量である)、腫瘍1グラム当たり約51.6mgのHAが蓄積することになり、これは51.6pgのHA/細胞に相当する(腫瘍1gが109細胞に相当すると仮定した場合)。
10kDaヒアルロナンの評価
HAの濃度および分子量を変えることの、腫瘍細胞βグルクロニダーゼに及ぼす効果を決定するために、1マイクログラムの腫瘍細胞タンパク質および500μMの基質を、0〜10μgの形式分子量10kDaのHAと共インキュベートしたが、分子量は、リソソームに至る途上にある細胞質エンドソーム内およびHyal-1消化前のリソソーム内に局在しているHyal-2消化産物に等しい。図10および表17に見られるように、HAが2μgより多い場合は、HAを含有しないサンプルと比べ、βグルクロニダーゼ活性は有意に高かった。4μgでは、βグルクロニダーゼ活性の上昇は、0〜28%の範囲であった。10μgでは、βグルクロニダーゼ活性の上昇は、13〜63%の範囲内であった。10kDaのHAの場合、CD44とβグルクロニダーゼ活性の増加倍率との間に相関性は見られなかった。
観察されたHAの刺激濃度は、臨床状況で起こり得る濃度にすることができることから、この現象がインビボで起こり得るか決定することができる。これらの実験で用いた腫瘍細胞溶解物は、26.7×106腫瘍細胞から生成され、溶解物1ml当たり3.6mgの腫瘍細胞タンパク質を生じた。このことは、一個の腫瘍細胞が0.135ngタンパク質/細胞であることと同義である。それ故に、≧2μgのHA/μg腫瘍細胞タンパク質が内因性のβグルクロニダーゼ活性を刺激するのであれば、これは、≧2μg/7407細胞または≧270pgHA/細胞に相当するだろう。2gのHAの静脈内投与(2m2の患者に1g HA/m2を投与すると仮定するが、この量はHyCAMP (商標)の第I相および第II相臨床試験で投与されたHAの最高用量である)は、理論的には、腫瘍1グラム当たり約51.6mgのHAを生じるが、これは51.6pgのHA/細胞に等しい(腫瘍1gが109細胞に相当すると仮定した場合)。825kDaの[3H] HA注射後の腫瘍ホモジェネートのクロマトグラフィー分析では、10kDaのHAは全く検出されなかったが、なぜならHAのどの中間分解産物もβグルクロニダーゼによって迅速に処理されて単糖類になるためである。10kDaはβグルクロニダーゼの基質となることから、腫瘍環境内の基質増加に反応して、βグルクロニダーゼがインビボでも同様の様式で反応して酵素活性をアップレギュレーションする可能性がある。
(表17)図10の作製に用いた生データ
Figure 0005465431
2kDa未満のヒアルロナンの評価
ヒアルロナン各種濃度および分子量がβグルクロニダーゼの活性に及ぼす効果を決定するために、1マイクログラムの腫瘍細胞タンパク質および500μMの基質を、0〜10μgの形式分子量2kDa未満のヒアルロナンと共インキュベートした。図11および表18に見られるように、2μgという低HA濃度では、HAを含有しないサンプルと比べた場合に、腫瘍細胞のβグルクロニダーゼの有意な阻害が見られた。HA濃度が10μgのHAまで増加すると、阻害度も増し、βグルクロニダーゼ活性は最大47%減少した。
825kDa [3H] HA注射後の腫瘍ホモジェネートのクロマトグラフィー分析は、腫瘍ホモジェネート中にHAの2kDa未満の小断片は検出されないことを示しており、したがってこれらの観察が臨床状況にも当てはめることができるのであれば、HAが媒介する腫瘍内βグルクロニダーゼの阻害は存在しないだろう。
(表18)図8の作製に用いた生データ
Figure 0005465431
実施例8
HyCAMP (商標)に関する第I相臨床報告結果
材料および方法
患者選択
