JP5464088B2 - 有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイ - Google Patents
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Description
2.前記一般式(1)におけるAが、アリール基であることを特徴とする前記1に記載の有機光電変換素子。
一般式(1)で表されるフタロシアニン構造を有する化合物について説明する。
《例示化合物 I−2の合成》
1)合成ルート
100mlの4頭フラスコに中間体1:5.00g、トルエン:50ml、3−エチル−3−ペンタノール:2.09g及びDBU:2.99gを加え加熱還流させ(内温:110℃)7時間反応させた。反応終了後に減圧にて溶媒を留去し、メタノール:50mlを加え、30分攪拌し、濾過、メタノールで洗浄し例示化合物 I−2:5.53gを得た(収率:87.7%)。同定はMASSスペクトル(TOF−SIMSを用いた表面解析)、IRで行った。
《例示化合物 I−12の合成》
1)合成ルート
合成例1において、3−エチル−3−ペンタノールを中間体2:4.22gに変更した以外は同様に反応、処理を行ったところ、例示化合物I−12:7.51gを得た(収率:91.2%)。同定はMASSスペクトル(TOF−SIMSを用いた表面解析)、IRで行った。
《例示化合物I−32の合成》
1)合成ルート
合成例1において、中間体1を中間体3:6.64gに、3−エチル−3−ペンタノールを中間体4:6.31gに変更した以外は同様に反応、処理を行ったところ、例示化合物I−32:10.39gを得た(収率:88.2%)。同定はMASSスペクトル(TOF−SIMSを用いた表面解析)、IRで行った。
図1は、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子からなる太陽電池の一例を示す断面図である。図1において、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子10は、基板11の一方面上に、陽極12、正孔輸送層17、バルクヘテロジャンクション層の光電変換部14、電子輸送層18及び陰極13が順次積層されている。
本発明において、バルクヘテロジャンクション層のp型半導体材料は、分子構造に共役二重結合を有する共役高分子半導体材料を用いることを特徴とし、p型共役高分子半導体材料としては、公知の材料が使用できる。
本発明のバルクヘテロジャンクション層に用いられるn型半導体材料としては、特に限定されないが、例えば、フラーレン、オクタアザポルフィリン等、p型半導体の水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物等を挙げることができる。
本発明のp型共役高分子半導体材料と電子受容性および第三成分が混合されたバルクヘテロジャンクション層の形成方法としては、前述の正孔と電子が電荷分離する界面の面積を増大させ、高い光電変換効率を有する素子を作製するためには、塗布法が好ましい。また塗布法は、製造速度にも優れている。塗布法としては、キャスト法、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピング(浸漬)コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、インクジェット法、スピンコート法、Langmuir−Blodgett(LB)法などの通常の方法を用いることができ、キャスト法、スピンコート法、およびインクジェット法を用いることが特に好ましい。
本発明の有機光電変換素子10は、バルクヘテロジャンクション層と陰極との中間に電子輸送層18を形成することで、バルクヘテロジャンクション層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、これらの層を有していることが好ましい。
本発明の有機光電変換素子10は、バルクヘテロジャンクション層と陽極との中間には正孔輸送層17を、バルクヘテロジャンクション層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、これらの層を有していることが好ましい。
エネルギー変換効率の向上や、素子寿命の向上を目的に、各種中間層を素子内に有する構成としてもよい。中間層の例としては、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層、励起子ブロック層、UV吸収層、光反射層、波長変換層等を挙げることができる。
本発明の有機光電変換素子においては、少なくとも陽極と陰極とを有する。また、タンデム構成をとる場合には中間電極を用いることでタンデム構成を達成することができる。なお、本発明においては主に正孔が流れる電極を陽極と呼び、主に電子が流れる電極を陰極と呼ぶ。
本発明の陽極は、好ましくは380〜800nmの光を透過する電極である。材料としては、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の透明導電性金属酸化物、金、銀、白金等の金属薄膜、金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ用いることができる。
陰極は導電材単独層であってもよいが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用してもよい。陰極の導電材としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子の取り出し性能及び酸化等に対する耐久性の点から、これら金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
また、前記図3のようなタンデム構成の場合に必要となる中間電極(電荷再結合層)の材料としては、透明性と導電性を併せ持つ化合物を用いた層であることが好ましく、前記陽極で用いたような材料(ITO、AZO、FTO、酸化チタン等の透明金属酸化物、Ag、Al、Au等の非常に薄い金属層またはナノ粒子・ナノワイヤーを含有する層、PEDOT:PSS、ポリアニリン等の導電性高分子材料等)を用いることができる。
基板側から光電変換される光が入射する場合、基板はこの光電変換される光を透過させることが可能な、即ちこの光電変換すべき光の波長に対して透明な部材であることが好ましい。基板は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から透明樹脂フィルムを用いることが望ましい。
本発明の有機光電変換素子は、太陽光のより効率的な受光を目的として、各種の光学機能層を有していてよい。光学機能層としては、例えば、反射防止膜、マイクロレンズアレイ等の集光層、陰極で反射した光を散乱させて再度発電層に入射させることができるような光拡散層等を設けてもよい。