本試験に登録された患者は全て進行または転移性CRCを有しており、今回または過去の直腸結腸腺癌の組織学的記録が存在している。患者は、第一選択薬5-FU (および/またはカペシタビン)処置6ヶ月以内に再発または進行のいずれかを示した転移性疾患を有していることが求められた。従来のオキサリプラチンは許可されたが、しかしこの第I相試験開始時にはオキサリプラチンを基本とする治療は、転移性CRCを管理するための第一処置レジメンとしては容易に利用できなかった。他の適格性判定基準は、年齢が18〜75歳であること、≧1の測定可能な傷害(スパイラルCTまたはMRIで≧1cm)があること、ECOG一般状態(PS)が0または1であること、予想生存期間≧12週であること、骨髄機能が適切であること(好中球数≧1.5×109/L、血小板数≧100×109/L)、肝機能が適切であること(ビルルビン≦1.25×正常上限値、ALT≦5×正常上限値)、および腎機能が適切であること(クレアチニン≦0.2mmol/L)。主な除外判定基準は、活動性炎症性腸疾患、≧グレード2の慢性の下痢、巨大病変(肝臓関与率>50%、肺関与率>25%、または腹部腫瘤≧10cm)、脳転移、ギルバート症候群、イリノテカン暴露歴、骨盤または>30%の骨髄に対するあらゆる放射線治療歴、現時点で活動性である二次悪性疾患、または他の重大な合併症であった。患者は全員、登録前に書面によるインフォームドコンセントを提出し、試験は参加施設の倫理委員会によって承認された。
試験計画
HAおよびイリノテカンの製剤(HyCAMP (商標))を、最大6サイクル、3週おきに90分間かけて静脈内投与した。HAの用量を1000mg/m2に固定し、イリノテカンの初回用量は300mg/m2とした[HyCAMP (1000/300)]。患者は全員5-HT3インヒビターおよびデキサメサゾンの予備投与を受けた。この初回投与で重大な処置関連毒性が見られなかった場合は、次のサイクルについてイリノテカンの用量を350mg/m2に増量した[HyCAMP (1000/350)]。HAの用量の変更は計画しなかった。
毒性は、National Cancer Institute Common Toxicity Criteria (NCICTC)、バージョン1にしたがって等級付けした。グレードIIIまたはIVの毒性を経験した患者(脱毛および血栓-塞栓事象を除く)は、その後のサイクルでイリノテカンの用量を25%減量した(HAは変更せず)。毒性がグレードIまたはそれ未満になるまで投与を最大21日間遅らせることが許された。グレードIIIまたはIVの血栓-塞栓事象を発した患者は、試験から離脱した。患者は全員、処置に関連して下痢が起こること、およびロペラミドの適切な使用に関する教育を受け、ロペラミドは通常HyCAMP (商標)の初回サイクル時に配布された。顆粒球コロニー刺激因子またはエリスロポイエチンの予防的使用は許可されなかった。
ベースラインの有効性および安全性の評価
処置前、各患者の臨床状態を、病歴、身体検査、全血球数測定、血清CEA、および化学パネルによって評価した。ベースライン時の胸部、腹部、および臀部CTスキャンは、初回処置サイクル前4週以内に実施した。処置中、患者は各サイクルの初日に、身体検査、全血球数測定、血液化学、および毒性の等級付けによって評価された。これに加えて、最初の2回のサイクルについては、第10日目に全血球数測定を入れた。2サイクル毎に、放射線像撮影を繰り返し、疾患状態を決定した。以前公開された完全反応(CR)、部分反応(PR)、安定性疾患(SD)、および進行性疾患(PD)の定義を用いた反応の評価には、RECIST判定基準を用いた。
薬物動態
初回サイクルでは、薬物投与日にイリノテカンならびにその代謝物であるSN-38およびSN-38Gを定量するための血液サンプルを、0、30、60、90分時(注入中)ならび薬物注入中止後、5、10、15、20、30、60分、および2、3、4、6、24、47、72、および96時間目に採取した。血液はヘパリン処置チューブに集め、遠心分離(1200gで10分間)により血液細胞から血漿を分離し、マイナス20℃で凍結し、分析するまで-80℃に保管した。融解した血漿中の分析物の濃度は、逆相HPLCを用いて決定された。濃度は、反応が内部標準に対する分析物のピーク面積比に等しい濃度対反応のプロットに適合させた1/×荷重直線回帰を用いて作製した標準曲線と比較することによって計算した。
サンプル抽出:CPT-11およびSN-38定量前に、サンプルは、18ngの内部標準(カンプトテシン、Sigma, USA)を含む氷冷した400μlのアセトニトリル:メタノール1:1溶液を、200μlの患者血漿に加えて抽出した。抽出混合液は、Biofuge 13(Beckman, USA)で13,5000rpm、5分間の遠心分離によって透明化した。上清を乾燥し、HPLCに供する前に200μlの移動相に再構成した。
CPT-11およびSN-38のHPLC定量:分離は、Alltech C18 (5μm、7.5×4.6mm内径)ガードカラムで保護されたSGE SS Warkosil C18カラム(5μm、150×4.6mm内径)を用いて行った。カラム温度は30℃に保った。移動相は、H3PO4を用いてpH2.5に調整した0.025M KH2PO4:アセトニトリル(75:25v/v)であり、流速は1ml/分に設定した。サンプルは4℃に冷却し、カラムには30μlの注入量を注入した。用いたHPLCアッセイは、特異性、感度、直線性、ならびに適切な期間の保管/使用に関するサンプルおよびストックの安定性について妥当性を確認した。日内および日差正確性および精密性は、定量限界において±15%または±20%未満であった。ヒアルロン酸(HA)ならびに一連の制吐剤および抗ヒスタミン剤を含む同時投与された他薬物からのクロマトグラフィーへの干渉の可能性についても、分析前に評価した。
SN-38Gの定量:SN-38Gは、βグルクロニダーゼによってSN-38Gが加水分解された後のSN-38レベルの増加を定量化して推定した。簡単に説明すると、血漿サンプルの一部200μlを、1000単位のβグルクロニダーゼ(タイプB10、10,400単位/mg;Sigma, USA)と共に37℃で2時間インキュベートした。酵素消化終了後ただちに上記した通りにサンプルを抽出し、クロマトグラフィーにかけた。SN-38Gレベルは、純度100%のSN-38参照標準物に基づき、ng/ml SN-38として表した。
結果
患者特性
12名の患者が、2003年7月〜2004年9月の間に本試験に登録された。患者全員を、反応性および毒性について評価できた。9名の男性および3名の女性が登録し、その平均年齢は63歳(39歳〜73歳の範囲)であった。全ての患者が、以前に5-FU化学療法を受けており、3名がオキサリプラチンの投与も受けていた。試験登録時の患者特性は表1に示す。投薬サイクル数の中央値は5であった(1〜6の範囲)。
薬物動態
過去に得られたデータと比較すると、HyCAMPの調合は、イリノテカン(CPT-11)およびSN38の両方の薬物動態を変えると思われた(表19)。HAと一緒に調合された時のCPT-11の平均半減期(t1/2)は約18時間であったが、これに対しイリノテカン単独の場合は約12時間であることが観察されている。これらのデータは、Cmaxおよびクリアランス像に変化がないことから、HAの調合はイリノテカンの代謝または薬物動態を変化させていることを示唆している。この科学的仮説は、有効代謝物SN-38についてCmaxおよび曲線下面積を比較することによって確認される。集められたこれらのSN-38の薬物動態データは、HAがイリノテカンの代謝活性化および潜在的に薬物動態を調節することを示唆している。このような代謝カスケードの重要酵素は、カルボキシルエステラーゼ、UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ、およびβグルクロニダーゼであろう。
この観察された効果がカルボキシルエステラーゼ低下の結果であれば、該酵素がCPT-11をSN-38に効率的に変換出来なくなり、その結果、SN-38の減少は顕著となり、CPT-11の循環レベルは上昇することから、CPT-11のCmaxレベルは予想より高くなるだろう。もしUDPグルクロノシルトランスフェラーゼが標的酵素であれば、薬物動態への効果はSN-38Gのレベル変化となるはずであるが、そのような変化は観察されていない。観察された結果は、次の代謝経路の変化の結果であろう(図12)。
(表19)HyCAMPとして調合されたヒアルロナンおよびイリノテカン注入後の、イリノテカンならびにその代謝物SN-38およびSN-38Gの血漿薬物動態パラメータ
Figure 0005465431
1. 用量計算に用いたBSA(体表面積)は、最大2.0m2を上限とした。
2. 体積配分(L)=[クリアランス(L/時)*t1/2(時)]/0.693
パラメータのモデル独立計算は、対数線形排除プロフィールに最も適当するように目 視によって選ばれた2または3個の最終排除点を使用した。