本発明に係る電極、発電層、正孔輸送層、電子輸送層等をパターニングする方法やプロセスには特に制限はなく、公知の手法を適宜適用することができる。
また、作製した有機光電変換素子が環境中の酸素、水分等で劣化しないために、有機光電変換素子だけでなく有機エレクトロルミネッセンス素子等で公知の手法によって封止することが好ましい。例えば、アルミまたはガラスでできたキャップを接着剤によって接着することによって封止する手法、アルミニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等のガスバリア層が形成されたプラスチックフィルムと有機光電変換素子上を接着剤で貼合する手法、ガスバリア性の高い有機高分子材料(ポリビニルアルコール等)をスピンコートする方法、ガスバリア性の高い無機薄膜(酸化ケイ素、酸化アルミニウム等)または有機膜(パリレン等)を真空下で堆積する方法、及びこれらを複合的に積層する方法等を挙げることができる。
次に、以上説明したバルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子を応用した光センサアレイについて詳細に説明する。光センサアレイは、前記のバルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子が受光によって電流を発生することを利用して、前記の光電変換素子を細かく画素状に並べて作製し、光センサアレイ上に投影された画像を電気的な信号に変換する効果を有するセンサである。
〔有機光電変換素子1〜18の作製〕
ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を110nm堆積したもの(シート抵抗13Ω/□)を、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングとを用いて2mm幅にパターニングして、透明電極を形成した。
次に光電変換層を作成する際に1)クロロベンゼンにp型共役高分子半導体材料として、P3HT(プレクトストロニクス製、プレックスコアOS2100)を1.0質量%、第三成分として表1に記載した化合物を0.07質量%溶解した液を作製し、オーブンで70℃に過熱しながら攪拌(60分)した後室温に冷却した後0.2μmのフィルターでろ過をかけながら700rpmで60秒、次いで2000rpmで2秒間のスピンコートを行い、その後150℃、5分加熱しアニール処理を施し、続いてn型半導体材料としてPCBM(フロンティアカーボン製)を1.0質量%溶解した液を作製し、同様にスピンコートを行い、その後150℃、5分加熱しアニール処理を施し、光電変換層を得た。その他は同様に作製した。
上記作製した封止した光電変換素子に、ソーラーシミュレーター(AM1.5Gフィルタ)の100mW/cm2の強度の光を照射し、有効面積を4.0mm2にしたマスクを受光部に重ね、短絡電流密度Jsc(mA/cm2)及び開放電圧Voc(V)、曲線因子(フィルファクター)FFを、同素子上に形成した4箇所の受光部についてそれぞれ測定し、平均値を求めた。また、Jsc、Voc、FFから式(1)に従ってエネルギー変換効率η(%)を求めた。結果を表1に示す。数字が大きい程エネルギー変換効率(光電変換効率)が良好であることを示す。
(光電変換効率の耐久性評価)
ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cm2の照射強度で照射して、電圧−電流特性を測定し、暴露前の変換効率を測定した。更に、陽極と陰極の間に抵抗を接続したまま、ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を10倍の1000mW/cm2の照射強度で100h照射し続けた後、ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cm2の照射強度で照射して、電圧−電流特性を測定し、暴露後の変換効率を測定した。式2により変換効率の相対効率低下を算出した。結果を表1に示す。数字が小さい程、エネルギー変換効率の耐久性(光電変換効率の耐久性)が良好であることを示す。
〔有機光電変換素子23〜39の作製〕
p型共役高分子半導体材料を下記構造のPCPDTBTに変更し、第三成分として表2に記載した化合物を用いた以外は実施例1と同様にして有機光電変換素子23〜39を作製した。実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
有機光電変換素子23においてp型共役高分子半導体材料、n型半導体材料及び第三成分の化合物の溶液をスピンコートしアニール処理を行わず光電変換材料を作製した。結果を表2に示す。
〔光センサアレイの作製〕
ガラス基板上にスパッタリングによりITO膜を形成し、フォトリソグラフィにより所定のパターン形状に加工した。ガラス基板の厚さは、0.7mm、ITO膜の厚さは、200nm、フォトリソグラフィ後のITO膜における受光部面積aは、0.5mm×0.5mmであった。次に、このガラス基板21上に、スピンコート法(条件;回転数=1000rpm、フィルタ径=1.2μm)によりPEDOT−PSS膜を形成した。その後、該基板を、オーブンで140℃、10分加熱し、乾燥させた。乾燥後のPEDOT−PSS膜の厚さは30nmであった。
11 基板
12 陽極
13 陰極
14 光電変換層
14p p層
14i i層
14n n層
14′ 第1の光電変換層
15 電荷再結合層
16 第2の光電変換層
17 正孔輸送層
18 電子輸送層
20 光センサアレイ
21 基板
22 陽極
23 陰極
24 光電変換部
24a バッファ層
24b 光電変換層
Claims (7)
- 前記一般式(1)におけるAが、アリール基であることを特徴とする請求項1に記載の有機光電変換素子。
- 前記一般式(1)におけるZ1〜Z4が、ベンゼン環又はナフタレン環であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機光電変換素子。
- 前記一般式(1)で表されるフタロシアニン構造を有する化合物を含有する光電変換層が、溶液塗布法によって作製されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
- 前記光電変換層が、溶液塗布された後、加熱処理されて作製されたことを特徴とする請求項4に記載の有機光電変換素子。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機光電変換素子を有することを特徴とする太陽電池。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機光電変換素子が、アレイ状に配置されてなることを特徴とする光センサアレイ。
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