全ての数字は、平均値±1標準偏差を表している。
毒性
進行性疾患によると思われるグレードIIIの肝臓機能不全が、初回処置サイクル後に、HyCAMP (1000/300)用量レベルに登録された最初の患者に観察された。さらにこのレベルで4名の患者を処置したが、用量を制限するような毒性は見られず、彼らについては第二回およびその後のサイクルでHyCAMP (1000/350)が投与された。7名の患者がHyCAMP (1000/350)用量レベルで処置を開始した。2名の患者について用量が減らされた:サイクル1でのグレードIVの熱性好中球減少症により、サイクル2でイリノテカンの用量を50%減量;およびサイクル4でのグレードIIIの倦怠感によりサイクル5でイリノテカンの用量を25%減量。1名の患者は、サイクル1および5中の好中球減少症によって(それぞれグレードIIIおよびII)、サイクル2および6での処置を遅らせる必要があった(しかし用量は変更しなかった)。
予定された来院によるグレードIIIおよびIVの毒性に関する処置については、表3にまとめた。唯一のグレードIIIの下痢のエピソードは、それ以前に重大な下痢を起こしたことのなかった患者がサイクル5の間に起こしたものであった。この患者は、サイクル6で用量を減量する必要があったが、しかし患者がサイクル5終了時に病気の進行により試験から脱落したためにこれは行われなかった。表3には示していない他のグレードIII/グレードIVの毒性としては、進行性疾患に関係すると思われる肝機能不全、および前投薬されたステロイドに関係すると思われる高血糖症が挙げられる。合計で9例のNCICTCグレードIII/IV毒性エピソードがあった。この内3例が試験薬に関係すると思われた。内訳はグレードIIIの下痢1例、グレードIVの好中球減少症1例、およびグレードIIIの好中球減少症1例であった。グレードIIIの好中球減少症のエピソードは10日目に記録されており、好中球数は次のサイクル予定日までには回復したため、処置に影響はなかった。処置に関係する中毒死は存在しなかった。
腫瘍反応および生存期間
12名全患者について反応が評価できた。反応データは表20にまとめられている。2名の患者に部分反応が見られ、全体の反応率は17%であった。5名の患者は、その最高反応が安定性疾患であり、5名が進行性疾患であった。進行までの中位時間は6ヶ月であり、生存期間中央値は16ヶ月であった。
サンプル集団は小さいが、CEAレベルの分析は、患者6および9ではCEAレベルが実質的に低下したものの、コンピュータ断層撮影評価は疾患の進行を示す興味深い事実を明らかにした。これらの「非反応」患者のフォローアップは、これらの患者が処置中止後もさらに623および629日間生存したことを明らかにしたが、この日数はCEAによって評価された反応者の予想生存期間内に入る。
(表20)腫瘍反応および生存期間
Figure 0005465431
本明細書に記載された本発明が、具体的に記載されたもの以外の変形および変更を受け入れる余地があることを当業者なら理解するだろう。本発明は、このような変形および変更を全て含むことを理解するものとする。本発明はまた、本明細書に、個別または集合的に参照または示された全ての段階、特徴、組成物、および化合物、ならびに二つ以上の該任意の段階または特徴の任意および全ての組み合わせも含む。
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2kDa未満のHAがGI管組織のβグルクロニダーゼ活性に及ぼす効果を示した図である。 2kDa未満のHAがGI管組織のβグルクロニダーゼ活性に及ぼす効果を示した図である。 イリノテカンを60mg/kgの用量で投与した時の、SN-38の組織分布におよぼすHA用量調節の効果を示した図である。 イリノテカンを60mg/kgの用量で投与した時の、SN-38Gの組織分布におよぼすHA用量調節の効果を示した図である。 イリノテカン(30:白丸)、HyCAMP (商標) (26.6/30:黒三角およびイリノテカン投与15分前のHA (26.6) (30:白四角)の単回静脈注射後の、CPT-11 (a)、SN-38 (b)、SN-38G (c)、およびAPC (d)の累積胆汁排泄量を示した図である。各値は、特に記載の無い限り、n=6の場合の平均値±SEMを表す。(a) p=<0.05、イリノテカン群と比較した場合。 イリノテカン(60:白丸)、HyCAMP (商標) (26.6/60:黒三角)の単回静脈注射後の、CPT-11 (a)、SN-38 (b)、SN-38G (c)、およびAPC (d)の累積胆汁排泄量を示した図である。各値は、平均値±SEMを表す。(a):p=<0.05、イリノテカン群と比較した場合。 イリノテカン(30:白丸)、HyCAMP (商標) (26.6/30:黒三角およびイリノテカン投与15分前のHA (26.6) (30:白四角)の単回静脈注射後の、CPT-11 (a)、SN-38 (b)、SN-38G (c)、およびAPC (d)の累積腸漏出量を示した図である。各値は、特に記載の無い限り、n=6の場合の平均値±SEMを表す。(a)および(b) p=<0.05、イリノテカン群と比較した場合;(c) p=<0.05、イリノテカン15分前HAと比較した場合。 イリノテカン(60:白丸)、HyCAMP (商標) (26.6/60:黒三角)およびイリノテカン15分前のHA (26.6) (30:白四角)の単回静脈注射後の、CPT-11 (a)、SN-38 (b)、SN-38G (c)、およびAPC (d)の累積腸漏出量を示した図である。各値は、平均値±SEMを表す。(a):p=<0.05、イリノテカン群と比較した場合。 腫瘍細胞内因性βグルクロニダーゼの活性に及ぼす860kDaのHAの効果を示す図。 腫瘍細胞内因性βグルクロニダーゼの活性に及ぼす10kDaのHAの効果を示す図。 腫瘍細胞内因性βグルクロニダーゼの活性に及ぼす2kDa未満のHAの効果を示す図。 CPT-11の代謝経路を示す図。 イリノテカンおよびHyCAMP (商標)に長期間曝されたラットの盲腸の形態変化を示す写真。ラットには、イリノテカン(60)またはHyCAMP (商標) (26.6/60.0)を毎日注射した。実験のエンドポイントで胃腸管の一部を処理した。パネルA、D、およびG:ヒアルロナン投与を受けたラットの顕微鏡写真;パネルB、E、およびH:イリノテカン投与を受けたラットの顕微鏡写真、ならびに;パネルC、F、およびI:HyCAMP (商標)投与を受けたラットの顕微鏡写真。イリノテカンとHyCAMP (商標) (それぞれパネルBおよびC)との間の粘膜腺窩の全体的な形態変化に注意されたし。HyCAMP (商標)処置された盲腸は、コントロールで観察されるもの(パネルA)に類似している。

Claims (44)

  1. 約350ダルトン〜約2キロダルトンの平均分子量を有するヒアルロナン(HA)および治療作用物質を組み合わせてなる、βグルクロニダーゼの活性を調節して、治療作用物質単独に比べて胃腸毒性を低下させるための、医薬。
  2. ヒアルロナン成分が約1キロダルトン〜約2キロダルトンの平均分子量を有する、請求項1記載の医薬。
  3. (i) 平均分子量が350ダルトン〜2キロダルトンのヒアルロナン(HA);および
    (ii) 平均分子量が750キロダルトン〜2000キロダルトンのヒアルロナン(HA);および
    (iii) 治療作用物質
    を組み合わせてなる、βグルクロニダーゼの活性を調節して、治療作用物質単独に比べて胃腸毒性を低下させるための、医薬。
  4. (i) 平均分子量が350ダルトン〜2キロダルトンのヒアルロナン(HA);および
    (ii) 平均分子量が750キロダルトン〜1000キロダルトンのヒアルロナン(HA);および
    (iii) 治療作用物質
    を組み合わせてなる、βグルクロニダーゼの活性を調節して、治療作用物質単独に比べて胃腸毒性を低下させるための、請求項3記載の医薬。
  5. (i) 平均分子量が約2キロダルトンのヒアルロナン(HA);および
    (ii) 平均分子量が約860キロダルトンのヒアルロナン(HA);および
    (iii) 治療作用物質
    を組み合わせてなる、βグルクロニダーゼの活性を調節して、治療作用物質単独に比べて胃腸毒性を低下させるための、請求項3記載の医薬。
  6. 平均分子量が350ダルトン〜2キロダルトンのHAが、前記治療作用物質投与の前またはそれに続いて投与される、請求項3記載の医薬。
  7. 平均分子量が350ダルトン〜2キロダルトンのHAが、前記治療作用物質投与の前に投与される、請求項3記載の医薬。
  8. 平均分子量が350ダルトン〜2キロダルトンのHAが、前記治療作用物質投与に続いて投与される、請求項3記載の医薬。
  9. HAが経口投与される、請求項1または2記載の医薬。
  10. 平均分子量約2キロダルトンのHAが経口投与される、請求項5記載の医薬。
  11. 平均分子量約860キロダルトンのHAが全身投与される、請求項5記載の医薬。
  12. 前記治療作用物質が抗癌剤である、請求項5記載の医薬。
  13. 前記治療作用物質が代謝されてグルクロニド抱合体を形成する、請求項1および35のいずれか一項記載の医薬。
  14. グルクロニドが、モルヒネ-3-グルクロニド、モルヒネ-6-グルクロニド、リトコラートグルクロニド(lithocholate glucuronide)、エストロン-3-グルクロニド、レチノイルグルクロニド、インボキシル-β-D-グルクロニド(imboxyl-β-D-glucuronide)、ドキソルビシングルクロニド、ロスタネオジオールグルクロニド(rostaneodiol glucuronide)およびパラセタモールグルクロニドからなるリストより選択される、請求項13記載の医薬。
  15. 前記治療作用物質が、抗代謝薬、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂阻害剤、ステロイド、ホルモン、アルキル化剤、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、ホルモンアゴニストおよび微小管阻害剤を含む化学療法化合物からなるリストより選択される化学療法薬である、請求項1および38のいずれか一項記載の医薬。
  16. 前記治療作用物質が、ダウノルビシン、ダウノマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、エソルビシン(esorubicin)、ブレオマイシン、マホスファミド(mafosfamide)、イホスファミド、シトシンアラビノシド、ビス-クロロエチルニトロソウレア、ブスルファン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、プレドニソン、ヒドロキシプロゲステロン、テストステロン、タモキシフェン、ダカルバジン、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、ミトキサントロン、アムサクリン、クロランブシル、メチルシクロヘキシルニトロソウレア、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、シクロホスファミド、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-アザシチジン、ヒドロキシウレア、デオキシコホルマイシン、4-ヒドロキシペルオキシシクロホスホルアミド、5-フルオロウラシル(5-FU)、5-フルオロデオキシウリジン(5-FUdR)、メトトレキサート(MTX)、オキサリプラチン、ドキソルビシン、コルヒチン、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド(VP-16)、トリメトレキサート、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、テニポシド、シスプラチン、ジエチルスチルベストロール(DES)およびそれらのグルクロニド抱合体からなるリストより選択される化学療法薬である、請求項15記載の医薬。
  17. 約350ダルトン〜約2キロダルトンの平均分子量を有するヒアルロナン(HA)および治療作用物質を組み合わせてなる、βグルクロニダーゼの活性を調節して、治療作用物質単独に比べて薬物の活性化を増強するための、医薬。
  18. 約350ダルトン〜約2キロダルトンの平均分子量を有するヒアルロナン(HA)および治療作用物質を組み合わせてなる、βグルクロニダーゼの活性を調節して、治療作用物質単独に比べて骨髄抑制を緩和するための、医薬。
  19. ヒアルロナン成分が、約350ダルトン〜約1キロダルトンの平均分子量を有する、請求項18記載の医薬。
  20. (i) 平均分子量が約350ダルトン〜約2キロダルトンのヒアルロナン(HA);および
    (ii) 平均分子量が約860キロダルトンのヒアルロナン(HA);および
    (iii) 治療作用物質
    を組み合わせてなる、βグルクロニダーゼの活性を調節して、治療作用物質単独に比べて骨髄抑制を緩和するための、医薬。
  21. (i) 平均分子量が約2キロダルトンのヒアルロナン(HA);および
    (ii) 平均分子量が約860キロダルトンのヒアルロナン(HA);および
    (iii) 治療作用物質
    を組み合わせてなる、βグルクロニダーゼの活性を調節して、治療作用物質単独に比べて骨髄抑制を緩和するための、請求項20記載の医薬。
  22. 平均分子量が350ダルトン〜2キロダルトンのHAが、前記治療作用物質投与の前またはそれに続いて投与される、請求項18記載の医薬。
  23. 平均分子量が350ダルトン〜2キロダルトンのHAが、前記治療作用物質投与の前に投与される、請求項18記載の医薬。
  24. 平均分子量が350ダルトン〜2キロダルトンのHAが、前記治療作用物質投与に続いて投与される、請求項18記載の医薬。
  25. 平均分子量が350ダルトン〜2キロダルトンのHAが経口投与される、請求項1824のいずれか一項記載の医薬。
  26. 平均分子量約2キロダルトンのHAが経口投与される、請求項21記載の医薬。
  27. 平均分子量約860キロダルトンのHAが全身投与される、請求項21記載の医薬。
  28. 平均分子量約2キロダルトンのHAが経口投与され、平均分子量約860キロダルトンのHAが全身投与される、請求項21記載の医薬。
  29. 前記治療作用物質が抗癌剤である、請求項1記載の医薬。
  30. 前記治療作用物質が抗癌剤である、請求項18記載の医薬。
  31. 前記治療作用物質が代謝されてグルクロニド抱合体を形成する、請求項1828のいずれか一項記載の医薬。
  32. グルクロニドが、モルヒネ-3-グルクロニド、モルヒネ-6-グルクロニド、リトコラートグルクロニド、エストロン-3-グルクロニド、レチノイルグルクロニド、インボキシル-β-D-グルクロニド、ドキソルビシングルクロニド、ロスタネオジオールグルクロニドおよびパラセタモールグルクロニドからなるリストより選択される、請求項31記載の医薬。
  33. 前記治療作用物質が、抗代謝薬、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂阻害剤、ステロイド、ホルモン、アルキル化剤、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、ホルモンアゴニストおよび微小管阻害剤を含む化学療法化合物からなるリストより選択される化学療法薬である、請求項1828いずれか一項記載の医薬。
  34. 前記治療作用物質が、ダウノルビシン、ダウノマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、エソルビシン、ブレオマイシン、マホスファミド、イホスファミド、シトシンアラビノシド、ビス-クロロエチルニトロソウレア、ブスルファン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、プレドニソン、ヒドロキシプロゲステロン、テストステロン、タモキシフェン、ダカルバジン、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、ミトキサントロン、アムサクリン、クロランブシル、メチルシクロヘキシルニトロソウレア、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、シクロホスファミド、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-アザシチジン、ヒドロキシウレア、デオキシコホルマイシン、4-ヒドロキシペルオキシシクロホスホルアミド、5-フルオロウラシル(5-FU)、5‐フルオロデオキシウリジン(5-FUdR)、メトトレキサート(MTX)、オキサリプラチン、ドキソルビシン、コルヒチン、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド(VP-16)、トリメトレキサート、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、テニポシド、シスプラチン、ジエチルスチルベストロール(DES)およびそれらのグルクロニド抱合体からなるリストより選択される化学療法薬である、請求項33記載の医薬。
  35. ヒアルロナン(HA)および治療作用物質を含む医薬であって、該医薬またはその成分が薬物輸送タンパク質の活性を調節する、請求項1記載の医薬。
  36. 薬物輸送タンパク質が、カチオン交換タンパク質であるcMOATである、請求項35記載の医薬。
  37. カチオン交換タンパク質であるcMOATが有毒薬物の循環レベルを低下させる、請求項36記載の医薬。
  38. ヒアルロナン(HA)および治療作用物質を含む医薬であって、該医薬またはその成分が薬物輸送タンパク質の活性を調節する、請求項18記載の医薬。
  39. 薬物輸送タンパク質が、カチオン交換タンパク質であるcMOATである、請求項38記載の医薬。
  40. カチオン交換タンパク質であるcMOATが有毒薬物の循環レベルを低下させる、請求項39記載の医薬。
  41. 前記治療作用物質が代謝されてグルクロニド抱合体を形成する、請求項17記載の医薬。
  42. グルクロニドが、モルヒネ-3-グルクロニド、モルヒネ-6-グルクロニド、リトコラートグルクロニド、エストロン-3-グルクロニド、レチノイルグルクロニド、インボキシル-β-D-グルクロニド、ドキソルビシングルクロニド、ロスタネオジオールグルクロニドおよびパラセタモールグルクロニドからなるリストより選択される、請求項41記載の医薬。
  43. 前記治療作用物質が、抗代謝薬、抗腫瘍抗生物質、有糸分裂阻害剤、ステロイド、ホルモン、アルキル化剤、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、ホルモンアゴニストおよび微小管阻害剤を含む化学療法化合物からなるリストより選択される化学療法薬である、請求項17記載の医薬。
  44. 前記治療作用物質が、ダウノルビシン、ダウノマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、エソルビシン、ブレオマイシン、マホスファミド、イホスファミド、シトシンアラビノシド、ビス-クロロエチルニトロソウレア、ブスルファン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、プレドニソン、ヒドロキシプロゲステロン、テストステロン、タモキシフェン、ダカルバジン、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、ミトキサントロン、アムサクリン、クロランブシル、メチルシクロヘキシルニトロソウレア、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、シクロホスファミド、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-アザシチジン、ヒドロキシウレア、デオキシコホルマイシン、4-ヒドロキシペルオキシシクロホスホルアミド、5-フルオロウラシル(5-FU)、5‐フルオロデオキシウリジン(5-FUdR)、メトトレキサート(MTX)、オキサリプラチン、ドキソルビシン、コルヒチン、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド(VP-16)、トリメトレキサート、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、テニポシド、シスプラチン、ジエチルスチルベストロール(DES)およびそれらのグルクロニド抱合体からなるリストより選択される化学療法薬である、請求項43記載の医薬。
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